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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】トング
(51)【国際特許分類】
   B25B 9/02 20060101AFI20240416BHJP
   A61J 9/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B25B9/02
A61J9/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022183986
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2018088166の分割
【原出願日】2018-05-01
(65)【公開番号】P2023014143
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2017200253
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三田 とも子
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕雄
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-119496(JP,A)
【文献】実開昭52-134200(JP,U)
【文献】特開2003-117843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 9/02
A61J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製材料から成形されたトングであって、
帯状の曲面板が周回して形成されていて、曲面板の周回方向に離間した二位置に、互いが離間して配置され、前記二位置の内の一方に連続している長尺板と他方に連続している長尺板とからなる対の腕部と、
前記腕部それぞれの先端側に設けられている挟持部と、
前記挟持部それぞれに設けられている滑り止め部とを備え、
前記滑り止め部にあっては、複数のフィンがトングの長さ方向に配列され、前記フィンは突出先端を有し、
前記長尺板それぞれの対向面側に、前記長尺板の長手方向に沿ってリブが一体にして設けられ、前記リブは、前記曲面板には非連続であり、
少なくともいずれか一方の前記滑り止め部には、突起が一体として形成されている、
ことを特徴とするトング。
【請求項2】
前記リブは、前記長尺板側から前記曲面板に向かうにしたがって前記リブが設けられた長尺板から対向する長尺板側に向かって当該リブが突出する量が減少しながらも非不連続である部分を有する、請求項1に記載のトング。
【請求項3】
前記長尺板それぞれの外表面側に、前記長尺板の長手方向に沿って前記リブと対向する位置に外リブが設けられている、請求項1または2に記載のトング。
【請求項4】
前記長尺板の外表面には、該長尺板が対向する長尺板とは反対側となる方向に向けて盛り上がっている凸部が設けられ、前記凸部は前記外リブと連なっている、請求項3に記載のトング。
【請求項5】
前記滑り止め部がエラストマー樹脂材からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載のトング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で消毒液に浸した哺乳瓶を挟んで取り出す用途に用いるトングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から哺乳瓶を消毒する方法の一つとして、専用容器に入れた消毒液に浸す方法が知られている。そして、消毒液の中に浸した哺乳瓶を手で引き上げずにトングが用いられており、そのトングの使い方としては、例えば、専用容器内で倒れている哺乳瓶をトングで一旦立て起こし、哺乳瓶の口部にトングの一方の腕部を通して、哺乳瓶の内外からトングの対の腕部の先端部分で瓶壁を挟んで専用容器から引き上げるようにしている。
【0003】
また消毒液にトングを差し入れることから、トングを金属製のものとはせずに、耐薬品性のある合成樹脂製素材から成形されたトングが利用されている。そしてトングの形態としては、特許文献1、2に示されているようにトングの長手方向の一端側でU字状に曲がる連結部と、この連結部の対の端部に連続していて、その端部それぞれをトング長さ方向に延長する形とした対の腕部と、腕部の先端側で哺乳瓶の瓶壁などを挟む挟持部とを一体に成形されたものとしている。
【0004】
さらに合成樹脂製素材から成形されたトングの上記挟持部それぞれには、二色成形手法を用いて、或いは後付けにてエラストマー樹脂製素材からなる滑り止め部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-117843号公報
【文献】特開2010-119496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合成樹脂製素材から成形された上記トングは軽量化されているが、連結部が単にU字状に曲がって対の腕部に線状に繋がった形状であり、連結部自体の剛性がそれほど高くなく、腕部を互いに近付けるようにトングを握ったときに、連結部がその曲がり方向以外にも変形し易い。
【0007】
そして、上述のように腕部の連結部側を互いに近付けるようにトングを握り持って、トングの挟持部で哺乳瓶の瓶壁を挟む操作をするときに、長尺物である腕部それぞれに捻じれが生じ易いが、連結部からはその捻じれが何ら抑え込みできず、瓶壁を挟むために加えた力を挟持部側まで伝えることができない。そして消毒液中の哺乳瓶を取り出すときに、腕部が哺乳瓶の重みで更に捻じれ変形してしまうという不具合があった。
【0008】
さらに腕部の連結部側を互いに近付けるようにトングを握り持った際に連結部が単独で変形すると、対の腕部がその腕部の長さ方向で揃い難くなり、挟持部同士が重なり合わない可能性もあった。
【0009】
また、トングを消毒液内に差し入れた際にその消毒液に手を触れないようにするためには、上述のように腕部の連結部側を握ることになるが、握り持つ範囲での腕部が、腕部の先端側と同様に細いことから、腕部を互いに近付けるための力が加え難いという不具合もある。このように連結部の剛性が乏しい点や、その腕部の連結部側が細くトングを握り持つ手に力を入れ難いことから、哺乳瓶を専用容器から取り出す作業が難しくなっていた。
【0010】
そこで本発明は上記事情に鑑み、トングの腕部の連結部側が互いに近付くように持った際にその腕部が撓んだりしなったりしないようにすることを課題とし、このトングを用いた哺乳瓶の上記取り出し操作が簡単に行なえるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、合成樹脂製材料から成形されたトングであって、
帯状の曲面板が周回して形成されていて、曲面板の周回方向に離間した二位置に、互いが離間して配置され、前記二位置の内の一方に連続している長尺板と他方に連続している長尺板とからなる対の腕部と、
前記腕部それぞれの先端側に設けられている挟持部と、
前記挟持部それぞれに設けられている滑り止め部とを備え、
前記滑り止め部にあっては、複数のフィンがトングの長さ方向に配列され、前記フィンは突出先端を有し、
前記長尺板それぞれの対向面側に、前記長尺板の長手方向に沿ってリブが一体にして設けられ、前記リブは、前記曲面板には非連続であり、
少なくともいずれか一方の前記滑り止め部には、突起が一体として形成されている、
ことを特徴とするトングを提供して、上記課題を解消するものである。
【0012】
(請求項2の発明)
そして、本発明において、前記リブは、前記長尺板側から前記曲面板に向かうにしたがって前記リブが設けられた長尺板から対向する長尺板側に向かって当該リブが突出する量が減少しながらも非不連続である部分を有することが良好である。
【0013】
(請求項3の発明)
また、本発明において、前記長尺板それぞれの外表面側に、前記長尺板の長手方向に沿って前記リブと対向する位置に外リブが設けられていることが良好である。
【0014】
(請求項4の発明)
また、本発明において、前記長尺板の外表面には、該長尺板が対向する長尺板とは反対側となる方向に向けて盛り上がっている凸部が設けられ、前記凸部は前記外リブと連なっていることが良好である。
【0015】
(請求項5の発明)
また、本発明において、前記滑り止め部がエラストマー樹脂材からなことが良好である。
【発明の効果】
【0016】
発明によれば、連結部が閉断面の略筒形状とされており、この連結部自体の強度が高く変形し難い部分となっている。そのため、連結部が変形せずに腕部を支持するようになり、腕部それぞれに単独の捻じれが生じないようになるとともに、腕部の長さ方向でのズレも生じないようになる。そして腕部の連結部側を持ってその腕部の連結部側が互いに近付くように握ったときに挟持部が適正に重なり合うようになる。
【0017】
このように対の腕部を握って哺乳瓶の挟み込みをしたときに腕部が捻じれたり、腕部相互がずれたりしないので、哺乳瓶の取り出しをこのトングを用いて確実にして簡単に行なえるという効果を奏する。
【0018】
また、挟持部それぞれに滑り止め部が設けられているので、哺乳瓶を安定して挟持部にて挟み込むことができる。
【0019】
さらに、長尺板の基端部分は連結部を間にして互いに離間配置されているので、対の腕部の連結部側を握り持ちながら腕部の間を狭める操作をすることで、素早く簡単に挟持部を合わせることができ、哺乳瓶などの挟み込みの操作が頗る簡単になるという効果を奏する。
【0020】
発明によれば、腕部それぞれの連結部側で対の腕部の対向間隔を広げて、トングを握り持ちし易くする部分を連結部側に寄った位置に配置できるという効果を奏する。
【0021】
発明によれば、連結部における腕部連結支点部が、連結部を構成している曲面板の幅方向に亘るため、腕部相互が近付く方向に長尺板の基端部分が曲がることを許容しつつ、腕部における連結部側の部分が、長尺板の長手方向に沿う中心線回りに捻じれる変形をより一層、確実に抑えることができ、腕部の連結部側を持って腕部相互を近付けるように握っても、腕部に捻じれを生じさせないようにすることができる。
【0022】
また、腕部それぞれの長さ方向でのズレもより一層、確実に防止され、挟持部同士が適正に重ね合わせることができる効果が高まる。
【0023】
発明によれば、太幅部の剛性が高いものとなることから、腕部における連結部側の二つの太幅部を一緒に握り持つことで、その握り持つ力が適正に腕部それぞれの挟持部側に伝わるようになり、消毒液が入り込んだ哺乳瓶であっても確実に持ちあげることができる。よって、哺乳瓶をトングでより確実にして簡単に取り扱えるようになるという効果を奏する。
【0024】
発明によれば、腕部それぞれにおいて、腕部対向方向とは反対側に向けて曲げようとする作用に対してより一層抗することができるようになる。よって、哺乳瓶の瓶壁を挟み持つときに腕部それぞれに反りを生じ難くなり、腕部の連結部側が互いに近付くように握り持ったときの力を確実に挟持部側に伝えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るトングの実施の形態を正面から見た状態で示す説明図である。
図2】同じく実施の形態を側方から見た状態で示す説明図である。
図3】太幅部の断面を図1X-X線に沿った位置で示す説明図である。
図4】滑り止め部を示すもので、(a)はフィンを正面にして見た状態を示す説明図、(b)は側方から見た状態を示す説明図、(c)はトング下端側から見た状態を示す説明図である。
図5】従来のトングと実施の形態とを概略的に表して対比を示すもので、(a)は従来のトングを概略的に示す説明図、(b)は実施の形態を概略的に示す説明図である。
図6】連結部3の他例を示す説明図である。
図7】フィンの他例を示すもので、(a)は傾斜面の下端がフィン高さ方向での途中位置に達する断面形状のフィンを示す説明図、(b)は傾斜面の下端がフィン基部位置に達する断面形状のフィンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は合成樹脂製素材からなるトングで、図1図2に示されているようにトング1は、このトング長さ方向での一端側となる連結部2と、連結部2に連続してトング長さ方向に延びている対の腕部3と、トング長さ方向での他端側で、腕部3それぞれの前記連結部2とは反対の先端側となる部分に設けられている挟持部4とを備え、この連結部2と対の腕部3と挟持部4とが一体にして成形されている。なお、図1のS1は対の腕部3の対向方向での中心線であって、トング1の中心線の位置を示す。
【0027】
また、トング1は、対の腕部3が互いに近付くように持って挟持部4の間で挟んだ物品(例えば哺乳瓶の瓶壁)を滑りなく、より確実に挟み込んで保持できるようにするために、前記挟持部4に、エラストマー樹脂材からなり、略キャップ状にして被せ付けることによって設けられた滑り止め部5を備えている。図4参照
【0028】
(連結部)
トング1の上記連結部2は、帯状の曲面板6が周回して閉断面の略筒形状に形成されているものであり、この連結部2でのトング長さ方向で最端部側(腕部とは反対側)に、トング長さ方向の他端側に向けて凹んだ凹曲板部7が位置し、正面視したときの形状がハート状となるように設けられている。
【0029】
さらに図1図2とに示されているように上記凹曲板部7の辺部には、消毒液を入れた図示しない専用容器の縁部に掛け止めることができるフック8が連続している。
【0030】
このようにトング1では、連結部2を上記曲面板6が周回して閉断面の略筒形状とすることで剛性が高められていて、連結部2自体が変形しないように設けられている。そして、剛性が高く変形が抑えられているこの連結部2にあっては、対の腕部3が連続する部分である腕部連結支点部9が曲面板6の周回方向に離間した二位置に設けられている。
【0031】
(腕部)
対の腕部3は、上記曲面板6に設けられた二つの腕部連結支点部9の内の一方に連続してトング長さ方向に向けて延設されている長尺板10と、前記腕部連結支点部9の内の他方に連続してトング長さ方向に向けて延設されている長尺板10とからなるものである。そして、二つの腕部連結支点部9が曲面板6の周方向に離間しているため、二本の長尺板10は、その基端部分11それぞれが互いに直接には連続してはおらずに離間配置されている。
【0032】
長尺板10それぞれは、腕部連結支点部9からこの長尺板10の長さでの中間より若干腕部連結支点部9側に寄った位置までを、腕部対向方向での外方に向けて凸となるように緩やかに湾曲した湾曲範囲12とし、この湾曲範囲12の連結部2とは反対側の部分を腕部対向方向での内方に向けて凸となるくびれ部分13とし、さらには前記くびれ部分13に連続する略直線状にして、挟持部4に至るに従って腕部対向方向での間隔が僅かに広がるように外方に傾斜する直線範囲14としている。図1参照
【0033】
(挟持部)
長尺板10の先端側(連結部2とは反対側)はクランク状に曲成され、そのクランクの部分を介して板状とした上記挟持部4が連続している。
【0034】
(滑り止め部)
挟持部4それぞれに被せ付けてなる滑り止め部5にあっては、対向面に柔軟性を備える複数のフィン15が配列されている。また滑り止め部5それぞれの同一側の辺に突起16が一体にして突設され、消毒液中で横置きとなっている哺乳瓶の口部にこの突起16を引っ掛けて起こす際に利用される部分である。
【0035】
滑り止め部5のフィン15は形状が限定されるものではない。例えばフィン15をトングの長さ方向に並べ設けるとともに、フィン15それぞれの突出先端縁の形状が、その突出先端縁での中央部分を腕部対向方向での内方に向けて凸とする緩やかな曲線形状になるようにすることが可能である。
【0036】
(腕部連結支点部)
腕部3の上記長尺板10における基端部分11と連結部2の曲面板6とが連続する腕部連結支点部9は、曲面板6の幅方向に亘って設けられている。このように腕部連結支点部9が、閉断面の略筒形状とした連結部2を構成する曲面板6の幅方向に亘って設けられているので、長尺板10の基端部分11が、長尺板10の長手方向に沿う中心線回りに捻じれる変形を抑えることとなり、長尺板10全体、即ち腕部3の中心線回りの捻じれを防止する。なお、図2のS2は腕部3の中心線とこの中心線の延長部分を示す。
【0037】
なお、曲面板6の側辺部分17は角立つことがないように丸味を呈する形状とされていて、曲面板6の側辺部分17まで腕部連結支点部9が及ぶと、長尺板10の基端部分11を中心として長尺板10が回動する動きを損なうので、腕部連結支点部9は前記側辺部分17までには達していない。
【0038】
(長尺板基端部分の離間配置)
上述したように腕部連結支点部9が曲面板6の周回方向に離間した二位置に設けられていることから、長尺板10の基端部分11は連結部2を間にして互いに離間配置されている。そのため対の腕部3の連結部2側を握り持ちながら腕部3の間を狭める操作をすることで、素早く簡単に挟持部4を合わせることができるようになる。
【0039】
これに対し、図5(a)で概略的に示すように、従来のトングAでは、対の腕部Bを繋いでいる連結部分Cが一点の支点となって、或いは腕部Bそれぞれの支点間隔が狭いものであるため、対の腕部Bの間を広げて握り持つ部分を、ピンセットのようにトングの長さ方向の中段近くまでにおろさざるを得ず、消毒液に手が触れ易くなってしまうという不具合がある。
【0040】
また、従来のトングAでの腕部の間が広がる外への傾斜面を押すように握り持つこととなるため、腕部Bそれぞれを押す力Fの方向がトング先端側(挟持部側)に傾斜してしまい、対の腕部Bを近付けるように握り持つ操作が不確実になり易い。一方、図5(b)に示すように本実施の形態のトング1では連結部2側で腕部連結支点部6が離間しているので、対の腕部3を近付けるときの押す力Fの向きが対向する方向となるため、握り持って対の腕部3を互いに近付ける操作が頗る簡単で安定感のあるものとなる。
【0041】
さらに、上記腕部3の長尺板10の基端部分11が、腕部連結支点部9から曲面板6の周回方向と交差する方向での外方に向けて張り出ており、基端部分11での曲がりを生じさせる箇所が、対向方向で互いに離れる配置となる。即ち、腕部3それぞれの支点Gの間が広がることとなり、連結部2に近い部分で腕部3同士を僅かに近付けるだけで挟持部4同士を合わせることができ、腕部3の操作がより簡単になる。
【0042】
(太幅部)
上述したように腕部3の湾曲範囲12それぞれは図1に示すように対向方向の外方に向けて凸となる緩やかな湾曲した形状に設けられているが、本実施の形態においては、この湾曲範囲12において、長尺板10の中心線回りでの捻じれを抑える更なる工夫が施されている。
【0043】
上記湾曲範囲12において、長尺板10の長手方向に沿った側辺がこの長尺板10の幅方向の外方に向けて凸となる緩やかな湾曲線となるようにして幅広の太幅部18が設けられている。
【0044】
このように連結部2側の湾曲範囲12を太幅部18としていることから、長尺板10の連結部2側の剛性がさらに向上して、長尺板10の全体が捻じれに抗することができるようにしている。
【0045】
(リブ)
さらに上記長尺板10それぞれの対向面側に、この長尺板10の長手方向に沿ってリブ19が一体にして設けられている。なお、リブ19は基端部分11での曲がりを損なわないように連結部2の曲面板6には連続していない。
【0046】
このように長尺板10それぞれの対向面側に、長尺板10の長手方向に通るリブ19が一体にして設けられていることから、腕部対向方向とは反対側に向けて曲げようとする作用に適切に抗するようになり、挟持部4で哺乳瓶の瓶壁を挟み込んだときに腕部3それぞれに反りを生じさせず、確実に物品を挟持することができるように設けられている。
【0047】
なお、図2に示すように長尺板10の外表面側にも長尺板10の長手方向に沿って上記リブ19と対向する位置にして外リブ20が設けられていて、この外リブ20によってもリブ19と同様に、腕部3の反り、しなりを生じさせないようにしている。
【0048】
さらに上記太幅部18の外表面には外方に向けて盛り上がっている滑り止めの凸部21が設けられており、太幅部18の外方からの握り持ちは挟み持ちが確実に行なえるように図られている。
【0049】
(連結部の他例)
上記連結部2は、曲面板6が周回して閉断面の略筒形状にし、内側を空所とした形態に形成されているが、腕部3の捻じれ防止や、腕部3の長さ方向でこの対の腕部3が揃い易くするために、連結部2の剛性をさらに高める工夫がある。図6にその例が示されている。
【0050】
図6に示された例では、連結部2の内側に、対にして湾曲補強板(22)をこの連結部2に一体にして設けている。湾曲補強板22それぞれは腕部3の長尺板10に曲面板6を介して連続するように形成されているものであって、この湾曲補強板22は、対の腕部3の長尺板10の延長線それぞれが、この長尺板10の基端部分11と連結部2の曲面板6とが連続する上記腕部連結支点部9の部分を通って連結部2の内側に入った位置から、トング1の中心線S1側に向けて凸となるように湾曲して上記凹曲板部7の両側(曲面板周回方向での両側)に達する位置に設けられている。
【0051】
湾曲補強板22の板幅は、腕部連結支点部9の部分での長尺板10の板幅とほぼ同等とされている。そして、この対の湾曲補強板22それぞれが、腕部3の長尺板10に曲面板6を介して連続するようにして連結部2の内側に位置し、この連結部2の内側で図示されているように腕部3の長さ方向の二位置(腕部連結支点部側と凹曲板部7の側部分側)に連続した状態となっている。そのため、連結部2自体の剛性が高められて、腕部3を近付けるように太幅部18を押し込んだ際の腕部3それぞれの捻じれ防止、また腕部3の長さ方向で対の腕部3の位置ズレを生じさせない上で高い効果を奏する。
【0052】
(フィンの他例)
上述したように滑り止め部5の複数のフィン15はトング1の長さ方向に並べ設けられていて、図4において、最下端のフィンを除くフィン15の高さを、フィン長さ方向で同じにして突出先端縁の形状を直線にし、最下端のフィン15では突出先端縁の形状を曲線にした形態を図示している。そして、最下端以外のフィン15の突出先端縁の形状についても、突出先端縁の形状が直線に限定されないこととしている。
【0053】
また、図4(b)で示されているようにフィン15それぞれの腕部3側となる側面が、先端縁の位置から片流れ状に傾斜していて、傾斜部分を曲面にしている。具体的にはフィンの長さ方向に直交する方向での断面形状を尖頭形にするとともに、先端縁側の断面形状がこのフィン断面の中心線に対して非対称となるようにフィン15の腕部3側の側面を先端縁の位置から片流れ状に傾斜させている。
【0054】
そのため、トング1を立てて哺乳瓶の瓶壁を内外から挟持部4で挟み込みすると、フィン15それぞれの先端縁の尖頭形の部分が瓶壁に当接して変形し、さらに哺乳瓶を持ち上げるときは、フィン15それぞれが一様に先端縁側から下方に倒れ込む変形をして連結部3側の側面それぞれが瓶壁に密着する。連結部3側の側面が傾斜した面であることから、哺乳瓶の瓶壁に対して広い接触面で滑り止め部5が密着して、哺乳瓶を確実に保持することができる。そして、滑り止め部5が広い接触面を確保して哺乳瓶の瓶壁に内外から密着するので、消毒液中に浸け込んだ哺乳瓶を消毒液中で上下させる場合のように、哺乳瓶の瓶壁をトング1で挟んだ状態で哺乳瓶を取り上げ方向と逆方向に押し込んでもトング1から哺乳瓶がズレるという不具合を生じさせない。
【0055】
フィン15の先端縁側を片流れ部分の曲面として説明したが、図7(a)(b)に示すように連結部3側で傾斜した面を平面にし、その傾斜面の下端がフィンの高さ方向での途中位置に達しさせ(図7(a))、また傾斜面の下端がフィン基部位置に達しさせて(図7(b))、フィン断面を中心線S3に対して非対称の楔形状となるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…トング
2…連結部
3…腕部
4…挟持部
5…滑り止め部
6…曲面板
7…凹曲板部
8…フック
9…腕部連結支点部
10…長尺板
11…基端部分
12…湾曲範囲
14…直線範囲
15…フィン
16…突起
17…曲面板の側辺部分
18…太幅部
19…リブ
22…補強湾曲板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7