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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】キャブおよび作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20240416BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
E02F9/16 B
B60R11/02 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019128550
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021014689
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-03-31
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 紀拓
(72)【発明者】
【氏名】菊間 智子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏章
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】有家 秀郎
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-245508(JP,A)
【文献】特開2014-136943(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003412(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席と、
前記運転席の側方に配置されるコンソールと、
前記コンソールに設けられ、作業機を操作する操作レバーと、
前記コンソールに設けられる表示部と
前記コンソールに取り付けられ、前記表示部を支持するブラケットとを備え、
上面視において、前記操作レバーおよび前記表示部は、前記運転席から外側に向かって前記操作レバーおよび前記表示部の順に配置され
前記表示部は、表示面を有し、
前記ブラケットは、前記表示部を前記表示面に平行な方向に移動させる位置調整機構を有し、
前記位置調整機構による前記表示部の移動の間、前記表示面は、単一の平面内を移動する、キャブ。
【請求項2】
前記操作レバーは、上下方向において、第1高さ領域に設けられ、
前記表示部は、上下方向において、第2高さ領域に設けられ、
前記第1高さ領域の少なくとも一部と、前記第2高さ領域の少なくとも一部とが、重なり合う、請求項1に記載のキャブ。
【請求項3】
記表示面は、前記表示面の上端部が前記表示面の下端部よりも前方に位置する前傾姿勢で立設される、請求項1または2に記載のキャブ。
【請求項4】
前記表示面は、上面視において前記運転席の側を向くように、左右方向に対して傾いて設けられる、請求項3に記載のキャブ。
【請求項5】
前記表示面の上端部は、前記操作レバーよりも前方に配置される、請求項3または4に記載のキャブ。
【請求項6】
前記表示部は、タッチパネル式のモニタである、請求項1からのいずれか1項に記載のキャブ。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載のキャブと、
前記操作レバーにより操作される作業機とを備える、作業車両。
【請求項8】
前記キャブは、前方を向いて設けられる前面と、左右方向において前記作業機と対向し、前記前面と角部をなす側面とを有する箱体からなり、
前記表示部は、前記側面および前記操作レバーの間に配置される、請求項に記載の作業車両。
【請求項9】
前記キャブは、上下方向に延び、前記側面および前記運転席の間に設けられる柱部材をさらに備え、
前面視において、前記表示部の少なくとも一部が、前記柱部材と重なり合う、請求項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャブおよび作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2014-136943号公報(特許文献1)には、キャブを有する油圧ショベルが開示されている。キャブ内部の前方側の角部には、各種のモニタ機能を有する平面状の表示部を有するモニタ装置と、外部から受信した油圧ショベルの現状位置を表示するためのモニタとが設けられている。
【0003】
また、特開2008-8122号公報(特許文献2)には、運転室を有する油圧ショベルが開示されている。運転室内の右側方部には、コントロールパネルが設けられており、そのコントロールパネルには、モニタが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-136943号公報
【文献】特開2008-8122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示される油圧ショベルにおいては、モニタ装置およびモニタが、キャブ内部の前方側の隅部に設けられているため、運転席からモニタ装置およびモニタまでの距離が遠い。このため、運転席に着座したオペレータが、モニタ装置およびモニタを見にくいと感じる可能性がある。
【0006】
また、特許文献2に開示される油圧ショベルにおいては、モニタが、運転室内の右側方部に設けられたコントロールパネルに設置されている。この場合、モニタが運転室内の側壁に一体に設けられている構造上の理由により、モニタを左右方向において運転席に一定以上近づけることが難しい。このため、運転席に着座したオペレータが、モニタを見にくいと感じる可能性がある。
【0007】
そこで本開示の目的は、オペレータからの表示部の視認性が良好であるキャブと、そのようなキャブを備える作業車両とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従ったキャブは、運転席と、コンソールと、操作レバーと、表示部とを備える。コンソールは、運転席の側方に配置される。操作レバーは、コンソールに設けられる。操作レバーは、作業機を操作する。表示部は、コンソールに設けられる。上面視において、操作レバーおよび表示部は、運転席から外側に向かって操作レバーおよび表示部の順に配置される。
【0009】
本開示に従った作業車両は、キャブと、作業機とを備える。作業機は、操作レバーにより操作される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に従えば、オペレータからの表示部の視認性が良好であるキャブと、そのようなキャブを備える作業車両とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】油圧ショベルを示す斜視図である。
図2図1中のキャブを示す斜視図である。
図3図1中のキャブを示す別の斜視図である。
図4図1中のキャブ内部を示す斜視図である。
図5図1中のキャブ内部における運転席と、運転席の右方の構成とを示す上面図である。
図6図1中のキャブ内部における運転席と、運転席の右方の構成とを示す前面図である。
図7図6中のVII-VII線上の矢視方向に見たキャブ内部を示す側面図である。
図8図5中の操作レバーおよびモニタを拡大して示す上面図である。
図9図6中の操作レバーおよびモニタを拡大して示す前面図である。
図10図7中の操作レバーおよびモニタを拡大して示す側面図である。
図11図1中のキャブ内部を示す斜視図である。
図12】コンソールに対するモニタの取り付け構造を示す斜視図である。
図13】コンソールに対するモニタの取り付け構造を示す別の斜視図である。
図14】コンソールに対するモニタの取り付け構造を示すさらに別の斜視図である。
図15】モニタが上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合のキャブ内部を示す上面図である。
図16】モニタが上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合のキャブ内部を示す前面図である。
図17】モニタが上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合のキャブ内部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0013】
図1は、油圧ショベルを示す斜視図である。まず、本実施の形態におけるキャブを備える油圧ショベルの全体構造について説明する。
【0014】
図1に示されるように、油圧ショベル100は、車両本体11と、作業機12とを有する。車両本体11は、旋回体13と、走行装置15とを有する。
【0015】
走行装置15は、一対の履帯15Crと、走行モータ15Mとを有する。油圧ショベル100は、履帯15Crの回転により走行可能である。走行モータ15Mは、走行装置15の駆動源として設けられている。なお、走行装置15が車輪(タイヤ)を有してもよい。
【0016】
旋回体13は、走行装置15上に設けられている。旋回体13は、旋回中心26を中心として、走行装置15に対して旋回可能である。旋回中心26は、上下方向に延びる軸である。旋回体13は、キャブ(運転室)30を有する。キャブ30内には、オペレータの居住空間120が形成されている。オペレータの居住空間120には、運転席31が設けられている。オペレータは、居住空間120に搭乗し、運転席31に着座して油圧ショベル100を操作する。
【0017】
旋回体13は、エンジンフード19と、旋回体13の後部に設けられるカウンタウェイトとを有する。エンジンフード19には、エンジン、作動油タンク、エアクリーナおよび油圧ポンプなどが収容されている。
【0018】
作業機12は、車両本体11に取り付けられている。作業機12は、旋回体13に取り付けられている。作業機12は、地面の掘削などの作業を行なう。作業機12は、ブーム16と、アーム17と、バケット18とを有する。
【0019】
ブーム16は、ブームピン23を介して、車両本体11(旋回体13)に回動可能に連結されている。アーム17は、アームピン24を介して、ブーム16に回動可能に連結されている。バケット18は、バケットピン25を介して、アーム17に回動可能に連結されている。
【0020】
作業機12は、ブームシリンダ20Aおよびブームシリンダ20Bと、アームシリンダ21と、バケットシリンダ22とをさらに有する。
【0021】
ブームシリンダ20A、ブームシリンダ20B、アームシリンダ21およびバケットシリンダ22は、作動油によって駆動される油圧シリンダである。ブームシリンダ20Aおよびブームシリンダ20Bは、ブーム16の両側に一対に設けられており、ブーム16を回動動作させる。アームシリンダ21は、アーム17を回動動作させる。バケットシリンダ22は、バケット18を回動動作させる。
【0022】
なお、本明細書において、前後方向とは、運転席31に着座したオペレータの前後方向である。運転席31に着座したオペレータの正面方向が、前方であり、運転席31に着座したオペレータの背後方向が、後方である。左右方向(側方)とは、運転席31に着座したオペレータの左右方向である。運転席31に着座したオペレータが正面を向いたときの右側が、右方であり、運転席31に着座したオペレータが正面を向いたときの左側が、左方である。上下方向とは、前後方向および左右方向を含む平面に直交する方向である。地面のある側が、下方であり、空のある側が、上方である。
【0023】
図2および図3は、図1中のキャブを示す斜視図である。続いて、キャブ30の構造について説明する。
【0024】
図2および図3に示されるように、キャブ30は、前面30Aと、後面30Bと、右側面30Cと、左側面30Dと、上面30Eと、底面30Fとを有する直方体形状の箱体からなる。
【0025】
前面30Aは、前方を向いて設けられている。後面30Bは、後方を向いて設けられている。右側面30Cは、右方を向いて設けられている。右側面30Cは、左右方向において、図1に示される作業機12と対向している。左側面30Dは、左方を向いて設けられている。上面30Eは、上方を向いて設けられている。底面30Fは、下方を向いて設けられている。
【0026】
キャブ30は、床部材40と、柱部材42Lと、左右一対の柱部材43(43L,43R)と、左右一対の柱部材44(44L,44R)と、梁部材51,52,53と、左右一対の桁部材54(54L,54R)と、左右一対の桁部材55(55L,55R)とを有する。
【0027】
床部材40、柱部材42L、柱部材43、柱部材44、梁部材51,52,53、桁部材54および桁部材55は、溶接により互いに一体化されることによってキャブフレームを構成している。
【0028】
床部材40は、底面30Fに設けられている。床部材40は、板材(たとえば、鋼板)から構成されている。
【0029】
柱部材42L、柱部材43、柱部材44、梁部材51,52,53、桁部材54および桁部材55は、一方向に長尺状に延びるフレーム材からなる。柱部材42L、柱部材43、柱部材44、梁部材51,52,53、桁部材54および桁部材55は、図1に示されるオペレータの居住空間120の周りに設けられている。オペレータの居住空間120は、柱部材42L、柱部材43、柱部材44、梁部材51,52,53、桁部材54および桁部材55により取り囲まれた位置に設けられている。
【0030】
柱部材42L、柱部材43および柱部材44は、床部材40上に立設されている。柱部材42L、柱部材43および柱部材44は、床部材40に接続されている。柱部材42L、柱部材43および柱部材44は、上面30Eおよび底面30Fの間において、上下方向に延びている。
【0031】
柱部材42Lは、前面30Aおよび左側面30Dが交わる角部に設けられている。柱部材42Lは、前面30Aの前端部に設けられている。柱部材42Lは、図1に示される運転席31よりも前方に設けられている。
【0032】
柱部材43Lおよび柱部材43Rは、左右方向において互いに間隔を設けて配置されている。柱部材43Lおよび柱部材43Rは、左右方向において互いに対向する位置に設けられている。柱部材43Lおよび柱部材43Rは、図1に示される運転席31の側方に設けられている。柱部材43Lは、左側面30Dに設けられている。柱部材43Rは、右側面30Cに設けられている。柱部材43Lおよび柱部材43Rは、柱部材42Lよりも後方に設けられている。
【0033】
柱部材44Lおよび柱部材44Rは、左右方向において互いに間隔を設けて配置されている。柱部材44Lおよび柱部材44Rは、左右方向において互いに対向する位置に設けられている。柱部材44Lは、左側面30Dおよび後面30Bが交わる角部に設けられている。柱部材44Lは、左側面30Dの後端部に設けられている。柱部材44Rは、右側面30Cおよび後面30Bが交わる角部に設けられている。柱部材44Rは、右側面30Cの後端部に設けられている。柱部材44Lおよび柱部材44Rは、柱部材43Lおよび柱部材43Rよりも後方に設けられている。柱部材44Lおよび柱部材44Rは、図1に示される運転席31よりも後方に設けられている。
【0034】
梁部材51,52,53、桁部材54および桁部材55は、上面30Eに設けられている。梁部材51、梁部材52および梁部材53は、左右方向に延びている。桁部材54および桁部材55は、前後方向に延びている。
【0035】
梁部材51は、前面30Aおよび上面30Eが交わる角部に設けられている。梁部材51の左端部は、柱部材42Lおよび後述する桁部材54Lの接続部に接続されている。梁部材51の右端部は、後述する桁部材54Rの前端部に接続されている。
【0036】
梁部材52は、梁部材51よりも後方に設けられている。梁部材52の右端部は、柱部材43Rの上端部に接続されている。梁部材52の左端部は、柱部材43Lの上端部に接続されている。
【0037】
梁部材53は、上面30Eおよび後面30Bが交わる角部に設けられている。梁部材53は、梁部材52よりも後方に設けられている。梁部材53の右端部は、柱部材44Rの上端部に接続されている。梁部材53の左端部は、柱部材44Lの上端部に接続されている。
【0038】
桁部材54Lおよび桁部材54Rは、左右方向において互いに間隔を設けて配置されている。桁部材54Lおよび桁部材54Rは、左右方向において互いに対向する位置に設けられている。
【0039】
桁部材54Lは、左側面30Dおよび上面30Eが交わる角部に設けられている。桁部材54Lの前端部は、柱部材42Lの上端部に接続されている。桁部材54Lおよび柱部材42Lは、一体のフレーム材から構成されている。桁部材54Lの後端部は、柱部材43Lの上端部に接続されている。桁部材54Rは、右側面30Cおよび上面30Eが交わる角部に設けられている。桁部材54Rの後端部は、柱部材43Rの上端部に接続されている。
【0040】
桁部材55Lおよび桁部材55Rは、左右方向において互いに間隔を設けて配置されている。桁部材55Lおよび桁部材55Rは、左右方向において互いに対向する位置に設けられている。
【0041】
桁部材55Lは、左側面30Dおよび上面30Eが交わる角部に設けられている。桁部材55Lの前端部は、柱部材43Lの上端部に接続されている。桁部材55Lの後端部は、柱部材44Lの上端部に接続されている。桁部材55Rは、右側面30Cおよび上面30Eが交わる角部に設けられている。桁部材55Rの前端部は、柱部材43Rの上端部に接続されている。桁部材55Lの後端部は、柱部材44Rの上端部に接続されている。
【0042】
図2に示されるように、キャブ30は、ブラケット41をさらに有する。ブラケット41は、梁部材51および桁部材54Rの接続部と、床部材40の右前端部とを繋ぐように設けられている。
【0043】
ブラケット41は、柱部材42Lと左右一対に設けられるべきフレーム材に替わって設けられている。キャブフレームを構成するフレーム材同士が溶接によって接続されているのに対して、ブラケット41は、ボルト等により、キャブフレームに対して着脱可能に取り付けられている。
【0044】
図1および図2に示されるように、キャブ30は、天井部材45と、扉部材32とをさらに有する。天井部材45は、上面30Eに設けられている。天井部材45は、板材(たとえば、鋼板)から構成されている。天井部材45は、梁部材51,52,53、桁部材54および桁部材55上に設けられている。
【0045】
扉部材32は、左側面30Dにおいて開閉可能に設けられている。扉部材32は、オペレータが居住空間120に対して入退室する時に開閉される。
【0046】
図2に示されるように、キャブ30は、前方透明部材46と、側方透明部材48とをさらに有する。前方透明部材46および側方透明部材48は、光が透過可能な透明部材から構成されている。前方透明部材46および側方透明部材48は、たとえば、ガラスまたはアクリルから構成されている。
【0047】
前方透明部材46は、前面30Aに設けられている。前方透明部材46は、左右方向において、柱部材42Lおよびブラケット41の間に設けられている。前方透明部材46は、柱部材43よりも前方に設けられている。前方透明部材46は、運転席31よりも前方に設けられている。
【0048】
側方透明部材48は、右側面30Cに設けられている。側方透明部材48は、前後方向において、ブラケット41、柱部材43Rおよび柱部材44Rの間に渡って設けられている。側方透明部材48は、前後方向において、ブラケット41および柱部材43Rの間にのみ渡って設けられてもよい。
【0049】
前方透明部材46は、上方透明部材46Pと、下方透明部材46Qとを有する。上方透明部材46Pは、下方透明部材46Qの上方に設けられている。
【0050】
下方透明部材46Qおよび側方透明部材48が、固定式である一方、上方透明部材46Pは、開閉動作可能な可動式である。上方透明部材46Pは、前面30Aを開状態とする位置と、前面30Aを閉状態とする位置との間で開閉動作する。上方透明部材46Pは、前面30Aを開状態とする位置に動作した時、上面30Eに移動する。
【0051】
油圧ショベル100においては、キャブ30内のオペレータが作業機12による作業を確認するために、オペレータからの右斜め前方の視界性が良好であることが求められる。これに対して、オペレータの右斜め前方の位置には、柱部材42Lと左右一対となるべきフレーム材に替わって、ブラケット41が設けられている。ブラケット41は、キャブフレームを構成するフレーム材のように強度を担保する部材でないため、ブラケット41を細くすることができる。これにより、オペレータからの右斜め前方の視界性を向上させることができる。
【0052】
なお、オペレータの右斜め前方の位置において、ブラケット41が設けられておらず、固定式の前方透明部材と、固定式の側方透明窓とが、互いに突き合わされて、接合される構成であってもよい。
【0053】
図4は、図1中のキャブ内部を示す斜視図である。図4に示されるように、運転席31は、シートクッション37と、シートバック36と、ヘッドレスト38とを有する。
【0054】
シートクッション37は、床部材40と平行に横たわっている。シートクッション37は、オペレータが腰をおろすシート部位である。シートバック36は、シートクッション37の後端部から上方に立ち上がるように設けられている。シートバック36は、オペレータの背凭れとなるシート部位である。ヘッドレスト38は、シートバック36の上方端に設けられている。ヘッドレスト38は、オペレータの後頭部を支えるシート部位である。
【0055】
キャブ30は、サスペンション機構部39をさらに有する。サスペンション機構部39は、運転席31(シートクッション37)の下方に設けられている。運転席31は、サスペンション機構部39を介して床部材40に取り付けられている、サスペンション機構部39は、運転席31を弾性的に支持している。
【0056】
キャブ30は、左右一対のコンソール61(61L,61R)と、左右一対のアームレスト56(56L,56R)とをさらに有する。
【0057】
コンソール61は、運転席31の側方に設けられている。コンソール61Lは、運転席31の左方に設けられている。コンソール61Rは、運転席31の右方に設けられている。アームレスト56は、運転席31の側方に設けられている。アームレスト56は、コンソール61の上方に設けられている。アームレスト56Lは、運転席31の左方に設けられている。アームレスト56Rは、運転席31の右方に設けられている。アームレスト56は、運転席31に着座するオペレータの肘掛けとして用いられる。
【0058】
キャブ30は、操作レバー71と、操作レバー76とをさらに有する。操作レバー71および操作レバー76は、オペレータに操作されることによって、図1に示される作業機12を操作する。操作レバー71および操作レバー76は、運転席31の側方に設けられている。
【0059】
操作レバー71は、運転席31の右方に設けられている。操作レバー71は、コンソール61Rに設けられている。操作レバー71は、アームレスト56Rの前方に設けられている。操作レバー71は、コンソール61Rから上方に向けて突出している。操作レバー71は、コンソール61Rの後方端よりも、コンソール61Rの前方端寄りに設けられている。操作レバー71は、シートバック36よりも前方に設けられている。操作レバー71は、シートクッション37よりも上方に設けられている。
【0060】
操作レバー76は、運転席31の左方に設けられている。操作レバー76は、コンソール61Lに設けられている。操作レバー76は、操作レバー71と左右対称の形態により設けられている。
【0061】
キャブ30は、モニタ81と、操作部80とをさらに有する。モニタ81は、油圧ショベル100の運転に関わる各種の情報を表示する。
【0062】
モニタ81は、エンジン水温ゲージ、作業モード、走行速度および燃料計などの各種のインジケータを表示する。モニタ81は、タッチパネル式のモニタである。モニタ81は、作業モード選択、走行速度選択、ワイパースイッチおよび画面切り替えスイッチなどの各種の操作スイッチを表示する。
【0063】
モニタ81は、カメラを用いて撮影された油圧ショベル100の周囲の画像を表示してもよい。モニタ81は、外部から受信した油圧ショベル100の現状位置、バケットの刃先の位置情報および施工・設計データなどを表示してもよい。
【0064】
操作部80は、油圧ショベル100の運転時に用いられる各種の切替スイッチおよびダイヤルから構成されている。
【0065】
図5は、図1中のキャブ内部における運転席と、運転席の右方の構成とを示す上面図である。図6は、図1中のキャブ内部における運転席と、運転席の右方の構成とを示す前面図である。図7は、図6中のVII-VII線上の矢視方向に見たキャブ内部を示す側面図である。
【0066】
図5から図7に示されるように、モニタ81および操作部80は、コンソール61Rに設けられている。
【0067】
キャブ30は、ブラケット62をさらに有する。ブラケット62は、コンソール61Rに取り付けられている。モニタ81および操作部80は、ブラケット62により支持されている。モニタ81および操作部80は、ブラケット62を介してコンソール61Rに取り付けられている。コンソール61Rは、ブラケット62を介してモニタ81および操作部80の重量を受けている。
【0068】
図5に示される上面視において、操作レバー71およびモニタ81は、運転席31から外側に向かって操作レバー71およびモニタ81の順に配置される。上面視において、操作レバー71およびモニタ81は、運転席31から、運転席31から離れる外側に向かって操作レバー71およびモニタ81の順に配置される。上面視において、モニタ81は、操作レバー71に対して運転席31の反対側に配置され、操作レバー71と並んで設けられている。
【0069】
モニタ81は、左右方向において、右側面30C(側方透明部材48)と、操作レバー71との間に設けられている。モニタ81は、左右方向において、右側面30C(側方透明部材48)と、コンソール61Rとの間に設けられている。モニタ81は、左右方向において、右側面30C(側方透明部材48)と、アームレスト56Rとの間に設けられている。
【0070】
図5および図6中には、左右方向における運転席31の中心位置101と、左右方向におけるキャブ30の中心位置102とが示されている。
【0071】
図5および図6に示されるように、運転席31の中心位置101からモニタ81までの距離は、運転席31の中心位置101から操作レバー71までの距離よりも大きい。キャブ30の中心位置102からモニタ81までの距離は、キャブ30の中心位置102から操作レバー71までの距離よりも大きい。
【0072】
右側面30C(側方透明部材48)と、モニタ81との間には、隙間が設けられている。モニタ81は、右側面30Cから分離して設けられている。
【0073】
図5に示される上面視において、モニタ81は、操作レバー71と左右方向に並んで設けられている。上面視において、モニタ81および操作レバー71の間の最短距離は、300mm以下であることが好ましく、150mm以下であることがさらに好ましい。モニタ81は、柱部材43Rよりも前方に設けられている。モニタ81は、アームレスト56Rよりも前方に設けられている。モニタ81は、シートバック36およびヘッドレスト38よりも前方に設けられている。モニタ81は、ブラケット41および柱部材42Lよりも後方に設けられている。
【0074】
前面30Aと右側面30Cとが交わる位置には、角部Tが構成されている。左右方向におけるヘッドレスト38のヘッドレスト前面38aの中心位置Sと、角部Tとを繋ぐ直線103が規定されている。この場合に、モニタ81は、直線103からずれた位置に設けられている。モニタ81は、直線103の右方かつ後方のキャブ30内の領域に設けられている。モニタ81は、直線103と、右側面30Cとの間に挟まれたキャブ30内の領域に設けられている。
【0075】
操作部80は、左右方向において、右側面30C(側方透明部材48)と、コンソール61Rとの間に設けられている。操作部80は、左右方向において、右側面30C(側方透明部材48)と、アームレスト56Rとの間に設けられている。操作部80は、モニタ81の後方に設けられている。
【0076】
図6に示される前面視において、モニタ81の少なくとも一部が、柱部材43Rと重なり合っている。図6に示される前面視において、モニタ81の一部が、柱部材43Rと重なり合っている。
【0077】
図8は、図5中の操作レバーおよびモニタを拡大して示す上面図である。図9は、図6中の操作レバーおよびモニタを拡大して示す前面図である。図10は、図7中の操作レバーおよびモニタを拡大して示す側面図である。
【0078】
図8から図10に示されるように、操作レバー71は、オペレータが把持可能な円柱状のグリップからなる。操作レバー71は、円柱形状に限られず、たとえば、弓形に湾曲した形状を有してもよい。
【0079】
操作レバー71は、左右方向に傾倒可能に構成されている。操作レバー71は、中立ポジション(71A:操作レバー71Aにより示される位置)と、中立ポジション(71A)から、右方(運転席31から遠ざかる方向)にシフトした右側ポジション(71B:操作レバー71Bにより示される位置)との間で傾倒可能である。操作レバー71は、中立ポジション(71A)と、中立ポジション(71A)から、左方(運転席31に近づく方向)にシフトした左側ポジション(71C:操作レバー71Cにより示される位置)との間で傾倒可能である。
【0080】
操作レバー71は、運転席31に着座するオペレータにより右側ポジション(71B)および左側ポジション(71C)に傾倒された時に、作業機12を動作させる(一例として、図1に示されるバケット18の掘削動作およびダンプ動作)。
【0081】
操作レバー71は、前後方向に傾倒可能に構成されている。操作レバー71は、中立ポジション(71A)と、中立ポジション(71A)から前方にシフトした前側ポジション(71D:操作レバー71Dにより示される位置)との間で傾倒可能である。操作レバー71は、中立ポジション(71A)と、中立ポジション(71A)から後方にシフトした後側ポジション(71E:操作レバー71Eにより示される位置)との間で傾倒可能である。
【0082】
操作レバー71は、運転席31に着座するオペレータにより前側ポジション(71D)および後側ポジション(71D)に傾倒された時に、作業機12を動作させる(一例として、図1に示されるブーム16の上げ動作および下げ動作)。
【0083】
操作レバー71は、たとえば、ばね部材(不図示)からの弾性力を受けて、右側ポジション(71B)、左側ポジション(71C)、前側ポジション(71D)および後側ポジション(71D)から、中立ポジション(71A)に自動的に復帰する。操作レバー71は、中立ポジション(71A)に位置決めされた時に作業機12を停止させる。
【0084】
本明細書においては、中立ポジション(71A)、右側ポジション(71B)、左側ポジション(71C)、前側ポジション(71D)および後側ポジション(71E)に位置決めされた操作レバー71を、それぞれ、操作レバー71(71A)、操作レバー71(71B)、操作レバー71(71C)、操作レバー71(71D)および操作レバー71(71E)ともいう。
【0085】
モニタ81は、薄板状の直方体形状を有する。モニタ81は、表示面82を有する。表示面82は、たとえば、液晶画面から構成されている。表示面82は、モニタ81の厚み方向に直交する平面から構成されている。表示面82は、矩形形状を有する。
【0086】
図8および図10に示されるように、操作レバー71(71A)は、前後方向において、第1前後領域220に設けられている。第1前後領域220は、操作レバー71(71A)の前端部72から後端部73までの前後方向の範囲に対応している。モニタ81は、前後方向において、第2前後領域210に設けられている。第2前後領域210は、モニタ81の前端部87から後端部88までの前後方向の範囲に対応している。
【0087】
第1前後領域220の少なくとも一部と、第2前後領域210の少なくとも一部とが、重なり合っている。第1前後領域220の一部と、第2前後領域210の一部とが、重なり合っている。モニタ81の前端部87は、操作レバー71(71A)の前端部72よりも前方に位置している。モニタ81の後端部88は、操作レバー71(71A)の前端部72よりも後方に位置し、操作レバー71(71A)の後端部88よりも前方に位置している。
【0088】
上記のように、モニタ81が設けられる第2前後領域210が、操作レバー71(71A)が設けられる第1前後領域220よりも前方にシフトした構成に限られず、モニタ81が設けられる第2前後領域210が、操作レバー71(71A)が設けられる第1前後領域220よりも後方にシフトした構成であってもよい。
【0089】
また、第1前後領域220の全部と、第2前後領域210の一部とが、重なり合う構成(第2前後領域210が、第1前後領域220に含まれる構成)であってもよいし、第1前後領域220の一部と、第2前後領域210の全部とが、重なり合う構成(第1前後領域220が、第2前後領域210に含まれる構成)であってもよいし、第1前後領域220の全部と、第2前後領域210の全部とが、重なり合う構成(第1前後領域220および第2前後領域210が一致する構成)であってもよい。
【0090】
操作レバー71は、前後方向において、第3前後領域230で動作する。第3前後領域230は、操作レバー71(71D)の前端部72から操作レバー71(71E)の後端部73までの前後方向の範囲に対応している。
【0091】
第3前後領域230の少なくとも一部と、第2前後領域210の少なくとも一部とが、重なり合っている。第3前後領域230および第2前後領域210は、第1前後領域220および第2前後領域210の間の上記関係と同様の関係を有する。
【0092】
図9および図10に示されるように、操作レバー71(71A)は、上下方向において、第1高さ領域250に設けられている。第1高さ領域250は、操作レバー71(71A)の上端部74から下端部75までの上下方向の範囲に対応している。モニタ81は、上下方向において、第2高さ領域240に設けられている。第2高さ領域240は、モニタ81の上端部85から下端部86までの上下方向の範囲に対応している。
【0093】
第1高さ領域250の少なくとも一部と、第2高さ領域240の少なくとも一部とが、重なり合っている。第1高さ領域250の一部と、第2高さ領域240の一部とが、重なり合っている。モニタ81の上端部85は、操作レバー71(71A)の上端部74よりも下方に位置し、操作レバー71(71A)の下端部75よりも上方に位置している。モニタ81の下端部86は、操作レバー71(71A)の下端部75よりも下方に位置している。
【0094】
上記のように、モニタ81が設けられる第2高さ領域240が、操作レバー71(71A)が設けられる第1高さ領域250よりも下方寄りにシフトした構成に限られず、モニタ81が設けられる第2高さ領域240が、操作レバー71(71A)が設けられる第1高さ領域250よりも上方寄りにシフトした構成であってもよい。
【0095】
また、第1高さ領域250の全部と、第2高さ領域240の一部とが、重なり合う構成(第2高さ領域240が、第1高さ領域250に含まれる構成)であってもよいし、第1高さ領域250の一部と、第2高さ領域240の全部とが、重なり合う構成(第1高さ領域250が、第2高さ領域240に含まれる構成)であってもよいし、第1高さ領域250の全部と、第2高さ領域240の全部とが、重なり合う構成(第1高さ領域250の全部および第2高さ領域240が一致する構成)であってもよい。
【0096】
操作レバー71は、上下方向において、第3高さ領域260で動作する。第3高さ領域260は、操作レバー71(71E)の上端部74から操作レバー71(71C)の下端部75までの上下方向の範囲に対応している。
【0097】
第3高さ領域260の少なくとも一部と、第2高さ領域240の少なくとも一部とが、重なり合っている。第3高さ領域260および第2高さ領域240は、第1高さ領域250および第2高さ領域240の間の上記関係と同様の関係を有する。
【0098】
図8から図10に示されるように、表示面82は、表示面82の上端部83が表示面82の下端部84よりも前方に位置する前傾姿勢で立設されている。
【0099】
操作レバー71(71A)は、操作レバー71(71A)の上端部74が操作レバー71(71A)の下端部75よりも前方に位置する前傾姿勢で設けられている。表示面82が鉛直方向に対して前方に傾く角度は、操作レバー71(71A)が鉛直方向に対して前方に傾く角度よりも大きい。表示面82が鉛直方向に対して前方に傾く角度は、操作レバー71(71A)が鉛直方向に対して前方に傾く角度以下であってもよい。
【0100】
図5に示されるように、表示面82は、上面視において運転席31の側を向くように、左右方向に対して傾いて設けられている。
【0101】
図8に示されるように、表示面82の上端部83は、操作レバー71(71A)よりも前方に配置されている。
【0102】
図11は、図1中のキャブ内部を示す斜視図である。図11中には、運転席31に着座したオペレータからの右斜め前方の視界が示されている。オペレータの右斜め前方では、固定式の前方透明部材46と、固定式の側方透明部材48とが、互いに突き合わされて、接合されている。
【0103】
図5および図11に示されるように、キャブ30においては、操作レバー71が設けられたコンソール61Rに、モニタ81が設けられている。また、上面視において、操作レバー71およびモニタ81は、運転席31から外側に向かって操作レバー71およびモニタ81の順に配置されている。
【0104】
このような構成により、モニタ81が、運転席31に着座するオペレータの手が届く範囲の周りに設けられるため、オペレータは、モニタ81を見やすくなる。また、モニタ81がタッチパネル式である場合には、オペレータは、モニタ81を操作しやすくなる。また、モニタ81が設けられる位置は、前後方向においてオペレータと対向する位置からずれているため、運転席31に出入りするオペレータの動きがモニタ81によって阻害されることを防止できる。
【0105】
また、モニタ81は、右側面30C(側方透明部材48)および操作レバー71の間に配置されている。これにより、オペレータは、前面30Aおよび右側面30C越しに作業機12の動作を見ている時に、その視線を大きく動かすことなくモニタ81を視界に入れることができる。これにより、オペレータは、モニタ81を見やすくなったり、作業機12を視界の端に残しつつ、モニタ81を見たりすることができる。
【0106】
図9および図11に示されるように、操作レバー71(71A)が設けられる第1高さ領域250の少なくとも一部と、モニタ81が設けられる第2高さ領域240の少なくとも一部とが、重なり合っている。
【0107】
このような構成により、前方を向くオペレータの視線がモニタ81によって遮られることが抑制されるため、オペレータからの前方視界性を良好にできる。特に油圧ショベル100では、オペレータの右斜め前方において、フレーム材に替わってブラケット41が設けられ、そのブラケット41によって前方透明部材46および側方透明部材48が支持される構成、または、前方透明部材46と側方透明部材48とが、互いに突き合わされて、接合される構成によって、オペレータからの右斜め前方の視界性が向上している。このため、オペレータが前方透明部材46および側方透明部材48越しに作業機12の動作を見る場合に、作業機12の視認性を格段に向上させることができる。
【0108】
また、モニタ81を向くオペレータの視線が操作レバー71(71A)またはコンソール61Rによって遮られることが抑制される。このため、オペレータは、モニタ81をさらに見やすくなる。また、モニタ81がタッチパネル式である場合には、オペレータは、自らの手を大きく動かすことなく操作レバー71からモニタ81まで移すことができる。このため、モニタ81の操作性を向上させることができる。
【0109】
図11に示されるように、表示面82は、表示面82の上端部83が表示面82の下端部84よりも前方に位置する前傾姿勢で立設されている。これにより、表示面82が、前後方向において運転席31に着座するオペレータの側を向くため、オペレータは、モニタ81をさらに見やすくなる。
【0110】
また、表示面82は、上面視において運転席31の側を向くように、左右方向に対して傾いて設けられている。これにより、表示面82が、左右方向においても運転席31に着座するオペレータの側を向くため、オペレータは、モニタ81をさらに見やすくなる。
【0111】
図8および図11に示されるように、表示面82の上端部83は、操作レバー71(71A)よりも前方に配置されている。この場合、表示面82が操作レバー71(71A)よりも前方寄りの位置に設けられるため、オペレータは、前方を見ている時に、その視線を大きく動かすことなく表示面82を視界に入れることができる。これにより、オペレータは、モニタ81をさらに見やすくなる。
【0112】
図6に示されるように、前面視において、モニタ81の少なくとも一部が、柱部材43Rと重なり合っている。このような構成によれば、柱部材43Rの前後の空き空間を利用して、モニタ81を設けることができる。また、モニタ81が右側面30Cにより近接して配置されるため、右側面30Cおよび運転席31間の限られた空間において、モニタ81の大画面化を図ることができる。
【0113】
図12から図14は、コンソールに対するモニタの取り付け構造を示す斜視図である。図12から図14に示されるように、コンソール61Rは、本体部63と、アームレスト取り付け部64と、操作レバー取り付け部65とを有する。
【0114】
本体部63は、図4に示される運転席31(シートクッション37)の右方に設けられている。本体部63は、全体として、前後方向が長手方向となり、左右方向が幅方向となる長尺形状を有する。本体部63は、板材から構成されている。
【0115】
本体部63は、内板部63Jと、外板部63Kとを有する。内板部63Jおよび外板部63Kは、左右方向において、互いに間隔を設けて対向している。内板部63Jは、左右方向において、運転席31(シートクッション37)と対向している。外板部63Kは、内板部63Jに対して、運転席31(シートクッション37)の反対側に設けられている。
【0116】
アームレスト取り付け部64には、アームレスト56Rが取り付けられている。アームレスト取り付け部64は、本体部63の後端部に設けられている。アームレスト取り付け部64は、本体部63から上方に向けて突出する筒形状を有する。アームレスト56Rは、ポール部57を有する。ポール部57は、上下方向に延びている。ポール部57は、アームレスト取り付け部64に挿入されている。
【0117】
なお、ポール部57をアームレスト取り付け部64に対して上下方向にスライドさせることによって、アームレスト56Rの高さ調整が可能である。
【0118】
操作レバー取り付け部65には、操作レバー71が取り付けられている。操作レバー取り付け部65は、本体部63の上端部に設けられている。操作レバー取り付け部65は、本体部63の前方端寄りの位置に設けられている。操作レバー取り付け部65は、板形状を有し、内板部63Jおよび外板部63Kに跨がって設けられている。
【0119】
ブラケット62は、フランジ部66と、張り出し部68と、延出部67とを有する。フランジ部66は、左右方向に直交する板形状を有する。フランジ部66は、本体部63に接続されている。フランジ部66は、外板部63Kに接続されている。張り出し部68は、フランジ部66の上端部から右方に張り出している。張り出し部68は、左右方向において張り出し部68から遠ざかるほど上方に向かうように傾斜している。張り出し部68には、操作部80が取り付けられている。
【0120】
延出部67は、張り出し部68の前端部から、前方かつ斜め上方向に延出している。延出部67は、左右方向において張り出し部68から遠ざかるほど上方に向かうように傾斜している。延出部67には、モニタ81が取り付けられている。モニタ81の表示面82は、延出部67と平行に配置されている。
【0121】
ブラケット62は、位置調整機構91を有する。位置調整機構91は、延出部67に設けられている。位置調整機構91は、モニタ81を表示面82に平行な方向に移動させる。位置調整機構91は、モニタ81を、前後方向かつ上下方向に移動させる。
【0122】
より具体的には、延出部67には、複数の取り付け孔92が設けられている。取り付け孔92は、延出部67の延出方向が長手方向となる長孔の開口形状をなしている。モニタ81は、取り付け孔92に挿入されるボルト93により、延出部67に対して締結されている。延出部67に対するモニタ81の締結時、モニタ81を取り付け孔92がなす長孔の開口形状の長手方向に沿ってスライドさせることによって、モニタ81の位置を調整することができる。
【0123】
このような構成によれば、運転席31に着座するオペレータの目の位置に合わせて、表示面82の位置を調整することができる。これにより、オペレータは、モニタ81をさらに見やすくなる。
【0124】
なお、図8から図10中には、下方側かつ後方側のスライド端に位置調整されたモニタ81が示されている。
【0125】
図15は、モニタが上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合のキャブ内部を示す上面図である。図16は、モニタが上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合のキャブ内部を示す前面図である。図17は、モニタが上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合のキャブ内部を示す側面図である。
【0126】
図15および図17に示されるように、モニタ81が上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合においても、図8および図10に示される第2前後領域210と、第1前後領域220および第3前後領域230との間の関係が同様に満たされる。図16および図17に示されるように、モニタ81が上方側かつ前方側のスライド端に位置調整された場合においても、図9および図10に示される第2高さ領域240と、第1高さ領域250および第3高さ領域260の間の関係が同様に満たされる。
【0127】
以上に説明した、本実施の形態におけるキャブ30および油圧ショベル100の構成および効果についてまとめて説明する。
【0128】
キャブ30は、運転席31と、コンソール61Rと、操作レバー71と、表示部としてのモニタ81とを備える。コンソール61Rは、運転席31の側方に配置される。操作レバー71は、コンソール61Rに設けられる。操作レバー71は、作業機12を操作する。モニタ81は、コンソール61Rに設けられる。上面視において、操作レバー71およびモニタ81は、運転席31から外側に向かって操作レバー71およびモニタ81の順に配置される。
【0129】
このような構成によれば、モニタ81が、運転席31に着座するオペレータの手が届く範囲の周りに設けられるため、オペレータからのモニタ81の視認性を良好にできる。
【0130】
また、操作レバー71(71A)は、上下方向において、第1高さ領域250に設けられる。モニタ81は、上下方向において、第2高さ領域240に設けられる。第1高さ領域250の少なくとも一部と、第2高さ領域240の少なくとも一部とが、重なり合う。
【0131】
このような構成によれば、前方を向くオペレータの視線がモニタ81によって遮られることが抑制されるため、オペレータからの前方視界性を良好にできる。また、モニタ81を向くオペレータの視線が操作レバー71(71A)またはコンソール61Rによって遮られることが抑制されるため、オペレータからのモニタ81の視認性をさらに良好にできる。
【0132】
また、モニタ81は、表示面82を有する。表示面82は、表示面82の上端部83が表示面82の下端部84よりも前方に位置する前傾姿勢で立設される。また、表示面82は、上面視において運転席31の側を向くように、左右方向に対して傾いて設けられる。
【0133】
このような構成によれば、表示面82が、前後方向および左右方向において運転席31に着座するオペレータの側を向くため、オペレータからのモニタ81の視認性をさらに良好にできる。
【0134】
また、表示面82の上端部83は、操作レバー71(71A)よりも前方に配置される。
【0135】
このような構成によれば、表示面82が、操作レバー71(71A)よりも前方寄りの位置に設けられるため、オペレータは、前方を見ている時に、その視線を大きく動かすことなく表示面82を視界に入れることができる。これにより、オペレータからのモニタ81の視認性をさらに良好にできる。
【0136】
また、キャブ30は、ブラケット62をさらに備える。ブラケット62は、コンソール61Rに取り付けられる。ブラケット62は、モニタ81を支持する。ブラケット62は、モニタ81を表示面82に平行な方向に移動させる位置調整機構91を有する。
【0137】
このような構成によれば、運転席31に着座するオペレータの目の位置に合わせて、表示面82の位置を調整することができる。これにより、オペレータからのモニタ81の視認性をさらに良好にできる。
【0138】
また、モニタ81は、タッチパネル式のモニタである。このような構成によれば、モニタ81が、運転席31に着座するオペレータの手が届く範囲の周りに設けられるため、オペレータによるモニタ81の操作性を良好にできる。
【0139】
作業車両としての油圧ショベル100は、キャブ30と、作業機12とを備える。作業機12は、操作レバー71により操作される。
【0140】
このような構成によれば、オペレータからのモニタ81の視認性を良好にすることで、オペレータは、油圧ショベル100を運転しやすくなる。
【0141】
また、キャブ30は、前面30Aと、側面としての右側面30Cとを有する箱体からなる。前面30Aは、前方を向いて設けられる。右側面30Cは、左右方向において作業機12と対向する。右側面30Cは、前面30Aと角部をなす。モニタ81は、右側面30Cおよび操作レバー71の間に配置される。
【0142】
このような構成によれば、オペレータは、前面30Aおよび右側面30C越しに作業機12の動作を見ている時に、その視線を大きく動かすことなくモニタ81を視界に入れることができる。これにより、オペレータは、油圧ショベル100をさらに運転しやすくなる。
【0143】
また、キャブ30は、柱部材43Rをさらに備える。柱部材43Rは、上下方向に延びる。柱部材43Rは、右側面30Cおよび運転席31の間に設けられる。前面視において、モニタ81の少なくとも一部が、柱部材43Rと重なり合う。
【0144】
このような構成によれば、柱部材43Rの前後の空き空間を利用して、モニタ81を設けることができる。
【0145】
なお、本実施の形態では、上面視において、モニタ81が、操作レバー71と左右方向に並んで設けられる構成を説明したが、本開示はこれに限られない。たとえば、図5に示される上面視において、モニタ81は、操作レバー71の右斜め前方の位置に設けられてもよいし、操作レバー71の右斜め後方の位置に設けられてもよい。また、モニタ81は、ブラケット62を介さずに、コンソール61Rに直接、設けられる構成であってもよい。
【0146】
また、本開示におけるキャブは、油圧ショベルに限られず、たとえば、クレーン、ホイールローダまたモータグレーダなどの作業車両に適用可能である。
【0147】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0148】
11 車両本体、12 作業機、13 旋回体、15 走行装置、15Cr 履帯、15M 走行モータ、16 ブーム、17 アーム、18 バケット、19 エンジンフード、20A,20B ブームシリンダ、21 アームシリンダ、22 バケットシリンダ、23 ブームピン、24 アームピン、25 バケットピン、26 旋回中心、30 キャブ、30A 前面、30B 後面、30C 右側面、30D 左側面、30E 上面、30F 底面、31 運転席、32 扉部材、36 シートバック、37 シートクッション、38 ヘッドレスト、38a ヘッドレスト前面、39 サスペンション機構部、40 床部材、41 ブラケット、42L,43,43L,43R,44,44L,44R 柱部材、45 天井部材、46 前方透明部材、46P 上方透明部材、46Q 下方透明部材、48 側方透明部材、51,52,53 梁部材、54,54L,54R,55,55L,55R 桁部材、56,56L,56R アームレスト、57 ポール部、61,61L,61R コンソール、62 ブラケット、63 本体部、63J 内板部、63K 外板部、64 アームレスト取り付け部、65 操作レバー取り付け部、66 フランジ部、67 延出部、68 張り出し部、71,71A,71B,71C,71D,71E,76 操作レバー、72,87 前端部、73,88 後端部、74,83,85 上端部、75,84,86 下端部、80 操作部、81 モニタ、82 表示面、91 位置調整機構、92 取り付け孔、93 ボルト、100 油圧ショベル、101,102 中心位置、103 直線、120 居住空間、210 第2前後領域、220 第1前後領域、230 第3前後領域、240 第2高さ領域、250 第1高さ領域、260 第3高さ領域。
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