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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/14 20060101AFI20240416BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F26B17/14 B
F26B25/00 Z
F26B17/14 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020098688
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021191987
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】今戸 健太郎
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-101374(JP,A)
【文献】実開平04-120595(JP,U)
【文献】特開昭62-069085(JP,A)
【文献】特開平05-045054(JP,A)
【文献】実開昭50-070079(JP,U)
【文献】特開昭60-207891(JP,A)
【文献】特開2019-113255(JP,A)
【文献】特開昭63-302283(JP,A)
【文献】実開平07-041388(JP,U)
【文献】実開昭51-018261(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0299263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
F26B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設してなる穀物乾燥機であって、該穀物乾燥機の制御部には、乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に機内に残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた穀物乾燥機において、
乾燥機に張込む穀物の品種銘柄を入力設定する入力設定部と、前記入力設定部に今回入力設定した品種銘柄と前回入力設定した品種銘柄とを比較する比較部を設け、前記比較部での比較の結果、これら両品種銘柄が相違する場合、前記制御部は、今回入力設定した品種銘柄の穀物の張込運転前に前記自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行うよう構成したことを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項2】
さらに、穀物の品種銘柄を登録する登録部を設け、前記入力設定部への前記品種銘柄の入力設定を前記登録部にあらかじめ登録された複数の品種銘柄から選択して行う請求項記載の穀物乾燥機。
【請求項3】
前記入力設定部への前記品種銘柄の入力設定を通信手段を通じて行う請求項1又は2記載の穀物乾燥機。
【請求項4】
前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面とし、前記多孔壁面に当接して長尺状の送風箱を設けるとともに前記送風箱内部に送風するファンを設ける一方、前記多孔壁面は、前記ファンによる送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に噴風する傾斜スリットとなし、前記自動清掃運転は、前記傾斜スリットからの噴風により前記コンベアケース内に残留する穀物を前記バケットエレベータ側へ向けて搬送する請求項1乃至のいずれかに記載の穀物乾燥機。
【請求項5】
前記バケットエレベータの底部には、前記底部に残留する穀物を前記バケットエレベータの内部上方に巻き上げるエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記バケットエレベータの底部に設けた前記エアノズルからの噴風により前記バケットエレベータの底部に残留する穀物を巻き上げてバケットで回収し機外へ排出する請求項1乃至のいずれかに記載の穀物乾燥機。
【請求項6】
前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータを接続する接続樋の底部にエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記接続樋の底部に設けた前記エアノズルからの噴風により前記接続樋の内部に残留する穀物を前記バケットエレベータ側へ向けて搬送する請求項1乃至のいずれかに記載の穀物乾燥機。
【請求項7】
前記接続樋に透明窓を設けるとともに当該接続樋の内部を照明する光源を設ける請求項記載の穀物乾燥機。
【請求項8】
前記バケットエレベータから排出される乾燥後の穀物をさらに次工程へ向けて搬出するスロワを設け、前記スロワは、前記乾燥後の穀物を受け入れるスクリュー部と、前記スクリュー部から搬送されてきた前記乾燥後の穀物を搬出するスロワ部を有しており、
前記スクリュー部における前記乾燥後の穀物の搬送方向上流側にエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記乾燥後の穀物の搬送方向上流側に設けた前記エアノズルからの噴風により前記スクリュー部内に残留する穀物を前記スロワ部に搬送し次工程へ向けて搬出する請求項1乃至のいずれかに記載の穀物乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀物乾燥機に係り、特に、自動清掃運転モードを備えた穀物乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の穀物乾燥機においては、乾燥運転終了後に乾燥機内部に残留する穀粒や塵埃を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えたものが特許文献1等で周知である。この自動清掃運転により機内の残留穀物が減ることにより、同じ籾米であっても品種銘柄が異なる原料穀物を続けて乾燥する場合、異なる品種銘柄どうしが混じり合うことがないという利点がある。
【0003】
しかしながら、次回乾燥する穀物が前回と同一品種銘柄であったり、前回と同一圃場から収穫した穀物である場合までも、乾燥終了ごとに清掃することは必ずしも必要とされず、その場合はむしろ、乾燥作業の遅延を招く恐れがある。また、前記自動清掃運転は、排風ファンによって比較的軽微な塵埃は除去できるが、スクリューコンベアやバケットエレベータ等の底部に残留する穀粒は完全に排出できず、より完璧を期すためには、人手によりエアーガンや箒で機体内部の残留穀粒を排出する必要があった(特許文献1の[0038]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-61521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、いたずらに乾燥作業を遅延させることなく穀物の乾燥作業において異品種銘柄どうしが混入することのない自動清掃運転モードを備えた穀物乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設してなる穀物乾燥機であって、該穀物乾燥機の制御部には、乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に機内に残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた穀物乾燥機において、
前記制御部は、今回張込む穀物の品種銘柄と前回張込んだ穀物の品種銘柄が相違する場合、穀物の張込運転前に前記自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行うよう構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明は、
乾燥機に張込む穀物の品種銘柄を入力設定する入力設定部と、前記入力設定部に今回入力設定した品種銘柄と前回入力設定した品種銘柄とを比較する比較部を設け、前記比較部での比較の結果、これら両品種銘柄が相違する場合、前記制御部は、今回入力設定した品種銘柄の穀物の張込運転前に前記自動清掃運転を行
【0008】
本発明は、
さらに、穀物の品種銘柄を登録する登録部を設け、前記入力設定部への前記品種銘柄の入力設定を前記登録部にあらかじめ登録された複数の品種銘柄から選択して行うことが好ましい。
【0009】
また、本発明は、
前記入力設定部への前記品種銘柄の入力設定を通信手段を通じて行うことが好ましい。
【0010】
本発明は、
前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面とし、前記多孔壁面に当接して長尺状の送風箱を設けるとともに前記送風箱内部に送風するファンを設ける一方、前記多孔壁面は、前記ファンによる送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に噴風する傾斜スリットとなし、前記自動清掃運転は、前記傾斜スリットからの噴風により前記コンベアケース内に残留する穀物を前記バケットエレベータ側へ向けて搬送することが好ましい。
【0011】
本発明は、
前記バケットエレベータの底部には、前記底部に残留する穀物を前記バケットエレベータの内部上方に巻き上げるエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記エアノズルからの噴風により前記バケットエレベータの底部に残留する穀物を巻き上げてバケットで回収し機外へ排出することが好ましい。
【0012】
本発明は、
前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータを接続する接続樋の底部にエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記エアノズルからの噴風により前記接続樋の内部に残留する穀物を前記バケットエレベータ側へ向けて搬送することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、
前記接続樋に透明窓を設けるとともに内部を照明するLED等の光源を設けることが好ましい。
【0014】
本発明は、
前記バケットエレベータから排出される乾燥後の穀物をさらに次工程へ向けて搬出するスロワを設け、前記スロワは、前記乾燥後の穀物を受け入れるスクリュー部と、前記スクリュー部から搬送されてきた前記乾燥後の穀物を搬出するスロワ部を有しており、
前記スクリュー部における前記乾燥後の穀物の搬送方向上流側にエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記搬送方向上流側に設けた前記エアノズルからの噴風により前記スクリュー部内に残留する穀物を前記スロワ部に搬送し次工程へ向けて搬出することが好ましい。
【0015】
本発明は、
前記バケットエレベータの上部吐出口から排出される乾燥後の穀物をさらに次工程へ向けて搬出するスロワを設け、前記スロワは、前記乾燥後の穀物を受け入れるスクリュー部と、前記スクリュー部から搬送されてきた前記乾燥後の穀物を搬出するスロワ部を有し、前記スクリュー部にはスロワスクリューケースに受け入れた前記乾燥後の穀物を前記スロワ部へ搬送するスクリュー、前記スロワ部には前記スクリュー部からスロワケースへ搬送されてきた前記乾燥後の穀物を揚穀し次工程へ向けて搬出するスロワ羽根車が設けられており、
前記スクリュー部における前記スロワスクリューケースの前記乾燥後の穀物の搬送方向上流側にエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記搬送方向上流側に設けた前記エアノズルからの噴風により前記スクリュー部の前記スロワスクリューケース内に残留する穀物を前記スロワ部の前記スロワケースに搬送し、前記スロワ羽根車により次工程へ向けて搬出することが好ましい。
【0016】
本発明は、
前記エアノズルを前記スロワスクリューケースの上流端側の側面に底部形状に沿って複数個設けることが好ましい。また、前記エアノズルからは断続的に噴風することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、制御部が、今回張込む穀物の品種銘柄と前回張込んだ穀物の品種銘柄が相違する場合、穀物の張込運転前に自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行うよう構成したことで、品種銘柄が前回と異なる場合のみ自動清掃運転を行うので、毎回、清掃する場合に比して乾燥作業効率を低下させずに異品種銘柄どうしの混入事故を防ぐことができる。
【0018】
本発明は、穀物の品種銘柄を登録する登録部を設け、入力設定部への前記品種銘柄の入力設定を前記登録部にあらかじめ登録された複数の品種銘柄から選択して行うこととすれば、乾燥機への穀物の張込みの都度タッチパネル等によって入力設定する手間が省けるとともに入力設定のミスも防げる。
【0019】
本発明は、インターネット等により監視可能な穀物乾燥機の場合、前記品種銘柄の入力設定を通信手段を通じて行うこととすれば、遠隔地から携帯端末等により入力設定することが可能となる。
【0020】
そして、本発明は、下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面とし、前記多孔壁面に当接して長尺状の送風箱を設けるとともに前記送風箱内部に送風するファンを設ける一方、前記多孔壁面は、前記ファンによる送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に噴風する傾斜スリットとなし、前記自動清掃運転は、前記傾斜スリットからの噴風により前記コンベアケース内に残留する穀物をバケットエレベータ側へ向けて搬送することとすれば、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
【0021】
また、前記バケットエレベータの底部には、前記底部に残留する穀物を前記バケットエレベータの内部上方に巻き上げるエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記エアノズルからの噴風により前記バケットエレベータの底部に残留する穀物を巻き上げてバケットで回収し機外へ排出することとすれば、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
【0022】
さらに、前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータを接続する接続樋の底部にエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記エアノズルからの噴風により前記接続樋の内部に残留する穀物を前記バケットエレベータ側へ向けて搬送することとすれば、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
【0023】
前記接続樋に透明窓を設けるとともに内部を照明するLED等の光源を設けることとすれば、前記透明窓から前記接続樋の内部に残留する穀物の清掃状態を視認して確認することができる。
【0024】
本発明は、前記バケットエレベータから排出される乾燥後の穀物をさらに次工程へ向けて搬出するスロワを設け、前記スロワは、前記乾燥後の穀物を受け入れるスクリュー部と、前記スクリュー部から搬送されてきた前記乾燥後の穀物を搬出するスロワ部を有しており、
前記スクリュー部における前記乾燥後の穀物の搬送方向上流側にエアノズルを設け、前記自動清掃運転は、前記搬送方向上流側に設けた前記エアノズルからの噴風により前記スクリュー部内に残留する穀物を前記スロワ部に搬送し次工程へ向けて搬出することとすれば、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
【0025】
前記エアノズルを前記スロワスクリューケースの上流端側の側面に底部形状に沿って複数個設けることとすれば、清掃性を向上させることができる。
【0026】
また、前記エアノズルから断続的に噴風することとすれば、連続的に噴風する場合に比べ清掃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施態様における穀物乾燥機の全体斜視図である。
図2図1の穀物乾燥機の正面断面図である。
図3】操作部の初期画面の一例の説明図である。
図4】穀物の品位銘柄を登録する一例の説明図である。
図5】下部スクリューコンベアの正面断面図である。
図6】下部スクリューコンベアのコンベアケース底面の平面図である。
図7図6のA-A断面図である。
図8】下部スクリューコンベアの搬送終端部とバケットエレベータの供給口とを連絡する接続樋の断面図である。
図9】スロワの概略側面断面図である。
図10図9のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施態様における穀物乾燥機の全体斜視図を示す。図2図1の穀物乾燥機の正面断面図を示す。
本発明の実施態様における穀物乾燥機1は、下部の穀物乾燥部3と該穀物乾燥部3に上載する穀物貯留部2とからなり、前記穀物乾燥部3内部には中央部に、前後方向にわたって熱風室4が形成され、該熱風室4の両側には該熱風室4を挟んで一対の排風室5を設け、これら熱風室4と排風室5との間に、その上部を前記穀物貯留部2と接続する一対の穀物乾燥室6を形成する。前記熱風室4の前端面は熱風発生装置としてのバーナ(図示せず)に接続され、前記バーナによって生成される熱風が前記熱風室4内に供給される。前記穀物乾燥室6は多孔壁(スクリーン)によって形成され、前記熱風室4内の熱風が前記穀物乾燥室6を通過して前記排風室5内に流入し、後述する排風機によって機外へ排風されるよう構成される。
【0029】
前記穀物乾燥部3の前面壁には前記バーナを内蔵するバーナボックス8を配設する一方、前記穀物乾燥部3の背面壁には前記排風室5の後端面の一対の排風口14を覆うようにファンボックス15を設け、該ファンボックス15の中央部には排風機(図示せず)を取り付ける。また、前記バーナボックス8内には、制御部を内蔵するコントロールボックス(図示せず)を収納し、その前面側のカバー体8aには前記コントロールボックスと電気的に接続された液晶タッチパネル等からなる操作部7が設けられる。
【0030】
前記バーナボックス8の一側に近接してバケットエレータ9を立設する。該バケットエレベータ9は、前記穀物乾燥室6を通過した穀物を前記穀物貯留部2内に揚穀するものである。
前記穀物乾燥室6の下端部には該穀物乾燥室6内の穀物を順次流下させるために間歇駆動するロータリバルブ11が横設され、前記穀物乾燥部3の底部には前記ロータリバルブ11から落下する穀物を受ける集穀ホッパ12を設け、該集穀ホッパ12の中央部には下部スクリューコンベア13を横設する。該下部スクリューコンベア13の搬送終端部と前記バケットエレベータ9の供給口との間にはこれらを連絡する接続樋10を設ける。
【0031】
前記バケットエレベータ9の上部には該バケットエレベータ9を駆動するためのモータ9aを設けるとともに、その吐出部は、切換弁(図示せず)の切換えによって、前記穀物貯留部2の天板部に横設する上部スクリューコンベア19、又は機外への排出部(図示せず)に接続される。該上部スクリューコンベア19の搬送終端部には穀物を前記穀物貯留部2内に均等に投入するための回転分散盤16が回転可能に垂設される。
【0032】
図3は操作部の初期画面の一例の説明図を示す。図4は穀物の品位銘柄を登録する一例の説明図を示す。
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、あらかじめ乾燥させる穀物の品種銘柄を記憶して登録する登録部を備える。
乾燥機の運転停止中、図3に示すように、前記操作部7においてタッチパネル7aの初期画面に表示される「張込」ボタン22aを選択すると、前記タッチパネル7aには、図4の左列に示すように「穀物種類設定」画面が表示される。
【0033】
次に、「穀物種類設定」画面において穀物の種類を選択する。ここでは「もみ」を選択する。
前記「穀物種類設定」画面において「もみ」を選択すると、前記タッチパネル7aには「品種銘柄選択」画面が表示される。ここでは、初期設定のため「品種銘柄選択」画面の各欄は空白となっている。
【0034】
そして、「品種銘柄登録」画面に進み、「もみ」の品種銘柄を登録する。ここでは、前記タッチパネル7aで「コシヒカリ」と入力した後に「登録」ボタンを選択し、前記登録部に「もみ」の品種銘柄「コシヒカリ」を登録する。
その後、前記タッチパネル7aに表示された「品種銘柄選択」画面には、前記登録部に登録された「もみ」の品種銘柄が表示される。ここでは前記登録部に登録済の「もみ」の品種銘柄が2件表示されている。
【0035】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、インターネット等により監視可能な仕様とし、インターネット等の通信手段を通じて携帯端末等により遠隔地から前記穀物の品種銘柄を登録することもできる。
前記携帯端末等により穀物の品種銘柄を登録する場合、図4の右列に示すように、例えば複数の乾燥機毎に前記品種銘柄を登録することができる。
まず、携帯端末等の操作画面に表示された「乾燥機選択」画面において、穀物の品種銘柄を登録する乾燥機を選択する。ここでは「1号機」を選択する。
【0036】
前記「乾燥機選択」画面において「1号機」を選択すると、次に、「品種銘柄選択」画面が表示される。ここでは、初期設定のため「品種銘柄選択」画面の各欄は空白となっている。
そして、「品種銘柄入力」画面に進み、穀物の品種銘柄を登録する。ここでは、「もみ」の品種銘柄を登録することとして「コシヒカリ」と入力し、「入力完了」ボタンを選択して前記通信手段を通じて前記穀物乾燥機の「1号機」に送信し、前記「1号機」の登録部に「もみ」の品種銘柄を登録する。
【0037】
なお、ここでは、「穀物種類設定」画面は省略したが、「穀物種類設定」画面において穀物の種類を選択することができる。また、前記通信手段を通じて各穀物乾燥機の登録部に穀物の品種銘柄を登録した後は、前記「品種銘柄選択」画面には前記登録部に登録済の品種銘柄が表示される。
【0038】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、前記制御部に乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に機内に残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備える。
また、前記穀物乾燥機1は、張込む穀物の品種銘柄を入力設定する入力設定部と、前記入力設定部に今回入力設定した品種銘柄と前回入力設定した品種銘柄とを比較する比較部を備える。
【0039】
作業者は、穀物の張込み運転に先立ち、図3に示すタッチパネル7aの初期画面に表示される「張込」ボタン22aを選択し、前記穀物乾燥機1に今回張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定する。その際、あらかじめ前記登録部に登録されているものであれば、前記タッチパネル7aに表示される前記「品種銘柄選択」画面から選択して前記入力設定部に入力設定することができる。また、前記登録部に登録されていなければ、前記「品種銘柄登録」画面から新たに品種銘柄を入力することで前記入力設定部に入力設定することができる。前記「品種銘柄登録」画面から新たに入力した品種銘柄は前記登録部に選択的に登録できることとし、登録した場合には前記「品種銘柄選択」画面から選択して前記入力設定部に入力設定することとしてもよい。
【0040】
乾燥機に張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定した後は、前記比較部は前記入力設定部に今回入力設定した品種銘柄と前回入力設定した品種銘柄とを比較する。そして、前記比較部での比較の結果、これら両品種銘柄が相違する場合、前記制御部は、穀物の張込運転前に前記自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行う。
【0041】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、乾燥させる穀物の品種銘柄が切り替わるタイミングで自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行うので、毎回、清掃する場合に比して乾燥作業効率を低下させずに異品種銘柄どうしの混入事故を防ぐことができる。
【0042】
また、乾燥機に張込む穀物の品種銘柄の前記入力設定部への入力設定を、前記登録部にあらかじめ登録された複数の品種銘柄から選択して行うことができるので、タッチパネル7a等によって入力する手間が省けるとともに入力ミスも防げる。
【0043】
さらに、インターネット等により監視可能な仕様とし、インターネット等の通信手段を通じて携帯端末等により前記操作部7にアクセスできることとした場合、乾燥機に張込む穀物の品種銘柄を遠隔地から前記入力設定部に入力設定することが可能となり利便性が向上する。
【0044】
携帯端末等により前記操作部7にアクセスできることとした場合には、ユーザーは、穀物の品種銘柄に加え、GPS情報、刈り取り予定日時等を含む圃場データを乾燥機に登録可能とすることもできる。また、刈り取り時や刈り取った穀物を輸送するタイミングで、張込み先の乾燥機を選択し張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定することもできる。
【0045】
なお、前記携帯端末等により前記穀物乾燥機1の排出運転中のタイミングで次回張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定した場合には、前記比較部は、現在乾燥機から排出中の穀物であって前記入力設定部に前回入力設定した品種銘柄と比較し、これら両品種銘柄が相違する場合には、例えば自動水分計による穀物測定数が所定数以下(例えば4分間で5粒以下)となったとき、乾燥後の穀物の排出が完了したものと判断して前記自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行うものとすることができる。
【0046】
また、前記携帯端末等により前記穀物乾燥機1の乾燥運転中のタイミングで次回張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定した場合には、前記比較部は、現在乾燥機で乾燥中の穀物であって前記入力設定部に前回入力設定した品種銘柄と比較し、これら両品種銘柄が相違する場合には、例えば自動水分計により穀物の乾燥を検知して排出運転に移行した後は、上記と同様に、例えば自動水分計による穀物測定数が所定数以下(例えば4分間で5粒以下)となったとき、乾燥後の穀物の排出が完了したものと判断して前記自動清掃運転を行うものとすることができる。
【0047】
図5は下部スクリューコンベアの正面断面図を示す。図6は下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を側方からみた平面図を示す。図7図6のA-A断面図であって下部スクリューコンベアのコンベアケース底面の側面断面図を示す。
前記下部スクリューコンベア13のコンベアケース31の底面32は多孔壁面とし、前記多孔壁面の下面に当接して長尺状の送風箱33を設ける一方で、前記送風箱33の内部に送風するファン(図示せず)を設ける。ここでは、側方から前記送風箱33にエアを送風する例を示している。前記多孔壁面は、前記ファンによる送風が該下部スクリューコンベア13の搬送方向に噴風する傾斜スリット34とする。
【0048】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、前記自動清掃運転によって、前記傾斜スリット34からの噴風により前記コンベアケース31内に残留する穀物を前記接続樋10及び前記バケットエレベータ9側へ向けて搬送することができるので、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
【0049】
図8は下部スクリューコンベアの搬送終端部とバケットエレベータの供給口とを連絡する接続樋の断面図を示す。
前記下部スクリューコンベア13と前記バケットエレベータ9を接続する接続樋10の底部には、前記接続樋10の底部に残留する穀物を前記バケットエレベータ9側へ向けて搬送するエアノズル36を設ける。
また、前記バケットエレベータ9の底部には、前記底部に残留する穀物を前記バケットエレベータ9の内部上方に巻き上げるエアノズル38を設ける。
【0050】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、前記自動清掃運転によって、前記接続樋10の底部に残留する穀物を前記エアノズル36からの噴風により前記バケットエレベータ9に向けて送ることができるので、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
また、本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、前記自動清掃運転によって、前記エアノズル38からの噴風により前記バケットエレベータ9の底部に残留する穀物を巻き上げてバケットで回収し機外へ排出することができるので、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
【0051】
なお、前記接続樋10に透明窓(図示せず)を設けるとともに内部を照明するLED等の光源を設けることとすれば、前記透明窓から前記接続樋10の内部に残留する穀物の清掃状態を視認して確認することができる。
【0052】
図9はスロワの概略側面断面図を示す。図10図9のB-B断面図であってスロワ部の概略正面断面図を示す。
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、機体の上部側面に乾燥後の穀物を次工程へ向けて搬出するスロワ40を設け、前記切換弁(図示せず)の切換えにより、前記バケットエレベータ9の吐出部を前記スロワ40に接続することができる。
【0053】
前記スロワ40は乾燥後の穀物を受け入れるスクリュー部41と、前記乾燥後の穀物を搬出するスロワ部46を有する。前記スクリュー部41にはホッパ状のスロワスクリューケース42と、前記スロワスクリューケース42に受入れた前記乾燥後の穀物を前記スロワ部46へ搬送するスロワスクリュー43を設ける。
また、前記スロワ部46には断面略円形のスロワケース47と、前記スクリュー部41から前記スロワケース47に搬送されてきた前記穀物を揚穀し次工程へ向けて搬出するスロワ羽根車48を設ける。
そして、前記スクリュー部41における前記スロワスクリューケース42の前記乾燥後の穀物の搬送方向上流側の側面にエアノズル44を設ける。
【0054】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、前記自動清掃運転によって、前記エアノズル44からの噴風により前記スクリュー部41の前記スロワスクリューケース42内に残留する穀物を前記スロワ部46の前記スロワケース47に搬送し、前記スロワ羽根車48により次工程へ向けて搬出することができるので、機内に残留する穀物を人手を介することなく自動で排出することが可能となる。
【0055】
ここで、前記エアノズル44は、前記スロワスクリューケース42の前記搬送方向上流側の側面に前記スロワスクリューケース42の底部形状に沿って複数個、例えば3個設けることができる。
前記エアノズル44を前記スロワスクリューケース42の前記搬送方向上流側の側面に前記底部形状に沿って複数個設けることとすれば、清掃性を向上させることができる。
【0056】
また、前記エアノズル44からは、例えば3秒間隔で1分間、断続的に噴風することできる。
前記エアノズル44から断続的に噴風することとすれば、連続的に噴風する場合に比べ清掃性を向上させることができる。
【0057】
上記本発明の実施形態において、前記穀物乾燥機1は、前記自動清掃運転によって、前記下部スクリューコンベア13、前記接続樋10、前記バケットエレベータ9、及び前記スロワ40に残留する穀物を自動で排出可能とすることを例としたが、これに限定されるものでなく、他の構成部位についても自動清掃することができる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、乾燥作業を遅延させることなく、籾米等の穀物の乾燥作業において異品種銘柄どうしが混入することのない自動清掃運転モードを備えた穀物乾燥機を提供するものであり、極めて有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 穀物乾燥機
2 穀物貯留部
3 穀物乾燥部
4 熱風室
5 排風室
6 穀物乾燥室
7 操作部
7a タッチパネル
8 バーナボックス
8a カバー体
9 バケットエレベータ
9a モータ
10 接続樋
11 繰出バルブ
12 集穀ホッパ
13 下部スクリューコンベア
14 排風口
15 ファンボックス
16 回転分散盤
17 排風ファン
19 上部スクリューコンベア
22 運転選択ボタン
22a 張込ボタン
31 コンベアケース
32 底面
33 送風箱
34 傾斜スリット
36 エアノズル
38 エアノズル
40 スロワ
41 スクリュー部
42 スロワスクリューケース
43 スロワスクリュー
44 エアノズル
46 スロワ部
47 スロワケース
48 スロワ羽根車

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10