(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】LIDARを使用した通過位置測定システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/70 20170101AFI20240416BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240416BHJP
G06V 10/74 20220101ALI20240416BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G06T7/70 A
G06T7/00 300F
G06V10/74
G06T7/00 650Z
B61L25/02 G
(21)【出願番号】P 2022523447
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020056714
(87)【国際公開番号】W WO2021081125
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-10
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522093834
【氏名又は名称】パイパー ネットワークス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンクザー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マクスウェル,デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シャン,イー
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533721(JP,A)
【文献】特表2019-512802(JP,A)
【文献】特開2011-215055(JP,A)
【文献】特表2018-504650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00-99/00
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-20/90
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアプロセッサと、
方法を実施するために前記ハードウェアプロセッサによって実行可能な命令によって符号化された非一時的機械可読記憶媒体とを備え、前記方法が、
LIDARデータを含む3D画像を受信する工程
であって、前記3D画像が経路上の車両からキャプチャされる、工程と、
前記3D画像を第1の2D画像に変換する工程
であって、前記3D画像内の点のLIDARデータを、前記第1の2D画像内の対応する点の色空間内の色データに変換することによって、前記3D画像を前記第1の2D画像に変換し、前記点のLIDARデータが、距離値および反射率値を含み、前記点のLIDARデータを変換することは、
前記点の距離値を前記色空間の第1の成分の値にマッピングすることと、
前記点の反射率値を前記色空間の第2の成分の値にマッピングすることと、を含む、工程と、
前記経路に沿った前記車両のロケーションを決定する工程と、を含み、
前記経路に沿った前記車両のロケーションを決定する工程が、
前記第1の2D画像を、各々が前記経路に沿ったそれぞれの既知のロケーションでキャプチャされる複数の第2の2D画像と比較すること
であって、前記第2の2D画像の各々は、各々が前記色空間内の色データを有する複数の点を含む、比較することと、
前記比較に基づいて前記第2の2D画像のうちの1つ以上を選択することと、
前記第2の2D画像のうちの前記選択された1つ以上がキャプチャされた前記既知のロケーションに基づいて、前記経路に沿った前記車両の前記ロケーションを決定することと、を含む、システム。
【請求項2】
前記方法は、前記3D画像をキャプチャする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3D画像をキャプチャする工程が、前記車両に搭載されたLIDARユニットによって
前記LIDARデータをキャプチャすることを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記方法は、前記車両のロケーションを決定する前に、前記選択された第2の2D画像のうちの1つを偽陽性一致として選択解除することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の2D画像を前記複数の第2の2D画像と比較することが、
前記第1の2D画像および第2の2D画像の各々から複数のキーポイントを抽出することと、それぞれの前記キーポイントに基づいて前記第1の2D画像および第2の2D画像の各々についてそれぞれの記述子を生成することと、
前記第1の2D画像の前記記述子を前記第2の2D画像の各々の前記記述子と比較することと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
経路上の前記車両が軌道上の列車である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
計算構成要素のハードウェアプロセッサによって実行可能な命令によって符号化された非一時的機械可読記憶媒体であって、前記ハードウェアプロセッサに、方法を実施させるための命令を含み、前記方法が、
LIDARデータを含む3D画像を受信する工程
であって、前記3D画像が経路上の車両からキャプチャされる、工程と、
前記3D画像を第1の2D画像に変換する工程
であって、前記3D画像内の点のLIDARデータを、前記第1の2D画像内の対応する点の色空間内の色データに変換することによって、前記3D画像を前記第1の2D画像に変換し、前記点のLIDARデータが、距離値および反射率値を含み、前記点のLIDARデータを変換することは、
前記点の距離値を前記色空間の第1の成分の値にマッピングすることと、
前記点の反射率値を前記色空間の第2の成分の値にマッピングすることと、を含む、工程と、
前記経路に沿った前記車両のロケーションを決定する工程と、を含み、
前記経路に沿った前記車両のロケーションを決定する工程が、
前記第1の2D画像を、各々が前記経路に沿ったそれぞれの既知のロケーションでキャプチャされる複数の第2の2D画像と比較すること
であって、前記第2の2D画像の各々は、各々が前記色空間内の色データを有する複数の点を含む、比較することと、
前記比較に基づいて前記第2の2D画像のうちの1つ以上を選択することと、
前記第2の2D画像のうちの前記選択された1つ以上がキャプチャされた前記既知のロケーションに基づいて、前記経路に沿った前記車両の前記ロケーションを決定することと、を含む、非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項8】
前記方法は、前記3D画像をキャプチャする工程をさらに含む、請求項
7に記載の非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項9】
前記3D画像をキャプチャする工程が、前記車両に搭載されたLIDARユニットによって
前記LIDARデータをキャプチャすることを含む、請求項
8に記載の非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項10】
前記方法は、前記車両のロケーションを決定する前に、前記選択された第2の2D画像のうちの1つを偽陽性一致として選択解除することをさらに含む、請求項
7に記載の非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項11】
前記第1の2D画像を前記複数の第2の2D画像と比較することが、
前記第1の2D画像および第2の2D画像の各々から複数のキーポイントを抽出することと、それぞれの前記キーポイントに基づいて前記第1の2D画像および第2の2D画像の各々についてそれぞれの記述子を生成することと、
前記第1の2D画像の前記記述子を前記第2の2D画像の各々の前記記述子と比較することと、を含む、請求項
7に記載の非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項12】
経路上の前記車両が軌道上の列車である、請求項
7に記載の非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項13】
コンピュータ実施方法であって、
LIDARデータを含む3D画像を受信する工程
であって、前記3D画像が経路上の車両からキャプチャされる、工程と、
前記3D画像を第1の2D画像に変換する工程
であって、前記3D画像内の点のLIDARデータを、前記第1の2D画像内の対応する点の色空間内の色データに変換することによって、前記3D画像を前記第1の2D画像に変換し、前記点のLIDARデータが、距離値および反射率値を含み、前記点のLIDARデータを変換することは、
前記点の距離値を前記色空間の第1の成分の値にマッピングすることと、
前記点の反射率値を前記色空間の第2の成分の値にマッピングすることと、を含む、工程と、
前記経路に沿った前記車両のロケーションを決定する工程と、を含み、
前記経路に沿った前記車両のロケーションを決定する工程が、
前記第1の2D画像を、各々が前記経路に沿ったそれぞれの既知のロケーションでキャプチャされる複数の第2の2D画像と比較すること
であって、前記第2の2D画像の各々は、各々が前記色空間内の色データを有する複数の点を含む、比較することと、
前記比較に基づいて前記第2の2D画像のうちの1つ以上を選択することと、
前記第2の2D画像のうちの前記選択された1つ以上がキャプチャされた前記既知のロケーションに基づいて、前記経路に沿った前記車両の前記ロケーションを決定することと、を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項14】
前記3D画像をキャプチャする工程をさらに含む、請求項
13に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項15】
前記3D画像をキャプチャする工程が、前記車両に搭載されたLIDARユニットによって
前記LIDARデータをキャプチャすることを含む、請求項
14に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項16】
前記車両のロケーションを決定する前に、前記選択された第2の2D画像のうちの1つを偽陽性一致として選択解除することをさらに含む、請求項
13に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項17】
前記第1の2D画像を前記複数の第2の2D画像と比較することが、
前記第1の2D画像および第2の2D画像の各々から複数のキーポイントを抽出することと、
それぞれの前記キーポイントに基づいて前記第1の2D画像および第2の2D画像の各々についてそれぞれの記述子を生成することと、
前記第1の2D画像の前記記述子を前記第2の2D画像の各々の前記記述子と比較することと、を含む、請求項
13に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項18】
経路上の前記車両が軌道上の列車である、請求項
13に記載のコンピュータ実施方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「LIDAR RTLS PROJECT」と題する2019年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/924,017号、および、「TRANSIT LOCATION SYSTEMS AND METHODS USING LIDAR」と題する2019年12月9日に出願された米国仮特許出願第62/945,785号に対する優先権を主張し、それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、輸送インテリジェンスに関し、より詳細には、通過ロケーションを識別するためのシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、輸送車両に関する情報を追跡するためのシステムおよび方法を提供する。例えば、本開示のいくつかの実施形態は、車両経路に沿って走行する車両からのロケーションおよびデータ収集を向上させるためのシステムを提供する。例えば、車両は、軽量軌道列車、通勤列車、貨物列車、自動車、飛行機、船舶、宇宙船、スキーリフト、ゴンドラ、または当該技術分野で知られている他の形態の輸送手段であってもよい。輸送経路は、それぞれの車両が移動する任意の経路、例えば、線路、道路、水路または海上交通路、滑走路、航空路、または当該該技術分野で知られている他の車両経路であってもよい。
【0004】
本方法は、車両が走行している経路上で車両から3D画像をキャプチャすることを含むことができる。車両は、光検出および測距(LIDAR)技術を利用して経路の3D画像を生成することができる。一実施形態では、LIDARユニットが、地下鉄トンネルの画像をキャプチャするために、地下鉄列車に搭載される。
【0005】
コンピュータを使用して、収集されたLIDARデータを処理して車両の位置を決定することができる。コンピュータは、車両上に配置されてもよい。各3D画像について、コンピュータはLIDARデータを受信し、3D画像を2D画像に変換する。2D画像は、経路に沿った既知のロケーションにおいて以前にキャプチャされた参照2D画像と比較することができる。この比較に基づいて、コンピュータは、キャプチャされた2D画像に最も類似する参照2D画像のうちの1つ以上を選択することができる。経路上の車両のロケーションを、選択された参照2D画像がキャプチャされたロケーションに基づいて決定することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、2D画像は色空間内のカラー画像である。例えば、色空間はHSV色空間であってもよい。しかし、他の色空間を使用してもよい。これらの実施形態では、3D画像を2D画像に変換することは、3D画像内の各点のキャプチャデータを、2D画像内の対応する点の色空間内の色データに変換することを含むことができる。LIDARデータの場合、各点のキャプチャデータは距離値および反射率値を含み、点のキャプチャデータを変換することは、点の距離値を色空間の第1の成分の値にマッピングすることと、点の反射率値を色空間の第2の成分の値にマッピングすることとを含むことができる。HSV色空間の例では、距離値はH値にマッピングすることができ、反射率値はV値にマッピングすることができる。
【0007】
いくつかの実施形態は、参照2D画像内のキャプチャされた2D画像間の偽陽性一致を排除することを含む。これらの実施形態では、経路に沿った車両のロケーションを決定する前に、一致する2D画像のうちの1つ以上が偽陽性一致として選択解除される。
【0008】
いくつかの実施形態では、キャプチャされた2D画像を参照2D画像と比較することは、キーポイントおよび記述子の使用を利用する。これらの実施形態では、キャプチャされた2D画像および参照2D画像の各々から複数のキーポイントが抽出され、キーポイントに基づいて2D画像の各々についてそれぞれの記述子が生成される。
【0009】
本明細書において開示されるシステムおよび/または方法のこれらおよび他の目的、特徴、および特性、ならびに構造の関連要素の動作方法および機能、ならびに部品の組み合わせおよび製造の経済性は、添付の図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を考慮するとより明らかになり、それらのすべてが本明細書の一部を形成し、同様の参照符号は様々な図の対応する部分を示す。しかしながら、図面は例示および説明のみを目的としており、本発明の限定の定義として意図されていないことを明確に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
1つ以上の様々な実施形態による、本明細書に開示される技術は、以下の図を参照して詳細に説明される。図面は、例示のみを目的として提供されており、単に本開示の技術の典型的または例示的な実施形態を示す。これらの図面は、本開示の技術の読者の理解を容易にするために提供され、その幅、範囲、または適用性を限定するものと見なされるべきではない。説明を明確かつ容易にするために、これらの図面は必ずしも原寸に比例するようにされていないことに留意されたい。
【0011】
【
図1】本開示の技術の実施形態による、軌道上の列車のための位置測定システムを示す図である。
【0012】
【
図2】本開示の技術の実施形態による、線路を調査するためのプロセスを示す図である。
【0013】
【
図3】本開示の技術の実施形態による、経路上の車両のロケーションを決定するためのプロセスを示す図である。
【0014】
【
図4】地下鉄トンネル内部の地下鉄列車によってキャプチャされた3D LIDAR画像を示す図である。
【0015】
【
図5】本開示の技術の実施形態に従って生成された例示的な2D画像を示す図である。
【0016】
【
図6】SIFTアルゴリズムを使用して処理された例示的な屋外画像を示す図である。
【0017】
【
図7】一致するキーポイントを示す一対の類似した画像を示す図である。
【0018】
【
図8】キャプチャ画像に対するいくつかの類似した画像の一致の品質を示すグラフ図である。
【0019】
【
図9】変換行列を適用した後の
図8のグラフを示す図である。
【0020】
【
図10】
図8の一致する画像を順に並べたグラフを示す図である。
【0021】
【
図11】本開示の技術の実施形態の様々な特徴を実装する際に使用され得る例示的なコンピューティングシステムを示す図である。
【0022】
図面は、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本発明は修正および変更を伴って実践することができ、本開示の技術は特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態は、LIDAR技術を使用して経路に沿った車両の位置を測定するためのシステムおよび方法を提供する。明確さおよび簡潔さのために、以下の説明では、車両および経路は列車および軌道として説明される。しかしながら、本開示の技術は、任意の経路に沿った任意の車両の位置を測定するために使用され得る。さらに、本開示の技術は、LIDARに限定されず、距離および反射率の形態で3Dデータをキャプチャする任意の技術と共に使用されてもよい。
【0024】
開示された実施形態によれば、列車に搭載されたLIDARユニットは3D画像をキャプチャし、3D画像を使用して列車の軌道に沿った列車のロケーションを決定する。従来の手法では、キャプチャされた3D画像は、軌道に沿った既知のロケーションにおいて以前にキャプチャされた参照3D画像と比較される。しかしながら、3D画像を迅速に比較するために必要な計算は非常に集中的であり、したがって、比較を実行するコンピュータによって必要とされる能力は、標準的な地下鉄列車で利用可能な能力を超える。開示された実施形態は、異なるアプローチをとる。
【0025】
開示された実施形態では、3D画像は2D画像に変換され、2D画像が比較される。2D画像を比較するために必要な能力は、十分に、標準的な地下鉄列車の容量内である。したがって、本明細書に記載された技術を実行するコンピュータは、列車上に配置することができる。
【0026】
本開示の技術の実施形態は、追加の利点を特徴とし得る。特に、本開示の位置測定システムは、地上設備を必要としない。すなわち、列車のロケーションを決定するために必要な機器のすべてを、列車上または列車内に配置することができる。地上設備は、相当の設置および保守コストを伴うため、この特徴は、位置測定システムを運用するコストを大幅に削減する。
【0027】
図1は、本開示の技術の実施形態による、軌道104上の列車102のための位置測定システム100を示す。しかし、上述したように、この技術は、他の経路上の他の車両の位置を測定するために使用することもできる。
【0028】
図1を参照すると、列車102は、軌道104上に位置し得る。列車は、走行中または静止中であり得る。例えば、位置測定システム100は、列車102が最初に電源投入されたときに、静止している列車102のロケーションを決定するために使用され得る。別の例として、位置測定システム100は、列車102が軌道104に沿って走行しているときに、列車102のロケーションを決定するために使用され得る。
【0029】
位置測定システム100は、LIDARセンサ106を含むことができる。LIDARセンサ106は、列車102の外部の任意のロケーション、例えば列車102の前部または後部に設置されてもよい。LIDARセンサ106は、例えば従来の技法に従って、3D画像を収集することができる。例えば、LIDARセンサ106は、複数の角度で配置された複数のビームを有する回転センサを含むことができる。他の例では、LIDARセンサ106は、複数のビームを形成するための回転ミラーを有する静止センサを含むことができる。しかしながら、LIDARセンサ106を実装するために任意のLIDAR技術を使用されてもよい。
【0030】
位置測定システム100は、コンピュータ108を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ108は、例えば、本明細書に記載の計算を実行するように最適化されており、および/または列車102の運用環境に耐えるように耐久性がある、専用コンピュータとして実装されてもよい。他の実施形態では、コンピュータ108は、汎用コンピュータとして実装されてもよい。
【0031】
位置測定システム100は、記述子/ロケーションデータベース110を含むことができる。データベース110は、既知のロケーションにおいて軌道104に沿って以前にキャプチャされたLIDAR画像から生成される記述子を含むことができる。例えば、調査モードにおいて、位置測定システム100を利用してデータベース110を生成することができる。調査モードでは、システム100は、LIDARセンサ106によってキャプチャされた各3D画像のロケーションを提供するための位置センサ(図示せず)を含むことができる。システム100は、各3D画像を2D画像に変換し、2D画像の記述子を生成し、記述子およびロケーションをデータベース110に記憶する。次いで、データベース110がデータ投入された後、例えば以下で詳細に説明するように、LIDARセンサ106によってキャプチャされた画像ならびにデータベース110に記憶された記述子およびロケーションに基づいて列車102のロケーションを決定するために、位置測定システム100を位置測定モードで動作させることができる。
【0032】
位置測定システム100によって生成されたロケーションは、任意の方法で使用することができる。例えば、位置測定システム100は、列車102の運転者のロケーションを表示するためのオンボードディスプレイ112を含むことができる。ディスプレイ112は、列車102の現在位置のインジケータとともに、軌道システムの対話型マップを示すことができる。別の例として、位置測定システムは、列車102の先のシステムにロケーションを送信するためのオンボード送信機114を含むことができる。例えば、ロケーションは、軌道104を走行する複数の列車を制御する際に使用するために中央制御システムに送信することができる。
【0033】
図2は、本開示の技術の実施形態による、線路104を調査するためのプロセス200を示す。プロセス200の要素は特定の順序で説明されているが、様々な実施形態では、ステップを省略し、他の順序で実行し、同時に実行するなどしてもよいことを理解されたい。
【0034】
調査中、列車102は軌道104に沿って走行する。列車は、例えば
図1に示すように、LIDARセンサ106を含むことができる。列車102が軌道104に沿って走行するときに、202において、LIDARセンサ106は、3D画像およびロケーションを収集することができる。例えば、列車102は、LIDARセンサ106が一定の間隔で3D画像を収集している間に、一定の速度で軌道104に沿って走行することができる。列車102は、軌道104に沿ったそのロケーションを決定するための専用の測位システムを含むことができる。この目的のために、任意の測位システムを使用することができる。測位システムは、収集された各3D画像について軌道104に沿った列車102のロケーションを決定することができる。
【0035】
コンピュータ108は、例えば以下で詳細に説明するように、204において、各3D画像を2D画像に変換することができる。コンピュータ108は、以下で詳細に説明するように、206において、各2D画像の記述子を生成することができる。コンピュータ108は、208において、記述子およびロケーションをデータベース110に記憶することができる。例えば、コンピュータ108は、記述子およびロケーションをテーブルとして記憶することができ、テーブルにおいて、各記述子はそのロケーションに関連付けられる。調査が完了すると、データベース110を使用して、軌道104に沿った列車102のロケーションを決定することができる。
【0036】
図3は、本開示の技術の実施形態による、経路上の車両のロケーションを決定するためのプロセス300を示す。プロセス300の要素は特定の順序で説明されているが、様々な実施形態では、ステップを省略し、他の順序で実行し、同時に実行するなどしてもよいことを理解されたい。
【0037】
例えば、プロセス300は、
図1の例のように、軌道104に沿って走行する列車102のロケーションを決定するために利用されてもよい。このプロセス300は、
図2の例に従って生成されたデータベース110を利用することができる。
図3を参照すると、プロセス300は、302において、経路上の車両から3D画像をキャプチャすることを含むことができる。
図1の例では、LIDARセンサ106は、列車102から3D画像をキャプチャすることができる。3D画像は、軌道104、列車102の周囲などを含み得る。例えば、地上列車102の場合、周囲は、樹木、建物、標識などを含み得る。地下鉄列車102の場合、周囲は、トンネル壁、地下鉄インフラストラクチャ、および地下鉄プラットフォームなどを含み得る。
【0038】
図4は、地下鉄トンネル内部の地下鉄列車によってキャプチャされた3D LIDAR画像を示す。
図4において、白い四角は、LIDARセンサを通り、列車の前面に平行な垂直面を表している。各LIDARビームの反射によって収集されたデータは、
図4では別個の曲線として見ることができる。
【0039】
再び
図3を参照すると、プロセス300は、304において、3D画像を2D画像に変換することを含むことができる。いくつかの実施形態では、2D画像は色空間内のカラー画像である。他の実施形態では、他の2D画像が使用されてもよい。
【0040】
3D LIDAR画像内の各点は、4つのデータを含むことができる。データは、LIDARセンサの垂直軸を中心とした角度θを含むことができる。いくつかの実施形態では、角度θは、0.2°の分解能で0~360の範囲内で表すことができる。データは、ビーム数bを含むことができる。いくつかの実施形態では、LIDARセンサは32個のビームを含み、ビーム数bは0~31の範囲内の整数値として表すことができる。データは、ユニットからの距離δを含むことができる。いくつかの実施形態では、この距離は、1cm刻みの16ビット数として表されてもよい。δ=0の距離は、ビームの反射が検出されなかったことを示し得る。これは、反射面がセンサの範囲外にあるとき、反射面がLIDARビームを完全に吸収したとき、反射面がLIDARビームをLIDARセンサから完全に離れて反射したときなどに起こり得る。データは、「反射率」 とも呼ばれる戻り信号強度Rを含むことができる。反射率Rは、任意の単位の8ビット数として表されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、各LIDAR画像は、2回のLIDAR走査を使用して生成される。第1の走査は、最小および最大の非ゼロ距離δminおよびδmax、ならびに最小および最大の非ゼロ反射率RminおよびRmaxを決定するために使用される。第2の走査では、各距離および反射率は、第1の走査において決定された最小値および最大値内で正規化され、例えば式(1)および(2)に従って、範囲0~1(両端含む)にクランプされる。
【0042】
δnorm=clamp((δ-δmin)/(δmax-δmin),0,1)(1)
【0043】
Rnorm=clamp((R-Rmin)/(Rmax-Rmin),0,1)(2)
【0044】
この方法は、線形動的測距の形態を表す。状況によっては、非線形動的測距を利用することも有用であり得る。例えば、この技術を使用して、特定の範囲内の特異距離を強調し、画像マッチングの目的に役立つ誇張された特徴を強調することができる。
【0045】
次に、正規化された距離および反射率を色空間内の色に変換することができる。例えば、最も一般的な色空間の1つは、チャネルごとに0~255の値の範囲に対して、3つの8ビット色チャネルを有するRGBである。この色空間の人気により、多くの画像処理ソフトウェアライブラリが存在し、これは特に、本開示の技術の実施形態で使用され得る多くの特徴抽出アルゴリズムを含む。LIDARデータでは、距離が反射率よりも重要であることは間違いない。しかし、RGB色空間では、距離は複数の色成分にマッピングされる。このマッピングは、類似した距離を大きく異なる色として表すことができ、結果として得られる画像に急激な不連続性をもたらす。
【0046】
別の一般的な色空間はHSVである。HSV色空間を使用する1つの利点は、距離および反射率を別個の色空間成分にマッピングすることができることである。いくつかの実施形態では、正規化された距離および正規化された反射率を、例えば式(3)~(5)に従って、HSV色空間の成分値に変換することができる。
【0047】
H=360×δnorm(3)
【0048】
S=1(4)
【0049】
V=Rnorm(5)
【0050】
いくつかの実施形態では、HSV色空間データは、直接的に、キーポイントおよび記述子を取得するために処理され得る。他の実施形態では、例えば、RGB色空間における特徴認識のためのアルゴリズムの既存のライブラリを利用するために、このプロセスの前にHSV色空間データをRGB色空間データに変換することができる。これらの実施形態のいくつかでは、HSV色空間からRGB色空間への変換の前に、式(6)に従ってVの低い値を強調することができる。
【0051】
V=Rnorm
0.2(6)
【0052】
この技術によれば、非常に近い物体の色は赤色であり、距離が増加するにつれて、距離に比例してオレンジ色、次いで黄色、次いで緑色、次いで青色、紫色になり、次いで赤色に戻る。各ピクセルの明るさは反射率を示し、明るいピクセルは暗いピクセルよりも高い反射率を示す。急激な距離の変化は色相の急激な変化として現れ、一方、滑らかな距離の変化は色相の滑らかな変化として現れる。近くの周囲よりも実質的に反射が少ない物体は、それらの色相を保持するが、より暗く見える。
【0053】
上述したように、画像内のいくつかのロケーションでは、データが収集されず、望ましくない単一画素「孔」をもたらす可能性がある。いくつかの実施形態では、これらの画素にフィルタを適用して画像を「スペックル除去」することができる。例えば、画素に単純なメジアンフィルタを適用してもよい。
【0054】
図5は、本開示の技術の実施形態に従って生成された例示的な2D画像を示す。例示的な画像は、32ピクセルの高さであり、各LIDARビームに対して1つの走査線を有する。例示的な画像は、595ピクセル幅であり、これは約119度の水平範囲を表す。画像は、左にカーブする地下鉄トンネルの区間を表す。画像の中央付近の暗いブロブは、遠方に後退するトンネルを示している。暗いブロブの近くの黄色のブロブは、信号機、ケーブル、およびさらには破片などの軌道脇の構造物を表す。よく見ると、2つの地下鉄線路が見え、左の軌道上に列車がある。トンネルの壁は湾曲しており、トンネルの右側に隆起した歩道が存在することも分かる。この画像は水平線を含み、これはLIDARセンサのより良好な較正によって改善することができるアーチファクトである。
【0055】
再び
図3を参照すると、プロセス300は、306において、2D画像を、経路に沿ったそれぞれの既知のロケーションにおいて各々キャプチャされた複数の参照2D画像と比較することを含むことができる。この技法によれば、キャプチャ画像に最も類似する参照画像(複数可)のロケーションは、経路に沿った車両のロケーションを示す。
【0056】
本開示の実施形態では、2D画像を直接的に比較する代わりに、2D画像の抽出された特徴が比較される。いくつかの実施形態では、各2D画像から複数のキーポイントが抽出される。次に、抽出されたキーポイントに基づいて、各2D画像の記述子が生成される。記述子は、キーポイントを含むことができ、キーポイントの各々を囲む画像に関する追加の情報も含むことができる。例えば、情報は、各キーポイントの周りの8つの異なる方向におけるグレースケール値の勾配を記述することができる。キャプチャされた2D画像は、参照2D画像と、それらの記述子を比較することによって比較することができる。
【0057】
キーポイントおよび記述子を抽出するためのいくつかの一般的なアルゴリズムが存在する。オープンソースソフトウェアパッケージOpenCVは、いくつかのそのようなアルゴリズムを含む。例示的な特徴抽出アルゴリズムは、スケール不変特徴変換(SIFT)、高速ロバスト特徴(SURF)アルゴリズム、方向付きFASTおよび回転BRIEF(ORB)アルゴリズム、およびKAZE、AKAZE、ならびにBRISKアルゴリズムを含む。これらのアルゴリズムは異なる挙動を有し、異なる画像特徴に焦点を合わせる。例えば、BRISKはコーナ検出器であり、SIFT、SURF、およびKAZEはブロブ検出器である。これらのアルゴリズムのほとんどは、これらの挙動を「微調整」ように調整することができるパラメータを有する。
【0058】
これらのアルゴリズムはまた、異なる実行時間を有する。表1は、画像あたりの総実行時間および平均時間を含む、これらのアルゴリズムのいくつかに関する9021個の屋外画像を処理するための実行時間を列挙する。
【表1】
【0059】
図6は、SIFTアルゴリズムを使用して処理された例示的な屋外画像を示す。
図6において、明るい緑色の円は、SIFTアルゴリズムによって抽出されたキーポイントを示す。
【0060】
再び
図3を参照すると、プロセス300は、308において、比較に基づいて1つ以上の参照2D画像を選択することを含むことができる。例えば、比較およびマッチングは、上述のアルゴリズムのうちの1つ以上を使用して実施することができる。これらのアルゴリズムは、一致の品質を示す値を生成することができる。
【0061】
場合によっては、キャプチャ画像は、複数の前処理された画像とよく一致し得る。そのような場合、複数の一致する画像を使用して、列車のロケーションを決定することができる。例えば、上位2つの一致がロケーションにおいて隣接しており、一方の一致が75%であり、他方の一致が50%である場合、列車のロケーションはそれらの画像のロケーションの間にあり、おそらく前者の画像のロケーションにより近い。このような技法は、重み付け関数、補間などであり、これを使用して、これらの複数の画像に基づいて列車のロケーションを決定することができる。別の例として、列車の位置は、一致するキーポイントから変換行列を生成することによって計算されてもよい。
【0062】
図7は、一致するキーポイントを示す一対の類似した画像を示す。一方の画像は他方の真上に示されており、一致するキーポイントは同じ色で示され、その色の線によって接続されていることに留意されたい。
図7の一致は、総当たりK最近傍(BFKNN)照合器を用いてSIFTアルゴリズムを使用して生成された。
【0063】
図8は、キャプチャ画像に対するいくつかの類似した画像の一致の品質を示すグラフを示す。各一致の品質は、ピクセル単位の距離によって示され、ピクセルが少ないほど、より良好な一致を示す。キャプチャ画像は、Image ID=8360を有し、したがって、
図8からわかるように、0画素の距離を有する。画像IDは、画像が撮影されたシーケンスを示す。したがって、キャプチャ画像に最も近い近傍は画像8359および8361である。
図8から、これらは良好な一致であるが、最良の一致ではないことが分かる。
図8では、最良の一致は実際には偽陽性である。
【0064】
再び
図3を参照すると、プロセス300は、310において、車両のロケーションを決定する前に、選択された参照2D画像のうちの1つを偽陽性一致として選択解除することを含むことができる。以下で詳細に説明するように、偽陽性一致を排除するために、多くの技法を単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらおよび他の技法は、選択された参照2D画像のセットを低減するために、単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0065】
プロセス300は、312において、選択された参照2D画像(複数可)がキャプチャされた既知のロケーション(複数可)に基づいて、経路に沿った車両のロケーションを決定することを含むことができる。例えば、キャプチャ画像に一致するものとして1つの2D参照画像のみが選択された場合、その2D画像のロケーションを車両のロケーションとして使用することができる。複数の参照2D画像がキャプチャ画像と一致するものとして選択された場合、選択された参照2D画像のロケーションを使用して、例えば、本明細書で説明するように、補間または他の同様の技術を使用して、車両のロケーションを決定することができる。
【0066】
偽陽性を排除するための1つの技術は、以下で詳細に説明するように、変換行列を使用することである。
図9は、変換行列を適用した後の
図8のグラフを示す。
図9に見られるように、残っている唯一の一致は、キャプチャ画像に最も近い2つの一致、すなわち8359および8361である。すべての偽陽性一致は排除されている。
図9では、画像8361が画像8359よりもはるかによく一致していることも分かる。
【0067】
偽陽性を排除するための別の技法は、参照画像を順に配置し、一致インデックスの大域的最小値を求めることである。
図10は、
図8の一致する画像を順に並べたグラフを示す。
図10において、青色のバーは一致する画像を示し、緑色のバーはまったく一致しないことを示す。
図10から分かるように、キャプチャ画像8360の近傍に大域的最小値が存在する。別の最小値が8350に存在するが、近傍の画像がうまく一致しないかまたはまったく一致しないため、破棄することができる。
図10に見られる別の特徴は、キャプチャ画像8360の4つの画像内の画像のすべてがある程度の一致を呈することである。この特徴は、例えば、大域的最小値にある±n個の一致する画像のウィンドウの外側の画像を選択解除することによって、偽陽性を排除するために利用することができる。
【0068】
偽陽性一致を排除するためのもう1つの技法は、列車が存在する可能性がないロケーションの一致を単純に選択解除することである。この技法は、列車などの車両が高度に制約された挙動を有するという事実によって支援される。それらの車両は、速度および加速度が制限されており、軌道を自発的に切り替えることができず、瞬間的に回転することができないなどの挙動を有する。多くの偽陽性一致を排除するために、これらの技法を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0069】
上述したように、偽陽性一致は、変換行列を使用して排除され得る。ここで、この技法について詳細に説明する。2つの画像間で一致する点を使用して、一方の画像の、他方に対する歪みを数学的に符号化する変換行列を生成することができる。例えば、鳥の大きな写真は、同様のサイズの全体画像と一致するが、鳥のより小さい画像が埋め込まれているとする。生成される変換行列は、鳥のスケーリングを反映する。
【0070】
しかし、現在の例では、キャプチャ画像および参照画像は列車上の同じロケーションから取得され、軌道上の同じロケーションについて非常に類似しているはずであるため、変換行列は単位行列に非常に近いはずである。実際には、列車が両方の画像について正確に同じロケーションおよび姿勢にある可能性は低いため、変換行列が正確に単位行列になる可能性は低い。すなわち、列車は左右にふらついたり、わずかに跳ねたりすることがある。
【0071】
OpenCVなどのオープンソースライブラリは、これらの変換行列を生成するためのアルゴリズムを提供する。変換行列と単位行列との間の差の定量化および閾値化を使用して、誤った画像を排除することができる。そのような技法の1つは、変換行列と単位行列との間のSSD(距離二乗和)をとることである。表2は、2つの異なるタイプの変換行列、すなわちホモグラフィ行列および基本行列について1000個の画像のサンプルからSSDを抽出した結果を示す。
【表2】
【0072】
表2中、平均隣接は、真の、すなわち正しい画像からの画像IDの平均SSDを示す。ホモグラフィ行列の例では、最も近い一致は、平均で約1.51画像だけ、真から離れている。基本行列の例では、最も近い一致は、平均で約1.27画像だけ、真から離れている。
【0073】
一致なしは、一致を受信しなかった画像の数である。ホモグラフィ行列の例では、1000個のサンプル画像のうち、17個が最も近い一致を有しなかった。基本行列の例では、すべてのサンプル画像が一致した。
【0074】
誤差パーセントは、真から±2画像だけ外側にある最も近い一致を有する画像の数である。ホモグラフィ行列の例では、1000個のサンプル画像のうち、9.76%が真に対して±2画像だけ外側にあった。基本行列の例では、5.10%のサンプル画像が真に対して±2画像だけ外側にあった。
【0075】
表2のデータのいくつかは、基本行列とホモグラフィ行列との間の差の知識によってよりよく理解され得る。ホモグラフィ行列は、計算するために少なくとも4つのキーポイントを必要とし、キーポイントは互いに同一平面上になければならない。例えば、はがきの4点は、同じ平面内に存在し、どのように用紙が位置付けられても同一平面上にある。したがって、ホモグラフィ行列法は、カメラが写真ごとに異なっていても、連続した写真の配列内のはがきを容易に識別することができる。
【0076】
基本行列は、ホモグラフィ行列のより一般化された形態である。ホモグラフィ行列は同一平面上の画像空間点に関連するが、基本行列は、画像内の点の任意のセットを、同じカメラによって撮影された別の画像内の点に関連させる。はがきの例を続けると、基本行列法は、使用されるカメラが同じであれば、(はがきおよびその周囲の位置に関して)どの写真が同じであるかを容易に識別することができる。
【0077】
これらの理由から、基本行列法は、本開示の技術と共に使用するのにより適している。表2の結果は、この結論を裏付けている。(表2は1000枚の画像を処理する時間を記載しているため)画像ごとに7.27ms多い時間をとる間、基本行列法は、より低い平均隣接数を有し、一致の見逃しがなく、4.66%低い誤差パーセンテージを有する。
【0078】
調査画像が十分に高い密度でキャプチャされた場合、正しいロケーションの近くの画像はテスト画像と厳密に一致するはずであるが、より離れた画像の場合はそうではない。画像との強い一致が見つかったが、隣接する画像の一致が不十分であるか、またはまったく一致しない場合、一致の品質は疑わしい可能性がある。これらの状況は、上述したように、変換行列を使用して解決することができる。
【0079】
偽陽性一致を排除することに加えて、偽陰性一致を防止することも望ましい。偽陰性一致を防止するための技法は、代替的な画像を収集すること、および陳腐化した画像を除去することを含む。画像が十分に一致しない、またはまったく一致しないことには、いくつかの原因が考えられる。これらの原因は、別の列車の存在、仮設物、新しい破片、気象条件、樹木の季節的な外観、新しく建設されたまたは現在存在しない建造物などを含み得る。
【0080】
これらの条件に対処するために、記載された技術は、画像のロケーションを決定するのに役立ち得る情報と共に、画像を保存することができる。この情報は、システムが最後に有効ロケーションを計算したとき、システムが次に有効ロケーションを計算したとき、およびそれらの時間と画像が取得された時間との間のタイミングおよび速度に基づく最良推定ロケーションを含むことができる。次いで、そのような画像をオフラインで処理し、それらのロケーションについての追加の可能な候補画像として追加することができる。あるロケーションについて複数の画像がある場合、システムは、どの画像が最もうまく機能するかに関する情報を収集することができる。1つの画像が設定された期間にわたって十分に機能しない場合、その画像は陳腐化したとして排除され得る。1つのロケーションについて複数の画像が維持され得る。
【0081】
システムは、システムの結果を改善するために、単独でまたは組み合わせて、いくつかの追加の技法を利用することができる。そのような技法の1つは、粗い低品質のロケーション情報を提供するだけでよい追加の測位システムを利用する。これらの近似ロケーションを使用して、キャプチャ画像と比較するための参照画像の小さいサブセットを除くすべてを排除することができ、それによってシステムの性能が大幅に改善される。
【0082】
別の技法は、列車の一般的なロケーションの知識を利用して、画像を照合するための適切なアルゴリズムおよび/またはパラメータを選択する。列車の一般的なロケーションは、上述した追加の測位システムなどによって、列車の最後の既知の位置に基づいて決定することができる。例えば、いくつかのアルゴリズムおよび/またはパラメータは、屋外よりもトンネル内でより良好に機能することができる。これらのアルゴリズムおよび/またはパラメータは、列車がトンネル内にあることが分かっているときに選択することができる。オフライン処理を使用して、例えばパラメータの焼きなまし法を用いてこれらの決定を行い、各アルゴリズムについて各軌道領域の最良の設定を決定することができる。
【0083】
場合によっては、例えば、壊滅的な電力損失の後に列車が最初に電源投入されたときに、列車の一般的なロケーションが未知であり得る。これらのケースに対処するために、例えば、非常に正確なロケーションを提供するのに適した第1の記述子と、それほど正確ではないが一般的なロケーションを提供するのに優れた第2の記述子とを含む、複数の記述子を画像ごとに記憶することができる。電源投入時に、システムは、第2の記述子を利用して列車の一般的なロケーションを決定することができる。次いで、システムは、一般的なロケーションを使用してアルゴリズムおよび/またはパラメータを選択することができ、これは次いで、列車の正確なロケーションを取得するために第1の記述子と共に使用することができる。
【0084】
偽陽性一致を防止するためのもう1つの技法は、画像の部分をマスクすることを含む。実際には、画像のいくつかの部分は、マッチングに有用ではないキーポイントを生成し得る。例えば、枕木は、多くのキーポイントを生成する場合がある。しかし、枕木はほぼすべての画像で同じように見えるため、これらのキーポイントは画像マッチングには役に立たない可能性がある。したがって、キーポイントを生成する前に画像内の枕木をマスクすることによって、システムの性能を改善することができる。
【0085】
本開示の技術によって生成されたロケーションは、多くの用途を有する。例えば、経路上の車両のロケーションは、これらの車両のスケジュールを管理するために使用することができる。ロケーションは、経路上の状態、または経路上の作業者の存在さえも運転者に警告するために使用され得る。多くの他の用途が考えられる。
【0086】
付録Aは、トンネル内で撮影された画像のセットを処理することによる発見を提示する。
【0087】
付録Bは、屋外で撮影された画像のセットを処理することによる発見を提示する。
【0088】
理解されるように、本明細書に記載の方法は、有形媒体上に記憶された機械実行可能命令を有するコンピューティングシステムを使用して実行することができる。命令は、自律的に、またはオペレータからの入力の助けを借りて、方法の各部分を実施するように実行可能である。
【0089】
当業者であれば、本明細書に記載の開示された実施形態は単なる例であり、多数の変形形態が存在することを理解するであろう。本発明は、本明細書に記載の実施形態および当業者に明らかな変形を包含する特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、本明細書の任意の1つの実施形態に示されまたは記載された構造的特徴または方法ステップは、他の実施形態においても同様に使用することができることを理解されたい。
【0090】
本明細書で使用される場合、論理回路および構成要素という用語は、本明細書に開示される技術の1つ以上の実施形態に従って実施することができる機能の所与のユニットを表すことができる。本明細書において使用される場合、論理回路または構成要素のいずれかは、任意の形態のハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを利用して実装され得る。例えば、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、ASIC、PLA、PAL、CPLD、FPGA、論理構成要素、ソフトウェアルーチンまたは他の機構を実装して構成要素を構成することができる。実施態様において、本明細書に記載の様々な構成要素は、個別の構成要素として実装されてもよく、または記載の機能および特徴は、1つ以上の構成要素間で部分的または全体的に共有されてもよい。換言すれば、本明細書を読んだ後に当業者には明らかになるように、本明細書に記載された様々な特徴および機能は、任意の所与の用途において実装されてもよく、様々な組み合わせおよび置換において1つ以上の別個のまたは共有される構成要素において実装されてもよい。機能の様々な特徴または要素が別個の構成要素として個別に説明または特許請求され得るとしても、当業者は、これらの特徴および機能が1つ以上の共通のソフトウェアおよびハードウェア要素間で共有され得ることを理解し、そのような説明は、そのような特徴または機能を実装するために別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素が使用されることを必要とせず、または意味しない。
【0091】
本技術の構成要素、論理回路、または構成要素がソフトウェアを使用して全体的または部分的に実装される場合、一実施形態では、これらのソフトウェア要素は、それに関して説明された機能を実行することができるコンピューティングまたは論理回路によって動作するように実装することができる。様々な実施形態が、この例示的な論理回路1100に関して説明される。本明細書を読めば、当業者には、他の論理回路またはアーキテクチャを使用して本技術を実装する方法が明らかになるであろう。
【0092】
ここで
図11を参照すると、コンピューティングシステム1100は、例えば、デスクトップ、ラップトップ、およびノートブックコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(PDA、スマートフォン、携帯電話、パームトップなど)、メインフレーム、スーパーコンピュータ、ワークステーション若しくはサーバ、または、所与の用途もしくは環境にとって望ましいまたは適切であり得る任意の他の種類の専用若しくは汎用コンピューティングデバイス内に見られるコンピューティングまたは処理能力を表すことができる。論理回路1100はまた、所与のデバイス内に組み込まれた、または他の様態で所与のデバイスにとって利用可能な計算能力を表すこともできる。例えば、論理回路は、例えば、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、携帯電話、ポータブルコンピューティングデバイス、モデム、ルータ、WAP、端末、および何らかの形態の処理能力を含み得る他の電子デバイスなどの他の電子デバイスに見られ得る。
【0093】
コンピューティングシステム1100は、例えば、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、制御構成要素、またはプロセッサ1104などの他の処理デバイスを含むことができる。プロセッサ1104は、例えば、マイクロプロセッサ、コントローラ、または他の制御論理などの汎用または専用処理構成要素を使用して実装され得る。図示の例では、プロセッサ1104はバス1102に接続されているが、任意の通信媒体を使用して論理回路1100の他の構成要素との相互作用を容易にするか、または外部と通信することができる。
【0094】
コンピューティングシステム1100はまた、本明細書では単にメインメモリ1108と呼ばれる、1つ以上のメモリ構成要素を含むことができる。例えば、好ましくは、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミックメモリが、プロセッサ1104によって実行されるべき情報および命令を記憶するために使用され得る。メインメモリ1108はまた、プロセッサ1104によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。論理回路1100は、同様に、プロセッサ1104のための静的情報および命令を記憶するためにバス1102に結合された読み出し専用メモリ(「ROM」)または他の静的記憶デバイスを含むことができる。
【0095】
コンピューティングシステム1100はまた、例えば、メディアドライブ1112および記憶ユニットインターフェース1120を含むことができる、1つ以上の様々な形態の情報記憶機構1110を含むことができる。メディアドライブ1112は、固定または取り外し可能な記憶媒体1114をサポートするためのドライブまたは他の機構を含むことができる。例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、CDもしくはDVDドライブ(RもしくはRW)、または他の取り外し可能なまたは固定メディアドライブが提供されてもよい。したがって、記憶媒体1114は、例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、カートリッジ、光ディスク、CDもしくはDVD、または、メディアドライブ1112によって読み取られ、書き込まれ、もしくはアクセスされる他の固定もしくは取り外し可能な媒体を含んでもよい。これらの例が示すように、記憶媒体1114は、コンピュータソフトウェアまたはデータを記憶したコンピュータ使用可能記憶媒体を含むことができる。
【0096】
代替の実施形態では、情報記憶機構1110は、コンピュータプログラムまたは他の命令もしくはデータを論理回路1100にロードすることを可能にするための他の同様の手段を含んでもよい。そのような手段は、例えば、固定または取り外し可能な記憶ユニット1122およびインターフェース1120を含んでもよい。そのような記憶ユニット1122およびインターフェース1120の例は、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース、取り外し可能メモリ(例えば、フラッシュメモリまたは他の取り外し可能メモリ構成要素)およびメモリスロット、PCMCIAスロットおよびカード、ならびにソフトウェアおよびデータが記憶ユニット1122から論理回路1100に転送されることを可能にする他の固定または取り外し可能な記憶ユニット1122およびインターフェース1120を含むことができる。
【0097】
論理回路1100はまた、通信インターフェース1124を含んでもよい。通信インターフェース1124は、ソフトウェアおよびデータが論理回路1100と外部デバイスとの間で転送されることを可能にするために使用されてもよい。通信インターフェース1124の例は、モデムもしくはソフトモデム、ネットワークインターフェース(Ethernet、ネットワークインターフェースカード、WiMedia、IEEE802.XX、または他のインターフェースなど)、通信ポート(例えば、USBポート、IRポート、RS 232ポートBluetooth(登録商標)インターフェース、または他のポート)、または他の通信インターフェースを含んでもよい。通信インターフェース1124を介して転送されるソフトウェアおよびデータは、典型的には、電子、電磁(光を含む)、または所与の通信インターフェース1124によって交換することができる他の信号とすることができる信号上で搬送されてもよい。これらの信号は、チャネル1128を介して通信インターフェース1124に提供され得る。このチャネル1128は、信号を搬送することができ、有線または無線通信媒体を使用して実施することができる。チャネルのいくつかの例は、電話回線、セルラリンク、RFリンク、光リンク、ネットワークインターフェース、ローカルまたはワイドエリアネットワーク、および他の有線または無線通信チャネルを含んでもよい。
【0098】
本明細書では、「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータ使用可能媒体」という用語は、一般に、例えばメモリ1108、記憶ユニット1120、媒体1114、およびチャネル1128などの媒体を指すために使用される。これらおよび他の様々な形態のコンピュータプログラム媒体またはコンピュータ使用可能媒体は、実行のために1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを処理装置に搬送することに関与することができる。媒体上で具現化されるそのような命令は、一般に、「コンピュータプログラムコード」または「コンピュータプログラム製品」(コンピュータプログラムまたは他のグループの形態でグループ化され得る)と呼ばれる。実行されると、そのような命令は、論理回路1100が本明細書で説明する本開示の技術の特徴または機能を実行することを可能にすることができる。
【0099】
図11はコンピュータネットワークを示しているが、本開示はコンピュータネットワークを用いた動作に限定されず、むしろ、本開示は任意の適切な電子デバイスにおいて実施され得ることが理解される。したがって、
図11に示すコンピュータネットワークは、例示のみを目的としており、したがって、いかなる点においても本開示を限定することを意図されていない。
【0100】
本開示の技術の様々な実施形態を上述したが、それらは限定ではなく例としてのみ提示されていることを理解されたい。同様に、様々な図は、本開示の技術の例示的なアーキテクチャまたは他の構成を示すことができ、これは、本開示の技術に含まれ得る特徴および機能の理解を助けるために行われる。本開示の技術は、図示された例示的なアーキテクチャまたは構成に限定されず、所望の特徴は、様々な代替的なアーキテクチャおよび構成を使用して実装することができる。実際、本明細書に開示されている技術の所望の特徴を実装するために、代替の機能的、論理的または物理的な区分および構成がどのように実装され得るかは、当業者には明らかであろう。また、本明細書に示されているもの以外の多数の異なる構成要素名を様々な区分に適用することができる。
【0101】
さらに、フロー図、動作説明、および方法の特許請求項に関して、本明細書においてステップが提示される順序は、文脈上別段の指示がない限り、列挙された機能を同じ順序で実行するために様々な実施形態が実施されることを要求するものではない。
【0102】
本開示の技術は、様々な例示的な実施形態および実施態様に関して上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載された様々な特徴、態様および機能は、それらが記載されている特定の実施形態への適用性において限定されるものではなく、代わりに、そのような実施形態が記載されているか否か、およびそのような特徴が記載されている実施形態の一部として提示されているか否かにかかわらず、本開示の技術の他の実施形態のうちの1つ以上に単独でまたは様々な組み合わせで適用することができることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される技術の幅および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0103】
本明細書において使用される用語および語句、ならびにそれらの変形は、特に明示的に述べられていない限り、限定ではなくオープンエンドとして解釈されるべきである。上記の例として、用語「含む」は、「含むが限定されない」などの意味として読まれるべきであり、「例」という用語は、その網羅的または限定的なリストではなく、議論されているアイテムの例示的な実例を提供するために使用され、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つ(at least one)」、「1つ以上(one or more)」などを意味すると読まれるべきであり、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準的な」、「既知の」などの形容詞および同様の意味の用語は、記載されたアイテムを所与の期間または所与の時点で利用可能なアイテムに限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに、現在または将来の任意の時点において利用可能または既知であり得る従来の、伝統的な、通常の、または標準的な技術を包含するように読まれるべきである。同様に、本明細書が当業者に明らかであるかまたは知られている技術を参照する場合、そのような技術は、現在または将来の任意の時点で当業者に明らかであるかまたは知られている技術を包含する。
【0104】
場合によっては、「1つ以上」、「少なくとも」、「限定ではないが」、または他の同様の語句などの広範な単語および語句の存在は、そのような広範な語句が存在しない場合がある場合に、より狭い事例が意図され、または必要とされることを意味すると解釈されるべきではない。「構成要素」という用語の使用は、構成要素の一部として記載または特許請求される構成要素または機能がすべて共通のパッケージ内に構成されることを意味しない。実際、制御論理または他の構成要素にかかわらず、構成要素の様々な構成要素のいずれかまたはすべては、単一のパッケージに組み合わせることができ、または別個に維持することができ、さらに、複数のグループまたはパッケージ内に、または複数のロケーションにわたって分散させることができる。
【0105】
さらに、本明細書に記載の様々な実施形態は、例示的なブロック図、フローチャートおよび他の図解に関して説明されている。本明細書を読んだ後に当業者に明らかになるように、図示された実施形態およびそれらの様々な代替形態は、図示された例に限定されることなく実施することができる。例えば、ブロック図およびそれらに付随する説明は、特定のアーキテクチャまたは構成を要求するものとして解釈されるべきではない。