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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】積層装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/04 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B65G57/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022517600
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2021015015
(87)【国際公開番号】W WO2021220771
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2020080042
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 新
(72)【発明者】
【氏名】福田 康平
(72)【発明者】
【氏名】村田 航大
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215977(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188607(WO,A1)
【文献】特開2020-047401(JP,A)
【文献】国際公開第2019/052882(WO,A1)
【文献】特開2016-197527(JP,A)
【文献】特開2020-064812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/04-57/32
B65G 47/86
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のワークを積層する積層装置であって、
複数の供給位置のそれぞれに前記ワークを供給する複数の供給機構と、
所定の走行軌道を有するリニアモータの固定子と、前記走行軌道に沿って複数の前記供給位置の間を移動可能なリニアモータの可動子とを備える移動機構と、
少なくとも前記可動子を制御する制御部と、
を備え、
前記可動子は、前記ワークを積層するための積層ステージを備え、
前記制御部は、前記供給位置に供給された前記ワークの前記積層ステージに対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正された前記ワークを前記積層ステージに積層し、前記ワークの積層後に次の前記供給位置へと移動するように前記可動子を制御し、
前記積層ステージの上に、前記ワークを積層するための治具を供給するとともに、積層が完了した複数種類の前記ワークとともに前記治具を排出する治具供給排出機構をさらに備える
ことを特徴とする積層装置。
【請求項2】
複数種類のワークを積層する積層装置であって、
複数の供給位置のそれぞれに前記ワークを供給する複数の供給機構と、
所定の走行軌道を有するリニアモータの固定子と、前記走行軌道に沿って複数の前記供給位置の間を移動可能なリニアモータの可動子とを備える移動機構と、
少なくとも前記可動子を制御する制御部と、
前記供給機構によって供給される前記ワークを撮像する撮像装置と、
を備え、
前記可動子は、前記ワークを積層するための積層ステージを備え、
前記制御部は、
前記撮像装置によって撮像された前記ワークの画像に基づいて前記供給位置を決定し、決定した前記供給位置で前記ワークが停止するように前記供給機構を制御する第1の制御、前記撮像装置によって撮像された前記ワークの画像に基づいて前記可動子の停止位置を決定し、決定した前記停止位置で停止するように前記可動子を制御する第2の制御、および、前記撮像装置によって撮像された前記ワークの画像に基づいて、前記積層ステージを制御する第3の制御を行うことによって、前記供給位置に供給された前記ワークの前記積層ステージに対する相対的な位置を補正し、
相対的な位置が補正された前記ワークを前記積層ステージに積層し、前記ワークの積層後に次の前記供給位置へと移動するように前記可動子を制御する
ことを特徴とする積層装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ワークの前記積層ステージに対する相対的な位置を補正するため、前記積層ステージを移動させることを特徴とする請求項1に記載の積層装置。
【請求項4】
前記供給機構によって供給される前記ワークを撮像する撮像装置をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像装置によって撮像された前記ワークの画像に基づいて、前記積層ステージを移動させることを特徴とする請求項3に記載の積層装置。
【請求項5】
前記可動子の数は、前記供給機構の数の2倍であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項6】
前記可動子の数は、前記供給機構の数と同じであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項7】
前記積層ステージは、前記治具を固定するための固定部材を有することを特徴とする請求項1に記載の積層装置。
【請求項8】
前記固定部材は、前記治具に形成されている凹みに対して嵌合および分離が可能な位置決めピンであることを特徴とする請求項7に記載の積層装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のワークを積層する積層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類のワークを所定の順序で積層する積層装置が知られている。
【0003】
そのような積層装置の1つとして、特許文献1には、正極、負極、セパレータなどの電池材料であるシート状のワークを積層する積層装置が記載されている。この積層装置は、ワークを所定の方向に搬送する搬送機構と、ワークを移載する移載機構と、ワークを積層する積層機構とを備え、搬送機構により搬送されてきたワークを移載機構によって移載し、積層機構によって積層するように構成されている。移載機構は、所定の走行軌道を有するリニアモータの固定子と、固定子に設けられた複数のリニアモータの可動子とを備え、可動子は、保持部材によってワークを保持した状態で積層機構まで移動する。そのような構成により、シート状のワークを高速で連続的に積層することができると、特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-215977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の積層装置では、ワークを搬送機構から移載機構に移し替える工程と、移載機構から積層機構に移し替える工程が必要であり、ワークの積層時間を短縮するために改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、ワークの積層時間を短縮することができる積層装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層装置は、複数種類のワークを積層する積層装置であって、
複数の供給位置のそれぞれに前記ワークを供給する複数の供給機構と、
所定の走行軌道を有するリニアモータの固定子と、前記走行軌道に沿って複数の前記供給位置の間を移動可能なリニアモータの可動子とを備える移動機構と、
少なくとも前記可動子を制御する制御部と、
を備え、
前記可動子は、前記ワークを積層するための積層ステージを備え、
前記制御部は、前記供給位置に供給された前記ワークの前記積層ステージに対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正された前記ワークを前記積層ステージに積層し、前記ワークの積層後に次の前記供給位置へと移動するように前記可動子を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層装置によれば、供給機構によって供給位置に供給されたワークの積層ステージに対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正されたワークを可動子の積層ステージに積層する。その後、可動子は、次の供給位置へと移動する。すなわち、ワークを別の機構へと移し替える工程は、供給機構から移動機構への1回だけでよいため、ワークの積層時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態における積層装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2】固定子の走行軌道に沿った方向に見たときに、移動機構の可動子の構成を模式的に示す図である。
図3】制御部との接続関係を示すブロック図である。
図4】(a)は、撮像装置によって撮像されるワークの位置および姿勢を把握する方法を説明するための図であり、(b)は、撮像装置によって、ワークに形成されているアライメントマークを撮像して、ワークの位置および姿勢を把握する方法を説明するための図である。
図5】第1の実施形態における積層装置において、ワークの積層ステージに対する相対的な位置を補正する方法を説明するための図である。
図6】(a)は、固定部材としての位置決めピンを備えた積層ステージを模式的に示す側面図、(b)は、積層ステージの上の治具が位置決めピンによって固定された状態を示す側面図、(c)は、治具供給排出機構によって、積層されたワークごと治具を排出するとともに、次の治具を積層ステージ上に供給する様子を示す図である。
図7】可動子の数が供給機構の数と同じ場合の積層装置の構成を模式的に示す平面図である。
図8】第2の実施形態における積層装置において、ワークの積層ステージに対する相対的な位置を補正する方法を説明するための図である。
図9】ワークの積層時に、積層ステージが供給位置におけるワークの鉛直上方に位置する可動子の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における積層装置100の構成を模式的に示す平面図である。第1の実施形態における積層装置100は、複数の供給機構10と、移動機構20と、制御部30(図3参照)とを備える。ここでは、積層装置100によって積層される対象物であるワーク1がシート状の電池材料である例について説明する。
【0012】
複数の供給機構10は、複数の供給位置A1~A4のそれぞれにワーク1を供給する。複数の供給位置A1~A4にはそれぞれ、1種類のワーク1が供給される。本実施形態において、複数の供給機構10には、第1の供給機構10a、第2の供給機構10b、第3の供給機構10c、および、第4の供給機構10dの4つの供給機構が含まれる。ただし、複数の供給機構10の数が4つに限定されることはない。
【0013】
第1の供給機構10aは、第1の供給位置A1に、ワーク1として、樹脂フィルムを供給する。樹脂フィルムは、セパレータとして機能するシート状の電池材料であって、例えば、ポリエチレンからなる。本実施形態では、第1の供給機構10aはベルトコンベアであり、ベルトの下面に吸着されたワーク1を第1の供給位置A1まで運搬して供給する。吸着は、例えば、ワーク1を吸引することによって行う。
【0014】
第2の供給機構10bは、第2の供給位置A2に、ワーク1として、第1の金属箔を供給する。第1の金属箔は、正極および負極のうちの一方の電極として機能するシート状の電池材料であって、例えば、アルミニウムからなる。本実施形態では、第2の供給機構10bはベルトコンベアであり、ベルトの下面に吸着されたワーク1を第2の供給位置A2まで運搬して供給する。
【0015】
第3の供給機構10cは、第3の供給位置A3に、ワーク1として、樹脂フィルムを供給する。樹脂フィルムは、セパレータとして機能するシート状の電池材料であって、例えば、ポリエチレンからなる。第3の供給機構10cによって供給される樹脂フィルムは、第1の供給機構10aによって供給される樹脂フィルムと同じものを用いることができる。ただし、第1の供給機構10aによって供給される樹脂フィルムと異なるものを用いてもよい。本実施形態では、第3の供給機構10cはベルトコンベアであり、ベルトの下面に吸着されたワーク1を第3の供給位置A3まで運搬して供給する。
【0016】
第4の供給機構10dは、第4の供給位置A4に、ワーク1として、第2の金属箔を供給する。第2の金属箔は、正極および負極のうちの他方の電極として機能するシート状の電池材料であって、例えば、アルミニウムからなる。本実施形態では、第4の供給機構10dはベルトコンベアであり、ベルトの下面に吸着されたワーク1を第4の供給位置A4まで運搬して供給する。
【0017】
なお、第1の供給機構10a、第2の供給機構10b、第3の供給機構10c、および、第4の供給機構10dがベルトコンベアに限定されることはなく、ワーク1を運搬して供給できる構造であればよい。
【0018】
また、供給機構10によって個片化されたワーク1を運搬する代わりに、長尺状のワーク1を運搬し、供給位置A1~A4でカットして、個片化するようにしてもよい。なお、本実施形態において、ワーク1の形状は矩形形状であるが、矩形以外の形状であってもよい。
【0019】
移動機構20は、所定の走行軌道を有するリニアモータの固定子21と、走行軌道に沿って複数の供給位置A1~A4の間を移動可能なリニアモータの可動子22とを備える。本実施形態では、固定子21の走行軌道は、図1に示すように、平面視で楕円形の環状の形状を有する。ただし、走行軌道の平面視の形状が楕円形の環状の形状に限定されることはない。
【0020】
本実施形態において、可動子22には、第1の可動子22a、第2の可動子22b、第3の可動子22c、第4の可動子22d、第5の可動子22e、第6の可動子22f、第7の可動子22g、および、第8の可動子22hが含まれる。すなわち、可動子22の数は、供給機構10の数の2倍である。各可動子22a~22hは、それぞれ独立して動くことが可能である。
【0021】
図2は、固定子21の走行軌道に沿った方向に見たときに、移動機構20の可動子22の構成を模式的に示す図である。図2に示すように、可動子22は、ワーク1を積層するための積層ステージ221を備える。なお、図2において、X軸方向は、供給機構10がワーク1を搬送する方向であり、Y軸方向は、可動子22が走行軌道に沿って移動する方向である。また、Z軸方向は、鉛直方向である。
【0022】
積層ステージ221は、供給機構10によって供給位置A1~A4に供給されたワーク1を積層するためのものである。本実施形態では、後述する治具供給排出機構50(図6(c)参照)によって積層ステージ221の上に治具25を供給して、治具25の上にワーク1を積層する。図6(b)、(c)に示すように、治具25には、積層されたワーク1を保持するためのチャック爪26が設けられていることが好ましい。
【0023】
例えば、治具25には、ワーク1を挟み込むように、一対のチャック爪26が対向して設けられている。チャック爪26は、治具25のワーク1が積層される面と平行なワーク押さえ面26aを有する。ワーク1は、治具25上の一対のチャック爪26の間に供給され、図6(c)に示すように、その上方からチャック爪26のワーク押さえ面26aと接して押さえられる。チャック爪26によって積層されたワーク1が押さえられることにより、積層後のワーク1の位置ずれを抑制することができる。また、ワーク1が点ではなく面で押さえられることにより、ワーク1に傷がつくことを抑制することができる。ただし、治具25を用いずに、ワーク1を積層ステージ221上に積層するようにしてもよい。
【0024】
本実施形態において、可動子22は、図2に示すように、走行軌道を形成する固定子21の2本のガイドレール210に取り付けられ、ガイドレール210に沿って移動する。図2に示すように、固定子21のガイドレール210は、可動子22の鉛直下方ではなく、側方に設けられている。ガイドレール210が可動子22の鉛直下方に設けられた構造では、2本のガイドレール210の内輪差を考慮した制御を行わなければいけないが、側方に設けた構造では、内輪差を考慮する必要がなく、制御が簡単となる。
【0025】
図3は、制御部30との接続関係を示すブロック図である。図3に示すように、制御部30は、第1の供給機構10a、第2の供給機構10b、第3の供給機構10c、第4の供給機構10d、第1の可動子22a、第2の可動子22b、第3の可動子22c、第4の可動子22d、第5の可動子22e、第6の可動子22f、第7の可動子22g、第8の可動子22h、後述する第1の撮像装置40a、第2の撮像装置40b、第3の撮像装置40c、第4の撮像装置40d、および、後述する治具供給排出機構50と接続されている。
【0026】
制御部30は、少なくとも可動子22を制御する。具体的には、制御部30は、供給機構10によって供給位置A1~A4に供給されたワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正されたワーク1を積層ステージ221に積層し、ワーク1の積層後に次の供給位置A1~A4へと移動するように可動子22を制御する。本実施形態における積層装置100において、制御部30は、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正するため、積層ステージ221を移動させる。
【0027】
本実施形態における積層装置100は、供給機構10によって供給されるワーク1を撮像する撮像装置40をさらに備える。撮像装置40は、供給位置A1~A4におけるワーク1の鉛直下方に設けられ(図2参照)、供給機構10によって供給位置A1~A4に供給されて停止した状態のワーク1を撮像する。
【0028】
撮像装置40は、ワーク1の位置および姿勢を把握するために、ワーク1を撮像する。例えば、撮像装置40によって矩形形状であるワーク1を撮像して、ワーク1の外周のうち、対角線上に位置する第1の角1aおよび第2の角1b(図4(a)参照)の位置を把握することができれば、ワーク1の位置および姿勢を把握することができる。
【0029】
ただし、撮像装置40によってワーク1の全体の形状を撮像する必要はなく、ワーク1の位置および姿勢を把握できるのであれば、ワーク1の一部だけ撮像するようにしてもよい。一例として、図4(b)に示すように、ワーク1には、ワーク1の位置および姿勢を把握するためのアライメントマーク11が形成されており、アライメントマーク11を撮像装置40によって撮像するようにしてもよい。この場合、アライメントマーク11の対角線上に位置する第1のコーナー11aおよび第2のコーナー11bの位置を把握することができれば、ワーク1の位置および姿勢を把握することができる。
【0030】
なお、撮像装置40によるワーク1の撮像は、可動子22が供給位置A1~A4に移動する前に行われる。すなわち、図2では、撮像装置40によるワーク1の撮像が行われ、その後に、可動子22が供給位置A1~A4に移動した状態を示している。
【0031】
本実施形態では、4種類のワーク1を供給するために、ワーク1の供給位置A1~A4が4つある。したがって、4つの供給位置A1~A4に対応して、4つの撮像装置40が設けられている。具体的には、第1の供給位置A1の鉛直下方に第1の撮像装置40aが設けられ、第2の供給位置A2の鉛直下方に第2の撮像装置40bが設けられ、第3の供給位置A3の鉛直下方に第3の撮像装置40cが設けられ、第4の供給位置A4の鉛直下方に第4の撮像装置40dが設けられている。
【0032】
制御部30は、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221を移動させることによって、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正する。ワーク1の画像に基づいて積層ステージ221を移動させることにより、実際のワーク1の位置および姿勢に応じた位置補正を行うことができる。これにより、複数種類のワーク1の位置ずれをより効果的に抑制した積層体を得ることができる。ただし、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正する方法がワーク1の画像に基づいて行う方法に限定されることはない。
【0033】
図5は、第1の実施形態における積層装置100において、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正する方法を説明するための図である。
【0034】
積層ステージ221は、供給機構10によってワーク1が搬送される方向であるX軸方向、X軸と直交するY軸方向、鉛直方向であるZ軸方向、および、XY平面において積層ステージ221の中心周りの回転方向であるθ方向に移動可能に構成されている。
【0035】
制御部30は、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221をX軸方向、Y軸方向、および、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させることにより、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正する。具体的には、Z軸方向からみたときに、ワーク1と積層ステージ221が互いに重なるように、積層ステージ221をX軸方向、Y軸方向、および、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させて、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正する。そして、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置補正が完了すると、制御部30は、供給位置A1~A4におけるワーク1と、積層ステージ221上の治具25に積層されているワーク1とが接触するまで積層ステージ221を上昇させる。ただし、治具25の上にワーク1が積層されていない場合には、供給位置A1~A4におけるワーク1と治具25とが接触するまで積層ステージ221を上昇させる。このとき、積層ステージ221に積層されているワーク1の積層枚数に基づいて、積層ステージ221のZ軸方向の移動量、すなわち、上昇量を制御する。
【0036】
この後、制御部30は、供給位置A1~A4におけるワーク1の吸着を解除するように供給機構10を制御することによって、積層ステージ221上、より詳しくは、積層ステージ221上の治具25の上にワーク1を積層させる。
【0037】
以下では、第1の実施形態における積層装置100によって、4種類のワーク1を順に積層する方法について説明する。ここでは、8つの可動子22のうち、第1の可動子22aがワーク1を積層する動作について説明するが、他の可動子22b~22hがワーク1を積層する動作についても同様である。すなわち、第1の可動子22aが固定子21の走行軌道を1周する時間をTとすると、第8の可動子22hはT/8遅れのタイミング、第7の可動子22gは(2T)/8遅れのタイミング、第6の可動子22fは(3T)/8遅れのタイミング、第5の可動子22eは(4T)/8遅れのタイミング、第4の可動子22dは(5T)/8遅れのタイミング、第3の可動子22cは(6T)/8遅れのタイミング、第2の可動子22bは(7T)/8遅れのタイミングで、第1の可動子22aと同じ動作をする。
【0038】
(S1)制御部30は、第1の供給位置A1に、ワーク1である樹脂フィルムが供給されるように、第1の供給機構10aを制御する。また、制御部30は、第1の供給位置A1で停止しているワーク1を撮像するように、第1の撮像装置40aを制御する。
【0039】
(S2)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを第1の供給位置A1で停止させ、第1の撮像装置40aによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正されたワーク1が積層ステージ221上の治具25の上に積層されるように第1の可動子22aを制御する。具体的には、制御部30は、第1の撮像装置40aによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221をX軸方向、Y軸方向、および、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させることによって、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、位置補正が完了すると、治具25上のワーク1(ワーク1が積層されていない場合は、治具25)が第1の供給位置A1におけるワーク1と当接するまで積層ステージ221を上昇させる。このとき、制御部30は、積層ステージ221の上、より詳しくは、治具25の上に積層されているワーク1の積層枚数に基づいて、積層ステージ221のZ軸方向の移動量、すなわち、上昇量を制御する。
【0040】
この後、制御部30は、第1の供給機構10aに、第1の供給位置A1のワーク1の吸着を解除させる。これにより、第1の供給位置A1におけるワーク1が積層ステージ221上の治具25の上に積層される。このとき、治具25のチャック爪26によって、ワーク1を保持することが好ましい。
【0041】
なお、第1の供給位置A1に第1の可動子22aが停止しているとき、第2の供給位置A2には第3の可動子22cが停止し、第3の供給位置A3には第5の可動子22eが停止し、第4の供給位置A4には第7の可動子22gが停止している。第3の可動子22c、第5の可動子22e、および、第7の可動子22gはそれぞれ、第1の可動子22aと同様、各供給位置A1~A4において供給されたワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正して、積層ステージ221上に積層し、後述するように、次の供給位置A1~A4まで移動する。
【0042】
また、第1の供給位置A1に第1の可動子22aが停止しているとき、第2の可動子22bは、第1の供給位置A1と第2の供給位置A2との間に位置し、第4の可動子22dは、第2の供給位置A2と第3の供給位置A3との間に位置し、第6の可動子22fは、第3の供給位置A3と第4の供給位置A4との間に位置し、第8の可動子22hは、第4の供給位置A4と第1の供給位置A1との間に位置する。
【0043】
(S3)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを、走行軌道に沿って第1の供給位置A1から第2の供給位置A2へと移動させる。このとき制御部30は、第1の可動子22aを第1の供給位置A1から第2の供給位置A2へと移動させるだけでなく、第3の可動子22cを第2の供給位置A2から第3の供給位置A3へと移動させ、第5の可動子22eを第3の供給位置A3から第4の供給位置A4へと移動させ、第7の可動子22gを第4の供給位置A4から第1の供給位置A1へと移動させる。
【0044】
(S4)続いて、制御部30は、第2の供給位置A2に、ワーク1である第1の金属箔が供給されるように、第2の供給機構10bを制御する。また、制御部30は、第2の供給位置A2で停止しているワーク1を撮像するように、第2の撮像装置40bを制御する。
【0045】
(S5)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを第2の供給位置A2で停止させ、第2の撮像装置40bによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正されたワーク1が積層ステージ221上の治具25の上に積層されるように第1の可動子22aを制御する。具体的には、制御部30は、第2の撮像装置40bによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221をX軸方向、Y軸方向、および、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させることによって、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、位置補正が完了すると、治具25上のワーク1が第2の供給位置A2におけるワーク1と当接するまで、積層ステージ221を上昇させる。このとき、制御部30は、積層ステージ221の上、より詳しくは、治具25の上に積層されているワーク1の積層枚数に基づいて、積層ステージ221のZ軸方向の移動量、すなわち、上昇量を制御する。
【0046】
この後、制御部30は、第2の供給機構10bに、第2の供給位置A2のワーク1の吸着を解除させる。これにより、第2の供給位置A2におけるワーク1が積層ステージ221の上、より詳しくは、治具25上のワーク1の上に積層される。このとき、治具25のチャック爪26によるワーク1の保持を一旦解除して第2の供給位置A2のワーク1を積層させた後、積層されている全てのワーク1をチャック爪26によって保持し直すことが好ましい。
【0047】
なお、第2の供給位置A2に第1の可動子22aが停止しているとき、第3の供給位置A3には第3の可動子22cが停止し、第4の供給位置A4には第5の可動子22eが停止し、第1の供給位置A1には第7の可動子22gが停止している。また、第2の可動子22bは、第2の供給位置A2と第3の供給位置A3との間に位置し、第4の可動子22dは、第3の供給位置A3と第4の供給位置A4との間に位置し、第6の可動子22fは、第4の供給位置A4と第1の供給位置A1との間に位置し、第8の可動子22hは、第1の供給位置A1と第2の供給位置A2との間に位置する。
【0048】
(S6)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを、走行軌道に沿って第2の供給位置A2から第3の供給位置A3へと移動させる。このとき制御部30は、第1の可動子22aを第2の供給位置A2から第3の供給位置A3へと移動させるだけでなく、第3の可動子22cを第3の供給位置A3から第4の供給位置A4へと移動させ、第5の可動子22eを第4の供給位置A4から第1の供給位置A1へと移動させ、第7の可動子22gを第1の供給位置A1から第2の供給位置A2へと移動させる。
【0049】
(S7)続いて、制御部30は、第3の供給位置A3に、ワーク1である樹脂フィルムが供給されるように、第3の供給機構10cを制御する。また、制御部30は、第3の供給位置A3で停止しているワーク1を撮像するように、第3の撮像装置40cを制御する。
【0050】
(S8)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを第3の供給位置A3で停止させ、第3の撮像装置40cによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正されたワーク1が積層ステージ221上の治具25の上に積層されるように第1の可動子22aを制御する。具体的には、制御部30は、第3の撮像装置40cによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221をX軸方向、Y軸方向、および、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させることによって、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、位置補正が完了すると、治具25上のワーク1が第3の供給位置A3におけるワーク1と当接するまで積層ステージ221を上昇させる。このとき、制御部30は、積層ステージ221の上、より詳しくは、治具25の上に積層されているワーク1の積層枚数に基づいて、積層ステージ221のZ軸方向の移動量、すなわち、上昇量を制御する。
【0051】
この後、制御部30は、第3の供給機構10cに、第3の供給位置A3のワーク1の吸着を解除させる。これにより、第3の供給位置A3におけるワーク1が積層ステージ221の上、より詳しくは、治具25上のワーク1の上に積層される。このとき、治具25のチャック爪26によるワーク1の保持を一旦解除して第3の供給位置A3のワーク1を積層させた後、積層されている全てのワーク1をチャック爪26によって保持し直すことが好ましい。
【0052】
なお、第3の供給位置A3に第1の可動子22aが停止しているとき、第4の供給位置A4には第3の可動子22cが停止し、第1の供給位置A1には第5の可動子22eが停止し、第2の供給位置A2には第7の可動子22gが停止している。また、第2の可動子22bは、第3の供給位置A3と第4の供給位置A4との間に位置し、第4の可動子22dは、第4の供給位置A4と第1の供給位置A1との間に位置し、第6の可動子22fは、第1の供給位置A1と第2の供給位置A2との間に位置し、第8の可動子22hは、第2の供給位置A2と第3の供給位置A3との間に位置する。
【0053】
(S9)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを、走行軌道に沿って第3の供給位置A3から第4の供給位置A4へと移動させる。このとき制御部30は、第1の可動子22aを第3の供給位置A3から第4の供給位置A4へと移動させるだけでなく、第3の可動子22cを第4の供給位置A4から第1の供給位置A1へと移動させ、第5の可動子22eを第1の供給位置A1から第2の供給位置A2へと移動させ、第7の可動子22gを第2の供給位置A2から第3の供給位置A3へと移動させる。
【0054】
(S10)続いて、制御部30は、第4の供給位置A4に、ワーク1である第2の金属箔が供給されるように、第4の供給機構10dを制御する。また、制御部30は、第4の供給位置A4で停止しているワーク1を撮像するように、第4の撮像装置40dを制御する。
【0055】
(S11)制御部30は、第1の可動子22aを第4の供給位置A4で停止させ、第4の撮像装置40dによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正されたワーク1が積層ステージ221上の治具25の上に積層されるように第1の可動子22aを制御する。具体的には、制御部30は、第4の撮像装置40dによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221をX軸方向、Y軸方向、および、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に移動させることによって、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、位置補正が完了すると、治具25上のワーク1が第4の供給位置A4におけるワーク1と当接するまで積層ステージ221を上昇させる。このとき、制御部30は、積層ステージ221の上、より詳しくは、治具25の上に積層されているワーク1の積層枚数に基づいて、積層ステージ221のZ軸方向の移動量、すなわち、上昇量を制御する。
【0056】
この後、制御部30は、第4の供給機構10dに、第4の供給位置A4のワーク1の吸着を解除させる。これにより、第4の供給位置A4におけるワーク1が積層ステージ221の上、より詳しくは、治具25上のワーク1の上に積層される。このとき、治具25のチャック爪26によるワーク1の保持を一旦解除して第4の供給位置A4のワーク1を積層させた後、積層されている全てのワーク1をチャック爪26によって保持し直すことが好ましい。
【0057】
(S12)制御部30は、第1の可動子22aを、走行軌道に沿って第4の供給位置A4から第1の供給位置A1へと移動させる。このとき制御部30は、第1の可動子22aを第4の供給位置A4から第1の供給位置A1へと移動させるだけでなく、第3の可動子22cを第1の供給位置A1から第2の供給位置A2へと移動させ、第5の可動子22eを第2の供給位置A2から第3の供給位置A3へと移動させ、第7の可動子22gを第3の供給位置A3から第4の供給位置A4へと移動させる。
【0058】
上述した(S1)~(S12)の工程によって、4種類のワーク1である樹脂フィルム、第1の金属箔、樹脂フィルム、第2の金属箔が順に積層された1組の半製品が得られる。以後、(S1)~(S12)の工程を繰り返し行うことにより、所定の組数が積層された製品、すなわち、セパレータとして機能する樹脂フィルムを介して、正極と負極が交互に複数積層された積層体が得られる。積層体は、例えば、組電池の構成材料として用いられる。
【0059】
本実施形態における積層装置100は、積層ステージ221の上に、ワーク1を積層するための治具25を供給するとともに、積層が完了した複数種類のワーク1とともに治具25を排出する治具供給排出機構50をさらに備える(図6(c)参照)。すなわち、ワーク1の積層時には、治具供給排出機構50によって積層ステージ221の上に治具25が供給され、上述した方法によって、治具25の上に複数種類のワーク1が順に積層される。
【0060】
また、複数種類のワーク1が積層された所望の積層体が作製されると、治具供給排出機構50は、複数種類のワーク1が積層された積層体を治具25ごと排出する(図6(c)参照)。治具供給排出機構50の動作は、制御部30によって制御される。治具供給排出機構50によって、積層が完了した複数種類のワーク1とともに治具25を排出することにより、積層が完了した複数種類のワーク1の取り出しが容易となる。また、治具25を排出した後、次の治具25を積層ステージ221の上に供給することにより、新たなワーク1の積層をすぐに開始することができるので、ワーク1の積層効率をさらに向上させることができる。
【0061】
ここで、積層ステージ221は、治具25を固定するための固定部材を有する。積層ステージ221が治具25を固定するための固定部材を有することにより、ワーク1を治具25の上に積層する際の位置ずれを、より抑制することができる。
【0062】
本実施形態において、固定部材は、図6(a)に示すように、治具25に形成されている凹みに対して嵌合および分離が可能な位置決めピン60である。位置決めピン60は、積層ステージ221の表面に対して突出し、かつ、引っ込むことができるように、上下に移動可能に構成されている。治具25を固定する際には、位置決めピン60が積層ステージ221の表面から突出した状態で、治具25に形成されている凹みと嵌合することによって、治具25が固定される(図6(b)参照)。これにより、治具25をより確実に、積層ステージ221に固定することができる。
【0063】
また、治具25の排出時および供給時には、位置決めピン60が下降して積層ステージ221の表面から引っ込むことによって、治具25の固定状態が解除される(図6(c)参照)。このような構成により、治具25の供給および排出を簡単に行うことができる。
【0064】
ただし、治具25を固定するための固定部材が上述した位置決めピン60に限定されることはない。
【0065】
以上、第1の実施形態における積層装置100によれば、供給機構10によって供給位置A1~A4において供給されたワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正し、相対的な位置が補正されたワーク1を可動子22の積層ステージ221に積層する。その後、可動子22は、次の供給位置A1~A4へと移動する。すなわち、ワーク1を別の機構へと移し替える工程は、供給機構10から移動機構20への1回だけでよいため、ワーク1の積層時間を短縮することができる。また、可動子22の積層ステージ221にワーク1を積層する際、位置補正を行ってから積層するので、その後に位置補正を別途行う必要がない。したがって、積層効率を向上させることができ、積層時間を短縮することができる。
【0066】
また、第1の実施形態における積層装置100によれば、第1の供給機構10a、第2の供給機構10b、第3の供給機構10c、および、第4の供給機構10dはそれぞれ、1種類のワーク1を連続的に供給すればよいので、動作が簡単になる。
【0067】
上述したように、本実施形態における積層装置100において、可動子22の数は、供給機構10の数の2倍である。各供給機構10に各可動子22が停止してワーク1の積層を行う間に、他の可動子22が供給位置A1~A4の間を移動することができるので、ワーク1の積層効率をさらに向上させることができる。なお、他の可動子22が供給位置A1~A4の間を移動する際、積層されたワーク1に対して、位置補正を再度行うようにしてもよい。
【0068】
なお、図7に示すように、可動子22の数を、供給機構10の数と同じとしてもよい。その場合でも、各供給機構10によって供給されるワーク1を、同じ数の可動子22の積層ステージ221のそれぞれに同時に積層することができる。したがって、供給機構10の数に応じて、複数種類のワーク1の積層を同時に行うことができるので、可動子22の数が供給機構10の数よりも少ない構成と比べて、ワーク1の積層効率を向上させることができる。また、全ての可動子22の停止および移動を同時に行うことができるので、可動子22同士が衝突する可能性を低減することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
第1の実施形態における積層装置100では、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正するため、積層ステージ221が移動するように構成されている。
【0070】
これに対して、第2の実施形態における積層装置100Aでは、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正するため、供給機構10、可動子22、および、積層ステージ221が移動するように構成されている。
【0071】
図8は、第2の実施形態における積層装置100Aにおいて、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正する方法を説明するための図である。
【0072】
撮像装置40は、供給機構10によるワーク1の搬送方向(図8のX軸方向)において、供給位置よりも手前の位置で、ワーク1を撮像する。制御部30は、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて供給位置を決定し、決定した供給位置でワーク1が停止するように、供給機構10を制御する第1の制御を行う。第1の制御により、積層ステージ221に対するワーク1の相対的な位置のうち、X軸方向における位置が調整される。
【0073】
制御部30はまた、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて可動子22の停止位置を決定し、決定した停止位置で停止するように可動子22を制御する第2の制御を行う。第2の制御により、積層ステージ221に対するワーク1の相対的な位置のうち、Y軸方向における位置が調整される。
【0074】
制御部30はまた、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221の位置を調整する第3の制御を行う。第3の制御では、積層ステージ221を、XY平面において積層ステージ221の中心周りの回転方向であるθ方向に移動させる制御を行う。
【0075】
上述した第1の制御、第2の制御、および、第3の制御により、積層ステージ221に対するワーク1の相対的な位置が補正される。積層ステージ221に対するワーク1の相対的な位置補正が完了すると、制御部30は、第1の実施形態と同様、積層ステージ221を上昇させて、積層ステージ221上、より詳しくは、積層ステージ221上の治具25の上にワーク1を積層させる。このとき、第1の実施形態と同様に、治具25の上に積層されているワーク1の積層枚数に基づいて、積層ステージ221のZ軸方向の移動量、すなわち、上昇量を制御する。
【0076】
以下では、第2の実施形態における積層装置100Aによって、4種類のワーク1を順に積層する方法について説明する。ここでは、8つの可動子22のうち、第1の可動子22aがワーク1を積層する動作について説明するが、他の可動子22b~22hがワーク1を積層する動作についても同様である。
【0077】
(S21)制御部30は、第1の供給機構10aによるワーク1の搬送方向において、第1の供給位置A1よりも手前の位置で、ワーク1である樹脂フィルムを撮像するように、第1の撮像装置40aを制御する。制御部30は、第1の撮像装置40aによって撮像されたワーク1の画像に基づいて第1の供給位置A1を決定し、決定した第1の供給位置A1でワーク1が停止するように、第1の供給機構10aを制御する第1の制御、第1の撮像装置40aによって撮像されたワーク1の画像に基づいて第1の可動子22aの停止位置を決定し、決定した停止位置で停止するように第1の可動子22aを制御する第2の制御、および、第1の撮像装置40aによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221のθ方向の位置を調整する第3の制御を行う。その後、制御部30は、第1の実施形態と同様に、積層ステージ221を上昇させて、積層ステージ221上の治具25の上にワーク1を積層させる。
【0078】
第1の供給位置A1に第1の可動子22aが停止しているときの他の可動子22b~22hの位置は、第1の実施形態と同様である。
【0079】
(S22)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを第1の供給位置A1から第2の供給位置A2へと移動させる。他の可動子22b~22hの動作については、第1の実施形態と同様である。
【0080】
(S23)続いて、制御部30は、第2の供給機構10bによるワーク1の搬送方向において、第2の供給位置A2よりも手前の位置で、ワーク1である第1の金属箔を撮像するように、第2の撮像装置40bを制御する。制御部30は、第2の撮像装置40bによって撮像されたワーク1の画像に基づいて供給位置を決定し、決定した供給位置でワーク1が停止するように、第2の供給機構10bを制御する第1の制御、第2の撮像装置40bによって撮像されたワーク1の画像に基づいて第1の可動子22aの停止位置を決定し、決定した停止位置で停止するように第1の可動子22aを制御する第2の制御、および、第2の撮像装置40bによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221のθ方向の位置を調整する第3の制御を行う。その後、制御部30は、第1の実施形態と同様に、積層ステージ221を上昇させて、積層ステージ221上の治具25の上にワーク1を積層させる。
【0081】
第2の供給位置A2に第1の可動子22aが停止しているときの他の可動子22b~22hの位置は、第1の実施形態と同様である。
【0082】
(S24)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを第2の供給位置A2から第3の供給位置A3へと移動させる。他の可動子22b~22hの動作については、第1の実施形態と同様である。
【0083】
(S25)続いて、制御部30は、第3の供給機構10cによるワーク1の搬送方向において、第3の供給位置A3よりも手前の位置で、ワーク1である樹脂フィルムを撮像するように、第3の撮像装置40cを制御する。制御部30は、第3の撮像装置40cによって撮像されたワーク1の画像に基づいて第3の供給位置A3を決定し、決定した第3の供給位置A3でワーク1が停止するように、第3の供給機構10cを制御する第1の制御、第3の撮像装置40cによって撮像されたワーク1の画像に基づいて第1の可動子22aの停止位置を決定し、決定した停止位置で停止するように第1の可動子22aの位置を制御する第2の制御、および、第3の撮像装置40cによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221のθ方向の位置を調整する第3の制御を行う。その後、制御部30は、第1の実施形態と同様に、積層ステージ221を上昇させて、積層ステージ221上の治具25の上にワーク1を積層させる。
【0084】
第3の供給位置A3に第1の可動子22aが停止しているときの他の可動子22b~22hの位置は、第1の実施形態と同様である。
【0085】
(S26)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを第3の供給位置A3から第4の供給位置A4へと移動させる。他の可動子22b~22hの動作については、第1の実施形態と同様である。
【0086】
(S27)続いて、制御部30は、第4の供給機構10dによるワーク1の搬送方向において、第4の供給位置A4よりも手前の位置で、ワーク1である第2の金属箔を撮像するように、第4の撮像装置40dを制御する。制御部30は、第4の撮像装置40dによって撮像されたワーク1の画像に基づいて第4の供給位置A4を決定し、決定した第4の供給位置A4でワーク1が停止するように、第4の供給機構10dを制御する第1の制御、第4の撮像装置40dによって撮像されたワーク1の画像に基づいて第1の可動子22aの停止位置を決定し、決定した停止位置で停止するように第1の可動子22aを制御する第2の制御、および、第4の撮像装置40dによって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221のθ方向の位置を調整する第3の制御を行う。その後、制御部30は、第1の実施形態と同様に、積層ステージ221を上昇させて、積層ステージ221上の治具25の上にワーク1を積層させる。
【0087】
第4の供給位置A4に第1の可動子22aが停止しているときの他の可動子22b~22hの位置は、第1の実施形態と同様である。
【0088】
(S28)続いて、制御部30は、第1の可動子22aを第4の供給位置A4から第1の供給位置A1へと移動させる。他の可動子22b~22hの動作については、第1の実施形態と同様である。
【0089】
上述した(S21)~(S28)の工程によって、4種類のワーク1である樹脂フィルム、第1の金属箔、樹脂フィルム、第2の金属箔が順に積層された1組の半製品が得られる。以後、(S21)~(S28)の工程を繰り返し行うことにより、所定の組数が積層された製品、すなわち、セパレータとして機能する樹脂フィルムを介して、正極と負極が交互に複数積層された積層体が得られる。
【0090】
第2の実施形態における積層装置100Aでも、ワーク1を別の機構へと移し替える工程は、供給機構10から移動機構20への1回だけでよく、また、可動子22の積層ステージ221にワーク1を積層する際、位置補正を行ってから積層するので、その後に位置補正を別途行う必要がない。したがって、ワーク1の積層時間を短縮することができる。
【0091】
特に、第2の実施形態における積層装置100Aによれば、制御部30は、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて供給位置を決定し、決定した供給位置でワーク1が停止するように供給機構10を制御する第1の制御、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて可動子22の停止位置を決定し、決定した停止位置で停止するように可動子22を制御する第2の制御、および、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて、積層ステージ221の位置を制御する第3の制御を行うことによって、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正する。第1の実施形態における積層装置100では、積層ステージ221をX軸方向、Y軸方向、および、θ方向に移動させるための駆動源が必要であるが、第2の実施形態における積層装置100Aでは、積層ステージ221をθ方向にのみ移動させる駆動源があればよいので、可動子22の構成を簡易化することができる。
【0092】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。例えば、積層対象物であるワーク1が上述したシート状の電池材料に限定されることはない。例えば、ワーク1がシート状の導電層および絶縁層であり、複数のワーク1を積層することによって、多層基板を作製することもできる。その場合、導電層は、例えば、銅、銀、銅を含む合金、銀を含む合金、または、Sn-Ag系のはんだなどからなり、絶縁層は、例えば、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、または、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂からなる。
【0093】
上述した実施形態において、積層ステージ221は、ワーク1を積層するために上昇して供給機構10へと接近するように構成されているが、供給機構10が下降することによって積層ステージ221に接近するように構成してもよい。
【0094】
第2の実施形態における積層装置100Aにおいて、積層ステージ221が回転方向であるθ方向に移動する代わりに、供給機構10がθ方向に移動するように構成してもよい。
【0095】
上述した実施形態において、ワーク1の積層時に、積層ステージ221は、供給位置A1~A4に供給されるワーク1の鉛直下方に位置し、上昇することによってワーク1に接近するように構成されている(図2参照)。これに対して、ワーク1の積層時に、図9に示すように、積層ステージ221が供給位置A1~A4に供給されるワーク1の鉛直上方に位置し、下降することによってワーク1に接近するように構成してもよい。この場合、供給機構10は、例えば、ベルトコンベアであり、ベルト上に載置されたワーク1を供給位置A1~A4まで運搬して供給する。積層ステージ221は、ワーク1を保持するためのチャック爪26を備えており、チャック爪26によって、積層されたワーク1が落下しないように保持する。なお、積層ステージ221が下降する代わりに供給機構10が上昇することによって、ワーク1を積層ステージ221に積層するようにしてもよい。
【0096】
上述した実施形態において、制御部30は、撮像装置40によって撮像されたワーク1の画像に基づいて、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正するが、ワーク1の画像を用いずに位置を補正することもできる。例えば、ワーク1の位置ずれが生じないように、供給機構10によるワーク1の運搬を行うようにし、制御部30は、可動子22の位置情報を示すエンコーダ値に基づいて、可動子22を各供給位置A1~A4に精度良く停止させる。また、例えば、レーザセンサで高さ方向を検出してワーク1の位置を認識し、ワーク1の積層ステージ221に対する相対的な位置を補正するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 ワーク
10 供給機構
10a 第1の供給機構
10b 第2の供給機構
10c 第3の供給機構
10d 第4の供給機構
11 アライメントマーク
21 固定子
22 可動子
22a 第1の可動子
22b 第2の可動子
22c 第3の可動子
22d 第4の可動子
22e 第5の可動子
22f 第6の可動子
22g 第7の可動子
22h 第8の可動子
25 治具
26 チャック爪
26a ワーク押さえ面
30 制御部
40 撮像装置
40a 第1の撮像装置
40b 第2の撮像装置
40c 第3の撮像装置
40d 第4の撮像装置
50 治具供給排出機構
60 位置決めピン
100、100A 積層装置
210 ガイドレール
221 積層ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9