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特許7473116運搬流体を含む微粒子生産システム、およびその制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】運搬流体を含む微粒子生産システム、およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/00 20060101AFI20240416BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240416BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240416BHJP
   B81B 1/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B01J2/00 A
B05C11/00
B05C11/10
B81B1/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022547041
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2021001075
(87)【国際公開番号】W WO2021157942
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0012565
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519140246
【氏名又は名称】インベンテージ ラボ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INVENTAGE LAB INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュ ヒー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン フーン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チャン ヒー
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-038866(JP,A)
【文献】国際公開第2015/120861(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0133677(US,A1)
【文献】特開2018-008256(JP,A)
【文献】特表2007-533798(JP,A)
【文献】特表2019-534900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00- 2/30
A61K 6/00-51/12
A61P 1/00-43/00
B01J 13/00-13/22
B01J 19/00
B05C 11/00-11/115
B81B 1/00- 7/04
B81C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子生産システムの制御方法であって、
キャリア流体を運搬チャネルに供給する段階と、
少なくとも第1の材料および第2の材料を含む1つの材料を液滴生産チップに供給することで出口チャネルを通じて排出流体を前記運搬チャネルに排出する段階であって、前記第2の材料は、前記第1の材料との非混和性を有し、前記排出流体は前記第1の材料を含む材料流体および前記第2の材料を含む液滴を含んでおり、前記液滴は前記液滴生産チップにおいて前記材料から生産されたものである、段階と、
前記運搬チャネルにおいて、前記キャリア流体と前記排出流体とを組み合わせることによって組み合わされた流体を生成する段階であって、前記キャリア流体は、前記排出流体と前記キャリア流体とを組み合わせることにより生成された、前記組み合わされた流体の流量を前記排出流体の流量より大きくさせる、段階と、
前記排出流体と前記キャリア流体とが組み合わされる前に、前記液滴が空気と接触するかどうかを制御する段階であって、前記液滴が空気と接触するかどうかを制御する前記段階は、前記キャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、流入停止時間、流入量および流量、前記運搬チャネルにおけるその流速、および流入位置から選択された1または複数を制御することによって、キャリア流体コントローラによって達成される、段階と
を備える、方法。
【請求項2】
第1の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第1の出口チャネルを含む第1の液滴生産チップと、
運搬チャネルと、
キャリア流体供給源と、
キャリア流体コントローラと
を備え、
流体が流れ得るように前記第1の出口チャネルと前記運搬チャネルとが接続されており、
流体が流れ得るように前記キャリア流体供給源と前記運搬チャネルとが接続されており、
前記キャリア流体コントローラは、液滴が空気と接触するか否かを制御するために、前記キャリア流体供給源に制御信号を伝送するように接続されており、
前記運搬チャネルは、第1の材料を含む材料流体および第2の材料を含む液滴を有する排出流体を運搬するためのものであり、前記排出流体は、前記第1の液滴生産チップから製品格納タンクへと排出され前記第2の材料は、前記第1の材料との非混和性を有し、
前記キャリア流体供給源は前記キャリア流体コントローラの前記制御信号を受信してキャリア流体を前記運搬チャネルに供給することによって前記運搬チャネルの機能を達成させるためのものであ前記キャリア流体は、前記排出流体と前記キャリア流体とを組み合わせることにより生成された、組み合わされた流体の流量を前記排出流体の流量より大きくさせる、微粒子生産システム。
【請求項3】
前記キャリア流体供給源はさらに、キャリア流体格納タンクおよびキャリア流体供給ポンプを含み、
前記キャリア流体格納タンクと前記運搬チャネルとは流体が流れ得るようにキャリア流体入口ポートによって接続されており、
前記キャリア流体供給ポンプは前記キャリア流体格納タンクに圧力を伝送するように接続されており、
前記キャリア流体コントローラは、前記キャリア流体供給ポンプに制御信号を伝送するように接続されている、請求項2に記載の微粒子生産システム。
【請求項4】
前記第1の液滴生産チップはさらに、アダプタを含んでおり、
前記運搬チャネルと前記第1の出口チャネルとは、流体が流れ得るように、前記アダプタによって接続されている、請求項2に記載の微粒子生産システム。
【請求項5】
前記微粒子生産システムはさらに、少なくともセンサを含んでおり、
前記センサは、前記キャリア流体コントローラに測定値の信号を伝送するように接続されており、
前記センサは、流体の流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数を測定し得、
前記センサは、前記入口チャネル、前記運搬チャネル、および前記第1の出口チャネルのうち1または複数を通じて流れている流体の特性を測定するためのものである、請求項2に記載の微粒子生産システム。
【請求項6】
前記微粒子生産システムはさらに、
第2の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第2の出口チャネルを含む、第2の液滴生産チップと、
製品格納タンクと
を備え、
前記運搬チャネルは、第1の運搬チャネルと、第2の運搬チャネルと、第3の運搬チャネルとを含んでおり、
前記第1の出口チャネルと前記第1の運搬チャネルとは、流体が流れ得るように接続されており、
前記第2の出口チャネルと前記第2の運搬チャネルとは、流体が流れ得るように接続されており、
前記キャリア流体供給源と前記第1の運搬チャネルとは、流体が流れ得るように接続されており、
前記キャリア流体供給源と前記第2の運搬チャネルとは、流体が流れ得るように接続されており、
前記第1の運搬チャネルおよび前記第2の運搬チャネルは前記液滴生産チップから排出された材料および液滴を含む排出流体を前記製品格納タンクに運搬するためのものであり、
前記第1の運搬チャネルおよび前記第2の運搬チャネルは合流点で前記第3の運搬チャネルと接続されており、
前記第3の運搬チャネルは前記製品格納タンクと接続されており、
前記第1の運搬チャネルおよび前記第2の運搬チャネルは前記合流点および前記第3の運搬チャネルを通じて前記製品格納タンクと接続されている、請求項2に記載の微粒子生産システム。
【請求項7】
前記微粒子生産システムはさらに、第2の液滴生産チップを含んでおり、
前記第1の液滴生産チップはさらに、第2の出口チャネルおよび第1の側壁を含んでおり、
前記第2の液滴生産チップは、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクション、第3の出口チャネル、第4の出口チャネルおよび第2の側壁を含んでおり、
前記第1の出口チャネルと前記第2の出口チャネルとは、前記第1の液滴生産チップの前記第1の側壁と接続することによって外部と連通しており、
前記第3の出口チャネルと前記第4の出口チャネルとは、前記第2の液滴生産チップの前記第2の側壁と接続することによって外部と連通しており、
前記第1の出口チャネルから前記第4の出口チャネルは、流体が流れ得るように前記運搬チャネルと接続されており、
前記第1の液滴生産チップおよび前記第2の液滴生産チップは、前記第1の側壁と前記第2の側壁とが同じ方向を向き得るように配置されている、請求項2に記載の微粒子生産システム。
【請求項8】
請求項2に記載の微粒子生産システムを使用した微粒子の生産方法であって、
前記キャリア流体供給源から前記運搬チャネルにキャリア流体を供給する段階と、
少なくとも第1の材料および第2の材料を含む1つの材料を前記第1の液滴生産チップに供給することで、前記第1の液滴生産チップに含まれた前記第1の出口チャネルを通じて排出流体を排出する段階であって、前記排出流体は、前記第1の材料を含む材料流体と、前記第2の材料を含む液滴とを含んでおり、前記液滴は、前記第1の液滴生産チップ内の前記材料から生産されたものである、段階と、
前記運搬チャネル内の前記キャリア流体と前記第1の出口チャネルを通じて排出された前記排出流体とを組み合わせることによって組み合わされた流体を生成する段階であって、前記キャリア流体供給源から前記運搬チャネルに供給された前記キャリア流体の流量は、前記組み合わされた流体の流量を前記排出流体の流量より大きくすることを可能とするように制御される、段階と
を備える、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の微粒子生産システムを使用した微粒子の生産方法であって、
前記キャリア流体供給源から第1のキャリア流体を前記第1の運搬チャネルに供給する段階と、
第2のキャリア流体を前記第2の運搬チャネルに供給する段階と、
少なくとも第1の材料および第2の材料を含む1つの材料を前記第1の液滴生産チップに供給することで、前記第1の液滴生産チップに含まれた前記第1の出口チャネルを通じて第1の排出流体を排出する段階であって、前記第1の排出流体は、前記第1の材料を含む材料流体と、前記第2の材料を含む液滴とを含んでおり、前記液滴は、前記第1の液滴生産チップ内の前記材料から生産されたものである、段階と、
少なくとも第1の材料および第2の材料を含む1つの材料を前記第2の液滴生産チップに供給することで、前記第2の液滴生産チップに含まれた前記第2の出口チャネルを通じて第2の排出流体を排出する段階であって、前記第2の排出流体は、前記第1の材料を含む材料流体と、前記第2の材料を含む液滴とを含んでおり、前記液滴は、前記第2の液滴生産チップ内の前記材料から生産されたものである、段階と、
前記第1の運搬チャネル内の前記キャリア流体と前記第1の運搬チャネルに排出された前記第1の排出流体とを組み合わせることによって第1の組み合わされた流体を生成する段階と、
前記第2の運搬チャネル内の前記キャリア流体と前記第2の運搬チャネルに排出された前記第2の排出流体とを組み合わせることによって第2の組み合わされた流体を生成する段階と、
前記第3の運搬チャネルにおいて前記第1の組み合わされた流体と前記第2の組み合わされた流体とを組み合わせて、次に、前記組み合わされた流体を前記製品格納タンクに運搬する段階であって、前記キャリア流体コントローラは、前記第1のキャリア流体および前記第2のキャリア流体の流量および流速から選択された1または複数を制御して、その結果、前記第1の組み合わされた流体と前記第2の組み合わされた流体とが組み合わされる場合に前記第1の組み合わされた流体と前記第2の組み合わされた流体とが層流を維持するようにする、段階と
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている本発明は、マイクロフルイディクスを使用した微粒子生産システム、およびそれを制御する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
生分解性高分子で形成された微粒子は人体に注入され得、体内において一定間隔でゆっくり分解されるので、徐放性製剤、フィラー製剤などといった様々な分野において適用される。しかしながら、生分解性高分子で形成されたそのような微粒子を徐放性製剤に適用するためには、生産された微粒子の表面特性および直径を均一に制御すべきである。
【0003】
そのような微粒子を生産する方法として、マイクロフルイディクスを使用して微粒子を生産する方法は、溶媒蒸発法などの他の生産方法と比較して高精度で表面特性および直径を制御するという利点を有するが、生産デバイスのスケールが非常に小さいので大量生産が困難であるという欠点を有する。この欠点を克服するために、多数のマイクロ流体デバイスを並列に配置することによって大量生産システムを構築することを試みたが、このシステムは生産プロセスの制御が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、従来技術と比較して、マイクロフルイディクスを使用して生産された液滴が凝集または破壊されることなく安定的に運搬されることを可能とする微粒子生産システムを提供することを対象とする。
【0005】
本明細書は、微粒子生産システムにおいて液滴をより安定的に運搬するために微粒子生産システムを制御する方法を提供することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本明細書に提供されている本発明の1つの態様として、微粒子生産システムの制御方法が提供される。方法は、キャリア流体を運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む1つの材料を液滴生産チップに供給することで出口チャネルを通じて排出流体を運搬チャネルに排出する段階であって、排出流体は第1の材料を含む材料流体および第2の材料を含む液滴を含んでおり、液滴は液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、キャリア流体と排出流体とを組み合わせることによって組み合わされた流体を生成する段階であって、キャリア流体を運搬チャネルに供給する段階は、組み合わされた流体の流量を排出流体のそれより大きくすることを可能とするための段階である、段階とを含む。
【0007】
本明細書に提供されている本発明の1つの態様として、微粒子生産システムの制御方法が提供される。方法は、第1のキャリア流体を第1の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む1つの材料を第1の液滴生産チップに供給することで第1の出口チャネルを通じて第1の排出流体を第1の運搬チャネルに排出する段階であって、第1の排出流体は第1の材料を含む第1の材料流体および第2の材料を含む第1の液滴を含んでおり、第1の液滴は第1の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第1のキャリア流体と第1の排出流体とを組み合わせることによって第1の組み合わされた流体を生成する段階と、第2のキャリア流体を第2の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第2の液滴生産チップに供給することで第2の出口チャネルを通じて第2の排出流体を第2の運搬チャネルに排出する段階であって、第2の排出流体は第1の材料を含む第2の材料流体および第2の材料を含む第2の液滴を含んでおり、第2の液滴は第2の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第2のキャリア流体と第2の排出流体とを組み合わせることによって第2の組み合わされた流体を生成する段階と、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とを組み合わせて、次に、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階であって、キャリア流体コントローラは、第1のキャリア流体および第2のキャリア流体の流量および流速から選択された1または複数を制御して、その結果、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが組み合わされる場合に第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体が層流(laminar flow)を維持するようにする、段階とを含む。
【0008】
本明細書に提供されている本発明の1つの態様として、微粒子生産システムが提供される。システムは、第1の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第1の出口チャネルを含む第1の液滴生産チップと、運搬チャネルと、キャリア流体供給源と、キャリア流体コントローラとを含んでおり、流体が流れ得るように出口チャネルと運搬チャネルとが接続されており、流体が流れ得るようにキャリア流体供給源と運搬チャネルとが接続されており、キャリア流体コントローラはキャリア流体供給源に制御信号を伝送するように接続されており、運搬チャネルは第1の液滴生産チップから排出された材料および液滴を含む排出流体を製品格納タンクに運搬するためのものであり、キャリア流体供給源はキャリア流体コントローラの制御信号を受信してキャリア流体を運搬チャネルに供給することによって運搬チャネルの機能を達成させるためのものである。
【0009】
本明細書に提供されている本発明の1つの態様として、微粒子生産システムが提供される。システムは、第1の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第1の出口チャネルを含む第1の液滴生産チップと、第2の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第2の出口チャネルを含む第2の液滴生産チップと、第1の運搬チャネルと、第2の運搬チャネルと、第3の運搬チャネルと、キャリア流体供給源と、キャリア流体コントローラと、製品格納タンクとを含んでおり、流体が流れ得るように第1の出口チャネルと第1の運搬チャネルとが接続されており、流体が流れ得るように第2の出口チャネルと第2の運搬チャネルとが接続されており、流体が流れ得るようにキャリア流体供給源と第1の運搬チャネルとが接続されており、流体が流れ得るようにキャリア流体供給源と第2の運搬チャネルとが接続されており、キャリア流体コントローラはキャリア流体供給源に制御信号を伝送するように接続されており、第1の運搬チャネルおよび第2の運搬チャネルは液滴生産チップから排出された材料および液滴を含む排出流体を製品格納タンクに運搬するためのものであり、第1の運搬チャネルおよび第2の運搬チャネルは合流点で第3の運搬チャネルと接続されており、第3の運搬チャネルは製品格納タンクと接続されており、第1の運搬チャネルおよび第2の運搬チャネルは合流点および第3の運搬チャネルを通じて製品格納タンクと接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に開示されている微粒子生産システムおよびその制御方法を使用することによって、マイクロフルイディクスを利用した微粒子生産システムによって生産された液滴を凝集または破壊されることなく安定的に運搬することで、より効率的な微粒子の生産が実行され得る。本発明は、マイクロフルイディクスを使用した微粒子の大量生産のためのシステムを構築するための必須技術に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に提供されている微粒子生産システムの概略図である。
【0012】
図2】実施例1に係る微粒子生産システムの概略図である。
【0013】
図3】実施例1に係る複数のセンサを含む微粒子生産システムの概略図である。
【0014】
図4】実施例1に係るキャリア流体格納タンクと運搬チャネルとの間の接続関係を示す。
図4A】キャリア流体格納タンクと1つの運搬チャネルとの間の接続関係を示す。
図4B】キャリア流体格納タンクと第1の運搬チャネルとが直接接続されているのを示しており、第1の運搬チャネルが第2の運搬チャネルから第n+1の運搬チャネルに分割された場合の接続関係を示す。
【0015】
図5図4Bにおける運搬チャネルにセンサが接続されている場合の接続関係を示す。
【0016】
図6】実施例1に係る製品格納タンクと運搬チャネルとの間の接続関係を示す。
図6A】製品格納タンクと1つの運搬チャネルとの間の接続関係を示す。
図6B】第2の運搬チャネルから第n+1の運搬チャネルが第n+2の運搬チャネルと接続され且つ第n+2の運搬チャネルが製品格納タンクと直接接続されている場合の接続関係を示す。
【0017】
図7図6Bにおける運搬チャネルにセンサが接続されている場合の接続関係を示す。
【0018】
図8】実施例2に係る液滴生産チップを示す。
【0019】
図9】実施例2に係る一定間隔で配置された複数の液滴生産チップを示す。
図9A】複数の液滴生産チップが一定間隔で配置された斜視図である。
図9B図9AをY軸方向で見た場合の平面視である。
【0020】
図10】実施例2に係る運搬チャネルの一部を示す。
図10A】排出流体入口ポート(21)を含む運搬チャネル(2)を示す。
図10B】運搬チャネル(2)が複数の液滴生産チップ(1)と接続されたのを示す。
図10C】運搬チャネルにおけるキャリア流体、排出流体および組み合わされた流体の位置および流動方向を示す。
【0021】
図11】複数の液滴生産チップが実施例3に係る運搬チャネルに接続されたのを示す。
【0022】
図12】実施例3に係る液滴生産チップを示す。
図12A】環状チップの斜視図である。
図12B】Z軸方向で見た環状チップの平面視である。
【0023】
図13】実施例3に係る第1の液滴生産チップと第2の液滴生産チップとの間に挟まったスペーサを示す。
図13A】第1の液滴生産チップ、スペーサおよび第2の液滴生産チップがどのように組み立てられるかを示す図である。
図13B図13AをA-A'方向に沿って切断し、スペーサ自体が運搬チャネルとして機能する場合を示す断面図である。
図13C図13AをA-A'方向に沿って切断し、運搬チャネルが空きスペースを通過する場合を示す断面図である。
【0024】
図14】実施例3に係る運搬チャネルを示す。
図14A】コア構造がない場合を示す。
図14B】コア構造がある場合を示す。
【0025】
図15】実施例3に係る第1の液滴生産チップおよび/または第2の液滴生産チップが第1の材料中間供給チャネル(111)および第2の材料中間供給チャネル(131)を含む場合を示す。
図15A】第1の液滴生産チップが第1の材料中間供給チャネル(111)と第2の材料中間供給チャネル(131)とを有する場合を示す。
図15B】第1の液滴生産チップおよび第2の液滴生産チップの両方が第1の材料中間供給チャネル(111)と第2の材料中間供給チャネル(131)とを有する場合を示す。
【0026】
図16】実施例4に係るセンサから測定値を受信してそれを微粒子生産システムの制御に反映する方法を示すフローチャートを示す。
【0027】
図17】実施例4に係る、排出流体の流量およびキャリア流体の流量を測定して、排出流体の流量に関連してキャリア流体の流量の最小値を計算して、これに従ってキャリア流体の流量を当該最小値またはそれより高い値に制御する方法を示すフローチャートを示す。
【0028】
図18図17に係る制御方法が適用された場合の経時的なキャリア流体の流量を例示するグラフである。
【0029】
図19】実施例4に係る、排出流体の流量およびキャリア流体の流量を測定して、排出流体の流量に関連してキャリア流体の流量の最大値を計算して、これに従ってキャリア流体の流量を当該最大値より低い値に制御する方法を示すフローチャートである。
【0030】
図20図19に係る制御方法が適用された場合の経時的なキャリア流体の流量を例示するグラフである。
【0031】
図21】実施例4に係る、製品格納タンクの流体収容体積および組み合わされた流体の流量を測定して、製品格納タンクの流体収容体積に関連して組み合わされた流体の流量の最大値を計算して、これに従って組み合わされた流体の流量を当該最大値より低い値に制御する方法を示すフローチャートである。
【0032】
図22】実施例4に係る、微粒子生産システムが複数の運搬チャネルを含む場合のコンポーネントと、コンポーネント間の接続関係とを示す概略図である。
【0033】
図23】実施例4に係る図21に示された微粒子生産システムに関連して、合流点における第1のキャリア流体および第2のキャリア流体の流量および流速に対する測定値を受信し、当該測定値から合流点において乱流が形成されたかどうかを決定し、これに従って、乱流が形成されないように第1のキャリア流体および第2のキャリア流体の流量を制御する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[微粒子生産システム]
本明細書に提供されている本発明の1つの態様として、微粒子生産システムが提供される。
【0035】
本明細書に提供されている本発明の1つの態様である微粒子生産システムは、液滴生産チップ、運搬チャネル、キャリア流体供給源およびキャリア流体コントローラを含む。
【0036】
マイクロフルイディクスを使用した微粒子の大量生産のためのデバイスは、数多くのデバイスを並列に接続することによって生産量を増大させる構造を有しなければならない。従って、液滴などの微粒子を生産するプロセスの中間製品を、次の生産プロセスが行われるデバイスに安定的に運搬することが非常に重要である。さらに、液滴はその構造がまだ安定していないので、凝集または破壊が運搬中に頻繁に生じるという問題があり、従って、この問題を解決するための技術的需要は高い。
【0037】
そのような技術的需要を満たすために、本明細書に提供されている微粒子生産システムは、キャリア流体を生産システムに導入することが可能な構造を有する。微粒子生産システムは、従来技術と比較して改善された運搬チャネルを提供し、キャリア流体供給源およびキャリア流体コントローラをさらに含む。具体的には、運搬チャネルは、液滴生産チップから排出された排出流体を運搬するために、排出流体とは異なる材料およびキャリア流体が導入され得る構造を有する。そのような構造に起因して、液滴の生産後に別のデバイス(例えば、製品格納タンク)に液滴を運搬するプロセス中に、キャリア流体を微粒子生産システムに導入し得る。キャリア流体が、生産された液滴を凝集または破壊されることなく別のデバイスに安定的に運搬し得るので、微粒子生産システムの生産効率が増大し得る。加えて、キャリア流体を生産システムに導入するために、微粒子生産システムはさらに、キャリア流体供給源およびキャリア流体コントローラを含む。
【0038】
微粒子生産システムの概略図が図1に示されている。
【0039】
液滴生産チップは、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび出口チャネルを含み得る。液滴生産チップは、材料流体を受け入れて液滴を生産し、液滴を含む排出流体を出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出し得、上記機能を実行するために、コンポーネントを適切に接続し得る。
【0040】
運搬チャネルはキャリア流体供給源と接続されて、受け入れたキャリア流体が運搬チャネル内を流れることを可能として、キャリア流体と液滴生産チップから排出された排出流体とを組み合わされた流体を生成する領域において組み合わせることによって組み合わされた流体を生産および運搬する役割を果たし、コンポーネントはそのような機能を実行するために適切に接続され得る。運搬チャネルは、キャリア流体入口を含み得る。
【0041】
キャリア流体供給源は、キャリア流体を格納するまたはキャリア流体を運搬チャネルに提供するコンポーネントを含み得る。
【0042】
具体的には、キャリア流体供給源は、キャリア流体格納タンクおよびキャリア流体供給ポンプを含み得、これらは適切に接続され得る。
【0043】
キャリア流体コントローラは、メモリ、マイクロプロセッサおよび制御信号送信部を含み得る。キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給源から運搬チャネルにキャリア流体を提供する場合、キャリア流体の提供方法を制御し得るまたは運搬チャネル内で排出流体とキャリア流体とを組み合わせる機能を有し得、上記の機能を遂行し得るコンポーネントを含み、これらのコンポーネントは、上記の機能を実行するために適切に接続され得る。
【0044】
以下では、微粒子生産システムのコンポーネントおよびそれらの接続関係がさらに詳細に説明される。
【0045】
[液滴生産チップおよび周辺コンポーネント]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、1または複数の液滴生産チップを含み得る。
【0046】
液滴生産チップは、当業者によって好適に選択され得る形状で形成され得る。具体的には、液滴生産チップは、正方形、円形または環状の形状で形成され得るが、本発明はそれに限定されない。
【0047】
微粒子生産システムに含まれた複数の液滴生産チップは、同じまたは同様の形状を有し得る。
【0048】
微粒子生産システムに含まれた複数の液滴生産チップは、異なる形状を有し得る。
【0049】
液滴生産チップは、入口チャネル(inlet)と、マイクロチャネルと、1または複数のマイクロチャネルが合流するジャンクション構造(junction)と、出口チャネル(outlet)とを含み得る。
【0050】
入口チャネルは、液滴生産チップに導入された材料がマイクロチャネルを通じて流れることを可能とする構造である。
【0051】
一実施形態において、入口チャネルの形状および寸法は、液滴生産チップが適切に機能し得るように、当業者によって好適に選択され得る。具体的には、入口チャネルは、0.5mmから1mmの直径を有する管状のものであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0052】
マイクロチャネルは、入口チャネルを通じて供給された材料がジャンクション構造に向けて流れることを可能とする構造であり、マイクロチャネルの形状および寸法は、マイクロフルイディクスを適用することによって液滴生産を可能とするように、当業者によって適切に選択され得る。具体的には、マイクロチャネルの断面は、台形、半円形、正方形、または別の適切な形状であり得る。より具体的には、マイクロチャネルの断面は正方形を有し、その幅は30マイクロメートルから150マイクロメートルであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0053】
ジャンクション構造は、2またはそれより多くのマイクロチャネルを通じて供給された材料流体が一緒に組み合わされて液滴を形成することを可能とする構造を有し得、ジャンクション構造の形状は、マイクロフルイディクスを適用することによって液滴生産を可能とするように、当業者によって適切に選択され得る。具体的には、ジャンクション構造は、TジャンクションまたはXジャンクションであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0054】
出口チャネルは、ジャンクション構造において生産された液滴が液滴生産チップの側壁を通じて排出されることを可能とするコンポーネントであり得、具体的には、ジャンクションから延伸するマイクロチャネルの形状を有し得るが、本発明はそれに限定されない。
【0055】
液滴生産チップは、複数のマイクロチャネル、ジャンクションまたは出口チャネルを含み得る。
【0056】
微粒子生産システムはさらに、材料格納タンク、材料供給ポンプおよび材料コントローラを含み得る。
【0057】
材料格納タンクおよび材料供給ポンプの形状、材料および構成は、材料が入口チャネルを通じて液滴生産チップに提供され得るように、当業者によって適切に選択され得る。加えて、微粒子生産システムは、複数の材料格納タンクおよび材料供給ポンプを含み得る。具体的には、微粒子生産システムは、第1の材料を格納する第1の材料格納タンクと、第2の材料を格納する第2の材料格納タンクとを含み得るが、本発明はそれに限定されない。
【0058】
材料コントローラは、材料供給ポンプおよび材料格納タンクに格納された材料を入口チャネルを通じて供給する方法を制御し得、上記の機能を実行するために当業者によって適切に選択され得る。具体的には、材料コントローラは、メモリ、演算ユニット、制御信号送信部および測定信号受信部を含み得るが、本発明はそれに限定されない。
【0059】
[運搬チャネルおよび周辺コンポーネント]本明細書に提供されている微粒子生産システムは、1または複数の運搬チャネルを含む。
【0060】
運搬チャネルは、キャリア流体が導入されて流れる構造を有し得、その形状および寸法は、キャリア流体に導入された流体または液滴を格納タンクに運搬するように、当業者によって適切に選択され得る。
【0061】
一実施形態において、運搬チャネルの全部または一部は閉じた形状を有し得る。運搬チャネルの断面は、当業者によって選択され得る形状のうちいずれかを有し得る。例えば、形状は、矩形、円形、環状または楕円の形状であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0062】
一実施形態において、運搬チャネルの全部または一部は開いた形状を有し得る。運搬チャネルの断面は、当業者によって選択され得る適切な形状のうちいずれかを有し得る。例えば、運搬チャネルは、1つの開いた側を有する四角い柱の形状であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0063】
一実施形態において、運搬チャネルは液滴入口を含み得る。液滴入口は、液滴が運搬チャネルに導入されることを可能とするように、当業者によって選択され得る任意の適切な位置および形状を有し得る。例えば、液滴入口は、運搬チャネルの表面のうち全部または一部において形成され得るが、本発明はそれに限定されない。別の実施形態において、液滴入口は矩形、円形、環状または楕円の断面を有し得るが、本発明はそれに限定されない。
【0064】
一実施形態において、運搬チャネルの全部または一部は、液滴生産チップ内に含まれ得る。具体的には、運搬チャネルのうちいくつかは、少なくとも1つのマイクロチャネルの形で液滴生産チップ内に含まれ得る。
【0065】
運搬チャネルは、キャリア流体入口を含み得る。キャリア流体を運搬チャネルに供給するために当業者によって選択され得る、キャリア流体入口の全ての適切な形状および寸法が含まれ得る。
【0066】
微粒子生産システムはさらに、運搬チャネル出口、製品格納タンクおよび後処理デバイスを含み得る。
【0067】
運搬チャネル出口は、運搬チャネル内を流れる流体が格納タンクに排出されることを可能とする構造であり、当業者によって適切に選択され得る任意の形状、材料および寸法を有する。例えば、運搬チャネルは管状であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0068】
製品格納タンクは、運搬チャネルから排出された流体と液滴生産チップにおいて生産された液滴とを格納する構造であり、当業者によって適切に選択され得る任意の形状、材料および寸法を有する。例えば、製品格納タンクは金属の円筒形構造であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0069】
後処理デバイスは、液滴生産チップにおいて生産された液滴から微粒子を生産するための任意のデバイスを指しており、当業者が液滴から微粒子を生産するために必要とするプロセスを実行するための全てのデバイスを含む。例えば、後処理デバイスは、撹拌デバイスを含み得るが、本発明はそれに限定されない。
【0070】
微粒子生産システムはさらに、アダプタを含み得る。
【0071】
アダプタは、液滴生産チップと運搬チャネルとが接続されており、運搬チャネルと製品格納タンクとが接続されている構造であり得る。例えば、アダプタは、液滴生産チップの出口チャネルと運搬チャネルとを接続する管として形成され得るが、本発明はそれに限定されない。
【0072】
[キャリア流体供給源および周辺コンポーネント]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、キャリア流体供給源を含む。
【0073】
キャリア流体供給源は、キャリア流体を運搬チャネルに供給するためにキャリア流体を格納するデバイスと、流体が流れ得るように運搬チャネルとキャリア流体格納タンクとを接続するためのデバイスとを含み、それに従ってキャリア流体を運搬チャネルに供給し得、上記の機能を達成するように当業者によって選択され得る全ての適切なデバイスを含み得る。
【0074】
一実施形態において、キャリア流体供給源は、キャリア流体格納タンク、キャリア流体供給ポンプおよびキャリア流体供給チャネルを含み得る。
【0075】
キャリア流体格納タンクは、キャリア流体を格納するためのデバイスであり、当業者によって適切に選択され得る任意の形状、材料および寸法を有する。
【0076】
キャリア流体供給ポンプは、圧力をキャリア流体格納タンクに供給してキャリア流体の流れを作るためのデバイスであり、当業者によって適切に選択され得る任意の形状、材料および寸法を有する。例えば、キャリア流体供給ポンプは、ガス圧力ポンプ、水圧ポンプまたはシリンジポンプであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0077】
一実施形態において、キャリア流体格納タンクは、微粒子生産システムに含まれた材料流体格納タンクの全部または一部と同じであり得る。さらに、キャリア流体格納タンクと材料流体格納タンクの全部または一部とは、微粒子生産システム内で同じデバイスを指し得る。
【0078】
一実施形態において、キャリア流体供給ポンプは、微粒子生産システムに含まれた材料流体供給ポンプの全部または一部と同じであり得る。さらに、キャリア流体供給ポンプと材料流体供給ポンプの全部または一部とは、微粒子生産システム内で同じデバイスを指し得る。
【0079】
一実施形態において、微粒子生産システムは、複数のキャリア流体供給源を含み得る。具体的には、微粒子生産システムは、複数のキャリア流体格納タンク、キャリア流体供給ポンプおよび/またはキャリア流体供給チャネルを含み得る。
【0080】
[キャリア流体コントローラおよび周辺コンポーネント]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、キャリア流体コントローラを含む。
【0081】
キャリア流体コントローラは、運搬チャネルに供給されるキャリア流体を制御するためのデバイスを意味する。それは、この機能を達成するために当業者によって選択され得る全ての適切なデバイスを含む。具体的には、キャリア流体コントローラは、メモリ、演算ユニット、制御信号送信部および測定信号受信部を含み得るが、本発明はそれに限定されない。
【0082】
一実施形態において、微粒子生産システムは、複数のキャリア流体コントローラを含み得る。
【0083】
一実施形態において、微粒子生産システムにおいて、キャリア流体コントローラは、材料コントローラと同じデバイスを意味し得る。
【0084】
微粒子生産システムはさらに、1または複数のセンサを含み得る。
【0085】
センサは、入口チャネル、出口チャネルおよび運搬チャネルを通じて流れる流体の特性を測定するためのコンポーネントであり、上記の機能を達成するように、当業者によって選択され得る全ての適切なデバイスを含む。具体的には、センサは、チャネルを通じて流れる流体の流量、流速、温度、圧力、または乱流の存在の有無のうち1または複数を測定するためのセンサであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0086】
[コンポーネント間の接続関係]
[全体の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムのコンポーネント間の接続関係は、図1に概略的に示され得る。
【0087】
本明細書に提供されている微粒子生産システムのコンポーネント間の接続関係は、液滴生産チップ、運搬チャネル、キャリア流体供給源およびキャリア流体コントローラを含み得、コンポーネント間の有機的な接続関係を含む。具体的には、キャリア流体供給源と運搬チャネルとが流体が流れ得るように互いに接続されており、キャリア流体コントローラはキャリア流体供給源に制御信号を伝送するように接続され得、液滴生産チップと運搬チャネルとが流体が流れ得るように互いに接続されている。
【0088】
加えて、キャリア流体供給源はさらに、キャリア流体格納タンクおよびキャリア流体供給ポンプを含み得、キャリア流体格納タンクと運搬チャネルとは流体が流れるように接続され得、キャリア流体供給ポンプはキャリア流体格納タンクに圧力を伝達するように接続され得、キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給ポンプを制御することによってキャリア流体の流れを制御するために、キャリア流体供給ポンプに制御信号を伝送するように接続され得る。
【0089】
加えて、微粒子生産システムはさらに、材料コントローラ、材料格納タンク、材料供給ポンプ、製品格納タンク、および/またはセンサを含み得、コンポーネント間の有機的な接続関係を含む。具体的には、材料を液滴生産チップに供給する機能を実行するために、材料格納タンクと液滴生産チップとが流体が流れ得るように互いに接続されており、材料供給ポンプは、材料流体格納タンクに圧力を供給することによって材料の流れを作るように材料格納タンクと接続され得、材料コントローラは、材料供給ポンプに制御信号を伝送するように接続され得、センサは、キャリア流体コントローラおよび/または材料コントローラに測定値を伝送するように接続され得る。
【0090】
以下では、コンポーネント間の接続関係がさらに詳細に説明される。
【0091】
[キャリア流体供給源と各コンポーネントとの間の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、キャリア流体供給源を含む。キャリア流体供給源は、キャリア流体を運搬チャネルに供給することによってキャリア流体を微粒子生産システムに導入するための適切なコンポーネントを有し得、各コンポーネント間の有機的な接続関係を含む。
【0092】
一実施形態において、キャリア流体供給源はさらに、キャリア流体格納タンクおよびキャリア流体供給ポンプを含み得る。キャリア流体供給ポンプは、キャリア流体格納タンクに圧力を伝達することによって、キャリア流体格納タンク内に格納されているキャリア流体の流れが作られるように接続されている。
【0093】
一実施形態において、キャリア流体供給ポンプは、複数のキャリア流体供給源に圧力を伝達するように接続され得る。
【0094】
一実施形態において、キャリア流体供給源は、複数のキャリア流体供給ポンプから圧力を伝達してもらうように接続され得る。
【0095】
[キャリア流体コントローラとキャリア流体供給源との間の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、キャリア流体コントローラとキャリア流体供給源との間の有機的な接続関係を含む。具体的には、キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給源が運搬チャネルにキャリア流体を供給するプロセスを制御し得るように、特定の信号をキャリア流体供給源との間で送受信するように接続され得る。
【0096】
一実施形態において、キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給源に制御信号を伝送するように接続され得る。
【0097】
一実施形態において、キャリア流体コントローラは、複数のキャリア流体供給源に制御信号を同時におよび/または連続的に伝送するように接続され得る。
【0098】
一実施形態において、キャリア流体供給源がキャリア流体格納タンクおよびキャリア流体供給ポンプを含む場合、キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給ポンプに制御信号を伝送するように接続され得る。
【0099】
[液滴生産チップに含まれたコンポーネント間の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムに含まれた液滴生産チップは、その内側または外部に、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび出口チャネルの各々のうち1または複数を含み得る。液滴生産チップは、材料流体を受け入れることによって液滴を生産し、出口チャネルを通じてそれらを排出する機能を実行するために、コンポーネント間の特定の接続関係を有する。
【0100】
液滴生産チップの入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび出口チャネルは、流体が流れ得るように互いに接続され得る。しかしながら、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび出口チャネルの各々のうち2またはそれより多くが存在する場合、それは流体が流れ得るように全てのコンポーネントが接続されていることを意味するものではなく、従って、具体的な接続関係は以下にさらに詳細に説明される。
【0101】
一実施形態において、入口チャネルとマイクロチャネルとは、流体が流れ得るように互いに接続されている。例えば、入口チャネルとマイクロチャネルとは、液滴生産チップ内に形成された入口ポートによって互いに接続され得るが、本発明はそれに限定されない。別の例において、入口チャネルとマイクロチャネルとは、アダプタによって互いに接続され得る。
【0102】
一実施形態において、液滴生産チップは、それを通じて第1の材料が流れ得る第1の入口チャネルと、それを通じて第2の材料が流れ得る第2の入口チャネルとを含み得、それを通じて第1の材料が流れ得る第1のマイクロチャネルと、それを通じて第2の材料が流れ得る第2のマイクロチャネルとを含み得る。この場合、第1の入口チャネルと第1のマイクロチャネルとは、流体が流れ得るように互いに接続され得、第2の入口チャネルと第2のマイクロチャネルとは、流体が流れ得るように互いに接続され得る。加えて、第1の入口チャネルと第2のマイクロチャネルとが、または第2の入口チャネルと第1のマイクロチャネルとが、互いに接続されていない場合がある。
【0103】
一実施形態において、いくつかのマイクロチャネルが1つの入口チャネルに接続されている場合、それらはマニホルドによって接続され得る。具体的には、入口チャネルが第1のマイクロチャネルおよび第2のマイクロチャネルに第1の材料流体を供給する役割を果たす場合、入口チャネルはまずマニホルドと接続され得、マニホルドは第1のマイクロチャネルおよび第2のマイクロチャネルに接続された構造を有し得る。この場合、入口チャネルはまず、マニホルドに材料流体を供給し得、マニホルドは、第1のマイクロチャネルおよび第2のマイクロチャネルに材料流体を分配する機能を実行し得る。さらに、液滴生産チップが、第1の入口チャネルに接続された第1のおよび第2のマイクロチャネル、および、第2の入口チャネルに接続された第3のおよび第4のマイクロチャネルを含む場合、第1の入口チャネルは、第1のマニホルドによって第1のおよび第2のマイクロチャネルに接続され得、第2の入口チャネルは、第2のマニホルドによって第3のおよび第4のマイクロチャネルに接続され得る。
【0104】
ジャンクション構造は、液滴生産チップに含まれた複数のマイクロチャネルのうち2またはそれより多くが、流体が流れ得るように互いに接続されることによって形成され得る。
【0105】
ジャンクション構造は、マイクロフルイディクスに従って、それぞれのマイクロチャネルを通じて流れる材料の相互作用によって液滴を形成し得る。
【0106】
一実施形態において、Tジャンクションは、それを通じて第1の材料が流れ得る第1のマイクロチャネルと、それを通じて第2の材料が流れ得る第2のマイクロチャネルとを接続することによって形成され得る。
【0107】
一実施形態において、Xジャンクションは、それを通じて第1の材料が流れ得る第1のマイクロチャネルと、それを通じて第2の材料が流れ得る第2のおよび第3のマイクロチャネルとを接続することによって形成され得る。
【0108】
一実施形態において、第1のジャンクションは、それを通じて第1の材料が流れ得る第1のマイクロチャネルとそれを通じて第2の材料が流れ得る第2のマイクロチャネルとを接続することによって形成され得、第2のジャンクションは、第1のジャンクションに接続されたマイクロチャネルに、それを通じて第3の材料が流れ得る第4のマイクロチャネルをさらに接続することによって形成され得る。
【0109】
一実施形態において、ジャンクションと出口チャネルとは、流体が流れ得るように互いに接続され得る。具体的には、Tジャンクションは出口チャネルと接続され得るが、本発明はそれに限定されない。
【0110】
一実施形態において、第1のジャンクションと第1の出口チャネルとが接続され得、第2のジャンクションと第2の出口チャネルとが接続され得る。加えて、第1のジャンクションと第2の出口チャネルとが、または第2のジャンクションと第1の出口チャネルとが接続されていない場合がある。
【0111】
一実施形態において、複数のジャンクションが1つの出口チャネルに接続され得る。
【0112】
一実施形態において、1つのジャンクションが複数の出口チャネルと接続され得る。
【0113】
一実施形態において、出口チャネルは、液滴生産チップの側壁のうち全部または一部に形成された排出孔を通じて外部と連通し得る。
【0114】
一実施形態において、液滴生産チップは、側壁の全部または一部において1または複数の出口チャネルを含み得る。
【0115】
[運搬チャネルと他のコンポーネントとの間の接続関係‐用語の定義]
以下では、本明細書に提供されている微粒子生産システムに含まれた1または複数の運搬チャネルと、他のコンポーネントとの間の接続関係、および、運搬チャネル間の接続関係が詳細に説明される。
【0116】
運搬チャネルは、運搬チャネル供給源および製品格納タンクと接続され得、微粒子生産システム内にキャリア流体を導入することによって生産される液滴を液滴生産チップから製品格納タンクに運搬する役割を果たす。運搬チャネルは、それに沿ってキャリア流体が流れ得る経路に対応しており、従って、運搬チャネルにおいて、運搬チャネル供給源および製品格納タンクへの相対距離に従って、位置関係が定義され得る。
【0117】
以下では、本明細書において使用される「上流(upstream)」またはその等価な表現は、キャリア流体供給源、運搬チャネルおよび製品格納タンクを接続することによって、それに沿って流体が流れ得る想像上の線が存在する場合、キャリア流体供給源により近い領域を指す。これは、運搬チャネル内の2つの部分の相対位置を参照する場合に使用され得る。
【0118】
以下では、本明細書において使用される「下流(downstream)」またはその等価な表現は、キャリア流体供給源、運搬チャネルおよび製品格納タンクを接続することによって、それに沿って流体が流れ得る想像上の線が存在する場合、製品格納タンクにより近い領域を指す。これは、運搬チャネル内の2つの部分の相対位置を参照する場合に使用され得る。
【0119】
「上流」または「下流」といった用語は、当業者によって明確に認識され得る全ての他の意味を含む。
【0120】
[キャリア流体供給源と運搬チャネルとの間の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、1または複数のキャリア流体供給源および1または複数の運搬チャネルを含み得、キャリア流体供給源は、運搬チャネルにキャリア流体を供給する機能を実行するために、運搬チャネルとの特定の接続関係を有し得る。
【0121】
一実施形態において、流体が流れ得るように、1つのキャリア流体供給源は複数の運搬チャネルの各々と接続され得る。
【0122】
一実施形態において、流体が流れ得るように、複数のキャリア流体供給源の各々は、1つの運搬チャネルと接続され得る。
【0123】
一実施形態において、流体が流れ得るように、複数のキャリア流体供給源は複数の運搬チャネルと接続され得る。
【0124】
一実施形態において、キャリア流体供給源は、運搬チャネルに含まれたキャリア流体入口ポートを通じて流体が流れ得るように、接続され得る。
【0125】
一実施形態において、キャリア流体供給源は、アダプタによって流体が流れ得るように、運搬チャネルと接続され得る。
【0126】
一実施形態において、キャリア流体供給源は、当業者によって適切に選択され得る他の手段によって流体が流れ得るように、運搬チャネルと接続され得る。
【0127】
一実施形態において、キャリア流体供給源は、流体が流れ得るように、第1の運搬チャネルと接続され得る。ここで、第1の運搬チャネルは、キャリア流体供給源との接続点から下流の部分において第2の運搬チャネルと第3の運搬チャネルとに分離される構造を有し得る。第2の運搬チャネルと第3の運搬チャネルとは、流体が流れ得るように、分離点から下流の部分において液滴生産チップに含まれた出口チャネルと接続され得る。さらに、第2の運搬チャネルは、流体が流れ得るように、第1の液滴生産チップに含まれた出口チャネルと接続され得、第3の運搬チャネルは、流体が流れ得るように、第2の液滴生産チップに含まれた出口チャネルと接続され得る。
【0128】
一実施形態において、キャリア流体供給源は、キャリア流体格納タンクおよびキャリア流体供給ポンプを含み得る。この場合、キャリア流体格納タンクと運搬チャネルとは、流体が流れ得るように接続され得、キャリア流体供給ポンプは、キャリア流体格納タンクに圧力を伝達することによって、キャリア流体格納タンクに格納されたキャリア流体が運搬チャネルに流れることを可能とするように、キャリア流体格納タンクと接続され得る。具体的には、キャリア流体供給ポンプは、ガス圧力ポンプ、水圧ポンプまたはシリンジポンプであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0129】
[液滴生産チップと運搬チャネルとの間の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、1または複数の運搬チャネルを含み得、運搬チャネルは、キャリア流体を微粒子生産システムに導入するように、液滴生産チップとの特定の接続関係を有し得る。
【0130】
液滴生産チップに含まれた出口チャネルおよび運搬チャネルは、流体が流れ得るように接続され得る。具体的には、それらは、出口チャネルから運搬チャネルに流体が流れ得るように接続され得る。
【0131】
一実施形態において、出口チャネルの出口孔は、運搬チャネルの排出流体入口ポートと接続され得る。
【0132】
一実施形態において、出口チャネルの出口孔を含む側壁の一部が、それを通じて運搬チャネル内のキャリア流体が流れ得る部分まで延伸し得る。
【0133】
一実施形態において、出口チャネルと運搬チャネルとは、アダプタによって流体が流れ得るように接続され得る。
【0134】
一実施形態において、出口チャネルと運搬チャネルとは、当業者によって選択され得る他の手段によって流体が流れ得るように接続され得る。
【0135】
液滴生産チップは1または複数の出口チャネルを含み得るので、複数の出口チャネルと複数の運搬チャネルとの間には、次のような接続関係が存在し得る。
【0136】
一実施形態において、液滴生産チップに含まれた複数の出口チャネルは、流体が流れ得るように、1つの運搬チャネルと接続され得る。例えば、複数の出口チャネルは、運搬チャネルの上流または下流に配置され、流体が流れ得るように運搬チャネルと接続され得る。別の例として、複数の出口チャネルは、運搬チャネルにおいて流体の流れの方向に対して垂直な方向において配置されており、流体が流れ得るように運搬チャネルと接続されている。しかしながら、出口チャネルの配置は、上記の例に限定されず、当業者によって適切に選択され得る。
【0137】
一実施形態において、液滴生産チップに含まれた1つの出口チャネルは、流体が流れ得るように複数の運搬チャネルと接続され得る。例えば、1つの出口チャネルからの排出流体が運搬チャネルの全てを通じて流れることを可能とするように接続関係が作られ得るが、本発明はそれに限定されない。
【0138】
一実施形態において、液滴生産チップに含まれた複数の出口チャネルは、流体が流れ得るように複数の運搬チャネルと接続され得る。
【0139】
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、1または複数の運搬チャネルおよび1または複数の液滴生産チップを含み得るので、複数の運搬チャネルと複数の液滴生産チップとの間には、次のような接続関係が存在し得る。
【0140】
一実施形態において、1つの運搬チャネルは、流体が流れ得るように複数の液滴生産チップと接続され得る。例えば、複数の液滴生産チップの各々は、運搬チャネルの上流または下流に配置され、運搬チャネルと接続され得る。別の例として、複数の液滴生産チップは、運搬チャネルにおいて流体の流れに対して垂直な方向に配置されており、流体が流れ得るように運搬チャネルと接続され得る。しかしながら、複数の液滴生産チップの配置は、上記の例に限定されなくてもよく、当業者によって適切に選択され得る。
【0141】
一実施形態において、1つの液滴生産チップは、流体が流れ得るように複数の運搬チャネルに接続され得る。例えば、液滴生産チップに含まれた複数の出口チャネルは、各々が独立して、流体が流れ得るように複数の運搬チャネルと接続され得る。別の例として、液滴生産チップは、流体が流れ得るように、全ての運搬チャネルと接続され得る。しかしながら、本発明は上記の例に限定されない。
【0142】
一実施形態において、複数の液滴生産チップは、それぞれが、複数の運搬チャネルと接続され得る。
【0143】
[運搬チャネルと製品格納タンクとの間の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、1または複数の運搬チャネルを含み得、運搬チャネルは、微粒子生産システム内にキャリア流体を導入することによって生産された液滴を製品格納タンクに運搬するように、製品格納タンクとの特定の接続関係を有し得る。
【0144】
運搬チャネルは、流体が流れ得るように、製品格納タンクと接続され得る。具体的には、それらは、運搬チャネル出口、またはアダプタによって接続され得るが、本発明はそれに限定されない。
【0145】
複数の運搬チャネルのうち2またはそれより多くは、1つのチャネルに組み合わされ、次に製品格納タンクと接続され得る。具体的には、運搬チャネルのうち1または複数は、液滴生産チップの出口チャネルと接続されたポイントから下流にあるポイントにおいて1つのチャネルに組み合わされ、次に、製品格納タンクと接続され得る。
【0146】
一実施形態において、第1の運搬チャネルおよび第2の運搬チャネルの各々は液滴生産チップに含まれた排出チャネルと接続され得、第1のおよび第2の運搬チャネルは接続点から下流において組み合わされ、それに従って第3の運搬チャネルが形成され、第3の運搬チャネルは、流体が流れ得るように製品格納タンクと接続され得る。
【0147】
[センサと関連するコンポーネントとの間の接続関係]
本明細書に提供されている微粒子生産システムは、1または複数のセンサを含み得、センサは、微粒子生産システムの動作中に、システムに含まれた流体の特性を測定する役割を果たし得る。センサは、予め定められた流体に対して動作して、流体の特性を測定するとともに測定値をキャリア流体コントローラおよび/または材料コントローラに伝達するように、キャリア流体コントローラおよび材料コントローラと特定の接続関係を有し得る。具体的には、センサは、キャリア流体コントローラおよび/または材料コントローラに測定信号を伝送するように接続され得る。
【0148】
センサは、微粒子生産システムに含まれた入口チャネル、出口チャネルおよび運搬チャネルのうち少なくとも1つを通じて流れる流体の特性を測定するように、当業者によって適切に選択されたデバイスと、当該デバイスにチャネルを接続する方法とを含み得る。例えば、センサは、運搬チャネルの外部を囲っている流速測定デバイスであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0149】
一実施形態において、少なくとも1つのセンサは、入口チャネル内に流れる材料の特性を測定するように、入口チャネルに接続され得る。ここで、材料の特性は、流速、流量、温度および圧力のうち少なくとも1つを含み得る。具体的には、上記の1または複数のセンサは、第1の入口チャネルを通じて流れる第1の材料の特性および/または第2の入口チャネルを通じて流れる第2の材料の特性を測定するように接続され得る。
【0150】
一実施形態において、少なくとも1つのセンサは、出口チャネルを通じて流れる排出流体の特性を測定するように、出口チャネルと接続され得る。ここで、材料の特性は、流速、流量、温度および圧力のうち少なくとも1つを含み得る。
【0151】
一実施形態において、少なくとも1つのセンサは、運搬チャネルを通じて流れるキャリア流体の特性を測定するように、運搬チャネルと接続され得る。ここで、材料の特性は、流速、流量、温度および圧力のうち少なくとも1つを含み得る。
【0152】
少なくとも1つのセンサは、測定された流体の特性に対する測定値を伝送するように、キャリア流体コントローラおよび/または材料コントローラと接続され得る。
【0153】
[微粒子生産システムの制御方法]
本明細書に提供されている本発明の1つの態様は、微粒子生産システムの制御方法を提供する。
【0154】
微粒子生産システムの制御方法は、キャリア流体を運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を液滴生産チップに供給することで出口チャネルを通じて排出流体を運搬チャネルに排出する段階であって、排出流体は第1の材料を含む材料流体および第2の材料を含む液滴を含んでおり、液滴は液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、キャリア流体と排出流体とを組み合わせることによって組み合わされた流体を生成する段階とを含み得、ここで、キャリア流体を運搬チャネルに供給するプロセスは、組み合わされた流体の流量を排出流体のそれより大きくするためのプロセスを含み得る。
【0155】
さらに、微粒子生産システムの制御方法は、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階をさらに含み得る。
【0156】
以下では、各々の段階が詳細に説明される。
【0157】
材料流体を液滴生産チップに供給して液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出されるようにするプロセスは、当業者によって、液滴生産チップにおいて液滴を生産するように選択された公知の方法、または、当該選択された方法と同じであると認識されている方法を使用したプロセスであり得る。
【0158】
液滴生産チップに導入される材料は、マイクロフルイディクスを使用して液滴を生産するように2またはそれより多くの種類の不混和流体を含み得、流体のうち少なくとも1つは、溶媒およびポリマを含み得る。具体的には、溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンおよびそれらの混合物から成る群から選択された1または複数であり得、ポリマは、ポリ乳酸(polylactic acid,PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid,PGA)、ポリ乳酸‐グリコール酸共重合体(poly(lactic-co-glycolic acid),PLGA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone,PCL)およびそれらの誘導体から成る群から選択された1または複数であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0159】
さらに、溶媒およびポリマを含む流体は、目的に応じて追加の材料をさらに含み得る。具体的には、追加の材料は、医薬組成物または化粧品組成物であり得るが、本発明はそれに限定されない。より具体的には、医薬組成物は、フィナステリド、モキシデクチン、シリマリン、ドネペジル、デスロレリン、デオキシコール酸またはデュタステリドを有効成分として含む医薬組成物であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0160】
一実施形態において、液滴生産チップに材料を供給して液滴を生産するプロセスにおいて、液滴生産チップに導入される材料は、界面活性剤を含む第1の材料と、第1の材料に対して非混和性を有するとともに溶媒およびポリマを含む第2の材料とを含み得る。
【0161】
一実施形態において、液滴生産チップに材料流体を供給して液滴を生産するプロセスにおいて、液滴生産チップに導入される材料は、第1の材料と、第1の流体に対して非混和性を有する第2の材料と、第2の材料に対して非混和性を有する第3の材料とを含み得、第1の材料および第2の材料のうち少なくとも1つは、溶媒およびポリマを含み得る。
【0162】
微粒子生産システムにおいて、液滴生産チップにおいて生産された液滴を格納タンクに、または、後処理プロセスが行われるデバイスに安定的に運搬する方法は、最終的に生産される微粒子の収率および形状に影響し得るので、非常に重要である。
【0163】
硬化処理がまだ完了していないので、液滴の形状は、維持されているが、不安定であり、加圧された場合、液滴が凝集するまたは破壊される現象が生じる。
【0164】
そのような現象が生じた場合、最終的に生産される微粒子は広範なサイズ範囲を有し得、または、深刻な場合には、当該現象が微粒子の収率に悪影響を与え、その結果、微粒子の生産自体が不確実になる。
【0165】
従来技術に係る微粒子生産システムにおいて、そのような現象は頻繁に生じ得る。この現象の基本的な理由のうち1つは、生産された液滴を運搬する場合に、液滴を生産するために導入された材料のみが使用されることである。
【0166】
マイクロフルイディクスを使用して液滴を生産するのに必要とされる材料流体の流量は非常に小さいので、材料流体の流量だけでは、生産された液滴を安定的に運搬するのに不十分である。運搬される材料流体の流量が不十分なことは、生産された液滴を格納タンクに運搬する距離が比較的短い場合、または、この運搬の流れが省略され得る実験環境においては、大きな課題にはならない場合がある。しかしながら、大量生産システムにおいて、液滴がマイクロチャネルの長さと比較して比較的遠い距離にわたって運搬される必要がある場合に運搬流量が不十分である場合、液滴間の凝集などの上記の問題が顕著になる。従って、微粒子の大量生産システムを構築するプロセスにおいては、生産された液滴を凝集または破壊されることなく安定的に運搬する手段を提供する必要がある。
【0167】
上記の問題を解決するとともに液滴を安定的に運搬するための手段を使用するために、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、液滴を運搬するためのキャリア流体を運搬チャネルに供給する段階を含む。
【0168】
キャリア流体を運搬チャネルに供給するプロセスにおいて使用されるキャリア流体は、液滴間の凝集が生じることを防止するとともに液滴を運搬する流体であり、キャリア流体は、材料流体の種類に従って適切に選択され得る。
【0169】
具体的には、材料が第1の材料と、第1の材料に対して非混和性を有するとともに溶媒およびポリマを含む第2の材料とを含む場合、キャリア流体は、第2の材料に対して非混和性を有する流体であり得る。例えば、第2の流体が、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンおよびそれらの混合物から成る群から選択された1または複数を溶媒として含み、ポリ乳酸(polylactic acid,PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid,PGA)、ポリ乳酸‐グリコール酸共重合体(poly(lactic-co-glycolic acid),PLGA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone,PCL)およびそれらの誘導体から成る群から選択された1または複数をポリマとして含む場合、キャリア流体は界面活性剤を含む水であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0170】
具体的には、材料が第1の材料と、第1の材料に対して非混和性を有するとともにポリマおよび溶媒を含む第2の材料と、第2の材料に対して非混和性を有する第3の材料とを含む場合、キャリア流体は、第2の流体に対して非混和性を有する流体であり得る。一実施形態において、キャリア流体は、材料のうち1つと同じ流体であり得る。例えば、材料が、第1の流体と、第1の流体に対して非混和性を有するとともに溶媒およびポリマを含む第2の流体とを含む場合、材料流体は、第1の流体と同じ流体であり得る。別の例として、材料が、第1の材料と、第1の材料に対して非混和性を有するとともにポリマおよび溶媒を含む第2の材料と、第2の材料に対して非混和性を有する第3の材料とを含む場合、キャリア流体は、第3の流体と同じ流体であり得る。キャリア流体を微粒子生産システムに導入することによって、微粒子を生産するプロセスにおいて生産された液滴が液滴生産チップから排出されて生産システムにおける別の位置に移動する場合、液滴間の凝集が防止され得、液滴は、複数の液滴生産チップを使用した大量生産プロセスにおいてより効率的に運搬され得る。
【0171】
キャリア流体を微粒子生産システムに導入する場合、キャリア流体によって液滴を効率的に運搬するための最も基本的な条件は、排出流体とキャリア流体との組み合わせによって生産された組み合わされた流体の流量が排出流体のそれより大きくなるように制御することである。これは、上記のキャリア流体の導入の目的に直接関連付けられている。
【0172】
従って、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、キャリア流体と排出流体とを組み合わせることによって組み合わされた流体を生成するプロセスであり、キャリア流体を運搬チャネルに供給するプロセスは、組み合わされた流体の流量を排出流体のそれより大きくすることを可能とするためのプロセスを含む。
【0173】
さらに、キャリア流体を微粒子生産システムに導入する場合、キャリア流体が液滴を効率的且つ安定的に運搬するためには、液滴がキャリア流体に安定的に導入されるように制御するプロセスが望ましい。そのような制御プロセスは、液滴生産チップから出口チャネルを通じて排出される排出流体(液滴および材料流体を含む)との関係に従ってキャリア流体を制御するプロセスであり得る。これは、キャリア流体が液滴生産プロセスに影響を与えることなく且つ凝集または破壊されることなく、生産された液滴を格納タンクに安全に運搬するために必要なプロセスであり得る。
【0174】
従って、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、キャリア流体を制御するプロセスを含み得る。具体的には、キャリア流体を制御するプロセスは、排出流体の流量に従ってキャリア流体の流量を制御する方法であり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0175】
例えば、液滴がキャリア流体に導入される時点および領域において、キャリア流体の流量が、液滴を含み且つ液滴生産チップにおいて出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出された排出流体のそれより過度に小さい場合、キャリア流体が液滴を安定的に運搬することはできない。別の例として、キャリア流体の流量が排出流体のそれより過度に大きい場合、運搬チャネルの構造に応じては、キャリア流体が液滴チップ内に逆流する状況が生じ得る。この場合にも、キャリア流体が液滴を安定的に運搬することは困難であり得る。
【0176】
このように、液滴の安定した運搬などといったキャリア流体の流入目的を達成するために、キャリア流体の供給方法を制御するプロセスが必要である。従って、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、キャリア流体の供給方法を制御するプロセスを含み得る。さらに、当該方法は、キャリア流体の供給方法を制御するプロセスのみならず、微粒子生産システムの1または複数のコンポーネントを制御するプロセスもさらに含み得る。
【0177】
一実施形態において、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、キャリア流体と排出流体とを組み合わせるプロセスであり、キャリア流体と排出流体とを組み合わせる時点においてキャリア流体の流量が排出流体のそれより大きくなるように制御するプロセスを含み得る。
【0178】
キャリア流体を運搬チャネルに導入するプロセスおよび/またはキャリア流体と排出流体とを組み合わせるプロセスは、キャリア流体の供給方法を制御することを含み得、当該方法は、キャリア流体コントローラによって制御され得る。
【0179】
具体的には、キャリア流体コントローラによって供給方法を制御することは、運搬チャネル内のキャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、流入停止時間、流入量、流量、流速、および流入位置のうち1または複数を制御することであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0180】
さらに、キャリア流体コントローラは、当該供給方法を制御するために、キャリア流体格納タンクに接続されたキャリア流体供給ポンプを制御し得る。具体的には、キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給ポンプの入力圧力、動作時点および動作時間のうち1または複数を制御し得るが、本発明はそれに限定されない。
【0181】
一実施形態において、キャリア流体を運搬チャネルに導入するプロセスは、液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合、キャリア流体が予め定められた流量またはそれより多くの流量で運搬チャネルに供給されるように、キャリア流体の流量、流入量、流入時点および流入時間のうち1または複数を制御することを含み得る。
【0182】
本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階をさらに含み得る。
【0183】
微粒子生産システムを制御する方法の主目的は、生産された液滴を製品格納タンクに安定的に運搬することなので、キャリア流体と排出流体とを組み合わせることによって形成された組み合わされた流体が製品格納タンクに流れる間において、液滴の凝集または破壊を防止するために、連続的制御が必要である。
【0184】
1つの例において、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬するプロセスにおいて、製品格納タンクの流体格納容量を超えるように組み合わされた流体が製品格納タンクに流れる場合、組み合わされた流体が微粒子生産システム内に沈滞する、または、さらには逆流する現象が結果として生じ得、これは、組み合わされた流体に含まれた液滴の形状を維持するには都合の悪い状況であり得る。この状況は、使用する材料の量が予め決定されているバッチ生産システムにおいては重要でない場合があるが、材料流体およびキャリア流体が連続的に注入される連続生産システムにおいては非常に重大な問題であり得る。この状況を防止するために、製品格納タンクに運搬される組み合わされた流体の流量を制御するプロセスが必要である。
【0185】
従って、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、組み合わされた流体を製品格納タンクの流体格納容量を超過して流れないように制御する段階を含む。
【0186】
一実施形態において、キャリア流体を運搬チャネルに導入するプロセスは、製品格納タンクの流体格納容量を超えないように、運搬チャネルに対するキャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、流入停止時間および流量のうち1または複数を制御するプロセスを含み得る。
【0187】
別の例は、微粒子生産システムにおいて複数の組み合わされた流体が生成され、複数の組み合わされた流体の全部または一部が、製品格納タンクに導入される前に組み合わされる場合であり得る。複数の組み合わされた流体の全部または一部を組み合わせるプロセスにおいて、各々の組み合わされた流体に含まれた液滴に過剰な圧力または衝突下にある場合、それは液滴の形状を維持するのに都合の悪い状況であり得る。この現象は、複数の組み合わされた流体を組み合わせるプロセスにおいて、チャネル内に乱流または渦流が生じる部分がある場合に現れ得る。大量生産システムにおいて複数の液滴生産チップと複数の運搬チャネルとを使用する場合において、上記の現象を防止することは重大な問題であり得る。
【0188】
従って、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、複数の組み合わされた流体が組み合わされる場合、組み合わされた流体の各々が安定した層流を維持するように制御する段階を含む。具体的には、そのような制御プロセスは、組み合わされた流体に含まれたキャリア流体および/または排出流体を制御することによって達成され得る。望ましくは、組み合わされた流体に含まれたキャリア流体および排出流体の両方のパラメータを制御することによって、組み合わされた流体を制御することが可能であり、微粒子生産システムの構成に応じて、組み合わされた流体においてより支配的な比重を有する流体のパラメータのみを制御することによって組み合わされた流体を制御することが可能である。
【0189】
一実施形態において、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、第1のキャリア流体を第1の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第1の液滴生産チップに供給することで第1の出口チャネルを通じて第1の排出流体を第1の運搬チャネルに排出する段階であって、第1の排出流体は第1の材料を含む第1の材料流体および第2の材料を含む第1の液滴を含んでおり、第1の液滴は第1の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第1のキャリア流体と第1の排出流体とを組み合わせることによって第1の組み合わされた流体を生成する段階と、第2のキャリア流体を第2の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第2の液滴生産チップに供給することで第2の出口チャネルを通じて第2の排出流体を第2の運搬チャネルに排出する段階であって、第2の排出流体は第1の材料を含む第2の材料流体および第2の材料を含む第2の液滴を含んでおり、第2の液滴は第2の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第2のキャリア流体と第2の排出流体とを組み合わせることによって第2の組み合わされた流体を生成する段階と、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とを組み合わせて、次に、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階であって、キャリア流体コントローラは、第1のキャリア流体および第2のキャリア流体の流量および流速から選択された1または複数を制御して、その結果、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが組み合わされる場合に第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体が層流(laminar flow)を維持するようにする、段階とを含み得る。
【0190】
一実施形態において、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、第1のキャリア流体を第1の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第1の液滴生産チップに供給することで第1の出口チャネルを通じて第1の排出流体を第1の運搬チャネルに排出する段階であって、第1の排出流体は第1の材料を含む第1の材料流体および第2の材料を含む第1の液滴を含んでおり、第1の液滴は第1の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第1のキャリア流体と第1の排出流体とを組み合わせることによって第1の組み合わされた流体を生成する段階と、第2のキャリア流体を第2の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第2の液滴生産チップに供給することで第2の出口チャネルを通じて第2の排出流体を第2の運搬チャネルに排出する段階であって、第2の排出流体は第1の材料を含む第2の材料流体および第2の材料を含む第2の液滴を含んでおり、第2の液滴は第2の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第2のキャリア流体と第2の排出流体とを組み合わせることによって第2の組み合わされた流体を生成する段階と、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とを組み合わせて、次に、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階であって、材料コントローラは、第1の排出流体および第2の排出流体の流量および流速から選択された1または複数を制御して、その結果、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが組み合わされる場合に第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体が層流(laminar flow)を維持するようにする、段階とを含み得る。
【0191】
一実施形態において、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、第1のキャリア流体を第1の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第1の液滴生産チップに供給することで第1の出口チャネルを通じて第1の排出流体を第1の運搬チャネルに排出する段階であって、第1の排出流体は第1の材料を含む第1の材料流体および第2の材料を含む第1の液滴を含んでおり、第1の液滴は第1の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第1のキャリア流体と第1の排出流体とを組み合わせることによって第1の組み合わされた流体を生成する段階と、第2のキャリア流体を第2の運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第2の液滴生産チップに供給することで第2の出口チャネルを通じて第2の排出流体を第2の運搬チャネルに排出する段階であって、第2の排出流体は第1の材料を含む第2の材料流体および第2の材料を含む第2の液滴を含んでおり、第2の液滴は第2の液滴生産チップにおいて材料から生産されたものである、段階と、第2のキャリア流体と第2の排出流体とを組み合わせることによって第2の組み合わされた流体を生成する段階と、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とを組み合わせて、次に、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階であって、キャリア流体コントローラが第1のキャリア流体および第2のキャリア流体の流量および流速から選択された1または複数を制御し、材料コントローラが第1の排出流体および第2の排出流体の流量および流速から選択された1または複数を制御し、その結果、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが組み合わされた場合に第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体が層流(laminar flow)を維持するようにする、段階とを含み得る。
【0192】
本明細書に提供されている本発明の1つの態様は、キャリア流体を運搬チャネルに供給する段階と、少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を液滴生産チップに供給して排出流体が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出されるようにする段階であって、ここで排出流体は、第1の材料を含む材料流体および第2の材料を含む液滴を含んでおり、液滴は、液滴生産チップ内の材料から生成されている、段階と、排出流体が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に、排出流体に含まれた液滴が空気と接触するかどうかを制御する段階と、キャリア流体と排出流体とを組み合わせることによって組み合わされた流体を生成する段階といったプロセスを含む微粒子生産システムを制御する方法を提供する。
【0193】
液滴から微粒子を最終的に生産するプロセスにおいて、液滴を硬化させるために液滴に含まれた溶媒を抽出し溶媒を蒸発させることが非常に重要である。この時、液滴が空気と接触するかどうかは、溶媒の抽出および蒸発速度に影響を与える重要な変数である。
【0194】
例えば、溶媒が揮発性である場合、液滴が空気と接触すると、溶媒が液滴から蒸発する速度が非常に速くなる。最終的に生産された微粒子の形状において、液滴の溶媒蒸発速度が速いことが常に良い影響を与えるわけではないので、液滴を構成するポリマの含有量、目標となる最終微粒子の特性等を考慮して、液滴が空気と接触するか否かを、空気と接触する場合にはその接触の時間を、適切に制御する必要がある。
【0195】
液滴が空気と接触するかどうかを制御するプロセスにおいて、空気と接触する場合、接触の時間の制御は独立して実行され得るが、これが液滴を運搬チャネルに排出するプロセスと一緒に制御され得る場合、このプロセスは、より効率的に制御され得る。
【0196】
そのような必要に従って、本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、液滴が出口チャネルに排出される場合に液滴が空気と接触するか否かを制御するプロセスを含み得る。
【0197】
液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合、空気と接触するか否かを制御するプロセスは、具体的には、液滴が空気と接触することなく出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出されそれらがキャリア流体に導入される状態と、液滴が空気と接触して排出され、次にキャリア流体に導入される状態とのうち1つを任意選択的に制御する段階と、このプロセス中において液滴が空気と接触した状態が選択された場合に接触の時間を制御する段階とを含み得る。
【0198】
一実施形態において、液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合、液滴が空気と接触しているか否かを制御するプロセスは、キャリア流体コントローラによって制御され得る。具体的には、制御プロセスにおいて、液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に空気と接触しているか否かは、キャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、導入停止時点、流入量および流量、運搬チャネルにおけるその流速、および流入位置から選択された任意の1または複数を制御することによって決定され得るが、本発明はそれに限定されない。
【0199】
一実施形態において、液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に空気と接触するか否かを制御するプロセスは、液滴生産チップと運搬チャネルとの間の距離を調整することによって制御され得る。
【0200】
一実施形態において、液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に空気と接触するか否かを制御するプロセスは、液滴が空気と接触することなく排出され、それらがキャリア流体に導入されることを予め定めるとともに、上記の状態を維持するように微粒子生産システムを制御することであり得る。
【0201】
一実施形態において、液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に空気と接触するか否かを制御するプロセスは、液滴が空気と接触しながら排出され、次にそれらがキャリア流体に導入されることを予め定めるとともに、上記の状態を維持するように微粒子生産システムを制御することであり得る。
【0202】
一実施形態において、液滴が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に空気と接触するか否かを制御するプロセスは、液滴が排出後に空気と接触するかどうかを選択し、選択された状態を達成するように微粒子生産システムを制御することであり得る。さらに、予め選択された状態は異なる状態に変更され得、従って、微粒子生産システムは変更された状態を達成するように制御され得る。
【0203】
具体的には、選択された状態を達成するように微粒子生産システムを制御することは、キャリア流体コントローラによって運搬チャネルに導入されるキャリア流体の供給方法を制御することであり得、供給方法を制御することは、キャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、流入停止時間、流入量および流量、運搬チャネルにおけるその流速、および流入位置から選択された1または複数を制御することであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0204】
本明細書では以下で、本明細書に提供されている本発明について以下の実施例を参照してさらに詳細に説明する。
【0205】
本明細書は、実施例を参照してより詳細に説明されている。実施例は単に本明細書をより完全に説明するために提供されており、本発明の範囲が上記の例に限定されないことは当業者にとっては明らかであろう。
【0206】
[実施例]
[実施例1]微粒子生産システム
[コンポーネント、およびコンポーネント間の接続構造]
図2は、実施例1に提供されている微粒子生産システムのコンポーネント、およびコンポーネント間の相互作用を示す図である。第1の材料格納タンクおよび第2の材料格納タンクは液滴生産チップと接続されており、第1の材料および第2の材料をそれぞれ第1の入口チャネルおよび第2の入口チャネルを通じて液滴生産チップに供給し得る。加えて、第1の材料格納タンクおよび第2の材料格納タンクは第1の材料供給ポンプおよび第2の材料供給ポンプとそれぞれ接続され得、各材料供給ポンプは各材料格納タンクに圧力を供給し得る。さらに、材料コントローラは、制御信号を第1の材料供給ポンプおよび第2の材料供給ポンプに伝送するように接続され得る。一方で、運搬チャネルはキャリア流体格納タンクと接続されており、これは、キャリア流体供給ポンプと接続され、圧力を受け入れ、運搬チャネルにキャリア流体を供給する。キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給ポンプに制御信号を伝送するように接続されている。
【0207】
液滴生産チップは、第1の材料および第2の材料を受け入れ、排出流体を排出する。ここで、排出流体は、第2の材料を含む液滴と、第1の材料とを含む。排出流体は、液滴生産チップから運搬チャネルに排出され、運搬チャネル内の排出流体組み合わせ領域においてキャリア流体と組み合わされることで組み合わされた流体を生成する。運搬チャネルは、流体が排出流体組み合わせ領域から製品格納タンクに流れることを可能とするように接続され得、組み合わされた流体は製品格納タンクに運搬される。運搬チャネルは、排出流体組み合わせ領域から製品格納タンクに組み合わされた流体を運搬する経路としての役割を果たす。
【0208】
上記のプロセスにおいて、キャリア流体、排出流体および組み合わされた流体が流れる駆動力は、キャリア流体供給ポンプによってキャリア流体格納タンクに供給された圧力および材料供給ポンプによって第1のおよび第1の材料格納タンクに供給された圧力である。供給された圧力は、材料コントローラおよびキャリア流体コントローラによって制御され得る。
【0209】
本実施例において提供されている微粒子生産システムの1つの形態として、センサによって測定された各部分の状態を伝送するコンポーネントが図3に示されている(材料格納タンクおよびそれらの周辺コンポーネントのうちいくつかは省略されている)。図3に示されるように、1または複数のセンサが、第1の材料および第2の材料が導入された部分、排出流体が運搬チャネルに排出される部分、キャリア流体が運搬チャネルに供給される部分、および/または、組み合わされた流体が生成されて製品格納タンクに伝達される部分において流体の特性を測定するようにそれぞれ取り付けられ得る。センサによって測定された流体の特性は、流体の流量、流速、温度および圧力のうち1または複数を含む。
【0210】
センサは、流体の特性を測定値の形態でキャリア流体コントローラに伝送するように、キャリア流体コントローラと接続され得る。キャリア流体コントローラは、1または複数のセンサから測定値を受信して、キャリア流体制御信号を決定するプロセスにおいて測定値を反映し得る。
【0211】
[運搬チャネルおよびキャリア流体供給源、または製品格納タンクの接続構造]
図4は、本実施例に係る、運搬チャネルがキャリア流体格納タンクと接続された構造を示す。運搬チャネルとキャリア流体格納タンクとは、図4Aおよびに示されるように直接接続され得、図4Bに示されるように、キャリア流体格納タンクは、キャリア流体を受け入れる第1の運搬チャネルと直接接続され得、第1の運搬チャネルは、それぞれ液滴生産チップおよび製品格納タンクと接続されている第2から第n+1の運搬チャネルに分離され得る。
【0212】
図5に示されるように、第1の運搬チャネルは、複数のセンサと接続され得る。センサは、第1の運搬チャネル内のキャリア流体の特性を測定し得る。センサによって測定されたキャリア流体の特性は、流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数であり得る。
【0213】
図6は、本実施例に係る、運搬チャネルが製品格納タンクと接続された構造を示す。運搬チャネルと製品格納タンクとは、図6Aに示されるように直接接続されてもよく、または、図6Bに示されるように、それぞれの運搬チャネルが液滴生産チップと接続されてもよく、各排出流体組み合わせ領域から組み合わされた流体を運搬する第2の運搬チャネルから第n+1の運搬チャネルが、第n+2の運搬チャネルと組み合わされて製品格納タンクに接続されてもよい。
【0214】
図7に示されるように、第2の運搬チャネルから第n+1の運搬チャネルは、排出流体組み合わせ領域の上流にあるポイントにおいて複数のセンサと接続され得る。センサは、第2から第n+1の運搬チャネル内の組み合わされた流体の特性を測定するためのものであり得る。センサによって測定された組み合わされた流体の特性は、流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数であり得る。
【0215】
図7に示されるように、第n+2の運搬チャネルは複数のセンサと接続され得る。センサは、第n+2の運搬チャネル内の組み合わされた流体の特性を測定するためのものであり得る。センサによって測定された組み合わされた流体の特性は、流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数であり得る。
【0216】
以下、実施例2および3は、実施例1のより具体的な構成を示し、実施例4は、本願の微粒子生産システムの制御方法を示す。以下では、各実施例に対して別様に記載されない限り、実施例2から4は、構成とそれらの間の接続関係とを含み、これは実施例1におけるそれと同じまたは等価である。
[実施例2]2Dアレイ(2D array)
[液滴生産チップの構造]
図8は、本実施例において使用される液滴生産チップ(1)を示す。液滴生産チップは、第1の材料入口チャネル(11)、第2の材料入口チャネル(13)、第1の材料入口孔(12)、第2の材料入口孔(14)、マイクロチャネル、ジャンクション(15)、出口チャネル(16)および出口孔(17)を含む。第1の材料および第2の材料はそれぞれ、第1の材料入口チャネル(11)および第2の材料入口チャネル(13)を通じて第1の材料入口孔(12)および第2の材料入口孔(14)に供給され、1つの第1の材料入口ポートに接続されたマイクロチャネルと、1つの第2の材料入口ポートに含まれたマイクロチャネルとは、ジャンクション(15)部分において組み合わされて出口チャネル(16)と接続される。具体的には、図8は、X字状ジャンクション構造を示すが、これは単なる一例であり、マイクロ流体技術を適用することによって液滴を生産し得る任意構造であれば特に限定されない。ジャンクションにおいて第1の材料と第2の材料とが合流することによって第2の材料を含む液滴が生産され、液滴および第1の材料を含む排出流体が形成される。排出流体は、出口チャネル(16)を通じて流れ、出口孔(17)を通じて液滴生産チップの外に排出される。液滴生産チップは複数のマイクロチャネルを含むので、第1の材料および第2の材料が複数の入口ポートを通じて受け入れられる場合、生産された液滴を含む排出流体が複数の出口チャネルを通じて排出される。
【0217】
液滴生産チップは、複数のセンサと接続され得る。センサは、第1の材料入口チャネル(11)および/または第2の材料入口チャネル(13)内の第1の材料および/または第2の材料の特性を測定するためのものであり得る。センサによって測定された第1の材料および/または第2の材料の特性は、流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数であり得る。
【0218】
本実施例の微粒子生産システムは、複数の液滴生産チップ(1)を含み得る。加えて、複数の液滴生産チップは規則的に配置され得る。配置の1つの例は図9に示されている。液滴生産チップは、矩形プレートの形状またはそれと等価な形状で形成され得、一定間隔で配置され得る。図9に示されるように、出口チャネルがY軸方向において配置されている場合、液滴生産チップはX軸方向において配置され得るが、本発明はそれに限定されない。
【0219】
[キャリア流体格納タンク、キャリア流体供給ポンプおよびキャリア流体コントローラの構造]本実施例において、キャリア流体格納タンクはキャリア流体を格納する役割を果たしており、その形状および構造は当業者によって適切に選択され得る。キャリア流体格納タンクは、流体が流れ得るように、運搬チャネルと直接接続され得る。
【0220】
本実施例において、キャリア流体供給ポンプはキャリア流体格納タンクと接続され得、キャリア流体供給ポンプの形状および構造は、キャリア流体格納タンクと接続された運搬チャネル内でキャリア流体が流れ得るように、圧力をキャリア流体格納タンクに供給する機能を実行するために当業者によって適切に選択され得る。例えば、キャリア流体供給ポンプは、商用ガス圧ポンプまたはシリンジポンプであり得るが、本発明はそれに限定されない。
【0221】
[運搬チャネル構造、および液滴生産チップと運搬チャネルとの間の接続構造]本実施例において使用されている運搬チャネル(2)の構造は、図10に示されている。図10は、運搬チャネルが液滴生産チップと接続された構造の一部を示す。この図において、運搬チャネルは矩形の角柱型の形状で形成されているが、これは単に例示的なものであり、キャリア流体、排出流体および組み合わされた流体が流れることを可能とし得る適切な構造が選択され得る。運搬チャネルは上流部分においてキャリア流体格納タンクと接続され得、下流部分において製品格納タンクと接続され得る。加えて、運搬チャネルが液滴生産チップと接続されている領域において、運搬チャネルは、その中に排出流体が導入され得る排出流体入口ポート(21)を含み得る。図10Bは、運搬チャネルが複数の液滴生産チップと接続された構造の一部を示す。図10Bにおいて、複数の液滴生産チップがX軸方向において配置されているのが例示されているが、本発明はそれに限定されない。複数の液滴生産チップは、Y軸方向において配置され得、必要に応じて拡張され得る。例示的に、図6Bでは、液滴生産チップの出口孔(17)が運搬チャネルの排出流体入口ポート(21)と直接接続されているが、本発明はそれに限定されない。例えば、液滴生産チップはアダプタによって運搬チャネルと接続され得る。液滴生産チップ(1)から排出された排出流体が排出流体入口ポートを通じて運搬チャネル(2)に導入され得、導入された排出流体(5)と、上流に流れているキャリア流体(4)とが排出流体組み合わせ領域(22)において組み合わされ、これに従って、組み合わされた流体(6)が形成される(図10C)。
【0222】
運搬チャネルは、排出流体が導入される領域の上流であるキャリア流体測定領域において複数のセンサと接続され得る。センサは、キャリア流体測定領域において運搬チャネル内のキャリア流体の特性を測定するためのものであり得る。センサによって測定されたキャリア流体の特性は、流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数であり得る。
[実施例3]円形アレイ(Circular array)
[運搬チャネルおよび液滴生産チップの構造の概要]
図11は、実施例3に係る、運搬チャネルおよび液滴生産チップの構造および形状を示す概略図である。キャリア流体格納タンクは、上流部分(図11における(+)Z方向)においてキャリア流体格納タンクと接続され得、液滴生産チップとの組み合わせ領域の下流部分(図11の(-)Z方向)において製品格納タンクと接続され得る。運搬チャネルは、上流から下流の方向において配置された複数の液滴生産チップおよびスペーサと接続され得、運搬チャネルは、複数の液滴生産チップの中央部を通過する形で接続され得る。
【0223】
実施例3における運搬チャネルとキャリア流体格納タンクとの間の接続関係は実施例1において説明されており、運搬チャネルと製品格納タンクとの間の接続関係も実施例1において説明されており、その構造は当業者によって適切に採用されたものであり得る。
【0224】
以下では、本実施例におけるコンポーネントの構造、およびそれらの間の接続構造がさらに詳細に説明される。
【0225】
[液滴生産チップの構造]
本実施例における例示的な液滴生産チップは、図12に示されている。液滴生産チップは、第1の入口チャネル、第2の入口チャネル(図では省略されている)、第1の材料入口ポート(12)、第2の材料入口ポート(14)、マイクロチャネル、ジャンクション(15)、出口チャネル(16)および出口孔(17)を含む。1つの第1の材料入口ポートに接続されたマイクロチャネルと、1つの第2の材料入口ポートに含まれたマイクロチャネルとは、ジャンクション部分において組み合わされ、出口チャネルと接続される。具体的には、図9はX字状のジャンクション構造を示しているが、これは単に例示的なものであり、マイクロ流体技術を適用することによって液滴が生産され得る任意の構造であれば特に限定されない。ジャンクションでは、第1の材料と第2の材料とが合流して、第2の材料を含む液滴が生産され、液滴と第1の材料とを含む排出流体が形成される。排出流体は、出口チャネルを通じて流れ、出口孔を通じて液滴生産チップの外に排出される。液滴生産チップは複数のマイクロチャネルを含むので、第1の材料および第2の材料が複数の入口ポートを通じて受け入れられる場合、生産された液滴を含む排出流体が複数の出口チャネルを通じて排出される。
【0226】
加えて、図10Bに示されるように、1つの側から見る場合、液滴生産チップは中央部に空きスペースを有しており、それによって内壁と外壁とが分離されている。第1および第2の入口チャネルと、およびそれらにそれぞれ接続されたマイクロチャネルとは、空きスペースが形成された中央部を基準として比較的外側(外壁に近い領域)に形成され得、ジャンクション(15)および出口チャネル(16)は、中央部を基準として比較的内側に形成される。加えて、出口チャネルに接続された出口孔(17)が内壁に形成されている。この図では、液滴生産チップが環状構造を有するものとして示されているが、これは単に例示的なものであり、本発明はそれに限定されない。液滴生産チップは、上記の条件を満たす形状を有し得、当業者によって適切に選択されたものである。
【0227】
液滴生産チップは、複数のセンサと接続され得る。センサは、第1の入口チャネルおよび/または第2の入口チャネル内の第1の材料および/または第2の材料の特性を測定するためのものであり得る。センサによって測定された第1の材料および/または第2の材料の特性は、流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数であり得る。
【0228】
図13は、本実施例において提供されている複数の液滴生産チップがスペーサを使用して並列に配置された構造を示す。図13Aに示されるように、複数の液滴生産チップは、スペーサ(3)を使用してZ軸方向において接続され得る。第1の液滴生産チップおよび第2の液滴生産チップはスペーサを使用して上下に配置されており、第1の液滴生産チップの内壁および第2の液滴生産チップの内壁は互いに整列されており、1つの側から見た場合、中央部の空きスペースはZ軸方向において重なり合う。図13は環状スペーサを示しているが、これは単に例示的なものであり、構造は、中央部の空きスペースが、1つの側から見た場合にZ軸方向において重なり合うとともに並列に配置されるように、当業者によって適切に選択され得る。
【0229】
図13Bおよび図13Cに示されるように、第1の液滴生産チップおよび第2の液滴生産チップの内壁の内部空間は、その自体が、それを通じてキャリア流体が流れる運搬チャネルとしての役割を果たし得、加えて、運搬チャネルが当該内壁の内部空間を通過し得る。
【0230】
図15Aに示されるように、第1の液滴生産チップは、複数の第1の材料中間供給チャネル(111)および第2の材料中間供給チャネル(131)を含み得る。第1の材料中間供給チャネル(111)および第2の材料中間供給チャネル(131)は、スペーサ(3)に含まれた第1の材料スペーサ入口チャネル(31)および第2の材料スペーサ入口チャネル(32)を通じて、下段にある第2の液滴生産チップに材料を供給し得る。具体的には、液滴生産チップは、スペーサと接触している下部の側壁に形成された複数の第1の材料中間供給チャネル(111)と第2の材料中間供給チャネル(131)とを通じて第1の入口チャネル(11)と第2の入口チャネル(13)とから供給された第1の材料と第2の材料とを、スペーサ入口チャネル(31および32)を通じて、下に位置する第2の液滴生産チップに供給する。
【0231】
さらに、第2の液滴生産チップは、複数の第1の材料中間供給チャネル(111)および第2の材料中間供給チャネル(131)(図15B)を含み得る。
【0232】
[運搬チャネルの構造]
本実施例において提供されている運搬チャネルは、複数の液滴生産チップの内壁の内部空間を通過しており、複数の出口孔から排出された排出流体を導入することによって、キャリア流体および排出流体を含む組み合わされた流体を形成するように、当業者によって適切に選択された形状を有し得る。
【0233】
図14に示されるように、運搬チャネルは排出流体入口ポートを含み得る。これは単なる一例であり、液滴生産チップから排出された排出流体は排出流体入口ポート以外の構造を通じて運搬チャネルに導入され得る。1つの例において、排出流体は、出口ポートに接続されたアダプタによって運搬チャネルに導入され得るが、本発明はそれに限定されない。
【0234】
図13Cに示されるように、スペーサ(3)を通じて並列に配置された複数の液滴生産チップの内壁の内部空間は、それを通じて運搬チャネル(2)が通過する形状を有し得る。図13Cに示されるように、複数の液滴生産チップの内壁の内側と、スペーサ3によって遮断された空間との形状および寸法、ならびに、運搬チャネル(2)の形状および寸法は、誤差範囲内で空隙を作ることなく接続されるように設計され得る。ここで、液滴生産チップの内壁に形成された出口孔(17)と、キャリア流体の排出流体入口ポート(21)とは互いに接続されて、液滴生産チップから排出された排出流体がキャリア流体に導入され得る。
【0235】
本明細書において提供されている1つの例において、内壁の内部空間、ならびにスペーサによって遮断された空間自体が運搬チャネルであり得る。ここで、運搬チャネルはさらに、液滴生産チップとスペーサとが互いに接触された部分から流体が漏洩することを防止するための密封材(sealant)を含み得る。
【0236】
本明細書に提供されている1つの例において、運搬チャネルは中空管として形成され得る。別の例として、運搬チャネルは、中央部に長手方向のコア構造(23)を含み得る。コア構造(23)は、運搬チャネルにおける体積を物理的に制限することによって、本実施例において微粒子生産システムで制御されることが困難なほど大きい流量でキャリア流体が運搬チャネルに導入されることを構造的に防止する。コア構造(23)の1つの例は、図14Bに示されている。具体的には、運搬チャネルは円筒形のコア構造(23)を含み得るが、本発明はそれに限定されない。運搬チャネルは、上記の機能を発揮するように、当業者によって適切に選択された構造を有し得る。
[実施例4]キャリア流体の制御方法
本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、材料コントローラおよび/またはキャリア流体コントローラの各々によって各供給ポンプに伝送される制御信号を制御する方法に関連する。
【0237】
[材料の供給方法]
本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、第1の材料および第2の材料を液滴生産チップに供給する段階と、液滴生産チップから運搬チャネルに排出流体を排出する段階とを含む。上記の実施例1の構成を参照すると、第1の材料および第2の材料を液滴生産チップに供給するプロセスは、材料コントローラから送信された制御信号を適切に決定することによって制御され得る。
【0238】
液滴生産チップは、マイクロフルイディクスを使用して第1の材料および第2の材料から液滴を生産し得る構造を有するように設計され得る。液滴生産チップに含まれたマイクロチャネルの構造および寸法と、マイクロチャネルを組み合わせることによって液滴が形成される部分であるジャンクションの構造とに従って、最適な効率で液滴を生産するための第1の材料および第2の材料のマイクロチャネル内での流量が決定される。
【0239】
従って、本実施例に含まれた第1の材料および第2の材料を供給することによって、排出流体を液滴生産チップから運搬チャネルに排出するプロセスは、液滴生産チップの形状、材料、構造および寸法から予め定められた流量で第1の材料および第2の材料を供給し得る。
【0240】
[キャリア流体の制御方法]
[キャリア流体の制御方法の概要]
本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、微粒子生産システムの運搬チャネルにキャリア流体を供給する段階と、供給されたキャリア流体を排出流体と組み合わせることによって組み合わされた流体を形成する段階とを含む。上記の実施例1を参照すると、運搬チャネルにキャリア流体を供給する段階と、供給されたキャリア流体を排出流体と組み合わせることによって組み合わされた流体を形成する段階とは、キャリア流体供給ポンプからキャリア流体コントローラに送信された制御信号を適切に決定することによって制御され得る。
【0241】
本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法の目的(液滴生産チップにおいて生産された液滴を製品格納タンクに安定的に運搬すること)を達成するために、本実施例は、組み合わされた流体の流量を排出流体のそれより大きくするように、キャリア流体コントローラによって、予め定められた制御信号をキャリア流体供給ポンプに伝送することを含み得る。
【0242】
当該目的を達成するために、予め定められた制御信号を伝送することによってキャリア流体を制御することも可能であるが、微粒子生産システムの動作状況はリアルタイムで変化し得るので、それを適切な形式で測定して、その形式を制御方法に反映した方がより望ましい。
【0243】
図16は、キャリア流体コントローラが、1または複数のセンサから、測定値を受信して、キャリア流体制御信号の決定に当該測定値を反映するプロセスを示す。キャリア流体コントローラは、キャリア流体供給ポンプに対して連続的に制御信号を伝送する。制御信号が伝送されている間、キャリア流体コントローラは、1または複数のセンサから、材料、排出流体、キャリア流体、および/または組み合わされた流体の特性についての測定値を受信する。キャリア流体コントローラは、受信された測定値、または測定値から推定された数値を、目的に応じて、予め定められた基準と比較する。測定値または測定値から推定された数値が予め定められた基準を満たす場合、現在送信されている制御信号はそのまま維持される。測定値または測定値から推定された数値が予め定められた基準を満たさない場合、制御信号は基準を満たすように変更されて伝送される。1または複数のセンサから測定値を収集して、現在の制御信号の伝送を維持するかまたは変更された制御信号を伝送するかを決定する連続したプロセスは、微粒子生産システムの動作中に、予め定められた周波数に従って必要な回数だけ繰り返され得、この繰り返しを通じてキャリア流体の制御目的を達成し得る。
【0244】
以下では、キャリア流体の制御目的に係るより詳細な制御方法が説明される。
【0245】
[液滴の安定した運搬のために特定の流量またはそれより多いキャリア流体を供給する方法]
本明細書に提供されている微粒子生産システムの制御方法は、排出流体が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出された場合に、予め定められた流量またはそれより多くのキャリア流体が運搬チャネルに供給される状態になるように、キャリア流体を制御する段階を含み得る。
【0246】
上記のプロセスを含む本発明の目的は、液滴を含む排出流体が運搬チャネルに排出された場合に、予め定められた流量またはそれより多くのキャリア流体を供給することによって、液滴と、層流を安定的に形成したキャリア流体とを組み合わせて、その結果、液滴の凝集または破壊を防止するためである。
【0247】
図17および図18は、排出流体が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に、予め定められた流量またはそれより多くのキャリア流体が運搬チャネルに供給された状態になるようにキャリア流体を制御するプロセスと、当該制御プロセスを適用した場合のキャリア流体の流量‐時間のグラフを示す。キャリア流体コントローラは、特定の流量のキャリア流体をキャリア流体供給ポンプに連続的に供給するために制御信号を伝送する。キャリア流体コントローラは、排出流体およびキャリア流体の流量を測定し得るセンサから、排出流体の流量およびキャリア流体の流量を測定値として受信する。キャリア流体コントローラは、受信した排出流体の流量に従って、液滴の安定した運搬のために必要なキャリア流体流量の最小値を計算する。キャリア流体コントローラは、受信したキャリア流体の流量の測定値が計算された流量の最小値より大きいまたはそれに等しいかどうかを決定する。キャリア流体流量の測定値が計算された流量の最小値より大きいまたはそれに等しい場合、キャリア流体コントローラは、現在伝送されている制御信号を維持する。キャリア流体流量の測定値が計算された流量の最小値より低い場合、キャリア流体コントローラは、キャリア流体の流量が計算された流量の最小値より高くなるように、制御信号を変更する。本明細書において提供されているキャリア流体の制御方法が適用された場合、キャリア流体の流量‐時間のグラフが図18に示される。キャリア流体の流量が計算された流量の最小値(図18のt1ポイント)に達した場合、且つキャリア流体を制御する方法が適用された場合(キャリア流体流量が制御された場合)、キャリア流体コントローラが制御信号を計算された流量の最小値より大きいまたはそれに等しくなるように変更するようにキャリア流体流量が制御され、その一方、本実施例の制御方法が適用されない場合(キャリア流体流量が制御されない場合)、キャリア流体の流量は計算された流量の最小値を下回るように低下し、従って、液滴の凝集または破壊の問題が生じ得る。
【0248】
[キャリア流体の逆流現象を防止するために特定の流量より少なくキャリア流体を供給する方法]
本実施例において提供されている微粒子生産システムの制御方法は、排出流体が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出された場合に、予め定められた流量より少ないキャリア流体が運搬チャネルに供給される状態を有するように、キャリア流体を制御する段階を含み得る。
【0249】
上記のプロセスを含む本発明の目的は、液滴を含む排出流体が運搬チャネルに排出される場合に、予め定められた流量またはそれより少ない流量でキャリア流体が供給される状態を維持することによって、キャリア流体が液滴生産チップの出口チャネルに逆流する現象を防止することである。
【0250】
図19および図20は、排出流体が出口チャネルを通じて運搬チャネルに排出される場合に、予め定められた流量より少ないキャリア流体が運搬チャネルに供給される状態を有するようにキャリア流体を制御するプロセスと、当該制御プロセスを適用した場合のキャリア流体の流量‐時間のグラフを示す。キャリア流体コントローラは、特定の流量のキャリア流体をキャリア流体供給ポンプに連続的に供給するために制御信号を伝送する。キャリア流体コントローラは、排出流体およびキャリア流体の流量を測定し得るセンサから、排出流体の流量およびキャリア流体の流量を測定値として受信する。キャリア流体コントローラは、受信した排出流体の流量に従って、キャリア流体が出口チャネルに逆流しないキャリア流体の流量の最大値を計算する。キャリア流体コントローラは、受信したキャリア流体の流量が計算された流量の最大値より少ないかどうかを決定する。キャリア流体流量の測定値が計算された流量の最大値より低い場合、キャリア流体コントローラは、現在伝送されている制御信号を維持する。キャリア流体流量の測定値が計算された流量の最大値より大きいまたはそれに等しい場合、キャリア流体コントローラは、キャリア流体の流量が計算された流量の最大値より少なくなるように、制御信号を変更する。本実施例において提供されているキャリア流体の制御方法が適用された場合、キャリア流体の流量‐時間のグラフが図20に示される。キャリア流体の流量が計算された流量の最大値(図20のt1ポイント)に達した場合、且つキャリア流体を制御する方法が適用された場合(キャリア流体流量が制御された場合)、キャリア流体コントローラが制御信号を変更して、計算された流量の最小値より小さくなるようにキャリア流体流量を制御し、その一方、本実施例の制御方法が適用されない場合(キャリア流体流量が制御されない場合)、キャリア流体の流量が計算された流量の最大値を超え得、従って、キャリア流体の逆流の問題が生じ得る。
【0251】
[製品格納タンクの格納容量を超えないようにキャリア流体を供給する方法]
本実施例において提供されている微粒子生産システムの制御方法は、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬するプロセスにおいて製品格納タンクの流体格納容量を超えないようにキャリア流体を供給する方法を制御する段階を含み得る。
【0252】
上記のプロセスを含む本発明の目的は、微粒子の生産中に製品格納タンクの流体格納容量を超えて組み合わされた流体を供給することを防止することで、組み合わされた流体に含まれた液滴の凝集または破壊を防止することと、微粒子生産システムが損傷されることを防止することである。
【0253】
上記の処理において、組み合わされた流体は、液滴生産チップから排出された排出流体と、キャリア流体とを含む。排出流体は第1の材料および第2の材料を含む液滴を含んでいるので、排出流体の流量および流速などの特性は、液滴生産チップに供給される第1の材料および第2の材料の流量および流速に依存する。しかしながら、上記のように、第1の材料および第2の材料は、液滴生産チップ内で液滴が生成され得る条件下で供給されなければならないので、流量および流速の範囲が液滴生産チップの形状、寸法および構造によって影響を受けることによって必然的に限定される。従って、組み合わされた流体の流量および流速を制御するためには、キャリア流体の流量および流速を制御することがより望ましい。
【0254】
図21は、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬するプロセスにおいて製品格納タンクの流体格納容量を超えないようにキャリア流体を供給する方法を制御する段階を制御するプロセスを示す。キャリア流体コントローラは、特定の流量のキャリア流体をキャリア流体供給ポンプに連続的に供給するために制御信号を伝送する。キャリア流体コントローラは、組み合わされた流体の流量、キャリア流体の流量、および製品格納タンクの流体収容体積を、それらを測定し得るセンサから、測定値として受信する。キャリア流体コントローラは、受信した組み合わされた流体の流量および製品格納タンクの流体収容体積に従って、キャリア流体の流量の最大値を計算する。キャリア流体コントローラは、計算された最大値と受信したキャリア流体流量の測定値とを比較する。キャリア流体流量の測定値が計算された最大値より低い場合、キャリア流体コントローラは、現在の制御信号を維持する。キャリア流体流量の測定値が計算された最大値より大きいまたはそれに等しい場合、キャリア流体コントローラは、キャリア流体流量が計算された最大値より少なくなるように制御信号を変更する。
【0255】
[複数の運搬チャネルが使用される場合に運搬チャネルの合流点において層流を維持する方法]
本明細書に提供されている微粒子生産システムが1または複数の運搬チャネルを含む場合、コンポーネント間の接続関係は図22に示される。この場合、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが第3の運搬チャネルにおいて組み合わされ、この組み合わせプロセス中に、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが層流を維持するように制御するプロセスが必要である。
【0256】
従って、本実施例において提供されている微粒子生産システムの制御方法は、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬するプロセスにおいて、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体との合流点において、第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体が層流を維持するように制御する段階を含む。
【0257】
上記のプロセスを含む本発明の目的は、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが第3の運搬チャネル内で組み合わされる場合、乱流により生じる第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体に含まれた液滴の凝集または破壊を防止することである。
【0258】
上記のように、上記の処理において、組み合わされた流体は、液滴生産チップから排出された排出流体と、キャリア流体とを含む。排出流体は第1の材料および第2の材料を含む液滴を含んでいるので、排出流体の流量および流速などの特性は、液滴生産チップに供給される第1の材料および第2の材料の流量および流速に依存する。しかしながら、上記のように、第1の材料および第2の材料は、液滴生産チップ内で液滴が生産され得る条件下で供給されなければならないので、流量および流速の範囲が液滴生産チップの形状、寸法および構造の影響によって必然的に限定される。
【0259】
従って、組み合わされた流体の流量および流速を制御するためには、キャリア流体の流量および流速を制御することがより望ましい。
【0260】
図23は、組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬するプロセスにおいて、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体との合流点において第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが層流を維持するように制御するプロセスを示す。キャリア流体コントローラは、第1のキャリア流体および第2のキャリア流体が特定の流量および流速で供給されるように、制御信号をキャリア流体供給ポンプに連続的に伝送する。キャリア流体コントローラは、合流点において流れる第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体の特性を測定し得るセンサから、第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体の流量および流速を含む組み合わされた流体の特性を、測定値として受信する。キャリア流体コントローラは、受信した測定値から、合流点に乱流が生じるかどうかを決定する。乱流が生じないと決定した場合、キャリア流体コントローラは、現在の制御信号を維持する。乱流が生じると決定した場合、キャリア流体コントローラは、第1の組み合わされた流体と第2の組み合わされた流体とが合流点において層流を維持するように、第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体の流量および流速の範囲を計算する。キャリア流体コントローラは、第1の組み合わされた流体および第2の組み合わされた流体が計算された流量および流速を有するように、第1のキャリア流体および第2のキャリア流体の流量および流速を計算する。最終的に、キャリア流体コントローラは、計算した値に基づいて変更された制御信号を伝送する。
【0261】
[参照番号の説明]
1 チップ
11 第1の材料入口チャネル
12 第1の材料入口孔
13 第2の材料入口チャネル
14 第2の材料入口孔
15 ジャンクション
16 出口チャネル
17 出口孔
2 運搬チャネル
21 排出流体入口ポート
22 排出流体組み合わせ領域
23 コア構造
3 スペーサ
31 第1の材料注入
32 第2の材料注入
4 キャリア流体
5 排出流体
6 組み合わされた流体
【0262】
[産業上の利用可能性]
本明細書は、マイクロフルイディクスを使用した微粒子生産システムおよびその制御方法を提供する。本明細書に開示されている本発明に従って、マイクロフルイディクスを使用して生産された液滴を凝集または破壊されることなく安定的に運搬するための産業的に使用可能なシステム、およびその制御方法が提供されている。本明細書に開示されている微粒子生産システムおよびその制御方法によって、マイクロフルイディクスを使用して微粒子生産システムによって生産された液滴は、凝集または破壊されることなく安定的に運搬され得、結果としてより効率的な微粒子の生産がもたらされる。
[他の考えられる項目]
(項目1)
微粒子生産システムの制御方法であって、
キャリア流体を運搬チャネルに供給する段階と、
少なくとも第1の材料および第2の材料を含む1つの材料を液滴生産チップに供給することで出口チャネルを通じて排出流体を前記運搬チャネルに排出する段階であって、前記排出流体は前記第1の材料を含む材料流体および前記第2の材料を含む液滴を含んでおり、前記液滴は前記液滴生産チップにおいて前記材料から生産されたものである、段階と、
前記キャリア流体と前記排出流体とを組み合わせることによって組み合わされた流体を生成する段階であって、前記キャリア流体を前記運搬チャネルに供給する前記段階は、前記組み合わされた流体の流量を前記排出流体のそれより大きくすることを可能とするための段階である、段階と
を備える、方法。
(項目2)
前記キャリア流体を前記運搬チャネルに供給する前記段階と、前記キャリア流体と前記排出流体とを組み合わせる前記段階とのうち少なくとも1つは、前記キャリア流体の供給方法を制御する段階を含み、
前記キャリア流体の前記供給方法を制御する前記段階は、前記キャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、流入停止時間、流入量および流量、前記運搬チャネルにおけるその流速、および流入位置から選択された1または複数を制御する段階であり、
前記キャリア流体の前記供給方法は、キャリア流体コントローラによって制御される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記キャリア流体を前記排出流体と組み合わせる前記段階はさらに、前記排出流体が前記出口チャネルを通じて前記運搬チャネルに排出される場合に、予め定められた流量またはそれより多くの前記キャリア流体が前記運搬チャネルに供給された状態になるように前記キャリア流体を制御する段階を含み、
前記キャリア流体を制御する前記段階は、前記キャリア流体コントローラが前記キャリア流体の前記流量、前記流入量、前記流入時点および前記流入時間のうち1または複数を制御することによって達成される、項目2に記載の方法。
(項目4)
微粒子生産システムを制御する前記方法はさらに、前記組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階を含み、
前記組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する前記段階は、前記製品格納タンクの前記流体格納容量を超えないように、前記キャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、流入停止時間、流入量および流量、ならびに前記運搬チャネルにおけるその流速のうち1または複数を制御する段階を含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記キャリア流体の前記供給方法を制御する前記段階はさらに、前記キャリア流体コントローラを通じて、センサから1または複数の測定値を受信して、前記キャリア流体の前記供給方法を制御する段階に前記測定値を反映する段階を含み、
前記測定値は、前記排出流体、前記キャリア流体および前記組み合わされた流体のうち1または複数に関連しており、
前記測定値は、流体の流量、流速、温度または圧力のうち1または複数である、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記排出流体と前記キャリア流体とが組み合わされる前に前記液滴が空気と接触するかどうかを制御する段階をさらに含み、
前記液滴が空気と接触するかどうかを制御する前記段階は、前記キャリア流体の流入時点、流入停止時点、流入時間、流入停止時間、流入量および流量、前記運搬チャネルにおけるその流速、および流入位置から選択された1または複数を制御することによって、前記キャリア流体コントローラによって達成される、項目1に記載の方法。
(項目7)
微粒子生産システムの制御方法であって、
第1のキャリア流体を第1の運搬チャネルに供給する段階と、
少なくとも第1の材料および第2の材料を含む材料を第1の液滴生産チップに供給することで第1の出口チャネルを通じて第1の排出流体を第1の運搬チャネルに排出する段階であって、前記第1の排出流体は前記第1の材料を含む第1の材料流体および前記第2の材料を含む第1の液滴を含んでおり、前記第1の液滴は前記第1の液滴生産チップにおいて前記材料から生産されたものである、段階と、
前記第1のキャリア流体と前記第1の排出流体とを組み合わせることによって第1の組み合わされた流体を生成する段階と、
第2のキャリア流体を第2の運搬チャネルに供給する段階と、
少なくとも前記第1の材料および前記第2の材料を含む材料を第2の液滴生産チップに供給することで第2の出口チャネルを通じて第2の排出流体を第2の運搬チャネルに排出する段階であって、前記第2の排出流体は前記第1の材料を含む第2の材料流体および第2の材料を含む前記第2の液滴を含んでおり、前記第2の液滴は前記第2の液滴生産チップにおいて前記材料から生産されたものである、段階と、
前記第2のキャリア流体と前記第2の排出流体とを組み合わせることによって第2の組み合わされた流体を生成する段階と、
前記第1の組み合わされた流体と前記第2の組み合わされた流体とを組み合わせて、次に、前記組み合わされた流体を製品格納タンクに運搬する段階であって、キャリア流体コントローラは、前記第1のキャリア流体および前記第2のキャリア流体の流量および流速から選択された1または複数を制御して、その結果、前記第1の組み合わされた流体と前記第2の組み合わされた流体とが組み合わされる場合に前記第1の組み合わされた流体および前記第2の組み合わされた流体が層流(laminar flow)を維持するようにする、段階と
を備える、方法。
(項目8)
前記第1の組み合わされた流体と前記第2の組み合わされた流体とを組み合わせて、次に、前記組み合わされた流体を前記製品格納タンクに運搬する前記方法はさらに、前記キャリア流体コントローラを通じて、センサから1または複数の測定値を受信して、前記第1のキャリア流体および前記第2のキャリア流体の前記流量および前記流速から選択された1または複数を制御する段階に前記測定値を反映する段階を含み、
前記測定値は、前記第1の排出流体、前記第2の排出流体、前記第1のキャリア流体、前記第2のキャリア流体、前記第1の組み合わされた流体および前記第2の組み合わされた流体のうち1または複数に関連しており、
前記測定値は、流体の流量、流速、温度および圧力のうち1または複数である、項目7に記載の方法。
(項目9)
第1の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第1の出口チャネルを含む第1の液滴生産チップと、
運搬チャネルと、
キャリア流体供給源と、
キャリア流体コントローラと
を備え、
流体が流れ得るように前記出口チャネルと前記運搬チャネルとが接続されており、
流体が流れ得るように前記キャリア流体供給源と前記運搬チャネルとが接続されており、
前記キャリア流体コントローラは前記キャリア流体供給源に制御信号を伝送するように接続されており、
前記運搬チャネルは前記第1の液滴生産チップから排出された材料および液滴を含む排出流体を製品格納タンクに運搬するためのものであり、
前記キャリア流体供給源は前記キャリア流体コントローラの前記制御信号を受信してキャリア流体を前記運搬チャネルに供給することによって前記運搬チャネルの機能を達成させるためのものである、微粒子生産システム。
(項目10)
前記キャリア流体供給源はさらに、キャリア流体格納タンクおよびキャリア流体供給ポンプを含み、
前記キャリア流体格納タンクと前記運搬チャネルとは流体が流れ得るようにキャリア流体入口ポートによって接続されており、
前記キャリア流体供給ポンプは前記キャリア流体格納タンクに圧力を伝送するように接続されており、
前記キャリア流体コントローラは、前記キャリア流体供給ポンプに制御信号を伝送するように接続されている、項目9に記載の微粒子生産システム。
(項目11)
前記液滴生産チップはさらに、アダプタを含んでおり、
前記運搬チャネルと前記第1の出口チャネルとは、流体が流れ得るように、前記アダプタによって接続されている、項目9に記載の微粒子生産システム。
(項目12)
前記微粒子生産システムはさらに、少なくともセンサを含んでおり、
前記センサは、前記キャリア流体コントローラに測定値の信号を伝送するように接続されており、
前記センサは、流体の流速、流量、温度および圧力から選択された1または複数を測定し得、
前記センサは、前記入口チャネル、前記運搬チャネル、および前記出口チャネルのうち1または複数を通じて流れている流体の特性を測定するためのものである、項目9に記載の微粒子生産システム。
(項目13)
第1の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第1の出口チャネルを含む第1の液滴生産チップと、
第2の液滴生産チップであって、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクションおよび第2の出口チャネルを含む第2の液滴生産チップと、
第1の運搬チャネルと、
第2の運搬チャネルと、
第3の運搬チャネルと、
キャリア流体供給源と、
キャリア流体コントローラと、
製品格納タンクと
を備え、
流体が流れ得るように前記第1の出口チャネルと前記第1の運搬チャネルとが接続されており、
流体が流れ得るように前記第2の出口チャネルと前記第2の運搬チャネルとが接続されており、
流体が流れ得るように前記キャリア流体供給源と前記第1の運搬チャネルとが接続されており、
流体が流れ得るように前記キャリア流体供給源と前記第2の運搬チャネルとが接続されており、
前記キャリア流体コントローラは前記キャリア流体供給源に制御信号を伝送するように接続されており、
前記第1の運搬チャネルおよび前記第2の運搬チャネルは前記液滴生産チップから排出された材料および液滴を含む排出流体を前記製品格納タンクに運搬するためのものであり、
前記第1の運搬チャネルおよび前記第2の運搬チャネルは合流点で前記第3の運搬チャネルと接続されており、
前記第3の運搬チャネルは前記製品格納タンクと接続されており、
前記第1の運搬チャネルおよび前記第2の運搬チャネルは前記合流点および前記第3の運搬チャネルを通じて前記製品格納タンクと接続されている、微粒子生産システム。
(項目14)
前記微粒子生産システムはさらに、第2の液滴生産チップを含んでおり、
前記第1の液滴生産チップはさらに、第2の出口チャネルおよび第1の側壁を含んでおり、
前記第2の液滴生産チップは、入口チャネル、マイクロチャネル、ジャンクション、第3の出口チャネル、第4の出口チャネルおよび第2の側壁を含んでおり、
前記第1の出口チャネルと前記第2の出口チャネルとは、前記第1の液滴生産チップの前記第1の側壁と接続することによって外部と連通しており、
前記第3の出口チャネルと前記第4の出口チャネルとは、前記第2の液滴生産チップの前記第2の側壁と接続することによって外部と連通しており、
前記第1の出口チャネルから前記第4の出口チャネルは、流体が流れ得るように前記運搬チャネルと接続されており、
前記第1の液滴生産チップおよび前記第2の液滴生産チップは、前記第1の側壁と前記第2の側壁とが同じ方向を向き得るように配置されている、項目9に記載の微粒子生産システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13(a)】
図13(b)】
図13(c)】
図14(a)】
図14(b)】
図15(a)】
図15(b)】
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23