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特許7472902固体撮像装置、撮像システム及び撮像方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】固体撮像装置、撮像システム及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/778 20230101AFI20240416BHJP
   H04N 25/40 20230101ALI20240416BHJP
   G01S 7/486 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
H04N25/778
H04N25/40
G01S7/486
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021511167
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004437
(87)【国際公開番号】W WO2020202779
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2019065937
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【弁理士】
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恭志
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/101187(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/022220(WO,A1)
【文献】特許第4235729(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
G01S 7/486
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換領域、前記光電変換領域から転送された信号電荷をそれぞれ蓄積する複数個の電荷検出部が序数を順に付して配置された、転送経路制御型の画素をそれぞれ有する複数の多角形がそれぞれ仮想画素区画として定義され、該仮想画素区画を画素アレイ部にタイル貼り充填し、
同一序数を有する前記電荷検出部が位置する前記多角形のそれぞれの頂角が接するように、前記仮想画素区画の外形が構成する網目の交点を中心として、前記頂角をそれぞれ切り取った領域として定義され、それぞれ周期的に配置された複数の交点共有領域と、
前記仮想画素区画内の残余の領域であって、前記光電変換領域をそれぞれ含む複数のフォトダイオード部に、
前記タイル貼りのトポロジを再区分けした固体撮像装置であって、
Nを3以上の正の整数として、前記フォトダイオード部と前記交点共有領域のそれぞれの境界部に、同一序数の前記電荷検出部が、N個配置され、前記交点共有領域のそれぞれが、
前記電荷検出部のそれぞれに、第1主電極端子を順に接続されたN個の切替素子と、
前記切替素子のそれぞれの第2主電極端子に入力端子を接続した共通の信号読出回路
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
異なる序数でそれぞれ順に定義される前記交点共有領域の複数個を含むように配置された二次元領域の平面パターンを単位胞とし、該単位胞が、前記画素アレイ部に周期的に敷き詰められて配列されることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記単位胞の配列が、隣接する列で、一仮想画素区画相当分の長さで列方向に互いにずらして繰り返し配置されることを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記単位胞には、2×2組の前記交点共有領域が含まれ、
前記単位胞に含まれる前記交点共有領域の配列が、左右に隣接する前記仮想画素区画間で上下方向に1/2仮想画素区画に相当する長さ分ずれた、平行四辺形の配列であることを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記画素が、前記電荷検出部を構成する低比抵抗領域の他に、信号電荷以外の電荷を排出する排出部を構成する低比抵抗領域を更に有し、
前記電荷検出部を分別する序数に加え、前記排出部の数に相当する数を付加した増大序数によって、複数の前記低比抵抗領域を互いに分別し、
前記フォトダイオード部と前記交点共有領域のそれぞれの境界部に、前記増大序数が同一の前記低比抵抗領域が前記交点共有領域のそれぞれの周囲を囲んで配置され、
前記切替素子は、前記増大序数に対応する数だけ前記低比抵抗領域にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
異なる前記増大序数でそれぞれ順に定義される前記交点共有領域が、前記増大序数に相当する数で互いに近接するように配置された二次元領域を単位胞とし、該単位胞のパターンが、前記画素アレイ部に周期的に敷き詰められたことを特徴とする請求項5に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記複数の切替素子と前記共通の信号読出回路を、それぞれ駆動する水平走査回路と、
前記交点共有領域のそれぞれに配置された複数の前記電荷検出部からの信号を順に個別に読み出すモードと、前記複数の前記電荷検出部からの信号を同時に読み出すモードを切り替えて前記水平走査回路を駆動する制御回路と
を、前記画素アレイ部の周辺に更に備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
照射光を被写体に対して投影する光源と、
光電変換領域、前記光電変換領域から転送された信号電荷をそれぞれ蓄積する複数個の電荷検出部が序数を順に付して配置され、前記照射光が前記被写体により反射した反射光が入射する転送経路制御型の画素をそれぞれ有する複数の多角形が、それぞれ仮想画素区画として定義され、該仮想画素区画を画素アレイ部にタイル貼り充填し、同一序数を有する前記電荷検出部が位置する前記多角形のそれぞれの頂角が接するように、前記仮想画素区画の外形が構成する網目の交点を中心として、前記頂角をそれぞれ切り取った領域として定義され、それぞれ周期的に配置された複数の交点共有領域と、前記仮想画素区画内の残余の領域であって、前記光電変換領域をそれぞれ含む複数のフォトダイオード部とに、前記タイル貼りのトポロジを再区分けした固体撮像装置を有し、
Nを3以上の正の整数として、前記フォトダイオード部と前記交点共有領域のそれぞれの境界部に、同一序数の前記電荷検出部が、N個配置され、前記交点共有領域のそれぞれが、
前記電荷検出部のそれぞれに、第1主電極端子を順に接続されたN個の切替素子と、
前記切替素子のそれぞれの第2主電極端子に入力端子を接続した共通の信号読出回路
を備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項9】
序数を順に付した複数の電荷検出部が配列された転送経路制御型の画素を有する多角形を仮想画素区画として定義し、複数の前記多角形のそれぞれの頂角が接する交点を中心として、前記頂角をそれぞれ切り取った領域として定義された複数の交点共有領域と、前記交点共有領域によって切り取られた残余の領域である複数のフォトダイオード部とに再区分けした固体撮像装置を用いた撮像方法であって、
前記交点共有領域のそれぞれにおいて、
Nを3以上の正の整数として、前記フォトダイオード部と前記交点共有領域のそれぞれの境界部にN個配置された同一序数の前記電荷検出部から
N個の個別の信号を順に読み出すモードと、
N個すべての信号を同時に読み出すモード
を、切り替えて動作させることを特徴とする撮像方法。
【請求項10】
光源から被写体に照射光を投影させるステップと、
前記照射光が前記被写体により反射した反射光により、前記フォトダイオード部で生成された信号電荷を、互いに独立した転送制御機構を用いて、前記電荷検出部にそれぞれ異なるタイミングで、蓄積させるステップと
を、前記個別の信号を順に読み出すモードの前に実施することを特徴とする請求項9に記載の撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離撮像に用いられる固体撮像装置、この固体撮像装置を用いた撮像システム及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体の奥行情報を得る方式の中で、測定対象物まで光が往復する飛行時間を利用して測距を行う光飛行時間(TOF)方式が知られている。即ち、照射光が対象物で反射し、反射光の照射光に対する遅れから対象物までの距離を求める方法である。
【0003】
この場合、反射光の遅れ時間を直接測る直接型と、反射光の位相遅れを測定する間接型とが知られている。間接型においても、パルス発光した照射光の位相遅れから対象物までの距離を求めるパルス変調(PM)型と、正弦波発光した照射光の位相遅れから対象物までの距離を求める連続波変調(CW)型とがある。以下ではPM法にて説明するが、本発明はPM法、CW法どちらにも適用が可能である。また、TOF型画素をCMOSプロセスで形成可能にしたCMOSイメージセンサとすることが低消費電力やシステム一体化に有利であり、以下ではCMOS構成によるTOFについて議論する。
【0004】
反射光の位相遅れを検出する画素の構成方法も種々提案されており、共通の光検出部から複数の読出し部へ位相をずらして読み出す方法が一般的である。本明細書では、以下において、光検出部から信号を読み出す読出し部を「タップ(tap)」と称する。タップの数は最小2あれば良いが、特許文献1に示すように、「排出部」を設けて背景光の除去ができる3以上が望ましく、4であれば非特許文献1に示すように三タップ・一排出部型や、非特許文献2に示すように、四タップ動作が可能になる。
【0005】
CMOS型TOF画素を多数配列し測距撮像を行う距離撮像システムにおいて、多画素化し高解像度化する場合、画素サイズの縮小が必要となり、感度や飽和電子数の低下に伴う距離精度の低下が避けられない。その対策の一つとして、隣接画素間で加算する手法が知られている。本明細書では、以下において、このような隣接画素間で加算する手法を「ビニング(binning)」と称する。しかしながら、四タップ型でビニングすることは構成が非常に複雑となり、実現は容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4235729号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】安富啓太他5名、『三タップ横方向電界電荷変調器を備えた高分解能光飛行時間型距離イメージセンサ(A high-resolution time-of-flight range image sensor with a 3 tap lateral electric field charge modulator)』、2017国際イメージセンサ・ワークショップ(IISW)、R24、p254-257、広島市,2017年5月31日
【文献】S.リー(Lee)他4名、『ライダー(LiDAR)応用のためのSOI基板による完全空乏化検出器の技術を用いた裏面照射型光飛行時間型距離イメージセンサ(A Back-Illuminated Time-of-Flight Image Sensor with SOI-Based Fully Depleted Detector technology for LiDAR Application)』、 学際的デジタル出版協会(MDPI)議事録(Proceedings)、2018年、第2巻、第13号、項目番号798
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、画素アレイ部に配置された複数の画素の信号の加算読み出しモード及び各画素からの単独信号の巡回読出しモードの両方ができる固体撮像装置、この固体撮像装置を用いた撮像システム及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、同一形状の複数の多角形をそれぞれ仮想画素区画として定義して、この仮想画素区画を画素アレイ部にタイル貼り充填した固体撮像装置に関する。第1の態様に係る固体撮像装置の仮想画素区画は、光電変換領域と、光電変換領域の周辺に配置され光電変換領域から転送された信号電荷をそれぞれ蓄積する複数個の電荷検出部をそれぞれ有する転送経路制御型の画素を含んでいる。この転送経路制御型の画素のそれぞれにおいて、複数個の電荷検出部には、互いに分別する序数が付されている。第1の態様に係る固体撮像装置の画素アレイ部は、(a)同一序数を有する電荷検出部が位置する多角形のそれぞれの頂角が接するように、仮想画素区画の外形が構成する網目の交点を中心として、多角形の頂角をそれぞれ切り取った領域として定義され、それぞれ周期的に配置された複数の交点共有領域と、(b)交点共有領域によって切り取られた仮想画素区画内の残余の領域であって、光電変換領域をそれぞれ含む複数のフォトダイオード部とに、タイル貼りのトポロジが再区分けされている。第1の態様に係る固体撮像装置においては、Nを3以上の正の整数として、フォトダイオード部と交点共有領域のそれぞれの境界部に、同一序数の電荷検出部が、N個配置されている。そして、交点共有領域のそれぞれが、電荷検出部のそれぞれに、第1主電極端子を順に接続されたN個の切替素子と、切替素子のそれぞれの第2主電極端子に入力端子を接続した共通の信号読出回路を備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、(a)照射光を被写体に対して投影する光源と、(b)光電変換領域と光電変換領域の周辺に配置され、光電変換領域から転送された信号電荷をそれぞれ蓄積する複数個の電荷検出部を、複数個の電荷検出部を互いに分別する序数を付し、照射光が被写体により反射した反射光が入射する転送経路制御型の画素をそれぞれ有する同一形状の複数の多角形を、それぞれ仮想画素区画として定義し、この仮想画素区画を画素アレイ部にタイル貼り充填し、同一序数を有する電荷検出部が位置する多角形のそれぞれの頂角が接するように、前記仮想画素区画の外形が構成する網目の交点を中心として、頂角をそれぞれ切り取った領域として定義され、それぞれ周期的に配置された複数の交点共有領域と、交点共有領域によって切り取られた仮想画素区画内の残余の領域であって、光電変換領域をそれぞれ含む複数のフォトダイオード部とに、タイル貼りのトポロジを再区分けした固体撮像装置を有する撮像システムであることを要旨とする。第2の態様に係る撮像システムにおいて、Nを3以上の正の整数として、フォトダイオード部と交点共有領域のそれぞれの境界部に、同一序数の電荷検出部が、N個配置されている。そして、交点共有領域のそれぞれが、電荷検出部のそれぞれに、第1主電極端子を順に接続されたN個の切替素子と、切替素子のそれぞれの第2主電極端子に入力端子を接続した共通の信号読出回路を備える。
【0011】
本発明の第3の態様は、序数を付して互いに分別される複数の電荷検出部が配列された転送経路制御型の画素を有する多角形を仮想画素区画として定義し、複数の多角形のそれぞれの頂角が接する交点を中心として、頂角をそれぞれ切り取った領域として定義された複数の交点共有領域と、交点共有領域によって切り取られた残余の領域である複数のフォトダイオード部とに再区分けした固体撮像装置を用いた撮像方法に関する。第3の態様に係る撮像方法においては、Nを3以上の正の整数として、交点共有領域のそれぞれにおいて、フォトダイオード部と交点共有領域のそれぞれの境界部にN個配置された同一序数の電荷検出部から、(a) N個の個別の信号を順に読み出すモードと、(b) N個すべての信号を同時に読み出すモードを、切り替えて動作させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画素アレイ部の複数の画素の信号の加算読み出しモード及び各画素からの単独信号の巡回読出しモードの両方ができる固体撮像装置、この固体撮像装置を用いた撮像システム及び撮像方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る撮像システムの例の一部を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成の例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る固体撮像装置の信号読み出し回路を含めた画素の等価回路の例を示す回路図である。
図4】第1の実施形態に係る固体撮像装置のフォトダイオード部及び転送制御機構部の配置と交点共有領域の関係を説明する概略図である。
図5】第1の実施形態に係る固体撮像装置の第1交点共有領域の構成を示す概略図である。
図6】第1の実施形態に係る固体撮像装置の第4交点共有領域を中心として、他の交点共有領域まで拡大しての回路構成を示す回路図である。
図7】第1の実施形態に係る固体撮像装置の駆動及び読出しの方法を説明するタイミング図である。
図8】第1の実施形態に係る固体撮像装置の信号線の配置例を示す概略図である。
図9】第1の実施形態に係る固体撮像装置の単独画素からの信号の巡回読出しモードを説明するタイミング図である。
図10】第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素からの信号の加算読出しモードを説明するタイミング図である。
図11】第2の実施形態に係る固体撮像装置の画素の例を示す回路図である。
図12】第2の実施形態に係る固体撮像装置のフォトダイオード部及び転送制御機構部の配置構成を示す概略図である。
図13】第2の実施形態に係る固体撮像装置の交点共有領域の構成を示す概略図である。
図14】第2の実施形態に係る固体撮像装置の駆動及び読出しの方法を説明するタイミング図である。
図15】第2の実施形態に係る固体撮像装置の単独画素からの信号の巡回読出しモードを説明するタイミング図である。
図16】第2の実施形態に係る固体撮像装置の画素からの信号の加算読出しモードを説明するタイミング図である。
図17】第3の実施形態に係る固体撮像装置のフォトダイオード部及び転送制御機構部の配置構成を示す概略図である。
図18】第3の実施形態に係る固体撮像装置の信号線の配置例を示す概略図である。
図19】第3の実施形態に係る固体撮像装置の単独画素からの信号の巡回読出しモードを説明するタイミング図である。
図20】第3の実施形態に係る固体撮像装置の画素からの信号の加算読出しモードを説明するタイミング図である。
図21】第4の実施形態に係る固体撮像装置のフォトダイオード部及び転送制御機構部の配置構成を示す概略図である。
図22図22(a)は、第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部を構成する画素区画を1枚の正方形のタイルとみなして、タイルを隙間が出来ないように敷き詰める技術的思想を説明する図で、図22(b)は、フォトダイオード部のパターンに対応する八角形の第1タイルと、交点共有領域のパターンに対応する四角形の第2タイルの二種類のタイルで、第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部がタイル貼りされる技術的思想を説明する図である。
図23図22(b)に示した八角形のタイルとして示されるフォトダイオード部の詳細な平面構造を説明する模式図である。
図24図23のXXIV―XXIV方向から見た、第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部の一部に対応する断面の概略を説明する模式図である。
図25図22(b)に示した二種類のタイル貼りの、他のトポロジを説明する図である。
図26】その他の実施形態に係る固体撮像装置の例として、八タップ型の画素からなる画素アレイ部を構成する交点共有領域の一つに着目し、交点共有領域の構造の概略を説明する模式的な平面図である。
図27】その他の実施形態に係る固体撮像装置の他の例として、三角形の仮想画素区画をタイル貼りしたトポロジにおける画素アレイ部の一部の概略を説明する模式的な平面図である。
図28】その他の実施形態に係る固体撮像装置の更に他の例として、六角形の仮想画素区画をタイル貼りしたトポロジにおける画素アレイ部の一部の概略を説明する模式的な平面図で、単位胞の周期的配列を示す。
図29図28の一部を拡大して示す模式的な平面図である。
図30】その他の実施形態に係る固体撮像装置の更に他の例として、五角形の仮想画素区画をタイル貼りしたトポロジにおける画素アレイ部の一部の概略を説明する模式的な平面図である。
図31図30の一部を拡大して示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の第1~第4の実施の形態を説明する。第1~第4の実施形態に係る固体撮像装置に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
又、第1~第4の実施形態に係る固体撮像装置は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、回路素子や回路ブロックの構成や配置、或いは半導体チップ上でのレイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
尚、以下の第1~第4の実施形態の説明では、第1伝導型をp型、第2伝導型をn型として説明するが、第1伝導型をn型、第2伝導型をp型としても、電気的な極性を反対にすれば同様な効果が得られることは容易に理解できるであろう。この場合、パルス波形のハイレベルとローレベルも、当業者の技術常識に応じて、適宜反転する必要が発生する場合もあることは勿論である。
【0017】
例えば、以下の図2図4等では、説明の便宜上、複数の画素区画が画素アレイ部に二次元マトリクス状に配置されたトポロジを示すが、単なる例示に過ぎない。画素アレイ部に1次元的に画素区画が配列されたラインセンサのレイアウトでも構わない。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る撮像システム11のシステムのTOF型の距離撮像が可能な構成の一部を図1に示す。ここで図1に示す撮像システム11の一部は、照射光17を被写体16に対して投影する光源12、照射光17が被写体16により反射し、反射光18が入射する結像光学系13、TOF型の固体撮像装置14、画像処理回路15とから構成される。
【0019】
図1に示した固体撮像装置14の構成の一部を図2に示す。図2に示すように、第1の実施形態に係る固体撮像装置14は、複数の転送経路制御型の画素をそれぞれ含む仮想画素区画Xij(i=1~m1、j=1~n1:m1,n1はそれぞれ2以上の正の整数。)を網目状に配列し、画素アレイ部1を平面充填(タイル貼り)して、四タップ型距離撮像を可能にしている。「転送経路制御型の画素」とは、従来TOF型として知られているような信号電荷の転送経路、及び転送方向が、それぞれ独立して振り分け可能な画素を意味する。
【0020】
ピタゴラスが証明したとおり、一種類で平面を平行移動と反転だけで隙間が出来ないように敷き詰めることができる正多角形の形状は,正三角形、正方形、正六角形の三種類のみである。しかし、正多角形という条件を外し,また回転も許すことにすると非凸図形も含め,どのような三角形・四角形でも隙間が出来ないようにタイル貼り可能である。図2に示す第1の実施形態に係る固体撮像装置14は、例として四角形の仮想画素区画Xijを網目状に配列して画素アレイ部1を隙間が出来ないようにタイル貼りして充填している。
【0021】
更に、第1の実施形態に係る固体撮像装置は、各画素を駆動する垂直走査回路22及び水平走査回路23、画素からの信号を処理する信号処理回路24、これら全体を制御する制御回路25を画素アレイ部1の周辺に配置している。
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置を用いてTOF距離撮像をするための回路構成を図3に示す。幾何数学における「平面充填形」の一種である四角形をなす仮想画素区画Xijは、転送経路制御型の画素の一部を構成する一つのフォトダイオード部PDと、フォトダイオード部PDに接続された四つの転送制御機構を備える。
【0023】
なお、本明細書で用いる「平面充填形」とは、小さな三角形等の隙間が発生しないように、平行移動と反転だけで、一種類のパターンで平面を完全に敷き詰めることができる形状を意味する。ピタゴラスが証明した正三角形、正方形、正六角形の三つの正多角形は「正平面充填形」と呼ばれる。同様に、本明細書で用いる「タイル貼り充填」や「平面敷き詰め」の用語は、小さな三角形等他の形状の隙間が出来ないように、平面を完全に敷き詰めることを意味し、この場合は、本明細書の後段の「その他の実施形態」等で説明するとおり、正多角形による敷き詰めに限定されず、回転も許容される。
【0024】
四つの転送制御機構は、それぞれ、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4と、第1~第4の序数(順序数詞)を付して分別されて、四タップ型の画素を構成している。第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4は、四タップに対応する信号電荷の転送経路、及び転送方向をそれぞれ独立して制御する。
【0025】
第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4のそれぞれは、図24に示すようなMOSトランジスタに類似な絶縁ゲート型の転送制御機構であっても、横方向電界制御型の転送制御機構であっても構わない。図24においては、ゲート絶縁膜35の上に設けられたゲート電極36a,36b,36cによって、第1導電型(p型)の半導体基板31の表面ポテンシャルを制御する絶縁ゲート型の転送制御機構を例示的に説明している。
【0026】
四つの転送制御機構G1~G4のそれぞれには第1電荷検出部FD1、第2電荷検出部FD2、第3電荷検出部FD3及び第4電荷検出部FD4が、それぞれ序数で分別されて接続されている。図3では、第1電荷検出部FD1に一方の端子を接地した第1検出部容量C1の他方の端子が接続され、第1電荷検出部FD1の蓄積容量を増大可能にしている。同様に、第2電荷検出部FD2に一方の端子を接地した第2検出部容量C2の他方の端子が接続され、第2電荷検出部FD2の蓄積容量を増大可能にしている。
【0027】
図24には、仮想画素区画Xi,(j+1)の画素の光電変換領域が、p型の半導体基板31と、半導体基板31の上部に選択的に埋めこまれた第2導電型(n型)の表面埋込領域32aとのp-n接合で構成されることを例示的に説明している。表面埋込領域32aの上にはp+型のピニング層33aが配置されている。図24に示すように、半導体基板31の上部には、n型の不純物を高濃度に添加した領域(n+領域)34a,34b,34cがそれぞれ離間して埋めこまれている。
【0028】
図24に示すように、半導体基板31の上面にはゲート絶縁膜35が設けられている。ゲート絶縁膜35の上に設けられたゲート電極36bによって、絶縁ゲート型の第1転送制御機構G1が構成され、フォトダイオード部PD(i, j+1)の信号電荷が、n+領域34bが構成する第1電荷検出部FD1に転送される。又、ゲート絶縁膜35の上に設けられたゲート電極36aによって、絶縁ゲート型の第4転送制御機構G4が構成され、フォトダイオード部PD(i, j+1)の信号電荷が、n+領域34aが構成する第4電荷検出部FD4に転送される。更に、図24のゲート絶縁膜35の上に設けられたゲート電極36cによって、絶縁ゲート型の第1転送制御機構G1が構成され、フォトダイオード部PD(i+1, j)の信号電荷が、n+領域34cが構成するフォトダイオード部PD(i+1, j)の第1電荷検出部FD1に転送されることを例示的に説明している。
【0029】
更に、図3に示すように第3電荷検出部FD3に一方の端子を接地した第3検出部容量C3の他方の端子が接続され、第4電荷検出部FD4に一方の端子を接地した第4検出部容量C4の他方の端子が接続され、それぞれ第3検出部容量C3及び第4検出部容量C4の蓄積容量を増大可能にしている。ただし、図3でそれぞれの電荷検出部FD1~FD4に付加される第1検出部容量C1、第2検出部容量C2、第3検出部容量C3及び第4検出部容量C4は、意図的に設計された個別の容量素子であっても、寄生的な浮遊容量であってもかまわない。例えば、四つの検出部容量C1~C4のそれぞれは、電荷検出部FD1~FD4の接合容量であっても良い。
【0030】
図3の第1電荷検出部FD1には、ドレイン端子を電源線VRDに接続した第1リセット・トランジスタRT1のソース端子が接続されている。同様に、第2電荷検出部FD2には、ドレイン端子を電源線VRDに接続した第2リセット・トランジスタRT2のソース端子が接続されている。更に、第3電荷検出部FD3には、ドレイン端子を電源線VRDに接続した第3リセット・トランジスタRT3のソース端子が接続され、第4電荷検出部FD4には、ドレイン端子を電源線VRDに接続した第4リセット・トランジスタRT4のソース端子が接続されている。各電荷検出部FD1~FD4に信号電荷が蓄積されたことによる、各電荷検出部FD1~FD4のそれぞれの電位は第1リセット・トランジスタRT1、第2リセット・トランジスタRT2、第3リセット・トランジスタRT3及び第4リセット・トランジスタRT4のそれぞれによりリセット(初期化)される。
【0031】
図3の第1電荷検出部FD1には第1ソースフォロワ・トランジスタSF1のゲート端子が接続されている。同様に、第2電荷検出部FD2には第2ソースフォロワ・トランジスタSF2のゲート端子が接続されている。更に、第3電荷検出部FD3には第3ソースフォロワ・トランジスタSF3のゲート端子が接続され、第4電荷検出部FD4には第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のゲート端子が接続されている。第1ソースフォロワ・トランジスタSF1のドレイン端子は電源線VDDに接続され、ソース端子は第1選択トランジスタSL1のソース端子に接続されている。同様に、第2ソースフォロワ・トランジスタSF2のドレイン端子は電源線VDDに接続され、ソース端子は第2選択トランジスタSL2のソース端子に接続されている。
【0032】
更に、第3ソースフォロワ・トランジスタSF3のドレイン端子は電源線VDDに接続され、ソース端子は第3選択トランジスタSL3のソース端子に接続され、第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のドレイン端子は電源線VDDに接続され、ソース端子は第4選択トランジスタSL4のソース端子に接続されている。
【0033】
各電荷検出部FD1~FD4のリセット電位及び信号転送後の信号電位は、第1ソースフォロワ・トランジスタSF1、第2ソースフォロワ・トランジスタSF2、第3ソースフォロワ・トランジスタSF3及び第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のそれぞれで増幅後、第1選択トランジスタSL1、第2選択トランジスタSL2、第3選択トランジスタSL3及び第4選択トランジスタSL4のそれぞれのドレイン端子から、第1出力信号O1、第2出力信号O2、第3出力信号O3及び第4出力信号O4として出力される。各出力信号O1~O4として、それぞれ読み出されたリセット電位及び信号電位は、図2に示した信号処理回路24で両者の差分を取る相関二重サンプリング(CDS)処理が行われ、正味の信号が得られる。
【0034】
図3に示した仮想画素区画Xijを、図2に示すように画素アレイ部1に二次元マトリクス(網目)状に配列することで、第1の実施形態に係る四タップ型の固体撮像装置14が構成される。第1の実施形態に係る固体撮像装置における単独画素からの信号の巡回読出しのモードと2×2交点共有領域の画素からの信号の加算読出しのモードを共に可能にする手法を、図4を参照して説明する。図4に、四タップ型TOF動作を実施する固体撮像装置14の画素アレイ部1の一部に含まれる仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)について、それぞれのフォトダイオード部PD、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4を示す。図4の中央部に、仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)のそれぞれのフォトダイオード部PD(i, j)、フォトダイオード部PD(i+1,j)、フォトダイオード部PD(i,j+1)及びフォトダイオード部PD(i+1,j+1)を示す。
【0035】
仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)は二次元マトリクス(網目)状に配置され、隙間が出来ないようにタイル貼りされている。隣接する四つの仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)のそれぞれの四つの転送制御機構のうちで、同一の序数で分別、分類される同種の転送制御機構が互いに近接するように仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)のそれぞれの位置を設定する。この配置設定によって、同一の序数を有する同種の転送制御機構によって仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)に対するモード切替回路が囲まれた同一序数包囲領域が形成される。
【0036】
四つの隣接する第1転送制御機構G1のそれぞれによって囲まれた四角形の同一序数包囲領域を「第1交点共有領域41」と定義する。第1交点共有領域41は、図22(a)に示した四つの仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)の外周が定義する網目の交点P1を中心とし、交点P1を共有する敷地である。第1交点共有領域41は、図22(b)に示すように四つの仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)のそれぞれの第1転送制御機構G1が位置する頂角を面取りして形成される四角形の領域である。
【0037】
同様に、四つの隣接する第2転送制御機構G2によって囲まれた四角形の同一序数包囲領域を「第2交点共有領域42」と定義する。第2交点共有領域42は、図22(a)に示した四つの仮想画素区画X(i-1),j,X(i-1),(j+1),Xi,j,Xi,(j+1)の外周が定義する網目の交点P2を中心とし、交点P2を共有する敷地である。第2交点共有領域42は、図22(b)に示すように交点P2において、四つの仮想画素区画X(i-1),j,X(i-1),(j+1),Xi,j,Xi,(j+1)のそれぞれの第2転送制御機構G2が位置する頂角を面取りして形成される四角形の領域である。
【0038】
更に、四つの隣接する第3転送制御機構G3及び四つの隣接する第4転送制御機構G4のそれぞれによって囲まれた四角形の同一序数包囲領域をそれぞれ、「第3交点共有領域43」及び「第4交点共有領域44」とする。第3交点共有領域43は、図22(a)に示した四つの仮想画素区画Xi,(j+1),Xi,(j+2),X(i+1),(j+1),X(i+1),(j+2)の外周が定義する網目の交点P3を中心とし、交点P3を共有する敷地である。第3交点共有領域43は、図22(b)に示すように交点P3において、四つの仮想画素区画Xi,(j+1),Xi,(j+2),X(i+1),(j+1),X(i+1),(j+2)のそれぞれの第3転送制御機構G3が位置する頂角を面取りして形成される四角形の領域である。
【0039】
第4交点共有領域44は、図22(a)に示した四つの仮想画素区画X(i-1),(j+1),X(i-1),(j+2),Xi,(j+1),Xi,(j+2)の外周が定義する網目の交点P4を中心とし、交点P4を共有する敷地である。第4交点共有領域43は、図22(b)に示すように交点P4において、四つの仮想画素区画X(i-1),(j+1),X(i-1),(j+2),Xi,(j+1),Xi,(j+2)のそれぞれの第4転送制御機構G4が位置する頂角を面取りして形成される四角形の領域である。例えば、仮想画素区画Xi,(j+1)に着目すると、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4が位置する四つの頂角がそれぞれ面取りされて切り取られるので、四角形の仮想画素区画Xi,(j+1)は、図22(b)に示すように不等辺八角形のフォトダイオード部PD(i, j+1)の外形が定義される。
【0040】
他の仮想画素区画Xij,X(i+1),j,X(i+1),(j+1)等も同様に、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4が位置する四つの頂角がそれぞれ面取りされて切り取られるので、不等辺八角形のフォトダイオード部PD(i, j),PD(i+1, j),PD(i+1, j+1)等の外形が定義される。よって、図2では、四角形の仮想画素区画Xijを画素アレイ部1に隙間が出来ないようにタイル貼りして充填していると説明したが、実際には、図22から分かるように、フォトダイオード部PD(i, j)が占有する不等辺八角形の第1タイルと、第1交点共有領域41、第2交点共有領域42、第3交点共有領域43及び第4交点共有領域44が占有する四角形の第2タイルの二種類のタイル貼り充填になる。
【0041】
図22(b)のフォトダイオード部PD(i, j+1)の内部構造は、図23及び図24に示すように、フォトダイオード部PD(i, j+1)の内部を占有する表面埋込領域32aが定義する不等辺八角形の光電変換領域と、光電変換領域を囲む素子分離領域からなる平面パターンで示される。即ち、仮想画素区画Xi,(j+1)の画素の実効的なフォトダイオードとして機能する光電変換領域は図22(b)に示した不等辺八角形の第1タイルよりも小さな面積の不等辺八角形の領域である。よって、それぞれの画素において:

(仮想画素区画)>(フォトダイオード部)>(光電変換領域)

という面積関係になる。
【0042】
図24に示すように、仮想画素区画Xi,(j+1)の画素の光電変換領域は、p型の半導体基板31と、半導体基板31の上部に選択的に埋めこまれた表面埋込領域32aとのp-n接合で構成されている。表面埋込領域32aの上にはp+型のピニング層33aが配置されている。図23に示すように、フォトダイオード部PD(i, j+1)に対応して、フォトダイオード部PD(i, j+1)の周辺には四つのn+領域が電荷検出部として設けられている。
【0043】
図4に示すように、同一序数でそれぞれ定義される第1交点共有領域41、第2交点共有領域42、第3交点共有領域43及び第4交点共有領域44の2×2組の、互いに異なる序数の交点共有領域が含まれる単位パターン領域(敷地)を四タップ型の「単位胞49」としたとき、この単位胞49を周期的パターンの単位として、各仮想画素区画Xij図2に示した画素アレイ部1に繰り返し配置される。
【0044】
図4の各仮想画素区画Xijの内部に太い破線の矢印で示す第1電荷転送方向D1は、それぞれ、各仮想画素区画Xijのフォトダイオード部PD(i, j)から第1転送制御機構へ向かって信号電荷が転送され振り分けられる方向を示す。同様に、実線の矢印で示す第2電荷転送方向D2は、それぞれ、各仮想画素区画Xijのフォトダイオード部PD(i, j)から第2転送制御機構へ向かって信号電荷が転送され振り分けられる方向を示す。又、図4の各仮想画素区画Xijの内部に一点鎖線の矢印で示す第3電荷転送方向D3は、それぞれ、各仮想画素区画Xijのフォトダイオード部PD(i, j)から第3転送制御機構へ向かって信号電荷が転送され振り分けられる方向を示す。更に、第1電荷転送方向D1よりも細い破線の矢印で示す第4電荷転送方向D4は、それぞれ、各仮想画素区画Xijのフォトダイオード部PD(i, j)から第4転送制御機構へ向かって信号電荷が転送され振り分けられる方向を示す。
【0045】
各仮想画素区画Xijでは、フォトダイオード部PD(i, j)の周辺の四つの頂点に四つの転送制御機構G1~G4が配置されるが、それらの画素内での配置位置は単位胞49の内部の座標位置より巡回的に異なる周期的パターンを有する。周期的パターン中の巡回位置に伴い、フォトダイオード部PD内の電荷転送方向D1~D4も図の矢印で示すように、単位胞49中の仮想画素区画Xijの座標位置より巡回的に異なる方位を有する。しかし、図4に示す仮想画素区画Xijは、中心点となるフォトダイオード部PD(i, j)に対して上下方向及び左右方向共に対称であり、各電荷転送方向D1~D4のいずれの方向も電荷転送に対して等価となる。従って、図4に示すすべての仮想画素区画Xijは等価とみなせる。
【0046】
なお、図4において、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4それぞれの位置を、上記周期性は維持したまま入れ替えることは可能である。また、図4では4種類の転送制御機構G1~G4の画素内での配置位置(序数配列)が2×2交点共有領域を含む単位胞49を単位として繰り返す巡回周期パターンとしたが、矩形をなす2×2の交点共有領域が含まれる範囲が単位胞49であるので、一単位胞49の面積の中には2×2の仮想画素区画が収まる。隣接する単位胞49の列で、仮想画素区画の長さ相当分の位置を、列方向に互いにずらして繰り返し配置しても良い。その場合の例は、第2の実施形態の図12で説明する。
【0047】
交点共有領域に配置されるモード切替回路の詳細を図5に示す。ここでは図4に示すフォトダイオード部の内から、フォトダイオード部PD(i, j)、PD(i+1,j)、PD(i,j+1)及びPD(i+1,j+1)の中央に位置する第1交点共有領域41について示す。図22(a)に示すように、仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)の四角形の外形が構成する網目の交点P1に四つの四角形の頂角が接している。第1交点共有領域41は、交点P1を中心として四角形の頂角をそれぞれ切り取った領域として定義された菱形の領域である。図5においては、第1交点共有領域41の周辺にドット(・)として四つの第1電荷検出部FD1(図3参照。)を示している。四つの第1電荷検出部FD1のそれぞれを分別するために、図5の左上のフォトダイオード部PD(i, j)に接続される第1電荷検出部FD1を「第1低比抵抗領域FD11」と、新たな序数を第1電荷検出部FD1に付して再定義している。図23の右上には、p型の半導体基板の上部にn型の不純物を高濃度に添加した領域(n+領域)として、図5の第1低比抵抗領域FD11を示している。図3と同様に、第1低比抵抗領域FD11には、一方の端子を接地した第1拡張容量C11の他方の端子が接続されている。
【0048】
図5においては、第1交点共有領域41の周辺に四つの容量が配列されている。四つの容量のそれぞれを分別するために、図5の左上のフォトダイオード部PD(i, j)側に位置する第1検出部容量C1を「第1拡張容量C11」と、新たな序数を付して再定義している。即ち、図5において再定義する「第1拡張容量C11」は、図3に示した第1検出部容量C1に対応する。更に、第1低比抵抗領域FD11には第1切替素子T11の第1主電極端子が接続され、第1切替素子T11の第2主電極端子は第1ソースフォロワ・トランジスタSF1のゲート端子が接続されている。第1切替素子T11がMOSFET等のMOSトランジスタであれば、第1主電極端子はソース端子に相当し、第2主電極端子はドレイン端子に相当する。図5の共通の信号読出回路A1を構成する第1ソースフォロワ・トランジスタSF1は、図3に示した信号読出回路A1を構成する第1ソースフォロワ・トランジスタSF1に対応する。第1ソースフォロワ・トランジスタSF1のゲート端子は、信号読出回路A1の入力端子として機能する。
【0049】
同様に、図5の右上のフォトダイオード部PD(i+1,j)に接続される第1電荷検出部FD1を「第2低比抵抗領域FD12」と定義している。図24に示すp型の半導体基板31の上部に選択的に埋め込まれたn+領域34cが、第2低比抵抗領域FD12に対応する。第2低比抵抗領域FD12には、一方の端子を接地した第2検出部容量の他方の端子が接続されている。図5において再定義する「第2拡張容量C12」は、図3に示した第1検出部容量C1に対応する。更に、第2低比抵抗領域FD12には第2切替素子T12の第1主電極端子が接続され、第2切替素子T12の第2主電極端子は共通の信号読出回路A1の入力端子が接続されている。
【0050】
又、図5の左下のフォトダイオード部PD(i,j+1)に接続される第1電荷検出部FD1を「第3低比抵抗領域FD13」と定義している。図24に示すn+領域34bが、第3低比抵抗領域FD13である。第3低比抵抗領域FD13には、一方の端子を接地した第3検出部容量の他方の端子が接続されている。図5において再定義する「第3拡張容量C13」は、図3に示した第1検出部容量C1に対応する。更に、第3低比抵抗領域FD13には第3切替素子T13の第1主電極端子が接続され、第3切替素子T13の第2主電極端子は共通の信号読出回路A1の入力端子が接続されている。
【0051】
更に、図5の右下のフォトダイオード部PD(i+1,j+1)に接続される第1電荷検出部FD1を「第4低比抵抗領域FD14」と定義している。図23の右上の領域に示す、p型の半導体基板に選択的に設けられたn+領域が、第4低比抵抗領域FD14に対応する。第4低比抵抗領域FD14には、一方の端子を接地した第4検出部容量の他方の端子が接続されている。図5において再定義する「第4検出部容量C14」は、図3に示した第1検出部容量C1に対応する。更に、第4低比抵抗領域FD14には第4切替素子T14の第1主電極端子が接続され、第4切替素子T14の第2主電極端子は共通の信号読出回路A1の入力端子が接続されている。
【0052】
即ち、図5において、四つのフォトダイオード部PD(i, j)、PD(i+1,j)、PD(i,j+1)及びPD(i+1,j+1)のそれぞれの同一の序数で分類される転送制御機構である第1転送制御機構G1にはそれぞれ、図3に示した第1検出部容量C1に対応する容量が付加された第1低比抵抗領域FD11、第2低比抵抗領域FD12、第3低比抵抗領域FD13及び第4低比抵抗領域FD14がそれぞれ接続されている。四つの低比抵抗領域FD11~FD14から出力される各電荷検出部信号は、それぞれ第1切替素子T11、第2切替素子T12、第3切替素子T13及び第4切替素子T14を介して共通の信号読出回路A1へ入力される。
【0053】
第1ソースフォロワ・トランジスタSF1から出力された信号は、共通の信号読出回路A1を構成する第1選択トランジスタSL1を介して第1信号線Sig1へ出力される。四つの仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)の画素からの信号をそれぞれ独立して読み出すモードの場合には、切替素子T11~T14を順次オンにすることで4回に分けて読み出す。2×2の交点共有領域が含まれる単位胞に含まれる画素からの信号を加算して読み出すモードの場合は、切替素子T11~T14を同時オンすることで1回で読み出す。
【0054】
図5に示すように、第1転送制御機構G1を含む第1交点共有領域41は、切替素子T11~T14、第1ソースフォロワ・トランジスタSF1、第1選択トランジスタSL1及び第1リセット・トランジスタRT1をさらに含む。図示を省略しているが、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3、第4転送制御機構G4にそれぞれ設定される交点共有領域の回路構成も、各トランジスタ等の素子に付される序数(順序数詞)が異なる以外は第1交点共有領域41と同じ構成である。
【0055】
なお、図5において、各ゲートの駆動信号線は一部のみを例示的に示す。即ち、第1転送制御機構駆動線ΦG1、リセット・トランジスタ駆動線ΦRT、選択トランジスタ駆動線ΦSLは示すが、同じ行にある第2転送制御機構駆動線、切替素子T11~T14の駆動線が必要となるが記載していない。これら駆動線は主に横配線方向となるが、グローバル動作となる各転送制御機構G1~G4は縦配線方向も可能である。また、縦方向配線では第1信号線Sig1の他、電源線も必要となるが記載しない。
【0056】
図3に対応させて図5の回路構成を、2×2の交点共有領域が含まれる単位胞分について拡大した回路構成を、四つのフォトダイオード部PD(p,q)、PD(p+1,q)、PD(p,q+1)及びPD(p+1,q+1)に着目して図6に示す(p=1~m2、q=1~n2:m2,n2はそれぞれ2以上の正の整数。)。図6に示すように、同じ回路構成のパターンの繰り返しであるが、各転送制御機構G1~G4の配置は図4に対応する。図6に示した2×2の交点共有領域が含まれる単位胞の中央に位置する第4交点共有領域44においては、隣接するフォトダイオード部PD(p,q)、PD(p+1,q)、PD(p,q+1)及びPD(p+1,q+1)の転送制御機構はG4である。
【0057】
図6の左上のフォトダイオード部PD(p,q)に接続される第4電荷検出部FD4を「第1低比抵抗領域FD41」と定義している。図3と同様に、第1低比抵抗領域FD41には、それぞれ一方の端子を接地した第1拡張容量C41a及び第1補助容量C41bの他方の端子が接続されている。図6の「第1拡張容量C41a」は、図3に示した第4検出部容量C4に対応する。第1補助容量C41bの値は撮像対象からの光強度に応じて設定すればよく、場合によっては第1補助容量C41bを省略しても構わない。更に、第1低比抵抗領域FD41には第1切替素子T41の第1主電極端子が接続され、第1切替素子T41の第2主電極端子は共通の信号読出回路A4を構成する第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のゲート端子が接続されている。図6の共通の信号読出回路A4を構成する第4ソースフォロワ・トランジスタSF4は、図3に示した第4ソースフォロワ・トランジスタSF4に対応し、図6の第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のゲート端子は、信号読出回路A4の入力端子として機能する。
【0058】
同様に、図6の右上のフォトダイオード部PD(p+1,q)に接続される第4電荷検出部FD4を「第2低比抵抗領域FD42」と定義している。第2低比抵抗領域FD42には、それぞれ一方の端子を接地した第2拡張容量C42a及び第2補助容量C42bの他方の端子が接続されている。図6の「第2拡張容量C42a」は、図3に示した第4検出部容量C4に対応する。第2補助容量C42bの値は撮像対象からの光強度に応じて設定すればよく、場合によっては第2補助容量C42bを省略しても構わない。更に、第2低比抵抗領域FD42には第2切替素子T42の第1主電極端子が接続され、第2切替素子T42の第2主電極端子は共通の信号読出回路A4を構成する第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のゲート端子が接続されている。
【0059】
又、図6の左下のフォトダイオード部PD(p,q+1)に接続される第4電荷検出部FD4を「第3低比抵抗領域FD43」と定義している。第3低比抵抗領域FD43には、それぞれ一方の端子を接地した第3拡張容量C43a及び第3補助容量C43bの他方の端子が接続されている。図6の「第3拡張容量C43a」は、図3に示した第4検出部容量C4に対応する。第3補助容量C43bの値は撮像対象からの光強度に応じて設定すればよく、場合によっては第3補助容量C43bを省略しても構わない。更に、第3低比抵抗領域FD43には第3切替素子T43の第1主電極端子が接続され、第3切替素子T43の第2主電極端子は共通の信号読出回路A4を構成する第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のゲート端子が接続されている。
【0060】
更に、図6の右下のフォトダイオード部PD(p+1,q+1)に接続される第4電荷検出部FD4を「第4低比抵抗領域FD44」と定義している。第4低比抵抗領域FD44には、それぞれ一方の端子を接地した第4検出部容量C44a及び第4補助容量C44bの他方の端子が接続されている。図6の「第4検出部容量C44a」は、図3に示した第4検出部容量C4に対応する。第4補助容量C44bの値は撮像対象からの光強度に応じて設定すればよく、場合によっては第4補助容量C44bを省略しても構わない。更に、第4低比抵抗領域FD44には第4切替素子T44の第1主電極端子が接続され、第4切替素子T44の第2主電極端子は共通の信号読出回路A4を構成する第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のゲート端子が接続されている。
【0061】
即ち、図6において、四つのフォトダイオード部PD(p,q)、PD(p+1,q)、PD(p,q+1)及びPD(p+1,q+1)のそれぞれの画素中で、同一の序数で分類される転送制御機構である第4転送制御機構G4には、それぞれ図3に示した第4検出部容量C4に対応する容量及び補助容量が付加された第1低比抵抗領域FD41、第2低比抵抗領域FD42、第3低比抵抗領域FD43及び第4低比抵抗領域FD44がそれぞれ接続されている。
【0062】
第4交点共有領域44に定義される四つの低比抵抗領域FD41~FD44から出力される各電荷検出部信号は、それぞれ第1切替素子T41、第2切替素子T42、第3切替素子T43及び第4切替素子T44を介して共通の信号読出回路A4の入力端子を構成する、第4ソースフォロワ・トランジスタSF4のゲート端子へ入力される。図6において、配線は第4交点共有領域44での、リセット・トランジスタ駆動線ΦRT、選択トランジスタ駆動線ΦSL、及び第1出力信号線Sig1と、左右に隣接する第2出力信号線Sig2のみを示す。配線全体の構成例については、図8を用いて後述する。
【0063】
図5に示した第1交点共有領域41とその周辺の画素の構成において、四タップ方式で駆動するタイミングを図7に示す。なお、以下ではパルス波変調方式の場合について説明するが、本発明は正弦波変調方式の場合にも適用することができる。正弦波変調方式の場合、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3、第4転送制御機構G4は、位相0°、90°、180°、270°に対応する。パルス波変調方式の動作は、まずフレーム期間の前半を、図7(a)に示すように発光パルスに同期して全仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1) の画素に含まれる四タップのそれぞれに同時に電荷を振り分け蓄積するグローバル蓄積期間とする。四つの転送制御機構G1~G4は、短いパルス幅Twと繰り返し周期Toのパルスが各々重ならないタイミングで繰り返し動作する。蓄積期間が終了すると、各仮想画素区画Xijの画素から行順次(ローリング)で読み出し動作のモードが行われる。
【0064】
まず、すべての仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)の画素からの信号を加算せず独立して読み出すモードを図7(b)に示す。図5の第1選択トランジスタSL1をオン状態にして切替素子T11~T14を駆動する切り替え信号T1~T4を順次オンにすることで、各仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)の第1電荷検出部FD1に対応する第1低比抵抗領域FD11、第2低比抵抗領域FD12、第3低比抵抗領域FD13及び第4低比抵抗領域FD14の信号を順次読み出す。ここで、各切替素子T11~T14のそれぞれの導通状態(オン状態)は互いに重ならないことが望ましい。各切替素子T11~T14のオン期間の途中でリセット・トランジスタRTをオンオフし、それぞれの検出部のリセット信号を得る。即ち、1本の信号線に時間順次で4種の信号/リセットの組を得る。信号線の後段でCDS動作を行えば、上記4種の正味の信号を得ることができる。
【0065】
次に、2×2の交点共有領域が含まれる単位胞で加算して読み出すモードを図7(c)に示す。図5に示した第1選択トランジスタSL1をオン状態にして切替素子T11~T14を、切り替え信号T1~T4によって同時にオンにすることで、各仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)の第1電荷検出部FD1に対応する第1低比抵抗領域FD11、第2低比抵抗領域FD12、第3低比抵抗領域FD13及び第4低比抵抗領域FD14の信号を加算した後、加算信号を読み出す。切替素子T11~T14の同時オン期間の途中で図5の第1リセット・トランジスタRT1をオンオフし、加算後の検出部のリセット信号を得る。即ち、1本の信号線に加算した一種類の信号/リセットの組を得る。信号線の後段でCDS動作を行えば、加算後の正味の信号を得ることができる。
【0066】
図4及び図5に示した本発明の二次元画素配列において、各種信号線の配線の仕方には様々なバリエーションがあり、一例を図8に示す。グローバル動作となる転送制御機構G1~G4の駆動配線については縦方向、横方向どちらも可能であるが、図8では横方向での例である。また、1配線で上下二つの回路を共有して駆動させることで、奇数行は上段側の転送制御機構G1、G2のみ、偶数行は下段側の転送制御機構G3、G4のみとすることができ、配線数を削減している。
【0067】
切替素子Tc1~Tc4(c=1~4:G1~G4に対応する)は行順次の駆動モードであるが、2行同時駆動とし、転送制御機構G1~G4と同様に奇数行は第1切替素子Tc1、第2切替素子Tc2のみ、偶数行は第3切替素子Tc3、第4切替素子Tc4のみとすることができ、配線数を削減している。第cリセット・トランジスタRTc(c=1~4:G1~G4に対応する)、第c選択トランジスタSLcはそれぞれ行順次であり、各駆動線は1行毎に配線する。縦配線は、二つの出力信号線Sig1、Sig2と、電源配線VDDである。出力信号線Sig1、Sig2は水平方向1画素置きに交互の配置となる。
【0068】
図4図5及び図8に示した第1の実施形態に係る固体撮像装置の二次元画素配列において、すべての仮想画素区画Xijの画素からの信号を同時加算せず、独立して順次読み出すモードにおける、出力信号線Sig1及びSig2のタイミングを図9に示す。ここでは読み出しラインが(k-1)行目、k行目及び(k+1)行目について示すが、他の行も同様の繰り返しとなる。図9において、例として仮想画素区画X(i+1),(j+1)及び仮想画素区画X(i+1),jの画素の信号について右上がりの斜線によって区別して図示する。仮想画素区画X(i+1),(j+1)及び仮想画素区画X(i+1),jの転送制御機構G1~G4に対応する信号は二つの信号線及び四つのタイムスロットに分散しているが規則的である。このように、特定の仮想画素区画Xijの画素の信号について、四つの転送制御機構G1~G4に対応する信号を規則的に得ることができ、後段で一体化処理して距離情報を得ることができる。
【0069】
図4図5及び図8に示した本発明の二次元画素配列において、2×2の交点共有領域が含まれる単位胞の画素からの信号を同時加算して読み出すモードにおける、出力信号線Sig1及びSig2のタイミングを図10に示す。ここでは読み出しラインが(k-1)行目、k行目及び(k+1)行目について示すが、他の行も同様の繰り返しとなる。2×2の交点共有領域が含まれる単位胞の画素の信号について、四つの転送制御機構G1~G4に対応する信号は、第1出力信号線Sig1からは転送制御機構G1及びG3の信号が、第2出力信号線Sig2からは転送制御機構G2及びG4の信号が得られる。加算読出しの場合、転送制御機構の種類(序数)によって、図8に示すように同時加算の範囲が異なる。
【0070】
図8に示すように、例えば特定仮想画素区画X(i+1),(j+1)のPD(i+1,j+1)に着目した場合、同時加算範囲の広がりは、第1転送制御機構G1は第1加算領域81、第2転送制御機構G2は第2加算領域82、第3転送制御機構G3は第3加算領域83、第4転送制御機構G4は第4加算領域84の範囲となって、3×3画素内に収まり、距離計算上許容範囲である。
【0071】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置における転送経路制御型の画素の回路構成を図11に示す。図11に示す三タップ・一排出部型TOF画素をそれぞれ含む仮想画素区画Xijと、図3に示す四タップ型TOF画素を含む仮想画素区画Xijを比較すると、図3においてフォトダイオード部PDに接続されている第4転送制御機構G4、第4電荷検出部FD4、第4検出部容量C4、第4リセット・トランジスタRT4、第4ソースフォロワ・トランジスタSF4、第4選択トランジスタSL4が、図11においてはフォトダイオード部PDに接続されておらず、第4転送制御機構G4の代わりに電荷排出機構GDが接続されている。電荷排出機構GDは、背景光(環境光)に起因した電荷等の信号電荷以外の電荷を電源に排出する。
【0072】
既に図4の説明で述べたとおり、一単位胞49の面積の中には2×2の仮想画素区画が収まる。図4では第1交点共有領域41~第4交点共有領域44の2×2配列で定義される周期的パターンを四タップ型の単位胞49としたとき、この単位胞49が繰り返す形としたが、図12では、隣接する単位胞122の列で、仮想画素区画の長さ相当分の位置を、列方向に互いにずらして繰り返し配置されている。即ち、図12に示した第2の実施形態に係る固体撮像装置では、同一の転送制御機構G1~G3でそれぞれ4隅を囲まれた第1交点共有領域41~第3交点共有領域43と同一の電荷排出機構GDでそれぞれ4隅を囲まれた排出領域(第4交点共有領域)121の2×2組の三タップ型の単位胞122が、隣接する単位胞122の間で、一仮想画素区画の長さだけずらして繰り返し配置されている。なお、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、及び第3転送制御機構G3それぞれの位置を、周期性を維持したまま入れ替えることは可能である。
【0073】
この点を除くと、図12に示す三タップ・一排出部型TOF画素を含む仮想画素区画Xij図4に示す四タップ型TOF画素を含む仮想画素区画Xijは同じ構成である。よって、図11に示す第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び電荷排出機構GDのそれぞれは、第1の実施形態に係る固体撮像装置と同様に、絶縁ゲート型の転送制御機構であっても、横方向電界制御型の転送制御機構であっても構わない。電荷排出機構GDの一方の主電極領域(ドレイン領域)には電荷排出配線VRDが接続される。各第1電荷検出部FD1、第2電荷検出部FD2及び第3電荷検出部FD3のそれぞれの電位は第1リセット・トランジスタRT1、第2リセット・トランジスタRT2及び第3リセット・トランジスタRT3のそれぞれによりリセット(初期化)される。
【0074】
各第1電荷検出部FD1、第2電荷検出部FD2及び第3電荷検出部FD3のそれぞれのリセット電位及び信号転送後の信号電位は、第1ソースフォロワ・トランジスタSF1、第2ソースフォロワ・トランジスタSF2及び第3ソースフォロワ・トランジスタSF3のそれぞれで増幅後、第1選択トランジスタSL1、第2選択トランジスタSL2及び第3選択トランジスタSL3を介して出力信号O1~O3が読み出される。各出力信号O1~O3により読み出されたリセット電位及び信号電位は、図2に示した信号処理回路24で両者の差分を取るCDS処理が行われ、正味の信号が得られる。
【0075】
図12に示した三タップ・一排出部型TOF画素をそれぞれ含む仮想画素区画Xijの二次元配列を用い、第1の実施形態に係る単独画素からの信号の巡回読出しのモードと2×2交点共有領域の画素からの信号の加算読出しのモードを共に可能にする手法は、図4において第4転送制御機構G4を電荷排出機構GDに置き換えれば可能である。
【0076】
交点共有領域に配置されるモード切替回路の詳細は図13に示す。ここで、3つの転送制御機構G1~G3については、図13(a)に示すように図3と同様である。電荷排出機構GDについては、図13(b)に示すように電荷検出部が直接電荷排出配線VRDに接続され、それに接続する容量は省略される。それ以降の回路構成は図13(a)と同様である。
【0077】
図13に示した仮想画素区画Xij構成において、三タップ・一排出部方式で駆動するタイミングを図14に示す。第2の実施形態に係る固体撮像装置の動作は、まずフレーム期間の前半で、図14(a)に示すように発光パルスに同期して全仮想画素区画Xij同時に、三タップを構成する第1電荷検出部FD1、第2電荷検出部FD2及び第3電荷検出部FD3及び排出部のそれぞれに電荷を振り分け、三タップについては蓄積、一排出部については排出するグローバル蓄積期間とする。3つの転送制御機構G1~G3及び電荷排出機構GDは、繰り返し周期Toのパルスのオン状態が各々重ならないタイミングで繰り返し動作する。転送制御機構G1~G3については短いパルス幅Twとなる。蓄積期間が終了すると、各仮想画素区画Xijの画素から行順次(ローリング)で読み出し動作が行われる。
【0078】
まず、すべての仮想画素区画Xijの画素から信号を同時加算せず独立して順次読み出す第2の実施形態に係る固体撮像装置の動作モードを図14(b)に示す。選択トランジスタSLをオン状態にして、切替素子T11~T14を駆動する切り替え信号T1~T4によって、順次オンにすることで、第1電荷検出部FD1、第2電荷検出部FD2及び第3電荷検出部FD3にそれぞれ対応する低比抵抗領域FD11~FD13の及び排出部に対応する低比抵抗領域FD14の信号を順次読み出す。
【0079】
ここで、各切替素子は互いに重ならないことが望ましい。各切替素子T11~T14のオン期間の途中で第1リセット・トランジスタRT1をオンオフし、それぞれの検出部のリセット信号を得る。即ち、1本の信号線に時間順次で4種の信号/リセットの組を得る。信号線の後段でCDS動作を行えば、上記四つの種の正味の信号を得ることができる。
【0080】
次に、2×2の交点共有領域が含まれる単位胞で同時加算して読み出す第2の実施形態に係る固体撮像装置の動作モードを図14(c)に示す。選択トランジスタSLをオン状態にして切替素子T11~T14を同時にオンにすることで、電荷検出部FD1~FD4の信号を同時加算した後、この信号を読み出す。切替素子T11~T14同時オン期間の途中で第1リセット・トランジスタRT1をオンオフし、同時加算後の検出部のリセット信号を得る。即ち、1本の信号線に同時加算した一種類の信号/リセットの組を得る。信号線の後段でCDS動作を行えば、同時加算後の正味の信号を得ることができる。
【0081】
図12及び図13に示した第2の実施形態に係る固体撮像装置の二次元画素配列において、すべての仮想画素区画Xijの画素からの信号を同時加算せず独立して順次読み出すモードにおける、出力信号線Sig1及びSig2のタイミングを図15に示す。ここでは読み出しラインが(k-1)行目、k行目及び(k+1)行目について示すが、他の行も同様の繰り返しとなる。図15において、例として仮想画素区画X(i+1),(j+1)及び仮想画素区画X(i+1),jの画素の信号について右上がりの斜線によって区別して図示する。仮想画素区画X(i+1),(j+1)及び仮想画素区画X(i+1),jの画素の信号について、3つの転送制御機構G1~G3に対応する信号は、二つの信号線及び四つのタイムスロットに分散しているが規則的である。
【0082】
このように第2の実施形態に係る固体撮像装置によれば、特定の仮想画素区画Xijの画素の信号について、3つの転送制御機構G1~G3に対応する信号を規則的に得ることができ、後段で一体化処理して距離情報を得ることができる。但し、図9の場合と比較して、第2出力信号線Sig2側では1行置きにダミー信号D(i,j)となる。更に、図12に示したように2×2の交点共有領域が含まれる単位胞122の単位で1画素置きにずらして繰り返し配置されているから、ダミー信号D(i,j)は第1出力信号線Sig1を挟んで左右方向に位置する第2出力信号線Sig2の信号間で1行分ずれる。
【0083】
即ち、図15の第2出力信号線Sig2に対し、第1出力信号線Sig1を挟んで隣接する第2出力信号線Sig2では、第2出力信号線Sig2(k-1),第2出力信号線Sig2(k+1)は第2転送制御機構G2信号、第2出力信号線Sig2(k)はダミー信号Dとなる。こうすることで、すべての行信号にダミー信号Dが1画素置きに含まれ、ダミー信号を行相関ノイズのリファレンスとして用いることが可能となり、各画素信号からダミー信号の行内平均値との差分をとることで、行ノイズを抑圧することが可能となる。
【0084】
図12及び図13に示した第2の実施形態に係る固体撮像装置の二次元画素配列において、2×2の交点共有領域が含まれる単位胞122の画素からの信号を同時加算して読み出すモードの場合における、第1出力信号線Sig1及び第2出力信号線Sig2のタイミングを図16に示す。ここでは読み出しラインが(k-1)行目、k行目及び(k+1)行目について示すが、他の行も同様の繰り返しとなる。2×2の交点共有領域が含まれる単位胞122の画素の信号について、3つの転送制御機構G1~G3に対応する信号は、第1出力信号線Sig1からは第1転送制御機構G1及び第3転送制御機構G3の信号が、第2出力信号線Sig2からは第2転送制御機構G2信号及びダミー信号が得られる。なお、図16の第2出力信号線Sig2に対し、第1出力信号線Sig1を挟んで隣接する第2出力信号線Sig2では、第2出力信号線Sig2(k-1),第2出力信号線Sig2(k+1)は第2転送制御機構G2信号、第2出力信号線Sig2(k)はダミー信号Dとなる。
【0085】
単位胞122の加算の組み合わせは、図8においてG4のみを除いた形になり、例えば特定仮想画素区画X(i+1),(j+1)のPD(i+1,j+1)に着目した場合、加算範囲の広がりは、第1転送制御機構G1は第1加算領域51、第2転送制御機構G2は第2加算領域52、第3転送制御機構G3は第3加算領域53の範囲となって、3×3画素内に収まり、距離計算上許容範囲である。また、すべての仮想画素区画Xijの画素からの信号を同時加算せず独立して順次読み出す場合と同様、第2出力信号線Sig2からはすべての行に対してダミー信号Dが得られるから、ダミー信号Dを行相関ノイズのリファレンスとして用いることが可能となり、各画素信号からダミー信号Dの行内平均値との差分をとることで、行ノイズを抑圧することが可能となる。
【0086】
(第3の実施形態)
単独画素からの信号の巡回読出しのモードと2×2交点共有領域の画素からの信号の加算読出しのモードを共に可能にする手法に関し、図4と異なる二次元配列を図17に示す。第3の実施形態に係る固体撮像装置では、2×2の交点共有領域が含まれる単位胞が方形配列ではなく、左右に隣接する仮想画素区画Xij間で、上下方向(列方向)に1/2仮想画素区画分の長さずれた、平行四辺形配列である。図17に示す第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び第4転送制御機構G4のそれぞれは、第1及び第2の実施形態に係る固体撮像装置と同様に、絶縁ゲート型の転送制御機構であっても、横方向電界制御型の転送制御機構であっても構わない。
【0087】
また、平行四辺形配列をなす2×2の交点共有領域が含まれる範囲を単位胞171とすると、一単位胞171の面積の中には2×2の仮想画素区画が収まる。このため、図17に示す周期的繰り返しは、左右に隣接する単位胞171の相互の間で一仮想画素区画分の長さずれた配列である。隣接する二つの仮想画素区画Xijのそれぞれの転送制御機構の同一の序数で分類される転送制御機構が互いに近接するように仮想画素区画Xijを配置することにより、同種の転送制御機構によって仮想画素区画Xijに対するモード切替回路が囲まれた領域が形成され、この領域の2×2組を単位として繰り返すことは、図4の場合と同様である。この場合の単独画素からの信号の巡回読出しのモードと2×2交点共有領域の画素からの信号の加算読出しのモードは以下に述べる。図17の配列は、図4の配列に比べ空間解像度が異なることが特徴である。
【0088】
図17の配列における第3の実施形態に係る固体撮像装置の配線例を図18に示す。グローバル動作となる転送制御機構G1~G4の駆動配線は横方向とし、リセット・トランジスタの各駆動線RT、選択トランジスタの各駆動線SL、切替素子Tc1~Tc4の各駆動線T1~T4と共に、上下仮想画素区画Xij間で三角型に折れ曲がる形となる。各ゲート駆動信号が必要な仮想画素区画Xijの交点共有領域には、三角型に折れ曲がる配線が上下から集まる構成のため、行当りでは全部の横配線を二つに分割した構成が可能である。即ち、RT、SL、G1~G4、T1~T4の計10本の配線は、行当り5本で可能である。縦配線は、二つの信号線Sig1、Sig2と、電源配線VDDであり、左右仮想画素区画Xij間で三角型に折れ曲がる形となる。また、第1出力信号線Sig1、第2出力信号線Sig2は水平方向1画素置きに交互の配置となる。
【0089】
図17の配列に図18の配線を施し、すべての仮想画素区画Xijの画素からの信号を同時加算せず独立して順次読み出す第3の実施形態に係る固体撮像装置の動作における、第1出力信号線Sig1及び第2出力信号線Sig2のタイミングを図19に示す。ここでは読み出しラインが(k-1)行目、k行目及び(k+1)行目について示すが、他の行も同様の繰り返しとなる。特定の仮想画素区画Xijの画素の信号について、四つの転送制御機構G1~G4に対応する信号は、例として仮想画素区画X(i+1),(j+1)の画素の信号について左上がりの斜線によって区別して図示する。各信号は二つの信号線及び四つのタイムスロットに分散しているが規則的であり、後段で一体化処理して距離情報を得ることができる。
【0090】
図17の配列に図18の配線を施し、2×2の交点共有領域が含まれる単位胞171の画素からの信号を同時加算して読み出す第3の実施形態に係る固体撮像装置の動作モードにおける、第1出力信号線Sig1及び第2出力信号線Sig2のタイミングを図20に示す。ここでは読み出しラインが(k-1)行目、k行目及び(k+1)行目について示すが、他の行も同様の繰り返しとなる。単位胞171の画素の信号について、四つの転送制御機構G1~G4に対応する信号は、第1出力信号線Sig1及び第2出力信号線Sig2から四つの転送制御機構G1~G4すべての信号が、それぞれ異なった順序で得られる。
【0091】
(第4の実施形態)
三タップ・一排出部型TOF画素をそれぞれ含む仮想画素区画Xijの二次元配列で、第1の実施形態に係る単独画素からの信号の巡回読出しのモードと2×2交点共有領域の画素からの信号の加算読出しのモードを共に可能にする手法は、図17において第4転送制御機構G4を、信号電荷以外の電荷を電源に排出する電荷排出機構GDに置き換えることで可能である。図21に示す第4の実施形態に係る固体撮像装置における単独画素からの信号の巡回読出しのモード、及び2×2交点共有領域の画素からの信号の加算読出しのモード、それぞれの手法は図17の場合と同様であり、説明を省く。図21に示す第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3及び電荷排出機構GDのそれぞれは、第1~第3の実施形態に係る固体撮像装置と同様に、絶縁ゲート型の転送制御機構であっても、横方向電界制御型の転送制御機構であっても構わない。
【0092】
また、図21図18の配線を施した場合、すべての行に電荷排出機構GDに対応したダミー信号が含まれるため、第4の実施形態に係る固体撮像装置によれば、図12、15,16の場合と同様、ダミー信号を行相関ノイズのリファレンスとして用いることが可能となり、各画素信号からダミー信号の行内平均値との差分をとることで、行ノイズを抑圧することが可能となる。
【0093】
(その他の実施形態)
本発明は上記の第1~第4の実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。既に図22(b)を用いて、図22(a)に示した四つの仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)のそれぞれの頂角を45度の線で面取りして45度傾いた四角形(菱形)の第1交点共有領域41を、仮想画素区画X(i-1),j,X(i-1),(j+1),Xi,j,Xi,(j+1)のそれぞれの頂角を45度の線で面取りして菱形の第2交点共有領域42を、仮想画素区画Xi,(j+1),Xi,(j+2),X(i+1),(j+1),X(i+1),(j+2)のそれぞれの頂角を45度の線で面取りして菱形の第3交点共有領域43を、仮想画素区画X(i-1),(j+1),X(i-1),(j+2),Xi,(j+1),Xi,(j+2)のそれぞれの頂角を45度の線で面取りして菱形の第4交点共有領域44を定義する例を示したが一例に過ぎない。
【0094】
例えば、図25に示すように、図22(a)に示した四つの仮想画素区画Xij,Xi,(j+1),X(i+1),j,X(i+1),(j+1)のそれぞれの頂角を、直角の凹部で階段状に切り取り四角形の第1交点共有領域41cを定義しても構わない。同様に、仮想画素区画X(i-1),j,X(i-1),(j+1),Xi,j,Xi,(j+1)のそれぞれの頂角を直角の凹部で切り取り四角形の第2交点共有領域42cを、仮想画素区画Xi,(j+1),Xi,(j+2),X(i+1),(j+1),X(i+1),(j+2)のそれぞれの頂角を直角の凹部で切り取り四角形の第3交点共有領域43cを、仮想画素区画X(i-1),(j+1),X(i-1),(j+2),Xi,(j+1),Xi,(j+2)のそれぞれの頂角を直角の凹部で切り取り第4交点共有領域44cを定義しても構わない。
【0095】
更に、図5では、仮想画素区画)のそれぞれの頂角を45度に切り取る4本の面取り線の上に、それぞれ第1低比抵抗領域FD11、第2低比抵抗領域FD12、第3低比抵抗領域FD13及び第4低比抵抗領域FD14が配置され、四タップ型を実現する四つの低比抵抗領域FD11~FD14が定義される例を示した。しかし、第1~第4の実施形態で説明した四タップ型若しくは三タップ・一排出部型の画素は例示に過ぎず、四タップ型若しくは三タップ・一排出部型の画素のみ限定されず、図26に示すような八タップ型でもかまわない。図26では、仮想画素区画のそれぞれの頂角を45度に切り取る4本の面取り線の上に、それぞれ二個ずつ、低比抵抗領域を配置し、八つの低比抵抗領域で八タップ型を実現している。この場合は単位胞が、2×2の交点共有領域を含む範囲に設定される。
【0096】
即ち、第1交点共有領域41oに着目した図26において、四つのフォトダイオード部PD(i, j)、PD(i+1,j)、PD(i,j+1)及びPD(i+1,j+1)の第1転送制御機構G1にはそれぞれ、第1低比抵抗領域FD11o、第3低比抵抗領域FD13o、第5低比抵抗領域FD15o及び第7低比抵抗領域FD17oがそれぞれ接続されている。四つの低比抵抗領域FD11o~FD17oから出力される各電荷検出部信号は、それぞれ図示を省略した第1~第4切替素子を介して共通の第1信号読出回路へ入力される。第1交点共有領域41oを囲む四つのフォトダイオード部PD(i, j)、PD(i+1,j)、PD(i,j+1)及びPD(i+1,j+1)の第5転送制御機構G5にはそれぞれ、第2低比抵抗領域FD12o、第4低比抵抗領域FD14o、第6低比抵抗領域FD16o及び第8低比抵抗領域FD18oがそれぞれ接続されている。四つの低比抵抗領域FD12o~FD18oから出力される各電荷検出部信号は、それぞれ図示を省略した第5~第8切替素子を介して共通の第5信号読出回路へ入力される。
【0097】
図26で図示を省略した第2~第4交点共有領域についても同様であり、八タップ型の場合であっても、第1~第4の実施形態と同様に、すべての第1~第4交点共有領域に、それぞれ八つの切替素子を配置し、八つの切替素子を動作させることによりビニングが可能である。又、図25で仮想画素区画のそれぞれの頂角を直角の凹部で切りとる、階段を構成する辺上に、それぞれ一個ずつ低比抵抗領域を配置すれば、切りとられた各頂角に二個ずつ低比抵抗領域が配置されることになるので、図25に示したトポロジでも八タップ型の固体撮像装置が実現できる。この場合も単位胞は2×2の交点共有領域を含む範囲に設定される。
【0098】
第1~第4の実施形態では仮想画素区画Xijの転送経路制御型の画素の一部を構成するフォトダイオード部PDijの平面パターンとしては、四角形の場合を説明したが、ピタゴラスの正平面充填形に従えば、フォトダイオード部PDの形状は、図27に示すような三角形や図28に示すような六角形でもかまわない。図27は、幾何数学における「平面充填形」の一種である正三角形をなす仮想画素区画のタイル張りのトポロジを示している。各画素は、それぞれ一つのフォトダイオード部PDと、フォトダイオード部PDに接続された三つの転送制御機構を備える。三つの転送制御機構は、それぞれ、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2及び第3転送制御機構G3と、第1~第3の序数(順序数詞)を付して分別されて、三タップ型の画素を構成している。第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2及び第3転送制御機構G3は、三タップに対応する信号電荷の転送経路、及び転送方向をそれぞれ独立して制御する。
【0099】
図27の中央部に六つの隣接する第1転送制御機構G1のそれぞれによって囲まれた正六角形の同一序数包囲領域を「第1交点共有領域45t」と定義する。第1交点共有領域45tは、六つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。正三角形の場合は図27に示すように、一つの交点に六つの頂角が接する。第1交点共有領域45tは、図27に示すように六つの仮想画素区画のそれぞれの第1転送制御機構G1が位置する頂角を面取りして形成される正六角形の領域である。第1交点共有領域45tは、フォトダイオード部PD(s, r)、フォトダイオード部PD(s+1,r)、フォトダイオード部PD(s+1,r-1)、フォトダイオード部PD(s,r-1)、フォトダイオード部PD(s-1,r-1)及びフォトダイオード部PD(s-1,r)によって囲まれている(r=1~m3、s=1~n3:m3,n3はそれぞれ2以上の正の整数。)。
【0100】
同様に、六つの隣接する第2転送制御機構G2によって囲まれた正六角形の同一序数包囲領域を「第2交点共有領域46t」と定義する。第2交点共有領域46tは、六つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、六つの頂角が接する交点を共有する敷地である。第2交点共有領域46tは、図27に示すように交点において、六つの仮想画素区画のそれぞれの第2転送制御機構G2が位置する頂角を面取りして形成される正六角形の領域である。更に、六つの隣接する第3転送制御機構G3によって囲まれた正六角形の同一序数包囲領域を「第3交点共有領域47t」とする。第3交点共有領域47tは、六つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、六つの頂角が接する交点を共有する敷地である。第3交点共有領域47tは、図27に示すように交点において、六つの仮想画素区画のそれぞれの第3転送制御機構G3が位置する頂角を面取りして形成される正六角形の領域である。
【0101】
第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2及び第3転送制御機構G3が位置する三つの頂角がそれぞれ面取りされて切り取られるので、不等辺六角形のフォトダイオード部PD(s, r),PD(s+1, r),PD(s+1, r+1),……等の外形が定義される。図27から分かるように、フォトダイオード部PD(s, r) (s=1~m3、r=1~n3:m3,n3はそれぞれ2以上の正の整数。)が占有する不等辺六角形の第1タイルと、第1交点共有領域45t、第2交点共有領域46t及び第3交点共有領域47tが占有する正六角形の第2タイルの二種類のタイル貼り充填になる。図27に示したように、正三角形をなす仮想画素区画の場合であっても、第1~第4の実施形態と同様に、すべての第1交点共有領域45t、第2交点共有領域46t及び第3交点共有領域47tに六つの切替素子をそれぞれ配置し、六つの切切替素子を動作させることにより第1交点共有領域45t、第2交点共有領域46t及び第3交点共有領域47tにおいてビニングが可能である。なお、上記において仮想画素区画は正三角形とは限らず二等辺三角形であっても良い。その場合は、図27において画素領域全体が左右方向ないし上下方向に拡大や縮小をした形態となる。
【0102】
図28及び図29は、幾何数学における「平面充填形」の一種である正六角形をなす仮想画素区画のタイル張りのトポロジを示している。図29図28の拡大図を示すように、各画素は、それぞれ一つのフォトダイオード部PDと、フォトダイオード部PDに接続された六つの転送制御機構を備える。六つの転送制御機構は、それぞれ、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2、第3転送制御機構G3、……、第6転送制御機構G6と、第1~第6の序数(順序数詞)を付して分別されて、六タップ型の画素を構成している。第1転送制御機構G1~第6転送制御機構G6は、六タップに対応する信号電荷の転送経路、及び転送方向をそれぞれ独立して制御する。
【0103】
図29の中央上段側に三つの隣接する第1転送制御機構G1のそれぞれによって囲まれた不等辺九角形の同一序数包囲領域を「第1交点共有領域61」と定義する。第1交点共有領域61は、三つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第1交点共有領域61は、図29に示すように三つの仮想画素区画のそれぞれの第1転送制御機構G1が位置する頂角を面取りして形成される不等辺九角形の領域である。第1交点共有領域61は、フォトダイオード部PD(μ, ν)、フォトダイオード部PD(μ+1,ν-1)、フォトダイオード部PD(μ-1,ν-1)によって囲まれている(μ=1~m4、ν=1~n4:m4,n4はそれぞれ2以上の正の整数。)。
【0104】
同様に、三つの隣接する第2転送制御機構G2によって囲まれた不等辺九角形の同一序数包囲領域を第1交点共有領域61の右下方向に「第2交点共有領域62」と定義する。第2交点共有領域62は、三つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第2交点共有領域62は、図29に示すように交点において、三つの仮想画素区画のそれぞれの第2転送制御機構G2が位置する頂角を面取りして形成される不等辺九角形の領域である。第2交点共有領域62は、フォトダイオード部PD(μ, ν)、フォトダイオード部PD(μ+2,ν)、フォトダイオード部PD(μ+1,ν-1)によって囲まれている。
【0105】
更に、三つの隣接する第3転送制御機構G3によって囲まれた不等辺九角形の同一序数包囲領域を第2交点共有領域62の下に「第3交点共有領域63」とする。第3交点共有領域63は、三つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第3交点共有領域63は、図29に示すように交点において、三つの仮想画素区画のそれぞれの第3転送制御機構G3が位置する頂角を面取りして形成される不等辺九角形の領域である。第3交点共有領域63は、フォトダイオード部PD(μ, ν)、フォトダイオード部PD(μ+1,ν+1)、フォトダイオード部PD(μ+2,ν)によって囲まれている。
【0106】
同様に、三つの隣接する第4転送制御機構G4によって囲まれた不等辺九角形の「第4交点共有領域64」、三つの隣接する第5転送制御機構G5によって囲まれた不等辺九角形の「第5交点共有領域65」及び三つの隣接する第6転送制御機構G6によって囲まれた不等辺九角形の「第6交点共有領域66」が定義される。第1転送制御機構G1~第6転送制御機構G6が位置する三つの頂角がそれぞれ面取りされて切り取られるので、不等辺24角形からなるフォトダイオード部PD(μ, ν) (μ=1~m4、ν=1~n4:m4,n4はそれぞれ2以上の正の整数。)の外形が定義される。
【0107】
図29から分かるように、フォトダイオード部PD(μ, ν)が占有する不等辺24角形の第1タイルと、第1交点共有領域61~第6交点共有領域66が占有する不等辺九角形の第2タイルの二種類のタイル貼り充填になる。図28から分かるように、正六角形の仮想画素区画の場合は、13×2=26個の交点共有領域が含まれる単位胞172を周期的パターンの単位として、各仮想画素区画が図2に示した画素アレイ部1に繰り返し配置される。図29に示したように、正六角形をなす仮想画素区画の場合であっても、第1~第4の実施形態と同様にすべての第1交点共有領域61~第6交点共有領域66に切替素子を配置し、切替素子を動作させることにより第1交点共有領域61~第6交点共有領域66のすべてにおいてビニングが可能である。
【0108】
二種類の菱形を用いたペンローズ(Penrose)タイルの場合でも平面充填が可能であるが、ペンローズタイルには周期的なパターンが現れない。ペンローズタイルのような非周期な平面充填の場合は、駆動や読出しの論理回路が構成できず信号線引き回しもできなくなるので、二次元固体撮像装置を形成することが事実上無理である。しかしながら、周期的なパターンが現れる場合には、正平面充填形以外の形状であっても、タイル貼り充填が可能であれば、それに対応するタップ数も採用可能で、二次元固体撮像装置を構成することが可能になる。
【0109】
隙間が出来ないようにタイル貼り可能な凸五角形については2015年に15番目が30年ぶりに発見され、これら以外には存在しないという証明の論文も提出されている。例えば、15種類の一つとして、図30及び図31に示すような五角形による敷き詰めも許容できる。
【0110】
図30及び図31は、不等角五角形をなす仮想画素区画のタイル張りのトポロジを示している。図31図30の拡大図を示すように、各画素は、それぞれ一つのフォトダイオード部PDと、フォトダイオード部PDに接続された五つの転送制御機構を備える。五つの転送制御機構は、それぞれ、第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2及び第3転送制御機構G3並びに第1電荷排出機構GD1及び第2電荷排出機構GD2と、第1~第3並びに第1~第2の序数を付して分別されて、三タップ・二排出部型の画素を構成している。第1転送制御機構G1~第3転送制御機構G3は、三タップに対応する信号電荷の転送経路、及び転送方向をそれぞれ独立して制御し、第1電荷排出機構GD1及び第2電荷排出機構GD2は、背景光(環境光)に起因した電荷等の信号電荷以外の電荷を電源に排出する。
【0111】
図31の中央左側に三つの隣接する第1転送制御機構G1のそれぞれによって囲まれた三角形の同一序数包囲領域を「第1交点共有領域71」と定義する。第1交点共有領域71は、三つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第1交点共有領域71は、図31に示すように三つの仮想画素区画のそれぞれの第1転送制御機構G1が位置する頂角を面取りして形成される三角形の領域である。第1交点共有領域71は、フォトダイオード部PD(w-1, x+1)、フォトダイオード部PD(w-1,x-1)、フォトダイオード部PD(w-3,x)によって囲まれている(w=1~m5、x=1~n5:m5,n5はそれぞれ2以上の正の整数。)。
【0112】
同様に、三つの隣接する第2転送制御機構G2によって囲まれた三角形の同一序数包囲領域を「第2交点共有領域72」と定義する。第2交点共有領域72は、三つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第2交点共有領域72は、図31に示すように交点において、三つの仮想画素区画のそれぞれの第2転送制御機構G2が位置する頂角を面取りして形成される三角形の領域である。第2交点共有領域72は、フォトダイオード部PD(w-1, x+1)、フォトダイオード部PD(w+1,x)、フォトダイオード部PD(w-1,x-1)によって囲まれている。
【0113】
次に、四つの隣接する第1電荷排出機構GD1によって囲まれ四角形の「第3交点共有領域73」を「第1排出領域」として定義する。第3交点共有領域73は、四つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第3交点共有領域73は、図31に示すように交点において、四つの仮想画素区画のそれぞれの第1電荷排出機構GD1が位置する頂角を面取りして形成される四角形の領域である。第3交点共有領域73は、フォトダイオード部PD(w-1, x+1)、フォトダイオード部PD(w+1,x)、フォトダイオード部PD(w+1,x+2)、フォトダイオード部PD(w,x+3)によって囲まれている。
【0114】
更に、三つの隣接する第3転送制御機構G3によって囲まれた三角形の同一序数包囲領域をそれぞれ、「第4交点共有領域74」とする。第4交点共有領域74は、三つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第4交点共有領域74は、図31に示すように交点において、三つの仮想画素区画のそれぞれの第3転送制御機構G3が位置する頂角を面取りして形成される三角形の領域である。第4交点共有領域74は、フォトダイオード部PD(w-1, x+1)、フォトダイオード部PD(w,x+3)、フォトダイオード部PD(w-2,x+3)によって囲まれている。
【0115】
更に、四つの隣接する第2電荷排出機構GD2によって囲まれ四角形の「第5交点共有領域75」を「第2排出領域」として定義する。第5交点共有領域75は、四つの仮想画素区画の外周が定義する網目の交点を中心とし、交点を共有する敷地である。第5交点共有領域75は、図31に示すように交点において、四つの仮想画素区画のそれぞれの第2電荷排出機構GD2が位置する頂角を面取りして形成される四角形の領域である。第5交点共有領域75は図30から分かるように、フォトダイオード部PD(w-1, x+1)、フォトダイオード部PD(w+1,x)、フォトダイオード部PD(w-2,x+3)、フォトダイオード部PD(w-4,x+2)、フォトダイオード部PD(w-3,x)によって囲まれている。
【0116】
第1転送制御機構G1、第2転送制御機構G2及び第3転送制御機構G3並びに第1電荷排出機構GD1及び第2電荷排出機構GD2が位置する五つの頂角がそれぞれ面取りされて切り取られるので、不等辺十角形からなるフォトダイオード部PD(w, x) (w=1~m5、x=1~n5:m5,n5はそれぞれ2以上の正の整数。)の外形が定義される。図31から分かるように、フォトダイオード部PD(w, x)が占有する不等辺十角形の第1タイルと、第1交点共有領域71、第2交点共有領域72及び第4交点共有領域74が占有する三角形の第2タイルと、第3交点共有領域73及び第5交点共有領域75が占有する四角形の第3タイルとの三種類のタイル貼り充填になる。
【0117】
図31に示したように、不等角五角形をなす仮想画素区画の場合であっても、第1~第4の実施形態と同様にすべての第1交点共有領域71、第2交点共有領域72及び第4交点共有領域74に切替素子を配置し、切替素子を動作させることにより、第1交点共有領域71、第2交点共有領域72及び第4交点共有領域74のすべてにおいてビニングが可能である。
【0118】
図31の説明においては、四つの仮想画素区画により囲まれた第1電荷排出機構GD1および第2電荷排出機構GD2で電荷排出機構を持たせたが、これらを対応する四つの仮想画素区画の電荷の個別およびビニング読出しとして用いることも可能である。この場合、加算画素信号を三つの仮想画素区画での加算画素信号と合わせるため、3/4倍すればよい。
【0119】
本明細書では、図30及び図31に示した五角形以外の他の14種類の五角形によるタイル貼りについては説明を省略する。しかし、図31に示したのと同様な、三画素加算の組と四画素加算の組それぞれについて、五角形によるタイル貼りでパターンの周期性を持たせることが可能であり、他の14種類の五角形を用いて固体撮像装置の二次元配列を構成することができる。
【0120】
図30及び図31から理解できるように、数学的に可能とされている15種類の五角形によるタイル貼りの、それぞれの種類のパターンにおける周期性については、三つの頂角が接する交点共有領域の三画素を組とした場合は、四組を単位とした繰返しが選択可能になる。四つの頂角が接する交点共有領域の四画素を組とした場合は、各組を単位とした繰返しが選択可能になる。
【0121】
繰返し周期が長く配列方向が斜めになり、駆動や読出しの配線が複雑になるようなパターンの場合は、そのパターンを45度回転させる等のレイアウトの工夫で、ほぼ水平垂直の配線の配列の選択が可能になる。面積効率の低下を許容するのであれば、画素の二次元配列が完全なタイル貼り充填ではなくてもよく、小さな空き地を設けることにより、水平垂直の配線の配列を実現して固体撮像装置を構成するようにしても構わない。
【0122】
以上のように、五角形及び六角形では隙間が出来ないようにタイル貼り可能なものが存在するが、七角形以上の凸図形で,隙間が出来ないようにタイル貼り可能なものは存在しないことが幾何数学の分野で知られている。小さな三角形等の隙間が出来ないように、タイル貼り可能な凸六角形について,1918年に数学者のカール・オーグスト・ラインハルト(Karl August Reinhardt)が、正六角形以外では3つの凸六角形のタイプを発表しこれ以外の凸六角形は存在しないことを証明している。
【0123】
一方、すべての平行四辺形は、一種類で平面充填可能である。またすべての三角形は、合同なものを二つ組み合わせることで平行四辺形となる。したがって、すべての三角形は交点に六つの頂角が接するように平面充填可能である。隙間が出来ないように平面敷き詰め可能であれば、交点共有領域が定義できるので、第1~第4の実施形態と同様に交点共有領域でのビニングが可能である。
【0124】
平行六辺形は、中心を通る直線で合同な二つの五角形に分けられる。このような五角形は図30から理解できるように、平面敷き詰め可能である。したがって、第1~第4の実施形態では、四タップ型若しくは三タップ・一排出部型の画素を例示して説明したが、画素の構造としては、三タップ・二排出部型、五タップ・一排出部型や六タップ型等でもかまわない。
【0125】
より一般的な例として、Lを3以上の正の整数、仮想画素区画の外形が構成するタイル貼りの網目の交点において、L個の頂角を有する仮想画素区画の頂角が互いに接する場合を考えてみる。L個の頂角を有する仮想画素区画のタイル貼りにおいては、三個または四個の頂角がタイル張りの網目の交点で接する。L個の頂角をそれぞれ切り取って定義されるL個の交点共有領域に、それぞれ第1~第4の実施形態で説明したようなM=L個の低比抵抗領域を配置すれば、M=Lタップ型の固体撮像装置が実現でき、L個の頂角の一つに一個の電荷排出部を設ければ、M=(L-1)タップ型の距離撮像用等の固体撮像装置が実現できる。よって、Mは2以上の正の整数となる。
【0126】
しかし、L個の交点共有領域にM=2L個の低比抵抗領域をそれぞれ配置すれば、2Lタップ型の距離撮像用等の固体撮像装置が実現でき、L個の頂角の一つに一個の電荷排出部を設ければ、M=(2L-1)タップ型の距離撮像用等の固体撮像装置が実現できる。図31のように各画素に二個の電荷排出部を設ければ、M=2(L-2)タップ型の距離撮像用等の固体撮像装置が実現できる。同様に、L個の交点共有領域に3L個の低比抵抗領域がそれぞれ配置できれば、3Lタップ型、(3L-1)タップ型、3(L-2)タップ型の距離撮像用等の固体撮像装置が実現できる。
【0127】
例えば、図25で仮想画素区画のそれぞれの頂角を135度の角度で交わる三辺を有する凹部で切りとり、切りとり部を構成する三辺のそれぞれに一個ずつ電荷検出部を構成する低比抵抗領域を配置すれば、切りとられた各頂角に、それぞれ三個ずつ低比抵抗領域を配置できる。ただし、図27に示すように各画素がM=3タップ型であっても、各交点共有領域45t,46t,47tには、N=2M=6個の電荷検出部がそれぞれ配置される。一方、図29に示すように各画素がM=6タップ型であっても、各交点共有領域61~66にはN=3個の電荷検出部がそれぞれ配置される。よって、Nは3以上の正の整数となる。よって、平面充填形をなす仮想画素区画を構成する多角形の頂角の数L、タップ数M、交点共有領域に配置される電荷検出部の数Nは、互いに一致している必要はない。
【0128】
更に、既に述べた第1の実施形態の説明等では、第1導電型をp型、第2導電型をn型として説明したが、第1導電型をn型、第2導電型をp型としても、電気的な極性を反対にすれば同様な効果が得られることは容易に理解できるであろう。
【0129】
以上のとおり、本発明は上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0130】
1…画素アレイ部、11…TOF距離撮像システム、12…光源、13…結像光学系、14…固体撮像装置(TOF撮像装置)、15…画像処理回路、16…被写体、17…照射光、18…反射光、23…水平走査回路、24…信号処理回路、25…制御回路、41~44,41c~44c、45t~47t,61~66,71~75…交点共有領域、49,122,171,172…単位胞、51,81…第1加算領域、52,82…第2加算領域、53,83…第3加算領域、84…第4加算領域、121…排出領域(第4交点共有領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図19
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図21
図22
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図26
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図29
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図31