(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車両用レーダ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/931 20200101AFI20240416BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20240416BHJP
G01S 13/58 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G01S13/931
G01S13/34
G01S13/58 200
(21)【出願番号】P 2021141577
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西岡 靖倫
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096840(JP,A)
【文献】特開2004-226121(JP,A)
【文献】特開2021-076422(JP,A)
【文献】特開2014-061796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0192235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、自車両の周囲の物標を検出する車両用レーダ装置であって、
前記自車両の周囲にレーダ波を送信し、該レーダ波の反射波を受信して、送・受信信号の周波数解析を行うことで、前記物標の位置及び速度を検出するよう構成された物標検出部(84)と、
前記物標検出部にて検出された複数の物標の中から、前記物標検出部と他の物標との間の前記レーダ波の送受信を中継し得る移動体を中継反射物標として抽出し、該中継反射物標にて前記レーダ波の送受信が中継される静止物により、前記物標検出部にて移動体として誤検出された物標を、マルチパスゴーストとして判定するよう構成されたマルチパスゴースト判定部(87)と、
前記自車両の周囲の走行環境が、前記自車両の走行路の上方にモノレールが存在するモノレール環境であるか否かを判定するよう構成されたモノレール環境判定部(88)と、
前記モノレール環境判定部にて、前記走行環境が前記モノレール環境であると判定されているとき、前記マルチパスゴースト判定部において、前記中継反射物標毎に前記マルチパスゴーストとして判定される物標の数をカウントし、該カウントした数に応じて設定される第1の判定値が第1の閾値以上となる前記中継反射物標を、モノレール車両であると判定するよう構成されたモノレール車両判定部(89)と、
を備えている車両用レーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用レーダ装置であって、
前記モノレール環境判定部は、
前記物標検出部において前記自車両の進行方向前方で線状に配置された静止物として検出された物標の数、及び、前記マルチパスゴースト判定部において前記自車両の進行方向前方に線状に配置されいると判定された前記マルチパスゴーストの数、をカウントし、該カウントした数に応じて設定される第2の判定値が第2の閾値以上であるとき、前記自車両の走行環境は前記モノレール環境であると判定する、ように構成されている、車両用レーダ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用レーダ装置であって、
前記マルチパスゴースト判定部は、
前記物標検出部にて検出された複数の物標の中から抽出した前記中継反射物標毎に、前記中継反射物標の位置及び速度と、前記自車両の速度とに基づき、前記レーダ波が前記中継反射物標にて中継された静止物により前記物標検出部にて誤検出される前記物標の位置及び速度を表すマルチパスゴースト条件を設定し、前記物標検出部にて検出された複数の物標の中から、前記マルチパスゴースト条件に適合する物標を抽出し、該抽出した物標を前記マルチパスゴーストであると判定する、よう構成されている、車両用レーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ波を送受信することで車両の周囲の物標を検出する車両用レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の周囲にレーダ波を放射し、その反射波を受信することで、車両周囲の物標までの距離、物標の速度、物標の方位を検出し、その検出結果を、車両に搭載された運転支援装置に出力するように構成された車両用レーダ装置が記載されている。
【0003】
この車両用レーダ装置によれば、車両の走行中に、進行方向前方に存在する物標を検出して、運転支援装置に出力することで、物標への衝突を回避するための運転支援を実施させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の走行環境として、車両の走行路の上方に、モノレール車両を吊り下げて走行させる懸垂式のモノレールが架設されていることがある。このような環境下では、車両用レーダ装置において、自車両の前方を走行しているモノレール車両が、自車両の走行を妨げる移動体として、検出されることが考えられる。
【0006】
この場合、車両用レーダ装置は、モノレール車両の検出結果を運転支援装置に出力することから、運転支援装置は、モノレール車両が自車両の走行を妨げることはないにもかかわらず、衝突回避のための運転支援を行うことになる。従って、この場合には、運転支援装置による運転支援によって、自車両が誤制御されてしまう、という問題が生じる。
【0007】
本開示の一つの局面は、車両用レーダ装置において、検出した物標がモノレール車両であることを判定できるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの態様による車両用レーダ装置は、車両に搭載されて自車両の周囲の物標を検出する装置であり、物標検出部(84)、マルチパスゴースト判定部(87)、モノレール環境判定部(88)、及び、モノレール車両判定部(89)を備える。
【0009】
このうち、物標検出部は、自車両の周囲にレーダ波を送信し、そのレーダ波の反射波を受信して、送・受信信号の周波数解析を行うことで、物標の位置及び速度を検出する。また、モノレール環境判定部は、自車両の周囲の走行環境が、自車両の走行路の上方にモノレールが存在するモノレール環境であるか否かを判定する。
【0010】
マルチパスゴースト判定部は、物標検出部にて検出された複数の物標の中から、物標検出部と他の物標との間のレーダ波の送受信を中継し得る移動体を中継反射物標として抽出する。そして、その抽出した中継反射物標にてレーダ波の送受信が中継される静止物により、物標検出部にて移動体として誤検出された物標を、マルチパスゴーストとして判定する。
【0011】
モノレール車両判定部は、モノレール環境判定部にて、走行環境がモノレール環境であると判定されているとき、マルチパスゴースト判定部において、中継反射物標毎にマルチパスゴーストとして判定される物標の数をカウントする。そして、そのカウント数に応じて設定される第1の判定値が第1の閾値以上となる中継反射物標を、モノレール車両であると判定する。
【0012】
つまり、走行路の上方に懸垂式のモノレールが架設されている場合、モノレール車両は、物標検出部にて自車両前方に存在する物標として検出され、その物標の速度から、自車両の走行を妨げる移動体であると判定されることがある。
【0013】
一方、懸垂式のモノレールにおいては、モノレール車両にレーダ波が照射されると、反射波の一部がモノレール車両よりも手前のレールに当たり、そのレールにて反射した反射波が、モノレール車両を介して、車両用レーダ装置に戻ることがある。
【0014】
この場合、モノレール車両は、車両用レーダ装置とレールとの間を往復するレーダ波を中継する中継反射物標となる。そして、物標検出部は、レールから中継反射物標を介して入射する反射波を受信すると、その反射波は、モノレール車両を挟んで、より遠くに位置する物標からの反射波であるものとして、物標の位置及び速度を検出する。
【0015】
このように検出される物標は、レーダ波の反射、つまり、マルチパスによって誤検出される、マルチパスゴーストであるが、レールからの反射によって生じるマルチパスゴーストは、実際のレールに対応して、線状に複数検出される。
【0016】
そこで、本開示の車両用レーダ装置においては、レールは静止物であるので、マルチパスゴースト判定部にて、中継反射物標によりレーダ波の送受信が中継される静止物により誤検出される物標を、マルチパスゴーストとして判定するようにしている。
【0017】
そして、自車両周囲の走行環境がモノレール環境であるとき、マルチパスゴースト判定部にて、中継反射物標毎にマルチパスゴーストの数をカウントし、そのカウント数に基づき中継反射物標がモノレール車両であるか否かを判定する。
【0018】
このため、本開示の車両用レーダ装置によれば、検出した物標がモノレール車両であることを判定して、モノレール車両が自車両の走行の妨げとなる物標として、運転支援装置等の外部装置に出力されるのを抑制できる。
【0019】
また、モノレール車両の判定に、車両周囲をカメラにて撮像した撮像画像等を利用する必要がないことから、装置構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態のレーダ装置の構成を表すブロック図である。
【
図2】レーダ装置の車両への配置及びモノレール環境を表す説明図である。
【
図3】処理ユニットの機能構成を表すブロック図である。
【
図4】モノレール環境下で生じるマルチパルスゴーストを自車両の側方から見た説明図である。
【
図5】モノレール環境下で生じるマルチパルスゴーストを自車両の上方から見た説明図である。
【
図6】マルチパスゴースト判定処理を表すフローチャートである。
【
図7】モノレール環境判定処理を表すフローチャートである。
【
図8】モノレール車両判定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[構成]
本実施形態のレーダ装置10は、
図2に例示するように、車両2の前面中央部分、例えば、フロントバンパーの裏側、に配置される、車両用レーダ装置である。
【0022】
レーダ装置10は、レーダ装置10が搭載された車両(以下、自車両)2の前方にレーダ波を放射し、その反射波を受信することで、自車両2の前方に存在する物標を検出するのに利用される。
【0023】
なお、本実施形態では、レーダ装置10は自車両2の前方の物標を検出するものとして説明するが、レーダ装置10は、例えば、自車両2の後方に存在する物標を検出するよう、自車両2の後部に取り付けられるものであってもよい。
【0024】
図1に示すように、レーダ装置10は、送信回路20と、分配器30と、送信アンテナ40と、受信アンテナ50と、受信回路60と、処理ユニット70と、入出力ユニット90とを備える。
【0025】
送信回路20は、送信アンテナ40に送信信号Ssを供給するための回路である。送信回路20は、ミリ波帯の高周波信号を、送信アンテナ40の上流に位置する分配器30に入力する。
【0026】
送信回路20は、例えば、高周波信号の周波数が、最も低いスタート周波数から最も高いエンド周波数まで漸増するように変調し、その変調をステップ的に繰り返すことで、FCW変調された高周波信号を生成し、分配器30に入力する。従って、本実施形態のレーダ装置10は、FCM方式のレーダ装置である。
【0027】
但し、レーダ装置10は、例えば、送信回路20が高周波信号の周波数を周期的に漸増・漸減させる、FM-CW方式のレーダ装置であってもよい。また、例えば、送信回路20が高周波信号の周波数を周期的に2段階に切り替える、2周波CW方式のレーダ装置であってもよい。
【0028】
分配器30は、送信回路20から入力される高周波信号を、送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する。送信アンテナ40は、分配器30から供給される送信信号Ssに基づいて、送信信号Ssに対応する周波数のレーダ波を放射する。
【0029】
受信アンテナ50は、物標にて反射されたレーダ波である反射波を受信するためのアンテナである。この受信アンテナ50は、複数のアンテナ素子51が一列に配置されたリニアアレーアンテナとして構成される。各アンテナ素子51による反射波の受信信号Srは、受信回路60に入力される。
【0030】
受信回路60は、受信アンテナ50を構成する各アンテナ素子51から入力される受信信号Srを処理して、アンテナ素子51毎のビート信号BTを生成し出力する。具体的には、受信回路60は、アンテナ素子51毎に、当該アンテナ素子51から入力される受信信号Srと分配器30から入力されるローカル信号Lとをミキサ61を用いて混合することにより、アンテナ素子51毎のビート信号BTを生成して出力する。
【0031】
但し、ビート信号BTを出力するまでの過程には、受信信号Srを増幅する過程、及び、ビート信号BTから不要な信号成分を除去する過程が含まれる。
このように、受信回路60にて生成されて出力される、アンテナ素子51毎のビート信号BTは、処理ユニット70に入力される。
【0032】
処理ユニット70は、CPU71と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ72)と、を有するマイクロコンピュータを備える。また、処理ユニット70は、高速フーリエ変換(以下、FFT)処理等を実行するコプロセッサを備えてもよい。
【0033】
処理ユニット70は、アンテナ素子51毎のビート信号BTを周波数解析することにより、レーダ波を反射した物標毎に、物標までの距離R、物標の速度V、物標の方位θを算出する、検出動作(以下、物標検出処理)を周期的に繰り返し実行する。
【0034】
物標の速度Vは、自車両2との相対速度であり、レーダ波を反射した物標が静止物である場合には、概ね「-1×車速」となる。また、物標の方位θは、レーダ装置10からのレーダ波の放射方向中心軸を0度として算出される。
【0035】
処理ユニット70による物標の検出結果は、入出力ユニット90から、自車両2の運転支援ECU100に出力される。また、入出力ユニット90は、処理ユニット70が、運転支援ECU100等の外部装置から、自車両2の車速や操舵角など、自車両の運転状態を取得するのにも利用される。
【0036】
なお、ECUは、Electronic Control Unitの略である。運転支援ECU100は、レーダ装置10から入力される物標の検出結果に基づいて、運転者による自車両2の運転を支援するための各種処理を実行する。
【0037】
運転支援に関する処理には、例えば、接近物があることを運転者に警報を発する処理、接近物との衝突を回避するために自車両2のブレーキ装置やステアリング装置を制御する処理、が含まれてもよい。また、自車両2を先行車両に追従させるために、自車両2の駆動系、制動系、操作系を制御する処理が含まれてもよい。
【0038】
[処理ユニット70の機能]
次に、処理ユニット70は、機能構成として、
図3に示すように、周波数分析部82、物標検出部84、物標情報出力部86、マルチパスゴースト判定部87、モノレール環境判定部88、及び、モノレール車両判定部89を備える。
【0039】
周波数分析部82は、ビート信号BTをA/D変換して取り込み、その取り込んだビート信号BTのデジタルデータを高速フーリエ変換(以下、FFT)することで、レーダ波の放射方向に存在する物標を探索する機能である。
【0040】
具体的には、周波数分析部82は、例えばFCM変調によってスタート周波数からエンド周波数まで周波数が漸増される送信信号のチャープ毎に、ビート信号BTをFFT処理することで距離周波数を分析する。また、周波数分析部82は、その距離周波数をチャープ方向にFFT処理することで速度周波数を分析する。
【0041】
この結果、周波数分析部82では、こうした2次元FFT処理により、距離及び速度の座標系でパワースペクトラムのピークが発生する分析結果が得られる。そして、物標検出部84は、その分析結果から、レーダ波の放射方向に存在する物標を特定し、その物標までの距離R及び物標の速度Vを求める。
【0042】
また、周波数分析部82は、各アンテナ素子51から得られるビート信号BTの位相差から各物標の方位θを求め、物標検出部84は、物標毎に求められた距離Rと方位θとから各物標の位置を特定し、物標の速度Vと共に、物標情報出力部86に出力する。なお、レーダ装置10における2次元FFTや位相差に基づく方位検出については、周知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0043】
物標情報出力部86は、物標検出部84から出力される各物標の距離R、方位θ及び速度Vを表す物標情報を、運転支援ECU100に出力する。また、物標情報出力部86は、後述するモノレール車両判定部89からの指令に従い、モノレール車両であると判定された物標に対し、物標情報の出力を制限する。
【0044】
なお、この制限は、物標情報の出力を停止するか、若しくは、モノレール車両であることを表す情報を付与した物標情報を出力することにより行われる。この結果、モノレール車両が実際に存在する物標であるものとして、運転支援ECU100が、退避走行等の運転支援を誤って実施するのを抑制できる。
【0045】
次に、マルチパスゴースト判定部87、モノレール環境判定部88、及び、モノレール車両判定部89は、
図2に例示するモノレール環境下で、物標検出部84にて検出された物標がモノレール車両6であることを判定するための機能である。なお、モノレール環境とは、自車両2の走行路の上方に、モノレール車両6を吊り下げて走行させる懸垂式のモノレールが架設されている走行環境のことをいう。
【0046】
マルチパスゴースト判定部87は、レーダ波が自車両2の前方を走行する移動体に当たって反射し、その反射波の一部が、周囲の静止物に当たり、同じ移動体を介して自車両2に戻ることによって誤検出された物標を、マルチパスゴーストと判定するものである。
【0047】
つまり、
図4、
図5に示すように、モノレール環境下で、物標検出部84がモノレール車両6を検出した場合、モノレール車両6にはレーダ波が当たり、モノレール車両6の反射点P1にて反射していることになる。
【0048】
そして、その反射点P1からの反射波の一部は、モノレール車両6がつり下げられたレール4に当たり、レール4の反射点P2から、モノレール車両6を介して、レーダ装置10に戻ることがある。この場合、モノレール車両6は、レーダ装置10とレール4との間でレーダ波を中継する、中継反射物標となる。
【0049】
このようなマルチパスが発生すると、物標検出部84は、レール4から反射してくる反射波により、マルチパスゴースト8となる物標が、モノレール車両6の反射点P1を挟んで反射点P2とは反対側に存在するものとして、誤検出してしまう。
【0050】
そこで、マルチパスゴースト判定部87は、物標検出部84にて検出された物標の中から、マルチパスゴースト8を識別するのに利用される。
次に、モノレール車両判定部89は、マルチパスゴースト判定部87によるマルチパスゴースト8の判定結果に基づき、物標検出部84にて検出された物標の中に、モノレール車両6があるか否かを判定するものである。
【0051】
そして、モノレール車両判定部89は、物標検出部84にて検出された物標がモノレール車両6を判定すると、モノレール車両6の物標情報が物標情報出力部86から運転支援ECU100に出力されるのを制限する。
【0052】
ところで、物標検出部84において、マルチパスゴースト8となる物標は、レーダ装置10と周囲の静止物との間でレーダ波を中継する中継反射物標がモノレール車両6ではない場合にも検出される。
【0053】
例えば、自車両2の前方を走行する他車両により反射されたレーダ波が、ガードレールに当たり、ガードレールからの反射波が他車両を介してレーダ装置10に戻った場合にも、物標検出部84にて、マルチパスゴースト8となる物標が検出される。
【0054】
モノレール環境判定部88は、モノレール車両判定部89において、マルチパスゴースト判定部87によるマルチパスゴースト8の判定結果に基づき、中継反射物標がモノレール車両6であることを正確に判定できるようにするために設けられている。
【0055】
つまり、モノレール環境判定部88は、自車両2の周囲の走行環境がモノレール環境であるか否かを判定し、モノレール環境であるときに、モノレール車両判定部89がモノレール車両6の判定を行うようにする。この結果、モノレール車両判定部89において、モノレール車両6が誤判定されるのを抑制できる。
【0056】
次に、マルチパスゴースト判定部87、モノレール環境判定部88、及び、モノレール車両判定部89の動作について、
図6~
図8のフローチャートに沿って説明する。
なお、
図6~
図8に示す処理は、CPU71にて物標検出処理と同期して周期的に実行される処理であり、CPU71がメモリ72に記憶されたプログラムを実行することにより実施される。
【0057】
[マルチパスゴースト判定処理]
図6は、マルチパスゴースト判定部87としての機能を実現するために、CPU71において実行される、マルチパスゴースト判定処理である。
【0058】
図6に示すように、この処理が開始されると、まずS110にて、物標検出処理にて検出された複数の物標の中から、中継反射物標となる移動体を選択する。S110での中継反射物標の選択は、S110の処理が実行される度に、物標検出部84にて検出された複数の物標の中から自車両2に最も近い移動体を順に選択することで、実施される。なお、静止物の速度は、自車両2の車速に対応することから、物標が移動体であるか静止物であるかは、物標の速度、詳しくは自車両2と物標との相対速度と、自車両2の車速とに基づき判定される。
【0059】
次に、S120では、入出力ユニット90を介して、運転支援ECU100から自車両2の車速Vsを取得する。そして、その取得した車速Vsと、S110にて中継反射物標として選択された物標の距離R、方位θ及び速度Vと、に基づき、マルチパスゴースト条件を算出する。
【0060】
マルチパスゴースト条件は、自車両2からマルチパスゴースト8までの距離Rg及び方位θgと、自車両2とマルチパスゴースト8との相対速度であるマルチパスゴースト速度Vgを規定するものである。
【0061】
このうち、マルチパスゴースト速度Vg[m/s] は、中継反射物標と自車両2との相対速度である中継反射物標速度Vr[m/s] と、中継反射物標の方位θr[deg] と、自車両2の速度である車速Vs[m/s] とに基づき、推定される。
【0062】
この推定には、例えば、次式が用いられる。
Vg[m/s]=2×Vr[m/s]+Vs[m/s]×cosθr[deg]
これは、レール4等の静止物にて反射され、中継反射物標により中継されるレーダ波は、中継反射物標を2回通過して、中継反射物標の方位θr[deg] と略同じ角度でレーダ装置10に入射し、静止物の速度は、自車両2の車速Vs[m/s] に対応するからである。
【0063】
そして、マルチパスゴースト条件は、マルチパスゴースト8の判定対象となる物標を被判定物標とすると、下記の3つの条件1~3にて構成される。
条件1:被判定物標距離Rt[m]-中継反射物標距離Rr[m]>距離差閾値△R[m]
条件2:|被判定物標速度Vt[m/s]-マルチパスゴースト速度Vg[m/s]|<速度差閾値△V[m/s]
条件3:|被判定物標方位θt[deg]-中継反射物標方位θr[deg]|<方位差閾値[deg]
つまり、条件1は、自車両2から被判定物標までの距離である被判定物標距離Rt[m] が、中継反射物標までの距離Rr[m] に比べて、予め設定された距離差閾値△R[m] よりも長いことを表している。
【0064】
また、条件2は、自車両2と被判定物標との相対速度である被判定物標速度Vt[m/s] と、上記演算式にて算出されるマルチパスゴースト速度Vg[m/s] との差の絶対値が、予め設定された速度差閾値△V[m/s] よりも小さいことを表している。換言すれば、条件2は、被判定物標速度Vt[m/s] とマルチパスゴースト速度Vg[m/s] が略同じであることを表している。
【0065】
また、条件3は、被判定物標の方位θt[deg] と中継反射物標の方位θr[deg] との差の絶対値が、予め設定された方位差閾値△θ[deg] よりも小さいことを表している。換言すれば、条件3は、被判定物標方位θt[deg] と中継反射物標方位θr[deg] が略同じであること、を表している。
【0066】
次に、S130では、物標検出部84にて検出された複数の物標の中から、中継反射物標に比べて自車両2との間の距離が長い静止物を、被判定物標として選択し、S140に移行する。
【0067】
なお、被判定物標の選択は、自車両2に近い物標から順に行われる。また、被判定物標の選択条件としては、自車両2との間の距離に加えて、中継反射物標の方位を中心に所定角度範囲内にある物標を選択するように設定されてもよい。
【0068】
S140では、S130にて被判定物標として選択された物標の距離R、方位θ及び速度Vを、それぞれ、上述した被判定物標距離Rt、被判定物標方位θt、被判定物標速度Vtとして取得する。
【0069】
そして、続くS150では、S140にて取得した被判定物標距離Rt、被判定物標方位θt、及び、被判定物標速度Vtが、それぞれ、上述した条件1~条件3に適合するか否かを判定する。
【0070】
S150においては、被判定物標距離Rt、被判定物標方位θt、及び、被判定物標速度Vtが、全て、条件1~条件3に適合している場合に、マルチパスゴースト条件が成立していると判定して、S152に移行する。S152では、現在選択されている被判定物標に対するゴーストカウンタをインクリメントし、S160に移行する。
【0071】
S150において、マルチパスゴースト条件は成立していないと判定されると、S154に移行する。S154では、現在選択されている被判定物標に対するゴーストカウンタをデクリメントし、S160に移行する。
【0072】
なお、ゴーストカウンタは、最小値が0で、マルチパスゴースト条件が成立していないときに、ゴーストカウンタがデクリメントされて、負の値に更新されないようになっている。
【0073】
次に、S160では、上記のように更新されるゴーストカウンタの値が、予め設定された閾値を越えたか否かを判定する。そして、ゴーストカウンタの値が閾値を超えていれば、被判定物標がマルチパスゴースト8であると判定して、S170に移行し、被判定物標に対するゴーストフラグをセットする。この結果、現在被判定物標として選択されている物標は、マルチパスゴースト8であることが、処理ユニット70のメモリ72若しくはレジスタに記憶される。
【0074】
S170にてゴーストフラグがセットされた場合、或いは、S160にて、ゴーストカウンタの値は閾値以下であると判定された場合には、S180に移行する。S180では、S130において、選択条件に適合する全ての物標が被判定物標として選択されたか否を判定することにより、被判定物標の選択が終了したか否かを判定する。
【0075】
そして、S180にて、被判定物標の選択が終了したと判定されると、S190に移行し、S180にて、被判定物標の選択は終了していないと判定されると、S130に移行して、S130以降の処理を再度実行する。
【0076】
S190では、S110にて、中継反射物標が所定数選択されたか否かを判定することで、中継反射物標の選択が終了したか否かを判定する。そして、S190にて、中継反射物標の選択が終了したと判定されると、当該マルチパスゴースト判定処理を終了し、S190にて、中継反射物標の選択は終了していないと判定されると、S110に移行して、S110以降の処理を再度実行する。
【0077】
このように、マルチパスゴースト判定処理においては、物標検出部84としての物標検出処理にて検出された物標毎に、マルチパスゴースト8であるか否かが判定され、マルチパスゴースト8である場合には、その物標に対するゴーストフラグがセットされる。
【0078】
なお、ゴーストフラグがセットされた物標については、実際には存在しないマルチパスゴースト8であることから、物標情報出力部86から運転支援ECU100への物標情報の出力を禁止するようにしてもよい。或いは、その物標情報にマルチパスゴースト8であることを表す情報を付与して、物標情報出力部86から運転支援ECU100へ出力させるようにしてもよい。
【0079】
[モノレール環境判定処理]
図7は、モノレール環境判定部88としての機能を実現するために、CPU71において実行される、モノレール環境判定処理である。
【0080】
図7に示すように、モノレール環境判定処理においては、まずS210にて、モノレール環境の判定条件が成立しているか否かを判定する。モノレール環境の判定条件は、例えば、自車両2が停止状態にあるときやカーブ走行時には成立しないように設定されている。つまり、モノレール環境の判定条件は、自車両2が直進走行しているときに成立するように設定される。
【0081】
これは、レーダ装置10において、モノレールのレール4は、レール4に沿って線状に配置された複数の物標として検出されるためである。また、モノレール車両6が走行している場合、レール4は、レール4に沿って線状に配置された複数のマルチパスゴースト8として検出されるためである。
【0082】
つまり、自車両2が停止しているときや、カーブ走行時には、レール4に沿って連続する物標或いはマルチパスゴースト8を検出できないことがあるので、本実施形態では、モノレール環境の判定条件は、自車両2が直進走行しているときに成立するものとしている。
【0083】
S210にて、モノレール環境の判定条件は成立していないと判定されると、モノレール環境判定処理を終了し、モノレール環境の判定条件は成立していると判定されると、S220に移行する。
【0084】
S220では、物標検出処理にて検出された物標の中から、自車両2の前方に線状に配置された静止物及びマルチパスゴースト8の数をカウントする。なお、マルチパスゴースト8の数は、
図6のマルチパスゴースト判定処理にてマルチパスゴースト8であると判定された物標のうち、自車両2の前方に線状に配置された物標の数である。
【0085】
次に、S230では、S220にてカウントされた静止物及びマルチパスゴースト8のカウント数に応じて、カウント数が多いほど、環境判定ポイントが大きくなるように、環境判定ポイントを更新する。また、カウント数が少ない場合には、環境判定ポイントが小さくなるように、環境判定ポイントを更新する。
【0086】
そして、S240では、S230にて更新された環境判定ポイントが、予め設定された環境判定閾値を超えたか否かを判定し、環境判定ポイントが環境判定閾値を超えていない場合には、モノレール環境判定処理を終了する。
【0087】
また、S240にて、環境判定ポイントが環境判定閾値を超えていると判定されると、S250にて、自車両2の走行環境はモノレール環境であると判定して、その旨をメモリ72若しくはレジスタ等に記憶し、モノレール環境判定処理を終了する。
【0088】
なお、S240にて、環境ポイントが環境判定閾値を超えていないと判定された場合、つまり、自車両2の走行環境はモノレール環境ではないと判定された場合には、モノレール環境であることの記憶が消去される。また、本実施形態において、環境判定ポイントは、本開示の第2の判定値に相当し、環境判定閾値は、本開示の第2の閾値に相当する。
【0089】
このように、モノレール環境判定処理においては、物標検出処理にて検出された物標の中から、自車両2の前方に線状に配置された静止物及びマルチパスゴースト8の数をカウントし、そのカウント数に基づき、自車両2の周囲にレール4が存在するか否かを判定する。このため、自車両2の走行環境がモノレール環境であることを正確に判定することができる。
【0090】
なお、自車両2の走行環境がモノレール環境であるか否かを判定するには、必ずしも、モノレール環境判定処理を実行する必要はない。つまり、例えば、モノレール環境判定部88は、ナビゲーション装置等から地図情報を取得し、その地図情報に基づき、自車両2の周囲の走行環境がモノレール環境であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0091】
また、例えば、地図情報を使ってモノレール環境であることを検知した場合に、環境判定閾値を、モノレール環境を判定し易くなるように変更することで、モノレール環境判定処理を実施するようにしてもよい。このようにすれば、モノレール環境判定処理において、モノレール環境をより早く判定できるようにし、しかも、モノレール環境の判定精度を高めることができる。
【0092】
[モノレール車両判定処理]
図8は、モノレール車両判定部89としての機能を実現するために、CPU71において実行される、モノレール車両判定処理である。
【0093】
図8に示すように、モノレール車両判定処理においては、まずS310にて、モノレール環境判定処理による判定結果に基づき、自車両2の走行環境はモノレール環境であるか否かを判定する。そして、自車両2の走行環境がモノレール環境でない場合には、モノレール車両判定処理を終了し、自車両2の走行環境がモノレール環境である場合には、S320に移行する。
【0094】
S320では、マルチパスゴースト判定処理にてマルチパスゴースト8であると判定された物標に対する中継反射物標の1つを抽出し、S330に移行する。S330では、その抽出された中継反射物標にてレーダ波が中継されることにより物標として誤検出された、マルチパスゴースト8の数をカウントする。
【0095】
これは、モノレール車両6を中継反射物標として誤検出されるマルチパスゴースト8は、レール4に沿って線状に連続する複数の物標として現れるためである。つまり、S330では、1つの中継反射物標により誤検出されたマルチパスゴースト8の数をカウントすることで、そのカウント数に基づき、中継反射物標がモノレール車両6であるか否かを判定できるようにしている。
【0096】
次に、S340では、S330にてカウントされたマルチパスゴースト8のカウント数に応じて、カウント数が多いほど、車両判定ポイントが大きくなるように、車両判定ポイントを更新する。また、カウント数が少ない場合には、車両判定ポイントが小さくなるように、車両判定ポイントを更新する。
【0097】
S350では、S340にて更新された車両判定ポイントが、予め設定された車両判定閾値を超えたか否かを判定する。そして、S350にて、車両判定ポイントが車両判定閾値を超えていると判定されると、S360に移行して、S320にて抽出した中継反射物標は、モノレール車両6であると判定する。
【0098】
またS360では、中継反射物標がモノレール車両6であることを、メモリ72若しくはレジスタ等に記憶し、物標情報出力部86から、モノレール車両6の物標情報が出力されるのを制限し、モノレール車両判定処理を終了する。
【0099】
一方、S350にて、車両判定ポイントは、車両判定閾値を超えていないと判定されると、S370に移行する。S370では、モノレール車両判定処理の開始後、S320にて抽出された中継反射物標以外に、マルチパスゴースト判定処理にてマルチパスゴースト8であると判定された物標に対する、他の中継反射物標があるか否かを判定する。
【0100】
そして、S370にて、他の中継反射物標があると判定されると、S320に移行して、他の中継反射物標を抽出し、S330以降の処理を実行する。また、S370にて、他の中継反射物標はないと判定されると、つまり、全ての中継反射物標に対するモノレール車両6の判定が終了したと判定されると、モノレール車両6は物標として検出されていないので、モノレール車両判定処理を終了する。
【0101】
[効果]
以上説明したように、本実施形態のレーダ装置10においては、レーダ波の送受信により検出した物標がマルチパスゴースト8であるか否かを判定することにより、マルチパスゴースト8を検出する。そして、その検出されたマルチパスゴースト8の原因となった中継反射物標毎に、中継反射物標が発生させたマルチパスゴースト8の数をカウントし、そのカウント数に基づき、中継反射物標がモノレール車両6であることを判定する。
【0102】
また、マルチパスゴースト8の判定は、中継反射物標として選択した物標の位置及び速度と、自車両の速度とに基づき、マルチパスゴースト条件を設定し、その設定したマルチパスゴースト条件に適合する物標を抽出することにより行われる。
【0103】
このため、本実施形態のレーダ装置10によれば、物標検出部84による物標の検出結果だけを利用して、物標検出部84にて検出された物標がモノレール車両6であることを判定することができる。従って、本実施形態のレーダ装置10によれば、モノレール車両6の判定のために、例えば、カメラにて撮像した自車両2の周囲の撮像画像を画像処理して、モノレール車両6を認識する必要がなく、モノレール車両6の判定を容易に行うことができる。
【0104】
また、本実施形態においては、自車両2の走行環境がモノレール環境であるか否かを判定し、走行環境がモノレール環境であるときに、検出した物標がモノレール車両6であるか否かを判定する。このため、走行環境がモノレール環境ではないときに、モノレール車両6が誤判定されることがなく、モノレール車両6の判定精度を高めることができる。
【0105】
[他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0106】
例えば、本実施形態では、物標検出部84による物標の検出結果だけを利用して、物標検出部84にて検出された物標がモノレール車両6であることを判定するようにしているが、その判定にカメラによる撮像画像を利用するようにしてもよい。
【0107】
つまり、カメラにて撮像された自車両2の前方の撮像画像からモノレール車両6を認識する画像認識部を設け、この画像認識部にてモノレール車両6が認識されているときに、モノレール車両判定部89が、モノレール車両6の判定を実施するようにするのである。このようにすれば、検出した物標がモノレール車両6であることを、より正確に判定することができるようになる。
【0108】
一方、モノレール車両6が、レール4に対するレーダ波の中継反射物標となって、線状に配置されたマルチパスゴースト8が検出される現象は、例えば、トラックと上方構造物とでも同様に発生することが考えられる。しかし、この場合、中継反射物標となるモノレール車両6の高さとトラックの高さは大きく異なり、モノレール車両6の方が高くなる。
【0109】
従って、中継反射物標の高さが、モノレール車両6の高さに対応する場合に、モノレール車両6の判定を行うようにしてもよい。なお、中継反射物標の高さは、中継反射物標までの距離と方位とから求めることができる。
【0110】
但し、このように検出される中継反射物標の高さは、レーダ波の送受信部分の軸ずれや距離によって検出精度が変化する。このため、モノレール車両6の判定条件に中継反射物標の高さを含める場合には、中継反射物標までの距離等、高さの検出精度を確保し得る条件下で、モノレール車両6の判定を行うようにしてもよい。
【0111】
次に、上記実施形態では、モノレール車両判定部89は、モノレール環境判定部88にてモノレール環境であると判定されているときに、中継反射物標がモノレール車両6であるか否かを判定するものとして説明した。
【0112】
しかし、モノレール車両判定部89は、モノレール車両6の判定を常時実施し、モノレール車両6の判定結果は、モノレール環境判定部88にてモノレール環境であることが判定されているきにだけ、物標情報出力部86に出力するようにしてもよい。
【0113】
次に、処理ユニット70によるモノレール車両6の判定手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、処理ユニット70によるモノレール車両6の判定手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、処理ユニット70によるモノレール車両6の判定手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0114】
また、処理ユニット70において実行されるコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。また、処理ユニット70に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0115】
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0116】
上述した車両用レーダ装置の他、当該車両用レーダ装置を構成要素とするシステム、当該車両用レーダ装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、車両用レーダ装置における降雨判定方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0117】
10…レーダ装置、84…物標検出部、87…マルチパスゴースト判定部、88…モノレール環境判定部、89…モノレール判定部。