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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】バタフライバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/22 20060101AFI20240416BHJP
   F16K 1/226 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F16K1/22 B
F16K1/22 C
F16K1/22 R
F16K1/22 Z
F16K1/226 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020011590
(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公開番号】P2021116889
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591147786
【氏名又は名称】赤武エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】縄田 久夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 安裕
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0142751(US,A1)
【文献】特開2008-050007(JP,A)
【文献】実開昭58-106673(JP,U)
【文献】特開2002-372158(JP,A)
【文献】特開平11-173434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0242317(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0199780(US,A1)
【文献】実開昭62-049913(JP,U)
【文献】特開2020-117355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0189198(US,A1)
【文献】特開平09-329248(JP,A)
【文献】特開昭59-099170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00 - 90/66
B65G 65/30 - 65/48
F16K 1/22 - 1/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体収容容器から粉体を排出するためのバタフライバルブであって、
内周面には周方向に延びる弧状凹所が形成されていると共に、通気性を有し且つ粉体の通過を阻止する多孔質部材によって前記弧状凹所が覆われている円筒状のケーシングと、
前記ケーシングの前記弧状凹所に接続された吸引源と、
前記ケーシングに回転自在に装着され前記ケーシングの径方向内側に規定される粉体通路を開閉するための円板状の弁体と、
前記粉体通路を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ前記弁体を回転させて前記粉体通路を開放すると共に、前記第1の開度よりも小さい第2の開度または前記第1の開度よりも大きい第3の開度と前記第1の開度との間で前記弁体を往復揺動させるアクチュエータとを備え、
前記多孔質部材の内周面と前記弁体の周縁との間には隙間が存在しており、前記弁体が前記閉塞位置に位置づけられた際に前記吸引源を作動して前記多孔質部材の内周面に粉体を吸着させ
前記弁体は前記アクチュエータによって往復揺動された際に弾性変形する材質から形成されているバタフライバルブ。
【請求項2】
粉体収容容器から粉体を排出するためのバタフライバルブであって、
内周面には周方向に延びる弧状凹所が形成されていると共に、通気性を有し且つ粉体の通過を阻止する多孔質部材によって前記弧状凹所が覆われている円筒状のケーシングと、
前記ケーシングの前記弧状凹所に接続された吸引源と、
前記ケーシングに回転自在に装着され前記ケーシングの径方向内側に規定される粉体通路を開閉するための円板状の弁体と、
前記粉体通路を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ前記弁体を回転させて前記粉体通路を開放すると共に、前記第1の開度よりも小さい第2の開度または前記第1の開度よりも大きい第3の開度と前記第1の開度との間で前記弁体を往復揺動させるアクチュエータとを備え、
前記多孔質部材の内周面と前記弁体の周縁との間には隙間が存在しており、前記弁体が前記閉塞位置に位置づけられた際に前記吸引源を作動して前記多孔質部材の内周面に粉体を吸着させ
前記弁体の上面には上方に延びる1個以上の排出促進片が付設されているバタフライバルブ。
【請求項3】
前記ケーシングの前記弧状凹所に接続された圧空源を備え、前記弁体が往復揺動する際に前記圧空源を作動して前記多孔質部材から前記ケーシングの内部に空気を送り入れる、請求項1または2に記載のバタフライバルブ。
【請求項4】
前記弁体を振動させるバイブレータを備える、請求項1からまでのいずれかに記載のバタフライバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収容容器から粉体を排出するためのバタフライバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、粉体収容容器から粉体を排出するための振動バタフライバルブが記載されている。この振動バタフライバルブは、円筒状のケーシングと、ケーシングに回転自在に装着されケーシングの径方向内側に規定される粉体通路を開閉するための円板状の弁体と、閉位置と任意の開位置とに弁体を位置づけるアクチュエータと、弁体を振動させるバイブレータとを備える。
【0003】
そして、この振動バタフライバルブによれば、アクチュエータによって弁体を任意の開度(たとえば10~15度)に位置づけると共に、任意の開度に位置づけた弁体をバイブレータで振動させることにより、粉体収容容器から粉体を排出することができる。すなわち、振動バタフライバルブにおいては、開度が比較的小さくても、バイブレータで弁体を振動させることにより粉体収容容器内の粉体を刺激して粉体の排出を促進し、弁体とケーシングとの僅かな隙間から粉体を定量的に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-50007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている振動バタフライバルブにおいては、粉体の性状によっては弁体の振動に起因して粉体の凝集や圧密等が発生し粉体収容容器からの粉体の排出が困難となる場合がある。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、幅広い種類の粉体の排出を可能とするバタフライバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために以下のバタフライバルブを提供する。すなわち、粉体収容容器から粉体を排出するためのバタフライバルブであって、内周面には周方向に延びる弧状凹所が形成されていると共に、通気性を有し且つ粉体の通過を阻止する多孔質部材によって前記弧状凹所が覆われている円筒状のケーシングと、前記ケーシングの前記弧状凹所に接続された吸引源と、前記ケーシングに回転自在に装着され前記ケーシングの径方向内側に規定される粉体通路を開閉するための円板状の弁体と、前記粉体通路を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ前記弁体を回転させて前記粉体通路を開放すると共に、前記第1の開度よりも小さい第2の開度または前記第1の開度よりも大きい第3の開度と前記第1の開度との間で前記弁体を往復揺動させるアクチュエータとを備え、前記多孔質部材の内周面と前記弁体の周縁との間には隙間が存在しており、前記弁体が前記閉塞位置に位置づけられた際に前記吸引源を作動して前記多孔質部材の内周面に粉体を吸着させ、前記弁体は前記アクチュエータによって往復揺動された際に弾性変形する材質から形成されているバタフライバルブを本発明は提供する。
また、本発明は上記課題を解決するために以下のバタフライバルブを提供する。すなわち、粉体収容容器から粉体を排出するためのバタフライバルブであって、内周面には周方向に延びる弧状凹所が形成されていると共に、通気性を有し且つ粉体の通過を阻止する多孔質部材によって前記弧状凹所が覆われている円筒状のケーシングと、前記ケーシングの前記弧状凹所に接続された吸引源と、前記ケーシングに回転自在に装着され前記ケーシングの径方向内側に規定される粉体通路を開閉するための円板状の弁体と、前記粉体通路を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ前記弁体を回転させて前記粉体通路を開放すると共に、前記第1の開度よりも小さい第2の開度または前記第1の開度よりも大きい第3の開度と前記第1の開度との間で前記弁体を往復揺動させるアクチュエータとを備え、前記多孔質部材の内周面と前記弁体の周縁との間には隙間が存在しており、前記弁体が前記閉塞位置に位置づけられた際に前記吸引源を作動して前記多孔質部材の内周面に粉体を吸着させ、前記弁体の上面には上方に延びる1個以上の排出促進片が付設されているバタフライバルブを本発明は提供する。
【0008】
本発明のバタフライバルブは、前記ケーシングの前記弧状凹所に接続された圧空源を備え、前記弁体が往復揺動する際に前記圧空源を作動して前記多孔質部材から前記ケーシングの内部に空気を送り入れるのが好ましい。本発明のバタフライバルブは、前記弁体を振動させるバイブレータを備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバタフライバルブにおいては、第1の開度と第1の開度よりも小さい第2の開度との間で弁体を往復揺動させ、あるいは第1の開度と第1の開度よりも大きい第3の開度との間で弁体を往復揺動させることによって、粉体収容容器内の粉体に弁体から衝撃を加え、粉体の凝集や圧密等の発生を抑制しつつ粉体収容容器からの粉体の排出を促進するので、幅広い種類の粉体の排出が可能となる。
【0010】
また、本発明のバタフライバルブにおいては、ケーシングの多孔質部材の内周面と弁体の周縁との間には隙間が存在するので、弁体が往復揺動する際にケーシングの内周面と弁体の周縁とが擦れることによる(直接接触による)ケーシングおよび弁体の摩耗を防止することができる。
【0011】
さらに、本発明のバタフライバルブにおいては、弁体を閉塞位置に位置づけた際に吸引源を作動して多孔質部材の内周面に粉体を吸着させると共にケーシング内の粉体を圧密させることにより、多孔質部材の内周面と弁体の周縁との隙間からの粉体漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従って構成されたバタフライバルブの平面図。
図2図1のA-A線断面図。
図3図1に示すバタフライバルブが粉体収容容器の排出口に接続された状態を示す正面図。
図4】(a)第1の開度と第2の開度との間で弁体が往復揺動している状態における断面図、(b)第1の開度と第3の開度との間で弁体が往復揺動している状態における断面図。
図5図1に示すバタフライバルブに排出促進片が付設された場合の平面図。
図6】(a)図5のC-C線断面図、(b)図5のD-D線断面図。
図7】(a)図1に示すバタフライバルブに他の排出促進片が付設された場合の図6(a)に相当する断面図、(b)図1に示すバタフライバルブに他の排出促進片が付設された場合の図6(b)に相当する断面図。
図8図1に示すバタフライバルブにバイブレータが付設された場合の平面図。
図9】(a)上下2段の弧状凹所が設けられているバタフライバルブの断面図、(b)3段の弧状凹所が設けられているバタフライバルブの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成されたバタフライバルブの好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1および図2を参照して説明すると、全体を符号2で示すバタフライバルブは、円筒状のケーシング4と、ケーシング4に接続された吸引源6と、ケーシング4に回転自在に装着され、ケーシング4の径方向内側に規定される粉体通路を開閉するための円板状の弁体8と、弁体8を回転および往復揺動させるアクチュエータ10(図1参照。)とを備える。
【0015】
ケーシング4は、鋼材等の適宜の金属材料から形成され得る。図2に示すとおり、ケーシング4の内周面の上下方向中間部には、径方向外側に没入して周方向に延びる一対の弧状凹所12が形成されている。図示の実施形態の各弧状凹所12は、後述する一方の回転軸22の近傍から他方の回転軸22の近傍まで延びる半環状(半周状)に形成されている。各弧状凹所12は、通気性を有し且つ粉体の通過を阻止する多孔質部材14によって覆われている。多孔質部材14はシート状であり、ケーシング4の内周面に沿って弧状に配置されている。多孔質部材14は、鋼材等の適宜の金属材料、合成樹脂、不織布または織布から形成され得る。付言すると、多孔質部材14を形成する金属材料には、積層された複数の合金製金網が焼結一体化された表面ろ過タイプの焼結金属特殊メッシュが含まれる。なお、図示の実施形態のバタフライバルブ2においては、ケーシング4の内周面および多孔質部材14の内周面によって粉体通路16(図2参照。)が規定されている
【0016】
吸引源6は各弧状凹所12に流路18を介して接続されている。吸引源6は、各弧状凹所12に負圧を生成して、多孔質部材14の内周面に粉体を吸着させる。また、図示の実施形態のバタフライバルブ2においては、流路18を介して圧空源20も各弧状凹所12に接続されている。圧空源20は、多孔質部材14からケーシング4の内部に空気を送り入れるようになっている。
【0017】
円板状の弁体8は、鋼材等の適宜の金属材料またはウレタンゴム等の適宜の合成ゴム材料から形成され得る。図1に示すとおり、弁体8の周縁には、互いに対向する位置から径方向外側に延びる一対の金属製の回転軸22が付設されており、弁体8は各回転軸22を介してケーシング4に回転自在に装着されている。粉体通路16を閉塞する閉塞位置(図2に示す位置)に弁体8が位置づけられた際、ケーシング4の多孔質部材14の内周面と弁体8の周縁との間には隙間sが存在する。
【0018】
図1に示すとおり、図示の実施形態のアクチュエータ10は、弁体8の一方の回転軸22に接続された電動モータから構成されている。アクチュエータ10を構成する電動モータとしては、公知のサーボモータや、減速機構を介することなく被回転体(図示の実施形態では弁体8の一方の回転軸22)に回転を直接的に伝達するダイレクトドライブモータを用いることができる。
【0019】
アクチュエータ10は、粉体通路16を閉塞する閉塞位置(図2に示す位置)から第1の開度(たとえば10度)だけ弁体8を回転させて粉体通路16を開放する。また、アクチュエータ10は、第1の開度と、第1の開度よりも小さい第2の開度(たとえば5度)との間で弁体8を往復揺動させ、あるいは、第1の開度と、第1の開度よりも大きい第3の開度(たとえば15度)との間で弁体8を往復揺動させる。なお、第1の開度、第2の開度および第3の開度は任意の角度であり、第2の開度は0度(粉体通路16を閉塞する閉塞位置)を含む。
【0020】
次に、上述したとおりのバタフライバルブ2を用いて、粉体収容容器から粉体を排出する方法について説明する。
【0021】
図3には、粉体Pが収容されている粉体収容容器24が示されている。粉体収容容器24は、上下方向に延びる円筒状の胴部26と、胴部26の下端から下方に向かって次第に縮径するコーン部28とを有する。コーン部28の下端には円筒状の排出口30が形成されている。排出口30には、弁体8が閉塞位置に位置づけられた上述のバタフライバルブ2が装着されている。また、吸引源6により各弧状凹所12に負圧が生成されており、多孔質部材14の内周面に粉体Pが吸着している。これによって、多孔質部材14の内周面と弁体8の周縁との隙間sからの粉体漏れが防止されている。なお、排出口30とバタフライバルブ2との接続には、ボルトを用いてもよく、あるいはヘルールクランプを用いてもよい。
【0022】
粉体収容容器24から粉体Pを排出する際は、まず、吸引源6の作動を停止すると共に、粉体収容容器24の排出口30を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ弁体8をアクチュエータ10によって回転させ、排出口30を開放する。排出口30を開放する際には、所定時間だけ圧空源20を作動し、多孔質部材14の内周面に付着している粉体Pを除去してもよい。これによって粉体Pが円滑に排出され得る。
【0023】
排出口30を開放した後、図4に示すとおり、第1の開度よりも小さい第2の開度または第1の開度よりも大きい第3の開度と第1の開度との間で弁体8をアクチュエータ10によって往復揺動させる。弁体8を往復揺動させる際は、図4(a)に示すとおり、一点鎖線で示されている閉塞位置から第1の開度θ1まで弁体8を回転させた後、第1の開度θ1と第2の開度θ2(θ2<θ1)との間で弁体8を往復揺動させる。あるいは、図4(b)に示すとおり、閉塞位置から第1の開度θ1まで弁体8を回転させた後、第1の開度θ1と第3の開度θ3(θ3>θ1)との間で弁体8を往復揺動させてもよい。
【0024】
弁体8を往復揺動させることにより、粉体収容容器24の排出口30付近の粉体Pに弁体8から衝撃を加え、粉体Pの凝集や圧密等の発生を抑制しつつ粉体収容容器24からの粉体Pの排出を促進することができると共にフラッシングを抑制することができる。したがって、図示の実施形態のバタフライバルブ2においては、幅広い粉体の排出が可能となると共に、粉体の排出が停滞することなく定量的な粉体の排出が可能となる。
【0025】
弁体8を往復揺動させる際は、弁体8の揺動範囲を段階的に変更してもよい。たとえば、最初に10度と15度との間で弁体8を往復揺動させ、次いで5度と10度との間で弁体8を往復揺動させた後、0度と5度との間で弁体8を往復揺動させ、弁体8の揺動範囲を3段階で変更するようにしてもよい。これによって、バタフライバルブ2から所定重量の粉体Pを計量容器(図示していない。)等の適宜の容器に排出する場合に、排出時間を短縮しつつ排出重量精度の向上を図ることができる。弁体8の揺動範囲の段階的変更は、上記のような3段階でなくてもよく2段階あるいは4段階以上にしてもよく、揺動範囲も5度でなくてもよく任意に設定され得る。
【0026】
弁体8を往復揺動させる際は、圧空源20を作動して多孔質部材14からケーシング4の内部に空気を送り入れてもよい。これによって、多孔質部材14の内周面に吸着されていた粉体Pが多孔質部材14の内周面に残留するのが防止されると共に、粉体Pの流動化を促進して粉体収容容器24に粉体Pが滞留するのを抑制することができる。
【0027】
弁体8がアクチュエータ10によって往復揺動された際に弾性変形する材質(たとえばウレタンゴム)から形成されている場合には、弁体8の往復揺動のほか、弁体8の弾性変形(回転軸22を中心とした弁体8のしなり)によっても粉体Pに衝撃を加えることができ、粉体Pの排出を一層促進することができる。
【0028】
図示の実施形態のバタフライバルブ2においては、ケーシング4の多孔質部材14の内周面と弁体8の周縁との間には隙間sが存在するので、弁体8が往復揺動する際にケーシング4の内周面と弁体8の周縁とが擦れることによる(直接接触による)ケーシング4および弁体8の摩耗を防止することができ、ケーシング4ないし弁体8の摩耗により生じた屑が粉体Pに混入するのが抑制される。
【0029】
粉体収容容器24に収容される粉体の性状は様々であり、長時間の収容により粉体収容容器24の内部で固化し、粉体収容容器24からの排出が困難になる粉体が存在する。粉体収容容器24の内部で粉体が固化した場合には、粉体収容容器24の内部に圧縮空気を噴射することにより、粉体収容容器24内の粉体をほぐすと共に粉体の流動性を向上させる場合がある。しかしながら、一部の粉体においては、圧縮空気を供給することによりフラッシングが生じ、弁体8の開度および揺動範囲が比較的小さくても、ケーシング4と弁体8との隙間を通過する粉体量が多くなりすぎてしまい排出量を精密に制御することが困難になってしまうときがある。このようなときには、小さい開度および小さい揺動範囲(たとえば0度と3度との間)で弁体8を往復揺動させながら、吸引源6を作動して各弧状凹所12に負圧を生成し、粉体中に含まれる空気の量を低減する。これによって、粉体の排出を促進しつつ、ケーシング4と弁体8との隙間を通過する際に粉体の流動性を低下させフラッシングを抑制することができるので、粉体の排出を停滞させることなく粉体の排出量を精密に制御可能な程度に低減させることができる。
【0030】
所定重量の粉体Pを排出した後、アクチュエータ10によって弁体8を回転させて閉塞位置に位置づけ、粉体通路16を閉塞する。また、圧空源20を作動させていた場合には、圧空源20の作動を停止させる。次いで、吸引源6を作動して各弧状凹所12に負圧を生成し、多孔質部材14の内周面に粉体を吸着させる。これによって、多孔質部材14の内周面と弁体8の周縁との隙間sからの粉体漏れが防止される。また、各弧状凹所12に負圧を生成すると、ケーシング4内の粉体(特に多孔質部材14の付近に存在する粉体)が圧密するので、多孔質部材14の内周面と弁体8の周縁との隙間sからの粉体漏れが一層抑制される。
【0031】
なお、上述のバタフライバルブ2の弁体8の上面には上方に延びる1個以上の排出促進片が付設されていてもよく、排出促進片が付設された場合のバタフライバルブ2について図5ないし図7を参照して説明する。
【0032】
図5および図6に示すバタフライバルブ2の弁体8の上面には、回転軸22同士の間において径方向に間隔をおいて弁体8の上方に延びる3個の排出促進片32a、32b、32cが付設されている。両側の排出促進片32a、32cの長さは中央の排出促進片32bの長さよりも短く、各排出促進片32a、32b、32cの先端が弁体8周縁の軌跡から突出しないようになっている。また、図7に示すバタフライバルブ2の弁体8の上面には、弁体8の径方向中心から上方に向かって径方向外側(回転軸22側)に傾斜して延びる一対の排出促進片34が付設されている。
【0033】
図5ないし図7に示すバタフライバルブ2においては、弁体8が回転または往復揺動した際に弁体8の上方に位置する粉体を排出促進片32a、32b、32c、34で撹拌することができるので、粉体の排出を一層促進することができる。なお、排出促進片32a、32b、32c、34の形状については、円柱状や角柱状、板状等の任意の形状を採用することができる。
【0034】
さらに、上述のバタフライバルブ2は、弁体8を振動させるバイブレータを備えていてもよく、バイブレータが付設された場合のバタフライバルブ2について図8を参照して説明する。
【0035】
図8に示すバタフライバルブ2のアクチュエータ10が接続されていない方の回転軸22には、回転軸22を介して弁体8を振動させるエア駆動式のバイブレータ36が付設されている。そして、図8に示すバタフライバルブ2においては、アクチュエータ10で弁体8を往復揺動させて粉体に衝撃を加えると共に、バイブレータ36で弁体8を振動させて粉体を刺激することによって、粉体の排出を一層促進することができ、比較的付着性の高い粉体に対して有効である。
【0036】
また、図9に示すとおり、バタフライバルブ2のケーシング4の内周面には、上下方向に間隔をおいて複数の弧状凹所12が形成されていてもよい。図9(a)に示す例では、上下方向に間隔をおいて2段の弧状凹所12a、12bが設けられており、上段の弧状凹所12aには流路18を介して吸引源6および圧空源20が接続され、下段の弧状凹所12bには流路18介して圧空源20が接続されている。
【0037】
上段の弧状凹所12aに接続されている圧空源20と、下段の弧状凹所12bに接続されている圧空源20とは、単一の共用圧空源から構成されていてもよく、あるいは別々の圧空源から構成されていてもよい。上段の弧状凹所12aを覆う多孔質部材14aと、下段の弧状凹所12bを覆う多孔質部材14bとは同一の材質から形成されていてもよく、あるいは異なる材質から形成されていてもよい。上段の多孔質部材14aの空隙率と下段の多孔質部材14bの空隙率とは同一でもよく異なっていてもよい。
【0038】
図9(b)に示す例では、上下方向に間隔をおいて3段の弧状凹所12c、12d、12eが設けられており、上段および中段の弧状凹所12c、12dには流路18を介して吸引源6および圧空源20が接続され、下段の弧状凹所12eには流路18介して圧空源20が接続されている。
【0039】
上段の弧状凹所12cに接続されている吸引源6と、中段の弧状凹所12dに接続されている吸引源6とは、単一の共用吸引源から構成されていてもよく、あるいは、別々の吸引源から構成され、かつ、上段の弧状凹所12cに作用する負圧の大きさと、中段の弧状凹所12dに作用する負圧の大きさとが異なっていてもよい。上段の弧状凹所12cの負圧と中段の弧状凹所12d負圧とを異ならせることにより、弁体8を閉じた際に上段の多孔質部材14c付近の粉体の圧密度と中段の多孔質部材14d付近の粉体の圧密度とを異ならせることができ、粉体の性状に応じた排出停止制御を行うことができる。
【0040】
上段・中段・下段の弧状凹所12c、12d、12eに接続されている圧空源20は、単一の共用圧空源から構成されていてもよく、あるいは、それぞれ別々の圧空源から構成され、かつ、上段・中段・下段の弧状凹所12c、12d、12eには、それぞれ異なる圧力の空気が送り込まれるようになっていてもよい。上段・中段・下段の弧状凹所12c、12d、12eを覆う多孔質部材14c、14d、14eはすべて同一の材質から形成されていてもよく、あるいはそれぞれ異なる材質から形成されていてもよい。また、上段・中段・下段の多孔質部材14c、14d、14eの空隙率はすべて同一でもよくそれぞれ異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
2:バタフライバルブ
4:ケーシング
6:吸引源
8:弁体
10:アクチュエータ
12:弧状凹所
14:多孔質部材
16:粉体通路
20:圧空源
24:粉体収容容器
32a、32b、32c、34:排出促進片
36:バイブレータ
P:粉体
s:隙間
θ1:第1の開度
θ2:第2の開度
θ3:第3の開度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9