(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車載ナビゲーションシステム用のアダプター
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240416BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240416BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20240416BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B60R16/02 640Z
B60R11/02 C
B60R16/023 P
G01C21/36
(21)【出願番号】P 2023178777
(22)【出願日】2023-10-17
【審査請求日】2023-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502365656
【氏名又は名称】株式会社日本電機サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】有路 秀章
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-244955(JP,A)
【文献】登録実用新案第3104005(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/023
B60R 11/02
G01C 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における信号の発生源と、前記車両に搭載されたナビゲーションシステムとの間に接続されるように構成されたアダプター
と、
前記ナビゲーションシステムと
を含む車両用システムであって、
前記信号は、前記車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号を含み、
前記ナビゲーションシステムは、前記複数の信号のうちの1以上の第1信号について前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定する一方で、前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定するための信号を、前記1以上の第1信号から前記複数の信号のうちの別の1以上の信号に更新可能なように構成され、
前記アダプターは、前記複数の信号のうちの2以上の第2信号の各々について、前記発生源から受信した当該信号であって前記車両が前記所定状態にあることを示さない当該信号を、前記車両が前記所定状態にあることを示す当該信号に変換した上で、前記ナビゲーションシステムに送信する機能を有し、
前記所定状態は、前記車両が停止している状態と、前記車両が走行不可能な状態とのうちの少なくとも一方である状態を含み、
前記2以上の第2信号は、前記1以上の第1信号
及び前記別の1以上の信号を含むか、又は、
前記2以上の第2信号は、前記複数の信号と等しい、
車両用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の
車両用システムであって、
前記1以上の第1信号は、複数のデータ・ユニットを含む第3信号を含み、
前記複数のデータ・ユニットのうちの第1データ・ユニットは、前記車両が前記所定状態にあるか否かを示し、
前記ナビゲーションシステムは、前記第1データ・ユニットについて前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定する一方で、前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定するためのデータ・ユニットを、前記第1データ・ユニットから、前記複数のデータ・ユニットのうちの別のデータ・ユニットに更新可能なように更に構成され、
前記アダプターの前記機能は、前記発生源から受信した前記第3信号であって前記車両が前記所定状態にあることを示さない前記第1データ・ユニットを含む前記第3信号を、
前記車両が前記所定状態にあることを示すように当該第1データ・ユニットのデータを変換し、
変換された前記データを、当該第3信号に含まれる前記複数のデータ・ユニットのうちの当該第1データ・ユニット以外のデータ・ユニットの少なくとも一部にコピーした
上で、前記ナビゲーションシステムに送信する機能を含
み、
前記複数のデータ・ユニットのうちの当該第1データ・ユニット以外のデータ・ユニットの前記少なくとも一部は、前記別のデータ・ユニットを含む、
車両用システム。
【請求項3】
請求項1に記載の
車両用システムであって、
前記複数の信号は、車速パルス信号と、パーキングブレーキ信号と、ドライブモード信号と、ブレーキホールド信号と、GPS信号と、ADAS信号とを含み、
前記車両が停止している状態は、
前記車速パルス信号に車速パルスが含まれない状態と、
前記GPS信号が、車両が停止していることを示す状態と、
前記ADAS信号が、車両が停止していることを示す状態と
を含み、
前記車両が走行不可能な状態は、
前記パーキングブレーキ信号が、前記車両のパーキングブレーキが作動していることを示す状態と、
前記ドライブモード信号が、前記車両のドライブモードがパーキングポジションであることを示す状態と、
前記ブレーキホールド信号が、前記車両のブレーキホールドが作動していることを示す状態と、
前記ADAS信号が、車両が走行不可能であることを示す状態と
を含む、
車両用システム。
【請求項4】
請求項3に記載の
車両用システムであって、
前記2以上の第2信号は、前記車速パルス信号と、前記パーキングブレーキ信号と、前記ドライブモード信号と、前記ブレーキホールド信号と、GPS信号と、ADAS信号とを含む、
車両用システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の
車両用システムであって、
前記車速パルス信号は、アナログ信号としての車速パルス信号と、CAN-BUS信号としての車速パルス信号との一方又は双方を含み、
前記パーキングブレーキ信号は、アナログ信号としてのパーキングブレーキ信号と、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号との一方又は双方を含む、
車両用システム。
【請求項6】
車両における信号の発生源と、前記車両に搭載されたナビゲーションシステムとの間に接続されるように構成されたアダプター
と、
前記ナビゲーションシステムと
を含む車両用システムであって、
前記信号は、複数のデータ・ユニットを含む第3信号を含み、
前記複数のデータ・ユニットのうちの第1データ・ユニットは、前記車両が所定状態にあるか否かを示し、
前記ナビゲーションシステムは、前記第1データ・ユニットについて前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定する一方で、前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定するためのデータ・ユニットを、前記第1データ・ユニットから、前記複数のデータ・ユニットのうちの別のデータ・ユニットに更新可能なように構成され、
前記アダプターは、前記発生源から受信した前記第3信号であって前記車両が前記所定状態にあることを示さない前記第1データ・ユニットを含む前記第3信号を、
前記車両が前記所定状態にあることを示すように当該第1データ・ユニットのデータを変換し、
変換された前記データを、当該信号に含まれる前記複数のデータ・ユニットのうちの当該第1データ・ユニット以外のデータ・ユニットの少なくとも一部にコピーした
上で、前記ナビゲーションシステムに提供する機能を有し、
前記所定状態は、前記車両が停止している状態と、前記車両が走行不可能な状態とのうちの少なくとも一方である状態を含
み、
前記複数のデータ・ユニットのうちの当該第1データ・ユニット以外のデータ・ユニットの前記少なくとも一部は、前記別のデータ・ユニットを含む、
車両用システム。
【請求項7】
請求項2又は6に記載の
車両用システムであって、
前記発生源は、前記車両が前記所定状態にあるか否かを示すデータ・ユニットを、前記第1データ・ユニットから、前記複数のデータ・ユニットが含む別のデータ・ユニットに更新可能なように構成された、
車両用システム。
【請求項8】
請求項
1に記載の
車両用システムであって、
前記ナビゲーションシステムは、前記1以上の第1信号の全てについて前記車両が前記所定状態にあると判定した場合に有効となるテレビ視聴機能を有する、
車両用システム。
【請求項9】
請求項
6に記載の
車両用システムであって、
前記ナビゲーションシステムは、
前記第1データ・ユニットについて前記車両が前記所定状態にあると判定した場合に有効となるテレビ視聴機能を有する、
車両用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載ナビゲーションシステム用のアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載ナビゲーションシステム(特に、純正のナビゲーションシステム。)には、車両の走行中に運転者がテレビの視聴を行うとわき見運転の可能性があるため、安全性を考慮し、走行中はテレビの視聴ができないような機能が搭載されている。しかしながら、それでは運転に支障の無い助手席の同乗者も走行中にテレビを視聴することができないために、走行中であってもテレビの視聴が出来るようにするアダプター(以下、「解除機器」ともいう。)が製造販売されている。
【0003】
上記のようなナビゲーションシステムは、
パーキングブレーキ信号(「パーキング信号」ともいう。車両のパーキングブレーキが動作しているか又は前記パーキングブレーキが解除状態で走行可能かを示す。)、
ドライブモード信号(車両のシフトレバーの位置に応じて変化し、車両のシフトレバーが例えばパーキングモード位置にあるならばドライブモードとして「P」(パーキングポジション)を示す。)、
車速パルス信号(走行中には車速パルスが含まれ、停車中には車速パルスが含まれない。)、
ブレーキホールド信号(ブレーキホールド状態にあり車両が停車中であることを示す。)
等の車両信号の何れかに基づき車両が走行中であるか否かを判定し、その車両が走行中と判定した場合はテレビの視聴が出来ないように構成されているところ、従来の車載用テレビアダプターでは、車両が走行中であっても停止中であるかのように上記車両信号を変換してナビゲーションシステムに送信する(上記信号が純正ナビゲーションシステムに送信されないように遮断し、所定の信号を送信することを含む。)という手法によって、走行中であってもテレビの視聴ができるようにしている。
【0004】
また、近年の車両では、前記パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等は、CAN-BUS(Controller Area Network)信号として、1つ又は複数の通信ラインで車両ECU(Electronic Control Unit=主に自動車に搭載される電子制御ユニットのこと。)からナビゲーションシステムに供給されている。上述したように、ナビゲーションシステムでは、前記パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等の何れかを使用して車両が走行中であるか停車中であるかを判定しているため、従来の解除機器は、例えば、パーキングブレーキが解除され車両が走行中であることを示すパーキングブレーキ信号が車両からナビゲーションシステムに送信されようとするときに、当該パーキングブレーキ信号を、パーキングブレーキが解除されていない(車両が停車中である)ことを示す信号に変換してナビゲーションシステムに送信することによって、実際の車両が走行中であっても車両が停車中であるとナビゲーションシステムに認識させ、これによってテレビの視聴が可能な状態としている。
【0005】
しかしながら、近年の車両においてはナビゲーションシステムや車両ECUのソフトウエアのバグ修正や安定動作、性能向上のためにソフトウエアの更新(以下、「バージョンアップ」ともいう。ソフトウエアを書き換えてそれまでとは別のソフトウエアにすること。)が行われている。ソフトウエアの更新は車両に搭載された通信機器からリモートで行う場合もあれば、自動車ディーラー等で車両に専用のバージョンアップ機器を接続して行う場合もあるが、いずれの場合もナビゲーションシステムや車両ECUのソフトウエアが変更され、仕様が変わることになる。
【0006】
バージョンアップにはソフトウエア更新の他に、ECU自体を新しいものに交換したり、その他の車両部品等を変更したりすることも含まれ、車両やナビゲーションシステムの仕様が変わることを意味することを付け加えておく。
【0007】
従って、例えば、ナビゲーションシステムのバージョンアップにより、車両が走行中か停車中かの判定に用いる信号が、例えばそれまでのパーキングブレーキ信号から車速パルス信号に変更される場合があり、その場合、パーキングブレーキ信号を車両が走行中であっても車両が停車中であることを示す信号に変換するよう構成された従来の解除機器では、車両が走行中にはテレビの視聴が出来なくなってしまうことがあった。
【0008】
そのため、解除機器を製造販売している多くのメーカーでは、取扱説明書に「バージョンアップ等により車両やナビゲーションシステムの仕様が変わった場合は本製品(解除機器)が使用できなくなる場合があります。」と記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は以上に鑑みてなされたものであり、本開示のある実施形態の課題は、ナビゲーションシステムや車両ECUのバージョンアップがなされ、仕様が変更になってもテレビの視聴が可能となるアダプターを提供することにある。
【0011】
本開示の別の実施形態の課題は、ナビゲーションシステムによる車両が所定状態にあるか否かの判定に影響を及ぼすアダプターであって、ナビゲーションシステムが更新された後も引き続き当該判定に影響を及ぼす可能性を少なくとも向上させるアダプターを提供することにある。
【0012】
本開示のまた別の実施形態の課題は、ナビゲーションシステムによる車両が所定状態にあるか否かの判定に影響を及ぼすアダプターであって、ナビゲーションシステム及び車両における信号の発生源(例えば、上記車両ECU)の双方が更新された後も引き続き当該判定に影響を及ぼす可能性を少なくとも向上させるアダプターを提供することにある。
【0013】
なお、上記所定状態は、車両が停止している状態と、車両が走行不可能な状態とのうちの少なくとも一方である状態を含む。また、上記更新は、更新対象の機器(ナビゲーションシステム及び信号の発生源の一方又は双方)のソフトウエア更新と、機器自体の置き換えとを含む。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本開示の一実施形態によれば、車両に搭載されたナビゲーションシステムに提供されるCAN-BUS信号を制御するためのアダプターであって、前記ナビゲーションシステムにはCAN-BUS信号として前記パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等が供給され、前記ナビゲーションシステムは前記パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等のいずれかを車両が停車中か走行中かの判定に使用しており、バージョンアップによって車両が停車中か走行中かの判定手段が変わったとしても、車両が走行中であってもテレビの視聴か可能となるように構成された、アダプターが提供される。
【0015】
また、車両ECUのバージョンアップにより、車両ECUから送信される前記パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等のデータ内容が変更になる場合もあり、一実施形態によるアダプターは、そういった場合に備えて、想定される変更後の車両が停車中であるデータをも含めて制御することで、データが変更された場合であってもテレビの視聴か可能となるように構成されていてもよい。
【0016】
一実施形態において、前記ナビゲーションシステムは、車両が停車中か走行中かの判定に使用するために、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等と、従来のアナログ信号としての車速パルス信号やパーキング信号とを併用するように構成されていてもよい。
【0017】
CAN-BUS信号としての前記パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等と、従来のアナログ信号としての車速パルス信号やパーキングブレーキ信号とは、車両が停車中か走行中かの判定に使用する可能性があるため、一実施形態によるアダプターは、これら信号の2つ以上又は全てを制御するよう構成されていてもよい。
【0018】
一実施形態において、前記ナビゲーションシステムは、車両が停車中か走行中かの判定に使用する手段として、更にGPS信号(Global Positioning System)を使用するか又は併用し、アダプターは、GPS信号を制御するように構成されていてもよい。
【0019】
一実施形態において、前記ナビゲーションシステムには、テストモード、即ちナビゲーションシステムのメーカーがテストのために設けているモードが搭載されており、前記テストモードは車両が走行中であってもテレビの視聴が可能となる場合がある。テストモードへの切り替えは、前記ナビゲーションシステムに設けられているテスト端子に信号を供給すること、及び、CAN-BUS信号として特殊な信号を供給することの一方又は双方により行う場合がある。
【0020】
一実施形態において、車両ECUのバージョンアップにより車両ECUから送信されるパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等のデータ内容が変更になった場合にも対応できるように、アダプターは、これら信号の複数について、当該信号が含むデータを停車中であることを示すデータに変換するように制御する構成であってもよい。
【0021】
本開示の実施形態によれば、車両における信号の発生源と、前記車両に搭載されたナビゲーションシステムとの間に接続されるように構成されたアダプターであって、前記信号は、前記車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号を含み、前記ナビゲーションシステムは、前記複数の信号のうちの1以上の第1信号について前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定する一方で、前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定するための信号を、前記1以上の第1信号から前記複数の信号のうちの別の1以上の信号に更新可能なように構成され、前記アダプターは、前記複数の信号のうちの2以上の第2信号の各々について、前記発生源から受信した当該信号であって前記車両が前記所定状態にあることを示さない当該信号を、前記車両が前記所定状態にあることを示す当該信号に変換した上で、前記ナビゲーションシステムに送信する機能を有し、前記所定状態は、前記車両が停止している状態と、前記車両が走行不可能な状態とのうちの少なくとも一方である状態を含み、前記2以上の第2信号の数は、前記1以上の第1信号の数より大きく、且つ、前記2以上の第2信号は、前記1以上の第1信号を含むか、又は、前記2以上の第2信号は、前記複数の信号と等しい、アダプターが提供される。
【0022】
実施形態において、前記1以上の第1信号は、複数のデータ・ユニットを含む第3信号を含み、前記複数のデータ・ユニットのうちの第1データ・ユニットは、前記車両が前記所定状態にあるか否かを示し、前記ナビゲーションシステムは、前記第1データ・ユニットについて前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定する一方で、前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定するためのデータ・ユニットを、前記第1データ・ユニットから、前記複数のデータ・ユニットのうちの別のデータ・ユニットに更新可能なように更に構成され、前記アダプターの前記機能は、前記発生源から受信した前記第3信号であって前記車両が前記所定状態にあることを示さない前記第1データ・ユニットを含む前記第3信号を、前記車両が前記所定状態にあることを示すように当該第1データ・ユニットのデータを変換し、変換された前記データを、当該第3信号に含まれる前記複数のデータ・ユニットのうちの当該第1データ・ユニット以外のデータ・ユニットの少なくとも一部にコピーした上で、前記ナビゲーションシステムに送信する機能を含んでいてよい。
【0023】
実施形態において、前記複数の信号は、車速パルス信号と、パーキングブレーキ信号と、ドライブモード信号と、ブレーキホールド信号と、GPS信号と、ADAS信号とのうちの2以上を含み、前記車両が停止している状態は、前記車速パルス信号に車速パルスが含まれない状態と、前記GPS信号が、車両が停止していることを示す状態と、前記ADAS信号が、車両が停止していることを示す状態とを含み、前記車両が走行不可能な状態は、前記パーキングブレーキ信号が、前記車両のパーキングブレーキが作動していることを示す状態と、前記ドライブモード信号が、前記車両のドライブモードがパーキングポジションであることを示す状態と、前記ブレーキホールド信号が、前記車両のブレーキホールドが作動していることを示す状態と、前記ADAS信号が、車両が走行不可能であることを示す状態と
を含んでいてよい。
【0024】
実施形態において、前記2以上の第2信号は、前記車速パルス信号と、前記パーキングブレーキ信号と、前記ドライブモード信号と、前記ブレーキホールド信号と、GPS信号と、ADAS信号とのうちの2以上を含んでいてよい。
実施形態において、前記車速パルス信号は、アナログ信号としての車速パルス信号と、CAN-BUS信号としての車速パルス信号との一方又は双方を含み、前記パーキングブレーキ信号は、アナログ信号としてのパーキングブレーキ信号と、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号との一方又は双方を含んでいてよい。
【0025】
本開示の実施形態によれば、車両における信号の発生源と、前記車両に搭載されたナビゲーションシステムとの間に接続されるように構成されたアダプターであって、前記信号は、複数のデータ・ユニットを含む第3信号を含み、前記複数のデータ・ユニットのうちの第1データ・ユニットは、前記車両が所定状態にあるか否かを示し、前記ナビゲーションシステムは、前記第1データ・ユニットについて前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定する一方で、前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定するためのデータ・ユニットを、前記第1データ・ユニットから、前記複数のデータ・ユニットのうちの別のデータ・ユニットに更新可能なように構成され、前記アダプターは、前記発生源から受信した前記第3信号であって前記車両が前記所定状態にあることを示さない前記第1データ・ユニットを含む前記第3信号を、前記車両が前記所定状態にあることを示すように当該第1データ・ユニットのデータを変換し、変換された前記データを、当該信号に含まれる前記複数のデータ・ユニットのうちの当該第1データ・ユニット以外のデータ・ユニットの少なくとも一部にコピーした上で、前記ナビゲーションシステムに提供する機能を有し、前記所定状態は、前記車両が停止している状態と、前記車両が走行不可能な状態とのうちの少なくとも一方である状態を含む、アダプターが提供される。
【0026】
実施形態において、前記発生源は、前記車両が前記所定状態にあるか否かを示すデータ・ユニットを、前記第1データ・ユニットから、前記複数のデータ・ユニットが含む別のデータ・ユニットに更新可能なように構成されていてよい。
【0027】
実施形態において、前記ナビゲーションシステムは、前記1以上の第1信号の全てについて前記車両が前記所定状態にあると判定した場合に有効となるテレビ視聴機能を有していてよい。
【発明の効果】
【0028】
以上のような本開示の一実施形態によれば、ナビゲーションシステムや車両ECUのバージョンアップにより仕様が変更されたとしても走行中にテレビの視聴を可能とすることが出来る。
【0029】
本開示の実施形態によれば、ナビゲーションシステム等の更新によりアダプターが機能しなくなる可能性を少なくとも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示のある実施形態に係る例示ブロック図である。
【
図2】本開示のある実施形態に係る例示ブロック図である。
【
図3A】車両が停車中の車速パルス信号の波形を示すグラフである。
【
図3B】車両が10km/hで走行中の車速パルス信号の波形を示すグラフである。
【
図3C】車両が20km/hで走行中の車速パルス信号の波形を示すグラフである。
【
図4A】車両のパーキングブレーキが作動しているときの電圧を示すグラフである。
【
図4B】車両のパーキングブレーキが解除しているときの電圧を示すグラフである。
【
図5】本開示のある実施形態に係る例示ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施に形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
1 実施形態に係るブロック図
ある実施形態に係るナビゲーションシステム20は、
図1に示すように、ディスプレイ部21と、テレビチューナー部22と、ナビゲーション部23と、オーディオ再生部24とCAN-BUS信号入力部25を備えている。これらは一体であってもそれぞれが別体であってもよい。なおナビゲーションシステム20は、搭載する車のメーカー純正のものであってもよいが、同様の構成を有するのであれば、メーカー純正のものに限定されないことに留意されたい。また、
図1に示したナビゲーションシステム20が含む構成要素はあくまで例示であることに留意されたい。
【0033】
ある実施形態に係るテレビアダプター10は、
図1に示すように、車両ECU32とナビゲーションシステム20を接続するCAN-BUS信号ラインの間にあり、車両ECU32からに送信された信号を変換してナビゲーションシステムに送信可能なように構成されたCAN-BUS制御部11を備えている。CAN-BUS制御部11は、ナビゲーションシステム20から送信された信号を変換して車両ECU32に送信可能なように更に構成されていてもよい。
【0034】
図1によれば、テレビアダプター10(アダプターの一例である。)は、車両ECU32(車両における信号の発生源の一例である。)と、車両に搭載されたナビゲーションシステム20との間に接続されるように構成することができることが理解されよう。
【0035】
また、
図1の操作部50は、スイッチ51とインジケーター52を備え、車両が走行中であってもテレビの視聴を可能とするか否かを使用するユーザーが選択できるように構成されている。
【0036】
使用するユーザーは、スイッチ50を操作することによって、テレビアダプター10のONとOFFとを切り替えることでき、インジケーター52は、テレビアダプター100がONであるかOFFであるかを示すことができる。
【0037】
なお、操作部50は、
図1では別体として記載しているが、テレビアダプター10と一体であってもよい。更に、操作部50は存在しなくともよい。操作部50が存在しない場合、テレビアダプター10は、常にONでもよいし、車両ECU32およびナビゲーションシステム20の一方又は双方から送信されるCAN-BUS信号から、車両やナビゲーションシステム20において一定の操作がなされたことを検知することに応答してONとOFFとを切り替えてもよいし、別に車両に設けられているスイッチ等に基づきONとOFFとを切り替えてもよいし、これらを併用してもよい。
【0038】
図1に示す車両ECU32と車両信号検出31(センサーやスイッチ等であり、後述する車速パルスセンサー221及びパーキングブレーキスイッチ223を含んでいてよい。)とは図中にはそれぞれ1つのみ記載されているが、実際は複数存在していてよい。実際の車両ECUとナビゲーションシステムのCAN-BUS接続は次の
図2で説明する。
【0039】
図2は、車両ECUとナビゲーションシステムとを接続するCAN-BUS接続と、各ECUの車両信号検出の接続を示している。
【0040】
CAN-BUS信号は、概略、どの装置(ECU)から送信された信号なのかを示すIDと、どのような状態であるか、又はどのような動作を指示するのかを示すデータとをそれぞれ含む複数のデータ・ユニットから構成されている。
【0041】
例えば車速パルスECU211で説明すると、どの装置かを示すIDは1A2である。車速パルスECU211は車速パルスセンサー21に接続されており、車速パルスセンサー21は車速パルスの発生源である。
【0042】
車速パルスとは、車両が停車しているのか又はどれくらいの速度で走行しているのかを示すものである。
図3Aは車両が停車中であるときの車速パルス信号の例示波形のグラフであり、当該信号は0Vから変化がない。
図3Bは車両が10km/hで走行中であるときの車速パルス信号の例示波形のグラフであり、当該信号は5Vと0Vを一定間隔で繰り返している。
図3Cは車両が20km/hで走行中であるときの車速パルス信号の例示波形のグラフであり、当該信号が5Vと0Vを一定間隔で繰り返すことは
図3Bと同じであるが、パルスの間隔が
図3Bと比べて1/2であることがわかる。すなわち車速20km/hは10km/hの2倍の速度であるために、発生する車速パルスの数は2倍となっていることがわかる。なお
図3A~3Cに示した車速パルス信号はあくまで例示であり、車両メーカーや車種によって電圧やパルス数は様々な形態があることを留意されたい。
【0043】
なお、車両が停止している場合、車速パルス信号には車速パルスが含まれないことが理解されよう。換言すれば、車両が停止している状態は、車速パルス信号に車速パルスが含まれない状態を含む。
【0044】
図2において、車速パルス信号は、車速パルスECU211に
図3A~3Cに示すようなアナログ信号として車速パルスセンサー21から入力され、車速パルスECU211でCAN-BUS信号に置き換えられて、通信ラインに送信される。
【0045】
ここで、車速パルスECU211から送信されるCAN-BUS信号の内容を説明する。CAN-BUS信号を測定器で計測すると、通信内容を16進数で見ることができる。測定機によれば、当該CAN-BUS信号は、‘1A2’‘00’というようなデータから構成されており、このデータの最初の1A2(最初のデータ・ユニットのデータ。)はECU11のIDを示し、次の00(次のデータ・ユニットのデータ。)は車速のデータを示す。例えば、このデータは、車両が停車中(車速0km/h)の時は‘1A2’‘00’となり、車両が10km/hで走行中は‘1A2’‘0A’となり、車両が20km/hで走行中は‘1A2’‘14’となる。なお、以上のCAN-BUS信号の説明はわかりやすく説明するための例示であり、実際のCAN-BUS信号はもっと複雑な信号構成となっている。
【0046】
即ち、CAN-BUS信号としての車速パルス信号は、車両が所定状態(車両が停止している状態と、車両が走行不可能な状態とのうちの少なくとも一方である状態を含む。以下同様。)にあるか否かを示す信号の一例であることが理解されよう。
【0047】
また、CAN-BUS信号としての車速パルス信号は、複数のデータ・ユニットを含んでおり、これら複数のデータ・ユニットのうちの第1データ・ユニット(上記説明における‘00’、‘0A’又は‘14’のデータが含まれるデータ・ユニット。)は、車速パルス信号に車速パルスが含まれない状態にあるか否かを示し、よって、車両が所定状態にあるか否かを示すことが理解されよう。
【0048】
例えば、本来は、車両が10km/hで走行中であった場合には、車速パルスECU211から‘1A2’‘0A’というデータがCAN-BUS通信ラインを介してナビゲーションシステム210に送信されており、ナビゲーションシステムではそのデータをもとに、車両がどれくらいの速度で走行しているのか、又は停車しているのかを検出することができる。なお、本発明の実施形態によれば、車速パルスECU211とナビゲーションシステム210との間にはテレビアダプター10が存在するため、本発明の実施形態においては、車速パルスECU211からのデータが直接ナビゲーションシステム210に送信されるわけではないことに留意されたい。この点は、後述する他のECUの少なくとも一部についても同様である。
【0049】
即ち、ナビゲーションシステム210は、CAN-BUS信号としての車速パルス信号について、車両が所定状態にあるかを判定するよう構成される場合があることが理解されよう。より詳細には、ナビゲーションシステム210は、CAN-BUS信号としての車速パルス信号に含まれる第1データ・ユニットについて、車両が所定状態にあるかを判定するよう構成される場合があることが理解されよう。
【0050】
図1に示すテレビアダプター10のCAN-BUS制御部11は、例えば車両が10km/hで走行中であった場合に入力された‘1A2’‘0A’というデータを‘1A2’‘00’に変換してナビゲーションシステム20に送信することができる。これにより、実際の車両が10km/hで走行中であってもナビゲーションシステム20は車両が停車中又は所定状態にあると判定することになり、テレビの視聴が可能となる。
【0051】
即ち、テレビアダプター10(アダプターの一例である。)は、車速パルスECU211(車両における信号の発生源の一例である。)から受信したCAN-BUS信号としての車速パルス信号であって車両が所定状態にあることを示さない信号を、車両が所定状態にあることを示す信号に変換した上で、ナビゲーションシステム20に送信する機能を有することができることが理解されよう。
【0052】
より詳細には、テレビアダプター10の上記機能は、車両が所定状態にあることを示さない第1データ・ユニット(上記説明では、データが‘0A’であるデータ・ユニット。)を含むCAN-BUS信号としての車速パルス信号を、車両が所定状態にあることを示すように第1データ・ユニットのデータを変換した(上記説明では、‘0A’を‘00’に変換している。)上で、ナビゲーションシステム20に送信する機能を含むことができることが理解されよう。
【0053】
図4はパーキングブレーキ信号の例示電圧を示すグラフであり、この図における電圧は、パーキングブレーキが作動している(よって、車両が停車しており走行不可能な状態である。)ときは0Vであり、パーキングブレーキが解除されている(車両は走行可能な状態である。)時は5Vを示している。前記車速パルス信号の説明と同様に、
図2のパーキングブレーキスイッチ223のONとOFFとで変化するアナログ信号としてのパーキングブレーキ信号は、
図2のパーキングブレーキECU212でCAN-BUS信号に変換され、CAN-BUS通信ラインに送信される。パーキングブレーキが動作している状態は、車両が停車中であり走行不可能である状態であるため、テレビの視聴を可能にする条件の1つとなる。
【0054】
即ち、車両が走行不可能な状態は、パーキングブレーキ信号が、車両のパーキングブレーキが作動していることを示す状態を含むことが理解されよう。
【0055】
また、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様であることが理解されよう。
【0056】
また、ナビゲーションシステム210は、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に、車両が所定状態にあるかを判定するよう構成される場合があることが理解されよう。
【0057】
更に、テレビアダプター10は、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に変換した上で、ナビゲーションシステム210に送信する機能を有することができることが理解されよう。
【0058】
図2に示すブレーキホールドECU213は、ブレーキホールド機能に関係する。ブレーキホールド機能とは、運転者が信号待ち等でフットブレーキを踏み続けないとならないことを軽減することを主な目的とするものであり、走行中に運転者がフットブレーキ踏んで減速し、車速が0km/hになった時に作動し、フットブレーキから足を放してもブレーキがかかった状態をホールドする機能である。
【0059】
図2のブレーキホールドECU213は、ブレーキホールドが作動しているか否か(ブレーキがかかった状態がホールドされているか否か)を示すブレーキホールド信号を、CAN-BUS信号として通信ラインに送信する。ブレーキホールドが作動していると、車両は走行不可能である。換言すれば、車両が走行不可能な状態は、ブレーキホールド信号が、車両のブレーキホールドが作動していることを示す状態を含む。ブレーキホールドが作動している状態は、車両が停車中であり且つ走行不可能な状態であるため、テレビの視聴を可能にする条件の1つとなる。
【0060】
即ち、CAN-BUS信号としてのブレーキホールド信号についても、車速パルスECU211からのCAN-BUS信号と同様であることが理解されよう。
【0061】
また、ナビゲーションシステム210は、CAN-BUS信号としてのブレーキホールド信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に、車両が所定状態にあるかを判定するよう構成される場合があることが理解されよう。
【0062】
更に、テレビアダプター10は、CAN-BUS信号としてのブレーキホールド信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に変換した上で、ナビゲーションシステム210に送信する機能を有することができることが理解されよう。
【0063】
図2のドライブモードECU214は、車両のドライブモードを制御するECUである。ドライブモードは、一例を示すと「P」「R」「N」「D」「L」を含んでいる。ここで、「P」はパーキングポジション、「R」はリバース(車両がバック走行状態)、「N」はニュートラル、「D」はドライブ(車両が前進走行状態)、「L」はローモード(低速前進状態)となる。いままでの説明と同様に、
図2のドライブモードECU214は、車両がどの状態にあるのかを示すドライブモード信号を、CAN-BUS信号として通信ラインに送信する。車両のドライブモードが「P」(パーキングポジション)であることをドライブモード信号が示す場合、車両は走行不可能である。換言すれば、車両が走行不可能な状態は、ドライブモード信号が、車両のドライブモードがパーキングポジションであることを示す状態を含む。ドライブモードが「P」である状態は、車両が停車中であり走行不可能な状態であるため、テレビの視聴を可能にする条件の1つとなる。
【0064】
即ち、CAN-BUS信号としてのドライブモード信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様であることが理解されよう。
【0065】
また、ナビゲーションシステム210は、CAN-BUS信号としてのドライブモード信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に、車両が所定状態にあるかを判定するよう構成される場合があることが理解されよう。
【0066】
更に、テレビアダプター10は、CAN-BUS信号としてのドライブモード信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に変換した上で、ナビゲーションシステム210に送信する機能を有することができることが理解されよう。
【0067】
図2の計器パネルECU215は、メーターパネルの表示を制御するECUであり、主にCAN-BUS通信から受信したデータから、車両の走行速度を表示、パーキングブレーキがONであるかOFFであるか(パーキングブレーキが作動しているか否か)、ドライブモードの表示、ブレーキホールドの動作状態の表示等を行う。
【0068】
図2のADAS-ECU216は、カメラモジュール27やレーダーセンサー28が接続されており、ADAS(安全運転支援システム)を制御している。
【0069】
ADASは、カメラやレーダーセンサー等に基づき衝突等の危険が発生したと判定した場合に自動ブレーキをかけたりする装置であり、ADAS-ECU216からも車両が走行中なのか停車中なのかを判定する信号がCAN-BUSに送信されている場合もある。換言すれば、ADAS-ECU216からのCAN-BUS信号(以下、「ADAS信号」という。)は、車両が所定状態にあるか否かを示す場合がある。より詳細には、ADAS信号は、車両が停止していることを示す場合もあれば、車両が走行不可能であることを示す場合もある。
【0070】
即ち、CAN-BUS信号としてのADAS信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様であることが理解されよう。
【0071】
また、ナビゲーションシステム210は、CAN-BUS信号としてのADAS信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に、車両が所定状態にあるかを判定するよう構成される場合があることが理解されよう。
【0072】
更に、テレビアダプター10は、CAN-BUS信号としてのADAS信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号と同様に変換した上で、ナビゲーションシステムに送信する機能を有することができることが理解されよう。
【0073】
図2に係る説明は本開示の実施形態をわかりやすく説明するための例示であることに留意されたい。
【0074】
2 第1実施形態について
ある実施形態に係る車両及び
図1のナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にあるかを判定し、車両が所定状態にあると判定した場合にはテレビの視聴ができるが、そうでない場合にはテレビの視聴が出来ないように構成されており、ナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にあるか否かを判定する手段としてパーキングブレーキが作動しているか否かを使用する構成となっている。よってドライブモードがパーキングであっても、車速パルス信号が0km/hであっても、ブレーキホールドが作動していても、パーキングブレーキが作動しない限りテレビの視聴が出来ない。
【0075】
なお、ナビゲーションシステム20はCAN-BUSからパーキングブレーキ信号を検出しており、同時に、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等はすべてCAN-BUS通信にてナビゲーションユニットに供給されている。
【0076】
即ち、本発明の実施形態においては、車両ECU32(車速パルスECU211、パーキングブレーキECU212、ブレーキホールドECU213及びドライブモードECU214等を含む。これらは車両における信号の発生源の例である。)が送信する信号(CAN-BUS信号)、及び、ナビゲーションシステム20がテレビアダプター10を介して受信する信号(CAN-BUS信号)は、車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号を含む一方で、ナビゲーションシステム20は、これら複数の信号のうちの1つであるパーキングブレーキ信号について、車両が所定状態にあるか否かを判定するように構成される場合があることが理解されよう。
【0077】
図1のテレビアダプター10は、車両ECU32とナビゲーションシステム20の間にあり、車両ECU32から供給されたパーキングブレーキ信号を、パーキングブレーキが解除中(走行可能状態)であっても、パーキングブレーキが作動中(停車中であり走行不可能な状態)であることを示すように変換して、ナビゲーションシステム20に送信するよう構成されている。このことにより、車両が走行中であってもテレビの視聴が可能となっている。
【0078】
本開示の第1実施形態においては、
図1のテレビアダプター10は、前記パーキングブレーキ信号と同様に、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号についても変換するよう構成されている。
【0079】
このことにより、課題を解決するための手段でも述べたように、バージョンアップによりナビゲーションシステム20の仕様が変更され、車両が所定状態にあるか否かの判定するための信号がパーキングブレーキ信号からブレーキホールド信号に変更になったとしても、走行中にテレビの視聴をすることができる。
【0080】
更に、ナビゲーションシステム20のバージョンアップによる変更が、車両が所定状態にあるか否かの判定するための信号をパーキングブレーキ信号からブレーキホールド信号への変更ではなく、パーキングブレーキ信号とブレーキホールド信号の両方への変更であり、パーキングブレーキ信号とブレーキホールド信号の両方について車両が所定状態にあると判定しないとテレビの視聴が出来なくなるように変更されても、本開示の実施形態に係るテレビアダプター10は対応できる。
【0081】
同様に、車両が所定状態にあるか否かの判定するための信号が、パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号へと変更され、これら信号の全てについて車両が所定状態にあると判定しないとテレビの視聴が出来なくなるように変更されても、本開示の実施形態に係るテレビアダプター10によれば、走行中にテレビの視聴をすることができる。
【0082】
また、上記では、車両が所定状態にあるか否かを判定する手段としてナビゲーションシステム20はパーキングブレーキ信号のみを使用している場合で説明したが、車両が所定状態にあるか否かを判定する手段がパーキングブレーキ信号と車速パルス信号の両方であるナビゲーションシステムも存在する場合があるところ、このようなナビゲーションシステムについても、バージョンアップによる仕様変更に備えて、テレビアダプター10は、パーキングブレーキ信号及び車速パルス信号に加えて、当該ナビゲーションシステムが使用していないドライブモード信号及びブレーキホールド信号を変換する機能を有していてよいことを付け加えておく。
【0083】
更に、上記では車両が所定状態にあるか否かを判定する手段としてナビゲーションシステム20はパーキングブレーキ信号のみを使用している場合で説明したが、車両が所定状態にあるか否かを判定する手段として車速パルス信号を使用しているナビゲーションシステムについても、テレビアダプター10は、車速パルス信号に加えて、当該ナビゲーションシステムが使用していないパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号及びブレーキホールド信号を変換する機能を有していてよいことを付け加えておく。
【0084】
即ち、ナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号のうちの1以上の第1信号(上記説明におけるパーキングブレーキ信号等。上記説明における信号はあくまで例示であることに留意されたい。)について、車両が所定状態にあるか否かを判定するように構成されている一方で、テレビアダプター10(アダプターの一例。)は、車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号のうちの2以上の信号(上記説明におけるパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号及びブレーキホールド信号。上記説明における信号はあくまで例示であることに留意されたい。)の各々について、発生源(上記説明における車両ECU32。)から受信した当該信号であって車両が所定状態にあることを示さない当該信号を、車両が所定状態にあることを示す信号に変換した上で、ナビゲーションシステム20に送信する機能を有することができることが理解されよう。また、ナビゲーションシステム20は、上記1以上の信号の全てについて車両が所定状態にあると判定した場合にのみ有効となるテレビ仕様機能を有することができることが理解されよう。
【0085】
また、ナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にあるか否かを判定するための信号を、上記1以上の第1信号から上記複数の信号のうちの別の1以上の信号(上記説明におけるパーキングブレーキ信号及びブレーキホールド信号の両方等。上記説明における信号はあくまで例示であることに留意されたい。)に更新可能なように構成される場合があることが理解されよう。
【0086】
また、上記2以上の第2信号の数は上記1以上の第1信号の数より大きく、且つ、上記2以上の第2信号は、上記1以上の第1信号を含むことができることが理解されよう。あるいは、上記2以上の第2信号は、車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号と等しい、即ち、テレビアダプター10は、ナビゲーションシステム20へと入力されることがある、車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号の全てについて、上述したように変換を行う機能を有することができることが理解されよう。
【0087】
更に、このようなテレビアダプター10によれば、ナビゲーションシステム20が更新された後も、引き続き、ナビゲーションシステム20による車両が所定の状態にあるか否かの判定に影響を及ぼす可能性を向上させることが理解されよう。
【0088】
3 第2実施形態について
ある実施形態に係る車両及び
図5のナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にある場合にはテレビの視聴ができるが、そうでない場合にはテレビの視聴が出来ないように構成されている。また、ナビゲーションシステム20は、車両が停車中か走行中なのかを判定する手段としてパーキングブレーキが作動しているか否かを使用する構成となっている。よって、このようなナビゲーションシステム20によれば、ドライブモードが「P」であっても、車速パルス信号が車両の速度として0km/hを示していても、ブレーキホールドが作動していても、パーキングブレーキが作動しない限りテレビの視聴が出来ない。
【0089】
なお、ナビゲーションシステム20はCAN-BUSとも接続されているが、パーキングブレーキが作動しているか否かの判定を、
図5のパーキング信号(アナログ)34(パーキングブレーキスイッチ223であってよい。)由来のアナログ信号としてのパーキングブレーキ信号に基づき行っている。ナビゲーションシステム20には、同時に、CAN-BUS信号としてパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等も供給されているが、車両が停車中であるか否かの判定はアナログ信号としてのパーキング信号34のみで行っている。
【0090】
第2実施形態の
図5のテレビアダプター10は、アナログ信号制御部12とCAN-BUS制御部11を兼ね備えており、アナログ信号制御部12は、車速パルス信号(アナログ)33(車速パルスセンサー221であってよい。)から受信するアナログ信号としての車速パルス信号と、パーキング信号(アナログ)34から受信するアナログ信号としてのパーキングブレーキ信号との各々について、車両が所定状態になくとも車両が所定状態にあることを示すように変換する機能を備えている。
【0091】
第2実施形態においては、本来は、アナログ信号としてのパーキングブレーキ信号のみについて、車両が所定状態になくとも車両が所定状態にあることを示すように変換すればテレビの視聴が可能であるが、テレビアダプター10は、同時にアナログ信号としての車速パルス信号についても同様に変換し、更に、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等についても同様に変換する機能を有している。
【0092】
上記のように、現在は、ナビゲーションシステム20によって車両が所定状態にあるか否かの判定に使用されていないアナログ信号としての車速パルス信号、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等についても変換することにより、ナビゲーションシステム20のバージョンアップにより、例えば車両が所定状態にあるか否かの判定手段をアナログ信号としてのパーキング信号からCAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号に変更された場合やその他の信号に変更された場合にも、車両が所定状態にない走行中にテレビの視聴が可能となる。
【0093】
上記説明では、現在、ナビゲーションシステム20によって車両が所定状態にあるか否かの判定に使用されている信号がアナログ信号としてのパーキング信号である一方で、当該信号がバージョンアップ後にCAN-BUS信号としてのパーキング信号に変更された場合で説明したが、逆の場合も同様であり、現在使用されている信号がCAN-BUSの信号としてのパーキング信号でバージョンアップ後にアナログ信号としてのパーキング信号に変更された場合でも同様である。
【0094】
更に、現在使用されている信号がパーキング信号である場合で説明したが、それが車速パルス信号やその他の信号(例えば、GPS信号やADAS信号。)である場合も同様のことができることを付け加えておく。
【0095】
即ち、車両における信号の発生源(上記説明における車両ECU32、車速パルスセンサー21及びパーキングブレーキスイッチ32等。上記説明は信号の発生源を例示しているにすぎないことに留意されたい。)からの複数の信号であって、車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号は、車速パルス信号と、パーキングブレーキ信号と、ドライブモード信号と、ブレーキホールド信号と、GPS信号と、ADAS信号とを含むことができ、更に、上記車速パルス信号は、アナログ信号としての車速パルス信号と、CAN-BUS信号としての車速パルス信号との一方又は双方を含み、上記パーキングブレーキ信号は、アナログ信号としてのパーキングブレーキ信号と、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号との一方又は双方を含むことができることが理解されよう。
【0096】
また、ナビゲーションシステム20は、アナログ信号としての車速パルス信号及びパーキングブレーキ信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号及びパーキングブレーキ信号と同様に、車両が所定状態にあるかを判定するよう構成される場合があることが理解されよう。例えば、ナビゲーションシステム20は、アナログ信号としての車速パルス信号に所定期間パルスが含まれていないこと又は当該信号が所定期間所定電圧(例えば、0V)。)で一定であることに基づき、車両が所定状態にあると判定することができることが理解されよう。また、例えば、ナビゲーションシステム20は、アナログ信号としてのパーキングブレーキ信号が所定電圧(例えば、0V)。)にあることに基づき、車両が所定状態にあると判定することができることが理解されよう。
【0097】
更に、テレビアダプター10は、アナログ信号としての車速パルス信号及びパーキングブレーキ信号についても、CAN-BUS信号としての車速パルス信号及びパーキングブレーキ信号と同様に変換した上で、ナビゲーションシステムに送信する機能を有することができることが理解されよう。例えば、テレビアダプター10は、パルスが含まれないように、又は、所定電圧(例えば、0V)で一定となるように、任意の手法でアナログ信号としての車速パルス信号を変換することができることが理解されよう。また、例えば、テレビアダプター10は、所定電圧(例えば、0V)となるように、任意の手法でアナログ信号としてのパーキングブレーキ信号を変換することができることが理解されよう。
【0098】
4 第3実施形態について
ある実施形態に係る車両及び
図1のナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にあるかを判定し、車両が所定状態にあると判定した場合にはテレビの視聴ができるが、そうでない場合にはテレビの視聴が出来ないように構成されており、ナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にあるか否かを判定する手段としてパーキングブレーキが作動しているか否かを使用する構成となっている。
【0099】
なお、ナビゲーションシステム20はCAN-BUSからパーキングブレーキ信号を検出しており、同時に、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号等はすべてCAN-BUS通信にてナビゲーションシステム20に供給されている。
【0100】
パーキングブレーキECU212は、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号を送信する。CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号は、例えば‘1A3’‘00’‘FF’‘EE’というようなデータから構成されている。このパーキングブレーキ信号の最初のデータ・ユニットのデータである1A3はパーキングブレーキECUのIDを示している。このパーキングブレーキ信号の2番目のデータ・ユニットのデータである00は、パーキングブレーキが作動していることを示し、解除されている場合は0A等の00以外のデータとなる。このパーキングブレーキ信号の3番目と4番目のデータ・ユニットのデータであるFFとEEは、パーキングブレーキの作動とは無関係のデータである。よって、パーキングブレーキECU212からは、パーキングブレーキが作動していないときには、例えば‘1A3’‘0A’‘FF’‘EE’といったデータが送信されてくるが、それを‘1A3’‘00’‘FF’‘EE’といったように2番目のデータだけ変換した上でナビゲーションシステム20に送信すれば、走行中であり車両が所定状態にない場合であってもテレビの視聴が可能となる。しかしながら、第3実施形態によるテレビアダプター10は、上記データを‘1A3’‘00’‘00’‘00’に変換するように構成されている。
【0101】
現在はパーキングブレーキの作動状況を示さない3番目と4番目のデータ・ユニットのデータも00に変換することによって、パーキングブレーキECU212がバージョンアップされ、パーキングブレーキの作動状況を示すデータ・ユニットが2番目から3番目又は4番目のデータ・ユニットに変更され、ナビゲーションシステム20においてこれに対応する更新がなされた場合においても、引き続き、走行中であり車両が所定状態にない場合であってもテレビの視聴が可能となる。
【0102】
このように現在は使用されていないデータ・ユニットのデータも変換しておくことによって、より幅広くバージョンアップによる仕様変更に対応することができる。
【0103】
即ち、ナビゲーションシステム20は、車両が所定状態にあるか否かを判定するためのデータ・ユニットを、第1データ・ユニット(上記説明では、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号を構成する2番目のデータ・ユニット。このデータ・ユニットはあくまで例示であることに留意されたい。)から、前記複数のデータ・ユニットのうちの別のデータ・ユニット(上記説明では、CAN-BUS信号としてのパーキングブレーキ信号を構成する3番目又は4番目のデータ・ユニット。このデータ・ユニットはあくまで例示であることに留意されたい。)に更新可能なように更に構成される場合があることが理解されよう。
【0104】
また、パーキングブレーキECU212(車両における信号の発生源の一例。)は、車両が前記所定状態にあるか否かを示すデータ・ユニットを、上記第1データ・ユニットから、上記別のデータ・ユニットに更新可能なように構成される場合があることが理解されよう。
【0105】
更に、テレビアダプター10(アダプターの一例である。)は、変換されたデータ(上記説明では、‘00’。このデータはあくまで例示であることに留意されたい。)を、複数のデータ・ユニットのうちの上記第1データ・ユニット以外のデータ・ユニットの少なくとも一部(上記説明では、3番目と4番目のデータ・ユニット。これらデータ・ユニットはあくまで例示であることに留意されたい。)にコピーした上で、前記ナビゲーションシステムに送信する機能を含むことができることが理解されよう。
【0106】
5 第4実施形態について
第2実施形態はアナログ信号とCAN-BUS信号の両方を変換する手法であり、そこにさらに第3実施形態の手法を組み合わせることもできるし、第1実施形態から第3実施形態までの手法を組み合わせて使用することもできる。
【0107】
さらに、第1実施形態から第3実施形態までの説明ではパーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号の全てを変換することを記載しているが、それらの全てを変化しなくてもよいし、前記パーキングブレーキ信号、ドライブモード信号、車速パルス信号、ブレーキホールド信号に加えてADAS信号やGPS信号その他の車両が所定状態にあるか否かを判定するために使用できると想定される信号を加えて変換してもよい。
【0108】
車速パルス信号を車両が走行中であっても停車中のように変換する手法は、特許第7274798号公報に記載のような変換方法であってもよい。
【0109】
6 おわりに
以上、本開示の実施形態の幾つかの例を説明してきたが、これらは例示にすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。説明した実施形態についても、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の技術的範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【要約】 (修正有)
【課題】ナビゲーションシステムによる車両が所定状態にあるか否かの判定に影響を及ぼすアダプターであって、ナビゲーションシステムが更新された後も引き続き当該判定に影響を及ぼす可能性を少なくとも向上させるアダプターを提供すること。
【解決手段】車両における信号の発生源(32)と、前記車両に搭載されたナビゲーションシステム(20)との間に接続されるように構成されたアダプター(10)であって、前記信号は、前記車両が所定状態にあるか否かを示す複数の信号を含み、前記ナビゲーションシステム(20)は、前記複数の信号のうちの1以上の第1信号について前記車両が前記所定状態にあるか否かを判定する。
【選択図】
図1