IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミルボンの特許一覧

<>
  • 特許-評価方法及び製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】評価方法及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20240416BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240416BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20240416BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
G01N33/50 Z ZNA
G01N33/15 Z
A61Q5/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019226454
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021013372
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019128825
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】永見 恵子
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 勇希
【審査官】牧野 晃久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-031482(JP,A)
【文献】国際公開第2012/060323(WO,A1)
【文献】特開2013-010693(JP,A)
【文献】HIDA T. et al.,Rab7 is a critical mediator in vesicular transport of tyrosinase-related protein 1 in melanocytes,Journal of Dematology,2011年,Vol.38,p.432-441
【文献】Nguyen Dinh Thang et al.,Polygonum multiflorum root extract as a potential candidate for treatment of early graying hair,Journal of Advanced Pharmaceutical Technology & Research,2017年,Vol.8, Issue 1,p.8-13
【文献】Adila Tuerxuntayi et al.,Kaliziri extract upregulates tyrosinase, TRP-1, TRP-2 and MITF expression in murine B16 melanoma cells,BMC Complementary and Alternative Medicine,2014年,Vol.14,p.1-9
【文献】Tomohiro ITOH et al.,Hot-Water Extracts from Adzuki Beans (Vigna angularis) Stimulate Not Only Melanogenesis in Cultured Mouse B16 Melanoma Cells but Also Pigmentation of Hair Color in C3H Mice,Biosci. Biotechnol. Biochem.,2005年,Vol.69, No.5,p.873-882
【文献】Susumu TAKEKOSHI et al.,Flavonoids Enhance Melanogenesis in Human Melanoma Cells,Tokai J Exp Clin Med,2014年,Vol.39, No.3,p.116-121
【文献】田口暢彦、畑俊宏,白髪改善・白髪防止剤の開発,FRAGRANCE JOURNAL,2017年,p.38-45
【文献】武田俊祐、出田立郎,白髪化のメカニズムとその制御成分の開発,FRAGRANCE JOURNAL,2004年,p.40-45
【文献】YAMAGUCHI Y. et al,Physiological factors that regulate skin pigmentation,Biofactors. Author manuscript,2010年03月01日,Vol.35, No.2,p.193-199
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
G01N 33/00- 33/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪用組成物、又は毛髪及び頭皮用組成物に配合される評価対象の成分の評価方法であって、
評価対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(A)、並びに、比較対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(B)を測定し、
前記メラニン合成遺伝子が、preproendothelin1遺伝子であり、
前記メラニン輸送遺伝子が、MLPH遺伝子であり、
前記発現量(A)と前記発現量(B)とを比較し、
前記発現量(A)が前記発現量(B)に比べて増加していた場合には、評価対象の成分は比較対象の成分よりも、preproendothelin1遺伝子及び/又はMLPH遺伝子の発現を促進する作用を有すると評価することを特徴とする、
毛髪用組成物、又は毛髪及び頭皮用組成物に配合される評価対象の成分の評価方法。
【請求項2】
毛髪用組成物、又は毛髪及び頭皮用組成物に配合される評価対象の成分の評価方法であって、
評価対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(A)、並びに、比較対象の成分を添加しない細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(B)を測定し、
前記メラニン合成遺伝子が、preproendothelin1遺伝子であり、
前記メラニン輸送遺伝子が、MLPH遺伝子であり、
前記発現量(A)と前記発現量(B)とを比較し、
前記発現量(A)が前記発現量(B)に比べて増加していた場合には、評価対象の成分は、preproendothelin1遺伝子及び/又はMLPH遺伝子の発現を促進する作用を有すると評価することを特徴とする、
毛髪用組成物、又は毛髪及び頭皮用組成物に配合される評価対象の成分の評価方法。
【請求項3】
前記評価方法が、毛髪の色調変化を抑制する成分を判別するための評価方法である請求項1又は2に記載の評価方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の評価方法により評価対象の成分を評価する工程と、
前記工程により評価された評価対象の成分を配合し、毛髪用組成物、又は毛髪及び頭皮用組成物を製造する工程とを備える、
毛髪用組成物、又は毛髪及び頭皮用組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価方法、及び当該評価方法で評価された成分を配合する毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪用及び/又は頭皮用組成物には、様々な効能を有するものが提供されている。毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分について、新規の成分や公知の成分であるかを問わず、いかなる効能が得られるかの関心の度合いは高い。
毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の効能は、官能的に評価されるのが通常であるが、官能評価を用いた効能の評価が困難な場合があるため、官能評価によらない成分の評価方法が必要となる。
【0003】
官能評価によらない成分の評価方法としては、例えば、ケラチン毛のカルボニル化度を評価する方法を用いて、毛髪のカルボニル化度を低下させる成分のスクリーニング方法が提案されている(特許文献1:特許請求の範囲等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-222248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分について、官能評価によらずに効能を評価する方法が要望されている。
【0006】
本発明の課題は、上記事情に鑑み、官能評価によらずに毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価方法を提供することである。また、本発明の別の課題は、上記評価方法により評価された成分が配合された毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、毛髪用及び/又は頭皮用組成物に求められる効能の一つである「毛髪の色調変化の抑制」について研究を進め、上記課題に基づき、毛髪の色調変化に関係するメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子に着目した評価方法を鋭意検討した。上記検討の結果、評価対象の成分を添加した細胞、及び、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞から、それぞれメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量を測定し、各々の細胞における各遺伝子の発現量を比較すれば、毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価が可能であることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明の評価方法は、
毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価方法であって、
評価対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(A)、並びに、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(B)を測定し、
前記発現量(A)と前記発現量(B)とを比較することを特徴とする、
毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価方法である。
【0009】
本発明の評価方法は、例えば、毛髪の色調変化を抑制する成分を判別するための評価方法である。
【0010】
本発明の評価方法は、例えば、メラニン合成遺伝子が、TYR遺伝子、DCT遺伝子、TYRP1遺伝子、MITF遺伝子、Pmel17遺伝子、及びpreproendothelin1遺伝子の群から選ばれる1種又は2種以上である。
【0011】
本発明の評価方法は、例えば、メラニン輸送遺伝子が、Rab27A遺伝子、MYO5A遺伝子、MLPH遺伝子、及びSlp2-a遺伝子の群から選ばれる1種又は2種以上である。
【0012】
本発明の毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法は、上記の評価方法により評価された成分が配合された毛髪用及び/又は頭皮用組成物を製造する方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、官能評価によらずに毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価方法が提供できる。また、本発明によれば、前記評価方法により評価された成分を配合した毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】色調が濃い群の毛髪と色調が薄い群の毛髪との毛根部におけるMITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、MLPH遺伝子の発現量の比較。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
【0016】
本発明者らは、毛髪の色調変化に関する研究において、目視観察で白髪に見える毛髪を詳細に観察すると、色調が薄い毛髪と色調が濃い毛髪とが存在することを発見した。また、色調が薄い毛髪と色調が濃い毛髪との違いを明らかにするため、それぞれの毛髪における毛根部の細胞におけるメラニン合成遺伝子及びメラニン輸送遺伝子の発現量を調べたところ、色調が薄い毛髪と色調が濃い毛髪とでは上記遺伝子の発現量が異なるとの知見を得た(図1)。
【0017】
さらに、本発明者らは、上記知見に基づいて毛髪の色調変化の抑制について研究を進め、毛髪の色調変化に関係するメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子に着目した評価方法を鋭意検討したところ、評価対象の成分を添加した細胞、及び、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞から、それぞれメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量を測定し、各々の細胞における各遺伝子の発現量を比較すれば、毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価が可能であることを見出し、本実施形態に係る評価方法を着想した。また、本実施形態に係る評価方法により評価された成分を配合した毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法を着想した。
以下の記載において、本実施形態の評価方法及び製造方法を示す。
【0018】
(評価方法)
本実施形態に係る評価方法は、
毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分の評価方法であって、
評価対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(A)、並びに、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(B)を測定し、
前記発現量(A)と前記発現量(B)とを比較することを特徴とするものである。
なお、用語「及び/又は」は、両方又はいずれか一方を指す(以下の記載においても同様)。
【0019】
本実施形態に係る評価方法は、例えば、毛髪の色調変化を抑制する成分を判別するための評価方法である。また、本実施形態に係る評価方法の別の一例としては、加齢に伴い生じる白髪に対する毛髪の色調変化を抑制する成分を判別するための評価方法である。
【0020】
(成分)
本実施形態の評価方法に係る毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合される成分は、毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合可能な成分であれば、特に限定されない。そのため、上記成分として、例えば、毛髪用及び/又は頭皮用の化粧品、医薬部外品に配合可能な成分を用いることができる。
【0021】
(評価対象の成分、比較対象の成分)
本実施形態の評価方法では、「評価対象の成分」を必須に用いるが、「比較対象の成分」は用いても良く、用いなくても良い。
「評価対象の成分」は、毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合可能な成分から適宜選定すればよい。「比較対象の成分」を用いる場合には、同様に毛髪用及び/又は頭皮用組成物に配合可能な成分から「比較対象の成分」を適宜選定すればよい。「評価対象の成分」又は「比較対象の成分」としては、単一の成分でもよく、2種以上の成分を含む混合物を用いても良い。
なお、後述する細胞への成分の添加を容易とする観点から、評価対象の成分及び/又は比較対象の成分を溶媒(例えば、水、有機溶媒、又はこれらの混合物等)に溶解して希釈して用いても良い。
【0022】
(細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量の測定)
本実施形態の評価方法では、評価対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(A)、並びに、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(B)を測定する。
【0023】
(細胞)
本実施形態の評価方法に係る細胞は、細胞培養が可能なメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子を発現する細胞であれば特に限定されない。
本実施形態の評価方法に係る細胞としては、例えば、メラノサイト(色素細胞)が挙げられる。メラノサイトは、ヒト由来やその他の動物由来のものを用いることができ、入手が容易な市販のメラノサイト細胞(例えば、正常ヒト表皮メラノサイト細胞、マウスB16メラノーマ細胞等)を用いることができる。
【0024】
本実施形態の評価方法に係る「評価対象の成分を添加した細胞」とは、選定した評価対象の成分を添加した細胞を意味する。添加方法は、適宜設定すればよく、培養細胞の培養液に評価対象の成分を所定濃度となるように添加してから数時間(例えば、3~48時間)経過させたものとしても良い。
本実施形態の評価方法に係る「比較対象の成分を添加した細胞」とは、選定した比較対象の成分を添加した細胞を意味する。添加方法は、適宜設定すればよく、培養細胞の培養液に比較対象の成分を所定濃度となるように添加してから数時間(例えば、3~48時間)経過させたものとしても良い。
本実施形態の評価方法に係る「成分を添加しない細胞」とは、成分(評価対象の成分及び比較対象の成分を含む)を添加しない細胞を意味する。
【0025】
(メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量の測定)
本実施形態の評価方法に係る細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量は、細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量が測定可能な公知の方法により、適宜測定すればよい。
細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量を測定する方法の具体例としては、例えば、評価対象の成分を添加した細胞、及び比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞を、それぞれ、5%CO下の37℃で約3~48時間培養する。その後、各細胞からmRNAを抽出し、メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子、及び内部標準とするハウスキーピング遺伝子(例えば、β-Actin遺伝子、NADPH遺伝子等)の発現量を、各遺伝子を特異的に検出するプライマーを用いたq-PCRにより、定量的に測定を行う。なお、メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量としては、PCR産物間での各遺伝子発現量を標準化する観点から、ハウスキーピング遺伝子の発現量に対するメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量の比を算出した値(ハウスキーピング遺伝子の比(例えば、β-Actin比等))を採用すると良い。
当該測定の結果から、評価対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(A)と、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(B)を得ることができる。
なお、「評価対象の成分を添加した細胞」と、「比較対象の成分を添加した細胞」又は「成分を添加しない細胞」との、後述するメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量の比較をより適切なものとする観点から、添加条件(例えば、添加方法及び添加後の細胞培養時間等)は、同様の条件で行うことが好ましい。
【0026】
(メラニン合成遺伝子)
本実施形態の評価方法に係るメラニン合成遺伝子は、細胞においてメラニンの合成に関与する遺伝子を意味する。メラニン合成遺伝子としては、例えば、TYR遺伝子、DCT遺伝子、TYRP1遺伝子、MITF遺伝子、Pmel17遺伝子、及びpreproendothelin1遺伝子等が挙げられる。
本実施形態の評価方法におけるメラニン合成遺伝子は、TYR遺伝子、DCT遺伝子、TYRP1遺伝子、MITF遺伝子、Pmel17遺伝子、及びpreproendothelin1遺伝子から選ばれる1種又は2種以上とすることができる。
【0027】
TYR遺伝子は、チロシナーゼ(TYROSINASE)をコードする遺伝子である。チロシナーゼは、メラニン色素産生に関わる酵素である。
DCT遺伝子は、ドーパクロムトートメラーゼ(dopachrome tautomerase)をコードする遺伝子である。ドーパクロムトートメラーゼは、メラニン色素産生に関わる酵素である。
TYRP1遺伝子は、チロシナーゼの活性をサポートする役割があるチロシナーゼ関連タンパク質1(TYROSINASE related protein 1)をコードする遺伝子である。チロシナーゼ関連タンパク質1は、チロシナーゼの活性をサポートする役割があり、メラニン色素産生に関わるものである。
毛根部に存在するメラノサイトにおいて、TYR遺伝子、DCT遺伝子、又はTYRP1遺伝子の発現量が増加すれば、細胞内のメラニン色素産生を促進するチロシナーゼ、ドーパクロムトートメラーゼ、又はチロシナーゼ関連タンパク質1が増加することで、メラノサイトにおけるメラニン色素の産生が促進されて、毛幹に供給されるメラニン量が増加するため、毛髪の明度低下に寄与すると考えられる。
【0028】
MITF遺伝子は、MITF(Microphthalmia-associated transcription factor:小眼球症関連転写因子)をコードする遺伝子である。MITFは、TYR遺伝子、DCT遺伝子、TYRP1遺伝子の各遺伝子の発現を制御する役割を持つ転写因子である。
毛根部に存在するメラノサイトにおいて、MITF遺伝子の発現量が増加すれば、TYR遺伝子、DCT遺伝子、TYRP1遺伝子の発現量が増加する結果、メラノサイトにおけるメラニン色素の産生が促進されて、毛幹に供給されるメラニン量が増加するため、毛髪の明度低下に寄与すると考えられる。
【0029】
Pmel17遺伝子は、Pmel17をコードする遺伝子である。Pmel17は、メラノソームにおいて、メラニン色素が沈着する線維を構成する糖タンパク質であり、メラノソームの成熟に関わる。
毛根部に存在するメラノサイトにおいて、Pmel17遺伝子の発現量が増加すれば、Pmel17の発現が増加する結果、メラノソームの成熟が促進されてメラノソームにおけるメラニン色素の貯蔵量が増加することで、毛幹に供給されるメラニン量が増加し、毛髪の明度低下に寄与すると考えられる。
【0030】
preproendothelin1遺伝子は、プレプロエンドセリン1(preproendothelin1)をコードする遺伝子である。プレプロエンドセリン1は、エンドセリン-1の前駆体となるタンパク質であり、細胞内の酵素の働きにより、プレプロエンドセリン1からビックエンドセリンに変換された後、エンドセリン-1となる。エンドセリン-1は、メラノサイトを増殖させる働きがあることが知られている。
毛根部に存在するケラチノサイトにおいて、preproendothelin1遺伝子の発現量が増加すれば、プレプロエンドセリン1の発現が増加する結果、メラノサイトの増殖が促進され、毛幹に供給されるメラニン量が増加するため、毛髪の明度低下に寄与すると考えられる。
【0031】
(メラニン輸送遺伝子)
本実施形態の評価方法におけるメラニン輸送遺伝子は、細胞においてメラニンの輸送に関与する遺伝子を意味する。メラニン輸送遺伝子としては、例えば、Rab27A遺伝子、MYO5A遺伝子、MLPH遺伝子、及びSlp2-a遺伝子等が挙げられる。
本実施形態の評価方法におけるメラニン輸送遺伝子は、Rab27A遺伝子、MYO5A遺伝子、MLPH遺伝子、及びSlp2-a遺伝子から選ばれる1種又は2種以上とすることができる。
【0032】
Rab27A遺伝子は、Rab27Aをコードする遺伝子である。Rab27Aは、低分子量Gタンパク質の一種であり、メラノサイトにおいてメラノソームを輸送する役割がある。
MYO5A遺伝子は、ミオシンVa(myosin VA)をコードする遺伝子である。ミオシンVaは、アクチン依存性のモータータンパク質である。
MLPH遺伝子は、メラノフィリン(Melanophilin)をコードする遺伝子である。メラノフィリンは、Rabタンパク質のエフェクタータンパク質であり、メラノフィリン、Rab27A、及びミオシンVaと三者複合体を形成することで、メラノソームの輸送を促進する。
毛根部に存在するメラノサイトにおいて、Rab27A遺伝子、MYO5A遺伝子、又はMLPH遺伝子の発現量が増加すれば、Rab27A、ミオシンVa、又はメラノフィリンの発現が増加するため、メラノサイトにおけるメラソームの輸送が促進されることで、毛幹に供給されるメラニン量が増加し、毛髪の明度低下に寄与すると考えられる。
【0033】
Slp2-a遺伝子は、Slp2-aをコードする遺伝子である。Slp2-aは、シナプトタグミン様タンパク質(synaptotagmin-like protein)の一種であり、Rab27Aのエフェクター分子としてメラノサイトの細胞膜にメラノソームを結合し、メラノサイトのメラノソームをケラチノサイトや毛母細胞に受け渡す役割がある。
人の毛根部に存在するメラノサイトにおいてSlp2-a遺伝子の発現量が増加すれば、ケラチノサイトや毛母細胞へのメラノソームの受け渡しが促進されて、毛幹に供給されるメラニン量が増加するため、毛髪の明度低下に寄与すると考えられる。
【0034】
(発現量(A)と発現量(B)の比較)
「前記発現量(A)と前記発現量(B)とを比較する」とは、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(B)を基準として、評価対象の成分を添加した細胞におけるメラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量(A)を比較することを意味する。
【0035】
上記発現量(A)と発現量(B)の比較の一例としては、例えば、メラニン合成遺伝子としてMITF遺伝子を用いる場合、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞におけるMITF遺伝子の発現量(B)を基準として、評価対象の成分を添加した細胞におけるMITF遺伝子の発現量(A)を比較することが挙げられる。また、別の一例としては、例えば、メラニン輸送遺伝子としてMLPH遺伝子を用いる場合、比較対象の成分を添加した細胞又は成分を添加しない細胞におけるMLPH遺伝子の発現量(B)を基準として、評価対象の成分を添加した細胞におけるMLPH遺伝子の発現量(A)を比較することが挙げられる。
【0036】
発現量(A)と発現量(B)の比較としては、例えば、発現量(B)を100%としたときの発現量(A)の割合(%)を算出すること等が挙げられる。
また、上記比較において、発現量(A)が発現量(B)に比べて増加していた場合には、評価対象の成分は、メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現を促進する作用を有すると評価可能である。なお、発現量(A)が、比較対象の成分を添加した細胞の発現量(B)に比べて増加していた場合には、評価対象の成分は比較成分よりも、メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現を促進する作用を有すると評価可能である。
上記比較において、例えば、発現量(B)に対する発現量(A)の割合(%)が105%以上(より好ましくは110%以上)であれば、評価対象の成分は、メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現を促進する作用を有すると評価できる。なお、発現量(A)が、比較対象の成分を添加した細胞の発現量(B)に比べて増加していた場合には、評価対象の成分は比較成分よりも、メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現を促進する作用を有すると評価可能である。
【0037】
上記の発現量(A)と発現量(B)の比較においてメラニン合成遺伝子の発現量及びメラニン輸送遺伝子の発現量が両方増加していると評価された場合、評価対象の成分は、比較成分に比べてメラニン合成遺伝子及びメラニン輸送遺伝子の両方の発現を促進すると評価できるから、メラノサイトにおけるメラニン色素の産生とメラソームの輸送が促進されて毛幹に供給されるメラニン量が増加する作用に優れると考えられる。
【0038】
(毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法)
本実施形態の製造方法は、本実施形態の評価方法によって評価された成分を配合する毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法である。
【0039】
(毛髪用及び/又は頭皮用組成物)
本実施形態の製造方法に係る毛髪用及び/又は頭皮用組成物は、毛髪用組成物、頭皮用組成物、又は、毛髪及び頭皮に用いる組成物を意味する。毛髪用組成物とは、毛髪に用いられる組成物を意味する。頭皮用組成物とは、頭皮に用いられる組成物を意味する。
本実施形態の製造方法に係る毛髪用及び/又は頭皮用組成物の具体例としては、例えば、毛髪用及び頭皮用として使用可能なヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアトリートメント、整髪料等が挙げられる。
【0040】
(剤型)
本実施形態の製造方法に係る毛髪用及び/又は頭皮用組成物の剤型は、特に限定されず、例えば、液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、固形状、フォーム状(泡状)、霧状、粉末状等が挙げられる。
【0041】
(毛髪用及び/又は頭皮用組成物の製造方法)
本実施形態の製造方法に係る毛髪用及び/又は頭皮用組成物は、例えば、次の<1>、<2>工程により製造できる。
<1>本実施形態の評価方法を用いて、成分の評価を行う工程。
<2>上記<1>によって評価された成分及び必要に応じてその他の任意成分を配合して、毛髪用及び/又は頭皮用組成物における公知の製造方法を適宜採用して、毛髪用及び/又は頭皮用組成物を製造する工程。
【0042】
なお、上記その他の任意成分とは、化粧品又は医薬部外品に配合可能な公知の成分を指す。その他の任意成分としては、毛髪用及び/又は頭皮用組成物のその用途、目的、剤型等に応じて適宜選択すればよく、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、水等が挙げられる。
【0043】
(使用方法)
本実施形態に係る製造方法で製造された毛髪用及び/又は頭皮用組成物は、公知の毛髪用及び/又は頭皮用組成物の使用方法で使用することができる。
【実施例
【0044】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0045】
(毛根部の遺伝子発現)
ヘルシンキ宣言に則り、倫理委員会の承認を得た同意書に同意した25~64歳の日本人女性の29名(20歳代:1名、30歳代:5名、40歳代:13名、50歳代:9名、60代歳:1名、29名の平均年齢45.1歳)から、5本ずつ白髪の毛髪を抜去した。抜去した毛髪の根元から約0.2~0.4mmまでの長さの毛根部を、光学顕微鏡を用いて400倍に拡大して観察した後、拡大した毛根部の観察像を写真撮影し、毛根部の画像データを得た。続いて、画像解析ソフトウェア(WinROOF2015)を用いて、上記画像データから、根元から約0.2~0.4mmまでの長さの毛根部の平均明度を画像解析した。そして、抜去した毛髪のうち、毛根部の平均明度が75以上100未満のものを「色調が濃い群」、毛根部の平均明度が100以上のものを「色調が薄い群」として選別した。
【0046】
次に、色調が濃い群の毛髪と色調が薄い群の毛髪から、それぞれ毛根部(根元から約5~8mm)を切除した。切除された各毛根部から、Maxwell RSC simplyRNA Cells Kit(プロメガ社製)を用いて、Total RNAの抽出を行った。続いて、抽出したTotal RNAを、GoScript Reverse Transcription System(プロメガ社製)を用いて、cDNAに逆転写した。得られた各cDNAを用いてリアルタイムPCR(Roche社製のLightCycler 96)により、MITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、及びMLPH遺伝子、並びにハウスキーピング遺伝子のβ-Actin遺伝子の各mRNAの発現量を測定した。
なお、MITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、及びMLPH遺伝子の各発現量は、次の計算式に従い、β-Actin遺伝子の発現量を1とした場合の各遺伝子の発現量の比によって求めた。
各遺伝子の発現量(β-Actin比)=(各遺伝子の発現量)/(β-Actin遺伝子の発現量)
【0047】
PCRによる各遺伝子の発現量の測定に用いたプライマーは下記の通りである。
・MITF遺伝子の発現量測定に用いたプライマー
フォワード:5'-CAGGTGCCGATGGAAGTC-3' (配列番号1)
リバース :5'-TGCTAAAGTGGTAGAAAGGTACTGC-3' (配列番号2)
・preproendothelin1遺伝子の発現量測定に用いたプライマー
フォワード:5'-TCTCTGCTGTTTGTGGCTTG-3' (配列番号3)
リバース :5'-GAGCTCAGCGCCTAAGACTG-3' (配列番号4)
・MLPH遺伝子の発現量測定に用いたプライマー
フォワード:5'-GATGGAGAACCTGGCTCAGA-3' (配列番号5)
リバース :5'-GGAGAGGAGGCGCTTTTT-3' (配列番号6)
・β-Actin遺伝子の発現量測定に用いたプライマー
フォワード:5'-TGGCACCCAGCACAATGAA-3' (配列番号7)
リバース :5'-CTAAGTCATAGTCCGCCTAGAAGCA-3' (配列番号8)
【0048】
色調が濃い群の毛髪と色調が薄い群の毛髪における各遺伝子発現の結果を表1及び図1に示す。
なお、表1中の色調が濃い群と色調が薄い群の1段目の数字は各遺伝子の発現量(β-actin比)の平均値を表し、2段目のNの数字は測定数を表す。
図1中における、**はp<0.01、*はp<0.05であることを表す(t検定)。
【0049】
【表1】
【0050】
表1及び図1に示す結果から、色調が濃い群の毛髪は色調が薄い群の毛髪に比べて、メラニン合成に関与する遺伝子のMITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、及びメラニン輸送に関与する遺伝子のMLPH遺伝子の発現量が有意に多かった。
このことから、色調が濃い群の毛髪と色調が薄い群の毛髪とは、メラニン合成又はメラニン輸送に関与する遺伝子の発現に違いがあり、色調が濃い群の毛髪は色調が薄い群の毛髪に比べて、メラニン合成又はメラニン輸送に関与する遺伝子(MITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、MLPH遺伝子)の発現が高くなっていることが理解できる。
【0051】
(成分を用いた遺伝子発現の評価)
次に、表1及び図1の結果から、色調が濃い群の毛髪と色調が薄い群の毛髪で違いがあったメラニン合成遺伝子又はメラニン輸送遺伝子の発現について、メラノサイトを用いた評価方法を行った。当該評価方法は、次に示す[1]~[4]の手順により行った。
【0052】
[1]正常ヒト表皮メラノサイト細胞を正常ヒト表皮メラニン細胞増殖用低血清液体培地(クラボウ社製)に5.0×10cells/mLとなるように調整し、24ウェルプレートに1ウェル当たり各1mLずつ播種した後、37℃、5%CO下で24時間培養した。
[2]培養開始から24時間経過後、試験品1としてクマザサエキス(クマザサ葉エキス1質量%、エタノール49.5質量%、水49.5質量%)を50ppm、試験品2としてキナエキス(キナノキ樹皮エキス1.6質量%、BG48.5質量%、水48.5質量%)を50ppm、試験品3としてタイムエキス(ワイルドタイムエキス0.5質量%、BG49.75質量%、水49.75質量%)を25ppm、試験品4としてヨクイニンエキス(ハトムギ種子エキス0.3質量%、BG49.85質量%、水49.85質量%)を50ppm、又は試験品5としてユリエキス(マドンナリリー根エキス1.36質量%、BG49.32質量%、水49.32質量%)を100ppmの濃度(各培養液におけるppm濃度)となるように、各試験品を各ウェルの培地中に添加した。また、各試験品1~5のコントロールとして、エタノール25%、BG25%、水50%の水溶液を25ppm(比較品1)、50ppm(比較品2)、又は100ppm(比較品3)の濃度となるように別々のウェルの培地中に添加した。各試料の添加後、37℃、5%CO下で24時間培養した。なお、試験品1、2、4のコントロールは比較品2、試験品3のコントロールは比較品1、試験品5のコントロールは比較品3をそれぞれ用いた。
[3]試料添加から24時間経過後、D-PBS(-)を用いて各ウェルを洗浄し、トリプシン/EDTA水溶液(トリプシン 0.025質量%、EDTA 0.01質量%の水溶液)で各々の試料で処理した細胞を回収した。回収した細胞から、Maxwell RSC simplyRNA Cells Kit(プロメガ社製)を用いて、各細胞のTotal RNAの抽出を行った。
[4]抽出したTotal RNAを、GoScript Reverse Transcription System(プロメガ社製)を用いて、cDNAに逆転写した。得られた各cDNAを用いてリアルタイムPCR(Roche社製のLightCycler96)により、MITF、preproendothelin1、及びMLPHの各遺伝子、並びにハウスキーピング遺伝子のβ-Actin遺伝子を内部標準として、各mRNAの発現量を測定した。測定に用いたプライマーは、上記の「毛根部の遺伝子発現」の解析と同じものを用いた(発現量測定に用いたプライマー:MITF遺伝子(配列番号1、2)、preproendothelin1遺伝子(配列番号3、4)、MLPH遺伝子(配列番号5、6)、β-Actin遺伝子(配列番号7、8))。
なお、試験品1~5、比較品1~3におけるMITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、及びMLPH遺伝子の各発現量は、β-Actin遺伝子の発現量を1とした場合の各遺伝子の発現量の比を求めた後、下記計算式によって算出した。
発現量(%)=(発現量(A):試験品1~5のいずれかを添加したものの各遺伝子の発現量(β-Actin比))/(発現量(B):コントロールの比較品1~3のいずれかを添加した場合の各遺伝子の発現量(β-Actin比))×100
【0053】
(評価結果)
成分の評価結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示す結果から、試験品1(クマザサエキス)、試験品2(キナエキス)をそれぞれ細胞に添加したものは、比較品2を添加したものに比べて、メラニン合成遺伝子のMITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、及びメラニン輸送遺伝子のMLPH遺伝子の発現量が増加した。同様に、試験品3(タイムエキス)を細胞に添加したものは、比較品1を添加したものに比べて、MITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、及びMLPH遺伝子の発現量が増加した。
また、試験品4(ヨクイニンエキス)を細胞に添加したものは、比較品2を添加したものに比べて、MITF遺伝子の発現量は減少するものの、preproendothelin1遺伝子、及びMLPH遺伝子の発現量が増加した。試験品5(ユリエキス)は、比較品3を添加したものに比べて、MITF遺伝子、preproendothelin1遺伝子、及びMLPH遺伝子の発現量が減少した。
これらの結果から、メラニン合成遺伝子及び/又はメラニン輸送遺伝子の発現量を用いて、成分の評価が可能であることがわかる。
図1
【配列表】
0007473331000001.app