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特許7473311品質管理装置、品質管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】品質管理装置、品質管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240416BHJP
   G06F 11/36 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06F11/36 192
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019166621
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021043811
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 佳寿
(72)【発明者】
【氏名】糸賀 健
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 卓幸
(72)【発明者】
【氏名】石田 敏浩
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 雅彦
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-332911(JP,A)
【文献】特開平11-224187(JP,A)
【文献】特開2010-039637(JP,A)
【文献】特開2018-128795(JP,A)
【文献】特開平07-146806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
G06F 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の品質管理単位毎のドキュメント枚数又は開発規模の計画と実績とが含まれるプロジェクト管理票と、前記品質管理単位のレビュー結果を示すレビュー記録票及び前記品質管理単位のテスト結果を示す故障一覧の少なくとも一方とを入力として、前記品質管理単位の品質を評価するための複数の指標値を算出するための集計値を算出する集計手段と、
前記集計手段により算出された集計値から前記複数の指標値を算出する指標値算出手段と、
前記指標値算出手段により算出された前記複数の指標値に基づいて、前記品質管理単位の品質を示す分析図を作成する作成手段と、
を有し、
前記複数の指標値には、レビュー密度と、エラー密度と、コメント密度と、バグ密度と、試験密度とが含まれ、
前記集計手段は、前記品質管理単位毎に、レビュー時間、参加人数、前記ドキュメント枚数、前記開発規模の実績、エラー対象とされたエラーの件数を表すエラー件数、エラー対象外とされたエラーの件数を表すコメント件数、バグの解析結果、試験項目を集計項目として前記集計値を算出し、
前記指標値算出手段は、
前記品質管理単位毎に、前記レビュー時間と前記参加人数との積で算出されるレビュー工数を前記ドキュメント枚数で除することで前記レビュー密度を、前記エラー件数を前記ドキュメント枚数で除することで前記エラー密度を、前記コメント件数を前記ドキュメント枚数で除することで前記コメント密度をそれぞれ算出し、
前記品質管理単位毎に、前記バグの解析結果から算出されるバグ件数を前記開発規模の実績で除することで前記バグ密度を、前記試験項目の件数を前記開発規模の実績で除することで前記試験密度をそれぞれ算出する、ことを特徴とする品質管理装置。
【請求項2】
前記作成手段は、
前記エラー密度及び前記コメント密度を各軸とする2次元平面と、前記エラー密度及び前記レビュー密度を各軸とする2次元平面と、前記コメント密度及び前記レビュー密度を各軸とする2次元平面と、前記バグ密度及び前記試験密度を各軸とする2次元平面とに対して、前記品質管理単位の品質を示す点をプロットした前記分析図を作成する、ことを特徴とする請求項に記載の品質管理装置。
【請求項3】
前記2次元平面の各々は、前記プロジェクト管理票に含まれる計画に基づいて算出される前記指標値の計画値と前記計画値の許容範囲とに応じて複数のエリアに分割されており、
前記点がプロットされたエリア又は前記点がプロットされたエリアの組み合わせに応じて、前記点に対応する品質管理単位の品質を表すメッセージを表示する表示手段を有する、ことを特徴とする請求項に記載の品質管理装置。
【請求項4】
所定の品質管理単位毎のドキュメント枚数又は開発規模の計画と実績とが含まれるプロジェクト管理票と、前記品質管理単位のレビュー結果を示すレビュー記録票及び前記品質管理単位のテスト結果を示す故障一覧の少なくとも一方とを入力として、前記品質管理単位の品質を評価するための複数の指標値を算出するための集計値を算出する集計手順と、
前記集計手順で算出された集計値から前記複数の指標値を算出する指標値算出手順と、
前記指標値算出手順で算出された前記複数の指標値に基づいて、前記品質管理単位の品質を示す分析図を作成する作成手順と、
をコンピュータが実行し、
前記複数の指標値には、レビュー密度と、エラー密度と、コメント密度と、バグ密度と、試験密度とが含まれ、
前記集計手順は、前記品質管理単位毎に、レビュー時間、参加人数、前記ドキュメント枚数、前記開発規模の実績、エラー対象とされたエラーの件数を表すエラー件数、エラー対象外とされたエラーの件数を表すコメント件数、バグの解析結果、試験項目を集計項目として前記集計値を算出し、
前記指標値算出手順は、
前記品質管理単位毎に、前記レビュー時間と前記参加人数との積で算出されるレビュー工数を前記ドキュメント枚数で除することで前記レビュー密度を、前記エラー件数を前記ドキュメント枚数で除することで前記エラー密度を、前記コメント件数を前記ドキュメント枚数で除することで前記コメント密度をそれぞれ算出し、
前記品質管理単位毎に、前記バグの解析結果から算出されるバグ件数を前記開発規模の実績で除することで前記バグ密度を、前記試験項目の件数を前記開発規模の実績で除することで前記試験密度をそれぞれ算出する、ことを特徴とする品質管理方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1乃至の何れか一項に記載の品質管理装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質管理装置、品質管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
システム開発では対象システムの品質を評価するために、各工程の成果物(例えば、設計ドキュメントやプログラム等)の品質評価を行っていることが多い。このような品質評価は、例えば、設計ドキュメントのレビュー結果やプログラムのテスト結果等を集計し、所定の基準を満たすか否かを判断することで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-141171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、システム開発によって開発される対象システムの規模が大きくなるほど、一般に、各工程の成果物の規模も大きくなる。すなわち、対象システムの大きくなるほど、設計ドキュメントの数が増え、そのレビュー数も多くなる。同様に、対象システムの大きくなるほど、プログラム数も増え、そのテスト数も多くなる。
【0005】
したがって、対象システムの規模が大きくなるほど、レビュー結果やプログラムのテスト結果等の集計作業に多くの時間を要することになる。このため、例えば、レビュー結果やプログラムのテスト結果等の集計作業に多くの時間が取られ、タイムリーな品質評価が行えないことがあった。
【0006】
本発明の実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、システム開発における品質評価を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本実施形態に係る品質評価装置は、開発プロジェクトで品質管理対象となる単位を示す品質管理単位毎のドキュメント枚数又は開発規模の計画と実績とが含まれるプロジェクト管理票と、前記品質管理単位のレビュー結果を示すレビュー記録票及び前記品質管理単位のテスト結果を示す故障一覧の少なくとも一方とを入力として、前記品質管理単位の品質を評価するための複数の指標値を算出するための集計値を算出する集計手段と、前記集計手段により算出された集計値から前記複数の指標値を算出する指標値算出手段と、前記指標値算出手段により算出された前記複数の指標値に基づいて、前記品質管理単位の品質を示す点を2次元平面上にプロットした分析図を作成する作成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
システム開発における品質評価を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る品質管理装置の全体構成の一例を示す図である。
図2】プロジェクト管理票の一例を示す図である。
図3】レビュー記録票の一例を示す図である。
図4】故障一覧の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る品質管理装置が実行する品質管理ファイル群の作成処理の一例を示すフローチャートである。
図6】エラー状況一覧の一例を示す図である。
図7】バグ分類表の一例を示す図である。
図8】エリア分析図(設計工程)の一例を示す図である。
図9】エリア分析図(試験工程)の一例を示す図である。
図10】品質評価メッセージの出力条件(設計工程)の一例を説明するための図である。
図11】品質評価メッセージの出力条件(試験工程)の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態(以降、「本実施形態」とも表す。)について説明する。本実施形態では、システム開発における対象システムの品質評価を効率化することが可能な品質管理装置10について説明する。ここで、本実施形態では、一例として、開発モデルとしてウォーターフォールモデルを採用したシステム開発の開発プロジェクトで対象システムの品質評価を行う場合について説明する。ウォーターフォールモデルとは、例えば、開発プロジェクトを時系列に「要件定義」、「基本設計」、「詳細設計」、「実装」、「単体テスト」、「結合テスト」、「総合テスト」等の工程に分割した上で、各工程を時系列に従って順に行う開発モデルである。ただし、開発プロジェクトによって各工程の名称やその作業内容の定義等を異なる。以降では、「要件定義」と「基本設計」と「詳細設計」とをまとめて「設計工程」とも表し、「単体テスト」と「結合テスト」と「総合テスト」とをまとめて「試験工程」とも表す。
【0011】
なお、ウォーターフォールモデル以外の開発モデルを採用したシステム開発の開発プロジェクトで対象システムの品質評価を行う場合についても、本実施形態を同様に適用可能である。
【0012】
<全体構成>
まず、本実施形態に係る品質管理装置10の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る品質管理装置10の全体構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る品質管理装置10は、入力部110と、集計部120と、ファイル作成部130と、出力部140とを有する。これら各部は、例えば、品質管理装置10にインストールされた品質管理ツール200が、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサに実行させる処理により実現される。品質管理ツール200はシステム開発における対象システムの品質評価を効率化させるための1以上のプログラム(又はモジュール)である。
【0014】
また、本実施形態に係る品質管理装置10は、記憶部150を有する。記憶部150は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置を用いて実現可能である。なお、記憶部150は、品質管理装置10と通信ネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現されていてもよい。
【0015】
入力部110は、プロジェクト管理票1100とレビュー記録票1200と故障一覧1300とを入力データとして入力する。
【0016】
プロジェクト管理票1100は、開発プロジェクトの工程毎に成果物(例えば、設計ドキュメントやプログラム等)のドキュメント枚数や規模の計画と実績とを管理するための電子ファイルである。ここで、設計ドキュメントやプログラム等の成果物単位にレビューやテストが行われ、その品質が管理される。以降では、1つの管理対象として品質が管理される設計ドキュメントやプログラムを「品質管理単位」とも表す。品質管理単位の具体例としては、或る特定の機能を提供するプログラムを開発するための設計ドキュメント(基本設計書及びや詳細設計書等)及び当該設計ドキュメントに従って実装されたプログラム(このプログラムを「開発プログラム」とも表す。)等が挙げられる。
【0017】
レビュー記録票1200は、開発プロジェクトの設計工程における成果物として作成される設計ドキュメント(例えば、基本設計書や詳細設計書等)のレビュー結果を記録した電子ファイルである。
【0018】
故障一覧1300は、開発プロジェクトの試験工程における開発プログラムのテスト結果(テスト結果は「試験結果」とも称されてもよい。)を記録した電子ファイルである。
【0019】
ここで、一般に、プロジェクト管理票1100は開発プロジェクト単位に1つの電子ファイルが作成される。一方で、レビュー記録票1200は設計ドキュメントのレビューが実施される毎に1つ又は複数の電子ファイルが作成され、故障一覧1300は開発プログラムのテスト(試験)が実施される毎に1つの電子ファイルが作成される。
【0020】
なお、入力部110は、レビュー記録票1200及び故障一覧1300のいずれか一方のみを入力してもよいし、レビュー記録票1200及び故障一覧1300の両方を入力してもよい。
【0021】
また、入力部110が入力データを入力する入力元は任意の入力元としてよい。例えば、入力部110は、記憶部150に記憶されている入力データを入力してもよいし、通信ネットワークを介して受信した入力データを入力してもよいし、USBメモリ等の外部記録媒体に記憶されている入力データを入力してもよい。
【0022】
集計部120は、入力データを集計して集計データを作成する。すなわち、集計部120は、レビュー記録票1200に記録されているレビュー結果や故障一覧1300に記録されているテスト結果を集計することで、集計データを作成する。
【0023】
ファイル作成部130は、集計部120により作成された集計データと、記憶部150に予め記憶されている雛形ファイルとを用いて、出力データを作成する。雛形ファイルとは、出力データ(つまり、エラー状況一覧2100、バグ分類表2200、プログラム品質管理表2300、品質管理図2400、品質カルテ2500、エリア分析図(設計工程)2600及びエリア分析図(試験工程)2700)の雛形を表す電子ファイルである。
【0024】
エラー状況一覧2100は、設計ドキュメントに対するレビュー結果を集計した結果が記録された電子ファイルである。
【0025】
バグ分類表2200は、開発プログラムのテスト結果を集計した結果が記録された電子ファイルである。
【0026】
プログラム品質管理表2300は、品質管理単位毎に各工程の計画値及び実績値(例えば、設計ドキュメントのレビュー時間の計画値及び実績値、レビューで指摘されたエラー件数の計画値及び実績値、レビューで指摘されたコメント件数の計画値及び実績値、テストで発生したバグ件数の計画値及び実績値等)が記録された電子ファイルである。
【0027】
品質管理図2400は、試験工程における試験の進捗率やバグ発生状況等によってバグの収束率を算出してグラフとして可視化した電子ファイルである。
【0028】
品質カルテ2500は、工程毎かつ品質管理単位毎に品質状況(例えば、設計ドキュメントのエラー件数やコメント件数、エラー密度、コメント密度、レビュー密度、開発プログラムのバグ件数やバグ密度、試験密度等)を記録した電子ファイルである。なお、エラー密度とは、設計ドキュメント1ページあたりのエラー件数である。レビュー密度とは、設計ドキュメント1ページあたりのレビューに要した時間である。コメント密度とは、設計ドキュメント1ページあたりのコメント件数である。また、バグ密度とは、開発プログラム1キロステップ(Ks)あたりのバグ件数である。試験密度とは、開発プログラム1キロステップ(Ks)あたりの試験項目件数である。
【0029】
エラー密度、コメント密度及びレビュー密度が設計ドキュメントの品質を評価するための品質指標値であり、バグ密度及び試験密度が開発プログラムの品質を評価するための品質指標値である。
【0030】
エリア分析図(設計工程)2600は、品質管理単位毎に、エリア分析により設計工程の品質評価を行った結果が記録された電子ファイルである。
【0031】
エリア分析図(試験工程)2700は、品質管理単位(つまり、開発プログラム)毎に、エリア分析により試験工程の品質評価を行った結果が記録された電子ファイルである。
【0032】
なお、レビュー記録票1200及び故障一覧1300のうち、レビュー記録票1200のみが入力データとして入力された場合には、バグ分類表2200は作成されない。一方で、レビュー記録票1200及び故障一覧1300のうち、故障一覧1300のみが入力データとして入力された場合には、エラー状況一覧2100は作成されない。
【0033】
出力部140は、ファイル作成部130により作成された出力データ(つまり、エラー状況一覧2100、バグ分類表2200、プログラム品質管理表2300、品質管理図2400、品質カルテ2500、エリア分析図(設計工程)2600及びエリア分析図(試験工程)2700)を出力する。以降では、これらの出力データの各々を「品質管理ファイル」とも表す。開発プロジェクトのプロジェクト管理者等は、これらの品質管理ファイル等を参照することで、対象システムの品質が確保されているか否かを確認することができる。
【0034】
なお、出力部140が出力データを出力する出力先は任意の出力先としてよい。例えば、出力部140は、記憶部150に出力データを出力(保存)してもよいし、通信ネットワークを介して出力データを出力(送信)してもよいし、USBメモリ等の外部記録媒体に出力データを出力(保存)してもよい。
【0035】
<プロジェクト管理票1100>
ここで、プロジェクト管理票1100の一例を図2に示す。図2に示すように、プロジェクト管理票1100は、開発プロジェクトを識別するためのプロジェクトコードや当該開発プロジェクトの案件名等が含まれる、また、プロジェクト管理票1100には、品質管理単位毎に、各工程における品質管理単位の計画及び実績が含まれる。このとき、設計工程では品質管理単位の計画及び実績の単位はドキュメント枚数である。一方で、実装工程及び試験工程では品質管理単位の計画及び実績の単位は規模(Ks)である。
【0036】
このように、プロジェクト管理票1100には、工程毎かつ品質管理単位毎に、ドキュメント枚数や規模(Ks)の計画及び実績が記録されている。これらの計画は、例えば、開発プロジェクトの開始時や各工程の開始時等に、プロジェクト管理者や各工程の担当者等によって入力される。一方で、計画に対する実績は、例えば、各工程の終了時等に、プロジェクト管理者や各工程の担当者等によって入力される。
【0037】
なお、図2に示す例では、10個の品質管理単位の計画及び実績が入力されている。これは、例えば、このプロジェクト管理票1100に対応する開発プロジェクトでは10個の機能を開発していることを表している。
【0038】
また、図2に示すプロジェクト管理票1100は一例であって、例えば、レビューで指摘される問題点(エラー)の件数の計画値等が含まれていてもよい。同様に、例えば、試験工程の場合には試験項目件数の計画値や試験(テスト)で発生するバグ件数の計画値等が含まれていてもよい。
【0039】
<レビュー記録票1200>
次に、レビュー記録票1200の一例を図3に示す。図3に示すように、レビュー記録票1200は、プロジェクトコードや案件名、開発対象とするシステムのシステム名、工程、品質管理単位(つまり、設計ドキュメント)やそのドキュメント名等が含まれる。また、レビュー記録票1200には、レビュー種別や回数、対象頁数、出来高頁数、レビュー実施日、レビューに参加した参加人数、レビュー時間、レビューの責任者、レビュー出席者等が含まれる。更に、レビュー記録票1200には、レビューで指摘された品質管理単位の問題点やその修正内容、検討結果、発生種別、エラー内容、重要度、エラー原因、混入工程、修正月日、修正確認者等が含まれる。
【0040】
ここで、図3に示すレビュー記録票1200では、発生種別、エラー内容、重要度、エラー原因及び混入工程は、予め準備された選択肢の中から選択することになっている。例えば、発生種別は「1:設計」、「2:ドキュメント化」、「3:仕様変更」の中から選択することになっている。同様に、エラー内容は「11:機能漏れ」~「92:-」の中から選択することになっている。重要度やエラー原因、混入工程についても同様である。
【0041】
このように、レビュー記録票1200には、品質管理単位毎に、この品質管理単位が設計工程のレビューで指摘された問題点及びその発生種別やエラー内容、重要度、エラー原因、混入工程等が記録されている。なお、同一の品質管理単位に対してレビューが複数回実施された場合には、レビュー毎にレビュー記録票1200が作成される。
【0042】
<故障一覧1300>
次に、故障一覧1300の一例を図4に示す。図4に示すように、故障一覧1300は、案件名や工程等が含まれる。また、故障一覧1300には、該当の試験工程で発生したバグの発生現象や題名、バグを解析した結果を表す解析結果、バグが発生した品質管理単位(つまり、開発プログラム)、試験項目番号、試験実施者、摘出工程、当該バグの内容を表すバグ内容分類、当該バグが発生した原因を表すバグ原因分類等が含まれる。
【0043】
ここで、図4に示す故障一覧1300では、発生現象や解析結果、バグ内容分類、バグ原因分類は、予め準備された選択肢の中から選択することになっている。例えば、発生現象として選択可能な選択肢には、「システム停止」、「システム部分停止」、「料金故障」、「性能異常」、「機能不良」、「出力異常」、「端末異常」、「その他」等がある。例えば、解析結果として選択可能な選択肢には、「APバグ(新規)」、「APバグ(改造)」、「APバグ(デグレード)」、「データ不正」、「仕様通り(問題なし)」、「仕様通り(改善要)」、「その他」等がある。また、例えば、バグ内容分類として選択可能な選択肢には、「処理過不足」、「処理ロジック誤り」、「画面遷移不良」、「画面表示不良」、「競合/排他制御不良」、「リソース解放誤り/漏れ」、「データ初期設定誤り/漏れ」、「外部インタフェース誤り」、「内部インタフェース誤り」、「標準API使用誤り」等がある。また、例えば、バグ原因分類として選択可能な選択肢には、「検討不足/考慮漏れ」、「連絡/周知内容の誤り/漏れ」、「担当機能理解不足」、「担当外機能理解不足」、「他製品理解不足」、「言語理解不足」、「ドキュメント誤り」、「ケアレスミス」、「その他」等がある。
【0044】
このように、故障一覧1300には、試験工程で品質管理単位毎に発生したバグの発生現象や解析結果、バグ内容分類、バグ原因分類等が記録されている。なお、故障一覧1300は、試験工程毎に作成される(例えば、単体テスト工程、結合テスト工程、総合テスト工程でそれぞれ作成される。)。ただし、品質管理単位毎かつ試験工程毎に故障一覧1300が作成されてもよい。
【0045】
<品質管理ファイル群の作成処理>
以降では、本実施形態に係る品質管理装置10が入力データを入力して、品質管理ファイル群を作成及び出力する処理(品質管理ファイル群)について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る品質管理装置が実行する品質管理ファイル群の作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、入力部110は、プロジェクト管理票1100とレビュー記録票1200と故障一覧1300とを入力データとして入力する(ステップS101)。なお、上述したように、入力部110は、レビュー記録票1200及び故障一覧1300のいずれか一方のみを入力データとして入力してもよい。レビュー記録票1200及び故障一覧1300の両方を入力データとするか、レビュー記録票1200及び故障一覧1300のいずれか一方のみを入力データとするかは、例えば、品質管理ツール200のユーザが選択することができてもよい。
【0047】
次に、集計部120は、入力データを集計して集計データを作成する(ステップS102)。より具体的には、集計部120は、品質管理単位毎に、当該品質管理単位のレビュー記録票1200の発生種別、エラー内容、エラー原因、混入工程、対象頁数、参加人数、レビュー時間等を集計項目として集計した集計値が含まれる集計データを作成する。これにより、品質管理単位毎に、当該品質管理単位の設計工程でのレビューで指摘された問題点を発生種別、エラー内容、エラー原因及び混入工程でそれぞれ集計すると共に、対象頁数の合計やレビュー時間の合計、参加人数の合計等を集計した集計データが作成される。以降では、品質管理単位の設計工程でのレビュー記録票1200から作成された集計データを「第1の集計データ」とも表す。
【0048】
同様に、集計部120は、品質管理単位毎に、当該品質管理単位の故障一覧1300の発生現象、解析結果、バグ内容分類、バグ原因分類を集計項目として集計した集計値が含まれる集計データを作成する。これにより、品質管理単位毎に、当該品質管理単位の試験工程でのテスト(試験)で発生したバグを発生現象、解析結果、バグ内容分類及びバグ原因分類でそれぞれ集計した集計データが作成される。また、この集計データには、試験項目番号を集計して集計項目を「試験項目件数」とした集計値が含まれる。以降では、品質管理単位の故障一覧1300から作成された集計データを「第2の集計データ」とも表す。
【0049】
次に、ファイル作成部130は、上記のステップS102で作成された集計データと、記憶部150に予め記憶されている雛形ファイルとを用いて、各品質管理ファイル(出力データ)を作成する(ステップS103)。より具体的には、ファイル作成部130は、エラー状況一覧の雛形ファイルに対して第1の集計データに含まれる集計値を設定することでエラー状況一覧2100を作成し、バグ分類表の雛形ファイルに対して第2の集計データに含まれる集計値を設定することでバグ分類表2200を作成する。そして、ファイル作成部130は、エラー状況一覧2100及びバグ分類表2200の少なくとも一方を用いて、プログラム品質管理表2300と品質管理図2400と品質カルテ2500とエリア分析図(設計工程)2600とエリア分析図(試験工程)2700とを作成する。特に、エリア分析図(設計工程)2600はエラー状況一覧2100を用いて作成され、エリア分析図(試験工程)2700はバグ分類表2200を用いて作成される。なお、エリア分析図(試験工程)2700を作成する際には、プロジェクト管理票1100も用いられる。
【0050】
続いて、出力部140は、上記のステップS103で作成された各品質管理ファイルを出力する(ステップS104)。
【0051】
<エラー状況一覧2100>
ここで、上記のステップS103で作成されるエラー状況一覧2100の一例を図6に示す。図6に示すように、エラー状況一覧2100は、プロジェクトコードや案件名、工程等が含まれる。また、エラー状況一覧2100の各項目には、品質管理単位毎に、第1の集計データに含まれる集計項目毎の集計値又はこれらの集計値から算出される値が設定される。具体的には、項目「エラー混入工程」には、レビュー記録票1200におけるエラー混入工程の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第1の集計データに含まれる集計項目「エラー混入工程」の集計値(つまり、該当の品質管理単位のレビューで当該選択肢に対応する問題点が指摘された合計件数)が設定される。同様に、項目「エラー内容」には、レビュー記録票1200におけるエラー内容の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第1の集計データに含まれる集計項目「エラー内容」の集計値が設定される。以降も同様に、項目「重要度」には、レビュー記録票1200における重要度の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第1の集計データに含まれる集計項目「重要度」の集計値が設定される。項目「エラー原因」には、レビュー記録票1200におけるエラー原因の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第1の集計データに含まれる集計項目「エラー原因」の集計値が設定される。
【0052】
ここで、項目「エラー内容」の選択肢には、エラー対象とされる選択肢とエラー対象外とされる選択肢とが存在する。例えば、「機能漏れ」や「設計の誤り」、「設計の重複」、・・・、「コーディング漏れ」、「データ定義誤り」、「データ定義漏れ」等はエラー対象とされる選択肢である。一方で、例えば、「誤字・脱字・冗長」、「コメント文誤り」、「改善」、「-」等はエラー対象外とされる選択肢である。なお、選択肢「-」は、いずれの選択肢にも該当しないが軽微な問題点がレビューで指摘された場合に選択される選択肢である。
【0053】
エラー状況一覧2100では、品質管理単位毎に、エラー対象とされた選択肢の集計値の合計が項目「エラー件数」に設定されると共に、エラー対象外とされた選択肢の集計値の合計が項目「コメント件数」に設定される。また、エラー状況一覧2100では、品質管理単位毎に、第1の集計データに含まれる集計項目「対象頁数」の集計値が項目「レビュー対象ドキュメント枚数」に設定される。また、第1の集計データに含まれる集計項目「レビュー時間」の集計値と集計項目「参加人数」の集計値との積が項目「レビュー工数」に設定される。更に、エラー状況一覧2100には、品質管理単位毎に、項目「エラー密度の計画値」及び項目「エラー密度の実績値」と、項目「レビュー密度の計画値」及び項目「レビュー密度の実績値」と、項目「コメント密度の計画値」及び項目「コメント密度の実績値」とが設定される。
【0054】
なお、エラー密度の実績値は(エラー件数)/(レビュー対象ドキュメント枚数)で算出され、レビュー密度の実績値は(レビュー工数)/(レビュー対象ドキュメント枚数)で算出され、コメント密度の実績値は(コメント件数)/(レビュー対象ドキュメント枚数)で算出される。一方で、エラー密度の計画値やレビュー密度の計画値、コメント密度の計画値は、例えば、雛形ファイルに予め設定されていてもよいし、プロジェクト管理票1100に設定されている値から算出されてもよい。
【0055】
このように、エラー状況一覧2100は、品質管理単位毎に、第1の集計データに含まれる集計値又はこれらの集計値から算出される値を、エラー状況一覧の雛形ファイルの各項目に設定することで作成される。
【0056】
<バグ分類表2200>
次に、上記のステップS103で作成されるバグ分類表2200の一例を図7に示す。図7に示すように、バグ分類表2200は、プロジェクトコードや案件名、工程等が含まれる。また、バグ分類表2200の各項目には、品質管理単位毎に、第2の集計データに含まれる集計項目毎の集計値又はこれらの集計値から算出される値が設定される。具体的には、項目「規模」には、品質管理単位毎に、その規模(Ks)が設定される。項目「試験項目件数」には、品質管理単位毎に、その試験項目件数が設定される。また、項目「発生現象」には、故障一覧1300における発生現象の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第2の集計データに含まれる集計項目「発生現象」の集計値(つまり、該当の品質管理単位の試験(テスト)で当該選択肢に対応するバグが発生した合計件数)が設定される。同様に、項目「解析結果」には、故障一覧1300における解析結果の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第2の集計データに含まれる集計項目「解析結果」の集計値が設定される。項目「バグ内容分類」には、故障一覧1300におけるバグ内容分類の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第2の集計データに含まれる集計項目「バグ内容分類」の集計値が設定される。項目「バグ原因分類」には、故障一覧1300におけるバグ原因分類の選択肢毎かつ品質管理単位毎に、第2の集計データに含まれる集計項目「バグ原因分類」の集計値が設定される。
【0057】
そして、項目「バグ件数」には、品質管理単位毎に、項目「解析結果」に設定された値に応じて「新規バグ」、「改造バグ」、「デグレード」、「母体バグ」にそれぞれ値が設定される。「新規バグ」には、例えば、項目「解析結果」の「APバグ(新規)」に設定されている値(又は、この値から算出される値)が設定される。「改造バグ」には、例えば、項目「解析結果」の「APバグ(改造)」に設定されている値(又は、この値から算出される値)が設定される。「デグレード」には、例えば、項目「解析結果」の「APバグ(デグレード)」に設定されている値(又は、この値から算出される値)が設定される。「母体バグ」には、項目「解析結果」の「APバグ(母体)」に設定されている値(又は、この値から算出される値)が設定される。
【0058】
なお、例えば、新規バグとは開発プログラムの新規開発によって当該開発プログラムそのもので発生したバグのことであり、改造バグとは開発プログラムの修正によって当該開発プログラムそのもので発生したバグのことである。また、例えば、デグレードとは開発プログラムの新規開発又は修正によって機能がデグレードした場合のことであり、母体バグとは開発プログラムの母体を原因とするバグのことである。
【0059】
このように、バグ分類表2200は、品質管理毎に、第2の集計データに含まれる集計値又はこれらの集計値から算出される値を、バグ分類表の雛形ファイルの各項目に設定することで作成される。
【0060】
<エリア分析図(設計工程)2600>
次に、上記のステップS103で作成されるエリア分析図(設計工程)2600の一例を図8に示す。上述したように、エリア分析図(設計工程)2600は、エラー状況一覧2100を用いて作成される。
【0061】
図8に示すように、エリア分析図(設計工程)2600には、プロジェクトコードや案件名、工程等が含まれる。また、エリア分析図(設計工程)2600には、マトリックスA2610と、マトリックスB2620と、マトリックスC2630と、エラー状況一覧表2640と、散布図作成ボタン2650とが含まれる。
【0062】
エラー状況一覧表2640には、エラー状況一覧2100の各項目に設定された値のうち、一部の項目に設定された値が表示される。図8に示す例では、品質管理単位毎に、ドキュメント枚数と、エラー件数と、レビュー時間と、コメント件数と、エラー密度の計画値及び実績値と、レビュー密度の計画値及び実績値と、コメント密度の計画値及び実績値とが表示されている。なお、範囲(%)は計画値に対して許容される実績値の範囲であり、例えば、雛形ファイルに予め設定されている。また、これらの計画値は、例えば、プロジェクト管理票1100に含まれる計画値等から算出される。
【0063】
マトリックスA2610は縦軸をエラー密度、横軸をコメント密度として、縦軸をエラー密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割すると共に、横軸をコメント密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割して領域全体を9つのエリアに分割したマトリックス形式の領域である。マトリックスB2620は縦軸をエラー密度、横軸をレビュー密度として、縦軸をエラー密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割すると共に、横軸をレビュー密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割して領域全体を9つのエリアに分割したマトリックス形式の領域である。マトリックスC2630は縦軸をコメント密度、横軸をレビュー密度として、縦軸をコメント密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割すると共に、横軸をレビュー密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割して領域全体を9つのエリアに分割したマトリックス形式の領域である。
【0064】
ここで、ユーザ等により散布図作成ボタン2650が押下されると、各品質管理単位のエラー密度の実績値、レビュー密度の実績値、コメント密度の実績値に従って、マトリックスA2610とマトリックスB2620とマトリックスC2630とに対して、当該品質管理単位に対応する通番がそれぞれプロットされる。なお、マトリックスA2610~マトリックスC2630では9つのエリアはそれぞれ色分けされており、その色によって当該エリアにプロットされた通番に対応する品質管理単位の品質を評価することができる。
【0065】
図8に示す例では、品質管理単位01(通番(1))は、マトリックスA2610のエラー密度が「超過」、コメント密度が「不足」で特定される領域内にプロットされている。また、マトリックスB2620のエラー密度が「超過」、レビュー密度が「不足」で特定される領域内にプロットされている。更に、マトリックスC2630のコメント密度が「不足」、レビュー密度が「不足」で特定される領域内にプロットされている。これにより、品質管理単位01は、エラー密度、レビュー密度及びコメント密度のいずれも計画値に対して許容範囲内(つまり、計画値から20%以内)にないことがわかる。
【0066】
一方で、図8に示す例では、品質管理単位03(通番(3))は、マトリックスA2610のエラー密度が「範囲内」、コメント密度が「不足」で特定される領域内にプロットされている。また、マトリックスB2620のエラー密度が「範囲内」、レビュー密度が「範囲内」で特定される領域内にプロットされている。更に、マトリックスC2630のコメント密度が「不足」、レビュー密度が「範囲内」で特定される領域内にプロットされている。これにより、品質管理単位03は、エラー密度及びレビュー密度はいずれも計画値に対して許容範囲内(つまり、計画値から20%以内)にあるが、コメント密度は計画値に対して許容範囲内にないことがわかる。
【0067】
このように、エリア分析図(設計工程)2600では、エラー密度の実績値、レビュー密度の実績値及びコメント密度の実績値により、各品質管理単位をマトリックス上にプロットした図である。これにより、ユーザは、各品質管理単位のエラー密度やレビュー密度、コメント密度と、これらによって決定される品質を容易に把握することが可能となる。
【0068】
<エリア分析図(試験工程)2700>
次に、上記のステップS103で作成されるエリア分析図(試験工程)2700の一例を図9に示す。上述したように、エリア分析図(試験工程)2700は、バグ分類表2200を用いて作成される。
【0069】
図9に示すように、エリア分析図(試験工程)2700には、プロジェクトコードや案件名、工程等が含まれる。また、エリア分析図(試験工程)2700には、マトリックスD2710と、試験状況一覧表2720と、散布図作成ボタン2730とが含まれる。
【0070】
試験状況一覧表2720には、バグ分類表2200の各項目に設定された値のうち、一部の項目に設定された値等が表示される。図9に示す例では、品質管理単位毎に、開発規模と、バグ件数と、試験項目件数と、バグ密度の計画値及び実績値と、試験密度の計画値及び実績値とが表示されている。なお、範囲(%)は計画値に対して許容される実績値の範囲であり、例えば、雛形ファイルに予め設定されている。また、これらの計画値は、例えば、プロジェクト管理票1100に含まれる計画値等から算出される。また、試験密度には(試験項目件数)/(開発規模)で算出された値が表示され、バグ密度には(バグ件数)/(開発規模)で算出された値が表示される。
【0071】
マトリックスD2710は縦軸をバグ密度、横軸を試験密度として、縦軸をバグ密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割すると共に、横軸を試験密度の計画値に対する許容範囲を超える範囲を示す「超過」、許容範囲内を示す「範囲内」、許容範囲未満の範囲を示す「不足」の3つに分割して領域全体を9つのエリアに分割したマトリックス形式の領域である。
【0072】
ここで、ユーザ等により散布図作成ボタン2730が押下されると、各品質管理単位のバグ密度の実績値及び試験密度の実績値に従って、マトリックスD2710に対して、当該品質管理単位に対応する通番がそれぞれプロットされる。なお、マトリックスD2710では9つのエリアはそれぞれ色分けされており、その色によって当該エリアにプロットされた通番に対応する品質管理単位の品質を評価することができる。
【0073】
図9に示す例では、品質管理単位01(通番(1))は、マトリックスD2710のバグ密度が「不足」、試験密度が「不足」で特定される領域内にプロットされている。これにより、品質管理単位01は、バグ密度及び試験密度のいずれも計画値に対して許容範囲内(つまり、計画値から20%以内)にないことがわかる。
【0074】
一方で、図9に示す例では、品質管理単位07(通番(7))は、マトリックスD2710のバグ密度が「範囲内」、試験密度が「範囲内で特定される領域内にプロットされている。これにより、品質管理単位07は、バグ密度及び試験密度はいずれも計画値に対して許容範囲内(つまり、計画値から20%以内)にあることがわかる。
【0075】
このように、エリア分析図(試験工程)2700では、バグ密度の実績値及び試験密度の実績値により、各品質管理単位をマトリックス上にプロットした図である。これにより、ユーザは、各品質管理単位のバグ密度や試験密度と、これらによって決定される品質を容易に把握することが可能となる。
【0076】
ここで、図9では、更に、強化試験(つまり、追加の試験)を行った場合に、品質管理単位のバグ密度及び試験密度がどのように変化するかを確認することも可能である。例えば、図9に示すように、項目「強化試験」のバグ件数及び試験項目件数を入力することで、入力されたバグ件数及び試験項目件数に対応する品質管理単位に対して強化試験を行った場合に、マトリックスD2710上のプロットがどのように変化するかを確認することができる。図9に示す例では、品質管理単位03の項目「強化試験」のバグ件数に「3」、試験項目件数に「100」を追加した場合(つまり、強化試験として試験項目件数「100」の試験を追加で実施し、バグが3件発生したと仮定した場合)、品質管理単位03を示す通番がマトリックスD2710上で、矢印により示される位置に変化することが表されている。これにより、ユーザは、強化試験を行うと仮定した場合に、当該強化試験を行う前と行った後とで品質管理単位の品質がどのように変化するかを容易に確認することが可能となる。
【0077】
<品質評価メッセージ>
ここで、上記のエリア分析図(設計工程)2600及びエリア分析図(試験工程)2700では、品質管理単位を示す通番をマトリックス上にプロットしたが、このプロットが属するエリアに応じて、当該品質管理単位の品質を評価したメッセージ(品質評価メッセージ)が表示されてもよい。
【0078】
例えば、エリア分析図(設計工程)2600では、マトリックスA2610、マトリックスB2620及びマトリックスC2630の各エリアを、図10に示すようにA-1~A-9、B-1~B-9及びC-1~C-9としたとする。この場合、品質管理単位を示す通番が属するエリアの組み合わせに応じた品質評価メッセージを表示してもよい。
【0079】
具体的には、例えば、或る品質管理単位を示す通番が、A-1、B-1、C-7に属する場合、品質評価メッセージとして「レビュー不足で、エラーが多く発生しています。」を表示する等である。同様に、例えば、或る品質管理単位を示す通番が、A-3、B-3、C-3に属する場合、品質評価メッセージとして「レビューは適切であるが、エラー及びコメントが多く発生しています。設計ドキュメントの記載内容を見直してください。」を表示する等である。このように、品質評価単位を示す通番が属するエリアの組み合わせに応じて品質評価メッセージを表示することで、ユーザは、この品質評価メッセージから当該品質管理単位の品質を容易に確認することが可能となる。
【0080】
エリア分析図(試験工程)2700でも同様に、マトリックスD2710の各エリアを、図11に示すようにD1~D9としたとする。この場合、品質管理単位を示す通番が属するエリアに応じた品質評価メッセージを表示してもよい。
【0081】
具体的には、例えば、或る品質管理単位を示す通番が、D-1に属する場合、品質評価メッセージとして「試験項目不足で、バグが多く発生しています。試験項目を増やして下さい。」を表示する等である。同様に、例えば、或る品質管理単位を示す通番が、D-2に属する場合、品質評価メッセージとして「試験項目件数は適切であるが、バグが多く発生しています。試験項目の内容を見直して下さい。」を表示する等である。このように、品質評価単位を示す通番が属するエリアの組み合わせに応じて品質評価メッセージを表示することで、ユーザは、この品質評価メッセージから当該品質管理単位の品質を容易に確認することが可能となる。
【0082】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更等が可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 品質管理装置
110 入力部
120 集計部
130 ファイル作成部
140 出力部
150 記憶部
200 品質管理ツール
1100 プロジェクト管理票
1200 レビュー記録票
1300 故障一覧
2100 エラー状況一覧
2200 バグ分類表
2300 プログラム品質管理表
2400 品質管理図
2500 品質カルテ
2600 エリア分析図(設計工程)
2700 エリア分析図(試験工程)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11