(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】冷却装置の運転制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 58/26 20190101AFI20240416BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240416BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240416BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240416BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B60L58/26
B60L3/00 S
B60L58/12
B60L53/14
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2023562129
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2022029425
(87)【国際公開番号】W WO2023089873
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2021189448
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】相羽 規芳
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淑
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-018002(JP,A)
【文献】特開2009-038958(JP,A)
【文献】特開2017-004849(JP,A)
【文献】特開2007-196876(JP,A)
【文献】特開2005-137091(JP,A)
【文献】特開2014-148245(JP,A)
【文献】特開2019-110044(JP,A)
【文献】特開2010-161904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/26
B60L 3/00
B60L 58/12
B60L 53/14
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定電動車両以外の給電設備からの外部充電が可能な前記所定電動車両に搭載され、外部充電中に駆動用バッテリを冷却する冷却装置の運転制御装置であって、
前記所定電動車両に設けられた騒音検出装置から前記所定電動車両周辺の騒音レベルが入力される騒音レベル入力部と、
ユーザによって操作され、前記外部充電中に前記冷却装置の運転停止を可能にするオン・オフスイッチと、
前記騒音レベル入力部から入力された前記騒音レベルに基づいて前記冷却装置
の作動音を自動的に低減する運転制御
をするオート冷却モードの選択を可能にするモード選択スイッチと、
を備える、冷却装置の運転制御装置。
【請求項2】
前記外部充電は、家庭用の商用電源から充電される普通充電である、
請求項1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【請求項3】
前記モード選択スイッチは、前記オン・オフスイッチがオンされた場合に、前記オート冷却モードの選択を可能にする、
請求項
1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【請求項4】
外部充電時の時刻を管理する充電時刻管理部
を備え、
前記オート冷却モードが選択された場合に
、前記充電時刻管理部で管理される前記外部充電時の時刻が含まれる時間帯
に基づいて、前記冷却装置を運転制御する、請求項
1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【請求項5】
前記所定電動車両に設けられたバッテリ制御装置から前記駆動用バッテリの電池温度が入力される電池温度入力部と、
車両周りの外気温度が入力される雰囲気温度入力部と、
を備え、
前記オート冷却モードが選択された場合に、前記電池温度入力部から入力された電池温度、又は、前記雰囲気温度入力部に入力された前記外気温度の少なくとも一方に基づいて、前記冷却装置を運転制御する、請求項
1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【請求項6】
前記所定電動車両に設けられたバッテリ制御装置から前記駆動用バッテリの健全性が入力される健全性入力部を備え、
前記オート冷却モードが選択された場合に、前記健全性入力部から入力された前記駆動用バッテリの健全性に基づいて、前記冷却装置を運転制御する、請求項
1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【請求項7】
前記冷却装置は、前記所定電動車両の車両周りの外気を取り込んで前記駆動用バッテリを空冷する冷却ファンを備え、
前記オート冷却モードが選択された場合に、車両周りの外気温度が所定温度以上のときは、前記冷却装置の運転を停止し、
所定時間経過後、前記車両周りの外気温度が前記所定温度未満となったときに、前記冷却装置の運転を開始する、
請求項
1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【請求項8】
前記冷却装置の運転開始からの時間を管理する冷却運転時間管理部を備え、
前記オート冷却モードが選択された場合に、前記冷却運転時間管理部が管理する前記冷却装置の運転開始からの時間に基づいて、前記冷却装置を運転制御する、請求項
1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【請求項9】
前記所定電動車両に設けられたバッテリ制御装置から前記駆動用バッテリの充電率が入力される充電率入力部を備え、
前記オート冷却モードが選択された場合に、前記充電率入力部に入力される前記駆動用バッテリの充電率に基づいて、前記冷却装置を運転制御する、請求項
1に記載の冷却装置の運転制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置の運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部電源により車載バッテリを充電する場合に、車載バッテリを冷却する冷却装置が開示されている。かかる冷却装置の運転制御装置は、充電地点の位置情報に基づいて充電地点の静寂性要求度を判定する判定部と、空調装置に対し、静寂性要求度が所定値以上の充電地点で充電する場合の空調装置(電動コンプレッサ)の回転数の上限値を、静寂性要求度が所定値未満の充電地点で充電する場合の空調装置(電動コンプレッサ)の回転数の上限値よりも低く設定する制御部と、を備えている。
【0003】
かかる冷却装置の運転制御装置によれば、静寂性要求度が所定値以上の充電地点で充電する場合の空調装置(電動コンプレッサ)の作動音が、静寂性要求度が所定値未満の充電地点で充電する場合の空調装置(電動コンプレッサ)の作動音よりも小さくなり、周囲の不快感を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する冷却装置の運転制御装置では、外部充電中に冷却装置の運転を停止できない。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、外部充電中に冷却装置の運転を停止できる冷却装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る冷却装置の運転制御装置は、所定電動車両以外の給電設備からの外部充電が可能な前記所定電動車両に搭載され、外部充電中に駆動用バッテリを冷却する冷却装置の運転制御装置であって、ユーザによって操作され、前記外部充電中に前記冷却装置の運転停止を可能にするオン・オフスイッチと、予め定められた条件に基づいて前記冷却装置を運転制御するオート冷却モードの選択を可能にするモード選択スイッチと、を備える。
【0008】
上記(1)の構成によれば、オン・オフスイッチがオフされた場合に、冷却装置の運転が停止される。また、オン・オフスイッチがオンされ、かつ、モード選択スイッチによってオート冷却モードが選択された場合に、予め定めた条件に基づいて冷却装置が運転制御される。これにより、予め定める条件をユーザ又は自動車メーカが適宜設定することにより、ユーザが求める条件で冷却装置を運転制御できる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記外部充電は、家庭用の商用電源から充電される普通充電である。
【0010】
上記(2)の構成によれば、時間をかけて充電するため、バッテリへの負荷が小さく、冷却装置を停止することができるため、冷却装置による騒音や振動など、車両周辺の環境への影響を抑制することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記モード選択スイッチは、前記オン・オフスイッチがオンされた場合に、前記オート冷却モードの選択を可能にする。
【0012】
上記(3)の構成によれば、オン・オフスイッチがオンされた後に、オート冷却モードの選択が可能になるので、オン・オフスイッチがオフされた状態でオート冷却モードが選択されるのを防止できる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか一つの構成において、前記所定電動車両に設けられた騒音検出装置から騒音レベルが入力される騒音レベル入力部と、外部充電時の時刻を管理する充電時刻管理部と、を備え、前記オート冷却モードが選択された場合に、前記騒音レベル入力部から入力された騒音レベル、又は前記充電時刻管理部で管理される前記外部充電時の時刻が含まれる時間帯の少なくとも一方に基づいて、前記冷却装置を運転制御する。
【0014】
上記(4)の構成によれば、騒音レベル又は時間帯のすくなくとも一方に基づいて冷却装置が運転制御される。例えば、騒音レベルが低い夜間や早朝に冷却装置の運転が停止される。これにより、騒音レベルが低い夜間や早朝において冷却装置の作動音(騒音)を低減できる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)のいずれか一つの構成において、前記所定電動車両に設けられたバッテリ制御装置から前記駆動用バッテリの電池温度が入力される電池温度入力部と、車両周りの外気温度が入力される雰囲気温度入力部と、を備え、前記オート冷却モードが選択された場合に、前記電池温度入力部から入力された電池温度、又は、前記雰囲気温度入力部に入力された前記外気温度の少なくとも一方に基づいて、前記冷却装置を運転制御する。
【0016】
上記(5)の構成によれば、駆動用バッテリの電池温度又は車両周りの外気温度の少なくとも一方に基づいて冷却装置が運転制御される。例えば、車両周りの外気温度が高いほど駆動用バッテリの冷却効率が低下するので、車両周りの外気温度が予め定めた温度よりも低い場合に冷却装置の冷却効果が高められる。これにより、駆動用バッテリの冷却効率が高い外気温度で冷却装置の冷却効果が高められ、駆動用バッテリを効率的に冷却できる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、前記所定電動車両に設けられたバッテリ制御装置から前記駆動用バッテリの健全性が入力される健全性入力部を備え、前記オート冷却モードが選択された場合に、前記健全性入力部から入力された前記駆動用バッテリの健全性に基づいて、前記冷却装置を運転制御する。
【0018】
上記(6)の構成によれば、駆動用バッテリの健全性に基づいて冷却装置が運転制御される。例えば、駆動用バッテリの健全性が高いほど駆動用バッテリが劣化しやすいため、駆動用バッテリの健全性が高いほど目標温度に近づくように冷却装置が運転制御される。これにより、駆動用バッテリの温度が目標温度に近づき、駆動用バッテリの劣化を抑制できる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)から(6)のいずれか一つの構成において、前記冷却装置は、前記所定電動車両の車両周りの外気を取り込んで前記駆動用バッテリを空冷する冷却ファンを備え、前記オート冷却モードが選択された場合に、車両周りの外気温度が所定温度以上のときは、前記冷却装置の運転を停止し、所定時間経過後、前記車両周りの外気温度が前記所定温度未満となったときに、前記冷却装置の運転を開始する。
【0020】
上記(7)の構成によれば、車両周りの外気温度が所定温度以上のときは、冷却装置の運転が停止される。よって、所定温度を駆動用バッテリの冷却効率が低下する温度とすれば、駆動用バッテリの冷却効率が低下した状態で冷却装置の運転が停止される。一方、冷却装置の運転を停止し、所定時間経過後、車両周りの外気温度が所定温度未満となったときに、冷却装置の運転が開始される。よって、所定温度を駆動用バッテリの冷却効率が低下する温度とすれば、冷却装置の運転を停止し、所定時間経過後、駆動用バッテリの冷却効率が復帰した状態で冷却装置の運転が開始(再開)される。これにより、駆動用バッテリの冷却効率が高い状態で冷却装置が運転され、駆動用バッテリを効率的に冷却できる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)から(7)のいずれか一つの構成において、前記冷却装置の運転開始からの時間を管理する冷却運転時間管理部を備え、前記オート冷却モードが選択された場合に、前記冷却運転時間管理部が管理する前記冷却装置の運転開始からの時間に基づいて、前記冷却装置を運転制御する。
【0022】
上記(8)の構成によれば、冷却装置の運転開始からの時間に基づいて冷却装置が運転制御される。例えば、冷却装置の運転開始からの時間が夜間になると冷却装置の運転が抑制されるように制御される。これにより、騒音レベルが低い夜間において冷却装置の作動音(騒音)を低減できる。
【0023】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)から(8)のいずれか一つの構成において、前記所定電動車両に設けられたバッテリ制御装置から前記駆動用バッテリの充電率が入力される充電率入力部を備え、前記オート冷却モードが選択された場合に、前記充電率入力部に入力される前記駆動用バッテリの充電率に基づいて、前記冷却装置を運転制御する。
【0024】
上記(9)の構成によれば、駆動用バッテリの充電率に基づいて冷却装置が運転制御される。例えば、駆動用バッテリの充電率が100%に近づいた状態で冷却装置の運転が継続されると駆動用バッテリが満充電になるまで時間がかかるので、駆動用バッテリの充電率が100%に近づくと冷却装置の運転が停止される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、外部充電中に冷却装置の運転を停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る冷却装置が搭載される電動車両の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】メータ/ナビに設けられたマルチインフォメーションディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
【
図6】
図1に示した制御装置の制御仕様の一例を示す図である。
【
図7】
図1に示した制御装置の制御仕様の一例を示す図である。
【
図8】
図1に示した制御装置の制御仕様の一例を示す図である。
【
図9】
図1に示した制御装置の制御手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0028】
実施形態にかかる冷却装置1は、外部電源によって駆動用バッテリ110を充電できるプラグインハイブリッド自動車(PHEV,PHV)や電気自動車(EV)等の電動車両100に適用される。外部電源は、例えば、急速充電器、家庭用の商用電源等の給電設備であるが、これらに限られるものではなく、例えば、電源車であってもよい。
【0029】
図1に示すように、実施形態に係る冷却装置1は、駆動用バッテリ110を冷却するための装置であり、例えば、外部電源による充電(以下「外部充電」という)中に駆動用バッテリ110を冷却する。実施形態に係る冷却装置1は、例えば、コンプレッサ11、熱交換器(コンデンサ)13、エキスパンションバルブ(図示せず)及び熱交換器(エバポレータ)15によって構成される。これらコンプレッサ11、熱交換器13、エキスパンションバルブ及び熱交換器15は、冷媒が循環する冷凍サイクルを構成する。本実施形態では、コンプレッサ11は駆動用バッテリ110から電気が供給される。また、コンプレッサ11はエアコン(図示せず)と共用され、エアコン制御装置(エアコンECU:Electronic Control Unit)21によって制御される。また、熱交換器13にはラジエータファン17が対向配置され、熱交換器15には冷却ファン19が対向配置され、駆動用バッテリ110の近傍に設置される。ラジエータファン17及び冷却ファン19には補機バッテリ(図示せず)が接続され、補機バッテリからラジエータファン17及び冷却ファン19に電気が供給される。
【0030】
そして、コンプレッサ11で圧縮された冷媒は、高温高圧の冷媒ガスとなって熱交換器13に送られる。熱交換器13に送られた冷媒ガスはラジエータファン17によって冷却(液化)され、高温高圧の液冷媒となってエキスパンションバルブに送られる。エキスパンションバルブに送られた冷媒液は急激に圧力が下がり、低温低圧の冷媒液となって熱交換器15に送られる。熱交換器15に送られた冷媒液は、熱交換器15の周囲から熱を奪い気化する。熱交換器15の周囲は冷却され、熱交換器15の近傍に対向配置された駆動用バッテリ110も冷却される。
【0031】
実施形態に係る冷却装置1は、車両制御装置(EVECU)3によって制御される。例えば、冷却装置1が、コンプレッサ11、熱交換器13、エキスパンションバルブ(図示せず)及び熱交換器15で構成される場合に、コンプレッサ11を制御するエアコン制御装置21、ラジエータファン17及び冷却ファン19が車両制御装置3に接続され、車両制御装置3によって制御される。
【0032】
また、車両制御装置3には、駆動用バッテリ制御装置(BMU:Battery Management Unit)22及びメータ/ナビ23が接続されている。駆動用バッテリ制御装置22では、駆動用バッテリ110の電池温度、駆動用バッテリ110の健全性(SOH:State Of Health)、及び駆動用バッテリ110の充電率(
SOC:State Of Charge)が管理され、
図2に示すように、車両制御装置3には、電池温度入力部31、健全性入力部32及び充電率入力部33が設けられる。
【0033】
図4および
図5に示すように、メータ/ナビ23には、オン・オフスイッチ41とモード選択スイッチ43とが設けられている。オン・オフスイッチ41は、ユーザによって操作され、外部充電中に冷却装置1の運転停止を可能にするスイッチである。これにより、ユーザによってオン・オフスイッチ41が操作され、オン・オフスイッチ41がオフされた場合に、冷却装置1の運転が停止される。
【0034】
例えば、オン・オフスイッチ41は、メータ/ナビ23の画面に表示される操作画像で構成され、デフォルトでオンに設定されており、外部充電中に冷却装置1の運転を可能にする一方、オフを選択することで外部充電中に冷却装置1の運転を停止する。
【0035】
モード選択スイッチ43は、ユーザによって操作され、予め定めた条件に基づいて冷却装置1を運転制御するオート冷却モードの選択を可能にするスイッチである。これにより、ユーザによってモード選択スイッチ43が操作され、オート冷却モードが選択された場合に、予め定めた条件に基づいて冷却装置1が運転制御される。
【0036】
例えば、モード選択スイッチ43は、オン・オフスイッチ41と同様、メータ/ナビ23の画面に表示される操作画像で構成され、デフォルトでノーマル(冷却モード)に設定されており、外部充電中に冷却装置1を通常運転する一方、オート冷却モードを選択することで、予め定めた条件に基づいて冷却装置1を運転制御する。
【0037】
例えば、オン・オフスイッチ41及びオート冷却モードスイッチは、メータ/ナビ23に設けられたマルチインフォメーションディスプレイスイッチを操作することで表示される「設定モード」画像G1を選択することにより表示される。例えば、
図4に示すように、オン・オフスイッチ41は、「OFF」と「ON」を示す操作画像G33で構成され、モード選択スイッチ43は、「ON」を選択した場合に選択可能となる「Normal」と「Auto」を示す操作画像G35で構成される。また、例えば、
図5に示すように、オン・オフスイッチ41とオート冷却モードスイッチは、「OFF」「ON」及び「Auto」を示す操作画像G5で構成されてもよい。この場合に、「OFF」と「ON」を示す操作画像G53がオン・オフスイッチ41の機能を発揮し、「ON」と「Auto」を示す操作画像G55がモード選択スイッチ43の機能を発揮する。
【0038】
また、車両制御装置3には、騒音検出装置24、EVリモート制御装置25、車載充電器制御装置26及びエンジン制御装置27が接続される。車両制御装置3には、騒音レベル入力部34、充電時刻管理部35、及び雰囲気温度入力部36が設けられている。騒音検出装置24は、例えば、マイクロフォンを含み、電動車両周辺の騒音レベルを検出する。そして、騒音検出装置24で検出された騒音レベルは、騒音レベル入力部34で管理される。EVリモート制御装置25には、スマートフォン等の携帯端末によって、外部充電開始時間、及び充電開始から冷却装置1の運転開始までの時間が設定される。そして、EVリモート制御装置25に設定された外部充電開始時間、充電開始から冷却装置1の運転開始までの時間は充電時刻管理部35で管理される。車載充電器制御装置26には、普通充電ガン(図示せず)の接続情報が入力される。そして、車載充電器制御装置26に入力された普通充電ガンの接続情報は充電時刻管理部35で管理される。エンジン制御装置27には、吸気温度(車両周りの外気温度)が入力される。そして、エンジン制御装置27に入力された吸気温度は、車両周りの外気温度として雰囲気温度入力部36で管理される。
【0039】
上述した車両制御装置3は、例えば、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路等から構成されるプロセッサ(図示せず)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ(図示せず)のほか入出力インターフェース(図示せず)によって構成される。
【0040】
車両制御装置3は、外部充電中に、オン・オフスイッチ41がオフされた場合に冷却装置1の運転を停止する。冷却装置1の運転が停止される外部充電は、例えば、家庭用の商用電源から充電される普通充電であり、例えば、急速充電器による急速充電の場合には冷却装置1の運転を継続する。尚、普通充電は、家庭用の商用電源から充電されることのほか、電源電流が交流であることや、車載充電器を介して充電されること、急速充電よりも遥かに小さな電圧で充電されること、によって急速充電と区別される。
【0041】
車両制御装置3は、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、モード選択スイッチ43によってオート冷却モードが選択された場合に、予め定められた条件に基づいて外部充電中に冷却装置1を運転制御する。これにより、予め定める条件をユーザ又は自動車メーカが適宜設定することにより、ユーザが求める条件で外部充電中に冷却装置1を運転制御できる。
【0042】
例えば、
図6に示すように、車両制御装置3は、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、オート冷却モードが選択された場合に、騒音レベル入力部34に入力された騒音レベル、又は充電時刻管理部35で管理される外部充電時の時刻が含まれる時間帯の少なくとも一方に基づいて外部充電中に冷却装置1を運転制御する。
【0043】
図6に示す例では、騒音レベル入力部34から入力された騒音レベル及び充電時刻管理部35で管理される外部充電時の時刻に基づいて制御仕様(電池冷却のレベル)が設定され、当該制御仕様に基づいて冷却装置1が制御される。例えば、騒音レベルと時間帯で区分けされた電池冷却のレベルを実現するように、車両制御装置3は冷却装置1を運転制御する。例えば、騒音レベルが低い夜間や早朝に冷却装置1の運転が停止される。このようにすれば、騒音レベルが低い夜間や早朝において冷却装置1の作動音(騒音)を低減できる。
【0044】
また、例えば、
図7に示すように、車両制御装置3は、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、オート冷却モードが選択された場合に、電池温度入力部31から入力された電池温度、又は、雰囲気温度入力部36で管理される車両周りの外気温度の少なくとも一方に基づいて外部充電中に冷却装置1を運転制御する。
【0045】
図7に示す例では、雰囲気温度入力部36で管理される車両周りの外気温度に基づいて制御仕様(電池冷却のレベル)が設定され、当該制御仕様に基づいて外部充電中に冷却装置1が運転制御される。例えば、車両周りの外気温度で区分けされた電池冷却のレベルを実現するように、車両制御装置3は冷却装置1を制御する。
【0046】
例えば、駆動用バッテリ110の雰囲気温度が高いほど駆動用バッテリ110の冷却効率が低下するので、駆動用バッテリ110の雰囲気温度が予め定めた温度よりも高い場合に冷却装置1の運転が停止される。このようにすれば、駆動用バッテリ110の冷却効率が高い雰囲気温度で冷却装置1が運転され、駆動用バッテリ110を効率的に冷却できる。
【0047】
また、例えば、
図8に示すように、車両制御装置3は、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、オート冷却モードが選択された場合に、健全性入力部32から入力された駆動用バッテリ110の健全性に基づいて外部充電中に冷却装置1を運転制御する。健全性は、SOHで評価される。尚、SOHは、初期時(新品時)の満充電容量に対する劣化時(現在)の満充電容量を百分率で表したもので示される。
【0048】
図8に示す例では、健全性入力部32から入力されたSOHに基づいて制御仕様が設定され、当該制御仕様に基づいて冷却装置1が制御される。例えば、SOHで区分けされた電池冷却のレベルを実現するように、車両制御装置3は冷却装置1を制御制御する。例えば、駆動用バッテリ110の健全性が高いほど駆動用バッテリ110が劣化しやすいため、駆動用バッテリ110の健全性が高いほど目標温度に近づくように冷却装置1が運転制御される。このようにすれば、駆動用バッテリ110の温度が目標温度に近づき、駆動用バッテリ110の劣化を抑制できる。
【0049】
また、例えば、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、オート冷却モードが選択された場合に、冷却開始時間入力部(図示せず)から入力された外部充電の開始から冷却装置1の運転開始までの時間に基づいて外部充電中に冷却装置1を運転制御する。
【0050】
また、例えば、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、オート冷却モードが選択された場合に、車両周りの外気温度が所定温度以上のときは、外部充電中に冷却装置1の運転を停止する。そして、所定時間経過後、車両周りの外気温度が所定温度未満となったときに、外部充電中に冷却装置1の運転を開始する。車両周りの外気温度が所定温度以上のときは、冷却装置1の運転が停止される。よって、所定温度を駆動用バッテリ110の冷却効率が低下する温度とすれば、駆動用バッテリ110の冷却効率が低下した状態で冷却装置1の運転が停止される。一方、冷却装置1の運転を停止し、所定時間経過後、車両周りの外気温度が所定温度未満となったときに、冷却装置1の運転が開始される。よって、所定温度を駆動用バッテリ110の冷却効率が低下する温度とすれば、冷却装置1の運転を停止し、所定時間経過後、駆動用バッテリ110の冷却効率が復帰した状態で冷却装置1の運転が開始(再開)される。これにより、駆動用バッテリ110の冷却効率が高い状態で冷却装置1が運転され、駆動用バッテリ110を効率的に冷却できる。
【0051】
また、例えば、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、オート冷却モードが選択された場合に、冷却運転時間管理部が管理する冷却装置1の運転開始からの時間に基づいて、外部充電中に冷却装置1を運転制御する。例えば、冷却装置1の運転開始からの時間が夜間になると冷却装置1の運転が抑制されるように制御される。これにより、騒音レベルが低い夜間において冷却装置1の作動音(騒音)を低減できる。
【0052】
また、例えば、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、オート冷却モードが選択された場合に、充電率入力部33に入力される駆動用バッテリ110の充電率に基づいて外部充電中に冷却装置1を運転制御する。充電率は、SOCで評価される。尚、SOCは、満充電状態を100%、完全放電状態を0%とする。例えば、駆動用バッテリ110の充電率が100%に近づいた状態で冷却装置1の運転が継続されると駆動用バッテリ110が満充電になるまで時間がかかるので、駆動用バッテリ110の充電率が100%に近づくと冷却装置1の運転が停止される。
【0053】
図9に示すように、車両制御装置3は、高電圧開始モードにおいて、普通充電開始条件が成立すると普通充電が開始される(ステップS1:Yes,ステップS2)。普通充電開始条件は、例えば、普通充電口への普通充電コネクタ(普通充電ガン)の接続であり、普通充電口に普通充電コネクタが接続されると、車両制御装置3が、普通充電を開始する。普通充電開始条件が成立しない場合には(ステップS1:No)、車両制御装置3は、待機状態となる。
【0054】
車両制御装置3は、普通充電を開始すると、オート冷却モードの開始条件が成立しているか否かを判定する(ステップS3)。オート冷却モードの開始条件は、例えば、オン・オフスイッチ41がオフされていないこと、電池温度入力部31に入力された駆動用バッテリ110の電池温度が所定温度(例えば27°C)以上であること、及び、普通充電中であること、である。
【0055】
車両制御装置3は、オート冷却モード開始条件が成立すると(ステップS3:Yes)、予め定められた条件に基づいて冷却装置1を運転制御する(ステップS4)。車両制御装置3は、予め定められた条件に基づいて冷却装置1の運転制御を開始すると、電池冷却の終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS5)。電池冷却の終了条件は、例えば、普通充電中でないこと、及び、電池温度入力部31に入力された駆動用バッテリ110の電池温度が所定温度(例えば22°C)以下であること、又は、充電率が所定値(例えば95%)以上であること、である。車両制御装置3は、電池冷却の終了条件が成立すると(ステップS5:Yes)、電池冷却を終了する(ステップS6)。電池冷却の終了条件が成立しない場合は(ステップS5:No)、車両制御装置は冷却装置1の運転制御を継続する。
【0056】
車両制御装置3は、電池冷却を終了すると、普通充電終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS7)。普通充電終了条件は、例えば、普通充電口から普通充電コネクタ(普通充電ガン)の接続解除である。普通充電口から普通充電コネクタが取り外されると(ステップS7:YES)、車両制御装置3が、普通充電を終了する(ステップS8)。普通充電終了条件が成立しない場合は、(ステップS7:No)、車両制御装置3は、ステップS3へ戻り、オート冷却モードの開始条件の判定を繰り返す。また、オート冷却モードの開始条件が成立しない場合は(ステップS3:No)、車両制御装置3は、ステップS7へ進み、普通充電終了条件の判定を行う。
【0057】
実施形態に係る冷却装置1の制御装置(車両制御装置3)によれば、オン・オフスイッチ41がオンされ、かつ、モード選択スイッチ43によってオート冷却モードが選択された場合に、予め定められた条件に基づいて外部充電中に冷却装置1を運転制御する。これにより、予め定める条件をユーザ又は自動車メーカが適宜設定することにより、ユーザが求める条件で冷却装置1を運転制御できる。
【0058】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0059】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0060】
なお、本出願は、2021年11月22日出願の日本特許出願(特願2021-189448)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0061】
1 冷却装置
11 コンプレッサ
13 熱交換器(コンデンサ)
15 熱交換器(エバポレータ)
17 ラジエータファン
19 冷却ファン
21 エアコン制御装置(エアコンECU)
22 駆動用バッテリ制御装置(BMU)
23 メータ/ナビ
24 騒音検出装置
25 EVリモート制御装置
26 車載充電器制御装置
27 エンジン制御装置
3 車両制御装置(EVECU)(冷却装置の運転制御装置)
31 電池温度入力部
32 健全性入力部
33 充電率入力部
34 騒音レベル入力部
35 充電時刻管理部
36 雰囲気温度入力部
41 オン・オフスイッチ
43 モード選択スイッチ
5 マルチインフォメーションディスプレイ
51 マルチインフォメーションディスプレイスイッチ
G1 「設定モード」画像
G33 「OFF」と「ON」を示す操作画像
G35 「Normal」と「Auto」を示す操作画像
G5 「OFF」「ON」及び「Auto」を示す操作画像
G53 「OFF」と「ON」を示す操作画像操作画像
G55 「ON」と「Auto」を示す操作画像
100 電動車両
110 駆動用バッテリ