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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】洗車機、および洗車方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B60S3/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021093137
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185441
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】水谷 圭介
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-080901(JP,A)
【文献】特開2004-243840(JP,A)
【文献】特開2005-254930(JP,A)
【文献】特開平07-081531(JP,A)
【文献】特開2017-214024(JP,A)
【文献】特開2008-037170(JP,A)
【文献】特開2007-008204(JP,A)
【文献】特開2006-205932(JP,A)
【文献】特開2006-151268(JP,A)
【文献】特開2005-324717(JP,A)
【文献】特開2005-313839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準物と車両とを含む画像を撮像する画像撮像部と、
前記画像に基づいて、前記車両の車両情報を求める画像解析部と、
前記車両情報に基づいて、前記車両との相対移動により、前記車両を洗浄する洗車機本体とを備え、
前記基準物は、前記車両が有する車両基準物を含み、
前記画像解析部は、基準物情報としての前記画像における前記車両基準物の特定箇所の長さと、既知である前記車両基準物の特定箇所の実際の長さと、前記画像における前記車両の少なくとも一部の長さと、に基づいて、前記車両情報としての、前記車両の少なくとも一部の長さを求める洗車機。
【請求項2】
記車両基準物は、前記車両のナンバープレートの文字、または数字の少なくとも一つを含み、
前記画像解析部は、前記画像中の前記ナンバープレートの文字または数字を認識することにより、前記画像中の前記ナンバープレートの位置を特定する請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記洗車機本体は、ブラシまたはノズルの少なくとも一つを含む清掃部を備え、
前記洗車機本体は、前記清掃部の、前記車両に対する位置を、前記車両情報に基づいて制御する請求項1または2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記車両情報は、前記車両の車幅を含む請求項1からの何れか1項に記載の洗車機。
【請求項5】
前記車両情報は、前記車両の車幅方向における中心位置を含む請求項1からの何れか1項に記載の洗車機。
【請求項6】
前記画像撮像部は、前記洗車機本体に設けられた請求項1からの何れか1項に記載の洗車機。
【請求項7】
基準物と車両とを含む画像を画像撮像部にて撮像する画像撮像工程と、
前記画像に基づいて、前記車両の車両情報を求める画像解析工程と、
前記車両情報に基づいて、前記車両を洗浄する洗車工程とを含み、
前記基準物は、前記車両が有する車両基準物を含み、
前記画像解析工程において、基準物情報としての前記画像における前記車両基準物の特定箇所の長さと、既知である前記車両基準物の特定箇所の実際の長さと、前記画像における前記車両の少なくとも一部の長さと、に基づいて、前記車両情報としての、前記車両の少なくとも一部の長さを求める洗車方法。
【請求項8】
記車両基準物は、前記車両のナンバープレートの文字、または数字の少なくとも一つを含み、
前記画像解析工程において、前記画像中の前記ナンバープレートの文字または数字を認識することにより、前記画像中の前記ナンバープレートの位置を特定する請求項7に記載の洗車方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の洗浄を行う洗車機、および洗車方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の洗浄に利用するブラシ等を、当該車両に直接当接させて、車両の外形および位置を割り出す方法を開示する。特許文献1には、割り出された車両の外形および位置に基づいて、車両の洗浄を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-77695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法では、ブラシ等を車両に押し付けた際に、当該ブラシ等に生じた力を測定することにより、車両の外形および位置を割り出している。ここで、上述したブラシ等に生じる力は、車両の形状、または車両の方向の差異によって異なる場合がある。このため、上記方法では、割り出した車両の外形および位置に誤差が生じ、適切な車両の洗浄を行うことが困難となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る洗車機は、基準物と車両とを含む画像を撮像する画像撮像部と、前記画像における前記基準物の長さまたは位置の少なくとも一方を含む基準物情報に基づいて、前記車両の少なくとも一部の長さまたは位置の、少なくとも一方を含む車両情報を求める画像解析部と、前記車両情報に基づいて、前記車両との相対移動により、前記車両を洗浄する洗車機本体とを備える。
【0006】
また、本開示の一態様に係る洗車方法は、基準物と車両とを含む画像を撮像する画像撮像工程と、前記画像における前記基準物の長さまたは位置の少なくとも一方を含む基準物情報に基づいて、前記車両の少なくとも一部の長さまたは位置の、少なくとも一方を含む車両情報を求める画像解析工程と、前記車両情報に基づいて、前記車両を洗浄する洗車工程とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車両の外形または位置をより精度よく割り出して、より適切な車両の洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る洗車機を示す概略側面図、および基準部の概略平面図である。
図2】実施形態に係る洗車機本体を示す概略正面図である。
図3】実施形態に係る洗車方法の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る洗車機本体によって洗浄される車両の一例を示す概略正面図である。
図5】実施形態に係る画像撮像部によって撮像される画像の一例を示す概略図である。
図6】実施形態に係る画像撮像部によって撮像される画像から、車両情報を求める方法を説明するための概略図である。
図7】実施形態に係るナンバープレートの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
<洗車機の概要>
図1は、本実施形態に係る洗車機2が備える、洗車機本体4とリモートパネル6との概略側面図、および、後述する基準部54の概略平面図である。本実施形態に係る洗車機2は、図1に示すように、被洗浄車両である車両Xの洗車を行う洗車機本体4を備える。洗車機2は、洗車機本体4による車両Xの洗車条件を取得するリモートパネル6を備えていてもよい。図1においては、車両Xがリモートパネル6よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示す。
【0010】
図2は、本実施形態に係る洗車機本体4の概略正面図である。図2に示すように、洗車機本体4は、例えば、2つのスタンド部8と、当該2つのスタンド部8の上端同士を連結する天井部10とを備える。洗車機本体4は、図1に示す、車両Xの進入方向DAに沿って、車両Xが、スタンド部8および天井部10によって囲まれた空間4Sを通過できる構造を有している。なお、本明細書において、進入方向DAは、洗車機本体4の正面から背面に向かう方向とする。
【0011】
洗車機本体4は、例えば、スタンド部8のそれぞれの下部に車輪12を有し、図示しない駆動部によって当該車輪12を回転駆動することにより、地面Gに配されたレールRに沿って、車両Xに対し前後方向に相対移動する。レールRは、例えば、進入方向DAに沿って形成されている。ここで、洗車機本体4は、車両Xに対する相対移動を行いつつ、空間4S中の車両Xに対する洗浄を実施する。
【0012】
洗車機本体4には、清掃部の1つとして、車両X上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。例えば、洗車機本体4が備える回転ブラシは、それぞれが回転モータ(不図示)によって回転するトップブラシ14、サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18を含む。トップブラシ14は、車両Xの上面に沿って移動し、車両Xの上面を洗浄する。サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18は、車両Xの両側面を洗浄する。特に、ロッカーブラシ18は、サイドブラシ16の下方に配され、車両Xの側面下部を洗浄する。
【0013】
洗車機本体4の側部には、洗剤またはワックス等を含む各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部20が配される。タンク収納部20の上方には、市水を含む水、または各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部22が設けられる。分配配管部22には、清掃部に含まれる、第1浄水ノズル24、第2浄水ノズル26、第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30、撥水コートノズル32、およびワックスノズル34がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0014】
第1浄水ノズル24、および第2浄水ノズル26は、洗車機本体4の手前側、および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対して市水を含む水を噴射する。第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30は、洗車機本体4の手前側および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対してシャンプー等を含む洗浄液を噴射する。撥水コートノズル32およびワックスノズル34は洗車機本体4の後面に配される。撥水コートノズル32は車両Xに対して撥水コート剤の液剤を噴射する。ワックスノズル34は車両Xに対してワックスを噴射する。
【0015】
また、洗車機本体4には、気流を発生して車両Xを乾燥させるブロワ36が設けられる。ブロワ36にはトップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40が接続される。トップ送風ノズル38は、洗車機本体4の中央上部に設けられ、車両Xの天井面に向けて送風する。サイド送風ノズル40は、洗車機本体4の両側部に設けられ、車両Xの側面に向けて送風する。洗車機本体4は、トップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40の送風によって、洗浄後の車両Xを乾燥させる。
【0016】
なお、図1においては、図示の簡単のために、上述した、洗車機本体4が備える、車両Xの洗浄のための各装置に関する図示を省略している場合がある。また、図1に示す、洗車機本体4が備える各装置は、単なる例示であり、洗車機本体4は、上述した装置の他、従来公知の構成を含む、車両Xの洗浄のための装置、および当該洗浄を補助する装置を、スタンド部8または天井部10に備えていてもよい。
【0017】
洗車機本体4の一方のスタンド部8の前面には操作パネル42が配される。操作パネル42は洗車条件を設定する操作ボタン(不図示)を備え、車両Xから降車したユーザ等の操作により洗車の受け付けまたは洗車条件の設定を行う。
【0018】
さらに、洗車機本体4は、図1および図2に示すように、左右一対の車体検知バー44を備えていてもよい。車体検知バー44は、例えば、洗車機本体4の上下方向に沿った向きに長尺方向となるように、洗車機本体4の各スタンド部8の前面に、アーム44Aを介してそれぞれ取り付けられていてもよい。
【0019】
アーム44Aは、スタンド部8の前面に対し、アーム44Aのスタンド部8の側の端部において、回動可能に取り付けられていてもよい。これに伴い、各車体検知バー44は、各アーム44Aの回動に伴って変位してもよい。洗車機本体4は、車体検知バー44を空間4Sに進入する車両Xと当接させ、車両Xの外形に沿って変位させることにより、車両Xの位置または形状の検知を行ってもよい。
【0020】
リモートパネル6は、例えば、洗車機本体4の前方側に位置し、おおよそ洗車機本体4の移動方向に沿って配置される。また、リモートパネル6は、図1に示すように、その正面が、洗車機本体4により洗浄される前、換言すれば、洗車機本体4の内部に進入する前の車両Xと対向するように配置される。このため、図1においては、リモートパネル6の背面を図示している。
【0021】
図1に示すように、リモートパネル6は、筐体46と、地面Gに立設された、筐体46を支持する支持柱48とを備える。リモートパネル6は、筐体46に設けられた、不図示のタッチパネルまたはボタン等の操作により、洗車機本体4による車両Xの洗車条件の少なくとも一部を取得してもよい。洗車機本体4は、リモートパネル6が取得した洗車条件の少なくとも一部に基づいて、車両Xを洗浄してもよい。
【0022】
<画像撮像部および画像解析部>
本実施形態に係る洗車機2は、さらに、画像撮像部50を備える。画像撮像部50は、車両Xと、後述する基準物とを含む画像を撮像する。画像撮像部50は、例えば、単眼のカメラであってもよい。画像撮像部50は、例えば、洗車機本体4に設けられていてもよく、特に、図1に示すように、洗車機本体4の天井部10の前面側に取り付けられていてもよい。この場合、画像撮像部50は、洗車機本体4の車両Xに対する相対移動に伴って移動しつつ、車両Xの撮像を行ってもよい。
【0023】
本実施形態に係る洗車機2は、さらに、画像解析部52を備える。画像解析部52は、画像撮像部50により撮像された画像の解析を行う。特に、画像解析部52は、当該画像における、基準物の長さまたは位置の少なくとも一方を含む基準物情報に基づいて、車両Xの少なくとも一部の長さまたは位置の、少なくとも一方を含む車両情報を求める。当該車両情報は、後に詳述するが、洗車機本体4による車両の洗浄に使用される。なお、画像解析部52は、図1および図2に示すように、洗車機本体4の天井部10に格納されていてもよいが、これに限られない。例えば、画像解析部52は、洗車機本体4の外部に位置していてもよい。画像解析部52は、洗車機本体4および画像撮像部50のそれぞれと、データのやり取りが可能であってもよく、図示しない通信部を介してデータのやり取りを行ってもよい。
【0024】
画像撮像部50による画像の撮像方法、および、画像解析部52による画像の解析方法については、後に詳述する。
【0025】
本実施形態に係る洗車機2は、さらに、洗車機本体が有する洗車機基準物として、基準部54を備える。図1の基準部54の平面図に示すように、基準部54は、例えば、プレート56と、当該プレート56上に形成されたマーカ58とを備える。マーカ58は、例えば、少なくとも1辺の寸法58Dが既知である矩形状のマーカである。本実施形態において、マーカ58が常に画像撮像部50により車両Xと共に撮像されるように、基準部54はマーカ58を画像撮像部50に向けた状態にて配置されていてもよい。
【0026】
本実施形態において、洗車機本体4が設置された洗車場内には、図1および図2に示す、進入ガイドALが形成されている。進入ガイドALは、洗車場内の地面G上に形成され、洗車機本体4により洗浄される車両Xが、どの位置に、および、どの方向に停車すればよいかを示すための基準として機能する。換言すれば、進入ガイドALは、車両Xの洗車機本体4に対する進入方向または進入位置の少なくとも一方の目安となる。進入ガイドALは、例えば、車両Xの理想的な停止位置に対し、右側に配される右側進入ガイドALRと、左側に配される左側進入ガイドALLとを含む。
【0027】
なお、本明細書における、洗車機本体4が設置された「洗車場」は、洗車機本体4が設置される地面Gのうち、当該洗車機本体4によって洗浄される車両Xの、洗車受付時、または、洗車時における車両Xの停止位置を含む。また、上述した「洗車場」は、地面Gのうち、洗車機本体4の可動範囲、および、画像撮像部50の撮像可能な範囲を含む。
【0028】
右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとは、例えば、進入方向DAと略同一方向を長尺方向に有する矩形状を有する。例えば、右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとは、右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとの間に車両Xが停止していれば、当該車両Xの洗浄が可能となる位置に配置される。右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとは、車両Xの車幅方向における理想的な停車位置が、右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとの間の中点に位置するように配置されていてもよい。
【0029】
なお、本実施形態において、進入ガイドALは、何れも、進入方向DAと略同一方向に延伸する矩形状を有するが、これに限られない。例えば、地面Gに、複数の道路鋲を、進入方向DAと略同一方向に沿って一列に配置することにより、当該複数の道路鋲を進入ガイドALとしてもよい。換言すれば、進入ガイドALは、進入方向DAに沿って、連続した形状を有していてもよく、あるいは、断続して形成されていてもよい。
【0030】
<洗車方法の概要>
洗車機2による車両Xの洗車方法について、図3を参照し説明する。図3は、洗車機2による洗車方法の一例を示すフローチャートである。
【0031】
本実施形態に係る洗車方法においては、はじめに、洗車機2が、車両Xのユーザ等からの洗車を受け付ける(ステップS2)。洗車の受付は、例えば、上記ユーザが、リモートパネル6または操作パネル42等を操作することにより、車両Xの洗車条件の設定、および洗車料金の支払い等を行うことにより実施してもよい。
【0032】
<車両の撮像>
本実施形態に係る洗車方法においては、次いで、画像撮像部50により、上述した基準物と車両Xとを含む画像を撮像する(ステップS4、画像撮像工程)。車両Xの撮像方法、および、後述する、当該撮像により得られた画像の解析方法について、図4および図6をさらに参照して説明する。図4は、車両Xの一例を示す正面概略図である。図6は、画像撮像部50により撮像された画像の一例を示す概略図である。
【0033】
本実施形態において、車両Xは、洗車機本体4による洗車が可能である限り、車種等は特に問われない。例えば、図4に示すように、車両Xは、後に詳述するナンバープレートNPが正面下部に設けられている。
【0034】
本実施形態において、画像撮像部50は、例えば、車両Xの上方から、略鉛直下向きに車両Xを撮像する。この場合、図5の第1画像G1に示すように、画像撮像部50により撮像された画像には、平面視における車両Xが含まれる。また、本実施形態において、画像撮像部50は、例えば、略鉛直下向きから、さらに洗車機本体4の前方側に向かって傾斜した向きに車両Xを撮像してもよい。この場合、図5の第2画像G2に示すように、画像撮像部50により撮像された画像には、車両Xの正面が含まれる。ここで、画像撮像部50は、基準物の1つとして、基準部54を車両Xと共に撮像する。
【0035】
画像撮像部50による車両Xの撮像は、例えば、洗車機本体4が車両Xに対して相対移動しながら行われてもよい。さらに、画像撮像部50は、複数回に分けて車両Xを撮像し、パノラマ画像を生成してもよい。このように、画像撮像部50が洗車機本体4に設けられていることにより、画像撮像部50は、一度に車両Xの全体を撮像することが困難である場合においても、車両Xの全体を撮像した画像を取得できる。
【0036】
本実施形態において、例えば、画像撮像部50による撮像は、洗車機本体4が車両Xに対し相対移動する間に行われ、画像撮像部50は、略鉛直下向きに、2回に分けて車両Xを撮像するとする。また、画像撮像部50により撮像された画像は、画像撮像部50により撮像された2枚の画像を、画像解析部52による解析に支障がない程度に滑らかに、パノラマ合成することにより生成される。
【0037】
ここで、基準部54は、画像撮像部50と共に移動し、常に画像撮像部50により撮像される。このため、図6に示すように、画像撮像部50により撮像された画像には、1回目の基準部54の撮像により生成された第1基準部54Aと、2回目の基準部54の撮像により生成された第2基準部54Bとが含まれる。
【0038】
また、画像撮像部50により撮像された画像は、図5および図6の各画像に示す、洗車機本体4が設置された洗車場内の設置基準物として、進入ガイドALを含む。画像撮像部50により撮像された画像の車両Xは、例えば、図5および図6に示すように、右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとの間に位置する。さらに、画像撮像部50により撮像された画像は、図5の第1画像G1および図6に示すように、基準物の一つとして、車体検知バー44またはアーム44Aの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0039】
画像撮像部50により撮像された画像には、車両XのナンバープレートNPが含まれていてもよい。この場合、画像撮像部50により撮像された画像は、後述するナンバープレートNPの枠、文字、または数字を含んでいてもよい。ここで、画像撮像部50により撮像された画像にナンバープレートNPの表側の全体が含められるように、画像撮像部50は、略鉛直下向きから、車両Xの前方から後方への方向に傾斜した方向に向かって車両Xを撮像してもよい。これにより、図5の第2画像G2に示すように、画像撮像部50により撮像された画像に、車両Xの正面を含め、ひいては、車両XのナンバープレートNPの表側の全体を含めてもよい。
【0040】
以下、本明細書においては、画像撮像部50により撮像された画像を、単に、「画像」と称する場合がある。
【0041】
<車両の外形の割り出し>
図3の説明に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、画像撮像部50による車両Xの撮像に次いで、画像解析部52による、画像の解析を実行することにより、車両Xに関する車両情報を求める(ステップS6、画像解析工程)。本実施形態において、画像解析部52は、画像の解析の一例として、当該画像が含む車両Xの外形に含まれる注視点を数点割り出し、基準物の位置または長さに対する、当該注視点の位置または注視点同士の距離を比較する。なお、本明細書において、「車両Xに関する車両情報」のことを、単に「車両情報」と称する場合がある。
【0042】
画像解析部52による画像の解析において、はじめに、画像解析部52は、例えば、図6に示す画像上の車両Xと地面Gとの境界を画像から割り出すことにより、当該画像における車両Xの外形を割り出す。これにより、画像解析部52は、車両情報として、車両Xの形状を割り出す。車両Xと地面Gとの境界は、例えば、画像中の色彩または明るさの差異等から割り出してもよく、あるいは、領域拡張法、グラフカット法等の従来公知の手法を含む、画像における前景と背景との分離手法を用いて割り出してもよい。
【0043】
<車幅の割り出し>
割り出した画像上の車両Xの外形に基づき、画像解析部52は、車両Xに関する種々の車両情報を求める。例えば、画像解析部52は、車両情報として、車両Xの幅を割り出す。一例として、画像解析部52は、画像における車両Xの外形のうち、車両Xの右側の数点を、右側注視点として設定する。例えば、画像解析部52は、図6に示すように、画像上の車両Xの外形の右側に、注視点PR1から注視点PR5までの5点を、右側注視点として設定する。
【0044】
画像上の右側注視点とする位置は、画像上の車両Xの外形の右側の何れかの位置であれば特に問われない。例えば、画像上の右側注視点とする位置は、注視点PR1のように、車両Xの先頭の近傍に位置していてもよく、注視点PR5のように、車両Xの最後尾の近傍に位置していてもよい。また、画像上の右側注視点とする位置は、注視点PR3のように、車両Xの外形のうち、画像上に置いて最も右側に位置する点に設定してもよい。
【0045】
また、画像解析部52は、画像のサイドミラーM上に位置する注視点PR3のように、画像上の車両Xの外形から、サイドミラーM等のパーツを特定し、当該パーツ上に右側注視点を設定してもよい。他にも、例えば、右側注視点は、サイドミラーMの他、リアミラー、バンパー、エアロパーツ、ルーフキャリア等を含む、車両Xの外形において、一部分のみが突出した領域となりやすいパーツ上に位置していてもよい。
【0046】
次いで、画像解析部52は、画像における車両Xの外形のうち、車両Xの左側の数点を、左側注視点として設定する。特に、画像解析部52は、例えば、ある1つの右側注視点を通り、かつ、進入方向DAと直交する直線が、車両Xの外形の左側において交わる点を、当該右側注視点に対応する左側注視点に設定する。例えば、画像解析部52は、図6に示すように、車両Xの外形の左側に、注視点PL1から注視点PL5までの5点を、左側注視点として設定する。
【0047】
次いで、画像解析部52は、各右側注視点と、各右側注視点と対応する各左側注視点との距離を算出し、当該距離を、右側注視点および左側注視点を通る位置における、車両Xの車幅とする。例えば、画像解析部52は、図6に示すように、注視点PR1と注視点PL1との距離を、注視点PR1と注視点PL1とを通る位置における車両Xの車幅W1とする。また、画像解析部52は、同一の手法を、注視点PR2から注視点PR5、および注視点PL2から注視点PL5のそれぞれに対しても適用し、車幅W2から車幅W5を算出する。
【0048】
ここで、画像解析部52は、車両Xの画像上の車幅を、画像上の基準物の長さ、および、基準物の実際の長さと比較することにより、車両Xの実際の車幅を割り出す。例えば、画像解析部52は、車幅W1から車幅W5のそれぞれの、画像上の長さが、当該画像が含む第1基準部54Aまたは第2基準部54Bの、マーカ58の寸法58Dの何倍に当たるかを割り出す。これにより、当該倍率を、実際の寸法58Dの長さにかけることにより、車幅W1から車幅W5のそれぞれの実際の長さを割り出せる。
【0049】
なお、各車幅の割り出しには、第1基準部54Aおよび第2基準部54Bのうち、当該車幅に対応する注視点がより近い方を基準物として割り出しを行ってもよい。これにより、画像上の車幅の補正をより適切に行うことができ、車幅をより精度よく割り出すことができる。
【0050】
なお、車両の各注視点と、第1基準部54Aまたは第2基準部54Bとは、撮像された時点における、画像撮像部50との実際の距離が異なっている。このため、当該距離の差異に基づき、画像解析部52は、車幅W1から車幅W5のそれぞれに対し、補正を行ってもよい。ここで、洗車機本体4が基準部54を備えることにより、洗車機本体4の位置によらず、洗車機本体4と基準部54との相対位置が一意に定まる。このため、上記構成により、車両情報、および車両情報の補正に必要な情報の精度が向上する。
【0051】
また、車幅W1から車幅W5のそれぞれの実際の長さは、各注視点と、進入ガイドALとの間の距離に基づいて割り出してもよい。例えば、画像解析部52は、注視点PR1から注視点PR5のそれぞれと、右側進入ガイドALRとの間の、進入方向DAと直交する方向における距離として、距離DR1から距離DR5のそれぞれを算出する。また、画像解析部52は、注視点PL1から注視点PL5のそれぞれと、右側進入ガイドALLとの間の、進入方向DAと直交する方向における距離として、距離DL1から距離DL5のそれぞれを割り出す。
【0052】
これにより、画像解析部52は、進入方向DAと直交する方向における、右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとの距離から、距離DR1と距離DL1との合計を引くことにより、車幅W1を割り出す。同一の手法により、画像解析部52は、進入方向DAと直交する方向における、右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとの距離、距離DR2から距離DR5、および、距離DL2から距離DL5に基づき、車幅W2から車幅W5を割り出す。
【0053】
進入ガイドALのように、洗車場内に設置された設置基準物の位置は、車両Xおよび洗車機本体4の位置によらない。したがって、上述の設置基準物を用いて車両情報を割り出すことにより、車両情報の精度が向上する。また、進入ガイドALは、上述の通り、洗車場内の地面Gに形成されているため、地面Gに対し固定されている。このように、地面Gに固定された設置基準物を用いて車両情報を割り出すことにより、車両情報の精度がさらに向上する。
【0054】
進入ガイドALは、車両Xが洗車機本体4に進入する際の目安、換言すれば、車両Xの停車位置の目安としても利用される。このため、進入ガイドALを用いて車両情報を割り出すことにより、車両情報の割り出しに有利な位置に、車両Xが停車する蓋然性が向上し、結果として、車両情報の精度の向上につながる。また、進入ガイドALの延伸方向、および、右側進入ガイドALRと左側進入ガイドALLとの間の中点の位置は、それぞれ、車両Xの理想的な進入方向、および、理想的な停車位置となる。このため、各進入ガイドALと車両Xの外形との差分を取ることにより、車両情報、または車両情報の補正に必要な情報を、より簡便に、または、より精度よく割り出せる。
【0055】
<進入方向、中心位置、および停車位置の割り出し>
本実施形態において、画像解析部52は、車両情報として、車両Xの車幅方向における中心位置を、画像から割り出す。一例として、例えば、画像解析部52は、図6に示すように、上述した手法により特定した、注視点PR1から注視点PR5のそれぞれと、注視点PL1から注視点PL5のそれぞれとの中点である、中点PC1から中点PC5をそれぞれ割り出す。ここで、中点PC1から中点PC5を通る直線を中心線CLとし、実際の洗車場において中心線CLが配置される位置を、車両Xの車幅方向の中心位置とする。
【0056】
なお、車両Xの外形、あるいは、注視点の位置ズレ等により、中点PC1から中点PC5の全てを通る直線が存在しない場合がある。この場合、画像解析部52は、中点PC1から中点PC5について、最小二乗法による直線近似を適用して、中心線CLを割り出してもよい。また、画像解析部52は、中点PC1から中点PC5のうち少なくとも2点を通る直線を中心線CLとしてもよい。
【0057】
本実施形態において、画像解析部52は、車両情報として、車両Xの車長を、画像から割り出す。一例として、例えば、画像解析部52は、図6に示すように、上述した手法により特定した中心線CLが、車両Xの外形と、車両Xの前方側において交わる位置を注視点PA、車両Xの後方側において交わる位置を注視点PBとする。画像解析部52は、図6に示すように、注視点PAと注視点PBとの距離を、車両Xの車長Lとする。画像解析部52は、画像上の車長Lと、画像上の第1基準部54Aまたは第2基準部54Bの、マーカ58の寸法58Dとから、実際の車長Lを割り出してもよい。
【0058】
本実施形態において、画像解析部52は、中心線CLの延伸方向を、車両Xの、洗車機本体4に対する進入方向とすることにより、車両Xの洗車機本体に対する進入方向を、車両情報として割り出す。ここで、中心線CLの延伸方向から割り出された車両Xの進入方向と、実際の進入方向DAとの間に差異がある場合、上述した手法により割り出された車幅W1から車幅W5は、実際の車両Xの車幅との間に誤差が生じている場合がある。このため、画像解析部52は、中心線CLの延伸方向と進入方向DAとの間に差異がある場合、当該差異に基づいて、車幅W1から車幅W5を補正してもよい。
【0059】
本実施形態において、画像解析部52は、画像上の車両Xの外形と基準物との距離から、車両情報として、車両Xの洗車場における停止位置を割り出す。例えば、各注視点と各進入ガイドとの距離を表す、距離DR1から距離DR5、および、距離DL1から距離DL5から、画像上の各注視点の、実際の洗車場における位置を割り出してもよい。また、本実施形態において、画像解析部52は、車両Xの中心位置と、車両Xの車幅とから、車両Xの側面の、洗車場における位置を割り出してもよい。
【0060】
上述の通り、本実施形態においては、画像解析部52は、画像上の進入ガイドALと基準部54とに基づいて、車両Xに関する車両情報を割り出す方法を例に挙げて説明した。しかしながら、これに限られず、画像解析部52は、画像上の車体検知バー44に基づいて、車両Xに関する車両情報を割り出してもよい。例えば、画像解析部52は、画像上における、一対の車体検知バー44の間の距離、または、画像上の車体検知バー44と車両Xの外形との距離に基づいて、車両Xに関する車両情報を割り出してもよい。
【0061】
<ナンバープレート>
上述した図5の第2画像G2に示すように、画像撮像部50は、車両Xの正面を含む画像を取得してもよく、あるいは、車両Xの背面を含む画像を取得してもよい。この場合、画像解析部52は、上述した車両情報を、車両Xが有する車両基準物である、ナンバープレートNPに基づいて割り出してもよい。本実施形態に係るナンバープレートNPの詳細について、図7を参照して説明する。図7は、ナンバープレートNPの正面概略図の一例である。
【0062】
一般に、ナンバープレートは、車両の種別、用途等によらず、車両の正面および背面の、車両外部から視認しやすい位置に固設することが、法規により定められている。また、一般に、ナンバープレートに記載される文字および数字を含む情報については、車両外部からの視認を妨げないように維持することが、法規により定められている。したがって、車両Xの正面または背面を画像撮像部50により撮像することができれば、画像には、ナンバープレートNPおよび当該ナンバープレートNPに記載された文字または数字が含まれる蓋然性が高い。
【0063】
ナンバープレートに記載される情報は、法規により定められている。本実施形態においては、例えば、図7に示すように、陸運支局コードN1と、分類番号N2と、用途コードN3と、一連指定番号N4とが、ナンバープレートNPの枠F中に記載されている。例えば、陸運支局コードN1には漢字または平仮名、分類番号N2には数字、用途コードN3には平仮名またはアルファベット、一連指定番号N4には記号および数字が用いられる。ナンバープレートNPは、開口に挿入されたボルトBを介して、車両Xの正面下部に固設される。
【0064】
ここで、本実施形態において、画像解析部52は、例えば、画像上における文字または数字を、ナンバープレートNPの文字または数字として認識する。これにより、画像解析部52は、ナンバープレートNPの枠Fの画像上の位置を含む、ナンバープレートNPの画像上の位置を特定する。上記構成により、ナンバープレートNPの枠Fの周囲に装飾が施されている等、画像上のナンバープレートNPの枠Fの位置が特定しにくい場合においても、上記手法により、画像解析部52は、ナンバープレートNPの画像上の位置を特定することが容易となる。
【0065】
次いで、画像解析部52は、例えば、画像上に、一連指定番号N4が含む数字の一つを囲む矩形状の番号枠NFを設定する。一般に、ナンバープレートに記載される数字のフォントおよび寸法は、法規により定められている。したがって、番号枠NFの何れか一辺の寸法は一意に定まる。
【0066】
このため、画像のナンバープレートNP上の番号枠NFの何れか一辺の寸法は、本実施形態において、基準物の長さの一つとして扱うことができる。例えば、画像解析部52は、車幅W1から車幅W5のそれぞれの、画像上の長さが、当該画像が含む番号枠NFの寸法58Dの何倍に当たるかを割り出すことにより、実際の車幅W1から車幅W5のそれぞれを割り出してもよい。
【0067】
上述の通り、本実施形態に係る画像解析部52は、ナンバープレートNPを含む、画像中の車両Xが有する車両基準物を用いて、車両情報を割り出すことが可能である。この場合、車両情報を割り出しための基準物を、撮像する対象である車両X自体が有しているため、画像解析部52は、車両情報の割り出しに別途用意された基準物を必要としない。したがって、上記構成により、洗車機2、および当該洗車機2の洗車機本体4が設けられる洗車場内に、別途基準物を設ける負担が低減する。
【0068】
なお、一般に、ナンバープレートに記載される文字または数字の配置位置または大きさ等は、車両Xの種別または用途等により異なる。このため、画像解析部52は、ナンバープレートNP上の文字または数字の配置位置または大きさを認識し、当該ナンバープレートNPが、どの種別の車両Xに用いられるナンバープレートなのかを判定してもよい。これにより、画像解析部52によるナンバープレートNPを利用した車両情報の割り出しの精度がより向上する。
【0069】
また、一般に、ナンバープレートは、当該ナンバープレートの正面の法線方向が、車両の進行方向を向くように設置することが、法規により定められている。特に、ナンバープレートの正面の法線方向と車両の進行方向との差異は、法規により制限されている。このため、画像上のナンバープレートNPの正面の法線方向は、車両Xの、洗車機本体4への進入方向と略一致している蓋然性が高い。
【0070】
このため、画像解析部52は、ナンバープレートNPの正面の法線方向を割り出すことにより、車両Xの、洗車機本体4への進入方向を割り出してもよい。画像解析部52は、例えば、画像上の番号枠NPの縦横比を、実際のナンバープレートNPの一連指定番号N4が含む数字の縦横比と比較することにより、ナンバープレートNPの正面の法線方向を割り出してもよい。
【0071】
なお、車両Xの撮像を、略鉛直下向きから傾斜した向きに行った場合、図5の第2画像G2に示すように、主に、画像の上下方向が短くなるように、画像中の車両X、および基準物の形状が歪む。このため、画像解析部52は、画像撮像部50による車両Xの撮像方向によって生じる、画像中の画像中の車両X、および基準物の形状の歪みを補正してもよい。例えば、画像解析部52は、ナンバープレートNPの番号枠NFの縦横比、または、基準部54の縦横比を、画像上と実際とにおいて比較することにより、画像の歪みの補正値を算出してもよい。
【0072】
<洗車>
図3の説明に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、車両情報の割り出しに次いで、車両Xを洗浄する(ステップS8、洗車工程)。車両Xの洗浄は、例えば、図1または図2に示す洗車機本体4を車両Xに対し相対移動させつつ、洗浄部を動作させることにより実行する。ここで、上記車両Xの洗浄の間、洗車機本体4は、画像解析部52により得られた車両情報に基づき、洗車機本体4が備えるブラシまたはノズルの少なくとも一つの、車両Xに対する位置を制御する。このため、洗車機本体4は、ブラシまたはノズル等を含む清掃部の車両Xに対する位置を、より適切な位置としつつ、車両Xの洗浄を実行できる。また、洗車機本体4は、ステップS8において、車両情報に基づいてブロアを操作することにより、車両Xの乾燥を実行してもよい。
【0073】
なお、車両情報は、上述した、車両Xの車幅、停車位置、進入角度、または形状の少なくとも一つを含んでいてもよい。当該構成により、洗車機本体4は、車両Xに対する清掃部の位置を、さらに適切な位置としつつ、車両Xの洗浄を実行できる。
【0074】
また、車両情報は、上述した、車両Xの車幅方向における中心位置を含んでいてもよい。当該構成により、画像解析部52は、車両Xの停車位置および進入方向をより簡便に割り出すことが可能となり、加えて、車両Xの形状を、車両Xの車幅の情報から簡便に割り出すことが可能となる。したがって、上記構成により、洗車機2は、画像解析部52による画像の解析をより簡便としつつ、洗車機本体4による車両Xの洗浄がより適切に実行される構成を実現する。
【0075】
<まとめ>
洗車機2は、洗車機本体4による車両Xの洗浄に先立って、車両Xに関する車両情報を割り出し、当該車両情報に基づいて、洗車機本体4による車両Xの洗浄を実行する。ここで、当該車両情報は、車両Xと基準物とを含めて撮像した画像の解析により割り出される。このため、車両Xに清掃部を当接させる等の手法により、車両Xの外形および位置を割り出す場合と比較して、より精度よく車両情報を割り出すことができ、洗車機本体4による車両Xの洗浄がより効率的に実行できる。
【0076】
また、画像解析部52が車両情報の割り出しに用いる画像には、車両Xに加え、基準物が含まれる。このため、画像解析部52は、車両情報の割り出しの際に、基準物の位置または長さを利用することができ、車両情報の精度を向上させる。特に、画像解析部52は、画像中の基準物の位置または長さと、画像上の車両Xの車幅または停車位置等から、実際の車両Xの車幅または停車位置等を、簡便に割り出すことができる。
【0077】
<補記>
本実施形態において、洗車場内に設置された設置基準物として、進入ガイドALを挙げたが、設置基準物はこれに限られない。例えば、設置基準物は、洗車機本体4の前方の地面G等、洗車場内の地面Gに配置されたマット等を含んでいてもよい。当該構成により、設置基準物をより簡素に構成することができる。
【0078】
本実施形態において、画像撮像部50は、洗車機本体4に設けられ、洗車機本体4と共に、車両Xに対し相対移動可能に構成されているが、これに限られない。例えば、画像撮像部50は、洗車機本体4とは独立して車両Xに対し相対移動するフレームに形成されていてもよい。この場合、洗車機本体4を車両Xに対し相対移動させる前に、上記フレームのみを相対移動させて、画像撮像部50による車両Xの撮像を行うことが可能である。
【0079】
画像撮像部50のみが独立して設けられたフレームは、清掃部等を含む洗車機本体4と比較して、より高速に、または、より低電力にて移動させることが可能である。したがって、フレームのみを相対移動させて車両Xの撮像を行うことにより、洗車機本体4を車両Xに対し相対移動させつつ車両Xの撮像を行う場合と比較して、撮像にかかる時間およびコストを低減することが可能である。
【0080】
また、画像撮像部50は、洗車場内の地面Gに形成されていてもよい。この場合、車両Xの位置、および、洗車機本体4の位置によらず、画像撮像部50の位置が変動しにくい。このため、画像撮像部50により撮像された画像の補正または解析がより簡便となり、車両情報の精度が向上する。
【0081】
本実施形態において、画像撮像部50は、単一の画像撮像部からなる。上記構成により、画像撮像部50を安価に構成できる他、画像解析部52が、複数の画像撮像部によって撮像された複数の画像を合成する等の処理を行う必要がなくなり、車両情報の精度が向上する。
【0082】
一方、本実施形態において、画像撮像部50は、複数の画像撮像部を含んでいてもよい。この場合、ある画像撮像部が撮像する画像は、車両Xの、他の画像撮像部に対し死角となる位置を撮像してもよい。上記構成により、画像撮像部50は、車両Xの撮像できない部分を低減することができ、車両情報の精度が向上する。
【0083】
本実施形態において、画像撮像部50による車両Xの撮像は、車両Xの洗車の受付の後に実施されているが、これに限られない。例えば、車両Xの撮像は、車両Xの洗車の受付の前に、例えば、洗車場に進入する車両Xを撮像することにより実施してもよい。また、画像撮像部50は、停止している車両Xを撮像してもよく、あるいは、移動する車両Xを撮像してもよい。上記構成により、画像撮像部50による車両Xの撮像を実施するタイミングの自由度が向上するため、画像撮像部50がより適切な画像を撮像できる。
【0084】
本実施形態において、画像撮像部50は、洗車機本体4の前面側に設けられている。このため、本実施形態に係る洗車機2は、洗車機本体4を車両Xに対し相対移動させて画像撮像部50による車両Xの撮像を実施しつつ、洗車機本体4による車両Xの洗浄を実施してもよい。この場合、画像撮像部50による車両Xの撮像から、車両Xの撮像された部分の洗浄までの間に、画像解析部52による画像の解析および車両情報の取得を行ってもよい。上記構成により、画像の撮像と、洗車機本体4による車両Xの洗浄とを、洗車機本体4の一度の移動により行うことができるため、洗車機2による車両Xの洗浄をより簡素に実現できる。
【0085】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
2 洗車機
4 洗車機本体
50 画像撮像部
52 画像解析部
54 基準部
AL 進入ガイド
NP ナンバープレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7