(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】マルチヌメロロジー構造を利用したピーク対平均電力比の低減
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H04L27/26 200
(21)【出願番号】P 2023512369
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2021072469
(87)【国際公開番号】W WO2022043074
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-20
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519061251
【氏名又は名称】ヴェステル・エレクトロニキ・サナイ・ヴェ・ティジャレット・ア・セ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】メミソグル, エブベキル
(72)【発明者】
【氏名】デュラナイ, アフメット エネス
(72)【発明者】
【氏名】アルスラン, フセイン
【審査官】大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0353342(US,A1)
【文献】GOKCELI, Selahattin et al.,PAPR Reduction with Mixed-Numerology OFDM,IEEE WIRELESS COMMUNICATIONS LETERS,VOL9,No1,JANUARY 2020,2019年09月05日,http://dx.doi.org/10.1109/LWC.2019.2939521
【文献】LIU, Xiaoran et al.,PAPR Reduction Using Iterative Clipping/Filtering and ADMM Approaches for OFDM-Based Mixed-Numerology Systems,IEEE TRANSACTIONS ON WIRELESS COMMUNICATIONS,vol. 19, no. 4,,2020年01月21日,http://dx.doi.org/10.1109/TWC.2020.2966600
【文献】VIVO,Feasibility study on subband constellation rotation for uplink PAPR reduction for CP-OFDM waveform,3GPP TSG RAN WG1 #90 R1-1712877,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90/Docs/R1-1712877.zip>,2017年08月12日
【文献】MEMISOGLU, Ebubekir ,Reduction of Peak to Average Power Ratio Exploiting Multi-Numerology Structure,IEEE 802.11-20/1379r0,IEEE, Internet<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1379-00-00be-reduction-of-peak-to-average-power-ratio-exploiting-multi-numerology-structure.pptx>,2020年09月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成することと、
前記少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、複数のOFDMシンボルの各々について調整処理を決定することと、
調整済みOFDMシンボルを提供するために前記OFDMシンボル向けに決定された前記調整処理を前記複数のOFDMシンボルの各々に適用することと、
前記少なくとも2つのヌメロロジーの前記調整済みOFDMシンボルを組み合わせることと、
を行うように構成されている、処理回路(320)、
および、
組み合わされた前記少なくとも2つのヌメロロジーの前記調整済みOFDMシンボルを搬送する信号を、送信するように構成されているトランシーバ(310)、
を備える、送信デバイス。
【請求項2】
前記調整処理が、
位相調整、
振幅調整、
時間シフト、
循環シフト、
フィルタリングパラメータ、及び、
ウィンドウイング、
のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の送信デバイス。
【請求項3】
前記処理回路(320)は、組み合わされるべき前記ヌメロロジーの数及び/又は所定のヌメロロジーセットの中の前記少なくとも2つのヌメロロジーを、前記組み合わせによって生成される前記シンボルの前記PAPRに基づいて選択するように構成されている、請求項1又は2に記載の送信デバイス。
【請求項4】
前記組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は前記組み合わされるべき少なくとも2つのヌメロロジーの前記選択が、前記組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は前記少なくとも2つのヌメロロジーを含む前記コスト関数を最小化することによって実施される、請求項3に記載の送信デバイス。
【請求項5】
前記コスト関数がヌメロロジー間干渉をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の送信デバイス。
【請求項6】
前記処理回路が、所定の調整処理セットの中からの調整処理の前記コスト関数を決定し、前記所定の調整処理セットの中から、最低のコスト関数が達成される前記調整処理を選択することによって、前記調整処理の前記決定を反復的に実施するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の送信デバイス。
【請求項7】
前記処理回路が、前記少なくとも2つのヌメロロジーのうちの少なくとも1つのヌメロロジーについて、
送信されるデータに対応する変調シンボルを得ることと、
前記変調シンボルを変調シンボルの2つ以上のグループに逆多重化することと、
前記2つ以上のグループの各々について、
前記グループを逆変換することによってサブシンボルを生成し、
PAPRを含む前記コスト関数を最小化することに基づいて調整処理を決定し、
前記調整処理を前記サブシンボルに適用することと、
前記サブシンボルを前記少なくとも1つのヌメロロジーのシンボルに連結することと、
を行うように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の送信デバイス。
【請求項8】
所定のヌメロロジーセットからのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、前記所定のヌメロロジーセットから少なくとも2つのヌメロロジーを決定することと、
前記少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成することと、
前記少なくとも2つのヌメロロジーの前記複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを組み合わせることと、
を行うように構成されている、処理回路、
および、
組み合わされた前記少なくとも2つのヌメロロジーのOFDMシンボルを搬送する信号を、送信するように構成されているトランシーバ、
を備える、送信デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも2つのヌメロロジーを前記決定することが、(i)ヌメロロジーの数を決定すること、及び(ii)少なくとも1つのヌメロロジーのサブキャリア間隔を決定することのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の送信デバイス。
【請求項10】
前記処理回路が、
前記コスト関数の前記最小化を反復的に実施することであって、各反復が、
ヌメロロジーの数、及び、当該数のヌメロロジーの各々のサブキャリア間隔を得ることと、
前記ヌメロロジーの組み合わせによって生成される前記信号のPAPRを決定することと、
を含む、当該実施することと、
前記反復の中で最低のPAPRをもたらす前記少なくとも2つのヌメロロジーを選択することと、
を行うように構成されている、請求項8又は9に記載の送信デバイス。
【請求項11】
前記コスト関数が停止閾値よりも低くなるとき、及び/又は、反復の回数が事前に構成された値に達したときに、前記反復は停止される、請求項6~10のいずれか一項に記載の送信デバイス。
【請求項12】
前記処理回路が、
第1のヌメロロジーにマッピングされる第1の入力データ及び第2のヌメロロジーにマッピングされる第2の入力データを得ること、
前記第1の入力データを第1の変調シンボルにマッピングし、前記第2の入力データを第2の変調シンボルにマッピングすること、
前記第1の変調シンボル及び前記第2の変調シンボルを第1のOFDMシンボル及び第2のOFDMシンボルに逆変換すること、並びに、
前記第1のOFDMシンボル及び前記第2のOFDMシンボルの中からの各OFDMシンボルにサイクリックプレフィックスを付加することであって、前記第1のOFDMシンボルに付加される前記サイクリックプレフィックスの長さが、前記第2のOFDMシンボルに付加される前記サイクリックプレフィックスの長さと異なる、付加すること、
によって、複数のOFDMシンボルを生成することを行うように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の送信デバイス。
【請求項13】
第1のヌメロロジー及び第2のヌメロロジーが、サブキャリア間隔及び/又は前記OFDMシンボルの長さによって相互に異なる、請求項1~12のいずれか一項に記載の送信デバイス。
【請求項14】
信号を送信するための方法であって、
少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成するステップと、
前記少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて前記複数のOFDMシンボルの各々について調整処理を決定するステップ(630)と、
前記複数のOFDMシンボルの各々に、前記シンボル向けに決定された調整処理を適用するステップ(640)と、
第1のヌメロロジーと第2のヌメロロジーとを組み合わせるステップ(650)と、
組み合わされた前記第1のヌメロロジー及び前記第2のヌメロロジーを搬送する信号を、送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
信号を送信するための方法であって、
所定のヌメロロジーセットからのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、前記所定のヌメロロジーセットから少なくとも2つのヌメロロジーを決定するステップと、
前記少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成するステップと、
前記少なくとも2つのヌメロロジーの前記複数のOFDMシンボルを組み合わせるステップと、
組み合わされた前記少なくとも2つのヌメロロジーの前記複数のOFDMシンボルを搬送する信号を、送信するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に通信に関し、いくつかの特定の実施形態において、マルチヌメロロジー(multi-numerology)を使用して信号を送信するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信は、ここ数十年にわたって進歩し続けている。グローバル通信システム及びローカルネットワークシステムは、最近、直交周波数分割多重(OFDM)に基づく技術を使用するようになっている。
【0003】
OFDMの主要な欠点の1つは、ピーク対平均電力比(PAPR)が高いことであり、これによって、高出力増幅器の非線形領域において信号歪みが生じる可能性がある。この結果として、全体的なシステム性能が劣化する可能性がある。
【0004】
第5世代(5G)新無線(NR)システムにおいて、「ヌメロロジー(numerology)」という用語は、システムリソースのサイズ及びロケーションを定義するいくつかの物理層パラメータの組み合わせを指す。例えば、ヌメロロジーは、サブキャリア間隔(SCS)によって与えられ得る。サブフレームあたりのスロットの数も、ヌメロロジーの一部として考えられることがある。ヌメロロジーによって変化し得るさらなるパラメータは、スロット/サブフレームあたりのOFDMシンボルの数、OFDMシンボルの持続時間、及び/又はサイクリックプレフィックス(CP)の持続時間である。概して、スロット長は、サブキャリア間隔が広くなるとともに短くなる。現在の5G NRにおいて、15、30、60、及び120kHzのSCSなどの、複数の異なるヌメロロジーが存在する。
【0005】
マルチヌメロロジーシステムは、複数の異なるヌメロロジーの共存をサポートするシステムである。例えば、5Gにおいては、複数の異なるヌメロロジーを同じキャリア周波数上で送信することができる。複数の異なるヌメロロジーを有する帯域幅部分を、周波数ドメインにおいて多重化することができる。5G NRは、複数の異なるヌメロロジー及び多様なサービス品質(QoS)を有するCP-OFDMに基づく。CP-OFDMは、すべての種類のサービスへのワイヤレス接続を可能にするプラットフォームとして作用する。5Gに関して定義されている複数の異なるサービスクラスは、高度化モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、及び超高信頼・低遅延通信(URLLC)を含む。これらのシナリオには、5Gが広範囲の要件を有するようにする、それらのシナリオ自体の特定の需要があり、無線及びネットワーク設計における高度な柔軟性の必要性を示している。5Gシステムに必要な柔軟性の達成に向けて採られるステップの1つは、5G-NRの傘下でのマルチヌメロロジー概念の導入である。
【0006】
マルチヌメロロジーシステムのPAPRの低減は、システムの性能を改善する可能性がある、困難なタスクである。
【発明の概要】
【0007】
複数のヌメロロジーの組み合わせによって取得されるOFDM信号のPAPRを低減するための方法及び技法が説明される。
【0008】
本発明は独立特許請求項によって定義される。いくつかの例示的な実施態様が、従属請求項によって提供される。
【0009】
いくつかの実施態様において、少なくとも2つのヌメロロジーの複数のOFDMシンボルを生成することと、少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて複数のOFDMシンボルの各々について調整処理を決定することと、対応する決定された調整処理を複数のOFDMシンボルの各々に適用することと、少なくとも2つのヌメロロジーの調整済みOFDMシンボルを組み合わせることとを行うように構成されている、処理回路と、組み合わされた少なくとも2つのヌメロロジーの調整済みOFDMシンボルを搬送する信号を、送信するように構成されているトランシーバと、を備える、送信デバイスが提供される。
【0010】
いくつかの実施態様において、送信デバイスが提供される。送信デバイスは、所定のヌメロロジーセットからのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、所定のヌメロロジーセットから少なくとも2つのヌメロロジーを決定することと、少なくとも2つのヌメロロジーの複数のOFDMシンボルを生成することと、少なくとも2つのヌメロロジーのOFDMシンボルを組み合わせることとを行うように構成されている、処理回路と、組み合わされた少なくとも2つのヌメロロジーを搬送する信号を、送信するように構成されているトランシーバと、を備える。
【0011】
いくつかの実施態様において、信号を送信するための方法であって、少なくとも2つのヌメロロジーの複数のOFDMシンボルを生成するステップと、少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて複数のOFDMシンボルの各々について調整処理を決定するステップと、対応する決定された調整処理を複数のOFDMシンボルの各々に適用するステップと、第1のヌメロロジーと第2のヌメロロジーとを組み合わせるステップと、組み合わされた第1のヌメロロジー及び第2のヌメロロジーを搬送する信号を、送信するステップと、を含む、方法が提供される。
【0012】
いくつかの実施態様において、信号を送信するための方法であって、所定のヌメロロジーセットからのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、所定のヌメロロジーセットから少なくとも2つのヌメロロジーを決定するステップと、少なくとも2つのヌメロロジーの複数のOFDMシンボルを生成するステップと、少なくとも2つのヌメロロジーのOFDMシンボルを組み合わせるステップと、組み合わされた少なくとも2つのヌメロロジーを搬送する信号を、送信するステップとを含む、方法。
【0013】
本開示の主題のこれらの及び他の特徴及び特性、並びに、構造の関連する要素及び部品の組み合わせの動作及び機能の方法及び製造の経済性は、添付の図面を参照しながら以下の説明及び貼付の特許請求の範囲を検討することを受けて、より明らかになる。これらのすべてが、本明細書の部分を形成する。しかしながら、図面は例示及び説明のみを目的としたものであり、本開示の主題の限定の規定としては意図されていないことは、明確に理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。
【0014】
様々な実施形態の性質及び利点の理解は、添付の図面を参照することによって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】2つの異なる混合ヌメロロジーを示す概略図である。
【
図3B】メモリのモジュールを示すブロック図である。
【
図4】機能モジュール、及び、送信デバイスによって実施される処理を示すブロック図である。
【
図5】複数のヌメロロジーのPAPR低減を示す概略図である。
【
図6】位相調整を提供することによって複数のヌメロロジーのPAPRを低減するための例示的な方法のステップを示すフローチャートである。
【
図7】ヌメロロジーパラメータを提供することによって複数のヌメロロジーのPAPRを低減するための例示的な方法のステップを示すフローチャートである。
【
図8】PTSによる第1の例示的なハイブリッドPAPR低減を適用する送信デバイスを示すブロック図である。
【
図9】PTSによる第2の例示的なハイブリッドPAPR低減を適用する送信デバイスを示すブロック図である。
【
図10】いくつかの実施形態の送信デバイスによって生成及び送信される信号を受信するための受信デバイスを示すブロック図である。
【
図11】ヌメロロジースケジューリングを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な図面の中の同様の参照符号及び記号は、特定の例示的な実施態様による、同様の要素を示す。
【0017】
以降、説明を目的として、用語「端部」、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「側方」、「長手方向」及びそれらの派生語は、描画図面において配向されるものとしての、本開示の主題に関連するものとする。しかしながら、本開示の主題は、逆のことが明示的に指定される場合を除き、様々な代替的な変形及びステップシーケンスを想定することができることは理解されたい。添付の図面に示されており、以下の明細書に説明されている特定の装置及びプロセスは、本開示の主題の例示的な実施形態又は態様に過ぎないことも理解されたい。したがって、本明細書において開示されている実施形態又は態様に関係する特定の寸法及び他の物理的特性は、別途示されていない限り、限定として考えられるべきではない。
【0018】
本明細書において使用されている態様、構成要素、要素、構造、動作、ステップ、機能、命令などは、そのように明示的に記載されていない限り、重要又は必須と解釈されるべきではない。また、本明細書において使用される場合、「a」及び「an」という冠詞は、1つ又は複数のアイテムを含むように意図されており、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」と交換可能に使用され得る。さらに、本明細書において使用される場合、「セット」という用語は、1つ又は複数のアイテム(例えば、関連するアイテム、関連しないアイテム、関連するアイテムと関連しないアイテムとの組み合わせなど)を含むように意図されており、「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」と交換可能に使用され得る。1つのみのアイテムが意図されている場合、「1つ(one)」という用語又は同様の文言が使用される。また、本明細書において使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有している(having)」などの用語は、制約のない用語であるように意図されている。さらに、「~に基づく」という語句は、別途明示的に述べられていない限り、「~に少なくとも部分的に基づく」を意味するように意図されている。
【0019】
図1は、例示的な通信システムCSを示し、Txはトランスミッタを表し、Rxはレシーバを表す。トランスミッタTxは、インターフェースIfを介してレシーバRxに信号を送信することが可能である。インターフェースは、例えば、ワイヤレスインターフェースであってもよい。インターフェースは、トランスミッタTx及びレシーバRxによる送信及び受信に使用することができるリソースによって指定され得る。そのようなリソースは、時間ドメイン、周波数ドメイン、コードドメイン、及び空間ドメインのうちの1つ若しくは複数(又はすべて)において定義され得る。概して、「トランスミッタ」と「レシーバ」はまた、両方とも同じデバイスに統合されてもよい。言い換えれば、
図1のデバイスTx及びRxはそれぞれまた、Rx及びTxの機能も含んでもよい。
【0020】
本開示は、いかなる特定のトランスミッタTx、レシーバRx及び/又はインターフェースIfの実施態様にも限定されない。一方、本開示は、いくつかの既存の通信システム、及び、そのようなシステムの拡張、又は新規の通信システムに容易に適用することができる。例示的な既存の通信システムは、例えば、現在の若しくは将来のリリースの5G新無線(NR)、及び/又は、最近の研究のIEEE802.11beなどのようなIEEE802.11ベースのシステムであってもよい。
【0021】
上記で言及したように、PAPRを低減することによって、システム性能を改善することができる。したがって、いくつかの既知の反復的相殺・フィルタリング(ICF)技法が、信号をクリップして、信号を閾レベル未満に維持してPAPR値を低減することができる。しかしながら、クリッピングは、何らかの歪みを引き起こす可能性があり、クリッピング動作後、信号のフィルタリングを適用しなくてはならない。選択マッピングがもう1つの技法であり、入力シンボル系列が複数のランダム位相系列と乗算されて、いくつかの代替的なシンボル系列が生成される。これらの代替的なシンボル系列の各々は、逆高速フーリエ変換(IFFT)によって変換され、その後、PAPRが最も低いシンボル系列が、送信のために選択される。さらなる技法は、OFDMにおいて適用可能な部分系列伝送(PTS)である。PTSは、入力シンボルをサブブロックに分割し、IFFTによってそれらのサブブロックを変換する。各サブブロックは、位相係数のすべての可能な組み合わせと乗算され、対応するPAPRが計算される。PAPRを最小化する最適な位相が得られる。
【0022】
しかしながら、混合ヌメロロジーのPAPR低減は、単一のヌメロロジーのPAPR低減よりも複雑であり得、結果、上記で言及した技法は、混合ヌメロロジーのシナリオに適用することが困難である。例えば、混合ヌメロロジーは、トランスミッタ側とレシーバ側とで異なる構造を有する場合があり、より高い計算複雑度を要求する場合がある。したがって、追加の複雑なアーキテクチャを要求するPAPR技法は、混合ヌメロロジー送信の計算複雑度をさらに増大させないために、回避されることが実際的である。混合ヌメロロジーのPAPR低減におけるもう1つの問題は、ヌメロロジー間干渉(INI)であり得る。いくつかの単一ヌメロロジー技法は、PAPRの低減の副次的効果としてINIを生成し得る。したがって、混合ヌメロロジー送信に対するPAPR低減技法を設計するときに、INIが考慮されることが有利であり得る。
【0023】
図2は、2つの可能な混合ヌメロロジーa)及びb)を例示する。混合ヌメロロジーを用いるシステムは、その時間ドメイン信号が、複数の異なるヌメロロジーについて得られる信号の組み合わせ(総和若しくは加重和又は別の組み合わせなど)であるシステムである。a)の下での第1の例示的なヌメロロジー組み合わせは、ヌメロロジーN1及びヌメロロジーN2を含む。b)の下での第2の例示的なヌメロロジー組み合わせは、ヌメロロジーN1及びヌメロロジーN3を含む。これらの例において、ヌメロロジーN1は、15kHzのSCSを有し、ヌメロロジーN2は、30kHzのSCSを有し、ヌメロロジーN3は、60kHzのSCSを有する。ヌメロロジーN1は、CP210及びシンボル部分220を有する。シンボル部分220の長さは、IFFTを受けることになるサンプルによって、及び/又は、持続時間(例えば、秒単位)によって与えられてもよい。
図2において、CP210は、破線部分によって表され、一方、シンボル部分は、空白部分によって表される。寸法は記号的なものに過ぎず、例えば、周波数ドメインにおけるN1とN2との間の寸法差は、
図2には表されていない。見てとれるように、この例において、N1の1つのシンボルはN2の2つのシンボルに対応する(ここで、シンボルという用語は、CP部分及びシンボル部分を含む)。混合ヌメロロジーシステムにおいて、シンボル(場合によってはCPを含む)は、時間ドメインにおいて位置整合され得る。本開示の実施形態はまた、CPなしでも機能し得ることに留意されたい。したがって、本明細書においてシンボル又はOFDMシンボルを参照するとき、シンボル又はOFDMシンボルは、CPを含む場合があるが、含む必要はない。サイクリックプレフィックス210において、シンボル部分220からのサンプルが循環的に繰り返される(OFDMシンボルの最後のサンプルの繰り返し)。CPは、シンボル間干渉(ISI)の軽減を促進する。
【0024】
例えば、
図2に示すヌメロロジーN1及びN2は、時間ドメインにおいて位置整合され得る。概して、マルチヌメロロジー組み合わせ内のすべてのヌメロロジーが、時間ドメインにおいて位置整合され得る。例えば、5G NRのスケーラブルなヌメロロジー設計によれば、1つのヌメロロジーのOFDMシンボル持続時間(CPを含む)は、別のヌメロロジーのOFDMシンボル持続時間(CPを含む)の整数倍である。したがって、混合ヌメロロジーシンボルは、最小公倍数のシンボル持続時間にわたって位置整合される。
【0025】
リソース要素は、時間ドメインにおいてはOFDMシンボル持続時間によって与えられ、周波数ドメインにおいてはサブキャリア帯域幅によって与えられる、リソースの最小単位である。単一のリソース要素は、単一の偏重シンボル(QPSK、16QAM、64QUAM、256QAMなどのような)に対応してもよい。概して、15kHz間隔のリソース要素及び30kHz間隔のリソース要素は、両方とも、当該間隔によって与えられる周波数を有する正弦波の1つの周期に対応してもよい。この対応によって、必然的に、
図2にも見られるように、同じ数の正弦波周期について、異なるそれぞれのシンボル持続時間がもたらされる。例えば、SCSが2倍に増大すると、リソース要素の持続時間が2分の1に低減する。5G NRにおいて、各ヌメロロジー内にスロットあたり14個のシンボルが存在するが、サブフレームあたりのスロットの数は異なる。例えば、15kHzヌメロロジーについて、サブフレームあたり1つのスロットが存在し、30kHzヌメロロジーについて、サブフレームあたり2つのスロットが存在し、60kHzヌメロロジーについて、サブフレームあたり4つのスロットが存在する。
【0026】
単純にするために、N1及びN2などの2つの異なるヌメロロジーを考慮する以下の例示が与えられる。しかしながら、概して、本開示は、3つ以上の異なる喪失したヌメロロジーを含む任意の混合ヌメロロジーシステムに適用可能である。例えば、CP-OFDM波形が、データ送信に利用されてもよい。
【0027】
PAPR低減、ただしOFDMシンボルを調整
図3Aは、いくつかの例示的な実施形態による送信デバイス350を示す。送信デバイス350は、バス301を介して互いに通信することが可能であり得る、メモリ310と、処理回路320と、ワイヤレストランシーバ330とを備える。送信デバイス350は、ユーザインターフェース340をさらに含んでもよい。しかしながら、用途によっては、ユーザインターフェース340は必要ない(例えば、マシンツーマシン通信のためのいくつかのデバイスなど)。
【0028】
メモリ310は、本開示のいくつかの実施形態を実装する、複数のファームウェア又はソフトウェアモジュールを格納することができる。メモリ310は、処理回路320によって読み出すことができる。したがって、処理回路は、実施形態を実装するファームウェア/ソフトウェアを実行するように構成することができる。処理回路320は、動作時に、少なくとも2つのヌメロロジー(例えば、N1及びN2、又はN1及びN3)の複数のシンボルを生成する、1つ又は複数のプロセッサを含んでもよい。これは、シンボルを生成するための機能的シンボル生成モジュール(ユニット)を含む送信デバイス(装置)に対応する。少なくとも2つのヌメロロジーは、SCS及び/又はシンボルの長さが相互に異なり得る。
【0029】
処理回路320は、動作時、コスト関数を最小化することに基づいて複数のシンボルの各々について調整をさらに決定する。コスト関数は、少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせ(ここでは例示的にN1、N2又はN1、N3)のピーク対平均電力比(PAPR)を含む。これは、調整を決定するための機能的調整決定モジュール(ユニット)を含む送信デバイス(装置)に対応する。ヌメロロジーの組み合わせは、非限定例として、総和若しくは加重和、又は別の組み合わせであってもよい。例えば、調整は、位相調整及び/又は振幅調整であってもよい。
【0030】
次いで、処理回路320は、動作時、対応する決定された調整処理を複数のシンボルの各々に適用し、少なくとも2つのヌメロロジー(例えば、N1などの第1のヌメロロジー及びN2などの第2のヌメロロジー)を組み合わせる。これは、シンボルを調整(修正)するための機能的調整適用モジュール(ユニット)を含む送信デバイス(装置)に対応する。本明細書において言及されているシンボルは、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルであってもよい。しかしながら、本開示は、何らかの非直交又は擬似直交多重化方式にも適用可能であることに留意されたい。概して、本開示は、周波数ドメインにおいてサブキャリアに沿ってマッピングされる変調シンボルの逆変換によって得られる任意の(OFDM)シンボルに適用可能である。本開示は、いかなる特定の多元接続技術にも限定されないことも理解されたい。言い換えれば、少なくとも2つのヌメロロジーに属する(少なくとも2つのヌメロロジーにわたって形成される)(OFDM)シンボルは、同じレシーバ又は異なるレシーバに送信することができる。例えば、基地局(概して、任意の通信デバイス)は、同じUEのデータを搬送するOFDMシンボル、又は、2つ以上の異なるUE(概して、任意の2つ以上の他の通信デバイス)のデータが多重化されているOFDMシンボルを生成し、送信することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている機能を実施する処理回路は、単一のチップ上の集積回路内に集積されてもよい。処理回路の出力は、時間ドメインにおける組み合わせ信号である。組み合わせ信号は、処理回路が送信のためにトランシーバ330に提供することができる離散的信号であってもよい。処理回路はまた、上記信号を送信するようにトランシーバ330を制御するための制御機能を実装してもよい。トランシーバ330は、(例えば、処理回路によって)組み合わされた少なくとも2つのヌメロロジー(例えば、第1のヌメロロジーN1及び第2のヌメロロジーN2)を搬送するシンボルによって信号を送信するように構成されている。例えば、処理回路320は、バス301を介して、信号を送信するようにトランシーバ330を構成(制御)してもよい。トランシーバは、例えば、ワイヤレストランシーバであってもよい。
【0032】
図3Bは、メモリ310及びメモリ内に格納されている機能的コード部分の概略機能ブロック図を示す。機能的コード部分は、プロセッサ320上で実行されると、以下のようなそれぞれの機能を実施する。アプリケーションコード360は、複数のヌメロロジーの(OFDM)シンボルを生成するためのヌメロロジージェネレータを実装する。アプリケーションコード370は、PAPRを低減するように、送信パラメータ(位相調整、振幅調整、時間シフト、循環シフトなど)の推定を実施する。
【0033】
ここで、位相調整は、例えば、特定の調整値による位相のオフセットなどの、OFDMシンボルの位相の調整である。振幅調整は、乗数(係数)若しくはオフセット、又は両方であってもよい、振幅調整値による振幅の調整である。時間シフトは、例えば、事前に設定された(例えば、最適化によって)数のサンプルによる時間ドメインにおけるOFDMシンボルサンプルのシフトなどの調整である。循環シフトは、サンプルのシフト後に失われている第1のサンプル位置を、最後のサンプルと置き換えるシフトである。言い換えれば、シンボルサンプルは、循環的にシフトされる。適切なシフトを選択することによって、コスト関数を低減することもできる。例えば、
図2に示すものなどのCP-OFDMシステムにおいて、時間シフト又は循環シフトは、CPをシンボルに付加する前に実施されてもよい。
【0034】
アプリケーションコード380は、(OFDM)シンボルへの調整処理の適用などの、送信パラメータの適用を実施する。アプリケーションコード390は、複数のヌメロロジー(2つ以上)のシンボルを組み合わせ、組み合わせ信号xを送信のためにワイヤレストランシーバ330に出力する。ワイヤレストランシーバ330は、電力増幅器PAモジュール及びアンテナモジュールを含んでもよい。PAモジュールは、アンテナモジュールのそれぞれの1つ又は複数のアンテナから送信される信号を増幅するための1つ又は複数の電力増幅器を含んでもよい。ワイヤレストランシーバは、任意の既知のワイヤレストランシーバに対応してもよい。ワイヤレストランシーバは、さらなる構成要素を含んでもよい。さらに、ワイヤレストランシーバ330はまた、信号を受信するためのワイヤレスレシーバ部分も実装してもよい。
【0035】
上記で言及したように、プログラムコードは、処理回路(例えば、1つ又は複数のプロセッサを含む)に、本明細書において開示されている技法を実施するようにプログラムされている専用コンピュータとして動作させることができる。メモリ310は、
図3Aにおいては、処理回路とは別個のものであるように示されている。しかしながら、これは一例に過ぎない。概して、メモリ310は、処理回路内に、例えば、1つ又は複数のプロセッサ内に実装されてもよい。「メモリ」という用語は、任意のタイプの長期、短期、揮発性、不揮発性、又は他のメモリを指し、メモリのいかなる特定のタイプ若しくはメモリの数、又はメモリが格納される媒体のタイプにも限定されるべきではない。
【0036】
上記で言及したように、調整処理は、位相調整処理及び/又は振幅調整処理であってもよい。したがって、処理回路は、動作時、対応する決定された調整処理を複数の(OFDM)シンボルの各々に適用することができる。例えば、位相調整処理は、(OFDM)シンボルと乗算されることになる位相係数であってもよい。乗算の効果は、位相のシフトに対応するシンボルのわずかな回転であり得る。シンボルの調整を参照するとき、意味するところは、(CPも含んでもよい)シンボルサンプルの調整である。位相調整(修正)の代わりに又はそれに加えて、処理回路は、動作時、例えば、上記(OFDM)シンボルの振幅を振幅調整処理によって乗算することによって、シンボル振幅値をさらに調整してもよい。概して、調整処理は、シンボル(シンボルのサンプル)を調整値と乗算することによって若しくは調整値としてのオフセットを加算することによって、又は、他の演算によって実施されてもよい。しかしながら、調整処理はまた、循環シフトの修正、シンボル(シンボルのサンプル)の時間シフト、フィルタリング又はウィンドウイングによって実施されてもよい。そのような調整処理のパラメータは、コスト関数の最小化によって得られてもよい。パラメータは、上記で言及した調整値、又は、フィルタ係数若しくはウィンドウ特性の決定であってもよい。フィルタリング及びウィンドウイング手法によって、シンボル間干渉及びヌメロロジー間干渉の軽減を促進することができる。
【0037】
図4において、例示的な実施態様によるトランスミッタデバイス400のブロック図が示されている。いくつかの例示的な実施態様において、5G NRトランスミッタシステムブロック図のデジタルプロセスは、トランスミッタデバイスから出力される時間ドメイン信号xのPAPR値を低減するように修正される。トランスミッタ装置は、
図4の左手側に示されているように、データビットを入力される。上側分枝のデータビットは、下側分枝のデータビットとは異なり得る。上側分枝は、ヌメロロジーN1のリソースにマッピングされるデータビットを処理するためのパイプラインであり、一方、下側分枝は、ヌメロロジーN2のリソースにマッピングされるデータビットを処理するためのパイプラインである。ヌメロロジーN1及びN2は、例えば、
図2における上側部分a)に示すように混合されて、出力信号xが形成される。
【0038】
上側及び下側分枝のデータビットはそれぞれ、シリアル-パラレル(S/P)変換モジュール410_1及び410_2において並列化される。次いで、ビットはそれぞれの上側及び下側分枝のそれぞれのシンボルマッパ(SM)420_1及び420_2において変調シンボルにマッピングされる。変調シンボルs
1(0)、s
1(1)、...は、第1のヌメロロジーの周波数ドメイン信号を示す。上側分枝において、次いで、N
1変調シンボルが、逆高速フーリエ変換(IFFT)430_1によって変換される。下側分枝において、N
2変調シンボルが、逆高速フーリエ変換(IFFT)430_2によって変換される。変換のサイズは、異なるヌメロロジーN1とN2とで異なってもよい。
図2に示す例a)又は例b)において、第2のヌメロロジーは、第2のヌメロロジーのサブキャリア間隔の偶数倍(スケーリング係数)のサブキャリア間隔を有する。スケーリング係数は、a)においては2であり、b)においては4である。スケーリング係数は、対応して、IFFTのサイズを反比例的に統制するためにも使用されてもよい。
図4に示すように、帯域幅共有が等しいと仮定して、第1のヌメロロジーのIFFT入力の第2の半部(又は、概して第2の部分)及び第2のヌメロロジーのIFFT入力の第1の半部(又は、概して第1の部分)がゼロ詰めされて、周波数ドメインにおいて2つのヌメロロジーが分離される。しかしながら、ヌメロロジーの帯域幅は異なり得る。
図4は、IFFTが適用されることを示しているが、概して、別の(例えば、直交又は正規直交)逆変換が適用されてもよいことに留意されたい。例えば、逆離散フーリエ変換(DFT)、離散コサイン若しくはサイン変換、又は、そのような変換の整数バージョンなどが適用されてもよい。ここで、ベクトル(ヌメロロジーN1のサイズN
1又はヌメロロジーN2のサイズN
2を有する)への逆変換の適用は、OFDM演算、変調シンボルのサブキャリアへのマッピング、及び、ヌメロロジーN1のOFDMシンボル及びヌメロロジーN2の2つのOFDMシンボルの生成に対応する。N
1ポイントIFFT430_1の出力は、時間ドメインにおける離散的N
1ポイント信号(寸法N
1のベクトルと考えることができる)である。同様に、N
2ポイントIFFT430_2の出力は、時間ドメインにおける離散的N
2ポイント信号(寸法N
2のベクトルと考えることができる)、実際には、2つのそのようなN
2ポイント信号である。パラレル-シリアル(P/S)変換モジュール440_1及び440_2において、それぞれの上側分枝及び下側分枝OFDMシンボルが直列化される。
図4に示すように、ヌメロロジーN1(上側分枝)の1つのOFDMシンボルに対してヌメロロジーN2(下側分枝)の2つのOFDMシンボルが存在する。各OFDMシンボルは、サイクリックプレフィックスCPを付加される。ヌメロロジーN1に対応する上側分枝において、CP付加モジュール450_1が、第1の長さのCPをOFDMシンボルに付加し、以て、信号x
1が得られる。ヌメロロジーN2に対応する下側分枝において、CP付加モジュール450_2が、第2の長さのCPを2つのOFDMシンボルの各々に付加し、以て、信号x
2
1及び信号x
2
2が得られる。
図4のものを含むいくつかの例において、N1のCPはN2のCPよりも長く、これは、N1のSCSがN2のSCSよりも小さいことに対応する(
図2における上方部分a)を参照)。しかしながら、本開示はそのようなシナリオに限定されるものではない。概して、以下に説明するようなPAPR低減は、これらの条件が異なる事例に適用可能である。サンプル中のCPの長さは、ヌメロロジーパラメータに属し得る、事前に設定されたCP比によって統制され得る。上記で言及したスケーリング係数(
図2に示す例a)及び例b)における2又は4)は、第2のヌメロロジーを有するいくつのOFDMシンボルが、第1のヌメロロジーを有する1つのOFDMシンボルに対応するかを決定する。したがって、この例において、ヌメロロジーの各々のサンプルの数は同じであり、それらのサンプルを付加して、トランスミッタにおいて複合信号を形成することができる。しかしながら、このトランスミッタ側構成は、本開示の利用の可能性を限定するものではない。むしろ、PAPR比に関する本開示は、他の構成、例えば、利用されるIFFT長が同じであり、サンプルの数がスケーリングされる構成、又は、当該構成の他の様態の修正に等しく適用可能である。
【0039】
図5は、2つのヌメロロジーN1とN2との組み合わせを示す概略図である。いくつかの例において、N1のCPはN2のCPよりも長く、これは、N1のSCSがN2のSCSよりも小さいことに対応する(
図2における上方部分a)を参照)。しかしながら、本開示はそのようなシナリオに限定されるものではない。概して、以下に説明するようなPAPR低減は、これらの条件が異なる事例に適用可能である。
【0040】
図4及び
図5に示すように、(各ヌメロロジーの)OFDMシンボルx
1、x
2
1及びx
2
2は、位相係数
【数1】
、
【数2】
及び
【数3】
が乗算されて、低減した(場合によって、いくつかの実施形態においては最小の)PAPR値が得られる。上記で言及したように、また
図4にも示すように、それぞれのヌメロロジーN1及びN2の時間ドメインOFDMシンボル(場合によってはCPを有する)は、x
1及びx
2によって表現され、x
2は、
【数4】
のようにシンボルを隣り合わせて連結することによって生成される。本明細書において、「・」は連結を示す。連結は、2つのベクトルx
2
1及びx
2
2を連結して、2つのベクトルx
2
1及びx
2
2の長さを合計した長さを有するベクトルx
2を得ることであると考えることができる。シンボルx
1、x
2
1及びx
2
2は、位相係数
【数5】
、
【数6】
及び
【数7】
が乗算される。乗算(調整に対応する)は、連結の前又は後に実施されてもよい。異なるヌメロロジーのシンボル(例えば、x
1及びx
2)の調整処理(調整位相係数)は異なり得る。しかしながら、いくつかの入力データについて、それらの調整処理はまた、同じであってもよい。さらに、同じヌメロロジーのシンボル(例えば、x
2
1及びx
2
2)の調整処理は、異なり得る。しかしながら、いくつかの入力データについて、これらの調整係数はまた、同じであってもよい。
【数8】
という仮定によって最適化(コスト最小化)を制約することは、可能であり、複雑度がより低い。
【0041】
最適化モジュール450の入力は、OFDMシンボル(+それぞれのCP、適用される場合)x
1、x
2
1、x
2
2である。最適化モジュール450(対応する最適化プロセス)の出力は、最適な
【数9】
、
【数10】
及び
【数11】
位相及び/又は振幅係数であり、
【数12】
、
【数13】
、
【数14】
の時間ドメイン信号が得られる。演算子「*」は乗算を示す。その後、これらの信号が合計されて、信号xの低減したPAPR値が提供される。最適値又は最小値を参照するとき、意味するところは、特定の最適化手法によって特定のコスト関数を最適化することによって達成される最適値又は最小値である。コスト関数は、コスト又はコスト寄与としてのPAPRを含んでもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、コスト関数は、複数のそのようなコスト寄与値の組み合わせであってもよい。例えば、コスト関数は、PAPRだけでなく、例えばまた、ヌメロロジー間干渉などの関数であってもよい。いくつかの例示的な実施態様において、コスト関数は、PAPR又はINIなどの値(コスト寄与)の加重和であり、それらの値自体が、最適化が実施され得るさらなるパラメータの関数であってもよい。概して、コスト関数Cは、以下によって与えられる。
C=w1*F1(P1,P2,...)+w2*F2(P1,P2,...)+...
上記式におけるF1はPAPRに対応してもよく、F2はINIに対応してもよく、以下同様である。F1とF2の両方は、P1及びP2(又はさらなるパラメータ)などのいくつかのパラメータに依存してもよい。P1は、位相調整処理
【数15】
、
【数16】
及び
【数17】
(例えば、位相シフト又は位相係数)の選択に対応してもよく、P2は、振幅オフセット及び/又はスケーリング(乗算)に対応してもよく、P3は組み合わされたヌメロロジーの数に対応してもよく、P4は、特定のヌメロロジーの選択(例えば、SCS及び/又はシンボル長及び/又は時間単位あたりのシンボルの数など)に対応してもよく、P5は、循環シフト又は時間シフトなどに対応してもよい。本開示は、いかなる特定の数の関数F1、F2、...にも限定されず、いかなる特定の数のパラメータP1、P2、...にも限定されない。上記に示したように、コスト関数は、
【数18】
によって直接的に指定されてもよい。
【0042】
図4及び
図5に戻って参照すると、x
1+x
2のように異なるヌメロロジー(異なるヌメロロジーに関与するシンボルのそれぞれのサンプル)を合計した後、結果もたらされる合計信号xは、
図5に示すように、電力増幅器(PA)40を通過し、アンテナ50によって送信される。PA40及びアンテナ50は、ワイヤレストランシーバ330の一部であってもよい。PA40の電力効率を増大させるために、xのPAPR値は低くすべきである。
【0043】
PAPRは、以下によって計算することができる。
【数19】
上記式におけるx
nはサンプルnの振幅であり、nはサンプルインデックスであり、Nはサンプルの数である。言い換えれば、組み合わせ信号xは、ここでは第2のヌメロロジーのIFFTの長さ(+CP長、適用される場合)の2倍に対応する、第1のヌメロロジーのIFFTの長さN(+CP長、適用される場合)を有する。演算子E[.]は、|x
n|
2によって与えられる信号電力の期待される値(期待値)を示す。最適化は、異なる値の
【数20】
、
【数21】
、
【数22】
に対して送信処理を実施し、最小のPAPRをもたらす値を見つけることによって実施することができる。しかしながら、考慮される送信動作が、線形変換、及び/又は、
【数23】
、
【数24】
、
【数25】
による重み付けなどの線形動作のみを含む場合、そのような送信処理の実施は、特定の入力データビットの計算によって行うことができる。
【0044】
上記で言及したPTS手法以外に、
図3A~
図5を参照して説明した実施形態は、PAPR低減を実装しない混合ヌメロロジー技術と比較して、追加のIFFT動作を必要としない。効果及び利点は、複雑度が制限された効率的なPAPR低減の提供を含む。
【0045】
図6は、対応する方法のフローチャートである。方法は、少なくとも2つのヌメロロジー(N1、N2など)の複数のOFDMシンボル(x
1、x
2
1及びx
2
2など)を生成することを含む。OFDMシンボルの生成は、OFDMシンボルにCPを付加すること610を含んでもよく、以て、拡張OFDMシンボルが形成される。上記で言及したように、CP長は、異なるヌメロロジーについて異なってもよい。ヌメロロジーの数は、2つ、3つ、それ以上であってもよい。ヌメロロジーは、SCSが、及び、場合によってはまたOFDMシンボルの長さが、互いに異なる。OFDMシンボルの長さは、サンプルの数及び/又は持続時間を指してもよい。方法のステップ620において、複数のOFDMシンボルがPAPR低減処理への入力として取り込まれる。例えば、複数のOFDMシンボルは、複数のヌメロロジーの中でOFDMシンボル長が最長であるヌメロロジー(N1など)の1つのOFDMシンボルに対応してもよく、さらに、各ヌメロロジー(N2など)の複数のOFDMシンボルに対応してもよい。例えば、N1及びN2のOFDMシンボルは、時間ドメインにおいて位置整合される。例えば、最長のOFDMシンボルのサンプルの数は、各他のヌメロロジーについて、別のヌメロロジーの複数のOFDMシンボルのサンプルの数に等しい。
【0046】
ステップ630において、少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、複数のOFDMシンボルの各々について調整処理が決定される。調整処理は、特定の位相係数との乗算であってもよい。例えば、第1の調整処理は、第1の位相係数との乗算であり、第2の調整処理は、第1の位相係数とは別個に構成可能であり、したがって場合によっては異なる第2の位相係数との乗算である。これはまた、振幅調整にも適用可能である。
【0047】
ステップ640において、対応する決定された調整処理が、複数のOFDMシンボルの各々に適用される。例えば、シンボルサンプルが、決定された位相係数(これは、シンボルサンプルの位相に追加される位相オフセットに対応してもよい)と乗算される。
【0048】
ステップ650において、少なくとも2つのヌメロロジーが組み合わされる。組み合わせは、2つの異なるヌメロロジーのOFDMシンボルのサンプルごとの加算、又はそれらのOFDMシンボルの加重和などを含んでもよい。
【0049】
この例示的なシステムにおいて、CP付加後の異なるヌメロロジーの時間ドメイン信号が、最適化プロセスに対する入力として採られる620。このステップは例示であり、省略されてもよい(又は、単に一時的メモリなどから時間ドメイン信号を読み出すことによって実施されてもよい)。時間ドメイン信号において、構造は、
図5に示したものとすることができる。i番目のヌメロロジーのSCS(Δf
i)とシンボル持続時間(T
i)との間の関係は、以下のように表記することができる。
【数26】
シンボル持続時間が最も長いヌメロロジーの1つのシンボルは、他のヌメロロジーの複数のシンボルと位置整合する。PAPRを低減するために、混合ヌメロロジーシステム内の各シンボルは、最適な位相係数
【数27】
と乗算され、jはi番目のヌメロロジーのシンボルインデックスを表す。「最適」という用語は、ここでは、コスト最小化の結果を指し、大域的最適である必要はない。むしろ、下記に示すように、最適化は、結果が許容可能である場合には停止されてもよい。マルチヌメロロジーの各シンボルが位相係数と乗算されるため、この乗算効果は、レシーバにおけるチャネル等化中に除去することができる。したがって、位相係数にサイド情報は必要とされない。したがって、そのようなPAPR低減は、レシーバ側に一切修正を加えることなく、5G NR混合ヌメロロジーシステムに適用することができる。同様の手法が、IEEE802.11beなどのWiFi又は他の規格に採用されてもよい。さらに、PAPR低減は、通信システムの任意のデバイスに適用されてもよい。例えば、送信は、ユーザ機器(UE)によるアップリンク送信、UEによる(例えば、デバイス間通信における)サイドリンク、及び/又は、5G NR若しくは別のワイヤレスセルラ規格の基地局(例えば、gNB)などのネットワークノードによるダウンリンク送信であってもよい。送信は、STAによる送信、及び/又は、WiFiコンテキストにおける送信であってもよい。概して、混合ヌメロロジーを利用する任意の他の規格又は独自仕様の実施態様が、PAPR低減を適用することができる。
【0050】
位相係数乗算が、PAPR値を最小化するために例示されているが、振幅乗算、時間シフト、フィルタリングなどのような異なる手法を利用して(例えば位相調整に加えて又は位相調整とは別個に)、最小PAPR値のために信号を最適化することができる。対応して、処理回路は、コスト関数の最小化によって決定されるタイミングシフト値、並びに/又は、フィルタリングパラメータによるフィルタリング及び/若しくはウィンドウイングパラメータを複数のOFDMシンボルの各々に適用するように構成することができる。フィルタリングパラメータは、フィルタ次数、フィルタタイプ、及びフィルタ係数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0051】
上記で言及したように、PAPRは、適切なシンボル調整処理を選択することによって低減することができる。加えて、PAPRは、処理回路(320)が動作時、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は所定のヌメロロジーセットの中の少なくとも2つのヌメロロジーを選択するという点において、さらに低減することができる。選択は、(選択される可能性がある)数の(選択される可能性がある)ヌメロロジーを組み合わせることによって生成されるシンボルのPAPRに基づいてもよい。言い換えれば、シンボルサンプルの調整に加えて、以下のうちの1つが、PAPRをさらに低減するために選択されてもよい。
a)ヌメロロジーの数(量)。数は、2以上であってもよい。選択はまた、単一のヌメロロジーももたらしてもよい。
b)ステップa)において決定されたヌメロロジーの数に基づいて、所定のヌメロロジーセットの中からヌメロロジー(1つ又は複数)が選択されてもよい。これは、選択された数のヌメロロジーのパラメータを決定することに対応する。いくつかの実施形態において、ヌメロロジーのうちの1つは事前に規定されてもよいことに留意されたい。例えば、規格又は実施態様によって、ヌメロロジーのうちの1つが常にN1であることが規定されてもよい。このとき、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の追加のヌメロロジーのみが選択される。この選択は、ヌメロロジータイプ又はパラメータ選択として参照される場合がある。そのようなタイプ又はパラメータは、SCS及び/若しくはCP長並びに/又は他の値を規定され得る。
c)ヌメロロジーの事前に構成された数に基づいて、所定のヌメロロジーセットの中からヌメロロジー(1つ又は複数)が選択されてもよい。事前に構成された数は、規格によって規定されてもよく、又は、より高次の層の制御プロトコル(無線リソース制御RRCプロトコルなどのシグナリング)によって構成されてもよい。
【0052】
いくつかの例示的な実施態様において、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は組み合わされるべき少なくとも2つのヌメロロジーの選択は、(調整処理に加えて)組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は少なくとも2つのヌメロロジーに応じて上記コスト関数を最小化することによって実施される。
【0053】
その中から選択が実施される所定のヌメロロジーのセットは、規格において規定されてもよく、又は、すべての可能なヌメロロジーのより大規模なセットのサブセットとして構成可能であってもよい。ヌメロロジーの数及びタイプの決定は、ともに選択されてもよいことに留意されたい。このとき、ヌメロロジーの選択は、通常のようにトランスミッタ(Tx)からレシーバ(Rx)へとシグナリングされてもよい。
【0054】
いくつかの例示的な実施態様によれば、処理回路は、所定の調整処理セットの中からの調整処理のコスト関数を決定し、所定の調整処理セットの中から、最低のコスト関数が達成される調整処理を選択することによって、調整処理の上記決定を反復的に実施するように構成されている。調整処理のセットは、例えば、(規格において又は事前に構成されて)提供され得る{0,pi/2,pi,3*pi/2}などの位相のセットであってもよい。このとき、位相は、これらの位相に対してそれぞれコスト関数値C1~C4を計算するために使用される。最低のコスト値をもたらす位相が選択される。
【0055】
いくつかの反復的実施態様は、位相調整にわたる反復に加えて、振幅調整処理にわたる反復、ヌメロロジーの数({1,2,…,N}など)にわたる反復、及び/又は、ヌメロロジーのタイプ({15kHz、30kHz、60kHz、120kHz}の中からのSCS)にわたる反復を含んでもよいことに留意されたい。反復は、例えば、ヌメロロジーの数及びヌメロロジーのタイプ及び位相調整処理のすべての組み合わせにわたって実施されてもよい。組み合わせの他の例が可能であり、当業者には明らかである。
【0056】
上記で言及したように、代替的に又は加えて、他のタイプの調整処理にわたって反復が実施されてもよい。例えば、反復は、事前に設定された循環シフト若しくは時間シフトのセットにわたって、複数の異なるフィルタ若しくはウィンドウにわたって、及び/又は、PAPRに影響を及ぼし得る任意の他のパラメータにわたって行われてもよい。
【0057】
いくつかの例示的な実施態様によれば、反復は、コストが停止閾値よりも低くなると停止される。停止閾値は、規格において事前に規定されてもよく、又は、トランスミッタデバイスの性能、サービス要件、電池/電源ステータスなどのようないくつかのパラメータに基づいて事前に構成されてもよい。例えば、より低い性能、より遅延が致命的でないサービス、低バッテリ、又は概して電力を節約する設定を有するトランスミッタデバイスが、より高い閾値を有してもよく、これによって、場合によってより高いPAPR、すなわち、達成可能な最小値から離れている可能性があるPAPRについて、反復が終了することになる。試験される(PAPRが決定及び記憶される構成)、組み合わせの数の制限などの異なる終了基準が、最適化中に使用されてもよいことに留意されたい。そのような最適化は、最も有望なものから始まる、試験される組み合わせの何らかの順序付けによって達成されてもよい。追加の又は代替的な終了基準が提供されてもよい。
【0058】
反復はすべての可能な設定にわたって実施される必要はないことに留意されたい。設定はまた、ランダムに採られてもよく、反復の回数は事前に構成されてもよい。例えば、すべての可能なヌメロロジーにわたって進行するが、位相調整処理及び振幅調整処理などのすべての異なる組み合わせのサブセットのみを試行する混合ソリューションが可能である。
【0059】
要約すると、いくつかの実施形態において上述した例を含む送信デバイスは、コスト関数の最小化を反復的に実施するように構成されている処理回路を有する。最小化の実施は、実際の最小値が見つからなければならないことを意味するものではない。むしろ、PAPRの何らかの低減が、他の構成よりもPAPRが低い構成を選択することによって達成されてもよい。例えば、各反復は、ヌメロロジーの数、及び、得られる数のヌメロロジーの各々のサブキャリア間隔を得ることと、これらのヌメロロジーの組み合わせによって生成される信号のPAPRを決定することとを含む。このとき、処理回路は、複数の反復の中で最低のPAPRをもたらす2つ以上のヌメロロジーを選択するように構成されている。ヌメロロジーの数及びタイプ(SCS、シンボル長など)のいずれか又は両方が選択されてもよいことに留意されたい。いくつかの実施態様は、すべてのPAPR値を記憶し、反復後に最良の値を選択してもよく、又は、常に、以前に記憶されたPAPR値よりも低いPAPR値及び対応する構成のみを記憶してもよい。
【0060】
図8及び
図9を参照しながら下記に示すように、調整処理は、PTS手法と組み合わされてもよい。
【0061】
ヌメロロジーの構成を調整することによるPAPR低減
いくつかの例示的な実施態様において、マルチヌメロロジーの数及びタイプは事前に決定される。例えば、ヌメロロジーの数及びタイプは、システム要件に基づいて構成される。そのようなシステム要件は、例えば、通信デバイス(送信デバイス)の性能、サービス要件、システムの負荷などであってもよい。一方の側に基地局(又はアクセスポイント、又は一般的にネットワークノード)を有し、他方の側にユーザ機器(又はステーションSTA、又は一般的に端末)を有する、階層的に編成されたシステムにおいて、ヌメロロジーは、ネットワークノードによって構成されてもよく、構成は、端末に提供されてもよい。しかしながら、構成はまた、特定の構成を要求する端末と協働して実施されてもよい。同様に、2つのデバイスの間のデバイス間通信(直接通信)は、使用されるヌメロロジーが通信デバイスの間でネゴシエートされる初期段階を有してもよい。上述したようなPAPR低減について、そのように構成されたヌメロロジーは仮定である。これは、提案されているPAPR低減が(事前に)選択されたヌメロロジーに基づいて適用されることを意味する。
【0062】
しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、マルチヌメロロジーの数及びタイプが、PAPRを低減するように選択される。言い換えれば、いくつかの実施形態によれば、混合ヌメロロジーを使用するシステムにおけるPAPR低減のためのヌメロロジースケジューリングが提供される。結果としてのPAPRに基づくそのようなヌメロロジースケジューリングが、
図3A~
図6を参照して上述したようなOFDMシンボルに適用される調整処理に代えて又はそれに加えて使用されてもよい。
【0063】
図7は、例示的な方法のフローチャートを示し、PAPR低減は、ヌメロロジーの数及びタイプの選択に基づく。方法は、所定のヌメロロジー、すなわち、通信システム又は送信デバイス向けに構成可能であるヌメロロジーのセットによって開始する710。例えば、5G-NRヌメロロジーのセットは、15、30、60、及び120kHzの異なるSCSについて規定される。しかしながら、このセットは、様々な通信システムについて別様に生成することができる。言い換えれば、構成可能なヌメロロジーの数は、3つ以上(一般的に2つ以上)であってもよい。セット内のヌメロロジーは、SCSのみが、又は、SCSの組み合わせ及びCP長などのような他の1つ若しくは複数のパラメータが異なってもよい。
【0064】
ヌメロロジーセットが規定された710後、送信に使用されることになる複数のヌメロロジーの数が決定されてもよい720。次いで、ヌメロロジーの数に基づいて、ヌメロロジー(送信のために組み合わされるヌメロロジー)のタイプが決定される730。例えば、ヌメロロジーセットが4つのヌメロロジーから成るものとする。このとき、送信に使用されることになる2つのヌメロロジー、及び、次いで2つのヌメロロジーが、15及び30kHzヌメロロジーとして割り当てられることが判断される。ヌメロロジーが生成された後、複数のヌメロロジーの信号が、IFFT動作(受け入れ可能なヌメロロジーに対する430_1及び430_2の処理に対応する)によって、時間ドメインに変換される。次いで、これらの信号が、1つの信号xに合計され740、合計信号のPAPR値が計算される750。このPAPR値、及び、ヌメロロジーの数、ヌメロロジーのタイプの他の組み合わせについて計算された値が保存されて760、後に、最小のPAPR値を有する信号が判断される770。
【0065】
図7の例において、710において決定されたセットに属する複数のヌメロロジーの数及びタイプのすべての組み合わせについて、同じ処理720~760が反復的に実施される。最後に、これらの組み合わせの中で最小のPAPR値を有する信号が、PAPRとヌメロロジーの対応する数/タイプとの間の保存された関連に基づいて、770において選択される。
【0066】
図7の方法は例示に過ぎないことに留意されたい。一般に、ヌメロロジーの数は、最適化によって決定される必要はない。例えば、ステップ720は、反復処理の一部として実施される必要はない。代わりに、送信に使用されることになるヌメロロジーの数は、例えば、性能、サービス要件、リソース利用などに基づいて事前に決定されてもよい。このとき、(PAPRを低減する)最適なヌメロロジーを求める探索730が、反復的に実施されてもよい。
【0067】
上記の例において、送信のためのヌメロロジーの数及び/又はヌメロロジーのタイプの決定720及び/又は730は、少なくとも3つのヌメロロジーから成るセットのピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数の最小化によって実施されてもよいことに留意されたい。「最小化に基づく」という用語は、最小解を達成する必要はないことを暗示する。むしろ、決定は、コスト最小化手順によって実施される。これは、本明細書に記載されている例及び実施形態のいずれか、例えばまた、調整処理決定に基づくPAPR低減にも適用可能である。
【0068】
例えば、計算複雑度を低減するために、すべての組み合わせを処理する代わりに、閾PAPR値を適用して反復を終了することができる。この結果として、結果が準最適になる可能性があるが、依然としてPAPRを低減することができ、又は、少なくとも、許容可能な値を有するPAPRをもたらすことができる。例えば、信号のPAPR値が、
図7を参照して説明した反復の中の特定の反復において閾値よりも小さい場合、最小のPAPR値を有する信号を見つけるプロセスが停止され、閾値よりも小さいPAPR値をもたらす構成が採られる。この手法は、上述したような調整処理決定、又は、ヌメロロジー決定(数及び/又はタイプ)と調整処理との任意の組み合わせにも適用可能である。また、調整処理決定を参照して上述したものと同様の、反復を終了するための代替形態又は追加の手法も適用される。
【0069】
いくつかの実施形態において、ヌメロロジーは、PAPR低減のためのヌメロロジーセットから選択されてもよい。さらに、単一ヌメロロジー選択が、提案されている方法において可能である。コスト関数は、PAPRに限定されず、INIなどのさらなるコストを含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、装置は、
図3Aに示すものと同じように見えてもよい。それぞれのモジュール又はプログラムコード部分は、ヌメロロジーの数及びタイプの最適化に基づいて、並びに、調整処理の最適化のための上述したアーキテクチャに基づいて、PAPR低減のステップを実施してもよい。
【0071】
長期化しているOFDMのPAPR問題に対処するために、マルチヌメロロジーシステムにおける柔軟なヌメロロジースケジューリングを、PAPR低減にさらに利用することができる。したがって、異なるヌメロロジースケジューリングを有する信号のセットが、
図11に示すようにPAPRを最小化するために生成されてもよい。マルチヌメロロジースケジューリング方法において、上記で言及したヌメロロジー選択に加えて、さらなるパラメータが最適化されてもよい。例えば、ヌメロロジー、帯域幅、及び電力などの3つの構成パラメータが考慮されてもよい。したがって、それぞれの可能な構成を含む、ヌメロロジー、帯域幅、及び電力から成る3つのセットを規定することができる。このとき、PAPRを含むコスト関数の最小化が、適用されることになる構成を決定するために適用されてもよい。
図11は、選択されたヌメロロジー1~M(図面においてはヌメロロジー1~Mである、何らかの事前に構成されているヌメロロジーセットの中からの)が位置し得る可能な帯域B
1...B
Mを示し、場合によって電力値オフセットがそれぞれのヌメロロジーに適用されている。本開示のいくつかの特徴は、(限定ではないが)以下を含む。
・混合ヌメロロジーのためのPAPR低減技法。
・混合ヌメロロジーのための技法。これはまた、下記に説明するようにPTSベースであってもよい。
・新規のマルチヌメロロジー構造の利点を取り入れながら、追加の混合ヌメロロジーシステムと比較してIFFT処理が追加されない。
・最適化の計算複雑度が、PTS技法と実質的に同じである。
・いくつかの既存の混合PAPR技法よりも計算複雑度が低い。
【0072】
基本的に、本開示は、PAPRを低減する目的に、5G-NRマルチヌメロロジー概念を巧妙に利用することを示す。
【0073】
本開示は、セルラ通信ネットワークに限定されないことに留意されたい。加えて、本開示は、混合ヌメロロジー概念を利用する任意のプラットフォームにおいて適用及び利用され得る。強力な候補の1つが、ローカルエリアネットワーキングに関係する、WiFiアライアンスである。WiFiは、OFDMを波形として使用しており、PAPRに関する同じ問題に直面している。したがって、混合ヌメロロジーはまた、将来的にWiFiアクセスにも実装され得る。本開示の可能な利点の1つは、システムに関していかなる追加の仮定も行うことなく既存の通信規格をサポートすることである。
【0074】
部分系列伝送PTSを含むPAPR低減
上記で言及したように、OFDMには部分系列伝送(PTS)が存在する。PTSは、入力シンボルをサブブロックに分割し、IFFTによってそれらのサブブロックを変換する。各サブブロックは、位相係数のすべての組み合わせと乗算される。区切りの位相をシフトした後、PAPRを最小化するための最適な位相が得られる。最近のPTS技法の1つが、Y.A. Jawhar、L. Audah、M.A. Taher、K.N. Ramli、N.S.M. Shah、M. Musa及びM.S. Ahmedによる「A Review of Partial Transmit Sequence for PAPR Reduction in the OFDM Systems」(02.2019)において説明されている。PTS技法は、上述した実施形態と組み合わされてもよい。
【0075】
図8は、そのような送信デバイス800を示す。データビットが、2つの異なるヌメロロジーを表す2つの分枝に挿入される。S/P変換及び変調マッピング(これまでのところ、両方とも任意選択である)、PTS PAPR低減技法は、スペクトル全体をサブバンド(この例ではV=4)に分割し、次いで、トランスミッタにおいて各サブバンドに対してIFFTを行う。P/S変換、及び、それぞれのサブバンドのIFFTによって得られる信号の各々についてCPの付加の後、時間ドメインにおいて、これらの信号(CPを有するサブシンボルに対応する)は、PAPRを低減(最小化)するために、別個に位相係数(概して、位相調整処理及び/又は振幅調整処理であってもよい調整処理)と乗算される。
図8に示すように、PTS最適化ユニット810は、上側分枝においてサブシンボルp
1’、p
2’、p
3’、及びp
4’を入力され、各それぞれのサブシンボルに対応する調整処理(ここでは位相係数)b
1’、b
2’、b
3’、及びb
4’を選択する。b
1’、b
2’、b
3’、及びb
4’に対する所定回数の反復についていくつかのランダム値を試験し(又は、値のすべての可能な組み合わせを試験し)、最低のPAPRをもたらす値を選択する最適化が実施されてもよい。
【0076】
同様に、最適化モジュール820において、サブシンボルp1’’、p2’’、p3’’、及びp4’’が下側分枝に入力され、各それぞれのサブシンボルに対応する調整処理(ここでは位相係数)b1’’、b2’’、b3’’、及びb4’’が選択される。b1’’、b2’’、b3’’、及びb4’’に対する所定回数の反復についていくつかのランダム値を試験し(又は、値のすべての可能な組み合わせを試験し)、最低のPAPRをもたらす値を選択する最適化が実施されてもよい。
【0077】
これらの上側及び下側分枝において、最適化は他のパラメータ(振幅調整処理など)を含んでもよく、コスト関数もまた、さらなるコスト寄与(例えばINI)を含んでもよい。
図8の例において、サブブロック(サブバンド)の数は、上側分枝と下側分枝の両方について4である。しかしながら、これは一例に過ぎず、他の例において、サブバンドの数は分枝の間で異なってもよい。上記で言及したように、3つ以上の混合されたヌメロロジーに対応する3つ以上の分枝が存在してもよい。
【0078】
最適化810及び820は、PAPR低減のPTS部分に属する。トランスミッタはまた、位相調整b1’、b2’、b3’、及びb4’並びにb1’’、b2’’、b3’’、及びb4’’のサイド情報も、レシーバに提供してもよい。調整b1’’、b2’’、b3’’、及びb4’’は、2つのシンボルx2
1及びx2
2の各々について別個に提供されてもよい。レシーバにおいて、位相のサイド情報は、シンボルを復号(再構築)するために使用される。上側分枝の結果は、x1に対応する1つの信号である。下側分枝の結果は、2つの信号x2
1及びx2
2である。これらの信号は、それぞれの位相調整係数によって重み付けされたサブシンボル信号を組み合わせる(ここでは、連結する)ことによって得られる。次いで、連結の結果が、第1のヌメロロジーの調整済み(重み付き)シンボルx1に組み合わされる(ここでは、追加される)。PTSは、有効なPAPR低減方法であるが、複数のIFFT動作のために、計算複雑度を増大させ得る。
【0079】
PTSベースの調整パラメータの選択の後、モジュール850は、上記の実施形態及び例において(例えば、
図3A、
図3B、
図5を参照して)説明したPAPR低減に対応する。例えば、最適化モジュール830は、それぞれのシンボルx
1、x
2
1及びx
2
2に対する調整処理(この例ではそれぞれの位相調整値による位相調整処理)
【数28】
、
【数29】
、
【数30】
を決定する。次いで、調整値は、この例においてはシンボルを位相係数である調整値と乗算することによって、シンボルx
1、x
2
1及びx
2
2を修正するために使用される。シンボル(シンボルサンプル)の位相をαだけシフト(オフセット)することは、シンボルをexp(jα)などの位相係数と乗算することに対応することに留意されたい。修正シンボルx
2
1及びx
2
2は連結されて、修正シンボルx
1に加算される。
【0080】
図8に示す例示的な実施態様は、PAPRを低減するためにPTSを上述した実施形態と組み合わせる唯一の方法ではない。さらなる可能性が存在し得る。送信デバイス900の別の例が、
図9に示されている。
図9においては、単一の(場合によっては共同の)最適化900が実施される。
【0081】
例えば、入力データビットは、上記の例と同様に取り扱われる。入力データビットは、各ヌメロロジー、この例では、上側及び下側の2つの分枝に対応する2つのヌメロロジーに提供される。2つの分枝はまた、上部及び下部、又は第1の分枝及び第2の分枝として参照される場合もある。各分枝において、データビットは、並列化され(S/P)、所定の変調の変調シンボル(SM)にマッピングされる。変調シンボルは、離散スペクトル(帯域)を規定するか、又は、言い換えれば、時間-周波数リソースグリッドのサブキャリアにマッピングされると(仮想的に)考えられる。次いで、これらの変調シンボルは、サブバンドに分割される、すなわち、複数の変調シンボルグループ(この例では4つ)にグループ化される。グループ(サブバンド)の各々は、(離散)IFFT(一般に、上記で言及したような、任意の逆変換)によって時間ドメインに別個に変換され、直列化され(P/S)、CPを付加される。次いで、調整値b1
1’’、b2
1’’、b3
1’’、及びb4
1’’、b1
2’’、b2
2’’、b3
2’’、及びb4
2’’、並びにb1’、b2’、b3’、及びb4’の共同最適化を実施して、低減されたPAPRをもたらすこれらの調整値の組み合わせを得ることができる。最適化は、K個の組み合わせの中から最良の組み合わせを選択することによって実施されてもよい。K個の組み合わせは、すべての可能な組み合わせであってもよい。しかしながら、Kはまた、2よりも大きい、何らかの事前に構成された数であってもよく、組み合わせは、すべての可能な組み合わせの中からランダムに生成されてもよい。調整は、サイド情報としてシグナリングされてもよい。しかしながら、上記で言及したように、位相及び振幅調整の場合、レシーバはチャネル推定及び等化処理によって調整を補償することができるため、シグナリングを回避することができる。他方、調整処理が、循環シフト、時間シフトなどのような他の調整を含む場合、受信信号を適切に検出するために、サイド情報が適切であり得る。
【0082】
例えば、PTSとの組み合わせに関するいくつかの実施形態は、位相/振幅の調整に限定されない。むしろ、位相/振幅調整処理に加えて、又はそれに代えて、時間シフト/循環シフトが最適化されてもよい。例えば、時間ドメインにおける各サブブロック系列の循環シフトが、PAPRを低減するための最適な系列を見つけるために実施されてもよい。言い換えれば、最適化された循環シフトが、時間ドメインにおける各サブブロックについて決定されてもよい。この動作(調整処理)は、位相及び振幅調整と異なり、いかなる乗算演算も使用しない。したがって、この動作は、計算複雑度をより低くすることができる。
【0083】
要約すると、いくつかの実施形態における送信デバイスは、少なくとも2つの組み合わされたヌメロロジーについて(例えば、組み合わされる1つ若しくは複数又はすべてのヌメロロジーに対して)、以下を行うように構成されている処理回路を有する。
・(例えば、入力データビットを変調シンボルにマッピングすることによって)送信されるデータに対応する変調シンボルを得ること。
・(例えば、変調シンボルを2つ以上のグループに交互に割り当てること、又は、変調シンボルのチャンクを2つ以上のグループに交互に割り当てることなどによって)変調シンボルを変調シンボルの2つ以上のグループに逆多重化すること。
・2つ以上のグループの各々について、
上記グループを逆変換することによってサブシンボルを生成し、
PAPRを含むコスト関数を最小化することに基づいて、修正値、又は、一般的に調整処理を決定し(例えば、位相及び/又は振幅調整を決定する、時間シフト、循環シフトを選択するなど)、
(例えば、位相をシフトするか又は振幅を修正することなどによって)修正値をサブシンボルに適用すること。
・(例えば、加算及び/又は連結によって)サブシンボルを1つのヌメロロジーのシンボルに組み合わせること。
【0084】
例示的且つ非限定的なレシーバ動作
上記で言及した実施形態及び例は、存在する混合ヌメロロジー概念を有する任意のプラットフォームにおいて適用及び利用され得る。加えて、本開示の主題は、システムに関していかなる追加の仮定も行うことなく既存の通信規格を完全にサポートする。
【0085】
例えば、
図10は、上述したトランスミッタによって送信される信号を受信し、データビットを出力として提供することができる例示的なレシーバを示す。上記で言及したように、トランスミッタは、レシーバへの追加のシグナリングなしに動作することができ、結果、レシーバデバイスは、いくつかの実施形態においては変更されないままであってもよい。
【0086】
しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。より大きい柔軟性を提供するために、トランスミッタは、PAPR低減に関する何らかのシグナリングをレシーバに提供してもよい。例えば、トランスミッタは、修正/調整値などの何らかの支援パラメータ、又は、一般的に、特に実施形態を含むPTSの別の調整処理の何らかのパラメータを、レシーバにシグナリングしてもよい。さらに、ヌメロロジーの数及びタイプが、典型的には、トランスミッタからレシーバへとシグナリングされる。
【0087】
図10のレシーバ1000は、時間ドメイン信号を受信するための少なくとも1つのアンテナ10を有するレシーバフロントを備える。レシーバフロント(詳細には示さない)は、受信信号をサンプリングする。次いで、信号のサンプルは、2つ以上のヌメロロジー(
図10の例では、N1及びN2分枝に対応する2つのヌメロロジー)に分離される。分離は、例えば、当業者には明らかであるように、時間位置整合、SCS選択及びヌメロロジーの実質的な直交性に起因して、可能である。次いで、各ヌメロロジーの信号が、別個に(ここでは、第1の上側分枝及び第2の下側分枝において)処理される。CP除去モジュール1010_1において第1のヌメロロジーN1の信号からCPが除去され、CP除去モジュール1010_2において第2のヌメロロジーN2の信号からCPが除去される。信号は、S/Pモジュール1020_1及び1020_2において並列化される。次いで、トランスミッタ(例えば、430_1及び430_2)において適用されている逆変換に対応する、(逆ではなく順)フーリエ変換(FFT)が、変換モジュール1030_1及び1030_2において実施される。
【0088】
チャネル推定及び等化モジュール1040_1及び1040_2において、周波数及び位相シフトを検出するためにチャネル推定が実施されてもよい。既存の手法のいずれもが使用されてもよい。このように、トランスミッタにおいて実施されている位相及び/又は振幅調整を、追加のシグナリングなしに検出することができる。他方、循環シフト又は他のパラメータの選択に関する調整処理に対してはサイド情報が適切であり得る。対応して、検出された周波数及び/又は位相シフトが補正(等化)され得る。チャネル推定及び等化はまた、信号の振幅に関係するチャネル特性(チャネルマトリックス)の決定及びそれに応じた等化も含んでもよい。
図10に見てとれるように、チャネル推定及び等化は、PTS部分の場合は修正/調整処理(例えば、位相調整処理)などのサイド情報を入力されてもよい。次いで、変調シンボルに対応する等化された時間ドメインサンプルが、デマッピングモジュールSDM1050_1及び1050_2においてデマッピングされ、それぞれモジュールP/S1060_1及び1060_2において直列化される。
【0089】
いくつかの実施形態において、例えば、ヌメロロジーの数(次いで、入力信号を処理するための分枝の数が決定される)及び/又は選択されているヌメロロジーなどの、ヌメロロジー選択もシグナリングされる。
【0090】
ソフトウェア及びハードウェアにおける実施態様
本明細書に記載されている方法論(トランスミッタ側及びレシーバ側における)は、用途に応じて様々な手段によって実装されてもよい。例えば、これらの方法論は、ハードウェア、オペレーションシステム、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの2つ若しくはすべての任意の組み合わせにおいて実装されてもよい。ハードウェア実施態様について、1つ又は複数のプロセッサを含んでもよい、任意の処理回路が使用されてもよい。例えば、ハードウェアは、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、任意の電子デバイス、又は、上述した機能を実施するように設計されている他の電子回路ユニット又は要素のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0091】
プログラムコードとして実装される場合、送信装置(デバイス)によって実施される機能は、1つ又は複数の命令又はコードとして、メモリ310又は任意の他のタイプのストレージなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによって又は一般的に処理回路320によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であってもよい、物理的コンピュータ記憶媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、半導体ストレージ、又は他の記憶デバイスを含んでもよい。いくつかの特定の非限定的な例は、コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、Blu-ray(登録商標)(BD)ディスクなどを含む。異なる記憶媒体の組み合わせも可能であり、言い換えれば、分散及び異種ストレージが利用されてもよい。
【0092】
上記で言及した実施形態及び例示的な実施態様は、いくつかの非限定例を示す。特許請求されている主題から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解される。例えば、修正は、本明細書に記載されている中心概念から逸脱することなく、例を新規のシステム及びシナリオに適合させるために行われてもよい。
【0093】
選択される実施形態及び例
要約すると、複数のヌメロロジーを用いるシステムにおいてPAPRを低減するための方法及び技法が説明される。PAPRは、いくつかの所定のパラメータについてのPAPRを含むコスト関数の最小化によって低減される。例えば、PAPRは、OFDMシンボル位相及び/若しくは振幅を調整するための位相及び/若しくは振幅調整、又は、送信のために組み合わせるヌメロロジーの数及び/若しくはタイプ、並びに/又は、時間シフト、循環シフトなどのようなPAPRに影響を及ぼす可能性がある他の送信パラメータについて最小化されてもよい。
【0094】
少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成することと、少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて複数のOFDMシンボルの各々について調整処理を決定することと、調整済みOFDMシンボルを提供するためにシンボル向けに決定された調整処理を複数のOFDMシンボルの各々に適用することと、少なくとも2つのヌメロロジーの調整済みOFDMシンボルを組み合わせることとを行うように構成されている、処理回路(320)と、少なくとも2つのヌメロロジーの調整済みOFDMシンボルを組み合わされたものとして搬送する信号を送信するように構成されているトランシーバ(310)とを備える、送信デバイスが提供される。
【0095】
例えば、調整処理は、位相調整、振幅調整、時間シフト、循環シフト、フィルタリングパラメータ、及びウィンドウイングのうちの少なくとも1つである。
【0096】
例えば、処理回路(320)は、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は所定のヌメロロジーセットの中の少なくとも2つのヌメロロジーを、組み合わせによって生成されるシンボルのPAPRに基づいて選択するように構成されている。
【0097】
例えば、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は組み合わされるべき少なくとも2つのヌメロロジーの選択は、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は少なくとも2つのヌメロロジーを含むコスト関数を最小化することによって実施される。
【0098】
いくつかの実施形態において、コスト関数は、ヌメロロジー間干渉をさらに含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、処理回路は、所定の調整処理セットの中からの調整処理のコスト関数を決定し、所定の調整処理セットの中から、最低のコスト関数が達成される調整処理を選択することによって、調整処理の決定を反復的に実施するように構成されている。
【0100】
いくつかの実施形態において、処理回路は、少なくとも2つのヌメロロジーのうちの少なくとも1つのヌメロロジーについて、送信されるべきデータに対応する変調シンボルを得ることと、変調シンボルを、変調シンボルの2つ以上のグループに逆多重化することと、2つ以上のグループの各々について、グループを逆変換することによってサブシンボルを生成することと、PAPRを含むコスト関数を最小化することに基づいて調整処理を決定することと、調整処理をサブシンボルに適用することと、サブシンボルを少なくとも1つのヌメロロジーのシンボルに連結することと、を行うように構成されている。
【0101】
送信デバイスが提供され、送信デバイスは、所定のヌメロロジーセットからのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、所定のヌメロロジーセットから少なくとも2つのヌメロロジーを決定することと、少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成することと、少なくとも2つのヌメロロジーの複数のOFDMシンボルを組み合わせることとを行うように構成されている、処理回路と、少なくとも2つのヌメロロジーのOFDMシンボルを組み合わされているものとして搬送する信号を送信するように構成されているトランシーバとを備える。
【0102】
例えば、少なくとも2つのヌメロロジーを決定することは、(i)ヌメロロジーの数を決定すること、及び(ii)少なくとも1つのヌメロロジーのサブキャリア間隔を決定することのうちの少なくとも1つを含む。
【0103】
例えば、処理回路は、コスト関数の最小化を反復的に実施するように構成されており、各反復は、ヌメロロジーの数、及び、当該数のヌメロロジーの各々のサブキャリア間隔を得ることと、これらのヌメロロジーの組み合わせによって生成される信号のPAPRを決定することと、反復の中で最低のPAPRをもたらす2つ以上のヌメロロジーを選択することとを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、反復は、コスト関数が停止閾値よりも低くなるとき、及び/又は、反復回数が事前に構成された値に達したときに停止される。
【0105】
いくつかの実施形態において、処理回路は、第1のヌメロロジーにマッピングされる第1の入力データ及び第2のヌメロロジーにマッピングされる第2の入力データを得ること、第1の入力データを第1の変調シンボルにマッピングし、第2の入力データを第2の変調シンボルにマッピングすること、第1の変調シンボル及び第2の変調シンボルを第1のOFDMシンボル及び第2のOFDMシンボルに逆変換すること、並びに、第1のOFDMシンボル及び第2のOFDMシンボルの中からの各OFDMシンボルにサイクリックプレフィックスを付加することであって、第1のOFDMシンボルに付加されるサイクリックプレフィックスの長さは、第2のOFDMシンボルに付加されるサイクリックプレフィックスの長さと異なる、付加することによって、複数のOFDMシンボルを生成することを行うように構成されている。
【0106】
いくつかの実施形態において、第1のヌメロロジー及び第2のヌメロロジーは、サブキャリア間隔及び/又はOFDMシンボルの長さが、相互に異なる。
【0107】
信号を送信するための方法であって、少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成するステップと、少なくとも2つのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて複数のOFDMシンボルの各々について調整処理を決定するステップ(630)と、複数のOFDMシンボルの各々に、シンボル向けに決定された調整処理(すなわち、対応する決定された調整処理)を適用するステップ(640)と、第1のヌメロロジーと第2のヌメロロジーとを組み合わせるステップ(650)と、第1のヌメロロジー及び第2のヌメロロジーを組み合わされているものとして搬送する信号を送信するステップとを含む、方法が提供される。
【0108】
例えば、調整処理は、位相調整、振幅調整、時間シフト、循環シフト、フィルタリングパラメータ、及びウィンドウイングのうちの少なくとも1つである。
【0109】
例えば、方法は、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は所定のヌメロロジーセットの中の少なくとも2つのヌメロロジーを、組み合わせによって生成されるシンボルのPAPRに基づいて選択するステップを含む。
【0110】
例えば、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は組み合わされるべき少なくとも2つのヌメロロジーの選択は、組み合わされるべきヌメロロジーの数及び/又は少なくとも2つのヌメロロジーを含むコスト関数を最小化することによって実施される。
【0111】
いくつかの実施形態において、コスト関数は、ヌメロロジー間干渉をさらに含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、方法は、所定の調整処理セットの中からの調整処理のコスト関数を決定し、所定の調整処理セットの中から、最低のコスト関数が達成される調整処理を選択することによって、調整処理の決定を反復的に実施するステップを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも2つのヌメロロジーのうちの少なくとも1つのヌメロロジーについて、送信されるべきデータに対応する変調シンボルを得るステップと、変調シンボルを、変調シンボルの2つ以上のグループに逆多重化するステップと、2つ以上のグループの各々について、グループを逆変換することによってサブシンボルを生成するステップと、PAPRを含むコスト関数を最小化することに基づいて調整処理を決定するステップと、調整処理をサブシンボルに適用するステップと、サブシンボルを少なくとも1つのヌメロロジーのシンボルに連結するステップと、を含む。
【0114】
信号を送信するための方法であって、所定のヌメロロジーセットからのヌメロロジーの組み合わせについてピーク対平均電力比(PAPR)を含むコスト関数を最小化することに基づいて、所定のヌメロロジーセットから少なくとも2つのヌメロロジーを決定するステップと、少なくとも2つのヌメロロジーの複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成するステップと、少なくとも2つのヌメロロジーの複数のOFDMシンボルを組み合わせるステップと、少なくとも2つのヌメロロジーの複数のOFDMシンボルを組み合わされているものとして搬送する信号を送信するステップとを含む、方法が提供される。
【0115】
例えば、少なくとも2つのヌメロロジーを決定するステップは、(i)ヌメロロジーの数を決定すること、及び(ii)少なくとも1つのヌメロロジーのサブキャリア間隔を決定することのうちの少なくとも1つを含む。
【0116】
例えば、方法は、コスト関数の最小化を反復的に実施するステップを含み、各反復は、ヌメロロジーの数、及び、当該数のヌメロロジーの各々のサブキャリア間隔を得ることと、これらのヌメロロジーの組み合わせによって生成される信号のPAPRを決定することと、反復の中で最低のPAPRをもたらす2つ以上のヌメロロジーを選択することとを含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、反復は、コスト関数が停止閾値よりも低くなるとき、及び/又は、反復回数が事前に構成された値に達したときに停止される。
【0118】
いくつかの実施形態において、方法は、第1のヌメロロジーにマッピングされる第1の入力データ及び第2のヌメロロジーにマッピングされる第2の入力データを得ること、第1の入力データを第1の変調シンボルにマッピングし、第2の入力データを第2の変調シンボルにマッピングすること、第1の変調シンボル及び第2の変調シンボルを第1のOFDMシンボル及び第2のOFDMシンボルに逆変換すること、並びに、第1のOFDMシンボル及び第2のOFDMシンボルの中からの各OFDMシンボルにサイクリックプレフィックスを付加することであって、第1のOFDMシンボルに付加されるサイクリックプレフィックスの長さは、第2のOFDMシンボルに付加されるサイクリックプレフィックスの長さと異なる、付加することによって、複数のOFDMシンボルを生成するステップを含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、第1のヌメロロジー及び第2のヌメロロジーは、サブキャリア間隔及び/又はOFDMシンボルの長さが、相互に異なる。
【0120】
さらに、上記で言及した処理回路実施態様のいずれかによって実施されるステップを含む、対応する方法が提供される。
【0121】
またさらに、非一時的媒体に記憶されており、コンピュータ又は処理回路によって実行されると、上記で言及した方法のうちのいずれかのステップを実施するコード命令を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、処理回路及び/又はトランシーバは、集積回路ICにおいて具現化される。
【0123】
本開示の主題は、最も実際的で好ましい実施形態であると現在考えられているものに基づいて、例示を目的として詳細に説明されているが、そのような詳細は、その目的のためのみのものであること、及び、本開示の主題は開示される実施形態に限定されず、逆に、添付の特許請求項の精神及び範囲内にある修正及び均等な構成を包含するように意図されていることは理解されたい。例えば、本開示の主題は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴を、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることを企図していることは理解されたい。