(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/648 20060101AFI20240416BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01R13/648
H01R13/631
(21)【出願番号】P 2019221570
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-09-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186056(JP,A)
【文献】特開2008-108560(JP,A)
【文献】特開2003-187888(JP,A)
【文献】特開2003-149563(JP,A)
【文献】特開2003-007378(JP,A)
【文献】米国特許第6319062(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、シールドと、を備えるコネクタであって、
前記ハウジングは、上方から接続対象物が挿入される挿入空間が形成された筒状部を有し、
上下方向に垂直な方向
であって互いに垂直な方向
のうち、前記コネクタの短尺側を幅方向
といい、前記コネクタの長尺側を前後方向といい、
幅方向又は前後方向で、コネクタの中心に近づく側を幅方向内側又は前後方向内側といい、コネクタの中心から遠ざかる側を幅方向外側又は前後方向外側というとき、
前記シールドは、
前記筒状部を幅方向外側から覆う本体部と、
前記ハウジングの前記筒状部に保持される被保持部と、を有し、
前記被保持部が保持される位置は、前記挿入空間よりも前後方向外側である、
コネクタ。
【請求項2】
前記被保持部は、前記本体部よりも幅方向内側に位置する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記被保持部を保持する保持部と、
前記保持部の下方に形成され、幅方向内側に凹んだ下方凹部と、を有し、
前記被保持部は、前記保持部に対して下側から圧入される、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、当該ハウジングの幅方向外側の面が幅方向内側へ向けて凹むと共に前記本体部が配置される配置凹部を有する、
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記本体部の上端に対して上側に配置される剥離防止部を有する、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記本体部は、当該本体部の上端が部分的に上方へ延長された先端延長部を有する、
請求項1~請求項5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記本体部の上端に対して上側に配置される剥離防止部を有し、
前記本体部は、当該本体部の上端が部分的に上方へ延長された先端延長部を有し、
前記剥離防止部は、前記本体部の前記先端延長部に対応する位置である、当該先端延長部の上端に対して上側の位置には形成されていない、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、端子と、固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、を備えるコネクタが開示されている。
特許文献2には、固定ハウジングに装着されるシールド(シェル部材)を備えるコネクタが開示されている。このコネクタでは、シールドによってノイズ対策が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-113163号公報
【文献】特開2013-045739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の第1の目的は、可動ハウジングを備えるコネクタにおいて、可動ハウジングを適切にシールドすることができるコネクタを提供することである。
本開示の第2の目的は、筒状部を有するハウジングを備えるコネクタにおいて、シールドの確実な保持が容易であるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
≪第1の態様≫
第1-1の態様に係るコネクタは、端子と、ハウジングと、シールドと、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、取付対象物に対して位置が固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、を備え、前記シールドは、前記取付対象物に接続される接地部と、前記接地部と電気的に接続されると共に前記可動ハウジングに装着される可動側シールド部と、前記接地部と前記可動側シールド部との間に位置すると共に変形可能なシールドバネ部と、を有する。
【0006】
上記態様では、コネクタは、端子と、ハウジングと、を備える。ハウジングは、取付対象物に対して位置が固定される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、を備える。
更に、コネクタは、シールドを備える。シールドは、取付対象物に接続される接地部と、接地部と電気的に接続されると共に可動ハウジングに装着される可動側シールド部と、を有する。このため、接地部において接地が行われると共に、接地部と電気的に接続される可動側シールド部によって可動ハウジングがシールドされる。
更に、シールドは、接地部と可動側シールド部との間に位置すると共に変形可能なシールドバネ部を有する。このため、シールドバネ部が変形することで接地部に対する可動側シールド部の移動が許容される。その結果、可動ハウジングを備えるコネクタにおいて、可動ハウジングを適切にシールドすることができる。
【0007】
第1-2の態様に係るコネクタは、第1-1の態様において、前記シールドは、前記固定ハウジングに装着される固定側シールド部を有する。
【0008】
上記態様では、シールドは、固定ハウジングに装着される固定側シールド部を有する。
このため、シールドが固定側シールド部を有しない態様と比べて、ノイズ対策を向上させることができる。
【0009】
第1-3の態様に係るコネクタは、第1-2の態様において、前記シールドは、第一シールドと、前記第一シールドとは別体の第二シールドと、を含み、前記第一シールドは、前記固定側シールド部を有し、前記第二シールドは、前記可動側シールド部を有する。
【0010】
複雑かつ広い範囲を覆うシールドを1枚の金属板から製造することは困難な場合がある。
そこで、上記態様では、シールドは、第一シールドと、第一シールドとは別体の第二シールドと、を含む。第一シールドは、固定側シールド部を有し、第二シールドは、可動側シールド部を有する。
このため、可動ハウジングに装着される可動側シールド部と、固定ハウジングに装着される固定側シールド部とが、互い別体である第一シールド及び第二シールドにそれぞれ形成される。したがって、複雑かつ広い範囲を覆うシールドとすることが容易である。
【0011】
第1-4の態様に係るコネクタは、第1-3の態様において、前記第二シールドは、前記シールドバネ部と、前記第一シールドと接触する第二側接触部と、を有し、前記シールドバネ部は、前記可動側シールド部と前記第二側接触部との間に位置する。
【0012】
上記態様では、第二シールドは、シールドバネ部と、第一シールドと接触する第二側接触部と、を有する。シールドバネ部は、可動側シールド部と第二側接触部との間に位置する。
このため、第一シールドがシールドバネ部を有する態様と比較して、第一シールドの複雑化を抑制することができる。第一シールドの複雑化を抑制することができると、第一シールドが有する固定側シールド部の設計自由度が向上する。
【0013】
第1-5の態様に係るコネクタは、第1-4の態様において、前記第二シールドは、前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部を有し、前記固定側被保持部は、前記シールドバネ部に対して前記可動側シールド部とは反対側に位置する。
【0014】
上記態様では、第二シールドは、固定ハウジングに保持される固定側被保持部を有し、固定側被保持部は、シールドバネ部に対して可動側シールド部とは反対側に位置する。
このため、第二シールドの第二側接触部が可動ハウジングと共に移動することが抑制され、その結果、第二シールドの第二側接触部と第一シールドとの摺動が抑制される。
【0015】
第1-6の態様に係るコネクタは、第1-5の態様において、前記固定側被保持部は、前記第二側接触部と前記シールドバネ部との間に位置する。
【0016】
上記態様では、固定側被保持部は、第二側接触部とシールドバネ部との間に位置する。
このため、第二シールドの第二側接触部が可動ハウジングと共に移動することが更に抑制され、その結果、第二シールドの第二側接触部と第一シールドとの摺動が更に抑制される。
【0017】
第1-7の態様に係るコネクタは、第1-5又は第1-6の態様において、前記第二シールドは、前記固定側被保持部に対して前記第二側接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有する。
【0018】
上記態様では、第二シールドは、固定側被保持部に対して第二側接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有する。
このため、第二シールドの固定側被保持部が保持される位置にズレが生じても、第二接触部と第一シールドとの接触状態が影響を受けにくい。
【0019】
第1-8の態様に係るコネクタは、第1-7の態様において、前記第二シールドの前記固定側被保持部は、下方から前記固定ハウジングに圧入されることで保持され、前記弾性支持部は、前記固定側被保持部の上方から斜め下方に延びる。
【0020】
上記態様では、第二シールドの固定側被保持部は、下側から固定ハウジングに圧入されることで保持される。弾性支持部は、固定側被保持部の上方から斜め下方に延びる。
このため、弾性支持部が固定側被保持部の上方から斜め上方に延びる態様と比較して、固定側被保持部の上下寸法を確保することが容易である。
【0021】
第1-9の態様に係るコネクタは、第1-4~第1-8の何れかの態様において、前記第一シールドは、前記第二シールドの前記第二側接触部と接触する第一側接触部を有し、前記第一側接触部は、コネクタ外側を向いた外面と、コネクタ内側を向いた内面と、を有し、前記第二側接触部は、前記第一側接触部の前記内面に接触する。
【0022】
上記態様では、第一シールドは、第二シールドの第二側接触部と接触する第一側接触部を有する。第一側接触部は、コネクタ外側を向いた外面と、コネクタ内側を向いた内面と、を有する。そして、第二側接触部は、第一側接触部の前記内面に接触する。
このため、第二側接触部がコネクタ外部に露出しにくくなり、第二側接触部の損傷が抑制される。
【0023】
第1-10の態様に係るコネクタは、第1-4~第1-9の何れかの態様において、前記第一シールドは、前記第二シールドの前記第二側接触部と接触する第一側接触部と、前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部と、を有し、前記第一シールドの前記固定側被保持部は、前記第一側接触部を兼ねる。
【0024】
上記態様では、第一シールドは、固定ハウジングに保持される固定側被保持部と有する。第一シールドの固定側被保持部は、第一側接触部を兼ねる。このため、第一側接触部の位置がズレにくく、第一シールドと第二シールドとの接触状態が安定する。
【0025】
≪第2の態様≫
第2-1の態様に係るコネクタは、ハウジングと、シールドと、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、上方から接続対象物が挿入される挿入空間が形成された筒状部を有し、前記シールドは、前記筒状部を幅方向外側から覆う本体部と、前記ハウジングに保持される被保持部と、を有し、前記被保持部が保持される位置は、前記挿入空間よりも前後方向外側である。
【0026】
上記態様では、コネクタは、ハウジングを備える。ハウジングは、上方から接続対象物が挿入される挿入空間が形成された筒状部を有する。
また、コネクタは、シールドを備える。シールドは、筒状部を幅方向外側から覆う本体部と、ハウジングに保持される被保持部と、を有する。
ここで、被保持部が保持される位置は、挿入空間よりも前後方向外側である。このため、筒状部のうち幅方向寸法が大きい部分にシールドを保持させることができるので、シールドの確実な保持が容易である。
なお、後述する実施形態では、シールドの被保持部が、前後一対設けられる例を説明するが、上記態様は、これに限定されない。つまり、被保持部が、前後一方側にのみ設けられる態様も上記態様(第2-1の態様)に含まれる。
【0027】
第2-2の態様に係るコネクタは、第2-1の態様において、前記被保持部は、前記本体部よりも幅方向内側に位置する。
【0028】
上記態様では、被保持部は、本体部よりも幅方向内側に位置する。このため、ハウジングにおいて被保持部を保持する位置を幅方向内側へ寄せることができる。したがって、ハウジングの幅寸法を抑えつつ、シールドをハウジングに適切に保持させることができる。
【0029】
第2-3の態様に係るコネクタは、第2-1又は第2-2の態様において、前記ハウジングは、前記被保持部を保持する保持部と、前記保持部の下方に形成され、幅方向内側に凹んだ下方凹部と、を有し、前記被保持部は、前記保持部に対して下側から圧入される。
【0030】
上記態様では、ハウジングは、被保持部を保持する保持部と、保持部の下方に形成され、幅方向内側に凹んだ下方凹部と、を有する。そして、シールドの被保持部は、ハウジングの保持部に対して下側から圧入される。
このため、被保持部のハウジングに対する圧入方向が幅方向内側である態様と異なり、ハウジングの前後方向壁(挿入空間よりも前後方向外側の部分)における幅方向内側の部分を他の用途(例えば電源端子の保持など)に用いやすい。
【0031】
第2-4の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-3の何れかの態様において、前記ハウジングは、当該ハウジングの幅方向外側の面が幅方向内側へ向けて凹むと共に前記本体部が配置される配置凹部を有する。
【0032】
上記態様では、ハウジングは、当該ハウジングの幅方向外側の面が幅方向内側へ向けて凹むと共にシールドの本体部が配置される配置凹部を有する。
このため、幅方向での小型化を図ることができる。
【0033】
第2-5の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-4の何れかの態様において、前記ハウジングは、前記本体部の上端に対して上側に配置される剥離防止部を有する。
【0034】
上記態様では、ハウジングは、前記本体部の上端に対して上側に配置される剥離防止部を有する。このため、接続対象物との接続時等にシールドが剥離することが抑制される。
【0035】
第2-6の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-5の何れかの態様において、前記本体部は、当該本体部の上端が上方へ延長された先端延長部を有する。
【0036】
上記態様では、本体部は、当該本体部の上端が部分的に上方へ延長された先端延長部を有する。このため、有効嵌合長を長くすることができる。
【0037】
第2-7の態様に係るコネクタは、第2-1~第2-4の何れかの態様において、前記ハウジングは、前記本体部の上端に対して上側に配置される剥離防止部を有し、前記本体部は、当該本体部の上端が部分的に上方へ延長された先端延長部を有し、前記剥離防止部は、前記本体部の前記先端延長部に対応する位置には形成されていない。
【0038】
上記態様では、剥離防止部は、本体部の先端延長部に対応する位置には形成されていない。このため、先端延長部を上方へ長く延長できるので、有効嵌合長を確保しやすい。
【0039】
≪第3の態様≫
第3-1の態様に係るコネクタは、ハウジングと、シールドと、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、上方から接続対象物が挿入される挿入空間が形成された筒状部と、当該ハウジングの幅方向外側の面が幅方向内側へ向けて凹む配置凹部と、を有し、前記シールドは、前記配置凹部に配置されることで、前記筒状部を幅方向外側から覆う本体部を有する。
【0040】
上記態様では、コネクタは、ハウジングとシールドとを備える。ハウジングは、上方から接続対象物が挿入される挿入空間が形成された筒状部と、当該ハウジングの幅方向外側の面が幅方向内側へ向けて凹む配置凹部と、を有する。シールドは、配置凹部に配置されることで、筒状部を幅方向外側から覆う本体部を有する。
このため、配置凹部が形成されずにシールドが配置される態様と比較して、幅方向での小型化を図ることができる。
したがって、上記態様によれば、シールドを備えるコネクタにおいて、小型化が容易なコネクタが提供される。
【0041】
なお、後述する実施形態では、ハウジングが可動ハウジングであり、コネクタがフローティングコネクタである例を説明するが、上記態様はこれに限定されない。ハウジングは固定ハウジングであってもよい。
また、後述する実施形態では、シールドは、ハウジングに保持される被保持部と、を有し、被保持部が保持される位置は、挿入空間よりも前後方向外側である例を説明するが、上記態様はこれに限定されない。
【0042】
≪第4の態様≫
第4-1の態様に係るコネクタは、第一ハウジングと、前記第一ハウジングに対して移動可能な第二ハウジングと、導電部材と、を備えるコネクタにおいて、前記導電部材は、第一導電部材と、前記第一導電部材とは別体とされた第二導電部材と、を備え、前記第一導電部材は、前記第一ハウジングに保持される被保持部を有し、前記第二導電部材は、前記第一ハウジングに保持される第一ハウジング側被保持部と、前記第二ハウジングに保持される第二ハウジング側被保持部と、前記第一ハウジング側被保持部と前記第二ハウジング側被保持部との間に位置する変形可能なバネ部と、前記第一導電部材と接触する接触部と、前記第一ハウジング側被保持部に対して前記接触部を弾性的に支持する弾性支持部を有する。
【0043】
上記態様では、コネクタは、第一ハウジングと、第一ハウジングに対して移動可能な第二ハウジングと、を備える。
また、コネクタは、導電部材を備える。導電部材は、第一導電部材と、第一導電部材とは別体とされた第二導電部材と、を備える。
【0044】
ここで、第二導電部材は、バネ部と、接触部と、弾性支持部と、を有する。
第二導電部材の接触部が第一導電部材と接触するので、第一導電部材と第二導電部材との導通が確保される。また、第二導電部材のバネ部が変形することで、第一ハウジングに対する第二ハウジングの移動が許容される。更に、第二導電部材の弾性支持部が、第一ハウジング側被保持部に対して接触部を弾性的に支持するので、第一導電部材と第二導電部材との導通が安定する。
上記態様によれば、第一ハウジングと第二ハウジングとの間に架け渡される導電部材を、互いに別体とされた部材(第一導電部材と第二導電部材)で構成することができるだけでなく、第一導電部材と第二導電部材との導通接続を安定したものとすることができる。
【0045】
なお、後述する実施形態では、第一ハウジングが固定ハウジングであり、第二ハウジングが可動ハウジングである例を説明したが、上記態様はこれに限定されない。例えば、第一ハウジングが可動ハウジングであり、第二ハウジングが固定ハウジングであってもよい。
また、後述する実施形態では、導電部材がシールドである例を説明したが、上記態様はこれに限定されない。導電部材は、信号端子、電源端子、グランド端子、接地端子などの端子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図3】固定ハウジングに第一シールドが保持されると共に、可動ハウジングに第二シールドが保持された状態を示す分解斜視図である。
【
図5】コネクタの断面図(
図4の5-5線断面図)である。
【
図6】コネクタの断面図(
図4の6-6線断面図)である。
【
図7】コネクタの断面図(
図4の7-7線断面図)である。
【
図10】固定ハウジングの斜視図(下方から見た斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、実施形態に係るコネクタ1について説明する。
【0048】
なお、各図に示す矢印X,Y,Zは、コネクタ1及びその構成部品を基準とした方向概念である。+X方向をコネクタ前方向、+Y方向をコネクタ幅方向一方側、+Z方向をコネクタ上方向という。単に、前後方向、幅方向、上下方向をいうときは、コネクタ前後方向、コネクタ幅方向、コネクタ上下方向を意味する。
【0049】
<コネクタ1の概略構成>
図1は、コネクタ1の斜視図であり、
図2、
図3は、コネクタ1の分解斜視図である。
コネクタ1は、固定ハウジング2と、可動ハウジング3と、複数の第一端子4と、複数の第三端子5と、を備える。
【0050】
固定ハウジング2及び可動ハウジング3は、合成樹脂などの絶縁体で形成される。
【0051】
固定ハウジング2は、第一端子4及び第三端子5の一部(固定側被保持部42、固定側被保持部52、
図8参照)を保持する。固定ハウジング2は、第一端子4及び第三端子5を介して基板(図示省略)に固定され、基板に対して移動不能となる。固定ハウジング2は、枠状とされ、内側に空間(内部空間21)を形成する。固定ハウジング2の内部空間21には、可動ハウジング3が配置される。
【0052】
可動ハウジング3は、第一端子4及び第三端子5の一部(可動側被保持部44、可動側被保持部54)を保持する。可動ハウジング3は、枠状の固定ハウジング2の内側の空間(内部空間21)に配置され、基板及び固定ハウジング2に対して移動可能となる。可動ハウジング3は、上方に向けて開口する挿入空間31を有する。挿入空間31には、「接続対象物」としての相手コネクタの一部が挿入される。
【0053】
図8に示すように、各第一端子4は、固定ハウジング2に保持される固定側被保持部42と、可動ハウジング3に保持される可動側被保持部44と、固定側被保持部42と可動側被保持部44との間の中間弾性部43と、を有する。中間弾性部43が弾性変形することで、固定ハウジング2に対する可動ハウジング3の移動が許容される。
【0054】
各第三端子5は、固定ハウジング2に保持される固定側被保持部52と、可動ハウジング3に保持される可動側被保持部54と、固定側被保持部52と可動側被保持部54との間の中間弾性部53と、を有する。中間弾性部53が弾性変形することで、固定ハウジング2に対する可動ハウジング3の移動が許容される。
【0055】
また、コネクタ1は、ノイズを遮蔽するためのシールド6,7を備える。シールド6,7は、第一シールド6と、第一シールド6とは別体とされた一対の第二シールド7と、によって構成される。
【0056】
<コネクタ1の詳細構成>
次に、コネクタ1の詳細構成について説明する。
【0057】
≪第一端子4≫
複数の第一端子4は、それぞれ同一形状である。第一端子4は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで製造される。複数の第一端子4は、幅方向(列間方向)一方側で前後方向(ピッチ方向)に配列された複数の第一端子4と、幅方向(列間方向)他方側で前後方向(ピッチ方向)に配列された複数の第一端子4と、から構成される。幅方向一方側の第一端子4及び幅方向他方側の第一端子4は、互いの接触部46同士を対向させるように配置される。
【0058】
図8に示すように、第一端子4は、一端から他端に向けて、基板固定部41と、固定側被保持部42と、中間弾性部43と、可動側被保持部44と、先端弾性部45と、接触部46と、を一体に有する。
【0059】
基板固定部41は、基板に対して固定される。基板固定部41は、一端側から他端側に向けて、幅方向内側に延びる。
【0060】
固定側被保持部42は、固定ハウジング2に保持される。固定側被保持部42は、上方に向けて延びると共に板幅方向である前後方向の両方の外側に圧入突起を有する。固定側被保持部42は、固定ハウジング2に対して下側から圧入される。
【0061】
中間弾性部43は、弾性変形可能に構成される。中間弾性部43は、第一曲部43Aと、直線部43Bと、第二曲部43Cと、を有する。
第一曲部43Aは、固定側被保持部42よりも他端側の部分が板厚方向に曲げられることで形成される。直線部43Bは、下方向に向かって幅方向内側に傾斜した方向に直線状に延びる。第二曲部43Cは、直線部43Bよりも他端側の部分が板厚方向に曲げられることで形成される。第二曲部43Cは、直線部43Bと可動側被保持部44とを接続する。直線部43Bは、幅拡大部43B1を有する。幅拡大部43B1の幅寸法(ピッチ方向であるコネクタ前後方向の寸法)は、第一曲部43A及び第二曲部43Cの幅寸法よりも大きい。
【0062】
可動側被保持部44は、可動ハウジング3に保持される。可動側被保持部44は、上方へ向けて延びると共に板幅方向である前後方向の両方の外側に圧入突起を有する。可動側被保持部44は、可動ハウジング3に対して下側から圧入される。
【0063】
先端弾性部45は、接触部46が可動ハウジング3に対して変位可能となるように接触部46を弾性支持する。先端弾性部45は、一端側の第一伸長部45Aと、他端側の第二伸長部45Bと、を有する。第一伸長部45A及び第二伸長部45Bは、共に、上方向に向かって幅方向内側に傾斜した方向に向けて延びるが、第一伸長部45Aは、第二伸長部45Bよりも上方向に対する傾斜角度が大きい。
【0064】
接触部46は、「接続対象物」としての相手コネクタの第二端子(図示省略)と接触する。接触部46は、幅方向内側に向けて凸となるように湾曲する。接触部46と先端弾性部45との間には、接触部46を幅方向内側へ向けて突出させるように曲部46Aが形成される。
【0065】
≪第三端子5≫
第三端子5は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで製造される。
複数の第三端子5は、前後方向一方側の一対の第三端子5と、前後方向他方側の一対の第三端子5と、から構成される。
【0066】
第三端子5は、一端から他端に向けて、基板固定部51と、固定側被保持部52と、中間弾性部53と、可動側被保持部54と、先端弾性部55と、接触部56と、を一体に有する。
【0067】
基板固定部51は、基板に対して固定される。
【0068】
固定側被保持部52は、固定ハウジング2に保持される。固定側被保持部52は、固定ハウジング2に圧入される被圧入部52Aを有する。被圧入部52Aは、上方へ突出形成され、板幅方向であるコネクタ幅方向のうち幅方向内側にのみ係止突起を有する。固定側被保持部52の被圧入部52Aは、固定ハウジング2の第三端子保持部25B(
図10参照)に対して下側から圧入される。
【0069】
中間弾性部53は、弾性変形可能に構成される。中間弾性部53は、第一直線部53Aと、第一曲部53Bと、第二直線部53Cと、を有する。第一直線部53A、第一曲部53B及び第二直線部53Cにより、上側に凸とされた形状の山状部が形成される。第一直線部53Aは、上側へ向けて直線状に延び、第二直線部53Cは、下側へ向けて直線状に延びる。第二直線部53Cは、第一直線部53Aと前後方向で同じ位置に位置する。
また、中間弾性部53は、第二曲部53Dを有する。第二曲部53Dは、第二直線部53Cと可動側被保持部54とを接続する。
中間弾性部53は、板厚方向をピッチ方向に向ける。つまり、中間弾性部53の曲部(第一曲部53B及び第二曲部53D)は、折り曲げ加工により形成されるではなく、打ち抜き加工により形成される。
【0070】
可動側被保持部54は、可動ハウジング3に保持される。可動側被保持部54は、上側へ延びると共に板幅方向であるコネクタ幅方向の両方の外側に圧入突起を有する。可動側被保持部54は、可動ハウジング3に対して下側から圧入される。
【0071】
先端弾性部55は、接触部56が可動ハウジング3に対して変位可能となるように接触部56を弾性支持する。先端弾性部55は、一端側の第一伸長部55Aと、他端側の第二伸長部55Bと、を有する。第一伸長部55A及び第二伸長部55Bは、共に、上方向に向かって前後方向外側に傾斜した方向に向けて延びるが、第一伸長部55Aは、第二伸長部55Bよりも上方向に対する傾斜角度が大きい。先端弾性部55の板幅寸法(コネクタ幅方向の寸法)は、一端側から他端側へ向けて漸減している。
【0072】
接触部56は、相手コネクタの第四端子(図示省略)と接触する。接触部56は、ピッチ方向外側に向けて凸となるように湾曲する。接触部56と先端弾性部55との間には、接触部56をピッチ方向外側へ向けて突出させるように曲部56Aが形成される。
【0073】
≪固定ハウジング2≫
図9、
図10は、固定ハウジング2の斜視図である。
【0074】
固定ハウジング2は、内部空間21を挟んで前後方向に対向する一対の前後方向部22と、内部空間21を挟んで幅方向に対向する一対の幅方向部23と、を備える。一対の前後方向部22と一対の幅方向部23とによって、枠状の固定ハウジング2が形成される。
【0075】
固定ハウジング2は、可動ハウジング3の一部(「被拘束部」である前後突出部36、
図11参照)を拘束する「拘束部」としての拘束凹部24を有する。拘束凹部24は、一対の前後方向部22にそれぞれ形成される。拘束凹部24は、前後方向部22の下部に形成された凹部であり、下方向及び前後方向両側に開放される。
【0076】
固定ハウジング2は、第一端子4の固定側被保持部42を保持する第一端子保持部25Aを有する。第一端子保持部25Aは、一対の幅方向部23の幅方向内側面に形成された上下方向に延びる溝である。第一端子保持部25Aとしての溝に、第一端子4の固定側被保持部42が下側から圧入される。
【0077】
固定ハウジング2は、第三端子5の固定側被保持部52を保持する第三端子保持部25Bを有する。第三端子保持部25Bは、複数の第一端子保持部25Aよりもピッチ方向外側に位置する。第三端子保持部25Bは、一対の幅方向部23に形成された上下方向に延びる貫通孔である。第三端子保持部25Bとしての貫通孔に、第三端子5の固定側被保持部52の被圧入部52Aが下側から圧入される。
【0078】
固定ハウジング2は、端子の中間弾性部を保護する保護壁26を有する。
図5に示すように、第一端子4の中間弾性部43及び第三端子5の中間弾性部53は、可動ハウジング3の幅方向外側に配置されるので、保護壁26は、幅方向部23に形成される。保護壁26は、第一端子4の中間弾性部43及び第三端子5の中間弾性部53を幅方向外側から保護する側壁26Aと、第一端子4の中間弾性部43及び第三端子5の中間弾性部53を上側から保護する天壁26Bと、を有する。天壁26Bは、側壁26Aの上端から幅方向内側へ延びる。
【0079】
また、保護壁26は、天壁26Bを補強する補強部26Cを有する。
補強部26Cは、保護壁26の延在方向であるコネクタ前後方向の両端部に形成される。補強部26Cは、保護壁26の延在方向の両端部において、天壁26Bと側壁26Aとを接続する。補強部26Cは、下方向に対して幅方向内側に傾いた方向を向く面26C1を有し、この面26C1は、側壁26Aの幅方向内側面と天壁26Bの幅方向内側面とを斜めに接続する。
【0080】
保護壁26の補強部26Cは、延在方向である前後方向で、第三端子5の中間弾性部53と位置が一致する。
なお、第一端子4の中間弾性部43と、第三端子5の中間弾性部53とは、高さが略一致する。第三端子5の中間弾性部53の第一曲部53Bは、第一端子4の中間弾性部43の第一曲部43Aよりも幅方向内側に位置する。天壁26Bは、第一端子4の中間弾性部43の第一曲部43Aの全部を上側から覆い、第三端子5の中間弾性部53の第一曲部53Bの一部を上側から覆う。
【0081】
図9に示すように、保護壁26の延在方向である前後方向の寸法は、一対の前後方向部22同士の間の寸法よりも小さい。これにより、幅方向部23は、保護壁26が形成された中央部23Cと、中央部23Cよりも低く形成された外側部23Sと、から構成される。幅方向部23の外側部23Sの高さは、前後方向部22の高さと同一とされる。
【0082】
第三端子保持部25Bが形成された前後方向の位置は、保護壁26の延在方向である前後方向の両端部である。これにより、第三端子保持部25Bとしての貫通孔は、その上部において前後方向外側に開放される。つまり、第三端子保持部25Bの上部は、保護壁26の前後方向外側面に形成された溝となっている。但し、第三端子5の固定側被保持部52の被圧入部52Aは、第三端子保持部25Bの下部に収まり、第三端子保持部25Bの上部を構成する溝にまでは到達しない。
【0083】
固定ハウジング2は、第一シールド6の固定側被保持部63(
図12参照)を保持する第一シールド保持部27を有する。
第一シールド保持部27は、複数(図では4つ)設けられる。4つの第一シールド保持部27は、固定ハウジング2の幅方向部23と前後方向部22との境界位置に形成される。第一シールド保持部27は、第一シールド6の固定側被保持部63が上側から圧入される第一シールド保持溝27Aを有する。第一シールド保持部27は、幅方向外側へ突出形成され、第一シールド保持部27の幅方向外側面27Bは、幅方向部23の幅方向外側面よりも幅方向外側に位置する。
【0084】
図10に示すように、固定ハウジング2は、第二シールド7の固定側被保持部74(
図13参照)を保持する第二シールド保持溝29を有する。
第二シールド保持溝29は、第一シールド保持溝27Aに対し、幅方向内側に位置する。第二シールド保持溝29は、固定ハウジング2の下側に開放され、第二シールド7の固定側被保持部74の被圧入部74Aが下側から圧入される。
【0085】
≪可動ハウジング3≫
図11は、可動ハウジング3の斜視図である。
【0086】
可動ハウジング3のうち、後述する突出ガイド部35、前後突出部36、配置凹部37及び収容凹部39を除いた部分を本体部3Aということがある。このため、可動ハウジング3は、本体部3Aと、前後一対の突出ガイド部35と、前後一対の前後突出部36と、幅方向一対の配置凹部37と、4つの収容凹部39と、から構成されるといえる。
【0087】
本体部3Aは、略直方体形状とされ、法線方向を前後方向外側に向けた一対の前後方向外側面3A1と、法線方向を幅方向外側に向けた一対の幅方向外側面3A2と、を有する。また、本体部3Aは、前後方向外側面3A1と幅方向外側面3A2とを斜めに接続する4つの接続面3A3を有する。前後方向外側面3A1、幅方向外側面3A2及び接続面3A3は、それぞれ、本体部3Aの上下方向全体に亘って同一平面を成す。但し、幅方向外側面3A2及び接続面3A3は、配置凹部37及び収容凹部39が形成される影響で、本体部3Aの上部のみに形成される。
【0088】
可動ハウジング3の本体部3Aには、接続対象物としての相手コネクタの一部が挿入される挿入空間31が形成される。挿入空間31は、上方に向けて開口される。本体部3Aに挿入空間31が形成されることで、挿入空間31を挟んで前後方向で対向する一対の前後方向壁32と、挿入空間31を挟んで幅方向で対向する一対の幅方向壁33と、が本体部3Aに形成される。
以下、可動ハウジング3の本体部3Aうち挿入空間31が形成されている部分を筒状部3Uといい、挿入空間31が形成されていない部分(換言すると、挿入空間31の底面31C(
図5参照)よりも下側の部分)を底部3Lということがある。
【0089】
可動ハウジング3の本体部3Aは、第一端子4の一部(可動側被保持部44、先端弾性部45、接触部46)が配置される第一端子配置部34を有する。
第一端子配置部34は、幅方向壁33の幅方向内側面に形成された端子配置溝34Bと、可動ハウジング3の底部3Lに形成された上下方向に貫通する端子配置孔34Aと、から構成される。端子配置孔34Aには、第一端子4の可動側被保持部44が圧入保持された状態で配置され、端子配置溝34Bには、第一端子4の先端弾性部45及び接触部46が配置される。
【0090】
可動ハウジング3の本体部3Aは、第三端子5の一部(可動側被保持部54、先端弾性部55、接触部56)が配置される第三端子配置溝38を有する。
第三端子配置溝38は、本体部3Aの前後方向外側面3A1に形成された溝である。第三端子配置溝38は、前後方向内側を深さ方向とし、上下方向を延在方向として形成される。第三端子配置溝38は、可動ハウジング3の前後方向前側に2つ、前後方向後側に2つ形成される。
【0091】
図7に示すように、第三端子配置溝38は、延在方向である上下方向の位置に応じて、溝深さが変化している。具体的には、第三端子配置溝38は、溝深さが浅い上部と、溝深さが深い下部と、上部と下部との間の中間部と、を有する。第三端子配置溝38の下部における底面38A3(下部底面)は、上部における底面38A1(上部底面)よりもコネクタ前後方向内側に位置する。第三端子配置溝38の中間部における底面38A2(中間部底面)は、上部底面38A1と下部底面38A3と接続し、下方向に向かうに従ってコネクタ前後方向内側へ傾斜する。
【0092】
第三端子配置溝38の下部には、第三端子5の可動側被保持部54が圧入保持され、第三端子配置溝38の上部には、第三端子5の接触部56が配置される。第三端子5の可動側被保持部54は、第三端子配置溝38の下部における底面38A3に近接して配置される。
【0093】
第三端子配置溝38は、溝幅寸法(コネクタ幅方向の寸法)が変化する溝幅変化部38Bを有する。第三端子配置溝38のうち溝幅変化部38Bに対して上側の部分では、溝幅変化部38Bに対して下側の部分よりも、溝幅寸法が小さい。第三端子配置溝38における溝幅変化部38B以外の部分では、溝幅寸法が延在方向である上下方向に亘って一定とされる。溝幅変化部38Bは、第三端子5の接触部56が配置される位置よりも下側であって、先端弾性部55の第一伸長部55Aが配置される位置よりも上側に形成される。
【0094】
可動ハウジング3は、相手コネクタとの接続をガイドする突出ガイド部35を有する。
突出ガイド部35は、本体部3Aに対して上方へ突出する。突出ガイド部35は、前後に一対形成される。突出ガイド部35は、挿入空間31に対して前後方向外側の位置に形成され、挿入空間31と前後方向で重なる位置には形成されない。一方、突出ガイド部35は、挿入空間31と幅方向で重なる位置だけでなく、挿入空間31に対して幅方向外側の位置にまで形成される。突出ガイド部35の幅寸法は、可動ハウジング3の本体部3Aの幅寸法と一致する。突出ガイド部35は、上方を向く天面35Aと、この天面35Aと本体部3Aの側面3A1,3A2,3A3とを接続する傾斜面35Bと、を有する。第三端子配置溝38の上端は、突出ガイド部35にまで到達している。
【0095】
可動ハウジング3は、当該可動ハウジング3の上方向の移動範囲を規制するための前後突出部36(被拘束部)を有する。
前後突出部36は、可動ハウジング3の下端部に形成される。前後突出部36は、可動ハウジング3の本体部3Aの前後方向外側面3A1に対し、前後方向外側に向けて突出する。前後突出部36は、固定ハウジング2の拘束凹部24としての凹部に配置される。
前後突出部36には、第三端子配置溝38に対応する位置に、上下方向に貫通する端子通過孔36Aが形成される。端子通過孔36Aは、第三端子5を可動ハウジング3に取り付ける際、第三端子5の接触部56が通過可能に構成される。
【0096】
可動ハウジング3は、第二シールド7の可動側シールド部71が配置される配置凹部37を有する。
配置凹部37は、可動ハウジング3の本体部3Aの幅方向外側面3A2に対し、幅方向内側へ凹むように形成される。配置凹部37は、前後方向の一部において上側に開放され、他の部分において上側に開放されないように形成される。すなわち、配置凹部37は、前後方向の一部に形成された開放部37Aにおいて上側に開放される。開放部37Aは、前後方向に離間して一対形成される。
一方、配置凹部37は、前後方向の全体において下側に開放される。
【0097】
可動ハウジング3は、第三端子5の中間弾性部53が収容される収容凹部39を有する。
収容凹部39は、可動ハウジング3の本体部3Aの幅方向外側面3A2に対し、幅方向内側へ凹むように形成される。収容凹部39は、本体部3Aの一対の幅方向外側面3A2において、前後方向両側に形成される。収容凹部39は、幅方向外側だけでなく、前後方向外側及び下側へ向けて開放される。
【0098】
収容凹部39の上方には、第二シールド7を保持するシールド保持部3B1が形成される。シールド保持部3B1には、下側に開口する保持溝が形成され、この保持溝に第二シールド7の可動側被保持部72が下側から圧入される。
【0099】
≪第一シールド6≫
図12は、第一シールド6の斜視図である。
【0100】
第一シールド6は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことで製造される。第一シールド6は、固定ハウジング2に対して上側から圧入されることで、固定ハウジング2に保持される(
図3参照)。
【0101】
第一シールド6は、固定ハウジング2を覆う固定側シールド部61,62と、固定ハウジング2に保持される複数(図では4つ)の固定側被保持部63と、各固定側被保持部63からそれぞれ延出された複数(図では4つ)の基板接続部64と、を一体に有する。
【0102】
固定側シールド部61,62は、固定ハウジング2の一対の幅方向部23を覆う幅方向一対の幅方向部61と、固定ハウジング2の一対の前後方向部22を覆う前後一対の前後方向部62と、を有する。
【0103】
固定側シールド部61,62の幅方向部61は、固定ハウジング2の幅方向部23を幅方向外側から覆う側面部61Aと、側面部61Aの上端部から幅方向内側へ延出されて固定ハウジング2の保護壁26を上方側から覆う天面部61Bと、側面部61Aの前端部の上部から幅方向内側へ延出されて保護壁26を前後方向外側から覆う前後面部61Cと、を有する。天面部61Bの幅方向内側端は、第一シールド6が第二シールド7に当接しないように、保護壁26の天壁26Bの幅方向内側端よりも幅方向外側に位置する。
【0104】
また、固定側シールド部61,62の幅方向部61は、第一端子4の基板固定部41を覆う第一テール被覆部61Dと、第三端子5の基板固定部51を覆う前後一対の第三テール被覆部61Eと、を有する。
【0105】
第一テール被覆部61Dは、側面部61Aの下端部から延出される。第一テール被覆部61Dは、複数の第一端子4が配置された前後方向の領域において、側面部61Aの下端部から幅方向外側かつ下方側の斜め方向に延出される。第一テール被覆部61Dの先端は、複数の第一端子4の基板固定部41よりも幅方向の外側に位置する。なお、第一端子4の基板固定部41は、固定ハウジング2の幅方向部23の幅方向外側面よりも外側(幅方向外側)に突出する。
【0106】
第三テール被覆部61Eは、第一テール被覆部61Dに対して前後方向外側の近傍に形成される。第三テール被覆部61Eは、側面部61Aの下端部から延出される。第三テール被覆部61Eは、第三端子5の基板固定部51が配置された前後方向の領域に形成される。なお、第三端子5の基板固定部51は、固定ハウジング2の幅方向部23の幅方向外側面よりも外側(幅方向外側)に突出する。
なお、第三テール被覆部61Eは、第一シールド6を順送プレス加工で製造する場合に、キャリアへの接続部として利用される。
【0107】
固定側シールド部61,62の前後方向部62は、固定ハウジング2の前後方向部22を前後方向外側から覆う側面部62Aと、側面部62Aの上端部から前後方向内側へ延出されて固定ハウジング2の前後方向部22を上方側から覆う天面部62Bと、を有する。側面部62Aは、天面部62Bよりも幅方向外側に張り出しており、側面部62Aの幅方向外側端は、固定側被保持部63よりも幅方向外側に位置する。
【0108】
固定側被保持部63は、一対の幅方向部61よりも前後方向外側に形成される。各固定側被保持部63は、板厚方向を幅方向に向けた平板状であり、固定ハウジング2に形成された第一シールド保持部27に対し、上側から圧入される。各固定側被保持部63には、板幅方向である前後方向の両側に圧入突起が形成される。固定側被保持部63の内側面(コネクタ幅方向内側の面)には、第二シールド7の第二側接触部76が幅方向内側から接触する。
【0109】
基板接続部64は、固定側被保持部63の下方から幅方向外側へ延出され、板厚方向を上下方向に向ける。基板接続部64は、半田付け等によって基板に固定される。
図4に示すように、基板接続部64の幅方向外側の端は、幅方向部61の側面部61Aの幅方向外側面よりも幅方向外側であって、第一テール被覆部61Dの幅方向外側端よりも幅方向内側に位置する。
【0110】
第一シールド6は、固定側被保持部63と前後方向部62とを連結する連結部65を有する。連結部65は、前後方向視で円弧状を成し、各固定側被保持部63の上端部と前後方向部62の天面部62Bの幅方向外側の端部とを連結する。
【0111】
第一シールド6は、固定側被保持部63と幅方向部61とを連結する連結部66を有する。連結部66は、各固定側被保持部63の前後方向内側端部の上部から延出される。連結部66は、平面視(上下方向視)でクランク状をなし、具体的には、固定側被保持部63から幅方向外側へ延びた後に前後方向内側へ屈曲している。連結部66は、固定側被保持部63の前後方向内側端部の上部と、幅方向部61の側面部61Aの前後方向外側端部とを連結する。これにより、固定側被保持部63は、幅方向部61の側面部61Aよりも幅方向内側に位置する。
【0112】
固定側シールド部61,62の一対の幅方向部61と一対の前後方向部62とは、4つの固定側被保持部63を介して接続される。
【0113】
≪第二シールド7≫
図13は、一対の第二シールド7の斜視図である。
【0114】
第二シールド7は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことで製造される。第二シールド7は、可動ハウジング3に対して下側から圧入されることで、可動ハウジング3に保持される(
図3参照)。
【0115】
一対の第二シールド7は、同一形状とされ、互いに幅方向に反対向きの姿勢で配置される。
【0116】
各第二シールド7は、可動ハウジング3を覆う可動側シールド部71と、可動ハウジング3に保持される前後一対の可動側被保持部72と、前後の可動側被保持部72からそれぞれ延出された前後一対のシールドバネ部73と、前後のシールドバネ部73の先端側に形成されると共に固定ハウジング2に保持される前後一対の固定側被保持部74と、前後の固定側被保持部74から延出された前後一対の弾性支持部75と、弾性支持部75に支持された第二側接触部76と、を一体に有する。
【0117】
可動側シールド部71は、板厚方向を幅方向に向けた平板状である。可動側シールド部71は、可動ハウジング3の配置凹部37に配置され、可動ハウジング3を幅方向外側から覆う。可動側シールド部71の下端は、固定ハウジング2の保護壁26の上端よりも下側に位置する(
図5参照)。
【0118】
可動側シールド部71は、その上端が部分的に上方へ延長された先端延長部71Aを有する。先端延長部71Aは、前後に一対形成される。先端延長部71Aは、可動ハウジング3の配置凹部37のうち開放部37Aに配置される。
【0119】
前後の可動側被保持部72は、前後一対の傾斜連結部77を介して可動側シールド部71と連結される。前後の傾斜連結部77は、可動側被保持部72側から前後方向外側かつ幅方向内側へ斜めに延びる。前後の傾斜連結部77は、可動側シールド部71の前後方向両端部の下部と、前後の可動側被保持部72の下部とを連結する。
【0120】
可動側被保持部72は、上側に延びる被圧入部72Aを有し、被圧入部72Aは、可動ハウジング3の前後のシールド保持部3B1に対して下側から圧入される。各被圧入部72Aには、前後方向内側にのみ係止突起が形成され、前後方向外側には係止突起が形成されない。
【0121】
前後のシールドバネ部73は、下方側に伸長した後、幅方向外側かつ上方側に伸長し、その後下方側へ伸長しており、前後方向視でS字状をなす。すなわち、シールドバネ部73は、第一下方伸長部73Aと、上方伸長部73Bと、第二下方伸長部73Cと、を有する。第一下方伸長部73Aは、可動側被保持部72の下端部から下方向へ伸長する。第一下方伸長部73Aの下端部は、基板の上方近傍(可動ハウジング3の前後突出部36と上下方向で重なる位置)に位置する。上方伸長部73Bは、上側かつ幅方向外側の斜め方向へ伸長する。第二下方伸長部73Cは、下方向へ伸長する。シールドバネ部73は、板厚方向への折り曲げ加工が施されることで形成される。
【0122】
固定側被保持部74は、シールドバネ部73の端部から前後方向外側に延出された後に上方側に延出される。固定側被保持部74は、被圧入部74Aを有し、被圧入部74Aは、固定ハウジング2の前後両端部に形成された第二シールド保持溝29に対して下側から圧入される。被圧入部74Aは、シールドバネ部73よりも前後方向外側に位置する。被圧入部74Aには、板幅方向である前後方向の両側に係止突起が形成される。
【0123】
弾性支持部75は、固定側被保持部74の上端部(被圧入部74Aの上端部)から幅方向外側かつ下方側へ伸長する。第二側接触部76は、弾性支持部75の先端側に形成され、第一シールド6の固定側被保持部63に対してコネクタ幅方向内側から弾性的に接触する(
図6参照)。これにより、第二シールド7と第一シールド6とが電気的に接続される。
【0124】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0125】
本実施形態では、コネクタ1は、第一端子4と、ハウジング2,3と、を備える。ハウジング2,3は、取付対象物(基板等)に対して位置が固定される固定ハウジング2と、固定ハウジング2に対して移動可能な可動ハウジング3と、を備える。
更に、コネクタ1は、シールド6,7を備える。シールド6,7は、取付対象物(基板等)に接続される接地部(基板接続部64)と、接地部(基板接続部64)と電気的に接続されると共に可動ハウジング3に装着される可動側シールド部71と、を有する。このため、接地部(基板接続部64)において接地が行われると共に、接地部(基板接続部64)と電気的に接続される可動側シールド部71によって可動ハウジング3がシールドされる。
更に、シールド6,7は、接地部(基板接続部64)と可動側シールド部71との間に位置すると共に変形可能なシールドバネ部73を有する。このため、シールドバネ部73が変形することで接地部(基板接続部64)に対する可動側シールド部71の移動が許容される。その結果、可動ハウジング3を備えるコネクタ1において、可動ハウジング3を適切にシールドすることができる。
なお、上記実施形態では、シールド6,7が、互いに別体とされた第一シールド6と第二シールド7とを備える構成を説明したが、この作用効果は、当該構成に限定されない。シールドは、接地部(基板接続部64)と可動側シールド部71とを一体に有していてもよい。
【0126】
また、本実施形態では、シールド6,7は、固定ハウジング2に装着される固定側シールド部61,62を有する。このため、シールド6,7が固定側シールド部61,62を有しない態様と比べて、ノイズ対策を向上させることができる。
【0127】
ところで、複雑かつ広い範囲を覆うシールドを1枚の金属板から製造することは困難な場合がある。
そこで、本実施形態では、シールド6,7は、第一シールド6と、第一シールド6とは別体の第二シールド7と、を含む。第一シールド6は、固定側シールド部61,62を有し、第二シールド7は、可動側シールド部71を有する。
このため、可動ハウジング3に装着される可動側シールド部71と、固定ハウジング2に装着される固定側シールド部61,62とが、互い別体である第一シールド6及び第二シールド7にそれぞれ形成される。したがって、複雑かつ広い範囲を覆うシールドとすることが容易である。
【0128】
また、本実施形態では、
図13に示すように、第二シールド7は、シールドバネ部73と、第一シールド6と接触する第二側接触部76と、を有する。シールドバネ部73は、可動側シールド部71と第二側接触部76との間に位置する。
このため、第一シールド6がシールドバネ部73を有する態様と比較して、第一シールド6の複雑化を抑制することができる。第一シールド6の複雑化を抑制することができると、第一シールド6が有する固定側シールド部61,62の設計自由度が向上する。
【0129】
また、本実施形態では、第二シールド7は、シールドバネ部73に対して可動側シールド部71とは反対側に位置すると共に固定ハウジング2に保持される固定側被保持部74を有する。
このため、第二シールド7の第二側接触部76が可動ハウジング3と共に移動することが抑制され、その結果、第二シールド7の第二側接触部76と第一シールド6との摺動が抑制される。
【0130】
また、本実施形態では、固定側被保持部74は、第二側接触部76とシールドバネ部73との間に位置する。
このため、第二シールド7の第二側接触部76が可動ハウジング3と共に移動することが更に抑制され、その結果、第二シールド7の第二側接触部76と第一シールド6との摺動が更に抑制される。
【0131】
また、本実施形態では、第二シールド7は、固定側被保持部74に対して第二側接触部76を弾性的に支持する弾性支持部75を有する。
このため、第二シールド7の固定側被保持部74が保持される位置にズレが生じても、第二側接触部76と第一シールド6との接触状態が影響を受けにくい。
【0132】
また、本実施形態では、第二シールド7の固定側被保持部74は、下側から固定ハウジング2に圧入されることで保持される。弾性支持部75は、固定側被保持部74の上方から斜め下方に延びる。
このため、弾性支持部75が固定側被保持部74の上方から斜め上方に延びる態様と比較して、固定側被保持部74の上下寸法を確保することが容易である。
【0133】
また、本実施形態では、第一シールド6は、第二シールド7の第二側接触部76と接触する第一側接触部63を有する。第一側接触部63は、コネクタ外側を向いた外面と、コネクタ内側を向いた内面と、を有する。そして、第二側接触部76は、第一側接触部63の内面に接触する。
このため、第二側接触部76がコネクタ外部に露出しにくくなり、第二側接触部76の損傷が抑制される。
【0134】
また、本実施形態では、第一シールド6は、固定ハウジング2に保持される固定側被保持部63と有する。第一シールド6の固定側被保持部63は、第二シールド7の第二側接触部76と接触する第一側接触部63を兼ねる。
このため、第一側接触部(固定側被保持部63)の位置がズレにくく、第一シールド6と第二シールド7との接触状態が安定する。
【0135】
次に、本実施形態の作用効果について、他の観点から説明する。
【0136】
本実施形態では、コネクタ1は、ハウジング2,3を備える。ハウジング2,3は、上方から接続対象物(相手コネクタの一部等)が挿入される挿入空間31が形成された筒状部3Uを有する。
また、コネクタ1は、シールド6,7を備える。シールド6,7は、筒状部3Uを幅方向外側から覆う本体部(可動側シールド部71)と、ハウジング2,3に保持される前後一対の被保持部(可動側被保持部72)と、を有する。
ここで、前後一対の被保持部(可動側被保持部72)が保持される位置は、挿入空間31よりも前後方向外側である。このため、筒状部3Uのうち幅方向寸法が大きい部分にシールド6,7を保持させることができるので、シールド6,7の確実な保持が容易である。
なお、上記実施形態では、ハウジング2,3が固定ハウジング2と可動ハウジング3とを備え、シールド6,7が第一シールド6と第二シールド7とを備える構成を説明したが、この効果は、当該構成に限定されない。コネクタは、フローティングコネクタでなくてもよい。
【0137】
また、本実施形態では、前後一対の被保持部(可動側被保持部72)は、本体部3Aよりも幅方向内側に位置する。このため、ハウジング(可動ハウジング3)において可動側被保持部72を保持する位置を幅方向内側へ寄せることができる。したがって、ハウジング(可動ハウジング3)の幅寸法を抑えつつ、シールド(第二シールド7)をハウジングに適切に保持させることができる。
【0138】
また、本実施形態では、
図11に示すように、ハウジング(可動ハウジング3)は、前後一対の被保持部(可動側被保持部72)を保持する前後一対の保持部(シールド保持部3B1)と、前後一対の保持部(シールド保持部3B1)の下方に形成され、幅方向内側に凹んだ前後一対の下方凹部(収容凹部39)と、を有する。そして、シールド6,7の前後一対の被保持部(可動側被保持部72)は、ハウジングの前後一対の保持部(シールド保持部3B1)に対して下側から圧入される(
図2、
図3参照)。
このため、被保持部のハウジングに対する圧入方向が幅方向内側である態様と異なり、ハウジングの前後方向の部分(挿入空間31よりも前後方向外側の部分)における幅方向内側の部分を他の用途(例えば第三端子5の保持など)に用いやすい。
【0139】
また、本実施形態では、ハウジング2,3は、当該ハウジング2,3の幅方向外側の面3A2が幅方向内側へ向けて凹むと共にシールド6,7の本体部(可動側シールド部71)が配置される配置凹部37を有する。このため、幅方向での小型化を図ることができる。
【0140】
また、本実施形態では、ハウジング2,3は、本体部3Aの上端に対して上側に配置される剥離防止部3Cを有する(
図1参照)。このため、接続対象物との接続時等にシールドが剥離することが抑制される。
【0141】
また、本実施形態では、本体部(可動側シールド部71)は、当該本体部(可動側シールド部71)の上端が部分的に上方へ延長された先端延長部71Aを有する。このため、相手コネクタとの有効嵌合長を長くすることができる。
【0142】
また、本実施形態では、剥離防止部3Cは、本体部3Aの先端延長部71Aに対応する位置には形成されていない。このため、先端延長部71Aを上方へ長く延長できるので、有効嵌合長を確保しやすい。
【0143】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、幅方向一方側に配置される可動側シールド部71と、幅方向他方側に配置される可動側シールド部71とが、別体とされた一対の第二シールド7にそれぞれ設けられる例を説明したが、本開示はこれに限定されない。第二シールド7は、一体的に形成されてもよい。
【0144】
また、上記実施形態では、コネクタ1がソケットである例を説明したが、本開示はこれに限定されない。コネクタは、プラグであってもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、固定ハウジング2が枠状である例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
【0146】
また、上記実施形態では、端子やシールドに対するハウジングの保持が、圧入による保持である例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、インサート成形によって、端子やシールドがハウジングに保持されてもよい。
【0147】
また、上記実施形態では、固定ハウジング2と可動ハウジング3とが当接することで、固定ハウジング2に対する可動ハウジング3の上方向の移動範囲が制限されるコネクタ1を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、可動ハウジング3は、前後突出部36を有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0148】
1 コネクタ
2,3 ハウジング
2 固定ハウジング
21 内部空間
22 前後方向部
23 幅方向部
26 保護壁
26A 側壁
26B 天壁
3 可動ハウジング
3U 筒状部
3B1 シールド保持部(保持部)
3C 剥離防止部
31 挿入空間
32 前後方向壁
33 幅方向壁
37 配置凹部
37A 開放部
39 収容凹部(下方凹部)
4 第一端子
42 固定側被保持部
43 中間弾性部
44 可動側被保持部
45 先端弾性部
46 接触部
5 第三端子
51 基板固定部
52 固定側被保持部
53 中間弾性部
54 可動側被保持部
55 先端弾性部
56 接触部
6,7 シールド
6 第一シールド
61,62 固定側シールド部
63 固定側被保持部(第一側接触部)
64 基板接続部(接地部)
7 第二シールド
71 可動側シールド部(シールドの本体部)
71A 先端延長部
72 可動側被保持部(被保持部)
73 シールドバネ部
74 固定側被保持部
75 弾性支持部
76 第二側接触部