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  • 特許-車両の音声認識装置取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車両の音声認識装置取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240416BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B60R11/02 M
H04R1/02 108
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020161593
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054503
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】中田 千秋
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-060850(JP,U)
【文献】国際公開第2015/040886(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0225386(US,A1)
【文献】実開平03-010651(JP,U)
【文献】特開2013-249051(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0136058(KR,A)
【文献】実開昭56-046349(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0280250(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10024400(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラムカバーにより覆われたステアリングコラムの車室内側の後端にステアリングホイールが設けられ、コラムカバー上に音声認識装置が設置された音声認識装置取付構造であって、コラムカバーの上面の車室内側の後端に、車両後方に向かって開口した膨出部が設けられ、膨出部は、コラムカバーの上面を上方に盛り上げるようにように形成され、膨出部内に配された音声認識装置はコラムカバーの上面より少し高い位置にあり、ステアリングホイールが回動したとき、ステアリングホイールの車室前方側の前端面で膨出部の開口が閉塞されることを特徴とする車両の音声認識装置取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリングコラムを覆うコラムカバー上に設置される音声認識装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたディスプレイオーディオやカーナビゲーション装置では、運転者の音声で操作するために音声認識装置を備えている。音声認識装置において、運転者の音声を正確に認識するために、マイクがステアリングコラムを覆うコラムカバーの上面に設置されることが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-249051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハンドル操作中に、オーディオやカーナビゲーションを操作するためにマイクを使うと、運転操作に支障を来す。そこで、ハンドル角センサにより操舵中であることが検知されると、マイクをミュートして、ハンドル操作中は音声入力をオフにする制御が行われることもある。しかし、このような制御を行うには、コストがかかりすぎる。また、マイクがコラムカバーの上面に突出して設置されていると、外光がコラムカバー上で反射して、メータの透明カバーにマイクが映り込み、メータの視認性が悪くなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、簡易にマイクをミュートすることができる車両の音声認識装置取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマイク取付構造は、コラムカバーにより覆われたステアリングコラムの車室内側の後端にステアリングホイールが設けられ、コラムカバーの上面に音声認識装置が設置されたものであって、コラムカバーの上面の車室内側の後端に、車両後方に向かって開口した膨出部が設けられ、膨出部内に音声認識装置が配され、ステアリングホイールが回動したとき、ステアリングホイールの車室前方側の前端面で膨出部の開口が閉塞される。
【0007】
ステアリングホイールが回動されると、ステアリングホイールの前端面が膨出部に近づいて、膨出部の開口が閉塞されるので、音声認識装置は集音できなくなり、音声認識装置をミュートできる。ステアリングホイールが操作されていないとき、ステアリングホイールの前端面は膨出部から離れており、膨出部の開口は塞がれないので、音声認識装置は集音できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ステアリングホイールを回動することにより、音声認識装置のための開口を塞ぐことができるので、簡易な構成によって音声認識装置をミュートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のステアリングホイール周辺構造の正面図
図2】ステアリングホイール周辺構造の断面図
図3】ステアリングホイール周辺構造の斜視図
図4】マイクを内装する膨出部が設けられたコラムカバーの斜視図
図5】ステアリングホイールを回動させたときのステアリングホイール周辺構造の正面図
図6】ステアリングホイールを回動させたときのステアリングホイール周辺構造の断面図
図7】他の実施形態のステアリングホイール周辺構造の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る車両のステアリングホイール周辺構造を図1~3に示す。車両の運転席の前方には、ステアリングホイール1と、メータ2が装着されたインストルメントパネル3が配設され、インストルメントパネル3の下方に、ステアリングシャフト4が挿通されたステアリングコラム5が車両の前後方向に配設される。ステアリングコラム5は、取付ブラケット6によりインストルメントパネル3内に設けられる図示しない補強部材に取り付けられる。メータ2の車室内側面は、上端が下端よりも運転席に近づくように湾曲した曲面に形成され、斜め下方を向くように取り付けられる。
【0011】
ステアリングホイール1は横長の矩形状のステリングホイール本体10と3本のスポーク11を有し、ステリングホイール本体10にステアリングシャフト4の後端が取り付けられる。
【0012】
ステアリングコラム5の後部はコラムカバー12に覆われており、コラムカバー12は、上カバー13と下カバー14とを結合することによって形成される。コラムカバー12の左右からターンレバー15とワイパーレバー16がそれぞれ突出している。コラムカバー12は、ステアリングホイール1とメータ2の間に位置し、コラムカバー12の車室内側を向く後面がステリングホイール本体10に対向している。
【0013】
そして、車両には、ディスプレイオーディオ、カーナビゲーション装置、空調装置といった図示しない音声操作可能な車載機器が搭載されており、音声を認識するための音声認識装置20を備えている。音声認識装置20では、運転者の音声を収集するために、マイク20aが設けられ、マイク20aはコラムカバー12の上面に設置され、ハーネス20bがコラムカバー12内を通って配線される。コラムカバー12の上面の車室内側の後端に、車両後方に向かって開口した膨出部21が設けられ、膨出部21内にマイク20aが配されている。
【0014】
膨出部21は、上カバー15の左右方向の中央の上面端部を上方に盛り上げるように、上カバー13の上面に一体的に形成され、コラムカバー12の車両後方側の面に膨出部21の開口22が形成される。マイク20aは、開口22に臨むように上カバー13の内面に取り付けられ、マイク20aは、コラムカバー12の上面より少し高い位置にある。そして、膨出部21の上面がコラムカバー12の上面と同様の表面処理、例えばシボ加工されることにより、見栄えがよくなり、メータ2に反射しても周囲との差異が生じない。
【0015】
膨出部21の高さは、図1に示すステアリングホイール1を真っすぐにした中立状態において、ステリングホイール本体10の上縁よりも上方となるように設定される。中立状態のとき、膨出部21の開口22は塞がれず、運転者とマイク20aが対面することができるので、マイク20aで集音することができる。
【0016】
そして、図5,6に示すように、ステアリングホイール1が回動したとき、ステアリングホイール1の一部であるステリングホイール本体10の側縁が膨出部21に近接して、膨出部21と運転席との間にステリングホイール本体10が存在することにより、膨出部21がステアリングホイール1の前端面となるステリングホイール本体10で隠れる。これによって、膨出部21の開口22が塞がれる。
【0017】
このように、膨出部21がステアリングホイール1の一部で隠されるように膨出部21の高さが設定される。すなわち、膨出部21の高さは、回動した状態のステリングホイール本体10の周縁よりも下方となるように設定される。このとき、ステリングホイール本体10により膨出部21の開口22が閉塞されて、マイク20aの前方が塞がれるので、マイク20aは集音することができず、ステリングホイール1の操作中にマイク20aをミュートすることができる。これにより、車両を旋回させるような操舵時にマイク20aをミュートできるので、音声操作できる車載機器に気を取られずにステアリングホイール1を確実に操作することができ、危険運転を簡易な構成で抑制することができる。
【0018】
ところで、ステアリングホイール1の操作により、ステリングホイール本体10が膨出部21に対向するが、膨出部21とステリングホイール本体10との間には隙間がある。この隙間を塞ぐために、図7に示すように、膨出部21に弾性を有する被覆部材30を設けてもよい。被覆部材30は、膨出部21の上面に取り付けられ、その後端が膨出部21から車両後方に向かって突出し、ステリングホイール本体10に接触可能である。ステアリングホイール1が真っすぐな中立状態にあるとき、被覆部材30はステリングホイール本体10に接触しないが、ステアリングホイール1が回動されて、ステリングホイール本体10が膨出部21に近づくと、被覆部材30はステリングホイール本体10に接触して、膨出部21とステリングホイール本体10との隙間が塞がれる。これにより、ステアリングホイール1の操作中、マイク20aに対して完全に遮音することができる。
【0019】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。膨出部21はコラムカバー12とは別部材であってもよい。上カバー13の上面端部を切り欠いて、マイク20aの取付孔を形成し、取付孔の上方を覆うように膨出部21となるカバー部材を上カバー13に取り付けてもよい。
【0020】
ステアリングホイール1の形状は、上記のような矩形状のステリングホイール本体10と3本スポーク11に限らず、ステリングホイール本体10の左右方向の長さが上下方向の長さよりも長い形状であればよく、スポーク11もステアリングホイール1が中立状態でマイク20aと乗員との対面を阻害しない位置であれば、1本でも2本、4本でもよい。なお、円形のステリングホイール本体10の場合、ステアリングホイール1のスポーク11で膨出部21の開口22を閉塞してもよい。また、ステリングホイール本体10の前端に、周縁の一部を外側に向かって拡張したフランジ部を形成してもよい。ステリングホイール1が回動すると、フランジ部が膨出部21に対向する位置に移動し、フランジ部が開口22を塞ぐことができる。さらに、フランジ部を弾性部材で形成すれば、ステリングホイール1が回動したときにフランジ部が膨出部21の端面に接触可能となり、開口22を完全に閉塞することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 ステアリングホイール
2 メータ
3 インストルメントパネル
4 ステアリングシャフト
5 ステアリングコラム
10 ステリングホイール本体
11 スポーク
12 コラムカバー
20 音声認識装置
20a マイク
21 膨出部
22 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7