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▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】機器のスタンド
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20240416BHJP
【FI】
G03B17/56 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021139592
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023033728
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2022-07-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年9月7日、出願人「カシオ計算機株式会社」のホームページに掲載して公開(掲載アドレス https://dz-image.casio.jp/ob_gyn/pr/)。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年4月22日、同年4月23日、「第73回 日本産科婦人科学会学術講演会」(朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟県新潟市中央区万代島6番1号))にて公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年4月22日、同年4月23日、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟県新潟市中央区万代島6番1号)におけるリーフレット配布により公開。
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】向井 淳二
(72)【発明者】
【氏名】石橋 純平
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-178993(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103939714(CN,A)
【文献】中国実用新案第212960664(CN,U)
【文献】中国実用新案第207049550(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支点を有する支持部と、
前記第1支点を中心として前記支持部に回転可能に連結され、一端部に第2支点を有する第1アームと、
第1端部と、機器側の第2端部とを有し、前記第1端部が前記第2支点を中心として前記第1アームに回転可能に連結された第2アームと、を備え、
前記第1アーム及び前記第2アームの収容位置として、前記第2支点は前記第1支点よりも鉛直方向における下方に位置し、かつ、前記第2アームは、前記第1アームの鉛直方向における上方に位置し、鉛直方向に対して前記第1アーム側に傾斜しており、前記第2アームに作用する重力が、前記第2アームを前記第1アーム側に回転させるように前記第2アームに作用し、
前記第1アームの他端部には、前記第1支点を中心とする前記第1アームのモーメントに応じた重さを有するカウンタウェイトが設けられ、
前記支持部は、前記第1支点が設けられた枠状部を有し、
前記第1アーム及び前記第2アームが前記収容位置にあるとき、前記第1アームの前記カウンタウェイトが前記枠状部の内部を貫通した状態であることで前記第1アームは前記第1支点に回転可能に支持されている、
機器のスタンド。
【請求項2】
前記収容位置として、前記第1アーム及び前記第2アームは互いに略平行となるように位置している、
請求項1に記載の機器のスタンド。
【請求項3】
前記収容位置は、前記第1アーム及び前記第2アームが回転可能な同一平面上において略平行となる位置である、
請求項に記載の機器のスタンド。
【請求項4】
前記第1アーム及び前記第2アームが収容位置に位置している場合に、前記第1アームと前記支持部とを互いに係止する第1係止装置と、前記第2アームと前記第1アームとを互いに係止する第2係止装置との少なくとも一方をさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の機器のスタンド。
【請求項5】
前記第1係止装置は、第1磁性体を含み、前記第1磁性体の磁力によって前記第1アームと前記支持部とを互いに係止する、
請求項に記載の機器のスタンド。
【請求項6】
前記第2係止装置は、
前記第1アームに設けられた係合部と、
前記第2アームに設けられ、前記係合部と係合可能な被係合部と、を有する、
請求項又はに記載の機器のスタンド。
【請求項7】
前記第2係止装置は、第2磁性体を含み、前記第2磁性体の磁力によって前記第2アームと前記第1アームとを互いに係止する、
請求項又はに記載の機器のスタンド。
【請求項8】
前記第1アーム及び前記第2アームは、鉛直方向に延びる略同一平面上に互いに位置し、
前記第1アーム及び前記第2アームは、前記収容位置に位置している場合に、鉛直方向に対して斜めに互いに略平行に延びている、
請求項1~のいずれか1項に記載の機器のスタンド。
【請求項9】
前記第1アームは、アーム本体と補助アームとからなり、
前記第2アームは、他端部で補助アームの一端部に回転可能に支持されており、
前記補助アームを、前記第2アームと前記アーム本体との間に介在させて、前記第1アームと前記第2アームとの間に距離を設けることで、前記第1アームと前記第2アームとを互いに略平行に配置する、
請求項1~のいずれか1項に記載の機器のスタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器のスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、機器としてのカメラを支持するスタンドとして、特許文献1に開示されたスタンドが知られている。この特許文献1に開示のスタンドでは、建物の床面を撮影するために、レンズの光軸を床面に対して垂直にした状態でカメラが保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-37519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のスタンドはカメラで建物の床面を撮影することを想定しているため、取り付けられたカメラの位置や向きを変更するのは容易ではない。一方、複数のアームを回転可能に連結したアームにカメラを取り付けることで、カメラの位置や向きの変更を容易にすることも考えられる。しかしながら、撮影後にカメラが取り付けられたアームを安定した状態で収容することが難しかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、回転可能に連結された複数のアームを安定した状態で収容することができる機器のスタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の機器のスタンドは、第1支点を有する支持部と、前記第1支点を中心として前記支持部に回転可能に連結され、一端部に第2支点を有する第1アームと、第1端部と、機器側の第2端部とを有し、前記第1端部が前記第2支点を中心として前記第1アームに回転可能に連結された第2アームと、を備え、前記第1アーム及び前記第2アームの収容位置として、前記第2支点は前記第1支点よりも鉛直方向における下方に位置し、かつ、前記第2アームは、前記第1アームの鉛直方向における上方に位置し、鉛直方向に対して前記第1アーム側に傾斜しており、前記第2アームに作用する重力が、前記第2アームを前記第1アーム側に回転させるように前記第2アームに作用し、前記第1アームの他端部には、前記第1支点を中心とする前記第1アームのモーメントに応じた重さを有するカウンタウェイトが設けられ、前記支持部は、前記第1支点が設けられた枠状部を有し、前記第1アーム及び前記第2アームが前記収容位置にあるとき、前記第1アームの前記カウンタウェイトが前記枠状部の内部を貫通した状態であることで前記第1アームは前記第1支点に回転可能に支持されている
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転可能に連結された複数のアームを安定した状態で収容することができる機器のスタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るカメラスタンドに、カメラを取り付けて撮影している様子を示した概要図。
図2図1中の矢印IIからみたカメラスタンドの概要図。
図3図1に示すカメラを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中の矢印bからみた背面図。
図4図1に示すカメラスタンドの先端部に着目した図であり、図1中のIV部の拡大図。
図5図1に示すカメラスタンドの先端部に着目した図であり、図1中の矢印Vからみた図。
図6図4中の切断線VI-VIにおけるカメラスタンドの断面図。
図7図1に示すカメラスタンドを収容している過程を示した概要図。
図8図1に示すカメラスタンドを収容した状態を示した概要図。
図9図1に示すカメラスタンドに適用可能なロック機構の概要図で、(a)はリリース状態にあるときの図、(b)はロック状態にあるときの図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る機器のスタンドについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、図1に示すように、機器としてのカメラ1を支持するカメラ1のスタンド(以下、カメラスタンド100と記載する)について説明する。
【0010】
カメラスタンド100は、図1に示すように、建物の床50に載置される支持部110と、支持部110に回転可能に取り付けられた第1アーム120と、第1アーム120の一端部に回転可能に取り付けられた第2アーム130と、第2アーム130の一端部に回転可能に取り付けられた取付台140とを有している。なおカメラ1は、図1に示すように、取付台140に取り付けられ、これにより撮影時のブレを抑制しながら撮影を行うことができる。カメラ1は、例えば、被写体を撮影するデジタルカメラである。なお、カメラスタンド100を説明するに当たり、図1に示すように水平にされた第1アーム120が延びる方向を+X軸方向、鉛直方向をZ軸方向、Z軸方向のうちの上方側を+Z軸方向とし、X軸方向及びZ軸方向に直交するY軸方向を規定した右手座標系を適宜参照する。
【0011】
支持部110は、中心から等角度の間隔で放射状に延びた5本の張出部112と5本の張出部112のそれぞれに取り付けられたキャスタ113とを含む基部111と、基部111の中心から+Z軸方向に立ち上がった立設部114を有している。
【0012】
キャスタ113は、5本の張出部112の先端にそれぞれ設けられており、互いに間隔をあけて配置されている。これにより、5つのキャスタ113でカメラスタンド100を安定して床50上を移動させることができる。キャスタ113の少なくとも一部には、車輪の動きを停止させるストッパが設けられている。
【0013】
立設部114は、図2に示すように、基部111の中心から立ち上がった支柱部115と、支柱部115の上端に接続された枠状部116とを有している。
【0014】
枠状部116は、金属製のパイプにより矩形状に形成された枠体を有しており、枠体のそれぞれの角部は曲線状に形成されている。枠状部116は、Z軸方向に延びY軸方向に平行に配列された対の長辺部116a、116aと、Y軸方向に延びZ軸方向に平行に配列された対の短辺部116b、116bとを有している。また、対の長辺部116a、116aのそれぞれには、内縁から内側に向かって水平に延びる2つの突出部116cが、同じ高さ位置に形成されている。この2つの突出部116cには、第1アーム120の中間部を回転可能に支持する第1支点151(図1)が設けられている。また、対の短辺部116b、116bのうち、-Z軸方向側に設けられた短辺部116bの中央部分には、支柱部115の上端が接続されている。これにより、枠状部116は、鉛直方向に立設した支柱部115の上方で支持されている。また、上方側の短辺部116bと、対の長辺部116a、116aの突出部116cよりも上方の部分には、グリップ117が巻かれている。グリップ117は、例えばゴム製で、カメラスタンドを操作する際に握りやすいように表面に複数の溝を有している。
【0015】
第1アーム120は、支持部110によって第1支点151を中心に回転可能に支持されたアーム本体121と、アーム本体121の一端部に第4支点152を中心に他端部が回転可能に支持された補助アーム123と、アーム本体121の他端部に設けられたカウンタウェイト122とを有している。
【0016】
アーム本体121は、枠状部116の内部を貫通した状態で配置されている。アーム本体121は、その長手方向の真ん中よりもカウンタウェイト122が設けられた他端部に寄った位置で、突出部116c(図2)に設けられた第1支点151によって回転可能に支持されている。これにより、アーム本体121は、矢印R1で示す方向に、すなわち第1支点151からY軸方向に延びる仮想軸線を中心とした周方向に、回転可能である。アーム本体121は、図1に示すようにアーム本体121が水平に延びた状態から、図中時計回りには、磁石体181と磁石体受け182とが当接する後述する収容位置まで回転可能であり、図中反時計回りには、第1所定角度(例えば28°)だけ回転可能であり、それ以上の反時計周りの回転は、図示しない回転制限機構により制限されている。回転制限機構は、例えば、アーム本体121が挿入されるスリットを有し、このスリットが回転するアーム本体121に当接することでアーム本体121の回転を制限する。
【0017】
カウンタウェイト122は、例えばステンレス製の複数の円板が重ね合わされて形成されている。カウンタウェイト122は、第1支点151よりも-X軸方向側に配置されている。カウンタウェイト122は、第1支点151よりも+X軸方向側に配置されたカメラ1や第2アーム130等の重量、及び自重によって第1アーム120に作用するモーメントに応じた重量を有している。
【0018】
補助アーム123は、後述するように収容位置にある第1アーム120と第2アーム130との間に間隔をあけ、両者120、130を互いに略平行に配置するように、機能する。このように、補助アーム123は、第1アーム120に含まれる補助的な部材である。
【0019】
第2アーム130は、他端部(第1端部)で補助アーム123の一端部に回転可能に支持されている。第2アーム130は、第1アーム120より短い。第2アーム130は第2支点153により、矢印R2で示す方向に、すなわち第2支点153からY軸方向に延びる仮想軸線を中心とした周方向に、回転可能に支持されている。第2アーム130は、図1に示すように上方に延びた状態から、図中時計回りに第2所定角度(例えば25°)、図中反時計回りに第3所定角度(例えば25°)だけ回転可能であり、それ以上の回転は図示しない回転制限機構により制限されている。
【0020】
このように第1アーム120と第2アーム130とは、鉛直方向に延びる図1中のXZ平面上に配置されている。また、第1アーム120と第2アーム130は、XZ平面に直交するY軸方向に延びる仮想軸線を中心にそれぞれ回転することから、回転後においても略同一な面である図1中のXZ平面上に互いに位置することになる。
【0021】
取付台140は、第2アーム130の一端部(第2端部)に第3支点154を中心に回転可能に取り付けられており、図1に矢印R3で示す方向に、すなわち第3支点154からY軸方向に延びる仮想軸線を中心とした周方向に回転可能である。取付台140は、図5に示すように、第3支点154に回転可能に取り付けられた連結部141と、連結部141にねじ止めされたボールジョイント142と、ボールジョイント142に取り付けられた取付部160とを有している。
【0022】
連結部141は、第2アーム130の端部に形成された2本のスリット130aに挿入された挿入部141aを有しており、この挿入部141aが第2アーム130と回転可能に連結されている。2本のスリット130aは、第2アーム130の端部の形状に沿って円弧状に形成されている。取付台140が第3支点154を中心に回転すると、やがて連結部141がスリット130aの縁部にあたり、それ以上の取付台140の回転が制限される。このように第2アーム130に形成されたスリット130aは、取付台140の第3支点154を中心とした回転量を制限する。
【0023】
ボールジョイント142は、図6に示すように、ボール受台144と、ボール受台144に嵌められたボール部145とを有している。
【0024】
ボール受台144には、上方が開放された窪み144aが形成されている。窪み144aは、球状のボール部本体145aが嵌まる形状を有している。ボール受台144には、窪み144aの内壁が反り返った反り返り部144cが形成されており、この反り返り部144cがボール部本体145aと上方から接触することで、ボール部本体145aが窪み144aから抜け出るのを防止する。窪み144aの大きさは、ボールジョイント142の側面に設けられた図4に示すつまみネジ148を締めたり緩めたりすることで変化する。これにより、ボール部145を、窪み144a内で固定した状態としたり、窪み144a内で動作可能在な状態としたりすることができる。また、ボール受台144の下面には、下方に突出したおねじ部144bが形成されている。おねじ部144bは、図4,5に示す連結部141のねじ孔(不図示)にねじ込まれている。このようにして、ボールジョイント142は、第2アーム130に接続されている。
【0025】
ボール部145は、図6に示すように、球状のボール部本体145aと、ボール部本体145aから突出した支柱部145bとを有している。支柱部145bは、取付部160の下面に固定されている。そのため、ボール部145が窪み144a内で動くと、取付部160は支柱部145bの動きに従って動く。例えば図6に示すように、上方に沿って延びた状態にある支柱部145bは、ボール部145が動作することで、上方に延びた姿勢からすべての方向に傾けることができるとともに、支柱部145bが延びる方向を軸にして360°回転することができる。
【0026】
取付部160は、図4に示すように、ボールジョイント142に連結されたベース部161と、ベース部161に回転可能に取り付けられた回転部162とを有している。なお、カメラ1は、回転部162が図4に示すようにベース部161に対して回転していない第1回転状態(以下、非回転状態と記載する)にあるときに、取付部160に取り付けられる。その際、カメラ1は、自身の右方向が右グリップ168の配置された方向と一致するように、自身の左方向が左グリップ167の配置された方向と一致するようにして取り付けられる。カメラ1は、図3(a)、(b)に示すように、撮影対象からの反射光をカメラ1内に入射させるカバープレート7が設けられている方向を前方、その反対方向をカメラ1の後方とし、シャッタボタン4が上方を向くように配置したカメラ1を後方から見たときの上下左右方向をそのままカメラ1の上下左右方向とする。取付部160の詳細を説明するにあたっては、取付部160に取り付ける際のカメラ1の前後方向、上下方向、及び左右方向を適宜用いるものとする。
【0027】
ベース部161は、図4に示すように、左側に配置された直方体状の左ブロック163と、右側に配置された直方体状の右ブロック165と、左ブロック163と右ブロック165に挟まれ両者163,165と一体に形成された図6に示す回転支持部164とを有している。
【0028】
回転支持部164は、左ブロック163及び右ブロック165と比べて高さが低い。図6に示すように、この低くなった回転支持部164に、回転部162が回転部品としての蝶番173を介して取り付けられており、それにより、回転部162は、ベース部161に回転可能に支持されている。回転部162が非回転状態にあるとき、図4に示すように、左ブロック163、回転部162、及び右ブロック165の上面は面一となり、この面一となったそれぞれの面はカメラ1を設置するための設置面として機能する。
【0029】
また、図4に示すように、ベース部161の左側面には左グリップ167が設けられ、ベース部161の右側面には右グリップ168が設けられている。左グリップ167は、ベース部161の左側面から左方に突出するとともに屈曲部169aで折り曲げられて斜め下方に延びた延出部169と、延出部169の端部に設けられたグリップ部170とを有している。延出部169は金属製であり、例えばステンレス製の棒材から形成されている。グリップ部170は、例えばゴム製で、握りやすいように複数の溝170aが形成されている。なお右グリップ168は、左グリップ167と左右対称の構成を有しており、延出部169と同様の延出部171と、グリップ部170と同様のグリップ部172とを有している。グリップ部170及びグリップ部172は、下方に向けて両者170、172の間隔が広がった末広がりの配置となっている。なお、ゴム製のグリップ部170、172は、後述するように、カメラスタンド100を収容する際に第1アーム120に当たった際の衝撃を和らげる緩衝材として機能する。
【0030】
回転部162は、図6に示すように、蝶番173の芯棒173aを中心として、すなわち芯棒173aから左右方向に延びる仮想軸線を中心に回転する。回転部162は、回転部本体174と、回転部本体174に取り付けられた取っ手部175と、図4に示すカメラ1を回転部162に取り付けるための取付ねじ176とを有している。
【0031】
回転部本体174の左右方向の幅は、回転支持部164の左右方向の幅と同程度か狭い。一方、回転部本体174の前後方向の長さは、図6に示すように、回転支持部164の前後方向の長さよりも長く、非回転状態にある回転部本体174の一部は、回転支持部164から後方へ突出している。この突出している部分には、下方から上方へ大径の第1挿通孔177と小径の第2挿通孔178とが同心上に連続して形成されている。
【0032】
取っ手部175は、例えば金属製の平板が曲げ加工されて形成されており、鈍角で曲げられた屈曲部175aを有している。取っ手部175の屈曲部175aよりも前方側は、回転部本体174の下方に位置しており、回転部本体174の下面にねじ止めされている。また、取っ手部175には、第1挿通孔177と中心を一致させた挿通孔179が形成されている。一方、取っ手部175の屈曲部175aよりも後方側は、回転部本体174の下面から斜め下方に向けて延出している。この取っ手部175の斜め下方に延出した部分は、回転部162を持ち上げて回転させるためにユーザが手をかける部分である。
【0033】
取付ねじ176は、先端に形成されたおねじ176aと、軸部に形成されたリング状の係止部176bとを有している。取付ねじ176は、挿通孔179、第1挿通孔177、及び第2挿通孔178に、この順で下方から挿通されており、係止部176bが第1挿通孔177内に収容されている。この係止部176bは、回転部162に形成された第2挿通孔178と取っ手部175に形成された挿通孔179を通り抜けることができず、挿通孔179を通り抜けられないことで、取付ねじ176の抜け落ちが防止されている。また、取付ねじ176の先端に形成されたおねじ176aは、図4に示すカメラ1の底面に形成されたねじ孔23に螺合される。これにより、おねじ176aと頭部176cとの間の取付ねじ176の軸部に適当な軸力を導入することができ、カメラ1をがたつかせることなく回転部162に取りつけることができる。
【0034】
また、カメラスタンド100は、図8に示すような第1アーム120及び第2アーム130が収容された状態を維持するための第1係止装置180及び第2係止装置183を備えている。
【0035】
第1係止装置180は、図1に示すように、第1アーム120の外周面に設けられた第1磁性体としての磁石体181と、立設部114に設けられた第1磁性体受けとしての磁石体受け182とを有している。磁石体181は、例えばヨークと呼ばれる金属片と磁石とが組み合わされたもので、吸着面181aを含み、この吸着面181aが外側を向くように設けられている。磁石体受け182は、例えば強磁性体の金属である例えば鉄製であり、-Z軸方向側に設けられた短辺部116bの中央に設けられている。磁石体受け182は、円柱状の突起であり、+X軸方向に対して斜め上方を向くように設けられている。図1に示す状態から第1アーム120が図中反時計回りに回転すると、やがて図7に示すように磁石体受け182と磁石体181とが互いに当接して吸着する。このとき、磁石体受け182は、磁石体181の吸着面181aに対して略垂直にあたる。このようにして、立設部114と第1アーム120とは、第1係止装置180により互いに係止させられる。
【0036】
第2係止装置183は、図1に示すように、第1アーム120の外周面から突出した第2磁性体受けとしての磁石体受け184と、第2アーム130の外周面に設けられた第2磁性体としての磁石体185とを有している。磁石体受け184は、磁石体受け182と同様に例えば鉄製の円柱体であり、第1アーム120の外周面から垂直に突出している。磁石体185は、磁石体181と同様に例えば金属片と磁石とが組み合わさって形成されてものである。図1に示す状態から第2アーム130が図中反時計回りに回転すると、やがて図8に示すように磁石体受け184と磁石体185とが互いに当接して吸着する。このとき、磁石体受け184は、磁石体185に対して略垂直にあたる。このようにして、第1アーム120と第2アーム130とは、第2係止装置183により互いに係止させられる。
【0037】
次に、カメラスタンド100に取りつけたカメラ1を用いて、被写体を撮影する方法について説明する。カメラ1は、撮影時のブレを抑制するために、カメラスタンド100に取り付けられる。カメラ1をカメラスタンド100に取り付ける場合、図4に示すように、カメラ1の右方向を右グリップ168の配置された方向に向けるとともに、カメラ1の左方向を左グリップ167の配置された方向に向ける。そして、取付部160から突出した取付ねじ176を、カメラ1の下面に形成されたねじ孔23にねじ込み、カメラ1を取付台140に固定する。
【0038】
そして、図3(a)に示す電源ボタン5を押圧してカメラ1をオンにし、ユーザは、ファインダとして機能する液晶モニタ6(図3(b))に表示された被撮影対象の画像を見ながら撮影する画像の構図を決める。ユーザは、例えば図1図2に示す枠状部116に設けられたグリップ117を手に持って押し引きすることで、床50上でキャスタ113を転動させてカメラスタンド100を所望の位置に移動させることができる。
【0039】
続いて、図1に示す左グリップ167及び右グリップ168を手に持ち動かすことで、第1アーム120を、第1支点151を中心に回転させ、第2アーム130を、第2支点153を中心として回転させ、取付台140を第3支点154を中心として回転させることができる。これにより、第1アーム120、第2アーム130及び取付台140の回転可能な範囲で規定される取付台140の移動可能な範囲の中で、ユーザが望む位置にカメラ1を配置することができる。さらに、ユーザは、ボールジョイント142の側面に設けられた図4に示すつまみネジ148を緩めて、左グリップ167及び右グリップ168を手に持ち動かすことで、取付部160に取り付けられたカメラ1を、所望の方向に向けることができる。ボールジョイント142に接続されたカメラ1は、図6に示す支柱部145bが延びる方向(図6においては上方)を中心軸として回転することができるとともに、支柱部145bが延びる方向に対していずれの方向にも傾けることができる。そして、図4に示すつまみネジ148を締めて、カメラ1を取付部160とともに第2アームに130に固定し、構図を決定する。これにより、撮影時において、例えば図1図2に示すように、水平方向に張り出した第1アーム120と上方に延びる第2アーム130とにより、カメラ1を被写体に近づけることができる。なお、カメラ1の位置や向きを決定するための操作手順は特に限定されるものではなく、ユーザが適宜決定することができる。
【0040】
このようにして構図を決めた後、シャッタボタン4(図3(a))を操作して、被写体を撮影する。このように撮影した画像は、カメラ1の内部に収容された図示しない記録媒体に保存される。撮影対象の撮影が終了すると、電源ボタン5(図3(a))を押圧してカメラ1をオフにする。
【0041】
カメラ1での撮影が終わり、カメラスタンド100が図1に示す状態にあるとき、手に持った左グリップ167及び右グリップ168を動かして、立設部114から張り出した第1アーム120及び第2アーム130を折り畳み、収容位置まで移動する。具体的には、第1アーム120を、第1支点151を中心として図1中時計回りに回転させ、第2アーム130を、第2支点153を中心として図1中反時計回りに回転させる。これにより、第1アーム120及び第2アーム130の立設部114からの張出量が小さくなっていく。やがて、第1アーム120の回転によって、図7に示すように磁石体181が磁石体受け182に当接して、それ以上の第1アーム120の回転が止められる。これにより、第1アーム120を収容位置まで移動させることができる。このように、第1アーム120の収容位置とは、第1アーム120を折り畳んで立設部114から張り出すのを抑制することができる位置であり、使用されておらずカメラスタンド100がコンパクトに収容された状態(収容状態)にあるときの第1アーム120の位置である。
【0042】
一方、取付台140の取付け方向によっては、第2アーム130が回転することで、磁石体185が磁石体受け184に当接する前に、右グリップ168あるいは左グリップ167がゴム製のグリップ部170、172を介して第1アーム120に当たる場合がある。その場合には、図4に示すつまみネジ148を緩めて、右グリップ168あるいは左グリップ167が第1アーム120に当らないように取付台140の向きを変更する。あるいは、取付台140を第3支点154を中心に回転させることにより、取付台140の向きを変更することもできる。このように、右グリップ168及び左グリップ167が第1アーム120に当たらないように取付台140の向きを変更したあと、第2アーム130をさらに図中反時計回りで回転させることで、図8に示すように磁石体181が磁石体受け182に当接して、それ以上の第2アーム130の回転が止められる。これにより、第2アーム130を収容位置まで移動させることができる。このように、第2アーム130の収容位置とは、第2アーム130を折り畳んで立設部114から張り出すのを抑制することができる位置であり、使用されておらずカメラスタンド100がコンパクトに収容された状態(収容状態)にあるときの第2アーム130の位置である。このようにして、立設部114と第1アーム120とは、第1係止装置180により互いに係止させられ、第1アーム120と第2アーム130とは、第2係止装置183により互いに係止させられる。これにより、図8に示すようにカメラ1を取り付けた状態で、カメラスタンド100のアームを収容した状態が維持される。
【0043】
このように、第1アーム120及び第2アーム130が収容位置にありカメラスタンド100が収容状態にあるとき、第1アーム120は、枠状部116の内部を貫通し、第2支点153が設けられた一端部側を斜め下方に延出させた状態にある。このとき、第2支点153は、第1支点151よりも下方に位置している。また、補助アーム123を、第2アーム130とアーム本体121との間に介在させて、第1アーム120と第2アーム130との間に距離を設けている。これにより、第1アーム120と第2アーム130とを互いに略平行に配置することができ、第2アーム130の第3支点154が設けられた一端部側を斜め上方に延出させることができる。
【0044】
上記実施の形態によれば、図8に示すように、カメラスタンド100が収容状態にあるとき、カメラ1の重心G1に重力が作用する。この重心G1は、第2アーム130を回転可能に支持する第2支点153よりも-X方向側に位置している。そのため、重心G1に作用するカメラ1の重力によって、第2アーム130には図8中反時計回りのモーメントが作用する。すなわち、第2アーム130には、第1アーム120側に回転させる力が作用する。一方、第2アーム130に設けられた磁石体185は、第1アーム120に設けられた磁石体受け184と当接することで図8中反時計回りの回転は止められている。そのため、収容位置にある第2アーム130には常に反時計回りのモーメントが作用しており、これにより、第2アーム130が意図せずに収容位置から時計回りの方向に回転して第1アーム120から張り出すのを抑制できる。
【0045】
また、図8に示すように、カメラスタンド100が収容状態にあるとき、第2アーム130の重心G2に重力が作用する。この重心G2は、第2アーム130を回転可能に支持する第2支点153よりも-X方向側に位置している。そのため、重心G2に作用する第2アーム130の重力によって、第2アーム130には図8中反時計回りのモーメントが作用する。すなわち、第2アーム130には、第1アーム120側に回転させる力が作用する。これにより、カメラ1がカメラスタンド100から取り外された状態であっても、第2アーム130が意図せずに収容位置から時計回りの方向に回転して第1アーム120から張り出すのを抑制できる。
【0046】
また、第1係止装置180及び第2係止装置183を設けることで、立設部114と第1アーム120とは、第1係止装置180の磁力を利用して互いに係止させられ、第1アーム120と第2アーム130とは、第2係止装置183の磁力を利用して互いに係止させられる。これにより、収容位置にある第1アーム120及び第2アーム130が、外力の影響により回転し、立設部114から張り出すのを防止できる。
【0047】
また、第1アーム120及び第2アーム130を、互いに干渉させることなく略平行に並べた状態で、コンパクトに収容することができる。
【0048】
また、カメラスタンド100は、5本の張出部112の先端に5つのキャスタ113を有する支持部110を備えていることから、安定した状態で床50上を移動させることができる。これによりカメラスタンド100を、ユーザが望む位置に容易に配置することができる。
【0049】
また、水平移動可能な支持部110と、カメラ1を支持する取付台140との間に、連結した回転可能な第1アーム120及び第2アーム130を介在させている。これにより、第1支点151を中心に回転する第1アーム120と第2支点153を中心に回転する第2アーム130とにより、カメラ1位置を自在に変更することができ、被写体を撮影する画像の構図を適切に決定することができる。
【0050】
また、取付部160の左右に設けられたグリップ部170及びグリップ部172を、下方に向けて両者の間隔が広がった末広がりの配置としているから、両手で握りやすい。これにより、カメラ1が取り付けられた取付台140の位置を容易に変更することができ、カメラスタンド100の取り扱いが容易である。
【0051】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記の実施の形態では、機器としてのカメラ1はデジタルカメラであると説明したが、これは一般的に市販されているデジタルカメラでもよいし、人の皮膚や粘膜などの患部を撮影する医療用のデジタルカメラや、主に動画の撮影を行うビデオカメラ、スマートフォンなどに付属のカメラであってもよい。さらに、機器は、スタンドで支持される機器であればカメラに限らず、例えば、照明機器や、ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、望遠鏡、測量用の距離計など、他の適当な機器でもよい。そしてこれらの機器を支持するスタンドに、本発明を適用することができる。
【0052】
また、上記の第1係止装置180及び第2係止装置183では、磁力による吸着を利用して、第1アーム120及び第2アーム130が収容位置から動き出すことがないように係止していたが、係止手段としては磁力を利用したものに限定されない。その他の係止手段として、例えば、図9(a)に示すような機械的なロック機構を備えた第3係止装置190を採用してもよい。
【0053】
第3係止装置190は、第2アーム130に設けられた被係合部としての屈曲バー191と、第1アーム120に取りつけられたロック装置192とを有している。ロック装置192は、回転軸193を中心に回転し屈曲バー191と係合可能な係合部194と、回転軸195を中心に回転するリリースレバー196と、係合部194とリリースレバー196とを接続する引張ばね197とを有している。
【0054】
ユーザがカメラスタンド100を収容するために矢印Y1で示すように第2アーム130を回転させると、やがて屈曲バー191に押し当てられた係合部194は、回転軸193を中心に図中時計回りに回転する。このとき、引張ばね197によって係合部194に接続されているリリースレバー196は、係合部194の回転に伴い回転軸195を中心に図中時計回りに回転するが、やがて、図9(b)に示すように、ロック装置192の外面を形成するカバー部192aに当たり、それ以上の時計回りの回転が規制される。この状態から、さらに係合部194が引張ばね197の付勢力に抗しながら図中時計回りに回転すると、図9(a)から図9(b)に示すように、係合部194の突出部194bがリリースレバー196の先端196aを乗り越えるようになる。これにより、図9(b)に示すように、リリースレバー196の先端196aが突出部194bに当たる。これにより、係合部194の突出部194bが先端196aを乗り越え当たることによって生じた動作音(クリック音)が、第3係止装置190から発せられる。ユーザは、このような動作音を聞くことで、第2アーム130が収容位置まで移動したと判断し、第2アーム130の回転を止めることができる。
【0055】
なお、周囲の音によって、第3係止装置190から生じた動作音が聞こえなかった場合、さらに係合部194を回転させようとする。すると、時計回りの回転が規制されたリリースレバー196に接続されている引張ばね197の付勢力は徐々に大きくなり、係合部194を回転させるために大きな力が必要となってくる。ユーザは第2アーム130を回転させて、通常の力で屈曲バー191を係合部194に最後まで押し込むことで、第2アーム130を、収容位置まで移動させ、第1アーム120に係止することができる。
【0056】
このようにして、第2アーム130が収容位置まで移動することにより、図9(b)に示すように、係合部194のフック部194aが屈曲バー191に引っ掛けられる。また、係合部194は、引張ばね197の付勢力により、図中反時計回りに回転する方向に力を受ける。しかしながら、係合部194の突出部194bが、回転が規制されているリリースレバー196の先端196aに押し当てられた状態にあることで、係合部194の図中反時計回りの回転が規制されている。これにより、屈曲バー191がフック部194aにより引掛けられ係合した状態が維持され、第1アーム120と第2アーム130とは、第3係止装置190を介して互いに係止する。
【0057】
一方、この係合状態を解除するには、リリースレバー196を指で引掛けて、矢印Y2で示す方向、すなわち図中反時計回りに回転させる。これにより、リリースレバー196の先端196aが突出部194bを乗り越え、上述した先端196aと突出部194bとの係合が解除される。これにより、係合部194は、引張ばね197により引っ張られて図中反時計回りの方向に回転し、図9(a)に示すように、フック部194aは屈曲バー191から離れる。このようにして、第1アーム120と第2アーム130とを互いに係止した状態が解除される。
【0058】
このような機械的なロック機構を備えた第3係止装置190を採用することで、ユーザが係止状態を解除するという明確な意図をもってリリースレバー196を操作しない限り、収容状態が解除されることがない。これにより、収容位置にあるアーム(第1アーム、第2アーム)が意図せずに回転して張り出すのを防止できる。
【0059】
また、第1係止装置180及び第2係止装置183の少なくとも一方に代えて、第3係止装置190を採用してもよい。また、第1係止装置180及び第2係止装置183の少なくとも一方を省略してもよく、その場合、両者180、183の少なくとも一方に代えて、ゴム製の緩衝材を配置して、対応する支持部と第1アームとの当接及び第1アームと第2アームとの当接の少なくとも一方による衝撃や音の発生を抑制するようにしてもよい。
【0060】
また、カメラスタンド100が収容した状態にあるときに、第1アーム120と第2アーム130とを略平行な配置とするか否かは任意である。例えば、第2係止装置183を高くして、あるいは補助アーム123を短くして、カメラ1が取り付けられた第2アーム130の一端部側に向かうにつれて第2アーム130と第1アーム120とが互いに離れるような配置としてもよい。これにより、カメラスタンド100を収容状態にする際に、第1アーム120と取付台140とを干渉させにくくすることができる。または、第2係止装置183を低くして、あるいは補助アーム123を長くして、カメラ1が取り付けとりつけられた第2アーム130の一端部側に向かうにつれて第2アーム130と第1アーム120とが互いに近づくような配置としてもよい。これらのような構成を採用したとしても、カメラ1の重力、あるいは第2アーム130の重力により、収容位置にある第2アーム130に第1アーム120側に倒れる方向にモーメントを作用させることで、カメラスタンド100の収容状態を維持することができる。
【0061】
また、カメラスタンド100が収容状態にあるとき、第1アーム120は、第2支点153が設けられた一端部側を斜め下方に延出させた状態にあると説明したが、第1アーム120は他の姿勢をとるように構成してもよい。例えば、第1アーム120は、収容位置にあるときに、アーム本体121の第4支点152が設けられた側を下方に延出させる姿勢をとってもよい。そして、上述のように補助アーム123を長くし水平方向に延出させることで、収容位置にある第2アーム130を鉛直方向に対して第1アーム側に傾斜させてもよい。このとき、第1アーム120のアーム本体121が下方に延出した姿勢をとれるように、図2に示す枠状部116の寸法を大きくすればよい。そして、第1係止装置180は、アーム本体121が下方を向いた時に動作する(第1アーム120を係止する)位置に設ければよい。
【0062】
また、補助アーム123を設けるか否かは任意である。例えば、第4支点152を設けずに、アーム本体121の先端を、図8に示す補助アーム123が延びる方向に屈曲させることで、アーム本体121に補助アーム123の機能を持たせるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、第1アーム120と第2アーム130とは、鉛直方向に延びる略同一平面上(XZ平面上)に配置されていると説明したが、これらのアーム120,130を略同一平面上に配置するか否かは任意である。例えば、第1アーム120の一端部にY軸方向に向けて延びる屈曲部が形成され、その屈曲部に第2アーム130を取り付けることで、第1アーム120と第2アーム130とを互いに異なる平面上に配置するようにしてもよい。このとき、第1アーム120と第2アーム130とを係止する係止装置は、例えばY軸方向に沿って互いに向き合うように磁石体185と磁石体受け184とを設けてもよいし、第1アーム120及び第2アーム130に、第2アーム130が収容位置にあるときに互いに向かい合うブラケットを形成し、このブラケットに磁石体185と磁石体受け184とを配置した構成としてもよい。
【0064】
また、第1アーム120及び第2アーム130は、ともにY軸方向に延びる仮想軸線を中心として回転可能に支持されていると説明したが、これらのアームの移動態様は特に限定されない。例えば、第1アーム120の回転中心となる仮想軸線と、第2アーム130の回転中心となる仮想軸線とが直交した態様であってもよい。このように、回転中心となる仮想軸線の向きは、任意に設定することができる。
【0065】
また、第1アーム120を支持する第1支点151と、第2アーム130を支持する第2支点153は、仮想軸線を中心とした回転を許容するものであると説明したが、第1アーム120と第2アーム130をどのように接続するかは任意である。例えば、接続角度を自由に変化させることができる自在継手を、第1支点151及び第2支点153のうち、少なくとも1つに適用してもよい。
【0066】
また、カメラスタンド100には、第1アーム120及び第2アーム130の2本のアームを設けてが、設置するアームの数は任意に設定でき、3本以上のアームを設置してもよい。
【0067】
本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記の番号は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0068】
(付記)
(付記1)
第1支点を有する支持部と、
前記第1支点を中心として前記支持部に回転可能に連結され、一端部に第2支点を有する第1アームと、
第1端部と、機器側の第2端部とを有し、前記第1端部が前記第2支点を中心として前記第1アームに回転可能に連結された第2アームと、を備え、
前記第1アーム及び前記第2アームが収容位置に位置している場合に、前記第2支点は前記第1支点よりも下方に位置し、かつ、前記第2アームは、鉛直方向に対して前記第1アーム側に傾斜している、
機器のスタンド。
【0069】
(付記2)
前記第1アーム及び前記第2アームが収容位置に位置している場合に、前記第1アームと前記支持部とを互いに係止する第1係止装置と、前記第2アームと前記第1アームとを互いに係止する第2係止装置との少なくとも一方をさらに備える、
付記1に記載の機器のスタンド。
【0070】
(付記3)
前記第1係止装置は、第1磁性体を含み、前記第1磁性体の磁力によって前記第1アームと前記支持部とを互いに係止する、
付記2に記載の機器のスタンド。
【0071】
(付記4)
前記第2係止装置は、
前記第1アームに設けられた係合部と、
前記第2アームに設けられ、前記係合部と係合可能な被係合部と、を有する、
付記2又は3に記載の機器のスタンド。
【0072】
(付記5)
前記第2係止装置は、第2磁性体を含み、前記第2磁性体の磁力によって前記第2アームと前記第1アームとを互いに係止する、
付記2又は3に記載の機器のスタンド。
【0073】
(付記6)
前記第1アームの他端部には、前記第1支点を中心とする前記第1アームのモーメントに応じた重さを有するカウンタウェイトが設けられている、
付記1~5のいずれか1つに記載の機器のスタンド。
【0074】
(付記7)
前記第1アーム及び前記第2アームは、鉛直方向に延びる略同一平面上に互いに位置し、
前記第1アーム及び前記第2アームは、前記収容位置に位置している場合に、鉛直方向に対して斜めに互いに略平行に延びている、
付記1~6のいずれか1つに記載の機器のスタンド。
【0075】
(付記8)
前記支持部は、前記第1支点が設けられた枠状部を有し、
前記第1アームは、前記枠状部の内部を貫通した状態で前記第1支点に回転可能に支持されている、
付記1~7のいずれか1つに記載の機器のスタンド。
【符号の説明】
【0076】
1・・・カメラ、4・・・シャッタボタン、5・・・電源ボタン、6・・・液晶モニタ、7・・・カバープレート、23・・・ねじ孔、50・・・床、100・・・カメラスタンド、110・・・支持部、111・・・基部、112・・・張出部、113・・・キャスタ、114・・・立設部、115・・・支柱部、116・・・枠状部、116a・・・長辺部、116b・・・短辺部、116c・・・突出部、117・・・グリップ、120・・・第1アーム、121・・・アーム本体、122・・・カウンタウェイト、123・・・補助アーム、130・・・第2アーム、130a・・・スリット、140・・・取付台、141・・・連結部、141a・・・挿入部、142・・・ボールジョイント、144・・・ボール受台、144a・・・窪み、144b・・・おねじ部、144c・・・反り返り部、145・・・ボール部、145a・・・ボール部本体、145b・・・支柱部、148・・・ネジ、151・・・第1支点、152・・・第4支点、153・・・第2支点、154・・・第3支点、160・・・取付部、161・・・ベース部、162・・・回転部、163・・・左ブロック、164・・・回転支持部、165・・・右ブロック、167・・・左グリップ、168・・・右グリップ、169・・・延出部、169a・・・屈曲部、170・・・グリップ部、170a・・・溝、171・・・延出部、172・・・グリップ部、173・・・蝶番、173a・・・芯棒、174・・・回転部本体、175・・・取っ手部、175a・・・屈曲部、176・・・取付ねじ、176a・・・おねじ、176b・・・係止部、176c・・・頭部、177・・・第1挿通孔、178・・・第2挿通孔、179・・・挿通孔、180・・・第1係止装置、181・・・磁石体、181a・・・吸着面、182・・・磁石体受け、183・・・第2係止装置、184・・・磁石体受け、185・・・磁石体、190・・・第3係止装置、191・・・屈曲バー、192・・・ロック装置、192a・・・カバー部、193・・・回転軸、194・・・係合部、194a・・・フック部、194b・・・突出部、195・・・回転軸、196・・・リリースレバー、196a・・・先端、197・・・引張ばね、G1,G2・・・重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9