(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H02M3/28 P
(21)【出願番号】P 2021021778
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】谷川 友春
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-166389(JP,A)
【文献】特開2019-041433(JP,A)
【文献】特開2017-147824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側巻線及び2次側巻線を有するトランスと、
前記1次側巻線に接続された回路であって、複数の1次側スイッチング素子を有する1次側フルブリッジ回路と、
前記2次側巻線に接続された回路であって、複数の2次側スイッチング素子を有する2次側フルブリッジ回路と、
前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御回路と、
前記複数の1次側スイッチング素子に対して並列に接続された寄生容量、素子、あるいは寄生容量と素子の組み合わせである複数の1次側コンデンサと、
前記複数の2次側スイッチング素子に対して並列に接続された寄生容量、素子、あるいは寄生容量と素子の組み合わせである複数の2次側コンデンサと、
前記1次側コンデンサに逆並列に接続された寄生または素子である複数の1次側ダイオードと、
前記2次側コンデンサに逆並列に接続された寄生または素子である複数の2次側ダイオードと、を備え、
前記制御回路は、
前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御モードとして、前記1次側フルブリッジ回路に入力される入力電圧と前記2次側フルブリッジ回路から出力される出力電圧とのうち、高い方の電圧に対応するフルブリッジ回路をPWM制御する片側PWM制御モードを有し、
前記片側PWM制御モードは、前記2次側巻線に流れる電流がゼロとなるゼロ電流期間を含むように複数のスイッチングパターンを順次切り替えることにより、電力変換を行う不連続モードを含
み、
前記1次側コンデンサの充放電を行うために必要な最小の電流を第2目標電流としたとき、前記1次側スイッチング素子がOFFからONに変わるタイミングで、当該スイッチング素子に逆並列接続される前記1次側ダイオードの順方向に流れる電流値が前記第2目標電流以上であり、
前記2次側コンデンサの充放電を行うために必要な最小の電流を第1目標電流としたとき、前記2次側スイッチング素子がOFFからONに変わるタイミングで、当該スイッチング素子に逆並列接続される前記2次側ダイオードの順方向に流れる電流値が前記第1目標電流以上である様に制御する、
電力変換装置。
【請求項2】
1次側巻線及び2次側巻線を有するトランスと、
前記1次側巻線に接続された回路であって、複数の1次側スイッチング素子を有する1次側フルブリッジ回路と、
前記2次側巻線に接続された回路であって、複数の2次側スイッチング素子を有する2次側フルブリッジ回路と、
前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御モードとして、前記1次側フルブリッジ回路に入力される入力電圧と前記2次側フルブリッジ回路から出力される出力電圧とのうち、高い方の電圧に対応するフルブリッジ回路をPWM制御する片側PWM制御モードを有し、
前記片側PWM制御モードは、前記2次側巻線に流れる電流がゼロとなるゼロ電流期間を含むように複数のスイッチングパターンを順次切り替えることにより、電力変換を行う不連続モードを含み、
前記片側PWM制御モードは、前記出力電圧が前記入力電圧よりも高い場合に前記2次側フルブリッジ回路をPWM制御する2次側PWM制御モードを含み、
前記複数の2次側スイッチング素子のうち、少なくとも3つのスイッチング素子をOFF状態にすることで前記2次側巻線に流れる電流をゼロにする、
電力変換装置。
【請求項3】
1次側巻線及び2次側巻線を有するトランスと、
前記1次側巻線に接続された回路であって、複数の1次側スイッチング素子を有する1次側フルブリッジ回路と、
前記2次側巻線に接続された回路であって、複数の2次側スイッチング素子を有する2次側フルブリッジ回路と、
前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御モードとして、前記1次側フルブリッジ回路に入力される入力電圧と前記2次側フルブリッジ回路から出力される出力電圧とのうち、高い方の電圧に対応するフルブリッジ回路をPWM制御する片側PWM制御モードを有し、
前記片側PWM制御モードは、前記2次側巻線に流れる電流がゼロとなるゼロ電流期間を含むように複数のスイッチングパターンを順次切り替えることにより、電力変換を行う不連続モードを含み、
前記片側PWM制御モードは、前記入力電圧が前記出力電圧よりも高い場合に前記1次側フルブリッジ回路をPWM制御する1次側PWM制御モードを含み、
前記複数の1次側スイッチング素子のうち少なくとも3つのスイッチング素子をOFF状態にすることで前記2次側巻線に流れる電流をゼロにする、
電力変換装置。
【請求項4】
前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子に対して並列に接続された複数のコンデンサを備えている、
請求項
2、又は請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記制御モードとして、前記複数の1次側スイッチング素子のデューティ比と前記複数の2次側スイッチング素子のデューティ比とが同一に設定された通常モードを有し、
前記制御回路は、前記2次側フルブリッジ回路からの出力電流が第1出力電流である場合には前記制御モードを前記通常モードに設定し、前記2次側フルブリッジ回路からの出力電流が前記第1出力電流よりも小さい第2出力電流である場合には前記制御モードを前記片側PWM制御モードに設定する、
請求項1
から請求項
3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1次側巻線及び2次側巻線を有するトランスを備えた電力変換装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の電力変換装置は、複数の1次側スイッチング素子を有する1次側フルブリッジ回路と、複数の2次側スイッチング素子を有する2次側フルブリッジ回路と、各スイッチング素子を制御する制御回路と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電力変換装置においては、位相差を制御することにより、ソフトスイッチングを実現しつつ、2次側フルブリッジ回路から出力される出力電力を制御することができる。一方、上記電力変換装置においては、出力電力を小さくしようとすると、ソフトスイッチングが実現できなかったり、制御が複雑となったりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電力変換装置は、1次側巻線及び2次側巻線を有するトランスと、前記1次側巻線に接続された回路であって、複数の1次側スイッチング素子を有する1次側フルブリッジ回路と、前記2次側巻線に接続された回路であって、複数の2次側スイッチング素子を有する2次側フルブリッジ回路と、前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子を制御する制御モードとして、前記1次側フルブリッジ回路に入力される入力電圧と前記2次側フルブリッジ回路から出力される出力電圧とのうち、高い方の電圧に対応するフルブリッジ回路をPWM制御する片側PWM制御モードを有し、前記片側PWM制御モードは、前記2次側巻線に流れる電流がゼロとなるゼロ電流期間を含むように複数のスイッチングパターンを順次切り替えることにより、電力変換を行う不連続モードを含む。
【0006】
かかる構成によれば、出力電力が小さい場合には、制御モードを、2次側巻線に流れる電流がゼロとなるゼロ電流期間を含むように複数のスイッチングパターンを順次切り替える不連続モードに設定することにより、出力電力を小さくしつつ、ソフトスイッチングを行うことができる。
【0007】
上記電力変換装置について、前記片側PWM制御モードは、前記出力電圧が前記入力電圧よりも高い場合に前記2次側フルブリッジ回路をPWM制御する2次側PWM制御モードを含み、前記複数の2次側スイッチング素子のうち、少なくとも3つのスイッチング素子をOFF状態にすることで前記2次側巻線に流れる電流をゼロにしてもよい。
【0008】
かかる構成によれば、制御モードを2次側PWM制御モードに設定することにより、出力電圧が入力電圧よりも高い状況において、2次側フルブリッジ回路からの出力電力を小さくしつつ、ソフトスイッチングを行うことができる。
【0009】
上記電力変換装置について、前記片側PWM制御モードは、前記入力電圧が前記出力電圧よりも高い場合に前記1次側フルブリッジ回路をPWM制御する1次側PWM制御モードを含み、前記複数の1次側スイッチング素子のうち少なくとも3つのスイッチング素子をOFF状態にすることで前記2次側巻線に流れる電流をゼロにしてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、制御モードを1次側PWM制御モードに設定することにより、入力電圧が出力電圧よりも高い状況において、2次側フルブリッジ回路からの出力電力を小さくしつつ、ソフトスイッチングを行うことができる。
【0011】
上記電力変換装置について、前記複数の1次側スイッチング素子及び前記複数の2次側スイッチング素子に対して並列に接続された複数のコンデンサを備えていてもよい。
かかる構成によれば、各スイッチング素子のスイッチングが行われる際にコンデンサの充放電が行われることにより、スイッチング損失を低減することができる。
【0012】
上記電力変換装置について、前記制御回路は、前記制御モードとして、前記複数の1次側スイッチング素子のデューティ比と前記複数の2次側スイッチング素子のデューティ比とが同一に設定された通常モードを有し、前記制御回路は、前記2次側フルブリッジ回路からの出力電流が第1出力電流である場合には前記制御モードを前記通常モードに設定し、前記2次側フルブリッジ回路からの出力電流が前記第1出力電流よりも小さい第2出力電流である場合には前記制御モードを前記片側PWM制御モードに設定してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、出力電流の大きさに基づいて通常モードと片側PWM制御モードとを切り替えることにより、ソフトスイッチング可能な出力電流の範囲を広くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出力電力が小さい場合であってもソフトスイッチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】連続モードのスイッチングパターンの一例を示す図。
【
図3】不連続モードのスイッチングパターンの一例を示す図。
【
図4】不連続モードにおける各電流、電圧の推移の一例を示す図。
【
図5】通常モード、連続モード、及び不連続モードの設定されている電流電圧範囲の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電力変換装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、電源システム100は、直流電源110と、負荷120と、電力変換装置10と、を備える。直流電源110は、直流電圧を出力する電圧源である。負荷120は、例えば、直流電力を充放電可能な蓄電装置であり、一例としては二次電池である。二次電池とは、例えば、リチウムイオン蓄電池や鉛蓄電池である。
【0017】
電力変換装置10は、いわゆるデュアルアクティブブリッジ方式のDC/DCコンバータである。電力変換装置10は、直流電源110と負荷120との間に設けられている。電力変換装置10は、直流電源110の電力を変換して負荷120に出力可能である。また、電力変換装置10は、負荷120の電力を変換して直流電源110に出力可能である。以下の説明では、1次側を入力、2次側を出力として取り扱う。すなわち、電力変換装置10は、直流電源110から入力された直流電圧を変換して負荷120に出力するものとする。電力変換装置10は、トランス20と、1次側フルブリッジ回路30と、2次側フルブリッジ回路40と、制御回路50と、を備える。
【0018】
トランス20は、磁性体のコア21と、コア21に巻きつけられた1次側巻線22及び2次側巻線23と、を有する。すなわち、トランス20は、所謂絶縁型である。トランス20は、リアクトルLを有する。リアクトルLは、チョークコイルなどの素子であってもよいし、1次側巻線22及び2次側巻線23の漏れインダクタンスであってもよい。
【0019】
1次側フルブリッジ回路30は、複数の1次側スイッチング素子として、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4と、を有する。また、1次側フルブリッジ回路30は、複数の1次側ダイオードD1~D4と、複数の1次側コンデンサC1~C4と、を有する。
【0020】
本実施形態では、1次側スイッチング素子Q1~Q4としてn型のMOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorが用いられているが、p型のMOSFETやIGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor等の他のスイッチング素子を用いてもよい。4つの1次側スイッチング素子Q1~Q4は、第1レグ31と、第2レグ32とを構成する。第1レグ31は、第1スイッチング素子Q1のソースと第2スイッチング素子Q2のドレインとを第1接続線33で接続した直列接続体である。第2レグ32は、第3スイッチング素子Q3のソースと第4スイッチング素子Q4のドレインとを第2接続線34で接続した直列接続体である。第1レグ31及び第2レグ32は、互いに並列に接続されるように1次側端子35,36に接続されている。このとき、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3が上アームを構成し、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4が下アームを構成する。すなわち、1次側フルブリッジ回路30は、1次側端子35,36に接続されているといえる。
【0021】
1次側ダイオードD1~D4及び1次側コンデンサC1~C4は、それぞれ1次側スイッチング素子Q1~Q4に並列接続されている。1次側ダイオードD1~D4は、寄生ダイオードであってもよいし、素子であってもよい。1次側ダイオードD1~D4は、1次側スイッチング素子Q1~Q4に対して逆接続されている。1次側コンデンサC1~C4は、寄生容量、素子、あるいは寄生容量と素子の組み合わせであってもよい。
【0022】
1次側フルブリッジ回路30の第1接続線33及び第2接続線34は、それぞれ1次側巻線22に接続されている。そのため、1次側巻線22には、第2接続線34と第1接続線33との電位差と等しい電圧V1が印加される。以下の説明では、1次側巻線22に印加される電圧V1を「1次側電圧V1」と称することがある。なお、1次側電圧V1は、第1接続線33の電位が第2接続線34の電位より高い場合を正とする。
【0023】
なお、直流電源110は、1次側端子35,36に接続されている。したがって、1次側フルブリッジ回路30は、1次側端子35,36を介して直流電源110に接続される。
【0024】
1次側電圧センサ37は、1次側フルブリッジ回路30に入力される入力電圧Vinを測定するための電圧計である。1次側電圧センサ37は、1次側フルブリッジ回路30に対して並列となるように1次側端子35,36に接続されている。
【0025】
1次側電流センサ38は、直流電源110から1次側フルブリッジ回路30への入力電流Iinを測定するための電流計である。1次側電流センサ38としては、シャント抵抗、ホール素子など任意の形態を採用することができる。
【0026】
2次側フルブリッジ回路40は、複数の2次側スイッチング素子として、第5スイッチング素子Q5と、第6スイッチング素子Q6と、第7スイッチング素子Q7と、第8スイッチング素子Q8と、を有する。また、2次側フルブリッジ回路40は、複数の2次側ダイオードD5~D8と、複数の2次側コンデンサC5~C8と、を有する。
【0027】
本実施形態では、2次側スイッチング素子Q5~Q8としてn型のMOSFETが用いられているが、p型のMOSFETやIGBT等の他のスイッチング素子を用いてもよい。4つの2次側スイッチング素子Q5~Q8は、第3レグ41と、第4レグ42とを構成する。第3レグ41は、第5スイッチング素子Q5のソースと第6スイッチング素子Q6のドレインとを第3接続線43で接続した直列接続体である。第4レグ42は、第7スイッチング素子Q7のソースと第8スイッチング素子Q8のドレインとを第4接続線44で接続した直列接続体である。第3レグ41及び第4レグ42は、互いに並列に接続されるように2次側端子45,46に接続されている。このとき、第5スイッチング素子Q5及び第7スイッチング素子Q7が上アームを構成し、第6スイッチング素子Q6及び第8スイッチング素子Q8が下アームを構成する。すなわち、2次側フルブリッジ回路40は、2次側端子45,46に接続されているといえる。
【0028】
2次側ダイオードD5~D8及び2次側コンデンサC5~C8は、それぞれ2次側スイッチング素子Q5~Q8に並列接続されている。2次側ダイオードD5~D8は、寄生ダイオードであってもよいし、素子であってもよい。2次側ダイオードD5~D8は、2次側スイッチング素子Q5~Q8に対して逆接続されている。2次側コンデンサC5~C8は、寄生容量、素子、あるいは寄生容量と素子の組み合わせであってもよい。したがって、複数のコンデンサC1~C8は、それぞれ、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4及び複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8に対して並列に接続されている。
【0029】
2次側フルブリッジ回路40の第3接続線43及び第4接続線44は、それぞれ2次側巻線23に接続されている。そのため、2次側巻線23には、第3接続線43と第4接続線44との電位差と等しい電圧V2が印加される。以下の説明では、2次側巻線23に印加される電圧V2を「2次側電圧V2」と称することがある。なお、2次側電圧V2は、第3接続線43の電位が第4接続線44の電位より高い場合を正とする。なお、負荷120は、2次側端子45,46に接続されている。したがって、2次側フルブリッジ回路40は、2次側端子45,46を介して負荷120に接続される。
【0030】
2次側電圧センサ47は、2次側フルブリッジ回路40から出力される出力電圧Voutを測定するための電圧計である。2次側電圧センサ47は、2次側フルブリッジ回路40に対して並列となるように2次側端子45,46に接続されている。
【0031】
2次側電流センサ48は、2次側フルブリッジ回路40から出力される出力電流Ioutを測定するための電流計である。2次側電流センサ48としては、シャント抵抗、ホール素子など任意の形態を採用することができる。
【0032】
制御回路50は、1次側電圧センサ37から入力電圧Vinを、2次側電圧センサ47から出力電圧Voutを、それぞれ取得する。また、制御回路50は、負荷120から要求される電力に応じて、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4及び複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8を制御する。なお、制御回路50の具体的なハードウェア構成は任意である。例えば、制御回路50は、電圧の取得及びスイッチング制御を行うための専用のハードェア回路を有する構成でもよいし、電圧の取得及びスイッチング制御を行うための制御プログラムや必要な情報が記憶されたメモリと、制御プログラムに基づいて電圧の取得及びスイッチング制御を行うCPUとを有する構成でもよい。本実施形態では、1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8は、ともに所定の周期T1でスイッチング制御される。
【0033】
次に、1次側スイッチング素子Q1~Q4及び2次側スイッチング素子Q5~Q8を制御する制御モードについて説明する。以下の説明では、各ダイオードD1~D8をそれぞれ「第nダイオードDn」と、各コンデンサC1~C8をそれぞれ「第nコンデンサCn」と称することがある。なお、nは1~8の自然数である。なお、以下では、説明の簡略化のため、各スイッチング素子Q1~Q8のデューティ比は、特に明示しない限り0.5であるものとして取り扱う。
【0034】
制御回路50は、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4及び複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8を制御する制御モードとして、通常モードM1と、片側PWM制御モードM2と、を有している。
【0035】
通常モードM1とは、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4のデューティ比と複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のデューティ比とが同一に設定された制御モードである。具体的には、制御回路50は、1次側フルブリッジ回路30において、スイッチング素子Q1,Q4がON状態、スイッチング素子Q2,Q3がOFF状態の組み合わせのスイッチングパターンと、スイッチング素子Q1,Q4がOFF状態、スイッチング素子Q2,Q3がON状態の組み合わせのスイッチングパターンとを交互に切り替える。
【0036】
制御回路50は、2次側フルブリッジ回路40において、スイッチング素子Q5,Q8がON状態、スイッチング素子Q6,Q7がOFF状態の組み合わせのスイッチングパターンと、スイッチング素子Q5,Q8がOFF状態、スイッチング素子Q6,Q7がON状態の組み合わせのスイッチングパターンとを交互に切り替える。
【0037】
制御回路50は、通常モードM1において、上記スイッチングパターンを順次切り替える動作を1単位として、当該動作を周期的に行うことにより、電力変換を行う。なお、スイッチングパターンが切り替わる際にデッドタイムが設けられていてもよい。他の制御モードにおけるスイッチングパターンの切り替わりについても同様である。
【0038】
制御回路50は、通常モードM1では、1次側フルブリッジ回路30と2次側フルブリッジ回路40との間の位相差を制御する。これにより、電力変換装置10は、出力電流Ioutが第1閾値電流B1以上である範囲内において、ソフトスイッチングを行いつつ適切な電力を出力することができる。
【0039】
例えば、制御モードが通常モードM1に設定されている場合、制御回路50は、要求された出力電力Poutに対応する出力電流Ioutを導出する。そして、制御回路50は、導出された出力電流Ioutに基づいて、位相差を導出する。制御回路50は、1次側フルブリッジ回路30と2次側フルブリッジ回路40とで、導出された位相差が生じるように上記スイッチングパターンで各スイッチング素子Q1~Q8を制御する。これにより、電力変換装置10は、出力電流Ioutが第1閾値電流B1以上である範囲内において、ソフトスイッチングを実現しつつ、要求された出力電力Poutに対応する出力電流Ioutを出力することができる。また、これにより、要求された出力電力Poutが2次側フルブリッジ回路40から出力される。第1閾値電流B1については後述する。
【0040】
片側PWM制御モードM2は、入力電圧Vinと出力電圧Voutとのうち、高い方の電圧に対応するフルブリッジ回路をPWM制御する制御モードである。片側PWM制御モードM2は、2次側PWM制御モードM3を含む。2次側PWM制御モードM3は、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高い場合に2次側フルブリッジ回路40をPWM制御する制御モードである。なお、片側PWM制御モードM2における1次側スイッチング素子Q1~Q4のスイッチング制御は、通常モードM1と同様である。
【0041】
本実施形態では、2次側PWM制御モードM3は、連続モードM4と、不連続モードM5と、を含む。
図2に示すように、連続モードM4では、各スイッチング素子Q1~Q8のスイッチングパターンとして、第1パターンP1、第2パターンP2、第3パターンP3、第4パターンP4、第5パターンP5、及び第6パターンP6が設定されている。なお、以下の説明では、各スイッチング素子Q1~Q8のスイッチングパターンを単に「スイッチングパターン」と称することがある。
【0042】
例えば、第1パターンP1は、スイッチング素子Q1,Q4,Q6,Q7がON状態であり、スイッチング素子Q2,Q3,Q5,Q8がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0043】
第2パターンP2は、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q7がON状態であり、スイッチング素子Q2,Q3,Q6,Q8がOFF状態のスイッチングパターンである。
第3パターンP3は、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q8がON状態であり、スイッチング素子Q2,Q3,Q6,Q7がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0044】
第4パターンP4は、スイッチング素子Q2,Q3,Q5,Q8がON状態であり、スイッチング素子Q1,Q4,Q6,Q7がOFF状態のスイッチングパターンである。
第5パターンP5は、スイッチング素子Q2,Q3,Q6,Q8がON状態であり、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q7がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0045】
第6パターンP6は、スイッチング素子Q2,Q3,Q6,Q7がON状態であり、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q8がOFF状態のスイッチングパターンである。
制御回路50は、連続モードM4において、スイッチングパターンを、P1→P2→P3→P4→P5→P6の順に順次切り替える動作を1単位として、当該動作を周期的に行うことにより、電力変換を行う。
【0046】
ここで、連続モードM4にて設定される第2パターンP2及び第5パターンP5では、2次側巻線23に流れる電流が2次側フルブリッジ回路40内を還流するため、出力電流Ioutがゼロとなる。
【0047】
一方、連続モードM4にて設定される各スイッチングパターンP1~P6は、2次側電流ISがゼロになる期間を含まないように設定されている。すなわち、連続モードM4は、2次側電流ISがゼロになる期間を含まないように設定された制御モードである。このため、連続モードM4では、2次側電流ISがゼロに維持される期間がない。換言すれば、連続モードM4にて設定される各スイッチングパターンP1~P6には、2次側フルブリッジ回路40からの2次側電流ISがゼロに維持されるスイッチングパターンが含まれていない。
【0048】
なお、2次側電流ISとは、2次側巻線23に流れる電流である。2次側電流ISの方向は、2次側巻線23を介して第4接続線44から第3接続線43に向かう方向を正とする。
【0049】
制御回路50は、連続モードM4では、1次側フルブリッジ回路30と2次側フルブリッジ回路40との位相差及び2次側スイッチング素子Q5~Q8のデューティ比を制御することにより、各スイッチングパターンP1~P6の設定期間を制御することができる。そして、制御回路50が位相差及びデューティ比を制御することにより、電力変換装置10は、出力電流Ioutが第2閾値電流B2以上であって第1閾値電流B1未満の範囲内においてソフトスイッチングを行いつつ適切な電力を出力することができる。第2閾値電流B2は、第1閾値電流B1よりも小さい。
【0050】
例えば、制御モードが連続モードM4に設定されている場合、制御回路50は、要求された出力電力Poutに対応する出力電流Ioutを導出し、その導出された出力電流Ioutに基づいて位相差を導出する。そして、制御回路50は、当該位相差が設定された条件下においてソフトスイッチングを行うことができるデューティ比を導出する。
【0051】
制御回路50は、1次側フルブリッジ回路30と2次側フルブリッジ回路40とで導出された位相差が生じるように且つ導出されたデューティ比で、各スイッチング素子Q1~Q8を上記スイッチングパターンP1~P6にて制御する。これにより、電力変換装置10は、出力電流Ioutが第2閾値電流B2以上であって第1閾値電流B1未満の範囲内において、ソフトスイッチングを実現しつつ、要求された出力電力Poutを出力することができる。第2閾値電流B2については後述する。
【0052】
図3に示すように、不連続モードM5では、スイッチングパターンとして、第7パターンP7、第8パターンP8、第9パターンP9、第10パターンP10、第11パターンP11、及び第12パターンP12が設定されている。
【0053】
例えば、第7パターンP7は、スイッチング素子Q1,Q4,Q7がON状態であり、スイッチング素子Q2,Q3,Q5,Q6,Q8がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0054】
第8パターンP8は、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q8がON状態であり、スイッチング素子Q2,Q3,Q6,Q7がOFF状態のスイッチングパターンである。
第9パターンP9は、スイッチング素子Q1,Q4,Q8がON状態であり、スイッチング素子Q2,Q3,Q5,Q6,Q7がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0055】
第10パターンP10は、スイッチング素子Q2,Q3,Q8がON状態であり、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q6,Q7がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0056】
第11パターンP11は、スイッチング素子Q2,Q3,Q6,Q7がON状態であり、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q8がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0057】
第12パターンP12は、スイッチング素子Q2,Q3,Q7がON状態であり、スイッチング素子Q1,Q4,Q5,Q6,Q8がOFF状態のスイッチングパターンである。
【0058】
制御回路50は、スイッチングパターンをP7→P8→P9→P10→P11→P12の順に順次切り替える動作を1単位として、当該動作を周期的に行うことにより、電力変換を行う。また、制御回路50は、1次側フルブリッジ回路30及び2次側フルブリッジ回路40の位相差及び2次側スイッチング素子Q5~Q8のデューティ比を制御することにより、各スイッチングパターンP7~P12の設定期間を制御することができる。これにより、制御回路50は、出力電流Ioutが第2閾値電流B2未満の範囲内で、ソフトスイッチングを実現しつつ出力電流Ioutを制御することができる。
【0059】
例えば、制御モードが不連続モードM5に設定されている場合、制御回路50は、要求された出力電力Poutに対応する出力電流Ioutを導出し、その導出された出力電流Ioutに基づいて位相差を導出する。そして、制御回路50は、当該位相差が設定された条件下においてソフトスイッチングを行うことができるデューティ比を導出する。
【0060】
制御回路50は、1次側フルブリッジ回路30と2次側フルブリッジ回路40とで導出された位相差が生じるように且つ導出されたデューティ比で、各スイッチング素子Q1~Q8を上記スイッチングパターンP7~P12にて制御する。これにより、電力変換装置10は、出力電流Ioutが第2閾値電流B2未満の範囲内で、ソフトスイッチングを実現しつつ、要求された出力電力Poutを出力することができる。
【0061】
以下、不連続モードM5の制御の詳細について、不連続モードM5における1次側電圧V1、2次側電圧V2、1次側電流IL、及び2次側電流ISの推移とともに説明する。なお、1次側電流ILとは、1次側巻線22に流れる電流である。1次側電流ILの方向は、1次側巻線22を介して第1接続線33から第2接続線34に向かう方向を正とする。
【0062】
ここで、1次側電流ILの一部は、コア21を磁化させるための励磁電流IEとなる場合がある。そのため、1次側電流ILと2次側電流ISは、必ずしも一致するとは限らず、IS=IL-IEとなる。
【0063】
以下の説明では、説明の簡略化のため、1次側端子35の電位をVin、2次側端子45の電位をVout、1次側端子36の電位及び2次側端子46の電位を0とする。また、第7パターンP7の開始時において、1次側電流ILは負であり、2次側電流ISはゼロであるものとする。
【0064】
図4に示すように、制御回路50は、不連続モードM5において、スイッチングパターンを第7パターンP7に設定する。このとき、1次側電圧V1=Vinとなる。1次側巻線22に正の電圧が印加されることにより、1次側電流ILが増加する。
【0065】
スイッチングパターンが第7パターンP7に設定されている場合、1次側電流ILの増加に伴い、2次側電流ISがゼロから増加する。
このとき、2次側電流ISは、第5ダイオードD5に対して順方向の電流となる。これにより、第5ダイオードD5がON状態となるため、第3レグ41の電位はVoutとなる。そして、第7パターンP7では第7スイッチング素子Q7がON状態なので、第4レグ42の電位もまたVoutとなる。したがって、2次側電圧V2はゼロとなる。2次側電流ISは、第5ダイオードD5と第7スイッチング素子Q7とを順に流れて2次側巻線23に還流する。これに伴い、出力電流Ioutがゼロとなる。
【0066】
なお、第7パターンP7は、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のうち、少なくとも3つのスイッチング素子(詳細にはスイッチング素子Q5,Q6,Q8)をOFF状態にするスイッチングパターンである。
【0067】
不連続モードM5におけるソフトスイッチング条件は、2次側電流ISが第1目標電流Ix以上となっている状態でスイッチングパターンが第7パターンP7から第8パターンP8へと切り替わることを含む。
【0068】
この点、本実施形態の制御回路50は、2次側電流ISが第1目標電流Ix以上となるように第7パターンP7の設定期間を調整する。具体的には、制御回路50は、2次側電流ISが第1目標電流Ix以上となったときにスイッチングパターンが第7パターンP7から第8パターンP8に切り替わるように、位相差及びデューティ比を制御する。これにより、
図4に示すように、2次側電流ISが第1目標電流Ix以上となってから、スイッチングパターンが第7パターンP7から第8パターンP8に切り替わるため、ソフトスイッチング条件の1つを満たす。
【0069】
なお、第1目標電流Ixとは、励磁電流IEで2次側コンデンサC5~C8の充放電を行うために必要な最小の電流である。
第8パターンP8では、1次側電圧V1=Vin、2次側電圧V2=Voutとなる。2次側PWM制御モードM3では、入力電圧Vinは出力電圧Voutより低いため、通常モードM1と同様に、1次側電流IL及び2次側電流ISは減少する。
【0070】
制御回路50は、2次側電流ISがゼロになる前に、スイッチングパターンを第8パターンP8から第9パターンP9に切り替える。
第9パターンP9では、2次側電流ISがゼロより大きい場合には第5ダイオードD5に順方向電流が流れるため、第5ダイオードD5はON状態となる。このとき、2次側電圧V2=Voutとなる。入力電圧Vinは出力電圧Voutより低いため、2次側電流ISは減少する。
【0071】
しかし、2次側電流ISがゼロとなると第5ダイオードD5に順方向電流が流れなくなるため、第5ダイオードD5はOFF状態となる。これにより、第3接続線43は2次側端子45と切り離される。このとき、1次側電圧V1が2次側巻線23に伝わることにより、2次側電圧V2=Vinとなる。したがって、第9パターンP9において、2次側電流ISの減少はゼロで止まる。これに伴い、出力電流Ioutがゼロとなる。
【0072】
つまり、本実施形態において、第9パターンP9は、2次側電流ISがゼロとなるゼロ電流期間T2を含む。
このとき、励磁電流IEの寄与により、1次側電流ILは増大する。
【0073】
なお、第9パターンP9は、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のうち、少なくとも3つのスイッチング素子(詳細にはスイッチング素子Q5,Q6,Q7)をOFF状態にするスイッチングパターンである。
【0074】
不連続モードM5におけるソフトスイッチング条件は、1次側電流ILが第2目標電流Iy以上となっている状態でスイッチングパターンが第9パターンP9から第10パターンP10へと切り替わることを含む。
【0075】
この点、本実施形態の制御回路50は、1次側電流ILが第2目標電流Iy以上となるように第9パターンP9の設定期間を調整する。具体的には、制御回路50は、1次側電流ILが第2目標電流Iy以上となったときにスイッチングパターンが第9パターンP9から第10パターンP10に切り替わるように、位相差及びデューティ比を制御する。これにより、
図4に示すように、1次側電流ILが第2目標電流Iy以上となってから、スイッチングパターンが第9パターンP9から第10パターンP10に切り替わるため、ソフトスイッチング条件の1つを満たす。
【0076】
なお、第2目標電流Iyとは、励磁電流IEを含む1次側電流ILで1次側コンデンサC1~C4を充放電する際に必要な最小の電流である。
第10パターンP10では、1次側電圧V1がVinから-Vinへと反転することにより、1次側電流ILが減少する。1次側巻線22と2次側巻線23との磁気結合によって、1次側電流ILの減少に伴い、2次側電流ISがゼロから減少しようとする。このとき、2次側電流ISが第6ダイオードD6に対して順方向電流となるため、第6ダイオードD6がON状態となる。これにより、2次側巻線23、第4接続線44、第8スイッチング素子Q8、第6ダイオードD6、第3接続線43、という電流経路が形成される。第3接続線43、第4接続線44の電位はともに2次側端子46と等しいため、2次側電圧V2はゼロとなる。結果として、2次側電流ISがゼロから減少する。このとき、2次側巻線23から負荷120への電流経路が形成されないため、出力電流Ioutはゼロとなる。
【0077】
そして、第10パターンP10は、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のうち、少なくとも3つのスイッチング素子(詳細にはスイッチング素子Q5,Q6,Q7)をOFF状態にするスイッチングパターンである。
【0078】
不連続モードM5におけるソフトスイッチング条件は、2次側電流IS≦-Ixとなっている状態でスイッチングパターンが第10パターンP10から第11パターンP11へと切り替わることを含む。
【0079】
この点、本実施形態の制御回路50は、2次側電流IS≦-Ixとなるように第10パターンP10の設定期間を調整する。具体的には、制御回路50は、2次側電流IS≦-Ixとなったときにスイッチングパターンが第10パターンP10から第11パターンP11に切り替わるように、位相差及びデューティ比を制御する。これにより、
図4に示すように、2次側電流IS≦-Ixとなってから、スイッチングパターンが第10パターンP10から第11パターンP11に切り替わるため、ソフトスイッチング条件の1つを満たす。
【0080】
第11パターンP11では、1次側電圧V1=-Vin、2次側電圧V2=-Voutとなる。2次側PWM制御モードM3では、入力電圧Vinは出力電圧Voutより低いため、通常モードM1と同様に、1次側電流IL及び2次側電流ISは増加する。
【0081】
制御回路50は、2次側電流ISがゼロになる前に、スイッチングパターンを第11パターンP11から第12パターンP12に切り替える。
第12パターンP12では、2次側電流ISがゼロより小さい場合には第6ダイオードD6に順方向電流が流れるため、第6ダイオードD6はON状態となる。このとき、2次側電圧V2=-Voutとなる。入力電圧Vinは出力電圧Voutより低いため、2次側電流ISは増加する。しかし、2次側電流ISがゼロとなると第6ダイオードD6に順方向電流が流れなくなるため、第6ダイオードD6はOFF状態となる。これにより、第3接続線43は2次側端子45と切り離される。このとき、1次側電圧V1が2次側巻線23に伝わることにより、2次側電圧V2=-Vinとなる。したがって、第12パターンP12において、2次側電流ISの増加はゼロで止まる。これに伴い、出力電流Ioutがゼロとなる。
【0082】
つまり、本実施形態において、第12パターンP12は、2次側電流ISがゼロとなるゼロ電流期間T2を含む。このとき、励磁電流IEの寄与により、1次側電流ILは減少する。
【0083】
なお、本実施形態において、第12パターンP12は、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のうち、少なくとも3つのスイッチング素子(詳細にはスイッチング素子Q5,Q6,Q7)をOFF状態にするスイッチングパターンである。
【0084】
不連続モードM5におけるソフトスイッチング条件は、1次側電流IL≦-Iyとなっている状態でスイッチングパターンが第12パターンP12から第7パターンP7へと切り替わることを含む。
【0085】
この点、本実施形態の制御回路50は、1次側電流IL≦-Iyとなるように第12パターンP12の設定期間を調整する。具体的には、制御回路50は、1次側電流IL≦-Iyとなったときにスイッチングパターンが第12パターンP12から第7パターンP7に切り替わるように、位相差及びデューティ比を制御する。これにより、
図4に示すように、1次側電流IL≦-Iyとなってから、スイッチングパターンが第12パターンP12から第7パターンP7に切り替わるため、ソフトスイッチング条件の1つを満たす。
【0086】
不連続モードM5にて設定される第7パターンP7及び第10パターンP10では、連続モードM4にて設定される第2パターンP2及び第5パターンP5と同様に、2次側電流ISが2次側フルブリッジ回路40内を還流することにより、出力電流Ioutがゼロとなっている。
【0087】
一方、不連続モードM5にて設定される第9パターンP9及び第12パターンP12では、2次側電流ISがゼロとなることに伴い、出力電流Ioutがゼロとなっている。すなわち、不連続モードM5では、連続モードM4とは異なり、2次側電流ISがゼロとなるゼロ電流期間T2が含まれている。これにより、不連続モードM5では連続モードM4よりも出力電流Ioutがゼロとなる期間を増やすことができる。
【0088】
なお、
図4に示すように、2次側PWM制御モードM3では、2次側巻線23に印加される電圧V1は正、負、又はゼロとなる一方、1次側巻線22に印加される電圧V1は正又は負である。このため、2次側PWM制御モードM3は、2次側巻線23に印加される電圧V2が正、負、又はゼロとなり、且つ、1次側巻線22に印加される電圧V1が正又は負となる制御モードとも言える。
【0089】
図5に示すように、制御回路50は、要求された出力電力Poutに基づいて、制御モードを制御する。制御回路50は、出力電流Ioutが第1出力電流I1である場合には制御モードを通常モードM1に設定する。第1出力電流I1とは、通常モードM1でのソフトスイッチングが可能な出力電流Ioutである。本実施形態では、第1出力電流I1は、第1閾値電流B1以上である。
【0090】
図5に示すように、第1閾値電流B1は、入出力電圧比Vout/Vinに依存するパラメータである。入出力電圧比Vout/Vinとは、入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの比であり、例えば出力電圧Voutを入力電圧Vinで除算した値である。詳細には、第1閾値電流B1は、入出力電圧比Vout/Vinが大きくなるほど大きくなる。また、第1閾値電流B1は、周期T1及びリアクトルLにも依存する。通常モードM1は、第1閾値電流B1以上である場合にソフトスイッチングを実現できる制御モードである。
【0091】
例えば、制御回路50は、出力電流Ioutが第1出力電流I1よりも小さい第2出力電流I2又は第3出力電流I3である場合には、制御モードを片側PWM制御モードM2に設定する。第3出力電流I3は、第2出力電流I2よりも小さい。詳細には、第2出力電流I2は第2閾値電流B2以上且つ第1閾値電流B1未満であり、第3出力電流I3は第2閾値電流B2未満である。
【0092】
ここで、既に説明した通り、本実施形態の片側PWM制御モードM2は、2次側PWM制御モードM3を有し、2次側PWM制御モードM3は連続モードM4と不連続モードM5とを含む。制御回路50は、出力電流Ioutが第2出力電流I2である場合には、制御モードを連続モードM4に設定する。制御回路50は、出力電流Ioutが第3出力電流I3である場合には、制御モードを不連続モードM5に設定する。
【0093】
図5に示すように、第2閾値電流B2は、入出力電圧比Vout/Vinに依存するパラメータである。詳細には、第2閾値電流B2は、入出力電圧比Vout/Vinが大きくなるほど大きくなる。第2閾値電流B2は、入出力電圧比Vout/Vinに関わらず、第1閾値電流B1以下である。連続モードM4は、第2閾値電流B2以上且つ第1閾値電流B1未満である場合にソフトスイッチングを実現できる制御モードである。不連続モードM5は、第2閾値電流B2未満の場合にソフトスイッチングを実現できる制御モードである。
【0094】
以下、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)電力変換装置10は、1次側巻線22及び2次側巻線23を有するトランス20と、1次側巻線22に接続された1次側フルブリッジ回路30と、2次側巻線23に接続された2次側フルブリッジ回路40と、制御回路50と、を備える。1次側フルブリッジ回路30は、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4を有する。2次側フルブリッジ回路40は、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8を有する。
【0095】
かかる構成において、制御回路50は、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4及び複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8を制御する制御モードとして、片側PWM制御モードM2を有する。片側PWM制御モードM2の一種である2次側PWM制御モードM3は、1次側フルブリッジ回路30に入力される入力電圧Vinと2次側フルブリッジ回路40から出力される出力電圧Voutとのうち、高い方の電圧に対応するフルブリッジ回路をPWM制御する制御モードである。
【0096】
かかる構成において、片側PWM制御モードM2は、不連続モードM5を含む。不連続モードM5は、ゼロ電流期間T2を含むように複数のスイッチングパターンP7~P12を順次切り替えることにより、電力変換を行う制御モードである。ゼロ電流期間T2では、2次側巻線23に流れる電流ISがゼロとなる。
【0097】
かかる構成によれば、不連続モードM5は、出力電流Ioutが小さい場合であってもソフトスイッチングを行うことができる制御モードである。これにより、制御回路50は、出力電力Poutが小さい場合に制御モードを不連続モードM5に設定することにより、出力電力Poutを小さくしつつ、ソフトスイッチングを行うことができる。
【0098】
詳述すると、片側PWM制御モードM2において出力電流Ioutを小さくしようとすると、ソフトスイッチング条件を満たすことができない場合が生じ得る。例えば、本実施形態では、ゼロ電流期間T2が含まれていない連続モードM4では、出力電流Ioutがある閾値(本実施形態では第2閾値電流B2)よりも小さくなると、連続モードM4では、ソフトスイッチング条件を満たす位相差及びデューティ比が存在せず、ハードスイッチングになる。
【0099】
この点、不連続モードM5にはゼロ電流期間T2が含まれている。ゼロ電流期間T2では、2次側電流ISがゼロとなることに伴い、出力電流Ioutがゼロとなる。これにより、出力電流Ioutがゼロとなる期間を連続モードM4より増やすことができるため、ソフトスイッチング条件が緩和される。本実施形態では、出力電流Ioutがある閾値(本実施形態では第2閾値電流B2)よりも小さい場合であっても、不連続モードM5では、ソフトスイッチング条件を満たす位相差及びデューティ比が存在する。これにより、要求された出力電力Poutが小さい場合には制御モードを不連続モードM5に設定することにより、要求された出力電力Poutを出力しつつソフトスイッチングを行うことができる。
【0100】
(2)片側PWM制御モードM2は、2次側PWM制御モードM3を含む。2次側PWM制御モードM3は、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高い場合に2次側フルブリッジ回路40をPWM制御する制御モードである。
【0101】
かかる構成において、制御回路50は、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のうち、少なくとも3つのスイッチング素子をOFF状態にすることで2次側巻線23に流れる電流ISをゼロにする。
【0102】
かかる構成によれば、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高い状況において、2次側フルブリッジ回路40からの出力電力Poutを小さくしつつ、ソフトスイッチングを行うことができる。
【0103】
(3)電力変換装置10は、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4及び複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8に対して並列に接続された複数のコンデンサC1~C8を備えている。
【0104】
かかる構成によれば、スイッチングパターンの切り替わりに伴ってコンデンサC1~C8の充放電が行われることにより、各スイッチング素子Q1~Q8がソフトスイッチングを行う際のスイッチング損失を低減することができる。
【0105】
(4)制御回路50は、制御モードとして、さらに通常モードM1を有する。通常モードM1は、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4のデューティ比と複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のデューティ比とが同一に設定された制御モードである。
【0106】
かかる構成において、制御回路50は、2次側フルブリッジ回路40からの出力電流Ioutが第1出力電流I1である場合には制御モードを通常モードM1に設定する。
一方、かかる構成において、制御回路50は、2次側フルブリッジ回路40からの出力電流Ioutが第1出力電流I1よりも小さい第2出力電流I2である場合には制御モードを2次側PWM制御モードM3に設定する。
【0107】
かかる構成によれば、通常モードM1は、2次側PWM制御モードM3よりも、出力電流Ioutが大きい範囲でソフトスイッチングを行うことができる制御モードである。これにより、制御回路50が出力電流Ioutの大きさに応じて通常モードM1と2次側PWM制御モードM3とを切り替えることにより、ソフトスイッチング可能な出力電流Ioutの範囲を広くすることができる。
【0108】
(5)2次側PWM制御モードM3は、さらに連続モードM4を含む。連続モードM4は、2次側フルブリッジ回路40からの2次側電流ISがゼロになる期間を含まないようにスイッチングパターンP1~P6を順次切り替えることにより、電力変換を行う制御モードである。
【0109】
かかる構成において、制御回路50は、2次側フルブリッジ回路40からの出力電流Ioutが第1出力電流I1より小さい第2出力電流I2である場合には制御モードを連続モードM4に設定する。
【0110】
一方、かかる構成において、制御回路50は、2次側フルブリッジ回路40からの出力電流Ioutが第2出力電流I2より小さい第3出力電流I3である場合には制御モードを不連続モードM5に設定する。
【0111】
かかる構成によれば、連続モードM4は、不連続モードM5よりも出力電流Ioutが大きい範囲でソフトスイッチングを行うことができる制御モードである。これにより、出力電流Ioutに応じて連続モードM4と不連続モードM5とを切り替えることにより、片側PWM制御モードM2においてソフトスイッチング可能な出力電流Ioutの範囲をさらに広くすることができる。例えば、電力変換装置10が通常モードM1及び不連続モードM5ではソフトスイッチングを行うことができないような出力電流Iout(例えば第2閾値電流B2以上かつ第1閾値電流B1未満)を出力する場合には、制御モードを連続モードM4に設定することにより、電力変換装置10は、ソフトスイッチングを行うことができる。
【0112】
(6)制御回路50は、不連続モードM5におけるスイッチング条件を満たすように、出力電流Ioutに対応させて位相差及び2次側フルブリッジ回路40のデューティ比を制御する。
【0113】
不連続モードM5におけるソフトスイッチング条件は、IS≧Ixの状態でスイッチングパターンが第7パターンP7から第8パターンP8へと切り替わること、及び、IS≦-Ixの状態でスイッチングパターンが第10パターンP10から第11パターンP11へと切り替わることを含む。不連続モードM5におけるソフトスイッチング条件は、IL≧Iyの状態でスイッチングパターンが第9パターンP9から第10パターンP10へと切り替わること、及び、IL≦-Iyの状態でスイッチングパターンが第12パターンP12から第7パターンP7へと切り替わることを含む。
【0114】
かかる構成によれば、制御回路50が出力電流Ioutに対応させて位相差及びデューティ比を制御することにより、電力変換装置10は、不連続モードM5においてソフトスイッチングを実現できる。
【0115】
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0116】
○電力変換装置10は、双方向の電力変換を行ってもよい。この場合、2次側フルブリッジ回路40に入力される電圧を入力電圧Vin、1次側フルブリッジ回路30から出力される電圧を出力電圧Voutとしてもよい。このとき、例えば、スイッチングパターンP1~P12として、1次側スイッチング素子Q1~Q4と2次側スイッチング素子Q5~Q8とを入れ替えたものを用いればよい。
【0117】
○片側PWM制御モードM2は、1次側PWM制御モードM6を含んでいてもよい。1次側PWM制御モードM6は、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高い場合に1次側フルブリッジ回路30をPWM制御する制御モードである。
【0118】
かかる構成において、制御回路50は、複数の1次側スイッチング素子Q1~Q4のうち少なくとも3つのスイッチング素子をOFF状態にすることで2次側巻線23に流れる電流をゼロにする。
【0119】
1次側PWM制御モードM6は、片側PWM制御を行う対象が1次側スイッチング素子Q1~Q4となる。このため、1次側PWM制御モードM6の具体的な制御態様は、制御対象が1次側フルブリッジ回路30と2次側フルブリッジ回路40とで反対になる点を除いて、2次側PWM制御モードM3と同様である。すなわち、1次側PWM制御モードM6は、2次側PWM制御モードM3と同様に、連続モードM4と、不連続モードM5と、を含む。そして、1次側PWM制御モードM6における2次側スイッチング素子Q5~Q8の制御態様は、2次側PWM制御モードM3における1次側スイッチング素子Q1~Q4の制御態様と同様であり、1次側PWM制御モードM6における1次側スイッチング素子Q1~Q4の制御態様は、2次側PWM制御モードM3における2次側スイッチング素子Q5~Q8の制御態様と同様である。
【0120】
本別例において、制御回路50は、1次側スイッチング素子Q1~Q4のうち少なくとも3つのスイッチング素子をOFF状態にすることで2次側巻線に流れる電流ISをゼロにする。
【0121】
かかる構成によれば、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも高い状況において、2次側フルブリッジ回路40からの出力電力Poutを小さくしつつソフトスイッチングを行うことができる。
【0122】
なお、1次側PWM制御モードM6では、1次側巻線22に印加される電圧V1は正、負、又はゼロとなる一方、2次側巻線23に印加される電圧V2は正又は負である。このため、1次側PWM制御モードM6は、1次側巻線22に印加される電圧V1が正、負、又はゼロとなり、且つ、2次側巻線23に印加される電圧V2が正又は負となる制御モードとも言える。
【0123】
○制御回路50は、2次側PWM制御モードM3において、ソフトスイッチング条件を満たすように、出力電流Ioutに対応させて、両フルブリッジ回路30,40の位相差、及び、2次側フルブリッジ回路40の両レグ41,42の間の位相差を制御してもよい。
【0124】
○制御回路50は、通常モードM1を有していなくてもよい。この場合、制御回路50は、適切な入出力電圧比Vout/Vin及び出力電流Ioutにおいて、片側PWM制御モードM2を実行すればよい。
【0125】
○1次側フルブリッジ回路30及び2次側フルブリッジ回路40は、それぞれコンデンサC1~C8を有していなくてもよい。この場合、各コンデンサC1~C8を充放電しなくてもよいため、第1目標電流Ix及び第2目標電流Iyはゼロとなる。
【0126】
○制御回路50は、2次側PWM制御モードM3にて、複数の2次側スイッチング素子Q5~Q8のうちの3つの2次側スイッチング素子をOFF状態にすることで、2次側電流ISをゼロにしなくてもよい。言い換えれば、ゼロ電流期間T2におけるスイッチングパターンは、2次側スイッチング素子Q5~Q8のうちの3つがOFF状態となっているものを含まなくてもよい。例えば、ゼロ電流期間T2を含むスイッチングパターンは、2次側スイッチング素子Q5~Q8のすべてがOFF状態となっているものであってもよい。このとき、2次側電流ISは、2次側スイッチング素子Q5~Q8の代わりに適当な2次側ダイオードD5~D8を流れる。
【0127】
○不連続モードM5は、第8パターンP8又は第11パターンP11を含んでいなくてもよい。換言すれば、制御回路50は、スイッチングパターンを第7パターンP7から第9パターンP9に切り替えてもよいし、第10パターンP10から第12パターンP12に切り替えてもよい。このとき、第9パターンP9では2次側電流IS>0の場合に第5ダイオードD5がダイオード整流を行う。また、第12パターンP12では2次側電流IS<0のときに第6ダイオードD6がダイオード整流を行う。
【0128】
○第8パターンP8から第9パターンP9への切り替えは、2次側電流ISがゼロになる前に行われなくてもよい。例えば、第8パターンP8から第9パターンP9への切り替えは、2次側電流ISがゼロになったときに行われてもよい。これにより、第5ダイオードD5によるダイオード整流期間が短くなる。したがって、電力変換装置10の電力変換効率を向上させることができる。
【0129】
同様に、第11パターンP11から第12パターンP12への切り替えは、2次側電流ISがゼロになる前に行われなくてもよく、2次側電流ISがゼロになったときに行われてもよい。
【0130】
○片側PWM制御モードM2は、必ずしも2次側PWM制御モードM3を含むものでなくてもよい。例えば、片側PWM制御モードM2は、1次側PWM制御モードM6のみであってもよいし、2次側PWM制御モードM3のみであってもよい。
【符号の説明】
【0131】
10…電力変換装置、20…トランス、22…1次側巻線、23…2次側巻線、30…1次側フルブリッジ回路、40…2次側フルブリッジ回路、50…制御回路、C1~C8…コンデンサ、IL…1次側電流、IS…2次側電流、Iout…出力電流、M1…通常モード、M2…片側PWM制御モード、M3…2次側PWM制御モード、M5…不連続モード、M6…1次側PWM制御モード、Q1~Q4…1次側スイッチング素子、Q5~Q8…2次側スイッチング素子、P7~P12…不連続モードにおけるスイッチングパターン、T2…ゼロ電流期間、Vin…入力電圧、Vout…出力電圧。