(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】医療情報管理装置及び医療レポートのメタデータ付加方法
(51)【国際特許分類】
G16H 15/00 20180101AFI20240416BHJP
G06F 16/30 20190101ALI20240416BHJP
【FI】
G16H15/00
G06F16/30
(21)【出願番号】P 2019177532
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】517384914
【氏名又は名称】TXP Medical株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518134231
【氏名又は名称】PSP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】園生 智弘
(72)【発明者】
【氏名】萩原 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀一
(72)【発明者】
【氏名】王 元晨
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194926(JP,A)
【文献】特開2007-025834(JP,A)
【文献】特開2012-198928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06F 40/274
G06F 16/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療画像情報に関連付けられ、所見のテキストデータが記載された医療レポートに対して検索用のメタデータを付与する医療情報管理装置であって、
検索用標準記述を含む医療専門用語が格納された医療辞書と、
前記医療辞書をもとに前記所見のテキストデータを解析して前記所見のテキストデータの中から複数の検索用属性項目
と一致する要素記述を抽出する
とともに、複数の検索用属性項目の一部を含む要素記述を曖昧要素記述として抽出する要素記述抽出部と、
前記医療辞書をもとに前記要素記述を検索用標準記述に変換し、変換した検索用標準記述を前記要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成する
とともに、前記曖昧要素記述が抽出された場合、他の要素記述あるいは他の曖昧要素記述と組み合わせた記述が前記検索用標準記述となる場合、前記検索用標準記述を前記曖昧要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成する構造化データ生成部と
を備えたことを特徴とする医療情報管理装置。
【請求項2】
前記構造化データ生成部は、前記検索用標準記述をコード化したメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成することを特徴とする請求項
1に記載の医療情報管理装置。
【請求項3】
前記医療レポート内のメタデータをもとに前記医療レポートに関連付けられた医療画像情報を検索する画像検索部を備えたことを特徴とする請求項
1又は2に記載の医療情報管理装置。
【請求項4】
前記画像検索部は、前記医療レポート内のメタデータ及び前記医療画像情報のメタデータを用いて前記医療画像情報を検索することを特徴とする請求項
3に記載の医療情報管理装置。
【請求項5】
医療画像情報に関連付けられ、所見のテキストデータが記載された医療レポートに対して検索用のメタデータを付与する
医療情報管理装置で実行されるメタデータ付与方法であって、
前記医療情報管理装置が、検索用標準記述を含む医療専門用語が格納された医療辞書を備え、
前記医療情報管理装置が、前記医療辞書をもとに前記所見のテキストデータを解析して前記所見のテキストデータの中から複数の検索用属性項目
と一致する要素記述を抽出する
とともに、複数の検索用属性項目の一部を含む要素記述を曖昧要素記述として抽出する要素記述抽出ステップと、
前記医療情報管理装置が、前記医療辞書をもとに前記要素記述を検索用標準記述に変換し、変換した検索用標準記述を前記要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成する
とともに、前記曖昧要素記述が抽出された場合、他の要素記述あるいは他の曖昧要素記述と組み合わせた記述が前記検索用標準記述となる場合、前記検索用標準記述を前記曖昧要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成する構造化データ生成ステップと
を含むことを特徴とす
るメタデータ付加方法。
【請求項6】
前記構造化データ生成ステップは、前記検索用標準記述をコード化したメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成することを特徴とする請求項
5に記載
のメタデータ付加方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読影レポートや病理診断レポートなどの医療レポートに関連付けられた医療画像情報の検索を迅速かつ精度高く行うためのメタデータの付与を行うことができる医療情報管理装置及び医療レポートのメタデータ付加方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、多数の読影レポートを電子データ化してPACS(Picture Archiving and Communication System)などのデータベースシステムに蓄積する技術が普及してきている。そして、このデータベースシステムでは、電子データ化された読影レポートと読影の対象となった画像データとが関連付けられて保存される。
【0003】
読影レポートとは、読影する医師が、医学・診療に関する知識に基づき、患者に関する情報と、撮影された医療画像とをもとに何が起きているかを考えた内容が記載されているものである。そして、医療画像上にどのような異常が見つけられるか、患者がどのような疾患にあると考えるかを読影医が考えた内容を記載したものである。
【0004】
このため、医療画像を検索するために、読影レポートの所見欄に記載されたテキストデータにメタデータを付与した構造化データを生成するものがある(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-052544号公報
【文献】特開2011-028730号公報
【文献】特開2016-151827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、多くの読影レポートの所見欄は、対象とする疾患や、記載した読影医によって書き方が異なる。また、読影レポートは、医学・診療に関する知識を有する読影医が読み手として仮定されているため、医学・診療に関する知識を前提にした専門用語の使用や、記載表現の省略などが読影レポートの記載において行われている場合もある。
【0007】
また、読影レポートの所見欄の記載は自然言語であるが、読影医によって書き方が異なり、文法等の規則は曖昧なものであり、表現の出現順、情報や文章の記載順は、異なる順序で表現される場合もある。
【0008】
このため、所見のテキストデータにタグ付けを行った構造化データの生成を読影医が行うことも考えられるが、読影医に対する負荷が大きくなるとともに、構造化データの生成に時間がかかってしまう。
【0009】
そこで、特許文献1~3に記載されているように、所見のテキストデータを構造化データに自動的に生成することが考えられる。しかしながら、自動的に付加されたメタデータが、所見のテキストデータの曖昧性に左右されて、適正な属性値でない場合には、医療画像の検索時に多大の時間がかかってしまうとともに検索精度も悪化するという課題があった。
【0010】
特に近年では、クラウドサーバに膨大な数の医療レポートが格納されるようになっており、医療画像検索時の迅速性及び精度の高さが要求されている。
【0011】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、読影レポートや病理診断レポートなどの医療レポートに関連付けられた医療画像情報の検索を迅速かつ精度高く行うためのメタデータの付与を行うことができる医療情報管理装置及び医療レポートのメタデータ付加方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明は、医療画像情報に関連付けられ、所見のテキストデータが記載された医療レポートに対して検索用のメタデータを付与する医療情報管理装置であって、検索用標準記述を含む医療専門用語が格納された医療辞書と、前記医療辞書をもとに前記所見のテキストデータを解析して前記所見のテキストデータの中から複数の検索用属性項目と一致する要素記述を抽出するとともに、複数の検索用属性項目の一部を含む要素記述を曖昧要素記述として抽出する要素記述抽出部と、前記医療辞書をもとに前記要素記述を検索用標準記述に変換し、変換した検索用標準記述を前記要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成するとともに、前記曖昧要素記述が抽出された場合、他の要素記述あるいは他の曖昧要素記述と組み合わせた記述が前記検索用標準記述となる場合、前記検索用標準記述を前記曖昧要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成する構造化データ生成部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記構造化データ生成部は、前記検索用標準記述をコード化したメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記医療レポート内のメタデータをもとに前記医療レポートに関連付けられた医療画像情報を検索する画像検索部を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記画像検索部は、前記医療レポート内のメタデータ及び前記医療画像情報のメタデータを用いて前記医療画像情報を検索することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、医療画像情報に関連付けられ、所見のテキストデータが記載された医療レポートに対して検索用のメタデータを付与する医療レポートのメタデータ付与方法であって、検索用標準記述を含む医療専門用語が格納された医療辞書を備え、前記医療辞書をもとに前記所見のテキストデータを解析して前記所見のテキストデータの中から複数の検索用属性項目と一致する要素記述を抽出するとともに、複数の検索用属性項目の一部を含む要素記述を曖昧要素記述として抽出する要素記述抽出ステップと、前記医療辞書をもとに前記要素記述を検索用標準記述に変換し、変換した検索用標準記述を前記要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成するとともに、前記曖昧要素記述が抽出された場合、他の要素記述あるいは他の曖昧要素記述と組み合わせた記述が前記検索用標準記述となる場合、前記検索用標準記述を前記曖昧要素記述に対応付けたメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成する構造化データ生成ステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記の発明において、前記構造化データ生成ステップは、前記検索用標準記述をコード化したメタデータとして前記所見のテキストデータに付加した構造化データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、読影レポートや病理診断レポートなどの医療レポートに関連付けられた医療画像情報の検索を迅速かつ精度高く行うためのメタデータの付与を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、医療情報管理サーバを含む医療情報管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、読影レポートのテンプレート画面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、検索用属性項目の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、テキストデータの一例と要素記述の抽出例とを示す図である。
【
図5】
図5は、制御部による読影レポートに対するメタデータの付加処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る医療情報管理装置及び医療レポートのメタデータ付加方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【0023】
<医療画像管理システムの概要>
まず、本実施例に係る医療情報管理装置に対応する医療情報管理サーバ10を含む医療情報管理システム1の構成について説明する。
図1は、医療情報管理サーバ10を含む医療情報管理システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0024】
図1に示すように、医療情報管理システム1は、医療情報管理サーバ10、ローカルサーバ11及び端末装置15がネットワークNに接続される。また、ローカルサーバ11には、モダリティ12及び読影装置13が接続される。なお、医療情報管理サーバ10は、例えばクラウド上に形成されるサーバである。また、ローカルサーバ11、モダリティ12及び読影装置13は、例えば、病院等の医療施設内に配置される。また、端末装置15は、例えば、医療施設や研究機関などに配置される。
【0025】
モダリティ12は、CR(Computed Radiography;コンピュータ放射線撮影)、MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴撮影)、CT(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)等の画像生成装置である。モダリティ12は、生成した医療画像とともに検査患者等の属性情報をローカルサーバ11に送信する。ローカルサーバ11は、医療画像に属性情報をメタデータとして付加する。
【0026】
<読影装置>
読影装置13は、ローカルサーバ11から、医療画像にメタデータが付加された医療画像情報を読み込んで読影医が読影するための装置である。読影装置13は、読影レポート作成支援部14を有する。読影レポート作成支援部14は、読影レポートのテンプレートを表示し、読影レポート作成の支援を行う。
【0027】
図2は、作成する読影レポート41のテンプレート画面の一例を示す図である。
図2に示すように、テンプレート画面には、例えば「レポートID」、「患者名」、「検査日付」、「読影医」、「読影日付」、「所見欄」、及び、医療画像のリンク先である「画像1」、「画像2」、「画像3」が表示される。読影レポート作成支援部14は、読み込んだ医療画像情報をもとに、「レポートID」、「患者名」、「検査日付」、「読影日付」、リンク先である「画像1」、「画像2」、「画像3」を自動割付する。「読影医」は、読影装置13にログインする際、予め読影医のIDを読み込んでおくことによって自動割付するようにしてもよい。読影医は、読み込んだ医療画像情報の医療画像を別ウインドウに表示しつつ、読影結果を、テンプレート画面の所見欄E1に、自然言語のテキストデータD1を自由に書き込む。ローカルサーバ11は、作成した読影レポート41を、ネットワークNを介して医療情報管理サーバ10に送って、医療情報管理サーバ10に読影レポート41を蓄積させる。なお、多量の医療画像情報がモダリティ12から送られてくる場合、ローカルサーバ11は、図示しない読影センターに医療画像情報を転送し、読影センター内の読影装置によって読影レポート41を作成するようにしてもよい。この場合、読影センター内の読影装置は、作成した読影レポート41を、ネットワークNを介して医療情報管理サーバ10に送る。
【0028】
<医療情報管理サーバ>
医療情報管理サーバ10は、入出力部20、通信部30、記憶部40及び制御部50を有する。
【0029】
入出力部20は、各種操作入力及び表示出力等を行うタッチパネル式ディスプレイなどの入出力インタフェースである。通信部30は、ネットワークNを介してローカルサーバ11及び端末装置15との通信を行うための通信インタフェースである。
【0030】
記憶部40は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、読影レポート41、医療画像情報42及び医療辞書43を記憶する。医療辞書43は、検索用標準記述44を含む医療専門用語が格納されており、類義語等の関係を含めたシソーラス辞書である。医療辞書43は、一般の辞書であってもよいが、本実施例は、所見欄に記載された過去の用語を含めた独自の辞書としている。また、検索用標準記述44とは、例えば、ICD10(国際疾病分類)に用いられる用語である。この場合、検索用標準記述44に対するコード45が対応付られている。
【0031】
制御部50は、医療情報管理サーバ10の全体を制御する制御部であり、受付部51、要素記述抽出部52、構造化データ生成部53及び画像検索部54を有する。制御部50は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0032】
受付部51は、通信部30を介してローカルサーバ11からの読影レポート41や端末装置15から検索依頼などの各種情報を受け付ける。
【0033】
要素記述抽出部52は、読影レポート41を受け付けた場合、医療辞書43をもとに所見のテキストデータD1を解析して所見のテキストデータD1の中から複数の検索用属性項目に関連する複数の要素記述を抽出する。
【0034】
図3に示すように、検索用属性項目は、例えば、部位、所見、病名、スコアなどである。部位の属性値は、例えば、肝臓の領域「S7」などである。所見の属性値は、例えば、すりガラス状陰影などである。病名の属性値は、例えば、ICD10の病名である。スコアの属性値は、陽性、曖昧、陰性などである。
【0035】
構造化データ生成部53は、抽出された要素記述を検索用標準記述に変換し、変換した検索用標準記述を要素記述に対応付けたメタデータとして所見のテキストデータD1に付加した構造化データを生成する。構造化データ生成部53は、例えば、テキストデータD1に、検索用属性項目及び属性値を付加したHTML文書に変換する。
【0036】
構造化データ生成部53は、抽出された要素記述が検索用標準記述である場合、要素記述に、検索用標準記述をメタデータとして付加する。また、構造化データ生成部53は、抽出された要素記述が検索用標準記述ではないが、表記ゆれ範囲内に検索用標準記述がある場合、要素記述に、表記ゆれ範囲内の検索用標準記述をメタデータとして付加する。例えば、要素記述が「UAP」や「uAP」である場合、表記ゆれ範囲内に「不安定狭心症」とする検索用標準記述があるため、要素記述が「UAP」や「uAP」に「不安定狭心症」を示すメタデータを付加する。
【0037】
ここで、要素記述抽出部52は、抽出した要素記述が検索用標準記述の一部を含む記述である場合、曖昧要素記述として抽出しておく。そして、構造化データ生成部53は、曖昧要素記述が抽出された場合、他の要素記述あるいは他の曖昧要素記述と組み合わせた記述が検索用標準記述となる場合、この検索用標準記述を曖昧要素記述に対応付けたメタデータとして付加する。
【0038】
図4は、テキストデータD1の一例と要素記述の抽出例とを示す図である。
図4に示すように、要素記述抽出部52は、テキストデータD1である「肝臓にのう胞の可能性あり、癌の可能性あり」から、肝臓、のう胞、可能性あり、癌、可能性あり、を抽出する。要素記述「肝臓」は、部位の検索用属性項目であるとともに検索用標準記述であるため、そのまま「肝臓」にメタデータとして付加される。また、「のう胞」は、病名でも部位でもないため、曖昧要素記述として抽出される。そして、「のう胞」は、他の要素記述である「肝臓」の一部「肝」と組み合わせることによって病名の検索用標準記述「肝のう胞」となるため、曖昧要素記述「のう胞」に、病名の「肝のう胞」をメタデータとして付加する。なお、要素記述「癌」も曖昧要素記述して抽出されるが、他の要素記述との組み合わせによる検索用標準記述がないため、メタデータは付加されない。また、要素記述「可能性あり」は、スコアに対する属性値として「曖昧」をメタデータとして付加する。
【0039】
なお、上記の検索用標準記述は、コード45を用いてコード化してもよい。例えば、病名が「肝のう胞」である場合、ICD10のコード「K768」をメタデータとして付加する。医療分野ではコード45を用いて検索用標準記述を特定する場合が多いため、コード45をメタデータとして付加しておくと、検索を迅速かつ精度高く行うことができる。
【0040】
画像検索部54は、端末装置15から検索条件が付加された検索依頼を受けた場合、読影レポート41内のメタデータをもとに読影レポート41に関連付けられた医療画像情報42内の医療画像を検索し、検索結果を端末装置15に提示する。なお、画像検索部54は、医療画像の検索に際し、読影レポート内のメタデータに加えて、医療画像情報42のメタデータを用いて検索するようにしてもよい。
【0041】
<端末装置>
端末装置15は、医療情報管理サーバ10に格納されている医療画像を読影レポート41に付加されたメタデータを用いて検索する。端末装置15は、画像検索支援部16を有する。画像検索支援部16は、検索用属性項目に対する属性値を入力する検索テンプレートを表示し、医療画像の検索の支援を行う。
【0042】
上記の医療情報管理サーバ10では、読影レポート41の所見のテキストデータD1を、メタデータが付加された構造化データに変換する場合、医療画像が検索されることを考慮し、メタデータの属性値として検索用標準記述を用いているため、医療画像の検索を迅速かつ精度高く行うことができる。
【0043】
<読影レポートに対するメタデータの付加処理>
図5は、制御部50による読影レポートに対するメタデータの付加処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部50は、受付部51が読影レポート41を受け付けると(ステップS101)、要素記述抽出部52は、医療辞書43をもとに所見欄E1のテキストデータD1を解析してテキストデータD1の中から複数の検索用属性項目に関連する複数の要素記述を抽出する(ステップS102)。
【0044】
その後、構造化データ生成部53は、抽出した要素記述が検索用標準記述であるか否かを判定する(ステップS103)。要素記述が検索用標準記述であるならば(ステップS103;Yes)、この要素記述に検索用標準記述をメタデータとして付加し(ステップS104)、ステップS107に移行する。
【0045】
要素記述が検索用標準記述でないならば(ステップS103;No)、さらに、抽出した要素記述の表記ゆれ範囲内に検索用標準記述があるか否かを判定する(ステップS105)。抽出した要素記述の表記ゆれ範囲内に検索用標準記述があるならば(ステップS105;Yes)、要素記述に、この検索用標準記述をメタデータとして付加し(ステップS104)、ステップS107に移行する。
【0046】
抽出した要素記述の表記ゆれ範囲内に検索用標準記述がないならば(ステップS105;No)、さらに、要素記述の一部と他の要素記述あるいは他の曖昧要素記述とを組み合わせた記述が検索用標準記述となるか否かを判定する(ステップS106)。組み合わせた記述が検索用標準記述となるならば(ステップS106;Yes)、要素記述に、この検索用標準記述をメタデータとして付加し(ステップS104)、ステップS107に移行する。
【0047】
一方、組み合わせた記述が検索用標準記述とならないならば(ステップS106;No)、さらに、未処理の要素記述があるか否かを判定する(ステップS107)。未処理の要素記述があるならば(ステップS107;Yes)、ステップS103に移行して次の要素記述に対するメタデータの付与処理を行う。一方、未処理の要素記述がないならば(ステップS107;No)、本処理を終了する。
【0048】
なお、上記の実施例では、読影レポート41に対するメタデータの付加について説明したが、これに限らず、病理診断レポートにも適用できる。すなわち、医療画像が関連付けられた医療レポートに適用される。
【0049】
また、上記の実施例では、要素記述抽出部52及び構造化データ生成部53がルールベースによって処理することと前提として説明したが、これに限らず、深層学習を用いて読影レポートにメタデータを付加するようにしてもよい。
【0050】
なお、上記の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る医療情報管理装置及び医療レポートのメタデータ付加方法は、読影レポートや病理診断レポートなどの医療レポートに関連付けられた医療画像情報の検索を迅速かつ精度高く行うためのメタデータの付加に有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 医療情報管理システム
10 医療情報管理サーバ
11 ローカルサーバ
12 モダリティ
13 読影装置
14 読影レポート作成支援部
15 端末装置
16 画像検索支援部
20 入出力部
30 通信部
40 記憶部
41 読影レポート
42 医療画像情報
43 医療辞書
44 検索用標準記述
45 コード
50 制御部
51 受付部
52 要素記述抽出部
53 構造化データ生成部
54 画像検索部
D1 テキストデータ
E1 所見欄
N ネットワーク