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  • 特許-センサ固定構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】センサ固定構造
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20240416BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
G01S7/03 240
G01S7/03 238
G01S13/931
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023043079
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】浮田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】荒城 隆之
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121927(JP,A)
【文献】特開2013-195086(JP,A)
【文献】特開2019-085080(JP,A)
【文献】特開2020-192873(JP,A)
【文献】特開2020-199987(JP,A)
【文献】特開2022-111609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-G01S 7/64
G01S 13/00-G01S 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の対象物を検出するセンサが取り付けられるセンサ保持部を有するブラケットと、
前記ブラケットを前記車両の車輪の後方において支持する支持部材と、
飛散物が前記センサに衝突するのを防止する保護部材と、
を備え、
前記ブラケットは、
前記車両の前方側に面する正面部と、
前記車両の幅方向の内側に面する内面部と、
を有し、
前記保護部材として、
前記正面部に近接する第1部分及び前記内面部に近接する第2部分とを有する形状であり、前記第1部分が前記正面部に固定され、前記第2部分が前記内面部に固定される第1ガード部材が設けられており
前記第1ガード部材の前記第1部分は、板状であり、前記車輪の中心軸よりも高い位置に設けられ、かつ、水平方向に延在するように設けられている、
センサ固定構造。
【請求項2】
前記第1ガード部材は、折り曲げられた鋼板であり、溶接により前記ブラケットに固定されている、
請求項1に記載のセンサ固定構造。
【請求項3】
前記センサを覆うように前記ブラケットに取り付けられるカバー部材をさらに備える、
請求項1又は2に記載のセンサ固定構造。
【請求項4】
車両の周辺の対象物を検出するセンサが取り付けられるセンサ保持部を有するブラケットと、
前記ブラケットを前記車両の車輪の後方において支持する支持部材と、
飛散物が前記センサに衝突するのを防止する保護部材と、
を備え、
前記ブラケットは、
前記車両の前方側に面する正面部と、
前記車両の幅方向の内側に面する内面部と、
を有し、
前記保護部材として、
前記正面部に近接する第1部分及び前記内面部に近接する第2部分とを有する形状であり、前記第1部分が前記正面部に固定され、前記第2部分が前記内面部に固定される第1ガード部材が設けられており、
前記保護部材として、
前記内面部に形成された開口部の周辺に固定され、前記内面部から立ち上がるように設けられた遮蔽壁を有する第2ガード部材がさらに設けられている
ンサ固定構造。
【請求項5】
前記遮蔽壁は、折り曲げられた鋼板であり、前記開口部の第1の縁に沿うように延在する第1部分と、前記開口部の第2の縁に沿うように延在する第2部分とを含み、
前記第1部分と前記第2部分とが溶接により前記内面部に固定されている。
請求項に記載のセンサ固定構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダ等のセンサを車両の車輪の後方において支持する支持構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-111609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車輪の後方にセンサが配置される場合、車輪から巻き上げられる飛散物がセンサに衝突してセンサが故障する可能性がある。特許文献1の技術は、このような故障防止の観点で改善の余地が残されている。
【0005】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、飛散物の衝突によるセンサの故障が生じにくいセンサ固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態のセンサ固定構造は、車両の周辺の対象物を検出するセンサが取り付けられるセンサ保持部を有するブラケットと、前記ブラケットを前記車両の車輪の後方において支持する支持部材と、飛散物が前記センサに衝突するのを防止する保護部材と、を備え、前記ブラケットは、前記車両の前方側に面する正面部と、前記車両の幅方向の内側に面する内面部と、を有し、前記保護部材として、前記正面部に近接する第1部分及び前記内面部に近接する第2部分とを有する形状であり、前記第1部分が前記正面部に固定され、前記第2部分が前記内面部に固定される第1ガード部材が設けられている。
【0007】
前記第1ガード部材は、折り曲げられた鋼板であり、溶接により前記ブラケットに固定されてもよい。
【0008】
前記第1ガード部材の前記第1部分は、板状であり、前記車輪の中心軸よりも高い位置に設けられ、かつ、水平方向に延在するように設けられていてもよい。
【0009】
前記センサを覆うように前記ブラケットに取り付けられるカバー部材をさらに備えてもよい。
【0010】
前記保護部材として、前記内面部に形成された開口部の周辺に固定され、前記内面部から立ち上がるように設けられた遮蔽壁を有する第2ガード部材がさらに設けられていてもよい。
【0011】
前記遮蔽壁は、折り曲げられた鋼板であり、前記開口部の第1の縁に沿うように延在する第1部分と、前記開口部の第2の縁に沿うように延在する第2部分とを含み、前記第1部分と前記第2部分とが溶接により前記内面部に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飛散物の衝突によるセンサの故障が生じにくいセンサ固定構造を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】センサ固定構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図2】センサ固定構造を車両内側から見た斜視図である。
図3図2の構造を分解して示す斜視図である。
図4】第1ガード部材の配置位置を説明するための模式図である。
図5】第1ガード部材及び第2ガード部材が固定されたブラケットの周辺構造を模式的に示す断面図である。
図6】比較例のセンサ固定構造を示す図である。
図7】変形例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一形態について図面を参照して説明する。図1は、センサ固定構造の一例を模式的に示す斜視図である。図2は、センサ固定構造を車両内側から見た斜視図である。図3は、図2の構造を分解して示す斜視図である。以下では、トラック等の車両に設けられたセンサ固定構造S100を例示する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のセンサ固定構造S100は、車両の車輪70の後方に設けられている。センサ固定構造S100は、この例では、前輪である車輪70の後方に設けられている。
【0016】
センサ固定構造S100は、車両の周辺の対象物を検出するセンサを支持するためのものである。センサは、例えばレーダである。本実施形態では、車両側方における前方側に向けられた第1センサA1と、後方側に向けられた第2センサA2とが設けられている。
【0017】
センサ固定構造S100は、ブラケット10と、支持部材20と、保護部材30(図3参照)と、カバー部材50とを備えている。
【0018】
ブラケット10は、第1センサA1及び第2センサA2を支持する部材である。第1センサA1及び第2センサA2はブラケット10の一部に形成されたセンサ保持部13a(図2参照、詳細下記)に取り付けられる。ブラケット10は、一例として金属製である。ブラケット10は、例えば、板金を所定の形状にプレス加工して製造される。
【0019】
ブラケット10は、図2に示すように、正面部11と、内面部12と、外面部13とを有している。
【0020】
正面部11は、車両の前方側に面する部分である。正面部11は、例えば鉛直方向に延在している。内面部12は、車両の幅方向の内側に面する部分である。内面部12も、正面部11と同様、例えば鉛直方向に延在している。内面部12には、図2に示すように、開口部12hが形成されている。開口部12hには、例えば、第1センサA1及び第2センサA2に接続された配線等が通される。
【0021】
外面部13は、内面部12の反対側の面であり車両の外側に面する。外面部13の一部には、センサ保持部13aが設けられている。
【0022】
カバー部材50は、第1センサA1及び第2センサA2を覆うように、ブラケット10に対して取り付けられる。カバー部材50は、第1センサA1及び第2センサA2による検出を妨げない材質で形成されている。カバー部材50は、例えば樹脂製である。
【0023】
支持部材20は、ブラケット10を支持するための部材である。支持部材20は例えば棒状の部材である。支持部材20は、車両のシャーシの一部に取り付けられ、図1に示すように、車輪70の後方において、車両側方に向かって延び出している。図2に示すように、支持部材20の端部は、ブラケット10の内面部12に固定されている。
【0024】
保護部材30(図2参照)は、飛散物がセンサ保持部13aのセンサに衝突するのを防止する部材である。本実施形態では、保護部材30として、第1ガード部材31と、第2ガード部材32とが設けられている。
【0025】
第1ガード部材31は、図2及び図3に示すように、L字形状に折り曲げられた部材である。第1ガード部材31は例えば鋼板である。「L字形状」は、部材の折曲げ角度が90°であることを意図するものではなく、折曲げ角度は、任意である。折曲げ角度は、例えば75°~105°の範囲内であってもよい。第1ガード部材31は、第1部分31aと、第2部分31bとを有する。第1部分31a及び第2部分31bはいずれも板状である。
【0026】
第1ガード部材31は、図3に示すように、第1部分31aが正面部11に近接し、第2部分31bが内面部12に近接するような向きで配置される。第1部分31aは、具体的には、その側縁部が溶接により正面部11に固定される。図3では、第1部分31aが固定される場所が領域w1として表示されている。第2部分31bは、溶接により内面部12に固定される。図3では、第2部分31bが固定される場所が領域w2として表示されている。
【0027】
なお、ここでは溶接を例示したが、ボルト及びナットのような締結具が固定のために用いられてもよいし、リベット等が固定のために用いられてもよい。
【0028】
図4は、第1ガード部材31の配置位置を説明するための模式図である。第1ガード部材31の第1部分31aは、図4に示すように、車輪70の中心軸よりも高い位置に設けられている。第1部分31aは、また、水平方向に延在するように設けられている。なお、「水平方向に延在する」とは、部材が厳密に水平方向に延在していることに加え、例えば、水平方向に対して+15°から-15°の角度範囲において延在していることをも含む。このような構成によれば、車輪70から巻き上げられた飛散物が、例えば第1センサA1に衝突することを効果的に防止できる。
【0029】
第2ガード部材32は、内面部12に固定される。第2ガード部材32は例えば鋼板であり、それぞれ内面部12に対して交差する向きに配置された、第1部分32a、第2部分32b、及び第3部分32cを含んでいる。第1部分32a、第2部分32b、及び第3部分32cはいずれも板状である。第1部分32a、第2部分32b、及び第3部分32cは、いずれもその側縁部が、例えば溶接により内面部12に固定される。
【0030】
図3において、第1部分32aが固定される場所が領域w3として表示されている。第2部分32bが固定される場所は領域w4として表示されている。第3部分32cが固定される場所は領域w5として表示されている。領域w3は、開口部12hの第1の縁に沿うように延在し、領域w4は、第1の縁に交差する方向に延びる第2の縁に沿うように延在する。
【0031】
図2に示すように、第2ガード部材32がブラケット10の内面部12に取り付けられた状態では、第1部分32a及び第2部分32bが開口部12hの周辺に固定されており、これらの部分が、内面部12から立ち上がるように設けられた遮蔽壁として機能する。この遮蔽壁は、本実施形態ではL字形状に設けられる。このような遮蔽壁が設けられていることにより、飛散物等が開口部12hの内部に侵入することが防止される。上記同様、ここでも、「L字形状」は、部材の折曲げ角度が90°であることを意図するものではなく、第1部分32aと第2部分32bとは任意の角度で交差していてよい。
【0032】
本実施形態では、第2部分32bの端部から、第3部分32cがさらに下方に向かって延在している。第1部分32a、第2部分32b及び第3部分32cがこのように折り曲げられていることで、本実施形態においては、第1部分32a、第2部分32b及び第3部分32cを含むこの部分の剛性が十分に確保され、かつ、この部分が固定される内面部12も効果的に補強される。
【0033】
図5は、第1ガード部材31及び第2ガード部材32が固定されたブラケット10の周辺構造を模式的に示す断面図である。図5は、ブラケット10を上方から見た断面図である。本実施形態の構成においては、第1ガード部材31が正面部11と内面部12との両方に固定されている。第1ガード部材31は、前述したような、飛散物を遮蔽する機能に加え、ブラケット10の剛性を高める機能も有する。また、第2ガード部材32の第1部分32a及び第2部分32bが内面部12に固定されている。このような構成により、内面部12の剛性をより向上させることができる。
【0034】
図6は、比較例のセンサ固定構造S110を示す。このセンサ固定構造S110では、内面部112の開口部112aの付近にガード部材が配置されていない。正面部111には、一枚の板状の保護板130が固定されている。このような構成では、保護板130による飛散物の遮蔽効果が十分ではなく、また、飛散物が衝突することにより保護板130が破損又は脱落するおそれもある。これに対して、本実施形態のような構成の第1ガード部材31の場合、そのような問題が生じにくい。図6の構成では、開口部112aに飛散物が侵入しやすいが、本実施形態の構成によれば第2ガード部材32が設けられているので、飛散物の侵入も防止される。
【0035】
<変形例>
図7は、変形例の模式図である。図7の構成において、上述した実施形態の同一機能の構造部については、上記説明における符号と共通の符号を付して示す。図7では、内面部12が平板状ではなく、内面部12が、第1面12aと第2面12bとを有している。第2面12bは、第1面12aとは異なる面内に位置している。このように、内面部12が段差を有するような形状である場合、第2ガード部材32の第2部分32bは、内面部12の表面に沿うような形状に形成された側縁部32b-1を有していてもよい。
【0036】
側縁部32b-1は、具体的には、第1面12aに接する部分と、第2面12bに接する部分とを有する。側縁部32b-1が、内面部12の表面に沿うように固定されることで、内面部12の剛性を効果的に向上させることができる。なお、固定は例えば溶接によって実現されてもよい。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0038】
10 ブラケット
11 正面部
12 内面部
12h 開口部
13 外面部
13a センサ保持部
20 支持部材
30 保護部材
31 第1ガード部材
31a 第1部分
31b 第2部分
32 第2ガード部材
32a 第1部分
32b 第2部分
32c 第3部分
50 カバー部材
70 車輪
A1 第1センサ
A2 第2センサ
S100 センサ固定構造
S110 センサ固定構造
【要約】
【課題】飛散物の衝突によるセンサの故障が生じにくいセンサ固定構造を提供する。
【解決手段】このセンサ固定構造S100は、車両の周辺の対象物を検出するセンサが取り付けられるセンサ保持部13aを有するブラケット10と、ブラケット10を車両の車輪70の後方において支持する支持部材20と、飛散物がセンサに衝突するのを防止する保護部材30と、を備え、ブラケット10は、車両の前方側に面する正面部11と、車両の幅方向の内側に面する内面部12と、を有し、保護部材30として、正面部11に近接する第1部分31a及び内面部12に近接する第2部分31bとを有する形状であり、第1部分31aが正面部11に固定され、第2部分31bが内面部12に固定される第1ガード部材31が設けられている。
【選択図】図2


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7