(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240416BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20240416BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/09
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2022535025
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2021024176
(87)【国際公開番号】W WO2022009707
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2020117149
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】馬場 厚志
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-67295(JP,A)
【文献】特開2012-216143(JP,A)
【文献】特開2012-216176(JP,A)
【文献】特開2009-231937(JP,A)
【文献】特開2018-55637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行速度を制御する制御装置(30)であって、
走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンを特定し、前記走行中の道路が優先道路か否かを判定するシーン判定部(110)と、
走行中の道路が非優先道路である場合に、交差部分の手前で停止できる
最大の速度を上限速度として設定する制御部(150)と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンでないときには、遮蔽物に基づく速度の上下限設定をしない、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
車両の走行速度を制御する制御装置(30)であって、
走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンを特定し、前記走行中の道路が優先道路か否かを判定するシーン判定部(110)と、
走行中の道路が非優先道路である場合に、交差部分の手前で停止できる速度で車両を走行させる制御部(150)と、
遮蔽された領域の中で前記交差部分に最も近い位置に交差移動体を設定する仮想移動体設定部(141)と、
前記交差移動体の移動速度を設定する速度評価部(143)と、
を備え、
前記制御部は、走行中の道路が優先道路である場合に、前記交差移動体の位置および移動速度に基づいて、前記交差移動体と衝突しない速度で車両を走行させる制御装置。
【請求項4】
前記速度評価部(143)は、前記交差移動体の速度として合理的に予見可能な車速を設定する請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記交差移動体の方が交差部分に近い場合に、
前記速度評価部は、(1)前記交差移動体が前記交差部分の手前で停止できる最大の速度、(2)法定速度、(3)前記交差移動体が走行中の道路を走行する車両の平均車速、(4)前記交差移動体が走行中の道路を走行する車両の最大車速、(5)前記(1)~(4)の速度のうちの最小の速度、のいずれかを前記交差移動体の速度として求め、
前記制御部は、前記交差移動体と衝突しない速度を上限とする速度で車両を走行させる請求項3または4に記載の制御装置。
【請求項6】
自車両の方が交差部分に近い場合に、
前記速度評価部は、(1)前記交差移動体が前記交差部分の手前で停止できる最大の速度、(2)法定速度、(3)前記交差移動体が走行中の道路を走行する車両の平均車速、(4)前記交差移動体が走行中の道路を走行する車両の最大車速、(5)前記(1)~(4)の速度のうちの最大の速度、のいずれかを前記交差移動体の速度として求め、
前記制御部は、前記交差移動体と衝突しない速度を下限とする速度で車両を走行させる請求項3または4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記仮想移動体設定部は、複数の遮蔽物に遮蔽された各領域において前記交差部分に最
も近い位置に交差移動体を設定し、
前記速度評価部は、それぞれの交差移動体の移動速度を設定し、
前記制御部は、複数の交差移動体の位置および移動速度に基づいて前記交差移動体と衝突しない速度で車両を走行させる請求項3から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
自車両が交差部分に近づいて、遮蔽物に遮蔽されずに見通せる交差道路の前記交差部分からの距離が所定の閾値以上となった場合に、前記制御部は、前記交差道路にいる交差移動体の検知データに基づいて、車両の走行速度を制御する請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
車両の走行速度を制御する制御装置であって、
走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンにおいて、遮蔽された領域の中で前記交差部分に最も近い位置に交差移動体を設定する仮想移動体設定部と、
前記交差移動体の移動速度を設定する速度評価部と、
前記交差移動体の位置および移動速度に基づいて、前記交差移動体と衝突しない速度で車両を走行させる制御部と、
を備える制御装置。
【請求項10】
車両の走行を制御する制御方法であって、
制御装置が、走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンを特定することと、
制御装置が、前記シーンにおいて遮蔽された領域の中に交差移動体を想定することと、
制御装置が、前記交差移動体の移動速度を想定することと、
制御装置が、前記交差移動体の想定に基づいて、前記交差移動体と衝突しないように前記車両を走行させることと、
を備える制御方法。
【請求項11】
車両の走行速度を制御する制御方法であって、
制御装置が、走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンを特定し、前記走行中の道路が優先道路か否かを判定することと、
制御装置が、走行中の道路が非優先道路である場合に、交差部分の手前で停止できる速度で車両を走行させることと、
制御装置が、遮蔽された領域の中で前記交差部分に最も近い位置に交差移動体を設定することと、
制御装置が、前記交差移動体の移動速度を設定することと、
制御装置が、走行中の道路が優先道路である場合に、前記交差移動体の位置および移動速度に基づいて、前記交差移動体と衝突しない速度で車両を走行させることと、
を備える制御方法。
【請求項12】
車両の走行速度を制御するためのプログラムであって、コンピュータに、
制御装置が、走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンを特定し、前記走行中の道路が優先道路か否かを判定するステップと、
制御装置が、走行中の道路が非優先道路である場合に、交差部分の手前で停止できる
最大の速度を上限速度として設定させるステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項13】
車両の走行速度を制御するためのプログラムであって、
制御装置が、走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンにおいて、遮蔽された領域の中で前記交差部分に最も近い位置に交差移動体を設定するステップと、
制御装置が、前記交差移動体の移動速度を設定するステップと、
制御装置が、前記交差移動体の位置および移動速度に基づいて、前記交差移動体と衝突しない速度で車両を走行させるステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交差部分を有する道路(交差路)を安全に通過する技術に関する。
【関連出願への相互参照】
【0002】
本出願は、2020年7月7日に出願された特許出願番号2020-117149号に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その特許出願の中のすべての内容が、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
従来から、他車との接触リスクを計算して、交差点へ進入する際の運転を支援するシステムが知られている。特許文献1は、事故の責任を定めるルールに基づいて、車両をナビゲートするシステムを開示しており、その中で、交差点における車両のナビゲートについて開示している。
【0004】
特許文献2は、車両が交差点に進入可能か否かを高い信頼性で判断できる車両用運転支援装置を開示している。特許文献2に記載された装置は、自車および他車が交差点を横切る時間に基づいて接触リスクを計算し、接触リスクが閾値以下であれば、交差点へ進入するように車両を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2019/180506
【文献】特許第6128218号
【発明の概要】
【0006】
上記した特許文献1,2はいずれも、遮蔽物があって見通しが悪い場合にどのような走行をすればよいかについて具体的な内容を開示していない。
【0007】
そこで、本開示は、交差点などの複数経路が交差する場所において、遮蔽物があり見通しが悪く、遮蔽先の情報が得られない場合に、自動運転車両が合理的に交差部分を通過するための走行制御を定める。
【0008】
本開示は上記課題を解決するために以下の技術的手段を採用する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施の形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
本開示にかかる制御装置は、車両の走行速度を制御する制御装置であって、走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンを特定し、走行中の道路が優先道路か否かを判定するシーン判定部と、走行中の道路が非優先道路である場合に、交差部分の手前で停止できる速度で車両を走行させる制御部とを備える。
【0010】
また、本開示に係る別の態様の制御装置は、車両の走行速度を制御する制御装置であって、走行中の道路と交差道路との交差部分において遮蔽物によって見通しが遮蔽されているシーンにおいて、遮蔽された領域の中で前記交差部分に最も近い位置に交差移動体を設定する仮想移動体設定部と、前記交差移動体の移動速度を設定する速度評価部と、前記交差移動体の位置および移動速度に基づいて、前記交差移動体と衝突しない速度で車両を走行させる制御部とを備える。
【0011】
本開示によれば、遮蔽物がある交差部分において、遮蔽物の死角にある交差移動体についての情報把握が十分でなくとも、自動運転車両の合理的な走行制御を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態の自動運転車両のシステム構成を示す図である。
【
図2】実施の形態の自動運転車両のアプリケーションの構成を示す図である。
【
図3A】遮蔽物によって交差道路の見通しが遮蔽されている状態を示す図である。
【
図3B】遮蔽物によって交差道路の見通しが遮蔽されている状態を示す図である。
【
図5A】仮想他車設定部にて遮蔽領域に仮想他車を設定した例を示す図である。
【
図5B】仮想他車設定部にて遮蔽領域に仮想他車を設定した例を示す図である。
【
図6】速度評価の流れを示すフローチャートである。
【
図8】停車可能最大速度と法定速度の両方を用いたときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態に係る制御装置を備えた車両について、図面を参照しながら説明する。車両は、自動運転車両であってもよいし、運転アシスト機能を備えた車両であってもよい。本実施の形態では、自動運転車両を例として説明する。
【0014】
図1は、実施の形態の自動運転車両1のシステム構成を示す図である。本実施の形態の自動運転車両1は、自動運転制御を行う全体ECU(Electronic Control Unit)30と、車両および周辺環境の状況を検知するセンサ10と、全体ECU30からの指示にしたがって車両機器を制御する各種ECUと、ドライバとのインターフェースであるHMI(Human Machine Interface)40と、データセンタ70と通信を行う通信装置60とを備えている。自動運転車両1は、車車間通信(Vehicle-to-vehicle)や路車間通信(Vehicle-to-Infrastructure)等のV2X通信を行う通信装置を備えてもよい。
【0015】
図1には、各種ECUとして、アクセルECU51、ブレーキECU52、操舵ECU53を記載しているが、自動運転車両1には
図1に記載していない種類のECUを搭載していてもよい。HMI40は、ドライバに対して情報を表示する表示部41と、音声を出力する音声出力部42と、ドライバや乗員による操作入力を受け付ける操作入力部43とを有している。全体ECU30及び各種ECUは、それぞれに個別の、又は共通の、少なくとも1つの専用コンピュータを含んで構成される。専用コンピュータは、メモリ及びプロセッサを少なくとも1つずつ有している。メモリは、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(例えばRAM、ROM等が該当する)である。プロセッサは、例えばCPU、GPU及びRISC-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。専用コンピュータは、デジタル回路及びアナログ回路のうち、少なくとも一方をプロセッサとして含んでいてもよい。
【0016】
センサ10は、外部にある物体を検知するセンサとして、前方ソナー11と、側方ソナー12と、後方ソナー13と、前方カメラセンサ14と、側方カメラセンサ15と、後方カメラセンサ16と、前方ミリ波レーダー17と、側方ミリ波レーダー18と、後方ミリ波レーダー19と、LiDAR20と、Imaging LiDAR21とを有している。また、センサ10は、車両の状態を検知するセンサとして、シフトポジションセンサ22と、車速センサ23と、加速度センサ24とを有している。さらに、センサ10は、車両の位置を測定するGPS25を有している。なお、自動運転車両1は、
図1に記載していないセンサを搭載していてもよい。
【0017】
全体ECU30は、RAM31と、CPU32と、ROM33と、表示制御部34と、音声制御部35と、地図アップロードデータ処理部36と、地図ダウンロードデータ処理部37と、加速度制御部38と、速度制御部39とを有している。全体ECU30は、交差部分を有する交差路において、交差部分を安全に通過する速度範囲を求める。なお、以下の説明において、自車両が走行する道路に対して交差する道路を「交差道路」といい、交差道路を走行する車両を「交差車両」という。交差車両は、交差移動体の一例である。なお、交差車両は、他の道路ユーザや安全関連オブジェクトに相当してもよい。
【0018】
全体ECU30が、制御装置に相当する。なお、全体ECU30の一部が制御装置に相当してもよく、また全体ECU30と各種ECUの組合せが制御装置に相当してもよい。表示制御部34および音声制御部35は、HMI40と通信を行い、HMI40を制御することによってドライバとのユーザーインターフェースを実現する。加速度制御部38および速度制御部39は、アクセルECU51およびブレーキECU52と通信し、アクセルとブレーキの制御を行う。地図アップロードデータ処理部36および地図ダウンロードデータ処理部37は、通信装置60を通じて、データセンタ70と通信を行い、地図データのアップロードおよびダウンロードを行う。
【0019】
データセンタ70は、通信装置71と地図データ処理部72とを有している。データセンタ70は、車両からアップロードされた地図データを地図データ処理部72で処理し、地図データを最新の地図データに更新する。また、データセンタ70は、車両からの要求に応じてあるいは定期的に最新の地図データを車両に配信する。
【0020】
図2は、実施の形態の自動運転車両1のアプリケーションの構成を示す図である。アプリケーションは、RAM31またはROM33に格納されたプログラムをCPU32によって実行することによって実現される。このようなプログラムも本開示の範囲に含まれる。
【0021】
アプリケーションは、状況検知部100と、シーン判定部110と、リスク評価部140と、制御部150とを有している。状況検知部100は、ローカライズ101と、走路FSN(Fusion)102と、物標FSN(Fusion)103と、地図取得104を実行する。ローカライズ101は、自車両が走行している位置が地図上のどこであるかを特定する機能である。走路FSN102は、複数のセンサ10からのデータを統合し、車両が走行すべき車線(走路)を求める機能である。物標FSN103は、複数のセンサ10からのデータを統合し、道路上にいる他の車両や歩行者、道路上の標識や信号などを求める機能である。地図取得104は、現在地付近の地図データを取得する。
【0022】
シーン判定部110は、個別判定部120と統合判定部130とを有し、走行中の車両がおかれた環境を判定する。判定対象となる環境は、シナリオ及びシーンのうちの少なくとも1つを含んでいる。個別判定部120は、交差路検知121、停止線検知122、優先非優先検知123、停車車両検知124、駐車車両検知125、構造物検知126を行う。
【0023】
個別判定部120における優先非優先検知123は、優先道路の標識または前方優先道路の標識の有無に基づいて、優先道路か非優先道路かを検知する機能である。優先道路の標識がある場合には走行中の道路が優先道路であると検知する。「止まれ」または「徐行」などの前方優先道路の標識がある場合には、交差道路が優先道路であり、走行中の道路は非優先道路であると検知する。
【0024】
米国のように「4-way stop」や「All-way stop」の標識がある場合、いずれの道路についても非優先道路と判断したうえで、右側通行道路の場合に、右側の道路から進入する車両を優先道路とし、左側の道路から進入する車両に対しては、自車を優先と判断する。なお、ここでの説明は、右側通行を前提としている。
【0025】
また、優先非優先検知123は、地図データに基づいて現在走行中の道路を特定し、その道路の情報から、優先道路か非優先道路かを検知してもよい。また、信号機の灯火色の状態に応じて、自車両に通行権があるかどうか、すなわち優先かどうかを検知してもよい。
【0026】
統合判定部130は、個別判定部120による各種の判定結果に基づく統合判定を行う。具体的には、交通規則判定131と遮蔽判定132を行う。交通規則判定131は、交差路検知121によって走行中の道路の先に、交差点や合流等の交差部分があることが検知された場合に、停止線検知122、優先非優先検知123の検知結果に基づいて、走行中の道路と交差道路とのいずれが優先道路であるかを統合判定する。
【0027】
ここで、交通規則判定131の判定ロジックの一例を説明する。まず、個別判定部120における優先非優先検知123によって優先道路か非優先道路かが検知された場合には、その結果にしたがって、優先道路か非優先道路かの判定を行う。優先非優先検知123の結果が不明の場合(例えば、優先道路標識や前方優先道路標識が検出できなかった場合)には、停止線検知122の結果に基づいて行う。走行中の道路と交差道路のいずれかに停止線がある場合には、停止線のない方が優先道路、停止線のある方が非優先道路であると判定する。中央線が交差点内を貫通している道路については、貫通している側が優先道路と判定する。走行中の道路と交差道路のいずれにも停止線がなく、中央線が貫通していない場合には、道幅が広い方を優先道路と判定してもよい。道幅は、車両1が有するセンサ10によって取得したセンサデータに基づいて判定してもよいし、地図取得104にて取得した地図データに基づいて判定してもよい。なお、上記の基準で優先道路を決定できない場合には、左側から来る車両が優先と判定する。ここでは、日本のように左側通行の場合を前提として説明しているが、右側通行の国の場合には、その国のルールに合わせて、例えば右側から来る車両が優先と判定してもよい。
【0028】
遮蔽判定132は、停車車両検知124、駐車車両検知125、構造物検知126の検知結果に基づいて、交差道路の見通しが遮蔽されているか否か、遮蔽されている場合には、遮蔽されている範囲を判定する。
図3A及び
図3Bは、遮蔽物によって交差道路の見通しが遮蔽されている状態を示す図である。
図3Aに示すように、自車両SCと遮蔽物の端部とを結ぶ直線を交差道路の方向に延長することにより、交差道路のどの範囲が見えてどの範囲が遮蔽されているかを判定することができる。遮蔽物は、道路脇の建物、樹木、丘などであってもよく、道路上の他車(例えば隣接車線を並走する他車)であってもよい。急カーブにより進路が見通せない場合に、見通しが遮蔽されていると判定することもできる。
【0029】
図3Aにおいて、d
visibleで示す範囲は見通せるが、遮蔽物の陰になっている範囲は見えない。
図3Bに示すように遮蔽物が自車両SCから離れている場合や、図示しないが遮蔽物が小さい場合には、遮蔽物の他の端部についても、当該他の端部と自車両SCを結ぶ直線を延長して、交差道路のどの範囲が見えているかを求める。
【0030】
図2に戻って、自動運転車両1のアプリケーションについて説明する。リスク評価部140は、リスクモデル145を用いてリスク評価を行う。
図4は、リスク評価部140の構成を示す図である。リスク評価部140は、自己位置推定結果とシーン判定結果とを受信して、交差部分におけるリスクを評価し、制御部150に対して、速度の上下限値のデータを送信する機能を有する。
【0031】
リスク評価部140によって求められる速度の範囲は、遮蔽物に他車があるとした場合でも、当該仮想他車との関係では交差部分を安全に通過できる速度の範囲である。つまり、この速度の範囲で走行すれば、遮蔽領域に他車が隠れていたとしても、その仮想他車とは衝突しない範囲である。以下、この速度範囲を「安全速度範囲」という。
【0032】
また、「安全速度範囲」は、仮想他車に対して維持すべき適切な距離(例えば安全距離)を保てるような、すなわち安全エンベロープの違反を生じさせることを回避するような範囲に設定されてもよい。安全エンベロープは、システムが競合を防ぐための制約又は制御の対象となる操作をする必要がある範囲での、一連の制限及び条件であってもよい。安全エンベロープは、合理的に予見可能な最悪ケースとなる他者の動作として定義された想定と組み合わせて、安全関連モデルの基本的な構成要素となっていてもよい。
【0033】
リスク評価部140は、仮想他車設定部141と、評価対象管理部142と、速度評価部143と、速度範囲統合評価部144と、リスクモデル145とを有する。仮想他車設定部141は、遮蔽部分に隠れた領域に仮想的な他車を設定する機能を有する。
【0034】
図5A及び
図5Bは、仮想他車設定部141にて遮蔽領域に仮想他車VCを設定した例を示す図である。仮想他車設定部141は、遮蔽物で遮蔽された遮蔽領域の中で、交差部分に最も近い位置に仮想他車VCを設定する。
図5Aは一つの遮蔽領域に対して仮想他車VCを設定した例を示し、
図5Bは二つの遮蔽領域のそれぞれに対して仮想他車VCを設定した例を示す。このように、仮想他車設定部141は、遮蔽領域の数に応じて複数の仮想他車VCを設定する。なお、仮想他車の位置は、合理的に予見可能な位置であれば、遮蔽領域のうち、交差部分に最も近い位置でなくてもよい。また、遮蔽された安全関連オブジェクトとして、仮想車両VCの他、遮蔽された横断歩道に仮想の歩行者が設定されてもよく、遮蔽された自転車専用車線に仮想の自転車が設定されてもよい。
【0035】
上記した処理をもう少し一般的にいうと、車両がおかれているシナリオ及びシーンを判定し、動的要素として遮蔽領域から安全関連オブジェクトが出現することを想定し、交通法に従って自車と安全関連オブジェクトとの間の通行権(優先権)を定義するという処理であると言える。ここでいうシナリオ及びシーンの判定は、シナリオの選択とも言える。シナリオは、相互に排他的ではなく、複数のシナリオを組み合わせて、より複雑な運転状況を表すことができる。例えば、自車両が片側二車線の高速道路を走行し合流地点に差し掛かる場合、隣接車線に他車両がいる高速道路のシナリオと、遮蔽領域を有する高速道路の合流地点のシナリオと、とは、複合することがある。この状況下、遮蔽領域から仮想車両VCが出現することは、ECU30によって想定されるべきである。
【0036】
評価対象管理部142は、交差道路を走行するリスク評価の対象となる車両を管理する。遮蔽物が遮蔽しているのが交差道路の一部である場合には、交差道路を走行する車両が遮蔽物に隠れて見えなくなったり、見えるようになったりする。この場合に、評価対象管理部142は、リスク評価の対象となる交差車両を管理する。これにより、交差車両が遮蔽物に隠れた場合にも、見えている範囲での走行状態に基づき、精度良く走行位置を予測できる。また、このような評価対象管理部142は、遮蔽物がなく見通しが良い交差道路を走行する車両を管理する場合にも用いることができる。
【0037】
速度評価部143は、仮想他車設定部141にて設定した仮想他車VCと衝突しない自車両の速度の上限または下限を評価する。速度評価部143は、仮想他車VCの速度を評価する際に、リスクモデル145を用いる。リスクモデル145は、仮想他車VCとしてどのようなモデルを想定するかを定めており、例えば、仮想他車VCの速度として法定速度を想定するか、あるいは交差路の手前で停車できる最大速度を想定するか等のデータである。また、交差移動体として車両以外(例えば、バイク、自転車、歩行者等)を想定する場合には、交差移動体として想定される移動体の種類とその速度のデータを含む。
【0038】
リスクモデル145は、動的運転タスクにて使用される安全関連モデルによって考慮される予見可能なシナリオに対して定義される合理的な想定の最小セットに相当していてもよい。また、想定の最小セットは、他の道路ユーザ(例えば仮想他車)が示し得る合理的に予見可能な最大想定速度、最大想定加速度、最小想定減速度、最大想定方位角(ヨー角)、最大想定方位角変化率(ヨーレート)、最大想定横方向位置変動、及び最大想定応答時間のうち少なくとも1つを定義していてもよい。速度及び加速度は、縦方向と横方向とに対して別々に想定されてもよい。
【0039】
速度評価部143は、仮想他車VCが複数ある場合には、それぞれの仮想他車VCについて、速度の上限または下限を評価する。速度評価部143は、仮想他車VCと自車両SCのうち仮想他車VCの方が交差部分に近いと判定された場合には、仮想他車VCに衝突しない上限速度を設定する。速度評価部143は、自車両SCの方が交差部分に近いと判定された場合には、仮想他車VCに衝突しない下限速度を設定する。すなわち、合理的に予見可能な想定の範囲内では衝突がないという、普遍的に採用されるべき理論的保証が、安全関連モデルによりサポートされている。正式な検証及び改ざんの手法を使用して理論的保証を主張するために、仮想他車VCに想定された速度、自車両SCに設定された上限速度及び下限速度は、逐次メモリに記憶されてもよい。速度評価部143による上限速度または下限速度の設定の詳細については、後述する。
【0040】
速度範囲統合評価部144は、速度評価部143にて求めた自車両の上限速度、下限速度に基づいて、自車両の速度の上下限を評価する。仮想他車VCが1台の場合には、速度評価部143にて求めた上限速度または下限速度がそのまま用いられる。仮想他車VCが複数の場合には、各仮想他車VCについて求めた上限速度および下限速度を統合して自車両が満足すべき安全速度範囲を求める。速度範囲統合評価部144は、安全速度範囲の上下限値のデータを送信する。
【0041】
図2に戻って、自動運転車両1のアプリケーションについて説明する。制御部150は、リスク評価部140から送信された速度の上下限値のデータを用いて、その安全速度範囲内で、パスプランの最適化、制御判断の早期化を行う。これらの機能は、自動運転システムにおいて全体ECU30等により実現される動的運転タスクの機能に含まれていてもよい。動的運転タスクは、道路交通にて車両を操作するために必要な略全てのリアルタイムの操作及び戦略機能であってもよい。動的運転タスクの機能は、車両の戦略的なふるまいのプランニング機能、軌道のプランニング機能、車両の運動制御の要求を生成する機能、及び車両の運動制御機能を含んでいてもよい。動的運転タスクには、照明、ホーンの鳴動等、遮蔽領域に仮想他車VCが想定された場合の、遮蔽領域に対する自車両の目立ち易さの向上が含まれていてもよい。
【0042】
パスプランの最適化は、自車両が走行すべき経路を最適化する機能である。上下限値のデータを用いたパスプランの最適化151は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、LKA(Lane Keeping Assist system)、LCA(Lane Change Assist system)において用いられてもよいし、自動運転レベル3以上の自動運転に用いられてもよい。制御判断の早期化152は、遮蔽物によって車両を確認することはできないが、仮想他車を前提として早期に制御判断を行う機能である。例えば、AEB(Automatic Emergency Brake)やAES(Automatic Emergency Steering)において早期判断が行われる。また、本実施の形態の自動運転車両1の制御判断は、RSS(Responsibility Sensitive Safety)において人間ドライバーが安全運転とみなす常識的な行動特性の実現に役立てることができる。例えば、SFF(Safety Force Field、登録商標)リスク監視機能において用いられてもよい。
【0043】
図6は、実施の形態の自動運転車両1が遮蔽物のある交差路において、自車両の安全速度を評価する動作を示すフローチャートである。この動作は、全体ECU30によって実行される。
【0044】
自動運転車両1は、各種のセンサ10で取得したデータに基づき、走路や周辺の物標を認識すると共に、自車両が走行している位置を推定し、走行位置を地図上で特定する。全体ECU30は、これらの推定結果を用いて、走行路の先に交差路があるか否かを判定する(S10)。交差経路がない場合(S10でNO)、全体ECU30は、本実施の形態による速度の上下限の設定は行わない(S20)。
【0045】
交差路がある場合(S10でYES)、全体ECU30は、交差部分に交差道路の見通しを遮蔽する遮蔽物があるか否かを判定する(S11)。遮蔽物がない場合(S11でNO)、本実施の形態による速度の上下限の設定は行わない(S20)。
【0046】
続いて、全体ECU30は、交差道路を見通せる範囲が所定の閾値以下か否かを判定する(S12)。交差道路を見通せる範囲が所定の閾値より大きい場合には(S12でNO)、全体ECU30は、本実施の形態による速度の上下限の設定は行わない(S20)。交差道路を見通せる範囲が所定の閾値以下の場合には(S12でYES)、全体ECU30は、本実施の形態の速度範囲の設定を行う。なお、閾値は、交差車両が交差部分の手前で余裕をもって停車できる距離である。なお、交差道路を見通せる範囲は、自車両が交差部分に近づくに従って広くなる。
【0047】
図7Aは自車両SCが交差部分から離れているとき見通せる範囲d
visibleを示す図、
図7Bは自車両SCが交差部分に近づいたときに見通せる範囲d
visibleを示す図である。
図7Aに示すように、交差部分から離れているときには見通せる範囲d
visibleが閾値d
threshold以下であるが、
図7Bに示すように自車両SCが交差部分に近づくと、見通せる範囲d
visibleが所定の閾値d
thresholdより大きくなる。見通せる範囲d
visibleが所定の閾値d
thresholdより大きくなった時点で、本実施の形態による速度の上下限の設定を停止し、各種のセンサ10で検知したデータに基づく制御に切り替える。例えば、各種のセンサ10による検知の結果、交差車両がないと判断されたときには、自車両を法定速度の範囲内で加速してもよい。
【0048】
遮蔽物によって交差道路の見通しが所定の閾値以下である場合(S12でYES)、全体ECU30は、自車両が満たすべき安全速度の上下限値を求める。まず、全体ECU30は、自車両が優先道路を走行しているか否かを判定する(S13)。自車両が非優先道路を走行している場合(S13でNO)、全体ECU30は、交差部分の手前で停止できる最大の速度(以下、「停車可能最大速度」という)を上限速度v
limitとして設定する(S14)。上限速度v
limitは、次式(1)によって求める。
【数1】
上式において、a
max,accelは空走時のアクセルの最大値であり、ρは反応時間、a
max,accelはブレーキの強さ、d
stopは交差部分から自車両までの距離である。
【0049】
自車両が優先道路を走行しているか否かの判定において、自車両が優先道路を走行していると判定された場合(S13でYES)、全体ECU30は、交差道路の遮蔽領域に仮想他車を設定する(S15)。なお、例えば
図5Bに示すように遮蔽領域が複数ある場合には、各遮蔽領域について仮想他車を設定する。そして、全体ECU30は、設定した各仮想他車について、仮想他車と自車両のいずれが交差部分に近いかを判定する(S16)。
【0050】
自車両の方が仮想他車より交差部分に近い場合(S16でNO)、全体ECU30は、交差車両に衝突しない下限速度を設定する(S17)。すなわち、交差車両より自車両が先に交差部分を通過する際に、交差車両に衝突されないように速度を下げないようにする。下限速度v
f,minは、次式(2)によって求める。
【数2】
【0051】
ここでa
max,brakeは、自車両がかけるブレーキの強さ、v
rは仮想車両の速度である。仮想車両の速度v
rとしては、仮想車両が交差部分の手前で停車できる最大の速度を想定する。交差部分の手前で停車できる最大の速度は、上記した式(1)で求めることができる。dは、仮想車両が自車両と同じ道路を走行しているとした場合の仮想的な車間距離である。
図5Aに記載した符号をd
visible,d
xingを用いて示すと、d=|d
visible-d
xing|である。
【0052】
仮想他車の方が自車両より交差部分に近い場合(S16でYES)、全体ECU30は、交差車両に衝突しない上限速度を設定する(S18)。すなわち、交差車両を先に通過させ、交差部分を通過する交差車両に衝突しないように速度を上げないようにする。上限速度v
r,maxは、次式(3)によって求める。
【数3】
【0053】
設定された各仮想他車に対して、自車両の上限速度、下限速度の設定が完了すると、全体ECU30は速度範囲の統合評価を行う(S19)。すなわち、各仮想他車に対して設定された速度範囲が重なる範囲を安全速度範囲として求める。この安全速度範囲は、動的運転タスクの機能での戦略的なふるまいのプランニング機能において策定される制約となる。
【0054】
以上、実施の形態の制御装置、制御方法およびプログラムについて説明した。本実施の形態の自動運転車両の全体EUC30は、交差路に遮蔽物があって交差道路が見通せない場合であっても、交差路を通過する安全速度範囲を設定するので、自動運転車両1は安全に交差路を走行できる。
【0055】
上記において、実施の形態に係る全体ECU30の構成および動作を詳細に説明したが、本開示に係る制御装置は上記した実施の形態に限定されるものではない。上記した実施の形態では、仮想他車の速度vrとしては、仮想他車が交差部分の手前で停車できる停車可能最大速度を設定する例を挙げたが、仮想他車の速度vrとしては、交差道路において定められた法定速度、仮想他車が走行中の道路を走行する車両の平均車速、仮想他車が走行中の道路を走行する車両の最大車速、等を用いてもよい。
【0056】
また、仮想他車の速度v
rとして、仮想他車が交差部分の手前で停車できる停車可能最大速度と法定速度の両方を用いてもよい。
図8は、停車可能最大速度と法定速度の両方を用いたときの上限速度、下限速度の設定の動作を示すフローチャートである。
【0057】
仮想車両の速度vrとして停車可能最大速度と法定速度の両方を設定する(S30)。そして、自車両の方が仮想車両よりも交差部分に近い場合には(S31でNO)、全体ECU30は、停車可能最大速度と法定速度のうちの大きい方の速度を仮想車両の速度vrとして用いて、自車両の下限速度を設定する(S32)。これにより、仮想車両が交差部分に進入する速度として大きい速度を想定しても衝突しない速度範囲を設定できる。
【0058】
逆に、仮想車両の方が自車両よりも交差部分に近い場合には(S31でYES)、全体ECU30は、停車可能最大速度と法定速度のうちの小さい方の速度を仮想車両の速度vrとして用いて、自車両の上限速度を設定する(S33)。これにより、仮想車両が交差部分に進入する速度として小さい速度を想定しても衝突しない速度範囲を設定できる。この例のように、適切な応答と法規などの交通ルールが競合する場合、安全関連モデルに基づいて、リスクを最小化させるための競合を解決するための優先順位付けが実施される。なお、ここでは停車可能最大速度と法定速度を用いる例を説明したが、これらに加えて、あるいは、これらに代えて、交差移動体が走行中の道路を走行する車両の平均車速や、交差移動体が走行中の道路を走行する車両の最大車速を用いてもよい。すなわち、(1)交差移動体が交差部分の手前で停止できる最大の速度、(2)法定速度、(3)交差移動体が走行中の道路を走行する車両の平均車速、(4)交差移動体が走行中の道路を走行する車両の最大車速、を任意に組み合せて用いてもよいし、これらのうちの1つを用いてもよい。
【0059】
優先道路の決定において、自車両の走行する道路と交差道路のいずれか優先か決定できない場合には、自車両からみて左側から来る車両が走行する道路を優先道路と判定する。この場合、左側の交差道路に遮蔽物がある場合には、交差部分の手前で停止できる最大速度を上限速度として設定する。右側の交差道路に遮蔽物がある場合には、遮蔽領域に仮想他車を設定して速度の上下限を設定する。左右の両方に遮蔽物がある場合には、左側に遮蔽物がある場合の上限速度と、右側に遮蔽物がある場合の上下限速度の範囲とが重複する範囲を安全走行速度範囲とする。ここでは日本のように左側通行の国を前提として説明しているが、米国のように右側通行の場合には、自車両から見て右側から来る車両が走行する道路を優先道路と判定する。
【0060】
上記した実施の形態では、自車両が走行する道路が優先道路か非優先道路かによって処理を分ける例を説明したが、自車両が走行する道路が優先道路か非優先道路かにかかわらず、遮蔽領域に仮想車両を設定し、自車両の安全速度範囲を求めることとしてもよい。V2Xによって、自車センサ遮蔽領域の他車両有無に関する情報が得られた場合にも、V2Xからの情報がすべての他車両の存在を検知しているとは限らないので、遮蔽ありの前提で速度範囲を決定することにしてよい。これにより、より安全に遮蔽交差点を通行できる。
【0061】
上記した実施の形態では、交差移動体として車両を想定して説明したが、交差移動体として、バイク、自転車、歩行者等を想定してもよい。その場合、移動体に種類によって、移動速度が異なるので、移動体の種類ごとに移動速度のデータを記憶したルックアップテーブルを参照して、仮想移動体の速度を決定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、見通しの悪い交差路における車両の安全走行速度範囲を求めることができ、自動運転や先進運転支援システムに有用である。