(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】発泡樹脂シート
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20240416BHJP
B65D 81/03 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C08J9/04 103
C08J9/04 CES
B65D81/03
(21)【出願番号】P 2020057815
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592093958
【氏名又は名称】酒井化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168239
【氏名又は名称】岡倉 誠
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 真也
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136755(JP,A)
【文献】特開昭58-118838(JP,A)
【文献】特開平11-199667(JP,A)
【文献】特開平06-240148(JP,A)
【文献】特表2003-512487(JP,A)
【文献】特開2017-095593(JP,A)
【文献】特開2016-169330(JP,A)
【文献】特開2008-303298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00- 9/42
B29C 44/00- 44/60、 67/20
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
B65D 57/00- 59/08、 81/00- 81/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン系樹脂を主成分とする発泡樹脂シートにおいて、
帯電防止剤として、数平均分子量5000以上、かつ、シリコーン非含有のポリエステル系高分子型帯電防止剤がポリエチレン系樹脂100重量部に対して2.0重量部~8.0重量部添加
されると共に、このポリエステル系高分子型帯電防止剤に加えて、ポリオレフィン系高分子型帯電防止剤がポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.05~0.3重量部添加されると共に、HLB値が18以上の親水化剤がポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.1~0.45重量部添加されており、シートの表面固有抵抗値が
1×10
8
~1×10
12
Ωであることを特徴とする発泡樹脂シート。
【請求項2】
ポリエステル系高分子型帯電防止剤の数平均分子量が10000以上であることを特徴とする請求項1記載の発泡樹脂シート。
【請求項3】
ポリエステル系高分子型帯電防止剤の融点が80℃以上100℃未満であることを請求項1または2に記載の発泡樹脂シート。
【請求項4】
ポリオレフィン系高分子型帯電防止剤の融点が100℃以上であることを請求項1~3の何れか一つに記載の発泡樹脂シート。
【請求項5】
親水化剤がポリエチレングリコールであることを請求項1~4の何れか一つに記載の発泡樹脂シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護用または包装用の発泡樹脂シートの改良、詳しくは、高温環境下における帯電防止剤のブリードアウトを抑制できる発泡樹脂シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、クリーンルームで製造される液晶ディスプレイ用のガラス基板や半導体素子等の電子部品は、空気中の汚染物質によって表面が汚染されることにより品質の低下(リーク電流の増大等)を招き易いため、これらを運搬・保管する際には、ガラス基板や電子部品を表面保護シートや包装シートで覆って汚染物質から保護する必要がある。
【0003】
また、上記表面保護用または包装用シートとしては、緩衝性に優れた発泡樹脂シートが好適に使用されるが、発泡樹脂シートは帯電して周囲の塵埃を引き寄せ易いため、帯電状態で保護シートを剥がしたり包装材を開封したりすると、引き寄せられた塵埃がガラス基板や電子部品に付着してガラス基板等の表面を汚染する問題が生じる。
【0004】
そこで、従来においては、ポリオレフィン系の発泡樹脂シートに高分子型帯電防止剤を添加して上記表面汚染の問題を解消する技術も開発されているが(例えば、特許文献1参照)、この種の発泡樹脂シートでは、夏場の高温環境下において樹脂材料中に添加した帯電防止剤がシート表面にブリードアウトしてしまうという問題があった。
【0005】
また上記高分子型帯電防止剤を添加した発泡樹脂シートの場合、ブリードアウトしたシート表面の白粉(帯電防止剤)を蒸留水等で洗い流すことが難しかったため、白粉が残留した状態で発泡樹脂シートを使用せざるを得なかった。そのため、ガラス基板や半導体素子等の電子部品に白粉が付着して製品の品質低下を招く要因となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを目的としており、要約すると優れた帯電防止機能を有し、更に高温環境下における帯電防止剤のブリードアウトを抑制することもでき、しかも、洗浄性にも優れた発泡樹脂シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題の解決手段として、ポリエチレン系樹脂を主成分とする発泡樹脂シートにおいて、帯電防止剤として、数平均分子量5000以上、かつ、シリコーン非含有のポリエステル系高分子型帯電防止剤をポリエチレン系樹脂100重量部に対して2.0重量部~8.0重量部添加すると共に、HLB値が18以上の親水化剤をポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.1~0.45重量部添加して、シートの表面固有抵抗値が1×108~1×1014Ωとなるようにした点に特徴がある。
【0009】
また上記ポリエステル系高分子型帯電防止剤については、帯電防止効果を向上させるためにブリードし易い数平均分子量10000以上のものを使用するのが好ましい。
【0010】
また上記ポリエステル系高分子型帯電防止剤については、帯電防止効果を向上させるためにブリードし易い融点80℃以上100℃未満のものを使用するのが好ましい。
【0011】
また本発明では、上記ポリエステル系高分子型帯電防止剤に加えて、数平均分子量5000未満のポリオレフィン系高分子型帯電防止剤をポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.05~1.0重量部添加し、かつ、前記ポリオレフィン系高分子型帯電防止剤の添加量をポリエステル系高分子型帯電防止剤の添加量よりも少なくすることによってコストダウンを図ることもできる。
【0012】
また上記ポリオレフィン系高分子型帯電防止剤については、帯電防止効果の持続性を高めるためにブリードし難い融点100℃以上のものを使用するのが好ましい。
【0013】
また上記親水化剤については、洗浄性を向上させるためにHLB値の高いポリエチレングリコールを使用するのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ポリエチレン系樹脂を主成分とする発泡樹脂シートにおいて、シリコーンを含有しないポリエステル系高分子型帯電防止剤を所定量添加することによって、優れた帯電防止機能が得られるだけでなく、夏場の高温環境下においても帯電防止剤のブリードアウト(白粉発生)を抑制することが可能となる。
【0015】
また本発明では、発泡樹脂シートにHLB値が18以上の親水化剤も所定量添加しているため、発泡樹脂シートの表面に付着した汚れも蒸留水で洗い流すことが容易となる。また本発明では、ブリードアウトし難い帯電防止剤を使用しているため、洗浄性を向上させる親水化剤の添加量を抑制することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための具体的態様及び好ましい条件について説明する
【0017】
[発泡樹脂シートの製造方法]
本発明の発泡樹脂シートは、ポリエチレン系樹脂を主成分とする主原料に、発泡剤、ポリエステル系高分子型帯電防止剤、及び親水化剤を添加し、これらの材料を押出成形機内に投入して加熱混練し、シート状(好ましくは厚さ0.2~2.0mmのシート状)に押出発泡成形して製造する。また帯電防止剤として、ポリエステル系高分子型帯電防止剤だけでなくポリオレフィン系高分子型帯電防止剤を併用することもできる。
【0018】
[発泡樹脂シートの主材料]
本発明の発泡樹脂シートの主原料に関しては、ポリエチレン系樹脂を主成分とする樹脂であれば問題なく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)、これらの樹脂とポリエチレン系以外の樹脂を混ぜたもの等を採用することができる。その中でも特に密度0.90~0.93g/cm3の低密度ポリエチレンの使用が好ましい。
【0019】
[発泡剤]
また上記発泡剤に関しては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン等のフッ化炭化水素、ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、エチルエーテル等のエーテル類、ジメチルカーボネート、メタノール、エタノール等の有機系物理発泡剤、酸素、窒素、二酸化炭素、空気、水等の無機系発泡剤を好適に使用できる。またこれらの発泡剤は、単独または2種以上を混合して使用することもできる。
【0020】
また特に上記発泡剤の中でも、ポリエチレン系樹脂との相溶性、発泡性に優れた有機系物理発泡剤の使用が好ましく、具体的にはノルマルブタン、イソブタン、またはこれらの混合物を主成分とするものを使用することが好ましい。なお、物理発泡剤ではないがアゾジカルボンアミド等の分解型発泡剤も使用することができる。
【0021】
また、上記発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする保護シートの密度に応じて調整する。具体的には、発泡剤としてイソブタンなどの物理発泡剤を採用する場合には、その配合比率を、ポリエチレン系樹脂100重量部当たり4~35重量部、好ましくは5~30重量部、より好ましくは6~25重量部とする。
【0022】
[ポリエステル系高分子型帯電防止剤]
また上記ポリエステル系高分子型帯電防止剤に関しては、数平均分子量5000以上で、かつ、シリコーン非含有のものを使用する。またその中でも特にブリードし易い数平均分子量10000以上、融点80℃以上100℃未満のポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤を使用するのが好ましい。またポリエステル系高分子型帯電防止剤の添加量については、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して2.0重量部~8.0重量部(好ましくは、3.0重量部~6.0重量部)の範囲内で添加する。
【0023】
[ポリオレフィン系高分子型帯電防止剤]
また上記ポリオレフィン系高分子型帯電防止剤に関しては、数平均分子量5000未満のポリオレフィン系高分子型帯電防止剤を使用する。またその中でも特にブリードし難い融点100℃以上のポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤を使用するのが好ましい。またポリオレフィン系高分子型帯電防止剤の添加量については、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.05~1.0重量部(好ましくは、0.1重量部~0.3重量部)の範囲内で添加して、ポリエステル系高分子型帯電防止剤の添加量よりも少なくする。
【0024】
[親水化剤]
また上記親水化剤については、HLB値18以上(好ましくはHLB値19以上)の界面活性剤を使用する。その中でも特にHLB値の高いポリエチレングリコールを使用することが好ましい。また親水化剤の添加量については、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.1~0.45重量部の範囲内で添加する。
【0025】
[シートの表面固有抵抗値]
本発明の発泡樹脂シートは、シートの表面固有抵抗値が1×108~1×1014Ω、好ましくは1×109~1×1012Ω、より好ましくは1×1010~1×1011Ωとなるようにする。なお本発明における「表面固有抵抗値」は、JIS C 1303:1972(高絶縁抵抗計)に準拠する表面抵抗測定装置を用いて測定された値である。
【0026】
[その他の添加剤]
また本発明の発泡樹脂シートを製造する際に、気泡力を高めたり抑えたりする気泡調整剤を添加することもでき、この気泡調整剤には有機系(ポリテトラフルオロエチレンなど)のものや無機系のものを適宜選択できる。また必要に応じて、着色剤、紫外線防止剤、酸化防止剤などの種々の添加剤を使用することもできる。
【実施例】
【0027】
[効果の実証試験]
次に本発明の効果の実証試験について説明する。本試験では、帯電防止剤の種類及び添加量、親水化剤の添加量が異なる発泡樹脂シートのサンプルを複数作製し、これら各サンプル(下記の実施例1~4及び比較例1~2)の表面固有抵抗値および洗浄前後の接触角の測定を行い、洗浄後における呼気試験の評価を行った。
【0028】
「実施例1」
本実施例では、発泡樹脂シートの主原料に低密度ポリエチレン(96.1wt%)を使用する一方、帯電防止剤としてポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し3.6重量部(3.5wt%)添加すると共に、親水化剤としてポリエチレングリコールを低密度ポリエチレン100重量部に対し0.4重量部(0.4wt%)添加した。またポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤には、融点93℃、数平均分子量19100のものを使用した。
【0029】
「実施例3」
本実施例では、発泡樹脂シートの主原料に低密度ポリエチレン(95.6wt%)を使用する一方、帯電防止剤としてポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し5.3重量部(5.0wt%)添加すると共に、親水化剤としてポリエチレングリコールを低密度ポリエチレン100重量部に対し0.4重量部(0.4wt%)添加した。またポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤には、融点93℃、数平均分子量19100のものを使用した。
【0030】
「実施例2」
本実施例では、発泡樹脂シートの主原料に低密度ポリエチレン(94.6wt%)を使用する一方、帯電防止剤としてポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し4.2重量部(4.0wt%)添加すると共に、親水化剤としてポリエチレングリコールを低密度ポリエチレン100重量部に対し0.4重量部(0.4wt%)添加した。またポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤には、融点93℃、数平均分子量19100のものを使用した。
【0031】
「実施例4」
本実施例では、発泡樹脂シートの主原料に低密度ポリエチレン(94.3wt%)を使用する一方、帯電防止剤としてポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し5.3重量部(5.0wt%)、ポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し0.1重量部(0.1wt%)添加し、親水化剤としてポリエチレングリコールを低密度ポリエチレン100重量部に対し0.4重量部(0.4wt%)添加した。またポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤には、融点93℃、数平均分子量19100のものを使用し、ポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤には、融点136℃、数平均分子量14000のものを使用した。
【0032】
「比較例1」
本比較例では、発泡樹脂シートの主原料に低密度ポリエチレン(91.6wt%)を使用する一方、帯電防止剤としてポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し8.7重量部(8.0wt%)添加すると共に、親水化剤としてポリエチレングリコールを低密度ポリエチレン100重量部に対し0.4重量部(0.4wt%)添加した。またポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤には、融点136℃、数平均分子量14000のものを使用した。
【0033】
「比較例2」
本比較例では、発泡樹脂シートの主原料に低密度ポリエチレン(92.0wt%)を使用する一方、帯電防止剤としてポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し8.7重量部(8.0wt%)添加した。また本比較例では、親水化剤を添加せず、ポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤に融点136℃、数平均分子量14000のものを使用した。
【0034】
「比較例3」
本比較例では、発泡樹脂シートの主原料に低密度ポリエチレン(92.6wt%)を使用する一方、帯電防止剤としてポリエーテルエステル系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し5.4重量部(5.0wt%)、ポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤を低密度ポリエチレン100重量部に対し2.2重量部(2.0wt%)添加し、親水化剤としてポリエチレングリコールを低密度ポリエチレン100重量部に対し0.4重量部(0.4wt%)添加した。また本比較例では、ポリエーテルオレフィン系高分子型帯電防止剤に融点136℃、数平均分子量14000のものを使用した。
【表1】
【表2】
【0035】
<表面固有抵抗値の測定>
本試験では、上記実施例1~4及び比較例1~2の発泡樹脂シートを、温度20℃、相対湿度65%の条件下で24時間調湿した後、表面抵抗値測定装置(超絶縁計SM-8220 HIOKI社製)を用いて各発泡シートの表面固有抵抗値を測定した。なお表面抵抗値測定装置は、JIS C 1303:1972(高絶縁抵抗計)に準拠している。
【0036】
[測定結果]
その結果、各発泡樹脂シートの表面固有抵抗値は、実施例1:8.7×1010Ω、実施例2:7.8×1010Ω、実施例3:2.4×1010Ω、実施例4:9.6×1010Ω、比較例1;3.3×1011Ω、比較例2:3.3×1011Ω、比較例3:1.4×1015Ωとなり、実施例1~4の方が比較例1~3よりも表明固有抵抗値が小さいことが確認できた。
【0037】
<洗浄前後の接触角の測定>
本試験では、上記実施例1~4及び比較例1~2の発泡樹脂シート(寸法:15cm×15cm)を、同サイズのガラス板の上に乗せ、更にその上に5kgの重りを乗せて、恒温恒湿槽(CSH-111 エスペック社製)内で加速試験を行なった。またシートの加熱は、(1)20℃・60%RHから60℃・90%RHまで1時間で昇温、(2)60℃・90%RHで1時間保持、(3)60℃・90%RHから20℃・60%RHまで1時間で降温、(4)20℃・60%RHで1時間保持、を1サイクルとして90サイクル行なった。
【0038】
また上記加速試験を行った後、ガラス板を蒸留水で洗浄し、温度30℃、相対湿度0%にて24時間乾燥した。そして、洗浄前と洗浄後のガラス板表面における蒸留水の接触角を接触角計(品番:DMs-601、協和界面科学(株)製)を用いて測定した。
【0039】
[測定結果]
その結果、各発泡樹脂シートの接触角は、実施例1:24.3度(洗浄前)4.1度(洗浄後)、実施例2:24.8度(洗浄前)4.4度(洗浄後)、実施例3:25.6度(洗浄前)4.3度(洗浄後)、実施例4:25.9度(洗浄前)4.4度(洗浄後)、比較例1:29.6度(洗浄前)5.0度(洗浄後)、比較例2:38.9度(洗浄前)13.6度(洗浄後)となった。これにより実施例1~4の方が比較例1~2よりも洗浄前の接触角が小さく、高温環境化におけるブリードアウトが抑えられていることが確認できた。また洗浄後の接触角に関しても、実施例1~実施例4の方が比較例1~2よりも小さく、ブリードアウトした帯電防止剤の洗浄性に優れていることが確認できた。
【0040】
<洗浄後における呼気試験>
本試験では、上記洗浄後の実施例1~4及び比較例1~2の発泡樹脂シートについて、温度23℃、相対湿度50%の室内で発泡樹脂シートを載せたガラス表面に息を吹きかけ、曇りの状態を目視によって観察し、次の基準にて判定した。○:曇らない、△:やや曇りが見られる、×:全面が曇る
【0041】
[評価結果]
その結果、実施例1~4の発泡樹脂シートを載せたガラス表面は何れも曇らなかったのに対し、比較例1の発泡樹脂シートを載せたガラス表面は少し曇りが見られ、また比較例2の発泡樹脂シートを載せたガラス表面は全面に曇りが見られた。これにより実施例1~実施例4の方が比較例1~2よりもブリードアウトした帯電防止剤の洗浄性に優れていることが確認できた。上記試験の結果をまとめた表を以下に示す。
【表3】