(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】加工システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/08 20060101AFI20240416BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B23Q11/08 Z
B23Q11/00 N
(21)【出願番号】P 2020114386
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 悠生
(72)【発明者】
【氏名】松井 貴史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 寿一
(72)【発明者】
【氏名】森田 徹
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-107099(JP,A)
【文献】実開昭55-165743(JP,U)
【文献】特開2000-187095(JP,A)
【文献】特開平11-114767(JP,A)
【文献】独国実用新案第202007018592(DE,U1)
【文献】特開昭63-89249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00 - 11/08
B23Q 7/00
E06B 3/48
E06B 3/90 - 3/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物を加工位置に搬送して加工する加工システムであって、
前記工作物を所定位置と第1の搬入出位置との間で第1の方向に沿って移動させる第1の移動装置と、
前記工作物を前記所定位置と第2の搬入出位置との間で前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の移動装置と、
前記加工位置に搬送された前記工作物を加工する工作機械と、
前記加工位置及び前記所定位置を外部から遮蔽する遮蔽部とを備え、
前記遮蔽部は、前記所定位置と前記第1及び第2の搬入出位置との間に設けられた開口部を有する遮蔽体と、前記開口部を開閉する開閉扉と、前記開閉扉を駆動する駆動装置とを有し、
前記駆動装置は、前記開閉扉を鉛直方向の回転軸を中心として回動させるものであり、
前記開閉扉は、前記回転軸を中心とする扇状の天井部と、前記天井部の外縁から下方に延在する側板部とを有し、
前記開閉扉の回転位置により、前記開口部の少なくとも一部が開放されて前記所定位置と前記第1の搬入出位置又は前記第2の搬入出位置との間で前記工作物の移動が可能な開放状態と、前記開口部が閉塞された閉塞状態とが切り替わる、
加工システム。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記第1の移動装置によって前記工作物を移動させる際には前記第1の方向への前記工作物の移動が可能な第1の角度に前記開閉扉を回転させ、前記第2の移動装置によって前記工作物を移動させる際には前記第2の方向への前記工作物の移動が可能な第2の角度に前記開閉扉を回転させ、前記工作物を加工する際には前記開口部を閉塞する第3の角度に前記開閉扉を回転させる、
請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記天井部の下側に、前記側板部の内面に掛ける液体を流す配管が配置されており、
前記工作物の加工時に前記側板部に飛散した切粉が前記内面に掛けられた前記液体によって流される、
請求項1又は2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記開閉扉と一体に回転する駆動軸と、前記駆動軸を回転させる駆動力を発生するモータとを備え、
前記駆動軸は、中心部に中空部が形成された中空筒状であり、前記中空部から前記配管に前記液体が供給される、
請求項3に記載の加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物を加工位置に搬送して加工する加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パレットに搭載された工作物を加工する工作機械と、パレット及び工作物を搬入出する複数の搬入出装置とを備えた加工システムがある。特許文献1には、パレットをZ軸方向に水平移動させるワークテーブルと、ワークテーブル上で工作物を鉛直方向の回転軸線を中心として回転させることが可能な回転テーブルと、Z軸方向に対して水平方向の一方側に傾斜した第1の方向にパレットを移動させる第1のパレット搬入出装置と、Z軸方向に対して水平方向の他方側に傾斜した第2の方向にパレットを移動させる第2のパレット搬入出装置とを備えたマシニングセンタが記載されている。この特許文献1に記載のマシニングセンタは、その
図2に示された作業者の大きさとの対比からも認識されるように、コラム高さが人間の背丈ほどの加工機によって加工を行う大型のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作物を加工する際には、切粉やクーラントが飛散するので、マシニングセンタには、加工中の工作物を囲うようにカバーが設けられる。また、上記のように第1及び第2のパレット搬入出装置を有して構成されたマシニングセンタでは、工作物の加工と、加工中の工作物の次以降に加工される工作物の段取り作業とを並行して行えるように、工作機械によって工作物の加工が行われる区域と第1及び第2のパレット搬入出装置が配置される区域とを扉によって区画することが考えられる。この場合、例えば平板状の昇降扉を用いて上記両区域を区画することとすれば、昇降扉の横方向の幅が長くなって重量が増大し、昇降扉を上下動させるアクチュエータの負荷が増大すると共に、マシニングセンタの製造工場と当該マシニングセンタが使用される工場との間での昇降扉の運搬も困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、工作機械と、工作物を第1の方向に沿って移動させる第1の移動装置と第2の方向に移動させる第2の移動装置とを備えた加工システムにおいて、工作機械と第1及び第2の移動装置との間に配置される扉を小型化することが可能な加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、工作物を加工位置に搬送して加工する加工システムであって、前記工作物を所定位置と第1の搬入出位置との間で第1の方向に沿って移動させる第1の移動装置と、前記工作物を前記所定位置と第2の搬入出位置との間で前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の移動装置と、前記加工位置に搬送された前記工作物を加工する工作機械と、前記加工位置及び前記所定位置を外部から遮蔽する遮蔽部とを備え、前記遮蔽部は、前記所定位置と前記第1及び第2の搬入出位置との間に設けられた開口部を有する遮蔽体と、前記開口部を開閉する開閉扉と、前記開閉扉を駆動する駆動装置とを有し、前記駆動装置は、前記開閉扉を鉛直方向の回転軸を中心として回動させるものであり、前記開閉扉は、前記回転軸を中心とする扇状の天井部と、前記天井部の外縁から下方に延在する側板部とを有し、前記開閉扉の回転位置により、前記開口部の少なくとも一部が開放されて前記所定位置と前記第1の搬入出位置又は前記第2の搬入出位置との間で前記工作物の移動が可能な開放状態と、前記開口部が閉塞された閉塞状態とが切り替わる、加工システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る加工システムによれば、第1及び第2の移動装置によって移動する工作物の所定位置と第1及び第2の搬入出位置との間に配置される扉を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る加工システムを上方から見た概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、
図1乃至
図7を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、以下の説明において「上」「下」とは、鉛直方向の上下をいうものとする。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る加工システムを鉛直方向上方から見た概略構成図である。
図2乃至
図4は、開閉扉の回転方向の角度が異なる三つの状態を示す加工システムの斜視図である。
図5及び
図6は、開閉扉の斜視図である。
図1では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を示しており、このうちX軸及びZ軸が水平方向であり、Y軸が鉛直方向である。この加工システム1は、特に一辺が例えば1mを超えるような大きさの矩形状のパレット11に搭載された大型の工作物(ワーク)12を加工するために好適に用いられる。
【0011】
加工システム1は、パレット11に搭載された工作物12を加工位置101に搬送して機械加工を行う。
図1では、加工位置101におけるパレット11及び工作物12を仮想線(二点鎖線)で示している。この加工システム1は、工場の床面に設置されたベッド13と、加工位置101に搬入された工作物12を加工する工作機械2と、ベッド13上でZ軸方向にパレット11及び工作物12を搬送すると共にパレット11及び工作物12を鉛直軸回りに回転させることが可能な回転テーブル14と、Z軸方向に対してX軸方向の一側に傾斜した第1の方向D1に沿ってパレット11及び工作物12を移動させる第1の移動装置3と、Z軸方向に対してX軸方向の他側に傾斜した第2の方向D2に沿ってパレット11及び工作物12を移動させる第2の移動装置4とを備えている。
【0012】
工作機械2は、ベッド13上に設けられた一対のレール15に沿ってX軸方向に案内されるコラム21と、コラム21に対してY軸方向に移動可能な主軸台22と、主軸台22に回転可能に軸承された主軸23とを有している。主軸23には、工作物12を加工するためのドリルやエンドミル等の工具Tが着脱可能に装着される。なお、工具Tは、不図示のATC(自動工具交換装置)によって交換可能である。コラム21には、サーボモータ16によって回転駆動されるボールねじ161に螺合するナットが固定されており、ボールねじ161の回転によってコラム21がX軸方向に移動する。
【0013】
回転テーブル14は、ベッド13上に設けられた一対のレール17に沿ってZ軸方向に案内され、一対のサーボモータ18によってそれぞれ回転駆動される一対のボールねじ軸181の回転によってZ軸方向に移動する。回転テーブル14は、Z軸方向への移動により、加工位置101と、加工位置101からZ軸方向に離れたパレット移載位置102との間でパレット11及び工作物12を搬送する。また、工作物12の加工中には、回転テーブル14が加工位置101において工作機械2と同期してZ軸方向に進退移動すると共に工作物12を回転させる。パレット移載位置102は、請求項に係る発明の「所定位置」に相当する。
【0014】
パレット移載位置102は、回転テーブル14と第1の移動装置3又は第2の移動装置4との間でパレット11及び工作物12の受け渡しが行われる位置である。回転テーブル14の移動方向(Z軸方向)と、第1の移動装置3によるパレット11及び工作物12の移動方向である第1の方向D1と、第2の移動装置4によるパレット11及び工作物12の移動方向である第2の方向D2とは、
図1に示すように加工システム1を上方から見た場合にY字状を呈する。
【0015】
第1の移動装置3は、パレット移載位置102と第1の搬入出位置103との間でパレット11及び工作物12を移動させる。また、第2の移動装置4は、パレット移載位置102と第2の搬入出位置104との間でパレット11及び工作物12を移動させる。第1の搬入出位置103と第2の搬入出位置104とは、所定距離でX軸方向に離れている。第1の搬入出位置103及び第2の搬入出位置104では、作業者Wによる工作物12への段取り作業等が行われる。第1及び第2の搬入出位置103,104には、例えばフォークリフトによって未加工の工作物12が搬入され、また加工済の工作物12が第1及び第2の搬入出位置103,104から搬出される。
【0016】
第1の移動装置3は、パレット11の下面を支持する複数の転動ローラ311が整列して配置された一対の搬送レール31と、パレット11を第1の方向D1に沿って移動させるリニアモジュール32と有している。リニアモジュール32は、一対の搬送レール31の間に延在する直線状の台座321と、台座321上でパレット11と共に移動する不図示の移動部材と、サーボモータ等を有する駆動部322とを有している。台座321におけるパレット移載位置102側の端部には、パレット11の受け渡しのための治具33が配置されている。
【0017】
同様に、第2の移動装置4は、パレット11の下面を支持する複数の転動ローラ411が整列して配置された一対の搬送レール41と、パレット11を第2の方向D2に沿って移動させるリニアモジュール42と有している。リニアモジュール42は、一対の搬送レール41の間に延在する直線状の台座421と、台座421上でパレット11と共に移動する不図示の移動部材と、サーボモータ等を有する駆動部422とを有している。台座421におけるパレット移載位置102側の端部には、パレット11の受け渡しのための治具43が配置されている。
【0018】
また、加工システム1は、加工位置101及びパレット移載位置102を外部から遮蔽し、工作物12の加工時に発生する切粉の飛散防止ならびに作業者W等の安全確保のための遮蔽部10を備えている。遮蔽部10は、パレット移載位置102と第1の搬入出位置103及び第2の搬入出位置104との間に設けられた開口部50を有する遮蔽体5と、開口部50を開閉する開閉扉6と、開閉扉6を駆動する駆動装置7とを有して構成されている。
【0019】
遮蔽体5は、開口部50のX軸方向両端部に配置された一対の柱部51と、一対の柱部51よりも工作機械2側で加工位置101を囲う囲い部52と、一対の柱部51よりも第1及び第2の移動装置3,4側に設けられた第1及び第2の壁部53,54と、開口部50の上部を覆うように一対の柱部51の間に掛け渡された屋根部55とを有して構成されている。一対の柱部51は、Y軸方向に沿ってベッド13に立設され、X軸方向に並んでいる。第1及び第2の移動装置3,4は、第1及び第2の壁部53,54の間に配置されている。
【0020】
開閉扉6は、
図5及び
図6に示すように、扇状の天井部61と、天井部61の外縁から下方に延在する側板部62と、側板部62の下端部における内面から内方に向かって延在して設けられた脚部63とを有している。天井部61は、一部が屋根部55の下方に位置するように配置される。天井部61の下部には、機械的強度を高めるための複数の補強梁611が格子状に設けられている。側板部62は、複数の平板状のパネル621を天井部61の外縁に沿って配置することにより形成されている。一部のパネル621には、作業者Wが工作物12の加工状態等を目視により確認するための窓622が設けられている。
【0021】
開閉扉6は、鉛直方向の回転軸線Oを中心として駆動装置7によって回転駆動される。駆動装置7は、両端部が一対の柱部51にそれぞれ取り付けられた支持部材91に支持されている。支持部材91は、開閉扉6の天井部61の上方でX軸方向に延在する一対の縦梁911と、一対の縦梁911をZ軸方向に接続する複数の横梁912とを有している。駆動装置7は、駆動源であるサーボモータ71と、サーボモータ71の回転を減速してトルクを増幅する減速機72とを有している。駆動装置7のより詳細な構成については後述する。
【0022】
開閉扉6における天井部61の下側には、側板部62の内面に掛ける液体を流す配管8が配置されている。この液体としては、工具Tによる工作物12の加工点に供給されるクーラントを好適に用いることができる。配管8は、後述する駆動装置7の駆動軸75から天井部61の外縁に向かって延びる複数のパイプ81を有している。各パイプ81の先端部には、ノズル82が設けられている。各ノズル82から側板部62の内面に液体(クーラント)を噴射することにより、側板部62の内面に付着した切粉を流下させることができる。流下した切粉は、例えば図略のコンベアによって回収されて廃棄される。脚部63の上面は、回転軸線O側ほど鉛直方向下方となるように傾斜しており、切粉の回収が容易となっている。
【0023】
工作機械2によって工作物12を加工する際には、開閉扉6によって開口部50が閉塞される。また、工作機械2による加工が完了してパレット11及び工作物12をパレット移載位置102から第1の搬入出位置103又は第2の搬入出位置104に移動させる際には、開閉扉6が回転して開口部50の少なくとも一部が開放され、パレット11及び工作物12を第1の搬入出位置103又は第2の搬入出位置104に移動させることが可能な開放状態となる。すなわち、開閉扉6の回転位置により、開口部50が閉塞された閉塞状態と、開口部50の少なくとも一部が開放されてパレット移載位置102と第1の搬入出位置103又は第2の搬入出位置104との間で工作物12の移動が可能な開放状態とが切り替わる。
【0024】
本実施の形態では、パレット移載位置102と第1の搬入出位置103との間でパレット11及び工作物12を移動させる際の開閉扉6の角度と、パレット移載位置102と第2の搬入出位置104との間でパレット11及び工作物12を移動させる際の開閉扉6の角度とが異なる。駆動装置7は、第1の移動装置3によってパレット11及び工作物12を移動させる際には、パレット移載位置102から第1の方向D1へのパレット11及び工作物12の移動が可能な第1の角度に開閉扉6を回転させ、第2の移動装置4によってパレット11及び工作物12を移動させる際には、パレット移載位置102から第2の方向D2へのパレット11及び工作物12の移動が可能な第2の角度に開閉扉6を回転させる。また、工作物12を加工する際には、開口部50を閉塞する第3の角度に開閉扉6を回転させる。
【0025】
図2は、開閉扉6が第1の角度にあるときの状態を示している。この状態では、開閉扉6の開口端部60(側板部62が設けられていない部分)が第1の搬入出位置103の方を向き、第1の移動装置3によってパレット11及び工作物12を第1の搬入出位置103からパレット移載位置102に、またパレット移載位置102から第1の搬入出位置103に、移動させることが可能である。また、この状態では、パレット移載位置102と第2の搬入出位置104との間でパレット11及び工作物12を移動させる場合の通路の一部が開閉扉6の側板部62によって遮蔽される。
【0026】
図3は、開閉扉6が第2の角度にあるときの状態を示している。この状態では、開閉扉6の開口端部60が第2の搬入出位置104の方を向き、第2の移動装置4によってパレット11及び工作物12を第2の搬入出位置104からパレット移載位置102に、またパレット移載位置102から第2の搬入出位置104に、移動させることが可能である。また、この状態では、パレット移載位置102と第1の搬入出位置103との間でパレット11及び工作物12を移動させる場合の通路の一部が開閉扉6の側板部62によって遮蔽される。
【0027】
図4は、開閉扉6が第3の角度にあるときの状態を示している。この状態では、開閉扉6の開口端部60が工作機械2の方を向き、遮蔽体5の開口部50の全体が開閉扉によって閉塞される。
【0028】
次に、
図7及び
図8を参照して駆動装置7の構成について説明する。
図7は、
図5のA-A線断面図であり、
図8は、
図7の一部を拡大して示す拡大図である。駆動装置7は、サーボモータ71及び減速機72と、支持部材91に固定された円筒状の筒状体73と、筒状体73の内側に一対の軸受741,742によって回転自在に支持された駆動軸75と、筒状体73の上端部と減速機72の台座721との間に介在し、複数のボルト76によって減速機72の台座721に固定された中間部材77とを有している。
【0029】
筒状体73は、支持部材91に固定された保持部材92に保持されている。保持部材92は、筒状体73を囲む環状部921と、環状部921におけるZ軸方向の両端部からZ軸方向に延在する一対の突出部922とを有している。環状部921は、複数のボルト931によって筒状体73に固定されている。突出部922は、複数のボルト932によって支持部材91の横梁912に固定されている。筒状体73は、環状部921に囲われた部分よりも外径が大きいフランジ部731を上端部に有している。フランジ部731は、その下面731aが環状部921の上面921aに当接している。
【0030】
駆動軸75は、筒状体73に挿通された小径筒部751と、小径筒部751の下方に配置され、小径筒部751よりも外径が大きい大径筒部752とを一体に有している。一対の軸受741,742は、アンギュラ玉軸受であり、小径筒部751と筒状体73との間に上下方向に並んで配置されている。一対の軸受741,742のうち、下方に位置する軸受741は、小径筒部751と大径筒部752との角部に配置されている。上方に位置する軸受742は、小径筒部751の外周面に螺合したナット78によって下方に押し付けられている。ナット78の上方には、駆動軸75と中間部材77との間をシールする環状のシール部材79が配置されている。
【0031】
駆動軸75の小径筒部751には、減速機72の台座721から下方に突出した減速機72の出力軸722の下端部が固定されており、駆動軸75が出力軸722と一体に回転する。駆動軸75の下端部には、開閉扉6の天井部61の中心部に取り付けられた固定部材64が固定されている。固定部材64は、
図6に示すように、天井部61の下方から見た形状が矩形状の上板641と、上板641の外縁から下方に延在する枠体642とを有している。固定部材64の上板641は、複数のボルト651及びナット652によって天井部61に取り付けられている。また、上板641は、複数のボルト66によって駆動軸75に固定されている。
【0032】
出力軸722は、
図7に示すように、その上端部が減速機72の筐体723から上方に突出しており、出力軸722の上端部に回転ジョイント94を介してクーラントの供給管95が連結されている。出力軸722及び駆動軸75は、中心部にそれぞれ中空部722a,75aが形成された中空筒状である。駆動軸75には、中空部75aに径方向に連通するパス穴75bが形成されており、このパス穴75bにパイプ81が接続されている。供給管95から供給されたクーラントは、中空部722a,75aからパス穴75bを経由して複数のパイプ81に供給される。駆動軸75における中空部75aの下端部は、栓体753によって閉塞されている。複数のパイプ81は、固定部材64の枠体642に設けられた挿通孔420に挿通され、天井部61の補強梁611に支持されている。
【0033】
なお、クーラントの供給は、工作機械2による工作物12の加工中に常時行ってもよいが、例えば工作物12の加工が完了したときに短時間だけ行ってもよい。また、例えば作業者Wのボタン操作により、作業者Wが必要と判断したときに行ってもよい。
【0034】
(実施の形態の効果)
以上説明した本発明の実施の形態によれば、開閉扉6を鉛直方向の回転軸線Oを中心として回転させることにより遮蔽体5の開口部50を開放及び閉塞することができるので、開閉扉6を小型化することが可能となり、開閉扉6を駆動する駆動装置7の負荷を軽減できると共に、例えば加工システム1の製造工場から加工システム1を使用する工場への移動も容易となる。
【0035】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、この実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0036】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、一部の構成を省略し、あるいは構成を追加もしくは置換して、適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記の実施の形態では、工作機械として、工具Tが水平方向に取り付けられる横形マシニングセンタを用いた場合について説明したが、これに限らず、例えば立形マシニングセンタや門形マシニングセンタに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…加工システム 10…遮蔽部
101…加工位置 102…パレット移載位置(所定位置)
103…第1の搬入出位置 104…第2の搬入出位置
12…工作物 2…工作機械
3…第1の移動装置 4…第2の移動装置
5…遮蔽体 50…開口部
6…開閉扉 61…天井部
62…側板部 7…駆動装置
8…配管