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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】バッテリー状態診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240416BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240416BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20240416BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240416BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240416BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20240416BHJP
   G01R 31/388 20190101ALI20240416BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240416BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240416BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240416BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20240416BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 Q
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/387
G01R31/388
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/12
B60L58/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022549798
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2021005339
(87)【国際公開番号】W WO2021230537
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0058254
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ-スー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン-デオク
(72)【発明者】
【氏名】リム、ボ-ミ
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053564(JP,A)
【文献】特許第6918433(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/033343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G01R 31/36-31/396
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの電圧と容量に対する前記バッテリーの電圧プロファイルを獲得するように構成されたプロファイル獲得部と、
前記プロファイル獲得部によって獲得された電圧プロファイルから前記電圧と前記容量に対する微分プロファイルを獲得し、獲得された微分プロファイルにおいて負極に関わる第1ピーク及び正極に関わる第2ピークの少なくとも一つを決定し、決定した前記第1ピーク及び前記第2ピークの少なくとも一つを予め設定された基準プロファイルの第1基準ピーク及び第2基準ピークの少なくとも一つと比較し、前記第1基準ピークに対する前記第1ピークの変化及び前記第2基準ピークに対する前記第2ピークの変化の少なくとも一つを考慮して前記バッテリーの状態を診断するように構成された制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記基準プロファイルにおいて最も大きいピークを前記第1基準ピークに設定し、二番目で大きいピークを前記第2基準ピークに設定するように構成された
バッテリー状態診断装置。
【請求項2】
前記ピークは、
前記基準プロファイル及び前記微分プロファイルにおいて傾きが0である地点であり、電圧による瞬間変化率が正から負へ変わる地点である、請求項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記微分プロファイルにおいて前記第1基準ピークに対応するピークを前記第1ピークに決定し、前記微分プロファイルにおいて前記第2基準ピークに対応するピークを前記第2ピークに決定するように構成された、請求項またはに記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項4】
前記基準プロファイルは、
前記バッテリーに対応する基準セルが所定のCレート範囲内で充電される間に測定された前記基準セルの電圧と微分容量に対するプロファイルである、請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項5】
前記微分プロファイルは、
前記バッテリーが前記基準セルと同じCレート範囲内で充電される間に測定された前記バッテリーの電圧と微分容量に対するプロファイルである、請求項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2ピークと前記第2基準ピークを比較して第2ピーク変化値を算出し、前記第2ピーク変化値によって前記バッテリーの退化有無を診断するように構成された、請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記バッテリーが退化したと診断された場合、前記第1ピークと前記第1基準ピークを比較して第1ピーク変化値を算出し、前記第1ピーク変化値及び前記第2ピーク変化値によって前記バッテリーの退化原因を診断するように構成された、請求項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1ピーク変化値と前記第2ピーク変化値が所定の大きさ以上である場合、前記バッテリーの退化原因を負極退化及び正極退化に診断するように構成された、請求項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1ピーク変化値が所定の大きさ未満であり、前記第2ピーク変化値が前記所定の大きさ以上である場合、前記バッテリーの退化原因を正極退化に診断するように構成された、請求項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記バッテリーが退化したと診断された場合、前記バッテリーの充電状態の上限、充電状態の下限及び充放電Cレートの上限のうち少なくとも一つを調節するように構成された、請求項に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項11】
前記バッテリーが充電される充電サイクル毎に前記プロファイル獲得部によって獲得された電圧プロファイルを保存するように構成された保存部をさらに含み、
前記制御部は、
前記保存部に保存された複数の電圧プロファイルから複数の微分プロファイルを獲得し、前記複数の微分プロファイルにおいて複数の第1ピーク及び複数の第2ピークを決定し、決定された複数の第1ピークの変化及び複数の第2ピークの変化のうち少なくとも一つに基づいてバッテリーの退化進行の有無を診断するように構成された、請求項1に記載のバッテリー状態診断装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリー状態診断装置を含む、バッテリーパック。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリー状態診断装置を含む、自動車。
【請求項14】
バッテリーの電圧と容量に対する前記バッテリーの電圧プロファイルを獲得する電圧プロファイル獲得段階と、
前記電圧プロファイル獲得段階で獲得した電圧プロファイルから前記電圧と前記容量に対する微分プロファイルを獲得する微分プロファイル獲得段階と、
前記微分プロファイル獲得段階で獲得した微分プロファイルにおいて負極に関わる第1ピーク及び正極に関わる第2ピークの少なくとも一つを決定するピーク決定段階と、
予め設定された基準プロファイルにおいて最も大きいピークを第1基準ピークに設定し、二番目で大きいピークを第2基準ピークに設定する段階と、
決定した前記第1ピーク及び前記第2ピークの少なくとも一つを前記予め設定された基準プロファイルの前記第1基準ピーク及び前記第2基準ピークの少なくとも一つと比較するピーク比較段階と、
前記第1基準ピークに対する前記第1ピークの変化及び前記第2基準ピークに対する前記第2ピークの変化の少なくとも一つを考慮して前記バッテリーの状態を診断するバッテリー状態診断段階と、を含む、
バッテリー状態診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー状態診断装置及び方法に関し、より詳しくは、リアルタイムサイクルデータを用いてバッテリーの退化を診断するバッテリー状態診断装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2020年5月15日出願の韓国特許出願第10-2020-0058254号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
一方、バッテリーセルは、充電や放電の反復によって退化が進み得る。例えば、バッテリーセルの正極側では、電解液が酸化するかまたは結晶構造が破壊され、バッテリーが退化し得る。負極側では、金属リチウムが析出されてバッテリーセルが退化し得る。また、通常、リチウムイオン二次電池の製造条件によって、前記二次電池の容量劣化が早くなる場合がある。したがって、従来には、バッテリーセルの電圧と容量に対する微分プロファイルに基づいき、バッテリーセルの退化を診断する技術が用いられていた。
【0006】
図1は、従来技術による電圧プロファイル10を概略的に示した図である。
【0007】
図1を参照すると、電圧プロファイル10は、バッテリーセルに対する容量Qと電圧を示したプロファイルである。電圧プロファイル10において、バッテリープロファイル13は、正極プロファイル11と負極プロファイル12との差として示し得る。
【0008】
図2は、従来技術による微分プロファイル20を概略的に示した図である。
【0009】
図2を参照すると、微分プロファイル20は、バッテリーセルの容量を電圧で微分して示したプロファイルである。図2に示した電圧プロファイル10において、第1ピーク21、第2ピーク22、第4ピーク24、第5ピーク25、及び第6ピーク26のうち少なくとも一つを用いてバッテリーの退化を診断した。例えば、従来には、第1ピーク21及び/または第2ピーク22を用いてバッテリーの負極退化を診断し、第4ピーク24、第5ピーク25及び第6ピーク26の少なくとも一つを用いてバッテリーの正極退化を診断した。
【0010】
一方、微分プロファイル20の第3ピーク23は、バッテリーセルの正極ピークと負極ピークが混在したピークである。即ち、従来には、正極ピークと負極ピークが混在した第3ピーク23に基づいてバッテリーの正極退化または負極退化を具体的に診断できないという問題があった。そこで、従来には、微分プロファイル20に含まれた複数のピークのうち第3ピーク23を除いたピークを用いてバッテリーの正極退化及び負極退化を診断した。
【0011】
また、従来技術は、図2に示したように、複数のピークが区分される微分プロファイル20を獲得するために、バッテリーセルを低率で充電及び/または放電しなければならないという不具合がある。例えば、図1の電圧プロファイル10は、0.05C(C-rate)でバッテリーセルを充電しながら獲得されたものであり、図2の微分プロファイル20は、図1の電圧プロファイル10に基づいて獲得されたものであり得る。
【0012】
即ち、バッテリーセルが低率で充電または放電すればこそ微分プロファイル20に含まれた各々のピークが明確に示される限界があるため、従来技術はバッテリーセルのテスト過程などの非常に限定的な状況でのみ適用可能な問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高率充電または高率放電によって獲得された微分プロファイルに含まれた特定のピークを解釈してバッテリーの退化を診断できるバッテリー状態診断装置及び方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一面によるバッテリー状態診断装置は、バッテリーの電圧と容量に対する前記バッテリーの電圧プロファイルを獲得するように構成されたプロファイル獲得部と、前記プロファイル獲得部によって獲得された電圧プロファイルから前記電圧と前記容量に対する微分プロファイルを獲得し、獲得された微分プロファイルにおいて所定の電圧区間に含まれた複数のピークを選択し、選択された複数のピークのうち負極に関わる第1ピーク及び正極に関わる第2ピークを決定し、前記第1ピーク及び前記第2ピークを予め設定された基準プロファイルの第1基準ピーク及び第2基準ピークと各々比較し、前記第1基準ピークに対する前記第1ピークの挙動変化及び前記第2基準ピークに対する前記第2ピークの挙動変化の少なくとも一つを考慮して前記バッテリーの状態を診断するように構成された制御部と、を含み得る。
【0016】
前記制御部は、前記基準プロファイルにおいて最も大きいピークを第1基準ピークに設定し、二番目で大きいピークを第2基準ピークに設定するように構成され得る。
【0017】
前記ピークは、前記基準プロファイル及び前記微分プロファイルにおいて傾きが0である地点であり、電圧による瞬間変化率が正から負へ変わる地点であり得る。
【0018】
前記制御部は、前記微分プロファイルにおいて前記第1基準ピークに対応するピークを前記第1ピークに決定し、前記微分プロファイルにおいて前記第2基準ピークに対応するピークを前記第2ピークに決定するように構成され得る。
【0019】
前記基準プロファイルは、前記バッテリーに対応する基準セルが所定のCレート範囲内で充電される間に測定された前記基準セルの電圧と微分容量に対するプロファイルであり得る。
【0020】
前記微分プロファイルは、前記バッテリーが前記基準セルと同じCレート範囲内で充電される間に測定された前記バッテリーの電圧と微分容量に対するプロファイルであり得る。
【0021】
前記制御部は、前記第2ピークと前記第2基準ピークを比較して第2ピーク変化値を算出し、前記第2ピーク変化値によって前記バッテリーの退化有無を診断するように構成され得る。
【0022】
前記制御部は、前記バッテリーが退化したと診断された場合、前記第1ピークと前記第1基準ピークを比較して第1ピーク変化値を算出し、前記第1ピーク変化値及び前記第2ピーク変化値によって前記バッテリーの退化原因を診断するように構成され得る。
【0023】
前記制御部は、前記第1ピーク変化値と前記第2ピーク変化値が所定の大きさ以上である場合、前記バッテリーの退化原因を負極退化及び正極退化に診断するように構成され得る。
【0024】
前記制御部は、前記第1ピーク変化値が所定の大きさ未満であり、前記第2ピーク変化値が前記所定の大きさ以上である場合、前記バッテリーの退化原因を正極退化に診断するように構成され得る。
【0025】
前記制御部は、前記バッテリーが退化したと診断された場合、前記バッテリーの充電状態の上限、充電状態の下限及び充放電Cレートの上限のうち少なくとも一つを調節するように構成され得る。
【0026】
本発明の他面によるバッテリー診断装置は、前記バッテリーが充電される充電サイクル毎に前記プロファイル獲得部によって獲得された電圧プロファイルを保存するように構成された保存部をさらに含み得る。
【0027】
前記制御部は、前記保存部に保存された複数の電圧プロファイルから複数の微分プロファイルを獲得し、前記複数の微分プロファイルにおいて複数の第1ピーク及び複数の第2ピークを決定し、決定された複数の第1ピークの挙動変化及び複数の第2ピークの挙動変化のうち少なくとも一つに基づいてバッテリーの退化進行の有無を診断するように構成され得る。
【0028】
なお、本発明のさらに他面によるバッテリーパックは、本発明の一面によるバッテリー状態診断装置を含み得る。
【0029】
本発明のさらに他面による自動車は、本発明の一面によるバッテリー状態診断装置を含み得る。
【0030】
本発明のさらに他面によるバッテリー状態診断方法は、バッテリーの電圧と容量に対する前記バッテリーの電圧プロファイルを獲得する電圧プロファイル獲得段階と、前記電圧プロファイル獲得段階で獲得した電圧プロファイルから前記電圧と前記容量に対する微分プロファイルを獲得する微分プロファイル獲得段階と、前記微分プロファイル獲得段階で獲得した微分プロファイルにおいて所定の電圧区間に含まれた複数のピークを選択し、選択された複数のピークのうち負極に関わる第1ピーク及び正極に関わる第2ピークを決定するピーク決定段階と、前記第1ピーク及び前記第2ピークを予め設定された基準プロファイルの第1基準ピーク及び第2基準ピークと各々比較するピーク比較段階と、前記第1基準ピークに対する前記第1ピークの挙動変化及び前記第2基準ピークに対する前記第2ピークの挙動変化の少なくとも一つを考慮して前記バッテリーの状態を診断するバッテリー状態診断段階と、を含み得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一面によると、バッテリーの微分プロファイルに含まれた第1ピーク及び第2ピークの挙動を考慮してバッテリーの退化有無を診断することができる。
【0032】
また、バッテリーの正極が退化したか、または負極が退化したかを具体的に診断することで、バッテリーの退化原因をより正確に診断することができる。
【0033】
また、本発明の一面によると、バッテリーが0.1C以上の高率で充電されても、微分プロファイルの解釈によってバッテリーの退化有無及び/または退化原因を診断することができる。
【0034】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0035】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来技術による電圧プロファイルを概略的に示した図である。
図2】技術技術による微分プロファイルを概略的に示した図である。
図3】本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置を概略的に示した図である。
図4】本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置の基準プロファイルを概略的に示した図である。
図5】本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置の基準プロファイルと微分プロファイルの一例を概略的に示した図である。
図6】本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置の基準プロファイルと微分プロファイルの他の例示を概略的に示した図である。
図7】本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置で獲得した複数の微分プロファイルの一例を概略的に示した図である。
図8】本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置で獲得した複数の微分プロファイルの他の例示を概略的に示した図である。
図9】本発明の他の実施例によるバッテリー状態診断方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0038】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0039】
また、本発明に関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやかすと判断される場合、その説明を省略する。
【0040】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0041】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0042】
また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0043】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0044】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。
【0045】
図3は、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100を概略的に示した図である。
【0046】
図3を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、プロファイル獲得部110及び制御部120を含み得る。
【0047】
プロファイル獲得部110は、バッテリーの電圧と容量に対する前記バッテリーの電圧プロファイルを獲得するように構成され得る。
【0048】
ここで、バッテリーは、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したバッテリーセルを意味し得る。一例で、パウチ型リチウムポリマーセル一つがバッテリーとして看做され得る。また、バッテリーは、一つ以上のバッテリーセルが直列及び/または並列で接続されて備えられたバッテリーモジュールを意味し得る。
【0049】
具体的には、プロファイル獲得部110は、バッテリーが充電及び/または放電される間に測定されたバッテリーの電圧及び容量に対する電圧プロファイルを獲得し得る。
【0050】
例えば、プロファイル獲得部110は、図1の電圧プロファイル10のようなバッテリーの電圧プロファイルを獲得し得る。即ち、プロファイル獲得部110が獲得した電圧プロファイルは、バッテリーの容量に対するバッテリーの電圧を示し得る。
【0051】
制御部120は、前記プロファイル獲得部110によって獲得された電圧プロファイルから前記電圧と前記容量に対する微分プロファイル300を獲得するように構成され得る。
【0052】
具体的には、制御部120は、プロファイル獲得部110と通信可能に接続され得る。例えば、プロファイル獲得部110は、獲得した電圧プロファイルを制御部120に送信し、制御部120が電圧プロファイルを受信し得る。他の例で、制御部120は、プロファイル獲得部110にアクセスして電圧プロファイルを獲得し得る。
【0053】
制御部120は、電圧プロファイルを獲得した後、電圧プロファイルに基づいて微分プロファイル300を獲得し得る。
【0054】
具体的には、制御部120は、バッテリーの容量Qをバッテリーの電圧Vで微分してバッテリーの微分容量dQ/dVを算出し、バッテリーの電圧に対するバッテリーの微分容量を示す微分プロファイル300を獲得し得る。
【0055】
また、制御部120は、獲得された微分プロファイル300において所定の電圧区間に含まれた複数のピークを選択するように構成され得る。
【0056】
ここで、所定の電圧区間とは、予め設定された電圧区間であって、基準プロファイル200の第1基準ピークR1と第2基準ピークR2が属する電圧区間であり得る。即ち、制御部120は、獲得した微分プロファイル300において、基準プロファイル200の第1基準ピークR1と第2基準ピークR2が属する電圧区間に含まれた複数のピークを選択し得る。
【0057】
ここで、基準プロファイル200とは、基準セルに対する微分プロファイル300であって、基準セルの電圧に対する基準セルの微分容量を示すプロファイルであり得る。そして、基準セルは、バッテリーに対応するセルであり得る。
【0058】
例えば、基準セルは、BOL(Beginning of Life)状態のバッテリー自体であるか、または前記バッテリーと同じ仕様の別のバッテリーであり得る。そして、基準プロファイル200は、基準セルから獲得された最初の微分プロファイル300であり得る。他の例で、基準プロファイル200は、以前の時点で予め獲得されたバッテリーの微分プロファイル300であり得る。即ち、基準プロファイル200は、バッテリーの微分プロファイル300と比較されるための基準になるプロファイルであって、制御部120がバッテリーの状態を診断するために微分プロファイル300を獲得する前に予め獲得されたプロファイルであれば、前記微分プロファイル300に対する基準プロファイル200とし得る。
【0059】
望ましくは、基準セルが対象バッテリーのBOL状態であり、基準プロファイル200が基準セルに対する最初の微分プロファイル300であり得る。このような基準プロファイル200がバッテリーの状態を診断するために用いられる場合、制御部120は、BOL状態と現在バッテリーの状態との差をより正確に診断できる。したがって、以下では、説明の便宜及びバッテリー状態診断の正確度の向上のために、基準セルがBOL状態の対象バッテリーを意味し、基準プロファイル200が基準セルに対する最初の微分プロファイル300であることに説明する。
【0060】
そして、制御部120は、選択された複数のピークのうち負極に関わる第1ピーク310及び正極に関わる第2ピーク320を決定するように構成され得る。
【0061】
望ましくは、微分プロファイル300において所定の電圧区間に含まれた複数のピークは、負極に関わる第1ピーク310及び正極に関わる第2ピーク320を含み得る。
【0062】
例えば、所定の電圧区間には二つのピークが含まれ得る。この場合、制御部120は、所定の電圧区間に含まれた二つのピークのうち低電位側ピークを第1ピーク310と決定し、高電位側ピークを第2ピーク320と決定し得る。
【0063】
制御部120は、前記第1ピーク310及び前記第2ピーク320を、予め設定された基準プロファイル200の第1基準ピークR1及び第2基準ピークR2と各々比較するように構成され得る。
【0064】
図4は、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100の基準プロファイル200を概略的に示した図である。図5は、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100の基準プロファイル200と微分プロファイル300の一例を概略的に示した図である。
【0065】
図4及び図5を参照すると、3.6~3.8Vの電圧区間内に第1基準ピークR1及び第2基準ピークR2が含まれ得る。また、図5を参照すると、3.6~3.8Vの電圧区間内に第1ピーク310及び第2ピーク320が含まれ得る。
【0066】
ここで、ピークとは、前記基準プロファイル200及び前記微分プロファイル300において傾きが0である地点であり、電圧による瞬間変化率が正から負へ変わる地点を意味する。
【0067】
例えば、図5の実施例において、第1基準ピークR1、第2基準ピークR2、第1ピーク310及び第2ピーク320は、傾きが0であり得る。即ち、第1基準ピークR1、第2基準ピークR2、第1ピーク310及び第2ピーク320は、上方へ膨らんだ地点であり得る。
【0068】
望ましくは、第1ピーク310は、第1基準ピークR1に対応するピークであり、第2ピーク320は、第2基準ピークR2に対応するピークである。このために、制御部120は、前記微分プロファイル300において前記第1基準ピークR1に対応するピークを前記第1ピーク310に決定し、前記微分プロファイル300において前記第2基準ピークR2に対応するピークを前記第2ピーク320に決定するように構成され得る。
【0069】
制御部120は、前記第1基準ピークR1に対する前記第1ピーク310の挙動変化及び前記第2基準ピークR2に対する前記第2ピーク320の挙動変化のうち少なくとも一つを考慮して前記バッテリーの状態を診断するように構成され得る。
【0070】
ここで、挙動変化とは、基準ピークR1、R2の微分容量値からピーク310、320の微分容量値への変化を意味し得る。例えば、基準ピークR1、R2の微分容量値とピーク310、320の微分容量値との大小比較及び差の算出によってピーク310、320の挙動変化が決定され得る。図5の実施例において、第1基準ピークR1の微分容量値よりも第1ピーク310の微分容量値が小さいため、第1ピーク310の挙動変化は、微分容量値が減少したと決定し得る。また、第2基準ピークR2の微分容量値よりも第2ピーク320の微分容量値が小さいため、第2ピーク320の挙動変化は、微分容量値が減少した決定し得る。
【0071】
例えば、制御部120は、第1ピーク310の挙動変化及び第2ピーク320の挙動変化の少なくとも一つに基づいてバッテリーの退化有無を診断し得る。また、制御部120は、バッテリーの正極退化の有無及び/またはバッテリーの負極退化の有無を具体的に診断し得る。
【0072】
本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーの微分プロファイル300に含まれた第1ピーク310及び第2ピーク320の挙動を考慮してバッテリーの退化を診断し得る。特に、バッテリー状態診断装置100は、バッテリーの正極が退化したか、または負極が退化したかを具体的に診断することで、バッテリーの退化原因をより正確に診断できる。
【0073】
一方、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100に備えられた制御部120は、本発明で行われる多様な制御ロジッグを実行するために当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジッグがソフトウェアとして具現されるとき、制御部120は、プログラムモジュールの集合として具現され得る。この際、プログラムモジュールはメモリーに保存され、制御部120によって実行され得る。メモリーは、制御部120の内部または外部にあってもよく、公知の多様な手段で制御部120と接続され得る。
【0074】
前記制御部120は、前記基準プロファイル200において最も大きいピークを第1基準ピークR1に設定し、二番目で大きいピークを第2基準ピークR2に設定するように構成され得る。具体的には、制御部120は、前記基準プロファイル200において微分容量値が最大であるピークを第1基準ピークR1に設定し、微分容量値が二番目で大きいピークを第2基準ピークR2に設定するように構成され得る。
【0075】
例えば、図4の基準プロファイル200において、最も大きいピークが第1基準ピークR1に設定され得る。また、図4の基準プロファイル200において二番目で大きいピークが第2基準ピークR2に設定され得る。
【0076】
そして、制御部120は、前記微分プロファイル300において前記第1基準ピークR1に対応するピークを前記第1ピーク310に決定し、前記微分プロファイル300において前記第2基準ピークR2に対応するピークを前記第2ピーク320に決定するように構成され得る。
【0077】
例えば、制御部120は、微分プロファイル300において第1基準ピークR1の電圧値に最も近い電圧値のピークを第1ピーク310に決定し得る。同様に、制御部120は、微分プロファイル300において第2基準ピークR2の電圧値に最も近い電圧値のピークを第2ピーク320に決定し得る。
【0078】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、互いに対応する基準プロファイル200の基準ピークR1、R2と微分プロファイル300のピーク310、320との挙動変化に基づいてバッテリーの状態をより正確に診断できる。
【0079】
また、基準プロファイル200は、前記バッテリーに対応する基準セルが所定のCレート(C-rate)範囲内で充電される間に測定された前記基準セルの電圧と微分容量に対するプロファイルであり得る。そして、前記微分プロファイル300は、前記バッテリーが前記基準セルと同じCレート範囲内で充電される間に測定された前記バッテリーの電圧と微分容量に対するプロファイルであり得る。
【0080】
ここで、所定のCレート範囲とは、0.1C以上の範囲であり得る。即ち、基準プロファイル200は、基準セルを0.1C以上のCレート範囲で高率で充電する間に獲得されたプロファイルであり得る。望ましくは、基準プロファイル200は、基準セルを0.2C以上1C以下のCレートで充電する間に獲得されたプロファイルであり得る。より望ましくは、基準プロファイル200は、基準セルを0.33C以上1C以下のCレートで充電する間に獲得されたプロファイルであり得る。以下では、説明の便宜のために、基準プロファイル200及び微分プロファイル300が0.33CのCレートで基準セル及びバッテリーを各々充電する間に獲得されたことに説明する。
【0081】
一方、図2の微分プロファイル20は、バッテリーセルが0.05CのCレートで充電される間に獲得されたプロファイルであり得る。以下では、図2の微分プロファイル20を、前記基準セルが0.05CのCレートで充電される間に獲得されたプロファイルとして説明する。
【0082】
即ち、図2の微分プロファイル20は、第1ピークから第6ピーク21、22、23、24、25、26が鮮明に含まれるように、0.05C程度のCレートで基準セルを低率充電しながら獲得されたプロファイルである。これによって、図2の微分プロファイル20には、第1ピークから第6ピーク21、22、23、24、25、26が明確に区分されて含まれ得る。
【0083】
これと異なり、図4の基準プロファイル200は、0.33CのCレートで基準セルを高率充電する間に獲得されたものである。これによって、基準プロファイル200において、図2の微分プロファイル20に含まれた第1ピーク21から第6ピーク21、22、23、24、25、26が明確に区分されない。具体的には、基準セルが0.33CのCレートで高率充電されると、図2の微分プロファイル20に含まれた第3ピーク23が第4の基準プロファイル200に含まれた第1基準ピークR1と第2基準ピークR2に分けられ得る。これは、低率充電の場合には正極ピーク及び負極ピークが混在されて第3ピーク23が形成されるが、高率充電の場合には正極及び負極の挙動が変わり、正極ピークと負極ピークが形成される電位が変わるためである。これによって、図2の微分プロファイル20に含まれた第3ピーク23は、基準セルが高率充電(例えば、0.33CのCレートで充電)される場合、図4の基準プロファイル200に含まれた第1基準ピークR1と第2基準ピークR2に分けられ得る。
【0084】
そして、図5の実施例の微分プロファイル300において、制御部120は、第1基準ピークR1に対応するピークを第1ピーク310に決定し、第2基準ピークR2に対応するピークを第2ピーク320に決定し得る。その後、制御部120は、第1ピーク310の挙動変化及び/または第2ピーク320の挙動変化に基づいてバッテリーの状態を診断し得る。
【0085】
したがって、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、低率充電によって獲得された微分プロファイル20を用いてバッテリーの状態を診断する従来技術とは異なり、高率充電によって獲得された微分プロファイル300を用いてバッテリーの状態を診断可能であるという長所がある。特に、バッテリーが高率充電される場合にもバッテリーの状態診断が可能になるため、バッテリーの状態診断がより迅速に行われるという長所がある。
【0086】
また、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、高率充電によって獲得された微分プロファイル300に含まれた複数のピーク310、320の挙動からバッテリーの状態を診断できる新しいピーク解釈が提供可能であるという長所がある。
【0087】
即ち、バッテリー状態診断装置100は、従来にはバッテリー状態診断に活用されなかった第1基準ピークR1及び第2基準ピークR2を用いてバッテリーの状態を診断できる。
【0088】
例えば、従来には、低率充電が求められたため、バッテリーのテスト段階などのように低率充電が可能な限定的な状況でのみバッテリーの状態を診断しなければならない制限があった。しかし、バッテリー状態診断装置100は、高率充電においてもバッテリーの状態が診断可能であるため、バッテリーが電子装置(電子製品、自動車またはエネルギー貯蔵システム(Energy storage system,ESS)など)にて駆動されるなどの多様な状況においてもバッテリーの状態が診断可能であるという長所がある。
【0089】
前記制御部120は、前記第2ピーク320と前記第2基準ピークR2を比較して第2ピーク変化値を算出するように構成され得る。そして、制御部120は、前記第2ピーク変化値から前記バッテリーの退化有無を診断するように構成され得る。
【0090】
例えば、制御部120は、第2ピーク320の微分容量と第2基準ピークR2の微分容量との差に基づいて第2ピーク変化値を算出し得る。具体的には、制御部120は、第2基準ピークR2の微分容量値から第2ピーク320の微分容量値を引いた値を第2ピーク変化値として算出し得る。
【0091】
そして、算出された第2ピーク変化値が所定の大きさ以上であれば、制御部120は、バッテリーが退化したと診断し得る。逆に、算出された第2ピーク変化値が所定の大きさ未満であれば、制御部120は、バッテリーが退化していないと診断し得る。この場合、望ましくは、所定の大きさは、初期設定値に固定された値であり得る。
【0092】
具体的には、所定の大きさは、バッテリーの退化有無を診断するためにピーク変化値(基準ピークの微分容量値とピークの微分容量値との差)と比較される基準値であるため、バッテリーが退化した程度に関係なく固定設定された値であり得る。
【0093】
したがって、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、第2基準ピークR2と第2ピーク320とのピーク変化値のみを考慮して、バッテリーの退化有無を迅速に診断できるという長所がある。
【0094】
前記制御部120は、前記バッテリーが退化したと診断された場合、前記第1ピーク310と前記第1基準ピークR1を比較して第1ピーク変化値を算出するように構成され得る。具体的には、制御部120は、第1基準ピークR1の微分容量値から第1ピーク310の微分容量値を引いた値を第1ピーク変化値として算出し得る。
【0095】
そして、制御部120は、前記第1ピーク変化値及び前記第2ピーク変化値によって前記バッテリーの退化原因を診断するように構成され得る。
【0096】
具体的には、制御部120は、前記第1ピーク変化値及び前記第2ピーク変化値によって、前記バッテリーの退化原因を正極退化及び/または負極退化に診断し得る。ここで、負極退化とは、可溶リチウムが損失され、バッテリーの負極側で退化が進んだことを意味する。また、正極退化とは、正極反応面積が損失され、バッテリーの正極側で退化が進んだことを意味する。
【0097】
例えば、制御部120は、第2ピーク変化値に基づいてバッテリーの退化有無を診断した後、バッテリーの退化原因を診断するために第1ピーク310の微分容量値と第1基準ピークR1の微分容量値との差に基づいて第1ピーク変化値を算出し得る。そして、算出された第1ピーク変化値が所定の大きさ以上であれば、制御部120は、バッテリーの退化原因を負極退化及び正極退化に診断し得る。逆に、算出された第1ピーク変化値が所定の大きさ未満であれば、制御部120は、バッテリーの退化原因を正極退化に診断し得る。
【0098】
具体的には、算出された第1ピーク変化値が所定の大きさ以上である場合、制御部120は、第1ピーク変化値と第2ピーク変化値の大きさを比較してバッテリーの主な退化原因を診断し得る。例えば、第1ピーク変化値が第2ピーク変化値よりも大きい場合、制御部120は、バッテリーの主な退化原因を負極退化に診断し得る。逆に、第1ピーク変化値が第2ピーク変化値よりも小さい場合、制御部120は、バッテリーの主な退化原因を正極退化に診断し得る。
【0099】
図6は、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100の基準プロファイル200と微分プロファイル300の他の例を概略的に示した図である。
【0100】
具体的には、図5は、負極及び正極が退化したバッテリーの微分プロファイル300を概略的に示した図であり、図6は、正極が退化したバッテリーの微分プロファイル300を概略的に示した図である。
【0101】
図5及び図6を参照すると、バッテリーの正極が退化した場合、第2基準ピークR2と第2ピーク320との間の第2ピーク変化値が所定の大きさ以上であり得る。即ち、バッテリーの正極が退化した場合、第2ピーク320の微分容量値は、第2基準ピークR2の微分容量値よりも所定の大きさ以上に小さくなり得る。
【0102】
そして、図5及び図6をさらに参照すると、バッテリーの負極が退化した場合には、第1基準ピークR1と第1ピーク310との間の第1ピーク変化値が所定の大きさ以上であり得る。即ち、バッテリーの負極が退化した場合、第1ピーク310の微分容量値は、第1基準ピークR1の微分容量値よりも所定の大きさ以上に小さくなり得る。
【0103】
即ち、前記制御部120は、前記第1ピーク変化値及び前記第2ピーク変化値が所定の大きさ以上である場合、前記バッテリーの負極及び正極が損失したと診断するように構成され得る。これと異なり、前記制御部120は、前記第1ピーク変化値が所定の大きさ未満であり、前記第2ピーク変化値が前記所定の大きさ以上である場合、前記バッテリーの正極が損失したと診断するように構成され得る。
【0104】
したがって、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、第2ピーク変化値に基づいてバッテリーの退化有無を迅速に診断し、第1ピーク変化値に基づいてバッテリーの退化原因を具体的に診断可能であるという長所がある。
【0105】
他の例で、バッテリーの第1ピーク変化値及び第2ピーク変化値に対して複数の基準範囲が予め設定され得る。例えば、複数の基準範囲は、第1基準範囲、第2基準範囲及び第3基準範囲を含み得る。但し、複数の基準範囲は、以下に説明するように、3つの範囲のみに区分されず、より細かく区分され得る。
【0106】
制御部120は、第1ピーク変化値及び第2ピーク変化値を複数の基準範囲と比較し、比較結果によってバッテリーの退化有無を診断し得る。
【0107】
制御部120は、第2ピーク変化値を算出した後、複数の基準範囲のうち第2ピーク変化値が属する第2ターゲット範囲を決定し得る。そして、制御部120は、第2ターゲット範囲に設定された内容に基づいて、バッテリーの退化有無を診断し得る。例えば、第2ターゲット範囲が第1基準範囲である場合、制御部120は、バッテリーが退化しなていないと診断し得る。逆に、第2ターゲット範囲が第2基準範囲または第3基準範囲である場合、制御部120は、バッテリーが退化したと診断し得る。
【0108】
もし、バッテリーが退化したと診断された場合、制御部120は、第1基準ピークR1と第1ピーク310との間の第1ピーク変化値を算出し得る。そして、制御部120は、複数の基準範囲のうち第1ピーク変化値が属する第1ターゲット範囲を決定し得る。そして、制御部120は、第1ターゲット範囲に設定された内容に基づいて、バッテリーの退化原因を診断し得る。
【0109】
例えば、第1ターゲット範囲が第1基準範囲である場合、制御部120は、バッテリーの退化原因を正極退化に診断し得る。逆に、第1ターゲット範囲が第2基準範囲または第3基準範囲である場合、制御部120は、バッテリーの退化原因を正極退化及び負極退化に診断し得る。第1ターゲット範囲及び第2ターゲット範囲の組合せによる制御部120の判断結果は、下記の表1に基づいて具体的に説明する。
【0110】
より具体的には、制御部120は、第1ピーク変化値及び第2ピーク変化値と複数の基準範囲を比較し、比較結果によってバッテリーの退化程度を診断し得る。
【0111】
前述したように、第1基準範囲は、許容される誤差範囲に設定され得る。即ち、第1基準範囲は、正常範囲を意味し得る。第2基準範囲は、バッテリーが退化してバッテリーの状態が警告状態であることを示す警告範囲を意味し得る。第3基準範囲は、バッテリーが退化してバッテリーの状態が危険状態であることを示す危険範囲を意味し得る。
【0112】
第1ピーク変化値と第2ピーク変化値が複数の基準範囲のうちどの範囲に属するかによる制御部120の診断結果は、下記の表1のようである。
【0113】
【表1】
【0114】
前述したように、第1ターゲット範囲は、複数の基準範囲のうち第1ピーク変化値が属する範囲を意味する。同様に、第2ターゲット範囲は、複数の基準範囲のうち第2ピーク変化値が属する範囲を意味する。そして、表1において、括弧内の内容は、前述した警告状態または危険状態を示す。
【0115】
具体的には、第2ターゲット範囲が第1基準範囲であれば、制御部120は、バッテリーが退化していないと診断し得る。
【0116】
そして、第1ターゲット範囲が第1基準範囲であれば、制御部120は、バッテリーの退化原因が負極退化ではないと診断し得る。即ち、制御部120は、バッテリーが退化していないか、またはバッテリーの正極が退化したと診断し得る。望ましくは、制御部120は、第2ターゲット範囲を先に決定した後に第1ターゲット範囲を決定するため、第1ターゲット範囲が第1基準範囲であれば、制御部120はバッテリーの退化原因を正極退化に診断し得る。
【0117】
第2ターゲット範囲が第2基準範囲であれば、制御部120は、バッテリーが退化しており、退化の原因を正極退化に診断し得る。また、制御部120は、バッテリーの正極退化の程度を警告状態に診断し得る。
【0118】
そして、第2ターゲット範囲が第3基準範囲であれば、制御部120は、バッテリーが退化しており、退化の原因を正極退化に診断し得る。また、制御部120は、バッテリーの正極退化の程度を危険状態と診断し得る。
【0119】
第2ターゲット範囲が第2基準範囲または第3基準範囲であり、第1ターゲット範囲が第2基準範囲であれば、制御部120は、バッテリーが退化しており、退化の原因を負極退化に診断し得る。また、制御部120は、バッテリーの負極退化の程度を警告状態に診断し得る。
【0120】
そして、第2ターゲット範囲が第2基準範囲または第3基準準範囲であり、第1ターゲット範囲が第3基準範囲であれば、制御部120は、バッテリーが退化しており、退化の原因を負極退化に診断し得る。また、制御部120は、バッテリーの負極退化の程度を危険状態に診断し得る。
【0121】
即ち、表1を参照すると、制御部120は、第1ターゲット範囲と第2ターゲット範囲の組合せによってバッテリーの退化有無、退化原因及び退化程度を診断できる。
【0122】
したがって、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーの状態を多様な側面で詳細に診断可能である。また、バッテリーが高率充電される場合にもバッテリーの状態が診断できるため、バッテリーの状態をより迅速に診断できる。
【0123】
また、前述したように、複数の基準範囲は、表1の3つの範囲のみに分けられず、より細分化して設定可能である。この場合、制御部120は、バッテリーの退化程度をより具体的に診断できる。
【0124】
前記制御部120は、前記バッテリーが退化したと診断された場合、前記バッテリーの充電状態(State of charge,SOC)の上限、充電状態の下限及び充放電Cレートの上限のうち少なくとも一つを調節するように構成され得る。
【0125】
制御部120は、バッテリーの退化が進む速度を遅延させるために、バッテリーが最大に充電され得る充電状態の上限、バッテリーが最大に放電され得る充電状態の下限、バッテリーの充電Cレートの上限及びバッテリーの放電Cレートの下限のうち少なくとも一つを調節するように構成され得る。
【0126】
具体的には、制御部120は、バッテリーの充電状態の上限を低め得る。制御部120は、バッテリーの充電状態の下限を高め得る。制御部120は、充電Cレートの上限を低め得る。制御部120は、放電Cレートの上限を低め得る。
【0127】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーの退化有無を診断した後、診断結果に応じてバッテリーの退化速度を遅延させる措置を取り得るという長所がある。
【0128】
本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、保存部130をさらに含み得る。
【0129】
ここで、保存部130は、制御部120がバッテリーの状態を診断するのに必要なプログラム及びデータなどを保存し得る。即ち、保存部130は、バッテリー状態診断装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータやプログラムまたは動作及び機能が行われる過程で生成されるデータなどを保存し得る。保存部130は、データを記録、消去、更新及び読出可能な公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限されない。一例として、情報保存手段には、RAM、フラッシュメモリー(登録商標)、ROM、EEPROM、レジスターなどが挙げられる。また、保存部130は、制御部120によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0130】
保存部130は、前記バッテリーが充電される充電サイクル毎に前記プロファイル獲得部110によって獲得された電圧プロファイルを保存するように構成され得る。
【0131】
望ましくは、保存部130は、充電サイクル毎に電圧プロファイルを区分して保存し得る。例えば、保存部130は、保存される電圧プロファイルに充電サイクルに対するインデックスを設定し得る。
【0132】
前記制御部120は、前記保存部130に保存された複数の電圧プロファイルから複数の微分プロファイル300を獲得するように構成され得る。即ち、制御部120と保存部130は、通信可能に接続され得る。制御部120は、保存部130にアクセスして、保存部130に保存された一つ以上の電圧プロファイルを獲得し得る。望ましくは、制御部120は、保存部130に保存された複数の電圧プロファイルを獲得し得る。
【0133】
また、制御部120は、保存部130に保存された複数の電圧プロファイルのうち一部を選択的に獲得し得る。この場合、制御部120は、獲得する電圧プロファイルを電圧プロファイルに設定されたインデックスを通じて選択し得る。
【0134】
図7は、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100から獲得した複数の微分プロファイル300の一例を概略的に示した図である。図8は、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100から獲得した複数の微分プロファイル300の他の例を概略的に示した図である。
【0135】
望ましくは、基準プロファイル200、第1微分プロファイル300a、第2微分プロファイル300b、第3微分プロファイル300c、第4微分プロファイル300d及び第5微分プロファイル300eは、保存部130に保存され得る。
【0136】
例えば、図7の実施例において、制御部120は、保存部130から第1微分プロファイル300a、第2微分プロファイル300b及び第3微分プロファイル300cを選択的に獲得し得る。他の例で、図8の実施例において、制御部120は、保存部130から第4微分プロファイル300d及び第5微分プロファイル300eを選択的に獲得し得る。
【0137】
以下では、説明の便宜のために、第1微分プロファイル300a、第2微分プロファイル300b及び第3微分プロファイル300cの順にバッテリーの充放電サイクル回数が増加したと仮定する。例えば、第1微分プロファイル300aは、充放電サイクル回数が100であるバッテリーに対する微分プロファイル300であり、第2微分プロファイル300bは、充放電サイクル回数が 200であるバッテリーに対する微分プロファイル300であり、第3微分プロファイル300cは、充放電サイクル回数が300であるバッテリーに対する微分プロファイル300であり得る。また、第4微分プロファイル300dのバッテリーの充放電サイクル回数が、第5微分プロファイル300eのバッテリーの充放電サイクル回数よりも少ないと仮定する。
【0138】
また、制御部120は、前記複数の微分プロファイル300において複数の第1ピーク310及び複数の第2ピーク320を決定するように構成され得る。
【0139】
制御部120は、複数の微分プロファイル300の各々において基準プロファイル200の第1基準ピークR1に対応するピークを第1ピーク310に決定し、第2基準ピークR2に対応するピークを第2ピーク320に決定し得る。
【0140】
図7を参照すると、制御部120は、第1微分プロファイル300a、第2微分プロファイル300b及び第3微分プロファイル300cにおいて第1ピーク310a、310b、310c及び第2ピーク320a、320b、320cを決定し得る。また、図8を参照すると、制御部120は、第4微分プロファイル300d及び第5微分プロファイル300eの各々において、第1ピーク310d、310e及び第2ピーク320d、320eを決定し得る。
【0141】
即ち、第1微分プロファイル300aの第1ピーク310a、第2微分プロファイル300bの第1ピーク310b、第3微分プロファイル300cの第1ピーク310c、第4微分プロファイル300dの第1ピーク310d及び第5微分プロファイル300eの第1ピーク310eは、いずれも基準プロファイル200の第1基準ピークR1に対応するピークであり得る。
【0142】
同様に、第1微分プロファイル300aの第2ピーク320a、第2微分プロファイル300bの第2ピーク320b、第3微分プロファイル300cの第2ピーク320c、第4微分プロファイル300dの第2ピーク320d及び第5微分プロファイル300eの第2ピーク320eは、いずれも基準プロファイル200の第2基準ピークR2に対応するピークであり得る。
【0143】
制御部120は決定された複数の第1ピーク310の挙動変化及び複数の第2ピーク320の挙動変化のうち少なくとも一つに基づいてバッテリーの退化進行の有無を診断するように構成され得る。
【0144】
例えば、図7の実施例において、制御部120は、バッテリーの充放電サイクル回数に基づいて複数の第2ピーク320の微分容量別の差を算出し得る。具体的には、制御部120は、第1微分プロファイル300aの第2ピーク320aの微分容量値と第2微分プロファイル300bの第2ピーク320bの微分容量値との差に基づいてピーク変化値を算出し得る。また、制御部120は、第2微分プロファイル300bの第2ピーク320bの微分容量値と第3微分プロファイル300cの第2ピーク320cの微分容量値との差に基づいてピーク変化値を算出し得る。
【0145】
バッテリーの充放電サイクル回数が増加するほど複数の第2ピーク320の間のピーク変化値が増加する場合、制御部120はバッテリーの退化が加速していると診断し得る。逆に、バッテリーの充放電サイクル回数が増加するほど複数の第2ピーク320の間のピーク変化値が減少する場合、制御部120はバッテリーの退化が減速していると診断し得る。
【0146】
例えば、第2微分プロファイル300bの第2ピーク320bと第3微分プロファイル300cの第2ピーク320cとの間のピーク変化値が第1微分プロファイル300aの第2ピーク320aと第2微分プロファイル300bの第2ピーク320bとの間のピーク変化値よりも大きい場合、制御部120はバッテリーの退化が加速していると診断し得る。この場合、基準プロファイル200の第2基準ピークR2と第1微分プロファイル300aの第2ピーク320aとの間の第2ピーク変化値、第2基準ピークR2と第2微分プロファイル300bの第2ピーク320bとの間の第2ピーク変化値、及び第2基準ピークR2と第3微分プロファイル300cの第2ピーク320cとの間の第2ピーク変化値のうち少なくとも一つは、所定の大きさ以上であり得る。即ち、制御部120は、獲得した複数の微分プロファイル300a、300b、300cのうち少なくとも一つに基づいてバッテリーが退化したと診断した場合、バッテリーの退化進行の有無を診断し得る。
【0147】
以上、図7の実施例を参照して、第1微分プロファイル300a、第2微分プロファイル300b及び第3微分プロファイル300cに基づいて制御部120がバッテリーの退化進行の有無を診断する実施例を説明した。但し、制御部120は、図7の実施例と異なり、多数の微分プロファイル300に基づいてバッテリーの退化進行の有無を診断できる。このような場合、バッテリーの退化進行の有無がより正確に診断可能である。
【0148】
以下では、制御部120が第1ピーク310の挙動変化及び複数の第2ピーク320の挙動変化のうち少なくとも一つに基づいてバッテリーの退化進行の原因を診断する実施例を説明する。但し、説明の便宜のために、前述した内容についての重複説明は省略されたことに留意する。また、以下に説明する複数の第1ピーク310の挙動変化は、前述した複数の第2ピーク320の挙動変化に基づいて説明され得る。
【0149】
制御部120は、決定された複数の第1ピーク310の挙動変化及び複数の第2ピーク320の挙動変化のうち少なくとも一つに基づいてバッテリーの退化進行の原因を診断するように構成され得る。
【0150】
例えば、制御部120が複数の第2ピーク320の挙動変化に基づいてバッテリーの退化が加速することに診断したと仮定する。即ち、バッテリーの充放電サイクルの回数が増加するほど、複数の第2ピーク320の間のピーク変化値が増加し、制御部120が、バッテリーの退化が加速していることに診断したと仮定する。図7の実施例のように、バッテリーの充放電サイクルの回数が増加するほど、複数の第1ピーク310の間のピーク変化値が増加する場合、制御部120は、バッテリーの退化が加速する原因をバッテリーの正極退化及び負極退化に診断し得る。逆に、図8の実施例のように、バッテリーの充放電サイクル回数が増加しても複数の第1ピーク310の間のピーク変化値が増加しない場合、制御部120は、バッテリーの退化が加速する原因をバッテリーの正極退化に診断し得る。
【0151】
本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーの退化進行の有無のみならず、バッテリーの退化が進む原因を診断して、バッテリーの状態をより具体的に診断可能であるという長所がある。
【0152】
本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、BMS(Battery Management System)に適用可能である。即ち、本発明によるBMSは、バッテリー状態診断装置100を含み得る。このような構成において、バッテリー状態診断装置100の各構成要素の少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完または追加することで具現され得る。例えば、プロファイル獲得部110、制御部120及び保存部130は、BMSの構成要素として具現され得る。
【0153】
また、本発明の一実施例によるバッテリー状態診断装置100は、バッテリーパックに備えられ得る。即ち、本発明によるバッテリーパックは、バッテリー状態診断装置100及び一つ以上のバッテリーセルを含み得る。また、バッテリーパックは、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。
【0154】
図9は、本発明の他の実施例によるバッテリー状態診断方法を概略的に示した図である。バッテリー状態診断方法の各段階は、バッテリー状態診断装置100によって行われ得る。
【0155】
図9を参照すると、バッテリー状態診断方法は、電圧プロファイル獲得段階S100、微分プロファイル獲得段階S200、ピーク決定段階S300、ピーク比較段階S400及びバッテリー状態診断段階S500を含み得る。
【0156】
電圧プロファイル獲得段階S100は、バッテリーの電圧と容量に対する前記バッテリーの電圧プロファイルを獲得する段階であり、プロファイル獲得部110によって行われ得る。例えば、バッテリーが0.33CのCレートで充電される間に、電圧プロファイルが獲得され得る。
【0157】
微分プロファイル獲得段階S200は、前記電圧プロファイル獲得段階S100で獲得された電圧プロファイルから前記電圧と前記容量に対する微分プロファイル300を獲得する段階であり、制御部120によって行われ得る。
【0158】
ここで、電圧プロファイルは、容量Qと電圧Vに対するプロファイルであり、微分プロファイル300は、電圧Vと微分容量dQ/dVに対するプロファイルである。
【0159】
ピーク決定段階S300は、前記微分プロファイル獲得段階S200で獲得された微分プロファイル300において所定の電圧区間に含まれた複数のピークを選択し、選択された複数のピークのうち負極に関わる第1ピーク310及び正極に関わる第2ピーク320を決定する段階であり、制御部120によって行われ得る。
【0160】
所定の電圧区間とは、基準プロファイル200の第1基準ピークR1及び第2基準ピークR2が属するように予め設定された電圧区間であり得る。例えば、図5及び図6の実施例において、制御部120は、基準プロファイル200において第1基準ピークR1及び第2基準ピークR2を決定し得る。望ましくは、第1基準ピークR1は、基準プロファイル200において最も大きい微分容量値を有するピークであり、第2基準ピークR2は、基準プロファイル200において二番目で大きい微分容量値を有するピークである。そして、制御部120は、微分プロファイル300において第1基準ピークR1に対応するピークを第1ピーク310に決定し、第2基準ピークR2に対応するピークを第2ピーク320に決定し得る。
【0161】
ピーク比較段階S400は、前記第1ピーク310及び前記第2ピーク320を予め設定された基準プロファイル200の第1基準ピークR1及び第2基準ピークR2と各々比較する段階であり、制御部120によって行われ得る。
【0162】
具体的には、制御部120は、微分容量値の変化を基準にして、第1基準ピークR1に対する第1ピーク310の挙動変化を決定し、第2基準ピークR2に対する第2ピーク320の挙動変化を決定し得る。
【0163】
バッテリー状態診断段階S500は、前記第1基準ピークR1に対する前記第1ピーク310の挙動変化及び前記第2基準ピークR2に対する前記第2ピーク320の挙動変化のうち少なくとも一つを考慮して前記バッテリーの状態を診断する段階であり、制御部120によって行われ得る。
【0164】
例えば、制御部120は、第1ピーク310の挙動変化及び第2ピーク320の挙動変化のうち少なくとも一つに基づいてバッテリーの退化有無を診断し得る。また、制御部120は、バッテリーの正極退化の有無及び/またはバッテリーの負極退化の有無を具体的に診断し得る。
【0165】
本発明の一実施例によるバッテリー状態診断方法は、バッテリーの微分プロファイル300に含まれた第1ピーク310及び第2ピーク320の挙動を考慮してバッテリーの退化を診断することができる。特に、バッテリー状態診断方法は、バッテリーの正極が退化したか、または負極が退化したかを具体的に診断することで、バッテリーの退化原因をより正確に診断することができる。
【0166】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0167】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0168】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0169】
10 電圧プロファイル
20 微分プロファイル
100 バッテリー状態診断装置
110 プロファイル獲得部
120 制御部
130 保存部
200 基準プロファイル
300 微分プロファイル
310 第1ピーク
320 第2ピーク
R1、R2 基準ピーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9