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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】飛翔体用の容器及び飛翔体
(51)【国際特許分類】
   B64B 1/22 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B64B1/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023140160
(22)【出願日】2023-08-30
【審査請求日】2023-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520365229
【氏名又は名称】株式会社岩谷技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 圭介
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-054387(JP,A)
【文献】特開平06-008884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体用の容器であって、
外部の空間に対し気密に空気を収容する容器本体と、
前記容器本体を覆うように配置された籠状の拘束部材と、
前記拘束部材の一部の長さを調整する調整機構と
を備え、
前記拘束部材は、飛翔に伴う内外圧力差により前記容器本体に対し生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗する力を生じるように前記容器本体の壁体を拘束す
器。
【請求項2】
飛翔体用の容器であって、
外部の空間に対し気密に空気を収容する容器本体と、
前記容器本体を覆うように配置された弾性体の素材で作られた籠状の拘束部材と
を備え、
前記拘束部材は、飛翔に伴う内外圧力差により前記容器本体に対し生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗する力を生じるように前記容器本体の壁体を拘束す
器。
【請求項3】
前記拘束部材は、浮力又は揚力を生じる浮揚力発生部と吊索によって連結されている
請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記拘束部材は、前記容器本体に対し着脱可能である
請求項1又は2に記載の容器。
【請求項5】
前記容器本体と前記拘束部材の間に緩衝材を備える
請求項1又は2に記載の容器。
【請求項6】
前記拘束部材と前記容器本体の外側に配置されるべき物体とを連結する連結機構を備える
請求項1又は2に記載の容器。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の容器を備える飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔体用の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
気球、飛行船等の浮力により飛翔する飛翔体や、飛行機、ヘリコプター等の揚力により飛翔する飛翔体は、一般的に、飛翔可能な高度や移動速度等の性能を高めるために、軽量化されることが望ましい。
【0003】
飛翔体の多くは、搬送物(人を含む)を収容する容器(飛翔体用の容器)を備えている。例えば、乗客を搬送する飛翔体は、キャビンと呼ばれる乗客用の容器を備えている。
【0004】
飛翔体の軽量化のために、飛翔体用の容器の軽量化のニーズがある。例えば、特許文献1には、周囲より厚い帯状の領域である強化部分を有する壁体により気密な収容空間を形成する本体を備える飛翔体用のキャビンが記載されている。特許文献1に記載のキャビンは、本体の壁体のうち高い強度が求められる部分は周囲より厚く形成され、その他の部分は薄く形成される。その結果、特許文献1に記載のキャビンによれば、必要な強度を確保しつつ、軽量化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-54387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飛翔体が、例えば、地上からの高度が1万メートルを超えるような高高度まで飛翔する場合、その飛翔体に伴い飛翔する容器内の気圧等の環境を地上の環境に近く保つために、容器を気密にする必要が生じる場合がある。
【0007】
気密な容器が高高度まで飛翔すると、容器の外側空間の気圧の低下に伴い、内外圧力差が大きくなり、容器の壁体に対し内側から外側に押し出す力が加わる。例えば、容器の壁体が軽量化のために薄く形成されていると、内外圧力差による力に抗えず、壁体に亀裂が入る等の問題が生じる場合がある。
【0008】
上記の事情に鑑み、本発明は、高高度まで飛翔する飛翔体用の気密な容器に関し、内外圧力差に抗する十分な強度を実現する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、飛翔体用の容器であって、外部の空間に対し気密に空気を収容する容器本体と、前記容器本体を覆うように配置された籠状の拘束部材と、前記拘束部材の一部の長さを調整する調整機構とを備え、前記拘束部材は、飛翔に伴う内外圧力差により前記容器本体に対し生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗する力を生じるように前記容器本体の壁体を拘束する容器を提案する。また、本発明は、飛翔体用の容器であって、外部の空間に対し気密に空気を収容する容器本体と、前記容器本体を覆うように配置された弾性体の素材で作られた籠状の拘束部材とを備え、前記拘束部材は、飛翔に伴う内外圧力差により前記容器本体に対し生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗する力を生じるように前記容器本体の壁体を拘束する容器を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る容器は、高高度まで飛翔した場合、内外圧力差により容器本体に対し生じる内側から外側に押し出す力に抗する力を拘束部材が生じる。その結果、内外圧力差に抗する十分な強度を備える容器が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る飛翔体の全体構成を示した図。
図2】一実施形態に係る容器の外観を示した図。
図3】一実施形態に係る拘束部材の役割を説明するための図。
図4】一変形例に係る連結機構を例示した図。
図5】一変形例に係る容器を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る飛翔体1の全体構成を示した図である。飛翔体1は、気嚢11と、吊索12と、容器13を備える。
【0013】
気嚢11(浮揚力発生部の一例)は、ヘリウムガス等の空気より軽い気体(以下、軽量ガスという)を収容し、空気中で浮力を生じる。
【0014】
吊索12は、気嚢11の下方に容器13を吊り下げる役割を果たす複数本(図1の例では4本)の索体である。
【0015】
容器13は、飛翔体1の飛翔により上空へと搬送される物(人を含む)を収容する容器である。
【0016】
図2は、容器13の外観を示した図である。容器13は、容器本体131と、拘束部材132と、調整機構133と、連結用リング134を備える。
【0017】
容器本体131は、上空へと搬送される物を収容する容器の本体であり、中空のシェル状の構造物である。飛翔体1は、例えば、地上10,000m以上の高高度まで上昇することが想定されており、高高度においても地上の気圧に近い気圧を内部に維持するために、容器本体131は外部の空間に対し気密に空気を収容している。
【0018】
図2の例では、容器本体131は、軸が鉛直方向の円筒形状の壁体1311と、壁体1311の側面に開けられた孔を塞ぐように取り付けられた窓1312と、壁体1311の下側の開口部を塞ぐように取り付けられた半球形状の壁体1313と、壁体1311の上側の開口部を塞ぐように取り付けられた半球形状の壁体1314と、壁体1314の天頂部に開けられた孔を塞ぐように取り付けられたハッチ1315を備える。
【0019】
壁体1311、壁体1313、及び、壁体1314は、例えば、繊維強化プラスチックで一体に製造されている。
【0020】
窓1312は、例えば、ポリカーボネートで作られており、十分な透過率で可視光を透過し、容器13に収容される人による外部の視認や、容器13に収容される可視光カメラによる外部の撮影を可能にする。
【0021】
ハッチ1315は、例えば、アルミニウムで補強された繊維強化プラスチックで製造されており、壁体1314に開けられた孔の開閉を行う。例えば、ハッチ1315が開かれた状態で、壁体1314に開けられた孔から容器13に対する物の出し入れ(人の出入りを含む)が行われる。なお、ハッチ1315は、図示せぬ封止部材等を備え、閉じられた状態において、容器本体131を外部の空間に対し気密に封止する。
【0022】
拘束部材132は、飛翔体1の飛翔に伴い内外圧力差により容器本体131に対し生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗する力を生じるように、容器本体131の壁体(図2の例では、壁体1311、窓1312、壁体1313、及び、壁体1314)を拘束する部材である。
【0023】
拘束部材132は、容器本体131の外側面に接するように配置されている、籠状に連結された複数本の帯状部材である。拘束部材132の素材は、例えば、ナイロンである。図2の例では、拘束部材132は、U字を描くように配置された帯状部材1321、及び、帯状部材1322と、水平方向に延伸し円を描くように配置された帯状部材1323、帯状部材1324、及び、帯状部材1325で構成される。
【0024】
拘束部材132は、容器本体131と固着されておらず、容器本体131に対し着脱可能である。
【0025】
調整機構133は、飛翔に伴う内外圧力差により容器本体131に対し生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗する力の強さを調整する。すなわち、調整機構133は、拘束部材132が容器本体131を外側から締め付ける力の強さを調整する。図2に示す例では、調整機構133は拘束部材132を構成する5本の帯状部材の各々に設けられ、例えばラチェット機構により、それらの帯状部材のうち容器本体131に接する部分の長さを調整する。
【0026】
拘束部材132を構成する帯状部材の容器本体131に接する部分の長さは、飛翔体1の飛翔前、すなわち、飛翔体1が地上にある状態において、容器本体131を内側に締め付ける力が0又はプラスの力となるように調整される。
【0027】
連結用リング134は、帯状部材1321と帯状部材1322の各々の両端部に取り付けられた環状の部材である。連結用リング134には、吊索12の下端が取り付けられる。その結果、容器本体131は、拘束部材132を介して吊索12に吊られることになる。
【0028】
容器本体131に直接、吊索12の下端が取り付けられる場合、容器本体131のうち吊索12の下端が取り付けられた部分(吊索12が4本の場合、4箇所)に容器本体131の荷重が集中する。従って、荷重が集中する部分に対し補強を行う必要が生じ、容器本体131の重量が増加する場合がある。一方、本実施形態のように、容器本体131を外側から覆うように配置された拘束部材132を介して容器本体131が吊索12に吊られる場合、容器本体131の荷重は拘束部材132と容器本体131が接している領域に分散される。従って、容器本体131に補強を行う必要がなく、補強のために容器本体131の重量が増加することがない。
【0029】
図3は、拘束部材132の役割を説明するための図である。図3(A)~(C)はいずれも、容器本体131を、帯状部材1324が容器本体131に接している高さの水平面で切断した場合の断面図(例えば、上から見た図)である。
【0030】
図3(A)は、飛翔体1が地上にある状態における壁体1311と窓1312を示している。なお、図3の例では、窓1312は、壁体1311に開けられた孔を内側から塞ぐように配置されている。そして、壁体1311と窓1312が接する部分は、例えば、接着等により気密に固着されている。
【0031】
図3(B)は、容器本体131が拘束部材132により覆われない状態で飛翔体1が上昇し、容器本体131の外部の空間の気圧が低下し、内外圧力差により容器本体131の内側から外側に向かい押し出す力が生じている状態における壁体1311と窓1312を示している。例えば、窓1312の弾性が壁体1311の弾性より大きい場合、図3(B)に示されるように、窓1312の中央部が外側に押し出されるように変形する。そして、窓1312の変形に伴い、壁体1311と窓1312の固着部分に対し、その固着を剥がす方向の力が生じる。その結果、壁体1311と窓1312との固着部分に隙間が生じて、容器本体131の気密性が失われる危険性がある。
【0032】
図3(C)は、容器本体131が拘束部材132により覆われた状態で飛翔体1が上昇し、容器本体131の外部の空間の気圧が低下し、内外圧力差により容器本体131の内側から外側に向かい押し出す力が生じている状態における壁体1311と窓1312を示している。拘束部材132が容器本体131の外側を覆うように配置されている場合、拘束部材132が、内外圧力差により生じる容器本体131の内側から外側に向かい押し出す力に抗する力(外側から内側に向かう力)を容器本体131に対し与える。そのため、図3(C)に示されるように、壁体1311と窓1312の変形が抑制され、拘束部材132がない場合(図3(B)参照)と比較し、容器本体131の気密性が損なわれる危険性が低い。
【0033】
[変形例]
上述した飛翔体1は本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形されてよい。以下に変形の例を示す。なお、以下の2以上の変形例が適宜、組み合わされてもよい。
【0034】
(1)上述した実施形態においては、拘束部材132は容器本体131に対し着脱可能であるものとした。拘束部材132が容器本体131に対し着脱可能であれば、例えば、飛翔体1の飛翔における最高到達点の高度や、容器13に収容される搬送物の重量等に応じた強度の拘束部材132を用いることにより、飛翔体1の総重量を必要最小限に留めることができる。
【0035】
しかしながら、拘束部材132が容器本体131に着脱不可能に設けられていてもよい。例えば、調整機構133による調整が可能な状態で、拘束部材132の一部が容器本体131に接着等により固着されていてもよい。
【0036】
(2)上述した実施形態においては、調整機構133により拘束部材132が容器本体131を外側から締め付ける力の強さが調整可能であるものとしたが、容器13が調整機構133を備えなくてもよい。例えば、拘束部材132が弾性体の素材で作られており、容器本体131を覆うように配置された状態で拘束部材132が弾性により容器本体131に対し外側から内側に向かう力を生じるように形状及びサイズが予め調整されていてもよい。
【0037】
(3)飛翔体1の構成部に関し上述した素材は一例であって、様々に変更されてよい。例えば、上述した実施形態においては、容器本体131のうち壁体1311、壁体1313、及び、壁体1314は繊維強化プラスチックで製造されるものとしたが、他の種類のプラスチック、アルミニウム等の軽金属等の他の素材でそれらが製造されてもよい。また、上述した実施形態においては、拘束部材132の素材はナイロンであるものとしたが、他の種類のプラスチック、アルミニウム等の軽金属等の他の素材で拘束部材132が製造されてもよい。
【0038】
(4)容器13が、容器本体131と拘束部材132の間に、緩衝材を備えてもよい。例えば、拘束部材132がアルミニウム等の容器本体131より固い素材で製造されている場合、内外圧力差により容器本体131が外側に膨張しようとする際、拘束部材132の縁部において容器本体131に対し大きな力が加わり、容器本体131が破損する危険性がある。容器本体131と拘束部材132の間に緩衝材が配置されれば、そのような不都合が回避される。
【0039】
(5)飛翔体1の構成部に関し、図又は上記の記述により示した形状は一例であって、様々に変更されてよい。例えば、上述した実施形態において、容器本体131の形状は、円筒形状の壁部の上下に半球形状の壁部を連結させたカプセル形状であるものとしたが、球形状、立方体形状、直方体形状、等の他の形状が採用されてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態において、拘束部材132の形状は、容器本体131のうち壁体1314及びハッチ1315を除く部分を覆う形状であるものとしたが、例えば、壁体1314及びハッチ1315を含む容器本体131全体を覆う形状が採用されてもよい。
【0041】
(6)上述した実施形態において、拘束部材132は帯状部材により構成されるものとしたが、拘束部材132の形態はこれに限られない。例えば、拘束部材132が容器本体131の一部又は全体を覆う網状部材やシート状部材(例えば、パンチング加工されたナイロンシート等)で構成されてもよい。また、帯状部材に代えて、ロープ状部材により拘束部材132が構成されてもよい。
【0042】
(7)容器13が、拘束部材132と、容器本体131の外側に配置されるべき物体とを連結する連結機構を備えてもよい。図4は、そのような連結機構を例示した図である。図4の連結機構135は、カメラC(容器本体131の外側に配置されるべき物体の一例)に取り付けられた連結機構20と着脱自在に連結する部材である。連結機構135と連結機構20は、例えば、捻じ込み、係合、磁力等により互いに連結し、ユーザは、連結機構135と連結機構20に対し容易な操作を行うことにより、それらを連結し、また、その連結を解くことができる。
【0043】
容器本体131に直接、物体を取り付ける場合、その取付位置における容器本体131の強度が不足しないように補強が必要な場合がある。一方、この変形例によれば、連結機構135により、容器本体131の外側に配置されるべき物体が拘束部材132を介して容器本体131に取り付けられ、その物体の容器本体131に対する荷重が拘束部材132により分散されるため、容器本体131に対する補強を要さない。
【0044】
(8)上述した実施形態において、拘束部材132は容器本体131の外側面に接するように配置されるものとしたが、これに代えて、拘束部材が容器本体131の壁体内に配置されてもよい。
【0045】
図5は、この変形例に係る容器13を示した図である。図5の容器13は、容器本体131の壁体内の破線で示される領域に拘束部材132が配置されている。この場合、拘束部材132の素材は、例えば、ナイロンテープ、金属板、金属ワイヤー、カーボンファイバーやグラスファイバーの繊維束(容器本体131の素材が繊維強化プラスチックである場合、周囲に配置されている繊維より強度の高い繊維の繊維束、又は、周囲に配置されている繊維より密度の高い繊維束)等のいずれであってもよく、容器本体131の成型において容器本体131の壁体内に封入される。
【0046】
なお、容器本体131のうち、拘束部材132が配置されている部分の壁厚は、その周囲の壁厚と同一であってもよいし、厚くてもよい。
【0047】
また、拘束部材132が容器本体131の内側面に接するように配置されてもよい。例えば、容器本体131の内壁面のうち図5の破線で示される領域に、内側から拘束部材132が接するように取り付けられてもよい。この場合、拘束部材132は、飛翔に伴う内外圧力差により容器本体131が膨張する場合、その内外圧力差により生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗するように、容器本体131を内側から引き留める力を生じる。
【0048】
なお、拘束部材132が容器本体131の内側面に接するように配置される場合、拘束部材132は容器本体131に対し、接着等の取り外し困難な方法により固着されてもよいし、連結部材の係合等により着脱可能な方法で連結されてもよい。
【0049】
また、拘束部材132が容器本体131の内側面に接するように配置される場合、上述の実施形態における場合と同様に、容器13が、拘束部材132が生じる、容器本体131の内外圧力差により生じる内側から外側に向かい押し出す力に抗する力の強さを調整する調整機構133を備えてもよい。
【0050】
また、拘束部材132が容器本体131の壁体内に配置される場合でその素材がナイロンテープ、金属板、金属ワイヤー等である場合や、拘束部材132が容器本体131の内側面に接するように配置される場合、上述の実施形態における場合と同様に、拘束部材132が吊索12によって気嚢11等の浮力又は揚力を生じる浮揚力発生部と連結されてもよい。
【0051】
例えば、拘束部材132が容器本体131の壁体内に配置される場合、拘束部材132の上側端部が容器本体131から外側へと露出するように構成され、その露出した部分に吊索12が連結されてもよい。
【0052】
また、拘束部材132が容器本体131の内側面に接するように配置される場合、拘束部材132の上側端部が容器本体131の内側から外側へと貫通するように構成され、貫通して外側に露出した部分に吊索12が連結されてもよい。それに代えて、容器本体131に壁体を貫通するように連結部材を取り付け、その連結部材の内側に露出する部分に拘束部材132の上側端部を連結し、その連結部材の外側に露出している部分に吊索12が連結されてもよい。なお、それらの場合、容器本体131に開けられる貫通孔は封止部材等により気密に封止される。
【0053】
また、拘束部材132が容器本体131の内側面に接するように配置される場合、容器13が、拘束部材132と、容器本体131の内側に配置されるべき物体とを連結する連結機構を備えてもよい。この場合の連結機構は、図4に示した連結機構135と同様に、容器本体131の内側に配置されるべき物体に取り付けられた連結機構と、捻じ込み、係合、磁力等により着脱自在に連結する部材であることが望ましい。
【0054】
(9)上述した実施形態において、飛翔体1の種類はガス気球であるものとしたが、飛翔体1の種類はこれに限られない。飛翔体1は、飛行機やヘリコプターのように、翼に生じる浮力により飛翔する飛翔体であってもよいし、熱気球、飛行船等の浮力により飛翔するガス気球以外の飛翔体であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…飛翔体、11…気嚢、12…吊索、13…容器、20…連結機構、131…容器本体、132…拘束部材、133…調整機構、134…連結用リング、135…連結機構、1311…壁体、1312…窓、1313…壁体、1314…壁体、1315…ハッチ、1321…帯状部材、1322…帯状部材、1323…帯状部材、1324…帯状部材、1325…帯状部材。
【要約】
【課題】高高度まで飛翔する飛翔体用の気密な容器に関し、内外圧力差に抗する十分な強度を実現する手段を提供する。
【解決手段】飛翔体用の容器13は、気密な容器本体131と、容器本体131の外側面に接するように配置される拘束部材132と、拘束部材132が容器本体131を外側から締め付ける力の強さを調整する調整機構133を備える。飛翔体の上昇に伴い、容器本体131に対して、内外圧力差により内側から外側に向かい押し出す力が生じ、その力により容器本体131は変形する。拘束部材132は、その力に抗するように、容器本体131を外側から締め付ける。その結果、容器本体131の変形が抑制され、変形による容器本体131の破損等の不都合が回避される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5