(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】飲食物の搬送システム
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
(21)【出願番号】P 2020193874
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2020086740
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511305106
【氏名又は名称】アイカム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-223925(JP,A)
【文献】特開平05-330639(JP,A)
【文献】特開平04-345426(JP,A)
【文献】特開2009-028130(JP,A)
【文献】特開2003-285924(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G23/00-23/16
B65G47/00-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物が載せられたトレイを客席のテーブルに搬送する搬送システムであって、
複数の前記テーブルが並ぶ方向に延びる搬送路上において、前記各テーブルと隣り合う位置に配置された回転テーブルと、
前記搬送路のうち、前記回転テーブルが配置された領域以外の領域において、前記トレイを前記搬送路に沿って搬送する複数の第1搬送ベルトと、
一対のプーリと、前記一対のプーリに巻かれるベルト本体とを備えており、前記回転テーブルに配置され、前記トレイを搬送する第2搬送ベルトと、を有し、
前記回転テーブルは、前記第2搬送ベルトの搬送方向を前記第1搬送ベルトの搬送方向と同一方向として前記第1搬送ベルトからの前記トレイを前記第2搬送ベルトに移動可能とさせる第1位置と、前記第2搬送ベルトの搬送方向を前記第1搬送ベルトの搬送方向と直交する方向として前記第2搬送ベルトの駆動により前記トレイを前記テーブルに向かわせる第2位置との間で回転可能であ
り、
前記回転テーブルは、前記一対のプーリをそれぞれ収容する一対の開口部を備えた天面部を有しており、前記ベルト本体が前記天面部の上面及び下面に沿って配置されていることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記トレイには、搬送先の前記テーブルの情報を記憶可能な無線タグが設けられており、
前記搬送システムは、
前記回転テーブル毎に設けられ、前記無線タグの情報を読み取るアンテナと、
前記回転テーブル及び前記第2搬送ベルトの駆動を制御するコントローラと、を有し、
前記コントローラは、
前記アンテナを介して前記無線タグから取得した前記テーブルの情報が、前記回転テーブルに割り当てられたテーブルの情報と一致するとき、この回転テーブルを前記第1位置とした状態で前記第2搬送ベルトを駆動することにより、この第2搬送ベルト上に前記トレイを移動させた後、前記回転テーブルを前記第1位置から前記第2位置に回転させて前記第2搬送ベルトを駆動することにより、前記トレイを前記テーブルに移動させることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記アンテナを介して前記無線タグから取得した前記テーブルの情報が、前記回転テーブルに割り当てられたテーブルの情報と一致しないとき、この回転テーブルを前記第1位置とした状態で前記第2搬送ベルトを駆動することにより、前記第1搬送ベルトからの前記トレイを他の前記第1搬送ベルトに移動させることを特徴とする請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記回転テーブル及び前記第1搬送ベルトの駆動を制御するコントローラを有し、
前記コントローラは、前記第1搬送ベルトに対して前記トレイの搬送方向の下流側に位置する前記回転テーブルが駆動中であるとき、前記第1搬送ベルト上で前記トレイを待機させることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記テーブルの上面には、前記第2搬送ベルトから搬送された前記トレイを摺動させるシートが配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の搬送システム。
【請求項6】
前記搬送路には、この搬送路の長手方向とは異なる方向に延びる他の搬送路が接続されており、
前記他の搬送路には、前記トレイを前記他の搬送路に沿って搬送する第3搬送ベルトが設けられており、
前記他の搬送路のうちの前記搬送路との接続部分には、前記トレイを搬送する第4搬送ベルトを備えた回転テーブルが設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の搬送システム。
【請求項7】
前記回転テーブルは、前記天面部を支持する一対の脚部を有しており、
前記一対の脚部は、前記天面部の下面に沿って配置される前記ベルト本体を挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を載せたトレイを搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の配膳システムでは、主コンベア機構によって物品を搬送した後、副コンベア機構によって分岐経路に物品を移送している。分岐経路の終端部分には、利用者が食事をするためのテーブルが設置されているため、物品はテーブルに搬送される。
【0003】
特許文献2に記載の注文飲食物搬送装置では、容器載置体が注文搬送路に沿って移動した後、容器載置体に設けられた駆動ローラが回転して、注文搬送路の長手方向と直交する方向に容器を移動させることにより、容器を飲食テーブルに搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5543305号公報
【文献】特開2013-42994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飲食物を客に提供するときには、客に対する飲食物の見せ方についても注意を払う必要がある。この点に関して、特許文献1,2のような搬送では、以下に説明する問題がある。
【0006】
特許文献1では、主コンベア機構から分岐経路に物品が移動するとき、主コンベア機構に載せられた物品の姿勢が維持されたまま、主コンベア機構の搬送方向と直交する方向に物品が移動する。このように物品を搬送する場合、物品がテーブルに到着したときにテーブルの客に対する物品の見え方が本来意図する見え方と異なってしまうことがある。
【0007】
例えば、
図14に示すように、物品の正面(客に見せる面)が主コンベア機構の搬送方向を向くように物品を主コンベア機構に乗せた場合を想定する。
図14に示す矢印Fの方向は、物品の正面が向く方向である。
【0008】
物品が主コンベア機構から分岐経路に移送され、物品が分岐経路を移動するときには、物品の正面が分岐経路の搬送方向(すなわち、搬送先であるテーブルの側)を向いていないことになり、本来意図する見え方とは異なる見え方で物品がテーブルに届けられることになる。物品の正面が分岐経路の搬送方向(すなわち、搬送先であるテーブルの側)を向いていれば、本来意図する見え方で物品をテーブルに届けることができる。
【0009】
ここで、テーブルに到達するときの物品の向きを想定して、物品を主コンベヤ機構に載せるときの物品の向きを決めることができるが、面倒であり、物品の向きを間違えてしまうこともある。
【0010】
特許文献2でも、注文搬送路から飲食テーブルに容器が移動するとき、注文搬送路に載せられた容器の姿勢が維持されたまま、注文搬送路の長手方向と直交する方向に容器が移動する。したがって、特許文献2においても、上述した特許文献1と同様に、物品がテーブルに到着したときにテーブルの客に対する物品の見え方が本来意図する見え方と異なってしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、飲食物が載せられたトレイを客席のテーブルに搬送する搬送システムであって、回転テーブルと、複数の第1搬送ベルトと、第2搬送ベルトとを有する。回転テーブルは、複数のテーブルが並ぶ方向に延びる搬送路上において、各テーブルと隣り合う位置に配置される。複数の第1搬送ベルトは、搬送路のうち、回転テーブルが配置された領域以外の領域において、トレイを搬送路に沿って搬送する。第2搬送ベルトは、回転テーブルに配置されており、トレイを搬送する。
【0012】
回転テーブルは、第1位置及び第2位置の間で回転可能である。第1位置では、第2搬送ベルトの搬送方向が第1搬送ベルトの搬送方向と同一方向となり、第1搬送ベルトからのトレイを第2搬送ベルトに移動可能とさせる。第2位置では、第2搬送ベルトの搬送方向が第1搬送ベルトの搬送方向と直交する方向となり、第2搬送ベルトの駆動によりトレイをテーブルに向かわせる。
【0013】
トレイには、搬送先のテーブルの情報を記憶可能な無線タグを設けることができる。また、無線タグの情報を読み取るアンテナを回転テーブル毎に設けるとともに、回転テーブル及び第2搬送ベルトの駆動を制御するコントローラを設けることができる。コントローラは、アンテナを介して無線タグから取得したテーブルの情報が、回転テーブルに割り当てられたテーブルの情報と一致するとき、まず、この回転テーブルを第1位置とした状態で第2搬送ベルトを駆動することにより、この第2搬送ベルト上にトレイを移動させる。そして、コントローラは、回転テーブルを第1位置から第2位置に回転させて第2搬送ベルトを駆動することにより、トレイをテーブルに移動させる。
【0014】
アンテナを介して無線タグから取得したテーブルの情報が、回転テーブルに割り当てられたテーブルの情報と一致しないとき、コントローラは、この回転テーブルを第1位置とした状態で第2搬送ベルトを駆動することにより、第1搬送ベルトからのトレイを他の第1搬送ベルトに移動させることができる。
【0015】
回転テーブル及び第1搬送ベルトの駆動を制御するコントローラを設けることができる。ここで、コントローラは、第1搬送ベルトに対してトレイの搬送方向の下流側に位置する回転テーブルが駆動中であるとき、第1搬送ベルト上でトレイを待機させることができる。テーブルの上面には、第2搬送ベルトから搬送されたトレイを摺動させるシートを配置することができる。
【0016】
複数のテーブルが並ぶ方向に延びる搬送路には、この搬送路の長手方向とは異なる方向に延びる他の搬送路を接続することができる。ここで、他の搬送路には、トレイを他の搬送路に沿って搬送する第3搬送ベルトを設けることができる。また、他の搬送路のうちの搬送路との接続部分には、トレイを搬送する第4搬送ベルトを備えた回転テーブルを設けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回転テーブルの回転によってトレイの向きを変更した上で、トレイを客席のテーブルに搬送することができる。これにより、飲食物の正面が第1搬送ベルトの搬送方向を向くようにトレイを第1搬送ベルトに載せれば、このトレイがテーブルに届いたときには、飲食物の正面はテーブルの側を向くようになる。したがって、トレイに載せられる飲食物を本来意図する見え方でテーブルに届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】回転テーブルの概略構造を示す側面図である。
【
図6】回転テーブルの概略構造を示す平面図である。
【
図8】搬送システムの動作を制御する構成を示すブロック図である。
【
図9】第1搬送ベルト(20A)の制御を説明するフローチャートである。
【
図10】第1搬送ベルト(20A)の他の制御を説明するフローチャートである。
【
図11】第1搬送ベルト(20B)の制御を説明するフローチャートである。
【
図12】回転テーブル及び第2搬送ベルトの制御を説明するフローチャートである。
【
図13】他の変形例である搬送システムの概略図である。
【
図14】従来技術における商品の搬送を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、本実施形態である搬送システム1は、調理エリアA1及び客席エリアA2の両方に配置されている。調理エリアA1は、テーブルTに搬送する飲食物を調理者Cが調理するエリアである。客席エリアA2は、テーブルTが配置されるエリアであり、複数のテーブルTが並んで配置されている。なお、テーブルTでは、テーブルTの脇に沿って座席(不図示)が配置されており、テーブルTの長手方向(
図1の上下方向)に沿って複数の客が並んで飲食を行うことができる。
【0020】
調理エリアA1及び客席エリアA2は、仕切り部材Pによって仕切られている。搬送システム1は、仕切り部材Pに形成された開口Poを貫通しており、搬送システム1の一端部が調理エリアA1に位置しており、搬送システム1の残りの部分は客席エリアA2に位置している。
【0021】
搬送システム1は基台10を有しており、基台10は、複数のテーブルTが並ぶ方向(
図1の左右方向)に延びている。ここで、基台10の両側(基台10の長手方向と直交する方向の両側)には複数のテーブルTが設けられており、一対のテーブルTは、基台10を挟んで、基台10の長手方向と直交する方向(
図1の上下方向)に並んでいる。各テーブルTの上面にはシートSが配置されており、後述するように、シートSには、飲食物が載せられたトレイ100が到達する。シートSは、トレイ100を摺動させる機能を有しており、例えば、シートS自体やシートSの上面を摩擦係数の低い材料で形成することができる。
【0022】
図1に示す構成では、基台10の両側に複数のテーブルTが配置されているが、
図2に示すように、基台10の片側にのみ複数のテーブルTが配置されていてもよい。
【0023】
基台10には、複数の第1搬送ベルト20A,20Bと、複数の回転テーブル30が設けられている。各第1搬送ベルト20A,20Bは、基台10に沿って延びており、飲食物が載せられたトレイ100を基台10に沿って搬送する。各回転テーブル30は、各テーブルTに対応した位置に配置されている。上述したように、一対のテーブルTが基台10を挟む位置に配置されているが、この一対のテーブルTの間に回転テーブル30が配置されている。
【0024】
なお、本実施形態では、一対のテーブルTの間に回転テーブル30を配置しているが、これに限るものではない。具体的には、基台10の両側ではなく、基台10の一方の側にのみテーブルTが配置されている場合(
図2参照)には、このテーブルTに対応する位置に回転テーブル30が配置される。
【0025】
1つの基台10には、1つの第1搬送ベルト20Aが設けられており、第1搬送ベルト20Aは、調理エリアA1及び客席エリアA2に配置されている。調理エリアA1で調理された飲食物がトレイ100に載せられた後、このトレイ100が第1搬送ベルト20Aに載せられる。第1搬送ベルト20Aは、矢印Dmの方向にトレイ100を搬送可能であり、調理エリアA1から客席エリアA2にトレイ100を搬送することができる。第1搬送ベルト20Aに対してトレイ100の搬送方向の下流側には、回転テーブル30が設けられている。第1搬送ベルト20Aによって搬送されるトレイ100は、回転テーブル30(具体的には、後述する第2搬送ベルト40)に受け渡される。
【0026】
1つの基台10には、少なくとも1つの搬送ベルト20Bが設けられており、各搬送ベルト20Bは、基台10の長手方向において隣り合う2つの回転テーブル30の間に配置されている。言い換えると、基台10の長手方向における搬送ベルト20Bの両側には、回転テーブル30がそれぞれ配置されている。搬送ベルト20Bは、矢印Dmの方向にトレイ100を搬送可能であり、一方の回転テーブル30から他方の回転テーブル30にトレイ100を搬送する。
【0027】
各回転テーブル30は、基台10に対して矢印Drの方向(時計方向や反時計方向)に回転可能に配置されている。また、各回転テーブル30には第2搬送ベルト40が設けられており、第2搬送ベルト40は、回転テーブル30とともに移動する。第2搬送ベルト40には、第1搬送ベルト20A,20Bによって搬送されたトレイ100が受け渡される。第2搬送ベルト40は、矢印Dsの方向にトレイ100を搬送可能である。
【0028】
回転テーブル30は、矢印Drの方向に回転することによって、搬送方向Dsが搬送方向Dmと同一方向(平行)になるように第2搬送ベルト40の向きを決めたり、搬送方向Dsが搬送方向Dmと直交するように第2搬送ベルト40の向きを決めたりする。本実施形態において、搬送方向Dsが搬送方向Dmと同一方向(平行)になるときの回転テーブル30の位置を「基準位置」といい、搬送方向Dsが搬送方向Dmと直交するときの回転テーブル30の位置を「分岐位置」という。
【0029】
搬送方向Dsが搬送方向Dmと同一方向(平行)であるときには、第2搬送ベルト40の駆動によって、第1搬送ベルト20A,20Bから搬送されたトレイ100を第2搬送ベルト40に受け渡すことができる。ここで、回転テーブル30は基準位置にある。
【0030】
トレイ100の全体が第2搬送ベルト40上に移動したときには、第2搬送ベルト40の駆動を一旦停止させることができる。そして、回転テーブル30を矢印Drの方向に回転させることにより、回転テーブル30を基準位置から分岐位置に変更することができる。一方、回転テーブル30が基準位置にあるとき、第2搬送ベルト40を駆動し続けることにより、第1搬送ベルト20A,20Bから搬送されたトレイ100を、第2搬送ベルト40を介して他の第1搬送ベルト20Bに受け渡すことができる。
【0031】
回転テーブル30が分岐位置にあるときには、第2搬送ベルト40の駆動によって、第2搬送ベルト40上のトレイ100をテーブルTに向かって移動させることができる。ここで、一対のテーブルTの間に回転テーブル30が配置されているため、第2搬送ベルト40の搬送方向Dsが、一対のテーブルTのうち、目的とするテーブルTを向くように、回転テーブル30の回転方向や回転角度を決めることができる。
【0032】
ここで、回転テーブル30は、最短の経路で回転させることが好ましい。例えば、
図1において、回転テーブル30が基準位置にあり、基台10に対して
図1の上側に位置するテーブルTにトレイ100を搬送するとき、回転テーブル30を時計方向に90度回転させることができる。一方、回転テーブル30が基準位置にあり、基台10に対して
図1の下側に位置するテーブルTにトレイ100を搬送するとき、回転テーブル30を反時計方向に90度回転させることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、第2搬送ベルト40の搬送方向Dsを一方向としているが、これに限るものではない。具体的には、第2搬送ベルト40の搬送方向を、搬送方向Dsと、搬送方向Dsに対して逆の方向とで切り替えるようにしてもよい。この場合には、基準位置にある回転テーブル30を時計方向又は反時計方向に90度回転させた後、第2搬送ベルト40の搬送方向(2つの搬送方向のうちの一方向)を決めることにより、一対のテーブルTのそれぞれにトレイ100を搬送することができる。
【0034】
本実施形態では、基台10に回転ローラ50が設けられており、回転ローラ50は、回転テーブル30及びテーブルTの間に配置されている。第2搬送ベルト40からテーブルTにトレイ100を搬送するとき、トレイ100は、回転ローラ50を通過してテーブルTに到達する。回転ローラ50は、トレイ100をテーブルTにガイドするために用いられ、トレイ100の移動を受けて回転する。なお、本実施形態では、回転テーブル30及びテーブルTの間に2つの回転ローラ50を設けているが、回転ローラ50の数は適宜決めることができる。また、回転ローラ50を省略することもできる。
【0035】
第2搬送ベルト40から搬送されたトレイ100は、テーブルTのシートS上に移動する。上述したように、シートSがトレイ100を滑らせる機能を有していることにより、第2搬送ベルト40によるトレイ100の搬送力を利用して、トレイ100をシートS上に移動させることができる。
【0036】
次に、第1搬送ベルト20A,20Bの構造について、
図3を用いて説明する。ここで、第1搬送ベルト20A,20Bは、実質的に同一の構造を有しており、以下では、第1搬送ベルト20Aについて説明する。
【0037】
図3に示すように、第1搬送ベルト20Aは、ベルト本体21と、ベルト本体21が巻かれる駆動プーリ22及び従動プーリ23を有する。駆動プーリ22にはベルト駆動機構24が連結されており、駆動プーリ22は、ベルト駆動機構24からの駆動力を受けて回転する。駆動プーリ22が回転することにより、ベルト本体21を介して従動プーリ23も回転してベルト本体21を搬送方向Dmに移動させることができる。
【0038】
次に、第2搬送ベルト40の構造について、
図4を用いて説明する。
【0039】
図4に示すように、第2搬送ベルト40は、ベルト本体41と、ベルト本体41が巻かれる駆動プーリ42及び従動プーリ43を有する。駆動プーリ42にはベルト駆動機構44が連結されており、駆動プーリ42は、ベルト駆動機構44からの駆動力を受けて回転する。駆動プーリ42が回転することにより、ベルト本体41を介して従動プーリ43も回転してベルト本体41を搬送方向Dsに移動させることができる。なお、上述したように第2搬送ベルト40の搬送方向を、互いに逆となる2つの方向で切り替える場合には、駆動プーリ42の回転方向を切り替えることにより、ベルト本体41の移動方向(2つの搬送方向のいずれか一方向)を変更することができる。
【0040】
次に、回転テーブル30の構造について、
図5及び
図6を用いて説明する。
【0041】
回転テーブル30は、テーブル本体31と、テーブル本体31を矢印Drの方向に回転させるためのテーブル駆動機構32とを有する。テーブル本体31は、天面部31a及び脚部31bを有し、脚部31bはテーブル駆動機構32と連結されている。なお、脚部31bは、天面部31a及びテーブル駆動機構32を連結することができればよく、
図5及び
図6に示す構造に限るものではない。
【0042】
天面部31aには2つの開口部31cが形成されており、これらの開口部31cには、第2搬送ベルト40(
図4参照)の駆動プーリ42及び従動プーリ43がそれぞれ収容される。駆動プーリ42及び従動プーリ43が開口部31cに収容された状態において、ベルト本体41は、天面部31aの上面及び下面のそれぞれに沿って配置される。すなわち、
図4に示すベルト本体41のうち、
図4の上側に位置する部分は、天面部31aの上面に沿って配置され、
図4の下側に位置する部分は、天面部31aの下面に沿って配置される。
【0043】
次に、トレイ100の構造(一例)について、
図7を用いて説明する。
【0044】
トレイ100の上面部100aには、飲食物が入った容器等が載せられ、トレイ100の底面部100bには、無線タグ101が取り付けられている。無線タグ101には、各種の情報(例えば、飲食物の搬送先であるテーブルTの情報)を記憶させることができる。無線タグ101に記憶された情報は、無線タグ101及びアンテナ33(
図8参照)の間の通信によって読み取ることができる。
【0045】
次に、搬送システム1の制御について説明する。まず、搬送システム1の動作を制御するための構成について、
図8に示すブロック図を用いて説明する。
【0046】
コントローラ200は、搬送システム1の全体の動作を制御する。具体的には、コントローラ200は、第1搬送ベルト20A,20Bのベルト駆動機構24の動作、回転テーブル30のテーブル駆動機構32の動作、第2搬送ベルト40のベルト駆動機構44の動作を制御する。回転テーブル30に設けられたアンテナ33は、トレイ100に設けられた無線タグ101と通信が可能であり、無線タグ101に記憶された情報を読み取る。アンテナ33が取得した情報は、コントローラ200に送信される。
【0047】
なお、本実施形態では、アンテナ33を回転テーブル30に設けているが、これに限るものではない。具体的には、回転テーブル30以外の場所にアンテナ33を配置することができる。この場合において、アンテナ33は、回転テーブル30毎に配置しておき、各回転テーブル30に到達するトレイ100の無線タグ101と通信可能であればよい。
【0048】
第1搬送ベルト20Aの制御について、
図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0049】
ステップS101において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aにトレイ100が載置されているか否かを判別する。上述したように、調理エリアA1において、トレイ100が第1搬送ベルト20Aに載置される。ここで、第1搬送ベルト20Aにトレイ100が載置されていることは、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aにトレイ100が載置されているか否かを判別することができる。
【0050】
例えば、第1搬送ベルト20Aにおいて、トレイ100が載置される位置に光センサ(不図示)を配置しておき、この光センサによってトレイ100の載置を検出することができる。一方、入力装置(不図示)を設けておき、調理者Cがトレイ100を第1搬送ベルト20Aに載置したときに入力装置を操作して所定情報を入力することができる。入力装置に入力された所定情報はコントローラ200に送信され、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aにトレイ100が載置されたことを判別することができる。
【0051】
調理者C(
図1参照)がトレイ100を第1搬送ベルト20Aに載置したとき、コントローラ200は、ステップS102において、第1搬送ベルト20Aの駆動を開始させる。ステップS103において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aと隣り合う回転テーブル30が駆動中であるか否かを判別する。ここで、回転テーブル30が駆動中であるときにはステップS104の処理に進み、回転テーブル30が駆動中ではないときにはステップS108の処理に進む。回転テーブル30が駆動中ではないとき、回転テーブル30は基準位置で停止している。
【0052】
ステップS104において、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別する。所定位置とは、第1搬送ベルト20A上における任意の位置であり、例えば、第2搬送ベルト40にトレイ100を受け渡す直前の位置とすることができる。所定位置へのトレイ100の移動は、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別することができる。例えば、所定位置に対応した位置に光センサを配置することにより、所定位置へのトレイ100の移動を検出することができる。
【0053】
トレイ100が所定位置まで移動したとき、ステップS105において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aの駆動を停止させる。すなわち、トレイ100が所定位置に移動するまで、第1搬送ベルト20Aが駆動される。ステップS106において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aと隣り合う回転テーブル30が駆動中であるか否かを判別する。回転テーブル30の駆動が終了するまで待機し、回転テーブル30の駆動が終了したとき、ステップS107において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aの駆動を開始させる。
【0054】
ステップS108において、コントローラ200は、トレイ100が第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40に移動したか否かを判別する。第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40へのトレイ100の移動は、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、トレイ100が第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40に移動したか否かを判別することができる。例えば、第1搬送ベルト20A及び第2搬送ベルト40の間に光センサを配置することにより、第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40へのトレイ100の移動を検出することができる。
【0055】
トレイ100が第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40に移動したとき、ステップS109において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aの駆動を停止させる。
【0056】
本実施形態において、回転テーブル30が駆動している間、第1搬送ベルト20Aを駆動し続けると、第1搬送ベルト20A上のトレイ100が駆動中の回転テーブル30に衝突してしまう。そこで、
図9に示す処理によれば、回転テーブル30が駆動している間は、トレイ100を第1搬送ベルト20A上の所定位置で待機させるようにしている。トレイ100を所定位置で待機させた後、回転テーブル30の駆動が終了したときには、第1搬送ベルト20Aによるトレイ100の搬送を再開させることにより、第2搬送ベルト40にトレイ100を受け渡すことができる。
【0057】
次に、第1搬送ベルト20Aの他の制御について、
図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0058】
ステップS201において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aにトレイ100が載置されているか否かを判別する。ステップS201の処理は、
図9に示すステップS101の処理と同じである。トレイ100が第1搬送ベルト20Aに載置されたとき、ステップS202の処理に進む。
【0059】
ステップS202において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aと隣り合う回転テーブル30が駆動中であるか否かを判別する。回転テーブル30が駆動中ではないとき、コントローラ200は、ステップS203において、第1搬送ベルト20Aの駆動を開始させる。すなわち、回転テーブル30が駆動中であるときには、第1搬送ベルト20Aを駆動させずに、回転テーブル30の駆動が終了するまで待機する。また、回転テーブル30が駆動していないとき、回転テーブル30は基準位置にある。
【0060】
ステップS204において、コントローラ200は、トレイ100が第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40に移動したか否かを判別する。ステップS204の処理は、
図9に示すステップS108の処理と同じである。トレイ100が第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40に移動したとき、ステップS205において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Aの駆動を停止させる。すなわち、トレイ100が第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40に移動するまで、第1搬送ベルト20Aを駆動し続ける。
【0061】
図10に示す処理によれば、回転テーブル30が駆動中であるときには、調理者Cがトレイ100を第1搬送ベルト20Aに載置した位置において、トレイ100を待機させている。そして、回転テーブル30の駆動が終了したときには、第1搬送ベルト20Aを駆動させることにより、第1搬送ベルト20Aから第2搬送ベルト40にトレイ100を受け渡すようにしている。
【0062】
次に、第1搬送ベルト20Bの制御について、
図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0063】
ステップS301において、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別する。すなわち、ステップS301の処理では、トレイ100が第1搬送ベルト20Bに近づいたか否かを判別するようにしており、この点を考慮して上述した所定位置を決めることができる。ここで、トレイ100は、第1搬送ベルト20Bに対してトレイ100の搬送方向の上流側から搬送されるため、所定位置は、第1搬送ベルト20Bよりもトレイ100の搬送方向の上流側の位置となる。
【0064】
トレイ100が所定位置まで移動したことは、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別することができる。例えば、所定位置に対応した位置に光センサを配置することにより、所定位置へのトレイ100の移動を検出することができる。
【0065】
トレイ100が所定位置まで移動したとき、ステップS302において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Bの駆動を開始させる。ステップS303において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Bに対してトレイ100の搬送方向の下流側で隣り合う回転テーブル30が駆動中であるか否かを判別する。ここで、回転テーブル30が駆動中であるときにはステップS304の処理に進み、回転テーブル30が駆動中ではないときにはステップS308の処理に進む。回転テーブル30が駆動中ではないとき、回転テーブル30は基準位置で停止している。
【0066】
ステップS304において、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別する。ここでの所定位置とは、第1搬送ベルト20B上における任意の位置であり、例えば、第2搬送ベルト40にトレイ100を受け渡す直前の位置とすることができる。所定位置へのトレイ100の移動は、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別することができる。例えば、所定位置に対応した位置に光センサを配置することにより、所定位置へのトレイ100の移動を検出することができる。
【0067】
トレイ100が所定位置まで移動したとき、ステップS305において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Bの駆動を停止させる。すなわち、トレイ100が所定位置に移動するまで、第1搬送ベルト20Bが駆動される。ステップS306において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Bに対してトレイ100の搬送方向の下流側で隣り合う回転テーブル30が駆動中であるか否かを判別する。回転テーブル30の駆動が終了するまで待機し、回転テーブル30の駆動が終了したとき、ステップS307において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Bの駆動を開始させる。
【0068】
ステップS308において、コントローラ200は、トレイ100が第1搬送ベルト20Bから第2搬送ベルト40に移動したか否かを判別する。第1搬送ベルト20Bから第2搬送ベルト40へのトレイ100の移動は、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、トレイ100が第1搬送ベルト20Bから第2搬送ベルト40に移動したか否かを判別することができる。例えば、第1搬送ベルト20B及び第2搬送ベルト40の間に光センサを配置することにより、第1搬送ベルト20Bから第2搬送ベルト40へのトレイ100の移動を検出することができる。
【0069】
トレイ100が第1搬送ベルト20Bから第2搬送ベルト40に移動したとき、ステップS309において、コントローラ200は、第1搬送ベルト20Bの駆動を停止させる。
【0070】
本実施形態において、回転テーブル30が駆動している間、第1搬送ベルト20Bを駆動し続けると、第1搬送ベルト20B上のトレイ100が駆動中の回転テーブル30に衝突してしまう。そこで、
図11に示す処理によれば、回転テーブル30が駆動している間は、トレイ100を第1搬送ベルト20B上の所定位置で待機させるようにしている。トレイ100を所定位置で待機させた後、回転テーブル30の駆動が終了したときには、第1搬送ベルト20Bによるトレイ100の搬送を再開させることにより、第2搬送ベルト40にトレイ100を受け渡すことができる。
【0071】
次に、回転テーブル30及び第2搬送ベルト40の制御について、
図12に示すフローチャートを用いて説明する。
図12に示す処理を開始するとき、回転テーブル30は基準位置にある。
【0072】
ステップS401において、コントローラ200は、回転テーブル30に対してトレイ100の搬送方向の上流側で隣り合う第1搬送ベルト20A,20Bにおいて、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別する。すなわち、ステップS401の処理では、トレイ100が回転テーブル30に近づいたか否かを判別しており、この点を考慮して所定位置を適宜決めることができる。
【0073】
トレイ100が所定位置まで移動したことは、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別することができる。例えば、所定位置に対応した位置に光センサを配置することにより、所定位置へのトレイ100の移動を検出することができる。
【0074】
トレイ100が所定位置まで移動したとき、ステップS402において、コントローラ200は、第2搬送ベルト40の駆動を開始する。これにより、第1搬送ベルト20A,20Bによって搬送されているトレイ100を第2搬送ベルト40に受け渡すことができる。ここでの搬送方向Dsは、搬送方向Dmと同一方向である。また、第2搬送ベルト40の搬送速度は、第1搬送ベルト20A,20Bの搬送速度と等しくすることが好ましい。
【0075】
ステップS403において、コントローラ200は、アンテナ33を介して、トレイ100の無線タグ101に記憶された情報を受信する。この情報には、トレイ100が搬送されるテーブルTを特定する情報(以下、テーブル情報という)が含まれている。一方、各回転テーブル30には、この回転テーブル30と隣り合うテーブルTを特定するテーブル情報、すなわち、回転テーブル30の第2搬送ベルト40によってトレイ100を搬送可能なテーブルTを特定するテーブル情報が割り当てられている。各回転テーブル30を識別する識別情報と、回転テーブル30に割り当てられたテーブル情報とは、互いに対応付けた状態においてメモリ(不図示)に記憶しておくことができる。コントローラ200は、メモリに記憶された情報に基づいて、駆動制御を行っている回転テーブル30に割り当てられたテーブル情報を特定することができる。
【0076】
ステップS404において、コントローラ200は、トレイ100の無線タグ101から取得したテーブル情報が、回転テーブル30に割り当てられたテーブル情報と一致するか否かを判別する。テーブル情報が一致するときにはステップS405の処理に進み、テーブル情報が一致しないときにはステップS410の処理に進む。
【0077】
ステップS405において、コントローラ200は、トレイ100が第2搬送ベルト40上の所定位置まで移動したか否かを判別する。すなわち、ステップS405の処理では、トレイ100の全体が第1搬送ベルト20A,20Bから第2搬送ベルト40に受け渡されたか否かを判別しており、この点を考慮して、所定位置を特定することができる。
【0078】
トレイ100が所定位置まで移動したことは、公知のセンサを用いて検出することができ、このセンサの検出結果に基づいて、コントローラ200は、トレイ100が所定位置まで移動したか否かを判別することができる。例えば、所定位置に対応した位置に光センサを配置することにより、所定位置へのトレイ100の移動を検出することができる。
【0079】
トレイ100が第2搬送ベルト40上の所定位置まで移動したとき、ステップS406において、コントローラ200は、第2搬送ベルト40の駆動を停止させる。ステップS407において、コントローラ200は、回転テーブル30を駆動することにより、回転テーブル30を基準位置から分岐位置まで回転させる。回転テーブル30の回転方向や回転角度は、トレイ100の搬送先となるテーブルTの位置に応じて決定される。これにより、第2搬送ベルト40の搬送方向Dsは、第1搬送ベルト20A,20Bの搬送方向Dmと直交し、目的とするテーブルTの側を向くようになる。
【0080】
ステップS408において、コントローラ200は、第2搬送ベルト40を駆動することにより、第2搬送ベルト40上のトレイ100をテーブルTに向かって移動させる。なお、上述したように第2搬送ベルト40の搬送方向を、互いに逆となる2つの方向で切り替える場合には、トレイ100の移動方向は、第2搬送ベルト40の駆動方向に依存するため、コントローラ200は、目的とするテーブルTに向かってトレイ100が移動するように、第2搬送ベルト40を駆動する。第2搬送ベルト40を搬送方向Dsの一方向に駆動すれば、第2搬送ベルト40を挟む位置に配置された一対のテーブルTの一方にトレイ100を搬送することができる。また、第2搬送ベルト40を搬送方向Dsの他方向に駆動すれば、第2搬送ベルト40を挟む位置に配置された一対のテーブルTの他方にトレイ100を搬送することができる。これにより、第2搬送ベルト40上のトレイ100が目的とするテーブルTのシートS上に移動する。
【0081】
第2搬送ベルト40の駆動は、第2搬送ベルト40上のトレイ100をシートS上に移動させればよい。例えば、所定時間の間、第2搬送ベルト40を駆動し続けることにより、第2搬送ベルト40上のトレイ100をシートS上に移動させることができる。また、テーブルTにおいて、シートS上に移動したトレイ100を検出するセンサを設けておき、このセンサによってトレイ100が検出されるまで、第2搬送ベルト40を駆動し続けることができる。
【0082】
ステップS409において、コントローラ200は、回転テーブル30を駆動することにより、回転テーブル30を分岐位置から基準位置まで回転させる。これにより、第2搬送ベルト40の搬送方向Dsは、第1搬送ベルト20A,20Bの搬送方向Dmと平行になる。
【0083】
一方、ステップS404の処理からステップS410の処理に進んだとき、コントローラ200は、トレイ100が第2搬送ベルト40を通過したか否かを判別する。すなわち、ステップS410の処理では、第2搬送ベルト40に対してトレイ100の搬送方向の下流側に位置する第1搬送ベルト20Bにトレイ100が受け渡されたか否かを判別する。トレイ100が第2搬送ベルト40を通過したとき、ステップS411において、コントローラ200は、第2搬送ベルト40の駆動を停止させる。第2搬送ベルト40の駆動を停止させた後、
図12に示す処理を終了する。
【0084】
本実施形態の搬送システム1によれば、回転テーブル30の回転によってトレイ100(言い換えれば、トレイ100に載せられた飲食物)の向きを変更した上で、トレイ100をテーブルTに搬送することができる。これにより、飲食物の正面が第1搬送ベルト20Aの搬送方向Dmを向くようにトレイ100を第1搬送ベルト20Aに載せれば、トレイ100がテーブルTに届いたときには、飲食物の正面はテーブルTの側を向くようになる。したがって、トレイ100に載せられる飲食物を本来意図する見え方でテーブルTの客に届けることができる。
【0085】
(変形例)
本実施形態では、回転テーブル30がテーブルTに対応した位置に配置されているが、テーブルTに対応した位置(回転テーブル30の位置)とは異なる位置にも回転テーブルを配置することができる。例えば、
図13に示すように、平面視においてT字状に形成された基台10において、テーブルTに対応した位置(回転テーブル30の位置)とは異なる位置に回転テーブル60を配置することができる。
【0086】
図13に示す構造について具体的に説明する。ここで、上述した実施形態と同一の点については説明を省略し、上述した実施形態と異なる点について主に説明する。
【0087】
図13において、基台10は、複数のテーブルTが並ぶ方向(
図13の左右方向)に延びる第1基台10aと、第1基台10aの長手方向と直交する方向(
図13の上下方向)に延びる第2基台10bとを有する。第1基台10aの一端は、第2基台10bに接続されており、第1基台10aは、上述した実施形態(
図1,2)における基台10に相当する。
【0088】
第2基台10bには第3搬送ベルト20C1,20C2が設けられており、第3搬送ベルト20C1,20C2のそれぞれは、第2基台10bに沿って延びており、飲食物が載せられたトレイ100を第2基台10bに沿って搬送する。第3搬送ベルト20C1,20C2の構造は、上述した第1搬送ベルト20A,20Bの構造と同じである。
【0089】
第3搬送ベルト20C1,20C2の端部と隣り合う位置には、回転テーブル60が配置されている。
図13に示す例では、2つの第3搬送ベルト20C1,20C2の間に回転テーブル60が配置されている。ここで、回転テーブル60は、第2基台10bのうち、第1基台10aとの接続部分に配置されている。回転テーブル60の構造は、上述した回転テーブル30の構造と同じである。回転テーブル60には第4搬送ベルト70が設けられており、第4搬送ベルト70の構造は、上述した第2搬送ベルト40の構造と同じである。
【0090】
図13中の回転テーブル60よりも下方(すなわち、トレイ100の搬送路の上流側)に位置する第3搬送ベルト20C1によって搬送されたトレイ100は、回転テーブル60(具体的には、第4搬送ベルト70)に受け渡される。第3搬送ベルト20C1から第4搬送ベルト70にトレイ100を受け渡すとき、第4搬送ベルト70の搬送方向が第3搬送ベルト20C1の搬送方向Dmと同一方向(平行)となるように回転テーブル60が矢印Drの方向(時計方向や反時計方向)に回転する。ここで、第3搬送ベルト20C1及び第4搬送ベルト70を共に駆動することにより、第3搬送ベルト20C1から第4搬送ベルト70へのトレイ100の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0091】
第4搬送ベルト70にトレイ100が受け渡された後、第4搬送ベルト70の搬送方向が第1基台10a上の第1搬送ベルト20Aの搬送方向Dmと同一方向(平行)となるように回転テーブル60が矢印Drの方向(時計方向や反時計方向)に回転する。これにより、第4搬送ベルト70から第1搬送ベルト20Aにトレイ100を受け渡すことができる。ここで、第4搬送ベルト70及び第1搬送ベルト20Aを共に駆動することにより、第4搬送ベルト70から第1搬送ベルト20Aへのトレイ100の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0092】
なお、
図13中の回転テーブル60よりも上方(すなわち、トレイ100の搬送路の下流側)に位置する第3搬送ベルト20C2は、他の第1基台10a(不図示)にトレイ100を搬送するために用いられる。回転テーブル60から第3搬送ベルト20C2にトレイ100を受け渡すとき、第4搬送ベルト70の搬送方向が第3搬送ベルト20C2の搬送方向Dmと同一方向(平行)となるように回転テーブル60が矢印Drの方向(時計方向や反時計方向)に回転する。ここで、第4搬送ベルト70及び第3搬送ベルト20C2を共に駆動することにより、第4搬送ベルト70から第3搬送ベルト20C2へのトレイ100の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0093】
図13に示す構成では、基台10がT字状に形成されているが、基台10の形状はこれに限るものではなく、第1基台10aに対して第2基台10bが接続されていればよい。例えば、第1基台10a及び第2基台10bによって、平面視でL字状に形成された基台10を構成することができる。また、
図13に示す構成では、第2基台10bの長手方向が第1基台10aの長手方向に対して直交しているが、第2基台10bの長手方向が第1基台10aの長手方向に対して傾いていてもよい。
【0094】
図13に示すように、第1基台10aに対して第2基台10bを接続することにより、第2基台10bを用いて、トレイ100を第1基台10aまで搬送することができる。なお、第2基台10bに対して他の基台(不図示)を接続すれば、他の基台に設けられた搬送ベルト(第3搬送ベルト20C2に相当する)から第2基台10bの第3搬送ベルト20C1にトレイ100を搬送することができる。この場合には、第2基台10b及び他の基台(不図示)の接続部分において、回転テーブル60及び第4搬送ベルト70を設けておけばよい。
【0095】
上述したように、互いに異なる方向に延びる2つの基台を接続することにより、トレイ100の搬送経路を自由に決めることができる。ここで、2つの基台の接続部分において、第4搬送ベルト70を備えた回転テーブル60を配置することにより、トレイ100の搬送方向を変更することができる。すなわち、第4搬送ベルト70を備えた回転テーブル60を用いることにより、一方の基台に沿って搬送されたトレイ100が他方の基台に沿って搬送されるようにトレイ100の向きを変更することができる。
【符号の説明】
【0096】
1:搬送システム、10:基台、10a:第1基台、10b:第2基台、
20A,20B:第1搬送ベルト、20C1,20C2:第3搬送ベルト、
30:回転テーブル、40:第2搬送ベルト、50:搬送ローラ、60:回転テーブル、
70:第4搬送ベルト、A1:調理エリア、A2:客席エリア、C:調理者、
P:仕切り部材、S:シート、T:テーブル、100:トレイ、200:コントローラ