(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】パレット洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 7/02 20060101AFI20240416BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20240416BHJP
B08B 1/20 20240101ALI20240416BHJP
【FI】
B08B7/02
B08B5/02 A
B08B1/20
(21)【出願番号】P 2019126996
(22)【出願日】2019-07-08
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519248380
【氏名又は名称】株式会社NTi
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】堤 健
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 幹雄
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-000752(JP,A)
【文献】特開平07-055335(JP,A)
【文献】特開2009-233614(JP,A)
【文献】特開2011-183330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 7/02
B08B 5/02
B08B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬用のパレットを洗浄するパレット洗浄装置であって、
パレットを洗浄する洗浄室と、
前記洗浄室に前記パレットを搬入する搬入部と、
前記洗浄室から前記パレットを搬出する搬出部と、
前記洗浄室に搬入された前記パレットに当接し、前記パレットを振動させる振動部と、
前記振動部により振動させられている状態の前記パレットに向けてエアを吹き出し、前記パレットから前記洗浄室の空間中に塵埃を吹き飛ばす吹き出し部と、
前記洗浄室のエアを塵埃とともに回収する集塵部と、
前記搬入部と前記搬出部との間で、前記パレットを搭載した状態で前記パレットを前記洗浄室において搬送するコンベアと、
前記振動部を昇降させる昇降部と、
前記コンベアに搭載されて搬送される前記パレットを収容するパレットホルダと、
前記パレットホルダを回転させる回転部と、
を備え、
前記洗浄室に搬入された前記パレットが前記パレットホルダに収容された後、前記パレットホルダを回転させて前記パレットの側面を下側に向けることにより、前記パレットを起立させた状態に保持し、
前記パレットホルダに収容されたまま前記パレットを起立させた状態で、前記振動部の降下位置において前記パレットから下方へ前記振動部が離間し、前記振動部の上昇位置において前記パレットを持ち上げて前記振動部に前記パレットを支持させる、パレット洗浄装置。
【請求項2】
前記パレットホルダは、
前記コンベアに搭載されて搬送される前記パレットの搬送方向に開口する矩形枠形状の搬入側枠部と、
前記搬入側枠部よりも前記搬出部側に設けられ、前記搬送方向に開口する矩形枠形状の搬出側枠部と、
前記搬入側枠部の下辺部のうちその長さ方向における中間部と、前記搬出側枠部の下辺部のうちその長さ方向における中間部とを連結する下側連結フレーム部と、
前記搬入側枠部の上辺部のうちその長さ方向における中間部と、前記搬出側枠部の上辺部のうちその長さ方向における中間部とを連結する上側連結フレーム部と、
を有し、
前記パレットホルダに収容されたまま前記パレットを起立させた状態で、前記振動部の上昇位置において前記搬入側枠部及び前記搬出側枠部それぞれから前記パレットの側面を離間させて前記振動部に前記パレットを支持させる、請求項
1に記載のパレット洗浄装置。
【請求項3】
前記搬入側枠部及び前記搬出側枠部それぞれの開口の幅方向寸法(Wf)が前記パレットの幅方向寸法(Wp)よりも大きくされており、
前記パレットホルダに収容されたまま前記パレットを起立させた状態で、前記パレットの上昇位置において、前記振動部のうち前記パレットの側面との当接箇所よりも前記下側連結フレーム部及び前記上側連結フレーム部それぞれが上方に位置しており、
前記パレットホルダに収容されたまま前記パレットを起立させた状態で、前記振動部による前記パレットの持ち上げ量(Hp)が、前記搬入側枠部及び前記搬出側枠部それぞれの開口の幅方向寸法から前記パレットの幅方向寸法を差し引いた値よりも小さくされている、請求項
2に記載のパレット洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットを洗浄するためのパレット洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の荷物を一度に輸送する際、パレットが用いられる。すなわち、パレット上に複数の荷物を積載し、そのパレットをフォークリフトで移動させることにより、トラック等の輸送車両に対して積み降ろしする。パレットは、荷物との接触があることから、定期的に洗浄される。パレットの洗浄は手作業で行われることもあるが、大量のパレットを洗浄する場合にはパレット洗浄装置が用いられる。
【0003】
パレット洗浄装置は、パレット搬送経路を備えており、その経路途中に、パレットに洗浄水を噴射してパレットを洗浄する洗浄部と、その洗浄されたパレットを脱水して水切りする脱水部と、その脱水したパレットを加熱して乾燥させる乾燥部と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のパレット洗浄装置では、洗浄部において大量の水が必要になることから、省資源の観点では望ましくない。また、パレットには水が残り易い形状のものも多くあることから、水洗されたパレットを脱水及び乾燥させる必要があり、設備が大型かつ複雑なものになっている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型かつ簡易な構成でありながら、良好な洗浄効果を得られるパレット洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は、運搬用のパレットを洗浄するパレット洗浄装置であって、パレットを洗浄する洗浄室と、前記洗浄室に前記パレットを搬入する搬入部と、前記洗浄室から前記パレットを搬出する搬出部と、前記洗浄室に搬入された前記パレットに当接し、前記パレットを振動させる振動部と、前記振動部により振動させられている状態の前記パレットに向けてエアを吹き出し、前記パレットから前記洗浄室の空間中に塵埃を吹き飛ばす吹き出し部と、前記洗浄室のエアを塵埃とともに回収する集塵部と、を備える。
【0008】
本発明では、搬入部を介して洗浄室に搬入されたパレットに振動部が当接する。その振動部がパレットを振動させることにより、パレットに付着した塵埃をパレットから除去するようにしている。その塵埃は、パレットに向けて吹き出し部から吹き出されたエアにより洗浄室の空間中に吹き飛ばされ、洗浄室のエアとともに集塵部により回収される。本発明によれば、パレットの洗浄に大量の水を用いることなく、パレットの良好な洗浄効果を得ることができる。したがって、補助的に水を用いてパレットを洗浄する装置が付加されている場合であっても、大型の脱水及び乾燥装置を設ける必要がないため、小型かつ簡易な構成のパレット洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るパレット洗浄装置の全体構成図。
【
図2】洗浄機本体をパレットの搬送方向から見た図。
【
図4】コントローラ及びコンベア駆動部等の電気的な接続関係を示す図。
【
図6】第2実施形態に係るパレット洗浄装置の全体構成図。
【
図7】洗浄機本体をパレットの搬送方向から見た図。
【
図9】起立状態のパレットが振動部により支持される状態を示す図。
【
図11】パレットの洗浄工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明のパレット洗浄装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1に示すように、パレット洗浄装置10は、搬入コンベア20(搬入部)と、搬出コンベア21(搬出部)とを備えている。本実施形態において、搬入コンベア20及び搬出コンベア21のそれぞれは、複数のローラを備えるローラコンベアである。
【0012】
図1及び
図2に示すように、パレット洗浄装置10は、洗浄機本体30を備えている。洗浄機本体30は、搬入側壁部31、搬出側壁部32、底板部33、天板部34及び一対の側壁部35を備えている。なお、
図1には、手前側の側壁部35が取り外された状態の洗浄機本体30を示し、
図2には、搬入側壁部31が取り外された状態の洗浄機本体30を示す。
【0013】
底板部33には、壁面同士を対向させた状態の一対の側壁部35が設けられている。また、底板部33には、板面同士を対向させた状態の搬入側壁部31及び搬出側壁部32が設けられている。天板部34は、搬入側壁部31、搬出側壁部32及び各側壁部35それぞれを上方から覆っている。洗浄機本体30において、搬入側壁部31、搬出側壁部32、底板部33、天板部34及び側壁部35により形成された内部空間が洗浄室36とされている。
【0014】
搬入側壁部31には、搬入コンベア20から洗浄室36にパレットPを搬入するための搬入口INが形成されている。搬出側壁部32には、パレットPを洗浄室36から搬出コンベア21に搬出するための搬出口OUTが形成されている。
【0015】
洗浄機本体30は、洗浄室36に配置された室内コンベア40を備えている。室内コンベア40は、パレットPを搬入口INから搬出口OUTまで搬送する。本実施形態において、室内コンベア40は、ローラコンベアであり、具体的には、パレットPの搬送方向に対して左右方向に離間して配置された一対のローラコンベアである(
図2参照)。ちなみに、室内コンベア40、搬入コンベア20及び搬出コンベア21は、ローラコンベアではなく、例えばベルトコンベアであってもよい。
【0016】
パレット洗浄装置10は、搬入口INを開閉する入口シャッタ27(開閉部)を備えている。なお、本実施形態において、パレット洗浄装置10は、搬出口OUTを開閉するシャッタを備えていない。
【0017】
パレット洗浄装置10は、振動部50を備えている。振動部50は、
図3に示すように、振動子51と、昇降シリンダ52(昇降部)とを備えている。振動部50は、一対の室内コンベア40の間に配置されている。振動子51は、振動子本体51aと、モータ51bと、パレット受け部51cとを備えている。振動子本体51aの下部には、パレットPの搬送方向に並んでモータ51bが複数(2つ)設けられている。振動子本体51aの上部のうち、各モータ51bの上方位置には、パレット受け部51cが設けられている。各パレット受け部51cの上面は、平坦面とされており、その平坦面にパレットPが載置される。
【0018】
昇降シリンダ52は、振動子51を昇降させる。振動子51が最も降下した位置において、パレット受け部51cは、室内コンベア40よりも下方に位置する。一方、振動子51が最も上昇した位置において、パレット受け部51cは、室内コンベア40よりも上方に位置する。
【0019】
パレット洗浄装置10は、吹き出し部60、ブロー配管61、ブロワ62及び集塵機63を備えている。吹き出し部60は、洗浄室36に搬入されたパレットPに対して斜め上方からパレットPの表面に向けてエアを吹き出す位置に設けられている。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、吹き出し部60は、パレットPの搬送方向に2つ並んで設けられ、また、左右方向に2つ並んで設けられている。
【0020】
側壁部35のうち室内コンベア40の下方には、吸引口35aが形成されている。吸引口35aは、側壁部35のうち搬入口IN寄りの位置に形成されている。吸引口35aは、吸引ダクトを介して集塵機63に接続されている。集塵機63において集塵フィルタ下流側には、ブロワ62が接続されている。ブロワ62には、ブロー配管61を介して吹き出し部60が接続されている。
【0021】
ブロワ62が作動すると、吹き出し部60からエアが吹出されるとともに、洗浄室36のエアが塵埃とともに吸引口35aから吸引される。吸引された塵埃は、集塵機63に回収される。
【0022】
パレット洗浄装置10は、表面ブラシ70、裏面ブラシ71及びブラシモータ72を備えている。表面ブラシ70及び裏面ブラシ71は、洗浄室36において、振動部50よりも搬出口OUT側に設けられている。表面ブラシ70は、室内コンベア40の上方に設けられている。裏面ブラシ71は、室内コンベア40のうち表面ブラシ70の下方位置に設けられている。表面ブラシ70は、ブラシモータ72により水平軸に対して回転させられることで、パレットPの表面から塵埃を掃き出す。裏面ブラシ71は、ブラシモータ72により水平軸に対して回転させられることで、パレットPの裏面から塵埃を掃き出す。
【0023】
パレット洗浄装置10は、ブローノズル73及び高圧ブロワ74を備えている。ブローノズル73は、洗浄室36において、各ブラシ70,71よりも搬出口OUT側に設けられている。ブローノズル73は、各ブラシ70,71によるパレットPの掃き出し領域へ向けてエアを吹き出す位置に設けられている。詳しくは、ブローノズル73は、搬入口IN側に向けてエアを吹き出す位置に設けられている。ブローノズル73からは、高圧ブロワ74が作動されることによりエアが吹き出す。ブローノズル73から吹き出されたエアにより、表面ブラシ70及び裏面ブラシ71によって掃き出された塵埃が、パレットPから洗浄室36の空間中に吹き飛ばされる。なお、
図2では、表面ブラシ70、裏面ブラシ71、ブラシモータ72及びブローノズル73の図示を省略している。
【0024】
パレット洗浄装置10は、スチーム噴射部80を備えている。スチーム噴射部80は、搬出口OUTの外側に設けられており、パレットPの表面及び裏面それぞれに対して高温高圧のスチームを噴射する。これにより、油等の付着物をパレットPから除去する。なお、スチーム噴射部80がパレット洗浄装置10に備えられていなくてもよい。
【0025】
パレット洗浄装置10は、
図4に示すように、コントローラ90と、コンベア駆動部91とを備えている。コンベア駆動部91は、搬入コンベア20、搬出コンベア21及び室内コンベア40それぞれのローラを回転させることにより、各コンベア20,21,40上のパレットPを搬送する。コントローラ90は、入口シャッタ27、振動部50、ブロワ62、ブラシモータ72、高圧ブロワ74、スチーム噴射部80及びコンベア駆動部91の作動を制御する。
【0026】
続いて、
図5を用いて、パレット洗浄装置10によるパレットPの洗浄工程について説明する。
【0027】
ステップS10では、入口シャッタ27が開けられた状態にされ、搬入コンベア20から搬入口INを介して洗浄室36の室内コンベア40へとパレットPが搬送される。パレットPが洗浄室36に搬入されると、入口シャッタ27が閉じられる。
【0028】
ステップS11では、室内コンベア40により、振動部50の上方位置までパレットPが搬送される。
【0029】
ステップS12では、昇降シリンダ52を作動させることにより、室内コンベア40よりも上方に突き出す位置までパレット受け部51cを上昇させる。これにより、パレットPが室内コンベア40よりも上方に持ち上げられ、
図3に示すように、パレットPがパレット受け部51cに支持される。
【0030】
ステップS13では、ブロワ62を作動させることにより、吹き出し部60からエアの吹き出しが開始され、また、集塵機63による集塵が開始される。
【0031】
ステップS14では、モータ51bを作動させることによりパレット受け部51cを振動させ始める。パレット受け部51cがパレットPを振動させることにより、パレットPに付着した塵埃がパレットPから除去される。除去された塵埃は、エアにより洗浄室36の空間中に吹き飛ばされ、吸引口35aを介して集塵機63に回収される。
【0032】
なお、パレットPを振動させることにより、例えば、パレットPに食い込んだ異物(例えば、プラスチックの破片やガラスの破片)を、パレットPから取り除いたり、パレットPから取り除きやすくしたりすることができる。取り除きやすくなった異物は、後述するステップS16の各ブラシ70,71で取り除くことができる。
【0033】
振動させ始めてから所定時間継続すると、モータ51bの作動を停止させることによりパレット受け部51cの振動を停止させる。パレット受け部51cの振動周波数は、例えば、50Hz~100Hzであり、より具体的には60Hzである。
【0034】
ステップS15では、昇降シリンダ52を作動させることにより、パレット受け部51cを下降させる。これにより、パレットPの裏面からパレット受け部51cが離れ、パレットPが室内コンベア40に搭載される。
【0035】
ステップS16では、ブラシモータ72を作動させることにより、表面ブラシ70及び裏面ブラシ71を回転させる。また、高圧ブロワ74を作動させることにより、ブローノズル73からエアを吹き出させる。これにより、室内コンベア40により搬出口OUTに向かって搬送されるパレットPの表面及び裏面が掃き出され、掃き出された塵埃がブローノズル73から吹き出されたエアにより吹き飛ばされる。
【0036】
ステップS17では、ブロワ62の作動を停止させることにより、吹き出し部60からのエアの吹き出しと、集塵機63による集塵とが停止される。
【0037】
ステップS18では、パレットPの表面及び裏面それぞれにスチーム噴射部80からスチームを噴射させる。なお、ステップS18の工程を経たパレットPには、若干の水分が付着している。ただし、その水分は、パレットPが搬出コンベア21上を搬送される間に自然乾燥により除去される。
【0038】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得られるようになる。
【0039】
洗浄室26に搬入されたパレットPにパレット受け部51cが当接する。そのパレット受け部51cがパレットPを振動させることにより、パレットPに付着した塵埃がパレットPから除去される。除去された塵埃は、パレットPに向けて吹き出し部60から吹き出されたエアにより洗浄室36の空間中に吹き飛ばされ、洗浄室36のエアとともに集塵機63により回収される。本実施形態によれば、パレットPの洗浄に大量の水を用いることなく、パレットPの良好な洗浄効果を得ることができる。したがって、補助的に水を用いてパレットPを洗浄する装置(例えばスチーム噴射部80)が付加されている場合であっても、大型の脱水及び乾燥装置を設ける必要がないため、小型かつ簡易な構成のパレット洗浄装置10を提供することができる。
【0040】
パレット受け部51cがパレットPを振動させることにより、パレットPに付着した塵埃がパレットPから除去される構成のため、表面ブラシ70及び裏面ブラシ71により掃き出される塵埃は少ない。これにより、表面ブラシ70及び裏面ブラシ71として小型のものを用いることができ、パレット洗浄装置10の小型化を図ることができる。
【0041】
パレット受け部51cが上昇させられることにより、パレットPを室内コンベア40よりも上方へ持ち上げてパレット受け部51cにパレットPを支持させる。この支持状態においてパレット受け部51cを振動させる場合、パレットPとともに室内コンベア40が振動させられないため、モータ51bによって発生させた振動をパレット受け部51cを介してパレットPに的確に伝えることができる。これにより、パレットPに付着した塵埃をパレットPからいっそう除去しやすくなり、パレットPの洗浄効果を高めることができる。
【0042】
また、室内コンベア40に振動が伝わりにくいため、その振動によって室内コンベア40が破損することも防止できる。
【0043】
振動子本体51aの下部に、パレットPの搬送方向に並んでモータ51bが2つ設けられている。振動子本体51aの上部のうち、2つのモータ51bそれぞれの上方位置に個別にパレット受け部51cが設けられている。これにより、各モータ51bで発生した振動を各パレット受け部51cを介してパレットPに的確に伝えることができ、パレットPの洗浄効果を高めることができる。
【0044】
パレットPの搬送方向に対して左右方向に離間して配置された一対の室内コンベア40の間に振動部50が配置されている。このため、1つの振動部50でパレットPの持ち上げ及び加振を実施することができる。
【0045】
表面ブラシ70及び裏面ブラシ71と搬出口OUTとの間にブローノズル73が配置され、そのブローノズル73が、搬入口IN側の方向に向かってエアを吹き出す。また、側壁部35のうち搬入口IN側に吸引口35aが形成されている。これにより、洗浄室36のエアの流れが、搬出口OUT側から吸引口35a側へと向かう方向の流れとなる。その結果、洗浄室36から搬出口OUTを介して外部に塵埃が漏れ出ることを抑制できる。これにより、搬出口OUTのシャッタを不要にできる。
【0046】
なお、吸引口35aからの吸引エア量を大きくすることにより、洗浄室36の圧力を洗浄室36外部の圧力よりも低くすることができる。この場合にも、洗浄室36のエアの流れが、搬出口OUT側から吸引口35a側へと向かう方向の流れとなるため、外部に塵埃が漏れ出ることを抑制できる。
【0047】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、パレットPを起立状態にして振動子51により振動させる。
【0048】
図6~
図10に示すように、洗浄機本体30は、パレットホルダ100を備えている。なお、
図6では、パレットホルダ100にハッチングを付している。また、
図7及び
図8では、パレットホルダ100のうち、パレットPの搬送方向において最も搬入口IN側の部分が見えるように、室内コンベア40の搬入口IN側の部分の図示を省略している。
【0049】
パレットホルダ100は、搬入側枠部101、搬出側枠部102、下側連結フレーム部103及び上側連結フレーム部104を備えている。搬入側枠部101及び搬出側枠部102は、パレットPの搬送方向に開口し、矩形枠状をなしている。搬出側枠部102と搬入側枠部101とは、下側連結フレーム部103及び上側連結フレーム部104により連結されている。本実施形態において、パレットホルダ100は、パレットPの搬送方向に対して左右対称の形状をなしている。
【0050】
搬入側枠部101は、互いに平行でかつ直線状に延びる下辺部101U及び上辺部101Hを備えている。また、搬入側枠部101は、互いに平行でかつ直線状に延び、下辺部101U及び上辺部101Hそれぞれの長さ方向の端部同士を連結する第1側辺部101R及び第2側辺部101Lを備えている。
【0051】
搬出側枠部102は、下辺部102U、上辺部102H、第1側辺部102R及び第2側辺部102Lを備えている。なお、搬出側枠部102の構成は、搬入側枠部101の構成と同様である。
【0052】
パレットホルダ100は、一対の下側連結フレーム部103と、一対の上側連結フレーム部104とを備えている。各下側連結フレーム部103は、直線状に延び、搬入側枠部101の下辺部101Uのうちその長さ方向における中間部と、搬出側枠部102の下辺部102Uのうちその長さ方向における中間部とを連結している。各上側連結フレーム部104は、直線状に延び、搬入側枠部101の上辺部101Hのうちその長さ方向における中間部と、搬出側枠部102の上辺部102Hのうちその長さ方向における中間部とを連結している。下側連結フレーム部103と上側連結フレーム部104とは平行である。
【0053】
パレットホルダ100が水平状態である場合、各下辺部101U,102Uが室内コンベア40を構成するローラ間の空間に配置される(
図7参照)。パレットホルダ100が水平状態である場合、各下辺部101U,102Uの上端は、室内コンベア40を構成するローラの上端よりも下方に位置する。パレットホルダ100が水平状態である場合、室内コンベア40を構成するローラの上端から各上辺部101H,102Hの下端までの距離寸法が、パレットPの高さ寸法よりも大きくなっている。このため、搬入側枠部101の開口からパレットホルダ100へとパレットPが入り込むことができ、パレットホルダ100に収容されているパレットPは、搬出側枠部102の開口から室内コンベア40へと出て行くことができる。
【0054】
洗浄機本体30は、コンベア回転機構110と、ホルダ回転機構111(回転部)とを備えている。各機構110,111は、シリンダを備え、シリンダはコントローラ90により制御される。
【0055】
コンベア回転機構110は、パレットホルダ100を
図7に示す水平状態から
図8に示す起立状態にする場合に、一対の室内コンベア40のうち一方の室内コンベア40を、パレットホルダ100と干渉しない位置まで退避させる。詳しくは、パレットPの搬送方向を軸線として室内コンベア40を回転させることにより、パレットホルダ100と干渉しない位置まで室内コンベア40を退避させる。
【0056】
ホルダ回転機構111は、パレットPの搬送方向を軸線としてパレットホルダ100を90°回転させてパレットPの側面を下側に向けることにより、パレットPを起立状態にする。本実施形態では、ホルダ回転機構111におけるパレットPの回転中心が、一対の室内コンベア40の間であり、かつ、パレットPの幅方向における中央位置又はその近傍位置とされている。
【0057】
パレットホルダ100が水平状態である場合、各下辺部101U,102UによりパレットPの裏面が支持される。一方、パレットホルダ100が起立状態である場合、各第1側辺部101R,102RによりパレットPの側面が支持される。
【0058】
振動部50は、底板部33においてパレットホルダ100の下方位置に設けられている。振動部50は、起立状態のパレットホルダ100と干渉しない位置に設けられている。
【0059】
図9に示すように、搬入側枠部101及び搬出側枠部102それぞれの開口の幅方向寸法Wfは、パレットPの幅方向寸法Wpよりも大きくされている。パレットホルダ100が起立状態である場合、振動子51が最も上昇した位置において、パレット受け部51cが下側連結フレーム部103及び上側連結フレーム部104それぞれに当接しない。また、上昇するパレット受け部51cによってパレットPが持ち上げられた量Hpは、「Wf-Wp」よりも小さい。この場合、振動子51が最も上昇した位置において、パレットPの側面を各側辺部101R,102R,101L,102Lから離間させることができる。
【0060】
続いて、
図11を用いて、パレット洗浄装置10によるパレットPの洗浄工程について説明する。なお、
図11において、先の
図5に示した工程と同一の工程については、便宜上、同一の符号を付している。
【0061】
ステップS11では、振動部50の上方位置に設けられたパレットホルダ100にパレットPが入り込むまで、室内コンベア40によりパレットPを搬送する。
【0062】
ステップS20では、
図8に示すように、コンベア回転機構110のシリンダを作動させることにより、一対の室内コンベア40のうち一方の室内コンベア40を回転させる。
【0063】
ステップS21では、ホルダ回転機構111のシリンダを作動させることにより、パレットPがパレットホルダ100に収容された状態で、パレットPの搬送方向を軸線としてパレットホルダ100を90°回転させ、パレットホルダ100を起立状態に保持する。パレットホルダ100が起立状態にされると、パレットPの側面が各第1側辺部101R,102Rによって支持される。
【0064】
ステップS12では、昇降シリンダ52を作動させることにより、パレット受け部51cを上昇させる。この際、上述したように、パレット受け部51cによってパレットPが持ち上げられた量Hpは、「Wf-Wp」よりも小さくなるようにする。これにより、パレットPの側面が各第1側辺部101R,102Rから離間し、その側面がパレット受け部51cに支持される。また、
図9に示すように、パレットPの側面が各第2側辺部101L,102Lからも離間した状態となる。
【0065】
ステップS13では、ブロワ62を作動させることにより、吹き出し部60からエアの吹き出しが開始され、また、集塵機63による集塵が開始される。起立状態のパレットPに対して、その表裏両面に吹き出し部60からエアが吹き付けられることにより、パレットPの洗浄効果を高めることができる。
【0066】
ステップS14では、モータ51bを作動させることによりパレット受け部51cを振動させ始める。パレット受け部51cにより振動させられている状態のパレットPの表面に向けてエアが吹き出される。振動させ始めてから所定時間継続すると、モータ51bの作動を停止させてパレット受け部51cの振動を停止させる。
【0067】
ステップS15では、昇降シリンダ52を作動させることにより、パレット受け部51cを下降させる。これにより、パレットPの側面からパレット受け部51cが離れ、パレットPの側面が各第1側辺部101R,102Rに支持される。
【0068】
ステップS22では、ホルダ回転機構111のシリンダを作動させることにより、パレットホルダ100を回転させてパレットPを水平状態に戻す。
【0069】
ステップS23では、コンベア回転機構110のシリンダを作動させることにより、室内コンベア40を回転させて元の状態に戻す。
【0070】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得られるようになる。
【0071】
パレットPの側面を各第1側辺部101R,102Rから離間させた状態で、パレットPの側面がパレット受け部51cにより支持される。この支持状態においてパレット受け部51cを振動させる場合、その振動がパレットホルダ100に伝わることを極力抑制できる。これにより、パレット受け部51cの振動をパレットPに的確に伝えることができ、パレットPの洗浄効果を高めることができる。
【0072】
特に本実施形態では、パレットPを起立させた状態で、振動子51を最も上昇させた位置において、パレット受け部51cの平坦面よりも下側連結フレーム部103及び上側連結フレーム部104それぞれが上方に位置している。また、パレットホルダ100が起立状態である場合、上昇するパレット受け部51cによってパレットPが持ち上げられた量Hpが「Wf-Wp」よりも小さくされている。これにより、振動子51を最も上昇させた位置において、パレットPの側面を各側辺部101R,102R,101L,102Lから離間させた状態で、パレットPを振動させることができる。このため、パレットPの振動がパレットホルダ100に伝わることをいっそう抑制でき、パレットPの洗浄効果をいっそう高めることができる。
【0073】
パレットホルダ100が、パレットPの表面、裏面及び側面それぞれを覆う形状ではなく、枠形状をなしている。このため、エアにより吹き飛ばされた塵埃が、パレットホルダ100に遮られることを抑制でき、洗浄室36の空間中に塵埃を吹き飛ばす上で好適な構成を実現できる。
【0074】
ホルダ回転機構111により回転させられるパレットPの回転中心が、パレットPの幅方向における中央位置又はその近傍位置とされている。このため、パレットPを回転させる場合にパレットPが通る空間を小さくでき、洗浄室36の小型化を図ることができる。
【0075】
パレットPの搬送方向を軸線としてパレットホルダ100を回転させる。これにより、パレットホルダ100を回転させるに先立ち、一対の室内コンベア40のうち、一方の室内コンベア40のみを退避させればよくなる。その結果、パレット洗浄装置10の構成の簡素化を図ることができる。
【符号の説明】
【0076】
10…パレット洗浄装置、36…洗浄室、50…振動部、60…吹き出し部、100…パレットホルダ、P…パレット。