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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】梱包体及びエンジニアリング方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/00 20060101AFI20240416BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20240416BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B65D71/00 200
B65D77/26 P
H05K5/02 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023042381
(22)【出願日】2023-03-16
(62)【分割の表示】P 2022018896の分割
【原出願日】2017-07-24
(65)【公開番号】P2023080108
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2016248336
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】大久保 武
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-246384(JP,A)
【文献】実開平02-063371(JP,U)
【文献】実開昭59-106317(JP,U)
【文献】実開昭60-139780(JP,U)
【文献】特開2015-120524(JP,A)
【文献】特開2013-018531(JP,A)
【文献】特開2018-98418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 71/00
B65D 77/26
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置場所において使用される状態で複数のモジュールが電気的に接続されている実装状態の電子ユニットを支持するための物品支持部を備える箱体を備え、
前記箱体は、有機材料から形成されている、
梱包体。
【請求項2】
前記箱体は、前記物品支持部を支持する台座部をさらに備える、
請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記物品支持部は、前記台座部に対して鉛直方向に立設する支持板部と、前記支持板部から屈曲して水平方向に延びる側板部と、を備える、
請求項2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記箱体は、前記物品支持部に支持された状態の前記実装状態の電子ユニットを覆う外装箱部をさらに備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項5】
梱包対象物である実装状態の電子ユニットを支持するための物品支持部を備える箱体を備え、前記箱体は、有機材料から形成されている梱包体に、前記実装状態の電子ユニットを梱包して設置場所に輸送し、前記実装状態の電子ユニットを前記物品支持部に支持されている状態のまま前記設置場所に設置する、ことを特徴とするエンジニアリング方法。
【請求項6】
梱包対象物である実装状態の電子ユニットを支持するための物品支持部を備える箱体を備え、前記箱体は、有機材料から形成されており、前記箱体は、前記物品支持部に支持された状態の前記実装状態の電子ユニットを覆う外装箱部をさらに備える梱包体に、前記実装状態の電子ユニットを梱包して設置場所に輸送し、前記設置場所で前記外装箱部を前記梱包体から取り外し、前記実装状態の電子ユニットを前記物品支持部に支持されている状態のまま前記設置場所に設置する、ことを特徴とするエンジニアリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包体及びエンジニアリング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子機器を収容する梱包体として、例えば、特許文献1に記載されているような梱包体が知られている。この梱包体においては、昇降リフトのテーブルを下降させた状態のときに、当該テーブルのテーブル面よりも高い位置に物品設置面が位置する台座部と、前記物品設置面上に配置された梱包対象物品を覆い、前記物品設置面上に前記梱包対象物品が設置された状態で取り外し可能な外装部材とを、備えており、梱包対象物品が重量物であっても当該梱包対象物品を容易に昇降リフトに移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-292509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プラント等で、複数のデバイスを制御またはモニタするように構成されたシステムは、I/O(入出力)ノードや集線装置等の複数のモジュールを備えるI/Oユニット(電子ユニット)を介してデバイスと通信するように構成される。このような電子ユニットは、従来、モジュールごとに分解され、個別に梱包が行われていた。このため、梱包資材、梱包容積が増加し、ひいては運送費の増加を招いており、地球環境に対しても大きな負担となっていた。さらに、個別の梱包は、梱包を解く作業も増加させ、その結果、梱包対象物を設置する現地でのセットアップ時間が長時間となっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる梱包体及び出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できるエンジニアリング方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る梱包体は、台座部と、前記台座部に支持された物品支持部と、前記物品支持部の側方及び上方を覆う外装箱部と、を備える箱体を備え、前記箱体は、有機材料から形成されており、前記物品支持部は、前記台座部に対して鉛直方向に立設する支持板部と、前記支持板部の両側端から屈曲して水平方向に延びる一対の側板部と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載された梱包体であって、前記支持板部は、梱包対象物を支持する支持面を有し、前記一対の側板部は、前記支持面に対し垂直な水平方向に延び、前記支持面には、前記支持板部に拘束部材を介して前記梱包対象物を拘束するための複数の貫通部が形成されていてもよい。
(3)上記(2)に記載された梱包体であって、前記箱体は、前記物品支持部を一対で備え、前記一対の物品支持部は、前記支持面の背面側が互いに対向するように背面合せで設けられていてもよい。
(4)上記(3)に記載された梱包体であって、前記複数の貫通部の少なくとも一部は、前記一対の物品支持部のうちの一方の前記支持面と、他方の前記支持面とを連通させる連通路を形成し、前記拘束部材は、前記連通路を介して、前記一対の物品支持部のうちの一方に支持された前記梱包対象物と、他方に支持された前記梱包対象物とを共締めしてもよい。
(5)上記(2)~(4)に記載された梱包体であって、前記複数の貫通部は、前記支持面に十字に形成されたスリットを含んでいてもよい。
(6)上記(1)に記載された梱包体であって、前記物品支持部は、前記支持板部と前記一対の側板部との角部に配置された一対の柱部を備え、前記一対の柱部には、前記一対の柱部の間に拘束部材を介して梱包対象物を架設するための孔部が形成されていてもよい。
(7)上記(2)~(6)に記載された梱包体であって、前記梱包対象物は、前記拘束部材を介して前記物品支持部に支持されたモジュール取付部と、前記モジュール取付部に実装状態で取り付けられた複数のモジュールと、を備える電子ユニットを含んでいてもよい。
(8)上記(7)に記載された梱包体であって、前記一対の側板部には、前記電子ユニットの配線を支持するための切り欠き部が形成されていてもよい。
(9)上記(7)または(8)に記載された梱包体であって、前記物品支持部は、前記電子ユニットを支持する支持領域を複数有していてもよい。
【0008】
(10)本発明の一態様に係るエンジニアリング方法は、前記外装箱部が取り外された状態の上記(7)~(9)に記載の梱包体に、前記電子ユニットを支持させた状態で、前記電子ユニットの検査を行う。
【0009】
(11)上記(10)に記載されたエンジニアリング方法であって、前記電子ユニットの検査を終えた後に前記外装箱部を前記梱包体に取り付け、前記電子ユニットを前記検査時の状態のまま前記梱包体に梱包して設置場所に輸送してもよい。
(12)上記(11)に記載されたエンジニアリング方法であって、前記設置場所で前記外装箱部を前記梱包体から取り外し、前記物品支持部に支持されている前記電子ユニットを取り外して前記検査時の状態のまま前記設置場所に設けられたキャビネットに収容してもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記本発明の態様によれば、省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる梱包体及び出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できるエンジニアリング方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る梱包体の斜視図である。
図2図1に示す外装箱部が取り外された状態の梱包体の正面図である。
図3図1に示す外装箱部が取り外された状態の梱包体の背面図である。
図4図1に示す外装箱部が取り外された状態の梱包体の側面図である。
図5図2における矢視A-A断面図である。
図6】第1実施形態に係る台座部の(a)平面図、(b)正面図である。
図7】第1実施形態に係る箱体の正面側を向く一方の物品支持部の展開斜視図である。
図8】第1実施形態に係る箱体の背面側を向く他方の物品支持部の展開斜視図である。
図9】第1実施形態に係るエンジニアリング方法のフローチャートである。
図10】第1実施形態に係るエンジニアリング方法における電子ユニットの検査の状態を示す模式図である。
図11】第2実施形態に係る外装箱部が取り外された状態の梱包体の正面図である。
図12図11における矢視B-B断面図である。
図13図11に示す一方の物品支持部の展開斜視図である。
図14図11における矢視C図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る梱包体1の斜視図である。図2は、図1に示す外装箱部13が取り外された状態の梱包体1の正面図である。図3は、図1に示す外装箱部13が取り外された状態の梱包体1の背面図である。図4は、図1に示す外装箱部13が取り外された状態の梱包体1の側面図である。図5は、図2における矢視A-A断面図である。なお、図2図5においては、視認性の向上のため、後述する台座部11のトレー22の一部(前壁片26及び後壁片28)を展開している。
図1及び図2に示すように、梱包体1は、電子ユニット2(梱包対象物)を収容する箱体10を備える。
【0014】
箱体10は、有機材料から形成されている。具体的に、箱体10の台座部11、物品支持部12、外装箱部13は、段ボールから形成されている。また、台座部11、物品支持部12、外装箱部13を一体的に縛る図1に示すバンド14、台座部11と物品支持部12とを連結する図4に示す連結具15は、プラスチックから形成されている。また、段ボールから台座部11、物品支持部12、外装箱部13を組み立てる際に使用する図示しない粘着テープや接着材も、樹脂製である。
【0015】
台座部11、物品支持部12、外装箱部13には、段ボールを二重、三重構造とした強化段ボールを使用している。この強化段ボールには、松等の硬い材料を加えた木材並みの硬度を有する重量物用のものを使用することが好ましい。これにより、箱体10を資源としてリサイクルできる。また、この構成によれば、資源としてのリサイクルが不能になるまで使用した後、箱体10の焼却処分が可能なため、廃棄も容易である。なお、箱体10には、段ボールに類似した構造を有するプラスチック段ボールや、プラスチック製のキャビネット等を使用してもよい。
【0016】
電子ユニット2は、図2に示すように、モジュール取付部3と、モジュール取付部3に取り付けられた複数のモジュール4と、を備える。電子ユニット2は、例えば、プラントで複数のデバイスと通信するI/Oユニットである。複数のモジュール4は、I/Oノードや集線装置等から構成されている。モジュール取付部3は、複数のモジュール4を電気的に接続する複数のコネクタ5を備える。モジュール取付部3の本体フレームは、鉛直方向の延びる柱状に形成されており、コネクタ5はこの本体フレームに複数段で設けられている。なお、モジュール取付部3の最上段に取り付けられるモジュール4aは、I/Oノードとされている。
【0017】
図6は、第1実施形態に係る台座部11の(a)平面図、(b)正面図である。なお、図6に示す台座部11は、トレー22を展開したものである。
台座部11は、図6に示すように、桁材20と、デッキボード21と、トレー22と、を備える。桁材20は、図1に示すように、箱体10の底部に3本平行に配置されている。隣り合う桁材20の間には、フォークリフトのフォークが挿入可能な隙間23が形成されている。なお、この隙間23にバンド14を通すことで箱体10の上下を周回して縛ることができる。
【0018】
桁材20は、段ボールをコの字に曲げた上下の枠材の中に、図6(a)に示す紙管24を複数挟み込んだものである。この桁材20は、圧縮強度と側面強度に優れる。3本の桁材20の上面には、図6(b)に示すデッキボード21が固定されている。デッキボード21は、段ボールの両端部21aを内側に折り曲げて全面溶着したものである。このデッキボード21の上面には、トレー22が固定されている。トレー22は、平面視矩形状の受け皿であり、物品支持部12を支持する。
【0019】
図6(a)に示すように、トレー22は、デッキボード21に支持される平面視矩形状の底板部25の周囲に、前壁片26、左壁片27、後壁片28、右壁片29を備える。前壁片26、左壁片27、後壁片28、右壁片29のそれぞれは、底板部25に対してその上面側に垂直に折り曲げられ、四方の側壁を形成する。左壁片27及び右壁片29の長手方向の両端部には、接続片30が設けられている。接続片30は、垂直に折り曲げられた左壁片27及び右壁片29に対してさらに折り曲げられて、前壁片26あるいは後壁片28と対向し、前壁片26あるいは後壁片28と粘着テープ等を介して接着される。
【0020】
また、左壁片27及び右壁片29の長手方向には、連結孔31が複数形成されている。
連結孔31は、図4に示す連結具15を装着する長孔である。連結具15は、周知の連結具であり、先端に折り畳み可能なフランジを有し、先端を連結孔31に挿入後、折り畳んだフランジを展開させることにより、台座部11(トレー22)と物品支持部12とを挟み込んで連結するものである。なお、台座部11と物品支持部12との連結には、粘着テープや接着材等を使用してもよい。
【0021】
物品支持部12は、台座部11に対して鉛直方向に立設し、図2に示すように、電子ユニット2を支持する支持面40aを有する支持板部40と、支持板部40の両側端から屈曲し、支持面40aに対し垂直な水平方向(図2において紙面垂直方向)に延びる一対の側板部41と、を備える。物品支持部12は、電子ユニット2を支持する支持領域16を複数有している。支持領域16は、支持面40aにおいて左右方向に間隔をあけて3つ設定されている。すなわち、物品支持部12は、3つ(3列)の電子ユニット2を支持することができる。
【0022】
物品支持部12は、図4に示す平面方向から視てコの字状に形成されている。箱体10は、この物品支持部12を一対で備え、一対の物品支持部12は、支持面40aの背面側が互いに対向するように背面合せで設けられている。一対の物品支持部12は、箱体10の正面側(図4における紙面下方)で電子ユニット2を支持すると共に、箱体10の背面側(図4における紙面上方)でも電子ユニット2を支持している。すなわち、箱体10には、6つ(6列)の電子ユニット2を収容することができる。
【0023】
図7は、第1実施形態に係る箱体10の正面側を向く一方の物品支持部12の展開斜視図である。
図7に示すように、支持板部40の支持面40aには、複数の貫通部42が形成されている。複数の貫通部42は、支持板部40に拘束部材43(図2参照)を介して電子ユニット2を拘束するために形成されたものである。拘束部材43には、プラスチック製の結束バンドを好適に使用することができる。なお、拘束部材43としては、紐状のもので代用してもよい。
【0024】
複数の貫通部42は、支持面40aに十字に形成されたスリット42aと、所定幅で開口する貫通孔42bとを含む。スリット42aは、図2に示すモジュール取付部3の本体フレームに形成された取付孔6に対応する位置に形成されている。取付孔6は、モジュール取付部3の本体フレームの両側端縁に沿って、該本体フレームの長手方向(鉛直方向)に間隔をあけて形成されている。取付孔6とその取付孔6に対向するスリット42aに通された拘束部材43は、モジュール取付部3の両側端縁を支持板部40に拘束する。
【0025】
貫通孔42bは、支持面40aの上下方向(鉛直方向)の中央部に形成されている。貫通孔42bは、図7に示すように、支持面40aにおいて左右方向に間隔をあけて複数形成されている。支持面40aにおいて左右方向の中央部に形成された貫通孔42bは、左右方向の両端部に形成された貫通孔42bよりも、左右方向における幅が大きく形成されている。図2に示すように、左右方向で隣り合う貫通孔42bに通された拘束部材43は、モジュール取付部3の上下方向の中央部を支持板部40に拘束する。貫通孔42bに通される拘束部材43には、取付孔6及びスリット42aに通される拘束部材43よりも幅が大きいものを使用することができる。
【0026】
図7に示すように、支持面40aの下部には、スペーサ44が張り付けられている。スペーサ44は、段ボールを複数枚積層した板状のものである。スペーサ44の上部には、電子ユニット2の3つ支持領域16に対応して、3つの凹部45が形成されている。凹部45の左右方向の幅は、図2に示すように、モジュール取付部3の本体フレームの幅に対応する大きさとされている。凹部45には、モジュール取付部3の本体フレームの下端が挿入され、スペーサ44は、凹部45を介してモジュール取付部3の本体フレームの下端を支持する。
【0027】
一対の側板部41は、図7に示すように、支持板部40に対して支持面40a側に垂直に折り曲げられることで形成される。側板部41の下部には、トレー22に形成された連結孔31に対向する連結孔46が形成されている。連結孔46は、側板部41の前後方向の前方側と後方側(支持板部40側)に配置されている。連結孔46は、上述のように図4に示す連結具15を装着する長孔である。また、側板部41の上下方向(鉛直方向)の中央部には、作業者の手が挿入可能な取手孔47が形成されている。
【0028】
さらに、側板部41には、検査時等において電子ユニット2の配線を支持するための切り欠き部48が形成されている。切り欠き部48は、側板部41の前端縁に沿って上下方向に間隔をあけて複数形成されている。この切り欠き部48は、各モジュール4の取り付け高さに応じた高さに形成されている。切り欠き部48は、側板部41の前端縁から後端縁に向かって所定幅で水平方向に延びる水平部48aと、水平部48aに連通し、水平部48aにおける幅よりも拡径した拡径部48bと、を有する。拡径部48bは、円形状を有し、水平部48aの終端部における幅を下方に拡径させている。
【0029】
図8は、第1実施形態に係る箱体10の背面側を向く他方の物品支持部12の展開斜視図である。
図8に示す背面側の物品支持部12と、図7に示す正面側の物品支持部12との構成の違いは、支持面40aに貼り付けられたスペーサ44の高さのみであり、その他の構成は共通である。背面側の物品支持部12は、正面側の物品支持部12に支持された図2に示す電子ユニット2よりも一段長くなった、図3に示す電子ユニット2を支持するために、スペーサ44が低くなっている。なお、背面側の物品支持部12に支持される電子ユニット2と、正面側の物品支持部12に支持される電子ユニット2は、同じ長さのものとしてもよい。
【0030】
図5に示すように、正面側の物品支持部12と背面側の物品支持部12に形成された複数の貫通部42の少なくとも一部(貫通孔42b)は、一対の物品支持部12のうちの一方(正面側の物品支持部12)の支持面40aと、他方(背面側の物品支持部12)の支持面40aとを連通させる連通路49を形成している。拘束部材43は、連通路49を介して、正面側の物品支持部12に支持された電子ユニット2と、背面側の物品支持部12に支持された電子ユニット2とを共締めするようになっている。なお、スリット42aにおいても連通路を形成し、正面側の物品支持部12に支持された電子ユニット2と、背面側の物品支持部12に支持された電子ユニット2とを共締めしてもよい。
【0031】
図1に戻り、外装箱部13は、上述した物品支持部12の側方及び上方を覆うものである。外装箱部13は、物品支持部12の側方を覆うスリーブ50と、物品支持部12の上方を覆う天キャップ51と、を備える。スリーブ50は、長方形の段ボールを四角筒状に折り曲げたものであり、物品支持部12の四方に巻き付けられる。天キャップ51は、上述した図6(a)に示すトレー22と同様の構成の段ボールを折り曲げて形成されたものであり、トレー22と天地逆さにした状態で物品支持部12の上方に載置される。なお、天キャップ51は、トレー22と図6(a)に示す連結孔46が形成されていない点で相違する。
【0032】
続いて、上記構成の梱包体1の作用及びこの梱包体1を用いたエンジニアリング方法(以下、本手法と称する)について図9及び図10を参照して説明する。
図9は、第1実施形態に係るエンジニアリング方法のフローチャートである。図10は、第1実施形態に係るエンジニアリング方法における電子ユニット2の検査の状態を示す模式図である。
本手法は、図9に示すように、第一梱包工程S1と、検査工程S2と、第二梱包工程S3と、輸送工程S4と、現地セットアップ工程S5とを有する。
【0033】
第一梱包工程S1は、工場等で、外装箱部13が取り外された状態の梱包体1に、電子ユニット2を支持させる工程である。この工程の梱包体1は、台座部11に一対の物品支持部12が連結具15を介して連結された状態とされている(図4参照)。この工程では、一対の物品支持部12に対し、図2及び図3に示すように電子ユニット2を支持させる。物品支持部12は、台座部11に対して鉛直方向に立設し、電子ユニット2を支持する支持面40aを有する支持板部40を備え、支持面40aには複数の貫通部42が形成されている。この構成によれば、複数の貫通部42に拘束部材43を通すことで、支持板部40に電子ユニット2を拘束することができる。
【0034】
支持板部40の支持面40aに電子ユニット2が支持されると、物品支持部12は、電子ユニット2の荷重を受ける。そうすると、支持板部40の下端を支点としたモーメントが発生し、物品支持部12は、支持面40a側に回転し(倒れ)ようとする。ここで、本実施形態の物品支持部12は、支持板部40の両側端から屈曲して支持面40aに対し垂直な水平方向に延びる一対の側板部41を備える。一対の側板部41は、電子ユニット2の荷重による支持板部40の下端を支点とした物品支持部12の支持面40a側への倒れを防止する。このため、電子ユニット2を堅牢に支持することができる。
【0035】
また、本実施形態では、図4及び図5に示すように、一対の物品支持部12は、支持面40aの背面側が互いに対向するように背面合せで設けられている。この構成によれば、一対の物品支持部12のうち、一方の物品支持部12の背面側の倒れを、他方の物品支持部12の一対の側板部41によって防止することができる。したがって、一対の物品支持部12を背面合せで設けることで、前後方向の倒れに強くなる。また、一対の物品支持部12のそれぞれは、図5に示すように、平面視でコの字形状に形成されているため、前後方向の倒れだけでなく、左右方向の倒れにも強い。
【0036】
また、図2及び図3に示すように、複数の貫通部42のうち、少なくとも貫通孔42bは、一対の物品支持部12のうちの一方の支持面40aと、他方の支持面40aとを連通させる連通路49を形成している。そして、拘束部材43は、図5に示すように、連通路49を介して、一対の物品支持部12のうちの一方に支持された電子ユニット2のモジュール取付部3と、他方に支持された電子ユニット2のモジュール取付部3とを共締めしている。
【0037】
この構成によれば、電子ユニット2を拘束しつつ、一対の物品支持部12の背面同士を連結できるため、一方の物品支持部12の背面側の倒れを他方の物品支持部12によって防止する際に、一対の物品支持部12の互いの背面側における滑りが生じ難くなり、前後方向の倒れにより強くなる。また、柱状のモジュール取付部3(金属製)が、一対の物品支持部12の背骨となるため、剛性が向上して変形にも強くなる。また、電子ユニット2同士を拘束することで、正面側における電子ユニット2の倒れと背面側における電子ユニット2の倒れを同時に防止でき、正面側と背面側における作業(例えば、他の貫通部42における拘束作業)を安全且つ容易に行える。
【0038】
他の貫通部42は、図7及び図8に示すように、支持面40aに十字に形成されたスリット42aとされている。スリット42aは、十字の切り込みにより隙間を広げ易く、本実施形態のように、物品支持部12を強化段ボール等の強度の高い材料から形成しても、拘束部材43を容易に通すことができる。また、拘束部材43を通すとスリット42aの隙間が閉じ、拘束部材43がスリット42aに挟み込まれる。これにより、拘束部材43によって拘束された電子ユニット2のガタツキを防止できる。
【0039】
次の検査工程S2は、上述のように梱包体1に電子ユニット2を支持させた状態で、電子ユニット2の検査を行う工程である。この工程では、図10に示すように、モジュール取付部3に実装状態で取り付けられたモジュール4を、検査装置60に接続することで、電子ユニット2を梱包状態(外装箱部13が取り外れた状態)のまま検査する。これにより、従来のように、モジュール4を検査テーブル等に平置きで並べる必要がなくなるため、検査作業性が向上する。また、検査テーブルにモジュール4を平置きで並べる場合と比べて、電子ユニット2の検査を省スペースで行える。
【0040】
物品支持部12の上方は開放されているため、最上段のモジュール4a(I/Oノード)同士の接続、及び、モジュール4aと検査装置60の接続は容易である。また、電子ユニット2を接続する配線7は、図4に示す切り欠き部48に引っ掛けることで、取り回しが容易になる。なお、検査装置60は、電子ユニット2と接続されるCPUユニット61と、電子ユニット2に電力を供給する電源ユニット62と、CPUユニット61と接続される検査用PC63と、を備え、出荷前に各モジュール4の動作を検査する。
【0041】
次の第二梱包工程S3は、上述の電子ユニット2の検査を終えた後に、図1に示すように外装箱部13を梱包体1に取り付け、電子ユニット2を検査時の状態のまま梱包体1に梱包する工程である。ここで、電子ユニット2の検査時の状態とは、物品支持部12に支持されたモジュール取付部3に実装状態でモジュール4が取り付けられている状態であって、外装箱部13を取り付ける際には、上述した配線7を介した検査装置60との接続及びモジュール4a間の接続は解除するが、この配線7は、図2及び図3に示すように、最上段のモジュール4aの上部に載置し、各モジュール4aとの接続は維持したままの状態である。なお、梱包体1の内部には、緩衝材を配置してもよい。
【0042】
次の輸送工程S4は、外装箱部13が取り付けられた図1に示す状態の梱包体1を、電子ユニット2の設置場所(現地)へ輸送する工程である。梱包体1には、電子ユニット2を検査時の状態のまま、すなわち電子ユニット2が実装状態で収容されているため、各モジュール4を個別に梱包して輸送する場合と比べて、輸送する箱数が少なくなり(例えば、システム全体で、数百箱が数箱まで削減され)、また、梱包容積も少なくなるため、運送費を大幅に削減することができる。また、箱数が少なくなれば、梱包作業の時間短縮につながり、作業効率を向上させることができる。
【0043】
次の現地セットアップ工程S5は、輸送先の設置場所で外装箱部13を梱包体1から取り外し、物品支持部12に支持されている電子ユニット2を取り外して検査時の状態のまま設置場所に設けられたキャビネットに収容する工程である。このキャビネットは、例えば、旧システムの納入時に、設置場所に据え付けた既設の金属製の箱筐体であって、該キャビネットの前後には扉が付いており、扉をあけると、図2及び図3に示すような状態で、旧システムの電子ユニット2が取り付けられている。
【0044】
この工程では、先ず、キャビネットに取り付けられた電子ユニット2を取り外す。そして、その取り外した場所に、物品支持部12に支持されている電子ユニット2を、上述した検査時の状態のまま取り付ける。この電子ユニット2は、すでに組み上げられた実装状態であり、即時の使用が可能であって、モジュール取付部3と各モジュール4との接続作業が不要である。このように、電子ユニット2を検査時の状態のまま既設のキャビネットに取り付けることで、現地における接続ミスを防止でき、現地でのセットアップ作業の効率化を図ることができる。また、電子ユニット2は、検査にクリアした状態であるので、接続トラブルの発生は極めて低い。
【0045】
また、設置場所に輸送されてくる梱包体1の箱数は少ないため、設置場所における梱包体1の開梱スペースを削減することができる。さらに、この梱包体1は、有機材料から形成されているため、金属製の箱や台車と比べて、現地での処分が容易である。また、この梱包体1は、強化段ボール等から形成されており、軽く丈夫なため、資源としてリサイクル可能であり、省資源で地球環境への負担を低減できる。
【0046】
以上のように、上述の本実施形態によれば、台座部11と、台座部11に支持された物品支持部12と、物品支持部12の側方及び上方を覆う外装箱部13と、を備える箱体10を備え、箱体10は、有機材料から形成されており、物品支持部12は、台座部11に対して鉛直方向に立設し、電子ユニット2を支持する支持面40aを有する支持板部40と、支持板部40の両側端から屈曲して支持面40aに対し垂直な水平方向に延びる一対の側板部41と、を備え、支持面40aには、支持板部40に拘束部材43を介して電子ユニット2を拘束するための複数の貫通部42が形成されている、梱包体1を採用することで、省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる。また、この梱包体1を用いたエンジニアリング方法によれば、電子ユニット2を検査時の状態のまま実装状態で輸送でき、出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0048】
図11は、第2実施形態に係る外装箱部が取り外された状態の梱包体1Aの正面図である。図12は、図11における矢視B-B断面図である。図13は、図11に示す一方の物品支持部12の展開斜視図である。図14は、図12における矢視C図である。
第2実施形態の物品支持部12は、図11に示すように、支持板部40と一対の側板部41との角部に配置された一対の柱部70を備える。
【0049】
一対の柱部70は、物品支持部12と同様に、強化段ボールから形成されている。具体的には、図12に示すように、強化段ボールを接着剤等で複数層重ねたブロック状のものを、上下方向に複数継ぎ合せて柱状に形成したものである。この一対の柱部70は、物品支持部12の下端(台座部11)から物品支持部12の上端まで延在している。一対の柱部70は、支持板部40の支持面40aに接着剤等で固定されている。なお、更に、一対の柱部70を、一対の側板部41に接着剤等で固定してもよい。
【0050】
一対の柱部70には、図12に示すように、一対の柱部70の間に拘束部材43Aを介して電子ユニット2A(梱包対象物)を架設するための孔部71が形成されている。孔部71は、ドリル等の工具で一対の柱部70の任意の位置に形成することができる。この孔部71には、拘束部材43Aが通される。拘束部材43Aは、孔部71に通された結束バンドのバンド部を、結束バンドのロック部でロックし、電子ユニット2Aを固定する構成となっている。
【0051】
なお、結束バンドのロック部に、弾性変形可能なワッシャーを挟んで、電子ユニット2Aのガタツキを防止する構成を採用してもよい。また、この孔部71は、背面合せの一対の物品支持部12のうちの一方から他方まで貫通していないが、孔部71を貫通させて第1実施形態と同様の連通路を形成し、正面側の物品支持部12に支持された電子ユニット2Aと、背面側の物品支持部12に支持された電子ユニット2Aとを共締めするようにしてもよい。
【0052】
第2実施形態の電子ユニット2Aは、例えば、第1実施形態と同様のI/Oユニットであるが、横型タイプであり、左右方向に延びるモジュール取付部3Aと、モジュール取付部3Aに取り付けられたモジュール4Aと、を備える。モジュール取付部3Aは、図11に示すように、複数のモジュール4Aを電気的に接続する複数のコネクタ5を備える。モジュール取付部3Aの本体フレーム3A1(図12参照)は、水平方向に延びる柱状に形成されており、コネクタ5はこの本体フレーム3A1に左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0053】
図12に示すように、本体フレーム3A1の背面側には、突出部3A2が形成されている。突出部3A2は、例えば、本体フレーム3A1に支持された基板や、その基板に接続された配線、または、その基板から突出する電子部品の端子(ハンダ付けされたもの)等である。一対の柱部70は、本体フレーム3A1の背面と支持板部40の支持面40aとの間に、距離Dの空間を形成する。距離Dは、突出部3A2の突出量に対して十分に大きい。
【0054】
また、図12に示すように、背面側の物品支持部12に支持された電子ユニット2A(図12において紙面上方の電子ユニット2A)には、アタッチメント80が接続されている。アタッチメント80は、電子ユニット2Aの長さが、一対の柱部70の間の距離に満たない場合に接続するものである。このアタッチメント80は、図14(b)に示すように、長方形の金属板であり、大小二つの孔部81,82が形成されている。
【0055】
図14(a)に示すように、大きい方の孔部81には、電子ユニット2Aと取り合うボルト・ナット・ワッシャー等からなる締結部材90が挿通される。締結部材90は、本体フレーム3A1の両端に形成された取付溝3A3にアタッチメント80を固定する。また、小さい方の孔部82には、上述した拘束部材43Aのバンド部が挿通される。拘束部材43Aは、アタッチメント80を柱部70に固定する。
【0056】
このような第2実施形態によれば、物品支持部12は、支持板部40と一対の側板部41との角部に配置された一対の柱部70を備え、一対の柱部70には、図12に示すように、一対の柱部70の間に拘束部材43Aを介して電子ユニット2Aを架設するための孔部71が形成されているため、横型タイプの電子ユニット2Aを収容することができる。
また、一対の柱部70が追加されることにより、物品支持部12の強度が向上し、前後及び左右方向の倒れにさらに強くなる。加えて、電子ユニット2Aの本体フレーム3A1の背面側に突出部3A2がある場合であっても、支持面40aとの間に距離Dを確保できるため、突出部3A2が支持面40aに干渉してしまうことを防止することが可能となる。
【0057】
また、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様のエンジニアリング方法が可能であり、省資源で地球環境への負担を低減でき、また、梱包作業の効率化を図ると共に梱包容積を低減できる。さらに、電子ユニット2Aを検査時の状態のまま実装状態で輸送でき、出荷から現地でのセットアップまでの負担を低減できる、という優れた効果がある。
【0058】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,1A…梱包体、2,2A…電子ユニット(梱包対象物)、3,3A…モジュール取付部、4,4A…モジュール、10…箱体、11…台座部、12…物品支持部、13…外装箱部、16…支持領域、40…支持板部、40a…支持面、41…側板部、42…貫通部、42a…スリット、42b…貫通孔、43,43A…拘束部材、48…切り欠き部、49…連通路、70…柱部、71…孔部
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