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  • 特許-電磁弁 図1
  • 特許-電磁弁 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
F16K31/06 305M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019184659
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021060078
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】志知 和幸
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040485(JP,A)
【文献】特開2003-240149(JP,A)
【文献】特開2007-315481(JP,A)
【文献】特開2018-100708(JP,A)
【文献】特開2015-152093(JP,A)
【文献】実開平05-022954(JP,U)
【文献】特開2018-165538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0185181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と、流入口に連通する弁室と、弁室の軸方向一方の端部に位置する、弁孔が開設された弁座とを有する弁筐と、弁室内に設けられた、弁座に対向する弁体と、弁体を弁座に向けて軸方向に進退させる電磁ソレノイドとを備える電磁弁であって、弁体は、弁座に着座する部分だけでなく弁孔に対向する部分も含めて全体が弾性材料製であるものにおいて、
弁座に、弁孔内に張り出して、弁孔内への弁体の食い込みを抑制する突起部が周方向の間隔を存して複数設けられることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記各突起部の前記弁室側の軸方向端縁は、前記弁座の前記弁体が着座可能な弁座面よりも弁孔内に所定の微小距離だけ入り込んだ位置に存することを特徴とする請求項1記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてガス配管に介設される電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電磁弁は、流入口と、流入口に連通する弁室と、弁室の軸方向一端部に位置する、弁孔が開設された弁座とを有する弁筐と、弁室内に設けられた、弁座に対向する弁体と、弁体を弁座に向けて軸方向に進退させる電磁ソレノイドとを備えている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
このような電磁弁をガス配管に介設した場合、ガスレギュレータの故障等で供給ガス圧が高圧になる異常を生ずると、電磁弁の閉弁時に、弁室内の高圧力により、ゴム等の弾性材料製の弁体が弁孔に食い込むように撓んでしまう。そして、この撓みにより弁体の弁座に接する部分の一部に皺が発生して、閉弁不良を生じたり、或いは、弁体が弁孔に食付いて開弁不良を生じたりすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-205432号公報
【文献】特開2017-57935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、弁室内が高圧になっても、弁体の撓みによる閉弁不良や開弁不良を防止できるようにした電磁弁を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、流入口と、流入口に連通する弁室と、弁室の軸方向一方の端部に位置する、弁孔が開設された弁座とを有する弁筐と、弁室内に設けられた、弁座に対向する弁体と、弁体を弁座に向けて軸方向に進退させる電磁ソレノイドとを備える電磁弁であって、弁体は、弁座に着座する部分だけでなく弁孔に対向する部分も含めて全体が弾性材料製であるものにおいて、弁座に、弁孔内に張り出して、弁孔内への弁体の食い込みを抑制する突起部が周方向の間隔を存して複数設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、弁室内が高圧になっても、閉弁時に弁体が弁孔に食い込むようにして撓むことを弁座に設けた突起部によって抑制できる。従って、弁体の撓みによる閉弁不良や開弁不良を防止することができる。
【0008】
本発明において、各突起部の弁室側の軸方向端縁は、弁座の弁体が着座可能な弁座面よりも弁孔内に所定の微小距離だけ入り込んだ位置に存することが望ましい。これによれば、突起部の弁室側の軸方向端縁の位置が製造公差で弁室側に微妙にずれても、当該端縁が弁座面から弁室内に突出することはない。従って、閉弁時に弁体が弁座面に確実に接触し、シール性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の電磁弁の切断側面図。
図2図1のII-II線で切断した断面図。
図3】他の実施形態の図2に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、ガス配管に介設する本発明の実施形態の電磁弁を示している。この電磁弁は、流入口11と、流入口11に連通する弁室12と、弁室12の軸方向一方の端部に位置する、弁孔13が開設された弁座14とを有する弁筐1と、弁室12内に設けられた、弁座14に対向する弁体2と、弁体2を弁座14に向けて軸方向に進退させる電磁ソレノイド3とを備えている。弁体2は、弁座14に着座する部分だけでなく弁孔13に対向する部分も含めて全体がゴム等の弾性材料製である。
【0011】
電磁ソレノイド3は、コイル31と、コイル31を巻回したボビン32と、ボビン32に内挿した磁力伝達用の一対のカラー33,33と、これらカラー33,33に内挿したガイド筒34と、ガイド筒34内に当該ガイド筒34の軸方向一方の端部側から摺動自在に挿入され、軸方向一方の端部に弁体2を連結した可動鉄心35と、ガイド筒34内の軸方向他端寄りの部分に可動鉄心35に対向するように配置した固定鉄心36と、可動鉄心35を弁体2を介して軸方向一方に付勢するバネ37とを有している。コイル31に通電しない状態では、バネ37の付勢力で可動鉄心35が軸方向一方に移動し、弁体2が弁座14に着座した閉じ位置に変位する。一方、コイル31に通電すると、可動鉄心35がバネ37の付勢力に抗して軸方向他方に移動して固定鉄心36に吸着し、弁体2が弁座14から離隔した開き位置に変位する。また、可動鉄心35の固定鉄心36に対向する部分には、固定鉄心36に可動鉄心35が吸着されたときのショックを緩和する緩衝部材35aが設けられている。
【0012】
ところで、ガスレギュレータの故障等で供給ガス圧が高圧になる異常を生ずると、電磁弁の閉弁時に、弁室12内の高圧力により、弁体2が弁孔13に食い込むように撓んでしまうことがある。この撓みを生ずると、弁体2の弁座14に接する部分の一部に皺が発生して、ガスが漏れる閉弁不良を生じたり、或いは、弁体2が弁孔13に食付いて、コイル31に通電しても弁体2が開き位置に変位しなくなる開弁不良を生じたりすることがある。
【0013】
そこで、本実施形態では、図2に明示する如く、弁座14に、弁孔13内に張り出して、弁孔13内への弁体2の食い込みを抑制する突起部15を周方向の間隔を存して複数設けている。尚、本実施形態においては、複数の突起部15が弁孔13の中心までのびて互いに交わっているが、図3に示す実施形態の如く、弁座14に、弁孔13の中心まではのびない比較的短い突起部15を設けてもよい。
【0014】
以上の如く突起部15を設ければ、弁室12内が高圧になっても、閉弁時に弁体2が弁孔13に食い込むようにして撓むことを突起部15によって抑制できる。従って、弁体2の撓みによる上述した閉弁不良や開弁不良を防止することができる。尚、弁体2が最も撓む弁孔13の中心まで突起部15がのびている図2の実施形態の方が弁体2の撓みを抑制する上で有利である。
【0015】
また、図1に示す実施形態において、各突起部15の弁室12側の軸方向端縁は、弁座14の弁体2が着座可能な弁座面14aよりも弁孔13内に所定の微小距離L(例えば、0.7mm)だけ入り込んだ位置に存している。この微小距離Lは、突起部15の上記端縁の製造公差による位置ずれ量の予想される最大値より若干大きく設定される。これにより、突起部15の上記端縁の位置が製造公差で弁室12側にずれても、当該端縁が弁座面14aから弁室12内に突出することはない。従って、閉弁時に弁体2が弁座面14aに確実に接触し、シール性が確保される。
【0016】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、突起部15を弁座14に一体に形成しているが、突起部15を有するリング状部材を弁孔13に嵌入してもよい。
【符号の説明】
【0017】
1…弁筐、11…流入口、12…弁室、13…弁孔、14…弁座、14a…弁座面、15…突起部、2…弁体、3…電磁ソレノイド、L…微小距離。
図1
図2
図3