(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】電源アダプタの検品装置
(51)【国際特許分類】
B65H 54/56 20060101AFI20240416BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20240416BHJP
B08B 7/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B65H54/56
G01M99/00 Z
B08B7/00
(21)【出願番号】P 2020115951
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】597000456
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティ・ティ・ロジスコ
(73)【特許権者】
【識別番号】391009442
【氏名又は名称】株式会社日辰電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 行広
(72)【発明者】
【氏名】石上 尚希
(72)【発明者】
【氏名】横尾 右京
(72)【発明者】
【氏名】マタラゲ ドン ラジタ ラクシャン
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-066141(JP,U)
【文献】特開2001-246339(JP,A)
【文献】特開昭58-011616(JP,A)
【文献】特開昭58-017068(JP,A)
【文献】米国特許第4406109(US,A)
【文献】中国実用新案第216403384(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/56
G01M 99/00
B08B 7/00
G01R 31/00-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源アダプタが有するコードの両端部を、前記コードの延出方向が鉛直方向に対して交差する方向となるように個別に保持する一対の台車と、
前記一対の台車を、保持した前記コードの延出方向に沿って走行させながら、前記一対の台車に保持した前記電源アダプタをドライアイス洗浄する洗浄部と、
前記洗浄部によりドライアイス洗浄された前記電源アダプタの前記コードを巻き取る巻取り部と、
前記一対の台車のうちの少なくとも1つの台車、前記洗浄部及び前記巻取り部の動作を制御する制御部と、
を有し、
前記巻取り部は、平行に配置された一対の巻取り軸を有し、
前記制御部は、
前記一対の台車に保持された前記電源アダプタの前記コードの延出方向における所定位置が前記一対の巻取り軸の間に挿入されるまで、前記一対の巻取り軸を前記一対の巻取り軸の軸方向に移動させた後、前記一対の巻取り軸を前記一対の巻取り軸の軸方向に平行な軸を中心として回動させながら、前記一対の台車を近接する方向に移動させる制御を行い、その制御によって、前記巻取り部による前記電源アダプタの前記コードの巻取りが行われることを特徴とする電源アダプタの検品装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源アダプタの検品装置において、
前記一対の台車の各台車は、
台車本体と、
前記電源アダプタの前記コードの延出方向に且つ他方の台車から離間する方向に付勢され、前記電源アダプタの前記コードの延出方向における両端部のいずれか一方の端部を保持する保持部と、
を有することを特徴とする電源アダプタの検品装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電源アダプタの検品装置において、
前記ドライアイス洗浄された前記電源アダプタの外観を検査する検査部と、
前記巻取り部により巻き取られたコードを結束する結束部と、
を有し、
前記結束部は、前記検査部による外観の検査で正常であると判定された前記電源アダプタのコードを、正常であることを示す第1のバンドを用いて結束し、前記検査で正常でないと判定された前記電源アダプタのコードを前記第1のバンドとは異なる第2のバンドを用いて結束することを特徴とする電源アダプタの検品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源アダプタの検品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどのモバイル端末機や、ノートパソコン等の電子機器は、電源アダプタを接続して、電子機器に内蔵される二次電池を充電している。電源アダプタは、AC-DC変圧器、整流器及び安定化回路などを内蔵したアダプタ本体を有し、アダプタ本体に、ACプラグ付き電源コード及びDCコネクタ(DCプラグ)付きDCコードを取り付けた構成である(特許文献1参照)。ここで、電源アダプタは、電子機器の仕様に合わせて異なるDCプラグが採用される。したがって、電子機器は、電子機器自体の仕様に合わせた電源アダプタを付属して販売されることが一般的である。
【0003】
このような電子機器を新たに購入すると、今まで使用していた電子機器は、専門の業者に回収される。このとき、電源アダプタは、電子機器とともに専門の業者に回収されることもあるが、所有者により廃棄されることも多い。電源アダプタは、アダプタ本体にAC-DC変圧器、整流器及び安定化回路などを内蔵していることもあり、近年では、電子機器だけでなく、電源アダプタもリサイクル資源として回収されるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば回収された電子機器は、電子機器の状態検査やクリーニングされた後、電源アダプタとともにリサイクル品として出荷される場合がある。したがって、電子機器だけでなく、電源アダプタに対しても、状態検査やクリーニングなどを実施する必要がある。なお、電源アダプタに対しては、状態検査やクリーニングの他、コードを巻き取り結束する作業が行われる。ところで、電源アダプタのコードを巻き取る処理は、作業者の手作業により行われることが多く、作業者の手作業では、電源アダプタのコードを安定してきれいに巻き取ることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、電源アダプタのコードを安定してきれいに巻き取ることができるようにした電源アダプタの検品装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの観点によれば、本発明の電源アダプタの検品装置は、電源アダプタが有するコードの両端部を、前記コードの延出方向が鉛直方向に対して交差する方向となるように個別に保持する一対の台車と、前記一対の台車を、保持した前記コードの延出方向に沿って走行させながら、前記一対の台車に保持した前記電源アダプタをドライアイス洗浄する洗浄部と、前記洗浄部によりドライアイス洗浄された前記電源アダプタの前記コードを巻き取る巻取り部と、前記一対の台車のうちの少なくとも1つの台車、前記洗浄部及び前記巻取り部の動作を制御する制御部と、を有し、前記巻取り部は、平行に配置された一対の巻取り軸を有し、前記制御部は、前記一対の台車に保持された前記電源アダプタの前記コードの延出方向における所定位置が前記一対の巻取り軸の間に挿入されるまで、前記一対の巻取り軸を前記一対の巻取り軸の軸方向に移動させた後、前記一対の巻取り軸を前記一対の巻取り軸の軸方向に平行な軸を中心として回動させながら、前記一対の台車を近接する方向に移動させる制御を行い、その制御によって、前記巻取り部による前記電源アダプタの前記コードの巻取りが行われることを特徴とする。
【0008】
また、前記一対の台車の各台車は、台車本体と、前記電源アダプタの前記コードの延出方向に且つ他方の台車から離間する方向に付勢され、前記電源アダプタの前記コードの延出方向における両端部のいずれか一方の端部を保持する保持部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記ドライアイス洗浄された前記電源アダプタの外観を検査する検査部と、前記巻取り部により巻き取られたコードを結束する結束部と、を有し、前記結束部は、前記検査部による外観の検査で正常であると判定された前記電源アダプタのコードを、正常であることを示す第1のバンドを用いて結束し、前記検査で正常でないと判定された前記電源アダプタのコードを前記第1のバンドとは異なる第2のバンドを用いて結束することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本件開示によれば、電源アダプタのコードを安定してきれいに巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の検品装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】(a)洗浄ユニットの近傍の構成の一例を示す図、(b)洗浄室を取り外した状態の洗浄ユニットの構成の一例を示す図である。
【
図3】巻取りユニット近傍の構成の一例を示す図である。
【
図7】検品装置の電気的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図8】検品処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】アダプタ本体のDCコードを巻き取る流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施した電源アダプタの検品装置について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、検品装置10は、複数の搬送ユニット70のそれぞれに設置されたワークW(
図6参照)に対してクリーニング、外装検査を行った後、ワークWが有するコードの巻き取り及び結束を行い、外部に搬送する装置である。
【0013】
本実施形態では、ワークWとして、DCプラグを有するDCコードが接続されたアダプタ本体を例示する。なお、ワークWとしては、両端部にプラグ(コネクタ)を有する各種コード(ケーブル)を採用することも可能である。
【0014】
以下、検品装置10を説明するに当たり、検品装置10の長手方向(
図1中、検品装置の左右方向)をX方向、検品装置10の幅(奥行)方向をY方向、検品装置10の上下方向をZ方向と称する。
【0015】
図1に示すように、検品装置10は、第1搬送エリアA1、検品エリアA2、第2搬送エリアA3を、X方向に沿って第1搬送エリアA1、検品エリアA2及び第2搬送エリアA3の順で有する。そして、検品装置10は、複数の搬送ユニット70の各々を、第1搬送エリアA1→検品エリアA2→第2搬送エリアA3→検品エリアA2→第1搬送エリアA1→・・・の順で、水平面上で循環させる。
【0016】
第1搬送エリアA1は、搬送ユニット70にワークWを設置し、ワークWを設置した搬送ユニット70を検品エリアA2へと送り出す領域である。搬送ユニット70にワークWを設置する作業は、作業者が行ってもよいし、装置が自動で行ってもよい。以下、作業者が、ワークWを搬送ユニット70に設置する場合を説明する。操作パネル100は、検品装置10のオンオフや、設定変更などの際に操作される。
【0017】
第1搬送エリアA1は、X方向に延出する走行レールユニット20と、走行レールユニット20をY方向に移動させるコンベヤ装置21と、を有する。
【0018】
図示は省略するが、走行レールユニット20は、搬送ユニット70が走行する走行面に沿って複数の固定子コイルを備える。固定子コイルは、搬送ユニット70に設けた可動子マグネットとともに、リニアモータを構成する。つまり、本実施形態の検品装置において、搬送ユニット70はリニアモータによって走行する。
【0019】
コンベヤ装置21は、走行レールユニット20をY方向に移動させる装置である。例えばコンベヤ装置21は、第1搬送エリアA1にY方向に沿って配置したレール22の上面に複数配置された固定子コイル(図示省略)と、走行レールユニット20の下部に設けた可動子マグネット(図示省略)とからなるリニアモータを駆動源としたリニアコンベヤである。ガイドレール23,24は、走行レールユニット20の移動方向を規制する。
【0020】
第1搬送エリアA1において、走行レールユニット20は、通常、検品エリアA2に設置される走行レールユニット31と接続した位置で位置保持される。そして、検品エリアA2の走行レールユニット上に位置する搬送ユニット70を受け取る際に、コンベヤ装置21は、第1搬送エリアA1の走行レールユニット20を検品エリアA2の走行レールユニット32と接続した位置(
図1中二点鎖線で示す位置)、又は検品エリアA2の走行レールユニット33と接続した位置(
図1中点線で示す位置)のいずれか一方の位置へと移動させる。そして、接続した走行レールユニット20から搬送ユニット70を受け取ると、コンベヤ装置21は、走行レールユニット20を、検品エリアA2に設置される走行レールユニット31と接続した位置(
図1中実線に示す位置)まで移動させる。
【0021】
検品エリアA2は、X方向に延出される3本の走行レールユニット31,32,33をY方向において並列状態で配置している。走行レールユニット31は、第1搬送エリアA1の走行レールユニット20と接続されたときに、第1搬送エリアA1の走行レールユニット20を走行する搬送ユニット70を受け入れて、搬送ユニット70を走行させる。また、走行レールユニット31は、第2搬送エリアA3の走行レールユニット61と接続されたときに、走行レールユニット31上にある搬送ユニット70を、第2搬送エリアA3の走行レールユニット61へと走行させる。走行レールユニット32は、第2搬送エリアA3の走行レールユニット61と接続されたときに、第2搬送エリアA3の走行レールユニット61上を走行する搬送ユニット70を受け入れ走行させる。同時に、走行レールユニット32は、第1搬送エリアA1の走行レールユニット20と接続されたときに、走行レールユニット32上の搬送ユニット70を、第1搬送エリアA1の走行レールユニット20へと走行させる。
【0022】
走行レールユニット33は、第2搬送エリアA3の走行レールユニット61と接続されたときに、第2搬送エリアA3の走行レールユニット61上を走行する搬送ユニット70を受け入れ走行させる。同時に、走行レールユニット32は、第1搬送エリアA1の走行レールユニット20と接続されたときに、走行レールユニット32上の搬送ユニット70を、第1搬送エリアA1の走行レールユニット20へと走行させる。
【0023】
検品エリアA2は、走行レールユニット31に沿って、洗浄ユニット35、形状測定ユニット36を有する。また、検品エリアA2は、走行レールユニット32,33に沿って、巻取りユニット37,38を有する。走行レールユニット32と走行レールユニット33との間には、巻取りユニット37又は巻取りユニット38により巻き取ったワークWを把持する把持ロボット39が設けられる。さらに、Y方向において、走行レールユニット33を挟んで走行レールユニット32の反対側には、把持ロボット39により把持されたワークWを結束する結束ユニット40,41が設けられる。ここで、洗浄ユニット35は、請求項に記載の洗浄部に相当する。また、形状測定ユニット36は、請求項に記載の検査部に相当する。さらに、巻取りユニット37,38は、請求項に記載の巻取り部に相当する。
【0024】
洗浄ユニット35は、搬送ユニット70に保持されたワークWの表面を、ドライアイス粒子を用いて洗浄する。
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、洗浄ユニット35は、洗浄機本体42、連結ホース43、噴射ノズル44,45,46,47、洗浄室48などを有する。洗浄機本体42は、洗浄室48の外部に設けられている。洗浄機本体42は、内部に貯留したドライアイス粒子と圧縮空気とを混合して連結ホース43に送り出すコンプレッサなどの圧送手段35a(
図7参照)や、噴射ノズル44,45,46,47から噴出したドライアイス粒子や、ワークWの表面の塵埃を洗浄室48の下方で吸引する吸引手段35b(
図7参照)を有する。
【0025】
連結ホース43は、一端側が洗浄機本体42に接続され、他端側が噴射ノズル44,45,46,47と接続される。したがって、混合されたドライアイス粒子と圧縮空気とが、連結ホース43を介して噴射ノズル44,45,46,47から噴射される。
【0026】
噴射ノズル44,45,46,47は、搬送ユニット70に跨って保持されるワークWの外周面に対して、異なる4方向から、ドライアイス粒子と圧縮空気との混合気を噴射するものである。噴射ノズル44,45,46,47は、ノズル先端が洗浄室48の内部に入り込むように配設される。したがって、ワークWの外周面のうち、混合気が衝突しない領域、言い換えれば混合気により洗浄されない領域が低減される。
【0027】
洗浄室48は、図示を省略するが、複数のフレームと、フレームに跨って固定される隔離板とから構成される。なお、隔離板は、噴射ノズルから噴射されるドライアイス粒子やワークの表面から除去される塵埃が外部に飛散することを抑制する。
【0028】
図1に戻って説明すると、形状測定ユニット36は、洗浄されたワークWの形状測定を行う。形状測定ユニット36による形状測定の結果は、後述する制御ユニット90に出力される。制御ユニット90は、形状測定ユニット36による形状測定の結果から、ワークWに生じた傷や割れの有無を判定する。
【0029】
巻取りユニット37,38は、走行レールユニット32,33の上方に各々配置される。なお、巻取りユニット37,38の構成は、同一の構成となることから、巻取りユニット37の構成についてのみ説明を行い、巻取りユニット38の構成についての説明は省略する。
【0030】
図4に示すように、巻取りユニット37は、昇降機構51、駆動部52、巻取り部53等を含む。昇降機構51は、符号を省略する上下方向(Z方向)のガイド部材や駆動源、ベルトなどを有する。昇降機構51は、駆動部52及び巻取り部53を上下方向に昇降させる。駆動部52は、例えばステッピングモータである。駆動部52は、Z方向を回転軸として、巻取り部53を回転させる。
【0031】
図5に示すように、巻取り部53は、接続部として機能するフランジ54を介して駆動部52と接続される。巻取り部53は、後述する巻取り軸55,56の間に搬送ユニット70に設置されたワークW(詳細にはコード)が入り込む巻取り位置(
図5中二点鎖線で示す位置)と、巻取り位置から上方に退避する退避位置(
図5中実線で示す位置)との間で昇降する。巻取り部53は、通常、退避位置に位置保持され、搬送ユニット70が走行レールユニット32上で停止したときに、巻取り位置に向けて(
図5中B方向に)下降する。そして、ワークWのコードの巻取りが終了し、後述する把持ロボット39が、巻き取られたコードを把持して結束ユニット40又は結束ユニット41へと搬送した後、退避位置に向けて(
図5中C方向に)上昇する。
【0032】
巻取り部53は、所定間隔を空けて配置される2本の巻取り軸55,56と、巻取り軸55,56の位置を調整する位置調整機構57とを有する。2本の巻取り軸55,56は、巻取り部53の下部に、Z方向に沿って延出される。位置調整機構57は、2本の巻取り軸55,56を近接する方向(
図5中D方向)、又は離間する方向(
図5中E方向)のいずれか一方の方向に移動させて、2本の巻取り軸55,56の位置を調整する。
【0033】
図1に戻って説明すると、走行レールユニット32及び走行レールユニット33の間には、把持ロボット39が配置される。把持ロボット39は、走行レールユニット32,33に対応して設けた巻取りユニット37,38により巻き取ったワークWを把持して、把持したワークWを結束ユニット40,41のいずれかに向けて搬送する。ここで、形状測定ユニット36による形状測定に基づいた判定で正常である(可)と判定された場合には、把持ロボット39は、把持したワークWを結束ユニット41に搬送する。また、形状測定ユニット36による形状測定に基づいた判定で正常でない(否)と判定された場合には、把持ロボット39は、把持したワークWを結束ユニット40に搬送する。ここで、正常である(可)との判定は、ワークWに生じた傷や割れがない場合である。つまり、ワークWに生じた傷や割れがある場合には、正常でない(否)との判定がなされる。
【0034】
そして、搬送した結束ユニット40又は結束ユニット41において、ワークWが結束されると、把持ロボット39は、結束したワークWを搬送コンベヤ60へと搬送する。上記判定で合格(可)の場合には、把持ロボット39は把持したワークWを結束ユニット40に搬送する。また、上記判定で不合格(否)の場合には、把持ロボット39は、把持したワークWを結束ユニット41に搬送する。
【0035】
結束ユニット40,41は、把持ロボット39により把持したワークWを結束する。結束ユニット40,41のうち、結束ユニット40は、形状測定で否となるワークWが搬送され、形状測定で否であることを示す、例えば赤色の結束バンドによりワークWを結束する。また、結束ユニット41は、形状測定で可となるワークWが搬送され、形状測定で可であることを示す、例えば黒色の結束バンドを用いてワークWを結束する。
【0036】
なお、結束ユニット40,41では、異なる色の結束バンドを用いてワークWを結束することで、形状測定の結果に応じて結束方法を変えているが、形状測定の結果に応じて結束方法を変える方法としては、上記に限定される必要はなく、結束したバンドに、形状測定の可否を示すマーキングを施すなどしてよい。
【0037】
第2搬送エリアA3は、検品エリアA2においてドライアイス洗浄及び検査が行われたワークWを保持した搬送ユニット70を受け取り、搬送ユニット70を検品エリアA2に設けた走行レールユニット32,33のいずれか一方へ送り出す領域である。
【0038】
第2搬送エリアA3は、第1搬送エリアA1と同様に、X方向に延出する走行レールユニット61と、走行レールユニット61をY方向に移動させるコンベヤ装置62と、を有する。
【0039】
図示は省略するが、走行レールユニット61は、搬送ユニット70が走行する走行面に沿って複数の固定子コイルを備える。固定子コイルは、搬送ユニット70に設けた可動子マグネットとともに、リニアモータを構成する。
【0040】
コンベヤ装置62は、走行レールユニット61をY方向に移動させる装置である。例えばコンベヤ装置62は、第1搬送エリアA1にY方向に沿って配置したレール63の上面に複数配置された固定子コイル(図示省略)と、走行レールユニット61の下部に設けた可動子マグネットとからなるリニアモータを駆動源としたリニアコンベヤである。
【0041】
第2搬送エリアA3において、走行レールユニット61は、検品エリアA2に設置される走行レールユニット31と接続した位置(
図1中実線で示す位置)で位置保持される。そして、走行レールユニット61上に位置する搬送ユニット70を検品エリアA2に向けて走行させる場合に、コンベヤ装置62は、走行レールユニット61を走行レールユニット32と接続した位置(
図1中二点鎖線で示す位置)、又は走行レールユニット33と接続した位置(
図1中点線で示す位置)のいずれか一方の位置へと移動させる。そして、搬送ユニット70を走行レールユニット61から検品エリアA2へと送り出すと、コンベヤ装置62は、走行レールユニット61を、検品エリアA2に設置される走行レールユニット31と接続した位置まで移動させる。
【0042】
図6に示すように、搬送ユニット70は、ワークWを保持した状態で、各エリアに設けられる走行レールユニット20,31~33,61上をX方向に走行する。搬送ユニット70は、第1台車71及び第2台車72を有する。ここで、第1台車71と第2台車72とは、向きが異なるだけで構成は同一である。したがって、以下では、第1台車71のみについて説明し、第2台車72についての説明は省略する。
【0043】
第1台車71は、台車本体75と、移動台76とを有する。図示は省略するが、台車本体75は、下部に可動子マグネットを有する。可動子マグネットは、各走行レールユニット20,31~33,61の固定子コイルとともにリニアモータを構成する。また、図示は省略するが、台車本体75は、複数のガイドローラを有する。複数のガイドローラは、台車本体75の両側面及び台車本体75の下面に軸支される。図示は省略するが、台車本体75の両側面に軸支されるガイドローラには、走行レールユニット20,31~33,61の走行面に摺接されながら回転するガイドローラと、走行レールユニット20,31~33,61の走行面の幅方向の両端部に、走行レールユニット20,31~33,61の走行面に沿って配置される、内側に屈曲したガイドレール77,78の上端部の下面側に摺接されながら回転するガイドローラとが存在する。また、台車本体75の下面に軸支されるガイドローラは、走行レールユニット20,31~33,61のガイドレール77,78の内側に摺接されながら回転する。したがって、台車本体75は、ガイドレール77,78に走行方向を規制されながら、走行レールユニット20,31~33,61の走行面に沿って移動する。
【0044】
移動台76は、台車本体75に対して、台車本体75の走行方向(
図6中D方向又はE方向)にスライド可能に設けられる。移動台76は、台車本体75との間に跨って配置されたコイルバネにより、第2台車72から離間する方向(
図6E方向)にばね付勢される。なお、搬送ユニット70を走行レールユニット20,31~33,61上に載置すると、各台車の台車本体75と、移動台76との間に、内側に屈曲したガイドレール77,78の上端部が入り込み、各台車71,72が走行レールユニット20,31~33,61から上方に移動することを防止している。
【0045】
移動台76は、保持用スタンド80及びクランプ用スタンド81を上面に有する。保持用スタンド80及びクランプ用スタンド81が請求項に記載の保持部に相当する。保持用スタンド80は、上方に向かって立設される2つの位置決めピン83,84を有し、その位置決めピン83,84は互いに所定間隔を空けている。また、保持用スタンド80は、位置決めピン83,84の間に2つの支持ピン85,86を有する。保持用スタンド80は、位置決めピン83,84の間に、ワークWであるアダプタ本体151を挿入して保持する。なお、支持ピン85,86は、位置決めピン83,84の間に挿入されたワークWを下方から支持する。
【0046】
クランプ用スタンド81は、クランプ片87を有する。クランプ片87は、上下方向を長手方向とし、幅方向における中央部分に、上端部から中央に向けて切り欠かれた切欠き部87aと、下端部から中央部に向けて切り欠かれた切欠き部87bとを有する。
図6においては、切欠き部87aにワークWのコードを挿入する場合を説明する。ここで、クランプ片87は、1つの切欠き部を有する構成であってもよい。例えば、切欠き部87aは、搬送ユニット70にワークWを設置する際に、例えばワークWのコードが挿入される。なお、切欠き部87aにコードが挿入された状態でコードの巻取りを行うと、コードが接続されるアダプタ本体や、コードに設けられたプラグなどがクランプ片87に当接され、クランプ片87からのコードの抜けが防止される。
【0047】
位置決めピン88は、保持用スタンド80側に傾斜した状態でクランプ用スタンド81に固定される。位置決めピン88は、保持用スタンド80の位置決めピン83,84の間にワークWを挿入したときに、保持用スタンド80の位置決めピン83,84の間に挿入されたワークWの側方に位置する。位置決めピン88は、巻取りユニット37,38におけるコードの巻取り時に、巻取り軸55,56に巻き取られるコードにより引っ張られるワークWの移動を防止して、ワークWが保持用スタンド80から脱落することを防止する。
【0048】
次に、検品装置10の電気的構成について、
図7を用いて説明する。なお、
図7においては、検品装置10の検品エリアA2における電気的構成を示しており、第1搬送エリアA1及び第2搬送エリアA3における電気的構成については省略している。
【0049】
図7に示すように、検品装置10は、制御ユニット90を備える。制御ユニット90は、主制御部91、通電制御部92、洗浄制御部93、測定制御部94、巻取り制御部95、結束制御部96、ロボット制御部97及びコンベヤ制御部98を有する。
【0050】
主制御部91は、検品装置10の全体的な動作の制御を行う。通電制御部92は、主制御部91からの制御指令に基づいて、各エリアの走行レールユニット20,31,32,33,61の固定子コイルへの給電制御を司る。洗浄制御部93は、主制御部91からの制御指令に基づいて、洗浄ユニット35の圧送手段35aや吸引手段35bの動作を司る。測定制御部94は、主制御部91からの制御指令に基づいて、形状測定ユニット36の作動を司る。また、測定制御部94は、形状測定ユニット36から出力される検査信号に基づいて、可否判定を行う。なお、可否判定としては、形状測定ユニット36において形状測定されたワークWに生じた傷や割れがない場合を可とし、ワークWに傷や割れがある場合を否とするよう判定する。
【0051】
巻取り制御部95は、主制御部91からの制御指令に基づいて、巻取りユニット37,38の作動を司る。巻取りユニット37,38の作動としては、例えば駆動部52の駆動に係る制御や、巻取り軸の位置調整に係る制御である。ここで、巻取り制御部95は、通電制御部92と連動して、駆動部52の回転制御を行う。なお、ワークWのコード巻取り時の制御については後述する。
【0052】
結束制御部96は、主制御部91からの制御指令に基づいて、結束ユニット40,41の作動を司る。ロボット制御部97は、主制御部91からの制御指令に基づいて、把持ロボット39の作動を司る。ここで、巻取りを行ったワークWを実際に搬送する把持ロボット39の動作や、把持ロボット39により搬送されたワークWを結束する結束ユニット40,41の動作は、測定制御部94における可否判定の結果に基づいて決定される。
【0053】
コンベヤ制御部98は、主制御部91からの制御指令に基づいて、搬送コンベヤ60の作動を司る。
【0054】
次に、本実施形態における検品装置10における検品処理の流れを
図8のフローチャートに基づいて説明する。以下、検品装置において実行される処理のうち、搬送ユニット70の走行及び停止に関する処理については、省略する。
【0055】
ステップS101:ワークWのセット
ステップS101において、作業者が第1搬送エリアA1の走行レールユニット20に載置される搬送ユニット70にワークWを設置する。ワークWが、
図6に示すようなDCコード150が接続されたアダプタ本体151の場合には、例えば第1台車71の保持用スタンド80にアダプタ本体151を設置した後、第1台車71のクランプ用スタンド81にDCコード150をクランプし、また、第2台車72のクランプ用スタンド81にDCコード150をクランプする。これにより、アダプタ本体151に接続されるDCコード150が、水平方向に保持される。ワークWが、
図6に示すようなDCコード150が接続されたアダプタ本体151の場合には、DCコード150は、アダプタ本体151に接続される一端部とは反対側となる他端部にDCプラグ152を有する。
【0056】
作業者は、検品装置10の操作パネル100(
図1参照)を操作して、ワークWとなるアダプタ本体151のDCコード150の長さを入力する。したがって、制御ユニット90は、搬送ユニット70の第1台車71及び第2台車72間の距離、詳細には、第1台車71のクランプ片87から第2台車72のクランプ片87までの距離が、DCコード150の長さと同一、又はDCコード150の長さよりも若干長くなるように、走行レールユニット20に載置された搬送ユニット70の第1台車71及び第2台車72を保持する。上述したように、第1台車71の移動台76は第2台車72から離間する方向に、また、第2台車72の移動台76は、第1台車71から離間する方向に、各々ばね付勢されている。したがって、搬送ユニット70に設置されたワークWには、張力が付与される。
【0057】
搬送ユニット70にワークWを設置した後、作業者が操作パネル100を操作すると、制御ユニット90は、走行レールユニット20の固定子コイル及び走行レールユニットの固定子コイルに対する通電制御を行って、搬送ユニット70を第1搬送エリアA1から検品エリアA2に向けて走行させる。これにより、搬送ユニット70が第1搬送エリアA1から検品エリアA2へと移動する。
【0058】
ステップS102:ドライアイス洗浄
ステップS102において、制御ユニット90は、搬送ユニット70を洗浄ユニット35まで移動させると、洗浄ユニット35の圧送手段35aと吸引手段35bとを駆動する。したがって、洗浄ユニット35において、洗浄機本体42から各噴射ノズル44,45,46,47へとドライアイス粒子と圧縮空気との混合気が送られ、各噴射ノズル44,45,46,47からワークWに向けて噴射される。したがって、洗浄ユニット35は、走行する搬送ユニット70に設置されたワークWに対するドライアイス洗浄を行う。なお、洗浄ユニット35では、噴射ノズル44,45,46,47から噴射されたドライアイス粒子やワークWの表面から除去される塵埃などが吸引手段35bにより吸引される。
【0059】
ステップS103:形状測定
ステップS103において、制御ユニット90は、搬送ユニット70を形状測定ユニット36まで移動させると、形状測定ユニット36を駆動する。したがって、搬送ユニット70が走行しながら、搬送ユニット70に設置されたワークWの形状測定が行われる。なお、形状測定ユニット36によるワークWの形状測定の結果は、制御ユニット90に出力される。これを受けて、制御ユニット90は、形状測定ユニット36において形状測定されたワークWに生じた傷や割れがない場合を可とし、ワークWに傷や割れがある場合を否とするよう判定する。
【0060】
なお、ワークWの外形形状を検出しているときにも、搬送ユニット70は走行している。その結果、走行する搬送ユニット70は、検品エリアA2から第2搬送エリアA3へと移動する。そして、第2搬送エリアA3に移動した搬送ユニット70は、走行レールユニット61上で停止する。
【0061】
搬送ユニット70が第2搬送エリアA3へと移動すると、制御ユニット90は、搬送ユニット70を受け渡す検品エリアA2の走行レールユニットを決定する。例えば、制御ユニット90は、検品エリアA2に設けられた2本の走行レールユニット32,33のうち、他の搬送ユニット70が載置されていない走行レールユニットを、搬送ユニット70を受け渡す走行レールユニットとして決定する。なお、2本の走行レールユニット32,33の各々に対して、他の搬送ユニット70が載置されている場合には、搬送ユニットが第1搬送エリアに移動するまで、走行レールユニット61を移動させずに停止させる。
【0062】
搬送ユニット70を受け渡す走行レールユニットが決定されると、制御ユニット90は、コンベヤ装置62を駆動する。コンベヤ装置62の駆動により、走行レールユニット61がY方向に移動する。搬送ユニット70を受け渡す走行レールユニットと接続される位置まで移動すると、制御ユニット90は、コンベヤ装置62を停止する。これにより、第2搬送エリアA3の走行レールユニット32,33のいずれか一方と、走行レールユニット61とが接続された状態となる。以下、走行レールユニット61が走行レールユニット32に接続する位置で停止した場合を説明する。なお、走行レールユニット61が走行レールユニット33に接続する位置で停止した場合も同様である。
【0063】
制御ユニット90は、搬送ユニット70を-X方向に移動させる。これにより、第2搬送エリアA3の走行レールユニット61に載置された搬送ユニット70が、検品エリアA2に向けて走行する。
【0064】
ステップS104:コード巻取り
ステップS104において、搬送ユニット70が巻取りユニット37まで移動すると、制御ユニット90は、搬送ユニット70を停止させる。このとき、搬送ユニット70の停止位置は、搬送ユニット70に設置されるワークWの中央部分(DCコード150の中央部分)が巻取りユニット37の回転中心となる位置である。
【0065】
制御ユニット90は、巻取りユニット37を駆動する。巻取りユニット37が駆動すると、昇降機構51により駆動部52及び巻取り部53が下降する。巻取り部53は退避位置に位置保持されているので、退避位置から巻取り位置に向けて下降する。巻取り部53が巻取り位置まで下降すると、巻取り軸55,56の間にDCコード150が挿入された状態となる(
図5参照)。
【0066】
巻取り部53が退避位置から巻取り位置へと移動すると、制御ユニット90は、駆動部52を駆動させる。これにより、巻取り部53が、例えば
図9(a)中F方向に回転する。巻取り部53が回転すると、
図9(b)に示すように、巻取り軸55,56が異なる箇所でDCコード150を押圧しながら回転する。その結果、DCコード150は、巻取り軸55,56に跨って巻き取られる。このとき、DCコード150の両端部は、第1台車71および第2台車72のクランプ用スタンド81のクランプ片87にクランプされているので、巻取り部53の回転に伴ったDCコード150の巻き取りに起因したワークWの脱落が防止される。
【0067】
巻取り部53の回転に伴って、制御ユニット90は、搬送ユニット70の第1台車71及び第2台車72を、近接する方向に移動させる。なお、第1台車71及び第2台車72を近接させる際の各台車の移動量は、巻取り部53が180°又は360°回転したときに、巻取り軸55,56に跨って巻き取られるDCコードの巻取り長さに基づいて設定される。また、台車本体75と移動台76との間に配置されたコイルバネにより、DC150の巻取り長さと各台車の移動量の若干のずれは吸収可能となっている。
【0068】
そして、
図9(c)に示すように、巻取り部53の回転により、DCコード150が所定量、巻取り軸55,56に跨って巻き取られると、制御ユニット90は駆動部52を停止させる。これにより、DCコード150の巻取りが終了する。
【0069】
ステップS105:コード結束
ステップS105において、制御ユニット90は、把持ロボット39を駆動させる。把持ロボット39は、巻取りユニット37によってDCコード150が巻き取られたワークWのDCコード150を把持する。このとき、制御ユニット90は、巻取りユニット37の位置調整機構57を作動させる。これにより、巻取り軸55,56が近接する方向(
図5中D方向)に移動し、巻き取ったDCコード150を緩める。把持ロボット39は、DCコード150を把持した状態で、ワークWを結束ユニット40、又は結束ユニット41へと搬送する。把持ロボット39が把持したワークWを結束ユニット40、又は結束ユニット41へと搬送すると、制御ユニット90は、巻取りユニット38の駆動部52及び巻取り部53を上昇させる。したがって、巻取り位置に位置保持された巻取り部53は退避位置に向けて上昇する。
【0070】
上述したステップS103において、形状測定ユニット36は、ワークWに対して形状測定を行っている。これを受けて、制御ユニット90は、形状測定ユニット36において形状測定されたワークWに生じた傷や割れがない場合を可とし、ワークWに生じた傷や割れがある場合を否とするよう判定する。例えば可と判定された場合、把持ロボット39は、把持したワークWを結束ユニット40へと搬送する。したがって、ワークWのDCコード150は、例えば黒色のバンドで結束される。一方、否と判定された場合、把持ロボット39は、把持したワークWを結束ユニット41へと搬送する。したがって、ワークWのDCコード150は、例えば赤色のバンドで結束される。
【0071】
ステップS106:搬出
ステップS106において、制御ユニット90は、把持ロボット39を駆動して、把持したワークWを搬送コンベヤ60へと搬送する。また、制御ユニット90は、搬送コンベヤ60を駆動させる。これにより、把持ロボット39により搬送されたワークWが、搬送コンベヤ60によって、検品装置10の外部へと搬出される。
【0072】
このように、本実施形態の検品装置では、まず、ドライアイス洗浄を行った後、形状測定を行って、ワークWのコードを巻き取り、巻き取ったコードを結束する処理を行っている。このとき、ドライアイス洗浄を行う際には、噴出したドライアイス粒子や、ワークWの表面の塵埃を下方に落下させるので、ワークWは、水平面上で移動させる必要がある。したがって、本実施形態では、水平面上で一方向にワークWを移動させ、洗浄後のワークWを、逆方向に移動させてから、上方から下降する一対の巻取り軸を回動させることで、一対の巻取り軸によりワークのコードを巻き取るようにした。また、コードは水平方向に延出された状態で保持されているので、ワークWのコードをきれいに巻き取ることができる。
【0073】
また、一対の台車の各台車は、台車本体と、電源アダプタのコードの延出方向に且つ他方の台車から離間する方向に付勢され、電源アダプタのコードの延出方向における両端部のいずれか一方の端部を保持する保持部と、を有する構成とすることで、電源アダプタのコードに張力を付与させながら、コードをきれいに巻き取ることができる。したがって、ワークWのコードの長さにばらつきがある場合でも、コードをきれいに巻き取ることができる。
【0074】
また、搬送ユニットの各台車をリニアモータにより走行させることで、検品装置においてなされる各処理を迅速に行うことができる。
【0075】
また、ドライアイス洗浄された電源アダプタの外観を検査する検査部と、巻取り部により巻き取られたコードを結束する結束部と、を有し、制御部は、検査部による検査結果に基づいて、巻き取られたコードの結束方法を変えるようにした。詳細には、形状測定で正常である(可)と判定されたワークWに対しては、判定が可となることを示す黒色のバンドを用いて結束し、形状測定で正常でない(否)であると判定されたワークWに対しては、判定が否であることを示す赤色のバンドを用いて結束する。したがって、洗浄した電源アダプタが再利用できるか否かに関係なく、ワークWのコードをきれいに巻き取り、結束することで、電源アダプタが再利用できるか否かを識別しやすくできる。
【0076】
本実施形態では、搬送ユニット70の第1台車71及び第2台車72に跨って電源アダプタを設置することで、電源アダプタのコードを水平方向に延出させている。しかしながら、電源アダプタを搬送ユニット70の第1台車71及び第2台車72に跨って設置する場合、コードは、水平方向に延出させる必要はなく、例えば鉛直方向(Z方向)に交差する方向に延出させた状態としてもよい。
【0077】
本実施形態では、コードを巻き取る際に、搬送ユニット70の第1台車71及び第2台車72の2つの台車を近接する方向に移動させているが、第1台車71又は第2台車72のいずれか一方の台車を、他方の台車に向けて移動させることも可能である。
【符号の説明】
【0078】
10・・・検品装置
35・・・洗浄ユニット
36・・・形状測定ユニット
37,38・・・巻取りユニット
39・・・把持ロボット
40,41・・・結束ユニット
53・・・巻取り部
55,56・・・巻取り軸
70・・・搬送ユニット
71・・・第1台車
72・・・第2台車
90・・・制御ユニット