(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ロボット装置の動作記号を含む動作プログラムを生成するプログラム生成装置
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
(21)【出願番号】P 2019222385
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 佑典
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 豪
【審査官】尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-158865(JP,A)
【文献】特開平6-149345(JP,A)
【文献】特開2019-126895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットおよび作業ツールを備えるロボット装置の動作プログラムを生成するプログラム生成装置であって、
プログラムの生成に関する情報を表示する表示部と、
作業者が前記表示部に表示される画像を操作する入力部と、を備え、
前記表示部は、前記動作プログラムを表示し、
前記動作プログラムは、ロボットまたは作業ツールの動作を示す動作記号と、少なくとも一つの動作記号を指定するように、動作記号を挟む形状または動作記号を囲む形状を有する補助記号とを含み、
補助記号は、
ロボット装置の特定の作業に関する動作を付加する制御、または動作記号にて定められるロボット装置の動作を補正する制御を示しており、
作業者が動作記号または補助記号を選択することにより、前記表示部はロボット装置の制御または動作に関する設定情報を設定する画面を表示して、作業者が設定情報を設定できるように形成されており、
前記表示部は、動作記号および補助記号を、ロボット装置の動作の順に並べて表示する、プログラム生成装置。
【請求項2】
前記特定の作業は、作業ツールおよび補助装置のうち少なくとも一方を用いたロボット装置の作業を含む、請求項1に記載のプログラム生成装置。
【請求項3】
前記動作プログラムは、
ロボット装置の前記特定の作業に関する動作を付加して、
付加した動作の開始および終了を示す補助記号を含み、
補助記号の設定情報は、
付加した動作の条件を含む、請求項1に記載のプログラム生成装置。
【請求項4】
前記動作プログラムは、動作記号にて定められるロボット装置の動作を補正する制御を示す補助記号を含み、
補助記号の設定情報は、ロボット装置の動作の補正に関する条件を含む、請求項1に記載のプログラム生成装置。
【請求項5】
ロボットおよび作業ツールを備えるロボット装置の動作プログラムを生成するプログラム生成装置であって、
プログラムの生成に関する情報を表示する表示部と、
作業者が前記表示部に表示される画像を操作する入力部と、を備え、
前記表示部は、前記動作プログラムを表示し、
前記動作プログラムは、ロボットまたは作業ツールの動作を示す動作記号と、少なくとも一つの動作記号を指定するように、動作記号を挟む形状または動作記号を囲む形状を有する補助記号とを含み、
補助記号は、動作記号による動作に対する予め定められた制御を示しており、
作業者が動作記号または補助記号を選択することにより、前記表示部はロボット装置の制御または動作に関する設定情報を設定する画面を表示して、作業者が設定情報を設定できるように形成されており、
前記表示部は、全ての動作記号および補助記号を、ロボット装置の動作の順に1つの行または1つの列に並べて表示
し、
前記動作プログラムは、予め定められた条件に従ってロボット装置の動作を選択する制御を示す補助記号を含み、
補助記号は、動作記号の1つのグループと動作記号の他のグループとを指定し、前記1つのグループと前記他のグループとが1つの行または1つの列に並べて表示される形状を有し、
補助記号の設定情報は、ロボット装置の動作を選択するための条件を含む、プログラム生成装置。
【請求項6】
ロボットおよび作業ツールを備えるロボット装置の動作プログラムを生成するプログラム生成装置であって、
プログラムの生成に関する情報を表示する表示部と、
作業者が前記表示部に表示される画像を操作する入力部と、を備え、
前記表示部は、前記動作プログラムを表示し、
前記動作プログラムは、ロボットまたは作業ツールの動作を示す動作記号と、少なくとも一つの動作記号を指定するように、動作記号を挟む形状または動作記号を囲む形状を有する補助記号とを含み、
補助記号は、動作記号による動作に対する予め定められた制御を示しており、
作業者が動作記号または補助記号を選択することにより、前記表示部はロボット装置の制御または動作に関する設定情報を設定する画面を表示して、作業者が設定情報を設定できるように形成されており、
前記表示部は、全ての動作記号および補助記号を、ロボット装置の動作の順に1つの行または1つの列に並べて表示し、
前記動作プログラムは、動作記号による動作を無効にする補助記号を含む、プログラム生成装置。
【請求項7】
前記動作プログラムは、ロボット装置の予め定められた動作を繰り返す制御を示す補助記号を含み、
補助記号の設定情報は、ロボット装置の動作の繰り返しの条件を含む、
請求項5または6に記載のプログラム生成装置。
【請求項8】
前記動作プログラムは、複数の補助記号を含み、
第1の補助記号は、少なくとも1個の動作記号を指定しており、
第2の補助記号は、第1の補助記号を指定している、請求項1から7のいずれか一項に記載のプログラム生成装置。
【請求項9】
補助記号は、少なくも一つの動作記号を挟むようにU字の形状を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のプログラム生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット装置の動作記号を含む動作プログラムを生成するプログラム生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットおよび作業ツールを備えるロボット装置は、動作プログラムに基づいて駆動される。動作プログラムは、ロボット装置がオフラインの状態で、作業者により予め作成することができる。または、作業者が教示操作盤にてロボットを所望の位置および姿勢にすることができる。作業者は、このロボットの位置および姿勢を教示点として教示することができる。ロボット制御装置は、教示点に基づいて動作プログラムを生成することができる。
【0003】
動作プログラムは、ロボットまたは作業ツールを駆動するための指令を指令文にて記載することができる。動作プログラムは、複数の指令文を含むように、テキスト形式にて生成されることができる。ロボット装置の指令文には、例えば、ツール先端点が直線状に移動する指令文、ツール先端点が曲線状に移動する指令文、および作業ツールの動作の指令文などが含まれる。
【0004】
従来の技術においては、ロボットおよび作業ツールの動作をアイコンにて表現した動作プログラムが知られている(例えば、特許第6498366号公報および米国特許出願公開第2018/0154517A1号明細書)。また、ロボットの動作を繰り返す制御を示すアイコンが含まれる動作プログラムが知られている(例えば、特開2018-149206号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6498366号公報
【文献】米国特許出願公開第2018/0154517A1号明細書
【文献】特開2018-149206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
動作プログラムを指令文にて生成した場合には、予め定められた指令の文字を含む指令文が並んだ形式になるために、作業者は、動作プログラムの全体的な流れを理解することが難しいという問題がある。例えば、ロボット装置が1つの作業を行うために複数の指令文を記載する場合が有る。ロボット装置にてアーク溶接を実施する場合には、溶接トーチの駆動を継続しながら、ロボットが位置および姿勢を変更する。動作プログラムには、溶接の開始を示す指令文と、ロボットの動作の指令文と、溶接の終了を示す指令文とが含まれる。この場合に、作業者は、溶接を実施する指令文がどの範囲に適用されているかを把握しにくいという問題がある。
【0007】
動作プログラムの指令をアイコンにて表現することにより、作業者は、視覚的にロボット装置の動作を把握することができる。このために、動作プログラムを作成したり修正したりする作業が容易になる。しかしながら、アイコンにて生成された動作プログラムにおいても、ロボット装置の動作の開始の指令を1つのアイコンにて表示して、動作の終了の指令を1つのアイコンにて表示した場合には、この動作が実施されている区間を把握しにくいという問題がある。
【0008】
または、ロボット装置においては、予め定められた条件に従って、ロボット装置の動作を変更したりする場合がある。この場合に、それぞれの条件に応じたロボット装置の動作を複数の行または複数の列にて並べると、画面が見にくくなるという問題があった。このように、動作プログラムの指令をアイコンにて表現しても、動作プログラムを生成するために時間がかかる場合が有り、プログラム生成装置の改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様のプログラム生成装置は、ロボットおよび作業ツールを備えるロボット装置の動作プログラムを生成する。プログラム生成装置は、プログラムの生成に関する情報を表示する表示部と、作業者が表示部に表示される画像を操作する入力部とを備える。表示部は、動作プログラムを表示する。動作プログラムは、ロボットまたは作業ツールの動作を示す動作記号と、少なくとも一つの動作記号を指定するように、動作記号を挟む形状または動作記号を囲む形状を有する補助記号とを含む。補助記号は、ロボット装置の特定の作業に関する動作を付加する制御、または動作記号にて定められるロボット装置の動作を補正する制御を示している。作業者が動作記号または補助記号を選択することにより、表示部がロボット装置の制御または動作に関する設定情報を設定する画面を表示して、作業者が設定情報を設定できるように形成されている。表示部は、動作記号および補助記号を、ロボット装置の動作の順に並べて表示する。
【0010】
本開示の第2の態様のプログラム生成装置は、ロボットおよび作業ツールを備えるロボット装置の動作プログラムを生成する。プログラム生成装置は、プログラムの生成に関する情報を表示する表示部と、作業者が表示部に表示される画像を操作する入力部とを備える。表示部は、動作プログラムを表示する。動作プログラムは、ロボットまたは作業ツールの動作を示す動作記号と、少なくとも一つの動作記号を指定するように、動作記号を挟む形状または動作記号を囲む形状を有する補助記号とを含む。補助記号は、動作記号による動作に対する予め定められた制御を示している。プログラム生成装置は、作業者が動作記号または補助記号を選択することにより、表示部はロボット装置の制御または動作に関する設定情報を設定する画面を表示して、作業者が設定情報を設定できるように形成されている。表示部は、全ての動作記号および補助記号を、ロボット装置の動作の順に1つの行または1つの列に並べて表示する。動作プログラムは、予め定められた条件に従ってロボット装置の動作を選択する制御を示す補助記号を含む。補助記号は、動作記号の1つのグループと動作記号の他のグループとを指定し、1つのグループと他のグループとが1つの行または1つの列に並べて表示される形状を有する。補助記号の設定情報は、ロボット装置の動作を選択するための条件を含む。
本開示の第3の態様のプログラム生成装置は、ロボットおよび作業ツールを備えるロボット装置の動作プログラムを生成する。プログラム生成装置は、プログラムの生成に関する情報を表示する表示部と、作業者が表示部に表示される画像を操作する入力部とを備える。表示部は、動作プログラムを表示する。動作プログラムは、ロボットまたは作業ツールの動作を示す動作記号と、少なくとも一つの動作記号を指定するように、動作記号を挟む形状または動作記号を囲む形状を有する補助記号とを含む。補助記号は、動作記号による動作に対する予め定められた制御を示している。プログラム生成装置は、作業者が動作記号または補助記号を選択することにより、表示部はロボット装置の制御または動作に関する設定情報を設定する画面を表示して、作業者が設定情報を設定できるように形成されている。表示部は、全ての動作記号および補助記号を、ロボット装置の動作の順に1つの行または1つの列に並べて表示する。動作プログラムは、動作記号による動作を無効にする補助記号を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示の態様によれば、動作プログラムを生成する作業の効率が向上するプログラム生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ハンドを備えるロボット装置の斜視図である。
【
図2】ハンドを備えるロボット装置のブロック図である。
【
図3】ハンドを備えるロボット装置の携帯端末に表示される画像である。
【
図4】ハンドを備えるロボット装置の携帯端末に表示される他の画像である。
【
図5】溶接トーチを備えるロボット装置の携帯端末に表示される画像である。
【
図6】ロボット装置にて溶接を行うときのテキスト形式の動作プログラムである。
【
図7】溶接トーチを備えるロボット装置の携帯端末に表示される他の画像である。
【
図8】実施の形態における補助アイコンを説明する動作プログラムである。
【
図9】
図8に示す補助アイコンを閉じたときの画像である。
【
図10】ウィービングを行いながら溶接を実施するための動作プログラムである。
【
図11】ウィービングを実施する補助アイコンの条件を設定する画面である。
【
図12】ロボットの動作を繰り返す補助アイコンを含む動作プログラムである。
【
図13】ロボットの動作を繰り返す制御のテキスト形式の動作プログラムである。
【
図14】ロボットの動作を繰り返す補助アイコンの条件を設定する画面である。
【
図15】予め定められた条件にてロボットの動作を変更する補助アイコンを含む動作プログラムである。
【
図16】予め定められた条件にてロボットの動作を変更する制御のテキスト形式の動作プログラムである。
【
図17】予め定められた条件にてロボットの動作を変更する補助アイコンの条件を設定する画面である。
【
図18】予め定められた条件にてロボットの動作を変更する参考例の制御アイコンを含む動作プログラムである。
【
図19】予め定められた条件にてロボットの動作を変更する2個の補助アイコンを含む動作プログラムである。
【
図20】予め定められた条件にてロボットの動作を変更する補助アイコンとロボットの動作を繰り返す補助アイコンとを組み合わせた動作プログラムである。
【
図21】ワークのパレタイジングを行うロボット装置とワークの斜視図である。
【
図22】ロボット装置が配置にするワークの位置を説明する斜視図である。
【
図23】ロボット装置がワークを配置する時のロボットの位置を説明する第1の斜視図である。
【
図24】ロボット装置がワークを配置する時のロボットの位置を説明する第2の斜視図である。
【
図25】ロボット装置がパレタイジングを行うための補助アイコンを含む動作プログラムである。
【
図26】ロボット装置がパレタイジングを行うための補助アイコンの条件を設定する画面である。
【
図27】ロボット装置の一部の動作を無効にする補助アイコンを含む動作プログラムである。
【
図28】動作アイコンに対してコメントを付与する補助アイコンを含む動作プログラムである。
【
図29】動作プログラムが縦方向に表示される携帯端末の画像である。
【
図30】動作プログラムが縦方向に表示される携帯端末の他の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から
図30を参照して、実施の形態におけるロボット装置の動作プログラムを生成するプログラム生成装置について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態におけるロボット装置の概略図である。ロボット装置5は、作業ツール(エンドエフェクタ)としてのハンド2と、ハンド2を移動するロボット1とを備える。本実施の形態のロボット1は、複数の関節部を含む多関節ロボットである。
【0015】
ロボット1は、ベース部14と、ベース部14に支持された旋回ベース13とを含む。ベース部14は、設置面に固定されている。旋回ベース13は、ベース部14に対して回転するように形成されている。ロボット1は、上部アーム11および下部アーム12を含む。下部アーム12は、関節部を介して旋回ベース13に回動可能に支持されている。上部アーム11は、関節部を介して回動可能に下部アーム12に支持されている。また、上部アーム11は、上部アーム11の延びる方向に平行な回転軸の周りに回転する。
【0016】
ロボット1は、上部アーム11の端部に連結されているリスト15を含む。リスト15は、関節部を介して回動可能に上部アーム11に支持されている。リスト15は、回転可能に形成されているフランジ16を含む。ハンド2は、リスト15のフランジ16に固定されている。本実施の形態のロボット1は、6個の駆動軸を有するが、この形態に限られない。作業ツールを移動することができる任意のロボットを採用することができる。
【0017】
ハンド2は、ワークを把持したり解放したりする作業ツールである。ハンド2は、互いに対向する爪部2aを有する。爪部2aが閉じることによりワークが把持される。作業ツールは、ワークを把持するハンドに限られない。ロボットには、ロボット装置が行う作業に応じて任意の作業ツールを取り付けることができる。例えば、ロボット装置がアーク溶接を行う場合には、溶接トーチをロボットに取り付けることができる。または、接着剤の塗布を行う場合には、接着剤を塗布する作業ツールをロボットに取り付けることができる。
【0018】
図2に、本実施の形態におけるロボット装置のブロック図を示す。
図1および
図2を参照して、ロボット1は、ロボット1の位置および姿勢を変化させるロボット駆動装置を含む。ロボット駆動装置は、アームおよびリスト等の構成部材を駆動するロボット駆動モータ19を含む。ロボット駆動モータ19が駆動することにより、それぞれの構成部材の向きが変化する。ハンド2は、ハンド2を駆動するハンド駆動装置を備える。ハンド駆動装置は、ハンド2の爪部2aを駆動するための加圧ポンプに接続された弁等を含む。
【0019】
ロボット装置5は、ロボット制御装置4を備える。ロボット制御装置4は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)を有する演算処理装置(コンピュータ)を含む。ロボット装置5は、動作プログラムに基づいてワークを搬送する。
【0020】
ロボット制御装置4の演算処理装置は、予め定められた情報を記憶する記憶部42を含む。記憶部42は、ロボット1およびハンド2の制御に関する情報を記憶する。動作プログラムは、記憶部42に記憶される。記憶部42は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはハードディスク等の情報を記憶可能な記憶媒体にて構成されることができる。
【0021】
ロボット制御装置4の演算処理装置は、動作指令を送出する動作制御部43を含む。動作制御部43は、動作プログラムに従って駆動するプロセッサに相当する。動作制御部43は、記憶部42に記憶された情報を読み取り可能に形成されている。プロセッサは、動作プログラムを読み込んで、動作プログラムに定められた制御を実施することにより、動作制御部43として機能する。
【0022】
動作制御部43は、動作プログラムに基づいてロボット1を駆動するための動作指令をロボット駆動部45に送出する。ロボット駆動部45は、ロボット駆動モータ19を駆動する電気回路を含む。ロボット駆動部45は、動作指令に基づいてロボット駆動モータ19に電気を供給する。また、動作制御部43は、動作プログラムに基づいてハンド2を駆動する動作指令をハンド駆動部44に送出する。ハンド駆動部44は、ハンド駆動装置を駆動する電気回路を含む。ハンド駆動部44は、動作指令に基づいてハンド駆動装置に電気を供給する。
【0023】
ロボット制御装置4は、ロボット1を手動にて駆動するための教示操作盤49を含む。教示操作盤49は、ロボット装置5の制御に関する情報を表示する表示部49aと、キーボードおよびダイヤル等の入力機器から構成される入力部49bとを含む。表示部49aは、液晶表示パネルなどの表示パネルにより構成されることができる。作業者は、入力部49bを操作することにより、ロボット1の位置および姿勢を手動にて調整することができる。
【0024】
ロボット1は、ロボット1の位置および姿勢を検出するための状態検出器としての位置検出器18を含む。本実施の形態の位置検出器18は、アーム等の構成部材の駆動軸に対応するロボット駆動モータ19に取り付けられている。例えば、位置検出器18は、ロボット駆動モータ19が駆動するときの回転角を検出するように形成されている。
【0025】
ロボット制御装置4は、位置検出器18の出力に基づいて、ロボット1の位置および姿勢を検出する状態検出部46を含む。状態検出部46は、動作プログラムに従って駆動するプロセッサに相当する。プロセッサは、動作プログラムを読み込んで、動作プログラムに定められた制御を実施することにより、状態検出部46として機能する。
【0026】
本実施の形態のロボット装置5には、ワールド座標系51が設定されている。
図1に示す例では、ロボット1のベース部14にワールド座標系51の原点が配置されている。ワールド座標系51は、ロボット1の基準座標系とも称される。ワールド座標系51は、原点の位置が固定され、更に、座標軸の向きが固定されている座標系である。また、ロボット装置5には、作業ツールの任意の位置に設定された原点を有するツール座標系が設定されている。本実施の形態のツール座標系の原点は、ツール先端点に設定されている。ロボット1の位置および姿勢が変化すると、ツール座標系の原点の位置およびツール座標系の向きが変化する。例えば、ロボット1の位置は、ツール先端点の位置(ツール座標系の原点の位置)に対応する。また、ロボット1の姿勢は、ワールド座標系51に対するツール座標系の向きに対応する。
【0027】
ロボット装置5は、ロボット装置5の動作プログラムを生成するプログラム生成装置としての携帯端末6を備える。本実施の形態の携帯端末6は、タブレット端末である。携帯端末6は、通信装置を介してロボット制御装置4に接続されている。携帯端末6は、プロセッサとしてのCPUを有する演算処理装置を含む。演算処理装置は、CPUにバスを介して接続されたRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を有する。携帯端末6は、動作プログラムの生成に関する情報を記憶する記憶部31を含む。記憶部31は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはハードディスク等の情報を記憶可能な記憶媒体にて構成されることができる。
【0028】
本実施の形態における携帯端末6は、タッチパネル方式の表示パネルを有する表示器33を含む。タッチパネル方式の表示パネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、および表面弾性波方式等の任意の方式を採用することができる。表示器33は、動作プログラムの生成に関する情報を表示する表示部33aと、作業者が表示部33aに表示される画像を操作する入力部33bとを含む。本実施の形態においては、表示器33が表示部33aおよび入力部33bとして機能する。
【0029】
携帯端末6の演算処理装置は、表示部33aに表示される画像を制御する表示制御部32を含む。表示制御部32は、作業者による入力部33bの操作を検出し、表示部33aに表示する画像を制御する機能を有する。表示制御部32は、予め定められた規則に従って駆動するプロセッサに相当する。プロセッサは、入力部33bの操作に応じて表示部33aに表示する画像を制御することにより表示制御部32として機能する。
【0030】
プログラム生成装置としては、携帯端末6に限られず、演算処理装置を含む任意の装置を採用することができる。プログラム生成装置としては、例えば、ロボット制御装置と接続されていないパーソナルコンピュータを採用することができる。この場合には、入力部はキーボードおよびマウスなどの入力機器にて構成することができる。表示部は、液晶表示パネルなどの表示パネルにて構成することができる。または、教示操作盤49がプログラム生成装置として機能しても構わない。この場合には、教示操作盤49の表示部49aがプログラム生成装置の表示部として機能し、教示操作盤49の入力部49bがプログラム生成装置の入力部として機能する。
【0031】
図3に、本実施の形態における携帯端末の表示部に表示される画像を示す。始めに、本実施の形態の動作プログラムの基本的な生成方法について説明する。本実施の形態における携帯端末6の画面は、動作プログラム71を表示するプログラム表示領域61aと、動作プログラム71の生成に関する詳細な情報を表示する情報表示領域61bとに分割されている。プログラム表示領域61aおよび情報表示領域61bにおいて、全ての情報が表示できない場合には、スクロールバーが表示される。作業者は、スクロールバーを移動することにより、全ての情報を見ることができる。例えば、動作プログラム71が長くなり、表示部33aの画面に全ての動作プログラム71が表示できない場合がある。この場合には、動作プログラム71を横方向に移動するスクロールバーが表示される。作業者は、スクロールバーを移動することにより、動作プログラム71の所望の部分を見ることができる。
【0032】
本実施の形態における動作プログラム71は、ロボット1またはハンド2の動作を示す動作記号としての動作アイコン71a~71cを含む。動作アイコン71a~71cは、ロボット1またはハンド2の動作の指令を示している。動作制御部43は、プログラム表示領域61aに表示される動作アイコン71a~71cに基づいて、ロボット1およびハンド2を駆動する。動作制御部43は、矢印151に示すように、画像61の左側の動作アイコン71aから右側に向けて、動作アイコン71a~71cにて指定される動作を実施する。作業者は、プログラム表示領域61aにおいて、時系列にてロボット装置5の動作を設定することができる。
【0033】
動作アイコン71a,71cは、ロボット1の位置(ツール先端点)が直線状に移動する動作を示している。動作アイコン71bは、ハンド2がワークを把持する動作を示している。この例では、ロボット装置5は、動作アイコン71aによりロボット1の位置を直線状に移動した後に、動作アイコン71bによりハンド2の爪部2aが閉じてワークを把持する。その後に、動作アイコン71cにより、ロボット1の位置が直線状に移動する。
【0034】
情報表示領域61bには、プログラミングのタブ111および動作アイコン71a~71cの動作を詳細に設定するための詳細のタブ112が配置されている。作業者は、プログラミングのタブ111を指で押すことにより、タブ111を選定することができる。表示制御部32は、情報表示領域61bに、動作アイコン71a~71cを生成するための基準となる基準動作アイコン101a~101dを表示する。基準動作アイコン101a~101dは、ロボット装置5が駆動する基本の動作を示している。基準動作アイコン101a~101dには、設定値などの動作の条件は設定されていない。
【0035】
基準動作アイコン101aは、ハンド2がワークを掴む動作を示している。基準動作アイコン101bは、ハンド2がワークを解放する動作を示している。基準動作アイコン101cは、ロボット1の位置が直線状に移動するロボット1の動作を示している。基準動作アイコン101dは、ロボット1の各駆動軸のロボット駆動モータ19が駆動して、ロボット1の位置が非直線状に移動するロボット1の動作を示している。
【0036】
作業者は、ロボット装置5の基本の動作を始めに設定することができる。例えば、作業者は、矢印152に示すように、基準動作アイコン101cを指で押しながらプログラム表示領域61aに移動することにより、動作アイコン71aを生成することができる。この操作と同様に、作業者は、基準動作アイコン101aを押しながら矢印153に示すように指を移動することにより、動作アイコン71bを生成することができる。作業者は、基準動作アイコン101cを押しながら、矢印154に示すように指を移動することにより、動作アイコン71cを生成することができる。
【0037】
図4に、動作アイコンの設定画面を表示した画像を示す。次に、作業者は、それぞれの動作アイコン71a~71cにおいて、ロボット装置5の動作を行うための設定情報を設定する。設定情報には、それぞれの動作を行うための条件が含まれている。
【0038】
図4に示す例では、作業者は、動作アイコン71aを押すことにより動作アイコン71aを選択している。動作アイコン71aの色が変化する。表示制御部32は、情報表示領域61bにおいて、詳細のタブ112を自動的に選択する。表示制御部32は、情報表示領域61bにおいて、動作アイコン71aの動作に関する設定値を設定する設定画面を表示する。設定画面には、動作アイコン71aにおけるロボット1の設定値等の条件を含む設定情報81が表示されている。
図4に示す例では、動作アイコン71aの動作を実施するために第1の目標位置となるロボット1の位置および姿勢が示されている。ここでの例では、ロボット1の位置および姿勢は、ワールド座標系51にて設定されている。
【0039】
また、設定情報81には、ロボット1の位置を移動するための移動速度が含まれている。更に、設定情報81には、目標位置に正確に到達するか否かを定めるために、位置決め形式が含まれる。ここでの例では、ロボット1の位置が目標位置に正確に到達するように設定されている。このように、設定画面では、ロボット1が直線状に移動するための条件が表示される。
【0040】
作業者は、入力部33bを操作して、設定情報81を設定したり変更したりすることができる。例えば、作業者は、目標位置が表示されている領域を指で押圧することにより、表示部33aは、目標位置を変更するための画像を表示する。作業者は、手入力にて、目標位置のX軸の座標値、Y軸の座標値、およびZ軸の座標値などを入力することができる。または、作業者は、教示操作盤49を操作して、ロボット1の位置および姿勢を変更することができる。ロボット1の位置および姿勢が所望の位置および姿勢になったときに、作業者は、目標位置の側方に表示されているボタン113を押す。この操作により、ロボット制御装置4の状態検出部46は、ロボット1の位置および姿勢を検出する。そして、表示制御部32は、状態検出部46からロボット1の位置および姿勢を取得して、設定情報81の目標位置に設定することができる。
【0041】
作業者は、動作アイコン71b,71cにおいても、同様の操作により、ロボット1またはハンド2の動作に関する設定情報を設定することができる。このように、作業者は、動作アイコン71a~71cの生成と、動作アイコン71a~71cにおける設定情報の設定とを繰り返すことにより、動作プログラム71を生成することができる。
【0042】
動作プログラム71を、動作アイコン71a~71cにて表現することにより、作業者は、視覚的にロボット装置5の動作を把握することができる。作業者は、動作プログラム71を生成したり修正したりする作業が容易になる。
【0043】
図5に、アーク溶接を行うロボット装置の携帯端末に表示される画像を示す。ロボット1には、アーク溶接を行うための溶接トーチが作業ツールとして取り付けられている。画像62のプログラム表示領域62aには、ロボット装置の動作プログラム72が表示されている。
【0044】
動作プログラム72は、動作記号としての動作アイコン72a~72cに加えて、少なくとも1つの動作記号を指定する補助記号としての補助アイコン72pを含む。補助アイコンは、少なくとも1つの動作アイコンを指定する形状を有する。本実施の形態の補助アイコンは、矢印151に示す動作アイコンが並ぶ方向に延びる第1の線72paと、第1の線72paから動作アイコン同士の間に延びる第2の線72pbとを有する。本実施の形態の補助アイコンは、動作アイコンおよび他の補助アイコンを挟むように、U字形に形成されている。なお、補助記号は、少なくとも一つの動作アイコンを囲む形状を有していても構わない。
【0045】
本実施の形態の補助記号は、動作記号による動作に対する予め定められた制御、ロボット装置の動作を付加する制御、または動作記号にて定められるロボット装置の動作を補正する制御を示している。
図5に示す例では、補助アイコン72pは、ロボット装置の動作を付加する制御として、溶接トーチによる溶接の作業を付加する制御を示している。本実施の形態の補助アイコンには、動作の種類または制御の種類の図が配置されている。例えば、補助アイコン72pの左上には、溶接の図が配置されている。補助アイコンには文字にて動作の種類または制御の種類が記載されていても構わない。また、補助アイコン72pは、線72pbにより溶接の開始と溶接の終了とを示している。
【0046】
図6に、
図5に示す動作プログラムをテキスト形式にて記載した動作プログラムを示す。動作プログラム92において、1行目の指令文におけるLは、ロボット1の位置が直線状に移動することを示している。P[1]は、第1の目標位置に向かって移動することを示している。また、ロボット1の速度が100mm/secにて移動することが示されている。FINEは、目標位置に向かって精度よくロボットが移動する方法(位置決め)であることを示している。
【0047】
2行目の指令文においては、溶接トーチが溶接を開始することが示されている。ここでの例では、1番目の溶接データに従って溶接を開始し、更に、電圧が18ボルト、電流が200アンペアにて溶接を開始することが示されている。溶接データには、アーク溶接を実施するときの溶接の複数の条件が纏めて記憶されている。例えば、溶接データは、アーク溶接を開始する時またはアーク溶接を終了する時の条件を含む。溶接データ番号を指定することにより、記憶部42からアーク溶接を実施するときの条件を纏めて取得することができる。
【0048】
動作プログラム92においては、溶接を実施している期間中に、3行目の指令文および4行目の指令文により直線状にロボット1の位置が移動する。3行目および4行目の指令文には、ロボット1の位置が目標位置であるP[2]またはP[3]に向かって直線状に移動することが示されている。3行目の指令文におけるCNT100は、P[2]における移動経路が滑らかになるようにロボット1の位置が通過することを示している。
【0049】
5行目の指令文においては、溶接トーチが溶接を終了することが示されている。ここでの例では、1番目の溶接データに従って溶接を終了する。更に、溶接の終了時には、急激な電圧の低下によるクレーターホールの発生を抑制する処理を実施する。5行目の指令文には、クレータの処理を行うための条件として、電圧が18ボルト、電流が200アンペア、および処理時間が0.5秒であることが示されている。
【0050】
図5および
図6を参照して、動作アイコン72aは、テキスト形式の動作プログラム92の1行目の指令文に対応する。動作アイコン72bは、動作プログラム92の3行目の指令文に対応する。動作アイコン72cは、動作プログラム92の4行目の指令文に対応する。動作プログラム92における溶接に関する2行目の指令文および5行目の指令文は、補助アイコン72pに対応する。補助アイコン72pにて溶接を実施する期間を指定している。補助アイコン72pの線72pbによって、溶接の開始および溶接の終了が示されている。
【0051】
図5に示す画像62においては、プログラミングのタブ111が選択されている。情報表示領域62bには、基準動作アイコン101c,101dが表示されている。また、基準補助アイコン101pが表示されている。作業者は、基準補助アイコン101pを指で押しながら、矢印155に示すように指を移動することにより、プログラム表示領域62aに補助アイコン72pを生成することができる。この後に、作業者は、基準動作アイコン101cを指で押しながら、矢印156に示すように指を移動することにより、補助アイコン72pにて挟まれる領域に動作アイコン72bを配置することができる。作業者は、動作プログラム72の基本的な動作を設定することができる。
【0052】
図7に、溶接を行う補助アイコンの設定情報を設定する画面を示す。動作アイコンの設定と同様に、作業者は、補助記号の設定画面において、ロボット装置の動作の条件を設定する。作業者は、表示部33aにおいて補助アイコン72pを選定することにより、補助アイコン72pの色が変化する。また、表示制御部32は、情報表示領域62bにおいて、詳細のタブ112を自動的に選択して設定画面を表示する。表示制御部32は、情報表示領域62bにおいて、溶接に関する設定情報82を表示する。作業者は、入力部33bを操作して、溶接を開始する条件および溶接を終了する条件等の設定情報82を設定することができる。設定情報82には、溶接データの番号、電圧、電流、およびクレータ処理時間などの動作プログラム92に含まれる条件と同様の条件を設定することができる。本実施
の形態では、補助記号により作業ツールの動作を追加しているが、この形態に限られない。補助記号により、ロボットの動作を追加しても構わない。
【0053】
このように、本実施の形態におけるプログラム生成装置は、動作記号に対して補助記号を付与しながら動作プログラムを生成することができる。本実施の形態の補助記号を採用することにより、作業者は、補助記号にて定められるロボット装置の制御または動作を視覚的に把握することができる。特に、作業者は、ロボット装置にて特定の作業が実施される区間を容易に理解することができる。この結果、動作プログラムを生成する作業の効率が向上する。
【0054】
補助アイコン72pは、ロボット装置の動作を付加する制御を示している。ロボット装置の動作を付加する制御を示す補助アイコンを採用することにより、ロボット装置の複数の動作を分離して設定することができる。例えば、作業ツールが行う作業とロボットの位置および姿勢の変更とを分離して設定することができる。また、ロボット装置の動作が設定されている動作プログラムに補助アイコンを追加することができる。このために、動作プログラムを生成しやすくなり、動作プログラムを生成する作業の効率が向上する。補助アイコンにて追加する動作としては、作業ツールの動作に限られず、ロボット装置に含まれる任意の装置の動作を採用することができる。例えば、ロボット装置が、ワークを回転するポジショナなどの補助装置を含む場合に、補助装置の動作を示す補助アイコンを採用することができる。
【0055】
図8に、補助記号を説明するための動作プログラムを示す。動作プログラム73では、複数の動作アイコン73c~73eに対して、補助アイコン73pが設定されている。全ての動作アイコン73a~73eおよび補助アイコン73pは、ロボット装置の動作の順に1つの行に並べて表示されている。本実施の形態では、動作アイコン73a~73eおよび補助アイコン73pが並ぶ行は、表示部33aの画面の横方向に延びている。すなわち、動作アイコン73a,73bおよび補助アイコン73pは、表示部33aの縦方向に並べて表示されずに、表示部33aの横方向に並べて表示される。補助アイコン73pの内部においても、動作アイコン73c~73eは、行の方向に並べて表示されている。
【0056】
このように、全ての動作アイコンおよび補助アイコンは、1つの行に並べて表示されることができる。この表示の制御を適用することにより、作業者は、動作プログラムの画像を行の延びる方向に移動することにより、時系列にロボット装置の動作を把握することができる。また、動作プログラムが行の延びる方向と垂直な方向に長くなって、動作プログラムと情報表示領域とが同時に見えなくなることを回避できる。作業者は、動作プログラムと情報表示領域とを同時に見ることができるために、動作プログラムを作成する作業の効率が向上する。
【0057】
図9に、補助アイコンを閉じたときの動作プログラムを示す。補助アイコン73pは、作業者の操作により閉じることができる。例えば、作業者が補助アイコン73pを2回連続して押すことにより、補助アイコン73pを閉じた状態にすることができる。また、作業者は、閉じた補助アイコン73pを連続して2回押すことにより、
図8に示すように元の状態に戻すことができる。
【0058】
補助アイコン72pが多くの動作アイコン73c~73eを挟む場合に、補助アイコン72pは、表示部33aの横方向に長く延びる。この場合に、補助アイコンを閉じることにより、ロボット装置の複数の動作を小さく纏めることができる。補助アイコンを閉じることにより、補助アイコンにて指定される区間の動作アイコンを1つの補助アイコンとして表示することができる。動作プログラムを簡潔に表現することができる。また、作業者は、補助アイコンにて指定されるロボット装置5の動作の前後の動作を容易に確認することができる。
【0059】
図10に、本実施の形態のロボット装置にて溶接を実施するための他の動作プログラムを示す。動作プログラム74においては、溶接を行っている期間のうち一部の期間においてウィービングを実施する。ウィービングは、溶接トーチが移動経路に沿って進行している期間中に、移動経路に交差する方向に溶接トーチを往復移動させる溶接方法である。ウィービングは、例えば大きなビードを形成する場合に好適である。ウィービングを示す補助アイコン74qは、動作アイコン74cを挟んでいる。また、溶接を示す補助アイコン74pは、動作アイコン74bと補助アイコン74qとを挟んでいる。動作プログラム74において、複数の補助アイコン74p,74qおよび動作アイコン74a~74cは、1つの行に並べて表示されている。
【0060】
図11に、ウィービングの開始および終了を制御する補助アイコンの設定画面を示す。画像64においては、ウィービングを行うための補助アイコン74qが選択されて、詳細のタブ112が選択されている。画像64の情報表示領域には、設定情報84が表示されている。
【0061】
設定情報84は、ウィービングを行うための設定値を含む条件を含む。ここでの例では、溶接トーチが進行方向に対して移動するパターンとしてサイン型が設定されている。また、溶接トーチが振動する周波数、およびウィービングを行うときの溶接線から振動の端までの距離である振り幅が設定されている。また、右タイマーは、ウィービングを行うときの右側の端での溶接トーチの停止時間を示している。左タイマーは、ウィービングを行うときの左側の端での溶接トーチの停止時間を示している。
【0062】
図10を参照して、動作プログラム74では、動作アイコン74aによりロボット1の位置を変更した後に、補助アイコン74pにて溶接を開始する。そして、溶接を実施しながら、動作アイコン74bにてロボット1の位置を直線状に移動する。この後に、ウィービングの開始と終了とを示す補助アイコン74qによって、ウィービングを開始する。そして、ウィービングを行いながら動作アイコン74cにて指定される位置までロボット1の位置が移動する。ロボット1の位置が動作アイコン74cにて指定される位置まで移動した時にウィービングを終了する。さらに、補助アイコン74pにより溶接を終了する。
【0063】
このように、補助記号の内部に他の補助記号を挿入することができる。換言すると、複数の補助記号を含む動作プログラムにおいて、第1の補助記号は、少なくとも1個の動作記号を指定すると共に、第2の補助記号は、第1の補助記号を指定することができる。また、第2の補助記号により挟まれた第1の補助記号についても動作の条件を作業者が設定することができる。この構成を採用することにより、複数の補助記号を組み合わせて制御を実施することができる。1つの制御を行っている期間中に、他の制御を実施したり、他の動作を付け加えたりすることができる。
【0064】
次に、動作記号による動作に対する制御を示す補助記号について説明する。この制御では、動作記号による動作は変更せずに、例えば、動作記号による動作を繰り返したり、予め定められた条件に従って動作を選択したりする。
図12に、ロボット装置の動作を繰り返す制御を示す補助記号を含む動作プログラムを示す。
図13に、
図12に示す動作プログラムをテキスト形式にて記載した動作プログラムを示す。
図12および
図13を参照して、動作プログラム75,95では、変数R[1]が1からR[2]になるまで、3種類の直線移動を繰り返す。
【0065】
動作プログラム75は、動作アイコン75a~75cと、補助アイコン75pとを含む。それぞれの動作アイコン75a~75cは、直線状の移動を示す動作記号である。補助アイコン75pは、ロボット装置の予め定められた動作を繰り返す制御を示す補助記号である。動作プログラム95の1行目および5行目の指令文は、補助アイコン75pに対応する。動作プログラム95の2行目の指令文から4行目の指令文は、動作アイコン75a~75cに対応する。
【0066】
図14に、ロボット装置の動作を繰り返す補助アイコンの設定画面を示す。画像65においては、補助アイコン75pが選択されて、詳細のタブ112が選定されている。情報表示領域に、ロボット装置の動作を繰り返すための条件を含む設定情報85が表示されている。作業者は、設定画面にて設定情報85を設定することができる。
【0067】
このように、補助アイコン75pを採用することにより、ロボット装置の動作を予め定めた条件にて繰り返すことができる。補助アイコン75pの設定画面において、動作の繰り返しの条件を設定することができる。
【0068】
図15に、予め定められた条件に従ってロボット装置の動作を選択する動作プログラムを示す。
図16に、
図15に示す動作プログラムをテキスト形式にて記載した動作プログラムを示す。
図15および
図16を参照して、動作プログラム76,96においては、予め定められた条件に従って互いに異なる直線状の移動を実施する。
【0069】
動作プログラム76は、動作記号としての動作アイコン76a~76fを含む。動作プログラム76は、補助記号としての補助アイコン76pを含む。補助アイコン76pは、1つの動作アイコン76a~76cのグループと他の動作アイコン76d~76fのグループとを指定するように分割線を有する。補助アイコン76pは、1つの行の方向に沿って表示部33aの画面の横方向に延びる形状を有する。すなわち、補助アイコン76pは、1つのグループと前記他のグループとが1つの行に並べて表示される形状を有する。
【0070】
補助アイコン76pは、予め定められた条件に合致するか否かを判定する制御を示す。補助アイコン76pにより指定された条件に合致する場合には、ロボット装置は、前の区画に配置された動作アイコン76a~76cにて示される動作を実施する。補助アイコン76pにより指定された条件に合致しない場合には、ロボット装置は、後の区画に配置された動作アイコン76d~76fにて示される動作を実施する。
【0071】
テキスト形式の動作プログラム96は、1行目の指令文から9行目の指令文を含む。1行目の指令文、5行目の指令文、および9行目の指令文は、動作プログラム76における補助アイコン76pに対応する。2行目から4行目の指令文は、動作アイコン76a~76cに対応する。6行目から8行目の指令文は、動作アイコン76d~76fに対応する。
【0072】
図17に、動作の選択を判定する補助アイコンの設定画面を示す。画像66においては、補助アイコン76pが選択されて、詳細のタブ112が選択されている。情報表示領域には、設定情報86を設定する設定画面が表示されている。設定情報86は、判定を行う条件を含む。
【0073】
図15から
図17を参照して、デジタル入力を示す変数DI[1]がONに設定されているときに、動作アイコン76a~76cにて指定される動作を実施する。そして、変数DI[1]がONでなければ、動作アイコン76d~76fにて指定される動作を実施する。
【0074】
このように、補助アイコン76pを用いることにより、所定の条件に従ってロボット装置の動作を選択することができる。また、補助アイコン76pの設定画面において、判定を行うための条件を設定することができる。
【0075】
図18に、予め定められた条件にてロボットの動作を変更する参考例の動作プログラムを示す。参考例の動作プログラム176は、ロボットの動作に対する制御を実施する制御アイコンとしての分岐アイコン176s,176tを含む。分岐アイコン176s,176tは、
図15に示す補助アイコン76pによる制御と同様の制御を示す。分岐アイコン176sはロボットの動作の流れの分岐の開始を示し、分岐アイコン176tは分岐の終了を示す。分岐アイコン176sにおいて、予め定められた条件に合致した場合には、動作アイコン76a~76cにて指定される動作を実施する。予め定められた条件に合致しない場合には、動作アイコン76d~76fにて指定される動作を実施する。
【0076】
参考例の動作プログラム176では、ロボット装置の動作に対する制御の開始の指令が1つのアイコンにて表示され、制御の終了の指令が1つのアイコンにて表示されている。また、ロボット装置の動作が並ぶ行が分岐されている。ロボット装置の動作が2行にて表示されている。参考例の動作プログラム176では、ロボット装置の動作を示す動作記号が複数の行にて表示されている。
【0077】
参考例の動作プログラム176では、動作プログラム176が複数の行にて表示されているために、詳細な情報を表示する情報表示領域が小さくなる。例えば、基準動作アイコンを表示する領域または動作アイコンの情報を詳細に設定する領域が小さくなるために、作業者は、スクロールバー等を操作して情報表示領域に表示される情報を見る必要がある。このために、作業者は動作プログラムを作成しにくくなる。これに対して、
図15に示す補助アイコン76pを含む動作プログラム76では、全ての動作アイコン76a~76fおよび補助アイコン76pが1つの行に並べて表示されるために、情報表示領域が小さくなることを回避できる。この結果、作業者は、動作プログラムを生成する作業の効率が向上する。
【0078】
図19に、ロボット装置の動作の選択を行う複数の補助アイコンを含む動作プログラムを示す。動作プログラム77は、動作アイコン77a~77cと、補助アイコン77p,77qとを含む。それぞれの補助アイコン77p,77qは、予め定められた条件にてロボット装置の動作を選択する制御を示す。動作プログラム77において、複数の補助アイコン77p,77qおよび動作アイコン77a~77cは、1つの行に並べて表示されている。
【0079】
この制御では、補助アイコン77pにて指定された条件に合致する場合には、補助アイコン77qの判定に移行する。そして、補助アイコン77qにて指定される条件に合致する場合には、動作アイコン77a,77bによる動作が実施される。この後に、制御は、補助アイコン77pの後の動作に移行する。補助アイコン77qにて指定される条件に合致しない場合には、動作アイコン77a,77bによる動作を実施せずに、制御は、補助アイコン77pの後の動作に移行する。一方で、補助アイコン77pにて指定される条件に合致しない場合には、動作アイコン77cによる動作が実施される。
【0080】
第1の補助記号としての補助アイコン77qは、動作アイコン77a,77bを指定している。また、第2の補助記号としての補助アイコン77pは、補助アイコン77qを指定している。動作プログラム77では、1つの補助アイコン77pの内側に、他の補助アイコン77qが配置されている。このように、判定の制御を行う複数の補助アイコンを組み合わせることができる。
【0081】
図20に、種類の異なる補助記号を組み合わせた動作プログラムを示す。動作プログラム78は、動作アイコン78a~78cと、動作アイコン78d~78fとを含む。また動作プログラム78は、予め定められた条件にてロボット装置の動作を選択する補助アイコン78pと、ロボット装置の動作を繰り返す制御を行う補助アイコン78qとを含む。動作プログラム78においても、1つの補助アイコン78pの内側に他の補助アイコン78qが配置されている。複数の補助アイコン78p,78qおよび動作アイコン78a~78fは、1つの行に並べて表示されている。
【0082】
動作プログラム78においては、補助アイコン78pにて指定される条件と合致する場合には、補助アイコン78qにより動作アイコン78a~78cによる動作が繰り返される。補助アイコン78pにて指定される条件と合致しない場合には、動作アイコン78d~78fによる動作が実行される。
【0083】
次に、動作記号にて指定されたロボット装置の動作を補正する補助記号について説明する。
図21に、本実施の形態における他のロボット装置の斜視図を示す。ロボット装置7においては、ロボット1にハンド3が取り付けられている。ハンド3は、吸着によりワーク91を把持する。その他のロボット装置の構成は、
図1および
図2に示すロボット装置の構成と同様である。
【0084】
ロボット装置7は、コンベアなどにて搬送されるワーク91を、予め定められた領域に積むパレタイジングを実施する。ワーク91が積まれる領域において、矢印161はワーク91の行の方向を示し、矢印162はワーク91の列の方向を示し、矢印163はワーク91の段の方向を示す。本実施の形態のロボット装置7は、4行、3列、および4段にてワーク91を積む作業を実施する。
【0085】
図22に、ワークを積む領域を説明する斜視図を示す。
図22には、ワーク91を積むための行、列、および段に関して、端の位置に配置されるワーク91を示している。例えば、1行目、1列目、および1段目におけるワーク91の位置は、[1,1,1]にて表すことができる。4行目、1列目、および1段目におけるワーク91の位置は、[4,1,1]にて表すことができる。
【0086】
図21および
図22を参照して、ロボット1が駆動することによりツール先端点(ロボット1の位置)は、始めに移動点131に移動する。次に、ツール先端点は、移動点131から移動点132を経由して移動点133に移動する。ロボット装置7は、移動点133において、ワーク91を把持する。次に、ロボット装置7のツール先端点は、移動点132を経由して移動点134に移動する。
【0087】
図23に、1個のワークを積む時のロボット装置の動作を説明する斜視図を示す。
図21から
図23を参照して、移動点134は、接近点に相当する。ロボット装置7は、矢印164に示すように、ワーク91を積むための積み点としての移動点135にツール先端点を移動する。移動点135において、ロボット装置7は、ワーク91を解放することにより、ワーク91を積み点に配置する。
【0088】
次に、ロボット装置7は、矢印165に示すように、ツール先端点を逃げ点としての移動点136に移動する。この後に、ロボット装置7のツール先端点は、移動点132を経由した後に、移動点131に戻る。ロボット装置7は、この動作を繰り返すことにより、ワーク91を所定の領域に1個ずつ積むことができる。
【0089】
図23に示す制御においては、1行目、1列目、および1段目の積み点において、ワーク91が配置されている。本実施の形態においては、接近点としての移動点134、積み点としての移動点135、および逃げ点としての移動点136を、ワーク91を配置すべき位置に従って補正する。ロボット制御装置4は、
図22に示される4個の端の位置が設定されると、4個の位置の補間により、ワーク91を配置するための全ての位置を算出することができる。ロボット制御装置4は、この位置がワーク91の積み点の位置になるように、ロボット1の位置を補正する。
【0090】
図24に、他のワークを積む時のロボット装置の動作を説明する斜視図を示す。
図24は、2行目、1列目、および1段目の積み点にワークを配置する動作を示している。ロボット装置7がワーク91を配置する位置を補正する制御としては、ロボット制御装置4が、行、列、または段の方向に位置を補正しながらワークを配置しても構わない。例えば、ロボット制御装置4は、
図23に示す1行目の位置から行の方向に位置を補正して、
図24に示す2行目の位置を算出しても構わない。
【0091】
本実施の形態のロボット装置7は、ロボット1の位置を補正して1列目のワークを配置することができる。ロボット装置7は、1列目のワークの配置が完了した後に、同様の制御により2列目および3列目のワークを配置することができる。1段目のワークの配置が完了した後には、ロボット装置7は、2段目から4段目までのワークを配置することができる。なお、ワークを積む順序は任意の順序を設定することができる。また、ワークの個数については任意の個数を設定することができる。
【0092】
図25に、パレタイジングを行うための動作プログラムを示す。動作プログラム79は、動作アイコン79a~79kを含む。動作アイコン79aは、移動点131までの移動を示している。動作アイコン79b,79cは、移動点131から移動点133までの移動を示している。動作アイコン79dは、ハンド3がワーク91を把持する動作を示している。動作アイコン79eは、移動点133から移動点132までの移動を示している。
【0093】
次に、パレタイジングのためにロボット1の位置を補正する制御を実施する。動作プログラム79は、ロボット1の位置を補正するための補助アイコン79pを含む。補助アイコン79pは、動作アイコン79f~79iを指定している。動作アイコン79fは、接近点としての移動点134への移動を示している。動作アイコン79gは、積み点としての移動点135への移動を示している。動作アイコン79hは、ハンド3がワーク91を解放する動作を示している。動作アイコン79iは、逃げ点としての移動点136への移動を示している。
【0094】
動作アイコン79f,79g,79iの設定画面では、移動点134、移動点135、および移動点136が予め定められた相対的な位置になるように、ロボット1の位置および姿勢が設定されている。たとえば、動作アイコン79f,79g,79iの設定情報では、接近点、積み点、および逃げ点が、
図23に示すような相対位置になるように座標値が設定されている。
【0095】
図26に、ロボット装置の動作の補正を行う補助アイコンの設定画面を示す。
図26は、スクロールバーの操作により見ることができる全体の画像を示している。作業者が補助アイコン79pを選択することにより、詳細のタブ112が選択されている。画像69の設定画面には、設定情報89が表示されている。設定情報89には、ロボット装置7の動作の補正に関する情報が設定されている。
図22および
図26を参照して、設定情報89には、ワーク91を配置する領域の端になる移動点の位置が含まれる。設定情報89は、位置情報89a~89dを含む。それぞれの位置情報89a~89dは、位置[1,1,1]の座標値、位置[4,1,1]の座標値、位置[1,3,1]の座標値、および位置[1,1,4]の座標値を含む。ロボット制御装置4は、ワークを配置する端となる位置を補間することにより、ワーク91を配置する位置を算出する。
【0096】
ロボット制御装置4は、ワーク91を配置する1つの位置を選定する。ロボット制御装置4は、動作アイコン79f,79g,79iにて設定された目標となる移動点の位置を補正する。ロボット制御装置4は、ワーク91を配置する位置が積み点である移動点135と一致するように、逃げ点、接近点、および積み点の位置を補正する。
【0097】
ロボット制御装置4は、算出した逃げ点、接近点および積み点を通るように、ロボット1の位置を変更しながら、ワーク91を配置する。このように、補助アイコン79pは、ロボットの位置を補正する機能を指定することができる。なお、補助アイコンにて、ロボットの姿勢を補正する機能を指定しても構わない。
【0098】
図25を参照して、動作プログラム79は、動作アイコン79j,79kを含む。補助アイコン79pによるワーク91の配置が終了した後に、ロボット装置7のツール先端点は、動作アイコン79j,79kにより、逃げ点としての移動点136から移動点132を通って移動点131まで移動する。
【0099】
ロボット制御装置4は、1つのワーク91の配置が終了した後には、動作プログラム79を繰り返すことができる。本実施の形態においては、48個のワーク91を配置するために、動作プログラム79を48回繰り返すことができる。この制御を実施するために、動作プログラムにおいて、ロボット装置の動作を繰り返す補助アイコンを配置しても構わない。または、他の動作プログラムにて動作プログラム79を呼び出して、複数回にて動作プログラム79を実施するように設定しても構わない。
【0100】
補助アイコン79pは、ロボット装置の動作を補正する制御を示している。この補助アイコンを採用することにより、作業者は、ロボット装置の基本的な動作を動作アイコンにて定めておくことができる。基本的な動作を基準にしてロボット装置の動作を補正することができる。全てのロボット装置の動作を動作アイコンにて指定した場合には、数多くの動作アイコンを作成する必要が有る。しかしながら、ロボット装置の動作を補正する制御を示す補助アイコンを採用することにより、動作アイコンの個数を減らすことができる。また、作業者は、動作プログラムの作成が容易になり、動作プログラムを生成する作業の効率が向上する。
【0101】
上記の補助アイコン79pは、ロボットの動作を補正する制御を示しているが、この形態に限られない。補助アイコンは、作業ツールの動作を補正する制御を示していても構わない。更に、動作アイコンにて定められるロボット装置の動作を補正する任意の制御を実施することができる。例えば、センサから取得される情報に基づいて、ロボットの位置および姿勢を補正する制御を実施することができる。センサとしては、視覚センサ、振動センサ、および力センサなどを採用することができる。例えば、視覚センサにてロボット装置が把持するワークの位置のずれ量を検出する。ロボット制御装置は、ワークの位置のずれ量に基づいて、ロボットの位置および姿勢を補正する制御を実施することができる。このようなロボットの動作の補正を行う補助アイコンを動作プログラムに含めることができる。
【0102】
図27に、動作アイコンによる動作を無効にする補助アイコンを含む動作プログラムを示す。動作プログラム171は、動作アイコン171a~171cを含む。動作プログラム171は、動作記号による動作の指令を無効にする補助記号としての補助アイコン171pを含む。補助アイコン171pにて指定される動作アイコン171bの動作を無効にすることができる。
図27に示す例においては、動作プログラム171を実行すると、動作アイコン171aによるロボット1の動作を行う。次に、動作アイコン171bによるロボット1の動作を行わずに、動作アイコン171cによるロボット1の動作が行われる。このように、動作記号による動作に対する予め定められた制御として、動作記号による動作の指令を無効にするための補助記号を設定することができる。
【0103】
図28に、動作アイコンにコメントを追加する補助アイコンを含む動作プログラムを示す。動作プログラム172は、動作アイコン172a~172cと、補助アイコン172pを含む。補助アイコン172pは、ロボット装置の動作に対して説明文を表示する機能を有する。補助アイコン172pを配置しても、ロボット装置の動作は変化しない。
図28に示す例においては、補助アイコン172pにより、ロボット1の位置の移動の開始と移動の終了とが表示されている。このように、動作プログラムには、説明文を表示する補助アイコンが含まれていても構わない。
【0104】
前述の実施の形態においては、動作アイコンおよび補助アイコンは、表示部の画面の横方向に並んで表示されている。すなわち、動作アイコンおよび補助アイコンが1つの行に並べて表示され、動作プログラムが1つの行にて生成されているが、この形態に限られない。動作アイコンおよび補助アイコンは、1つの列に並べて表示されても構わない。次に、動作アイコンおよび補助アイコンが1つの列に並べて表示される例について説明する。
【0105】
図29に、動作プログラムが縦方向に表示される携帯端末の画像を示す。画像67は、
図7に示す画像62と同様の内容を表示している。画像67には、ロボット装置の動作を付加する補助記号としての補助アイコン72pを含む動作プログラム72が表示されている。画像67では、全ての動作アイコン72a~72cおよび補助アイコン72pが、ロボット装置の動作の順に1つの列に並べて表示されている。表示部33aの画面の左側の端部には、プログラム表示領域67aが設定されている。プログラム表示領域67aでは、動作アイコン72a~72cおよび補助アイコン72pが縦方向に並ぶように動作プログラム72が表示されている。プログラム表示領域67aの右側には、動作プログラム72の生成に関する詳細な情報を表示する情報表示領域67bが設定されている。
【0106】
図30に、動作プログラムが縦方向に表示される携帯端末の他の画像を示す。画像68は、
図15および
図17に示す画像に対応する。画像68には、動作プログラム76が表示されている。動作プログラム76は、動作記号による動作に対する予め定められた制御を実施する補助記号としての補助アイコン76pを含む。作業者は、スクロールバー68cを移動することにより、動作プログラム76の任意の部分を見ることができる。補助アイコン76pは、1つの動作アイコン76a~76cのグループと他の動作アイコン76d~76fのグループとが1つの列に並べて表示される形状を有する。
【0107】
画像68においても、全ての動作アイコン76a~76fおよび補助アイコン76pが、ロボット装置の動作の順に1つの列に並べて表示されている。プログラム表示領域68aでは、動作アイコン76a~76dおよび補助アイコン76pが縦方向に並ぶように動作プログラム76が表示されている。プログラム表示領域68aの右側には、動作プログラム76の生成に関する詳細な情報を表示する情報表示領域68bが設定されている。
【0108】
このように、動作アイコンおよび補助アイコンが1つの列に並べて表示されるプログラム生成装置においても、作業者は、補助アイコンにて指定される区間を容易に理解することができる。また、作業者は、動作プログラムと情報表示領域とを同時に見ることができる。このために、動作プログラムを作成する効率が向上する。その他の構成、作用および効果は、前述の動作アイコンおよび補助アイコンが、1つの行に並べて表示される制御と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0109】
また、動作プログラムは、
図18に示す参考例のように複数の行に分岐する制御アイコンを含んでいても構わない。または、動作プロブラムは、複数の列に分岐する制御アイコンを含んでいても構わない。このような制御アイコンを含む動作プログラムにおいても、ロボット装置の動作を付加する制御を示す補助アイコンを含むことができる。また、動作プログラムは、動作記号にて定められるロボット装置の動作を補正する制御を示す補助アイコンを含むことができる。
【0110】
上記の実施の形態においては、動作プログラムを初めから生成する方法について説明を行ったが、この形態に限られない。本実施の形態の構成は、過去に生成した動作プログラムを修正することにより、新たな動作プログラムを生成するプログラム生成装置にも適用することができる。
【0111】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
【符号の説明】
【0112】
1 ロボット
2,3 ハンド
4 ロボット制御装置
5,7 ロボット装置
6 携帯端末
31 記憶部
33 表示器
33a 表示部
33b 入力部
49 教示操作盤
49a 表示部
49b 入力部
61,62,64,65,66,67,68,69 画像
61a,62a,67a,68a プログラム表示領域
61b,62b,67b,68b 情報表示領域
71~79,171 動作プログラム
71a~71c,72a~72c,73a~73e,74a~74c,75a~75c,76a~76f,77a~77c,78a~78f,79a~79k,171a~171c 動作アイコン
72p,73p,74p,74q,75p,76p,77p,77q,78p,78q,79p,171p 補助アイコン
81,82,84,85,86,89 設定情報