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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】フェライトコア
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/06 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H01F17/06 F
H01F17/06 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020191388
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080375
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】延國 貴司
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-078275(JP,A)
【文献】特開平09-109085(JP,A)
【文献】特開平11-008123(JP,A)
【文献】特開平09-050917(JP,A)
【文献】特開平08-213242(JP,A)
【文献】米国特許第05990756(US,A)
【文献】特開2009-023041(JP,A)
【文献】特開平10-174607(JP,A)
【文献】特開2012-246575(JP,A)
【文献】特開2001-057732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に電線が配置される貫通孔と、
前記貫通孔内において、前記電線を保持可能に設けられる保持部と、
を備え
前記保持部は、前記貫通孔の内周面から突出する複数の突起を有し、
前記複数の突起は、前記貫通孔の長さ方向に間隔を置き且つ前記貫通孔の周方向において異なる位置に配置されており、
前記電線は、芯線の周りを被覆で覆った被覆電線であって、先端部に前記芯線を露出させており、
前記貫通孔を前記長さ方向から見たときに前記複数の突起の内周縁によって規定される仮想円の開口径をa、前記芯線の外径をb、前記被覆の外径をcとした場合、b<a<cの関係式が成り立つ、フェライトコア。
【請求項2】
前記複数の突起の少なくとも1つは、前記貫通孔の開口部に設けられている請求項1に記載のフェライトコア。
【請求項3】
前記保持部の全体が前記貫通孔内に設けられている請求項1又は請求項2に記載のフェライトコア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フェライトコアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたワイヤーハーネスは、フェライトコアを備えている。フェライトコアはリング状に形成されている。フェライトコアは、挿通された電線を全周に亘って包囲する。フェライトコアは、電線に電流が流れたときに磁界を吸収して熱に変え、電線から放射される高周波ノイズを低減させる。このような技術は、特許文献2から4にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-239145号公報
【文献】特開2010-136485号公報
【文献】特開2015-11934号公報
【文献】特開2015-233112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、電線に対してフェライトコアの位置決めを行うために、フェライトコアの軸方向の両端において電線に位置決めテープを巻き付ける。これに加えて、弾性テープを、フェライトコアと位置決めテープとに巻き付け、更に熱収縮チューブによって全体を覆っている。このように、特許文献1の場合は、電線に対するフェライトコアの位置決めを、フェライトコアの外周側で行っている。これに対し、フェライトコアの内周側を利用して位置決めを行うことができれば、フェライトコアを選択する際の選択肢が増えて好ましい。
【0005】
そこで、本開示は、電線に対する新規な位置決め構造を備えたフェライトコアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のフェライトコアは、内側に電線が配置される貫通孔と、前記貫通孔内において、前記電線を保持可能に設けられる保持部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線に対する新規な位置決め構造を備えたフェライトコアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るフェライトコアを備えたコネクタを示す側断面図である。
図2図2は、実施形態に係るフェライトコアに電線を挿通した状態を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るフェライトコアを示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係るフェライトコアに電線を挿通する前の状態を示す側断面図である。
図5図5は、実施形態に係るフェライトコアに電線を挿通する途中の状態を示す側断面図である。
図6図6は、実施形態に係るフェライトコアに電線を挿通完了した状態を示す側断面図である。
図7図7は、他の実施形態に係るフェライトコアを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のフェライトコアは、
(1)内側に電線が配置される貫通孔と、前記貫通孔内において、前記電線を保持可能に設けられる保持部と、を備える。この構成によれば、フェライトコアの電線に対する相対移動を規制でき、電線に対するフェライトコアの新規な位置決め構造を提供することができる。
【0010】
(2)前記保持部は、前記貫通孔の内周面から突出する複数の突起を有し、前記複数の突起は、前記貫通孔の長さ方向に間隔を置き且つ前記貫通孔の周方向において異なる位置に配置されているとよい。この構成によれば、保持部を簡易な構成によって実現できる。
【0011】
(3)前記電線は、芯線の周りを被覆で覆った被覆電線であって、先端部に前記芯線を露出させており、前記貫通孔を前記長さ方向から見たときに前記複数の突起の内周縁によって規定される仮想円の開口径をa、前記芯線の外径をb、前記被覆の外径をcとした場合、b<a<cの関係式が成り立つことが好ましい。この構成によれば、電線の先端部を貫通孔に挿通させる際に、電線の先端部で露出する芯線と突起との干渉を回避または緩和することができる。本開示では、突起と被覆との間には適切な保持力を作用させることができる。その結果、電線の挿通作業を円滑に行うことができる上、突起による電線の保持を良好に実現することができる。
【0012】
(4)前記複数の突起の少なくとも1つは、前記貫通孔の開口部に設けられているとよい。この構成によれば、作業者が突起を視認し易くなるため、突起を避けながら電線を開口部から容易に挿通することができる。
(5)前記保持部の全体が前記貫通孔内に設けられているとよい。この構成によれば、保持部が外部の異物と干渉しにくくなり、保持部の損傷を防止することができる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るフェライトコアの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るフェライトコア10は、コネクタ1に備えられる。コネクタ1は、車両のシートベルトプリテンショナーやエアバッグインフレータ等の制御に用いられる所謂スクイブコネクタである。コネクタ1は、フェライトコア10の他、ハウジング20、端子金具30、電線40等を備えて構成されている。なお、以下の説明において、前後方向については、図1の右側及び図3の上側を前側とする。上下方向は、図3を除く各図の上下方向を基準とする。上下方向は、後述する貫通孔11の長さ方向と同義であり、電線40が挿通される方向である。左右方向は、幅方向と同義であって、図3の左右方向を基準とする。図中Fが前側を示し、図中Uが上側を示し、図中Rが右側を示す。ハウジング20は、前方から図示しない相手側ハウジングに嵌合可能とされている。
【0015】
<ハウジング>
ハウジング20は合成樹脂製であって、図1に示すように、ハウジング本体21と、蓋部22とを有している。ハウジング本体21は、左右方向から見た側面視において、上端から前方及び下方にそれぞれ延びる逆L字状をなしている。ハウジング本体21は、端子金具30を収容する第1キャビティ23と、フェライトコア10を収容する第2キャビティ24とを有している。第1キャビティ23は、逆L字状をなすハウジング本体21の形状に沿った逆L字状に形成されている。具体的には、第1キャビティ23は、ハウジング本体21の上端部において前後方向に貫通する。第1キャビティ23の後端は、後方に開放されるとともに、下方に溝状に延びている。第1キャビティ23は複数形成されており、左右方向に並んで配置されている。第2キャビティ24は、ハウジング本体21の下端部において、後方に開口する直方体形状をなしている。第2キャビティ24は、上端において複数の第1キャビティ23の下端に連通している。第2キャビティ24は、下端において、電線40が貫通する断面半円状の溝25によって外側の空間に連通している。
【0016】
図1に示すように、蓋部22はハウジング本体21の後端を覆う。これによって、蓋部22は、第1キャビティ23及び第2キャビティ24の各後端開口を閉塞する。蓋部22は、上端において、ハウジング本体21の上端にヒンジ26を介して開閉可能に連結されている。蓋部22は、左右の側部に設けられた図示しない係止部によって、ハウジング本体21の左右の側部に係止される。ハウジング20は、蓋部22によってハウジング本体21の後端が閉塞された状態において、検知部材50を挿通可能な挿通孔27を形成している。挿通孔27に挿通された検知部材50は、ハウジング20に対して待機位置(図1参照)と検知位置とに移動可能である。詳細には、検知部材50は、ハウジング20が図示しない相手側ハウジングに対して正規嵌合した状態において、待機位置から検知位置に移動可能である。検知部材50が検知位置に移動可能となることをもって、ハウジング20と相手側ハウジングが正規嵌合状態になっていることを検知する。
【0017】
<端子金具>
端子金具30は、雌端子金具であり、導電性の金属板を折り曲げ加工して形成されている。端子金具30は、複数の第1キャビティ23に対応して複数(図2では、2つ)設けられている。図1及び図2に示すように、端子金具30は、前後方向に延びる本体部31と、本体部31の後端から下方に延びて電線40を圧着して接続するバレル部32とを有している。端子金具30は、蓋部22がハウジング本体21の後端を開放した状態において、ハウジング本体21の後方から第1キャビティ23に挿入される。
【0018】
<電線>
図1に示すように、電線40は、被覆電線であって、芯線41と、芯線41の外周を包囲する被覆42とを有している。芯線41は、導電性の金属からなる多数の素線を撚り合わせて形成されている。被覆42は絶縁樹脂製である。図4に示すように、電線40の先端部は被覆42が除去されており、芯線41が露出している。電線40は、フェライトコア10に挿通された後に端子金具30のバレル部32に圧着される。
【0019】
<フェライトコア>
フェライトコア10は、金属酸化物を焼結してなり、磁性体としての性質を有している。図1から図3に示すように、フェライトコア10は直方体状に一体に形成されている。フェライトコア10は貫通孔11を形成している。貫通孔11は断面円形状をなし、フェライトコア10を上下方向に貫通している。貫通孔11には、内側に電線40が配置される。貫通孔11は、左右方向に並んで複数(図3では、2つ)形成されており、それぞれに電線40が配置される。図1に示すように、貫通孔11は、前後方向の中心よりも前寄りにオフセットして形成されている。これによって、フェライトコア10の重心は、前後方向の中心よりも後方に位置している。
【0020】
<保持部>
フェライトコア10は保持部60を備えている。保持部60は、貫通孔11に挿通された電線40を保持可能に設けられている。本実施形態の場合、保持部60は、各貫通孔11のそれぞれに、複数(図1中2つ)の突起61,62を有して構成されている。各突起61,62は、フェライトコア10と一体の焼結金属酸化物製である。各突起61,62は、貫通孔11の内周面から突出して設けられている。図3に示すように、各突起61,62は、貫通孔11の内周面に沿った半円弧状に形成されている。図4に示すように、各突起61,62は、側面視方向の断面において半円状をなしている。複数の突起61,62は、上下方向(貫通孔11の長さ方向)に間隔を置いて形成されている。図3に示すように、複数の突起61,62は、貫通孔11の周方向において異なる位置に配置されている。複数の突起61,62のうちの一つである突起61は、貫通孔11の開口部である一方の開口11Aに設けられ、他の突起62は、貫通孔11の長さ方向中心寄りの位置に設けられている。複数の突起61,62は、各貫通孔11において形状、配置等は同じである。
【0021】
本実施形態の場合、突起は2つ設けられている。図4に示すように、2つの突起61,62の一方である突起61は、貫通孔11の下端側の開口11Aに設けられている。開口11Aの開口幅Wは、電線40の外径よりも大きい。突起61は、貫通孔11の周方向一側(後側)の内周面から突出して形成されている。もう一方の突起62は、貫通孔11の長さ方向の中心よりも下寄りに設けられている。突起62は、貫通孔11の周方向における突起61とは異なる位置であって、貫通孔11の周方向他側(前側)の内周面から突出して形成されている。貫通孔11の長さ方向における2つの突起61,62の間隔Lは、電線40の外径よりも大きい。図3に示すように、2つの突起61、62の内周縁61A、62Aと、内周縁61A、62Aの両端間のすきまをつなぐと、周方向に連続する仮想円Cvが形成される。
【0022】
図3に示すように、複数の突起61,62は、貫通孔11を長さ方向(上方または下方)から見たとき、突起61,62の内周縁61A,62Aによって規定される上記仮想円Cvの開口径がaをなしている。この開口径aは、電線40における芯線41の外径をb、被覆42の外径(電線40全体の外径)をcとしたとき、b<a<cの関係式が成り立つように設定されている。
【0023】
次に、コネクタ1の組み付けについて説明する。組み付けにあたっては、最初に、フェライトコア10の貫通孔11に電線40を挿通する。図4に示すように、電線40は、先端部で露出する芯線41を貫通孔11の下端側の開口11A(入口)に向けた状態から、開口11Aを通して貫通孔11に挿通される。開口11Aには突起61が設けられている。突起61は、貫通孔11の入口に設けられており、外部から視認可能である。このため、電線40を突起61に干渉させずに開口11Aから挿入することが可能である。また、開口11Aの開口幅Wは電線40の外径よりも大きいため、電線40を容易に挿入可能である。
【0024】
更に電線40を貫通孔11内に押し込み、貫通孔11内の突起62を通過させる。突起62は、貫通孔11の長さ方向において突起61から間隔Lを置いて設けられている。間隔Lは、電線40の外径よりも大きく設定されている。このため、電線40を無理なく通過させることができる。また、突起62は、貫通孔11の周方向において突起61とは異なる位置に配置されている。このため、突起62を通過させるにあたっては、図5に示すように、突起61を避けて貫通孔11における前側の内周面寄りに挿入した電線40の先端部を、貫通孔11における後側の内周面に沿わせるように傾けて押し込むとよい。
【0025】
そして、更に電線40を押し込み、貫通孔11を挿通させる。図6に示すように、貫通孔11を貫通した電線40は保持部60によって屈曲状態に保持される。電線40は、芯線41の外径bよりも大きく且つ電線40の外径cよりも小さい開口径aで設けられた複数の突起61,62によって、弾性変形し易い樹脂製の被覆42を押圧され、適度な保持力をもって保持される。これにより、電線40に対してフェライトコア10を所望の位置に位置決めすることができる。また、フェライトコア10の重心が後部寄りにあることから、電線40に対して位置決めされた状態のフェライトコア10には、上端側が後方に倒れようとする力が作用する。この力は、2つの突起61,62が電線40に更に押し付けられる方向に作用するため、電線40をより良好に保持することが可能である。
【0026】
その後、電線40の先端部において露出する芯線41及び被覆42に端子金具30のバレル部32を圧着する。バレル部32の下端側を貫通孔11内の上部に挿入し(図2参照)、電線40に対するフェライトコア10の相対位置を調整する。そして、端子金具30の本体部31をハウジング本体21の後方から第1キャビティ23に挿入する。更に、フェライトコア10をハウジング本体21の後方から第2キャビティ24に収納する。この状態で、蓋部22によってハウジング本体21の後端を覆って第1キャビティ23及び第2キャビティ24の各後端開口を閉塞する。最後に、検知部材50をハウジング20に組み付ける。検知部材50を、ハウジング20の後方から挿通孔27に待機位置まで挿入して組み付ける。コネクタ1はこのようにして組み立てられる。
【0027】
ハウジング20に対して端子金具30及びフェライトコア10の組み付け作業を開始する前または組み付け作業の間、フェライトコア10は保持部60によって電線40に対する位置ずれが規制された状態に保たれる。このため、作業者は上記組み付け作業を円滑に行うことができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、フェライトコア10は、内側に電線40が配置される貫通孔11内に、電線40を保持可能な保持部60を備えている。このため、電線40に対するフェライトコア10の相対移動を規制でき、電線40に対するフェライトコア10の位置決めを行うことができる。例えば、貫通孔内に保持部が備えられていない場合、電線を挿通されたフェライトコアは、作業者の手等によって保持していないと電線に沿って滑り落ちてしまう。しかし、保持部60を備えたことによって、フェライトコア10は、手で押さえたりすることなく電線40に対して位置決めされる。このため、コネクタ1における組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0029】
また、保持部60は、フェライトコア10の貫通孔11の内周面から突出する複数の突起61,62を有している。複数の突起61,62は、貫通孔11の長さ方向に間隔Lを置き且つ貫通孔11の周方向において異なる位置に配置されている。このため、保持部を簡易な構成によって実現できる。保持部60は、複数の突起61,62をフェライトコア10に一体に形成して構成されている。このため、部品点数の増加を抑制できる。
【0030】
また、電線40は、芯線41の周りを被覆42で覆った被覆電線であって、先端部に芯線41を露出させており、貫通孔11を長さ方向から見たときに突起61,62の内周縁61A,62Aによって規定される仮想円Cv開口径をa、電線40の芯線41の外径をb、芯線41を覆う被覆42の外径をcとした場合、b<a<cの関係式が成り立つ。このため、電線40の先端部を貫通孔11に挿通させる際、電線40の先端部で露出する芯線41と、突起61,62と、の干渉を回避または緩和することができる。このため、突起61,62と、被覆42と、の間には適切な保持力を作用させることができる。その結果、電線40の挿通作業を円滑に行うことができる上、突起61,62による電線40の保持を良好に実現することができる。
【0031】
また、複数の突起61,62のうち、突起61は、貫通孔11の開口部である開口11Aに設けられている。このため、作業者が突起61を視認し易くなるため、突起61を避けながら電線40を開口11Aから容易に挿通することができる。
【0032】
また、保持部60は、その全体が貫通孔11内に設けられている。このため、保持部60が外部の異物と干渉しにくくなり、保持部60の損傷を防止することができる。
【0033】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
例えば、上記実施形態の場合、保持部は複数の突起を有して構成されていたが、保持部の構成は、貫通孔内に備えられ、挿通された電線を保持する限り特に限定されない。
上記実施形態の場合、保持部は2つの突起を有していたが、他の実施形態としては、保持部は3つ以上の突起を有していてもよい。
上記実施形態の場合、突起は、貫通孔の内周面に沿った半円弧状に形成されていたが、四半円弧状等、半円弧状よりも周方向において短く形成されていてもよい。
上記実施形態の場合、突起は、断面半円状に形成されていたが、他の実施形態としては、突起の断面形状は、長方形状、台形状、三角形状等の多角形状であってもよい。これらの場合、角部にはR面取りが施されていることが好ましい。
上記実施形態の場合、フェライトコアは、スクイブコネクタに備えられていたが、本開示に係るフェライトコアは、フェライトを内蔵する部品全般に備えられるものであることができる。
上記実施形態の場合、保持部がフェライトコアに一体に設けられていたが、保持部は、フェライトコアと別体であって、フェライトコアの貫通孔に挿入されて電線を保持する構成であってもよい。
上記実施形態の場合、フェライトコアは一体に設けられていたが、合体可能な一対の半割体で構成されてもよい。
【0034】
上記実施形態の場合、複数の突起のうちの一つが貫通孔の開口部に設けられていたが、これは必須ではない。例えば、複数の突起は、いずれも貫通孔の開口部よりも奥まった位置に設けられていてもよい。また、複数の突起は、貫通孔の開口部の両方に設けられていてもよい。図7はその例示である。図7の場合、保持部260は、複数の突起としての突起261,262を有している。突起261,262は、フェライトコア210に形成された貫通孔211における上下両端の開口211A,211Bにそれぞれ設けられている。この場合、両端の開口のどちら側でも外部から突起261,262を視認できるため、電線を容易に挿通することができる。また、フェライトコア210における上下の方向性をなくすことができ、コネクタ等への組み付け作業性の更なる向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0035】
1…コネクタ
10,210…フェライトコア
11,211…貫通孔
11A,211A,211B…貫通孔の開口
20…ハウジング
21…ハウジング本体
22…蓋部
23…第1キャビティ
24…第2キャビティ
25…溝
26…ヒンジ
27…挿通孔
30…端子金具
31…本体部
32…バレル部
40…電線
41…芯線
42…被覆
50…検知部材
60,260…保持部
61,62,261、262…突起
61A,62A…突起の内周縁
a…突起の内周縁によって規定される開口径
b…芯線の外径
c…被覆の外径(電線の外径)
Cv…仮想円
L…突起の間隔
W…開口幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7