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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240416BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
B60R16/023 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020201229
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022089022
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】多田 玲
(72)【発明者】
【氏名】岸上 友久
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-24670(JP,A)
【文献】特開2013-255034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークシステムであって、
少なくとも一つの伝送路(2)と、
それぞれが前記伝送路に接続される複数の端末装置(5)と、
を備え、
前記端末装置は、
前記伝送路にて送受信される通信フレームの一種で少なくとも当該端末装置が属する起動グループの特定に必要な起動情報が付与された指定管理用フレームを受信すると、指定機能が停止されたスリープ状態から前記指定機能を実行可能なウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させる第1待機部と、任意の前記通信フレームを受信すると前記スリープ状態から前記ウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させる、前記第1待機部よりも少ない消費電力で動作する第2待機部と、を有し、切替指令に従って前記第1待機部及び前記第2待機部のうちいずれか一方を動作させるように構成されたトランシーバ(51)と、
当該端末装置が前記指定管理用フレームの受信以外の内部要因でウェイクアップした場合、前記内部要因が継続する間、前記指定管理用フレームを前記伝送路に送信し、前記内部要因が生じない場合に前記指定管理用フレームを前記伝送路に送信しないように構成された起動処理部(53、S220-S230)と、
前記指定管理用フレームを前記伝送路を介して受信しない非指定期間が予め定められた動作判定時間以上となった後に、前記伝送路にて前記通信フレームが送受信されない伝送路空き期間が予め定められた準備時間以上であると、前記トランシーバに、前記第2待機部を動作させるための前記切替指令を出力するように構成された切替部(53、S240-S290)と、
を備える、ネットワークシステム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムであって、
前記切替部は、
前記非指定期間が前記動作判定時間以上となった後に、前記伝送路空き期間が前記準備時間以上であるか否かを判定する空き期間判定部(S240)と
前記空き期間判定部による判定に基づいて、前記非指定期間が前記動作判定時間以上となった後に前記伝送路空き期間が前記準備時間未満であると判定される場合、前記第1待機部を動作させるための前記切替指令を前記トランシーバに出力する第1切替実行部(S280)と、
前記空き期間判定部による判定に基づいて、前記非指定期間が前記動作判定時間以上となった後に前記伝送路空き期間が前記準備時間以上であると判定される場合、前記第2待機部を動作させるための前記切替指令を前記トランシーバに出力する第2切替実行部(S290)と、
を備える、ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワークシステムであって、
少なくとも1つの監視起動部(S274、S330)を備え、
前記監視起動部は、所定条件が満たされる場合に、前記通信フレームの一種で前記伝送路に接続される全ての前記端末装置をウェイクアップさせるための特定起動フレームを送信するように構成され、
前記端末装置では、
前記第1待機部は、前記特定起動フレームを受信すると、前記スリープ状態から前記ウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させるように構成され、
前記第2待機部は、前記特定起動フレームを受信すると、前記スリープ状態から前記ウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させ、
前記切替部は、当該端末装置が前記特定起動フレームの受信によって前記ウェイクアップした後、前記非指定期間が前記動作判定時間以上となった後に、前記伝送路空き期間が前記準備時間以上であると判定される場合、前記第2待機部を動作させるための前記切替指令を前記トランシーバに出力する、
ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワークシステムであって、
複数の前記伝送路を接続するように構成される少なくとも1つの中継装置(4)を更に備え、
前記中継装置は前記監視起動部(S330)を備え、
前記監視起動部は、前記伝送路空き期間を測定し、前記伝送路空き期間が前記準備時間よりも長い時間である予め定められた監視時間以上である場合に前記特定起動フレームを送信する、ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のネットワークシステムであって、
前記端末装置は、
前記監視起動部(S274)と、
前記特定起動フレームによってウェイクアップしたことを記憶するように構成された起動記憶部(S215)と、
当該端末装置が前記特定起動フレームによってウェイクアップしたか否かを判定するように構成された起動判定部(S272)と、
を更に備え、
前記切替部は、前記非指定期間が前記動作判定時間以上となった後に前記伝送路空き期間が前記準備時間以上であるとき、前記起動判定部によって当該端末装置が前記特定起動フレームの受信によってウェイクアップしていないと判定される場合、前記監視起動部によって前記特定起動フレームを前記伝送路に送信し、且つ、前記非指定期間が前記動作判定時間以上となった後に前記伝送路空き期間が前記準備時間以上であると判定されるとき、前記起動判定部によって当該端末装置が前記特定起動フレームによってウェイクアップしたと判定される場合、前記第2待機部を動作させるための前記切替指令を前記トランシーバに出力する、ネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のネットワークシステムであって、
少なくとも1つの監視起動部(S440)を備え、
前記監視起動部は、前記伝送路空き期間を測定し、前記伝送路空き期間が少なくとも前記準備時間よりも長い時間である予め定められた監視時間以上である場合、前記通信フレームの一種で前記伝送路に接続される全ての前記端末装置をウェイクアップさせるための特定起動フレームを送信するように構成され、
前記端末装置では、
前記第1待機部は、前記特定起動フレームを受信すると、前記スリープ状態から前記ウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させるように構成され、
前記第2待機部は、前記特定起動フレームを受信すると、前記スリープ状態から前記ウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させ、
前記特定起動フレームによってウェイクアップしたことを記憶するように構成された起動記憶部(S215)と、
当該端末装置が前記特定起動フレームによってウェイクアップしたか否かを判定するように構成された起動判定部(S272)と、
を更に備え、
前記切替部は、当該端末装置がウェイクアップした後、前記非指定期間が前記動作判定時間以上となったときに、前記起動判定部によって前記特定起動フレーム以外の前記通信フレームによってウェイクアップしたと判定される場合、前記第1待機部を動作させるための前記切替指令を前記トランシーバに出力し、且つ、前記起動判定部によって前記特定起動フレームによってウェイクアップしたと判定される場合、前記第2待機部を動作させるための前記切替指令を前記トランシーバに出力する、ネットワークシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のネットワークシステムであって、
複数の前記伝送路を接続するように構成される少なくとも1つの中継装置を更に備え、
前記中継装置が前記監視起動部を備える、ネットワークシステム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のネットワークシステムであって、
複数の前記端末装置のうち予め定められた少なくとも1つの前記端末装置が前記監視起動部を備える、ネットワークシステム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のネットワークシステムであって、
前記切替部は、前記トランシーバに、前記切替指令であって、前記第2待機部に給電するための前記切替指令を出力するように構成された、ネットワークシステム。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のネットワークシステムであって、
前記切替部は、前記トランシーバに、前記切替指令であって、前記第2待機部に前記第2待機部を駆動するクロック信号を供給するための前記切替指令を出力するように構成された、ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークシステムにおける消費電力の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には車載機器を制御するために多数の電子制御装置、いわゆるECUが搭載され、これらのECUが通信バスに接続されることによって、ECUをノードとするネットワークシステムが構築される。特許文献1には、この種のネットワークシステムにおいて、状況に応じて制御に不必要な一部のECUの機能を停止したスリープ状態にすることで、ネットワークシステム全体としての消費電力を低減するパーシャルネットワークという技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-107453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、特許文献1に記載の従来技術では、パーシャルネットワークにおいて、ECUがスリープ状態にあるときの消費電力を低減することが望まれている、という課題が見出された。
【0005】
本開示の1つの局面では、パーシャルネットワークにおいて、ECUがスリープ状態にあるときの消費電力を低減するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面は、ネットワークシステム(1)である。ネットワークシステムは、少なくとも一つの伝送路(2)と、それぞれが伝送路に接続される複数の端末装置(5)と、を備える。端末装置は、トランシーバ(51)と、起動処理部(53、S220-S230)と、切替部(53、S240-S290)と、を備える。トランシーバは、第1待機部及び第2待機部を有し、切替指令に従って第1待機部及び第2待機部のうちいずれか一方を動作させるように構成される。
【0007】
第1待機部は、指定管理用フレームを受信すると、指定機能が停止されたスリープ状態から指定機能を実行可能なウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させる。指定管理用フレームは、伝送路にて送受信される通信フレームの一種で少なくとも当該端末装置が属する起動グループの特定に必要な起動情報が付与されている。第2待機部は、任意の通信フレームを受信すると、スリープ状態からウェイクアップ状態に当該端末装置を遷移させる。第2待機部は、第1待機部よりも少ない消費電力で動作する。
【0008】
起動処理部は、当該端末装置が指定管理用フレームの受信以外の内部要因でウェイクアップした場合、内部要因が継続する間、指定管理用フレームを伝送路に送信し、内部要因が生じない場合に指定管理用フレームを伝送路に送信しないように構成される。
【0009】
切替部は、非指定期間が予め定められた動作判定時間以上となった後に、伝送路空き期間が予め定められた準備時間以上継続すると、トランシーバに、第2待機部を動作させるための切替指令を出力するように構成される。非指定期間は、指定管理用フレームを、伝送路を介して受信しない期間である。伝送路空き期間は、伝送路にて通信フレームが送受信されない期間である。
【0010】
このような構成によれば、端末装置は、第1待機部及び第2待機部を切替可能に構成されているので、例えばスリープする際に、第2待機部を動作させることで、第1待機部を動作させるよりも消費電力を低減することができる。
【0011】
また、端末装置は、非指定期間が動作判定時間以上であり、且つ、伝送路空き期間が準備時間以上継続する場合、第2待機部を動作させる。換言すれば、端末装置は、同じ起動グループの端末装置が内部要因でウェイクアップしておらず、且つ、伝送路に空きが生じている場合、第2待機部を動作させる。これにより、ネットワークシステムにおいて、同じ起動グループの端末装置がウェイクアップしておらず、且つ、伝送路に空きが生じている場合、端末装置がスリープする際の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態のネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
図2】起動グループを例示する説明図である。
図3】端末装置が保持する所属情報、及びNMフレームに付与される起動情報を例示する説明図である。
図4】中継装置の構成を示すブロック図である。
図5】端末装置の構成を示すブロック図である。
図6】端末装置が備えるトランシーバが実行する起動制御の内容を示すフローチャートである。
図7】中継装置が備えるトランシーバが実行する起動制御の内容を示すフローチャートである。
図8】端末装置のMCUが実行する起動維持処理のフローチャートである。
図9】中継装置のMCUが実行する監視起動処理のフローチャートである。
図10】端末装置の動作を説明する説明図である。
図11】ネットワークシステムの動作を説明する説明図である。
図12】第2実施形態のネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
図13】端末装置のMCUが実行する起動維持処理のフローチャートである。
図14】第3実施形態の端末装置のMCUが実行する起動維持処理のフローチャートである。
図15】第4実施形態の端末装置のトランシーバの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
図1に示すネットワークシステム1は、少なくとも1つのバス状伝送路(以下、バス2)と、それぞれがバス2に接続される複数の端末装置5と、を備える。なお、例えば図1では、ネットワークシステム1は、3つのバス2と5つの端末装置5と更に1つの中継装置4とを備えるが、ネットワークシステム1におけるバス2の数、端末装置5の数、中継装置4の数は、これらに限定されるものではない。また、ネットワークシステム1は、中継装置4を備えていなくてもよい。以下では、中継装置4をGWとも表記する。GWは、Gatewayの略である。
【0014】
複数のバス2は、中継装置4を介して相互に接続され、ネットワークを形成する。各端末装置5は、複数のバス2のいずれかに接続される。本実施形態では、端末装置5を総称して、ノードとも呼ぶ。
【0015】
ネットワークシステム1は、ISO11898-6:2013に規定されたCANプロトコル規格の通信制御に基づく給電制御手法であるパーシャルネットワークを形成する。CANは登録商標である。パーシャルネットワークでは、ノードを必要に応じて個別にウェイクアップ(すなわち、起動)又はスリープ(すなわち、休眠)させることで低消費電力を実現する。ノードは、ウェイクアップすることで、ノードに割り当てられた機能(以下、指定機能ともいう)を制限されることなく利用可能な通常の動作状態となり、スリープすることで、利用可能な機能が制限された低消費電力の動作状態となる。
【0016】
本実施形態では、端末装置5はECUである。ECUは、Electronic Control Unitの略である。端末装置5は、ウェイクアップ時に、同時に起動する必要のある他の端末装置5と共に起動グループGrαを形成する。起動グループには、少なくとも一つの端末装置5が含まれる。本実施形態における起動グループの例を図2に示す。
【0017】
それぞれのバス2をバス2_iと表し、バス2_iに接続され、かつ、起動グループGrαに属する端末装置5を、ECU_iαで表す。複数の起動グループに属する端末装置5は、ECU_iαβ…で表す。但し、i=1、2、3、…、α、β=A、B、C、…である。例えば、ECU_1BCは、バス2_1に接続され、且つ、二つの起動グループGrB及びGrCに属する端末装置5を意味する。
【0018】
ネットワークシステム1では、スリープ状態にあるノードをウェイクアップする際に、起動情報を含んだCANフレームであるNMフレームを使用する。起動情報は、各ノードが属する起動グループを指定するための情報である。NMは、Network Managementの略である。なお、CANフレームが、バス2にて送受信される通信フレームの一種に相当する。また、NMフレームがバス2にて送受信される通信フレームの一種であり管理用フレームに相当する。
【0019】
起動情報は少なくとも1つの端末装置5を指定する。起動情報は、例えば、図3に示すように設定される。DLCは、Data Length Codeの略であり、CANフレームにおけるデータ領域サイズをバイト単位で表す領域である。つまり、NMフレームにおいて起動情報は、CANフレームのデータ領域に格納される。ここでは、説明を簡単にするため、DLCが1バイト(すなわち、8ビット)の場合を示す。起動情報を表す8ビットデータの各ビットに起動グループが対応づけられる。
【0020】
例えば、図3では、起動情報を表す8ビットデータのうち、上位3ビットが未使用であり、下位5ビットがECU起動グループGrA-GrEを表す。但し、図1に示すネットワーク構成では、GrD、GrEは未使用となる。
【0021】
NWフレームに設定される起動情報は、起動対象となる起動グループに対応するビットが1に設定される。以下では、起動グループGrαを表すビットを、PNC_αで表すことがある。但し、α=A、B、C、…である。例えば、図3では、起動情報を表す8ビットデータのうち、下位から数えて5つめのビットが起動グループGrAを表しており、このビットがPNC_Aで表される。
【0022】
つまり、図3では、PNC_A=0、PNC_B=1、PNC_C=0、PNC_D=0、PNC_E=0である。図3に示すNMフレームは、起動グループGrBに属するノード(すなわち、端末装置5)をウェイクアップさせるためのNMフレームである。
【0023】
[1-1-1.中継装置の構成]
図4に示すように、中継機能を有する中継装置4は、いわゆるGWであり、トランシーバ41と、MCU43と、電源リレー44とを備える。MCUは、Micro Control Unitの略である。
【0024】
トランシーバ41は、常時給電を受け、MCU43は、電源リレー44を介して給電を受ける。中継装置4は、接続されるバス2の数に応じてトランシーバ41を備えていてもよい。例えば、本実施形態では、中継装置4は、バス2_1-2_3といった3つのバス2に応じて、3つのトランシーバ41を備えていてもよい。
【0025】
トランシーバ41は、パーシャルネットワークの規格に非対応のトランシーバ(以下、PN非対応トランシーバ)であり、バス2を介して信号を送受信する。トランシーバ41は、送受信回路411を備える。送受信回路411は、MCU43から供給される送信データに従ってCANプロトコルに従った通信フレームを生成してバス2に送信する。
【0026】
送受信回路411は、通信フレームの種類及び内容に拘わらず、任意の通信フレームの受信を検出すると電源リレー44に対して起動指令を出力する。これにより、中継装置4は、ウェイクアップする。送受信回路411は、バス2を介して受信した通信フレームをMCU43に供給する。
【0027】
MCU43は、CPU431と、例えば、ROM又はRAM等の半導体メモリ(以下、メモリ432)と、を備える。
MCU43は、給電が開始されて起動すると、図示しないが、いわゆる中継機能を実行するためのフレーム中継処理を少なくとも実行する。
【0028】
本実施形態では更に、MCU43は、バス2の空き状況を監視する監視機能と、バス2に接続される全てのノードをウェイクアップする全ウェイクアップ機能と、を実行するための監視起動処理を実行する。MCU43のメモリ432には、フレーム中継処理、監視起動処理を実行するためのプログラムが少なくとも記憶される。
【0029】
中継装置4は、中継機能において、通信フレームを受信すると、通信フレームの種類及び内容に拘わらず、MCU43をウェイクアップし、受信した通信フレームをブロードキャストする。ブロードキャストとは、中継装置4に接続される全てのバス2へ送信することをいう。例えば、中継装置4は、バス2_1から受信した通信フレームをバス2_1-バス2_3に送信する。
【0030】
電源リレー44は、停止指令(すなわち、電源リレー44をオフする指令)に従って、MCU43への給電を停止することで、MCU43をスリープする。これにより、中継装置4はスリーブする。本実施形態では、停止指令は、MCU43が実行する監視起動処理において出力される。
【0031】
[1-1-2.端末装置の構成]
端末装置5であるECUは、図5に示すように、トランシーバ51と、MCU53と、電源リレー54と、状況検知部55と、を備える。MCU53は、電源リレー54を介して給電を受ける。
【0032】
トランシーバ51は、送受信回路511、検出部515、電源スイッチ516、及び状態判別スイッチ517を備える。送受信回路511、電源スイッチ516、及び状態判別スイッチ517は常時給電を受け、検出部515は電源スイッチ516を介して給電を受ける。トランシーバ51は、電源スイッチ516を介して検出部515への給電を受けると、PN対応トランシーバとして動作する。トランシーバ51は、検出部515への給電が停止すると、パーシャルネットワークの規格に対応しないトランシーバ(以下、PN非対応トランシーバ)として動作する。
【0033】
検出部515は、トランシーバ51をPN対応トランシーバとして動作させるために必要とされる。検出部515は、プロトコル検出器512と、フレーム構成メモリ513と、メッセージフィルタ514と、を備える。
【0034】
送受信回路511は、図4を用いて説明した中継装置4のトランシーバ41を構成する送受信回路411と同様の機能を有する。つまり、送受信回路511は、MCU53から供給される送信データに従ってCANプロトコルに従った通信フレームを生成してバス2に送信する。送受信回路511は、バス2を介して受信した通信フレームをMCU53に供給する。また、送受信回路511は、通信フレームの受信を検出すると、通信フレームの種類及び内容に拘わらず、起動指令を出力する。送受信回路511が出力する起動指令は、状態判別スイッチ517を介して電源リレー54に出力される。
【0035】
プロトコル検出器512は、送受信回路511にて受信された通信フレームが、ノードをウェイクアップする制御に用いられるNMフレームである場合に、NMフレームのデータ領域に示された起動情報を抽出して、メッセージフィルタ514に供給する。
【0036】
フレーム構成メモリ513には、自ノードが属する起動グループを示す所属情報が記憶される。フレーム構成メモリ513の記憶内容は、MCU53によって書き換え可能に構成されてもよい。所属情報は、起動情報と同じデータ長を有し、各ビットの割当も、起動情報と同様である。そして、フレーム構成メモリ513に記憶される所属情報は、自ノードが属する起動グループに対応するビットが1に設定される。
【0037】
メッセージフィルタ514は、NMフレームから抽出される起動情報と、フレーム構成メモリ513に記憶された所属情報とを比較することで、起動情報に自ノードを指定する情報が含まれるか否かを判定する。例えば、起動情報と所属情報とをビット毎に論理積演算を行い、演算結果が非ゼロであれば、自ノードを指定する情報が含まれると判定する。メッセージフィルタ514は、起動情報に自ノードを指定する情報が含まれると判定した場合、起動指令を出力する。本実施形態では、メッセージフィルタ514は、状態判別スイッチ517に起動指令を出力する。
【0038】
例えば、図1に示す複数の端末装置5それぞれは、フレーム構成メモリ513に、図3に示す所属情報を記憶している。例えば、図3に示すように、PNC_B=1であるNMフレームが受信されると、GrBに属する端末装置5のトランシーバ51では、メッセージフィルタ514が、状態判別スイッチ517に起動指令を出力する。GrBに属する端末装置5は、ECU_2B、ECU_1BC、ECU3ABである。
【0039】
電源スイッチ516は、MCU53からの切替指令に従って、検出部515への給電を実行又は停止する。切替指令は、第1切替指令と第2切替指令とを含む。第1切替指令は、後述する第1待機部を動作させるための切替指令であり、第2切替指令は、後述する第2待機部を動作させるための切替指令である。本実施形態では、電源スイッチ516は、第1切替指令に従って検出部515への給電を実行し、第2切替指令に従って検出部515への給電を停止する。以下では、第1切替指令及び第2切替指令を区別しないときは、単に、切替指令という。切替指令は、MCU53から信号線561を介して出力される。
【0040】
また、電源スイッチ516は、MCU53からのウェイクアップ指令に従って、検出部515への給電を実行する。ウェイクアップ指令は、MCU53から信号線562を介して出力される。
【0041】
状態判別スイッチ517は、MCU53からの切替指令に従って、電源リレー54への起動指令の送信元を、送受信回路511又は検出部515のいずれかに切り替える。状態判別スイッチ517は、第1切替指令に従って検出部515への給電が実行されるときは、第1切替指令に従って電源リレー54への起動指令の送信元を検出部515とする。状態判別スイッチ517は、第2切替指令に従って検出部515への給電が停止されるときは、第2切替指令に従って電源リレー54への起動指令の送信元を送受信回路511とする。
【0042】
このように、トランシーバ51は、検出部515が給電される場合は、PN対応トランシーバとして動作し、検出部515への給電が停止する場合は、PN非対応トランシーバとして動作する。つまり、トランシーバ51は、切替指令に従って、PN対応トランシーバ又はPN非対応トランシーバのいずれかに切り替えられる。
なお、本実施形態では、トランシーバ51が備える全ての構成が第1待機部に相当し、トランシーバ51が備える全ての構成から検出部515を除いた構成が第2待機部に相当する。つまり、第2待機部は、第1待機部の構成要素の一部であり、第1待機部よりも少ない消費電力で動作する。
【0043】
本実施形態では、トランシーバ51は、切替指令に従って、第1待機部及び第2待機部のうちいずれか一方に給電する。第1待機部は、当該端末装置5を指定する起動情報が付与されたNMフレーム(すなわち、指定管理用フレーム)を受信すると、スリープ状態からウェイクアップ状態に当該端末装置5を遷移させる。第2待機部は、任意の通信フレームを受信するとスリープ状態からウェイクアップ状態に当該端末装置5を遷移させる。
【0044】
なお、本実施形態では、電源スイッチ516及び状態判別スイッチ517はトランシーバ51内に含まれているが、例えば、電源スイッチ516及び状態判別スイッチ517の少なくとも一方は、トランシーバ51内に含まれず、端末装置5内に含まれていてもよい。
【0045】
以下では、端末装置5におけるスリープ状態のうち、検出部515が給電を受けてPN対応トランシーバとして動作する状態(すなわち、第1待機部が動作する状態)をセレクティブスリープともいう。また、端末装置5におけるスリープ状態のうち、検出部515が給電を受けずPN非対応トランシーバとして動作する状態(すなわち、第2待機部が動作する状態)をスタンダードスリープともいう。
【0046】
状況検知部55は、自ノードに割り当てられた検知機能を用いて、自ノードのウェイクアップを必要とする状況であるか否かを判定し、ウェイクアップを必要とする状況である場合に、電源リレー54に対して起動指令(以下、内部要因による起動指令)を出力する。
【0047】
電源リレー54は、トランシーバ51又は状況検知部55からの起動指令に従って、MCU53への給電を開始することで、MCU53をウェイクアップする。
なお、電源リレー54は、ウェイクアップ要因を、MCU53に通知する。ここでのウェイクアップ要因は、トランシーバ51からの任意の通信フレーム受信、又は、NMフレーム受信(以下、外部要因ともいう)による起動指令、及び状況検知部55からの内部要因による起動指令のいずれかである。
【0048】
また、電源リレー54は、停止指令(すなわち、電源リレー54をオフする指令)に従って、MCU53への給電を停止することで、MCU53をスリープする。本実施形態では、停止指令は、MCU53が実行する起動維持処理において、信号線563を介して出力される。
【0049】
MCU53は、上述のMCU43と同様に、CPU531と、例えば、ROM又はRAM等の半導体メモリ(以下、メモリ532)と、を備える。
MCU53は、給電が開始されて起動すると、起動維持処理を少なくとも実行する。また、MCU53は、起動すると、自ノードに割り当てられた機能(すなわち、指定機能)を実行するための処理を実行する。MCU53のメモリ532には、起動維持処理、自ノードに割り当てられた機能を実行するための処理を実行するためのプログラムの他、フレーム構成メモリ513にも記憶される所属情報が少なくとも記憶される。
【0050】
[1-2.トランシーバでの起動制御]
[1-2-1.端末装置のトランシーバでの起動制御]
各ノードのトランシーバ51によって実行される起動制御の内容を、図6のフローチャートを用いて説明する。起動制御は、ノードへの給電が行なわれている間、継続して実行される。なお、図6では、トランシーバ51は、スタンダードスリープを初期状態とする。つまり、MCU53から出力される第2切替指令に従って、電源スイッチ516は検出部515への給電を停止しており、状態判別スイッチ517は起動指令の送信元として送受信回路511を選択している。
【0051】
但し、トランシーバ51は、セレクティブスリープを初期状態としてもよい。トランシーバ51は、セレクティブスリープを初期状態とする場合、S125から処理を開始する。
【0052】
S100では、トランシーバ51は、通信フレームを受信したか否かを判定する。ここでいう通信フレームは任意の通信フレームをいう。トランシーバ51は、通信フレームを受信していない場合は、同ステップを繰り返すことで待機し、通信フレームを受信すると、S105に処理を移行する。S100は送受信回路511により実行される。
【0053】
S105では、トランシーバ51は、状態判別スイッチ517を介して電源リレー54に起動指令(すなわち、電源リレー54をオンする指令)を出力する。起動指令を受けた電源リレー54は、MCU53への給電を開始し、MCU53を起動する。ここでの起動指令は、送受信回路511から出力される。これにより、端末装置5がスリープ状態からウェイクアップ状態に遷移する(すなわち、ウェイクアップする)。ウェイクアップしたMCU53から出力されるウェイクアップ指令に従って、電源スイッチ516は検出部515への給電を実行する。また、状態判別スイッチ517は、起動指令の送信元を切り替えて、起動指令の送信元として送受信回路511ではなく検出部515を選択する。
【0054】
続くS110では、トランシーバ51は、起動維持条件が成立しているか否かを判定し、起動維持条件が成立していれば、同ステップを繰り返すことで待機し、起動維持条件が不成立であれば、処理をS115に移行する。
【0055】
続くS115では、トランシーバ51は、スタンダードスリープするか否かを判定する。トランシーバ51は、スタンダードスリープすると判定する場合は処理をS120に移行し、端末装置5をスタンダードスリープさせる。トランシーバ51は、スタンダードスリープしない(すなわち、セレクティブスリープする)と判定する場合は処理をS125に移行し、端末装置5をセレクティブスリープさせる。
【0056】
例えば、本実施形態では、S110-S115の処理は、状態判別スイッチ517が実行する。なお、S120、S125の処理は電源スイッチ516が実行する。
つまり、状態判別スイッチ517は、MCU53から新たに切替指令を受信しなければ、起動維持条件が成立と判定して、切替状態を保持して待機する(すなわち、S110にて肯定判定される場合)。
【0057】
ここで、状態判別スイッチ517は、MCU53から新たに切替指令を受信すると、起動維持条件が不成立と判定し、切替指令が第2切替指令である場合にスタンダードスリープすると判定する。そして、状態判別スイッチ517は、第2切替指令に従って、起動指令の送信元として送受信回路511を選択する(すなわち、S115にて肯定判定される場合)。
【0058】
電源スイッチ516は、上述の第2切替指令に従って、検出部515への給電を停止し、トランシーバ51をスタンダードスリープに対応する状態(すなわち、PN非対応トランシーバ)に遷移させる(すなわち、S120)。なお、このとき、MCU53から電源リレー54に停止指令が出力される。これにより、端末装置5はスタンダードスリープする。
【0059】
一方、状態判別スイッチ517は、MCU53から新たに切替指令を受信すると、起動維持条件が不成立と判定して、切替指令が第1切替指令である場合にセレクティブスリープすると判定する。そして、状態判別スイッチ517は、第1切替指令に従って、起動指令の送信元として検出部515を選択する(すなわち、S115にて否定判定される場合)。電源スイッチ516は、上述の第1切替指令に従って、検出部515への給電を行い、トランシーバ51をセレクティブスリープに対応する状態(すなわち、PN対応トランシーバ)に遷移させる(すなわち、S125)。なお、このとき、MCU53から電源リレー54に停止指令が出力される。これにより、端末装置5はセレクティブスリープする。
【0060】
続くS130では、PN対応トランシーバとして作動しているトランシーバ51は、NMフレームを受信したか否かを判定する。この判定は、プロトコル検出器512が実行する。トランシーバ51は、NMフレームを受信していない場合は、同ステップを繰り返すことで待機し、NMフレームを受信すると、S135に処理を移行する。
【0061】
S135では、トランシーバ51は、受信したNMフレームのデータ領域に示された起動情報に、自ノードが属する起動グループが含まれているか否か、すなわち自ノードが起動対象であるか否かを判定する。この判定は、フレーム構成メモリ513とメッセージフィルタ514とが実行する。
【0062】
トランシーバ51は、自ノードが起動対象であると判定した場合は、処理をS140に移行し、起動対象ではないと判定した場合は処理をS130に戻す。
S140では、トランシーバ51は、S105と同様に、MCU53を起動する。そして、トランシーバ51は、S105と同様に、MCU53から出力されるウェイクアップ指令に従って、電源スイッチ516は検出部515への給電を実行し、状態判別スイッチ517は起動指令の送信元として検出部515を選択する。
【0063】
続くS145-S150では、トランシーバ51は、S110-S115と同様に動作する。但し、トランシーバ51は、S150では、MCUから新たに受信した切替指令が第1切替指令である場合に処理をS125に戻し、該切替指令が第2切替指令である場合に処理をS120へ移行する。
【0064】
つまり、電源スイッチ516は、切替指令が第1切替指令である場合(すなわち、S150にて肯定判定される場合)、検出部515への給電を継続し、トランシーバ51をセレクティブスリープに対応する状態(すなわち、PN対応トランシーバ)に遷移させる。また、電源スイッチ516は、切替指令が第2切替指令である場合(すなわち、S150にて否定判定される場合)、検出部515への給電を停止し、トランシーバ51をスタンダードスリープに対応する状態(すなわち、PN非対応トランシーバ)に遷移させる。
【0065】
[1-2-2.中継装置のトランシーバでの起動制御]
中継装置4が備えるトランシーバ41によって実行される起動制御の内容を、図7のフローチャートを用いて説明する。起動制御は、中継装置4への給電が行なわれている間、実行される。
【0066】
S160-S165では、PN非対応トランシーバとして動作するトランシーバ41は、通信フレームを受信した場合に、通信フレームの種類に拘わらず電源リレー44に起動指令(すなわち、電源リレー44をオンする指令)を出力する。起動指令を受けた電源リレー44は、MCU43への給電を開始し、MCU53を起動する。これにより、中継装置4がウェイクアップする。中継装置4は、ウェイクアップしている間、中継機能を実行する。
【0067】
S170では、トランシーバ41は、起動維持条件が成立しているか否かを判定し、起動維持条件が成立していれば、同ステップを繰り返すことで待機し、起動維持条件が不成立であれば、処理をS115に移行する。本実施形態では、トランシーバ41は、MCU43から停止指令を受信しなければ、起動維持条件が成立と判定し、MCU43から停止指令を受信すると起動維持条件が不成立と判定し、処理をS175へ移行する。
【0068】
S175では、トランシーバ41は、電源リレー44へ停止指令を出力する。これにより、MCU43への給電が停止し、中継装置4はスリーブ(すなわち、スタンダードスリープ)する。
[1-3.処理]
[1-3-1.端末装置による起動維持処理]
以下では、端末装置5が実行する起動維持処理の内容を、図8のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、以下で説明する処理のうち、S200の処理はトランシーバ51が実行し、S210以降の処理はMCU53が実行する。なお、端末装置5は、MCU53が実行する処理の少なくとも一部をハードウェアが実行するように適宜構成され得る。
【0069】
S200では、トランシーバ51は、端末装置5がスリーブ状態にあるとき、バス2上に自ノードをウェイクアップさせる通信フレームがある場合に、端末装置5をウェイクアップさせる。
【0070】
トランシーバ51は、バス2上に、自ノードをウェイクアップさせる通信フレームがあるか否かを、図6に示すS100又はS130-S135のように判定する。ここでいう通信フレームは、端末装置5がスタンダードスリープしている場合は任意の通信フレームであり、端末装置5がセレクティブスリープしている場合は、自ノードを指定する起動情報が付与されたNMフレームである。以下、自ノードを指定する起動情報が付与されたNMフレームを、指定NMフレームともいう。自ノードを指定する起動情報とは、換言すれば、当該端末装置5を含む起動グループを指定する起動情報である。指定NMフレームが指定管理用フレームに相当する。
【0071】
なお、端末装置5は、状況検知部55にてネットワークシステム1を起動すべき状況(すなわち、内部要因)が検出された場合もウェイクアップする。端末装置5では、指定NMフレームの受信(すなわち、外部要因)、又は内部要因のいずれがウェイクアップ要因であるかを示す情報が、上述のように、電源リレー54からMCU53に通知される。ウェイクアップ要因のうち、指定NMフレームの受信以外の要因が内部要因に相当する。
【0072】
S210では、MCU53は、ウェイクアップすると、信号線562を介して、電源スイッチ516と状態判別スイッチ517とに、ウェイクアップ指令を出力する。ウェイクアップ指令は、電源スイッチ516に検出部515への給電を実行させ、状態判別スイッチ517に起動指令の送信元として検出部515を選択させる指令である。これにより、MCU53は、トランシーバ51をPN対応トランシーバとして動作させる。つまり、端末装置5は、パーシャルネットワークに対応するように動作する。
【0073】
続くS220では、MCU53は、電源リレー54から通知される情報に基づき、ウェイクアップ要因が自ノードに起因する起動要因(すなわち、内部要因)であるか否かを判定する。MCU53は、ウェイクアップ要因が内部要因であると判定した場合は処理をS230に移行し、内部要因ではなく指定NMフレームの受信(すなわち、外部要因)であると判定した場合は処理をS240へ移行する。
【0074】
MCU53は、S230では、当該端末装置5が属する起動グループの特定に必要な情報を起動情報として付与したNMフレーム(すなわち、指定NMフレーム)をバス2に送信し、処理をS220に戻す。つまり、MCU53は、ウェイクアップ要因が内部要因である間、指定NMフレームを繰り返し(すなわち、定期的に)バス2に送信する。MCU53は、ウェイクアップ要因が内部要因でなくなると(すなわち、状況検知部55による内部要因の検出が停止すると)、指定NMフレームを定期的にバス2へ送信することを停止して、S240へ処理を移行する。
【0075】
なお、MCU53は、ウェイクアップしている間、自ノードに予め割り当てられた機能を実行するために、指定NMフレーム以外の種々の通信フレームである一般フレームをバス2に送信し得る。一般フレームは、MCU53がS230にて指定NMフレームを送信している間(すなわち、端末装置5が内部要因でウェイクアップしている間)、送信され得る。一般フレームは、自ノードが属する起動グループの他のノードにおいて受信され、利用され得る。
【0076】
以下、自ノードが属する起動グループを同起動グループともいう。また、自ノードが属する起動グループの他のノードを同起動グループの他ノードともいう。つまり、MCU53は、バス2から同起動グループの他ノードが送信した一般フレームを受信し得る。なお、MCU53は、一般フレームを送信しないように構成されてもよい。
【0077】
MCU53は、S240では、非指定期間が、動作判定時間以上であるか否かを判定する。非指定期間は、自ノードを受信対象として指定するNMフレーム(すなわち、指定NMフレーム)がバス2上にない期間(すなわち、指定NMフレームがバス2を介して受信されない期間)をいう。動作判定時間は、同起動グループの他ノード全てが内部要因で起動していないことを検出するための予め定められた時間であり、自ノードをスリープさせてよいか否かを判定するための時間である。
【0078】
動作判定時間は、指定NMフレームの送信周期よりも長い時間に設定される。動作判定時間は、例えば3秒に設定され得る。但し、動作判定時間はこれに限定されるものではなく、任意に設定され得る。
【0079】
図示しないが、MCU53では、本起動維持処理とは別処理であるタイマ処理によって、指定NMフレームが受信されてから次に指定NMフレームが受信されるまでの時間を非指定期間として測定する。タイマ処理では、非指定期間は、指定NMフレームが受信される毎にリセットされ、本起動制御処理が終了するとリセットされる。
【0080】
MCU53は、タイマ処理に基づいて、非指定期間が動作判定時間以上であるか否かを判定し、非指定期間が動作判定時間未満である場合に処理をS220へ戻し、非指定期間が動作判定時間以上である場合に処理をS250へ移行する。
【0081】
なお、S240にて肯定判定されるということは、同起動グループの全ての他ノードも動作判定時間以上のあいだ内部要因で起動していないということであり、後述するS250のようにして、同起動グループの全ての他ノードも一般フレームの送信を停止し得ることを意味する。
【0082】
S250では、MCU53は、バス2への全ての通信フレームの送信を停止する。全ての通信フレームとは、既に送信を停止している指定NMフレーム以外の通信フレーム(以下、一般フレーム)である。送信が停止されると、自ノードに起因する通信フレーム(すなわち、内部要因により送信される指定NMフレーム及び一般フレーム)は、同起動グループの全てのノードにおいて受信されなくなる。
【0083】
同起動グループの他ノードは、自ノードと同様に起動維持処理を実行するように構成される。自ノードがS240にて肯定判定してS250に移行するということは、同起動グループの他ノードも、ほぼ同じタイミングで、同様に判定して、S250へ移行していることになる。つまり、同起動グループの他ノードは、ほぼ同じタイミングで、該ノードの内部要因に基づく指定NMフレーム及び一般フレームの送信を停止する。
【0084】
これにより、同起動グループの全てのノード間での通信フレームの送受信が停止する。但し、ここでいう「同じタイミング」とは、厳密な意味での「同じタイミング」に限るものではない。自ノードと同起動グループの他ノードとの間には、タイミングを検出する際にずれ(すなわち、誤差)が生じ得るためである。
【0085】
続くS260では、MCU53は、予め定められた予備時間、待機する。予備時間は、例えば3秒に設定され得る。但し、予備時間はこれに限定されるものではなく、任意に設定され得る。
予備時間は、自ノードによって非指定期間が動作判定時間以上であると判定されるタイミングと、同起動グループの他ノードによって非指定期間が動作判定時間以上であると判定されるタイミングと、にずれが生じることによる影響を抑制するための時間である。ずれが生じることによる影響とは、自ノードにおいて非指定期間が動作判定時間以上であると判定された以降に、自ノードにおいてバス2を介して同起動グループの他ノードからの一般フレームが受信されることをいう。
【0086】
予備時間では、端末装置5は同起動グループの他ノードから送信される一般フレームを受信し得るが、予備期間に受信した一般フレームは当該端末装置5において利用されてもよいし利用されなくてもよい。
【0087】
続くS270では、MCU53は、非指定期間が動作判定時間継続した後、更に予備時間が経過した後に、伝送路空き期間を測定し、伝送路空き期間が予め定められた遷移判定時間以上継続するか否かを判定する。伝送路空き期間は、バス2に通信フレームがない期間、換言すれば、バス2において任意の通信フレームが送受信されない期間(すなわち、バス2が空いている期間)をいう。 MCU53は、本起動維持処理とは別処理によって、例えば、何らかの通信フレームを受信する毎に又は本起動維持制御の終了時に測定時間がリセットされるようなタイマ処理によって、伝送路空き期間を測定する。
【0088】
遷移判定時間は、例えば3秒に設定され得る。但し、遷移判定時間はこれに限定されるものではなく、任意に設定され得る。遷移判定時間は、自ノードをスタンダードスリープ及びセレクティブスリープのいずれの状態でスリープさせるかを決定するために、バス2の空き状態を監視する時間である。MCU53は、伝送路空き期間が遷移判定時間未満である場合に処理をS280へ移行し、伝送路空き期間が遷移判定時間以上である場合に処理をS290へ移行する。
【0089】
S280では、MCU53は、自ノードをウェイクアップ状態からセレクティブスリープ状態に遷移させる(すなわち、セレクティブスリープさせる)。具体的には、MCU53は、電源スイッチ516及び状態判別スイッチ517へ第1切替指令を出力し、且つ、電源リレー54へ停止指令を出力する。MCU53は、以上で、本起動制御処理を終了する。
【0090】
これにより、MCU53への給電が停止されることで、自ノードはスリープする。また、電源スイッチ516により検出部515に給電が行われ、且つ、状態判別スイッチ517により起動指令の送信元として検出部515が選択されることで、トランシーバ51がPN対応トランシーバとして動作する。結果として、自ノードは、スリープの際にセレクティブスリープに遷移する。
【0091】
S290では、MCU53は、自ノードをウェイクアップ状態からスタンダードスリープ状態に遷移させる(すなわち、スタンダードスリープさせる)。具体的には、MCU53は、電源スイッチ516及び状態判別スイッチ517へ第2切替指令を出力し、且つ、電源リレー54へ停止指令を出力する。MCU53は、以上で、本起動制御処理を終了する。
【0092】
これにより、MCU53への給電が停止されることで、自ノードはスリープする。また、電源スイッチ516により検出部515への給電が停止され、且つ、状態判別スイッチ517により起動指令の送信元として送受信回路511が選択されることで、トランシーバ51がPN非対応トランシーバとして動作する。結果として、自ノードは、スリープの際にスタンダードスリープに遷移する。
【0093】
[1-3-2.中継装置による監視起動処理]
以下では、中継装置4が実行する監視起動処理の内容を、図9のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、以下で説明する処理のうち、S300の処理はトランシーバ41が実行し、S310以降の処理はMCU43が実行する。なお、中継装置4は、MCU43が実行する処理の少なくとも一部をハードウェアが実行するように適宜構成され得る。
【0094】
S300では、中継装置4がスリーブ状態にあるとき、トランシーバ41は、図7に示すS160のようにして、バス2上に中継装置4をウェイクアップさせる通信フレームがあるか否かを判定する。ここでいう通信フレームは任意の通信フレームである。トランシーバ41は、バス2上に、任意の通信フレームがある場合に、中継装置4をウェイクアップする。
【0095】
S310では、MCU43は、ウェイクアップすると、ウェイクアップしている間、本監視起動処理とは別処理として、フレーム中継処理を継続して実行する。
続くS320では、MCU43は、バス2上にて任意の通信フレームが送受信されない期間(すなわち、上述の伝送路空き期間)が、予め定められた監視時間以上継続するか否かを判定する。MCU43は、本監視起動処理とは別処理によって、例えば、何らかの通信フレームを受信する毎に又は本監視起動処理の終了時に測定時間がリセットされるようなタイマ処理によって、伝送路空き期間を測定する。
【0096】
監視時間は、バス2に特定起動フレームを出力するタイミングを判定するための時間である。監視時間は、上述の準備時間よりも大きい値に設定される。準備時間は、上述の予備時間及び遷移判定時間を加算した時間に相当する。
MCU43は、伝送路空き期間が監視時間未満であれば、同ステップを繰り返すことで待機し、伝送路空き期間が監視時間以上であれば、処理をS330に移行する。
【0097】
S330では、MCU43は、中継装置4を除く、バス2に接続される全てのノードへ、特定起動フレームを送信する。特定起動フレームは、通信フレームの一種で、中継装置4を除く、バス2に接続される全てのノード(すなわち、バス2に接続される全ての端末装置5)をウェイクアップさせるための通信フレームである。
【0098】
特定起動フレームは、起動情報を表す8ビットデータのうちの未使用のビットであって予め定めたビットに1が設定されるような通信フレームであってもよい。例えば、図3において、起動情報を表す8ビットデータのうち、下位から数えて6つめのビットが、特定起動フレームを表すビットとして用いられてもよい。各端末装置5が記憶する所属情報においても、起動情報において特定起動フレームを表すビットと同様のビットが、特定起動フレームを表すビットとして割り当てられる。
【0099】
これにより、スタンダードスリープする端末装置5及びセレクティブスリープする端末装置5の両方が、特定起動フレームを受信することによって、ウェイクアップする。なお、特定起動フレームは、これに限定されるものではなく、種々の態様で構成され得る。
【0100】
なお、特定起動フレームによりウェイクアップした端末装置5は、特定起動フレームによってウェイクアップした後、非指定期間が動作判定時間以上継続し、且つ、伝送路空き期間が準備時間以上継続することを検出すると、スタンダードスリープに遷移する。換言すれば、特定起動フレームの送信後に、引き続き、伝送路空き期間が動作判定時間及び準備時間以上継続する場合、全ての端末装置5がスタンダードスリープに遷移する。
【0101】
S340では、MCU43は、予め定められた再起動時間待機する。本実施形態では、再起動時間は、上述の動作判定時間、及び準備時間を加算した時間よりも大きい値に設定される。なお、再起動時間は0であってもよい。
【0102】
S350では、MCU43は、電源リレー44へ停止指令を出力する。これにより、MCU43への給電が停止し、中継装置4はスリーブする。中継装置4が備えるトランシーバ41はPN非対応トランシーバであるため、中継装置4はスリープする際、スタンダードスリープする。つまり、中継装置4がスタンダードスリープすることにより、ネットワークシステム1の全てのノードがスタンダードスリープする。
【0103】
[1-4.動作]
[1-4-1.端末装置の動作]
端末装置5(すなわち、自ノード)の動作を、図10を用いて説明する。図10では、動作判定時間をTA、予備時間をTB、遷移判定時間をTC、準備時間をTDで示す。図10は、時刻t1にて指定NMフレーム501がバス2上にて送受信されてから、動作判定時間TA以上経過した後も引き続き、指定NMフレームがバス2上にて送受信されていない状態を示す。指定NMフレーム501がバス2上にて送受信された時刻t1から動作判定時間TA経過した時刻が時刻t2である。時刻t2から予備時間TB経過した時刻が時刻t3である。時刻t3から遷移判定時間TC経過した時刻が時刻t4である。
【0104】
図示されている指定NMフレーム及び一般フレームは、同起動グループのノードが受信すべき通信フレームであり、送信元は自ノードであってもよいし、同起動グループの他ノードであってもよい。
【0105】
自ノードが直近に指定NMフレームが検出した時刻t1から、指定NMフレームの受信が検出されない期間(すなわち、非指定期間)が動作判定時間TA継続した時刻t2までの間は、バス2上では一般フレームのみが送受信され得る。
【0106】
時刻t2では、自ノードが全ての通信フレームの送信を停止する。なお、時刻t2とほぼ同じタイミングで、同起動グループの他ノードにおいても同様に、全ての通信フレームの送信が停止される。自ノードは、余裕をみて、時刻t2から予備時間TBが経過した時刻である時刻t3以降のバス2の状態に応じて、自ノードをいずれの状態でスリープさせるかを判定する。
【0107】
時刻t3から遷移判定時間TCが経過する時刻t4までの間は、自ノードをいずれの状態でスリープさせるかを判定するために、バス2の空き状態を監視する期間である。ここで、自ノードは、時刻t3から遷移判定時間TCが経過する時刻t4までの間、バス2が空き状態でない場合は、時刻t4以降に、セレクティブスリープに遷移する。バス2が空き状態でないとは、バス2において任意の通信フレームが送受信されることをいう。一方、自ノードは、この間に、バス2が空き状態である場合は、時刻t4以降に、スタンダードスリープに遷移する。
【0108】
[1-4-2.ネットワークシステムの動作]
ネットワークシステム1の動作を、図11を用いて説明する。図11は、図10と同様に、端末装置5の動作を示す。但し、図11では、起動グループGrA、GrB、GrCに属する端末装置5それぞれの動作を示す。起動グループαを指定する起動情報を含むNMフレームは「NM PNC_α=1」で表され、起動グループαを指定する起動情報を含まないNMフレームは「NM PNC_α=0」で表される。但し、α=A、B、C、…である。
【0109】
例えば、NM PNC_A=1は、起動グループGrAを指定する起動情報を含むNMフレームであり、換言すれば、起動グループGrAに属する端末装置5に対する指定NMフレームである。
【0110】
起動グループGrAに属する端末装置5は、図10と同様に動作する。ここで、t11、t12、t13、t14が、図10におけるt1、t2、t3、t4に相当する。図11において起動グループGrAに属する端末装置5は、時刻t13-時刻t14の間にバス2上にて通信フレームが送受信されているため、時刻t14以降はセレクティブスリープに遷移する。ここでいうバス2上にて送受信されている通信フレームとは、例えば図11では、「NM PNC_B=1」、「NM PNC_C=1」である。
【0111】
起動グループGrBに属する端末装置5も、図10と同様に動作する。ここで、t21、t22、t23、t24が、図10におけるt1、t2、t3、t4に相当する。図11において起動グループGrBに属する端末装置5は、時刻t23-時刻t24の間にバス2上にて通信フレームが送受信されているため、時刻t24以降はセレクティブスリープに遷移する。ここでいうバス2上にて送受信されている通信フレームとは、例えば図11では、一般フレーム、「NM PNC_C=0」である。
【0112】
起動グループGrCに属する端末装置5も、図10とほぼ同様に動作する。ここで、t31、t32、t33、t34が、図10におけるt1、t2、t3、t4に相当する。但し、図11において起動グループGrCに属する端末装置5は、時刻t33-時刻t34の間にバス2が空き状態であるため、時刻t34以降はスタンダードスリープに遷移する。
【0113】
換言すれば、ネットワークシステム1では、バス2に接続される複数の端末装置5のうち、最後にスリープする端末装置5がスタンダードスリープする。なお、これにより、ネットワークシステム1において、少なくとも最後にスリープする端末装置5については、スタンダードスリープするので、スリープ状態における消費電力が低減される。つまり、ネットワークシステム1において、少なくとも最後にスリープする端末装置5ぶん、消費電力が低減される。
【0114】
本実施形態のネットワークシステム1では、中継装置4が、端末装置5と同様に伝送路空き期間を測定しており、伝送路空き期間が監視時間以上継続している場合に特定起動フレームを出力する。例えば、図11における時刻t34以降は、バス2が空き状態であるため、中継装置4は時刻t34から監視時間が経過した時刻t41において、特定起動フレームを出力する。これにより、ネットワークシステム1において、全てのノードである全ての端末装置5は、ウェイクアップする。
【0115】
時刻t41にて、特定起動フレームによってウェイクアップした全ての端末装置5は、それぞれ上述の起動維持処理を実行し、バス2が空き状態であるため、スタンダードスリープに遷移する。図11では、起動GrA-GrCの全ての端末装置5が時刻t42以降にスタンダードスリープに遷移する。但し、それぞれの端末装置5がスタンダードスリープに遷移するタイミングにはずれが生じ得る。更に、中継装置4は、特定起動フレームを送信した時刻t41以降、再起動時間待機した後にスリープする。
【0116】
このように、ネットワークシステム1では、バス2の空き状態が継続している場合、バス2に接続される全てのノードである全ての端末装置5が、スタンダードスリープに遷移する。これにより、パーシャルネットワークであるネットワークシステム1において、端末装置5がスリープ状態にあるときの消費電力が低減される。
【0117】
更に、ネットワークシステム1では、特定起動フレームの受信によって全ての端末装置5がスタンダードスリープに遷移した後に、中継装置4もスタンダードスリープに遷移する。これにより、ネットワークシステム1の全てのノードと、中継装置4とが、スタンダードスリープし、ネットワークシステム1において、端末装置5がスリープ状態にあるときの消費電力が更に低減される。
【0118】
[1-5.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)ネットワークシステム1が備える端末装置5では、トランシーバ51は、第1待機部と第2待機部とを有する。第1待機部は、指定NMフレームを受信すると、スリープ状態からウェイクアップ状態に当該端末装置5を遷移させる。第2待機部は、任意の通信フレームを受信するとスリープ状態からウェイクアップ状態に当該端末装置5を遷移させる。
【0119】
トランシーバ51は、切替指令に従って第1待機部及び第2待機部のうちいずれか一方を動作させる。トランシーバ51は、第1待機部の動作時に、当該端末装置5をセレクティブスリープに遷移させるPN対応トランシーバとして動作し、第2待機部の動作時に、当該端末装置5をスタンダードスリープに遷移させるPN非対応トランシーバとして動作する。
【0120】
第2待機部は第1待機部が備える構成の一部を備えるため、トランシーバ51は、第1待機部を動作させてPN対応トランシーバとして用いる場合よりも、第2待機部を動作させてPN非対応トランシーバとして用いる場合の方が、消費電力が少ない。
【0121】
端末装置5では、MCU53は、起動処理部では、当該端末装置5が内部要因でウェイクアップした場合、内部要因が継続する間、指定NMフレームをバス2に、定期的に送信し、内部要因が生じない場合に指定NMフレームをバス2に送信しない。S220-S230が起動処理部としての処理に相当する。つまり、内部要因で起動する端末装置5は、指定NMフレームが送信されている間、同じ起動グループに含まれる端末装置5をウェイクアップさせておくことができる。
【0122】
換言すれば、内部要因で起動する端末装置5が指定NMフレームの送信を停止すると、該指定NMフレームの受信によって同じ起動グループに含まれる端末装置5がウェイクアップし続けることも停止する。
【0123】
MCU53は、切替部では、指定NMフレームをバス2を介して受信しない非指定期間が動作判定時間以上となった後に、伝送路空き期間が準備時間以上継続するか否かを判定する。MCU53は、伝送路空き期間が準備時間以上継続する場合に、トランシーバ51に、第2待機部を動作させる切替指令である第2切替指令を出力する。本実施形態では、予備時間と遷移判定時間とを加算した時間が準備時間に相当する。S240-S290が切替部としての処理に相当する。
【0124】
このような構成によれば、端末装置5は、第1待機部及び第2待機部を切替可能に構成されているので、例えばスリープする際に、第2待機部を動作させることで、第1待機部を動作させるよりも消費電力を低減することができる。
【0125】
更に、端末装置5は、非指定期間が動作判定時間以上となった後に、伝送路空き期間が準備時間以上継続する場合、スリープする際に、第2待機部を動作させる。換言すれば、端末装置5は、同じ起動グループの他の端末装置5が内部要因でウェイクアップしておらず当該端末装置5をスリープさせてもよい状況となった後に、バス2に空きが生じている状況が継続する場合、スタンダードスリープに遷移する。結果として、ネットワークシステム1において、該端末装置5がスタンダードスリープするぶん、消費電力を低減することができる。
【0126】
例えば、ネットワークシステム1を搭載する車両(すなわち、より具体的には端末装置5)に、長期間給電されない場合、消費電力を低減する効果をより奏する。ここでいう長期間には、例えば、車両が駐車される期間や車両が輸送される期間等、種々の期間が含まれ得る。
【0127】
(1b)MCU53は、非指定期間を測定する。MCU53では、空き期間判定部が、非指定期間が動作判定時間以上となった後に、伝送路空き期間が準備時間以上であるか否かを判定する。S240が空き期間判定部としての処理に相当する。MCU53は、第1切替実行部が、非指定期間が動作判定時間以上継続した後に伝送路空き期間が準備時間未満であると判定される場合、第1切替指令をトランシーバ51に出力する。S280が第1切替実行部としての処理に相当する。第1切替指令は、第1待機部を動作させるための切替指令である。
【0128】
MCU53は、S290では、非指定期間が動作判定時間以上継続した後に伝送路空き期間が準備時間以上であると判定される場合、第2切替指令をトランシーバ51に出力する。S290が第2切替実行部としての処理に相当する。
【0129】
このような構成によれば、端末装置5はセレクティブスリープに遷移するので、端末装置5を用いて、引き続き、ネットワークシステム1をパーシャルネットワークシステムとして動作させることができる。
【0130】
(1c)ネットワークシステム1は中継装置4を備える。中継装置4において、MCU43は、監視起動部を備える。監視起動部は、伝送路空き期間を測定する。監視起動部は、伝送路空き期間が上述の準備時間よりも長い監視時間以上継続するという所定条件が満たされる場合に特定起動フレームを送信する。S440が監視起動部としての処理に相当する。特定起動フレームは、通信フレームの一種で、全てのノードをウェイクアップさせるための通信フレームである。本実施形態では、ここでいう全てノードには、中継装置4は含まれない。
【0131】
このような構成によれば、ネットワークシステム1において、仮にセレクティブスリープする端末装置5とスタンダードスリープする端末装置5とが混在する場合でも、特定起動フレームによって、全ての端末装置5をウェイクアップさせることができる。
【0132】
(1d)端末装置5では、第1待機部及び第2待機部は、特定起動フレームの受信によって当該端末装置5をスリープ状態からウェイクアップ状態に遷移させる。端末装置5は、特定起動フレームの受信によってウェイクアップ状態に遷移すると、非指定期間が動作判定時間以上となった後に、伝送路空き期間が準備時間以上であると判定される場合、第2切替指令をトランシーバ51に出力する。
【0133】
このような構成によれば、特定起動フレームを受信してウェイクアップ状態に遷移した全ての端末装置5は、特定起動フレーム受信後も継続して伝送路に空きが生じている場合、それぞれがスタンダードスリープに遷移する。つまり、ネットワークシステム1における全ての端末装置5がスタンダードスリープするので、ネットワークシステム1において、端末装置5がスリープ状態にあるときの消費電力をより低減することができる。
【0134】
(1e)中継装置4は、特定起動フレームを送信した後、引き続き、伝送路空き期間が、作動判定時間と準備時間を加算した値よりも大きい再起動時間以上継続するか否かを判定し、継続する場合、スタンダードスリープに遷移する。再起動時間は作動判定時間と準備時間を加算した値よりも大きいため、中継装置4は、特定起動フレームの受信によってウェイクアップした全ての端末装置5がスタンダードスリープした後に、スタンダードスリープすることができる。
【0135】
このような構成によれば、ネットワークシステム1において、中継装置4及び全てのノードがスタンダードスリープするので、ネットワークシステム1において端末装置5がスリープ状態にあるときの消費電力を更に低減することができる。
【0136】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。第3実施形態以降の実施形態においても同様である。
【0137】
上述した第1実施形態では、中継装置4が監視機能及び全ウェイクアップ機能を有する。これに対し、第2実施形態では、中継装置4に代えて、端末装置5が監視機能及び全ウェイクアップ機能を備える点で、第1実施形態と相違する。
【0138】
例えば、図12に示すように、第2実施形態のネットワークシステム1aは、第1実施形態と同様に、複数のバス2、複数の端末装置5を備えるが、中継装置4を備えない。バス2_1-バス2_3は、互いに通信可能に接続される。なお、図12では複数のバス2が図示されているが、第2実施形態のネットワークシステム1aでは、バス2は1つであってもよい。
【0139】
第2実施形態のネットワークシステム1aは、端末装置5が、監視機能及び全ウェイクアップ機能を有し、最後にスリープ状態に遷移した端末装置5が、監視機能及び全ウェイクアップ機能を実行する。
[2-2.端末装置による起動維持処理]
第2実施形態の端末装置5が実行する起動維持処理の内容を、図13のフローチャートを用いて説明する。図13に示す起動維持処理では、図8に示す第1実施形態の起動維持処理に対して、S210がS215に置換され、S272-S276が追加される点で、第1実施形態と相違する。
【0140】
S210では、トランシーバ51は、バス2上に自ノードをウェイクアップさせる通信フレームがあるか否かを判定する。第1実施形態のように、トランシーバ51は、セレクティブスリープする場合も、スタンダードスリープする場合も、特定起動フレームの受信によってもウェイクアップする。
【0141】
S215では、ウェイクアップすると、MCU53は、図8に示すS210と同様の処理を実行し、且つ、本ステップでのウェイクアップが特定起動フレームによるウェイクアップであるか否かを、メモリ532に記憶する。例えば、第1実施形態のように、起動情報に特定起動フレームであるか否かを表す情報が含まれる場合、MCU53は、本ステップでは、受信した指定NMフレームの起動情報をメモリ532に記憶してもよい。
【0142】
続くS220-S260では、MCU53は、第1実施形態のS220-S260と同様に動作する。つまり、MCU53は、指定NMフレームの送信を停止した後、非指定期間が動作判定時間以上継続していることを検出して通信フレームの送信を停止し、その後予備時間待機した後に、処理をS270へ移行する。
【0143】
ここで、S270では、MCU53は、伝送路空き時間が遷移判定時間未満である場合に、処理をS280へ移行し、端末装置5をセレクティブスリープする。一方、S270では、MCU53は、伝送路空き時間が遷移判定時間以上であると判定される場合に、処理をS272に移行する。
【0144】
S272では、MCU53は、S215でのウェイクアップが特定起動フレームに起因するか否かを判定する。
ここで、MCU53は、S215でのウェイクアップが特定起動フレームに起因する場合、処理をS276に移行する。MCU53は、S276において伝送路空き時間が遷移判定時間継続する間待機し、処理をS290へ移行する。S290では、MCU53はスタンダードスリープする。MCU53は、以上で起動維持処理を終了する。
【0145】
一方、MCU53は、S215でのウェイクアップが特定起動フレームに起因しない場合、処理をS274に移行し、S274においてバス2に特定起動フレームを送信し、処理をS276に移行する。そして、MCU53は、S276以降は、上述のように伝送路空き時間が遷移判定時間継続する間待機し、スタンダードスリープする。MCU53は、以上で起動維持処理を終了する。
【0146】
[2-3.動作]
以下では、ネットワークシステム1aの動作を説明する。ここで、ネットワークシステム1aにおいて、最後にスリープに遷移しようとする端末装置5以外の端末装置5では、第1実施形態と同様に、MCU53が、S270→S280の処理を実行し、一旦、端末装置5をセレクティブスリープする。
【0147】
一方、ネットワークシステム1aにおいて最後にスリープしようとする端末装置5は、他の端末装置5がセレクティブスリープしているので、MCU53が、処理をS272へ移行する。
【0148】
S272では、上述の最後にスリープしようとする端末装置5のMCU53は、S215でのウェイクアップが特定起動フレームに起因するか否かを判定する。該MCU53は、ウェイクアップが特定起動フレームに起因しないと判定し、処理をS274に移行し、バス2に特定起動フレームを送信する。なお、特定起動フレームは、全ての端末装置5をウェイクアップするための通信フレームであるが、既にウェイクアップしている端末装置5において受信されても、以降の該端末装置5における処理に何ら影響を及ぼさない。
【0149】
上述の最後にスリープしようとする端末装置5のMCU53は、特定起動フレームをバス2に送信した後に処理をS276に移行し、S276において伝送路空き時間が遷移判定時間継続する間待機し、処理をS290へ移行してスタンダードスリープする。
【0150】
特定起動フレームが送信されると、既にセレクティブスリープしている、上述の最後にスリープに遷移しようとする端末装置5以外の端末装置5は、一旦、ウェイクアップする。特定起動フレームによってウェイクアップした、これらの端末装置5は、MCU53が起動維持処理を実行する。
【0151】
つまり、特定起動フレームによってウェイクアップした端末装置5のMCU53は、非指定期間が動作判定時間以上継続し、且つ、伝送路空き期間が前記準備時間以上継続すると判定し、S272では当該端末装置の起動要因が特定起動フレームであると判定する。そして、該MCU53は、処理をS276に移行し、S276において伝送路空き時間が遷移判定時間継続する間待機し、処理をS290へ移行してスタンダードスリープする。
【0152】
これにより、ネットワークシステム1aでは、全ての端末装置5がスタンダードスリープするので、ネットワークシステム1において端末装置5がスリープ状態にあるときの消費電力が低減される。
【0153】
[2-4.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0154】
(2a)ネットワークシステム1aは、複数のバス2と複数の端末装置5とを備える。端末装置5のMCU53は、非指定期間を測定する。MCU53では、起動記憶部は、特定起動フレームによってウェイクアップしたか否かを記憶する。S215が起動記憶部として処理に相当する。MCU53では、起動判定部は、当該端末装置5が特定起動フレームによってウェイクアップしたか否かを判定する。S272が起動判定部としての処理に相当する。
【0155】
MCU53では、切替部は、非指定期間が動作判定時間以上となった後に、伝送路空き期間が準備時間以上であるとき、当該端末装置が特定起動フレームによってウェイクアップしていないと判定される場合、特定起動フレームを送信する。また、MCU53は、当該端末装置5が特定起動フレームの受信によってウェイクアップ状態に遷移した後、非指定期間が動作判定時間以上継続し且つ伝送路空き期間が準備時間以上継続すると、当該端末装置5が特定起動フレームによってウェイクアップしたと判定されるので、第2切替指令をトランシーバ51に出力する。
【0156】
このような構成によれば、中継装置を備えることなく、ネットワークシステム1aの全ての端末装置5をスタンダードスリープスリープさせることができる。つまり、システム構成を簡略化することができ、更に消費電力を低減することができる。
なお、本実施形態では、非指定期間が動作判定時間以上となった後に伝送路空き期間が準備時間以上であるとき、当該端末装置が特定起動フレームの受信によってウェイクアップしていないと判定されること、が所定条件に相当する。
【0157】
[3.第3実施形態]
[3-1.第1実施形態との相違点]
上述した第1実施形態では、端末装置5は、指定NMフレームを所定時間(すなわち、動作判定時間)以上受信しなくなると、バス2の空き状況に応じて、セレクティブスリープ及びスタンダードスリープのいずれか一方に遷移する。これに対し、第3実施形態では、端末装置5は、指定NMフレームを所定時間以上受信しなくなると、バス2の空き状態に拘わらず、セレクティブスリープに遷移する点で、第1実施形態と相違する。なお、第3実施形態の中継装置4は、バス2の空き状態を監視し、バス2の空き状態が所定の監視時間以上継続するとバス2に特定起動フレームを送信する点で、第1実施形態と同様に構成される。例えば、準備時間が監視時間に相当する。
【0158】
例えば、図示しないが、第3実施形態のネットワークシステム1bは、図1に示す第1実施形態のネットワークシステム1と同様に、複数のバス2、複数の端末装置5、及び中継装置4を備える。
【0159】
[3-2.端末装置による起動維持処理]
第3実施形態の端末装置5が実行する起動維持処理の内容を、図14のフローチャートを用いて説明する。図14に示す起動維持処理では、図8に示す第1実施形態の起動維持処理におけるS210がS215に置換され、S270がS272に置換される。なお、S200-S260は、図13に示す第2実施形態のS200-S260と同様であるため、ここでは説明を簡略化する。
【0160】
端末装置5のMCU53は、S215-S260では、非指定期間が動作判定時間以上継続している場合に、通信フレームの送信を停止し、その後予備時間待機した後に、処理をS272に移行する。
【0161】
S272では、MCU53は、S215でのウェイクアップが特定起動フレームに起因するか否かを判定する。
ここで、MCU53は、S215でのウェイクアップが特定起動フレームに起因しない場合、処理をS280に移行し、S280において端末装置5をセレクティブスリープする。MCU53は、以上で起動維持処理を終了する。
【0162】
一方、MCU53は、S215でのウェイクアップが特定起動フレームに起因する場合、処理をS290に移行し、S290において端末装置5をスタンダードスリープする。MCU53は、以上で起動維持処理を終了する。
【0163】
なお、中継装置4は、第1実施形態の中継装置4と同様に、図9に示す監視起動処理を実行する。
[3-3.動作]
以下では、ネットワークシステム1bの動作を説明する。ネットワークシステム1bでは、第1実施形態及び第2実施形態とは異なり、全ての端末装置5は、一旦、セレクティブスリープする。つまり、最後にスリープしようとする端末装置5、及び、最後にスリープに遷移しようとする端末装置5以外の端末装置5の両方が、一旦、セレクティブスリープする。セレクティブスリープしたこれらの全ての端末装置5は、それぞれ、バス2の空き状態を監視している中継装置4から特定起動フレームを受信するとウェイクアップし、その後バス2が空いている状態が継続する場合にスタンダードスリープする。
【0164】
[3-4.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0165】
(3a)ネットワークシステム1bは、複数のバス2と複数の端末装置5と中継装置4とを備える。ネットワークシステム1bは、少なくとも1つの監視起動部を備える。監視起動部は、伝送路空き期間を測定し、伝送路空き期間が少なくとも準備時間よりも長い監視時間以上である場合、特定起動フレームを送信する。本実施形態では、中継装置4が監視起動部を備える。MCU43が実行するS330が監視起動部に相当する。
【0166】
端末装置5のMCU53では、起動記憶部は、特定起動フレームによってウェイクアップしたか否かを記憶する。MCU53では、起動判定部は、当該端末装置5が特定起動フレームによってウェイクアップしたか否かを判定する。
【0167】
ここで、MCU53では、切替部は、当該端末装置がウェイクアップ状態に遷移した後、少なくとも非指定期間が作動作判定時間以上となった後に、特定起動フレーム以外の通信フレームによってウェイクアップしたと判定される場合には、第1切替指令を送信する。一方、特定起動フレームによってウェイクアップしたと判定される場合には、第2待切替指令をトランシーバ51に出力する。
【0168】
このように構成されたネットワークシステム1bによれば、端末装置5での処理を簡略化することができる。
[4.第4実施形態]
上述した第1実施形態では、第2切替指令は、第2待機部に給電するための切替指令である。これに対し、第4実施形態では、端末装置5は、第2待機部に第2待機部を駆動するためのクロック信号を供給するための切替指令を第2切替指令として出力する点で、第1実施形態と相違する。
【0169】
例えば、第4実施形態の端末装置5aが備えるトランシーバ51aは、図15に示すように、図5に示すトランシーバ51における電源スイッチ516がクロックスイッチ516aに置換され、クロック発生回路518が追加される。
【0170】
クロック発生回路518は、送受信回路511及び検出部515を動作させるためのクロック信号を発生する。クロックスイッチ516aは、電源スイッチ516が切替指令に従って検出部515への給電を実行及び停止するのと同様に、切替指令に従って検出部515へのクロック信号の供給を実行及び停止する。
【0171】
トランシーバ51aでは、検出部515は、クロック信号の供給が停止されると、動作を停止する。つまり、トランシーバ51aでは、クロック信号の供給が停止されることで、PN対応トランシーバとして動作する際の、換言すればセレクティブスリープする際の、消費電力が低減される。
【0172】
このように構成によれば、検出部515への給電を停止することなく、セレクティブスリープするときの端末装置5の消費電力を低減することができる。
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0173】
(5a)上述の実施形態では、端末装置5がECUである例を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。端末装置5のうち少なくとも一つは、端末装置5が接続される複数のバス2を通信可能に接続する、GWであってもよい。
【0174】
(5b)上述の第1実施形態では、ネットワークシステム1は、監視制御処理を実行する1つの中継装置4を備えていたが、中継装置4と同様の監視制御処理を実行する複数の中継装置4を備えていてもよい。なお、上述の実施形態では、中継装置4が備えるトランシーバ41はPN非対応トランシーバであったが、トランシーバ41はPN対応トランシーバであってもよい。
【0175】
また、上述の第3実施形態では、ネットワークシステム1bでは、複数の端末装置5のうちの予め定められた少なくとも一つの端末装置5が、更に、起動維持処理に代えて、第3実施形態の中継装置4と同様の監視起動処理を実行するように構成されてもよい。該端末装置5が備えるトランシーバは、トランシーバ41と同様のPN非対応トランシーバとして構成されてもよい。又は、ネットワークシステム1bでは、中継装置4の代わりに、複数の端末装置5のうちの予め定められた少なくも一つの端末装置5が、起動維持処理に代えて、第3実施形態の中継装置4と同様の監視起動処理を実行するように構成されてもよい。この場合、中継装置4は監視起動処理を実行しなくてもよい。ネットワークシステム1bは中継装置4を備えていてよいし、備えていなくてもよい。
【0176】
(5c)上述の実施形態では、端末装置5のスタンダードスリープしているトランシーバ51は、任意の通信フレームの受信によってウェイクアップし、ウェイクアップした後はMCU53からのウェイクアップ指令によってPN対応トランシーバとして動作した。但し、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、スタンダードスリープしているトランシーバ51は、任意の通信フレームの受信によってウェイクアップし、そのままPN非対応トランシーバとして動作し、任意のタイミングでMCU53からウェイクアップ指令と同様の指令をMCU53から受信してPN対応トランシーバに切り替えられてもよい。
【0177】
(5d)本開示に記載のMCU43、MCU53及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載のMCU43、MCU53及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載のMCU43、MCU53及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。MCU43、MCU53に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0178】
(5e)上述の実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上述の実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上述の実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上述の実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0179】
(5f)上述したネットワークシステムの他、当該ネットワークシステムを構成する端末装置、中継装置、当該端末装置及び当該中継装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、起動制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0180】
1…ネットワークシステム、2…バス、5…端末装置、51…トランシーバ、53…MCU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15