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特許7472718校正装置、校正方法、及び校正プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】校正装置、校正方法、及び校正プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/02 20060101AFI20240416BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20240416BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20240416BHJP
   H04N 25/13 20230101ALI20240416BHJP
   H04N 17/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01J3/02 C
G01J3/46 Z
G01J3/26
H04N25/13
H04N17/00 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020142415
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038102
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】内藤 拓未
(72)【発明者】
【氏名】金井 政史
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-105079(JP,A)
【文献】特開2014-038081(JP,A)
【文献】特開2007-329591(JP,A)
【文献】特開2012-078151(JP,A)
【文献】特開2010-249548(JP,A)
【文献】特開2012-191635(JP,A)
【文献】特開2022-022514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/02
G01J 3/46
G01J 3/26
H04N 25/13
H04N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサーを備えた校正装置であって、
前記少なくとも一つのプロセッサーは、
(1)光源部からの均一光を校正対象となる分光測定器で分光測定して測定値を取得することと、
(2)前記光源部からの前記均一光を校正基準器で測定して分光基準値を取得することと、
(3)前記光源部の累積稼働時間を表す情報を取得することと、
(4)前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、前記測定値を所定の色座標値に色変換する変換行列を算出することと、
(5)算出された前記変換行列を、前記累積稼働時間を表す情報に関連付けて、記憶装置に出力することと、
を実行するように構成されており、
前記光源部は、前記均一光として、複数種の単色光、及び複数種の前記単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え可能、かつ、前記均一光の階調値を変更可能であり、
前記少なくとも一つのプロセッサーは、上記(4)において、
階調値が異なる複数種の前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、各前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記変換行列を算出し、
異なる時間に少なくとも2回上記(1)~(5)を実行するように構成されている、
校正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の校正装置において、
前記分光測定器は、複数の波長に対する分光画像を撮像する分光カメラであり、
前記少なくとも一つのプロセッサーは、前記分光画像における所定の補正点の階調値を前記測定値として取得する
ことを特徴とする校正装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の校正装置において、
前記光源部は、所定色の画像光を出力する表示装置と、前記画像光を均一化する積分球とを備える
ことを特徴とする校正装置。
【請求項4】
請求項3に記載の校正装置において、
前記光源部は、前記表示装置から、前記単色光として、赤色、緑色、及び青色の各画像光を出力させ、前記合成色光として、前記赤色、前記緑色、及び前記青色の各前記単色光を同じ階調値で合成したグレーの画像光を出力させ、
前記少なくとも一つのプロセッサーは、前記赤色に対する赤色変換行列、前記青色に対する青色変換行列、前記緑色に対する緑色変換行列、及び前記グレーに対するグレー変換行列をそれぞれ算出する
ことを特徴とする校正装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の校正装置において、
前記光源部は、さらに、前記表示装置において黒色の画像光を出力させ、
前記少なくとも一つのプロセッサーは、各前記単色光、及び前記合成色光の前記測定値を、前記黒色の前記画像光に対する前記測定値で減算し、各前記単色光、及び前記合成色光の前記分光基準値を、前記黒色の前記画像光に対する前記分光基準値で減算した後、各前記単色光及び前記合成色光に対する前記変換行列を算出する
ことを特徴とする校正装置。
【請求項6】
分光測定器で測定された測定値を所定の色座標値に色変換する変換行列を算出する校正方法であって、
(1)均一光として、複数種の単色光、及び複数種の前記単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え可能で、かつ、前記均一光の階調値を変更可能な光源部からの前記均一光を、校正対象となる前記分光測定器で分光測定して前記測定値を取得することと、
(2)前記光源部からの前記均一光を校正基準器で測定して分光基準値を取得することと、
(3)前記光源部の累積稼働時間を表す情報を取得することと、
(4)階調値が異なる複数種の前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、各前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記変換行列を算出することと、
(5)算出された前記変換行列を、前記累積稼働時間を表す情報に関連付けて、記憶装置に出力することと、
を実行し、
異なる時間に少なくとも2回上記(1)~(5)を実行する、
校正方法。
【請求項7】
コンピューターにより読み取り実行可能な校正プログラムであって、
前記コンピューターに、請求項6に記載の校正方法を実施させる
ことを特徴とする校正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正装置、校正方法、及び校正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで測定された測定値を所定の色座標値に変換する変換行列を算出して、カメラの校正を行う校正装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の装置では、光源であるLEDを切り替えて複数種の色光を順次出力し、各色に対して得られる二次元センサーからのRGB値と、分光装置からのXYZ値とを測定し、RGB値とXYZ値に変換する変換行列を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-178995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の校正装置及び校正方法では、光源からの光の色や階調値によらず、同じ変換行列を用いてRGB値をXYZ値に変換する変換処理を行っている。この場合、光源からの光の色や明るさによらず変換誤差が同程度発生してしまい、特に、測定光が暗色である場合に、変換誤差の影響が大きくなる、との課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
校正装置は、少なくとも一つのプロセッサーを備えた校正装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサーは、(1)光源部からの均一光を校正対象となる分光測定器で分光測定して測定値を取得することと、(2)前記光源部からの前記均一光を校正基準器で測定して分光基準値を取得することと、(3)前記光源部の累積稼働時間を表す情報を取得することと、(4)前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、前記測定値を所定の色座標値に色変換する変換行列を算出することと、(5)算出された前記変換行列を、前記累積稼働時間を表す情報に関連付けて、記憶装置に出力することと、を実行するように構成されており、前記光源部は、前記均一光として、複数種の単色光、及び複数種の前記単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え可能、かつ、前記均一光の階調値を変更可能であり、前記少なくとも一つのプロセッサーは、上記(4)において、階調値が異なる複数種の前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、各前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記変換行列を算出し、異なる時間に少なくとも2回上記(1)~(5)を実行する。
【0006】
校正方法は、分光測定器で測定された測定値を所定の色座標値に色変換する変換行列を算出する校正方法であって、(1)均一光として、複数種の単色光、及び複数種の前記単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え可能で、かつ、前記均一光の階調値を変更可能な光源部からの前記均一光を、校正対象となる前記分光測定器で分光測定して前記測定値を取得することと、(2)前記光源部からの前記均一光を校正基準器で測定して分光基準値を取得することと、(3)前記光源部の累積稼働時間を表す情報を取得することと、(4)階調値が異なる複数種の前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、各前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記変換行列を算出することと、(5)算出された前記変換行列を、前記累積稼働時間を表す情報に関連付けて、記憶装置に出力することと、を実行し、異なる時間に少なくとも2回上記(1)~(5)を実行する。
【0007】
校正プログラムは、コンピューターにより読み取り実行可能な校正プログラムであって、前記コンピューターに、上記の記載の校正方法を実施させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態の校正システムの概略構成を示す模式図。
図2】第一実施形態の校正システムのブロック図。
図3】第一実施形態の分校カメラで色補正を行う様子を示す図。
図4】第一実施形態の分光フィルターの一例を示す図。
図5A】第一実施形態の校正装置の校正方法を示すフローチャート。
図5B】第一実施形態の校正装置の校正方法を示すフローチャート。
図6】第一実施形態の表示装置の画像を補正する画像補正処理を示すフローチャート。
図7】第一実施形態の補正点と、表示装置の測定点との関係の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
以下、第一実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態の校正システム1の概略構成を示す模式図である。図2は、校正システム1のブロック図である。
図1及び図2に示すように、校正システム1は、光源部10と、校正基準器である分光光度計20と、校正対象である分光カメラ30と、校正装置40とを備えている。
【0010】
[光源部10の構成]
光源部10は、表示装置11と、積分球12と、を備える。
表示装置11は、画像光を出力する装置である。この表示装置11は、例えばプロジェクターにより構成されている。
表示装置11は、図2に示すように、画像光生成部111、第一通信部112、第一メモリー113、及び第一プロセッサー114を備えて構成されている。
【0011】
画像光生成部111は、例えば、光源、光分離素子、液晶パネル、光合成素子、及び投射光学系等を備えて構成されている。
光源は、レーザー光源やハロゲンランプ等により構成されており、画像光を生成するための光を出力する。
光分離素子は、光源から出力された光をR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の光に分離する。
液晶パネルは、R,G,Bの各色の光路上にそれぞれ設けられる。この液晶パネルは、複数の画素を有し、画素毎に光の透過率を変更可能な光学素子であり、第一プロセッサー114の制御に基づいて、各画素の光の透過率を変更する。
光合成素子は、液晶パネルを透過した各色の光を合成して、画像光を形成する。
投射光学系は、投射レンズ等を含んで構成され、画像光を外部に出射させる。
【0012】
第一通信部112は、分光カメラ30及び校正装置40等の外部機器と通信する。第一通信部112による通信方式は特に限定されず、例えば有線により外部機器に接続されていてもよく、無線通信により外部機器と通信してもよい。
【0013】
第一メモリー113は、表示装置11を制御する各種プログラムや各種情報を記録する。各種情報としては、校正システム1において、分光カメラ30の校正処理を実施する際に出力する基準画像、外部機器から入力される画像情報に対する光源や液晶パネルの駆動パラメーター等が記録されている。
【0014】
第一プロセッサー114は、第一メモリー113に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、出力制御部114A、測色指令部114B、画像補正部114Cなどとして機能する。
【0015】
出力制御部114Aは、画像光生成部111を制御し、外部機器から入力される画像情報や第一メモリー113に記憶された基準画像に対応する画像光を生成させる。この際、出力制御部114Aは、第一メモリー113に記憶される駆動パラメーターに従って、画像光を生成する。
【0016】
測色指令部114Bは、画像光生成部111から画像光が投射対象に投射された際に、分光カメラ30に分光画像の撮像指令と、測定点の位置とを送信する。測定点とは、分光画像上において測色を行う点であり、例えば、複数の測定点がマトリクス状に設定されている。これにより、分光カメラ30により、投射対象に投射された画像光が撮像され、かつ、分光カメラ30において、測定点に対する色変換処理が実施される。
【0017】
画像補正部114Cは、分光カメラ30から測定点に対する測色結果を受信し、受信した測色結果に基づいて、画像光生成部111を駆動させるための駆動パラメーターを補正する。
【0018】
積分球12は、内面に、球状の反射面を有する光学部材であり、入射窓121、第一出射窓122、及び第二出射窓123を有する。入射窓121には、表示装置11が接続されており、表示装置11から出力された光が入射される。第一出射窓122には、分光光度計20が接続され、第二出射窓123には、分光カメラ30が接続されている。
積分球12は、表示装置11から入射された画像光を反射面で反射させることで混合して、面内での光量を均一化する。均一化された画像光である均一光は、第一出射窓122から分光光度計20に出射され、第二出射窓123から分光カメラ30に出射される。
【0019】
[分光光度計20の構成]
分光光度計20は、積分球12から出力された画像光を受光し、画像光の分光測定を実施する。この分光光度計20は、校正基準器であり、入射光の正確な分光測定を行って、測定結果として所定の色座標値を出力する装置である。
本実施形態では、分光光度計20は、所定の色座標値として、入射光の三刺激値を出力する。
【0020】
[分光カメラ30の構成]
分光カメラ30は、校正システム1で校正対象となる分光測定器であり、積分球12から出力された画像光を受光して、複数の波長に対する分光画像を撮像する。
【0021】
なお、図3に示すように、本実施形態の分光カメラ30は、校正システム1による校正処理が済んだ後、表示装置60の色補正を行うために用いられる。表示装置60は、校正処理で用いられる表示装置11と同様の構成を有している。つまり、表示装置60は、上述した画像光生成部111、第一通信部112、第一メモリー113、及び第一プロセッサー114を備えたプロジェクターである。
より具体的には、分光カメラ30は、表示装置60からスクリーンなどの投射対象70に投射された画像を撮像し、複数の波長に対応する分光画像を取得する。また、分光カメラ30は、測色の対象となる測定点を表示装置60から受信し、校正システム1により設定された変換行列を用いて、分光画像における測定点に対する三刺激値を算出して、表示装置60に送信する。これにより、表示装置60は、測定点に対する三刺激値に基づいて、駆動パラメーターを更新して色補正を行うことが可能となる。
【0022】
分光カメラ30は、図2に示すように、入射光学系31、分光フィルター32、撮像部33、第二通信部34、第二メモリー35、及び第二プロセッサー36を備える。
入射光学系31は、画像光が入射される複数のレンズを備えて構成され、入射した画像光を分光フィルター32及び撮像部33に導く。
【0023】
分光フィルター32は、入射した画像光から所定波長の光を透過させる分光素子である。
図4は、分光フィルター32の一例を示す図である。
本実施形態では、分光フィルター32として、第一基板321と、第二基板322と、第一基板321に設けられる第一反射膜323と、第二基板322に設けられる第二反射膜324と、ギャップ変更部325とを備える、波長可変型のファブリーペローエタロンを用いる。
この分光フィルター32では、第一反射膜323と第二反射膜324とがギャップを介して対向しており、ギャップの寸法に応じた波長の光が分光フィルター32を透過する。
第二基板322は、第二反射膜324が設けられる可動部322Aと、可動部322Aを保持して、第一基板321に対して進退させる保持部322Bとを備える。
また、ギャップ変更部325は、例えば静電アクチュエーター等により構成されており、可動部322Aを第一基板321側に変位させることで、第一反射膜323と第二反射膜324との間のギャップの寸法を変更する。これにより、分光フィルター32を透過する光の波長も変化する。
【0024】
撮像部33は、複数の撮像画素を有し、分光フィルター32の第一反射膜323及び第二反射膜324を透過した光を受光して、分光画像を撮像する。
【0025】
第二通信部34は、表示装置11,60や校正装置40等の外部機器と通信する。第二通信部34の通信方式は特に限定されず、有線接続されていてもよく、無線通信接続であってもよい。
【0026】
第二メモリー35は、分光カメラ30を制御する各種情報を記憶する記録部である。具体的には、第二メモリー35は、校正装置40により生成された変換行列、分光フィルター32を駆動させる駆動テーブル等を記録する。また、第二メモリー35には、分光カメラ30を制御する各種プログラムが記録されている。なお、変換行列の詳細な説明は後述する。
【0027】
第二プロセッサー36は、第二メモリー35に記憶されたプログラムを読み込み実行することで、撮像制御部361、表示情報取得部362、補間部363、色補正部364として機能する。
撮像制御部361は、駆動テーブルに基づいて分光フィルター32を制御し、分光フィルター32を透過する光の波長を切り替える。また、撮像部33の露光制御を行って、分光画像を撮像させる。
【0028】
表示情報取得部362は、表示装置60から、表示装置60の累積稼働時間を取得するとともに、表示装置60から出力される画像の色を測定色として取得する。
補間部363は、表示装置60から分光画像における測定点が指定された際に、第二メモリー35に記憶された所定の補正点を用いて、測定点に対する変換行列を内挿補間により算出する。補正点とは、撮像部33が撮像した撮像画像上において変換行列を生成する点であり、複数の補正点がマトリクス状に設定されている。
色補正部364は、変換行列を用いて、分光画像の所定位置の色を補正する。具体的には、色補正部364は、分光画像の所定位置に対する測定値を補正して三刺激値に色変換する。
【0029】
[校正装置40の構成]
校正装置40は、例えば、コンピューターによって構成され、図2に示すように、第三通信部41、第三メモリー42、第三プロセッサー43等を含んでいる。第三プロセッサー43は、少なくとも一つのプロセッサーによって構成されていればよく、複数のプロセッサーを含んだ構成であってもよい。
第三通信部41は、表示装置11、分光光度計20、及び分光カメラ30に接続されており、これらの表示装置11、分光光度計20、及び分光カメラ30と通信する。
第三メモリー42は、校正装置40に校正処理を実施させる校正プログラム等の各種プログラムや各種データ等を記憶する。
第三プロセッサー43は、第三メモリー42に記録された校正プログラムを読み取り実行することで、光出力指令部431、対象色選択部432、測定値取得部433、基準値取得部434、露光補正部435、階調値抽出部436、正規化処理部437、行列算出部438、及び稼働時間取得部439、として機能する。
【0030】
光出力指令部431は、表示装置11に、複数の基準画像に対応する画像光の出力を指令する。基準画像は、全画素が所定色により構成される画像である。本実施形態では、所定色が単一色である複数種の単色基準画像と、所定色が複数の単一色を合成した色である合成色基準画像とを用いる。より具体的には、単色基準画像は、赤色、緑色、及び青色の各色の単色基準画像である。また、合成色基準画像は、赤色、緑色、及び青色の階調値を同量に設定したグレー画像である。また、光出力指令部431は、各単色基準画像、及び合成色基準画像に関して、階調値がそれぞれ異なる複数の画像の出力を指令する。例えば、本実施形態では、赤色、緑色、及び青色の単色基準画像に関して、階調値が異なる7パターンの単色基準画像を出力させ、グレーの合成色基準画像に関しては、階調値が異なる8パターンの合成色基準画像を出力させる。
【0031】
表示装置11は、光出力指令部431から上記の指令が入力されると、指令に応じた基準画像の画像光を出力する。この画像光は、積分球12によって均一化されて均一光となる。このため、光源部10は、均一光として、単色基準画像に対応する複数種の単色光と、合成色基準画像に対応する合成色光、即ち複数種の単色光のいくつかを合成した合成色光とにそれぞれ切り替え可能であり、かつ、均一光の階調値を変更することが可能である。
【0032】
対象色選択部432は、変換行列の算出対象となる色を選択する。
測定値取得部433は、分光カメラ30に対して、分光画像の撮像を指令する分光測定指令を送信し、分光カメラ30から分光画像を受信する。分光測定器である分光カメラ30から得られる分光画像は、分光測定による測定結果であり、本開示の測定値を含む。すなわち、分光画像の各画素の階調値が本開示の測定値に相当する。分光カメラ30は、分光測定指令を受信すると、分光フィルター32の透過波長を順次切り替えて、各波長に対する撮像画像である分光画像を撮像する。この際、1つの基準画像の画像光に対して複数の波長に対応する分光画像を取得する。つまり、表示装置11から出射される画像光の色が切り替えられる毎に、複数の波長の分光画像が撮像される。例えば、本実施形態では、上述のように、表示装置11に29色の基準画像を順次出力するように指令が出され、各基準画像に対して16バンドの分光画像を取得する場合、29×16個の分光画像が得られる。
【0033】
基準値取得部434は、分光光度計20に対して、基準値測定指令を出力し、測定結果である分光基準値を取得する。本実施形態では、分光光度計20により測定される入射光の三刺激値が分光基準値となる。
【0034】
露光補正部435は、分光画像の各画素の階調値を、分光カメラ30の撮像部33で画像光を撮像した際の露光時間で除算して補正する。
なお、本実施形態では、分光カメラ30は、撮像部33で画像光を撮像した際の露光時間を計測し、分光画像に関連付けて校正装置40に出力する。露光補正部435は、測定値取得部433により分光画像とともに受信した露光時間に基づいて、分光画像の各画素の階調値を補正する。
【0035】
階調値抽出部436は、複数の分光画像における所定の補正点の階調値を測定値として抽出する。この補正点は、変換行列を生成する対象座標を示している。なお、補正点の数及び位置は、予め設定されており、第三メモリー42に記憶されている。
また、階調値抽出部436は、補正点の測定値の抽出に関し、ノイズの影響を抑制するため、補正点と、その周囲画素との階調値を取得し、これらの画素の階調値の平均を補正点に対する測定値とする。
【0036】
正規化処理部437は、補正点に対する測定値、及び分光基準値を、表示装置11から出力される画像光の輝度値を用いて正規化する。
行列算出部438は、正規化された測定値、及び分光基準値を用いて、測定値を分光基準値に変換するための変換行列を、赤色、緑色、青色、及びグレーの色毎に算出する。なお、本実施形態の変換行列は、分光画像の補正点の階調値を、三刺激値に変換する色変換行列である。
稼働時間取得部439は、表示装置11の累積稼働時間を表示装置11から取得する。表示装置11の累積稼働時間は、光源部10の累積稼働時間に相当する。
【0037】
[校正方法]
本実施形態の校正システム1は、校正対象である分光カメラ30で使用される変換行列を生成する。
図5A及び図5Bは、本実施形態の校正方法を示すフローチャートである。
分光カメラ30の校正処理、つまり、変換行列の生成処理において、まず、校正作業者は、図1に示すように、表示装置11、分光光度計20、及び分光カメラ30を積分球12に接続し、校正装置40に校正処理の開始を指令する。
なお、表示装置11が出力する画像光の色は、経時変化が起こり得るため、本実施形態の校正処理では、表示装置11の累積稼働時間に応じた変換行列を生成する。このため、校正システム1は、校正開始時においてほぼ未使用状態の表示装置11を長時間に亘って稼働させつつ、周期的に校正処理を実行する。つまり、校正装置40は、各色の変換行列を生成する処理を、異なる時間に少なくとも2回実行する。
【0038】
校正装置40の第三プロセッサー43は、まず、累積稼働時間変数rtを初期化してrt=1とする(ステップS1)。累積稼働時間変数rtとは、表示装置11の累積稼働時間に応じた変数である。累積稼働時間変数rtは、校正処理を実行する周期ごとに1が加算され、累積稼働時間変数rtが所定の最大値RTmaxに達するまで校正処理が繰り返される。例えば、校正処理を、累積稼働時間が10000時間に達するまで1000時間毎に実行する場合には、累積稼働時間変数rtの最大値RTmaxは、10に設定される。
【0039】
次に、第三プロセッサー43は、画像光の色を示すカラー変数cを初期化してc=1とする(ステップS2)。なお、カラー変数cの最大値はCmaxである。上述したように、本実施形態では、表示装置11から赤色、緑色、青色、及びグレーの基準画像を表示させる。ここで、カラー変数と、基準画像の色とは予め対応付けられており、c=CR1~CRMが赤色の基準画像に対応し、c=CG1~CGMが緑色の基準画像に対応し、c=CB1~CBMが青色の基準画像に対応し、c=CK1~CKMがグレーの基準画像に対応ものとする。
例えば、赤色、緑色、及び青色の単色基準画像の階調値をそれぞれ7パターンで変化させ、グレーの合成色基準画像の階調値をそれぞれ8パターンで変化させる場合では、Cmax=29である。また、例えば、CR1=1、CRM=7として、c=1~7を赤色に対応する変数とし、CG1=8、CGM=14として、c=8~14を緑色に対応する変数とし、CB1=15、CBM=21として、c=15~21を青色に対応する変数とし、CK1=22、CKM=Cmax=29として、c=22~29をグレーに対応する変数とすることができる。
【0040】
そして、光出力指令部431は、表示装置11に対してカラー変数cに対応する基準画像の画像光を出射させる旨の出力指令を送信する(ステップS3)。ステップS3により校正装置40から表示装置11に画像光の出力指令が入力されると、表示装置11の出力制御部114Aは、駆動パラメーターに基づいて画像光生成部111を制御し、カラー変数cに対応した色の画像光を生成して積分球12に出射する。なお、ステップS3で表示装置11から出力される各画像光は、表示装置11の色補正を行う場合に用いられる色の基準画像である。
【0041】
また、校正装置40の基準値取得部434は、分光光度計20に対して基準値測定指令を出力する(ステップS4)。これにより、分光光度計20は、光源部10の積分球12から出射される均一光の分光測定を実施して、分光基準値である三刺激値xCを出力する。分光基準値である三刺激値xCを、以降、基準三刺激値xCと称する。
基準値取得部434は、分光光度計20から基準三刺激値xCを取得し(ステップS5)、第三メモリー42に記憶する。
【0042】
さらに、校正装置40の測定値取得部433は、分光カメラ30に対して分光測定指令を出力する(ステップS6)。
これにより、分光カメラ30は、光源部10の積分球12から出射される均一光の画像光を撮像し、分光画像を得る。具体的には、撮像制御部361は、分光フィルター32を透過させる光の波長を、複数の波長に切り替え、各波長に対する分光画像をそれぞれ取得する。
ここで、カラー変数cの画像光に対する波長λaの分光画像をD0(x,y,c,λa)とする。なお、(x,y)は、分光画像の画素位置を示す。また、aは、分光画像の波長に対応する変数であり、最大値はamaxである。例えば、400nm~700nmを20nm間隔で16バンドの分光画像を撮像する場合、amax=16、λ1=400nm、λ16=700nmであり、D0(x,y,c,λ1)からD0(x,y,c,λ16)の16個の分光画像が得られる。
この際、分光カメラ30は、各波長の分光画像を撮像した際の、撮像部33への画像光の露光時間t(c,λa)をそれぞれ計測し、撮像された分光画像と関連付けて校正装置40に送信する。
校正装置40の測定値取得部433は、分光カメラ30から分光画像DC0(x,y,c,λa)を取得し(ステップS7)、第三メモリー42に記憶する。
【0043】
次に、光出力指令部431は、カラー変数cが、表示装置11から出力する画像光の最大値Cmaxに達したか否かを判定する(ステップS8)、ステップS8でNOである場合、変数cに1を加算して、ステップS3に戻る。つまり、表示装置11から出力する画像光の色を変更して、ステップS3からステップS7の処理を繰り返す。
【0044】
ステップS8でYESと判定されると、ステップS9からステップS14による行列算出ステップを実施する。具体的には、露光補正部435は、下記式(1)に示すように、分光画像D0(x,y,c,λa)を、露光時間t(c,λa)で除算して露光補正し、補正分光画像D(x,y,c,λa)を得る(ステップS9)。これにより、各画像光を各波長で撮像する際の露光時間の違いによる光量の変動が補正される。
【0045】
【数1】
【0046】
次に、階調値抽出部436は、各分光画像から、変換行列を算出する対象位置である補正点(xi,yj)に対する測定値s(i,j,c,λa)を抽出する(ステップS10)。具体的には、階調値抽出部436は、各分光画像から、|x-xi|≦Δ、|y-yj|≦Δとなる画素の階調値{s(c,λa)}i,jを抽出する。Δは、予め設定された値であり、例えば、補正点から1画素内の画素を抽出する場合は、Δ=1である。そして、これらの画素の階調値の平均値を算出して、測定値s(i,j,c,λa)とする。
【0047】
ここで、以降の説明にあたり、以下のように、分光画像における測定値sCと、基準三刺激値xCと、を定義する。
【0048】
【数2】
【0049】
この後、対象色選択部432は、変換行列の算出対象となる色(対象色)を選択する(ステップS11)。例えば、赤色、緑色、青色、グレーの順に変換行列を算出する場合、最初にc=CR1~CRMの赤色の基準画像を対象色として選択する。
次に、正規化処理部437は、ステップS11で選択された対象色に関して、測定値sC及び基準三刺激値xCを、表示装置11からカラー変数cの画像光を出力した際の、画像光の輝度値LCで除算して正規化する(ステップS12)。具体的には、正規化処理部437は、下記式(2)~(9)に示すように、正規化処理を実施する。
【0050】
【数3】
【0051】
つまり、ステップS11で選択される対象色が赤色である場合、正規化処理部437は、赤色の1つの基準画像に関し、各波長(λ1~λamax)に対応する分光画像の各補正点の測定値sCを、その基準画像の輝度値LCで除算する。正規化処理部437は、これを、表示装置11から出力した赤色の各基準画像のそれぞれについて算出して、式(2)により赤色に対する正規化測定値ARを求める。また、正規化処理部437は、赤色の1つの画像光を分光光度計20で測定した基準三刺激値xCを、その画像光の輝度値LCで除算し、これを表示装置11から出力した赤色の各画像光のそれぞれについて算出して、式(3)により赤色に対する正規化基準値BRを求める。
緑色、青色、及びグレーについても同様である。ステップS11で緑色が選択された場合は、式(4)及び式(5)により、緑色に対する正規化測定値AG及び正規化基準値BGを求める。ステップS11で青色が選択された場合は、式(6)及び式(7)により、青色に対する正規化測定値AB及び正規化基準値BBを求める。また、ステップS11でグレーが選択された場合では、式(8)及び式(9)により、グレーに対する正規化測定値AK及び正規化基準値BKを求める。
よって、赤色の正規化測定値ARは、amax×(CRM-CR1+1)の行列、緑色の正規化測定値AGは、amax×(CGM-CG1+1)の行列、青色の正規化測定値ABは、amax×(CBM-CB1+1)の行列、グレーの正規化測定値AKは、amax×(CKM-CK1+1)の行列となる。また、赤色の正規化基準値BRは、3×(CRM-CR1+1)の行列、緑色の正規化基準値BGは、3×(CGM-CG1+1)の行列、青色の正規化基準値BBは、3×(CBM-CB1+1)の行列、グレーの正規化基準値BKは、3×(CKM-CK1+1)の行列となる。また、これらの正規化測定値AR,AG,AB,AK及び正規化基準値BR,BG,BB,BKは、補正点の数だけ算出される。
以上の後、行列算出部438は、以下の式(10)から式(13)に基づいて、測定値を三刺激値に変換する変換行列MC(i,j)を算出する(ステップS13)。なお、変換行列MC(i,j)の添え字の「C」は、補正対象の色を示すものであり、赤色の場合C=R、緑色の場合C=G、青色の場合C=G、グレーの場合C=Kである。
【0052】
【数4】
【0053】
式(10)から式(13)において、βは、オーバーフィッティング防止のための正則化係数であり、Iは、amax×amaxの単位行列である。また、上付きの「´」は転置行列を示しており、上付きの「-1」は逆行列を示している。
ステップS13では、ステップS11において選択された対象色に対する各変換行列MC(i,j)を算出する。
【0054】
この後、第三プロセッサー43は、全ての色に対する変換行列MC(i,j)が算出されたか否かを判定し(ステップS14)、変換行列MC(i,j)が算出されていない色がある場合は、ステップS11に戻って、変換行列MC(i,j)が算出されていない他の対象色を選択する。以上により、行列算出部438は、各色の変換行列MC(i,j)、つまり、赤色変換行列MR(i,j)、緑色変換行列MG(i,j)、青色変換行列MB(i,j)、及びグレー変換行列MK(i,j)を算出する。
【0055】
ステップS14でYESと判定されると、稼働時間取得部439は、表示装置11の累積稼働時間を表示装置11より取得する(ステップS15)。
なお、校正処理に要する時間を短縮するために、高温多湿の環境下のように、過酷な条件下で校正処理を行うことも想定され得る。この場合には、表示装置11より取得される累積稼働時間を、通常環境下での累積稼働時間に変換する変換テーブルや変換式を第三メモリー42に記憶させておき、これら変換テーブルや変換式を用いて、累積稼働時間の変換を行うようにすればよい。
【0056】
次に、行列算出部438は、算出された各色の変換行列MC(i,j)、つまり、赤色変換行列MR(i,j)、緑色変換行列MG(i,j)、青色変換行列MB(i,j)、及びグレー変換行列MK(i,j)を、累積稼働時間に関連付けて分光カメラ30に出力する(ステップS16)。これにより、分光カメラ30は、受信した変換行列Mを第二メモリー35に記憶する。なお、本実施形態では、第二メモリー35を備える分光カメラ30は、記憶装置に相当する。
【0057】
次に、第三プロセッサー43は、累積稼働時間変数rtが最大値RTmaxに達したか否かを判定し(ステップS17)、YESと判定された場合には、校正を終了する。
【0058】
ステップS17でNOと判定された場合、光出力指令部431は、表示装置11に対して所定の画像光を出射させる旨の出力指令を送信する(ステップS18)。表示装置11は、この出力指令を受信すると、所定の画像光の出射を開始し、適宜、累積稼働時間を更新する。
【0059】
その後、第三プロセッサー43は、所定の画像光を出射させた状態で一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS19)。ここで、一定時間とは校正処理の周期に対応する時間のことであり、例えば、1000時間である。ステップS19でYESと判定された場合、第三プロセッサー43は、変数rtに1を加算して、ステップS2に戻る。一方、NOと判定された場合には、ステップS19を繰り返す。
【0060】
なお、上記の校正処理に未使用状態の表示装置11を用いる場合には、校正装置40が表示装置11の累積稼働時間を導くことも可能である。このため、この場合には、稼働時間取得部439は、累積稼働時間を表示装置11から取得する必要はなく、自らの計測により累積稼働時間を取得する。また、ステップS16にて、算出された各色の変換行列MC(i,j)を累積稼働時間に関連付けて出力する際には、累積稼働時間に変えて、累積稼働時間変数rtに関連付けるようにしてもよい。つまり、変換行列MC(i,j)に関連付けるべき情報は、累積稼働時間そのものである必要はなく、累積稼働時間を表す情報であればよい。
【0061】
以上のような変換行列の算出では、ステップS12により正規化処理が行われているので、明度が小さい暗色に対しても誤差の少ない色変換を行うことが可能となる。
一般に、人の目により暗色を知覚する場合、明るい環境より、暗い環境の方が色の判別精度が高い。例えば、暗所で表示装置11から画像光を照射して画像を表示する場合、明所で画像光を表示する場合に比べて、人の目は、暗色の色の違いをより明確に区別することができる。ここで、ステップS12による正規化処理を実施しない場合、暗色と明色とで、分光カメラ30で測定された測定値sCを三刺激値に変換する際の色変換誤差が同程度になる。この場合、暗所での暗色に対する色変換誤差が大きくなり、上記のような人の目に対応した色変換ができない可能性がある。これに対して、本実施形態では、ステップS12の処理を実施することで、暗所での色変換誤差を抑制できる。また、本実施形態では、赤色、緑色、青色、及びグレーに対するそれぞれの変換行列Mが算出される。したがって、全ての色に関して同一の変換行列を用いる場合に比べて、各色の色補正の精度を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、変換行列を累積稼働時間に関連付けて分光カメラ30に出力するため、分光カメラ30は、測定対象機器である表示装置60の経時変化に応じた変換行列を用いることにより、さらに高精度に測色を行うことが可能となる。
【0062】
[画像補正処理]
次に、表示装置60における画像補正処理、及び分光カメラ30での測定処理について説明する。図3に示したように、画像補正処理では、表示装置60、スクリーンなどの投射対象70、分光カメラ30から構成される。
図6は、画像補正処理を示すフローチャートである。
本実施形態の表示装置60により画像補正を行う場合、出力制御部114Aは、画像光生成部111を制御して、所定のテスト画像を投射対象70に対して投射させる(ステップS21)。投射するテスト画像は、赤色、緑色、及び青色の単色基準画像、及びグレーの合成色基準画像である。
【0063】
次に、測色指令部114Bは、画像における測定点の位置座標と、投射するテスト画像の色と、累積稼働時間と、を含む測色要求を、分光カメラ30に送信する(ステップS22)。
ここで、図7に校正装置40により変換行列が算出された補正点Pと、表示装置11の測定点Qとの関係を示す。なお、図7において、補正点Pは白丸、測定点Qは黒丸で示している。また、外枠50は、分光カメラ30の撮像部33により撮像される撮像画像の外枠である。破線の円は、分光カメラ30において、分光フィルター32の第一反射膜323と第二反射膜324とが重なり合う領域であり、撮像画像のうち、分光フィルター32により分光された光が入射する光の分光範囲51を示す。本実施形態では、撮像部33により撮像される撮像画像の外枠50の内側に分光範囲51が含まれるが、分光範囲51内の所定領域を撮像部33で撮像するよう撮像範囲が設定されていてもよい。
さらに、図7において内枠52は、表示装置60から画像光が投射対象70に投射されることで形成された表示画像を示している。つまり、表示画像が分光範囲51に含まれるように、表示装置60、分光カメラ30、投射対象70の位置が設定されている。
【0064】
分光カメラ30の表示情報取得部362は、ステップS22で送信された測色要求に含まれる、テスト画像の色を測定色として取得するとともに、表示装置60の累積稼働時間を取得する(ステップS31)。
そして、分光カメラ30の撮像制御部361は、投射対象70に投射された画像の分光画像を撮像する(ステップS32)。
具体的には、撮像制御部361は、分光フィルター32を透過させる光の波長を、複数の波長に切り替え、各波長に対する分光画像をそれぞれ取得する。また、撮像制御部361は、各波長の分光画像の各画素の階調値を、その波長の分光画像を撮像した際の露光時間で除算して、階調値を補正する。
【0065】
また、撮像制御部361は、各波長の分光画像に関し、測定点Qの測定値sC(m,n,λa)を抽出する(ステップS33)。なお、添え字の「C」は、表示装置60から出力される基準画像の色を示すものであり、赤色の場合C=R、緑色の場合C=G、青色の場合C=G、グレーの場合C=Kである。また、(m、n)は、測定点Qの位置を表す。この色情報は、上述のように、ステップS22で表示装置60から送信される測定要求に含まれている。
具体的には、校正装置40が実施したステップS9と同様に、各分光画像から、|x-xm|≦Δ、|y-yn|≦Δとなる画素の階調値{s(λa)}m,nを抽出する。そして、これらの画素の階調値{s(λa)}m,nの平均値を算出して、測定値sC(m,n,λa)とする。
【0066】
次に、補間部363は、ステップS31で取得された測定色に関し、第二メモリー35に記憶されている複数の変換行列と、それぞれに関連付けられた累積稼働時間とに基づいて、ステップS31で取得された累積稼働時間に対応する変換行列を内挿補間により算出する(ステップS34)。
さらに、補間部363は、補正点Pに対する変換行列から、測定点Qに対する変換行列を内挿補間により求める(ステップS35)。
つまり、分光カメラ30の第二メモリー35に記憶される変換行列は、分光画像の分光範囲内の所定の補正点Pに対するものである。しかしながら、図7に示すように、表示装置11から指令される測定点Qと、補正点Pとは必ずしも一致するとは限らない。
そこで、補間部363は、以下の式(14)に示すように、補正点Pの変換行列MC(i,j)から、位置(m,n)の測定点Qの変換行列MC(m,n)を内挿補間により算出する。
【0067】
【数5】
【0068】
そして、分光カメラ30の色補正部364は、分光画像の測定点Qに対する変換行列MC(m,n)と、測定点Qに対する各分光画像の測定値s(m,n)とを用いて、下記式(15)に示すように、当該測定点Qの三刺激値X(m,n)を算出する(ステップS36)。
【0069】
【数6】
【0070】
この後、分光カメラ30は、算出した三刺激値X(m,n)を表示装置60に送信する(ステップS37)。
表示装置60の画像補正部114Cは、分光カメラ30から測定点Qに対する三刺激値X(m,n)を受信すると、テスト画像の元データと比較して、画像光生成部111を駆動させる際の駆動パラメーターを補正する(ステップS23)。
【0071】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の校正装置40は、少なくとも一つのプロセッサーとして第三プロセッサー43を備え、第三プロセッサー43は、(1)光源部10からの均一光を校正対象となる分光カメラ30で分光測定して測定値sCを取得することと、(2)光源部10からの均一光を校正基準器である分光光度計20で測定して、分光基準値である基準三刺激値xCを取得することと、(3)測定値sC及び基準三刺激値xCに基づいて、測定値sCを所定の色座標値である三刺激値Xに色変換する変換行列MC(i,j)を算出することと、(4)算出された変換行列MC(i,j)を、光源部10の累積稼働時間を表す情報と関連付けて、分光カメラ30に出力することと、を実行するように構成されている。また、光源部10は、均一光として、複数種の単色光、及び複数種の単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え可能、かつ、均一光の階調値を変更可能であり、第三プロセッサー43は、上記(3)において、階調値が異なる複数種の単色光及び合成色光のそれぞれについての測定値sC及び基準三刺激値xCに基づいて、各単色光及び合成色光のそれぞれについての変換行列MC(i,j)、即ち変換行列MR(i,j)、変換行列MG(i,j)、変換行列MB(i,j)、及び変換行列MK(i,j)を算出し、異なる時間に少なくとも2回上記(1)~(4)を実行するように構成されている。
【0072】
このため、本実施形態では、色毎の変換行列MC(i,j)が算出されるため、分光カメラ30で各色の分光画像を撮像した場合に、当該色に対応する変換行列MC(i,j)を用いることで、測定値から三刺激値へ変換する際の変換誤差を極めて小さくでき、精度の高い測色を行うことができる。
さらに、本実施形態では、変換行列を累積稼働時間に関連付けて分光カメラ30に出力するため、分光カメラ30は、測定対象機器である表示装置60の測色を行う際に、表示装置60の累積稼働時間に応じた変換行列を用いることが可能となり、さらに高精度に測色を行うことが可能となる。
【0073】
本実施形態では、分光測定器として、複数の波長に対する分光画像を撮像する分光カメラ30を用い、測定値取得部433は、分光画像における所定の補正点の階調値を測定値sCとして取得する。
これにより、分光画像の各補正点に対する変換行列MC(i,j)をそれぞれ算出することができ、補正点毎に高精度に測定値sCの色変換を行うことができる。
【0074】
本実施形態では、光源部10は、所定色の画像光を出力する表示装置11と、画像光を均一化する積分球12とを備える。
表示装置11から出力される画像光には、照明むらが含まれるが、積分球12に入射させることで、画像光の光量を均一にできる。
【0075】
本実施形態では、光源部10は、表示装置11から、単色光として、赤色、緑色、及び青色の各色光を出力させ、合成色光として、赤色、緑色、及び青色の各色光を同じ諧調値で合成したグレーの色光を出力させる。そして、行列算出部438は、赤色変換行列MR(i,j)、緑色変換行列MG(i,j)、青色変換行列MB(i,j)、及びグレー変換行列MK(i,j)をそれぞれ算出する。
本実施形態の校正システム1は、分光カメラ30の分光測定精度を向上させるものであり、表示装置60の色補正を行う際に用いる各色(赤、緑、青、グレー)の基準画像の画像光に基づいて、各色の変換行列MC(i,j)が算出される。これにより、表示装置60から出力される各色の基準画像に対する測定精度を向上させることができる。
【0076】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、第一実施形態と同じ構成の校正システム1であり、校正装置40における校正方法の一部が、第一実施形態と相違する。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については、同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0077】
第二実施形態の校正システム1は、第一実施形態と同様に、表示装置11及び積分球12を備える光源部10と、分光光度計20と、分光カメラ30と、校正装置40とを備える。そして、本実施形態では、校正装置40の正規化処理部437及び行列算出部438の処理が第一実施形態と相違している。
つまり、本実施形態の校正装置40は、第一実施形態と同様、ステップS2からステップS10までの処理を実施し、測定値sCと、基準三刺激値xCとを取得する。
この際、本実施形態の校正装置40は、さらに、表示装置11から黒色画像、即ち黒色の画像光を出力させ、ことのきの測定値及び基準三刺激値を、それぞれ、黒色測定値sBL及び黒色基準三刺激値xBLとして取得する。なお、黒色画像は、合成色基準画像であるグレー画像のうちの、階調値を最も低くした画像(例えば、RGBの階調値を「0」にした画像)を用いてもよく、グレー画像とは別に黒色画像を用いてもよい。また、黒色と、黒に近い他の色の低階調色とを黒色画像群として、表示装置11から出力させてもよい。例えば、赤色、緑色、青色、及びグレーの最も低い階調値の色の画像と、2番目に低い階調値の色の画像と、黒色との9色を黒色画像群に含ませてもよい。以降の説明では、黒色画像群を「BL」で表す。
測定値sC、基準三刺激値xC,黒色測定値sBL、及び黒色基準三刺激値xBLは以下の構成要素を有する。
【0078】
【数7】
【0079】
そして、本実施形態では、ステップS12において、黒成分と、黒以外の色とに分けて、下記式(16)~(25)に示すように、正規化処理を実施する。
【0080】
【数8】
【0081】
正規化処理部437は、式(16)から式(23)に示すように、黒以外の色成分に対する正規化測定値ACと、正規化基準値BCとを算出する。また、正規化処理部437は、式(24)(25)に示すように、黒色に対する黒色正規化測定値ABLと、黒色正規化基準値BBLとを算出する。なお、sBL0は、黒色画像に対する測定値であり、xBL0は、黒色画像に対する基準三刺激値であり、LBL0は、黒色画像の輝度値である。また、黒色画像群に属する画像のうち、黒色画像以外の画像がBL1~BLMである。黒色正規化測定値ABLと、黒色正規化基準値BBLは、黒色画像群に属する画像のうち黒色画像以外の画像の測定値sBL及び基準三刺激値xBLから、黒色画像の測定値sBL0及び基準三刺激値xBL0を減算して求める。
次に、行列算出部438は、以下の式(26)から式(30)により通常変換行列MC(i,j)及び黒色変換行列MBL(i,j)を算出する。
【0082】
【数9】
【0083】
また、表示装置60の画像補正を実施する場合は、第一実施形態と略同様の処理を実施する。
すなわち、表示装置60は、ステップS21により、投射対象70にテスト画像を出力して画像を表示させる。この際、まず、表示装置60は、黒色画像を出力し、ステップS22を実施して、分光カメラ30に測色要求を送信する。
これにより、分光カメラ30は、黒色画像に対して、ステップS31からステップS35を実施し、測定点Qに対する変換行列を内挿補間により算出する。内挿補間では、式(14)と略同様にして、測定点Qに対する黒色変換行列MBL(m,n)を算出する。
【0084】
この後、表示装置60は、再度ステップS21に戻り、投射対象70に黒画像以外の基準色画像をテスト画像として出力して画像を表示させ、ステップS22を実施して、分光カメラ30に測色要求を送信する。
これにより、分光カメラ30は、基準画像に対して、ステップS31からステップS35を実施し、測定点Qに対する変換行列を内挿補間により算出する。内挿補間では、式(14)と略同様にして、測定点Qに対する黒色変換行列MBL(m,n)を算出する。
【0085】
そして、色補正部364は、以下の式(31)により、測定点Qの測定値sC(m,n)を三刺激値X(m,n)に変換する。なお、sBL(m,n)は黒色画像における測定点Qの階調値である。その他の処理に関しては、第一実施形態と同様である。
【0086】
【数10】
【0087】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の校正装置40では、光源部10は、さらに、表示装置11において黒色の画像光(黒色画像)を出力させる。そして、行列算出部438は、各単色光、及び合成色光の測定値sCを、黒色画像に対する測定値sBL0で減算し、各単色光、及び合成色光の基準三刺激値xCを、黒色画像に対する基準三刺激値xBL0で減算した後、各単色光及び合成色光に対する変換行列MC(i,j)を算出する。
このように、黒色以外の色に対する通常変換行列MC(i,j)と、黒色に対応する黒色変換行列MBL(i,j)をそれぞれ別に求めることで、暗色に対する測定値を三刺激値に色変換する際の、補正精度、及び色変換精度をさらに高めることができる。
【0088】
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0089】
(変形例1)
上記実施形態では、式(10)から式(13)、又は、式(26)から式(30)により、最小二乗法に基づいて変換行列を算出したが、これに限定されない。行列算出部438は、例えば、主成分回帰法や、部分的最小二乗回帰法を用いて変換行列を算出してもよい。
【0090】
(変形例2)
上記実施形態では、分光光度計20により、所定の色座標値として三刺激値を測定し、分光カメラ30の補正点に対する測定値を補正して三刺激値に色変換する変換行列を算出したが、これに限定されない。
例えば、分光光度計20が、L*a*b*値、反射率スペクトル等の他の色座標値を計測する基準校正器であってもよい。この場合、行列算出部438は、測定値をL*a*b*値や反射率スペクトル等に変換する変換行列を算出することができる。
また、校正基準器として、分光光度計20を用いたが、校正済みの分光カメラを用いてもよい。
【0091】
(変形例3)
上記実施形態では、画像光を出射する表示装置60の画像補正を行うための分光カメラ30、及びその分光カメラ30の校正を行う校正装置40を例示したが、これに限定されない。例えば、対象物の成分分析を行うための分光カメラ30の校正システム1として用いてもよい。この場合、光源部10は、表示装置11ではなく、レーザー光源やハロゲンランプ等の他の光源と積分球12により構成されていてもよい。
【0092】
(変形例4)
光源部10として、表示装置11から積分球12に画像光を入射させて均一光を生成する例を示したが、これに限定されない。例えば、光源からの光を拡散反射させる拡散反射板に照射し、拡散反射板で反射された光を分光光度計20及び分光カメラ30で測定してもよい。
【0093】
(変形例5)
上記実施形態では、表示装置60と、分光カメラ30とが、別体として設けられ、第一通信部112及び第二通信部34により通信可能に接続される例を示したが、表示装置60と分光カメラ30とが一体的に設けられる構成としてもよい。
【0094】
(変形例6)
上記実施形態では、校正装置40が露光補正部435を備える構成としたが、分光カメラ30の撮像制御部361が、撮像された分光画像の階調値を露光補正して校正装置40に出力するように構成されていてもよい。この場合、校正装置40の露光補正部435は不要にできる。
また、分光カメラ30の撮像部33が、受光する光の光量に応じて露光時間を変更しない場合では、露光補正を実施しなくてもよい。
【0095】
(変形例7)
上記実施形態では、表示装置60から、測定点Qの座標を分光カメラ30に送信してから、分光カメラ30による分光画像の撮像が実施された。これに対して、分光カメラ30による分光画像の撮像の後、分光画像を表示装置60に送信し、表示装置60は、受信した分光画像に基づいて測定点Qを設定してもよい。つまり、分光カメラ30と表示装置60とが別体である場合、分光カメラ30と表示装置60との相対位置が変化する場合があり、この場合、分光画像において、表示装置60により投射された画像光の投射範囲が変動する場合がある。表示装置60が、分光画像に基づいて、測定点Qを設定する場合では、分光画像で画像光の投射範囲が変動しても、正しく測定点Qを設定することができる。
【0096】
(変形例8)
上記実施形態では、分光カメラ30の第二メモリー35に変換行列が記憶され、分光カメラ30の補間部363及び色補正部364が、表示装置60から指示された測定点Qに対する三刺激値を算出する例を示した。
これに対して、変換行列が表示装置60の第一メモリー113に記憶され、第一プロセッサー114が、補間部363や色補正部364として機能してもよい。この場合、分光カメラ30は、分光画像を撮像すると、撮像した分光画像を表示装置60に送信する。そして、表示装置60において、測定点Qに対する変換行列を内挿補間により算出し、測定点Qに対する三刺激値を算出する。
【0097】
(変形例9)
上記実施形態では、分光測定器として、分光カメラ30を例示したが、所定の測定点に対する分光測定処理を実施する分光測定器であってもよい。
【0098】
(変形例10)
上記実施形態では、分光フィルター32として、図4に示すようなファブリーペロー素子を例示したが、これに限定されない。分光フィルター32としては、その他、AOTFやLCTF等の各種分光素子を用いることができる。
【0099】
(変形例11)
上記実施形態では、ステップS34において、補間部363は、第二メモリー35に記憶されている複数の変換行列と、それぞれに関連付けられた累積稼働時間とに基づいて、ステップS31で取得された累積稼働時間に対応する変換行列を算出しているが、この態様に限定されない。例えば、補間部363は、ステップS34を実行することなく、第二メモリー35に記憶されている変換行列に関連付けられた累積稼働時間のうち、ステップS31で取得された累積稼働時間よりも短い時間と長い時間の双方について、測定点Qに対する変換行列を算出し(ステップS35)、その後に、ステップS31で取得された累積稼働時間に対応する変換行列を内挿補間により算出するようにしてもよい。あるいは、補間部363は、ステップS34を実行することなく、第二メモリー35に記憶されている変換行列に関連付けられた累積稼働時間のうち、ステップS31で取得された累積稼働時間よりも短い時間と長い時間の双方について、測定点Qに対する変換行列を算出する(ステップS35)。そして、色補正部364は、双方の時間について、測定点Qの三刺激値を算出し(ステップS36)、その後に、ステップS31で取得された累積稼働時間における三刺激値を、内挿補間により算出するようにしてもよい。あるいは、補間部363は、ステップS34を実行することなく、ステップS35において、第二メモリー35に記憶されている変換行列に関連付けられた累積稼働時間のうち、ステップS31で取得された累積稼働時間に最も近い累積稼働時間の変換行列を使って、測定点Qの変換行列を算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…校正システム、10…光源部、11,60…表示装置、12…積分球、20…分光光度計、30…分光カメラ、31…入射光学系、32…分光フィルター、33…撮像部、34…第二通信部、35…第二メモリー、36…第二プロセッサー、40…校正装置、41…第三通信部、42…第三メモリー、43…第三プロセッサー、50…外枠、51…分光範囲、52…内枠、70…投射対象、111…画像光生成部、112…第一通信部、113…第一メモリー、114…第一プロセッサー、114A…出力制御部、114B…測色指令部、114C…画像補正部、121……入射窓、122…第一出射窓、123…第二出射窓、321…第一基板、322…第二基板、322A…可動部、322B…保持部、323…第一反射膜、324…第二反射膜、325…ギャップ変更部、361…撮像制御部、362…表示情報取得部、363…補間部、364…色補正部、431…光出力指令部、432…対象色選択部、433…測定値取得部、434…基準値取得部、435…露光補正部、436…階調値抽出部、437…正規化処理部、438…行列算出部、439…稼働時間取得部、P…補正点、Q…測定点。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7