IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用表示装置 図1
  • 特許-車両用表示装置 図2
  • 特許-車両用表示装置 図3
  • 特許-車両用表示装置 図4
  • 特許-車両用表示装置 図5
  • 特許-車両用表示装置 図6
  • 特許-車両用表示装置 図7
  • 特許-車両用表示装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240416BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20240416BHJP
   B60K 35/21 20240101ALI20240416BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20240416BHJP
   G01D 7/00 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
G09G5/00 510A
G09G5/377 100
G09G5/00 550H
G09G5/00 550C
B60K35/21
G09G5/10 B
G01D7/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021527679
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024756
(87)【国際公開番号】W WO2020262442
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2019117794
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】村山 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】高野 徹弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-020931(JP,A)
【文献】特開2019-009783(JP,A)
【文献】特表2018-504532(JP,A)
【文献】特開2007-091013(JP,A)
【文献】特開2016-061837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0288724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00
G09G 5/10
G09G 5/377
B60K 35/00-35/90
G01D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1情報画像及び第2情報画像を含む合成画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部が生成した前記合成画像を表示する表示部と、を備え、
前記画像生成部は、前記第2情報画像の視認性を低下させる際、前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長くし、
前記画像生成部は、前記第2情報画像の視認性を低下させている期間においては、外部からの情報信号に基づき前記第2情報画像に関する情報に変化があったと判別したときに前記第2情報画像を更新する、
車両用表示装置。
【請求項2】
第1情報画像及び第2情報画像を含む合成画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部が生成した前記合成画像を表示する表示部と、を備え、
前記画像生成部は、前記第2情報画像の視認性を低下させる際、前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長くし、
前記画像生成部は、前記第1情報画像及び前記第2情報画像とは異なるポップアップ画像を一時的に前記合成画像に含ませることが可能であり、前記ポップアップ画像を前記合成画像に含ませる際に、前記第2情報画像の視認性を低下させ、前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長くし、
前記画像生成部は、前記ポップアップ画像を前記合成画像に含ませる際に、車両の走行環境が安定しているときには、前記第2情報画像をぼかすことにより前記第2情報画像の視認性を低下させるとともに前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長い値に設定し、前記ポップアップ画像を前記合成画像に含ませる際に、前記車両の走行環境が安定していないときには、前記第2情報画像を暗くすることにより前記第2情報画像の視認性を低下させるとともに前記第2情報画像の更新周期を前記値よりも短く設定する、
車両用表示装置。
【請求項3】
前記第1情報画像は車速情報を含み、
前記第2情報画像は車両の周囲の車外情報を含み、
前記ポップアップ画像はエンターテイメントに関するエンタメ情報を含む、
請求項2に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車速等の車両情報をディスプレイに画像として表示する車両用表示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用表示装置は、3層のレイヤを重ねることにより画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-139390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の多機能化に伴い、車両用表示装置のディスプレイに表示されるコンテンツが増えている。よって、車両用表示装置の画像処理負担が大きくなっていた。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、画像処理負担が大きくなることを抑制できる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、第1情報画像及び第2情報画像を含む合成画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部が生成した前記合成画像を表示する表示部と、を備え、前記画像生成部は、前記第2情報画像の視認性を低下させる際、前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長くし、前記画像生成部は、前記第2情報画像の視認性を低下させている期間においては、外部からの情報信号に基づき前記第2情報画像に関する情報に変化があったと判別したときに前記第2情報画像を更新する。
また別の観点では、上記目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、第1情報画像及び第2情報画像を含む合成画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部が生成した前記合成画像を表示する表示部と、を備え、前記画像生成部は、前記第2情報画像の視認性を低下させる際、前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長くし、前記画像生成部は、前記第1情報画像及び前記第2情報画像とは異なるポップアップ画像を一時的に前記合成画像に含ませることが可能であり、前記ポップアップ画像を前記合成画像に含ませる際に、前記第2情報画像の視認性を低下させ、前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長くし、前記画像生成部は、前記ポップアップ画像を前記合成画像に含ませる際に、車両の走行環境が安定しているときには、前記第2情報画像をぼかすことにより前記第2情報画像の視認性を低下させるとともに前記第2情報画像の更新周期を前記第1情報画像の更新周期よりも長い値に設定し、前記ポップアップ画像を前記合成画像に含ませる際に、前記車両の走行環境が安定していないときには、前記第2情報画像を暗くすることにより前記第2情報画像の視認性を低下させるとともに前記第2情報画像の更新周期を前記値よりも短く設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両用表示装置において、画像処理負担が大きくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用表示装置のブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る複数のレイヤを示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る第1情報画像及び第2情報画像を含む画像の図である。
図4】本発明の一実施形態に係る第1~第3情報画像を含む画像の図である。
図5】本発明の一実施形態に係る第1~第3情報画像を含む画像の図である。
図6】本発明の一実施形態に係る第1~第3情報画像を含む画像の図である。
図7】本発明の一実施形態に係る(a)~(c)は第3レイヤをぼかす手順を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る制御部により実行される表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る車両用表示装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両1は、車両情報を表示する車載メータである車両用表示装置10と、車両用表示装置10の外部に位置し、ECU(Electronic Control Unit)及びステアリングスイッチ等からなる車載機器62と、を備える。
車両用表示装置10は、車両用表示装置10の全体を制御する制御部55と、液晶パネル20と、液晶パネル20を照明する光源30と、を備える。制御部55は、マイコン(マイクロコンピュータ)50と、マイコン50による制御のもと液晶パネル20に画像Gを描画するGDC(Graphic Display Controller)40と、を備える。
【0010】
GDC40は、マイコン50による制御のもと、液晶パネル20に画像Gを描画する。液晶パネル20は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルであり、GDC40による制御のもと、画素毎に色と光透過率を調整する。
光源30は、複数のLED(Light Emitting Diode)により構成され、マイコン50による制御のもと、液晶パネル20に照明光を照射する。
マイコン50は、予め記憶されたプログラムに従って各種の制御を行うCPU51と、CPU51が実行するプログラム及び画像Gを生成するための複数のレイヤが記憶されるROM52と、CPU51の処理作業に必要なワーキングエリアを有するRAM53と、を備える。
マイコン50は、車載機器62から第1車両情報Inf1、第2車両情報Inf2、エンタメ情報Inf3及び操作信号情報Inf4を取得し、各情報Inf1,Inf2,Inf3,Inf4に基づきGDC40を介して液晶パネル20に画像Gを表示する。
第1車両情報Inf1は、車速、エンジン回転数、車両1のシフトポジション、ターンシグナルの点滅等に関する情報である。
第2車両情報Inf2は、先行車両の有無、先行車両との車間距離、車線のはみ出しの有無、道案内等に関する情報である。
エンタメ情報Inf3は、再生される音楽、ラジオ又はテレビ等のエンターテイメントに係る情報である。
操作信号情報Inf4は、ステアリングスイッチ等の操作部の操作に係る情報である。
【0011】
制御部55は、第1車両情報Inf1に基づき、図2に示すように、車速、エンジン回転数及びシフトポジション等に係る情報を含む第1レイヤR1を生成する。第1レイヤR1は、図3に示す画像Gのうち車速等に係る情報を含む第1情報画像G1を構成する。第1情報画像G1は運転者から見て逆さまのゲート型に形成されている。第1情報画像G1は、車両1の運転に必須な情報であり、後述する第2情報画像G2及びポップアップ画像G3に比べて優先度が高い情報である。制御部55は、車両用表示装置10の電源がオンされている期間において常に第1情報画像G1を一定の輝度で、かつ一定の画像解像度にて表示する。
【0012】
制御部55は、第2車両情報Inf2に基づき、図2に示すように、先行車両の有無、先行車両との車間距離等に係る情報を含む第2レイヤR2を生成する。第2レイヤR2は、図3に示す画像Gのうち車両1の周囲の車外情報である前方の車線L及び先行車両Cを含む第2情報画像G2を構成する。第2情報画像G2は、第1情報画像G1と重ならないようにゲート型の第1情報画像G1の内部に位置する。
制御部55は、図2に示すように、第2レイヤR2の背景画像である第3レイヤR3を生成する。第3レイヤR3は、例えば、暗色系の色に設定され、図3に示す画像Gの背景色である黒色を構成する。
図2に示すように、第3レイヤR3は最背側に位置する。第1レイヤR1は最表側に位置する。第2レイヤR2は第1レイヤR1と第3レイヤR3の間に位置する。
【0013】
制御部55は、エンタメ情報Inf3に基づき、エンターテイメントに係る情報を含む第4レイヤR4を生成する。第4レイヤR4は、図4図6に示す画像Gのうちエンターテイメントに係る情報を含むポップアップ画像G3を構成する。ポップアップ画像G3は、一時的に表示される画像である。制御部55は、ポップアップ画像G3を一定の輝度で、かつ一定の画像解像度にて表示する。
【0014】
制御部55は、第1レイヤR1、第2レイヤR2及び第3レイヤR3を重ね合わせることにより、ポップアップ画像G3なしの図3に示す画像Gを生成する。図3に示す画像Gは、第1情報画像G1及び第2情報画像G2を含む。
制御部55は、操作信号情報Inf4に基づきエンタメ割り込み情報があると判別したときに、第4レイヤR4を第1レイヤR1、第2レイヤR2及び第3レイヤR3に重ね合わせることにより、図4図6に示すポップアップ画像G3を含む画像Gを生成する。図4図6に示す画像Gは、第1情報画像G1、第2情報画像G2及びポップアップ画像G3を含む。図2に示すように、第4レイヤR4は、例えば、第1レイヤR1と第2レイヤR2の間に位置する。
図4に示すポップアップ画像G3は、第2情報画像G2の全域にわたって第2情報画像G2に重なる。図4に示すポップアップ画像G3は、車両1の走行環境が安定しているとき、例えば、車両1が高速道路を走行しているときに表示されることが好ましい。
図5に示すポップアップ画像G3は、第2情報画像G2の上方に位置する。図5に示すポップアップ画像G3は、第2情報画像G2に重ならないため、図4に示すポップアップ画像G3よりも小さいサイズとなる。図5に示すポップアップ画像G3は、車両1の走行環境が安定していないとき、例えば、車両1が一般道路を走行しているときに表示されることが好ましい。
【0015】
制御部55は、ポップアップ画像G3を表示する際、第2情報画像G2の視認性を低下させるべく、図5に示すように、第2情報画像G2をぼかす、又は、第2情報画像G2の明度を暗くする。この点については後で詳述する。
【0016】
次に、図8のフローチャートを参照しつつ、制御部55により実行される表示処理について説明する。この表示処理は車両用表示装置10の電源がオンされている期間において繰り返し実行される。
【0017】
まず、制御部55は、第1情報画像G1と第2情報画像G2を表示する(ステップS101)。これにより、図3に示すように、第1情報画像G1と第2情報画像G2を含む画像Gが表示される。第1情報画像G1と第2情報画像G2の更新周期は初期値である基準周期C2に設定される。
【0018】
次に、制御部55は、エンタメ割り込み情報があるか否かを判別する(ステップS102)。制御部55は、例えば、操作信号情報Inf4に基づきエンターテイメントに関する操作部への操作が行われたとき、エンタメ割り込み情報がある旨判別し(ステップS102;YES)、例えば、操作信号情報Inf4に基づきエンターテイメントに関する操作部への操作が行われていないとき、エンタメ割り込み情報がない旨判別する(ステップS102;NO)。
【0019】
制御部55は、エンタメ割り込み情報がない旨判別すると(ステップS102;NO)、上記ステップS101の処理に戻る。よって、図3に示す画像Gの表示が継続される。制御部55は、エンタメ割り込み情報がある旨判別すると(ステップS102;YES)、図4図6に示すポップアップ画像G3を表示する(ステップS103)。
そして、制御部55は、各情報Inf1~Inf4の少なくとも何れかに基づき、車両1の走行環境が安定しているか否かを判別する(ステップS104)。このステップS104の判断条件の具体例については後で詳述する。
【0020】
制御部55は、車両1の走行環境が安定している旨判別すると(ステップS104;YES)、図5に示すように、第2情報画像G2をぼかし(ステップS107)、第2レイヤR2の更新周期を初期値である基準周期C2から長周期C1に設定し(ステップS108)、表示処理を終了する。
制御部55は、このステップS107においては、ステップS101における第2情報画像G2(第3レイヤR3)の画像解像度よりも第2情報画像G2の画像解像度を低下させることにより第2情報画像G2をぼかす。これにより、第2情報画像G2における車線L及び先行車両C等の輪郭をぼかすことができる。第2情報画像G2がぼかされることにより、ポップアップ画像G3が目立ちやすくなる。第2情報画像G2の画像解像度が低下すると、制御部55の画像処理負担が低下する。ぼかされた第2情報画像G2の輝度は、ステップS101における第2情報画像G2の輝度と同一である。
また、車両1の走行環境が安定している状況では、第2情報画像G2の表示内容に変化が生じづらい。よって、第2レイヤR2の更新周期を基準周期C2から長周期C1まで長くしても、第2情報画像G2の表示内容の遅れに伴って運転者に違和感を与えることが少ない。
【0021】
一方、制御部55は、車両1の走行環境が安定していない旨判別すると(ステップS104;NO)、図6に示すように、第2情報画像G2を暗くし(ステップS105)、第2レイヤR2の更新周期を長周期C1よりも短い周期である基準周期C2に設定し(ステップS106)、表示処理を終了する。
制御部55は、このステップS105においては、第3レイヤR3の光透過度を低下させることにより、第2情報画像G2の輝度を低下させ、これにより、運転者により視認可能な範囲で第2情報画像G2を暗くする。第2情報画像G2が暗くなることにより、ポップアップ画像G3が目立ちやすい。このため、ポップアップ画像G3をより確実に運転者に視認させることができる。また第2情報画像G2を暗くすることにより、ぼかす処理を行う場合に比較して情報の変化を読み取りやすくなる。このため、安定していない走行環境では、運転者がより迅速に情報の変化を感じ取ることができる。ステップS105における第2情報画像G2の画像解像度は、ステップS101における第2情報画像G2の画像解像度と同一である。
また、車両1の走行環境が安定していない状況では、第2情報画像G2の表示内容に変化が生じやすい。よって、第2情報画像G2の表示内容に遅延を生じさせないために、第2レイヤR2の更新周期を長くせずに、基準周期C2に維持することが好ましい。
【0022】
長周期C1に設定されたときのフレームレートは、例えば、20fps(frames per second)に設定され、基準周期C2に設定されたときのフレームレートは、例えば、60fpsに設定される。第1レイヤR1の更新周波数(フレームレート)は、車両1の走行環境に関わらず、一定であり、例えば、60fpsに設定される。
なお、上記表示処理において、ステップS103~S108の処理は、順番を入れ替えたり、同時に行われたりしてもよい。
【0023】
上記ステップS107において、第2情報画像G2(第3レイヤR3)をぼかす手法の一例について説明する。
図7(a),(b)に示すように、制御部55は第3レイヤR3のサイズを縮小し、サイズを縮小した第3レイヤR3の画像解像度を低下させるブラー処理を施す。そして、図7(c)に示すように、制御部55は画像解像度を低下させた第3レイヤR3のサイズを拡大し、第3レイヤR3を元のサイズに戻す。そして、元のサイズに戻した第3レイヤR3を利用して、図5に示す第2情報画像G2を含む画像Gを生成する。これにより、第2情報画像G2がより強くぼかされ、制御部55の画像処理負担が小さくなる。
なお、第3レイヤR3をぼかす手法は、上述のように第3レイヤR3のサイズを縮小及び拡大させることなく、第3レイヤR3にブラー処理を施すだけであってもよい。
【0024】
上記ステップS104における車両1の走行環境が安定しているか否かの判断条件の具体例について説明する。
例えば、制御部55は、第2車両情報Inf2に含まれるナビ情報から車両1が高速道路を走行している旨判別したとき、車両1の走行環境が安定している旨判別し(ステップS104;YES)、ナビ情報から車両1が一般道路を走行している旨判別したとき、車両1の走行環境が安定していない旨判別してもよい(ステップS104;NO)。例えば、制御部55は、車両1が高速道路を走行している旨判別したとき、図4に示すように、第2情報画像G2に重畳するポップアップ画像G3を表示し、車両1が一般道路を走行している旨判別したとき、図5及び図6に示すように、第2情報画像G2とは別の位置にポップアップ画像G3を表示する。
また、制御部55は、第2車両情報Inf2に含まれるナビ情報から車両1が走行する道路の法定速度が閾値以上であるときには、車両1の走行環境が安定している旨判別し(ステップS104;YES)、法定速度が閾値未満であるときには、車両1の走行環境が安定していない旨判別してもよい(ステップS104;NO)。
また、制御部55は、第2車両情報Inf2に基づき先行車両との車間距離が閾値以上であるとき又は先行車両が存在しないときには、車両1の走行環境が安定している旨判別し(ステップS104;YES)、先行車両との車間距離が閾値未満であるときには、車両1の走行環境が安定していない旨判別してもよい(ステップS104;NO)。
また、制御部55は、第1車両情報Inf1に基づき、車速がゼロ又はシフトポジションがパーキングポジションであるときには車両1の走行環境が安定している旨判別し(ステップS104;YES)、車速がゼロでない又はシフトポジションがドライブポジション又はリバースポジションであるときには車両1の走行環境が安定していない旨判別してもよい(ステップS104;NO)。
また、制御部55は、第1車両情報Inf1に基づき、車両1の加速度又は減速度が閾値未満であるときには車両1の走行環境が安定している旨判別し(ステップS104;YES)、車両1の加速度又は減速度が閾値以上であるときには車両1の走行環境が安定していない旨判別してもよい(ステップS104;NO)。
また、制御部55は、ステアリング、ブレーキペダル及びアクセルペダルの少なくとも何れかの単位時間あたりの操作量が閾値未満であるときには車両1の走行環境が安定している旨判別し(ステップS104;YES)、操作量が閾値以上であるときには車両1の走行環境が安定していない旨判別してもよい(ステップS104;NO)。
制御部55は、第2車両情報Inf2に含まれるナビ情報から車両が右折又は左折する交差点に近づくと車両1の走行環境が安定していない旨判別してもよい(ステップS104;NO)。
上述した車両1の走行環境が安定しているか否かの判断条件は適宜組み合わされてもよい。
【0025】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)車両用表示装置10は、合成画像の一例である画像Gを表示する表示部の一例である液晶パネル20と、第1情報画像G1及び第2情報画像G2を含む画像Gを生成する画像生成部の一例である制御部55と、を備える。制御部55は、第2情報画像G2の視認性を低下させる際、第2情報画像G2の更新周期を第1情報画像G1の更新周期よりも長くする。
この構成によれば、第2情報画像G2の視認性を低下させる際に、第2情報画像G2の更新周期が第1情報画像G1の更新周期よりも長くなる。よって、制御部55における第2情報画像G2に係る画像処理負担が大きくなることを抑制できる。
【0026】
(2)制御部55は、ポップアップ画像G3を一時的に画像Gに含ませ、ポップアップ画像G3を表示する際に、第2情報画像G2の視認性を低下させ、第2情報画像G2の更新周期を第1情報画像G1の更新周期よりも長くする。
この構成によれば、ポップアップ画像G3が表示されて、第2情報画像G2の視認性が低下すると、第2情報画像G2が注目される可能性が低い。このため、第2情報画像G2の更新周期が長く設定されても、運転者に違和感を与えることが抑制される。
【0027】
(3)第1情報画像G1は車速情報を含み、第2情報画像G2は車両1の周囲の車外情報を含み、ポップアップ画像G3はエンターテイメントに関するエンタメ情報を含む。
車速情報を含む第1情報画像G1は常にリアルタイムで更新する必要があるため、第1情報画像G1の更新周期を長くすることは好ましくない。一方、ポップアップ画像G3が表示される際には、運転者はポップアップ画像G3に着目する。このため、第2情報画像G2の更新周期を長くしても、運転者に違和感を与えることが抑制される。このため、運転者に違和感を与えることが抑制されつつ、制御部55における画像処理負担が大きくなることが抑制される。
【0028】
(4)制御部55は、ポップアップ画像G3を表示する際に、車両1の走行環境が安定しているときには、第2情報画像G2をぼかすことにより第2情報画像G2の視認性を低下させるとともに第2情報画像G2の更新周期を第1情報画像G1の更新周期よりも長い値である長周期C1に設定し、車両1の走行環境が安定していないときには、第2情報画像G2を暗くすることにより第2情報画像G2の視認性を低下させるとともに第2情報画像G2の更新周期を長周期C1よりも短い基準周期C2に設定する。
この構成によれば、車両1の走行環境が安定しており、第2情報画像G2の表示内容の変化が少ない場合のみ、第2情報画像G2の更新周期が長く設定されるため、運転者に違和感を与えることが抑制される。
また、車両1の走行環境が安定している場合、第2情報画像G2がぼかされて、第2情報画像G2の画像解像度が低下するため、制御部55の第2情報画像G2に係る画像処理負担が大きくなることを抑制できる。また、車両1の走行環境が安定している場合、第2情報画像G2の表示内容の変化が少ないため、第2情報画像G2の画像解像度が低下しても、第2情報画像G2の表示内容は運転者に伝わりやすい。
一方、車両1の走行環境が安定していない場合、第2情報画像G2の表示内容の変化が多いため、第2情報画像G2の更新周波数と画像解像度を低下させない。これにより、第2情報画像G2の表示内容の変化が多い場合であっても、第2情報画像G2の表示内容が運転者に伝わりやすい。
【0029】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0030】
(変形例)
上記実施形態においては、ポップアップ画像G3は再生される音楽等に関する画像であったが、これに限らない。例えば、ポップアップ画像G3は、運転者が携帯するスマートフォン等の携帯端末の電話又はメールの着信に関する画像であってもよいし、車両1の残燃料の低下、車両1の進路を示すナビ情報、車両1の故障、車両1の車線逸脱、先行車両との接近等の各種車両に関する画像であってもよい。
【0031】
上記実施形態においては、制御部55は、車両1の走行環境が安定しているか否かに基づき(ステップS104)、第2情報画像G2を暗くするか(ステップS105)、第2情報画像G2をぼかしていた(ステップS107)。しかしながら、ステップS104の処理を省略し、制御部55は、車両1の走行環境が安定しているか否かに関わらず、第2情報画像G2をぼかす、又は第2情報画像G2を暗くしてもよい。
また、上記実施形態においては、制御部55は、第2情報画像G2を暗くし(ステップS105)、第2レイヤR2の更新周期を基準周期C2に設定していたが(ステップS106)、これに限らず、第2情報画像G2を暗くし(ステップS105)、第2レイヤR2の更新周期を長周期C1に設定してもよい。
【0032】
上記実施形態においては、制御部55は、車両1の走行環境が安定している場合、第2レイヤR2(第2情報画像G2)の更新周期を長周期C1に設定していた。しかしながら、これに限らず、制御部55は、第2情報画像G2を定期的に更新せずに、外部からの情報信号の一例である第2車両情報Inf2に基づき第2情報画像G2に関する情報に変化があったと判別したときにのみ第2情報画像G2を更新してもよい。第2情報画像G2に関する情報に変化があったときとは、例えば、先行車両の有無が切り替わったり、車間距離が変化したり、車線逸脱の有無が切り替わったりするときである。これにより、第2情報画像G2の更新周期をより長くすることができ、制御部55の画像処理負担をより小さくすることができる。
【0033】
上記実施形態においては、制御部55は、第2情報画像G2の視認性を低下させる際、第2情報画像G2を暗くするか(ステップS105)、第2情報画像G2をぼかしていた(ステップS107)。しかし、これに限らず、制御部55は、第2情報画像G2の視認性を低下させる際、第2情報画像G2のサイズを小さくしてもよいし、例えば、第2情報画像G2がカラーで表示されている場合には第2情報画像G2を白黒で表示してもよい。
上記実施形態において、制御部55は、第2情報画像G2を暗くする際(ステップS105)、第2情報画像G2のうち輝度の高いパーツのみを暗くしてもよい。
【0034】
上記実施形態においては、表示部は液晶パネル20であったが、液晶パネル20に限らず、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)であってもよい。
【0035】
上記実施形態においては、車両用表示装置10は車載メータであったが、これに限らず、車載ヘッドアップディスプレイ装置であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
10 車両用表示装置
20 液晶パネル
30 光源
40 GDC
50 マイコン
51 CPU
52 ROM
53 RAM
55 制御部
62 車載機器
C 先行車両
C1 長周期
C2 基準周期
G 画像
G1 第1情報画像
G2 第2情報画像
G3 ポップアップ画像
L 車線
R1 第1レイヤ
R2 第2レイヤ
R3 第3レイヤ
R4 第4レイヤ
Inf1 第1車両情報
Inf2 第2車両情報
Inf3 エンタメ情報
Inf4 操作信号情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8