(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240416BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G03G15/08 310
G03G15/08 390A
G03G15/08 366
G03G21/16 176
(21)【出願番号】P 2020120994
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高谷 俊一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 渉
(72)【発明者】
【氏名】波多野 北斗
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-072430(JP,A)
【文献】特開2010-122418(JP,A)
【文献】特開2010-217396(JP,A)
【文献】特開2014-089434(JP,A)
【文献】特開昭58-115452(JP,A)
【文献】特開2011-227235(JP,A)
【文献】特開2015-092104(JP,A)
【文献】特開2018-194781(JP,A)
【文献】特開2011-203330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を搬送する第1搬送部、第2搬送部及び第3搬送部が、同軸上でこの順の配列方向に配列された搬送部材と、
前記搬送部材を収容し、前記第3搬送部の前記配列方向側に配置された現像剤の排出口を有する収容室と、
を備え、
前記搬送部材は、
軸回りの第1回転方向に回転して、前記第1搬送部が前記配列方向に現像剤を搬送し、前記第2搬送部が前記配列方向とは逆方向に現像剤を搬送する第1モードと、
前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転して、前記第1搬送部が前記逆方向に現像剤を搬送し、前記第2搬送部が前記配列方向に現像剤を搬送する第2モードと、
を取り得るように構成され、
前記第3搬送部は、前記第1モード及び前記第2モードのいずれにおいても前記配列方向に現像剤を搬送するように構成されている、
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第3搬送部は、前記第1モード及び前記第2モードのいずれにおいても前記第1回転方向に回転する、
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第3搬送部は、前記第1搬送部及び前記第2搬送部と一体的に連結された軸部材と同心状に配置されて当該軸部材から独立して回転可能なスリーブ部材を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記軸部材は、
前記スリーブ部材に挿通されるとともに、
前記第1回転方向への回転時には前記スリーブ部材に直接に回転力を伝達し、前記第2回転方向への回転時には前記スリーブ部材に直接には回転力を伝達しないように、前記スリーブ部材と連結されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記軸部材と前記スリーブ部材の外周面とを連結する連結機構を備え、
前記連結機構は、
前記軸部材の前記第1回転方向への回転時には、当該軸部材から前記スリーブ部材に回転力を伝達せず、
前記軸部材の前記第2回転方向への回転時には、当該軸部材から前記スリーブ部材に、当該スリーブ部材を前記第1回転方向に回転させる回転力を伝達する、
ことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記連結機構は、前記収容室よりも前記配列方向側に設けられて当該収容室からシールされた空間内に配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2搬送部と前記スリーブ部材の外周面とを連結する連結機構を備え、
前記連結機構は、
前記第2搬送部の前記第1回転方向への回転時には、当該第2搬送部から前記スリーブ部材に回転力を伝達せず、
前記第2搬送部の前記第2回転方向への回転時には、当該第2搬送部から前記スリーブ部材に、当該スリーブ部材を前記第1回転方向に回転させる回転力を伝達する、
ことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像剤の長寿命化等の目的で、キャリアを逐次入れ替えるトリクル現像方式を採る現像装置が知られている。このトリクル現像方式では、供給スクリューとは反対方向に現像剤を搬送する逆巻きスクリューによって現像剤の排出量を調整するオーバーフロー方式が主流となっている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
しかし、オーバーフロー方式の現像装置では、特に現像剤の嵩密度が著しく変化する環境下において、逆巻きスクリューでの排出量調整が困難なケースが発生し得る。
そこで、装置内の現像剤重量が規定量を上回ったときなどに、一体的に設けられた供給スクリュー及び逆巻きスクリューを逆回転させ、逆巻きスクリューにより強制的に排出を促す排出モードを実行する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-231624号公報
【文献】特開2008-203814号公報
【文献】特開2009-9022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オーバーフロー方式の現像装置においては、
図12(a)に示すように、供給スクリューと同方向に現像剤を搬送する排出スクリューを逆巻きスクリューの下流に一体的に設け、通常現像時における現像剤の排出を促進させる場合がある。
この場合に、上述した排出モードを単純に実行すると、
図12(b)に示すように、排出スクリューが排出方向とは反対方向に現像剤を押し返してしまうため、現像剤の円滑な排出が妨げられる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、現像剤を好適に排出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、現像装置であって、
現像剤を搬送する第1搬送部、第2搬送部及び第3搬送部が、同軸上でこの順の配列方向に配列された搬送部材と、
前記搬送部材を収容し、前記第3搬送部の前記配列方向側に配置された現像剤の排出口を有する収容室と、
を備え、
前記搬送部材は、
軸回りの第1回転方向に回転して、前記第1搬送部が前記配列方向に現像剤を搬送し、前記第2搬送部が前記配列方向とは逆方向に現像剤を搬送する第1モードと、
前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転して、前記第1搬送部が前記逆方向に現像剤を搬送し、前記第2搬送部が前記配列方向に現像剤を搬送する第2モードと、
を取り得るように構成され、
前記第3搬送部は、前記第1モード及び前記第2モードのいずれにおいても前記配列方向に現像剤を搬送するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像剤を好適に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る現像装置の垂直断面図である。
【
図3】実施形態に係る現像装置を上方から見た水平断面図である。
【
図4】実施形態に係る連結機構及びその周辺の縦断面図である。
【
図5】(a)実施形態に係る連結機構の第6歯車と第5歯車の歯車軸との連結構造を示す断面図であり、(b)排出スクリューの第四軸と第1搬送部材の軸部材との連結構造を示す断面図である。
【
図6】実施形態に係る連結機構の動作であって、供給スクリュー及び逆巻きスクリューを正回転させる場合(通常モード)の動作を説明するための図である。
【
図7】実施形態に係る連結機構の動作であって、供給スクリュー及び逆巻きスクリューを逆回転させる場合(排出モード)の動作を説明するための図である。
【
図8】実施形態に係る現像装置の現像動作時における第1搬送部材の動作を説明するための図であり、(a)が通常モード、(b)が排出モードを示す図である。
【
図9】実施形態の変形例に係る連結機構及びその周辺の縦断面図である。
【
図10】実施形態の変形例に係る連結機構の第4歯車と第3歯車の歯車軸との連結構造を示す断面図である。
【
図11】実施形態の変形例に係る連結機構の動作であって、(a)供給スクリュー及び逆巻きスクリューを正回転させる場合(通常モード)の動作を説明するための図であり、(b)供給スクリュー及び逆巻きスクリューを逆回転させる場合(排出モード)の動作を説明するための図である。
【
図12】従来の現像装置における通常モードと排出モードを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
[画像形成装置の概要]
図1は本実施形態に係る画像形成装置10の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、画像形成装置10は、電子写真式の画像形成装置であって、制御装置11と、画像形成部12と、記憶装置18と、インターフェース19と、給紙装置20と、排紙装置21等を備えて構成されている。
画像形成部12は、静電潜像を担持する静電潜像担持体としての感光体13と、感光体13に静電潜像を形成する露光装置14と、静電潜像をトナーで現像して感光体13上にトナー像を現像する現像装置30と、トナー像を用紙に転写する転写装置16、トナー像を用紙に定着させる定着装置17、その他帯電装置やクリーニング装置等を備えて構成される。
【0012】
[現像装置]
図2は現像装置30の垂直断面図であり、
図3は現像装置30を上方から見た水平断面図である。
現像装置30は、画像形成装置10の内部に着脱可能に取り付けられている。以下に説明する現像装置30の各構成の配置や向きは、全て、画像形成装置10内に取り付けられた状態を前提としている。
図2及び
図3に示すように、現像装置30は、現像剤を収容し、装置の全体構成を支持する筐体31と、感光体13にトナー像を現像する現像剤担持体としての現像ローラー32と、現像剤を搬送する第1搬送部材33及び第2搬送部材34とを備える。
【0013】
現像剤は、トナーとキャリアを含む乾式二成分現像剤であり、トナーとキャリアを混合させて撹拌することによりトナーを帯電状態とすることができる。帯電したトナーは、現像ローラー32を通じて静電潜像が形成された感光体13の表面に付着させてトナー像を現像することができる。
【0014】
筐体31は、感光体13に向けて開放された開口部を備えており、この開口部の近傍に形成された空間に現像ローラー32が回転可能に支持されている。
現像剤担持体としての現像ローラー32と感光体13は、いずれも円筒状であり、これらの回転軸は互いに平行且つ水平に向けられている。また、現像ローラー32の外周面と感光体13の外周面とは、所定の現像ギャップを形成するように配置されている。
なお、以下の説明において、現像ローラー32の回転軸に平行な方向をX方向、水平であってX方向に直交する方向をY方向、X方向及びY方向の双方に直交する鉛直上下方向をZ方向という場合がある。
【0015】
筐体31は、第1搬送部材33を格納(収容)した供給室311と、第2搬送部材34を格納(収容)した撹拌室312とを備えている。
筐体31内において、現像ローラー32と第1搬送部材33と第2搬送部材34は、いずれもその回転中心線がX方向に平行となるように支持されており、これらは略Y方向に並んで配置されている。第1搬送部材33及び供給室311は、現像ローラー32の隣であって、感光体13の反対側に配置されている。また、第2搬送部材34及び撹拌室312は、第1搬送部材33及び供給室311の隣であって、現像ローラー32の反対側に配置されている。
現像ローラー32と第1搬送部材33と第2搬送部材34は、モータ-301(
図1参照)を駆動源として図示しない動力伝達機構を介していずれも同じ回転方向に連動回転動作が付与される。
【0016】
第1搬送部材33は、同軸上にこの順に配列された供給スクリュー35、逆巻きスクリュー36及び排出スクリュー37を有する。
【0017】
供給スクリュー35は、本発明に係る第1搬送部の一例であり、現像ローラー32へ現像剤を供給する。供給スクリュー35は、X方向に向けられた状態で筐体31内に回転可能に支持された第一軸351と、第一軸351に固定装備された螺旋状の撹拌羽根352とを備えている。供給スクリュー35は、X方向について、現像ローラー32よりも長く設定されており、現像ローラー32よりもその正回転での現像剤の搬送方向における下流側にまで延在している。
なお、以下の説明では、供給スクリュー35の正回転での現像剤の搬送方向を「第1搬送方向H1」とし、その反対方向を「第2搬送方向H2」とする。
【0018】
逆巻きスクリュー36は、本発明に係る第2搬送部の一例であり、供給スクリュー35の第1搬送方向H1側に設けられ、供給スクリュー35とは逆方向に現像剤を搬送する。
逆巻きスクリュー36は、X方向に向けられた状態で筐体31内に回転可能に支持された第三軸361と、第三軸361に固定装備された螺旋状の撹拌羽根362とを備えている。
【0019】
排出スクリュー37は、本発明に係る第3搬送部の一例であり、逆巻きスクリュー36の第1搬送方向H1側に設けられている。
排出スクリュー37は、X方向に向けられた状態で筐体31内に回転可能に支持された第四軸371と、第四軸371に固定装備された螺旋状の撹拌羽根372とを備えている。
【0020】
供給スクリュー35の第一軸351と、逆巻きスクリュー36の第三軸361とは、同心且つ連結されており、これらは一体的に回転を行う。
一方、排出スクリュー37の第四軸371は、第一軸351及び第三軸361と同心ではあるものの、これら第一軸351及び第三軸361と相対回転可能に連結されている。より詳しくは、排出スクリュー37の第四軸371は、連結機構40を介して逆巻きスクリュー36の第三軸361と連結されており、第一軸351及び第三軸361の回転方向に依らず一定の回転方向(正回転)で回転するように構成されている。
連結機構40の具体構成については後述する。
【0021】
逆巻きスクリュー36の撹拌羽根362は、供給スクリュー35の撹拌羽根352とは逆巻きの螺旋状であって、当該撹拌羽根352と外径がほぼ等しく設定されている。
排出スクリュー37の撹拌羽根372は、供給スクリュー35の撹拌羽根352と同方向の螺旋状であって、当該撹拌羽根352よりも外径が幾分小さく設定されている。
また、逆巻きスクリュー36と排出スクリュー37は、いずれも、供給スクリュー35に比べて、X方向の長さが短くなっている。
そして、供給スクリュー35は、その正回転時に現像剤を第1搬送方向H1に搬送し、逆巻きスクリュー36は、その逆方向となる第2搬送方向H2に搬送し、排出スクリュー37は、供給スクリュー35と等しい第1搬送方向H1に搬送する。これにより、通常(後述の通常モード)時に、供給スクリュー35の正回転により搬送されてくる現像剤は、逆巻きスクリュー36よりも第1搬送方向H1側には殆ど搬送されないようになっている。この場合、供給スクリュー35の正回転時に搬送されてくる現像剤は、逆巻きスクリュー36側には進まないで、経路を曲げて第2搬送部材34側に搬送される。
【0022】
第1搬送部材33を収容した供給室311は、本発明に係る収容室の一例であり、現像剤を排出するための排出口318を有する。
排出口318は、排出スクリュー37の第1搬送方向H1側に配置され、本実施形態では、供給室311のうち最も第1搬送方向H1側の端部に設けられている。この排出口318は、供給室311の内底部から下方に向かって開口している。排出口318から排出された現像剤は、図示しない廃棄現像剤貯蔵部に落下して貯蔵される。
【0023】
第2搬送部材34は、供給スクリュー35とは反対方向に現像剤を搬送する撹拌スクリューである。
第2搬送部材34は、X方向に向けられた状態で筐体31内に回転可能に支持された第二軸341と、第二軸341に固定装備された螺旋状の撹拌羽根342とを備えている。
第2搬送部材34の撹拌羽根342は、供給スクリュー35の撹拌羽根352と外径がほぼ等しく、供給スクリュー35とは逆巻きの螺旋状に形成されている。また、第2搬送部材34のX方向の全長は、供給スクリュー35と逆巻きスクリュー36との合計長さとほぼ等しくなっている。
【0024】
第2搬送部材34を収容した撹拌室312は、X方向について、第2搬送部材34を丁度格納可能な長さである。撹拌室312内に現像剤が充填された状態で、第2搬送部材34が規定の正回転方向に回転駆動されることにより、撹拌室312内において、現像剤がX方向に平行な第2搬送方向H2に向かって撹拌されながら搬送される。
【0025】
また、供給室311と撹拌室312とは、X-Z平面に沿った隔壁313により仕切られており、供給スクリュー35のX方向の一端部に近接する位置と供給スクリュー35の他端部に近接する位置とには、それぞれ供給室311と撹拌室312との間を現像剤が流通する開口が設けられている。
隔壁313の第1搬送方向H1側の端部近傍(供給スクリュー35と逆巻きスクリュー36の境界位置付近)の開口は、供給スクリュー35から第2搬送部材34に現像剤を受け渡す第1連通部314であり、隔壁313の第2搬送方向H2側の端部に設けられた開口は、第2搬送部材34から供給スクリュー35に現像剤を受け渡す第2連通部315である。
すなわち、供給スクリュー35は、上述したように第1搬送方向H1方向に向かって現像剤を搬送し、逆巻きスクリュー36との境界位置でその搬送が妨げられるので、現像剤は、進路を曲げて第1連通部314から撹拌室312に矢印H3方向に向かって押し込まれることになる。
同様に、第2搬送部材34は、前述したように第2搬送方向H2側に向かって現像剤を搬送するので、現像剤は、撹拌室312において第2搬送方向H2側に位置する第2連通部315から供給室311に矢印H4方向に向かって押し込まれることになる。
つまり、供給スクリュー35(第1搬送部材33)及び第2搬送部材34がそれぞれ正回転方向に駆動を行っている状態(通常モード)では、筐体31内において、現像剤は、矢印H1,H3,H2,H4を連ねた環状の循環経路に沿って搬送が行われるようになっている。通常モードは、本発明に係る第1モードの一例である。
【0026】
また、撹拌室312の第1連通部314よりも第2搬送方向H2の上流側には、現像剤を筐体31内に補給する現像剤補給口317が設けられている。
筐体31の現像剤補給口317の上方には、補給用の現像剤が格納された現像剤貯留部と当該現像剤貯留部から補給用の現像剤を搬送する搬送機構とからなる図示しない補給部が配置されている。そして、現像剤補給口317を通じて上方から撹拌室312内の第2搬送部材34に補給用の現像剤が補給される。
これにより、補給された補給用の現像剤は、第2搬送方向H2に向かって、筐体31内の前述した環状の循環経路を循環する現像剤に合流し、第2搬送部材34によって撹拌される。
【0027】
なお、この現像装置30では、画像形成時に消費されるトナーだけでなく、トナーに僅かに新規のキャリアを含ませた補給用の現像剤を補給している。これにより、使用によって劣化したキャリアを前述した排出口318から排出し、新規のキャリアを補うことを可能としている。
【0028】
また、乾式二成分現像剤は、上記の通り、画像形成を行うことによりトナーを消費する。このため、トナーの補給の要否判断のために、供給室311又は撹拌室312内(ここでは撹拌室312を例示)に、現像剤に含まれるトナー量の検出を行うトナー量検出装置302が設けられている。
トナー量検出装置302は、例えば、透磁率センサーからなり、撹拌室312内の現像剤を貫通する方向(例えば、Z方向)の透磁率を検出し、その検出結果から現像剤に含まれるトナーの含有率を求めることができる。
上述した制御装置11は、トナー量検出装置302の検出に基づくトナーの含有率が予め定められた閾値を下回ると、補給部の搬送機構を作動させて規定量のトナーを供給する制御を行う。
なお、トナー量検出装置302を設けずに、制御装置11が画像形成装置10における画像形成量(例えば、用紙の給紙枚数等)の累積量を監視し、一定量を超える度にトナーを供給する制御を行ってもよい。
【0029】
また、補給用の現像剤の補給が繰り返されると、キャリアが増えて筐体31内の現像剤の総量が増加する。また、周囲環境が乾燥している場合等には、現像剤も乾燥し、帯電によって本来の現像剤の量よりも嵩が増える場合も生じ得る。これらの場合、筐体31内における現像剤の搬送性の低下を生じるため、筐体31内の現像剤の体積量(嵩)を検出する体積量検出装置303が供給室311又は撹拌室312内(ここでは撹拌室312を例示)に設けられている。
体積量検出装置303は、例えば、透磁率センサーからなり、撹拌室312内で所定の高さで現像剤を水平方向に貫通する方向(例えば、X方向又はY方向)の透磁率を検出する。この場合、体積量検出装置303が透磁率の検出を行う高さは、現像剤が適正量の場合には到達し得ない高さであり、現像剤が検出された場合には、筐体31内での現像剤の嵩が増え過ぎている状態と認識することができる。
【0030】
画像形成装置10の制御装置11は、体積量検出装置303による筐体31内での現像剤の嵩の増え過ぎを検出した場合や、画像形成装置10における画像形成量(例えば、用紙の給紙枚数等)の累積量が一定量を超えた場合等、所定の実行条件を満たすと、モータ-301を通常とは逆回転で駆動させて、第1搬送部材33及び第2搬送部材34を逆回転させる排出モードの制御を実行する。
排出モードは、本発明に係る第2モードの一例である。この排出モードの詳細については後述する。
【0031】
[連結機構]
図4は、連結機構40及びその周辺の縦断面図であり、
図5(a)は、後述の第6歯車46と第5歯車45の歯車軸45aとの連結構造を示す断面図であり、
図5(b)は、排出スクリュー37の第四軸371と第1搬送部材33の軸部材331との連結構造を示す断面図である。
図4に示すように、連結機構40は、第1搬送部材33の軸部材331と、排出スクリュー37の第四軸371の外周面とを連結するものであり、筐体31の歯車室316内に収容されている。歯車室316は、筐体31のうち、供給室311よりも第1搬送方向H1側に設けられ、供給室311とは隔壁316aにより隔絶され、後述のシール部材373、374によりシールされている。
【0032】
具体的に、連結機構40は、X方向に平行な回転軸回りに回転する複数の歯車部材(第1歯車41~第7歯車47)を備える。
このうち、第1歯車41は、駆動力が入力される歯車であり、その歯車軸41aには駆動源であるモーター301が連結されている。
【0033】
第2歯車42は、第1搬送部材33の軸部材331のうち、第1搬送方向H1側の端部に同心状に設けられ、第1歯車41と噛合している。軸部材331は、第1搬送部材33の略全長に亘ってX方向に延在しており、供給スクリュー35の第一軸351と逆巻きスクリュー36の第三軸361の中心を貫通した状態で、これら第一軸351及び第一軸351と一体的に回転するように連結されている。さらに、軸部材331は、排出スクリュー37の第四軸371に挿通されて、当該第四軸371よりも第1搬送方向H1側まで延出しており、その端部に第2歯車42が取り付けられている。なお、軸部材331は、供給スクリュー35の第一軸351と逆巻きスクリュー36の第三軸361と一体的に回転するように連結されていれば、その連結態様は特に限定されない。
【0034】
第3歯車43は、第1搬送部材33の軸部材331のうち、排出スクリュー37の第四軸371と第2歯車42との間のX方向位置に配置され、当該軸部材331に同心状に設けられている。
第4歯車44は、第3歯車43の外径側に配置され、当該第3歯車43と噛合している。
第5歯車45は、第4歯車44のさらに外径側に配置され、当該第4歯車44と噛合している。
【0035】
第6歯車46は、第5歯車45よりも第1搬送方向H1の上流側(第2搬送方向H2側)に配置され、第5歯車45の歯車軸45aに同心状に連結されている。
第6歯車46と歯車軸45aとは、第1ラッチ部材451を介して連結されている。
第1ラッチ部材451は、
図5(a)に示すように、歯車軸45aの凹部45b内に、その回転中心と直交する径方向に出没可能なように設けられ、凹部45b内に配置された付勢部材45cにより外径方向に付勢されている。第1ラッチ部材451の先端部(外径部)は、歯車軸45aの周方向に対してX方向回りに傾斜したテーパー状の先端面を有する鋸歯状に形成されている。第6歯車46の内周面には、第1ラッチ部材451の先端部と対応した鋸歯状の凹部46aが形成されている。
そのため、第5歯車45(歯車軸45a)の正回転(
図5(a)の時計回り)時には、第1ラッチ部材451と第6歯車46とで互いのテーパー面が滑るため、第1ラッチ部材451が第6歯車46により付勢部材45cの付勢力に抗して凹部45b内に没入される結果、第5歯車45(歯車軸45a)から第6歯車46には回転力が伝達されない。
一方、第5歯車45(歯車軸45a)の逆回転(
図5(a)の反時計回り)時には、第1ラッチ部材451の先端部が第6歯車46の凹部46aに係止されるため、第5歯車45(歯車軸45a)から第6歯車46に回転力が伝達される。
【0036】
第7歯車47は、
図4に示すように、排出スクリュー37の第四軸371のうち、第1搬送方向H1側の端部であって、第6歯車46と対応したX方向位置に、当該第四軸371と同心状に設けられ、第6歯車46と噛合している。
第7歯車47が設けられる排出スクリュー37の第四軸371は、第1搬送方向H1側部分が歯車室316内まで延出している。この第四軸371は、円筒状のスリーブ部材であり、軸部材331から独立して回転可能なように、その内部に軸部材331が挿通されている。軸部材331と第四軸371との間にはシール部材373が配置され、第四軸371と隔壁316aとの間にはシール部材374が配置されている。
【0037】
排出スクリュー37の第四軸371と軸部材331とは、第2ラッチ部材375を介して連結されている。
第2ラッチ部材375は、
図5(b)に示すように、軸部材331の凹部331a内に、その回転中心と直交する径方向に出没可能なように設けられ、凹部331a内に配置された付勢部材331bにより外径方向に付勢されている。第2ラッチ部材375の先端部(外径部)は、軸部材331の周方向に対してX方向回りに傾斜したテーパー状の先端面を有する鋸歯状に形成されている。第四軸371の内周面には、第2ラッチ部材375の先端部と対応した鋸歯状の凹部371aが形成されている。
そのため、軸部材331の正回転(
図5(b)の時計回り)時には、第2ラッチ部材375の先端部が第四軸371の凹部371aに係止されるため、軸部材331から第四軸371(排出スクリュー37)に回転力が伝達される。
一方、軸部材331の逆回転(
図5(b)の反時計回り)時には、第2ラッチ部材375と第四軸371とで互いのテーパー面が滑るため、第2ラッチ部材375が第四軸371により付勢部材331bの付勢力に抗して凹部331a内に没入される結果、軸部材331から第四軸371(排出スクリュー37)に直接には回転力が伝達されない。
【0038】
図6は、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36を正回転させる場合(後述の通常モード)の連結機構40の動作を説明するための図であり、
図7は、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36を逆回転させる場合(排出モード)の連結機構40の動作を説明するための図である。
上述のように構成された連結機構40により、排出スクリュー37は供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36とは独立して回転可能となっている。
具体的には、
図6(a)に示すように、まずモータ-301から逆回転の回転力が第1歯車41に入力されたときには、これと噛合する第2歯車42が正回転する。これにより、第2歯車42と連結された軸部材331が正回転し、軸部材331と一体的に回転する供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36も正回転する。
このとき、軸部材331上の第3歯車43は、第4歯車44を逆回転させ、これが第5歯車45を正回転させる。第5歯車45の正回転時には、第1ラッチ部材451が凹部45b内に没入するため(
図6(b)参照)、第5歯車45(歯車軸45a)から第6歯車46ひいては排出スクリュー37に回転力が伝達されない。
一方、軸部材331の正回転時には第2ラッチ部材375が第四軸371の凹部371aに係止されるため(
図6(c)参照)、排出スクリュー37の第四軸371は軸部材331から直接に回転力が伝達されて正回転する。
このように、モータ-301から逆回転の回転力が入力されたときには、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36が正回転し、排出スクリュー37も正回転する。
【0039】
一方、
図7(a)に示すように、モータ-301から正回転の回転力が第1歯車41に入力されたときには、これと噛合する第2歯車42が逆回転する。これにより、第2歯車42と連結された軸部材331が逆回転し、軸部材331と一体的に回転する供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36も逆回転する。
このとき、軸部材331の逆回転時には第2ラッチ部材375が凹部331a内に没入するため(
図7(c)参照)、軸部材331から排出スクリュー37の第四軸371に直接には回転力が伝達されない。
一方、軸部材331上の第3歯車43は、第4歯車44を正回転させ、これが第5歯車45を逆回転させる。第5歯車45の逆回転時には、第1ラッチ部材451が第6歯車46の凹部46aに係止されるため(
図7(b)参照)、第5歯車45(歯車軸45a)から第6歯車46に回転力が伝達される。こうして第6歯車46が逆回転し、これが第四軸371上の第7歯車47を正回転させる結果、排出スクリュー37が正回転する。
このように、モータ-301から正回転の回転力が入力されたときには、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36が逆回転し、排出スクリュー37が正回転する。
【0040】
[現像装置の現像動作]
続いて、現像装置30の現像動作について説明する。
図8は、現像装置30の現像動作時における第1搬送部材33の動作を説明するための図であり、(a)が通常モード、(b)が排出モードを示す図である。
【0041】
現像装置30は、制御装置11によって動作制御される。制御装置11は、現像装置30の第1搬送部材33(供給スクリュー35、逆巻きスクリュー36、排出スクリュー37)と第2搬送部材34の回転駆動を行うモータ-301を正回転と逆回転とに切り替える制御を行うことができる。なお、第2搬送部材34の回転駆動は、モータ-301とは別の駆動源によってもよい。
【0042】
画像形成時において、現像装置30が通常の現像動作を行う通常モードの場合には、制御装置11は、第1搬送部材33及び第2搬送部材34を正回転させる方向にモータ-301を駆動する。
このうち、第1搬送部材33では、上述のとおり、第1歯車41を逆回転させる回転力がモータ-301から入力されることにより、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36が正回転し、排出スクリュー37も正回転する。そのため、
図8(a)に示すように、供給スクリュー35が第1搬送方向H1側に現像剤を搬送し、逆巻きスクリュー36が第2搬送方向H2側に現像剤を搬送する。これにより、供給室311内の現像剤が、供給スクリュー35と逆巻きスクリュー36の境界位置に集められて撹拌室312へ搬送される。また、排出スクリュー37は、供給室311内の現像剤を排出口318側に搬送する。
これにより、供給室311及び撹拌室312内の現像剤は、トナーとキャリアが撹拌されながら前述した矢印H1,H3,H2,H4を連ねた環状の循環経路に沿って搬送される(
図3参照)。
また、供給スクリュー35は、供給室311内で隣に位置する現像ローラー32の外周
面に撹拌により帯電した現像剤中のトナーを供給する。これにより、現像ローラー32は、筐体31の外部で対向する感光体13の外周面にトナー像を現像することができる。
【0043】
ここで、画像形成時において、制御装置11は、画像形成が行われる記録媒体を累積的にカウントし、排出モードを実行するための規定枚数に到達したか否かを常に監視する。また、制御装置11は、体積量検出装置303により筐体31内での現像剤の体積量を常に監視する。
そして、画像形成が行われる記録媒体が規定枚数に到達するか、筐体31内での現像剤の体積量が規定値を超えるかした場合、制御装置11は、画像形成を停止し、モータ-301を制御して第1搬送部材33及び第2搬送部材34を逆回転で駆動させ、排出モードを開始する。
【0044】
排出モードの実行時には、制御装置11は、モータ-301を通常モード時とは反対方向に回転させる。これにより、上述のとおり、第1搬送部材33のうち、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36が逆回転し、排出スクリュー37が正回転する。また、制御装置11は、第2搬送部材34を逆回転させる。
【0045】
こうして、供給スクリュー35、逆巻きスクリュー36及び第2搬送部材34が逆回転で駆動されると、供給スクリュー35が第2搬送方向H2側に現像剤を搬送し、逆巻きスクリュー36が第1搬送方向H1側に現像剤を搬送する。これにより、供給室311内の現像剤が、供給スクリュー35と逆巻きスクリュー36の境界位置でそれぞれ第2搬送方向H2と第1搬送方向H1とに分離するように別れて搬送され、逆巻きスクリュー36側の現像剤は排出口318側に搬送される。
このとき、排出スクリュー37は、
図8(b)に示すように、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36と異なり通常モードと同様に正回転しているため、逆巻きスクリュー36から搬送されてきた現像剤を、排出スクリュー37の第1搬送方向H1側に配置された排出口318に向けてそのまま搬送する。
これにより、排出モード時に排出スクリューが逆回転していた従来と異なり(
図12参照)、排出モード時に好適に現像剤を排出することができる。
【0046】
そして、制御装置11は、排出モードの開始からの経過時間を計時し、予め定められた実行時間の経過を監視する。あるいは、制御装置11は、体積量検出装置303が検出する筐体31内の現像剤の体積量を監視し、予め定められた排出モードを停止する目標体積量まで低減したかを監視する。
そして、所定の実行時間が経過するか、現像剤が目標体積量まで低減すると、制御装置11は、モータ-301を停止させて排出モードを停止する。
これにより、現像装置30の制御が終了する。
【0047】
[実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、排出スクリュー37が、通常モード及び排出モードのいずれにおいても第1搬送方向H1側の排出口318に向けて現像剤を搬送する。
これにより、排出モード時に排出スクリューが逆回転していた従来と異なり、排出モード時においても好適に現像剤を排出することができる。
【0048】
表Iは、排出モード時に排出スクリューが逆回転する従来構成と、排出スクリューが正回転したままの本実施形態の構成とで、排出モード時の現像剤の排出量を比較した結果である。
【表1】
【0049】
表Iに示すように、本実施形態の構成によれば、従来構成に比べて約4倍の排出量(排出速度)を確保でき、ひいては、従来構成と同じ排出量を得るための排出モードの実行時間を大幅に短縮することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、第1搬送部材33の軸部材331が、正回転時にのみ排出スクリュー37の第四軸371に直接に回転力を伝達するように当該第四軸371と連結されるとともに、これとは別に、逆回転時にのみ第四軸371を正回転させる回転力を伝達する連結機構40を介して、当該第四軸371の外周面と連結されている。
これにより、軸部材331を駆動する1つの駆動源(モーター301)の回転方向を制御するだけで、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36の回転方向を変えつつ、排出スクリュー37の回転方向を正回転に保持できる。
【0051】
また、本実施形態によれば、連結機構40が、供給室311よりも第1搬送方向H1側に設けられて当該供給室311からシールされた歯車室316内に配置されているので、現像剤等による連結機構40の汚れ、ひいてはその動作不良を抑制できる。
【0052】
[変形例]
続いて、上記実施形態の現像装置の変形例について説明する。本変形例に係る現像装置は、主に第1搬送部材の連結機構の構成の点で、上記実施形態と異なる。以下では、主にこの異なる点について説明し、上記実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
図9は、本変形例に係る連結機構50及びその周辺の縦断面図であり、
図10は、後述の第4歯車54と第3歯車53の歯車軸53aとの連結構造を示す断面図である。
図9に示すように、本変形例に係る第1搬送部材33Aは、上記実施形態における連結機構40に代えて、連結機構50を備える。
【0054】
連結機構50は、逆巻きスクリュー36と排出スクリュー37とを連結するものであり、供給室311内のうち、逆巻きスクリュー36と排出スクリュー37の間のX方向位置周辺に配置されている。
具体的に、連結機構50は、X方向に平行な回転軸回りに回転する複数の歯車部材(第1歯車51~第5歯車55)を備える。
【0055】
このうち、第1歯車51は、排出スクリュー37の第四軸371のうち、第1搬送方向H1の上流側(第2搬送方向H2側)の端部に、当該第四軸371と同心状に設けられている。
排出スクリュー37の第四軸371は、上記実施形態と同様に、第2ラッチ部材375を介して第1搬送部材33の軸部材331と連結されている。また、排出スクリュー37の第四軸371は、図示は省略するが、上記実施形態と異なり、第1搬送方向H1に延出することなく供給室311内に配置されている。
第1搬送部材33の軸部材331には、駆動源であるモーター301が連結されている。
【0056】
第2歯車52は、第1歯車51の外径側に配置され、当該第1歯車51と噛合している。
第3歯車53は、第2歯車52のさらに外径側に配置され、当該第2歯車52と噛合している。
【0057】
第4歯車54は、第3歯車53よりも第1搬送方向H1の上流側(第2搬送方向H2側)に配置され、第3歯車53の歯車軸53aに同心状に連結されている。
第4歯車54と歯車軸53aとは、第1ラッチ部材531を介して連結されている。
第1ラッチ部材531は、
図10に示すように、歯車軸53aの凹部53b内に、その回転中心と直交する径方向に出没可能なように設けられ、凹部53b内に配置された付勢部材53cにより外径方向に付勢されている。第1ラッチ部材531の先端部(外径部)は、歯車軸53aの周方向に対してX方向回りに傾斜したテーパー状の先端面を有する鋸歯状に形成されている。第4歯車54の内周面には、第1ラッチ部材531の先端部と対応した鋸歯状の凹部54aが形成されている。
そのため、第3歯車53(歯車軸53a)の正回転(
図10の時計回り)時には、第1ラッチ部材531と第4歯車54とで互いのテーパー面が滑るため、第1ラッチ部材531が第4歯車54により付勢部材53cの付勢力に抗して凹部53b内に没入される結果、第3歯車53(歯車軸53a)から第4歯車54には回転力が伝達されない。
一方、第3歯車53(歯車軸53a)の逆回転(
図10の反時計回り)時には、第1ラッチ部材531の先端部が第4歯車54の凹部54aに係止されるため、第3歯車53(歯車軸53a)から第4歯車54に回転力が伝達される。
【0058】
第5歯車55は、逆巻きスクリュー36の第三軸361のうち、第1搬送方向H1側の端部であって、第4歯車54と対応したX方向位置に、当該第三軸361と同心状に設けられ、第4歯車54と噛合している。
【0059】
図11(a)は、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36を正回転させる場合(通常モード)の連結機構50の動作を説明するための図であり、
図11(b)は、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36を逆回転させる場合(排出モード)の連結機構50の動作を説明するための図である。
上述のように構成された連結機構50により、排出スクリュー37は供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36とは独立して回転可能となっている。
具体的には、
図11(a)に示すように、まずモータ-301から正回転の回転力が軸部材331に入力されたときには、軸部材331と一体的に回転する供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36も正回転する。
このとき、軸部材331の正回転時には第2ラッチ部材375が第四軸371の凹部371aに係止されるため(
図5(b)参照)、排出スクリュー37の第四軸371は軸部材331から直接に回転力が伝達されて正回転する。
すると、第四軸371上の第1歯車51は、第2歯車52を逆回転させ、これが第3歯車53を正回転させる。第3歯車53の正回転時には、第1ラッチ部材531が凹部53b内に没入するため(
図10参照)、第3歯車53(歯車軸53a)から第4歯車54に回転力が伝達されない。そのため、第4歯車54は、逆巻きスクリュー36の第三軸361とともに正回転する第5歯車55によって逆回転し、第3歯車53の歯車軸53aとは空転する。
このように、モータ-301から正回転の回転力が入力されたときには、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36が正回転し、排出スクリュー37も正回転する。
【0060】
一方、
図11(b)に示すように、モータ-301から逆回転の回転力が軸部材331に入力されたときには、軸部材331と一体的に回転する供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36も逆回転する。
このとき、軸部材331の逆回転時には第2ラッチ部材375が凹部331a内に没入するため(
図5(b)参照)、軸部材331から排出スクリュー37の第四軸371に直接には回転力が伝達されず、軸部材331と第四軸371とは空転する。
一方、逆巻きスクリュー36の第三軸361とともに逆回転する第5歯車55は、第4歯車54を正回転させる。第4歯車54の正回転時(すなわち、第3歯車53(歯車軸53a)の相対的な逆回転時)には、第1ラッチ部材531が第4歯車54の凹部54aに係止されるため(
図10参照)、第4歯車54から歯車軸53a(第3歯車53)に回転力が伝達される。こうして第3歯車53が正回転し、これが第2歯車52を逆回転させる。そして、この第2歯車52が第四軸371上の第1歯車51を正回転させる結果、排出スクリュー37が正回転する。
このように、モータ-301から逆回転の回転力が入力されたときには、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36が逆回転し、排出スクリュー37が正回転する。
【0061】
以上のように、本変形例によっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、通常モードにおいて、供給スクリュー35、逆巻きスクリュー36及び排出スクリュー37を正回転させつつ、排出モードにおいて、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36を逆回転させ、排出スクリュー37を正回転させることができる。これにより、排出スクリュー37を、通常モード及び排出モードのいずれにおいても第1搬送方向H1側の排出口318に向けて現像剤を搬送させることができる。
したがって、排出モード時に排出スクリューが逆回転していた従来と異なり、排出モード時においても好適に現像剤を排出することができる。
【0062】
[その他]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態及びその変形例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態及びその変形例では、連結機構が複数の歯車部材を含むものとした。しかし、当該連結機構は、軸部材331又は逆巻きスクリュー36の正回転時には回転力を伝達せず、逆回転時には正回転させる回転力を第四軸371(スリーブ部材)に伝達するように、軸部材331又は逆巻きスクリュー36と第四軸371の外周面とを連結するものであればよい。したがって、歯車部材の数量等は特に限定されないし、歯車機構以外の動力伝達機構としてもよい。なお、連結機構は、現像剤による汚れを防ぐ観点から、できるだけ鉛直方向上側に配置されていた方がよい。
【0064】
また、ラッチ部材375、451、531は、連結する2部品の一方向への相対回転時には回転力を伝達し、その反対方向への相対回転時には回転力を伝達しないように当該2部品を連結するものであれば、その具体構成は特に限定されず、種々のワンウェイクラッチ機構を採用できる。
【0065】
また、排出スクリュー37は、通常モード及び排出モードのいずれにおいても第1搬送方向H1に現像剤を搬送するように構成されていれば、その具体構成は特に限定されない。この場合、排出スクリュー37の回転方向は特に限定されない。
例えば、供給スクリュー35及び逆巻きスクリュー36と排出スクリュー37とで、異なる駆動源により個別に駆動されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 画像形成装置
11 制御装置
13 感光体
30 現像装置
33、33A 第1搬送部材
35 供給スクリュー(第1搬送部)
36 逆巻きスクリュー(第2搬送部)
37 排出スクリュー(第3搬送部)
40 連結機構
41 第1歯車
42 第2歯車
43 第3歯車
44 第4歯車
45 第5歯車
45a 歯車軸
45b 凹部
45c 付勢部材
46 第6歯車
46a 凹部
47 第7歯車
50 連結機構
51 第1歯車
52 第2歯車
53 第3歯車
53a 歯車軸
53b 凹部
53c 付勢部材
54 第4歯車
54a 凹部
55 第5歯車
301 モーター
311 供給室(収容室)
316 歯車室
316a 隔壁
318 排出口
331 軸部材
331a 凹部
331b 付勢部材
351 第一軸
352 撹拌羽根
361 第三軸
362 撹拌羽根
371 第四軸(スリーブ部材)
371a 凹部
372 撹拌羽根
373 シール部材
374 シール部材
375 第2ラッチ部材
451 第1ラッチ部材
531 第1ラッチ部材
H1 第1搬送方向(配列方向)
H2 第2搬送方向(逆方向)