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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 60/46 20150101AFI20240416BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20240416BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20240416BHJP
   A63B 69/38 20060101ALI20240416BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240416BHJP
   A63B 102/18 20150101ALN20240416BHJP
   A63B 102/02 20150101ALN20240416BHJP
【FI】
A63B60/46
A63B69/36 541P
A63B69/00 505H
A63B69/38 B
A63B102:32
A63B102:18
A63B102:02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023535181
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2022023398
(87)【国際公開番号】W WO2023286502
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021116951
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 純
(72)【発明者】
【氏名】川野 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】能澤 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】古樋 知重
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴志
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 雄彦
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健太
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168196(JP,A)
【文献】米国特許第5792000(US,A)
【文献】特開平9-154996(JP,A)
【文献】特開2015-178026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00-60/64
69/00-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の変形量に関連する物理量と時刻との関係を示すスイングデータを取得する取得ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示すか否かを判定することにより、前記スイングデータの削除の要否を判定する判定ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示さないと判定された場合、前記スイングデータを削除する削除ステップと、
を実行する演算回路を備えており
前記スイングデータは、前記物理量に対応する数値を含んでおり、
基準値と前記数値と、の差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、前記第1差分値が第2判定値以上となった回数をカウントするカウントステップを更に実行し、
前記演算回路は、前記回数が基準数を超えた場合に、前記スイングデータを削除しないと判定する、
データ処理装置。
【請求項2】
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示すと判定された場合、前記演算回路は、前記スイングデータを記憶媒体に送信する送信ステップを更に実行する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記データ処理装置は、センサを更に備えており、
前記センサは、前記物理量に応じた出力信号を生成し、
前記演算回路は、前記取得ステップにおいて、前記出力信号に基づいて前記スイングデータを生成することによって前記スイングデータを取得し、
前記演算回路は、前記スイングデータを生成した後、前記判定ステップを実行する、
請求項1又は請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記センサは、前記被測定物に取り付けられる
請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記データ処理装置は、通信部を更に備えており、
前記通信部は、前記データ処理装置と異なる外部処理装置から前記物理量に応じた出力信号を受信し、
前記演算回路は、前記取得ステップにおいて、前記出力信号に基づいて前記スイングデータを生成することによって前記スイングデータを取得し、
前記演算回路は、前記スイングデータを生成した後、前記判定ステップを実行する、
請求項1又は請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記データ処理装置は、表示部を更に備えており、
前記表示部は、前記削除ステップの実行結果に基づいた表示を行う、
請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記データ処理装置は、通信部を更に備えており、
前記通信部は、前記取得ステップにおいて、前記データ処理装置と異なる外部処理装置から、前記スイングデータを受信することによって前記スイングデータを取得し、
前記演算回路は、前記スイングデータを受信した後に、前記判定ステップを実行する、
請求項1又は請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記データ処理装置は、記憶媒体を更に備えており、
前記演算回路が前記スイングデータを削除しないと判定した場合、前記演算回路は、前記スイングデータを前記記憶媒体に送信する送信ステップを更に実行する、
請求項7に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記演算回路は、機械学習、又は、人工知能に基づいて前記判定ステップを実行する、
請求項1又は請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記被測定物は、ゴルフクラブ、バット及びラケットの少なくとも1つを含む、
請求項1又は請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記スイングデータは、前記被測定物の変形量に関連する物理量に対応する数値を含んでおり、
基準値と前記数値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、
前記第1差分値が第1判定値以上である場合、前記スイングデータを削除しないと判定する、
請求項1又は請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記スイングデータは、前記物理量に対応した数値を含んでおり、
基準値と前記数値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、
前記第1差分値が第3判定値以上となった場合に、前記スイングデータにおいて1乃至複数の前記数値のピークを特定し、
前記第1差分値が第3判定値以上となった時刻における前記第1差分値と、前記ピークにおける前記数値と、に基づいて前記判定ステップを実行する、
請求項1又は請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
被測定物の変形量に関連する物理量と時刻との関係を示すスイングデータを取得する取得ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示すか否かを判定することにより、前記スイングデータの削除の要否を判定する判定ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示さないと判定された場合、前記スイングデータを削除する削除ステップと、
を実行する演算回路を備えており、
前記スイングデータは、前記物理量に対応した数値を含んでおり、
基準値と前記数値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路は、
前記第1差分値が第3判定値以上となった場合に、前記スイングデータにおいて1乃至複数の前記数値のピークを特定し、
前記第1差分値が第3判定値以上となった時刻における前記第1差分値と、前記ピークにおける前記数値と、に基づいて前記判定ステップを実行する、
データ処理装置。
【請求項14】
データ処理装置の演算回路において実行されるプログラムであって、
被測定物の変形量に関連する物理量と時刻との関係を示すスイングデータを取得する取得ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示すか否かを判定することにより、前記スイングデータの削除の要否を判定する判定ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示さないと判定された場合、前記スイングデータを削除する削除ステップと、
を、前記演算回路に実行させ、
前記スイングデータは、前記物理量に対応する数値を含んでおり、
基準値と前記数値と、の差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路に、
前記第1差分値が第2判定値以上となった回数をカウントするカウントステップを更に実行させ、
前記回数が基準数を超えた場合に、前記スイングデータを削除しないと判定させる、
プログラム。
【請求項15】
データ処理装置の演算回路において実行されるプログラムであって、
被測定物の変形量に関連する物理量と時刻との関係を示すスイングデータを取得する取得ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示すか否かを判定することにより、前記スイングデータの削除の要否を判定する判定ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示さないと判定された場合、前記スイングデータを削除する削除ステップと、
を、前記演算回路に実行させ、
前記スイングデータは、前記物理量に対応した数値を含んでおり、
基準値と前記数値との差の絶対値を第1差分値と定義し、
前記演算回路に、
前記第1差分値が第3判定値以上となった場合に、前記スイングデータにおいて1乃至複数の前記数値のピークを特定させ、
前記第1差分値が第3判定値以上となった時刻における前記第1差分値と、前記ピークにおける前記数値と、に基づいて前記判定ステップを実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの削除の要否を判定するデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによるゴルフクラブのスイングを解析する発明として、特許文献1に記載のスイング解析装置が知られている。特許文献1に記載のスイング解析装置において、ゴルフクラブのシャフトにセンサが取り付けられている。スイング解析装置は、センサから取得した信号を基に、ユーザのスイングを解析する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-175496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のスイング解析装置の分野では、ユーザのスイングを解析するために用いるデータを記憶する記憶媒体の記憶容量が、圧迫されにくいことが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、記憶媒体の記憶容量が圧迫されにくくなるデータ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るデータ処理装置は、
被測定物の変形量に関連する物理量と時刻との関係を示すスイングデータを取得する取得ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示すか否かを判定することにより、前記スイングデータの削除の要否を判定する判定ステップと、
前記スイングデータが、前記被測定物がスイングされた時に生じる前記被測定物の変形量に関連する物理量を示さないと判定された場合、前記スイングデータを削除する削除ステップと、
を実行する演算回路を備えている。
【0007】
本明細書において、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材である。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材である。
【0008】
本明細書において、第1部材が第2部材の上に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材の少なくとも一部は、第2部材の真上に位置している。従って、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっている。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0009】
本明細書において、第1部材が第2部材より上に配置されるとは、第1部材の少なくとも一部が第2部材の真上に位置している場合、及び、第1部材が第2部材の真上に位置せずに第1部材が第2部材の斜め上に位置している場合を含む。この場合、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっていなくてもよい。斜め上とは、例えば、左上、右上である。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0010】
本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るデータ処理装置によれば、記憶媒体の記憶容量が圧迫されにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、データ処理装置2が取り付けられた被測定物1の一例を示す図である。
図2図2は、データ処理装置2の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、センサ10の背面図及び左側面図である。
図4図4は、スイングデータSwDの一例を示す図である。
図5図5は、データ処理装置2が実行する処理を示すフローチャートである。
図6図6は、スイング以外の動作によって被測定物1が変形した時に取得されたスイングデータSwDNを示す図である。
図7図7は、データ処理装置2aの構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、データ処理装置2aが実行する処理を示すフローチャートである。
図9図9は、データ処理装置2bの構成の一例を示すブロック図である。
図10図10は、データ処理装置2bが実行する処理を示すフローチャートである。
図11図11は、判定ステップにおける判定方法の変形例1を示す図である。
図12図12は、判定ステップにおける判定方法の変形例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るデータ処理装置2について図面を参照しながら説明する。図1は、データ処理装置2が取り付けられた被測定物1の一例を示す図である。図2は、データ処理装置2の構成の一例を示すブロック図である。図3は、センサ10の背面図及び左側面図である。図3に示す背面図において、第1電極101F及び第2電極101Bの記載は省略した。図4は、スイングデータSwDの一例を示す図である。図4において、縦軸は、信号の出力を示す。図4において、横軸は、時間を示す。
【0014】
本実施形態において、図1に示すように、上下方向、左右方向及び前後方向を定義する。具体的には、被測定物1のシャフトが延びる方向を上下方向と定義する。被測定物1のヘッドのフェースが向く方向を左方向と定義する。上下方向、左右方向に直交する方向を前後方向と定義する。ただし、上下方向、左右方向及び前後方向は、説明のために定義した方向である。従って、被測定物1の実際の使用時における上下方向、左右方向及び前後方向は、図1に示す上下方向、左右方向及び前後方向と一致しなくてよい。
【0015】
本実施形態において、被測定物1は、ゴルフクラブである。従って、図1に示すように、被測定物1は、上下方向に延びる棒形状を有している。ユーザは、被測定物1をスイングする。ユーザのスイング時に、被測定物1は、変形をする。具体的には、被測定物1は、ユーザが被測定物1をスイングするときに慣性力や外力によって変形する。被測定物1は、例えば、スイングのときに左右方向に変形する。
【0016】
図1に示すように、データ処理装置2は、被測定物1に取り付けられている。本実施形態において、データ処理装置2は、図2に示すように、センサ10、ADコンバータ20、演算回路30及びメモリ40を備えている。センサ10、ADコンバータ20、演算回路30及びメモリ40は、被測定物1に取り付けられる。より正確には、センサ10、ADコンバータ20、演算回路30及びメモリ40は、被測定物1に固定されている。
【0017】
センサ10は、被測定物1の変形量に関連する物理量を検知する。被測定物1の変形量に関連する物理量は、被測定物1の変形量の変化に応じて変化する数値である。被測定物1の変形量に関連する物理量は、例えば、被測定物1の変形量、被測定物1の変形量の微分値、被測定物1に発生している応力等である。本実施形態では、被測定物1の変形量に関連する物理量は、被測定物1の変形量の微分値である。以下、被測定物1の変形量の微分値を微分値BVと称する。センサ10は、被測定物1の変形量に関連する物理量に応じた電荷を発生する。本実施形態では、センサ10は、微分値BVに応じた電荷を発生する。更に、センサ10は、電荷を電圧信号である出力信号Sig1に変換する。センサ10は、センサ10のサンプリング間隔に基づいて出力信号Sig1を連続して取得する。出力信号Sig1の値は、被測定物1の左右方向の変形量の微分値に応じた値である。被測定物1は弾性変形をする。従って、被測定物1の左右方向の変形量の微分値は、ユーザのスイング時に被測定物1に加わった力に比例する。換言すれば、出力信号Sig1の値は、ユーザが被測定物1をスイングしたときに加わった力を間接的に示している。
【0018】
以下、センサ10の構造を説明する。センサ10は、圧力を検知する圧電センサである。センサ10は、図3に示すように、圧電フィルム100、第1電極101F、第2電極101B、チャージアンプ102及び電圧増幅回路103を備えている。圧電フィルム100は、シート形状を有している。従って、圧電フィルム100は、図3に示すように、第1主面F1及び第2主面F2を有している。圧電フィルム100の上下方向の長さは、圧電フィルム100の左右方向の長さより長い。本実施形態では、圧電フィルム100は、前後方向に見て、上下方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。圧電フィルム100は、圧電フィルム100の変形量の微分値BVに応じた電荷を発生する。本実施形態では、圧電フィルム100は、PLAフィルムである。以下、圧電フィルム100についてより詳細に説明する。
【0019】
圧電フィルム100は、圧電フィルム100が上下方向に伸張されるように変形したときに発生する電荷の極性が、圧電フィルム100が左右方向に伸張されるように変形したときに発生する電荷の極性と逆となる特性を有している。具体的には、圧電フィルム100は、キラル高分子から形成されるフィルムである。キラル高分子とは、例えば、ポリ乳酸(PLA)、特にL型ポリ乳酸(PLLA)である。キラル高分子からなるPLLAは、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸されて分子が配向する圧電性を有する。圧電フィルム100は、d14の圧電定数を有している。圧電フィルム100の一軸延伸方向(配向方向)は、上下方向及び左右方向のそれぞれに対して45度の角度を形成している。この45度は、例えば、45度±10度程度を含む角度を含む。これにより、圧電フィルム100は、圧電フィルム100が上下方向に伸張されるように変形すること又は上下方向に圧縮されるように変形することにより、電荷を発生する。圧電フィルム100は、例えば、上下方向に伸張されるように変形すると正の電荷を発生する。圧電フィルム100は、例えば、上下方向に圧縮されるように変形すると負の電荷を発生する。電荷の大きさは、伸張又は圧縮による圧電フィルム100の上下方向の変形量の微分値BVに依存する。
【0020】
第1電極101Fは、信号電極である。第1電極101Fは、第1主面F1に設けられている。第1電極101Fは、第1主面F1を覆っている。第1電極101Fは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の有機電極、蒸着、メッキによる金属皮膜、銀ペーストによる印刷電極膜である。
【0021】
第2電極101Bは、グランド電極である。第2電極101Bは、グランド電位に接続される。第2電極101Bは、第2主面F2に設けられている。これにより、圧電フィルム100は、第1電極101Fと第2電極101Bとの間に位置している。第2電極101Bは、第2主面F2を覆っている。第2電極101Bは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の有機電極、蒸着、メッキによる金属皮膜、銀ペーストによる印刷電極膜である。
【0022】
このようなセンサ10は、図示しない接着層を介して、被測定物1に固定される。具体的には、接着層は、被測定物1と第1電極101Fとを固定する。これにより、例えば、被測定物1が左右方向に曲がるとき、被測定物1が上下方向に伸び縮みする。従って、圧電フィルム100が上下方向に伸縮する。その結果、圧電フィルム100が電荷を発生する。すなわち、本実施形態では、被測定物1が右方向に曲がった場合、圧電フィルム100は、負の電荷を発生する。また、本実施形態では、被測定物1が左方向に曲がった場合、圧電フィルム100は、正の電荷を発生する。
【0023】
チャージアンプ102は、圧電フィルム100が発生した電荷を電圧信号である出力信号Sig1に変換する。変換後、チャージアンプ102は、出力信号Sig1を電圧増幅回路103に出力する。電圧増幅回路103は、出力信号Sig1を増幅して、ADコンバータ20に出力する。
【0024】
ADコンバータ20は、出力信号Sig1をAD変換する。これにより、ADコンバータ20は、出力信号Sig1をデジタル信号に変換する。
【0025】
演算回路30は、スイングデータSwDを取得する取得ステップと、スイングデータSwDの削除の要否を判定する判定ステップと、スイングデータSwDを削除すると判定した場合、スイングデータSwDを削除する削除ステップと、を実行する。スイングデータSwDは、被測定物1の変形量に関連する物理量と時刻との関係を示している。本実施形態では、図4に示すように、スイングデータSwDは、被測定物1の変形量の微分値BVと時刻tとの関係を示している。より正確には、スイングデータSwDは、被測定物1の左右方向の変形量の微分値BVと時刻tとの関係を示している。この場合、スイングデータSwDは、被測定物1の変形量に関連する物理量に対応する数値を含んでいる。演算回路30は、出力信号Sig1に基づいてスイングデータSwDを生成する。より詳細には、演算回路30は、センサ10により出力された出力信号Sig1の一部分をスイングデータSwDに変換する。例えば、図4に示すように、センサ10は、出力信号Sig1を連続して出力している。このとき、演算回路30は、出力信号Sig1の内の時刻STから時刻EDまでの間に出力された部分をスイングデータSwDに変換する。時刻EDは、時刻STよりも後の時刻である。これにより、演算回路30は、時刻STから時刻EDまでの間における微分値BVと時刻tとの関係を示すスイングデータSwDを生成する。すなわち、本実施形態において、演算回路30は、出力信号Sig1に基づいてスイングデータSwDを生成することによってスイングデータSwDを取得する。そして、演算回路30が、スイングデータSwDを生成した後、判定ステップを実行する。
【0026】
以下、演算回路30が実行する取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとについて、図4図5及び図6を参照しながら詳細に説明する。図5は、データ処理装置2が実行する処理を示すフローチャートである。図6は、スイング以外の動作によって被測定物1が変形した時に取得されたスイングデータSwDNを示す図である。具体的には、図6においてスイングデータSwDNは、ユーザが被測定物1を倒した時の被測定物1の変形を示している。図6において、縦軸は、信号の出力を示す。図6において、横軸は、時間を示す。
【0027】
演算回路30における処理は、データ処理装置2の電源がオンされることによって開始される(図5:START)。開始後、演算回路30は、微分値BV(被測定物1の変形量に関連する物理量)と、時刻tとの関係を示すスイングデータSwD(図4の下段のグラフ参照)を取得する取得ステップを実行する(図5:ステップS10)。取得ステップの詳細についてはすでに説明を行ったので、これ以上の説明を省略する。
【0028】
次に、演算回路30は、スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BV(被測定物1の変形量に関連する物理量)を示すか否かを判定することにより、スイングデータSwDの削除の要否を判定する判定ステップを実行する(図5:ステップS11)。ユーザが被測定物1をスイングした場合、被測定物1は、大きく変形する。この場合、被測定物1の変形量は大きい。従って、微分値BVの大きさは大きい。一方、ユーザが被測定物1に対してスイング以外の動作によって被測定物1を変形させた場合、被測定物1は、大きく変形しない。この場合、被測定物1の変形量は小さい。従って、微分値BVの大きさは小さい。このように、演算回路30は、微分値BVの大きさを算出することによって、スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示すか否かを判定することができる。
【0029】
上記に示す方法の場合、データ処理装置2は、例えば、第1判定値1stThを用いることによって、スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示すか否かを判定することができる。具体的には、データ処理装置2は、第1判定値1stThを記憶している。例えば、図4に示すように、データ処理装置2は、第1判定値1stTh=1.8と記憶する。次に、演算回路30は、基準値SiVと、微分値BV(物理量に対応する数値)との差の絶対値を算出する。ここで、基準値SiVと微分値BVとの差の絶対値を第1差分値DV1と定義する。演算回路30は、スイングデータSwDにおける第1差分値DV1の最大値が、第1判定値1stTh以上であるか否かを判定する。図4に示す例では、時刻TTにおいて、第1差分値DV1が最大値となる。従って、時刻TTにおける第1差分値DV1の値が、第1判定値1stTh以上であるか否かを判定する。具体的には、時刻TTにおいて、微分値BVは“0.2”である。また、基準値SiVは“2.0”である。この場合、微分値BVから基準値SiVを引いた値は、“-1.8”である。従って、演算回路30は、第1差分値DV1を“1.8”と算出する。
【0030】
第1差分値DV1が算出された後、演算回路30は、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上か否かを判定する。そして、第1差分値DV1が第1判定値以上1stTh以上である場合、演算回路30は、スイングデータSwDを削除しないと判定する。図4に示す例では、時刻TTにおいて第1差分値DV1は、“1.8”であり、且つ、第1判定値1stThは、“1.8”である。この場合、第1差分値DV1は、第1判定値1stTh以上である。従って、演算回路30は、スイングデータSwDの削除が不要と判定する。
【0031】
一方、第1差分値DV1が第1判定値1stTh未満である場合、演算回路30は、スイングデータSwDを削除すると判定する。例えば、図6に示すスイングデータSwDNにおいて、微分値BVは、第1判定値以上1stTh未満である。従って、演算回路30は、図6に示すスイングデータSwDNの削除が必要と判定する。
【0032】
演算回路30が、スイングデータSwDの削除が必要と判定した場合、演算回路30は、スイングデータSwDを削除する削除ステップを実行する。換言すれば、判定ステップにおいてスイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示さないと演算回路30によって判定された場合(図5:ステップS11 No)、演算回路30は、スイングデータSwDを削除する削除ステップを実行する(図5:ステップS12)。
【0033】
一方、演算回路30が、スイングデータSwDの削除が不要と判定した場合、演算回路30は、スイングデータSwDを記憶媒体50へ送信する送信ステップを実行する。換言すれば、判定ステップにおいてスイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示すと演算回路30によって判定された場合(図5:ステップS11 Yes)、演算回路30は、スイングデータSwDを記憶媒体50に送信する送信ステップを実行する(図5:ステップS13)。具体的には、図2に示すように、演算回路30と、記憶媒体50とが通信可能に接続されている。演算回路30は、スイングデータSwDを記憶媒体50へ送信する。この場合、図示しないサーバー等が、記憶媒体50を備えている。
【0034】
上記に示した処理は、演算回路30が、演算回路30における処理に係るプログラムをメモリ40から読み出すことによって実行される。具体的には、図2に示すように、演算回路30とメモリ40とが通信可能に接続されている。メモリ40は、取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとの処理に係るプログラムを記憶する。メモリ40は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでいる。演算回路30は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出す。これにより、演算回路30は、取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとを実行する。このような、演算回路30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
【0035】
(第1実施形態の効果)
データ処理装置2によれば、記憶媒体50の記憶容量が圧迫されにくくなる。より詳細には、データ処理装置2は、演算回路30を備えている。演算回路30は、取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとを実行する。取得ステップにおいて、演算回路30は、微分値BV(被測定物1の変形量に関連する物理量)と時刻tとの関係を示すスイングデータSwDを取得する。判定ステップにおいて、演算回路30は、スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示すか否かを判定することにより、スイングデータSwDの削除の要否を判定する。スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示さないと判定された場合、演算回路30は、スイングデータSwDを削除する削除ステップを実行する。以下、取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとを実行しないデータ処理装置(以下、比較例1と称す)と、データ処理装置2とを比較して説明する。
【0036】
比較例1の場合、スイングデータの削除の要否に関わらず、スイングデータが記憶媒体へ送信される可能性がある。例えば、ユーザが、被測定物を倒した場合に取得されたスイングデータ等が、記憶媒体に送信される可能性がある。これにより、記憶媒体の記憶容量が圧迫される虞がある。
【0037】
一方、データ処理装置2は、判定ステップにおいて、スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示すか否かを判定する。そして、スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示さないと判定された場合、演算回路30が、スイングデータSwDを削除する。これにより、例えば、演算回路30は、図6に示す様なスイングデータSwDN等を記憶媒体50へ送信しない。従って、スイングデータSwDN等によって記憶媒体50の容量が圧迫されない。結果、データ処理装置2によって、記憶媒体50の記憶容量が圧迫されにくくなる。
【0038】
データ処理装置2によれば、データ処理装置2は、必要なスイングデータSwDが記憶媒体50に記憶されないことを防ぐことができる。より詳細には、スイングデータSwDが、被測定物1がスイングされた時に生じる微分値BVを示すと判定された場合、演算回路30は、スイングデータSwDを記憶媒体50に送信する送信ステップを実行する。以下、送信ステップを実行しないデータ処理装置(以下、比較例2と称す)と、データ処理装置2とを比較して説明する。比較例2の場合、例えば、スイングデータの取得後、ユーザの誤操作等によって、スイングデータが記憶媒体へ送信されない可能性がある。この場合、必要なスイングデータが、記憶媒体に保存されない虞がある。一方、データ処理装置2の場合、演算回路30が、判定ステップにおいて、削除しないと判定したスイングデータSwDを記憶媒体50に送信する。従って、データ処理装置2は、ユーザの操作によらずに、スイングデータSwDを記憶媒体50に記憶させることができる。結果、データ処理装置2は、必要なスイングデータSwDが記憶媒体50に記憶されないことを防ぐことができる。
【0039】
データ処理装置2によれば、スイングデータSwDの削除の要否を、より正確に判定できる。より詳細には、スイングデータSwDは、微分値BV(物理量に対応する数値)を含んでいる。基準値SiVと微分値BVとの差の絶対値を第1差分値DV1と定義する。演算回路30は、第1差分値DV1が第1判定値1stTh以上となった場合に、スイングデータSwDを削除しないと判定する。この場合、被測定物1がスイングされた時に取得された第1差分値DV1の大きさに基づいて、第1判定値1stThが設定される。スイング以外の動作によって被測定物1が変形した場合における被測定物1の変形量は、ユーザが被測定物1をスイングした場合における被測定物1の変形量よりも小さい。従って、スイングデータSwDにおける第1差分値DV1の値が第1判定値1stTh未満である場合、スイングデータSwDがスイング以外の動作の時に取得されたデータである可能性が高い。この場合、演算回路30は、スイングデータSwDを削除すると判定する。これにより、データ処理装置2は、スイングデータSwDの削除の要否を、より正確に判定できる。
【0040】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るデータ処理装置2aについて図を参照して説明する。図7は、データ処理装置2aの構成の一例を示すブロック図である。図8は、データ処理装置2aが実行する処理を示すフローチャートである。データ処理装置2aは、スイングデータSwDの取得方法がデータ処理装置2と異なる。以下、詳細に説明する。なお、データ処理装置2aにおいて、データ処理装置2と同じ構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0041】
第2実施形態では、データ処理装置2aと、外部処理装置60aとが通信可能に接続されている。外部処理装置60aは、データ処理装置2aと異なる装置である。具体的には、外部処理装置60aは、第1実施形態におけるセンサ10と、無線通信機(図示せず)とを備えている装置である。そして、本実施形態では、データ処理装置2aが、取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとを実行する。データ処理装置2aは、例えば、スマートホン、PC等である。例えば、スマートホン、PC等は、ROM及びRAMを備えている。ROMは、取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとを実行するアプリケーションプログラムを記憶している。スマートホン、PC等は、例えば、ROMに記憶されたアプリケーションプログラムをRAMに読み出すことによって取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとを実行する。
【0042】
以下、詳細に説明する。図7に示すように、データ処理装置2aは、演算回路30a、通信部31a及び表示部32aを備えている。データ処理装置2aは、データ処理装置2aと異なる外部処理装置60aと、通信部31aを介して通信可能に接続されている。通信部31aは、外部処理装置60aから微分値BV(被測定物1の変形量に関連する物理量)に応じた出力信号Sig1を受信する。具体的には、外部処理装置60aは、物理量に応じた出力信号Sig1を生成する。外部処理装置60aは、例えば、第1実施形態に係るセンサ10と同様にして、出力信号Sig1を生成する。通信部31aは、外部処理装置60aから、出力信号Sig1を受信する。演算回路30aは、通信部31aから、出力信号Sig1を受信する。演算回路30aは、出力信号Sig1に基づいてスイングデータSwDを生成することによってスイングデータSwDを取得する。
【0043】
以下、データ処理装置2aにおける処理の順序について説明する。最初に、通信部31aは、データ処理装置2aと異なる外部処理装置60aから物理量に応じた出力信号Sig1を受信する(図8:ステップS20)。
【0044】
次に、演算回路30aは、取得ステップにおいて、出力信号Sig1に基づいてスイングデータSwDを生成することによってスイングデータSwDを取得する(図8:ステップS10a)。例えば、演算回路30aには、データ処理装置2と同様にして、時刻STから時刻EDまでの間において外部処理装置60aから出力された出力信号Sig1が、入力される。これにより、演算回路30aは、時刻STから時刻EDまでの間における微分値BVと時刻tとの関係を示すスイングデータSwDを取得する。
【0045】
演算回路30aは、スイングデータSwDを生成した後、判定ステップを実行する(図8:ステップS11)。
【0046】
演算回路30aが、スイングデータSwDを削除すると判定した場合(図8:ステップS11 Yes)、演算回路30aは、削除ステップを実行する(図8:ステップS12)。
【0047】
演算回路30aが、スイングデータSwDを削除しないと判定した場合(図8:ステップS11 No)、演算回路30aは、送信ステップを実行する(図8:ステップS13)。この場合、図7に示すように、データ処理装置2aは、通信部31aを介して、記憶媒体50へ、スイングデータSwDを送信する。この場合、図示しないサーバー等が、記憶媒体50を備えている。
【0048】
ここで、第2実施形態に係るデータ処理装置2aにおける表示部32aの処理について説明する。表示部32aは、削除ステップの実行結果に基づいた表示を行う。表示部32aは、例えば、スイングデータSwDが削除されたか否かの結果を表示する。例えば、演算回路30aが、削除ステップを実行した場合、表示部32aは、「スイングデータSwDが、削除されました」等のテキストメッセージを表示する。一方、演算回路30aが、送信ステップを実行した場合、表示部32aは、「スイングデータSwDが、保存されました」等のテキストメッセージを表示する。
【0049】
(データ処理装置2aの効果)
データ処理装置2aによれば、記憶媒体50の記憶容量が圧迫されにくくなる。より詳細には、データ処理装置2aは、通信部31aを備えている。通信部31aは、データ処理装置2aと異なる外部処理装置60aから物理量に応じた出力信号Sig1を受信する。演算回路30aは、取得ステップにおいて、出力信号Sig1に基づいてスイングデータSwDを生成することによってスイングデータSwDを取得する。演算回路30aは、スイングデータSwDを生成した後、判定ステップを実行する。この場合、データ処理装置2aは、データ処理装置2と同じ理由によって、記憶媒体50の記憶容量が圧迫されにくくなる。
【0050】
データ処理装置2aによれば、ユーザが、使用しやすいデータ処理装置2aを提供することができる。より詳細には、データ処理装置2aは、表示部32aを備えている。表示部32aは、削除ステップの実行結果に基づいた表示を行う。データ処理装置2aが、表示部32aを備えない場合、ユーザに対してスイングデータSwDが削除されたか否かが通知されない。従って、ユーザは、スイングデータSwDが、削除されたか否かが分からない。これにより、ユーザが混乱をする可能性がある。しかし、データ処理装置2aが、表示部32aを備えた場合、表示部32aが、スイングデータSwDが削除されたか否かをユーザに対して通知する。これにより、ユーザは、スイングデータSwDが削除されたか否かを知ることができる。従って、ユーザが、混乱をする可能性が低減する。すなわち、ユーザが使用しやすいデータ処理装置2aを提供することができる。
【0051】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係るデータ処理装置2bについて図を参照して説明する。図9は、データ処理装置2bの構成の一例を示すブロック図である。図10は、データ処理装置2bが実行する処理を示すフローチャートである。データ処理装置2bは、スイングデータSwDの取得方法がデータ処理装置2と異なる。以下、詳細に説明する。なお、データ処理装置2bにおいて、データ処理装置2と同じ構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0052】
第3実施形態では、データ処理装置2bと、外部処理装置60bとが通信可能に接続されている。外部処理装置60bは、データ処理装置2aと異なる装置である。具体的には、外部処理装置60bは、例えば、スマートホン、PC等である。データ処理装置2bは、例えば、サーバー等である。そして、本実施形態では、データ処理装置2bが、取得ステップと、判定ステップと、削除ステップとを実行する。以下、詳細に説明する。
【0053】
図9に示すように、データ処理装置2bは、演算回路30b、通信部31b及び記憶媒体50bを備えている。データ処理装置2bは、データ処理装置2bと異なる外部処理装置60bと、通信部31bを介して接続されている。通信部31bは、外部処理装置60bからスイングデータSwDを受信する。具体的には、外部処理装置60bは、例えば、第2実施形態に係るデータ処理装置2aと同様にして、スイングデータSwDを生成する。通信部31bは、生成されたスイングデータSwDを受信する。すなわち、本実施形態では、通信部31bは、データ処理装置2bと異なる外部処理装置60bから、スイングデータSwDを受信することによってスイングデータSwDを取得する。
【0054】
以下、データ処理装置2bにおける処理の順序について説明する。最初に、通信部31bは、取得ステップにおいて、データ処理装置2bと異なる外部処理装置60bから、スイングデータSwDを受信することによってスイングデータSwDを取得する(図10:ステップS10b)。
【0055】
演算回路30bは、スイングデータSwDを受信した後に、判定ステップを実行する(図10:ステップS11)。
【0056】
演算回路30bが、スイングデータSwDを削除すると判定した場合(図10:ステップS11 Yes)、演算回路30bは、削除ステップを実行する(図10:ステップS12)。
【0057】
演算回路30bがスイングデータSwDを削除しないと判定した場合(図10:ステップS11 No)、演算回路30bは、スイングデータSwDを記憶媒体50bに送信する送信ステップを更に実行する(図10:ステップS13b)。
【0058】
(データ処理装置2bの効果)
データ処理装置2bによれば、記憶媒体50bの記憶容量が圧迫されにくくなる。より詳細には、データ処理装置2bは、通信部31bを備えている。通信部31bは、取得ステップにおいて、データ処理装置2bと異なる外部処理装置60bから、スイングデータSwDを受信することによってスイングデータSwDを取得する。演算回路30bは、スイングデータSwDを受信した後に、判定ステップを実行する。この場合、データ処理装置2bは、データ処理装置2と同じ理由によって、記憶媒体50bの記憶容量が圧迫されにくくなる。
【0059】
データ処理装置2bによれば、データ処理装置2bは、必要なスイングデータSwDが記憶媒体50bに記憶されないことを防ぐことができる。より詳細には、データ処理装置2bは、記憶媒体50bを備えている。演算回路30bがスイングデータSwDを削除しないと判定した場合、演算回路30bは、スイングデータSwDを記憶媒体50bに送信する送信ステップを実行する。この場合、データ処理装置2bは、データ処理装置2と同じ理由によって、必要なスイングデータSwDが記憶媒体50bに記憶されないことを防ぐことができる。
【0060】
(判定ステップにおける判定方法の変形例1)
以下、判定ステップにおける判定方法の変形例1について図を参照して説明する。図11は、判定ステップにおける判定方法の変形例1を示す図である。変形例1に係るデータ処理装置2c(図示せず)は、演算回路30cを備えている(図示せず)。データ処理装置2cの構造については、図2を援用して説明する。演算回路30cは、判定ステップにおいて第1差分値DV1が、第2判定値2ndThを超えた回数を検知することによって、スイングデータSwDの削除の要否を判定する。この場合、データ処理装置2cは、第2判定値2ndThを記憶している。例えば、図11に示すように、データ処理装置2cは、第2判定値2ndTh=1.0と記憶している。
【0061】
以下、演算回路30cの処理について詳細に説明する。演算回路30cは、スイングデータSwDを取得する。スイングデータSwDは、物理量に対応する数値を含んでいる。本変形例の場合、スイングデータSwDは、微分値BVを含んでいる(図11参照)。ここで、基準値SiVと、微分値BV(物理量に対応する数値)と、の差の絶対値を第1差分値DV1と定義する。演算回路30cは、第1差分値DV1が第2判定値2ndTh以上となった回数をカウントするカウントステップを実行する。例えば、図11に示す例では、第1差分値DV1が、第2判定値2ndTh以上となった回数が7回である。この場合、演算回路30cは、第1差分値DV1が、第2判定値2ndTh以上となった回数を7回とカウントする。そして、演算回路30cは、回数が基準数を超えた場合に、スイングデータSwDを削除しないと判定する。基準数は、データ処理装置2cに設定されている。例えば、図11に示す例において、データ処理装置2cに基準数が“5”と設定されている。この場合、データ処理装置2cは、第1差分値DV1が第2判定値2ndTh以上となった回数が、5以上であるか否かを判定する。図11に示す例の場合、第1差分値DV1が第2判定値2ndTh以上となった回数=“7”は、基準数=“5”以上である。従って、演算回路30cは、スイングデータSwDを削除しないと判定する。一方、図11に示す例において、データ処理装置2cに基準数が“10”と設定されていた場合、第1差分値DV1が第2判定値2ndTh以上となった回数=“7”は、基準数=“10”未満である。従って、演算回路30cは、スイングデータSwDを削除すると判定する。このような、データ処理装置2cは、データ処理装置2と同じ理由により、スイングデータSwDの削除の要否を、より正確に判定できる。
【0062】
(判定ステップにおける判定方法の変形例2)
以下、判定ステップにおける判定方法の変形例2について図を参照して説明する。図12は、判定ステップにおける判定方法の変形例2を示す図である。変形例2に係るデータ処理装置2d(図示せず)は、演算回路30d(図示せず)を備えている。データ処理装置2dの構造については、図2を援用して説明する。演算回路30dは、スイングデータSwDにおいて1乃至複数の数値のピークを特定する。そして、数値のピークに基づいてスイングデータSwDの削除の要否を判定する。以下、詳細に説明する。
【0063】
演算回路30dは、スイングデータSwDを取得する。スイングデータSwDは、物理量に対応した数値を含んでいる。本変形例の場合、スイングデータSwDは、微分値BVを含んでいる(図12参照)。ここで、基準値SiVと微分値BV(物理量に対応する数値)との差の絶対値を第1差分値DV1と定義する。演算回路30dは、第1差分値DV1が第3判定値3rdTh以上となった場合に、スイングデータSwDにおいて1乃至複数の数値のピークPeを特定する。例えば、図12に示す例では、時刻TTにおいて、第1差分値DV1が第3判定値3rdTh以上となっている。この場合、演算回路30dは、例えば、図12に示す様に、数値のピークPe1,P2,Pe3,Pe4,Pe5を特定する。そして、演算回路30dは、第1差分値DV1が第3判定値3rdTh以上となった時刻TTにおける微分値BVと、ピークPeにおける数値と、に基づいて判定ステップを実行する。例えば、演算回路30dは、微分値BVと、ピークPeの値との差の絶対値を計算する。このとき、例えば、微分値BVとピークPeの値との差の絶対値が、第4判定値(図示せず)以上となった場合に、演算回路30dは、スイングデータSwDを削除すると判定する。このようなデータ処理装置2dは、データ処理装置2と同じ理由により、スイングデータSwDの削除の要否を、より正確に判定できる。
【0064】
(その他の実施形態)
本発明に係るデータ処理装置2,2a,2b,2c,2dは、データ処理装置2,2a,2b,2c,2dに限らず、その要旨の範囲において変更可能である。なお、データ処理装置2,2a,2b,2c,2dの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0065】
なお、演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、機械学習、人工知能に基づいて判定ステップを実行してもよい。機械学習を用いる場合、演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、例えば、被測定物1がスイングされた時に取得されたスイングデータSwDを教師データとして学習する。これにより、演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、例えば、教師データに基づいたパターン認識によってスイングデータSwDの、削除が必要か否かを判定できる。人工知能を用いる場合、データ処理装置2,2a,2bは、スイングデータSwDに含まれる特徴量と、スイングデータSwDを取得した時のユーザの動作との関係性を示す学習済モデルを記憶している。演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、学習済モデルにスイングデータSwDを入力する。学習済モデルは、スイングデータSwDを削除するか否かの結果を出力する。このとき、演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、出力結果に基づいて、学習済モデルの修正等を行う。これにより、演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eにおけるデータ削除の要否判定の精度を向上させることができる。
【0066】
なお、被測定物1は、必ずしもゴルフクラブでなくてよい。被測定物1は、野球のバットや、テニス,バドミントン等のラケット等の棒形状を有する部材であってもよい。換言すれば、被測定物1は、ゴルフクラブ、バット及びラケットの少なくとも1つを含んでいてもよい。ゴルフクラブと同様にして、バット、ラケットは、スイング時に変形しやすい被測定物1である。すなわち、被測定物1がバット又はラケットである場合、データ処理装置2,2a,2b,2c,2dは、ユーザがスイングしたときの被測定物1の変形を検知しやすい。
【0067】
なお、第1実施形態においてデータ処理装置2は、第1差分値DV1に基づいて判定ステップを実行する。第1差分値DV1は、物理量に対応する数値との差の絶対値である。すなわち、データ処理装置2は、出力信号Sig1の波形が、基準値SiVに対して反転した場合でも判定ステップを実行できる。従って、データ処理装置2は、ユーザがスイング毎に被測定物1を反転させた場合でも、スイングデータSwDの削除の要否を判定することができる。例えば、被測定物1が、バット、ラケット等である場合、ユーザはスイング毎に、被測定物1を反転させる可能性がある。この場合も、データ処理装置2は、それぞれのスイングにおいて、スイングデータSwDの削除の要否を正確に判定することができる。同様にして、データ処理装置2は、ユーザがスイング毎に、被測定物1をスイングする方向を変えた場合でも、スイングデータSwDの削除の要否を正確に判定することができる。
【0068】
なお、第1実施形態において、被測定物1は、ゴルフクラブである。しかし、スイングデータSwDは、必ずしも、ゴルフクラブが、ゴルフボールを打撃した時に取得されたものでなくてもよい。換言すれば、データ処理装置2,2a,2b,2c,2dは、被測定物1が、打撃物を打撃した場合と、被測定物1が、打撃物を打撃しない場合のどちらであっても用いることが可能である。従って、被測定物1が、ゲームのコントローラー等である場合も、データ削除の要否の判定にデータ処理装置2,2a,2b,2c,2dを用いることが可能である。
【0069】
なお、データ処理装置2は、必ずしも、ADコンバータ20を備えていなくてもよい。換言すれば、データ処理装置2は、必ずしも、ADコンバータ20によってAD変換された信号を入力しなくてもよい。
【0070】
なお、被測定物1の変形方向は、上下方向のみに限定されない。例えば、被測定物1は、上下方向に見て、被測定物1の中心を軸とした回転方向に変形する場合がある。すなわち、被測定物1は回転方向にねじれる場合がある。この場合、センサ10は、回転方向のねじれを検知してもよい。
【0071】
なお、物理量には、被測定物1の変形量、被測定物1の変形量の微分値、被測定物1に発生している応力以外が含まれていてもよい。
【0072】
なお、センサ10が、歪みゲージであってもよい。この場合、センサ10が測定する物理量は、被測定物1の変形量である。換言すれば、第1実施形態において、物理量は、必ずしも、被測定物1の変形量の微分値BVでなくてもよい。
【0073】
なお、演算回路30は、圧電フィルム100の上下方向の変形量の微分値に基づいて判定ステップを実行してもよい。この場合、物理量は、圧電フィルム100の上下方向の変形量の微分値を含んでいる。
【0074】
なお、第1判定値1stThは、必ずしも“1.8”でなくてもよい。
【0075】
なお、基準値SiVは、必ずしも“2.0”でなくてもよい。
【0076】
なお、第2判定値2ndThは、必ずしも“1.0”でなくてもよい。
【0077】
なお、変形例1において、基準数は、“5”又は“10”以外の値でもよい。
【0078】
演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、必ずしも、CPUでなくてもよい。演算回路30,30a,30b,30c,30d,30eは、例えば、MPU(Micro Processing unit)等であってもよい。
【0079】
なお、メモリ40は、必ずしも、ROMを含んでいなくてもよい。メモリ40は、ROMの代わりに、例えば、フラッシュメモリを含んでいてもよい。
【0080】
なお、データ処理装置2は、必ずしも、ADコンバータ20を備えていなくてもよい。
【0081】
なお、第1実施形態において、センサ10と演算回路30とが通信可能に接続されていれば、ADコンバータ20及び演算回路30は、必ずしも、被測定物1に取り付けられていなくてもよい。
【0082】
なお、第1実施形態において、演算回路30が、スイングデータSwDを取得する方法とは、例えば、以下に示す方法である。データ処理装置2は、図示しないボタン(以下、ボタンXと称す)を備えている。ボタンXがユーザによって押された場合、演算回路30は、センサ10からの出力信号Sig1の受信を開始する。例えば、図4に示すように、ユーザは、時刻STにおいてボタンXを押す。この場合、演算回路30は、時刻STから、出力信号Sig1の受信を開始する。次に、ボタンXがユーザによって押されたとき、演算回路30は、出力信号Sig1の受信を終了する。例えば、図4に示すように、ユーザは、時刻EDにおいて、ボタンXを押す。この場合、演算回路30は、時刻EDにおいて出力信号Sig1の受信を終了する。結果、図4に示すように、演算回路30は、時刻STから時刻EDまでの間に受信した出力信号Sig1を、スイングデータSwDとして取得する。同様にして、外部処理装置60aが、ボタンXによってスイングデータSwDを取得してもよい。
【0083】
なお、第1実施形態において、演算回路30は、トリガを設定することによってスイングデータSwDを取得してもよい。例えば、第1差分値DV1が、第1判定値1stTh以上である場合、第1差分値DV1が、第1判定値1stTh以上となった時刻の前後の時刻における微分値BVを取得してもよい。例えば、図4において、演算回路30は、例えば、時刻TTよりも5秒前の時刻と、時刻TTよりも5秒後の時刻との間における出力信号Sig1を、スイングデータSwDとして取得してもよい。同様にして、外部処理装置60aは、トリガを設定することによってスイングデータSwDを取得してもよい。
【0084】
なお、出力信号Sig1の値と、スイングデータSwDの値とは、必ずしも一致していなくてもよい。例えば、出力信号Sig1が、電圧値として出力され、且つ、スイングデータSwDが、バイナリ値として出力されていてもよい。
【0085】
なお、第1実施形態においてデータ処理装置2と、記憶媒体50とは、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線によって接続されていればよい。なお、データ処理装置2と、記憶媒体50とは、有線によって接続されていてもよい。
【0086】
なお、第2実施形態において、通信部31aと、外部処理装置60aとは、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線によって接続されていればよい。なお、通信部31aと、外部処理装置60aとは、有線によって接続されていてもよい。同様にして、通信部31aと、記憶媒体50とは、無線乃至有線によって接続されていればよい。
【0087】
なお、第3実施形態において、通信部31bと、外部処理装置60bとは、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線によって接続されていればよい。なお、通信部31bと、外部処理装置60bとは、有線によって接続されていてもよい。
【0088】
なお、表示部32aは、テキストメッセージを表示する以外の方法によって、削除ステップが実行されたか否かを示してもよい。表示部32aは、例えば、画像を表示することによって、削除ステップが実行されたか否かを示しもよい。
【0089】
なお、記憶媒体50,50bは、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)である。
【符号の説明】
【0090】
1:被測定物
2,2a,2b,2c,2d:データ処理装置
30,30a,30b,30c,30d:演算回路
50,50b:記憶媒体
BV:微分値
Sig1:出力信号
DV1:第1差分値
SwD,SwDN:スイングデータ
図1
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図12