(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】映像制御装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240416BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240416BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240416BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N7/18 U
G08G1/16 C
G07C5/00 Z
B60R11/04
(21)【出願番号】P 2022093618
(22)【出願日】2022-06-09
(62)【分割の表示】P 2018076897の分割
【原出願日】2018-04-12
【審査請求日】2022-06-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】永井 亮行
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】春原 一史
(72)【発明者】
【氏名】森 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】菅田 章典
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0334357(US,A1)
【文献】特開2013-125191(JP,A)
【文献】特開2018-052215(JP,A)
【文献】特開2005-338934(JP,A)
【文献】特開2004-147046(JP,A)
【文献】特開2017-194950(JP,A)
【文献】特開2013-216241(JP,A)
【文献】特開2015-128915(JP,A)
【文献】特開2014-167438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0054949(US,A1)
【文献】特開2010-111367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08G 1/00-99/00
G07C 1/00-15/00
B60R 9/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲と車両内とを含む車両周辺映像の映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像データ取得部が取得した前記映像データから、車両の乗員の顔部の顔映像を抽出する顔映像抽出部と、
前記映像データ取得部が取得した前記映像データから、前記車両の周囲の車両外部映像を抽出する外部映像抽出部と、
前記顔映像抽出部が抽出した前記顔映像を、前記外部映像抽出部が抽出した前記車両外部映像に合成して合成映像を生成する映像合成部と、
前記外部映像抽出部が抽出した前記車両外部映像に基づいて、画像中の水平方向および垂直方向において輝度の変化量が所定値以下である映像領域を抽出する映像領域抽出部と、
前記映像領域抽出部が抽出した
前記映像領域の大きさに基づき、前記映像領域に収まるように前記顔映像の大きさを調整し、前記調整した顔映像を合成した前記合成映像を生成するよう、前記映像合成部を制御する映像制御部と、
前記映像合成部が合成した前記合成映像の出力を制御する出力制御部と、
を備えることを特徴とする映像制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲と車両内とを撮影するカメラで画像を録画し、運転中の事故発生を通報し、また、駐車中の防犯上の異常を検知したとき、通報することが可能な車載監視カメラ装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、事故にあったり、駐車中に防犯上の異常が検知されたりしたとき、車両周辺映像によって、事故にあったときの様子を後から正確に確認することが可能である。
【0005】
事故にあったり、駐車中に防犯上の異常が検知されたりしたときだけではなく、例えば、周囲の景色に車両乗員の顔画像を重畳した映像を生成し、表示したり記憶したりしたいという要望がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両外部の映像に車両乗員の顔画像を適切に重畳した映像を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る映像制御装置は、車両の周囲と車両内とを含む車両周辺映像の映像データを取得する映像データ取得部と、映像データ取得部が取得した映像データから、車両の乗員の顔部の顔映像を抽出する顔映像抽出部と、映像データ取得部が取得した映像データから、車両の周囲の車両外部映像を抽出する外部映像抽出部と、顔映像抽出部が抽出した顔映像を、外部映像抽出部が抽出した車両外部映像に合成して合成映像を生成する映像合成部と、外部映像抽出部が抽出した車両外部映像に基づいて、画像中の水平方向および垂直方向において輝度の変化量が所定値以下である映像領域を抽出する映像領域抽出部と、映像領域抽出部が抽出した映像領域に、顔映像を合成した合成映像を生成するよう、映像合成部を制御する映像制御部と、映像合成部が合成した合成映像の出力を制御する出力制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両外部の映像に車両乗員の顔画像を適切に重畳した映像を生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る映像制御装置で生成した合成映像の一例を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第二実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第二実施形態に係る映像制御装置で生成した合成映像の一例を説明する概略図である。
【
図6】
図6は、第二実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第三実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第三実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第四実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第四実施形態に係る映像制御装置で生成した合成映像の一例を説明する概略図である。
【
図11】
図11は、第四実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第五実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第五実施形態に係る映像制御装置が撮影した映像データの一例を説明する概略図である。
【
図14】
図14は、第五実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第六実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、第七実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、第七実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る映像制御装置、車両用撮影装置、映像制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、第一実施形態に係る映像制御装置で生成した合成映像の一例を説明する概略図である。車両用撮影装置1は、車内の状況に応じて、より詳しくは、乗員の状況に応じて、乗員の顔映像100を車両の外部の車両外部映像110に合成した合成映像120を生成して、出力する。
【0012】
乗員は、人と、例えば、犬または猫のようなペットの動物とを含む。本実施形態では、乗員は、人として説明する。
【0013】
出力は、合成映像120を表示部30に表示することと、合成映像120を記憶部40に記憶することとを含む。
【0014】
車両用撮影装置1は、車両に載置されているものに加えて、可搬型で車両において利用可能な装置であってもよい。車両用撮影装置1は、カメラ(撮影部)20と、表示部30と、記憶部40と、映像制御装置50とを有する。
【0015】
カメラ20は、車両の周囲と車両内とを含む車両周辺映像を撮影するカメラである。本実施形態では、カメラ20は、360°の全天周を撮影可能なカメラとして説明するが、これに限定されず、車両の周囲及び車両内をそれぞれに撮影する複数のカメラ群であってもよい。カメラ20は、車両の前方に配置されている。カメラ20は、エンジンが始動してから停止するまでの間、車両の周囲と車両内とを含む車両周辺映像を常時撮影する。カメラ20は、撮影した映像データを映像制御装置50の映像データ取得部51へ出力する。映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0016】
表示部30は、一例としては、車両用撮影装置1に固有の表示装置、または、ナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した表示装置などである。表示部30は、カメラ20と一体に形成されていてもよい。表示部30は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。本実施形態では、表示部30は、車両の運転者前方の、ダッシュボード、インストルメントパネル、センターコンソールなどに配置されている。表示部30は、映像制御装置50の出力制御部56の表示制御部561から出力された映像信号に基づき、車両外部映像110または合成映像120を表示する。
【0017】
記憶部40は、車両用撮影装置1におけるデータの一時記憶などに用いられる。記憶部40は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶部である。または、図示しない通信装置を介して無線接続される外部記憶部であってもよい。記憶部40は、映像制御装置50の出力制御部56の記憶制御部562から出力された制御信号に基づき、車両外部映像110または合成映像120を記憶する。
【0018】
映像制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。映像制御装置50は、記憶部40に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。映像制御装置50は、映像データ取得部51と、乗員情報取得部52と、顔映像抽出部53と、外部映像抽出部54と、映像合成部55と、出力制御部56と、映像制御部57とを有する。映像制御装置50には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは映像制御装置50におけるデータの一時記憶などに用いられる。
【0019】
映像データ取得部51は、車両の周囲と車両内とを含む車両周辺映像の映像データを取得する。より詳しくは、映像データ取得部51は、カメラ20が出力した映像データを取得する。映像データ取得部51は、取得した映像データを乗員情報取得部52と顔映像抽出部53と外部映像抽出部54とに出力する。
【0020】
乗員情報取得部52は、車両内の乗員の音声と感情と動作と生体の兆候との少なくともいずれかの乗員の状況を示す乗員情報を取得する。乗員情報取得部52は、映像データ取得部51が取得した映像データに音声認識処理を行って、乗員の音声を認識して音声データを乗員情報として取得する。本実施形態では、乗員情報取得部52は、例えば、家族のような車両に乗車する頻度が高い乗員の音声をあらかじめ記憶しておき、認識した音声が、誰の音声であるかを特定して認識する。または、指向性の高いマイクを備え、どの座席に着座している乗員の音声であるかを認識してもよい。または、乗員情報取得部52は、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100から、乗員の表情を認識した感情情報を乗員情報として取得してもよい。または、乗員情報取得部52は、映像データ取得部51が取得した映像データに画像認識処理を行って、乗員の動作を認識して動作情報を乗員情報として取得してもよい。または、乗員情報取得部52は、映像データ取得部51が取得した映像データに画像認識処理を行って、例えば、呼吸の有無、意識の有無、瞼の状態、視線の向き、視線の移動量、および、顔色の少なくともいずれかを含む乗員の外見から認識可能な生体の兆候を認識して生体情報を乗員情報として取得してもよい。または、乗員情報取得部52は、図示しない生体情報センサが取得した乗員の生体の兆候を認識して生体情報を乗員情報として取得してもよい。乗員情報取得部52は、取得した乗員情報を映像制御部57に出力する。
【0021】
顔映像抽出部53は、映像データ取得部51が取得した映像データから、乗員の顔部の映像である顔映像100を抽出する。より詳しくは、顔映像抽出部53は、図示しない人物認識辞書を使用して、映像データに人物認識処理を行って乗員の顔部を認識して、顔映像100を抽出する。人物認識処理は、公知の方法であればよく、限定されない。本実施形態では、顔映像抽出部53は、例えば、家族のような車両に乗車する頻度が高い乗員の顔部を記憶した人物認識辞書を使用して、誰の顔であるかを特定して認識するものとする。顔映像抽出部53は、認識した顔映像100を映像合成部55と映像制御部57とに出力する。
【0022】
また、顔映像抽出部53は、乗員情報取得部52によって音声が検出された乗員のみ、顔映像100を抽出してもよいし、すべての乗員の顔映像100を抽出してもよい。より詳しくは、顔映像抽出部53は、映像データにおいて、乗員情報取得部52が音声を検出した時刻に、口唇部の動きが検出された乗員の顔部を、音声を発した乗員の顔部として認識し、口唇部の動きが検出されない乗員の顔部は、認識しなくてもよい。
【0023】
また、顔映像抽出部53は、映像データに人物認識処理を行った際に、認識した乗員の着座位置を合わせて取得してもよい。
【0024】
さらに、顔映像抽出部53は、人物認識処理によって認識した複数の乗員が、例えば、10cm程度以下まで接近していると判定されるとき、接近している複数の乗員をまとめて認識してもよい。例えば、後部座席の乗員が接近して会話しているとき、顔映像抽出部53は、後部座席の複数の乗員をまとめて認識してもよい。
【0025】
外部映像抽出部54は、映像データ取得部51が取得した映像データから、車両の周囲の車両外部映像110を抽出する。外部映像抽出部54は、映像データのうち、車両の進行方向の前方と左右側方と後方とに対応するカメラ20の撮影範囲を車両外部映像110として抽出する。本実施形態では、外部映像抽出部54は、映像データのうち、車両の進行方向の前方に対応するカメラ20の撮影範囲を車両外部映像110として抽出する。外部映像抽出部54は、認識した車両外部映像110を映像合成部55と映像制御部57とに出力する。
【0026】
映像合成部55は、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100を、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。より詳しくは、映像合成部55は、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100を、車両の前方から見たように視点変換処理を行う。言い換えると、映像合成部55は、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100の歪を補正する。また、映像合成部55は、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110のうち、車両の進行方向の前方が撮影された範囲を切り出す切出処理と、運転席から前方を見たように視点変換処理とを行う。言い換えると、映像合成部55は、車両外部映像110のうち、車両の進行方向の前方が撮影された範囲を切り出して、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110の歪を補正する。映像合成部55は、視点変換後の顔映像100を視点変換後の車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。
【0027】
本実施形態では、車両外部映像110において顔映像100を合成する位置は、限定されない。例えば、車両外部映像110の周縁部に顔映像100を合成してもよい。例えば、顔映像抽出部53が認識した乗員の着座位置に応じて、車両外部映像110の所定位置に顔映像100を合成してもよい。例えば、運転席に着座している運転手の顔画像100aを運転席側(右下)に表示し、助手席に着座している同乗者の顔画像100bを助手席側(左下)に表示し、鏡像のように合成する等である。
【0028】
本実施形態では、車両外部映像110において顔映像100を合成する大きさと形状とは、限定されない。例えば、合成した顔映像100の面積の合計を、車両外部映像110の面積の20%程度以下にしてもよい。例えば、矩形状または円形状または認識した乗員の外形に沿ってに切り出した顔映像100を車両外部映像110に合成してもよい。
【0029】
映像制御部57は、乗員の音声が検出されている間、または、乗員の音声が検出されてから所定時間、映像合成部55によって、合成映像120を生成するように制御してもよい。音声が検出されている間、合成映像120を生成することにより、発声した乗員を認識しやすい合成映像120が生成される。乗員の音声が検出されてから所定時間、合成映像120を生成することにより、短い音声を発した場合でも乗員の顔を認識しやすい合成映像120が生成される。
【0030】
図2を用いて、合成映像120について説明する。合成映像120は、車両外部映像110の左側部に乗員の顔映像100が合成されている。合成映像120は、車両外部映像110に、車両外部映像110が撮影されたときのすべての乗員の顔映像100が合わせて表示される。
【0031】
出力制御部56は、映像合成部55が合成した合成映像120の出力を制御する。出力制御部56は、表示制御部561と、記憶制御部562とを有する。表示制御部561は、映像合成部55が合成した合成映像120を表示部30に出力させる映像信号を出力する。記憶制御部562は、映像合成部55が合成した合成映像120を記憶部40に記憶させる。
【0032】
映像制御部57は、映像合成部55における合成映像120の生成と、出力制御部56
による合成映像120の出力とを制御する。より詳しくは、映像制御部57は、乗員情報取得部52が取得した乗員情報に基づいて、映像合成部55によって合成映像120を生成し、出力制御部56によって合成映像120を出力する。本実施形態では、映像制御部57は、乗員情報取得部52が映像データから乗員の音声を検出すると、映像合成部55によって合成映像120を生成させ、表示制御部561によって合成映像120を表示部30に出力させ、記憶制御部562によって合成映像120を記憶部40に記憶させる。
【0033】
次に、
図3を用いて、映像制御装置50における処理の流れについて説明する。
図3は、第一実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置1の起動中、カメラ20は、車両の周囲と車両内とを含む車両周辺映像を撮影する。
【0034】
映像制御装置50は、映像データを取得する(ステップS101)。より詳しくは、映像制御装置50は、映像データ取得部51によって、カメラ20が出力した映像データを取得する。映像制御装置50は、ステップS102に進む。
【0035】
映像制御装置50は、乗員情報を取得する(ステップS102)。より詳しくは、映像制御装置50は、乗員情報取得部52によって、映像データ取得部51が取得した映像データに音声認識処理を行って、乗員の音声を認識して音声データを乗員情報として取得する。映像制御装置50は、ステップS103に進む。
【0036】
映像制御装置50は、乗員の音声を検出したかを判定する(ステップS103)。映像制御装置50は、乗員情報取得部52が音声データを取得した場合(ステップS103でYes)、ステップS107に進む。映像制御装置50は、乗員情報取得部52が音声データを取得しなかった場合(ステップS103でNo)、ステップS104に進む。
【0037】
乗員の音声を検出しなかった場合(ステップS103でNo)、映像制御装置50は、車両外部映像110を抽出する(ステップS104)。より詳しくは、映像制御装置50は、外部映像抽出部54によって、映像データのうち、車両の前方に対応するカメラ20の撮影範囲を車両外部映像110として抽出する。映像制御装置50は、ステップS105に進む。
【0038】
映像制御装置50は、車両外部映像110を記憶する(ステップS105)。より詳しくは、映像制御装置50は、出力制御部56の記憶制御部562によって、抽出した車両外部映像110を記憶部40に記憶させる。映像制御装置50は、ステップS106に進む。
【0039】
映像制御装置50は、車両外部映像110を表示する(ステップS106)。より詳しくは、映像制御装置50は、出力制御部56の表示制御部561によって、抽出した車両外部映像110を表示部30に表示させる。映像制御装置50は、処理を終了する。
【0040】
乗員の音声を検出した場合(ステップS103でYes)、映像制御装置50は、顔映像100を抽出する(ステップS107)。より詳しくは、映像制御装置50は、顔映像抽出部53によって、映像データに人物認識処理を行って乗員の顔部を認識して、顔映像100を抽出する。映像制御装置50は、ステップS108に進む。
【0041】
映像制御装置50は、車両外部映像110を抽出する(ステップS108)。ステップS108においては、ステップS104と同様の処理が実行される。映像制御装置50は、ステップS109に進む。
【0042】
映像制御装置50は、映像を合成する(ステップS109)。より詳しくは、映像制御装置50は、映像合成部55によって、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100を、車両の前方から見たように視点変換処理を行う。また、映像制御装置50は、映像合成部55によって、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110に、車両の進行方向の前方が撮影された範囲を切り出す切出処理と、運転席から前方を見たように視点変換処理とを行う。映像制御装置50は、映像合成部55によって、視点変換後の顔映像100を視点変換後の車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。映像制御装置50は、ステップS110に進む。
【0043】
映像制御装置50は、合成映像120を記憶する(ステップS110)。より詳しくは、映像制御装置50は、出力制御部56の記憶制御部562によって、合成映像120を記憶部40に記憶させる。映像制御装置50は、ステップS111に進む。
【0044】
映像制御装置50は、合成映像120を表示する(ステップS111)。より詳しくは、映像制御装置50は、出力制御部56の表示制御部561によって、合成映像120を表示部30に表示させる。映像制御装置50は、処理を終了する。
【0045】
このようにして、乗員の音声を検出すると、顔映像100を車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。生成した合成映像120は、記憶部40に記憶されるとともに、表示部30に表示される。例えば、周囲の景色に反応して乗員が音声を発すると、そのときの車両外部映像110に乗員の顔映像100を合成した合成映像120が生成される。
【0046】
上述したように、本実施形態は、乗員の音声を検出すると、顔映像100を車両外部映像110に合成して合成映像120を生成することができる。また、本実施形態では、生成した合成映像120を、記憶部40に記憶するとともに、表示部30に表示することができる。本実施形態では、例えば、周囲の景色に反応して乗員が音声を発すると、そのときの車両外部映像110に乗員の顔映像100を合成した合成映像120が生成することができる。これにより、本実施形態は、例えば、車両での旅行の楽しい記録を残すことができる。このように、本実施形態によれば、車内の状況に応じて適切な映像を記憶することができる。
【0047】
本実施形態によれば、乗員情報取得部52によって音声が検出された乗員のみ、顔映像100を抽出して、合成映像120を生成することができる。本実施形態によれば、乗員が寝ていたりして音声を発していないときは、顔映像100が抽出されないので、合成映像120に寝顔の映像を含められることがない。これにより、本実施形態は、乗員のプライバシーを守ることができる。
【0048】
本実施形態によれば、例えば、後部座席の乗員が接近して会話しているとき、後部座席の複数の乗員をまとめて一つの顔映像100として抽出して、合成映像120を生成することができる。これにより、本実施形態は、例えば、車両での旅行の楽しい記録を残すことができる。
【0049】
[第二実施形態]
図4ないし
図6を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置1Aについて説明する。
図4は、第二実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図5は、第二実施形態に係る映像制御装置で生成した合成映像の一例を説明する概略図である。
図6は、第二実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置1Aは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置1と同様である。以下の説明においては、車両用撮影装置1と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。車両用撮影装置1Aは、映像制御装置50Aが声量導出部521Aを備える点と、映像合成部55Aと映像制御部57Aとにおける処理が第一実施形態と異なる。
【0050】
声量導出部521Aは、乗員情報取得部52が取得した乗員の音声の音声データに基づいて、声量の大きさを導出する。声量導出部521Aは、導出した音声の声量の大きさの声量情報を映像制御部57Aに出力する。
【0051】
映像合成部55Aは、声量導出部521Aが導出した乗員の声量の大きさに応じて、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100の大きさを変えて、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。例えば、映像合成部55Aは、声量が閾値以上である場合、顔映像100の大きさを、声量が閾値未満である場合に比べて大きくして合成映像120を生成してもよい。例えば、映像合成部55Aは、声量が大きいほど顔映像100の大きさを大きくして合成映像120を生成してもよい。例えば、映像合成部55Aは、乗員ごとにあらかじめ記憶された普段の声量に比べて、導出した声量が大きい場合、顔映像100の大きさを大きくして合成映像120を生成してもよい。
【0052】
図5を参照して、合成映像120について説明する。女性の乗員の声量が男性の乗員の声量より大きいものとする。女性の乗員の顔映像100は、男性の乗員の顔映像100より大きく表示されている。
【0053】
映像制御部57Aは、声量導出部521Aが導出した乗員の声量の大きさに基づいて、映像合成部55Aによって合成映像120を生成し、出力制御部56による合成映像120の出力を制御する。
【0054】
次に、
図6を用いて、映像制御装置50Aにおける処理の流れについて説明する。ステップS201ないしステップS206、ステップS208、ステップS209、ステップS211、ステップS212の処理は、
図3に示すフローチャートのステップS101ないしステップS106、ステップS107、ステップS108、ステップS110、ステップS111と同様の処理を行う。
【0055】
乗員の音声を検出した場合(ステップS203でYes)、映像制御装置50Aは、声量を導出する(ステップS207)。より詳しくは、映像制御装置50Aは、声量導出部521Aによって、乗員情報取得部52が取得した乗員の音声について声量の大きさを導出する。映像制御装置50Aは、ステップS208に進む。
【0056】
映像制御装置50Aは、声量に応じて顔映像100の大きさを変えて映像を合成する(ステップS210)。より詳しくは、映像制御装置50Aは、声量導出部521Aが導出した乗員の声量の大きさに応じて、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100の大きさを変えて、車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。映像制御装置50Aは、ステップS211に進む。
【0057】
このようにして、乗員の音声を検出すると、声量に応じて大きさを変えた顔映像100を車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。
【0058】
上述したように、本実施形態は、乗員の音声を検出すると、声量に応じて大きさを変えた顔映像100を車両外部映像110に合成して合成映像120を生成することができる。本実施形態では、例えば、周囲の景色に反応して乗員が音声を発すると、声の大きい乗員の顔映像100を声の小さい乗員の顔映像100より大きくした合成映像120を生成することができる。これにより、本実施形態は、例えば、より大きな声を出して、周囲の景色に大きな反応を示した乗員の顔映像100を大きくすることができる。
【0059】
[第三実施形態]
図7、
図8を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置1Bについて説明する。
図7は、第三実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図8は、第三実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置1Bは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置1と同様である。車両用撮影装置1Bは、映像制御装置50Bが音声判定部522Bを備える点と、映像合成部55Bと映像制御部57Bとにおける処理が第一実施形態と異なる。
【0060】
音声判定部522Bは、乗員情報取得部52が取得した乗員の音声の音声データから、乗員の音声を認識して、音声が車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであるかを判定する。音声判定部522Bは、判定した音声の音声判定情報を映像制御部57Bに出力する。
【0061】
車両の走行状態に関する音声とは、例えば、車両の速度とブレーキ操作とハンドル操作とのような、車両の走行に関して乗員が発する音声である。例えば、「スピード」、「速い」、「ブレーキ」、「もっと踏んで」、「ハンドル」、「もっと切って」、「危ない!」、「ぶつかる」などの音声である。
【0062】
車両の周囲の状況に関する音声とは、例えば、車両の周囲の景色と歩行者と他車両と障害物とのような、車両の周囲の状況に関して乗員が発する音声である。例えば、「見て!」、「何だろう?」、「きれい」、「わぁ」、「(固有名詞)」、「あの建物」、「あの人」、「あの車」、「あのバイク」などの音声である。
【0063】
映像合成部55Bは、音声判定部522Bが、乗員の音声が車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであると判定した場合、合成映像120を生成する。
【0064】
また、映像合成部55Bは、乗員の音声が車両の周囲の状況に関するものである場合、乗員の興味の対象物を特定して、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110のうち、対象物が拡大されるように切り出す切出処理を行って、合成映像120を生成してもよい。乗員の興味の対象物を特定は、例えば、音声から固有名詞を認識して特定したり、図示しない視線検出装置によって乗員の視線を検出して特定したり、車両外部映像110に画像認識を行って特徴的な被撮影物を認識して特定したり、ナビゲーションシステムから取得する地図情報によって特定することが可能である。
【0065】
映像制御部57Bは、音声判定部522Bが、乗員の音声が車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであると判定した場合、映像合成部55Bによって合成映像120を生成し、出力制御部56による合成映像120の出力を制御する。
【0066】
次に、
図8を用いて、映像制御装置50Bにおける処理の流れについて説明する。ステップS301ないしステップS306、ステップS309ないしステップS313の処理は、
図3に示すフローチャートのステップS101ないしステップS106、ステップS107ないしステップS111と同様の処理を行う。
【0067】
乗員の音声を検出した場合(ステップS303でYes)、映像制御装置50Bは、音声を判定する(ステップS307)。より詳しくは、映像制御装置50Bは、音声判定部522Bによって、乗員情報取得部52が取得した乗員の音声の音声データから、乗員の音声を認識して、音声が車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであるかを判定する。映像制御装置50Bは、ステップS308に進む。
【0068】
映像制御装置50Bは、車両の走行または車両の周囲に関する音声であるかを判定する(ステップS308)。より詳しくは、映像制御装置50Bは、音声判定部522Bによって、音声が車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであると判定される場合(ステップS308でYes)、ステップS309に進む。映像制御装置50Bは、音声判定部522Bによって、音声が車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであると判定されなかった場合(ステップS308でNo)、ステップS304に進む。
【0069】
このようにして、検出した乗員の音声が、車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであると、顔映像100を車両外部映像110に合成して合成映像120を生成する。
【0070】
上述したように、本実施形態は、検出した乗員の音声が、車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであると、顔映像100を車両外部映像110に合成して合成映像120を生成することができる。本実施形態によれば、例えば、検出した乗員の音声が、車両外部映像110とに関連がありそうな場合に限って、合成映像120を生成するこ
とができる。
【0071】
[第四実施形態]
図9ないし
図11を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置1Cについて説明する。
図9は、第四実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図10は、第四実施形態に係る映像制御装置で生成した合成映像の一例を説明する概略図である。
図11は、第四実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置1Cは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置1と同様である。車両用撮影装置1Cは、映像制御装置50Cが顔方向判定部531Cを備える点と、映像合成部55Cと映像制御部57Cとにおける処理が第一実施形態と異なる。
【0072】
顔方向判定部531Cは、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100に基づいて、乗員の顔部の向きを判定する。より詳しくは、顔方向判定部531Cは、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100が正面を向いている場合、進行方向の前方を向いていると判定する。顔方向判定部531Cは、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100が右側を向いている場合、進行方向の右方向を向いていると判定する。顔方向判定部531Cは、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100が左側を向いている場合、進行方向の左方向を向いていると判定する。顔方向判定部531Cは、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100が後方を向いている場合、進行方向の後方を向いていると判定する。
【0073】
映像合成部55Cは、顔方向判定部531Cが判定した乗員の顔部の向きに基づいて、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110のうち、乗員の顔部の向きに対応する範囲を切り出す切出処理を行って、切り出した車両外部映像110に顔映像100を合成した合成映像120を生成する。
【0074】
図10を参照して、合成映像120について説明する。乗員が車両の進行方向に対して左方向を向いているものとして説明する。合成映像120は、
図2とは異なる車両進行方向に対して左方向が切り出された車両外部映像110に乗員の顔映像100が合成されている。
【0075】
映像制御部57Cは、映像合成部55Cによって、顔方向判定部531Cが判定した乗員の顔部の向きに基づいて、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110のうち、乗員の顔部の向きに対応する範囲を切り出して、顔映像100を合成した合成映像120を生成するように制御する。なお、このときの顔映像100は、
図10に示すように乗員の顔部の向きが判りやすいように車両前方の視点からの顔映像100であることが好ましい。また、乗員の顔が正面から映るような視点変換を行ったものであってもよい。
【0076】
次に、
図11を用いて、映像制御装置50Cにおける処理の流れについて説明する。ステップS401ないしステップS407、ステップS409、ステップS411、ステップS412の処理は、
図3に示すフローチャートのステップS101ないしステップS107、ステップS108、ステップS110、ステップS111と同様の処理を行う。
【0077】
映像制御装置50Cは、顔方向を判定する(ステップS408)。より詳しくは、映像制御装置50Cは、顔方向判定部531Cによって、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100に基づいて、乗員の顔部の向きを判定する。映像制御装置50Cは、ステップS409に進む。
【0078】
映像制御装置50Cは、顔方向に応じて、車両外部映像110の切出範囲を変えて映像を合成する(ステップS410)。より詳しくは、映像制御装置50Cは、顔方向判定部531Cが判定した乗員の顔部の向きに基づいて、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110のうち、乗員の顔部の向きに対応する範囲を切り出す切出処理を行って、切り出した車両外部映像110に顔映像100を合成した合成映像120を生成する。映像制御装置50は、ステップS411に進む。
【0079】
このようにして、乗員の顔方向に応じて、車両外部映像110の切出範囲を変え合成映像120を生成する。
【0080】
上述したように、本実施形態は、乗員の顔方向に応じて、車両外部映像110の切出範囲を変えて合成映像120を生成することができる。本実施形態によれば、例えば、乗員が興味を持った対象物を見ながら音声を発したとき、対象物が位置する方向を含んで切り出した車両外部映像110に顔映像100を合成することができる。これにより、本実施形態は、合成映像120によって、乗員が興味を持った対象物を後から確認することができる。なお、顔映像抽出部53が抽出した顔映像100に基づいて運転手の顔画像100aが前方以外の方向を向いていると判定した場合には、車両外部映像110に顔画像100aを合成するとともに、警告を発するようにしてもよい。
【0081】
[第五実施形態]
図12ない
図14を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置1Dについて説明する。
図12は、第五実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図13は、第五実施形態に係る映像制御装置が撮影した映像データの一例を説明する概略図である。
図14は、第五実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置1Dは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置1と同様である。車両用撮影装置1Dは、映像制御装置50Dが映像領域抽出部541Dを備える点と、映像合成部55Dと映像制御部57Dとにおける処
理が第一実施形態と異なる。
【0082】
映像領域抽出部541Dは、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110に基づいて、画像中で輝度の変化が少ない領域、言い換えると、単調な対象物が撮影された映像領域130を抽出する。本実施形態では、映像領域抽出部541Dは、車両外部映像110に基づいて、空が撮影された映像領域130を抽出する。空を抽出する方法は、映像中の画素の輝度が水平方向および垂直方向にほぼ一定となる領域を導出する公知のいずれの方法でもよく、限定されない。また、映像領域抽出部541Dは、車両外部映像110に基づいて、ボンネットを含む自車両の車体が撮影された領域、または、道路が撮影された映像領域130を抽出してもよい。例えば、映像領域抽出部541Dは、車両外部映像110において輝度の変化が少ない、または、低周波の所定面積以上の領域を映像領域130として抽出する。
【0083】
映像合成部55Dは、映像領域抽出部541Dが抽出した空が撮影された映像領域130に顔映像100を合成した合成映像120を生成する。映像合成部55Dは、抽出された映像領域130に収まるように、顔映像100の大きさを調整して合成映像120を生成することが好ましい。このように車両外部映像中の単調な対象物が撮影された領域に乗員の顔映像100を合成することで、車両外部映像中の建物や標識、他車両などを顔映像100が隠し、見えなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0084】
図13を参照して、合成映像120について説明する。合成映像120は、車両外部映像110の空の映像領域130に乗員の顔映像100が合成されている。
【0085】
映像制御部57Dは、映像合成部55Dによって、映像領域抽出部541Dが抽出した空が撮影された映像領域130に顔映像100を合成した合成映像120を生成するよう制御する。
【0086】
次に、
図14を用いて、映像制御装置50Dにおける処理の流れについて説明する。ステップS501ないしステップS508、ステップS511、ステップS512の処理は、
図3に示すフローチャートのステップS101ないしステップS108、ステップS110、ステップS111と同様の処理を行う。
【0087】
映像制御装置50Dは、空を撮像した領域を抽出する(ステップS509)。より詳しくは、映像制御装置50Dは、映像領域抽出部541Dによって、外部映像抽出部54が抽出した車両外部映像110から、空が撮影された映像領域130を抽出する。映像制御装置50Dは、ステップS510に進む。
【0088】
映像制御装置50Dは、抽出された空の映像領域130に映像を合成する(ステップS510)。より詳しくは、映像制御装置50Dは、映像合成部55Dによって、映像領域抽出部541Dが抽出した空が撮影された映像領域130に顔映像100を合成した合成映像120を生成する。映像制御装置50Dは、ステップS511に進む。
【0089】
このようにして、空を撮像した映像領域130に顔映像100が合成される。
【0090】
上述したように、本実施形態は、空を撮像した映像領域130に顔映像100を合成することができる。本実施形態によれば、対向車、歩行者、信号、標識および建物などの乗員が興味をもつ可能性のある対象物が撮影された範囲に、顔映像100が重畳され、対象物が視認できない映像となることを抑制することができる。
【0091】
[第六実施形態]
図15を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置1Bについて説明する。
図15は、第六実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置1Bは、基本的な構成は第三実施形態の車両用撮影装置1Bと同様である。車両用撮影装置1Bは、音声判定部522Bと映像制御部57Bとにおける処理が第三実施形態と異なる。
【0092】
音声判定部522Bは、映像データ取得部51が取得した映像データから、乗員の音声を認識して、事故など危ない状況に関するであるかを判定する。
【0093】
事故など危ない状況に関する音声とは、例えば、「危ない!」、「ぶつかる」、「事故」、「衝突」などの音声である。
【0094】
映像制御部57Bは、音声判定部522Bが、事故など危ない状況に関する音声であると判定した場合、映像合成部55Bによって合成映像120を生成し、合成映像120と、合成する前の車両外部映像110とを記憶して、合成する前の車両外部映像110を表示する。また、映像制御部57Bは、音声判定部522Bが、乗員の音声が車両の走行状態または車両の周囲の状況に関するものであると判定しなかった場合、映像合成部55Bによって合成映像120を生成し、合成映像120を記憶して、合成映像120を表示する。
【0095】
次に
図15を用いて、映像制御装置50Bにおける処理の流れについて説明する。ステップS601ないしステップS606、ステップS609ないしステップS613の処理は、
図8に示すフローチャートのステップS301ないしステップS307、ステップS309ないしステップS313と同様の処理を行う。
【0096】
乗員の音声を検出した場合(ステップS603でYes)、映像制御装置50Bは、音声を判定する(ステップS607)。より詳しくは、映像制御装置50Bは、音声判定部522Bによって、乗員情報取得部52が取得した乗員の音声の音声データから、乗員の音声を認識して、音声が事故など危ない状況に関するものであるかを判定する。映像制御装置50Bは、ステップS608に進む。
【0097】
映像制御装置50Bは、事故など危ない状況に関する音声であるかを判定する(ステップS608)。より詳しくは、映像制御装置50Bは、音声判定部522Bによって、事故など危ない状況に関する音声であると判定される場合(ステップS608でYes)、ステップS614に進む。映像制御装置50Bは、音声判定部522Bによって、事故など危ない状況に関する音声であると判定されなかった場合(ステップS608でNo)、ステップS609に進む。
【0098】
ステップS614ないしステップS617、ステップS618、ステップS619は、ステップS609ないしステップS612、ステップS605、ステップS613と同様の処理を行う。
【0099】
このようにして、検出した乗員の音声が、事故など危ない状況に関する音声であると、合成映像120と、合成する前の車両外部映像110とを記憶して、合成する前の車両外部映像110を表示する。また、検出した乗員の音声が、事故など危ない状況に関する音声ではないと、合成映像120を記憶して、合成映像120を表示する。
【0100】
上述したように、本実施形態は、検出した乗員の音声が、事故など危ない状況に関する音声であると、合成映像120と、合成する前の車両外部映像110とをどちらも記憶して、合成する前の車両外部映像110を表示することができる。また、検出した乗員の音声が、事故など危ない状況に関する音声ではないと、合成映像120を記憶して、合成映像120を表示することができる。本実施形態によれば、事故などのときは、合成映像120と、合成する前の車両外部映像110とをどちらも記憶するので、事故時の様子を検証するための映像と証拠能力の高い映像とを記憶することができる。
【0101】
本実施形態によれば、事故などのときは、運転者を含む乗員の注意を惹くような合成映像120が表示部30に表示されないようにすることができる。事故など危ない状況ではなく、安全であるときに限って、合成映像120を表示部30に表示することができる。
【0102】
[第七実施形態]
図16、
図17を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置1Eについて説明する。
図16は、第七実施形態に係る映像制御装置を有する車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図17は、第七実施形態に係る映像制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置1Eは、基本的な構成は第一実施形態と同様である。車両用撮影装置1Eは、表示部30Eの構成と、映像制御装置50Eが車両情報取得部58Eを備える点と、出力制御部56Eの表示制御部561Eの処理が第一実施形態と異なる。
【0103】
表示部30Eは、運転者から視認可能な位置に配置された運転席用表示部301Eと、後部座席から視認可能な位置に配置された後部座席用表示部302Eとを有する。
【0104】
車両情報取得部58Eは、車両の加速度または速度など、車両が受けた衝撃を判定可能な車両情報を、CAN(Controller Area Network)や車両の状態をセンシングする各種センサなどから取得する。車両情報取得部58Eは、取得した車両情報を映像制御部57に出力する。
【0105】
表示制御部561Eは、事故など危ない状況が検出されたとき、合成する前の車両外部映像110を運転席用表示部301Eに表示させる映像信号を出力し、合成映像120を後部座席用表示部302Eに表示させる映像信号を出力する。
【0106】
次に、
図17を用いて、映像制御装置50Eにおける処理の流れについて説明する。ステップS701ないしステップS706、ステップS709ないしステップS717の処理は、
図15に示すフローチャートのステップS601ないしステップS606、ステップS609ないしステップS617と同様の処理を行う。
【0107】
乗員の音声を検出した場合(ステップS703でYes)、映像制御装置50Eは、車両情報を判定する(ステップS707)。より詳しくは、映像制御装置50Eは、車両情報取得部58Eが取得した車両情報が車両の事故など危ない状況を示すものであるかを判定する。映像制御装置50Eは、ステップS708に進む。
【0108】
映像制御装置50Eは、事故など危ない状況を示す車両情報かを判定する(ステップS708)。より詳しくは、映像制御装置50Eは、車両情報取得部58Eが取得した車両情報が車両の事故など危ない状況を示すものであると判定する場合(ステップS708でYes)、ステップS714に進む。映像制御装置50Eは、車両情報取得部58Eが取得した車両情報が車両の事故など危ない状況を示すものではないと判定する場合(ステップS708でNo)、ステップS709に進む。
【0109】
映像制御装置50Eは、車両外部映像110を運転席用表示部301Eに表示する(ステップS718)。
【0110】
映像制御装置50Eは、合成映像120を後部座席用表示部302Eに表示する(ステップS719)。
【0111】
このようにして、事故など危ない状況を検出すると、合成する前の車両外部映像110を運転席用表示部301Eに表示させ、合成映像120を後部座席用表示部302Eに表示させる。
【0112】
上述したように、本実施形態は、事故など危ない状況を検出すると、合成する前の車両外部映像110を運転席用表示部301Eに表示させ、合成映像120を後部座席用表示部302Eに表示させることができる。本実施形態によれば、状況に応じて、車両の複数の表示部に表示する映像をそれぞれ適したものにすることができる。
【0113】
さて、これまで本発明に係る車両用撮影装置1について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0114】
図示した車両用撮影装置1の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0115】
車両用撮影装置1の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0116】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0117】
車両外部映像110において顔映像100を合成する位置は、検出した声量の大きさ、または、認識した音声の内容、または、乗員の表情に応じて変えてもよい。これにより、車内の状況に応じて適切な映像を生成することができる。
【0118】
車両外部映像110において顔映像100を合成する大きさは、乗員が意識を失っていたり、生体情報に異常がある場合、顔映像100を大きくして合成してもよい。これにより、車内の状況に応じて適切な映像を生成することができる。
【0119】
第四実施形態において、映像合成部55Cが乗員の顔部の向きに応じて切出範囲を変える際に、進行方向の前方を含む通常の切出範囲から徐々に切り出す範囲をずらすようにしてもよい。これにより、切出範囲をどちらの方向にずらしたかを認識しやすくすることができる。
【0120】
第二実施形態において、乗員情報取得部52が乗員の表情を認識した感情情報を取得する場合、声量導出部521Aの代わりに感情量導出部を備え、乗員の表情の変化が大きいほど、乗員の顔映像100を大きくして合成してもよい。乗員情報取得部52が乗員の動作を取得する場合、声量導出部521Aの代わりに動作量導出部を備え、乗員の動作が大きいほど、乗員の顔映像100を大きくして合成してもよい。
【0121】
乗員情報取得部52が認識可能な生体の兆候を認識して生体情報を乗員情報として取得する場合や生体情報センサが取得した乗員の生体の兆候を認識して生体情報する場合、声量導出部521Aの代わりに生体情報量導出部を備え、乗員の生体情報が多いほど、乗員の顔映像100を大きくして合成してもよい。これらの感情量、動作量、生体情報量を導出する導出部を乗員情報量導出部としてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 車両用撮影装置
20 カメラ
30 表示部
40 記憶部
50 映像制御装置
51 映像データ取得部
52 乗員情報取得部
53 顔映像抽出部
54 外部映像抽出部
55 映像合成部
56 出力制御部
561 表示制御部
562 記憶制御部
57 映像制御部