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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】着用エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/05 20060101AFI20240416BHJP
   A41D 13/015 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A41D13/05 125
A41D13/015
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020210378
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097030
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 利仁
(72)【発明者】
【氏名】三浦 渉
(72)【発明者】
【氏名】河村 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】相川 国大
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-163574(JP,A)
【文献】特開2010-264965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12
B60R21/23
B60R21/26
A62B99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
可撓性を有したシート体からなる袋状とされて、骨盤周囲において前記装着者に装着される構成とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、前記装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグを、備え、
該エアバッグが、
膨張完了時に前記骨盤の周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位と、
膨張完了時に、該装着側部位から下方へ延びるように配置されて、前記各保護対象部位の外側を覆うように配置される2つの保護本体部と、
膨張完了時の前記各保護本体部を、下端側を前記保護対象部位から離隔させるように拡開させることを抑制可能な拡開抑制手段と、
を備えて
前記エアバッグが、それぞれ、外形形状を同一として、前記装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、の周縁相互を結合させて構成されるエアバッグ構成体から構成され、
前記保護本体部が、前記エアバッグ構成体における保護本体構成部において、平らに展開した状態での前記各保護本体部の左右方向側の一方の端縁側に、被重ね部に重ねるようにして上下方向に沿うような折り返し部を形成し、該折り返し部の上端側と下端側とを、前記被重ね部側に連結させることにより、構成され、
前記拡開抑制手段が、前記折り返し部と前記被重ね部とから、構成されていることを特徴とする着用エアバッグ装置。
【請求項2】
装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
可撓性を有したシート体からなる袋状とされて、骨盤周囲において前記装着者に装着される構成とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、前記装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグを、備え、
該エアバッグが、
膨張完了時に前記骨盤の周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位と、
膨張完了時に、該装着側部位から下方へ延びるように配置されて、前記各保護対象部位の外側を覆うように配置される2つの保護本体部と、
膨張完了時の前記各保護本体部を、下端側を前記保護対象部位から離隔させるように拡開させることを抑制可能な拡開抑制手段と、
を備えて
前記エアバッグが、前記装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、を備える構成とされ、
前記保護本体部が、膨張完了時に、前記大腿骨転子部の上側と下側とを含めた領域の外側を覆い可能に、構成され、
前記保護本体部における前記外側壁部側に、膨張完了時に部分的に外方に突出するような突出領域が、装着状態において、少なくとも前記大腿骨転子部の上側の部位における外側を覆う領域に、上下方向に沿って連続的に配設される構成とされて、
該突出領域が、前記拡開抑制手段を構成していることを特徴とする着用エアバッグ装置。
【請求項3】
前記突出領域が、前記外側壁部に部分的にタックを設けるようにして、前記外側壁部の前後方向側での膜長を、前記内側壁部における前後方向側での膜長よりも大きく設定することにより、構成されていることを特徴とする請求項2に記載の着用エアバッグ装置。
【請求項4】
装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
可撓性を有したシート体からなる袋状とされて、骨盤周囲において前記装着者に装着される構成とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、前記装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグを、備え、
該エアバッグが、
膨張完了時に前記骨盤の周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位と、
膨張完了時に、該装着側部位から下方へ延びるように配置されて、前記各保護対象部位の外側を覆うように配置される2つの保護本体部と、
膨張完了時の前記各保護本体部を、下端側を前記保護対象部位から離隔させるように拡開させることを抑制可能な拡開抑制手段と、
を備えて
前記エアバッグが、前記装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、を有する構成とされて、
前記保護本体部が、膨張完了時に、前記大腿骨転子部の上側と下側とを含めた領域の外側を覆い可能に、構成され、
前記保護本体部における前記内側壁部側に、前記内側壁部を左右方向に離れた部位でつまんで相互に結合される結合部位が、装着状態において、少なくとも前記大腿骨転子部の上側の部位における外側を覆う領域に、上下方向に沿って連続的に、配設され、
前記結合部位が、前記拡開抑制手段を構成していることを特徴とする着用エアバッグ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転倒時等において、装着者(例えば高齢者)の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置としては、腰に巻き付けるように装着して、作動時に、下方に向かって突出するように膨張したエアバッグにより、腰部を覆う構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/207474号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の着用エアバッグ装置では、エアバッグを、腰に巻き付けた状態から下方に向かって突出させつつ膨張させる構成であることから、膨張するエアバッグが、下端側を腰部から離隔させるように拡開して配置されることとなって、転倒時等に、腰部を迅速かつ的確に覆うことができない虞れが生じていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、装着者の腰部を安定して保護可能な着用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る着用エアバッグ装置は、装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
可撓性を有したシート体からなる袋状とされて、骨盤周囲において装着者に装着される構成とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグを、備え、
エアバッグが、
膨張完了時に骨盤の周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位と、
膨張完了時に、装着側部位から下方へ延びるように配置されて、各保護対象部位の外側を覆うように配置される2つの保護本体部と、
膨張完了時の各保護本体部を、下端側を保護対象部位から離隔させるように拡開させることを抑制可能な拡開抑制手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の着用エアバッグ装置では、エアバッグにおいて、膨張完了時に、大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆う2つの保護本体部が、骨盤の周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位から下方に延びるように配置される構成であっても、これらの保護本体部は、拡開抑制手段により、下端側を保護対象部位から離隔させるように拡開されることを抑制されて、保護対象部位(大腿骨転子部)に近接した状態で、配置されることとなる。そのため、各保護本体部により、保護対象部位(大腿骨転子部)の外側を、迅速かつ的確に覆うことができる。
【0008】
したがって、本発明の着用エアバッグ装置では、装着者の腰部を安定して保護することができる。
【0009】
具体的には、エアバッグを、それぞれ、外形形状を略同一として、装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、の周縁相互を結合させて構成されるエアバッグ構成体から構成し、
保護本体部を、エアバッグ構成体における保護本体構成部において、平らに展開した状態での各保護本体部の左右方向側の一方の端縁側に、被重ね部に重ねるようにして上下方向に略沿うような折り返し部を形成し、折り返し部の上端側と下端側とを、前記被重ね部側に連結させることにより、構成し、
拡開抑制手段を、折り返し部と被重ね部とから、構成することが好ましい。
【0010】
着用エアバッグ装置を上記構成とすれば、折り返し部と被重ね部とを重ねるようにして、保護本体部を部分的に厚く膨張させる構成であることから、それぞれ板状の膨張部位である折り返し部と被重ね部とが2枚重ねで上端側と下端側とを結合される態様となって、剛性を高められて曲げ難くなり、膨張完了時の保護本体部の下端側の拡開を、的確に抑制することができる。
【0011】
また、エアバッグを、装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、を備える構成とし、
保護本体部を、膨張完了時に、大腿骨転子部の上側と下側とを含めた領域の外側を覆い可能に、構成し、
保護本体部における外側壁部側に、膨張完了時に部分的に外方に突出するような突出領域を、装着状態において、少なくとも大腿骨転子部の上側の部位における外側を覆う領域に、上下方向に略沿って連続的に配設される構成として、
突出領域により、拡開抑制手段を構成してもよい。
【0012】
エアバッグをこのような構成とすれば、突出領域が、保護本体部の外側壁部側に、部分的に外方に突出し、上下に延びるような補強リブのように配置されることから、保護本体部の剛性が高められるような態様となって、膨張完了時の保護本体部の下端側の拡開を、的確に抑制することができる。
【0013】
そして、このように外側壁部側に突出領域を配設させる構成とする場合、突出領域を、外側壁部に部分的にタックを設けるようにして、外側壁部の前後方向側での膜長を内側壁部における前後方向側での膜長よりも大きく設定することにより、構成すれば、突出領域を簡便に構成することができて、好ましい。
【0014】
さらに、エアバッグにおいて、装着者側に配置される内側壁部を、外側壁部よりも低伸長の素材から構成し、この内側壁部を拡開抑制手段としてもよい。このような構成とすれば、エアバッグの膨張時に、外側壁部が、内側壁部と比較して伸びやすいことから、エアバッグが、外側壁部を、内側壁部と比較して大きく湾曲させるようにして膨張することとなり、換言すれば、膨張完了時の内側壁部の上下方向側での湾曲が抑制されることから、保護本体部が下端側を保護対象部位から離隔させるように拡開して配置されることを、的確に抑制することができる。
【0015】
さらにまた、エアバッグを、装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、を有する構成として、
保護本体部を、膨張完了時に、大腿骨転子部の上側と下側とを含めた領域の外側を覆い可能に、構成し、
保護本体部における内側壁部側に、内側壁部を左右方向に離れた部位でつまんで相互に結合される結合部位を、装着状態において、少なくとも大腿骨転子部の上側の部位における外側を覆う領域に、上下方向に略沿って連続的に、配設させ、
結合部位により、拡開抑制手段を構成してもよい。
【0016】
エアバッグをこのような構成としても、上下方向に略沿って配置されるとともに、内側壁部の一部を2枚重ねとして補強リブのように構成される結合部位により、内側壁部の剛性を部分的に高めることができる。また、エアバッグの膨張時に、結合部位付近の部位が、内側壁部,外側壁部と比較して伸び難いことから、エアバッグが、内側壁部を上下方向側で大きく湾曲させるようにして膨張することを抑制できることから、保護本体部が下端側を保護対象部位から離隔させるように拡開して配置されることを、的確に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態である着用エアバッグ装置を、装着者に着用させた状態の概略図である。
図2】実施形態の着用エアバッグ装置を平らに展開した状態の平面図である。
図3図2のIII-III部位の概略断面図である。
図4】実施形態の着用エアバッグ装置において使用するエアバッグと、エアバッグを構成するエアバッグ構成体と、を平らに展開した状態の平面図である。
図5】実施形態の着用エアバッグ装置において、装着者に着用させた状態で、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略図である。
図6】実施形態の着用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の前後方向に沿った概略部分横断面図(左側の概略横断面図)である。
図7】実施形態の着用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の着用状態での概略縦断面図である。
図8】本発明の他の実施形態であるエアバッグと、エアバッグを構成する基材と、を示す部分拡大平面図である。
図9図8のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略横断面図である。
図10図8のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略横断面図である。
図11図8のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略斜視図である。
図12】本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグの部分拡大平面図である。
図13】本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略横断面図である。
図14図13のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略斜視図である。
図15】本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグの部分拡大平面図である。
図16図15のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略横断面図である。
図17図15のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略縦断面図である。
図18】本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグの部分拡大平面図である。
図19図18のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略横断面図である。
図20図18のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、図1に示すように、装着者Mの腰部MWの周囲(詳細には、骨盤MPの周囲)に巻き付けるように装着するタイプの着用エアバッグ装置Sを例に採り、説明する。実施形態では、上下,前後,左右の方向は、特に断らない限り、装着者Mに装着させた状態での装着者Mの上下,前後,左右の方向と一致するものである。
【0019】
着用エアバッグ装置Sは、図1~3に示すように、エアバッグ10と、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するガス発生器5と、装着者Mの転倒を検知するセンサ部2を備えてガス発生器5を作動させる作動制御装置1と、エアバッグ10の外周側を覆うアウタカバー部30と、を備える構成とされている。実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10は、図2,3に示すように、平らに展開された状態で、アウタカバー部30内に配置されている。
【0020】
作動制御装置1は、上下前後左右の3軸回りの角速度を検知可能な角速度センサと、3軸方向の加速度を検知可能な加速度センサと、を有するセンサ部2を、備えるとともに、センサ部2からの信号によって、装着者Mの通常動作と異なる転倒動作を検知すると、ガス発生器5を作動させるように、構成されている。具体的には、装着者Mが通常動作と異なった転倒動作を開始していると、作動制御装置1は、種々の閾値から判定可能な判定手段を備えていることから、その判定手段の判定に基づいて装着者Mの転倒を検出し、ガス発生器5を作動させることとなる。この作動制御装置1には、センサ部2の作動用やガス発生器5の作動用信号の出力のために、図示しない電池等からなる電源が、内蔵されている。
【0021】
エアバッグ10は、可撓性を有したシート体から形成されるもので、実施形態の場合、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から形成されている。このエアバッグ10は、アウタカバー部30における後述するベルト状部32を利用して、骨盤MPの周囲に巻き付けられるようにして、装着者Mに装着される構成である。実施形態の場合、エアバッグ10は、装着状態において、装着者Mの腰部MWの左右の側方を覆うように、配置される(図1参照)。エアバッグ10は、膨張完了時に骨盤MPの周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位12と、膨張完了時に装着側部位12から下方へ延びるように配置される2つの保護本体部14(14L,14R)と、を備えている。装着側部位12は、実施形態の場合、保護本体部14L,14Rの上端側において、保護本体部14L,14R相互を連通するように構成されている。エアバッグ10は、平らに展開した状態で、左右対称形とされている。
【0022】
装着側部位12は、膨張完了形状を、左右方向に略沿った棒状として構成されるもので、アウタカバー部30におけるベルト状部32から連なる位置に配置されるもので(図2参照)、エアバッグ10の膨張完了時に、ベルト状部32から連なる位置であって、装着者Mの骨盤MPの後方となる位置に、配置されることとなる。すなわち、装着側部位12は、膨張完了時に、骨盤MPの周囲に巻き付けられる領域に配置される。実施形態では、この装着側部位12に、ガス発生器5が、エアバッグ10の内部に膨張用ガスを供給可能に連結されている(図2参照)。すなわち、この装着側部位12は、各保護本体部14側に膨張用ガスを供給するガス供給路部としても作用する部位である。ガス発生器5は、詳細な図示を省略するが、装着側部位12の長手方向の中央付近に配置されるもので、内部に圧縮ガスを封入させて構成されて、作動時に、封入状態を解除されて、エアバッグ10内にコールドガスを噴出可能な構成とされている。このガス発生器5は、上述した作動制御装置1と電気的に接続されており、装着者Mの転倒を検知した作動制御装置1からの作動信号を入力させて作動される構成である。
【0023】
保護本体部14(14L,14R)は、エアバッグ10を平らに展開した状態で、装着側部位12から左右の外方に延びつつ下方に延びるように形成されるもので、装着時に、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの周囲の外側を、上側と下側とを含めて広く覆い可能に、平らに展開した状態の外形形状を、略長方形状とされている。すなわち、各保護本体部14は、装着側部位12から左右の外方に延びるように配設される上側領域14aと、上側領域14aから下方に延びる下側領域14bと、を備えている(図4参照)。具体的には、保護本体部14は、装着時に、骨盤MPから転子下UPにかけての側方(外側)を覆うように、構成されている(図7参照)。また、各保護本体部14は、図4に示すように、平らに展開した状態の外縁側(平らに展開した状態の左右方向の一方の端縁側であって、装着状態における前縁14d側)に、膨張部位を二重に重ねるようにして構成される折り重ね部17を、有している。折り重ね部17は、膨張部位を二重に重ねるようにして(後述する折り返し部23と被重ね部24とを重ねて)構成されることから、装着状態における後縁14e側の一般部16と比較して、膨張完了時の厚さを2倍程度とされている(図6参照)。折り重ね部17は、上下の全域にわたって形成されるもので、実施形態の場合、この折り重ね部17が、拡開抑制手段を、構成している。実施形態の場合、折り重ね部17は、膨張完了時における保護本体部14の前縁14d側から前後の中央を超える領域にかけて、形成されており、具体的には、中央側の端部17a(折り返し部23の端縁23c)を、大腿骨転子部TPの左右の外方となる位置に配置させるように、形成されている(図6参照)。
【0024】
実施形態では、エアバッグ10は、図4に示すように、外形形状を略同一として、装着時に装着者M側(内側)に配置される内側壁部20aと、外側に配置される外側壁部20bと、の周縁相互を結合させて構成されるエアバッグ構成体20から、形成されている。このエアバッグ構成体20では、各保護本体構成部22が、折り重ね部17の幅寸法分だけ、エアバッグ10における各保護本体部14よりも左右に幅広とするような略長方形状として、形成されている。そして、折り重ね部17は、平らに展開した状態のエアバッグ構成体20において、各保護本体構成部22における左右方向の外縁側の部位を折り返し部23として、左右の内方に隣接している被重ね部24の内周面側(内側壁部20a側)に重ね、この折り返し部23の上端23a側と下端23b側とを、被重ね部24の上端24a側と下端24b側とに、それぞれ、連結(縫合糸を用いて縫着)させることにより、形成されている(図3,4参照)。
【0025】
アウタカバー部30は、エアバッグ10を構成する基布よりも触感の良好な可撓性を有した織布から形成されるもので、エアバッグ10の外周面を全周にわたって覆う構成とされている。アウタカバー部30は、装着時に内側(装着者M側)に配置される内側壁部30aと、装着時に外側に配置される外側壁部30bと、を有し、内側壁部30aと外側壁部30bとの外周縁相互を結合(縫着)させることにより、袋状とされるもので、内部でエアバッグ10を円滑に膨張可能なように、平らに展開した状態の外形形状を、平らに展開した状態でのエアバッグ10よりも大きく設定されている(図2参照)。また、アウタカバー部30は、図2に示すように、上縁側に、左右の外方にそれぞれ突出するベルト状部32,32を、有している。このベルト状部32は、先端32a側に、装着手段を有する構成とされている。装着手段としては、実施形態では、装着者Mの腰回りの寸法に応じて容易に微調整可能で、かつ、着脱を容易とするように、それぞれ、ベルト状部32の先端32a側に配置される鉤状側部33aとループ側部33bとを有して、ベルト状部32の先端32a相互を連結可能な一対の面状ファスナー33が、用いられている。
【0026】
実施形態の着用エアバッグ装置Sは、アウタカバー部30のベルト状部32の先端32a相互を、装着手段としての面状ファスナー33を利用して連結させることにより、装着者Mの腰部MW(骨盤MP)の周囲に巻き付けられるようにして、装着者Mに装着されることとなる(図1参照)。そして、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、装着者Mに装着させた状態で、センサ部2が装着者Mの転倒を検知すれば、作動制御装置1からガス発生器5に作動信号が出力されて、エアバッグ10の内部に膨張用ガスが流入することとなり、エアバッグ10が、図5~7に示すように膨張を完了させることとなる。
【0027】
そして、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10において、膨張完了時に、大腿骨転子部TPからなる保護対象部位の外側を覆う2つの保護本体部14(14L,14R)が、骨盤MPの周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位12から下方に延びるように配置される構成であっても、これらの保護本体部14L,14Rは、拡開抑制手段としての折り重ね部17により、下端14c側を保護対象部位から離隔させるように拡開されることを抑制されて、保護対象部位(大腿骨転子部TP)に近接した状態で、配置されることとなる(図7参照)。そのため、各保護本体部14L,14Rにより、保護対象部位(大腿骨転子部TP)の外側を、迅速かつ的確に覆うことができる。
【0028】
したがって、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、装着者Mの腰部MWを安定して保護することができる。
【0029】
具体的には、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10は、各保護本体部14において、装着時の前縁14d側に、保護本体構成部22(エアバッグ構成体20)における折り返し部23と被重ね部24とを重ねるようにして構成される折り重ね部17を、配置させる構成とし(図6参照)、この折り重ね部17を、拡開規制手段としている。すなわち、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、折り返し部23と被重ね部24とを重ねるようにして、保護本体部14を部分的に厚く膨張させる構成であることから、それぞれ板状の膨張部位である折り返し部23と被重ね部24とが2枚重ねで上端側と下端側とを結合される態様となって、剛性を高められて曲げ難くなり、膨張完了時の保護本体部14の下端14c側の拡開を、的確に抑制することができる。特に、実施形態のエアバッグ10では、折り重ね部17は、中央側の端部17a(折り重ね部17を構成している折り返し部23の端縁23c)を、大腿骨転子部TPの左右の外方となる位置に配置させる構成としており、換言すれば、後縁側の一般部16と比較して厚く膨張している折り重ね部17によって、大腿骨転子部TP(保護対象部位)の左右の外方を覆う構成であることから、大腿骨転子部TPを的確に保護することができる。なお、実施形態のエアバッグ10では、折り重ね部17は、折り返し部23を、被重ね部24の内側に重ねるようにして、形成されているが、折り返し部を被重ね部の外側に重ねるようにして、折り重ね部を形成してもよい。しかしながら、転倒時に、折り返し部と被重ね部の重なり状態を確実に維持する観点からは、折り返し部を被重ね部の内側に重ねるようにして、折り重ね部を形成することが、好ましい。
【0030】
また、エアバッグ35として、図8~11に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ35は、上述したエアバッグ10と同様に、膨張完了時に骨盤MPの周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位36と、膨張完了時に装着側部位36から下方へ延びるように配置される2つの保護本体部37,37と、を備える構成である。保護本体部37は、エアバッグ35を平らに展開した状態で、装着側部位36から左右の外方に延びつつ下方に延びるように形成されるもので、装着時に、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの周囲の外側を、上側と下側とを含めて広く覆い可能に、平らに展開した状態の外形形状を、略長方形状とされている。具体的には、エアバッグ35においても、保護本体部37は、装着時に、骨盤MPから転子下UPにかけての側方(外側)を覆うように、構成されている(図10参照)。エアバッグ35は、装着者M側に配置される内側壁部35aと、外側に配置される外側壁部35bと、を備える構成とされている。そして、このエアバッグ35では、各保護本体部37における外側壁部35bに、膨張完了時に部分的に外方に突出するような突出領域38を、装着状態において、上下方向に略沿って連続的に配設させる構成とし、この突出領域38が、拡開抑制手段を構成している。突出領域38は、少なくとも大腿骨転子部TPの上側の部位における外側を覆う領域に配設されるもので、実施形態では、保護本体部37の上下の略全域にわたって配設されている。具体的には、突出領域38は、保護本体部37の前後方向側の略中央となる位置であって、膨張完了時に、図9に示すように、大腿骨転子部TPの左右の外方となる位置に、配設される構成である。この突出領域38は、外側壁部35bに部分的にタック39を設けるようにして、外側壁部35bの前後方向側での膜長を、内側壁部35aにおける前後方向側での膜長よりも大きく設定することにより、構成されている。具体的には、エアバッグ35では、図8に示すように、外側壁部35bを構成する外側壁素材41の上縁側と下縁側とに、略V字形状に凹む切欠部42を設けて、この切欠部42の周縁42aを相互に結合させるようにしてタック39を形成することにより、突出領域38を構成している。外側壁素材41は、切欠部42の前後方向側の幅寸法分、内側壁部35aを構成する内側壁素材40よりも、前後方向側の幅寸法を大きく設定されており、切欠部42の周縁42aを結合させた状態で、外形形状を、内側壁素材40の外形形状と略同一とされている。そして、このエアバッグ35では、保護本体部37は、切欠部42の周縁42aをそれぞれ結合させた状態の外側壁素材41と、内側壁素材40と、の外周縁相互を結合させて、形成されている。
【0031】
このような構成のエアバッグ35では、突出領域38が、保護本体部37の外側壁部35b側に、部分的に外方に突出し、上下に延びるような補強リブのように配置されることから(図11参照)、保護本体部37の剛性が高められるような態様となって、膨張完了時の保護本体部37の下端37b側の拡開を、的確に抑制することができる。詳細には、このエアバッグ35では、保護本体部37に、上端37a側から下端37b側にかけて突状のリブ(突出領域38)を設けた構成となって、下端37b側の外方への曲がりを抑制することができて、膨張完了時の保護本体部37の下端37b側の拡開を抑制することができる。そのため、図10に示すように、保護本体部37により、保護対象部位(大腿骨転子部TP)の外側を、的確に覆うことができる。また、このエアバッグ35においても、部分的に突出するように形成される突出領域38が、大腿骨転子部TPの左右の外方となる位置に配置される構成であり、厚く膨張している突出領域38によって、大腿骨転子部TP(保護対象部位)の左右の外方を覆う構成であることから(図9,10参照)、大腿骨転子部TPを的確に保護することができる。なお、図9~11では、アウタカバー部は省略されている。
【0032】
さらに、エアバッグ35Aとして、図12に示すように、切欠部を設けず、単に、外側壁部35bに部分的にタック39Aを設けるようにして、突出領域38Aを形成したものを、使用してもよい。具体的には、エアバッグ35Aでは、内側壁部35aを構成する内側壁素材40Aよりも前後方向側の幅寸法を大きく設定される外側壁素材41Aの前後方向側の中央付近に、上下方向に沿った折目を形成するようにして部分的にタック39Aを設けて、内側壁素材40Aと外側壁素材41Aとの外周縁相互を、タック39Aごと結合させることにより、このタック39Aの配置領域を、突出領域38Aとしている。このような構成のエアバッグ35Aでは、保護本体部37Aの上端側と下端側とを含めて上下の全域にわたって突出状態を維持される上述のエアバッグの突出領域と比較して、突出領域が、保護本体部37Aの上端側と下端側とにかけて突出状態を収束させるように形成されることとなるが、上下の中間部位においては、外側壁部35bの膜長を大きくして、部分的に外方に突出するように配設されることとなり、膨張完了時の保護本体部37Aの下端37b側の拡開を、的確に抑制することができる。
【0033】
エアバッグ35,35Aでは、突出領域38,38Aを、外側壁部35bに部分的にタック39,39Aを設けるようにして、外側壁部35bの前後方向側での膜長を内側壁部35aにおける前後方向側での膜長よりも大きく設定することにより、構成していることから、突出領域38,38Aを簡便に構成することができる。また、エアバッグ35,35Aでは、保護本体部37,37Aの平らに展開した状態での左右方向側(装着時における腰回り方向)での周長を、内側壁部35a側が、外側壁部35b側に比較して相対的に短く設定されることから、膨張完了時の下端37b側が内側にすぼまるような態様となり、下端37b側の拡開を抑制することができる。なお、このような点を考慮しなければ、図13,14に示すごとく、保護本体部37Bから部分的に外方に突出する突出部38B(突出領域)を、有するように、エアバッグ35Bを立体的に構成してもよい。図13,14においても、アウタカバー部は省略されている。
【0034】
なお、エアバッグ35,35A,35Bでは、拡開抑制手段としての突出領域38,38A(突出部38B)を、保護本体部37,37A,37Bの上下の略全域にわたって配設させている構成であるが、突出領域は、保護本体部37,37A,37Bの下端37b側の拡開を抑制できる剛性を確保できればよいことから、少なくとも大腿骨転子部TPの上側の部位(すなわち、骨盤MPから大腿骨転子部TPにかけての部位)の外側を覆う領域に配置されていればよく、図10の二点鎖線に示すごとく、保護本体部の下端側(転子下UPの側方を覆う領域)に配置させない構成としてもよい。実施形態のごとく、突出領域38,38A(突出部38B)を保護本体部37,37A,37Bの上下の略全域に配置させる構成とすれば、転子下UPの領域も、厚く膨張している領域によって、的確に保護することができる。
【0035】
さらに、エアバッグ45として、図15~17に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ45は、上述したエアバッグ10,35と同様に、膨張完了時に骨盤MPの周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位46と、膨張完了時に装着側部位46から下方へ延びるように配置される2つの保護本体部47,47と、を備えている。保護本体部47は、エアバッグ45を平らに展開した状態で、装着側部位46から左右の外方に延びつつ下方に延びるように形成されるもので、装着時に、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの周囲の外側を、上側と下側とを含めて広く覆い可能に、平らに展開した状態の外形形状を、略長方形状とされている。エアバッグ45は、外形形状を略同一として、装着者M側に配置される内側壁部45aと、外側に配置される外側壁部45bと、を備え、この内側壁部45aと外側壁部45bとの外周縁相互を結合させることにより、袋状とされている。そして、このエアバッグ45では、内側壁部45aを、外側壁部45bよりも低伸長の素材から構成しており、この内側壁部45aが、拡開抑制手段を構成している。具体的には、実施形態の場合、内側壁部45aは、外側壁部45bを構成する基材と同一の基材を、2枚重ねとして、構成されて、外側壁部45bよりも低伸長とされている。
【0036】
このような構成のエアバッグ45では、膨張時に、外側壁部45bが、内側壁部45aと比較して伸びやすいことから、エアバッグ45が、外側壁部45bを、内側壁部45aと比較して前後上下で大きく湾曲させるようにして膨張することとなる(図16,17参照)。すなわち、このようなエアバッグ45では、膨張完了時の内側壁部45aの上下方向側での湾曲が抑制されることから、保護本体部47が下端47a側を保護対象部位から離隔させるように拡開して配置されることを、的確に抑制することができる。そのため、図17に示すように、保護本体部47により、保護対象部位(大腿骨転子部TP)の外側を、的確に覆うことができる。なお、実施形態では、内側壁部45aを、外側壁部45bを構成する基材を2枚重ねすることにより、外側壁部45bよりも低伸長としているが、内側壁部の形成材料は、実施形態に限定されるものではない。例えば、内側壁部は、外側壁部よりも低伸長な別素材からなる織布から構成してもよく、また、外側壁部と同一の素材として、外側壁部よりも高繊度の繊維から織成した基布や、外側壁部よりも高密度に織成した基布から、構成してもよい。図16,17においても、アウタカバー部は省略されている。
【0037】
さらにまた、エアバッグ50として、図18~20に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ50は、上述したエアバッグ10,35,45と同様に、膨張完了時に骨盤MPの周囲に巻き付けられる領域に配置される装着側部位51と、膨張完了時に装着側部位51から下方へ延びるように配置される2つの保護本体部52と、を備える構成である。保護本体部52は、エアバッグ50を平らに展開した状態で、装着側部位51から左右の外方に延びつつ下方に延びるように形成されるもので、装着時に、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの周囲の外側を、上側と下側とを含めて広く覆い可能に、平らに展開した状態の外形形状を、略長方形状とされている。具体的には、エアバッグ50においても、保護本体部52は、装着時に、骨盤MPから転子下UPにかけての側方(外側)を覆うように、構成されている(図20参照)。エアバッグ50は、装着者M側に配置される内側壁部50aと、外側に配置される外側壁部50bと、を備える構成とされている。そして、このエアバッグ50では、各保護本体部52における内側壁部50aに、内側壁部50aをつまんで相互に結合される結合部位54を、装着状態において上下方向に略沿って連続的に配設させる構成とし、この結合部位54が、拡開抑制手段を構成している。結合部位54は、少なくとも大腿骨転子部TPの上側の部位における外側の領域に配設されるもので、実施形態の場合、図18,20に示すように、保護本体部52の上下の略全域にわたって配設されている。具体的には、結合部位54は、保護本体部52の前後方向側の略中央となる位置となる1箇所に、形成されている。この結合部位54は、内側壁部50aに、前後方向側の幅寸法を縮めるように上下方向に沿ったタック55を設け、タック55の部位を、上下方向に略沿って縫着(結合)させることにより、形成されている。
【0038】
このような構成のエアバッグ50では、上下方向に略沿って配置されるとともに、内側壁部50aの一部を2枚重ねとして補強リブのように構成される拡開抑制手段としての結合部位54により、内側壁部50aの剛性を部分的に高めることができる。また、エアバッグ50の膨張時に、結合部位54付近の部位が、内側壁部50a,外側壁部50bと比較して伸び難いことから、保護本体部52が下端52a側を保護対象部位から離隔させるように拡開して配置されることを、的確に抑制することができる。そのため、図20に示すように、保護本体部52により、保護対象部位(大腿骨転子部TP)の外側を、的確に覆うことができる。なお、実施形態では、拡開抑制手段としての結合部位54は、保護本体部52の上下の略全域にわたって配設される構成であるが、結合部位は、保護本体部52の下端52a側の拡開を抑制できる剛性を確保できればよいことから、少なくとも大腿骨転子部TPの上側の部位(すなわち、骨盤MPから大腿骨転子部TPにかけての部位)の外側を覆う領域に配置されていればよく、保護本体部の下端側(転子下UPの側方を覆う領域)に配置させない構成としてもよい。また、実施形態では、結合部位54は、保護本体部52の前後の略中央となる一箇所に、形成されているが、前後方向側で複数箇所に、並設させる構成としてもよい。
【0039】
実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10,35,35A,35B,45,50の2つの保護本体部14,37,37A,37B,47,52によって、装着者Mの大腿骨TBの付け根付近(大腿骨転子部TP)を安定して保護することができることから、装着者Mが、転倒によって、治療が長引く大腿骨TBを骨折することを抑制でき、高齢者に好適に使用することができる。
【0040】
なお、実施形態では、着用エアバッグ装置Sとして、ベルト状の部位を有して、腰部の周囲に巻き付けるようにして装着させるタイプのものを例に採り説明しているが本発明を適用可能な着用エアバッグ装置は、実施形態に限定されるものではなく、例えば、ベストやジャケット等、装着者の胴部に着用させ、着用状態での下端側からエアバッグを突出させるように膨張させるタイプの着用エアバッグ装置に、本発明を適用してもよい。また、実施形態では、エアバッグが、アウタカバー部の内部に平らに展開した状態で収納されているが、勿論、エアバッグは、折り畳まれた状態でアウタカバー部内に収納させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…エアバッグ、12…装着側部位、14(14L,14R)…保護本体部、14c…下端、17…折り重ね部(拡開抑制手段)、20…エアバッグ構成体、20a…内側壁部、20b…外側壁部、22(22L,22R)…保護本体構成部、23…折り返し部、24…被重ね部、35,35A,35B…エアバッグ、35a…内側壁部、35b…外側壁部、36…装着側部位、37,37A,37B…保護本体部、37a…下端、38,38A,38B…突出領域(拡開抑制手段)、39,39A…タック、45…エアバッグ、45a…内側壁部(拡開抑制手段)、45b…外側壁部、46…装着側部位、47…保護本体部、47a…下端、50…エアバッグ、50a…内側壁部、50b…外側壁部、51…装着側部位、52…保護本体部、52a…下端、54…結合部位(拡開抑制手段)、M…装着者、MW…腰部、MP…骨盤、TB…大腿骨、TP…大腿骨転子部(保護対象部位)、S…着用エアバッグ装置。
図1
図2
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