(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】産業機械の移動軌跡の画像データを生成する装置、制御装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4068 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G05B19/4068
(21)【出願番号】P 2019198977
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-07-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 聡史
(72)【発明者】
【氏名】相澤 智之
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-078102(JP,A)
【文献】特開平05-289729(JP,A)
【文献】特開2011-165066(JP,A)
【文献】特開2004-021954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/4068
B23Q 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の移動軌跡の画像データを生成する装置であって、
ワークに対して作業を行うときの前記産業機械の移動軌跡を生成する移動軌跡生成部と、
前記ワークに対して作業を行うときの前記産業機械の
位置、速度、加速度、躍度及び移動方向のうちの1つである第1の運転情報の時間に対する変化
と、該位置、該速度、該加速度、該躍度及び該移動方向のうちの他の1つである第2の運転情報の時間に対する変化と、を
所定の期間に亘って時系列で示す時系列データを取得する運転情報取得部と、
前記期間内の所定の時間における前記第1
の運転情報
の変化
量が予め定めた閾値を超える第1の変化点を前記時系列データから検索し、該第1の変化点が生じた第1の時点を前記時系列データにおいて特定し、
前記期間内の所定の時間における前記第2
の運転情報
の変化
量が予め定めた閾値を超える第2の変化点を前記時系列データから検索し、該第2の変化点が生じた第2の時点を前記時系列データにおいて特定する変化点取得部と、
前記第1の時点に対応する前記移動軌跡上の第1の点を特定し、前記第2の時点に対応する前記移動軌跡上の第2の点を特定し、該第1の点及び該第2の点を互いに視覚的に異なる表示形式で前記移動軌跡上に強調表示した画像データを生成する画像データ生成部と、を備える、装置。
【請求項2】
前記運転情報取得部は、前記時系列データを、
前記ワークに対する作業を実行するための作業プログラムから取得するか、又は、
前記産業機械が前記作業プログラムに従って動作しているときに検出されるフィードバック情報から取得する、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記移動軌跡生成部は、
前記ワークに対する作業を実行するための作業プログラムによって規定される第1の前記移動軌跡と、
前記産業機械が前記作業プログラムに従って動作したときの第2の前記移動軌跡と、を生成し、
前記画像データ生成部は、前記第1の移動軌跡及び前記第2の移動軌跡が表示された前記画像データを生成する、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記画像データ生成部は、前記第1の移動軌跡と前記第2の移動軌跡との差を拡大表示可能とするように、前記画像データを生成する、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の装置を備える、前記産業機械の制御装置。
【請求項6】
産業機械の移動軌跡の画像データを生成する方法であって、
ワークに対して作業を行うときの前記産業機械の移動軌跡を生成し、
前記ワークに対して作業を行うときの前記産業機械の
位置、速度、加速度、躍度及び移動方向のうちの1つである第1の運転情報の時間に対する変化
と、該位置、該速度、該加速度、該躍度及び該移動方向のうちの他の1つである第2の運転情報の時間に対する変化と、を
所定の期間に亘って時系列で示す時系列データを取得し、
前記期間内の所定の時間における前記第1
の運転情報
の変化
量が予め定めた閾値を超える第1の変化点を前記時系列データから検索し、該第1の変化点が生じた第1の時点を前記時系列データにおいて特定し、
前記期間内の所定の時間における前記第2
の運転情報
の変化
量が予め定めた閾値を超える第2の変化点を前記時系列データから検索し、該第2の変化点が生じた第2の時点を前記時系列データにおいて特定し、
前記第1の時点に対応する前記移動軌跡上の第1の点を特定し、前記第2の時点に対応する前記移動軌跡上の第2の点を特定し、該第1の点及び該第2の点を互いに視覚的に異なる表示形式で前記移動軌跡上に強調表示した画像データを生成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械の移動軌跡の画像データを生成する装置、制御装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに対して作業を行う産業機械の移動軌跡を生成する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業機械によってワークに作業をしたときに、該ワークの仕上がり面に欠陥が生じる場合がある。従来、このような欠陥の要因を特定するのを容易化する技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、産業機械の移動軌跡の画像データを生成する装置は、ワークに対して作業を行うときの産業機械の移動軌跡を生成する移動軌跡生成部と、ワークに対して作業を行うときの産業機械の運転情報を取得する運転情報取得部と、第1の運転情報の変化点に対応する移動軌跡上の第1の点と、該第1の運転情報とは異なる第2の運転情報の変化点に対応する移動軌跡上の第2の点とを、互いに視覚的に異なる表示形式で移動軌跡上に強調表示した画像データを生成する画像データ生成部とを備える。
【0006】
本開示の他の態様において、産業機械の移動軌跡の画像データを生成する方法は、ワークに対して作業を行うときの産業機械の移動軌跡を生成し、ワークに対して作業を行うときの産業機械の運転情報を取得し、第1の運転情報の変化点に対応する移動軌跡上の第1の点と、該第1の運転情報とは異なる第2の運転情報の変化点に対応する移動軌跡上の第2の点とを、互いに視覚的に異なる表示形式で移動軌跡上に強調表示した画像データを生成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、オペレータは、産業機械によってワークに作業をしたときに該ワークの仕上がり面に欠陥が生じた場合に、該欠陥の要因を特定し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る機械システムのブロック図である。
【
図3】
図3に示すワークに対して作業を行うときの産業機械の移動軌跡の画像である。
【
図7】
図1に示す画像データ生成部が生成する画像データを画像化した一例を示す。
【
図9】画像データ生成部が生成する画像データを画像化した他の例を示す。
【
図10】画像データ生成部が生成する画像データを画像化したさらに他の例を示す。
【
図11】他の実施形態に係る機械システムのブロック図である。
【
図13】
図11に示す画像データ生成部が生成する画像データを画像化した例を示す。
【
図14】移動軌跡と移動軌跡との差が表示された画像データを画像化した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。まず、
図1を参照して、一実施形態に係る機械システム10について説明する。機械システム10は、産業機械12、及び制御装置14を備える。
【0010】
産業機械12は、工作機械(旋盤、フライス盤、マシニングセンター等)、又は産業用ロボット(垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット等)等であって、ワークに対して所定の作業を行う。産業機械12は、移動機構16、及びツール18を有する。移動機構16は、少なくとも1つの電動機20を有し、作業対象のワークに対してツール18を相対的に移動させる。
【0011】
電動機20は、例えばサーボモータであって、制御装置14は、該電動機20に指令を送り、該電動機20を駆動することよって移動機構16を動作させ、これにより、ツール18をワークに対して移動させる。ツール18は、例えば、切削工具、レーザ加工ヘッド、溶接トーチ、塗料塗布器等であって、ワークに対して所定の作業(機械加工、レーザ加工、溶接、塗工等)を行う。
【0012】
一例として、産業機械12が工作機械である場合、移動機構16は、ワークがセットされる加工テーブルを水平方向へ移動させるとともに、ツール18(切削工具)がセットされる主軸頭を、鉛直方向へ移動させる。他の例として、産業機械12が産業用ロボット(多関節ロボット)である場合、移動機構16は、ロボットベースに鉛直軸周りに回動可能に設けられた旋回胴と、該旋回胴に回動可能に設けられたロボットアームと、該ロボットアームの先端に設けられた手首部とを有し、該手首部に取り付けられたツール18を3次元空間内の任意の位置へ移動させる。
【0013】
制御装置14は、産業機械12の動作を制御する。具体的には、制御装置14は、プロセッサ22、メモリ24、及びI/Oインターフェース26を有するコンピュータである。プロセッサ22は、CPU又はGPU等を有し、後述する各種機能を実行するための演算処理を行う。プロセッサ22は、メモリ24及びI/Oインターフェース26とバス28を介して通信可能に接続されている。
【0014】
メモリ24は、ROM又はRAM等を有し、各種データを一時的又は恒久的に記憶する。I/Oインターフェース26は、プロセッサ22の制御の下、外部機器と通信し、該外部機器からデータを受信するとともに、該外部機器へデータを送信する。本実施形態においては、I/Oインターフェース26には、表示装置30及び入力装置32が、無線又は有線で通信可能に接続されている。
【0015】
表示装置30は、LCD又は有機ELディスプレイ等を有し、プロセッサ22は、I/Oインターフェース26を介して、表示装置30に画像データを送信し、該表示装置30に画像を表示させる。入力装置32は、キーボード、マウス、又はタッチセンサ等を有し、オペレータが入力した情報を、I/Oインターフェース26を介してプロセッサ22へ送信する。なお、表示装置30及び入力装置32は、制御装置14に一体に設けられてもよいし、制御装置14とは別体として設けられてもよい。
【0016】
本実施形態においては、プロセッサ22は、産業機械12の移動軌跡の画像データを生成する装置50の機能を担う。以下、装置50の機能について説明する。プロセッサ22は、ワークに対して作業を行うときの産業機械12の移動軌跡MPを生成する。例えば、プロセッサ22は、移動機構16が移動させるツール18(具体的には、ツール先端点、又はTCP等)のワークに対する移動軌跡MPを生成する。
【0017】
本実施形態においては、プロセッサ22は、ワークに対する作業を実行するための作業プログラムWPによって規定される移動軌跡MP1(第1の移動軌跡)を生成する。作業プログラムWPは、ワークに対してツール18を配置させるべき複数の目標位置、隣接する2つの目標位置を結ぶ微小線分、又は、ワークに対するツール18の目標速度等を規定する複数の命令文を含むコンピュータプログラム(例えば、Gコードプログラム)である。
【0018】
プロセッサ22は、作業プログラムWPを解析し、ワークに対する作業を実行するために電動機20へ送信する指令を生成する。こうして、プロセッサ22は、作業プログラムWPに従って移動機構16を動作させることで、ツール18によってワークに対する作業を行う。作業プログラムWPは、メモリ24に格納される。
【0019】
プロセッサ22は、作業プログラムWPを解析することで、3次元空間における移動軌跡MP
1を生成する。移動軌跡MP
1は、作業プログラムWPに規定された微小線分の集合体であって、移動機構16(ツール18)の制御上の移動軌跡である。例えば、産業機械12がツール18によって、
図2のワークAを形成するものとする。
【0020】
この場合において、ワークAの土台部A1と本体部A2との接続部A3を形成するときの、ワークAに対するツール18の移動軌跡MP
1の例を、
図3及び
図4に示す。なお、
図4は、
図3の領域Bを拡大した拡大図である。
図4に示す線の各々が、移動軌跡MP
1を構成し、該移動軌跡MP
1によって、接続部A3の外面が画定されている。
【0021】
プロセッサ22は、作業プログラムWPから、このような移動軌跡MP
1を生成する。なお、
図3及び
図4では、ワークAのうち、接続部A3を形成するときの移動軌跡MP
1を例示したが、プロセッサ22は、ワークAの土台部A1及び本体部A2を形成するための移動軌跡MP
1も、作業プログラムWPから同様に生成できることが理解されよう。このように、本実施形態においては、プロセッサ22は、移動軌跡MP
1を生成する移動軌跡生成部52(
図1)として機能する。
【0022】
プロセッサ22は、ワークAに対して作業を行うときの産業機械12の運転情報を取得する。本実施形態においては、プロセッサ22は、作業プログラムWPから運転情報を取得する。作業プログラムWPから取得される運転情報は、例えば、ワークAに対するツール18の位置PT1、速度VT1、加速度aT1、躍度αT1及び移動方向dT1、電動機20の回転シャフトの位置(回転角度)PM1、速度(回転数)VM1、加速度(角加速度)aM1、躍度(角躍度)αM1及び移動方向(回転方向)dM1、並びに、産業機械12の運転モードRMの情報を含む。
【0023】
プロセッサ22は、作業プログラムWPを解析し、該作業プログラムWPに含まれる各命令文の情報(目標位置、微小線分、目標速度等)に基づいて、運転情報として、位置P
T1及びP
M1、速度V
T1及びV
M1、加速度a
T1及びa
M1、躍度α
T1及びα
M1、移動方向d
T1及びd
M1、並びに運転モードRMの時間tに対する変化を時系列で示す時系列データを取得する。したがって、プロセッサ22は、運転情報を取得する運転情報取得部54(
図1)として機能する。
【0024】
図5及び
図6に、運転情報の時系列データのグラフの一例を示す。
図5は、ツール18の位置P
T1の時系列データを示す線L1と、ツール18の速度V
T1の時系列データを示す線L2とを例示しており、横軸は時間tを、縦軸は位置P及び速度Vを示す。一方、
図6は、運転モードRMの時系列データを示す線L4を例示しており、横軸は時間tを、縦軸は運転モードRMを示す。
【0025】
図5に示す例では、ツール18は、徐々に減速しつつ、位置P
0へ向かう方向へ移動し、時点t
0で位置P
0に達した後、位置P
0から離れる方向へ加速しつつ移動している。すなわち、この場合、時点t
0を含む所定の時間δtにおける速度V
T1の変化量は
図5中のδV
T1であり、ツール18の移動方向d
T1の変化量は、180°(つまり、反転)となる。
【0026】
ここで、
図5のグラフの下側の領域に示す線L3は、作業プログラムWPから取得したツール18の移動軌跡MP
1と、該作業プログラムWPに従って移動機構16を動作させたときのツール18の実際の移動軌跡MP
2との差Δ
MPを示している。線L3に示すように、移動方向d
T1の変化量が大きい(例えば、移動方向が反転した)時点t
0(厳密には、時点t
0の直前の時点)で、図中の矢印Cで示すように、差Δ
MPが大きくなっている。
【0027】
このように差ΔMPが大きくなる現象は、位置PT1及びPM1、速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、躍度αT1及びαM1、移動方向dM1の変化量δ1が大きくなる時点でも、同様に起こり得る。変化量δ1が大きくなる時点、すなわち、差ΔMPが大きくなる時点では、作業中におけるワークに対するツール18の実際の位置(又は軌跡)が、加工プログラムで規定されている目標位置(又は軌跡)からずれていることになり、ワークAの仕上がり面に欠陥が生じ得る(例えば、ワークAを加工したときに該ワークの仕上がり面に意図しない線又は模様等が形成され得る)。
【0028】
一方、
図6に示す例では、産業機械12の運転モードRMが、第1の運転モードRM
1から第2の運転モードRM
2へ切り換えられている。ここで、第1の運転モードRM
1は、例えば、位置決めモードである。この位置決めモードは、例えば、ツール18がワークに作業を行っていない状態で、移動機構16が該ツール18を作業開始点まで速度V
T1_Pで移動させる運転モードである。この位置決めモードにおいては、プロセッサ22による移動機構16の制御の応答速度を決定する制御ゲインG
Cを、G
C=G
C_Pに設定する。また、移動機構16がツール18を加減速させるときの時定数τを、τ=τ
Pに設定する。
【0029】
一方、第2の運転モードRM2は、例えば、作業モードである。この作業モードは、例えば、移動機構16がツール18を速度VT1_W(<VT1_P)で移動させつつ、該ツール18でワークに作業を行う運転モードである。この作業モードにおいては、制御ゲインGCを、GC=GC_W(>GC_P)に設定し、時定数τを、τ=τW(<τP)に設定する。したがって、作業モードにおける移動機構16の制御の応答性は、位置決めモードよりも高くなる。
【0030】
このように、産業機械12の運転モードRMが、第1の運転モードRM1と第2の運転モードRM2との間で切り換えられる時点t0では、ツール18に振動が発生し、これにより、図中の矢印Cで示すように差ΔMPが大きくなり易くなる。なお、第1の運転モードRM1が作業モードであり、第2の運転モードRM2が位置決めモードであってもよいし、第1の運転モードRM1及び第2の運転モードRM2は、作業モード及び位置決めモードとは別の如何なる運転モードであってもよい。
【0031】
本実施形態においては、プロセッサ22は、位置PT1及びPM1、速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、躍度αT1及びαM1、並びに移動方向dT1及びdM1の時系列データにおいて、所定の時間δtにおける、位置PT1及びPM1、速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、躍度αT1及びαM1、並びに移動方向dT1及びdM1の各々の変化量δ1が所定の閾値δth1を超える変化点を取得する。
【0032】
具体的には、位置PT1及びPM1について、プロセッサ22は、例えば、所定の時間δtにおける2つの位置の間の変化量(すなわち、距離)が閾値δth1を超える変化点を、位置PT1及びPM1の時系列データから検索し、該変化点が生じる時点t0をそれぞれ取得する。
【0033】
また、速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、並びに躍度αT1及びαM1について、例えば、プロセッサ22は、所定の時間δtにおける速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、並びに躍度αT1及びαM1の変化量の絶対値が閾値δth1を超える変化点を、速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、並びに躍度αT1及びαM1の時系列データから検索し、該変化点が生じる時点t0をそれぞれ取得する。
【0034】
また、ツール18の移動方向dT1について、例えば、プロセッサ22は、第1の時点t1から第2の時点t2(>t1)までの時間δt(=t2-t2)における移動方向dT1の変化量として、第1の時点t1での移動方向dT1_t1と、第2の時点t2での移動方向dT1_t2との内積IPを算出する。例えば、移動方向dT1_t1及びdT1_t2を単位ベクトルとし、移動方向dT1_t1及びdT1_t2の間の角度をθとすると、内積IP=cosθ(-1≦IP≦1)として算出できる。
【0035】
移動方向dT1_t1から移動方向dT1_t2への変化量(角度θ)が、0°から180°へ向かって大きくなる程、内積IPは、-1≦IP≦1の範囲で小さくなる。プロセッサ22は、内積IPが所定の閾値δth1を超えて小さくなる変化点を、移動方向dT1の時系列データから検索し、該変化点が生じる時点t0を取得する。
【0036】
代替的には、プロセッサ22は、時間δtにおける移動方向dT1の変化量として、移動方向dT1_t1と移動方向dT1_t2との間の角度θを算出し、該角度θが所定の閾値δth1を超える変化点を、移動方向dT1の時系列データから検索し、該変化点が生じる時点t0を取得してもよい。
【0037】
また、電動機20の回転シャフトの移動方向(回転方向)dM1について、例えば、プロセッサ22は、移動方向dM1が反転したときに、移動方向dM1が所定の閾値δth1(=180°)を超えたと判定し、該移動方向dM1が反転する変化点を、移動方向dM1の時系列データから検索し、該変化点が生じる時点t0を取得する。
【0038】
一方、運転モードRMについて、プロセッサ22は、第1の運転モードRM
1から第2の運転モードRM
2へ切り換わる変化点を、運転モードRMの時系列データ(
図6)から検索し、該変化点が生じる時点t
0を取得する。このようにして、プロセッサ22は、時系列データにおいて、位置P
T1及びP
M1、速度V
T1及びV
M1、加速度a
T1及びa
M1、躍度α
T1及びα
M1、移動方向d
T1及びd
M1、並びに、運転モードRMの各々の変化点と、該変化点が生じる時点t
0とを取得する。したがって、プロセッサ22は、変化点取得部56(
図1)として機能する。
【0039】
次いで、プロセッサ22は、複数の運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1、RMの変化点にそれぞれ対応する、移動軌跡MP1上の点を特定する。本実施形態においては、プロセッサ22は、計11種類の運転情報、すなわち、位置PT1及びPM1、速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、躍度αT1及びαM1、移動方向dT1及びdM1、並びに運転モードRMを取得している。
【0040】
よって、プロセッサ22は、これら11種類の運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1及びRMについて、これら運転情報の変化点が生じた時点t0に対応する移動軌跡MP1上の点を検索して特定する。ここで、運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1及びRMの時系列データは、作業プログラムWPに含まれる命令文に関連付けられているので、プロセッサ22は、時点t0に対応する作業プログラムWPの命令文を特定することができ、以って、時点t0に対応する移動軌跡MP1上の点を特定することができる。
【0041】
こうして、プロセッサ22は、運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1及びRMの変化点にそれぞれ対応する移動軌跡MP1上の複数の点を特定する。そして、プロセッサ22は、特定した複数の点を、互いに視覚的に異なる表示形式で移動軌跡MP1上に強調表示した画像データID1を生成する。
【0042】
画像データID
1の画像の例を、
図7及び
図8に示す。
図7に示す例においては、第1の運転情報(例えば、ツール18の加速度a
T1)の変化点に対応する移動軌跡MP
1上の点を、矢印D
1で強調表示している。また、第2の運転情報(例えば、電動機20の回転シャフトの移動方向d
M1)の変化点に対応する移動軌跡MP
1上の点を、矢印D
2で強調表示している。また、第3の運転情報(例えば、ツール18の移動速度V
T1)の変化点に対応する移動軌跡MP
1上の点を、矢印D
3で強調表示している。なお、
図8は、
図7中の領域Bを拡大した拡大図である。
【0043】
画像データID1に示される矢印D1と、矢印D2と、矢印D3とは、例えば、互いに異なる色、互いに異なる形状、互いに異なる視覚効果(点滅等)によって表示され、視覚的に識別可能となっている。したがって、オペレータは、それぞれの矢印D1、D2、及びD3が、いずれの運転情報に対応しているか、視覚的に認識できるようになっている。
【0044】
なお、
図7に示す画像データID
1においては、理解の容易のために、計3種類の運転情報(例えば、a
T1、d
M1、V
T1)の変化点に対応する点を強調表示した例を示したが、11種類の運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1及びRMの全てについて、変化点に対応する点を強調表示してもよい。
【0045】
このように、画像データID
1においては、互いに異なる複数の運転情報の変化点に対応する移動軌跡MP
1上の点が、互いに視覚的に異なる表示形式で、移動軌跡MP
1上に強調表示されている。したがって、プロセッサ22は、画像データID
1を生成する画像データ生成部58(
図1)として機能する。
【0046】
上述のように、本実施形態においては、プロセッサ22は、装置50の移動軌跡生成部52、運転情報取得部54、変化点取得部56、及び画像データ生成部58として機能し、これら移動軌跡生成部52、運転情報取得部54、変化点取得部56、及び画像データ生成部58は、装置50を構成する。
【0047】
プロセッサ22は、生成した画像データID
1を、I/Oインターフェース26を介して表示装置30へ送信し、表示装置30は、
図7及び
図8に示すような画像データID
1の画像を表示する。なお、プロセッサ22は、入力装置32への入力情報に応じて、表示装置30に表示する画像を、
図7に示す画像と
図8に示す拡大画像との間で切り換えてもよい。
【0048】
本実施形態によれば、オペレータは、産業機械12によってワークAに作業をしたときに該ワークAの仕上がり面に欠陥が生じた場合に、該欠陥の要因を特定し易くなる。より具体的に述べると、仮に、加工プログラムWPに従って産業機械12によってワークAに作業をしたときに該ワークAの仕上がり面に生じた欠陥の位置が、画像データID1において強調表示された点の位置に一致(又は近接)していたとする。
【0049】
この場合、オペレータは、ワークAに生じた欠陥の位置に一致(又は近接)する点が、如何なる運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1又はRMの変化点に対応しているのか、即座に特定できる。このため、オペレータは、該欠陥の要因が、特定した運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1又はRMに関連するパラメータに在ると推定することができる。
【0050】
その結果、オペレータは、加工プログラムWP、又は、特定した運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1若しくはRMに関連するパラメータ(加工プログラムの命令文、制御ゲインGC、又は時定数τ等)を変更することによって、ワークAの作業精度の改善、及び、機械システム10の立ち上げに掛かる時間の短縮を実現できる。
【0051】
なお、プロセッサ22は、入力装置32への入力情報に応じて、画像データID1の画像において強調表示する点を、複数種類の運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1及びRMの中から選択し、選択した運転情報に対応する点だけを画像に強調表示させてもよい。
【0052】
この形態について、
図9を参照して説明する。
図9に示す画像データID
1には、運転情報選択画像データ60が含まれている。この運転情報選択画像データ60は、運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1及びRMの選択を可能とするための画像データであって、運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1及びRMを表示する。
【0053】
また、
図9に示す例では、運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1及びRMの各々にチェック欄が設定されており、選択された運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1又はRMのチェック欄にチェック印を表示するように構成されている。
【0054】
オペレータは、表示装置30に表示された画像データID1の画像を視認しつつ、入力装置32(例えば、マウス)を操作して、強調表示したい運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1又はRMを選択する入力情報を入力する。
【0055】
プロセッサ22は、入力装置32への入力情報に応じて、選択された運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1又はRMに対応する点を強調表示するとともに、選択された運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1又はRMのチェック欄にチェック印を表示する。なお、
図9に示す例では、運転情報V
T1が選択された場合を示している。この構成によれば、オペレータは、所望の運転情報の変化点に対応する移動軌跡MP
1上の点を、容易に選択して強調表示させることができる。
【0056】
なお、プロセッサ22は、入力装置32への入力情報に応じて、画像データID
1において強調表示された点に対応する運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1又はRMの関連パラメータを、画像データID
1に表示してもよい。この形態について、
図10を参照して説明する。
【0057】
図10に示す画像データID
1には、パラメータ画像データ62が含まれている。このパラメータ画像データ62は、運転情報の種類と、該運転情報に関連する関連パラメータを表示する画像データである。関連パラメータとしては、例えば、位置P
T1及びP
M1、速度V
T1及びV
M1、加速度a
T1及びa
M1、躍度α
T1及びα
M1、移動方向d
T1及びd
M1、並びに運転モードRMの設定値、制御ゲインG
C、又は時定数τ等がある。
【0058】
図10に示す例では、パラメータ画像データ62は、矢印D
3によって強調表示された点に対応する運転情報の種類(すなわち、ツール速度V
T1)と、該運転情報V
T1の関連パラメータとして、制御ゲインG
Cの値と該制御ゲインG
Cの識別番号、時定数τの値と該時定数τの識別番号、及び、対応する加工プログラムWPの命令文(目標位置座標、及び微小線分長の情報を含む)を表示している。
図10に示すように、制御ゲインG
C及び時定数τには、それぞれ識別番号が付されており、該識別番号から、制御ゲインG
C及び時定数の設定情報を検索できるようになっている。
【0059】
オペレータは、表示装置30に表示された画像データID1の画像を視認しつつ、入力装置32(例えば、マウス)を操作して、画像データID1に強調表示された点(矢印D1、D2、D3)を選択する入力情報を入力する。プロセッサ22は、入力装置32への入力情報に応じて、選択された点(矢印D1、D2、D3)に対応する運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1又はRMの関連パラメータを画像データID1に表示する。
【0060】
この構成によれば、仮に、ワークAに生じた欠陥の位置が、画像データID1において強調表示された点の位置に一致(近接)していた場合に、オペレータは、該欠陥の要因となり得る運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1又はRMの関連パラメータを参照し、該要因についてより詳細に検証することができる。
【0061】
次に、
図11を参照して、他の実施形態に係る機械システム100について説明する。機械システム100は、上述の機械システム10と、産業機械102において相違する。具体的には、産業機械102は、移動機構16及びツール18に加えて、センサ104をさらに備える。
【0062】
センサ104は、例えば、エンコーダ若しくはホール素子等の回転検出センサ、又は、トルクセンサ若しくは力覚センサ等の力センサを有し、電動機20の回転シャフトの位置PM2、該回転シャフトに掛かるトルク、又は、移動機構16に掛かる力を検出する。センサ104は、検出した位置PM2、トルク又は力を、フィードバック情報FBとして、I/Oインターフェース26を介してプロセッサ22に送信する。
【0063】
プロセッサ22は、産業機械102を作業プログラムWPに従って動作させているときにセンサ104が検出したフィードバック情報FBを、該センサ104から受信する。例えば、プロセッサ22は、産業機械102を作業プログラムWPに従って動作させて、ツール18によってワークAに対する作業を実際に行っているときにセンサ104が検出したフィードバック情報FBを取得する。
【0064】
代替的には、プロセッサ22は、ツール18による実際の作業を行わずに(例えば、ツール18を起動せず、又は、ツール18を移動機構16から取り外した状態で)、産業機械102を作業プログラムWPに従って動作させているときにセンサ104が検出したフィードバック情報FBを取得してもよい。
【0065】
プロセッサ22は、センサ104からのフィードバック情報FB(具体的には、位置PM2)から、産業機械102を作業プログラムWPに従って動作させているときの、ワークAに対するツール18の位置PT2を求める。そして、プロセッサ22は、移動軌跡生成部52として機能して、該位置PT2から、3次元空間における産業機械102の移動軌跡MP2(第2の移動軌跡)を生成する。
【0066】
この移動軌跡MP
2は、産業機械102が作業プログラムWPに従って動作しているときの移動機構16の実際の移動軌跡に相当する。移動軌跡MP
2の例を、
図3及び
図12に示す。なお、
図12は、
図3の領域Bを拡大した拡大図である。
図12に示す線の各々が、移動軌跡MP
2を構成する。
【0067】
また、プロセッサ22は、運転情報取得部54として機能し、フィードバック情報FBから、運転情報として、位置PT2及びPM2、速度VT2及びVM2、加速度aT2及びaM2は、躍度αT2及びαM2、移動方向dT2及びdM2の時系列データを取得する。ここで、ワークAに対するツール18の位置PT2、速度VT2、加速度aT2、躍度αT2及び移動方向dT2、電動機20の回転シャフトの速度VM2、加速度aM2、躍度αM2及び移動方向dM2は、センサ104からのフィードバック情報FB(回転シャフトの位置PM2)から求めることができる。
【0068】
そして、プロセッサ22は、変化点取得部56として機能して、上述の運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1の変化点の取得方法と同様にして、位置PT2及びPM2、速度VT2及びVM2、加速度aT2及びaM2、躍度αT2及びαM2、並びに移動方向dT2及びdM2の時系列データにおいて、所定の時間δtにおける、位置PT2及びPM2、速度VT2及びVM2、加速度aT2及びaM2、躍度αT2及びαM2、並びに移動方向dT2及びdM2の各々の変化量δ2が所定の閾値δth2を超える変化点を取得する。
【0069】
プロセッサ22は、時系列データにおいて、位置PT2及びPM2、速度VT2及びVM2、加速度aT2及びaM2、躍度αT2及びαM2、並びに移動方向dT2及びdM2の変化点と、該変化点が生じる時点t0とを取得し、該変化点にそれぞれ対応する、移動軌跡MP2上の点を特定する。
【0070】
ここで、運転情報PT2、PM2、VT2、VM2、aT2、aM2、αT2、αM2、dT2及びdM2の時系列データと、移動軌跡MP2とは、フィードバック情報FBから取得されているデータであって、時間tを介して互いに関連付けられている。よって、プロセッサ22は、フィードバック情報FBから取得した運転情報PT2、PM2、VT2、VM2、aT2、aM2、αT2、αM2、dT2及びdM2の変化点が生じた時点t0に対応する移動軌跡MP2上の点を、検索して特定することができる。
【0071】
そして、プロセッサ22は、画像データ生成部58として機能し、運転情報P
T2、P
M2、V
T2、V
M2、a
T2、a
M2、α
T2、α
M2、d
T2及びd
M2の変化点に対応する移動軌跡MP
2上の点を、互いに視覚的に異なる表示形式で移動軌跡MP
2上に強調表示した画像データID
2を生成する。画像データID
2の例を、
図7及び
図13に示す。
【0072】
図7に示す例では、第1の運転情報(例えば、ツール18の加速度a
T2)の変化点に対応する移動軌跡MP
2上の点を、矢印D
1で強調表示している。また、第2の運転情報(例えば、電動機20の回転シャフトの移動方向d
M2)の変化点に対応する移動軌跡MP
2上の点を、矢印D
2で強調表示している。また、第3の運転情報(例えば、ツール18の移動速度V
T2)の変化点に対応する移動軌跡MP
2上の点を、矢印D
3で強調表示している。
【0073】
画像データID2に示される矢印D1と、矢印D2と、矢印D3とは、例えば、互いに異なる色、互いに異なる形状、互いに異なる視覚効果(点滅等)によって表示され、視覚的に識別可能となっている。したがって、オペレータは、画像データID2中の矢印D1、D2、及びD3の各々が、いずれの運転情報に対応しているか、視覚的に認識できるようになっている。
【0074】
なお、
図7に示す画像データID
2においては、理解の容易のために、計3種類の運転情報(例えば、a
T2、d
M2、V
T2)の変化点に対応する点を強調表示した例を示したが、10種類の運転情報P
T2、P
M2、V
T2、V
M2、a
T2、a
M2、α
T2、α
M2、d
T2及びd
M2の全てについて、変化点に対応する点を強調表示してもよい。
【0075】
このように、画像データID
2においては、フィードバック情報FBから取得された互いに異なる複数の運転情報の変化点に対応する移動軌跡MP
2上の点が、互いに視覚的に異なる表示形式で、移動軌跡MP
2上に強調表示されている。なお、プロセッサ22は、入力装置32への入力情報に応じて、表示装置30に表示する画像を、
図7に示す画像と
図12に示す拡大画像との間で切り換えてもよい。本実施形態によれば、オペレータは、産業機械102によってワークAに作業をしたときに該ワークAの仕上がり面に欠陥が生じた場合に、該欠陥の要因を特定し易くなる。
【0076】
なお、機械システム100のプロセッサ22は、
図9に示すように、入力装置32への入力情報に応じて、画像データID
2の画像において強調表示する点を、複数の運転情報P
T2、P
M2、V
T2、V
M2、a
T2、a
M2、α
T2、α
M2、d
T2及びd
M2の中から選択し、選択した運転情報に対応する点だけを画像に強調表示させてもよい。
【0077】
また、機械システム100のプロセッサ22は、
図10に示すように、入力装置32への入力情報に応じて、画像データID
2において強調表示された点に対応する運転情報P
T2、P
M2、V
T2、V
M2、a
T2、a
M2、α
T2、α
M2、d
T2又はd
M2の関連パラメータを、画像データID
2に表示してもよい。
【0078】
また、機械システム100のプロセッサ22は、運転情報として、位置PT1及びPM1、速度VT1及びVM1、加速度aT1及びaM1、躍度αT1及びαM1、移動方向dT1及びdM1、並びに運転モードRMの時系列データと、位置PT2及びPM2、速度VT2及びVM2、加速度aT2及びaM2、躍度αT2及びαM2、移動方向dT2
及びdM2
の時系列データとを取得してもよい。
【0079】
この場合において、プロセッサ22は、画像データID2において、運転情報PT2、PM2、VT2、VM2、aT2、aM2、αT2、αM2、dT2及びdM2の変化点に対応する移動軌跡MP2上の点とともに、運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1及びRMの変化点に対応する移動軌跡MP2上の点を移動軌跡MP2上に強調表示してもよい。
【0080】
また、機械システム100において、プロセッサ22は、移動軌跡MP1及びMP2の双方を生成し、画像データID2において、移動軌跡MP1及びMP2を表示するとともに、運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1及びRMの変化点に対応する移動軌跡MP1上の点と、運転情報PT2、PM2、VT2、VM2、aT2、aM2、αT2、αM2、dT2及びdM2の変化点に対応する移動軌跡MP2(又は移動軌跡MP1)上の点とを強調表示してもよい。
【0081】
また、プロセッサ22は、移動軌跡MP
1と移動軌跡MP
2との差Δ
MPを取得し、画像データID
2において該差Δ
MPを表示してもよい。このような形態を
図14に示す。なお、
図14においては、理解の容易のために、1本の移動軌跡MP
1と、該1本の移動軌跡MP
1に対応する、1本の移動軌跡MP
2とを示している。
【0082】
例えば、プロセッサ22は、移動軌跡MP1と移動軌跡MP2との差ΔMPに対応する領域Eを色付けされた領域(例えば、赤色領域)として、表示する。また、プロセッサ22は、入力装置32への入力情報に応じて、画像データID2における差ΔMP(すなわち、領域E)を拡大表示してもよい。
【0083】
また、上述の実施形態において、プロセッサ22は、運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1、P
T2、P
M2、V
T2、V
M2、a
T2、a
M2、α
T2、α
M2、d
T2又はd
M2として、
図5に示すような連続的なアナログ信号の時系列データに限らず、離散的な数値データが時系列で並ぶデジタル信号の時系列データを取得してもよい。また、プロセッサ22は、時系列データではなく、単なる数値データを運転情報として取得してもよい。
【0084】
また、運転情報RMとして、
図6に示すような時系列データに限らず、例えば、産業機械12の運転モードRMを切り換える指令又は時間t
0の情報を、運転情報RMとして取得してもよい。また、上述の実施形態から、変化点取得部56を省略することもできる。この場合において、例えば、オペレータは、運転情報P
T1、P
M1、V
T1、V
M1、a
T1、a
M1、α
T1、α
M1、d
T1、d
M1、RM、P
T2、P
M2、V
T2、V
M2、a
T2、a
M2、α
T2、α
M2、d
T2又はd
M2の時系列データから、これら運転情報の変化点を手動で特定及び入力してもよい。
【0085】
また、上述の実施形態においては、運転情報PT1、PM1、VT1、VM1、aT1、aM1、αT1、αM1、dT1、dM1、RM、PT2、PM2、VT2、VM2、aT2、aM2、αT2、αM2、dT2、dM2の変化点に対応する移動軌跡MP上の点を、矢印D1、D2、D3で強調表示した場合について述べた。しかしながら、これに限らず、変化点に対応する移動軌跡MP上の点を、如何なる表示形式(例えば、色付きの丸点、三角点又は四角点等)で調表示してもよい。以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0086】
10,100 機械システム
12,102 産業機械
14 制御装置14
22 プロセッサ
52 移動軌跡生成部
54 運転情報取得部
56 変化点取得部
58 画像データ生成部