(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240416BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/16
(21)【出願番号】P 2020096146
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宇井 真
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-170165(JP,A)
【文献】特開2004-184808(JP,A)
【文献】特開2008-107449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に転写する画像を担持して転写ニップに向けて前記画像を搬送する像担持体と、
前記像担持体の幅方向における異なる位置に前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体の表面における画像を検出する2以上の画像検出部
であって、前記像担持体の前記転写ニップの前記記録媒体との接触位置に対応する転写領域の前記幅方向における中心線に対する距離が異なる位置にそれぞれ配置されている2以上の画像検出部と、
前記転写領域の前記幅方向の端部と、前記画像検出部との前記幅方向の距離が所定距離以内である画像検出部を選択せず、前記距離が所定距離より大きい画像検出部を選択する選択部と、
を備え
る、
画像形成装置。
【請求項2】
前記2以上の画像検出部に含まれる、2つの画像検出部の距離差は、前記所定距離の2倍より大きい、
請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
2つの画像検出部を用いて前記像担持体上の画像の傾きを検出する傾き検出部を備え、
前記傾き検出部は、前記2つの画像検出部のうちの少なくとも1つが、前記選択部により選択されない画像検出部である場合、前記画像の傾きを検出しない、
請求項
1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記傾き検出部は、前記選択部の選択結果に基づいて、前記2以上の画像検出部のうち、前記画像の傾きを検出する画像検出部を選択する、
請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像検出部に読み取られるためのパッチ画像を前記像担持体に形成するパッチ画像形成部を備え、
前記パッチ画像形成部は、前記選択部の選択結果に応じて、前記像担持体における前記パッチ画像を形成する位置を変更する、
請求項
1~
4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パッチ画像形成部は、前記選択部の選択結果に基づいて、1つの画像検出部における前記パッチ画像の検出回数が変更されるように、前記像担持体における前記パッチ画像を形成する、
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記2以上の画像検出部は、前記像担持体の搬送方向において同じ位置に配置されている、
請求項1~
6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録媒体は、連続紙である、
請求項1~
7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、中間転写ベルト等の像担持体と対向する位置に画像検出部を設けた構成が知られている。画像検出部は、像担持体に形成される画像を検出する。例えば、特許文献1には、像担持体の幅方向の両端部のそれぞれに対向する2つの画像検出部を有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、像担持体は、記録媒体に画像を転写する転写ニップで記録媒体と接触するが、記録媒体の端部には、塵埃等の異物が付着する場合があるので、像担持体における転写領域の端部に対応する位置には、当該異物が付着しやすい。
【0005】
そのため、当該転写領域の端部に対応する位置に画像検出部が配置されていると、像担持体の付着物(上記の異物)に起因して画像検出部の誤検出が発生するという問題が生じる。特に、タック紙等、複数の層が接着された連続紙が記録媒体である場合、記録媒体の端部からはみ出た糊が像担持体に付着するので、上記問題が顕著に発生する。
【0006】
本発明の目的は、像担持体の付着物に起因する画像検出部の誤検出を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、
記録媒体に転写する画像を担持して転写ニップに向けて前記画像を搬送する像担持体と、
前記像担持体の幅方向における異なる位置に前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体の表面における画像を検出する2以上の画像検出部であって、前記像担持体の前記転写ニップの前記記録媒体との接触位置に対応する転写領域の前記幅方向における中心線に対する距離が異なる位置にそれぞれ配置されている2以上の画像検出部と、
前記転写領域の前記幅方向の端部と、前記画像検出部との前記幅方向の距離が所定距離以内である画像検出部を選択せず、前記距離が所定距離より大きい画像検出部を選択する選択部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、像担持体の付着物に起因する画像検出部の誤検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図3】2つの画像検出部と中間転写ベルトとの対向部分を示す図である。
【
図4】中間転写ベルトに形成されたパッチ画像の一例を示す図である。
【
図5】中間転写ベルトに形成されたパッチ画像の一例を示す図である。
【
図6】中間転写ベルトに形成された傾きパッチ画像の一例を示す図である。
【
図7】画像形成装置における画像検出部の選択制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】3つの画像検出部と中間転写ベルトとの対向部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0011】
画像形成装置1は、
図1において太線で示す連続紙や長尺紙等のタック紙S1または用紙S2(非タック紙)を記録媒体Sとして使用し、記録媒体S上に画像を形成する装置である。タック紙S1は、表面層、接着層および剥離層の3層からなり、例えば、画像形成装置1とは別に構成された給紙装置2から画像形成装置1内に給紙される。
【0012】
図1,2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、記録媒体Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0013】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0014】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20,画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、画像検出部200および制御部101を備える。
【0015】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0016】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(WideArea Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて記録媒体Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0017】
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0018】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0019】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0020】
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0021】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0022】
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0023】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、CまたはKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0024】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414およびドラムクリーニング装置415等を備える。
【0025】
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
【0026】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0027】
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0028】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0029】
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0030】
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0031】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード415A等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
【0032】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。中間転写ベルト421は、本発明の「像担持体」に対応する。
【0033】
中間転写ユニット42は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向の下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写ニップにおけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0034】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0035】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から記録媒体Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0036】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり、一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0037】
その後、記録媒体Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が記録媒体Sに二次転写される。具体的には、バックアップローラー423Bに二次転写バイアスを印加し、記録媒体Sの表面側、つまり、中間転写ベルト421と当接する側にトナーと同極性の電荷を付与することにより、トナー像は記録媒体Sに静電的に転写され、当該記録媒体Sは定着部60に向けて搬送される。
【0038】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成いわゆるベルト方式の二次転写ユニットを採用しても良い。
【0039】
また、中間転写ユニット42における中間転写ベルト421に対向する位置には、画像検出部200が設けられている。画像検出部200の検出結果を画像形成条件(制御部101)にフィードバックすることで、画像形成部40における画像品質を向上、安定させることが可能となる。画像検出部200の詳細については後述する。
【0040】
定着部60は、記録媒体Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、記録媒体Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、記録媒体Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0041】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた記録媒体Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、記録媒体Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材または裏面側支持部材から記録媒体Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
【0042】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラーを有する。
【0043】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙S2は、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙S2の傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙S2の一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。
【0044】
また、給紙装置2から画像形成装置1へ給紙されたタック紙S1は、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像がタック紙S1の一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された記録媒体Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0045】
次に、画像検出部200の詳細について説明する。
図3は、2つの画像検出部200と中間転写ベルト421との対向部分を示す図である。
【0046】
図3に示すように、画像検出部200は、中間転写ベルト421の表面における画像を検出する公知のセンサーであり、中間転写ベルト421の幅方向に並んで2つ設けられている。中間転写ベルト421の幅方向は、中間転写ベルト421の搬送方向と直交する方向であり、中間転写ベルト421の表面と平行な方向である。
図3に示す例では、中間転写ベルト421の幅方向は、
図3における左右方向である。
【0047】
2つの画像検出部200は、中間転写ベルト421の幅方向における異なる位置に中間転写ベルト421に対向してそれぞれ配置されている。具体的には、2つの画像検出部200は、中間転写ベルト421における転写領域Rの幅方向における中心線Cに対する距離が異なる位置にそれぞれ配置されている。
【0048】
転写領域Rは、中間転写ベルト421における転写ニップ、つまり、記録媒体Sとの接触位置に対応する領域である。中心線Cは、転写ニップを通過する記録媒体Sの幅方向の中心が記録媒体Sのサイズに関係なく搬送経路上で略一定となるため、略一定の位置となる。また、中心線Cは、記録媒体Sの幅方向の中心位置に対応する位置を含む微小な範囲内に位置していても良い。
【0049】
2つの画像検出部200は、中心線Cを挟むように配置されている。
図3に示す例では、中心線Cよりも左側の第1画像検出部200Aは、中心線Cよりも右側の第2画像検出部200Bよりも中心線Cから離れた位置に配置されている。つまり、第1画像検出部200Aと中心線Cとの距離L1は、第2画像検出部200Bと中心線Cとの距離L2よりも長くなっている。
【0050】
制御部101は、転写領域Rの幅方向の端部と、画像検出部200との幅方向の距離に基づいて、2つの画像検出部200の中から、中間転写ベルト421の表面における画像を検出する画像検出部200を選択する。制御部101は、本発明の「選択部」に対応する。
【0051】
具体的には、制御部101は、転写領域Rの幅方向の端部と、画像検出部200との幅方向の距離が所定距離以内である画像検出部200を選択せず、当該距離が所定距離より大きい画像検出部200を選択する。
【0052】
転写領域Rの幅方向の端部と、画像検出部200との幅方向の距離は、転写領域Rの幅方向の両端部R1,R2のうち、画像検出部200と近い方の端部と画像検出部200との距離である。R1は、転写領域Rの幅方向の左端部であり、第1画像検出部200Aに近い端部に対応する。R2は、転写領域Rの幅方向の右端部であり、第2画像検出部200Bに近い端部に対応する。
【0053】
具体的には、転写領域Rの幅方向の端部と、第1画像検出部200Aとの幅方向の距離は、R1と第1画像検出部200Aとの距離L3である。また、転写領域Rの幅方向の端部と、第2画像検出部200Bとの幅方向の距離は、R2と第2画像検出部200Bとの距離L4である。
【0054】
所定距離は、記録媒体Sが転写ニップを通過することにより、記録媒体Sの端部から中間転写ベルト421に付着する付着物が存在する可能性がある範囲の距離であり、実験等に基づいて任意に設定可能な距離である。
図3に示す例では、所定距離は、例えばL5に設定されている。また、所定距離は、転写領域Rの端部R1,R2における左右両側にそれぞれ設定される。
【0055】
付着物は、記録媒体Sがタック紙である場合、例えば転写ニップでタック紙がつぶされることにより端部からはみ出す糊等や、当該端部に付着した塵埃等の異物である。また、付着物は、記録媒体Sが用紙である場合、用紙の端部における繊維のほぐれに起因して当該端部に付着する塵埃や紙粉等の異物である。
【0056】
例えば、第1画像検出部200Aが転写領域Rの端部から所定距離以内の位置に配置されており、第2画像検出部200Bが転写領域Rの端部から所定距離より大きい位置に配置されていたとする。
【0057】
この場合、第1画像検出部200Aで検出される画像の検出結果は、付着物の影響を受ける可能性があり、正確に画像を検出できないおそれがある。
【0058】
制御部101は、この場合、第1画像検出部200Aを、画像を検出する画像検出部200として選択せず、第2画像検出部200Bを、画像を検出する画像検出部200として選択する。
【0059】
これにより、第1画像検出部200Aを画像の検出に用いないので、画像検出部200における画像の検出において、中間転写ベルト421の付着物の影響を受けることを抑制することができる。そして、当該付着物の影響を受ける可能性のない位置に配置されている第2画像検出部200Bを画像の検出に用いるので、当該付着物の影響を受けることなく画像の検出を行うことができる。
【0060】
すなわち、本実施の形態では、中間転写ベルト421の付着物に起因する画像検出部200の誤検出を抑制することができる。
【0061】
また、2つの画像検出部200の距離差は、上記の所定距離の2倍より大きくなっている。例えば、制御部101に選択されない画像検出部200における、画像検出部200と中心線Cとの距離は、記録媒体Sの幅をW、所定距離をL5とした場合、(W/2-L5)~(W/2+L5)の範囲内である。制御部101に選択されない画像検出部200の、当該距離の最小値は、(W/2-L5)であるから、少なくとも1つの画像検出部200が制御部101に選択されるためには、当該画像検出部200の当該距離が(W/2-L5)よりも短い、または、(W/2+L5)より長いことが条件となる。
【0062】
そのため、2つの画像検出部200の距離差が、上記の所定距離(L5)の2倍より大きくすることにより、制御部101によって全ての画像検出部200が選択されないことを抑制することができ、画像検出部200による画像検出を確実に、かつ、正確に行うことができる。
【0063】
また、2つの画像検出部200の距離差が、画像形成装置1で使用可能な全種類の記録媒体Sに係る所定距離の2倍より大きくなるように、当該2つの画像検出部200をそれぞれ配置することが好ましい。
【0064】
こうすることで、記録媒体Sの種類によって、2つの画像検出部200の距離差が所定距離の2倍より大きいという条件を満たさなくなることを抑制することができる。
【0065】
また、
図4に示すように、制御部101は、画像検出部200に読み取られるためのパッチ画像を中間転写ベルト421に形成するように画像形成部40を制御する。画像形成部40は、本発明の「パッチ画像形成部」に対応する。
【0066】
具体的には、制御部101は、例えば、2つの画像検出部200に対応する位置にパッチ画像を形成するように画像形成部40を制御する。
【0067】
そして、2つの画像検出部200は、中間転写ベルト421の搬送方向において同じ位置に配置されている。
【0068】
これにより、2つの画像検出部200による画像検出を同じタイミングとすることができるので、例えば、2つのパッチ画像を、2つの画像検出部200のそれぞれに同じタイミングで検出させることができる。その結果、異なる色の2つのパッチ画像の同じタイミングで検出させることができ、画像検出効率を向上させることができる。
【0069】
なお、
図4等における4つのパッチ画像のそれぞれの色は異なる色(例えばY,M,C,Kの何れか)となっている。
【0070】
また、
図5に示すように、制御部101は、選択結果に基づいて、中間転写ベルト421におけるパッチ画像を形成する位置を変更するように、画像形成部40を制御する。
【0071】
例えば、制御部101が第2画像検出部200Bのみを画像を検出する画像検出部200として選択した場合、第1画像検出部200Aでは画像が検出されないので、第1画像検出部200Aに対応する位置に画像を形成する必要がない。
【0072】
そのため、制御部101は、第1画像検出部200Aに対応する位置に形成するためのパッチ画像を、第2画像検出部200Bに対応する位置に形成するように画像形成部40を制御する。
【0073】
つまり、制御部101は、選択結果に基づいて、1つの画像検出部200におけるパッチ画像の検出回数が変更されるように、中間転写ベルト421にパッチ画像を形成するように、画像形成部40を制御する。
図5に示す例では、第2画像検出部200Bの検出回数が2回から4回に変更され、第1画像検出部200Aの検出回数は2回から0回に変更される。
【0074】
このようにすることで、検出するべきパッチ画像の全てを画像検出部200によって確実に検出することができる。
【0075】
また、制御部101は、2つの画像検出部200を用いて中間転写ベルト421上の画像の傾きを検出する制御を行う。制御部101は、本発明の「傾き検出部」に対応する。
【0076】
具体的には、
図6に示すように、制御部101は、傾き検出用の傾きパッチ画像を、2つの画像検出部200のそれぞれに対応する位置に形成するよう、画像形成部40を制御する。そして、制御部101は、2つの画像検出部200のそれぞれにおける傾きパッチ画像の検出タイミングのずれに基づいて、各傾きパッチ画像のずれ量を検出して、中間転写ベルト421上の画像の傾きを検出する。
【0077】
また、制御部101は、2つの画像検出部200の内の少なくとも1つが、画像検出に用いる画像検出部200として選択されないものである場合、画像の傾きを検出する制御を行わない。
【0078】
これにより、中間転写ベルト421の付着物の影響で画像検出部200が誤検出するおそれがある場合、画像の傾きを検出しないので、不正確な画像傾き検出制御を行うことを抑制することができる。
【0079】
以上のように構成された画像形成装置1における画像検出部200の選択制御の動作例について説明する。
図7は、画像形成装置1における画像検出部200の選択制御の動作例を示すフローチャートである。
図7における処理は、例えば、制御部101がパッチ画像を中間転写ベルト421に形成する指令を受け付けた際に適宜実行される。
【0080】
図7に示すように、制御部101は、第1画像検出部200Aが転写領域Rの端部から所定距離以内に位置するか否かについて判定する(ステップS101)。判定の結果、第1画像検出部200Aが所定距離以内に位置しない場合(ステップS101、NO)、制御部101は、第2画像検出部200Bを選択する(ステップS102)。
【0081】
一方、第1画像検出部200Aが所定距離以内に位置する場合(ステップS101、YES)、制御部101は、第2画像検出部200Bが転写領域Rの端部から所定距離以内に位置するか否かについて判定する(ステップS103)。
【0082】
判定の結果、第2画像検出部200Bが所定距離以内に位置しない場合(ステップS103、NO)、制御部101は、第1画像検出部200Aを選択する(ステップS104)。
【0083】
一方、第2画像検出部200Bが所定距離以内に位置する場合(ステップS103、YES)、制御部101は、第1画像検出部200Aおよび第2画像検出部200B(2つの画像検出部200)を選択する(ステップS105)。ステップS104またはステップS105の後、本制御は終了する。
【0084】
以上のように構成された本実施の形態によれば、中間転写ベルト421の付着物に起因する画像検出部200の誤検出を抑制することができる。
【0085】
また、2つの画像検出部200の距離差が所定距離の2倍より大きいので、制御部101によって画像検出部200が選択されないことを抑制することができ、画像の検出を確実に、かつ、正確に行うことができる。
【0086】
また、タック紙のような連続紙はロール状に構成された状態で、給紙装置2に配置されるが、このような連続紙は、幅方向の端部の面を接地させた状態で保管されることが多いため、異物が端部に付着しやすい。
【0087】
本実施の形態では、このような連続紙が用いられても、当該端部に対応する転写領域Rに近接する位置に画像検出部200が設けられても、別の画像検出部200で画像を検出可能である。その結果、画像の誤検出をさらに抑制し、ひいては画像の検出を正確に行うことができる。
【0088】
なお、上記実施の形態では、画像検出部200が2つ設けられていたが、本発明はこれに限定されず、2つ以上設けられていれば良い。例えば、
図8に示すように、画像検出部200が、第1画像検出部200Aおよび第2画像検出部200Bに加えて第3画像検出部200Cを有していても良い。
【0089】
第3画像検出部200Cは、中心線Cよりも左側(第1画像検出部200A側)に設けられており、中心線Cとの距離L6が、第2画像検出部200Bと中心線Cとの距離L2よりも小さい位置に配置されている。
【0090】
ここで、パッチ画像を中間転写ベルト421に形成して画像検出部200によりパッチ画像を検出する際、第1画像検出部200Aおよび第2画像検出部200Bを用いてパッチ画像を検出する設定であったとする。
【0091】
例えば、3つの画像検出部200のうち、第1画像検出部200Aのみが、画像検出に用いる画像検出部200として選択されなかったとする。この場合、制御部101は、選択結果に応じて、中間転写ベルト421におけるパッチ画像を形成する位置を変更する。具体的には、制御部101は、第2画像検出部200Bおよび第3画像検出部200Cに対応する位置にパッチ画像を形成するよう画像形成部40を制御する。
【0092】
これにより、使用可能な画像検出部200を有効に活用することができ、また、パッチ画像の検出回数を全体として削減することができる。
【0093】
また、傾きパッチ画像を中間転写ベルト421に形成して画像検出部200を用いて中間転写ベルト421上の画像の傾きを検出する場合、制御部101は、選択結果に基づいて、画像の傾きを検出する画像検出部200を選択する。
【0094】
例えば、3つの画像検出部200のうち、第1画像検出部200Aのみが画像検出に用いる画像検出部200として選択されなかった場合、制御部101は、画像の傾きを検出する画像検出部200として、第2画像検出部200Bおよび第3画像検出部200Cを選択する。
【0095】
こうすることで、確実に画像の傾きを検出することができる。
【0096】
また、制御部101は、各画像検出部200の距離に基づいて画像の傾きを検出する画像検出部200を選択する。具体的には、制御部101は、3つの画像検出部200のうち、最も距離が遠い2つの画像検出部200を選択する。
図8に示す例では、第1画像検出部200Aおよび第2画像検出部200Bが選択されることとなる。
【0097】
こうすることで、傾きパッチ画像のずれ量を検出しやすくすることができ、画像の傾きの検出精度を向上させることができる。
【0098】
また、上記実施の形態では、制御部101が選択部および傾き検出部を構成していたが、本発明はこれに限定されず、制御部とは別に選択部および傾き検出部がそれぞれ設けられていても良い。また、傾き検出を行う必要がない場合は、傾き検出部を設けなくても良い。
【0099】
また、上記実施の形態では、2つの画像検出部200が中心線Cを挟んでいたが、本発明はこれに限定されず、中心線Cに対して一方側のみに全ての画像検出部が配置されていても良い。
【0100】
また、上記実施の形態では、転写領域Rの内側に画像検出部200が設けられていたが、本発明はこれに限定されず、転写領域Rの外側に画像検出部が設けられていても良い。
【0101】
また、上記実施の形態では、2つの画像検出部200が、中間転写ベルト421の搬送方向において同じ位置に配置されていたが、本発明はこれに限定されず、同じ位置に配置されていなくても良い。
【0102】
また、上記実施の形態では、中間転写ベルト421を像担持体として例示したが、本発明はこれに限定されず、転写ニップに向けて画像を搬送する像担持体である限り、中間転写ベルト以外の像担持体でも良い。また、中間転写ベルトのように、転写ニップで記録媒体と接触する像担持体だけでなく、例えば
図1に示す感光体ドラム等、転写ニップで中間転写ベルトを介して、間接的に記録媒体と接触する像担持体であっても良い。
【0103】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 画像形成装置
40 画像形成部
101 制御部
200 画像検出部
200A 第1画像検出部
200B 第2画像検出部
421 中間転写ベルト
C 中心線
R 転写領域