(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】充電制御装置および充電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240416BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240416BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H01M10/48 P
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2022047051
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 拓也
(72)【発明者】
【氏名】亀田 健太
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-033555(JP,A)
【文献】特開2018-133977(JP,A)
【文献】特開2013-129381(JP,A)
【文献】特開2021-009061(JP,A)
【文献】特開2018-029430(JP,A)
【文献】米国特許第05432429(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
B60L1/00-3/12
B60L5/00-5/42
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60R16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器に並列接続された架装および電池に電気経路を介して所定の充電電力を送出する制御を実行する充電制御装置であって、
電池の充電状態が所定の上限値以上である場合に満充電判定を行い、前記充電状態が所定の下限値以下である場合に充電許可判定を行う判定部と、
前記満充電判定が行われた場合、前記電池の充電を禁止する一方で前記電池の放電を許可し、前記充電許可判定が行われた場合、前記電池の放電を停止する一方で前記電池の充電を許可する第1制御部と、
前記満充電判定が行われた後且つ前記充電許可判定が行われる前に
前記電気経路から前記架装が外された場合、前記満充電判定のクリアフラグを送信する第2制御部と、
を備える、
充電制御装置。
【請求項2】
充電器に並列接続された架装および電池に電気経路を介して所定の充電電力を送出する制御を実行する充電制御方法であって、
電池の充電状態が所定の上限値以上である場合に満充電判定を行い、前記充電状態が所定の下限値以下である場合に充電許可判定を行う判定ステップと、
前記満充電判定が行われた場合、前記電池の充電を禁止する一方で前記電池の放電を許可し、前記充電許可判定が行われた場合、前記電池の放電を停止する一方で前記電池の充電を許可する第1制御ステップと、
前記満充電判定が行われた後且つ前記充電許可判定が行われる前に
前記電気経路から前記架装が外された場合、前記満充電判定のクリアフラグを送信する第2制御ステップと、
を備える、
充電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御装置および充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電と放電を繰り返す蓄電池を用いて、蓄電池が接続される負荷に電力供給するためのシステムとして、例えば、特許文献1に記載された蓄電システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、充電状態を示すSOC(State Of Charge)が所定の上限値以上である場合に外部電源から蓄電池への充電を停止する制御を実行し、SOCが所定の下限値以下である場合に蓄電池から負荷への放電を停止する制御を実行する制御部が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の蓄電システムでは、SOCが下限値以下になる前に、蓄電池から負荷への放電が停止された場合、外部電源から蓄電池への充電が許可されない。これにより、蓄電池を100%の充電状態にすることが困難となる。
【0006】
本開示の目的は、電池の充電状態が所定の下限値以下になる前に、電池の放電が停止された場合、電池の充電を行うことが可能な充電制御装置および充電制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本開示における充電制御装置は、
充電器に並列接続された架装および電池に電気経路を介して所定の充電電力を送出する制御を実行する充電制御装置であって、
電池の充電状態が所定の上限値以上である場合に満充電判定を行い、前記充電状態が所定の下限値以下である場合に充電許可判定を行う判定部と、
前記満充電判定が行われた場合、前記電池の充電を禁止する一方で前記電池の放電を許可し、前記充電許可判定が行われた場合、前記電池の放電を停止する一方で前記電池の充電を許可する第1制御部と、
前記満充電判定が行われた後且つ前記充電許可判定が行われる前に前記電気経路から前記架装が外された場合、前記満充電判定のクリアフラグを送信する第2制御部と、
を備える。
【0008】
本開示における充電制御方法は、
充電器に並列接続された架装および電池に電気経路を介して所定の充電電力を送出する制御を実行する充電制御方法であって、
電池の充電状態が所定の上限値以上である場合に満充電判定を行い、前記充電状態が所定の下限値以下である場合に充電許可判定を行う判定ステップと、
前記満充電判定が行われた場合、前記電池の充電を禁止する一方で前記電池の放電を許可し、前記充電許可判定が行われた場合、前記電池の放電を停止する一方で前記電池の充電を許可する第1制御ステップと、
前記満充電判定が行われた後且つ前記充電許可判定が行われる前に前記電気経路から前記架装が外された場合、前記満充電判定のクリアフラグを送信する第2制御ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電池の充電状態が所定の下限値以下になる前に、電池の放電が停止された場合、電池の充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る充電制御装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、電池の充電状態と充放電動作との関係を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る充電制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施の形態に係る充電制御装置10の構成を示す図である。充電制御装置10は、電池BPの充電および放電の制御を実行する。電池BPは例えば車両に搭載される。なお、複数の電池BPにより構成された組電池を車両に搭載し、充電制御装置10が組電池の充電および放電の制御を実行してもよい。
【0012】
充電器1は地上側に設置される。充電器1は、充電器ECU(Electronic Control Unit)2を有する。充電器ECU2は、所定の充電電力を電気経路3に送出する制御を実行する。充電器1には電池BPと架装5とが並列接続されている。電気経路3に送出された充電電力で、電池BPの充電および架装5の稼働が可能となる。充電電力が送出される方向を
図1に矢印で示す。なお、
図1に電気経路3に接続される1つの架装5を示したが、電気経路3には複数の架装5が接続されてもよい。また、架装5は、電池BPにかかる電気負荷であればよい。
【0013】
充電制御装置10は、監視部20と、電池ECU30(本開示の「第1制御部」に対応する)と制御ECU40(本開示の「第2制御部」に対応する)とを備えている。
【0014】
[監視部20]
監視部20は、電池BPに設けられ、電池BPの電力量や、電池BPの温度や、電池BPに投入される充電電力を含む電池状態を監視する。
【0015】
[電池ECU30]
電池ECU30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して電池ECU30の所定機能を実行する。このとき、記憶部33に格納されている各種データが参照される。記憶部33は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。電池ECU30は、例えば、車両の各部を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)に組み込まれても良く、制御ECU40と一体的に構成されてもよく、また、車両ECUや制御ECU40とは別個に設けられても良い。
【0016】
電池ECU30は、所定機能として取得部31と判定部32とを有する。取得部31は、電池BPの電力量を取得する。取得部31により取得された電力量は記憶部33に記憶される。
【0017】
判定部32は、取得された電力量が所定の上限値以上である場合、満充電判定を行う。また、判定部32は、取得された電力量が所定の下限値以下である場合、充電許可判定を行う。なお、上限値および下限値は、電池BPの種類や使用状況に応じて変更することが可能である。
【0018】
図2は、電池BPの充電状態と充放電動作との関係を示す図である。
図2に上限値および下限値のそれぞれに相当する電力量を破線で示す。電池ECU30は、充電許可判定が行われた場合、電池BPの放電を禁止する一方、電池BPの充電を許可する。電池BPの充電が許可された場合、充電器1の充電電力で、電池BPの充電および架装5の稼働が可能となる。これにより、
図2に示すように、電池BPの電力量が下限値から上限値に向かって上昇する。
【0019】
電池ECU30は、満充電判定が行われた場合、電池BPの充電を禁止する一方、電池BPの放電を許可する。電池BPの放電が許可された場合、電池BPから架装5に電力が供給される。電池BPから架装5に電力が供給される方向を
図1に白抜きの矢印で示す。電池BPの放電により、
図2に示すように、電池BPの電力量が上限値から下限値に向かって下降する。
【0020】
制御ECU40には、電池ECU30から判定部32の判定結果が送信される。
【0021】
また、制御ECU40には、電力が電池BPから架装5へ供給されている状態を示す電力供給状態信号、および、電力が電池BPから架装5へ供給されていない状態を示す電力供給停止状態信号のそれぞれが送信される。なお、電力供給停止状態信号は、架装5の稼働が終了した場合に送信される。
【0022】
ところで、満充電判定が行われた後且つ充電許可判定が行われる前に、制御ECU40に電力供給停止状態信号が入力された場合において、充電許可判定が行われる前であるため、また、電満充電判定が取り消されていないため、仮に、この状態のままでは、電池BPを充電することができない。つまり、蓄電池を満充電状態にすることができない。なお、電池BPを充電することができない状態を
図2に「X」で示す。
【0023】
[制御ECU40]
制御ECU40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して制御ECU40の所定機能を実行する。このとき、記憶部(不図示)に格納されている各種データが参照される。記憶部は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。制御ECU40は、例えば、車両の各部を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)に組み込まれても良く、電池ECU30と一体的に構成されてもよく、また、車両ECUや電池ECU30とは別個に設けられても良い。
【0024】
制御ECU40は、満充電判定が行われた後且つ充電許可判定が行われる前に、電力供給停止状態信号が入力された場合、満充電判定のクリアフラグを電池ECU30に送信する。これにより、充電許可判定が行われたことになるため、電池BPを充電することができる。その結果、電池BPを満充電状態にすることが可能となる。なお、電池BPを充電することができる状態を
図2に「〇」で示す。
【0025】
次に、本開示の実施の形態に係る充電制御方法の一例について
図3を参照して説明する。
図3は、本開示の実施の形態に係る充電制御方法の一例を示すフローチャートである。なお、本フローは、例えば、ユーザーによるアクセサリーモードへの切り替え操作により開始され、その後所定時間毎に繰り返される。また、電池ECU30は電池BPの電力量を所定時間毎に取得する。なお、
図3に示す各ステップは、例えば、電池ECU30および制御ECU40のそれぞれの機能が行うものであるが、ここでは、電池ECU30および制御ECU40のそれぞれのCPUが実行するものとして説明する。
【0026】
先ず、ステップS100において、CPUは、電池BPの電力量を取得する。
【0027】
次に、ステップS110において、CPUは、取得された電力量が所定の上限値以上であるか否かについて判定する。電力量が所定の上限値以上である場合(ステップS110:YES)、処理はステップS120に遷移する。電力量が所定の上限値以上でない場合(ステップS110:NO)、処理はステップS170に遷移する。
【0028】
次に、ステップS120において、CPUは満充電判定を行う。
【0029】
次に、ステップS130において、CPUは、電力供給停止状態信号が入力されたか否かについて判定する。電力供給停止状態信号が入力された場合(ステップS130:YES)、処理はステップS140に遷移する。電力供給停止状態信号が入力されない場合(ステップS130:NO)、処理はステップS170に遷移する。
【0030】
ステップS140において、CPUは、取得された電力量が所定の下限値以下であるか否かについて判定する。電力量が所定の下限値以下である場合(ステップS140:YES)、処理はステップS160に遷移する。電力量が所定の下限値以下でない場合(ステップS140:NO)、処理はステップS150に遷移する。
【0031】
ステップS150において、CPUは、満充電判定のクリアフラグを送信する。
【0032】
次に、ステップS160において、CPUは、充電許可判定を行う。その結果、電池BPを満充電状態にすることが可能となる。その後、本フローは終了する。
【0033】
ステップS170において、CPUは、取得された電力量が所定の下限値以下であるか否かについて判定する。電力量が所定の下限値以下である場合(ステップS170:YES)、処理はステップS160に遷移する。電力量が所定の下限値以下でない場合(ステップS170:NO)、処理はステップS110の前に戻る。
【0034】
本開示の実施の形態に係る充電制御装置10は、電池BPの充電状態が所定の上限値以上である場合に満充電判定を行い、充電状態が所定の下限値以下である場合に充電許可判定を行う判定部32と、満充電判定が行われた場合、電池の充電を禁止する一方で電池の放電を許可し、充電許可判定が行われた場合、電池の放電を停止する一方で電池の充電を許可する電池ECU30と、満充電判定が行われた後且つ充電許可判定が行われる前に電力供給停止状態信号が入力された場合、満充電判定のクリアフラグを送信する制御ECU40と、を備える。
【0035】
上記構成により、満充電判定が行われた後且つ充電許可判定が行われる前であっても、満充電判定のクリアフラグが送信されるため、充電許可判定が行われることになる。これにより、電池BPを充電することが可能となる。
【0036】
なお、上記実施の形態に係る充電制御装置10では、電池の放電が停止された場合を、電力供給停止状態信号が送信される場合としたが、本開示は、これに限らない。例えば、電池BPの電力量を所定値以上確保する場合でもよい。
【0037】
また、上記実施の形態に係る充電制御装置10では、電力供給停止状態信号が送信される場合の具体例として、架装5が稼働を停止した場合を挙げたが、本開示は、これに限らない。例えば、電気経路3から架装5が外された場合でもよい。
【0038】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示は、電池の充電状態が所定の下限値以下になる前に、電池の放電が停止された場合、電池の充電を行うことが要求される充電制御装置を搭載した車両に好適に利用される。
【符号の説明】
【0040】
BP 電池
1 充電器
2 充電器ECU
3 電気経路
5 架装
10 充電制御装置
20 監視部
30 電池ECU
31 取得部
32 判定部
33 記憶部
40 制御ECU