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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】熱音響装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
F25B9/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020135663
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032146
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武井 智行
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 利幸
(72)【発明者】
【氏名】中井 基生
(72)【発明者】
【氏名】河内 達磨
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-096387(JP,A)
【文献】特開2014-001631(JP,A)
【文献】特開2011-145006(JP,A)
【文献】米国特許第05901556(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00
F02G 1/055
F28F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱音響装置であって、
配管に設置される第1熱交換器であって、外部から熱を供給されて、前記配管内の流体であって前記第1熱交換器に接する流体に熱を付与する第1熱交換器と、
前記配管に設置される第2熱交換器であって、前記配管内の流体であって前記第2熱交換器に接する流体をあらかじめ定められた温度に制御する第2熱交換器と、
前記配管のうち、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間の部位に設置され、温度勾配を形成されて前記配管内に音波を発生させる蓄熱器と、を備え、
前記第1熱交換器は、
円筒部と、
前記円筒部の内部に配された互いに平行な複数組の板状のフィンユニットであって、前記円筒部の中心軸と平行に配されている複数組のフィンユニットと、を備え、
前記複数組のフィンユニットの少なくとも一部は、
それぞれ前記円筒部に固定されている一対の第1部位と、
それぞれ前記第1部位に接続されており、前記複数組のフィンユニットが並ぶ方向に沿って見たとき、前記第1部位よりも前記中心軸に近い位置に配されている1以上の第2部位と、を備え、
前記第2部位の前記中心軸の方向の寸法は、前記第1部位の前記中心軸の方向の寸法よりも小さく、
前記第2部位の前記蓄熱器と向かい合う端の少なくとも一部は、前記中心軸の方向について、前記第1部位の前記蓄熱器と向かい合う端と同じ位置か、前記第1部位の前記蓄熱器と向かい合う端よりも前記蓄熱器に近い位置にある、熱音響装置。
【請求項2】
請求項1記載の熱音響装置であって、
前記複数組のフィンユニットの前記少なくとも一部は、
前記一対の第1部位のうちの一方の前記第1部位と、前記一方の第1部位に接続されており、前記一方の第1部位よりも前記中心軸に近い位置に配されている前記第2部位の一部と、を備える第1フィンと、
前記一対の第1部位のうちの他方の前記第1部位と、前記他方の第1部位に接続されており、前記他方の第1部位よりも前記中心軸に近い位置に配されている前記第2部位の他の一部と、を備える第2フィンと、を備える、熱音響装置。
【請求項3】
請求項1記載の熱音響装置であって、
前記複数組のフィンユニットの前記少なくとも一部は、
前記一対の第1部位と、
前記一対の第1部位の間に配される連続した一つの前記第2部位と、を備える、熱音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度差に起因するエネルギーと、気体の振動による音響エネルギーとの間で、エネルギーの変換を行うことができる熱音響装置が存在する。特許文献1の熱音響変換素子は、第1熱交換器と同等の機能を果たす第1熱交換部と、第2熱交換器と同等の機能を果たす第2熱交換部との間に、蓄熱器の代わりに断熱部を有する。 断熱部は断熱部材により構成されている。断熱部材には、気体流路が構成されている。気体流路は、第1熱交換部および第2熱交換部を介して共鳴管と連通しており、気体を流通させる。第1熱交換部、第2熱交換部および断熱部は、一体に構成されている。
【0003】
熱音響装置を設置する際には、多くの場合、想定した性能を発揮させるために構成要素同士の位置の調整が行われる。しかし、特許文献1の熱音響変換素子は、第1熱交換器と、蓄熱器と、第2熱交換器と、をそれぞれ独立して備えないため、熱音響装置を構成する際に行われる、想定した性能を発揮させるための調整が、容易ではない。
【0004】
一方、第1熱交換器と、蓄熱器と、第2熱交換器と、をそれぞれ独立して備える態様においては、第1熱交換器と蓄熱器との間に空間が設けられる。具体的には、熱交換器と蓄熱器との間にスペーサやバネが配される。この空間により、第1熱交換器と蓄熱器との間で熱が直接、伝達され、接触の程度に応じて蓄熱器の温度分布が不均一になる事態が防止される。また、流路の方向に沿って投射した場合に、第1熱交換器の構成と、蓄熱器の気体流路の開口とが重なっている場合にも、第1熱交換器と蓄熱器の間の空間を気体が流通できることから、蓄熱器の気体流路の開口が塞がれない。その結果、蓄熱器におけるエネルギーの変換効率の低下が抑制される。蓄熱器と第2熱交換器との間についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-71821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
熱音響装置を構成する際に、熱交換器と蓄熱器との間にスペーサやバネを配する作業が煩雑であった。また、原動機において、第1熱交換器が外部から熱を受けると、第1熱交換器が有するフィンが熱膨張して湾曲し、隣接するフィンが互いに接触して、気体流路内の気体の流通を阻害することがあった。その結果、熱音響減少の発生が阻害される場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本開示の一形態によれば、熱音響装置が提供される。この熱音響装置は、第1熱交換器と、第2熱交換器と、蓄熱器と、を備える。第1熱交換器は、配管に設置される。第1熱交換器は、外部から熱を供給されて、前記配管内で前記第1熱交換器に接する流体に熱を付与する。第2熱交換器は、前記配管に設置される。第2熱交換器は、前記配管内で前記第2熱交換器に接する流体をあらかじめ定められた温度に制御する。蓄熱器は、前記配管のうち、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間の部位に設置される。蓄熱器は、温度勾配を形成されて前記配管内に音波を発生させる。前記第1熱交換器は、円筒部と、前記円筒部の内部に配された互いに平行な複数組の板状のフィンユニットであって、前記円筒部の中心軸と平行に配されている複数組のフィンユニットと、を備える。前記複数組のフィンユニットの少なくとも一部は、前記円筒部に固定されている第1部位と、前記第1部位に接続されており、前記複数組のフィンユニットが並ぶ方向に沿って見たとき、前記第1部位よりも前記中心軸に近い位置に配されている第2部位と、を備える。前記第2部位の前記中心軸の方向の寸法は、前記第1部位の前記中心軸の方向の寸法よりも小さく、前記第2部位の前記蓄熱器と向かい合う端の少なくとも一部は、前記中心軸の方向において、前記第1部位の前記蓄熱器と向かい合う端と同じ位置か、前記第1部位の前記蓄熱器と向かい合う端よりも前記蓄熱器に近い位置にある。
このような態様とすれば、熱音響装置の使用時に、複数組のフィンユニットの少なくとも一部において、第1部位と第2部位が並ぶ方向にフィンユニットが熱膨張することにより、第2部位の蓄熱器と向かい合う端の少なくとも一部が、蓄熱器に近づく向きに変位する。その結果、蓄熱器は、第2部位の蓄熱器と向かい合う端の少なくとも一部によって、第1部位を含むフィンユニットの他の部位との接触を阻止される。このため、熱交換器と蓄熱器との間に空間を設けるために、第1熱交換器と蓄熱器との間にスペーサやバネを配する必要がない。
(2)上記形態の熱音響装置において、前記複数組のフィンユニットの前記少なくとも一部は、前記一対の第1部位のうちの一方の前記第1部位と、前記一方の第1部位に接続されており、前記一方の第1部位よりも前記中心軸に近い位置に配されている一対の前記第2部位の一方と、を備える第1フィンと、前記一対の第1部位のうちの他方の前記第1部位と、前記他方の第1部位に接続されており、前記他方の第1部位よりも前記中心軸に近い位置に配されている前記一対の第2部位の他方と、を備える第2フィンと、を備える、態様とすることもできる。
このような態様においては、フィンユニットの第2部位が連続していない二つの部位で構成されるため、フィンユニットに対する加熱と冷却が繰り返された場合に、フィンユニットの第2部位の最も細い部分において疲労破壊が起こる可能性を低減できる。
(3)上記形態の熱音響装置において、前記複数組のフィンユニットの前記少なくとも一部は、前記一対の第1部位と、前記一対の第1部位の間に配される連続した一つの前記第2部位と、を備える、態様とすることもできる。
このような態様においては、一つのフィンユニットが一つの部材で構成されているため、フィンユニットが熱膨張した場合に、第2部位を構成する各部が、中心軸方向および第1部位と第2部位が並ぶ方向に垂直な方向に、ずれにくい。このため、第1部位と第2部位が並ぶ方向のフィンユニットの膨張を、適切に、蓄熱器に向かう方向の変形に変換することができる。
【0009】
本開示は、熱音響装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、熱交換器、熱交換器を備えた原動機等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態である熱音響装置TAの概略構成を示す説明図である。
図2】原動機PMの概略構成を示す断面図である。
図3】原動機PMの第1熱交換器40を示す斜視図である。
図4】第1熱交換器40のフィンモジュール44の平面図である。
図5】Y軸方向に垂直な断面における、第1熱交換器40の断面図である。
図6】一部を除去した状態の第1熱交換器40を示す斜視図である。
図7】最高温度Tmaxまで複数のフィン48の温度が上昇した場合の第1熱交換器40の断面図である。
図8】第1実施形態の変形例における、第1熱交換器40vの断面図である。
図9】第2実施形態における、第1熱交換器40cの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A1.熱音響装置TAの構成:
図1は、本発明の実施形態である熱音響装置TAの概略構成を示す説明図である。なお、図1は、熱音響装置TAの各構成要素の形状を正確に示すものではない。熱音響装置TAは、ループ管型の熱音響装置である。熱音響装置TAは、熱源HSと冷却対象COとに接続されている。熱音響装置TAは、熱源HSから熱エネルギーを供給されて、冷却対象COを冷却することができる。
【0012】
熱音響装置TAは、原動機PMと、ヒートポンプHPと、ループ管LT1,LT2と、を備える。原動機PMの一端とヒートポンプHPの一端とは、ループ管LT1によって接続されている。原動機PMの他端とヒートポンプHPの他端とは、ループ管LT2によって接続されている。その結果、原動機PMと、ヒートポンプHPと、ループ管LT1,LT2とは、輪状の配管構造PAを構成している。この輪状の配管構造PA内には、流体FL1が満たされている。本実施形態において、流体FL1は、空気である。輪状の配管構造PAは、内部の流体FL1が、輪状の配管構造PA内を流通可能であるように構成されている。
【0013】
原動機PMは、熱源HSから熱エネルギーを供給されて、音波を発生させる(図1の下段左部参照)。原動機PMは、第1熱交換器40と、第2熱交換器20と、蓄熱器30と、を備える。
【0014】
図1において、第1熱交換器40と、蓄熱器30と、第2熱交換器20と、が並ぶ方向を、Z軸方向として示す。Z軸方向は、第1熱交換器40、蓄熱器30、および第2熱交換器20の中心軸CAの方向と一致する。また、Z軸方向に垂直な2方向であって互いに垂直な方向を、図1において、X軸方向およびY軸方向として示す。図2以降において示すX軸、Y軸、Z軸は、図1において示したX軸、Y軸、Z軸と対応する。
【0015】
図2は、原動機PMの概略構成を示す断面図である。図3は、原動機PMの第1熱交換器40を示す斜視図である。第1熱交換器40は、上述のように、配管構造PAに設置されている。具体的には、第1熱交換器40は、原動機PMの一端において、流体FL1を流通可能であるようにループ管LT1に接続されている(図1の下段左部および図2の下段参照)。第1熱交換器40は、さらに、熱源HSに接続されている。本実施形態において、熱源HSは、抵抗加熱方式の棒状のヒータである(図3参照)。第1熱交換器40は、熱源HSとしての4本の棒状のヒータに接続されている。第1熱交換器40は、第1熱交換器40の外部の構成である熱源HSから熱を供給されて、配管構造PA内の流体FL1であって、第1熱交換器40に接する流体FL1に、熱を付与する。
【0016】
第1熱交換器40は、伝熱リング43と、フィンモジュール44と、を備える(図2の下段および図3参照)。伝熱リング43は、熱源HSに接続されており、熱源HSから熱を受け取る。フィンモジュール44は、伝熱リング43の中央の穴に配されている。フィンモジュール44は、Y軸方向に並ぶ多数のフィンを備えている。フィンモジュール44における隣り合うフィンの間隙は、流体FL1を流通させる流路42を構成する。フィンモジュール44は、伝熱リング43から熱を受け取って、流路42を流れる流体FL1に熱を与える。
【0017】
第2熱交換器20は、上述のように、配管構造PAに設置されている。具体的には、第2熱交換器20は、原動機PMの他端において、流体FL1を流通可能であるようにループ管LT2に接続されている(図1の下段左部および図2の上段参照)。第2熱交換器20は、図示しないチラーを備える。第2熱交換器20は、チラーによって温度を一定に保たれている。第2熱交換器20は、配管構造PA内の流体FL1であって、第2熱交換器20に接する流体FL1を、あらかじめ定められた温度に制御する。
【0018】
第2熱交換器20は、ジャケット23と、フィンモジュール24と、を備える(図2の上段参照)。ジャケット23は、流体FL2を流通させる流路26を構成する環状の構造物である。ジャケット23は、チラーに接続され、チラーによって流体FL2を流通される。本実施形態において、流体FL2は、水である。フィンモジュール24は、ジャケット23の中央の穴に配されている。フィンモジュール24は、Y軸方向に並ぶ多数のフィンを備えている。フィンモジュール24における隣り合うフィンの間隙は、流体FL1を流通させる流路22を構成する。フィンモジュール24は、ジャケット23との間で熱交換を行う。チラーによる流体FL2の流通によって、ジャケット23およびフィンモジュール24は、あらかじめ定められた温度に制御される。その結果、配管構造PA内の流体であって第2熱交換器20に接する流体は、あらかじめ定められた温度に制御される。
【0019】
蓄熱器30は、配管構造PAのうち、第1熱交換器40と第2熱交換器20との間の部位に設置されている(図1の下段左部および図2参照)。具体的には、蓄熱器30は、第1熱交換器40と第2熱交換器20とを接続するループ管LT3の管内に収容されている。蓄熱器30は、環状のスペーサ132を介して、第2熱交換器20と接している(図2の上段中央部参照)。スペーサ132は、蓄熱器30の外径と略同じ外形を有する環状の構造物である。スペーサ132の環構造によって環の内側に規定される空間S2により、蓄熱器30と第2熱交換器20とは隔てられている。一方、蓄熱器30と第1熱交換器40との間には、スペーサは、配されていない。
【0020】
蓄熱器30は、多数の貫通孔を備えている。それらの貫通孔は、流体FL1を流通させる流路32を構成する。蓄熱器30は、流体FL1を流通可能であるように第1熱交換器40および第2熱交換器20と接続されている。蓄熱器30は、温度勾配を形成されて、配管構造PAのループ管LT1内に音波を発生させる。
【0021】
原動機PMは、以下のように動作する。第1熱交換器40によって加熱された流体FL1が、蓄熱器30の一端38およびその近傍の部分に熱を与えることにより、蓄熱器30の一端38の近傍が高温となる。第2熱交換器20によって一定の温度に保たれている流体FL1が、蓄熱器30の他端39およびその近傍の部分から熱を奪うことにより、蓄熱器30の他端39の近傍が、蓄熱器30の一端38に対して低温となる。その結果、蓄熱器30に、温度勾配が形成される。すると、蓄熱器30は、熱音響自励振動を起こし、流路32内で定常波を発生させる。蓄熱器30が発生させた定常波の音波は、ループ管LT1内の流体FL1を介して、原動機PMの一端からヒートポンプHPの一端に伝えられる(図1の矢印K1参照)。
【0022】
ヒートポンプHPは、原動機PMから音波を供給されて、冷却対象COを冷却する(図1の上段右部参照)。ヒートポンプHPは、原動機PMと略同様の構成を有する。ヒートポンプHPは、第3熱交換器90と、第4熱交換器70と、蓄熱器80と、を備える。第4熱交換器70が、原動機PMの第1熱交換器40に対応する。第3熱交換器90が、原動機PMの第2熱交換器20に対応する。蓄熱器80が、原動機PMの蓄熱器30に対応する。
【0023】
第3熱交換器90は、上述のように、配管構造PAに設置されている。具体的には、第3熱交換器90は、ヒートポンプHPの一端において、流体FL1を流通可能であるようにループ管LT1に接続されている(図1の上段右部参照)。第3熱交換器90は、図示しないチラーを備える。第3熱交換器90は、チラーによって流体を流通されて、温度を一定に保たれている。第3熱交換器90は、配管構造PA内の流体FL1であって、第3熱交換器90に接する流体FL1を、あらかじめ定められた温度に制御する。
【0024】
第4熱交換器70は、上述のように、配管構造PAに設置されている。具体的には、第4熱交換器70は、ヒートポンプHPの他端において、流体FL1を流通可能であるようにループ管LT2に接続されている(図1の上段右部参照)。第4熱交換器70は、さらに、冷却対象COに接続されている。第4熱交換器70は、配管構造PA内の流体FL1であって、第4熱交換器70に接する流体FL1から熱を奪われて、冷却対象COから熱を奪う。その結果、冷却対象COが冷却される。
【0025】
蓄熱器80は、第4熱交換器70と第3熱交換器90との間の部位に設置されている(図1の上段右部参照)。より具体的には、蓄熱器80は、環状のスペーサを介して、第3熱交換器90と接している。スペーサは、図1において示されていない。スペーサは、蓄熱器80の外径と略同じ外形を有する環状の構造物である。スペーサの環構造によって環の内側に規定される空間により、蓄熱器80と第3熱交換器90とは隔てられている。蓄熱器80と第4熱交換器70との間にも、同様のスペーサが配されている。
【0026】
蓄熱器80は、多数の貫通孔を備えている。それらの貫通孔は、流体FL1を流通させる流路82を構成する。蓄熱器80は、流体FL1を流通可能であるように第4熱交換器70および第3熱交換器90と接続されている。蓄熱器80は、ループ管LT1内の流体FL1によって伝達される定常波の音波によって、温度勾配を形成される。
【0027】
ヒートポンプHPは、以下のように動作する。蓄熱器80の流路82内において、流体FL1は定常波で振動する。流体FL1の微小部分が蓄熱器80の一端88から他端89に向かう向きに移動する際に、流体FL1は断熱膨張する。そして、流体FL1の微小部分の温度は低下する。流体FL1の微小部分は、蓄熱器80の構造から熱を奪う。一方、流体FL1の微小部分が蓄熱器80の他端89から一端88に向かう向きに移動する際に、流体FL1は断熱圧縮される。そして、流体FL1の微小部分の温度は上昇する。流体FL1の微小部分は、蓄熱器80の構造に熱を与える。その結果、流体FL1の振動によって、蓄熱器80の流路82内において、蓄熱器80の他端89から一端88に向かう向きに、熱の移動が生じる。よって、蓄熱器80において、温度勾配が形成される。
【0028】
一方、第3熱交換器90によって、蓄熱器80の一端88の近傍の温度は、一定に保たれている。その結果、流体FL1の振動による熱の移動によって、蓄熱器80の他端89の近傍は、冷却される。すると、第4熱交換器70を介して、冷却対象COが冷却される。
【0029】
A2.第1実施形態である第1熱交換器40のフィンモジュール44の構成:
図4は、第1熱交換器40のフィンモジュール44の平面図である。図4は、20℃におけるフィンモジュール44の形状を示す。フィンモジュール44は、銅合金で構成される。フィンモジュール44は、円筒部46と、複数のフィン48と、を有する。円筒部46は、ループ管LT1,LT2とほぼ同じ内径を有する環状の部材である(図2の下段および図3参照)。
【0030】
複数のフィン48は、円筒部46の内部に配されている。複数のフィン48は、いわゆるストレートフィンである。複数のフィン48は、互いに平行で板状の複数のフィンである。複数のフィン48は、円筒部46の中心軸CAと平行に配されている。具体的には、複数のフィン48は、Z軸方向およびX軸方向に平行に配されている。複数のフィン48は、Y軸方向に並んで配されている。複数のフィン48の厚さは、同じである。本実施形態において、フィン48の厚さは、0.5mmである。隣り合うフィン48の間隔は、0.5mmである。複数のフィン48は、円筒部46の中心軸CAを通る平面SAに対して対称の形状を有する。
【0031】
複数のフィン48を構成するそれぞれのフィンとして、図4において、例示的に、フィン1R,1L,2R,2L,3R,3Lに符号を付して示す。フィン1Rの両端のうち、円筒部46に接続され基部として機能する端を1Rbで示し、先端を1Rtで示す(図4の中段左部参照)。フィン1L,2R,2L,3R,3Lについても、基部である端は、各フィンの符号の末尾にbを付した符号で示し、先端は、各フィンの符号の末尾にtを付した符号で示す。
【0032】
フィン1R,1Lは、円筒部46の中心軸CAを挟んで向かい合う位置に配されている。すなわち、フィン1R,1Lは、円筒部46の直径Dmに沿って配されている。フィン1R,1Lは、複数のフィン48のうち最も長いフィンである。
【0033】
フィン2R,2Lは、中心軸CAを含む平面SAを挟んで向かい合う位置に配されている。フィン3R,3Lは、平面SAを挟んで向かい合う位置に配されている。フィン2R,2L,3R,3Lは、複数のフィン48のうち最も短いフィンである。
【0034】
平面SAを挟んで向かい合う位置に配されている一対のフィンは、フィンユニットを構成する。図4に示した例においては、フィン1R,1Lは、フィンユニット1を構成する。フィン2R,2Lは、フィンユニット2を構成する。フィン3R,3Lは、フィンユニット3を構成する。複数組のフィンユニットは、円筒部46の内部に配された互いに平行な複数組の板状の構成である。複数組のフィンユニットは、円筒部46の中心軸CAと平行に配されている。複数組のフィンユニットは、Z軸方向およびX軸方向に平行に配されている。
【0035】
図5は、Y軸方向に垂直な断面における、第1熱交換器40の断面図である。図5は、図4に示す第1熱交換器40のV-V断面図である。図5は、20℃におけるフィンユニット1の形状を示す。フィンユニット1は、一対の第1部位1R1,1L1と、一対の第2部位1R2,1L2と、を備える(図5の下段中央部参照)。第1部位1L1と、第2部位1L2と、第2部位1R2と、第1部位1R1とは、X軸方向に沿ってその順に並ぶ。
【0036】
第1部位1R1,1L1は、それぞれ円筒部46に固定されている。すなわち、第1部位1R1は、フィン1Rの基部1Rbを含む(図4の中段参照)。第1部位1L1は、フィン1Lの基部1Lbを含む。第1部位1R1,1L1は、Z軸方向について、一定の幅W11を有する。
【0037】
第2部位1R2,1L2は、それぞれ第1部位1R1,1L1に接続されている。第2部位1R2は、フィン1Rの先端1Rtを含む(図4の中央部参照)。第2部位1R2は、Y軸方向に沿って見たとき、第1部位1R1よりも中心軸CAに近い位置に配されている。第2部位1L2は、フィン1Lの先端1Ltを含む。第2部位1L2は、複数組のフィンユニットが並ぶY軸方向に沿って見たとき、第1部位1L1よりも中心軸CAに近い位置に配されている。
【0038】
第2部位1R2と第2部位1L2とを、まとめて「第2部位12」とも呼ぶ。第2部位1R2は、第2部位12の一部であり、第2部位1L2は、第2部位12の他の一部である。
【0039】
第1部位1R1,1L1の蓄熱器30と向かい合う端E11と、第2部位12の蓄熱器30と向かい合う端E12は、20℃の環境下において、同一直線上にある(図5の中央部参照)。すなわち、第2部位12の蓄熱器30と向かい合う端E12は、Z軸方向について、第1部位1R1,1L1の蓄熱器30と向かい合う端E11と同じ位置にある。そして、蓄熱器30とは逆の側においては、第2部位1R2,1L2の端は、それぞれ第1部位1R1,1L1の端の位置から、中心軸CAに近づくにつれて直線的に他方の端E12に近づき、中心軸CAにおいて他方の端E12と一致する。その結果、第2部位12のZ軸方向の寸法W12は、第1部位1R1,1L1のZ軸方向の寸法W11よりも小さい。
【0040】
フィンの単位で把握すると、フィン1Rは、フィンユニット1に含まれる一対の第1部位1R1,1L1のうちの第1部位1R1と、フィンユニット1に含まれる一対の第2部位1R2,1L2のうちの第2部位1R2と、を備える。第2部位1R2は、第1部位1R1に接続されており、第1部位1R1よりも中心軸CAに近い位置に配されている。
【0041】
フィン1Lは、一対の第1部位1R1,1L1のうちの第1部位1L1と、一対の第2部位1R2,1L2のうちの第2部位1L2と、を備える。第2部位1L2は、第1部位1L1に接続されており、第1部位1L1よりも中心軸CAに近い位置に配されている。
【0042】
図6は、一部を除去した状態の第1熱交換器40を示す斜視図である。円筒部46内の複数のフィン48の第2部位は、Y軸方向に投射したとき、互いに一致する外形形状を有する。その結果、複数のフィン48のZ軸負方向側の面には、それぞれY軸方向に平行な向かい合う二つの仮想的な平面RsR,RsLで規定される凹部Rsが、形成されている(図6の下段右部、図5の中央部、および図4の中央部参照)。一方、円筒部46内の複数のフィン48の第1部位のX軸方向の長さは、フィンが配されているY軸方向の位置に応じて異なる(図4および図6参照)。円筒部46内の複数のフィン48は、第1部位のX軸方向の長さ以外の点については、互いに同一の構成を有する。
【0043】
図7は、第1熱交換器40の使用において想定されている最高温度Tmaxまで複数のフィン48の温度が上昇した場合の第1熱交換器40の断面図である。熱音響装置TAの使用時には、フィンユニット1のフィン1R,1Lが、それぞれX軸方向に熱膨張することにより、フィン1Rの先端1Rtと、フィン1Lの先端1Ltとが、X軸方向に沿って相互に押しつけられる。すると、第2部位12の蓄熱器30と向かい合う端E12の一部が、蓄熱器30に近づく向き、すなわちZ軸正方向に変位する。
【0044】
その結果、蓄熱器30は、第2部位12の蓄熱器30と向かい合う端E12の一部によって支持され、第1部位1R1,1L1を含むフィンユニット1の他の部位との接触を阻止される(図7の中央部参照)。すなわち、熱音響装置TAの設計時に想定した部位において、第1熱交換器40と蓄熱器30とが接触することとなる。
【0045】
このような変形は、他のフィンユニットにおいても生じる。このため、温度が上昇した際には、複数組のフィンユニットにおいて、向かい合うフィンの先端部が蓄熱器30に向かって突出し、対称の軸である平面SA上において峰状の隆起が生じる。隆起は、最も長いフィンユニット1において、最も高くなる。よって、蓄熱器30は、フィンユニット1の第2部位12によって、接触される。その結果、熱音響装置TAの設計時に想定した部位において、第1熱交換器40と蓄熱器30とが接触することとなる。すなわち、第1熱交換器40の各部と蓄熱器30の各部との接触の程度に応じて蓄熱器30の温度分布が不均一になる事態が防止される。また、第1熱交換器40の構成によって、蓄熱器30の気体流路の開口が塞がれない。
【0046】
なお、図7において、熱音響装置TAの使用時における蓄熱器30の位置を破線で示す。図5においても熱音響装置TAの使用時における蓄熱器30の位置を破線で示す。図2において示す蓄熱器30の位置は、フィン1R,1Lによって蓄熱器30が持ち上げられた際の位置である。
【0047】
本実施形態においては、熱音響装置TAの使用時に、第1熱交換器40のフィンユニットが以上のように変形することから、第1熱交換器40と蓄熱器30との間に空間S1を設けるために、第1熱交換器40と蓄熱器30との間にスペーサやバネを配する必要がない。その結果、原動機PM、ひいては熱音響装置TAを構成する部品の数を減らせるため、熱音響装置TAの信頼性を向上させることができる。
【0048】
また、第2部位12の蓄熱器30と向かい合う端E12の一部が、蓄熱器30に近づく向き、すなわちZ軸正方向に変位し、フィンユニット1が曲がることにより、X軸方向のフィンユニット1の熱膨張による寸法の増大が、吸収される。このため、フィンユニット1が熱膨張してY軸方向に湾曲し、隣接するフィンユニット1が互いに接触して、配管内の気体の流通を阻害する可能性が低い。
【0049】
さらに、本実施形態においては、フィンユニットの第2部位が連続していない二つの部位で構成される(図5から図7参照)。このため、フィンユニットに対する加熱と冷却が繰り返された場合に、フィンユニットの第2部位の最も細い部分において疲労破壊が起こる可能性を低減できる。
【0050】
本実施形態における配管構造PAを、「配管」とも呼ぶ。フィン1Rを、「第1フィン」とも呼ぶ。フィン1Lを、「第2フィン」とも呼ぶ。
【0051】
A3.第1実施形態の変形例:
第1実施形態の変形例においては、フィンユニットの第2部位の形状が、第1実施形態とは異なっている。第1実施形態の変形例の熱音響装置の他の点は、第1実施形態の熱音響装置TAと同じである。第1実施形態の各構成に対応する第1実施形態の変形例の構成には、第1実施形態の各構成の符号の末尾にvを付した符号を付す。
【0052】
図8は、第1実施形態の変形例における、第1熱交換器40vの断面図である。図8は、第1実施形態の図5に対応する。第1実施形態の変形例においては、フィン1Rvは、第2部位1R7の中心軸CA側の先端部に、Z軸正方向に突出する凸部1Rpを備える。フィン1Lvは、第2部位1L7の中心軸CA側の先端部に、Z軸正方向に突出する凸部1Lpを備える。他のフィンユニットも、同様の突部を備える。
【0053】
このような構成においては、第1熱交換器40vの使用において想定されている最高温度Tmaxより低い温度においても、フィンユニットの一部としての凸部が蓄熱器30を支持して、フィンユニット1vの他の部位との接触を阻止する。このため、より広い温度範囲において、蓄熱器30とフィンユニット1vの他の部位との間に、空間S1を確保することができる。そして、凸部の形状を適切に設計することにより、様々な温度において、蓄熱器30とフィンユニット1vの凸部以外の部位との間に、望ましい大きさの間隙を、設けることができる。
【0054】
B.第2実施形態:
第2実施形態においては、フィンユニットの第2部位の形状が、第1実施形態とは異なっている。第2実施形態の熱音響装置の他の点は、第1実施形態の熱音響装置TAと同じである。第1実施形態の各構成に対応する第2実施形態の構成には、第1実施形態の各構成の符号の末尾にcを付した符号を付す。
【0055】
図9は、第2実施形態における、第1熱交換器40cの断面図である。図9は、第1実施形態の図5に対応する。第1実施形態においては、フィンユニット1は、二つの部材であるフィン1R,1Lから構成されている。一方、第2実施形態においては、フィンユニット1cは、一つの部材から構成されている。すなわち、フィンユニット1cは、一対の第1部位1R1,1L1と、連続した一つの第2部位12cと、を備える。連続した一つの第2部位12cは、一対の第1部位1R1,1L1の間に配される。
【0056】
連続した一つの第2部位12cは、対称の面SAにおいて互いに接続された二つの部分1R3,1L3を含む。部分1R3は、第1実施形態の第2部位1R2に対応する。部分1L3は、第1実施形態の第2部位1L2に対応する。技術の理解を容易にするために、第1部位1R1と部分1R3とを備える部位を、フィン部1Rcとして、図9に示す。フィン部1Rcは、第1実施形態のフィン1Rに対応する。第1部位1L1と部分1L3とを備える部位を、フィン部1Lcとして、図9に示す。フィン部1Lcは、第1実施形態のフィン1Lに対応する。
【0057】
第2実施形態においては、他のフィンユニットも、同様に構成されている。
【0058】
第2実施形態においては、一つのフィンユニットが一つの部材で構成されている(図9参照)。このため、フィンユニットが熱膨張した場合に、第2部位の部分1R3,1L3が、Y軸方向について、相互にずれにくい。このため、X軸方向のフィンユニットの膨張を、適切に、蓄熱器30に向かう方向の変形に変換することができる(図7参照)。
【0059】
C.他の実施形態:
(1)上記第1実施形態においては、第1部位1R1,1L1の蓄熱器30と向かい合う端E11と、第2部位12の蓄熱器30と向かい合う端E12は、同一直線上にある。すなわち、第2部位12の端E12は、Z軸方向について、第1部位1R1,1L1の端E11と同じ位置にある(図5参照)。しかし、第2部位12の端E12は、図8に示される第1実施形態の変形例のように、他の形状を有していてもよい。たとえば、第2部位12の端E12は、Z軸方向について1以上の凹部や1以上の突部を有していてもよい。また、第2部位12の端E12の少なくとも一部が、曲線で構成されていてもよい。
【0060】
ただし、第2部位の蓄熱器と向かい合う端の少なくとも一部は、円筒部の中心軸の方向について、第1部位の蓄熱器と向かい合う端と同じ位置にあるか、第1部位の蓄熱器と向かい合う端よりも蓄熱器に近い位置にあることが好ましい。そして、第2部位の蓄熱器と向かい合う端のうち、3/4以上が、円筒部の中心軸に垂直な直線状であることが好ましく、4/5以上が、円筒部の中心軸に垂直な直線状であることがより好ましく、9/10以上が、円筒部の中心軸に垂直な直線状であることがさらに好ましい。そして、他の部位は、第1部位の蓄熱器と向かい合う端よりも蓄熱器に近い位置にあることが好ましい。他の部位は、円筒部の中心軸に最も近い端を含むことが好ましい。
【0061】
(2)上記第1実施形態においては、蓄熱器30とは逆の側においては、第2部位1R2,1L2の端は、それぞれ第1部位1R1,1L1の端の位置から、中心軸CAに近づくにつれて直線的に他方の端E12に近づき、中心軸CAにおいて他方の端E12と一致する(図5参照)。しかし、1以上の第2部位12の蓄熱器30とは逆の側の端の形状は、たとえば、蓄熱器に向かって凸の形状で、円筒部の中心軸に近づくにつれて他方の端E12に近づいてもよく、蓄熱器とは逆の側に向かって凸の形状で、円筒部の中心軸に近づくにつれて他方の端E12に近づいてもよい。さらに、第2部位12の蓄熱器30とは逆の側の端の形状は、円筒部の中心軸への接近に対して、単調減少である必要はなく、1以上の増加と1以上の減少を含んでいてもよい。
【0062】
ただし、円筒部の中心軸の方向の第2部位の寸法は、中心軸の方向の第1部位の寸法よりも小さいことが好ましい。なお、ある方向について、「第2部位の寸法が、第1部位の寸法よりも小さい」とは、その方向について、第2部位の寸法の最小値が、第1部位の寸法よりも小さいことを意味する。
【0063】
(3)上記実施形態においては、フィンユニット1の第1部位1R1,1L1は、Z軸方向について、一定の幅W11を有する(図5および図9参照)。しかし、フィンユニットの第1部位は、異なる幅を有する部位を含んでいてもよい。
【0064】
(4)上記第1実施形態においては、円筒部46内の複数のフィン48は、第1部位のX軸方向の長さ以外の点については、互いに同一の構成を有する(図4および図6参照)。しかし、円筒部内の複数のフィンは、その一部または全部が、互いに異なる形状を備えていてもよい。ただし、複数組のフィンユニットの少なくとも一部は、(i)中心軸の方向の第2部位の寸法が、中心軸の方向の第1部位の寸法よりも小さく、(ii)第2部位の蓄熱器と向かい合う端の少なくとも一部が、中心軸の方向について、第1部位の蓄熱器と向かい合う端と同じ位置か、第1部位の蓄熱器と向かい合う端よりも蓄熱器に近い位置にある、ことが好ましい。
【0065】
(5)上記第1実施形態においては、円筒部46は、一つの略円筒状の部材から構成されている。しかし、円筒部は、円筒の中心軸の方向に沿って並ぶ複数の環状部材で構成されていてもよい。また、円周方向について分割された、複数の部材から構成されていてもよい。すなわち、円筒部は、円の中心軸方向に沿って投射したときに、環状の外形を構成する部材であればよい。
【0066】
(6)上記実施形態の図1図2図5図7図9においては、蓄熱器30が第1熱交換器40の上方にあるように熱音響装置TAの構成が示されている。しかし、各図に示したZ軸正方向は、必ずしも鉛直上方である必要はない。Z軸正方向が水平方向など、他の向きであっても、熱音響装置TAの使用時には、熱音響装置TAの設計時に想定した部位において、第1熱交換器40と蓄熱器30とが接触するか、または第1熱交換器40と蓄熱器30とが接触しないこととなる。このため、第1熱交換器40の各部と蓄熱器30の各部との接触の程度に応じて蓄熱器30の温度分布が不均一になる事態が防止される。また、第1熱交換器40の構成によって、蓄熱器30の気体流路の開口が塞がれない。
【0067】
(7)上記第1実施形態においては、第1熱交換器40は、上述のように、ループ管型の熱音響装置TAの配管構造PAに設置されている(図1参照)。しかし、本開示の熱交換器は、燃焼後の排気から熱を回収するために使用される熱交換器など、他の機器に適用される熱交換器とすることもできる。ただし、本開示の技術は、使用時に温度が上昇し、使用時に、隣接する他の機器と密着しないことが望まれる熱交換器に適用されることが好ましい。
【0068】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
TA…熱音響装置、HS…熱源、CO…冷却対象、20…第2熱交換器、22…流体FL1の流路、23…ジャケット、26…流体FL2の流路、24…フィンモジュール、30…蓄熱器、32…流体FL1の流路、39…蓄熱器30の他端、38…蓄熱器30の一端、132…スペーサ、40…第1熱交換器、42…流体FL1の流路、40v…第1熱交換器、40c…第1熱交換器、43…伝熱リング、44…フィンモジュール、70…第4熱交換器、80…蓄熱器、82…流体FL1の流路、89…蓄熱器80の他端、88…蓄熱器80の一端、90…第3熱交換器、46…円筒部、48…フィン、CA…中心軸、Dm…直径、E11…第1部位の端、E12…第2部位の端、FL1…流体、FL2…流体、1…フィンユニット、12…第2部位、12c…第2部位、1L…フィン、1L1…第1部位、1L2…第2部位、1L3…第2部位の一部、1L7…第2部位、1Lb…基部、1Lp…凸部、1Lt…先端、1Lv…フィン、1R…フィン、1Rv…フィン、1R1…第1部位、1R2…第2部位、1R3…第2部位の一部、1R7…第2部位、1Rb…基部、1Rp…凸部、1Rt…先端、1c…フィンユニット、1v…フィンユニット、2…フィンユニット、2L…フィン、2R…フィン、3…フィンユニット、3L…フィン、3R…フィン、HP…ヒートポンプ、LT1…ループ管、LT2…ループ管、LT3…ループ管、PA…配管構造、PM…原動機、Rs…凹部、RsL…仮想平面、RsR…仮想平面、S1…空間、S2…空間、SA…対称の軸である平面、W11…寸法、W12…寸法
図1
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