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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240416BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20240416BHJP
【FI】
G16H20/10
G16H10/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022090417
(22)【出願日】2022-06-02
(65)【公開番号】P2023177640
(43)【公開日】2023-12-14
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】319004663
【氏名又は名称】株式会社Smart119
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】山尾 恭生
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-122857(JP,A)
【文献】特開2019-028911(JP,A)
【文献】特開2020-204924(JP,A)
【文献】特開2019-021179(JP,A)
【文献】特開2018-033660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送する患者の識別情報に基づいて、前記患者に処方された医薬品の情報を抽出する搬送患者情報処理部と、
前記抽出した医薬品の情報を用いて、その医薬品に対応する医薬品を判定する医薬品判定処理部と、
前記患者を搬送する候補となる医療機関を選定する搬送先候補選定処理部と、を有しており、
前記搬送先候補選定処理部は、
前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を医療機関の候補として選定して、救急隊が利用する救急隊端末に出力させる、または、選定した医療機関の候補のうち前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を識別可能にして前記救急隊端末に出力させる、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理システムは、
前記患者に対して処方された医薬品の情報のうち、所定条件を充足する医薬品を処方したことの入力を受け付ける処方情報入力受付処理部、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記搬送患者情報処理部は、
前記搬送する患者の識別情報に基づいて、前記患者に処方された医薬品の情報のうち、所定条件を充足する医薬品を抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記搬送患者情報処理部は、
前記患者に処方された医薬品が一定期間前のものであることを判定した場合には、その医薬品を対象から除外する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理システムは、
前記搬送先候補選定処理部で選定した搬送先の候補となる医療機関に対して受入要請を行う受入要請処理部、を有しており、
前記搬送先候補選定処理部が、前記選定した医療機関の候補のうち前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を識別可能にして前記救急隊端末に出力させた場合には、前記受入要請処理部は、前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関に対して優先的に受入要請を行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記受入要請処理部は、
前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関に対して優先的に受入要請を行ったあと、受け入れた医療機関がない場合には、前記選定した医療機関の候補のうち、前記判定した医薬品を保管しないまたは取り扱わない医療機関を含めて、前記救急搬送の受入要請を行う、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記受入要請処理部は、
前記救急搬送の受入要請の対象とする医療機関に対して、自動音声による受入要請の架電、受入要請のメッセージ送信を行う、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記受入要請処理部は、
前記受入要請は、同報発信である、
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータを、
搬送する患者の識別情報に基づいて、前記患者に処方された医薬品の情報を抽出する搬送患者情報処理部、
前記抽出した医薬品の情報を用いて、その医薬品に対応する医薬品を判定する医薬品判定処理、
前記患者を搬送する候補となる医療機関を選定する搬送先候補選定処理部、として機能させる情報処理プログラムであって、
前記搬送先候補選定処理部は、
前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を医療機関の候補として選定して、救急隊が利用する救急隊端末に出力させる、または、選定した医療機関の候補のうち前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を識別可能にして前記救急隊端末に出力させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が服用している医薬品に基づいて、適切な医療機関に救急搬送可能な情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が服用している医薬品については、いわゆるお薬手帳などを用いて各個人で管理をしていることが多い。そのため、各人は各医療機関で受診する場合、薬局で医薬品を受領する場合には、お薬手帳を示して、過去に服用していた医薬品などの情報を伝えている。お薬手帳としては紙媒体のものもあれば、スマートフォンなどの可搬型通信端末に記憶させた電子媒体のものもある。
【0003】
このような従来のお薬手帳は、各人が所持をしていなければならないため、お薬手帳の持参を失念したような場合には、医療機関、薬局で提示することはできない。そこで下記特許文献1に記載のように、患者が服用している医薬品の情報を共有するシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-108125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような情報共有システムを用いた場合、医療機関と薬局との間で患者の医薬品の情報が共有できる点では有益である。
【0006】
一方、患者が服用している医薬品によっては、患者の治療に対して一定の考慮が必要となる場合がある。たとえば、患者が血液の凝固を防ぐ医薬品を服用している場合、止血が困難となることから、患者に出血を伴うような症状がある場合、出血を伴うような治療が行われる場合には、その効果を中和する中和剤を投与することが求められる。このような医薬品の例としては、救急医があらかじめ知ることで診療の質の向上、すなわち、より迅速で正しい診療をする可能性がある薬剤、たとえばDOAC(直接経口抗凝固薬)、抗血小板薬、エピペン(アラフィラキシー対応薬)などがある(なお、これらに限定されるものではない)。患者が上記のような中和剤を投与する必要がある医薬品を服用していることの情報は、診療において重要であることから、患者を搬送する救急隊、医療機関に早期に伝わる必要がある。
【0007】
しかし、従来技術では、患者が服用している医薬品の情報は医療機関との間で共有はできるものの、救急隊には伝わらない。そのため、救急隊が患者を搬送する場合には、その中和剤を在庫している医療機関に搬送することが求められるが、救急隊としては、そのような事情を把握できないので、搬送先の医療機関に中和剤がない可能性もある。その場合、医療機関にとっても治療に混乱を来す可能性がある課題がある。
【0008】
また医薬品の情報が医療機関との間で共有できたとしても、搬送されてきた救急患者について、すぐに医療機関側で同定することができず、服用している医薬品の情報を把握できないこともある。そのため、救急搬送されてきた患者の情報は、主として救急隊員が患者若しくは患者の家族からヒアリングをすることが中心となるが、上述のように、救急隊は患者が服用している医薬品の情報は知らないので、医療機関で救急科で治療を行う場合には情報が把握されないこともある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者らは、上記課題に鑑み、患者が服用している医薬品に基づいて、適切な医療機関に救急搬送可能な情報処理システムを発明した。
【0010】
第1の発明は、搬送する患者の識別情報に基づいて、前記患者に処方された医薬品の情報を抽出する搬送患者情報処理部と、前記抽出した医薬品の情報を用いて、その医薬品に対応する医薬品を判定する医薬品判定処理部と、前記患者を搬送する候補となる医療機関を選定する搬送先候補選定処理部と、を有しており、前記搬送先候補選定処理部は、前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を医療機関の候補として選定して、救急隊が利用する救急隊端末に出力させる、または、選定した医療機関の候補のうち前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を識別可能にして前記救急隊端末に出力させる、情報処理システムである。
【0011】
本発明のように構成することで、患者が救急搬送における処置で注意を要するような医薬品を服用している場合であっても、適切な医療機関に救急搬送することができる。
【0012】
上述の発明において、前記情報処理システムは、前記患者に対して処方された医薬品の情報のうち、所定条件を充足する医薬品を処方したことの入力を受け付ける処方情報入力受付処理部、を有する、情報処理システムのように構成することができる。
【0013】
本発明のように構成することで、患者に対して処方した医薬品のうち、救急搬送における処置で注意を要するような医薬品を登録するように構成することで、救急搬送時の処理において、当該患者が注意を要する医薬品を服用しているかの条件判定処理を省略することができ、処理負荷を軽減することができる。
【0014】
上述の発明において、前記搬送患者情報処理部は、前記搬送する患者の識別情報に基づいて、前記患者に処方された医薬品の情報のうち、所定条件を充足する医薬品を抽出する、情報処理システムのように構成することができる。
【0015】
患者に対して処方した医薬品として、救急搬送における処置で注意を要するような医薬品を登録するようにしてもよいが、その場合には、医療従事者などの負担が増加する。そこで、登録の際には、患者に対して処方した医薬品の情報の一部または全部を受け付け、その医薬品のうち、救急搬送における処置で注意を要するような医薬品を抽出するように構成してもよい。これによって、登録時の医療従事者などの負担を軽減することができる。
【0016】
上述の発明において、前記搬送患者情報処理部は、前記患者に処方された医薬品が一定期間前のものであることを判定した場合には、その医薬品を対象から除外する、情報処理システムのように構成することができる。
【0017】
過去に、救急搬送における処置で注意を要するような医薬品が処方されていたとしても、それから一定期間経過している場合には、その処方は終了していることも多い。その場合にも対象に含めると、救急の処置をする側にとって負担が生じる場合もある。そこで、処方から一定期間経過している場合には、対象から除外するとよい。
【0018】
上述の発明において、前記情報処理システムは、前記搬送先候補選定処理部で選定した搬送先の候補となる医療機関に対して受入要請を行う受入要請処理部、を有しており、前記搬送先候補選定処理部が、前記選定した医療機関の候補のうち前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を識別可能にして前記救急隊端末に出力させた場合には、前記受入要請処理部は、前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関に対して優先的に受入要請を行う、情報処理システムのように構成することができる。
【0019】
ある医薬品を服用することによって、処置に注意を要する場合には、その効果を中和、阻害する医薬品の投与が必要な場合がある。そして、その医薬品の在庫は必ずしもあるとは限らない。そのため、医薬品を保管、取り扱っている医療機関に対して優先的に受入要請を行うことで、適切な救急搬送が可能となる。
【0020】
上述の発明において、前記受入要請処理部は、前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関に対して優先的に受入要請を行ったあと、受け入れた医療機関がない場合には、前記選定した医療機関の候補のうち、前記判定した医薬品を保管しないまたは取り扱わない医療機関を含めて、前記救急搬送の受入要請を行う、情報処理システムのように構成することができる。
【0021】
処置に注意を要する場合には、その効果を中和、阻害する医薬品の在庫が必ずしもあるとは限らない場合であっても、受入可能な医療機関がない場合には、救命をすることが求められるので、そのような場合には、二次的に、当該医薬品の存在が不明であっても受入要請を行うように構成することが好ましい。
【0022】
上述の発明において、前記受入要請処理部は、前記救急搬送の受入要請の対象とする医療機関に対して、自動音声による受入要請の架電、受入要請のメッセージ送信を行う、情報処理システムのように構成することができる。
【0023】
上述の発明において、前記受入要請処理部は、前記受入要請は、同報発信である、情報処理システムのように構成することができる。
【0024】
受入要請を行う場合には、手間の軽減や時間短縮のため、本発明のように構成することが好ましい。
【0025】
第1の発明の情報処理システムは、本発明の情報処理プログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現できる。すなわち、コンピュータを、搬送する患者の識別情報に基づいて、前記患者に処方された医薬品の情報を抽出する搬送患者情報処理部、前記抽出した医薬品の情報を用いて、その医薬品に対応する医薬品を判定する医薬品判定処理部、前記患者を搬送する候補となる医療機関を選定する搬送先候補選定処理部、として機能させる情報処理プログラムであって、前記搬送先候補選定処理部は、前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を医療機関の候補として選定して、救急隊が利用する救急隊端末に出力させる、または、選定した医療機関の候補のうち前記判定した医薬品を保管または取り扱う医療機関を識別可能にして前記救急隊端末に出力させる、情報処理プログラムのように構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の情報処理システムを用いることによって、患者が服用している医薬品に基づいて、適切な医療機関に救急搬送可能とできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の全体の概要を模式的に示す概念図である。
図2】本発明の情報処理システムのシステム構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図3】本発明の情報処理システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
図4】本発明の情報処理システムにおける処方情報の登録処理の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の情報処理システムにおける救急隊での処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図6】同意説明文を表示する画面の一例である。
図7】患者の属性情報、処方した医薬品の情報などを入力する画面の一例である。
図8】処方した医薬品の情報を入力する際の画面の一例である。
図9】救急搬送する患者の情報を入力する画面の一例である。
図10】救急搬送する患者について警告表示がなされた画面の一例である。
図11】搬送先の候補となる医療機関を表示する画面の一例である。
図12】搬送先の医療機関で患者の情報を表示する画面の一例である。
図13】救急搬送された患者について警告表示がなされた画面の一例である。
図14】実施例2における救急隊での処理プロセスの他の一例を示すフローチャートである。
図15】搬送先の候補となる医療機関を表示する画面の他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の情報処理システム1の全体の概要を図1に、本発明の情報処理システム1のシステム構成の一例を図2のブロック図に模式的に示す。また、本発明の情報処理システム1で用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を図3に示す。
【0029】
情報処理システム1は、管理端末2を用いる。管理端末2は、サーバやパーソナルコンピュータ、可搬型通信端末などのコンピュータによって実現される。コンピュータは、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と、情報を記憶するRAMやROM、ハードディスク、SSDなどの記憶装置71と、ディスプレイなどの表示装置72と、情報の入力を行う入力装置73と、演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報の通信を行う通信装置74とを有している。
【0030】
なお、コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には、入力装置73と表示装置72とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは、タブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが、それに限定するものではない。なお、タッチパネルディスプレイは、そのディスプレイ上で、直接、所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力が行える点で、表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0031】
各コンピュータは一台でその機能が実現されていてもよいし、その機能が複数台によって実現されていてもよい。その場合のコンピュータとして、たとえばクラウドサーバであってもよい。
【0032】
さらに、本発明の情報処理システム1における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していてもよい。
【0033】
処方側端末3は、患者に対して医薬品を処方した医療機関、薬局などの、医薬品の処方者が利用するコンピュータである。医療機関においては、医師、看護師、薬剤師などの医療従事者のほか事務職員などが、患者に対して処方した医薬品の情報を、患者の同意を得た上で、処方情報として入力をしてもよい。また薬局においては薬剤師のほか事務職員などが、患者に対して処方した医薬品の情報を、処方情報として入力をしてもよい。処方側端末3から入力された処方情報は、管理端末2に送られ、所定の記憶領域に記憶される。処方情報としては、処方した日付、処方した医療機関や薬局、患者を識別するための氏名やIDなどの識別情報、医薬品名や医薬品を示すコードなどの医薬品の識別情報、処方量などがある。また場合によっては、現在の臨床病名(医師が当該患者に対して判断した病名)が含まれていてもよい。
【0034】
患者に対して処方した医薬品の情報のすべてを処方情報として入力してもよいし、処方した医薬品のうち、あらかじめ定めた医薬品、たとえば救急搬送時の処置に要注意の医薬品のみを処方情報として入力してもよい。
【0035】
救急隊端末4は、患者を救急搬送する救急隊員が利用するコンピュータである。
【0036】
搬送先端末5は、患者が救急搬送される医療機関で利用するコンピュータである。
【0037】
情報処理システム1は、処方情報入力受付処理部20と患者情報記憶部21と搬送患者情報処理部22と医薬品情報記憶部23と医薬品判定処理部24と医療機関情報記憶部25と搬送先候補選定処理部26と受入要請処理部27とを有する。
【0038】
処方情報入力受付処理部20は、患者に医薬品を処方した処方側端末3から、本発明の情報処理システム1を利用して処方された医薬品の情報を共有する患者の情報と、処方情報との入力を受け付け、当該患者に対応づけて患者情報記憶部21に記憶させる。患者の情報としては、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、血液型、既往歴、緊急連絡先などの属性情報が含まれる。
【0039】
患者情報記憶部21は、患者の属性情報のほか、処方情報などを、当該患者の識別情報などに対応づけて記憶している。
【0040】
搬送患者情報処理部22は、救急搬送する患者が服用している医薬品の情報を、患者情報記憶部21から抽出する。この際に、救急隊員が救急搬送する際に、患者、親族、若しくは搬送現場付近の人から患者の氏名などの識別情報を聞き出し、あるいは患者の所持品などから患者の氏名などの識別情報を確認し、その識別情報を救急隊端末4に入力することで、搬送患者情報処理部22が、患者の識別情報を受け付け、患者情報記憶部21から当該患者が服用している医薬品の情報、既往歴、現在の病名の情報などを抽出する。この際に、抽出した医薬品の情報、既往歴、現在の病名の情報などを救急隊端末4に表示するとよい。また、氏名などの識別情報のほか、患者の生年月日なども入力し、それによって患者の識別を行ってもよい。
【0041】
医薬品情報記憶部23は、医薬品に関する情報を記憶する。とくに、ある医薬品と、その医薬品による効果を中和、阻害等する医薬品(リバースする医薬品)との対応関係を記憶する。たとえば、血液の凝固を阻害させる効果を有する医薬品と、その効果を中和や阻害する医薬品とを対応づけて記憶する。医薬品に関する情報としては、医薬品の識別情報同士を対応づけて記憶していればよい。
【0042】
医薬品判定処理部24は、搬送患者情報処理部22で抽出した、救急搬送する患者が服用している医薬品の情報に基づいて医薬品情報記憶部23を参照し、服用している医薬品に対応する医薬品、すなわち、服用している医薬品の効果を中和、阻害等する医薬品があるかを判定する。もしその医薬品がある場合には、その医薬品の情報を医薬品情報記憶部23から抽出する。
【0043】
医療機関情報記憶部25は、医療機関に関する情報を記憶する。たとえば医療機関の名称などの識別情報、住所、救急搬送の受入要請を受電するための電話番号、電子メールアドレスなどの医療機関の属性に関する情報に加え、ある医薬品の効果を中和、阻害等する医薬品の在庫を保有しているか、取り扱っているか、などの情報を記憶する。医薬品の在庫の情報としては具体的な在庫数などの情報を搬送先端末5から受け付けて記憶していてもよいし、単に、その医薬品を取り扱っているかの情報であってもよい。医療機関がその医薬品を取り扱っている場合には、多くの場合において、その在庫を保有していることが一般的だからである。また在庫数などの情報は、医療機関から受け付けるほか、製薬会社、医薬品の卸会社などから入力を受け付けてもよい。
【0044】
搬送先候補選定処理部26は、当該患者を救急搬送する搬送先となる医療機関の候補を、医療機関情報記憶部25を参照して選定する。救急出動した現場から近い医療機関、患者の症状からして受入可能な医療機関などを医療機関情報記憶部25から抽出して、候補として選定する。この際に、救急搬送する患者が、搬送患者情報処理部22において抽出した患者の情報において、所定の条件を充足する医薬品を服用している場合には、医薬品判定処理部24において抽出した、服用している医薬品の効果を中和、阻害等する医薬品の在庫を保有している、取り扱っている医療機関を条件として検索し、当該医薬品の在庫を保有、取り扱う医療機関に絞って搬送先の候補の医療機関として選定する。
【0045】
受入要請処理部27は、搬送先候補選定処理部26で選定した搬送先の候補となる医療機関に対して、救急搬送する患者の受入要請を行う。たとえば搬送先候補選定処理部26で候補として選定した医療機関に対して、同報発信で受入要請の架電をする、受入要請のメッセージを送る、あるいは個別に受入要請の架電をする、などがある。受入要請処理部27における受入要請の処理は、各種の公知技術を用いることができる。
【実施例1】
【0046】
つぎに本発明の情報処理システム1の処理プロセスの一例を図4および図5のフローチャートを用いて説明をする。
【0047】
まず本発明の情報処理システム1に、患者に処方した医薬品の情報を記憶させる処理プロセスを図4のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
本発明の情報処理システム1を利用して、対象となる医薬品、たとえば救急搬送時の処置に要注意の医薬品を患者に処方し、当該患者が服用する医薬品の情報や患者の属性情報などを共有する場合には、医療機関や薬局などにおいて、当該患者から同意を取得しておく必要がある。たとえば、図6に示す説明文などを所定の操作で表示をし、患者に口頭で説明、または患者に読んでもらい、その同意を取得する(S100)。たとえば図6に示すような画面を表示し、それを医師などが読み上げ、患者に口頭で説明するほか、当該画面を患者に提示して読んでもらうなどして、その同意を取得する。
【0049】
そして同意の取得後、患者の属性情報と、処方した医薬品の処方情報とを処方側端末3から入力し、それらの情報を処方情報入力受付処理部20で入力を受け付ける(S110)。この際の画面の一例を図7に示す。図7の画面では、患者の属性情報のほか、処方した医薬品(服用する医薬品)、同意の取得日などが入力可能となっている。そして処方した医薬品の情報を入力する場合には、図8に示すように、「服用薬」の欄から、プルダウンメニューなどから選択可能とするようにしてもよい。なお、チェックボックス形式、あるいは自由にテキスト入力するなどの医薬品の入力方式であってもよく、任意の入力方式を用いることができる。たとえば、当該患者に対して、「X阻害剤」を処方した場合には、その情報を「服用薬」として入力する。
【0050】
処方情報入力受付処理部20で入力を受け付けた、患者の情報、処方情報、同意の情報などは、患者情報記憶部21に記憶させる(S130)。
【0051】
以上のような処理を実行することで、患者に処方した医薬品(X阻害剤)の情報を記憶させることができる。
【0052】
つぎに当該患者を救急搬送する際に、救急隊員が行う処理プロセスの一例を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
救急隊が救急出動した現場に到着すると、救急隊員は、患者からその氏名や生年月日など、当該患者を識別可能な情報を聞き取る。患者本人から氏名や生年月日などが聞き取りできない場合には、親族、現場付近にいる人などから聞き取りを行う。あるいは、患者の所持品、たとえば運転免許証、学生証、健康保険証などからその氏名や生年月日を確認することもある。そして、氏名や生年月日などが判明した場合には、救急隊員が利用する救急隊端末4において、図9に示すような救急搬送する患者の情報を入力する画面に、患者の氏名や生年月日などの情報を入力する。
【0054】
そして、所定の操作、たとえば図9の確認ボタン100のように、患者が所定の医薬品を服用しているかを確認するためのボタンが押下されるなどすると、入力された情報の一部または全部を救急隊端末4から管理端末2に送り、それらの情報を管理端末2の搬送患者情報処理部22で受け付ける。
【0055】
搬送患者情報処理部22では、救急隊端末4から受け付けた情報のうち、たとえば氏名や生年月日などの情報を用いて患者情報記憶部21を参照して患者を同定し(S200)、同定した患者に対応づけて記憶している処方情報、処方している医薬品の情報があるかを問い合わせる(S210)。そして当該患者に対応づけて記憶している医薬品の情報がある場合には(S220)、処方している医薬品の情報、たとえば「X阻害剤」を抽出する。そして、図10に示すように、救急隊端末4の画面に、「X阻害剤」を服用していることを抽出し、警告表示を行う(S230)。なお、所定の医薬品を処方していることに対する警告表示の内容については、抽出した医薬品の情報と、それに対応する警告表示とをあらかじめ記憶しておき、それに基づいて警告表示を行えばよい。
【0056】
また、S210において同定した患者に対応づけて記憶している処方情報がない場合には、S250以降の処理を実行する。
【0057】
S220において、患者に対応づけて記憶している医薬品の情報がある場合には、救急隊端末4での警告表示のほか、当該医薬品に対応する医薬品を、医薬品情報記憶部23を参照することで同定する(S240)。たとえば、「X阻害剤」を抽出している場合には、それに対応する「X阻害剤中和剤」を同定する。
【0058】
そして、処方した医薬品に対応する医薬品を同定すると、搬送先候補選定処理部26は、当該患者を救急搬送する医療機関の候補を、医療機関情報記憶部25を参照して選定し、搬送先の候補となる医療機関として救急隊端末4に表示させる(S250)。搬送先の医療機関の候補を選定するときには、搬送先候補選定処理部26は、救急出動した現場から近い医療機関、患者の症状から受け入れ可能な医療機関などの一般的な条件から絞込を行うとともに、その絞込を行った医療機関のうち、S240で同定した医薬品を保有している、取り扱っている医療機関を同定し、その医薬品を保有している、取り扱っている医療機関については、所定の表示を行う(S260)。救急隊端末4に表示される画面の一例を図11に示す。図11では、救急隊端末4に表示する搬送先の候補となる医療機関に、S240で同定した医薬品を保有、取り扱っている医療機関を示す所定のマーク101を表示している場合の画面である。マーク101などを表示するほか、フォントを変更する、太さを変更する、点滅させる、など何らかの視覚的効果、聴覚的効果などを伴う出力処理を行えばよい。
【0059】
そして、搬送先の候補となる医療機関を選定すると、受入要請処理部27は、候補として選定された医療機関のうち、S240で同定した医薬品を保有、取り扱っている医療機関、たとえばマーク101が表示された医療機関に対して、自動音声による受入要請の架電、受入要請のメッセージを送るなどにより、受入要請を行う(S270)。この際に、同時に複数の医療機関に対して同報で行ってもよいし、任意の順番で個別に受入要請を行ってもよい。
【0060】
そして受入要請に応じた医療機関がある場合には(S280)、その医療機関に搬送をする(S300)。
【0061】
一方、S270の受入要請に応じた医療機関がない場合には(S280)、受入要請処理部27は、候補として選定された医療機関のうち、S240で同定した医薬品を保有、取り扱っていない医療機関、たとえばマーク101が表示されていない医療機関に対して、自動音声による受入要請の架電、受入要請のメッセージを送るなどにより、受入要請を行う(S290)。この際に、S270で受入要請を行った医療機関も、再度、受入要請の対象としてもよい。
【0062】
以上のような処理によって、受入要請に応じた医療機関に対して、当該患者の搬送を行う(S300)。
【0063】
そして、救急隊から医療機関に当該患者を引き渡すときに、救急隊員は、医療機関の救急処置を担当する医療従事者に、口頭などによって、当該患者が、要注意の医薬品、たとえばX阻害剤を処方され、服用している可能性があることなどを伝達する。
【0064】
また、医療機関の救急科の医療従事者や事務担当者など、所定の担当者が、救急隊員から聞き取った当該患者の氏名などの情報を搬送先端末5から入力し、所定の操作を行うことで、搬送患者情報処理部22では、搬送先端末5から受け付けた情報のうち、たとえば氏名などの情報を用いて患者情報記憶部21を参照して患者を同定し、同定した患者に対応づけて記憶されている処方情報における医薬品の情報のうち、服用している医薬品の情報を抽出する。たとえば、「X阻害剤」を抽出し、その情報を搬送先端末5に送る。搬送先端末5では、その情報を抽出し、たとえば図12に示すように、患者の情報とともに、要注意の医薬品を服供している可能性があることを示すマーク102を表示する。なお、マーク102の表示のほか、当該患者が、要注意の医薬品を服用している可能性があることを伝達可能な視覚的効果、聴覚的効果を有する出力、たとえば氏名などの強調表示、フォントの変更、大きさの変更、所定の音声出力などを行ってもよい。
【0065】
そして、このマーク102が押下されることで、図13に示すような詳細な情報を表示することができる。なお、服用している医薬品の情報のほか、処方情報における、当該医薬品を処方した医療機関や薬局などの情報を表示してもよい。
【0066】
以上のように、救急隊員による伝達や搬送先端末5からのアクセスなどによって、所定条件を充足する医薬品、たとえば要注意となる医薬品を服用していることを処置にあたる医療機関の医療従事者にも伝達することが可能となる。
【実施例2】
【0067】
本発明の情報処理システム1の別の実施例を説明する。この場合の処理プロセスにおける救急隊側での処理プロセスの一例を、図14のフローチャートに示す。
【0068】
なお、本実施例においては、患者に処方し、当該患者が服用する医薬品の情報や患者の属性情報などを共有する場合の処理として、図5と同様の処理を実行するが、処方情報としては、患者に処方した医薬品の全部または一部を登録する場合を説明する。
【0069】
まず、患者に処方し、当該患者が服用する医薬品の情報や患者の属性情報などを共有する場合には、医療機関や薬局などにおいて、当該患者から同意を取得しておく必要がある。たとえば、図6に示す説明文などを所定の操作で表示をし、患者に口頭で説明、または患者に読んでもらい、その同意を取得する(S100)。
【0070】
そして同意の取得後、患者の属性情報と、処方した医薬品の一部または全部について、処方側端末3から入力し、それらの情報を処方情報入力受付処理部20で入力を受け付ける(S110)。
【0071】
処方情報入力受付処理部20で入力を受け付けた、患者の情報、処方情報、同意の情報などは、患者情報記憶部21に記憶させる(S130)。
【0072】
以上のような処理を実行することで、患者に処方した医薬品(X阻害剤)の情報を記憶させることができる。
【0073】
つぎに当該患者を救急搬送する際に、救急隊員が行う処理プロセスの一例を図14のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
救急隊が救急出動した現場に到着すると、実施例1と同様に、救急隊員は、患者、親族、現場付近にいる人などから、患者の氏名や生年月日などの情報を聞き取る。あるいは、患者の所持品から、氏名や生年月日などを確認する。そして、図9に示す救急搬送する患者の情報を入力する画面に、患者の氏名や生年月日などの情報を入力する。
【0075】
そして、所定の操作、たとえば図9の確認ボタン100のように、患者が所定の医薬品を服用しているかを確認するためのボタンが押下されるなどすると、入力された情報の一部または全部を救急隊端末4から管理端末2に送り、それらの情報を管理端末2の搬送患者情報処理部22で受け付ける。
【0076】
搬送患者情報処理部22では、救急隊端末4から受け付けた情報のうち、たとえば氏名や生年月日などの情報を用いて患者情報記憶部21を参照して患者を同定し(S400)、同定した患者に対応づけて記憶している処方情報、処方している医薬品の情報があるかを問い合わせる(S410)。そして当該患者に対応づけて記憶している医薬品の情報がある場合にはその医薬品の情報を抽出し、その中に、所定の条件を充足する医薬品、たとえば救急搬送による処置の際に要注意の医薬品があるかを医薬品情報記憶部23を参照して判定する(S420)。
【0077】
そして、搬送患者情報処理部22において所定の条件を充足する医薬品、たとえば「X阻害剤」があることを判定した場合には、実施例1と同様に、図10に示すように、救急隊端末4の画面に、「X阻害剤」を服用していることを抽出し、警告表示を行う(S430)。
【0078】
また、医薬品判定処理部24は、当該医薬品に対応する医薬品を、医薬品情報記憶部23を参照することで同定する(S440)。たとえば、「X阻害剤」を抽出している場合には、それに対応する「X阻害剤中和剤」を同定する。
【0079】
そして、処方した医薬品に対応する医薬品を同定すると、搬送先候補選定処理部26は、当該患者を救急搬送する医療機関の候補を、医療機関情報記憶部25を参照して選定し、搬送先の候補となる医療機関として救急隊端末4に表示させる(S450)。搬送先の医療機関の候補を選定するときには、搬送先候補選定処理部26は、救急出動した現場から近い医療機関、患者の症状から受け入れ可能な医療機関などの一般的な条件から絞込を行うとともに、S440で同定した医薬品を保有している、取り扱っている医療機関を条件として絞込を行う。これによって、患者に処方した医薬品に対応する医薬品を保有している、取り扱っている医療機関を、搬送先の候補となる医療機関として救急隊端末4に表示させることができる。この際に、救急隊端末4に表示される画面の一例を図15に示す。
【0080】
一方、搬送患者情報処理部22において所定の条件を充足する医薬品を判定しなかった場合には(S420)、搬送先候補選定処理部26は、救急出動した現場から近い医療機関、患者の症状から受け入れ可能な医療機関などの一般的な条件から絞込を行う(S460)。
【0081】
搬送先の候補となる医療機関を選定すると、受入要請処理部27は、候補として選定された医療機関に対して、自動音声による受入要請の架電、受入要請のメッセージを送るなどにより、受入要請を行う(S470)。この際に、同時に複数の医療機関に対して同報で行ってもよいし、任意の順番で個別に受入要請を行ってもよい。
【0082】
そして受入要請に応じた医療機関がある場合には(S480)、その医療機関に搬送をする(S500)。
【0083】
なお、S440において同定した医薬品を保有、取り扱っている医療機関のみを搬送先候補選定処理部26で選定した場合に、どの医療機関も受入要請に応じなかった場合には、搬送先候補選定処理部26は、救急出動した現場から近い医療機関、患者の症状から受け入れ可能な医療機関などの一般的な条件から絞込を行い、S440で同定した医薬品を保有、取り扱っていない医療機関も搬送先の候補として選定した上で、受入要請処理部27は、候補として選定された医療機関に対して、自動音声による受入要請の架電、受入要請のメッセージを送るなどにより、受入要請を行う(S490)。この際に、S470で受入要請を行った医療機関も、再度、受入要請の対象としてもよい。
【0084】
以上のような処理によって、受入要請に応じた医療機関に対して、当該患者の搬送を行う(S500)。
【0085】
以降の処理は、実施例1と同様に行える。
【実施例3】
【0086】
実施例1の一部の処理と実施例2の一部の処理とを組み合わせて実行してもよい。たとえば、実施例1の搬送先候補選定処理部26における処理において、S240以降の処理の代わりに、S440以降の処理を実行してもよい。すなわち、搬送先の候補となる医療機関の選定において、対応する医薬品のある医療機関を搬送先の医療機関の候補として選定するように実行してもよい。逆に実施例2の搬送先候補選定処理部26における処理において、S440以降の処理の代わりに、S240以降の処理を実行してもよい。すなわち、搬送先の候補となる医療機関の選定において、一般的な条件で搬送先の医療機関の候補を選定し、対応する医薬品のある医療機関については所定の表示等の出力を行うように構成してもよい。
【0087】
また、実施例1、実施例2において、搬送患者情報処理部22が、所定条件を充足する医薬品を抽出する際に、処方から一定期間経過している処方情報における医薬品の情報は、対象から除外するように構成してもよい。たとえばX阻害剤の処方日が1年前であるときであって、それ以降、X阻害剤の処方日が登録されていない場合には、現在はX阻害剤を服用していない可能性が高い。そのため、搬送患者情報処理部22は、患者情報記憶部21から抽出した処方情報における処方日から一定期間経過している場合には、その処方情報は対象から除外するようにしてもよい。この一定期間は、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、1年のように、任意に設定できる。
【0088】
実施例1、実施例2において、処方情報入力受付処理部20は、電子カルテに入力した、患者に対して処方する医薬品の情報、患者の属性情報情報の入力を受け付けるように構成してもよい。また、レセプトにおける医薬品の情報、患者の属性情報の入力を受け付けるように構成してもよい。
【0089】
本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、設計変更が可能である。また処理は一例であり、その処理を異なる順番で実行することも可能である。さらに、画面の表示についても適宜、変更可能である。また、すべての機能を備えずとも、一部の機能のみを備えるのであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の情報処理システム1を用いることによって、患者が服用している医薬品に基づいて、適切な医療機関に救急搬送可能とできる。
【符号の説明】
【0091】
1:情報処理システム
2:管理端末
3:処方側端末
4:救急隊端末
5:搬送先端末
20:処方情報入力受付処理部
21:患者情報記憶部
22:搬送患者情報処理部
23:医薬品情報記憶部
24:医薬品判定処理部
25:医療機関情報記憶部
26:搬送先候補選定処理部
27:受入要請処理部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
100:患者が所定の医薬品を服用しているかを確認するためのボタン
101:所定の医薬品に対応する医薬品を保管、取り扱っている医療機関を示すマーク
102:所定の医薬品を服用している可能性があることを示すマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15