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特許7473292反転エアサイクルマシン(RACM)熱管理システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】反転エアサイクルマシン(RACM)熱管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 13/08 20060101AFI20240416BHJP
   F02C 6/08 20060101ALI20240416BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240416BHJP
   F02C 7/143 20060101ALI20240416BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20240416BHJP
   F02C 7/224 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B64D13/08
F02C6/08
F02C7/00 F
F02C7/143
F02C7/18 Z
F02C7/224
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017212624
(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公開番号】P2018131193
(43)【公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】15/433,681
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ウェブスター・ベアレンズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・リチャード・タッカー
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-246927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000279(US,A1)
【文献】特開2004-245193(JP,A)
【文献】特開2005-67356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D13/00-13/08
F02C 6/08, 7/00, 7/18, 7/224
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(10)の部分を冷却するように構成された、熱管理システム(100)であって、
前記航空機(10)のエンジン(14)に取り付けられた、少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)(102)であって、エンジン圧縮機(118)から圧縮抽気を受けて、この抽気を冷却し膨張させる少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)(102)と、
冷媒を循環させるように構成された、蒸気サイクルシステム(VCS)(106)と、
前記少なくとも1つのRACM(102)を前記VCS(106)に結合する凝縮器(108)であって、前記凝縮器(108)を介して前記VCS(106)に結合された、前記少なくとも1つのRACM(102)は、前記VCS(106)に第1のヒートシンク(244)を提供する、凝縮器(108)と
を含み、
前記冷却され膨張された抽気が、前記凝縮器(108)に導かれ、そこで前記膨張された抽気が、前記VCS(106)を通って循環する前記冷媒から、熱エネルギーを吸収する、熱管理システム(100)。
【請求項2】
抽気が前記少なくとも1つのRACM(102)を通過した後に、前記少なくとも1つのRACM(102)が、前記抽気を前記エンジン(14)に再導入して推力を回復させる、請求項1に記載の熱管理システム(100)。
【請求項3】
前記エンジン(14)が、エンジンコア(116)の外側にあるエンジンケース(104)内にバイパス熱交換器(130)をさらに備え、前記少なくとも1つのRACM(102)が、前記バイパス熱交換器(130)を介してエンジン圧縮機(118)に結合され、前記バイパス熱交換器(130)が、前記エンジンコア(116)の外側の迂回気流(128)内に配置され、前記バイパス熱交換器(130)が、前記エンジン圧縮機(118)からくる圧縮抽気を、前記圧縮抽気が前記少なくとも1つのRACM(102)に導かれる前に冷却する、請求項1~2のいずれか一項に記載の熱管理システム(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのRACM(102)が、第1のタービン(204)と、第2のタービン(206)と、第1の圧縮機(208)と、第2の圧縮機(210)とを備え、前記第1のタービン(204)と、前記第2のタービン(206)と、前記第1の圧縮機(208)と、前記第2の圧縮機(210)とが、共通の軸(212)に結合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱管理システム(100)。
【請求項5】
燃料ライン(234)および前記VCS(106)に結合された、第2の熱交換器(232)であって、前記燃料ライン(234)に結合された前記第2の熱交換器(232)が、前記VCS(106)に第2のヒートシンク(230)を提供する、第2の熱交換器(232)と、
ラムエア迂回導管(242)および前記VCS(106)に結合された、第3の熱交換器(240)であって、前記ラムエア迂回導管(242)に結合された前記第3の熱交換器(240)が、前記VCS(106)に第3のヒートシンク(238)を提供する、第3の熱交換器(240)と
をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱管理システム(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのRACMが、高圧RACMに結合された低圧RACMを含み、前記熱管理システムが、前記低圧RACM(450)および前記高圧RACM(452)に動作可能に結合された制御ユニット(218)をさらに含み、前記制御ユニット(218)が、前記航空機(10)の対気速度が亜音速のときは、前記低圧RACM(450)のみを介して、エンジン圧縮機(118)から圧縮抽気を導くように構成され、前記制御ユニット(218)が、前記航空機(10)の前記対気速度が超音速のときは、前記低圧RACM(450)の前に前記高圧RACM(452)を介して、前記エンジン圧縮機(118)から前記圧縮抽気を導くように構成される、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項7】
内部キャビンを画定する機体と、前記機体から延伸する翼と、前記機体によって保持されたエンジン(14)とを備える航空機(10)の部分を、前記航空機(10)の前記エンジン(14)に取り付けられた少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)(102)を使用して、冷却する方法であって、前記エンジン(14)は、エンジンファン(114)、およびエンジン圧縮機(118)を含むエンジンコア(116)を収容する、エンジンケース(104)を有し、前記方法は、
冷媒を循環させるために、蒸気サイクルシステム(VCS)(106)を使用するステップと、
前記少なくとも1つのRACM(102)を、凝縮器(108)を介して前記VCS(106)に結合するステップと、
前記少なくとも1つのRACM(102)を前記VCS(106)に結合するステップを介して、前記VCS(106)に第1のヒートシンク(230)を提供するステップと
前記少なくとも1つのRACM(102)で、前記エンジン圧縮機(118)から圧縮抽気を受けるステップと、
前記少なくとも1つのRACM(102)を使用して、前記圧縮抽気を冷却し膨張させるステップと、
前記冷却され膨張された抽気を前記凝縮器(108)に導き、そこで前記膨張された抽気が、前記VCS(106)を通って循環する流体から熱エネルギーを吸収する、前記抽気を導くステップと、を含む、方法。
【請求項8】
前記抽気が、前記少なくとも1つのRACM(102)を通過した後に、前記抽気を前記エンジン(14)に再導入して推力を回復させるために、前記少なくとも1つのRACM(102)を使用するステップ
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
制御ユニット(218)を、前記少なくとも1つのRACM(102)の低圧RACM(450)、および高圧RACM(452)に動作可能に結合するステップと、
前記航空機(10)の対気速度が亜音速のときは、圧縮抽気を、前記エンジン圧縮機(118)から、前記低圧RACM(450)のみを通して導くために、前記制御ユニット(218)を使用するステップと、
前記航空機(10)の前記対気速度が超音速のときは、前記圧縮抽気を、前記エンジン圧縮機(118)から、前記低圧RACM(450)の前に前記高圧RACM(452)を通して導くために、前記制御ユニット(218)を使用するステップと
をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に熱管理システムおよび方法に関し、より詳細には、航空機のエンジンに取り付けられた直列複流反転エアサイクルマシン(cascaded double flow reverse air cycle machine)を含む、熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の軍用機には、航空機の性能ペナルティを最小限に抑えた、はるかに高負荷の熱管理が必要とされる。このような航空機は、蒸気サイクルシステム(vapor cycle system、VCS)を組み込んだ熱管理システムを備えてもよい。しかしながら、VCSは通常、廃熱を除去するための低温ヒートシンクを必要とする。
【0003】
通常、廃熱除去に使用できるヒートシンクには、ラムエアと、エンジンファン空気と、3次流空気とが含まれる。VCSは、廃熱を直接ラムエアに廃棄することができるが、それに伴うラム抗力の増加によって、航空機の性能が著しく低下する。VCS廃熱をエンジンファン空気、または3次流空気に直接廃棄することは、このような気流は温度が高すぎるために、通常は実行可能な選択肢ではない。
【0004】
VCS用の低温ヒートシンクを生成するために、エアサイクルマシンを使用することができる。エアサイクルマシンは、冷媒凝縮器を介してVCS廃熱を受け、その後、廃熱をエンジンファン空気、または3次流空気のいずれかに伝達する。しかしながら、VCSシンクを生成するためにエアサイクルマシンを使用することは極端に非効率的であり、航空機性能の著しい低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
航空機の性能ペナルティを最小限に抑えながら、今後の軍用機の高まる負荷を熱的に制御することが可能な、熱管理システムに対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この需要を考慮して、本開示のいくつかの実施形態は、航空機の部分を冷却するように構成された、熱管理システムを提供する。熱管理システムは、航空機のエンジンに取り付けられた、少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(reverse air cycle machine、RACM)と、冷媒を循環させるように構成された、蒸気サイクルシステム(vapor cycle system、VCS)と、RACMをVCSに結合する凝縮器とを含む。凝縮器を介してVCSに結合された、RACMは、VCSに第1のヒートシンクを提供する。
【0007】
少なくとも1つの実施形態では、RACMは、エンジン圧縮機から圧縮抽気を受けて、抽気を冷却し膨張させる。冷却され膨張された抽気は、凝縮器に導かれ、膨張された抽気は、VCSを通って循環する冷媒から熱エネルギーを吸収する。RACMは、抽気がRACMを通過した後に、エンジンに抽気を再導入して、推力を回復させる。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、エンジンは、エンジンコアの外側のエンジンケース内に、バイパス熱交換器を備える。RACMは、バイパス熱交換器を介してエンジン圧縮機に結合される。バイパス熱交換器は、エンジンコアの外側の迂回気流内に配置される。バイパス熱交換器は、圧縮空気が少なくとも1つのRACMに導かれる前に、エンジン圧縮機からくる圧縮抽気を冷却する。
【0009】
少なくとも1つの実施形態において、バイパス熱交換器は、エンジンコアを通過する1次流の外側にある、2次流または3次流のうちの1つ、あるいは両方に配置される。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、RACMは、圧縮機からくる圧縮抽気を膨張させ冷却するように構成された、1つ以上のタービンを備える。RACMは、抽気が第1の熱交換器を通過した後に、抽気を圧縮するように構成された、1つ以上の圧縮機を備える。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、RACMは、第1のタービンと、第2のタービンと、第1の圧縮機と、第2の圧縮機とを備える。第1のタービンと、第2のタービンと、第1の圧縮機と、第2の圧縮機とは、共通の軸に結合される。
【0012】
熱管理システムは、燃料ラインおよびVCSに結合された、第2の熱交換器をさらに備えてもよい。燃料ラインに結合された第2の熱交換器は、VCSに第2のヒートシンクを提供する。第3の熱交換器は、ラムエア迂回導管およびVCSに結合されてもよい。ラムエア迂回導管に結合された第3の熱交換器は、VCSに第3のヒートシンクを提供する。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのRACMは、高圧RACMに結合された低圧RACMを含む。
【0014】
熱管理システムは、低圧RACMおよび高圧RACMに動作可能に結合された、制御ユニットをさらに備えてもよい。制御ユニットは、航空機の対気速度が亜音速のときは、低圧RACMのみを介して、エンジン圧縮機から圧縮抽気を導くように構成される。制御ユニットは、航空機の対気速度が超音速のときは、低圧RACMの前に、高圧RACMを介してエンジン圧縮機から圧縮抽気を導くように構成される。制御ユニットは、低圧RACMおよび高圧RACMを介して圧縮抽気を選択的に導くように、選択的に制御される複数の弁と通信してもよい。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、低圧RACMは、第1の軸を介して第1の圧縮機および第2の圧縮機に結合される、第1のタービン、および第2のタービンを備える。高圧RACMは、第2の軸を介して第3の圧縮機および第4の圧縮機に結合される、第3のタービンを備える。
【0016】
少なくとも1つの実施形態において、第1のRACMがエンジンに取り付けられ、第2のRACMがエンジンに取り付けられる。第1のRACM、または第2のRACMの1つあるいは両方は、高圧RACMに結合された低圧RACMを含んでもよい。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、内部キャビンを画定する機体と、機体から延伸する翼と、機体によって保持されたエンジンとを備える、航空機の部分を冷却する方法を提供する。エンジンは、エンジンファンを収容するエンジンケースと、エンジン圧縮機を含むエンジンコアとを有する。本方法は、航空機のエンジンに少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)を取り付けるステップと、熱交換によって航空機の部分を冷却するために、流体を循環させる蒸気サイクルシステム(VCS)を使用するステップと、少なくとも1つのRACMを、凝縮器を介してVCSに結合するステップと、少なくとも1つのRACMをVCSに結合するステップによって、VCSに第1のヒートシンクを提供するステップとを含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態は、内部キャビンを画定する機体と、機体から延伸する翼と、機体によって保持されたエンジンとを備える、航空機を提供する。エンジンは、エンジンファンを収容するエンジンケースと、エンジン圧縮機を含むエンジンコアと、エンジンコアの外側のエンジンケース内に、バイパス熱交換器とを有する。バイパス熱交換器は、エンジンコアの外側の迂回気流内に配置される。航空機は、航空機の部分を冷却するように構成された、熱管理システムをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施形態による、航空機の前面斜視図を示す。
図2】本開示の実施形態による、航空機の熱管理システムの、簡略化したブロック図を示す。
図3】本開示の実施形態による、航空機の熱管理システムの概略図を示す。
図4】本開示の実施形態による、反転エアサイクルマシン(RACM)の概略図を示す。
図5】本開示の実施形態による、航空機の熱管理システムの概略図を示す。
図6】本開示の実施形態による、熱管理システムを動作させる方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述の概要、ならびに以下の特定の実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本明細書で使用する、単数形で列挙され、「a」または「an」という語が先行する要素またはステップは、必ずしも複数の要素またはステップを除外するものではないと理解されるべきである。また、「1つの実施形態」という言い方は、列挙された特徴を同様に組み込む、さらなる実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図していない。さらに、反対のことが明確に述べられない限り、特定の条件を有する1つの要素、または複数の要素を「備える(comprising)」かまたは「有する(having)」実施形態は、その条件を有していない追加の要素を含むことができる。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態は、航空機用の熱管理システムを提供する。少なくとも1つの実施形態において、熱管理システムは、エンジンに取り付けられた、直列複流反転エアサイクルマシン(RACM)を備える。RACMは、コア蒸気サイクルシステム(vapor cycle system、VCS)用に、低温のヒートシンクを生成するように構成される。RACMは、ヒートシンク空気をエンジンファンの上流にあるエンジンに再導入して、推力を回復させ、エンジン抽気抽出に関するペナルティを低減する。複流とは、RACMの大きさを最小化するために、並行したタービンおよび圧縮機を使用することをいう。RACMユニットの大きさをさらに最小化するために、エンジンに複数のRACMが取り付けられてもよい。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態は、航空機のエンジンに直接取り付けられた反転エアサイクルマシン(RACM)、またはRACMユニットを含む、熱管理システムを提供する。少なくとも1つの実施形態において、複数のRACMがエンジンに取り付けられる。エンジンに取り付けられたRACMは、航空機の熱管理システムに低温ヒートシンクを提供する。
【0023】
少なくとも1つの実施形態において、RACMは、エンジンに直接取り付けられる。エンジン圧縮機抽気は、RACMに入り、1つ以上のタービンを通って膨張される。空気の膨張によって空気の温度が低下し、これにより蒸気サイクルシステム(VCS)が、低温の空気をヒートシンクとして直接使用できるようになる。膨張された空気を圧縮してエンジンに再導入することによって、エンジン抽気抽出による推力ペナルティが最小化されるか、あるいは低減される。したがって、ヒートシンクとして利用される全てのエンジン空気が、エンジンに残留して推力を生成する。あらゆる飛行条件で、エンジン空気が適切に膨張し圧縮されることが確実になるように、RACMにモーターが組み込まれてもよい。RACMの大きさおよび重さを低減するために、複流RACMが使用されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、RACMは、エンジンの上面または下面ではなく側面に取り付けられ、RACMのエンジンおよび航空機への統合が簡単になる。
【0024】
超音速巡航中は、ラムエアは、適切なVCS排熱を行うには温度が高すぎて、実行可能なヒートシンクを提供しない場合がある。また、段間の2次流抽気、および3次流空気の温度もまた非常に高い場合があり、VCS排熱に使用するために、RACMによって適切に冷却することができない。この場合、本開示のいくつかの実施形態は、エンジンダクト空気熱交換器を介して、エンジン圧縮機の最終段抽気に冷却を提供し、その後、これを直列RACMユニットに送る。直列RACMユニットは、高圧3ホイールRACMを含み、これは、低圧4ホイールRACMに送る前に、冷却された最終段抽気を膨張させて、その圧力および温度を下げるために使用され、高圧3ホイールRACMは、冷却された最終段抽気をさらに膨張させて、圧力および温度を下げることができる。結果として生じた低温ヒートシンクは、廃熱を、最初に低圧4ホイールRACMで圧縮され、次に高圧3ホイールRACMで圧縮される前に、VCSから取り込む。この再圧縮空気は、最終的にエンジンファン気流に注入される。3ホイールRACMは、地上アイドリング中、および亜音速巡航中は迂回されてもよく、超音速巡航中は含められてもよい。
【0025】
図1は、本開示の実施形態による、航空機10の前面斜視図を示す。示されているように、航空機10は、軍用戦闘機である。航空機10は、推進システム12を備え、これは例えば、2つのエンジン14を含む。任意選択で、推進システム12は、示されているよりも多い、または少ないエンジン14を含んでいてもよい。エンジン14は、航空機10の翼16および/または機体18によって保持される。他の実施形態において、エンジン14は、航空機10の他の部分によって保持されてもよい。機体18は、水平尾翼22および垂直尾翼24をさらに支持する。航空機10の機体18は、冷却対象となる、コックピット30を含む内部キャビンと、航空電子機器を収容する、1つ以上の装置格納室とを画定する。任意選択で、航空機10は、様々な他の種類の軍用機であってもよい。あるいは、航空機10は、様々な種類の民間航空機であってもよい。
【0026】
後述するように、航空機10は、航空機内の様々なシステム、ならびに内部キャビンを冷却するために使用される、熱管理システムを備える。熱管理システムは、少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)に結合された、少なくとも1つの蒸気サイクルシステム(VCS)を含んでもよい。RACMは、単流RACM(単一のタービンと単一の圧縮機とを含む)であるか、または複流RACM(2つのタービンと2つの圧縮機とを含む)であってもよい。少なくとも1つの実施形態において、複流RACMは、共通の軸に結合された、2つのタービンと2つの圧縮機とを含む。複流RACMは、モーターを備えてもよい。少なくとも1つの実施形態において、複流RACMは、モーターを備えなくてもよい。
【0027】
図2は、本開示の実施形態による、航空機10の熱管理システム100の、簡略化したブロック図を示す。熱管理システム100は、航空機10のエンジン14に直接取り付けられた、少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)を含む。少なくとも1つの実施形態において、RACMまたはRACMユニット102は、エンジン14のエンジンケース104の外面の、1つの側面に取り付けられる。RACM102は、蒸気サイクルシステム(VCS)106に結合される。例えば、第1の熱交換器、またはVCS冷媒凝縮器108が、RACM102をVCS106に結合する。
【0028】
エンジン14は、エンジンケース104を有し、これにRACM102が取り付けられる。エンジン14は、前端に空気入口110、後端に空気出口112をさらに有する。空気入口110に近接して、エンジンファン114が配置される。エンジンコア116は、エンジンケース104内で、エンジンファン114の後ろに配置される。エンジンコア116は、1つ以上の燃焼器120の上流にエンジン圧縮機118を含み、燃焼器120は、タービン122の上流にある。
【0029】
航空機10の運航中は、ラムエア124が空気入口110から入って、エンジンファン114を通過する。エンジンコア116を通過するラムエア124は、コア気流126を供給する。コア気流126は、エンジンファン114、圧縮機118、燃焼器120、およびタービン122を通過する。ラムエア124の一部は、エンジンファン114を通過するが、エンジンコア116を迂回する気流128(ファン迂回気流128)として、エンジンコア116の周囲を通る。ファン迂回気流128は、1つの空気の流れであってもよく、あるいはファン空気と3次流空気とに分かれてもよい。ファン空気は、エンジンファン114の下流にある追加のファン段等の、複数のファン段を通過して、エンジンコア116を迂回する。3次流空気は、ファン空気よりも少ないファン段を通過して、エンジンコア116、およびファン気流を迂回する。例えば、3次流空気は、エンジンファン114のみを通過して、最初のエンジンファン114の下流にある他のファン段を通過しなくてもよい。少なくとも1つの実施形態において、エンジン14は、コア気流126と、3次気流を含まないファン迂回気流128とに対してのみ、動作するように構成されてもよい。
【0030】
バイパス熱交換器130は、エンジンコア116の外側で、エンジン14内に固定される。少なくとも1つの実施形態において、バイパス熱交換器130は、エンジンケース104の内面132と、エンジンコア116の外面134との間に配置される。バイパス熱交換器130は、エンジン14内のファン迂回気流128の経路内にある。例えば、バイパス熱交換器130は、2次流空気、または3次流空気の空気経路内にあってもよい。
【0031】
1つ以上のパイプ、チューブ、プレナム、ホース等の抽気導管136は、圧縮機118を、バイパス熱交換器130の入口138に流体結合する。バイパス熱交換器130の出口140は、RACM102に流体結合する。
【0032】
運航時に、ラムエア124は、エンジンの空気入口110に入って、エンジンファン114を通る。コア気流126は、圧縮機118を通過する。抽気導管136は、圧縮抽気の一部を、圧縮機118からバイパス熱交換器130に向け直す。ファン迂回気流128は、熱交換器130を通過して、圧縮抽気から熱を吸収することによって、圧縮抽気の温度を低下させる。温度が低下した圧縮抽気は、次にRACM102に入り、RACM102は、抽気を膨張させ冷却する。膨張され冷却された空気は、VCS冷媒凝縮器108に入り、膨張され冷却された空気は、ここでVCS冷媒から熱を吸収する。VCS106内のVCS冷媒は、蒸気としてVCS冷媒凝縮器108に入ってもよい。RACMからきた、膨張され冷却された空気は、VCS冷媒凝縮器108内で、VCS冷媒とエネルギーを交換し、これによって蒸気を液体に凝縮する。
【0033】
このように、VCS冷媒凝縮器108に結合されたRACM102は、VCS106にヒートシンクを提供する。RACM102の、膨張され冷却された空気によって、VCS106の流体から吸収されたエネルギーは、空気の温度を上昇させる。RACM102は、次に空気を圧縮し、再導入空気150として、迂回気流128にその空気を再導入する。再導入空気150を迂回気流128に再導入することによって、RACM102はエンジン推力を回復させ、エンジン14から空気を抽出することに関連する推力ペナルティを排除し、最小化し、あるいは低減する。少なくとも1つの実施形態において、複数のRACM102が、エンジン14に取り付けられる。エンジンに取り付けられたRACM102は、航空機10のVCS106に、低温かつ推力ペナルティを低減したヒートシンクを提供する。
【0034】
図3は、本開示の実施形態による、航空機10の熱管理システム100の概略図を示す。示されているように、バイパス熱交換器130は、例えば3次流路200内で、エンジン14内に固定される。少なくとも1つの他の実施形態では、バイパス熱交換器130は、ファン空気流路等の、2次流路202内に固定される。
【0035】
RACM102は、先に図示したように、エンジンケース104に取り付けられる。図3に示すように、RACM102は、複流RACMである。RACM102は、共通の軸212を介して、2つの圧縮機208および210に結合された2つのタービン204および206を含む、4ホイールRACMである。あるいは、RACM102は、単一のより大きいタービンと、単一のより大きい圧縮機とを含んでもよい(例えば、単流RACMであってもよい)。しかしながら、2つの小さいタービン204および206と、2つの小さい圧縮機208および210とを使用することによって、RACM102の全体の大きさ(例えば、全径)および重さが削減される。あるいは、タービン204および206と、圧縮機208および210との動作を補助するために、モーターが軸212に結合されてもよい。
【0036】
圧縮機118からくる圧縮抽気は、導管216を介してタービン204および206に入り、タービン204および206に動力を供給する。つまり、タービン204および206を通る圧縮抽気の流れが、タービン204および206を動かし、これによって軸212が回転し、圧縮機208および210にも動力を供給する。あるいは、タービン204および206と、圧縮機208および210との動作を補助するために、モーターが使用されてもよい。
【0037】
バイパス熱交換器130をRACM102に流体結合する導管216(1つ以上のパイプ、チューブ、ホース等)に、弁214が配置されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、制御ユニット218は、弁214と(1つ以上の有線または無線通信を介して)通信し、弁214を開位置と閉位置との間で動作させるように構成される。弁214が開位置のときは、(バイパス熱交換器130で調節された)抽気がRACM102を通過し、タービン204および206で膨張され冷却される。弁214が閉位置のときは、調節された抽気は、RACM102に入るのを阻止される。制御ユニット218は、例えば、航空機10が飛行中でないときは、弁214を閉じてもよい。少なくとも1つの他の実施形態において、導管216は、弁214を有さなくてもよい。
【0038】
示されているように、3つの個別で異なるヒートシンクが、VCS106に結合されてもよい。第1のヒートシンク230は、冷媒凝縮器232等の熱交換器を含み、これは、VCS106の燃料ライン234、および冷媒ライン236に結合される。第2のヒートシンク238は、凝縮器240等の熱交換器を含み、これは、ラムエア導管242、および冷媒ライン236に結合される。ラムエア導管242は、ラムエア124がエンジンファン114に入る前に、ラムエア124の一部を凝縮器240の方へ分路する。ラムエアは、次に、凝縮器240を通過し、例えば、エンジン室に通気するために、導管241を通って導かれてもよい。第3のヒートシンク244は、RACM102、およびVCS106の冷媒ライン236に結合された、VCS冷媒凝縮器108を含む。任意選択で、VCS106は、第3のヒートシンク244のみに結合されてもよい。少なくとも1つの他の実施形態において、VCS106は、第3のヒートシンク244と、第1のヒートシンク230または第2のヒートシンク238の1つとに結合されてもよい。第1、第2、および第3という用語は、単にヒートシンクの数を示すものであることは理解されよう。第1のヒートシンク230が、第2または第3のヒートシンクと見なされてもよく、第2のヒートシンク238が、第1または第3のヒートシンクと見なされてもよく、第3のヒートシンク244が、第1または第2のヒートシンクと見なされてもよい。
【0039】
少なくとも1つの実施形態において、制御ユニット218は、1つ以上の有線または無線接続を介して、熱管理システム100内の様々な弁と通信する。制御ユニット218は、熱管理、および航空ビークルの飛行条件の所望されるレベルに応じて、弁を開位置と閉位置との間で選択的に動作させるように構成される。
【0040】
図2を参照して先に示したように、ラムエア124は、エンジン14の空気入口110に入って、エンジンファン114を通る。コア気流126は、圧縮機118を通過する。抽気導管136は、圧縮抽気の一部を、圧縮機118からバイパス熱交換器130へ向け直す。ファン迂回気流128は、熱交換器130を通過して、圧縮抽気から熱を吸収することによって、圧縮抽気の温度を低下させる。温度が低下した圧縮抽気は、次にRACM102に入り、RACM102は、タービン204および206を介して、抽気を膨張させ冷却する。膨張され冷却された空気は、導管250を通ってVCS冷媒凝縮器108に入り、膨張され冷却された空気は、VCS106のライン236を通って循環する流体冷媒から熱を吸収する。VCS106からくる流体は、液体と蒸気との組み合わせとして、VCS106を通ってVCS冷媒凝縮器108に入る。RACM102からくる、膨張され冷却された空気は、VCS冷媒凝縮器108内で、VCS106からくる流体とエネルギーを交換し、これによって残存する蒸気を液体に凝縮し、VCS106に戻して再循環させる。このようにして、ヒートシンク244(RACM102をVCS106に結合する、冷媒凝縮器108として示す)は、VCS106のライン236を通って循環する冷媒を調節し、これによって冷媒は、航空機10の1つ以上のシステム、部品、領域等から熱を吸収することが可能になる。第1のヒートシンク230および第2のヒートシンク238もまた、ライン236を通って循環する冷媒を凝縮する。
【0041】
RACM102の、膨張され冷却された空気によって、VCS106の冷媒から吸収されたエネルギーは、RACMヒートシンク空気の温度を上昇させる。RACM102は、次に、圧縮機208および210を介してRACMヒートシンク空気を圧縮し、注入導管260を通して、再導入空気150としてエンジンファン気流に注入して戻す。
【0042】
VCS106は、蒸気サイクル冷却を提供するように構成され、冷媒は相変化を経て、航空機10の内部キャビンおよび/または電子システムを調節する。VCS106は、熱交換によって航空機10の部分を冷却するように、冷媒を循環させる。冷媒は、VCS106を通って循環する流体を供給し、これは、航空機10の内部キャビン、および/または部品(例えば、航空電子機器)から熱を吸収するために、(例えば、液体から蒸気に)相が変化する。
【0043】
VCS106は、第1段モーター270および圧縮機271と、第2段モーター272および圧縮機273とを備えてもよい。第2段圧縮機273は、ライン236に結合され、これは順に、第1のヒートシンク230、第2のヒートシンク238、および第3のヒートシンク244に結合される。1つ以上のヒートシンク230、238、および244を通って凝縮された冷媒は、次に、第1の絞り弁を通過する1つの流れと、冷媒サブクーラー278を通過するもう1つの流れとに分割される。絞り弁からきた冷媒は、次に、第1段圧縮機271からきた冷媒と結合する前に、サブクーラーを通過する。もう1つの冷媒流は、絞り弁を介して送られ、次に、冷媒ライン236を通して送られて、冷媒蒸発器284を介して、航空機10内のキャビン280、および空冷負荷282(例えば、空気循環を介して冷却される、航空機10の1つ以上の電子システムを含む)から熱を吸収する。冷媒ライン236は、液冷負荷288(例えば、液体循環を介して冷却される、航空機10の1つ以上の電子システムを含む)から熱を吸収するために、別の絞り弁、および冷媒蒸発器286にさらに結合されてもよい。
【0044】
示されているように、1つ以上の弁が、VCS106の様々な導管に配置されてもよい。弁は、所望の量の流体(例えば、冷媒その他類似の冷却剤)がVCS106を流れるように、制御ユニット218によって、選択的に制御されてもよい。
【0045】
VCS106は、図示されているよりも多い、または少ない部品を含んでもよい。例えば、VCSは、2つ未満のモーター270および272、および/または2つ未満の圧縮機271および273を含んでもよい。また、冷媒ライン236は、図示されているよりも多い、または少ない負荷に結合されてもよい。例えば、冷媒ライン236は、キャビン280、または空冷負荷282、あるいは液冷負荷288のみを調節するように構成されてもよい。
【0046】
燃料ライン234は、燃料タンク290と、エンジン14との間に、燃料送出導管を提供する。冷媒凝縮器232は、燃料ライン234を、VCS106の冷媒ライン236に結合する。こうして、冷媒凝縮器232は、熱エネルギーを、ライン236の冷媒から、燃料ライン234内の燃料に伝達し、これによって燃料の温度を上昇させ、冷媒の温度を低下させる。
【0047】
燃料ライン234は、次に、エンジン発電機296、およびエンジン潤滑システム298の、熱交換器292および294を通過してもよい。熱エネルギーは、熱交換器292および294によって、発電機296および潤滑システム298から、燃料ライン234内の燃料に伝達され、これによって燃料の温度を上昇させ、発電機296、および潤滑システム298の温度を低下させる。燃料は次に、燃料ライン234を通って、エンジンに送出される。このような熱負荷を受けた後に、燃料の温度がエンジン最高送出温度を上回る場合は、エンジン送出限界まで温度を低下させるために、燃料流量が、燃焼燃料流量を上回るように増加される。この増加した燃料流量と、エンジン燃焼燃料流量との差分は、航空ビークルの燃料タンクに戻されて再循環する。再循環される燃料は、タンクに戻される前に、VCS106の絞り弁の後に続く蒸発器286で冷却される。
【0048】
あるいは、燃料ライン234は、熱交換器292および294を介して、発電機296および潤滑システム298に結合されなくてもよい。その代わりに、燃料ライン234の燃料は、冷媒凝縮器232によって、VCS106から熱エネルギーを受けて、エンジン14へ直接通されてもよい。
【0049】
少なくとも1つの実施形態において、制御ユニット218は、弁を介して、熱管理システム100を通る流体(空気および冷媒等)の流れを選択的に制御するように動作する。例えば、制御ユニット218は、キャビン280、空冷負荷282、および液冷負荷288の温度を制御する目的で、様々な導管を通る流体(気体、蒸気、または液体であるかどうかを問わず)の温度を制御するために、弁を選択的に開閉してもよい。少なくとも1つの実施形態において、本出願で述べるシステムは、制御ユニット218を含まなくてもよい。
【0050】
本明細書で使用される「制御ユニット」、「ユニット」、「中央処理ユニット」、「CPU」、「コンピューター」等の用語は、任意のプロセッサに基づく、またはマイクロプロセッサに基づくシステムを含んでもよく、これには、本明細書で述べる機能を実行可能なハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを含む、マイクロコントローラー、縮小命令セットコンピューター(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、その他任意の回路またはプロセッサを使用するシステムが含まれる。これは単に例示であって、このような用語の定義および/または意味を限定することは決して意図されていない。例えば、制御ユニット218は、熱管理システム100の動作を制御するように構成された、1つ以上のプロセッサであってもよく、またはこれを含んでもよい。
【0051】
制御ユニット218は、データを処理するために、1つ以上の記憶素子(1つ以上のメモリ等)に記憶された命令のセットを実行するように構成される。例えば、制御ユニット218は、1つ以上のメモリを含むか、またはこれに結合されてもよい。記憶素子もまた、所望または必要に応じて、データその他の情報を記憶してもよい。記憶素子は、処理機内の情報供給源、または物理メモリ素子の形態であってもよい。
【0052】
命令のセットは、特定の動作、例えば、本明細書で述べる主題の様々な実施形態の方法および工程を、処理機として実行するように制御ユニット218に命令する、様々なコマンドを含んでもよい。命令のセットは、ソフトウェアプログラムの形態であってもよい。ソフトウェアは、システムソフトウェアまたはアプリケーションソフトウェア等の、様々な形態であってもよい。また、ソフトウェアは、個別のプログラムの集合、より大きいプログラム内のプログラムサブセット、またはプログラムの一部の形態であってもよい。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形態の、モジュラープログラミングをさらに含んでもよい。処理機による入力データの処理は、ユーザーコマンドに応答して、または以前の処理の結果に応答して、あるいは別の処理機によって出された要求に応答して行われてもよい。
【0053】
本明細書の実施形態の図は、制御ユニット218等の、1つ以上の制御ユニットまたは処理ユニットを示している場合がある。処理ユニットまたは制御ユニットは、本明細書で述べる動作を実行する、関連する命令(例えば、コンピューターハードドライブ、ROM、RAM等の、有形かつ非一時的なコンピューター読み取り可能な記憶媒体に記憶されたソフトウェア)を含むハードウェアとして実装され得る、回路、電気回路、またはその一部を示している場合があることは理解されよう。ハードウェアは、本明細書で述べる機能を実行するために配線で接続された、状態マシン回路を含んでもよい。任意選択で、ハードウェアは、マイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラー等の1つ以上の論理型装置を含む、かつ/またはこれに結合された、電気回路を含んでもよい。任意選択で、制御ユニット218は、1つ以上のFPGA(Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ等の、処理回路を表してもよい。様々な実施形態の回路は、本明細書で述べる機能を行うために、1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成されてもよい。1つ以上のアルゴリズムは、フローチャートまたは方法で明示的に特定されるかどうかにかかわらず、本明細書で開示する実施形態の態様を含み得る。
【0054】
本明細書で用いる「ソフトウェア」および「ファームウェア」という用語は、置き換え可能であり、コンピューターが実行するために、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリに記憶された、任意のコンピュータープログラムを含む。前述のメモリの種類は、単なる例示であって、コンピュータープログラムの記憶用に使用できるメモリの種類を限定するものではない。
【0055】
図4は、本開示の実施形態による、反転エアサイクルマシン(RACM)102の概略図を示す。図2図4を参照すると、RACM102は、エンジン14内のバイパス熱交換器130と、VCS106の冷媒ライン236に結合するVCS冷媒凝縮器108とに結合される。少なくとも1つの実施形態において、直列RACMユニット102は、高圧3ホイールRACM452に結合された、低圧4ホイールRACM450を備える。あるいは、高圧RACM452は、2つのタービンを有する4ホイールRACMであってもよい。
【0056】
RACM102は、抽気導管136から分岐する、分岐導管300を有する。弁302は、分岐導管300に配置される。少なくとも1つの実施形態において、制御ユニット218は、1つ以上の有線または無線接続を介して、弁302と通信する。タービン306は、共通の軸312を介して圧縮機308および310に結合されて、高圧RACMを形成する。タービン306は、分岐導管300の出口端314の下流に配置される。
【0057】
弁214は、抽気導管136の接合部316、および分岐導管300の下流で、抽気導管136に配置される。抽気導管136は、タービン204および206に結合し、タービン204および206は軸212に結合し、軸212は圧縮機208および210にも結合して、低圧RACMを形成する。タービン204および206は、導管250に流体結合され、導管250は、VCS冷媒凝縮器108に流体結合し、VCS冷媒凝縮器108は、冷媒ライン236にも結合する。VCS冷媒凝縮器108は、導管251を介して、圧縮機208および210にさらに結合する。圧縮機208および210は、エンジン注入導管260に流体結合される。弁320は、エンジン注入導管260に配置される。
【0058】
分岐導管322は、弁320の上流のエンジン注入導管260から分岐する。弁324は、分岐導管322に配置される。弁214、302、320、および324は、1つ以上の有線または無線接続を介して、制御ユニット218と通信してもよい。
【0059】
分岐導管322は、圧縮機308および310に結合される。分岐導管322は、圧縮機308および310に、空気入口導管を提供する。空気出口導管326は、圧縮機308および310の下流にあり、弁320の下流でエンジン注入導管260に再接続する。
【0060】
図4に示すように、複流直列RACM102は、エンジン14に取り付けられ、これは図2および図3に示されている。運航時に、弁214、302、324および320は、航空機(図1に示す)の対気速度に応じて開閉される。例えば、少なくとも1つの実施形態において、制御ユニット218は、航空機10の対気速度に応じて、弁214、302、324および320を選択的に制御する。
【0061】
図2図4を参照すると、航空機10の亜音速巡航中は、弁302および324は閉じ、弁214および320が開く。高圧RACMは迂回され、圧縮機118から引き出された抽気400は、単一のタービン306に向かって分岐導管300を通過するのを阻止される。その代わりに、抽気400は、抽気導管136の開いた弁214を通過して低圧RACMに入り、タービン204および206によって膨張され冷却される。膨張され冷却された抽気402は、次に、加熱VCS冷媒凝縮器108を通過し、冷却された抽気は、冷媒ライン236内で冷媒404から熱エネルギーを吸収することによって、冷媒406の温度を低下させて凝縮し、冷媒406は、VCS冷媒凝縮器108から出て、冷媒ライン236を通ってVCS106を循環する。
【0062】
膨張され冷却された抽気402が、冷媒404から熱エネルギーを吸収することにより、抽気は温度が上昇して、膨張された抽気408として導管251に入る。膨張された抽気408は、次に、圧縮機208および210を通過し、圧縮されたエンジン注入空気410として、圧縮機208および210から出る。弁324が閉じているため、エンジン注入空気410は、分岐導管322を通過せず、その代わりに、開いた弁320を通過して、エンジン注入導管260を通ってエンジン14に戻る。エンジン注入空気410がファン気流128に注入されると、推力が回復する。
【0063】
航空機10が超音速の対気速度で飛行しているときは、圧縮抽気400の温度が高すぎて、タービン204および206を通過した後であっても、冷媒から熱を吸収できない場合がある。このような場合は、圧縮抽気400がタービン204および206を通過する前に、(例えば、制御ユニット218を介して)まずタービン306を通過するように、弁が動作されてもよい。このように動作している間は、弁302および324が開かれ、弁214および320は閉じられる。圧縮抽気400は、まず分岐導管300の開いた弁302を通過して、タービン306に入り、圧縮抽気400を膨張させ冷却する。最初に膨張され冷却された空気412は、閉じた弁214の下流で、接続導管301を通って抽気導管136に戻り、接続導管301は、タービン306の出口を抽気導管136に接続する。空気412は、次に、タービン204および206を通過し、これにより、最初に膨張され冷却された空気412をさらに膨張させ冷却して、さらに膨張され冷却された空気402を得、これはその後、前述のように、VCS冷媒凝縮器108を通過する。
【0064】
VCS冷媒凝縮器108を通過した後は、膨張された抽気の温度は(冷媒から熱エネルギーを吸収するため)上昇する。膨張された抽気408は、VCS冷媒凝縮器108から出て、次に圧縮機208および210を通過し、圧縮されたエンジン注入空気410が得られる。弁320が閉じているため、圧縮されたエンジン注入空気410は、圧縮機308および310を通過し、これにより、エンジン注入空気410をさらに圧縮して、さらに圧縮されたエンジン注入空気420が得られる。空気420は、次に、閉じた弁320の下流で、空気出口導管326を通ってエンジン注入導管260に入り、空気出口導管326は、圧縮機308および310の出力をエンジン注入導管260に接続する。
【0065】
図5は、本開示の実施形態による、航空機10の熱管理システム100の概略図を示す。熱管理システム100は、エンジン14のエンジンケース104に取り付けられた、第1のRACM102aと、第2の直列RACM102bとを含む。第1のRACM102aは、図3に示して説明したRACM102と同様であり、第2の直列RACM102bは、図4に示して説明した直列RACM102と同様である。
【0066】
第1の抽気導管136aは、圧縮機118を第1のRACM102aに接続し、第2の抽気導管136bは、圧縮機を第2のRACM102bに接続する。亜音速飛行中は、熱管理システム100の弁は、(例えば、制御ユニット218によって)圧縮抽気の一部が、RACM102aと、102bとの両方に導かれるように設定される。バイパス熱交換器130aおよび130bは、エンジン14の迂回気流内に配置される。亜音速飛行中に、第2のRACM102bの弁は、図4を参照して前述したように、圧縮抽気がタービン306ではなく、タービン204および206に入るように(例えば、制御ユニット218によって)設定される。RACM102aおよび102bの両方のタービン204および206は、VCS冷媒凝縮器108に結合され、RACM102aおよび102bの両方の圧縮機208および210もまた、VCS冷媒凝縮器108に結合される。
【0067】
超音速飛行中は、第2のRACM102bの弁は、図4を参照して前述したように、圧縮抽気が、タービン204および206に入る前に、タービン306に入るように(例えば、制御ユニット218によって)設定される。また、超音速飛行中は、圧縮抽気は、エンジン14に再導入される前に、図4を参照して前述したように、圧縮機208、210、308、310を通過する。任意選択で、超音速飛行中は、圧縮抽気が第1のRACM102aを通過するのを阻止するように、弁214が閉じられてもよい。
【0068】
任意選択で、第1のRACM102aもまた、第2のRACM102bと同様に、タービン306、および圧縮機308および310を備える、直列RACMであってもよい。この場合、第1のRACM102aは、亜音速および超音速飛行中に、第2のRACM102bと同様に動作する。
【0069】
少なくとも1つの実施形態において、熱管理システム100は、航空機の運航中に、RACM構成を制御し、気流を経路指定することによって、冷却要件に対処する。地上アイドリングの冷却要件を満たすために、熱管理システム100は、エンジン燃焼燃料、およびラムエアを使用するが、RACM102aおよび102bは、これらを駆動させるエンジン抽気圧力が十分に高くないために使用しない。亜音速飛行中は、熱管理システム100は、エンジン燃焼燃料、ラムエア、ならびにRACM102aおよび直列RACM102bのうちの1つまたは両方を、ヒートシンクとして使用する。直列RACM102bは、飛行環境および要求される負荷に応じて、両方のRACMを使用してもよいし、使用しなくてもよい。超音速巡航の冷却要件を満たすために、熱管理システムは、高温になりすぎるラムエアはヒートシンクとして使用しないが、その代わりに、エンジン燃焼燃料と、RACM102aと、直列RACM102bの両方のRACMが動作している状態で、直列RACM102bとを使用する。
【0070】
図1図5を参照すると、熱管理システム100は、エンジン抽気をVCS106用のヒートシンクに変換するように構成された、1つ以上のエンジンに取り付けられたRACM102を含む。抽気はまず、エンジン14内でファン迂回気流128(例えば、2次流または3次流)に配置された熱交換器130を介して冷却される。RACM102は、エンジン14に抽気を再導入して、推力を回復させる。
【0071】
あるいは、熱管理システム100は、図示されているよりも多い、または少ないRACM102、およびVCS106を含んでもよい。例えば、熱管理システム100は、3つ以上のRACM102と、3つ以上のVCS106とを含んでもよい。少なくとも1つの他の実施形態では、熱管理システム100は、2つ以上のRACM102と、1つのVCS106とを含んでもよい。少なくとも1つの他の実施形態では、熱管理システム100は、2つ以上のVCSユニット106と、1つのRACM102とを含んでもよい。
【0072】
図6は、本開示の実施形態による、熱管理システム100を動作させる方法のフローチャートを示す。図1図6を参照すると、本方法は、ステップ600から開始し、ここで少なくとも1つのRACM102が、航空機10のエンジン14の、エンジンケース104の外面に取り付けられる。例えば、第1のRACM102aと、第2のRACM102bとが、エンジン14に取り付けられてもよい。
【0073】
ステップ602では、航空機10が超音速を下回る速度で移動しているかどうかを制御ユニット218が判定する。つまり、制御ユニット218は、航空機10の対気速度が亜音速か超音速かを判定する。航空機10が、超音速を下回る速度で移動している場合は、本方法は、ステップ602から604に進み、ここでは制御ユニット218は、エンジン14の圧縮機118からくる抽気の一部が、エンジン14内の熱交換器130を通って、第1の、すなわち低圧RACM450(例えば、2つのタービンと2つの圧縮機とを有する4ホイールRACM)に導かれるように、熱管理システム100の弁を動作させる。ステップ606で、低圧RACM450は、抽気を完全に調節する。ステップ608で、VCS106からくる熱エネルギーは、低圧RACM450からくる完全に調節された抽気で吸収される。ステップ610では、低圧RACMを通過した後に、抽気がエンジン14の気流に再導入されて、推力を回復させる。本方法は、その後、ステップ602に戻る。
【0074】
しかしながら、ステップ602で、航空機10が超音速を下回る速度で移動していない(つまり、航空機10が超音速で移動している)と制御ユニット218が判定した場合は、本方法はステップ612に進み、圧縮機118からくる抽気の一部は、第2の、すなわち高圧RACM452に導かれる。ステップ614で、高圧RACMは、抽気を事前調節する。ステップ616で、事前調節された抽気は、次に低圧RACM450に導かれ、抽気をさらに調節する。ステップ620では、VCS106からくる熱エネルギーが、低圧RACM450からくる、さらに調節された抽気で吸収される。ステップ622では、低圧RACM450と、高圧RACM452とを通過した後に、抽気がエンジン14の気流に再導入されて、推力を回復させる。本方法は、その後、ステップ602に戻る。
【0075】
図1図6を参照すると、本開示の実施形態は、少なくとも1つのVCS内にある冷媒から、ビークルのエンジンに取り付けられた、少なくとも1つのRACMを通過するエンジン抽気に熱を伝達することによって、航空機のキャビンおよび航空電子機器を効率的に冷却するように構成された、熱管理システムを提供する。熱管理システムは、1つ以上のVCS内の冷媒から、ビークルの燃料ライン内の燃料、および/またはラムエア導管に熱を伝達してもよい。
【0076】
熱管理システムは、少なくとも1つのRACMを通過し、VCSの流体から熱エネルギーを吸収するのに使用される抽気を、エンジンに再導入して推力を回復させる。つまり、エンジンから抽気することに関する抵抗ペナルティを排除、最小化、あるいは低減するために、RACMは、エンジンファンの上流の箇所等で、空気をエンジンに再導入する。少なくとも1つの実施形態において、複数のRACMがエンジンに取り付けられる。エンジンに取り付けられたRACMは、航空機のTMSに、小型で低温かつ推力ペナルティの低いヒートシンクを提供する。
【0077】
上部、底部、下部、中間、側方、水平、垂直(縦)、前面等の、空間や方向を表す様々な用語が、本開示の実施形態を説明するために使用される場合があるが、このような用語は、単に図に示されている向きに対して使用されていることが理解されよう。向きは、上部が下部であったり、あるいはその逆も可能であり、水平が垂直になったり等、反転し、回転し、あるいは変更されてもよい。
【0078】
本明細書で使用する、タスクまたは作業を実行する「ように構成された」構造、制限、または要素は、特に構造的に、そのタスクまたは作業に対応する方法で形成され、構築され、または適合される。明確にして疑義を回避するために、タスクまたは作業を実行するように、単に修正されることが可能なだけの物体は、本明細書で用いられる場合、そのタスクまたは作業を実行する「ように構成された」ものではない。
【0079】
上述の説明は、例示を意図しており、制限を意図していないことが理解されよう。例えば、上述の実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。また、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の様々な実施形態の教示に、特定の状況または材料を適合させるために、多くの修正を行うことができる。本明細書で説明される寸法および材料のタイプは、本開示の様々な実施形態のパラメータを定義することが意図されており、本実施形態は、限定するものではなく、例示的な実施形態である。上述の説明を検討すれば、他の多くの実施形態が、当業者には明らかになるであろう。本開示の様々な実施形態の範囲は、したがって、添付の特許請求の範囲を、このような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲と共に参照して判断されるべきである。添付の特許請求の範囲に置いて、「including(含む)」および「in which(ここにおいて)」という用語は、「comprising(備える)」および「wherein(ここにおいて)」というそれぞれの用語の、平易な英語(plain-English)の均等物として用いられる。さらに、「第1」、「第2」および「第3」等の用語は、単に標識として用いられ、その物に数値的な要件を与えることを意図するものではない。また、以下の特許請求の範囲の制限は、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)の形式では書かれておらず、このような特許請求の範囲の限定が、「~のための手段」という語句を明確に使用した後に、さらなる構造のない機能の記載が続かない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図していない。
また、本開示は、以下の節に基づく実施形態を含む。
【0080】
項1.航空機の部分を冷却するように構成された、熱管理システムであって、
前記航空機のエンジンに取り付けられた、少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(reverse air cycle machine、RACM)と、
冷媒を循環させるように構成された、蒸気サイクルシステム(vapor cycle system、VCS)と、
前記少なくとも1つのRACMを前記VCSに結合する凝縮器であって、前記凝縮器を介して前記VCSに結合された、前記少なくとも1つのRACMは、前記VCSに第1のヒートシンクを提供する、凝縮器と
を含む、熱管理システム。
【0081】
項2.前記少なくとも1つのRACMが、エンジン圧縮機から圧縮抽気を受けて、前記抽気を冷却し膨張させ、前記冷却され膨張された抽気が、前記凝縮器に導かれ、そこで前記膨張された抽気が、前記VCSを通って循環する前記冷媒から、熱エネルギーを吸収する、項1に記載の熱管理システム。
【0082】
項3.前記抽気が前記少なくとも1つのRACMを通過した後に、前記少なくとも1つのRACMが、前記抽気を前記エンジンに再導入して推力を回復させる、項1に記載の熱管理システム。
【0083】
項4.前記エンジンが、エンジンコアの外側にあるエンジンケース内にバイパス熱交換器をさらに備え、前記少なくとも1つのRACMが、前記バイパス熱交換器を介して前記エンジン圧縮機に結合され、前記バイパス熱交換器が、前記エンジンコアの外側の迂回気流内に配置され、前記バイパス熱交換器が、前記エンジン圧縮機からくる前記圧縮抽気を、前記圧縮抽気が前記少なくとも1つのRACMに導かれる前に冷却する、項1に記載の熱管理システム。
【0084】
項5.前記バイパス熱交換器が、前記エンジンコアを通過する1次流の外側にある、2次流または3次流のうちの1つあるいは両方に配置される、項3に記載の熱管理システム。
【0085】
項6.前記少なくとも1つのRACMが、前記圧縮機からきた圧縮抽気を膨張させ冷却するように構成された、1つ以上のタービンを備える、項1に記載の熱管理システム。
【0086】
項7.前記少なくとも1つのRACMが、前記抽気が前記第1の熱交換器を通過した後に、前記抽気を圧縮するように構成された、1つ以上の圧縮機を備える、項1に記載の熱管理システム。
【0087】
項8.前記少なくとも1つのRACMが、第1のタービンと、第2のタービンと、第1の圧縮機と、第2の圧縮機とを備え、前記第1のタービンと、前記第2のタービンと、前記第1の圧縮機と、前記第2の圧縮機とが、共通の軸に結合される、項1に記載の熱管理システム。
【0088】
項9.燃料ラインおよび前記VCSに結合された、第2の熱交換器であって、前記燃料ラインに結合された前記第2の熱交換器が、前記VCSに第2のヒートシンクを提供する、第2の熱交換器と、
ラムエア迂回導管および前記VCSに結合された、第3の熱交換器であって、前記ラムエア迂回導管に結合された前記第3の熱交換器が、前記VCSに第3のヒートシンクを提供する、第3の熱交換器と
をさらに備える、項1に記載の熱管理システム。
【0089】
項10.前記少なくとも1つのRACMが、高圧RACMに結合された低圧RACMを備える、項1に記載の熱管理システム。
【0090】
項11.前記低圧RACMおよび前記高圧RACMに動作可能に結合された制御ユニットをさらに備え、前記制御ユニットが、前記航空機の対気速度が亜音速のときは、前記低圧RACMのみを介して、エンジン圧縮機から圧縮抽気を導くように構成され、前記制御ユニットが、前記航空機の前記対気速度が超音速のときは、前記低圧RACMの前に前記高圧RACMを介して、前記エンジン圧縮機から前記圧縮抽気を導くように構成される、項10に記載の熱管理システム。
【0091】
項12.前記制御ユニットが、前記低圧RACMおよび前記高圧RACMを通して前記圧縮抽気を選択的に導くように、選択的に制御される複数の弁と通信する、項11に記載の熱管理システム。
【0092】
項13.前記低圧RACMが、第1の軸を介して第1の圧縮機と第2の圧縮機とに結合された、第1のタービンと第2のタービンとを備え、前記高圧RACMが、第2の軸を介して第3の圧縮機と第4の圧縮機とに結合された、第3のタービンを備える、項10に記載の熱管理システム。
【0093】
項14.前記少なくとも1つのRACMが、エンジンに取り付けられた第1のRACMと、エンジンに取り付けられた第2のRACMとを含む、項1に記載の熱管理システム。
【0094】
項15.前記第1のRACM、および前記第2のRACMのうちの1つ、またはその両方が、高圧RACMに結合された低圧RACMを含む、項14に記載の熱管理システム。
項16.内部キャビンを画定する機体と、前記機体から延伸する翼と、前記機体に保持されたエンジンとを備え、前記エンジンは、エンジンファン、およびエンジン圧縮機を含むエンジンコアを収容する、エンジンケースを有する、航空機の部分を冷却する方法であって、
前記航空機の前記エンジンに、少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)を取り付けるステップと、
冷媒を循環させるために、蒸気サイクルシステム(VCS)を使用するステップと、
前記少なくとも1つのRACMを、凝縮器を介して前記VCSに結合するステップと、
前記少なくとも1つのRACMを前記VCSに結合するステップを介して、前記VCSに第1のヒートシンクを提供するステップと
を含む、方法。
【0095】
項17.前記少なくとも1つのRACMで、前記エンジン圧縮機から圧縮抽気を受けるステップと、
前記少なくとも1つのRACMを使用して、前記圧縮抽気を冷却し膨張させるステップと、
前記冷却され膨張された抽気を前記凝縮器に導き、そこで前記膨張された抽気が、前記VCSを通って循環する流体から熱エネルギーを吸収する、前記抽気を導くステップと
をさらに含む、項16に記載の方法。
【0096】
項18.前記抽気が前記少なくとも1つのRACMを通過した後に、前記抽気を前記エンジンに再導入して推力を回復させるために、前記少なくとも1つのRACMを使用するステップをさらに含む、項16に記載の方法。
【0097】
項19.前記エンジンコアの外側にある前記エンジンケース内に、バイパス熱交換器を配置するステップと、
前記少なくとも1つのRACMを、前記バイパス熱交換器を介して前記エンジン圧縮機に結合するステップであって、前記バイパス熱交換器が、前記エンジンコアの外側の迂回気流内に配置される、結合するステップと、
前記圧縮抽気が前記少なくとも1つのRACMに導かれる前に、前記バイパス熱交換器で、前記エンジン圧縮機からくる前記圧縮抽気を冷却するステップと
をさらに含む、項16に記載の方法。
【0098】
項20.前記VCSに第2のヒートシンクを提供するために、燃料ラインと前記VCSとに第2の熱交換器を結合するステップと、前記VCSに第3のヒートシンクを提供するために、ラムエア迂回導管と前記VCSとに結合された、第3の熱交換器を結合するステップとをさらに含む、項16に記載の方法。
【0099】
項21.制御ユニットを、前記少なくとも1つのRACMの低圧RACM、および高圧RACMに動作可能に結合するステップと、
前記航空機の対気速度が亜音速のときは、前記圧縮抽気を、前記エンジン圧縮機から、前記低圧RACMのみを通して導くために、前記制御ユニットを使用するステップと、
前記航空機の前記対気速度が超音速のときは、前記圧縮抽気を、前記エンジン圧縮機から、前記低圧RACMの前に、前記高圧RACMを通して導くために、前記制御ユニットを使用するステップと
をさらに含む、項16に記載の方法。
【0100】
項22.航空機であって、
内部キャビンを画定する機体と、
前記機体から延伸する翼と、
前記機体によって保持されたエンジンであって、前記エンジンは、エンジンファンを収容するエンジンケース、エンジン圧縮機を含むエンジンコア、および前記エンジンコアの外側にある、前記エンジンケース内にバイパス熱交換器を有し、前記バイパス熱交換器は、前記エンジンコアの外側の迂回気流内に配置される、エンジンと、
前記航空機の部分を冷却するように構成された、熱管理システムとを備え、前記熱管理システムは、
前記エンジンに取り付けられた、少なくとも1つの反転エアサイクルマシン(RACM)であって、前記少なくとも1つのRACMは、前記バイパス熱交換器を介して前記エンジン圧縮機に結合され、前記バイパス熱交換器は、圧縮空気が前記少なくとも1つのRACMに導かれる前に、前記エンジン圧縮機からくる前記圧縮抽気を冷却し、前記少なくとも1つのRACMは、前記圧縮機からくる前記圧縮抽気を膨張させ冷却するように構成された、1つ以上のタービン、および前記抽気を圧縮するように構成された、1つ以上の圧縮機を含む、少なくとも1つのRACMと、
冷媒を循環させるように構成された、蒸気サイクルシステム(VCS)と、
前記少なくとも1つのRACMを前記VCSに結合する凝縮器であって、前記凝縮器に結合された前記少なくとも1つのRACMは、前記VCSに第1のヒートシンクを提供し、
前記少なくとも1つのRACMは、前記エンジン圧縮機から前記圧縮抽気を受けて、前記抽気を冷却し膨張させ、前記冷却され膨張された抽気は、前記凝縮器に導かれ、前記膨張された抽気は、前記VCSを通って循環する前記流体から熱エネルギーを吸収し、
前記少なくとも1つのRACMは、前記抽気が前記少なくとも1つのRACMを通過した後に、前記エンジンに前記抽気を再導入して推力を回復させる、凝縮器と
を含む、熱管理システムとを備える、航空機。
【0101】
項23.前記少なくとも1つのRACMが、高圧RACMに結合された低圧RACMを含み、前記熱管理システムが、前記低圧RACMおよび前記高圧RACMに動作可能に結合された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットが、前記航空機の対気速度が亜音速のときは、前記低圧RACMのみを介して、前記エンジン圧縮機から前記圧縮抽気を導くように構成され、前記制御ユニットが、前記航空機の前記対気速度が超音速のときは、前記低圧RACMの前に前記高圧RACMを介して、前記エンジン圧縮機から前記圧縮抽気を導くように構成される、項22に記載の航空機。
【0102】
本明細書は、最良の態様を含む本開示の様々な実施形態を開示するため、また、任意の装置またはシステムの作成および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含み、当業者が本開示の様々な実施形態を実施できるようにするために例を使用する。本開示の様々な実施形態の特許請求可能な範囲は請求項によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。このような他の例は、その例が、請求項の文言と異ならない構造要素を有するか、あるいはその例が、請求項の文言とごくわずかしか異ならない均等な構造要素を含む場合は、特許請求の範囲内であることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
10 航空機
12 推進システム
14 エンジン
16 翼
18 機体
22 水平尾翼
24 垂直尾翼
30 コックピット
100 熱管理システム
102 RACM、直列RACMユニット
102a 第1のRACM
102b 第2のRACM
104 エンジンケース
106 VCS、VCSユニット
108 加熱VCS冷媒凝縮器
110 空気入口
112 空気出口
114 エンジンファン
116 エンジンコア
118 エンジン圧縮機
120 燃焼器
122 タービン
124 ラムエア
126 コア気流
128 ファン迂回気流、ファン気流
130 バイパス熱交換器
130a バイパス熱交換器
130b バイパス熱交換器
132 内面
134 外面
136 抽気導管
136a 第1の抽気導管
136b 第2の抽気導管
138 入口
140 出口
150 再導入空気
200 3次流路
202 2次流路
204 タービン
206 タービン
208 圧縮機
210 圧縮機
212 軸
214 弁
216 導管
218 制御ユニット
230 第1のヒートシンク
232 冷媒凝縮器
234 燃料ライン
236 冷媒ライン
238 第2のヒートシンク
240 凝縮器
241 導管
242 ラムエア導管
244 第3のヒートシンク
250 導管
251 導管
260 エンジン注入導管
270 第1段モーター
271 第1段圧縮機
272 第2段モーター
273 第2段圧縮機
278 冷媒サブクーラー
280 キャビン
282 空冷負荷
284 冷媒蒸発器
286 冷媒蒸発器
288 液冷負荷
290 燃料タンク
292 熱交換器
294 熱交換器
296 エンジン発電機
298 エンジン潤滑システム
300 分岐導管
301 接続導管
302 弁
306 タービン
308 圧縮機
310 圧縮機
312 軸
314 出口端
316 接合部
320 弁
322 分岐導管
324 弁
326 空気出口導管
400 圧縮抽気
402 膨張され冷却された抽気
404 冷媒
406 冷媒
408 膨張された抽気
410 エンジン注入空気
412 膨張され冷却された空気
420 エンジン注入空気
450 低圧4ホイールRACM
452 高圧3ホイールRACM
図1
図2
図3
図4
図5
図6