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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】電動機の電磁ブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/16 20060101AFI20240416BHJP
   F16D 55/28 20060101ALI20240416BHJP
   H02K 7/102 20060101ALI20240416BHJP
   H01F 7/06 20060101ALI20240416BHJP
   F16D 27/10 20060101ALN20240416BHJP
   F16D 121/22 20120101ALN20240416BHJP
【FI】
F16D65/16
F16D55/28 B
H02K7/102
H01F7/06 P
H01F7/06 G
F16D27/10 A
F16D121:22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019195739
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021071115
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高嗣
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035858(JP,A)
【文献】特表平11-508733(JP,A)
【文献】特開2011-190918(JP,A)
【文献】実開平02-047011(JP,U)
【文献】国際公開第2014/157301(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/16
F16D 55/28
H02K 7/102
H01F 7/06
F16D 27/10
F16D 121/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線が巻装されたコイルボビンと、
外部より挿入される複数の電極を有するコネクタと、
前記コイルボビンが収容されるコイルボビン収容部、及び、前記コネクタが挿入されるコネクタ挿入孔を有するブレーキコアと、
を備える電動機の電磁ブレーキであって、
前記コイルボビンは、
内側に端子が収容された複数の端子収容部と、
前記巻線が掛止される掛止部と、
を有し、
前記端子収容部に収容された前記端子は、
前記端子が前記端子収容部に挿入された状態で、前記掛止部に掛止された前記巻線と接続する第1接点と、
前記端子が前記端子収容部に収容された状態で、前記コネクタ挿入孔に挿入された前記コネクタの前記電極と接触する第2接点と、
を有し、
それぞれの前記端子収容部は、前記コネクタ挿入孔側と対峙し、前記端子が前記端子収容部に収容された状態で前記第2接点に前記コネクタの前記電極を誘導する電極誘導部を有し、
前記コネクタが前記コネクタ挿入孔に挿入された状態で、それぞれの前記電極が、それぞれの前記端子収容部の前記電極誘導部に挿入されて、前記端子収容部の内部において前記第2接点に接触し、
前記掛止部は、それぞれの前記端子収容部の面のうち、前記コイルボビンに巻装された前記巻線が延びる方向に沿って互いに対峙する2つの面にスリット状に形成され、
前記電極誘導部は、それぞれの前記端子収容部の面のうち、前記コイルボビンに巻装された前記巻線が延びる方向に交差する方向に沿って互いに対峙する2つの面にスリット状に形成され
前記第1接点は、前記端子の第1の側面から前記第1の側面の反対側の第2の側面にかけて連続して形成されたスリット状の巻線挿入部に形成され、
前記第2接点は、前記端子の第3の側面から前記第3の側面の反対側の第4の側面にかけて連続して形成されたスリット状の電極挿入部に形成され、
前記電極挿入部の幅は、前記第3の側面から前記第2接点に向かうにつれて狭くなるとともに、前記第4の側面から前記第2接点に向かうにつれて狭くなる、電動機の電磁ブレーキ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機の電磁ブレーキであって、
前記電極誘導部は、前記端子収容部の外側の開口部に、テーパ形状に形成されたテーパ部を有する、電動機の電磁ブレーキ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動機の電磁ブレーキであって、
前記コイルボビン収容部は、前記コイルボビンと対向する面に切欠部を有し、
前記コイルボビンは、前記コイルボビン収容部の前記切欠部と対向する面に突出部を有し、
前記コイルボビンが前記コイルボビン収容部に収容された状態で、前記切欠部に前記突出部が係合される、電動機の電磁ブレーキ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動機の電磁ブレーキであって、
前記コイルボビンは、前記コイルボビン収容部と対向する面にリブを有する、電動機の電磁ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルを通電したときに発生する電磁力により駆動する電動機の電磁ブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コイルを通電したときに発生する電磁力により駆動する電動機の電磁ブレーキがある(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-196948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部電源から電力が供給されるコネクタの電極とコイルの巻線とを接続させるために、電極と巻線とは半田付け等がなされる必要があり、電磁ブレーキの製作が煩雑になっていた。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、製作の容易化を図ることができる電動機の電磁ブレーキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、巻線が巻装されたコイルボビンと、外部より挿入される複数の電極を有するコネクタと、前記コイルボビンが収容されるコイルボビン収容部、及び、前記コネクタが挿入されるコネクタ挿入孔を有するブレーキコアと、を備える電動機の電磁ブレーキであって、前記コイルボビンは、内側に端子が収容される複数の端子収容部、及び、それぞれの該端子収容部の任意の面に設けられ、前記巻線が掛止される掛止部と、を有し、前記端子は、前記端子が前記端子収容部に挿入された状態で、前記掛止部に掛止された前記巻線と接続する第1接点と、前記端子が前記端子収容部に収容された状態で、前記コネクタ挿入孔に挿入された前記コネクタの前記電極と接触する第2接点と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、電動機の電磁ブレーキの製作の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1A及び図1Bは、電動機の電磁ブレーキの概略図である。
図2】コイル、及び、電磁ブレーキのブレーキコアの斜視図である。
図3】コイルの斜視図である。
図4】コイルの斜視図である。
図5図5A及び図5Bは端子収容部を示す図である。
図6】端子の斜視図である。
図7図7Aは端子をX軸方向正側から見た図である。図7Bは端子をZ軸方向正側から見た図である。図7Cは端子をY軸方向負側から見た図である。
図8図8A及び図8Bは、端子が収容された状態の端子収容部を示す図である。
図9】ブレーキコアの斜視図である。
図10】コイルが装着された状態のブレーキコアの斜視図である。
図11図10におけるXI視図である。
図12】コネクタの斜視図である。
図13】コネクタがブレーキコアに装着された状態を示す図である。
図14】コイルの斜視図である。
図15】端子収容部をY軸方向負側から見た図である。
図16】端子の斜視図である。
図17図17Aは端子をZ軸方向正側から見た図である。図17Bは端子をY軸方向負側から見た図である。図17Cは端子をX軸方向正側から見た図である。
図18】端子が収容された状態の端子収容部を示す図である。
図19】コネクタの斜視図である。
図20図20Aは、コネクタがブレーキコアに装着される直前の状態を示す図である。図20Bは、コネクタがブレーキコアに装着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
図1A及び図1Bは、電動機の電磁ブレーキ10の概略図である。図1Aはコイル12が励磁されていない状態を示し、図1Bはコイル12が励磁されている状態を示す。電磁ブレーキ10は、コイル12、ブレーキコア14、ばね16、アーマチュア18、摩擦板20及び端板22を有している。
【0010】
コイル12が励磁されていないときには、ばね16の弾性力によって、アーマチュア18が、電動機のロータと一体に回転する摩擦板20側に押される。摩擦板20はアーマチュア18と端板22との間に挟まれ、電動機に制動トルク又は保持トルクが発生する。
【0011】
コイル12が励磁されているときには、コイル12と磁性体により形成されるブレーキコア14とによって電磁力が発生し、磁気素子により形成されるアーマチュア18がコイル12側に引っ張られる。アーマチュア18は、ばね16の弾性力に抗してコイル12側に移動するため、摩擦板20は端板22から離れ、電動機の制動トルク又は保持トルクは解除される。
【0012】
図2は、コイル12、及び、電磁ブレーキ10のブレーキコア14の斜視図である。図3及び図4は、コイル12の斜視図である。以下では、図2図4に矢印で示すX軸、Y軸及びZ軸の座標を用いて説明する。これらの座標は、図4以降の図の説明においても使用される。
【0013】
コイル12は、コイルボビン24に巻線26が巻装されて構成される。コイルボビン24には、Z軸方向正側及び負側にフランジ28が形成されている。巻線26は、コイルボビン24の2つのフランジ28の間に巻装されている。
【0014】
コイルボビン24のZ軸方向正側のフランジ28には、Y軸方向負側に延在する延在部30が形成されている。この延在部30に、端子32が収容される2つの端子収容部34が設けられている。2つの端子収容部34は、X軸方向に隣り合って配置されている。図5A及び図5Bは端子収容部34を示す図である。図5Aは端子収容部34をZ軸方向正側から見た図である。図5Bは端子収容部34をY軸方向負側から見た図である。
【0015】
端子収容部34は、延在部30からZ軸方向正側に延びる角筒状に形成され、Z軸方向正側には、図3に示すように端子32が挿入される開口部36が設けられている。図5A及び図5Bに示すように、端子収容部34のX軸方向において互いに対峙する面34a及び面34bには、開口部36側からZ軸方向負側に延びるスリット状に形成された掛止部38a及び掛止部38bが設けられている。
【0016】
コイルボビン24に巻装されている巻線26の一方の端部26aは、Z軸方向正側に折り曲げられて、隣り合う端子収容部34の間を通り、さらにX軸方向負側に折り曲げられて、X軸方向負側の端子収容部34の掛止部38a及び掛止部38bに掛止される。コイルボビン24に巻装されている巻線26の他方の端部26aは、コイルボビン24に巻装されている箇所からZ軸方向正側に折り曲げられて、隣り合う端子収容部34の間を通り、さらにX軸方向正側に折り曲げられて、X軸方向正側の端子収容部34の掛止部38a及び掛止部38bに掛止される。巻線26の端部26aは、端子収容部34内部の底部34eよりもZ軸方向正側において、掛止部38aと掛止部38bとの間にX軸方向に延びるように配置されている。
【0017】
端子収容部34のY軸方向に互いに対峙する面34c及び面34dには、端子収容部34の開口部36側からZ軸方向負側に向かって延びるスリット状に形成された電極誘導部40a及び電極誘導部40bが設けられている。電極誘導部40a及び電極誘導部40bには、後述するコネクタ56の電極56aが挿入される。
【0018】
図3に示すように、端子収容部34にはZ軸方向正側から端子32が挿入される。図6は端子32の斜視図である。図7Aは端子32をX軸方向正側から見た図である。図7Bは端子32をZ軸方向正側から見た図である。図7Cは端子32をY軸方向負側から見た図である。図8A及び図8Bは、端子32が収容された状態の端子収容部34を示す図である。図8Aは、端子収容部34をZ軸方向正側から見た図である。図8Bは、端子収容部34をY軸方向負側から見た図である。
【0019】
図7Aに示すように端子32をX軸方向正側から見たときに、端子32には、端子32のZ軸方向負側の端部からZ軸方向正側に向かって延びるスリット状の巻線挿入部42が形成されている。巻線挿入部42のZ軸方向側は、Z軸方向側に行くほどY軸方向の幅が狭くなるように形成されている。巻線挿入部42のZ軸方向側の端部は第1接点44を構成している。図8A及び図8Bに示すように端子収容部34に端子32が収容された状態で、掛止部38aと掛止部38bとの間に配置された巻線26が、端子32の巻線挿入部42に挿入され、第1接点44において巻線26と端子32とが接触する。巻線26の端部26aは、掛止部38a及び掛止部38bと巻線挿入部42との間に挟持されて、端子収容部34内に固定される。
【0020】
図7Cに示すように端子32をY軸方向負側から見たときに、端子32には、端子32のZ軸方向正側の端部からZ軸方向負側に向かって延びるスリット状の電極挿入部46が形成されている。図7Bに示すように、電極挿入部46のX軸方向の幅は、電極挿入部46のY軸方向の中央部分において最も狭くなっており、この部分が第2接点48を構成している。
【0021】
図9は、ブレーキコア14の斜視図である。図10は、コイル12が装着された状態のブレーキコア14の斜視図である。図11は、図10におけるXI視図である。ブレーキコア14は、本体部50、コネクタ取付部52及びコイルボビン収容部54を有している。
【0022】
本体部50は、Z軸方向正側から見たときに略正方形に形成されており、本体部50のY軸方向負側にコネクタ取付部52が形成され、本体部50の中心部分にコイルボビン収容部54が形成されている。
【0023】
コネクタ取付部52は、本体部50からZ軸方向に向かって立設されている。コネクタ取付部52には、Y軸方向に貫通するコネクタ挿入孔52aが形成されている。図2に示すように、コネクタ取付部52のコネクタ挿入孔52aに、外部からコネクタ56が挿入される。
【0024】
図9及び図10に示すように、コイルボビン収容部54は、円形の溝状に形成されている。コイルボビン収容部54にコイルボビン24が収容される。コイルボビン収容部54は、コイルボビン24の内周面24aと対向する面54aに対して窪んだ形状に形成された切欠部54bを有している。切欠部54bは、面54aの2箇所に設けられており、Z軸方向に延びて形成されている。
【0025】
コイルボビン24は、内周面24aに対して突出する形状に形成された突出部24bを有している。突出部24bは、切欠部54bに対応する内周面24aの2か所に設けられており、Z軸方向に延びて形成されている。コイルボビン24がコイルボビン収容部54に収容されるときには、コイルボビン収容部54の切欠部54bに、コイルボビン24の突出部24bが挿入される。これにより、図11に示すように、端子収容部34を、コネクタ取付部52のコネクタ挿入孔52aに対峙する位置に位置決めすることができる。
【0026】
コイルボビン24は、内周面24aに対して突出する形状に形成されたリブ24cを有している。リブ24cは、内周面24aの6か所に設けられており、Z軸方向に延びて形成されている。リブ24cは、コイルボビン24の内周面24aとコイルボビン収容部54の面54aとの隙間を埋めるため、コイルボビン24がコイルボビン収容部54内でガタつくことを抑制する。
【0027】
図12はコネクタ56の斜視図である。コネクタ56は、Y軸方向に突出する2本の板状の電極56aを有している。2本の電極56aは、X軸方向に離間して配置されている。電極56aは、その幅方向がZ軸方向となり、厚さ方向がX軸方向となるように設けられている。
【0028】
図13はコネクタ56がブレーキコア14に装着された状態を示す図である。コネクタ56は、コネクタ取付部52のコネクタ挿入孔52aにY軸方向負側からY軸方向正側に向かって挿入される。コネクタ56がコネクタ取付部52のコネクタ挿入孔52aに挿入されるときに、電極56aは、端子収容部34の電極誘導部40aに誘導されて、端子収容部34の内部の端子32の電極挿入部46に挿入され、電極56aは第2接点48において端子32と接続される。電極56aの先端は、端子32の電極挿入部46を貫通し、端子収容部34のY軸方向正側の面34dに形成された電極誘導部40bに挿入される。電極56aが電極挿入部46に挿入されているため、端子32のZ軸方向正側への移動が規制され、端子収容部34からの端子32の脱落を防止している。
【0029】
図11に示すように、端子収容部34の面34cに形成された電極誘導部40aのコネクタ取付部52と対峙する側の開口部には、テーパ形状に形成されたテーパ部40a1が設けられている。これにより、電極56aは、テーパ部40a1に沿って電極誘導部40a内に挿入され、端子32の第2接点48に誘導される。
【0030】
[作用効果]
従来では、コネクタ56とコイル12の巻線26とが接続されるために、コネクタ56の電極56aと巻線26とは半田付け等がなされる必要があり、電磁ブレーキ10の製作が煩雑であった。
【0031】
本実施形態では、電磁ブレーキ10に設けられたコイルボビン24は、端子32が収容される端子収容部34を有し、この端子収容部34に巻線26が掛止される掛止部38a及び掛止部38bが形成されている。端子32は、端子32が端子収容部34に挿入されるときに、掛止部38a及び掛止部38bに掛止された巻線26と接続する第1接点44を有する。さらに、端子32は、端子32が端子収容部34に挿入された状態で、ブレーキコア14のコネクタ挿入孔52aに挿入されたコネクタ56の電極56aと接触する第2接点48を有する。
【0032】
本実施形態の電磁ブレーキ10では、端子32が端子収容部34に挿入されるときに、半田付けなしに端子32の第1接点44とコイル12の巻線26との接続が行われる。また、端子32が端子収容部34に挿入された状態で、ブレーキコア14のコネクタ挿入孔52aにコネクタ56が挿入されるときに、半田付けなしに電極56aと端子32の第2接点48との接続が行われる。すなわち、端子32を介してコネクタ56の電極56aとコイル12の巻線26とが接続されるため、半田付けなしに電極56aと巻線26との接続が行われる。よって、電磁ブレーキ10の製作の容易化を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態では、端子収容部34は、コネクタ挿入孔52aと対峙する面34cに、端子32が端子収容部34に収容された状態で第2接点48にコネクタ56の電極56aを誘導する電極誘導部40を有する。これにより、コネクタ56がコネクタ挿入孔52aに挿入されると、電極56aが電極誘導部40に誘導されて、第2接点48に接続される。これにより、半田付け無しにコネクタ56の電極56aと端子32の第2接点48との接続が行われる。よって、電磁ブレーキ10の製作の容易化を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態では、電極誘導部40は、電極誘導部40のコネクタ挿入孔52aと対峙する側の開口部にテーパ形状に形成されたテーパ部40a1を有する。これにより、コネクタ56の電極56aは、テーパ部40a1に沿って電極誘導部40a内に挿入され、端子32の第2接点48に誘導される。よって、コネクタ56がコネクタ挿入孔52aに挿入されるときに、電極56aと端子32との接続が行われるため、電磁ブレーキ10の製作の容易化を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、ブレーキコア14のコイルボビン収容部54は、コイルボビン24と対峙する面54aに切欠部54bを有し、コイルボビン24は、コイルボビン収容部54の切欠部54bと対峙する内周面24aに突出部24bを有する。コイルボビン24がコイルボビン収容部54に収容された状態で、切欠部54bに突出部24bが係合される。これにより、端子収容部34を、コネクタ取付部52のコネクタ挿入孔52aに対峙する位置に位置決めすることができるため、端子収容部34にコネクタ56の電極56aが挿入されやすくなり、電磁ブレーキ10の製作の容易化を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態では、コイルボビン24は、コイルボビン収容部54と対向する内周面24aにリブ24cを有する。リブ24cは、コイルボビン24の内周面24aとコイルボビン収容部54の面54aとの隙間を埋める。これにより、コイルボビン収容部54内におけるコイルボビン24のガタツキを抑制することができるため、端子収容部34にコネクタ56の電極56aを挿入した状態で導通品質を向上させることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の電磁ブレーキ10は、コイルボビン24の端子収容部34の形状、端子32の形状、及び、コネクタ56の電極56aの形状が、第1実施形態の電磁ブレーキ10と異なる。以下、第2実施形態の電磁ブレーキ10について説明するが、第1実施形態の電磁ブレーキ10と同じ構成については、説明を省略する。
【0038】
図14はコイル12の斜視図である。図15は、端子収容部34をY軸方向負側から見た図である。コイルボビン24は、Z軸方向正側及び負側にフランジ28が形成されている。コイルボビン24の2つのフランジ28の間に巻線26が巻装されて、コイル12が形成される。
【0039】
図14に示すように、コイルボビン24のZ軸方向正側のフランジ28には、Y軸方向負側に延在する延在部30が形成されている。この延在部30に、端子32が収容される2つの端子収容部34が設けられている。2つの端子収容部34は、X軸方向に隣り合って配置されている。
【0040】
端子収容部34は、延在部30上にY軸方向に延びる角筒状に形成され、Y軸方向負側には、図14に示すように端子32が挿入される開口部58が設けられている。図14及び図15に示すように、端子収容部34のZ軸方向において互いに対峙する面34f及び面34gには、開口部58側からY軸方向負側に延びるスリット状に形成された掛止部38c及び掛止部38dが設けられている。
【0041】
コイルボビン24に巻装されている巻線26の一方の端部26aは、Z軸方向正側に折り曲げられて、X軸方向負側の端子収容部34の掛止部38c及び掛止部38dに掛止される。コイルボビン24に巻装されている巻線26の他方の端部26aは、Z軸方向正側に折り曲げられて、X軸方向正側の端子収容部34の掛止部38c及び掛止部38dに掛止される。第1実施形態では、巻線26の端部26aは、2回折り曲げて、端子収容部34の掛止部38a及び掛止部38bに掛止されていたが、本実施形態では、巻線26の端部26aは、1回だけ折り曲げて、端子収容部34の掛止部38c及び掛止部38dに掛止される。
【0042】
図14に示すように、端子収容部34には、Y軸方向負側から端子32が挿入される。図16は端子32の斜視図である。図17Aは端子32をZ軸方向正側から見た図である。図17Bは端子32をY軸方向負側から見た図である。図17Cは端子32をX軸方向正側から見た図である。図18は、端子32が収容された状態の端子収容部34を示す図である。
【0043】
図17Aに示すように端子32をZ軸方向正側から見たときに、端子32には、端子32のY軸方向正側の端部からY軸方向負側に向かって延びるスリット状の巻線挿入部60が形成されている。巻線挿入部60の軸方向正側は、軸方向負側に行くほどX軸方向の幅が狭くなるように形成されている。巻線挿入部60の軸方向負側の端部は第1接点62を構成している。図18に示すように端子収容部34に端子32が収容された状態で、掛止部38cと掛止部38dとの間に配置された巻線26が巻線挿入部60に挿入され、第1接点62において巻線26と端子32とが接触する。巻線26の端部26aは、掛止部38c及び掛止部38dと巻線挿入部60との間に挟持されて、端子収容部34内に固定される。
【0044】
図17Cに示すように端子32をX軸方向正側から見たときに、端子32には、端子32のY軸方向負側の端部からY軸方向正側に向かって延びるスリット状の電極挿入部64が形成されている。電極挿入部64の内部はZ軸方向に湾曲した形状に形成されており、電極挿入部64のZ軸方向に最も狭くなっている部分が第2接点66を構成している。
【0045】
図19はコネクタ56の斜視図である。コネクタ56は、Y軸方向に突出する2本の板状の電極56aを有している。2本の電極56aは、X軸方向に離間して配置されている。電極56aは、その幅方向がX軸方向となり、厚さ方向がZ軸方向となるように設けられている。
【0046】
図20Aは、コネクタ56がブレーキコア14に装着される直前の状態を示す図である。図20Bは、コネクタ56がブレーキコア14に装着された状態を示す図である。コネクタ56は、コネクタ取付部52のコネクタ挿入孔52aにY軸方向負側からY軸方向正側に向かって挿入される。コネクタ56がコネクタ取付部52のコネクタ挿入孔52aに挿入されるときに、電極56aは端子32の電極挿入部64に挿入され、電極56aは第2接点66において端子32と接続される。電極56aが電極挿入部64に挿入されているため、端子32のY軸方向負側への移動が規制され、端子収容部34からの端子32の脱落を防止している。
【0047】
[作用効果]
本実施形態では、電磁ブレーキ10に設けられたコイルボビン24は、端子32が収容される端子収容部34を有し、この端子収容部34に巻線26が掛止される掛止部38c及び掛止部38dが形成されている。端子32は、端子32が端子収容部34に挿入されるときに、掛止部38c及び掛止部38dに掛止された巻線26と接続する第1接点62を有する。さらに、端子32は、端子32が端子収容部34に挿入された状態で、ブレーキコア14のコネクタ挿入孔52aに挿入されたコネクタ56の電極56aと接触する第2接点66を有する。
【0048】
本実施形態の電磁ブレーキ10では、端子32が端子収容部34に挿入されるときに、半田付けなしに端子32の第1接点62とコイル12の巻線26との接続が行われる。また、端子32が端子収容部34に挿入された状態で、ブレーキコア14のコネクタ挿入孔52aにコネクタ56が挿入されるときに、半田付けなしに電極56aと端子32の第2接点66との接続が行われる。すなわち、端子32を介してコネクタ56の電極56aとコイル12の巻線26とが接続されるため、半田付けなしに電極56aと巻線26との接続が行われる。よって、電磁ブレーキ10の製作の容易化を図ることができる。
【0049】
〔他の実施形態〕
端子32の形状は、第1実施形態及び第2実施形態で説明した端子32の形状に限らなくてもよい。端子32は、端子32が端子収容部34に挿入されるときに、端子収容部34の掛止部38a、38b、38c、38dに掛止された巻線26の端部26aと端子32の第1接点44、62とが接続する形状であればよい。また、端子32は、端子32が端子収容部34に挿入された状態で、コネクタ挿入孔52aに挿入されたコネクタ56の電極56aが端子32の第2接点48、66に接続する形状であればよい。
【0050】
コネクタ56の電極56aの形状は、第1実施形態及び第2実施形態で説明した電極56aの形状に限らなくてもよい。電極56aの形状は、円柱状であってもよい。また、電極56aは、リード線であってもよい。また、電極56aの数は2本でなく、3本以上であってもよい。
【0051】
〔実施形態から得られる技術的思想〕
上記実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0052】
巻線(26)が巻装されたコイルボビン(24)と、外部より挿入される複数の電極(56a)を有するコネクタ(56)と、前記コイルボビンが収容されるコイルボビン収容部(54)、及び、前記コネクタが挿入されるコネクタ挿入孔(52a)を有するブレーキコア(14)と、を備える電動機の電磁ブレーキ(10)であって、前記コイルボビンは、内側に端子(32)が収容される複数の端子収容部(34)、及び、それぞれの該端子収容部の任意の面に設けられ、前記巻線が掛止される掛止部(38a、38b)と、を有し、前記端子は、前記端子が前記端子収容部に挿入された状態で、前記掛止部に掛止された前記巻線と接続する第1接点(44)と、前記端子が前記端子収容部に収容された状態で、前記コネクタ挿入孔に挿入された前記コネクタの前記電極と接触する第2接点(48)と、を有する。これにより、電磁ブレーキの製作の容易化を図ることができる。
【0053】
上記の電動機の電磁ブレーキであって、それぞれの前記端子収容部は、前記コネクタ挿入孔側と対峙し、前記端子が前記端子収容部に収容された状態で前記第2接点に前記コネクタの前記電極を誘導する電極誘導部(40a)を有し、前記コネクタが前記コネクタ挿入孔に挿入された状態で、それぞれの前記電極が、それぞれの前記端子収容部の前記電極誘導部に挿入されて、前記端子収容部の内部において前記第2接点に接触する。これにより、電磁ブレーキの製作の容易化を図ることができる。
【0054】
上記の電動機の電磁ブレーキであって、前記電極誘導部は、前記端子収容部の外側の開口部に、テーパ形状に形成されたテーパ部(40a1)を有する。これにより、電磁ブレーキの製作の容易化を図ることができる。
【0055】
上記の電動機の電磁ブレーキであって、前記コイルボビン収容部は、前記コイルボビンと対向する面(54a)に切欠部(54b)を有し、前記コイルボビンは、前記コイルボビン収容部の前記切欠部と対向する面(24a)に突出部(24b)を有し、前記コイルボビンが前記コイルボビン収容部に収容された状態で、前記切欠部に前記突出部が係合される。これにより、端子収容部を、コネクタ挿入孔に対峙する位置に位置決めすることができるため、端子収容部にコネクタの電極が挿入されやすくなり、電磁ブレーキの製作の容易化を図ることができる。
【0056】
上記の電動機の電磁ブレーキであって、前記コイルボビンは、前記コイルボビン収容部と対向する面にリブ(24c)を有する。これにより、コイルボビン収容部内におけるコイルボビンのガタツキを抑制することができるため、端子収容部にコネクタの電極を挿入した状態で導通品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
10…電磁ブレーキ 14…ブレーキコア
24…コイルボビン 24b…突出部
24c…リブ 26…巻線
32…端子 34…端子収容部
38a、38b…掛止部 40a…電極誘導部
40a1…テーパ部 44…第1接点
48…第2接点 52a…コネクタ挿入孔
54…コイルボビン収容部 54b…切欠部
56…コネクタ 56a…電極
図1
図2
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