(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】相対運動をする内部構造を持つシリンダーシステム
(51)【国際特許分類】
F01B 7/20 20060101AFI20240416BHJP
F01B 17/02 20060101ALI20240416BHJP
F01B 23/08 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F01B7/20
F01B17/02
F01B23/08
(21)【出願番号】P 2019567312
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 US2019014029
(87)【国際公開番号】W WO2019126833
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519429196
【氏名又は名称】ハンナ,イブラヒム,ムニール
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ,イブラヒム,ムニール
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-500648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0107894(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008020444(DE,A1)
【文献】特開2017-141836(JP,A)
【文献】特開昭58-183835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01B 7/00
F01B 17/00
F01B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から構成されるメカニカルエンジンシリンダーシステムであって、
内部空間を持つシリンダーと、
前記シリンダーの前記内部空間に配置される内部構造と、
クランクシャフトピストンと、を備え、
ここで、前記内部構造は、前記クランクシャフトピストンの往復運動に対応し、前記シリンダーに対して移動可能であり、
前記内部構造は、前記内部構造および前記クランクシャフトピストンに加えられる燃焼圧力を生成するための燃焼空間を規定するキャビティを含み、
前記燃焼空間は、前記内部構造の壁内に囲まれて位置し、前記シリンダーの前記内部空間よりも小さな径を有し、
前記クランクシャフトピストンに加えられる燃焼圧力が、膨張行程の初期段階では前記クランクシャフトピストン表面の小さな領域に加わり、膨張行程の後段階では前記クランクシャフトピストン表面の大きな領域に加えられるように、前記シリンダーの前記内部空間が前記内部構造により変化する、システム。
【請求項2】
前記内部構造の動きは、力を加えるメカニズムによって加えられる力により制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記力を加えるメカニズムは、スロットルの位置センサーによる前記スロットルの位置に応答し、
前記内部構造に加えられる力は、前記スロットルの位置に依存するようにする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記力を加えるメカニズムが、膨張行程中に前記内部構造に後退する力を加えるように構成されており、
前記後退する力は、前記燃焼空間から離れるように加えられる力である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記力を加えるメカニズムが、膨張行程中に前記内部構造に前進する力を加えるように構成されており、
前記前進する力は、前記燃焼空間に向かうように加えられる力である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
吸気、圧縮、膨張、排気の行程を、2ストロークで実行するように構成したものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記力を加えるメカニズムが電磁アクチュエーターを有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記力を加えるメカニズムが油圧システムを有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
シリンダーの圧力を増大させてエンジンの回転速度を加速させるために、液体を内部構造の吸気側に送るように構成したものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記内部構造に後退する力を加えることでエンジンの回転速度を減速させるように構成されており、
前記後退する力は、前記燃焼空間から離れるように加えられる力である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記内部構造に前進する力を加えることでエンジンの回転速度を加速させるように構成されており、
前記前進する力は、前記燃焼空間に向かうように加えられる力である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
シリンダーシステム内の内部構造の使用方法であって、
前記シリンダーシステムは、内部空間を有するシリンダー、前記シリンダーの前記内部空間に配置される内部構造およびクランクシャフトピストンを含み、
膨張行程の初期段階で前記クランクシャフトピストンに加えられる燃焼圧力がクランクシャフトピストン表面の小さな領域に加えられるようにするとともに、膨張行程の後段階で前記クランクシャフトピストンに加えられる燃焼圧力がクランクシャフトピストン表面の大きな領域に加えられるように、前記内部構造を使用し前記シリンダーの内部空間を変化させることと、
前記内部構造と前記クランクシャフトピストンの両方に圧力を加えるため、前記内部構造のキャビティ内において圧力を増加させることと、を含み、
前記内部構造は、前記クランクシャフトピストンの往復運動に対応し、前記シリンダーに対して移動可能であり、
前記内部構造は、前記内部構造および前記クランクシャフトピストンに加えられる燃焼圧力を生成するための燃焼空間を規定するキャビティを備え、
前記燃焼空間は、前記内部構造の壁内に囲まれて位置し、前記シリンダーの前記内部空間よりも小さな径を有する、使用方法。
【請求項13】
前記シリンダーが油圧式のシリンダーで、この液体に作動油を使用するものである、請求項
12に記載の使用方法。
【請求項14】
前記シリンダーが燃焼シリンダーで、この液体に可燃性液体を使用するものである、請求項
12に記載の使用方法。
【請求項15】
膨張行程中に前記内部構造に後退する力を加えることを更に含み、
前記後退する力は、前記燃焼空間から離れるように加えられる力である、請求項
12に記載の使用方法。
【請求項16】
膨張行程中に前記内部構造に前進する力を加えることを更に含み、
前記前進する力は、前記燃焼空間に向かうように加えられる力である、請求項
12に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用の機械装置に関するものであり、より具体的には油圧シリンダーや燃焼シリンダーに関するものである。
(関連出願との相互参照)
【0002】
この米国正規特許出願は2017年12月19日に出願した出願番号15/847,711の米国正規特許出願の継続出願の一部であり、その全体が参照として本明細書を構成するものである
【背景技術】
【0003】
様々な種類の機械がシリンダーを使用して、機械的な動作や有用な作業を行なっている。例えば典型的な内燃機関(ICE)は、燃料と空気の混合気を圧縮して燃焼し、各ピストンを往復運動させることで有用な運動を生み出している。各ピストンはクランクシャフトに連結され、ピストンに加えられた力が様々な中間装置を通じて車両の車輪に伝えられて、推進力を生み出している。
【0004】
非ICEエンジンやその他の装置もシリンダーを使って有用な運動を生み出すことができる。例えば、油圧システムではシリンダー内の作動油を押すように動作するピストンを持つシリンダーを使用して、パスカルの原理に従い作動油に圧力を加えることで、油圧システムの他の部分に運動を伝達することが可能である。典型的な例としては、油圧リフトは2つの油圧シリンダーを使用して力を伝達し、倍加した力をアウトプットとしてを得ることが可能である。車両のようなものを持ち上げるのに使用するアウトプットシリンダーは、比較的小さな面積のインプットシリンダーに加えられた力を倍加するために、大きな面積にすることもできる。
【0005】
ICEや油圧システムなどのために構成されている場合、典型的なシリンダーが生成するアウトプット(例、力など)は、ピストンの表面とストロークの動く距離(例、ピストンの表面が動く軸方向の距離)から生まれるストローク量(例、ピストン表面が動く量)に比例する。従って、従来のシステム(例、ガソリンやディーゼルICE)は、シリンダーのアウトプットを増大させるためにストローク量や距離を増やしている。ストローク量や距離を増やすことは、シリンダーの寸法を増大させることになり、シリンダーの質量を増加させることになる。しかし、そのようなシリンダーを使用すれば、エンジンや車両の経済性が低下することになる。
【0006】
エンジンや車両の経済性を高めるための別のアプローチとしては、油圧式やターボチャージャーなどと組み合わせたリカバリーシステム油圧シリンダーや、電気的なリカバリーシステムが挙げられるが、そうしたリカバリーシステムは、特に1000 psi前後の初期の高い圧力に対して動作する場合、その効率性が制限される(例、20-30%)ことが多い。油圧式リカバリーシステムの場合、未使用の機械的な力を液体に加えて、貯蔵室に圧力を集めて、シリンダーの吸気に使用しており、液体の注入については低い効率性のリサイクル手法で、もともと蓄積されている。圧縮比の上限を最小限に抑えることは、車両のエネルギーをよりよく回収することになる。加圧流体のインプットや、シリンダーのインプット圧力を減らすことで、全体的な油圧システムの効率性を高めることは可能だが、それに応じてシリンダーのアウトプットは減少するし、ある構成では油圧式シリンダーの出力はヘッド圧や流量の効率性に比例する。さらに、例えば、油圧シリンダー用の加圧流体を蓄積するために必要なエネルギーや、燃焼シリンダー用の燃料の精製や移動に必要なエネルギーなどのように、シリンダーのインプット用の圧縮流体の生成に費やすエネルギーが増大することを考慮すると、シリンダーベースのシステムの効率性が制限されることになる。
【0007】
直接噴射エンジン方式は、クリーンな環境要件を満たす目的で実装されているが、その要件を満たすことがより困難になっている。例えば、2ストロークエンジンは可動部が少ない方が望ましいが、不完全燃焼の排気を大量に放出する傾向があることから、特定の分野では完全に禁止されており、次の燃焼段階に移行する前に圧縮流体を失ってしまうことから、エネルギー効率も悪い。ワンケルロータリーエンジンは部品数が少ないため好ましいが、エネルギー出力には限界がある。
【0008】
既存のスロットル方式は、車両を減速させるために、通常は膨張行程中に未燃焼の液体を放出して、ピストンに作用している圧力を解放している。直接噴射エンジンの流体吸入経路には、未燃の排気がエンジン内で後方に漏れて蓄積する可能性がある。さらに、未燃の液体が流れ出せば公害の原因となり、また燃料が無駄になる。さらに、過給機のエンジンの初期圧力が高いと、高温になり、損傷が生じることはすでに知られている。
【0009】
上記の観点から、シリンダー圧力を最適化することにより、未燃の流体の流出や、圧縮流体の損失を最小限に抑えるとともに、優れた出力を獲得し、さらに燃焼エンジンの環境要件を満たすメカニズムの必要性がここに存在している。
【発明の概要】
【0010】
この概要は、以下で詳細に述べる説明のうちのいくつかの概念を、簡単な形で紹介するためのものである。この概要は、請求の範囲における主要な特徴を意味付けるものでもなく、また請求の範囲を限定する意図もない。さらに、この公開のいかなる箇所で述べる問題の解決のための実施方法は、請求の範囲を一切限定しないものである。
【0011】
本開示の実施形態では、シリンダーシステムを開示するものであり、本システムは液体を流入させる内部空間を有するシリンダーからなるものであり、内部空間内では往復運動を行うクランクシャフトピストンが設置されるものである。挿入棒を含むシリンダーの内部構造において、挿入棒は、クランクシャフトピストンの往復運動に応じてシリンダーの内部空間に可変的に前進および後退するものであり、燃焼室に部分的または完全に入るものである。
【0012】
別の形態では挿入棒が内部空間の中で移動し、それにより液体で満たされた内部空間の体積が、元々の内部空間の体積よりも小さくなるものがある。
【0013】
さらに別の形態では、挿入ロッドは、クランクシャフトピストンの所定のストロークに対応して、挿入棒が液体の吸入を減らすものもある。
【0014】
別の形態では、挿入棒は固定構造か、第二のピストンとして動作するものであり、各システムの仕様に応じて、膨張行程や圧縮行程において、機械的な接続や、磁気制御や、油圧による伝達を介して、二次的な力を加えて、シリンダーの内圧を選択的に、動的に、制御下で増減することができるものもある。
【0015】
別の形態では、各機械的なサイクルで電磁アクチュエーターをトリガーすることが、実質的に機械的または電磁センサーを稼動させて、スロットルペタルの位置を監視したり、反応するものもある。
【0016】
別の形態では、電磁アクチュエーターを通じてシリンダーの内部構造を制御できるように構成したシリンダーシステムを採用したものもある。
【0017】
別の形態では、電磁アクチュエーターがコイルにDC電流を供給するように構成された電気システムを有し、磁場を生成して、膨張行程において挿入棒の動きを変化させたり力を加えるようにしたり、引き戻すように構成したものもある。
【0018】
別の形態では、磁場が挿入棒内の永久磁石と作用しあい、膨張行程においてシリンダーの内部空間に挿入された挿入棒を引き出すものもある。
【0019】
別の形態では、機械的なアクチュエーターや油圧式チャージャーにより挿入棒がシリンダーの内部空間に前進するものもある。
【0020】
別の形態では、膨張行程において挿入棒がシリンダーの内部空間に前進し、膨張行程が燃焼により開始され、圧縮行程ではクランクシャフトピストンに合わせて挿入棒がシリンダーの内部空間から後退するものもある
【0021】
別の形態では、シリンダーは油圧シリンダーであり、液体がクランクシャフトピストンと挿入棒(内部構造)に囲まれた空間内に注入される作動油であるものもある。
【0022】
別の形態では、シリンダーは燃焼シリンダーであり、液体は可燃性である場合もある。
【0023】
別の態様では、膨張行程では挿入棒がクランクシャフトピストンと実質的に同じ速度で、クランクシャフトピストンと同じまたは反対方向に動き、圧縮行程ではクランクシャフトピストンの位置と同じ方向に動くものもある
【0024】
別の態様では、液体で満たされる内部空間を有する機械的エンジンシリンダー、内部空間で往復運動をするように構成されたクランクシャフトピストン、クランクシャフトピストンの動きに対応してシリンダーの内部空間に前進したり、後退する、第二のピストンとして動作する挿入棒を含むシリンダーの内部構造を有するものもある。
【0025】
別の形態では、液体で満たされた内部空間の体積が、元々の内部空間の体積よりも小さくなるように、挿入棒は内部空間の中で移動するものがある。
【0026】
さらに別の形態では、挿入ロッドは、クランクシャフトピストンの所定のストロークに対応して、挿入棒が液体の吸入を減らすものもある。
【0027】
別の形態では、電磁アクチュエーターや過給機や油圧式チャージャーを通じてシリンダーの内部構造を制御できるように構成したシリンダーシステムを採用したものもある。
【0028】
別の形態では、電磁アクチュエーターがコイルにDC電流を供給するように構成された電気システムを有し、磁場を生成して、反発や、引きつける力を生成するものもある。
【0029】
別の形態では、磁場が挿入棒内の永久磁石と作用しあい、膨張行程においてシリンダーの内部空間に挿入棒を前進させたり後退させたりするものがある。
【0030】
別の形態では、機械的なアクチュエーターにより挿入棒がシリンダーの内部空間に前進または後退するものもある。
【0031】
別の形態では、機械的油圧アクチュエーターまたはターボアクチュエーターにバネを取り付けて、挿入棒の運動エネルギーをバネの位置エネルギーに変換するものもある。
【0032】
別の形態では、挿入棒がシリンダーの膨張行程において、シリンダーの内部空間に前進し、シリンダーの圧縮行程においては、内部空間から完全に取り出されるものもある。挿入棒は膨張行程において、所定の位置からさらに前進または後退する。
【0033】
さらに別の形態では、膨張行程ではクランクシャフトピストンの作動して最初の方向に動き、クランクシャフトピストンの動きに対応してシリンダーの内部構造を内部空間に前進させ、反対に圧縮行程では最初の方向とは反対の別の方向にクランクシャフトピストンの作動させて、クランクシャフトピストンの動きに対応してシリンダーの内部構造を内部空間から後退させるシリンダーや構造を持つメカニカルシリンダーシステムを有するものもある。
【0034】
別の形態では、燃焼室が挿入棒の本体に部分的に含まれるか、囲まれるものがある。
【0035】
別の形態では、動作中のクランクシャフトピストンのが部分的または完全に円錐形をしているものもある。
【0036】
別の形態では、挿入棒が第二のシリンダーとして膨張行程中に加速の向きを変更するものもある。
【0037】
また別の形態では、内部ピストンを2つ使用して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4ストロークエンジンの機能を実現する、シリンダーの燃焼ごとに2ストロークするエンジンをを使用するものもある。
【0038】
別の形態では、挿入棒の背後の空間に圧縮流体を送ることにより、内部シリンダーの圧力を増加させることにより、エンジンの加速を増大させる手法を用いるものもある。
【0039】
また別の形態では、挿入棒をクランクシャフトと反対方向に動かしてエンジンを減速させる手法を用いるものもある。この場合、シリンダー内部の圧力とクランクシャフトの力を減少させることができるため、未燃の排気を早期に排出する必要性がなくなる。
【0040】
別の形態では、電磁アクチュエーターや、油圧プレススーパーチャージャーまたはターボチャージャーによりシリンダーの内部構造が前進もしくは後退するものもある。
【0041】
別の形態では、電磁石とガソリンのハイブリッドシリンダードライブや、油圧とガソリンのハイブリッドのシリンダードライブを用いて、第二のピストンがピストンに連結したクランクシャフトに二次的な圧力を伝えるものもある。
【0042】
別の形態では、電磁アクチュエータが、1つ以上のコイルに電流を供給し、1つ以上の磁場を形成するように構成された電気システムを含むものもある。
【0043】
また別の例では、電磁石に接続された第二のピストンのエネルギー回収を増大させる手法として、電磁石の反発や引き付け合う力を利用するものもある。
【0044】
また別の例では、シリンダーの内部構造をメカニカルアクチュエーターを通じて前進・後退させるものもある。
【0045】
また別の例では、メカニカルアクチュエータにバネを取り付け、挿入棒の運動エネルギーを位置エネルギーに変換するものもある。
【0046】
また別の例では、シリンダーは燃焼シリンダーであり、圧縮行程の前に可燃性燃料をシリンダーに噴射する方式をとるものもある。
【0047】
また別の例では、シリンダーは油圧シリンダーであり、シリンダーを介して圧縮行程中に作動油を圧縮する方式をとるものもある。
【0048】
また別のシリンダーシステムの例では、内部空間のあるメカニカルエンジンシリンダーを用いており、その内部空間に固定された内部構造が燃焼室を取り囲んで設置され、それが往復運動をするクランクシャフトピストンと連結され、膨張行程の初期段階で、燃焼の圧力がそのクランクシャフトピストン小さい方の表面の部分に加えられ、膨張行程の後段階ではクランクシャフトピストン大きい方の表面の部分に加えられるもの
【0049】
また別のシリンダーシステムの例では、液体で満たされる内部空間を有するメカニカルエンジンシリンダーで、内部空間で往復運動をするように構成されたクランクシャフトピストン、クランクシャフトピストンの動きに対応してシリンダーの内部空間に前進したり後退する、第二のピストンとして動作する挿入棒を含むシリンダーの内部構造を有するもので、膨張行程では挿入棒は第二のピストンとして第一の方向へ動き、反対に挿入棒が燃焼室を部分的に囲む圧縮行程では、挿入棒が第一の方向とは反対の第二の方向へ動くものもある。この時シリンダーの内部構造は最初に燃焼力により一定の距離まで移動し、その後電磁または油圧アクチュエーターにより前進もしくは後退するものである。
【0050】
また別の例としては、メカニカルエンジンシリンダーで、内部空間のあるシリンダー、内部構造、クランクシャフトピストンを有するもので、膨張行程の初期段階で、燃焼の圧力がそのクランクシャフトピストン小さい方の表面の部分に加えられ、膨張行程の後段階ではクランクシャフトピストン大きい方の表面の部分に加えられるように作用させるためにシリンダーの内部空間が内部構造により変化するものもある。
【0051】
また別の形態としては、内部構造のキャビティ内で燃焼を発生させて、燃焼の圧力を内部構造とクランクシャフトピストンの両方に伝えるものもある。
【0052】
別の形態としては、内部構造がシリンダーに対して移動可能な構造であり、その動きが一つ以上の装置の機構の加力に制御できるものもある。
【0053】
別の形態としては、スロットルの位置センサーにより力を加えるメカニズムがスロットルの位置に反応することから、スロットルの位置により内部構造に力が加えられるものもある。
【0054】
別の形態としては、力を加えるメカニズムが膨張行程中に内部構造を引き出すように構成されているものもある。
【0055】
別の形態としては、力を加えるメカニズムが膨張行程中に内部構造を前進させるように構成されているものもある。
【0056】
別の形態としては、力を加えるメカニズムで新鮮な空気を内部構造の背後に送ることにより、膨張行程中に圧縮行程を部分的に実行するように構成されたシステムがある。
【0057】
別の形態としては、燃焼ごとに2回のストロークが行われ、その中で吸気、圧縮、膨張、排気の行程が行われるように構成されたシステムがある。
【0058】
別の形態としては、力を加えるメカニズムに電磁石アクチュエーターを含むものがある。
【0059】
別の形態としては、力を加えるメカニズムに油圧システムを含むものがある。
【0060】
別の形態としては、力を加えるメカニズムに過給機システムを含むものがある。
【0061】
別の形態としては、シリンダーの圧力とエンジンの加速を増大させるために、液体を内部構造の吸気サイドに送るように構成されたシステムがある。
【0062】
別の形態としては、内部構造に後退させる力を適用してエンジンを減速するように構成したシステムがある。
【0063】
また別の形態では、内部構造に力を加えることによりエンジンを加速するように設定されているシステムもある。
【0064】
また別の形態では、内部構造が最初に液体の燃焼を起こしてカムシャフトピストンの方向に力を加えて、エンジンの振動の一部を吸収するように構成されたシステムがある。
【0065】
また別の形態では、内部構造が膨張行程中に向きが変わるものがある。
【0066】
また別の形態では、燃焼ごとに2回のストロークが行われ、その中で吸気、圧縮、膨張、排気の行程が行われるように構成されたシステムがある。
【0067】
本発明の上記およびその他の目的、特徴、利点については、添付の図面および以下の好ましい実施形態の詳細な説明により、より簡単に明らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本請求で述べる発明の好ましい実施形態についてここで図を用いて解説するが、例示として示すものであり、本請求の範囲を限定するものではなく、また同様の名称は同様の箇所を示すものである。
【0069】
【
図1】
図1は、本発明に基づいて改善したシリンダーシステムを含んだ、エンジンシステムの例を概略的に示したものである。
【0070】
【
図2】
図2は、本開示に従ったシリンダーの内部構造例である
【0071】
【
図3】
図3は、本開示に従った
図2の 1A-1A部分の断面図を示したものである
【0072】
【
図4】
図4は、本開示に従った2つ目のシリンダーの内部構造例である。
【0073】
【
図5】
図5は、本開示に従った
図4の2A-2A 部分の断面図を示したものである
【0074】
【
図6】
図6は、本開示に従った
図5で示した2つ目のシリンダー内部構造例の2Bの詳細である。
【0075】
【
図7】
図7は、 本開示に従ったシリンダーの様々な内部構造例を概略的に示したものである。
【0076】
【
図8】
図8は、 本開示に従った膨張行程におけるクランクシャフトピストンの動きを概略的に示してものである。
【0077】
【
図9】
図9は、本開示に従った3つ目のシリンダーの内部構造例である。
【0078】
【
図10】
図10は、本開示に従った
図9の 5A-5A 部分の断面図を示したものである
【0079】
【
図11】
図11は、本開示に従った4つ目のシリンダーの内部構造例である。
【0080】
【0081】
【
図13】
図13は、本開示に従った5つ目のシリンダーの内部構造例である。
【0082】
【0083】
【
図15】
図15は、本開示に従ったカムシャフトの回転の直径を示したものである
【0084】
【
図16】
図16は、本開示に従った6つ目のシリンダーの内部構造例であり、シリンダーに沿って縦方向の断面を示したものである。
【0085】
【
図17】
図17および18は 本開示に従い、シリンダの内部構造を引きつけたり、反発させるための磁石の配置を概略的に示したものである。
【0086】
【
図19】
図19は、本開示に従い、本開示で解説したシリンダーの内部構造を用いたシリンダーを概略的に示したものである。
【0087】
【
図20】
図20-32は、従来のシステム (Dl)を超える、本開示のシリンダーの内部システム (D2, D3, D4)の利点を、様々なグラフや表で示したものである。
【0088】
【
図33】
図33は、本開示に従い、ガリレイ変換とローレンツ変換を示したものである。
【0089】
同じ参照番号は図全体を通して同じ部分を指し示したものであることにご留意いただきたい。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下の説明は単に例示として示すためのものであり、実施形態や装置、または装置の使用方法を限定する意図は全くない。本明細書でいう「例示」や「実例」とは、「単に例として、もしくは事例として示す」という意味である。ここで示す「例示」や「実例」を、他の実施形態よりも好ましいとか、優位性があると解釈する必要はない。以下で説明する実施方法はすべて当業者が本開示の実施形態を作成もしくは利用できるようにするための例示であり、特許請求の範囲で規定される本開示の範囲を限定する意図は全くない。さらに、前述の技術分野、背景、簡単な説明や、以下の詳細な説明の表現や、暗に示した理論によって制限する意図もない。また、添付の図や以下の説明で示している特定の装置やプロセスは、単に本請求で定義される発明の概念を示す実施形態の例に過ぎないものであることにご理解いただきたい。ゆえに、ここで示す実施形態の特定の寸法その他の物理的特徴は、特に明示的に表明のない限り、これに限定するものでは全くない。
【0091】
図7の「下向き」とは、
図2-6および8-18の「右向き」や「右」に対応するものであり、その逆も同様であることにご理解をいただきたい。
【0092】
本開示はシリンダー内部構造について示したものである。ここでは流体を注ぐ先の内部の空間を持つシリンダーからなるシリンダーシステムを例として提示する。この内部の空間には往復運動をするクランクシャフトピストンが設置されている。シリンダーの内部構造には挿入棒が設置され、クランクシャフトピストンの往復運動に対応して、シリンダーの内部に挿入されたり、押し出されたりする。図に示した通り、燃焼室は内部構造の壁の内側に位置している。
【0093】
図1は、有用な動作を生み出すためのシリンダーベースのエンジン102を用いたシステムの例を示したものである。ここで示す例は限定列挙ではなく、エンジン102は輸送機関の推進に利用することができるものである。たとえば、船、乗用車、航空機などである。また油圧リフトや、フォークリフトのアームや、バックホーのアームなどの掘削機械や工業用の機械など、関連する装置の動作のために利用することもできる。
図1は、1つ以上のシリンダー104を含むエンジン102の断面図である。このエンジンを様々な有用な動作を生み出すために利用することが可能である。
【0094】
エンジン102は、シリンダー104内部で燃料を燃焼させることにより有用な動作を生み出す内燃機関(ICE)でも可能である。シリンダー104は任意の適した配置(例1-4, V6, V8, V12)や、線形や、円形で配置することが可能である。
図1には示していないが、電気システムの動力源(例、バッテリー)や、モーターを車両の各タイヤもしくは複数のタイヤと組み合わせて動作させ、エンジン102を補助させることも可能である。そうした構成は「ハイブリッド」と呼ばれており、回生ブレーキなどに使用することが可能である。
【0095】
シリンダー104は、燃料の爆発により往復運動を行うピストン(例、同一シリンダー内の第一、第二ピストン)を実装することが可能である。往復運動をするクランクシャフトピストンの動きは、クランクシャフトの回転運動に転換させることができ、このクランクシャフトを車両のタイヤに連結して輸送機関に推進力を伝達することが可能である。別の例では、ピストンの往復運動を工業用車両(例、フォークリフトやバックホー)などの直線の動作や関節運動に利用することもできる。最後に、
図1でエンジン102による出力108を示す。これは回転運動や、関節運動や、上記の運動などを含むものである。
【0096】
吸気通路をエンジン102に連結させて吸気をエンジンに供給し、空気と燃料を混合させてシリンダー内部の燃焼用の気体を形成することができる。吸気は内部構造の中の吸気空間で圧縮され、燃焼室へ送られる。この目的を達成するため、混合気からなる入力106がエンジン102に運ばれる所を
図1で示す。入力106は燃料の適切な組み合わせであり、ガソリン、ディーゼル、亜酸化窒素、エタノール、天然ガスなどが考えられるがこれに限定されるものではない。吸気スロットルは吸気通路に設置され、空気流や、量や、圧力など、エンジン102に送られる空気を調整できるように構成される。吸気通路は様々なパーツで構成される。例えばチャージエアークーラーや、コンプレッサー(例、ターボチャージャーやスーパーチャージャー)や、インテークマニホールドなどであるが、これに限定するものではない。吸気の各バルブはシリンダー104へのチャージエアーの流入を制御できる。燃料システムはエンジン102に供給する燃料を保管したり供給することができる。
【0097】
排気通路はエンジン102に連結させ、エンジンから排出されるチャージエアーを外部に排出するための経路を提供する。各種後処理装置を排出経路に取り付けて排出されるガスに対応することも可能である。その例としてはNOxトラップ、微粒子フィルター、触媒などがあるが、これに限定するものではない。ターボチャージャーによりエンジン102がブーストされる実装の場合は、タービンを排気経路に設置してターボチャージャーコンプレッサーを作動させることができる。各排気バルブはシリンダー104からの排気ガスの排出を制御できる
【0098】
コントローラー110は、センサーのインプットを受け取ったり、装置を動作させたり、エンジンの操作全般を行うために、エンジン102の様々なパーツに取り付けることができる。したがって、コントローラー110は「エンジン制御ユニット(ECU)」と呼部ことができる。例えば、ECUはスロットル位置や、気圧や、トラッスミッションのギア操作や、エンジンの温度や速度といったインプットを受け取ることができる。以下で詳しく述べるが、コントローラー110はシリンダーの動作サイクルに従いシリンダー104内部のスペースに供給するためのシリンダーの動作構造を制御することができる。
【0099】
コントローラー110は適切な方法で実装できる。例えば、論理マシンが実行するための機械が読み取り可能な指示を保管するストレージマシンや、論理マシンを取り付けることも可能である。論理マシンは制御装置、プロセッサ、system-on-a-chip(SoC)などで実装することができる。
ストレージマシンは、リードオンリーメモリー(ROM、 例えばelectronically-erasable-programmable ROM)や、ランダムアクセスメモリ(RAM)で実装することができる。コントローラー110には、インプットやアウトプット(コンポーネントを作動させるための制御信号)のための出入力(I/O)インターフェースを実装できる。
【0100】
エンジン102は他の形態も可能である。例えば、エンジン102は油圧動作用に構成することもでき、シリンダー104はそれぞれクランクシャフトピストンを持ち、それが内部の油圧の変化により往復運動をするものを実装することも可能である。例えば、インプット106は、シリンダー104に供給する油圧流体を用いることもでき、オイルや、水や、その他適したものを使用することができる。アウトプット108は回転運動、関節運動、アクチュエーションなど、適したタイプの機械的なアウトプットを含む。機械的なアウトプットの代わり、もしくはそれに加えるものとして、シリンダー104によって圧力を加えられる作動油を含みうる。このシリンダーのプレッシャーは別のコンポーネントの作動油に伝えられる。こうした油圧のアウトプットは、例えば油圧リフトのような機械的な出力を生み出すために使用される。エンジン102が油圧操作や、エンジンや、その他の油圧回路を形成する部分のために構成されている場合、適切な油圧式のコンポーネントを含みうる。例えば、ポンプ、バルブ、アキュムレーター、リザーバー、フィルターなどがあるが、これに限定するものではない。こうした実装方法では、コントローラー110は、油圧式シリンダー104、エンジン102などの油圧回路の構成装置の動作を、適切なセンサーのアウトプット(例えば、圧力、バルブの状態、フローレート)に基づき制御するように構成される。
【0101】
シリンダーのアプトプットを増大させ、上記で述べた既存のアプローチに関連した欠点を克服するために、シリンダー104は、アウトプットを発生させるための動作用の流体(例えば作動油、可燃性燃料)を流入させるシリンダーの内部空間に挿入し、引き出される、シリンダーの内部構造202(例、挿入棒)を含む。図は、燃焼シリンダー用のシリンダーの内部構造の実装例を示したものであり、電磁アクチュエーターや、油圧チャージャーや、ターボチャージャーなどにより、シリンダーの内部構造が燃焼室やクランクシャフトピストンの方向に向かって、もしくはそこから逆の方向に動作する。
【0102】
図は、シリンダーの内部構造202を含むシリンダー104を示したものであり、これは挿入棒もしくは第二のピストンと呼ばれるものである。シリンダーの内部構造202はクランクシャフトピストン204(例、クランクシャフトピストン204が第一のピストン)に加えて、第二のピストンとして動作し、内部構造202は燃焼室を部分的に取り囲んでいる。
【0103】
クランクシャフトピストン204は、挿入棒と連結されている。この挿入棒は別の装置、例えばクランクシャフトピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動やその他の動作に転換して、輸送機関の推進や、機器の動作に使用するクランクシャフトなどに連結される。クランクシャフトピストン204の往復運動は、シリンダー104の内部空間208での給気燃焼により発生する。燃焼は吸気カムシャフトを通じで動作する吸気バルブ210により部分的に制御される。これにより、内部のスペース208に圧縮や燃焼のための給気を選択的に噴射するように操作することが可能になる。火花もしくはグロープラグを制御することで、注入した給気に点火することができる。燃焼生成物は、排気カムシャフトを通じて動作する排気バルブ216により排出される。給気燃焼の際にシリンダー104の熱を逃がして、希望の運転温度を保ち、熱劣化を避けるために、内部空間208を設定するシリンダーの内璧と、シリンダーの外側の壁の間に冷却ジャケットを配置することが可能である。水や、不凍液など適した物質からなる冷却ジャケットは、冷却システムを通じて循環させることができる。冷却システムは、例えば外部に熱を放射するラジエーターなどが考えられる。
【0104】
上で述べたように、シリンダー104はシリンダーのアウトプットや効率性を高めるために内部空間208に挿入されるシリンダーの内部構造202を含む。特に、構造202はクランクシャフトの往復運動に対応して内部空間208に挿入される挿入棒である。挿入棒202は、クランクシャフト204が下向き(例として
図7に関して)に動く際に内部空間208に暫時的に挿入される例もある。挿入棒(例、内部構造)は、吸気サイドの近く(
図7上部)に流体の蓄積スペースまたは室を持ち、2つのクランクシャフトによる4ストローク機能を持つ。もっとも、シリンダー104は、挿入棒202の内部空間208への挿入の制御に基づいて、任意の適切な動作サイクルで構成される。一般的に挿入棒202はクランクシャフトピストン204が下向き(例として
図7に関して)に動く際に内部空間208に挿入される。
【0105】
シリンダー104は、圧縮行程(例、2又は4ストロールの運転サイクル)または排気行程(例、4ストロールの運転サイクル用)を実行しうる。挿入棒202はクランクシャフトピストン204の上下の動き(例として
図7に関して)に対応して、内部空間208に挿入されたり、排出されたりする。挿入棒202とクランクシャフトピストン204の動作は任意に適切な形態にすることができる。ある例では、挿入棒202とクランクシャフトピストン204を同期させ、挿入棒が実質的にクランクシャフトピストンと同じ速度と方向に動くようにするものもある。クランクシャフトピストン204が方向を変える場合、例えば上または下方向への動作を止めて、上または下方向への動作を開始する場合、挿入棒もそれに応じて方向を変えることが可能である。
【0106】
使用する液体(例、作動油、可燃性燃料)が内部空間208、または蓄積のための空間、もしくは吸気側の内部構造の背後の空間に送られる際にシリンダー104の挿入棒202を配置することにより、液体によって占められる内部空間の量は、挿入棒が挿入されることにより部分的に減少することになる。しかしながら、内部空間208とシリンダー104の固有の体積は変わらないままである。この場合、ストロークの量や、距離や、力や、クランクシャフトの表面領域など、シリンダー出力に影響する他のシリンダーのパラメーターを変えることなくシリンダー104に送られた液体の体積は減少することになる。言い換えれば、挿入棒202はシリンダー104の吸気要件を減少させることができ、挿入棒が内部空間208を占める結果、燃焼もしくは油圧プロセスーいわゆる「燃焼容積」や「油圧容積」と呼ばれるものーが内部空間自体の固有の体積よりも小さくなる。シリンダー104の固有の体積はシリンダーの内壁により形成される体積と考えることができ、クランクシャフトピストン204の上部表面の面積とも言える。
【0107】
電磁石システムにより、内部構造202に対して前進もしくは後退する力を加えることが可能である。この実装方法では、膨張行程において、上下の端を電気システム226に接続したコイル224と連結されたソレノイド型電磁アクチュエーターを通じて、挿入棒202は内部空間208から後退する。電磁石のコアは、内部構造を後退させる力を加えるためだけに使用するものでも良い(例、吸気側への力、もしくは燃焼室から離れるちから、
図7上方)。
【0108】
電磁石は装置により反発もしくは引きつけのどちらかのみにすることもできる。電磁石を(反発もしくは引きつけ)そのどちらか専用で使う場合、それ以外の機能(例、反発もしくは引きつけ)は受動的な機能になりうる。電磁力を使用することで、エンジンや、車両や、スロットルの減速指示に対応する形で膨張行程の初期段階で内部構造を後退させることができ、早期に排気しなくても済むようになる。この実装方法では、挿入棒202には磁石227(例、永久磁石)を設置して、コイル224を通じて送られる電流で生成される磁場と反応するように設定して、とソレノイド型の電磁石の伸縮や、挿入棒の後退を可能にすることができる。コイル224によって生成される磁力線ー具体的にはコイルの上下の端より中心に近い内部空間でー挿入棒202が伸縮する方向と実質的に並行することになる。ここで述べる挿入棒202の電磁アクチュエーションを促進するために、電気システム226にはコイル224に供給される電流源を含めることができる。電気システム226は、制御装置110と連結される。この制御装置は電気システムを制御し、上記のシリンダー104の動作サイクルもしくは適切な入力(例、カムシャフトのタイミング、バルブのタイミング、吸気や給気などの変化や運転条件)に従い、挿入棒202の位置を制御したり、内部構造への前進もしくは後退の力を供給するものである。いくつかの例では、制御装置110は
図1の制御装置110であっても良いが、内部構造202に対して前進や後退の力を与えたり、内部構造202の上部(
図7の吸気側)に圧力を加えるための様々な装置やシステムを含むものである。制御装置110のこうした装置やシステムは、油圧もしくはターボチャージャー、電磁アクチュエーター、もしくはそれ以外で、ここで「力を加えるメカニズム」と表現する内部構造202に加える力を制御するための適切な方法を採用できる。一つ以上のコイル224、電気システム226、磁石227、制御装置110は、ここで「電磁アクチュエーター」と述べるものを構成しうる。いくつかの例では、電磁アクチュエーターはソレノイドでも良い。その場合挿入棒202が電磁アクチュエーターにより返還されるスラッグとして機能する。
図7に示す通り、前進もしくは後退の力は挿入棒202の本体に加えられる。
【0109】
挿入棒202を作動させるために電磁石による構成が考えられる。例えば、シリンダーの内部構造202は挿入棒202を含めて、永久磁石を使わずに電磁アクチュエーターにより構成でき、その電磁アクチュエーターに任意に電流を流して磁場を様々に生成することができる。電磁力はシステムから無駄になっていたエネルギーを回収することで供給しうる。電磁石のメカニズムはおおよそ挿入棒202の作動に利用できる。
【0110】
シリンダー104は、シリンダーの出力を増加させるために他の態様で構成することができる。例えば、内部構造やクランクシャフトピストンを円錐形にしたり、遠位端の部分を円錐状にすることもできる。例えば、遠位端は燃焼室に面する部分でも良い。
【0111】
クランクシャフトピストンの内面は、クランクシャフトピストンの運動中にせん断応力を増加させるためのへこみおよびや突起があってもよい。さらに、クランクシャフトピストンの内面は、2番目に軽い金属を使用してクランクシャフトピストンの重心や重量の中心点と、幾何学上の中心との間の距離を増やすことができ、これによりシリンダーの内部空間の容積に対するストローク距離にいくつかの利点を生み出すことができる。
【0112】
コイル224は断熱材に対応したハウジング内に設置することもでき、これにより挿入棒202の摩擦が低下し、内部空間208とハウジング間を密封することが可能になる。コイル224は制御装置110と連結している電気システム226により電気的に動作する。
【0113】
磁石407(
図17)は挿入棒202と磁石407の間の正に帯電した部分に磁場を生成する。磁場は磁力線で表される。挿入棒の機械的な動作は、
図17で示す磁力線と並行であることにご留意をいただきたい。したがって、挿入棒202の動きの方向は磁力線と交差することがない。コイル224は往復運動を制御する別の磁場を生成し、その一方でコイルまたは磁石407は挿入棒202の駆動力に対応する磁場を生成することになる。そのため、ソレノイドにより生成される磁場に加えて、挿入棒の動作の頻度もシステムで制御する必要がある。挿入棒を駆動させる力は磁石407が生成する別の磁場により生成されうる。
【0114】
ある例としては、膨張行程中に挿入棒が早期に後退するのを防ぐ目的から、挿入棒202にバネが取り付けられ、シリンダー104の内部空間に挿入されたり、引き出されたりするものもある。
【0115】
内部構造202は一つ以上の円筒形の層で構成することができる。内部構造は様々なエンジンシリンダーで様々なサイズにすることができる。例えば、内部構造202の構造例として、高トルク仕様用に設計することができる。
【0116】
本明細書で述べるシリンダーの内部構造202およびシリンダーの実装方法は、単なる例示であり、決して限定することを意図するものではない。 この開示には様々な修正型が含まれる。本明細書で使用する「シリンダー」とは、シリンダーとしての形状を必要とするものではなく、クランクシャフトピストンの往復運動を使用して有用な動作や出力を生成するための機械装置を指す。 例えば、半球形またはくさび形などの非球形の形状にすることも可能である。シリンダーヘッドの部品などの様々なシリンダーの部品を追加、削除、修正することができる。さらに代替として挿入棒を構成することも考えられる。たとえば、ここで開示するように挿入棒は内部空間に挿入されるが、その方向は底からでも、横からでも、斜めの角度を含めてどの方向でも可能である。シリンダー104自体は円形のエンジンの一部として、ピストンや挿入棒とともに、円形や湾曲のストロークの動作を追うように湾曲の形状でも可能である。さらに、バネや電磁アクチュエーターを使用して挿入棒を制御することも可能である。油圧式の実装方法では、液体が機械的に送られるだけでなく、クランクシャフトピストンに対して電磁的に前進するようなハイブリッドのソリューションが採用することも可能である。例えば油圧式ポンプを使用せずに液体をクランクシャフトプランジャーに送ることも可能である。
【0117】
ここで説明するシリンダーの内部構造の実装は様々な技術的効果や利点を生み出しうる。例えば、シリンダーの内部構造はシリンダーへの吸気に必要(例、特定のストロークを実行するために必要な吸気量)な液体の量(例、液体の質量や、量)を減らすことができ、吸気に必要な液体の量はクランクシャフトピストンの動きや形状により規定されるものもある。吸気に必要な液体の量を減少させても、当初の大量の液体を必要とするストロークと同様の力を維持することが可能である。その他の例としては、シリンダーの内部構造により同量の液体を使用してより長いストロークを可能にするものもある。さらに、シリンダーの内部構造によりクランクシャフトピストンの内面に、平方インチあたりでより大きな力を加えることが可能になる。例としては、クランクシャフトピストンの表面に一つ以上の挿入棒を設置して出力を増大させるものもある。電磁アクチュエーターを使用する例などでは、シリンダーの内部構造は挿入棒をその位置で一定に保つことにより燃焼の圧力を維持して、磁場を当初の力を保っている。また、挿入棒をシリンダーの内部空間に暫時的に挿入することにより、シリンダーの内部構造がストローク距離やクランクシャフトピストン運動量を増加させるものもある。また、シリンダーの内部構造により圧力低下を遅くして、層流のクランクシャフトピストンの動作を促進するものもある。また、シリンダーの内部構造が静電力や静磁力により入力電力の大きさを増大させるものもある。また、シリンダーの内部構造が、挿入棒が磁力線を横切らない限り電力を使用せずに磁力線と平行に動作するものもある。また、ばねをベースにしたアクチュエーターを採用している例では、シリンダーの内部構造がストロークの距離を伸ばし、運動量を増加させ、圧力変動を減少させつつクランクシャフトピストンの動作をより層流にして、挿入棒の慣性とバネの伸びの動作から入力を増大させているものもある。油圧の実装では、クランクシャフトピストンのプランジャーに対する液体の計算質量を大きくすることで、挿入棒によりポンプからの加圧油圧吸気を減らすことができるものもある。こうした技術的な効果により、シリンダーの内部構造を採用した車両の経済性を高めることができる。
【0118】
ここで説明しているステップや、タスクや、手法は、一切の適切な頻度や、間隔や、サイクルなどシリンダーの動作全般で繰り返すことが可能である。この中には連続して動作するものもあれば、中断するものもある(例、制御装置の入力や操作者の入力に反応するなど)。
【0119】
挿入棒202とクランクシャフトピストン204は表面を円錐形にすることが可能である。挿入棒202は、燃焼室に部分的に含まれたり、それを取り囲むことがある。挿入棒202は電磁アクチュエーターや制御装置110により制御される力を加えるメカニズムに機械的に接続することも可能である。クランクシャフトピストン204の内面を円錐形状にすることにより、一般的な円筒状のものと比較すると、トルクやスピードの性能が向上する。
【0120】
ここで開示するシリンダーシステムは、シリンダーをベースにしたエンジン102を採用して有用な動作を生成することができる。燃焼室208は挿入棒やクランクシャフトピストンの備品に囲まれており、燃焼室自体をシリンダー内で移動させたり、形やサイズを変更させることができる。
【0121】
電磁石を反発、もしくは引きつけるタスクのみに使用することで、磁気コアが極の向きを変えずにそのまま維持することになり、常に片側に電子が集まることになる。このような手法を使用すると、ソレノイドの構成要素に追加される磁場の強さは、通常の形態磁石で電流と電圧により作られた磁場に比べて、数百倍になる。このように増大した力は永久磁石の特性から得られるエネルギーの回収の点で非常に大きなメリットがある。これはエンジン全体のエネルギー回収にとって非常に大きなメリットである。
【0122】
挿入棒などの内部構造はシリンダー内で第二のピストンとして動作することが可能である。シリンダー内部の圧力の低下の解決方法としては、未燃の排気を排出する代わりに、電磁石などの二次的な力により、第二のピストンをクランクシャフトが連結されているピストンとは反対方向に動かすことが挙げられる。挿入棒が部分的に燃焼室を取り囲んでいる場合や、第二のピストンとして初期の加速を生成する一部になっている場合は、こうした設定はより容易である。つまり、前面からの圧力を受けた時に挿入棒の向きを反対にする。これにより膨張行程中に挿入棒が停止して、ゆっくりと反対の方向に動き始める。電磁石モーターや、過給機や、油圧チャージャーなどの二次的な装置使うことで、より強く引き戻す力を得て、その位置を制御できる。
【0123】
吸気経路と燃焼室の間に第二のピストン(挿入体または内部構造)を配置するとともに、カムシャフト駆動ピストンの収縮中に占有構造の排気側よりも吸気側で高い流体の圧力を継続的に維持することで、吸気経路をより清潔な状態に保つことでき、長期的な信頼性が向上する。
【0124】
挿入棒が燃焼室を囲み、第二のピストンとして最初の加速を加える一部になる場合、2つのピストンが外れた後でクランクシャフトから圧力を受けると挿入棒は方向を変え、膨張行程で挿入棒が停止し、ゆっくりと逆の方向に動き始める。
【0125】
「クランクシャフトピストンの方向に移動する」とは、クランクシャフトピストンの移動する方向ではなく、クランクシャフトピストンの位置を示す場合があることにご留意いただきたい。
【0126】
エネルギーは同じ経路を同じ距離を移動するのに使用されるため、エネルギー消費が時間に依存しないようにすることができる点に本公開のメリットがある。つまり、速度が変化して遅くなったり、早くなったとしても、同じエネルギー量で作業を実行することが可能になる。また内部構造の背後にある液体の蓄積室により、2回のストローク動作で4ストロークを実現できる。このシステムは省エネのための構成というだけではなく、エンジンの加速と減速を排ガスを減らしつつ行うという代替方法を提示するものである。
【0127】
2回のクランクシャフト動作で4回のストロークを実行するために、新鮮な空気または予混合流体が膨張行程中に燃料噴射口で内部構造の背後の空間に送られ、膨張行程を進める力を加えて、(圧縮行程では)空気を圧縮する。圧縮行程が始まると、内部構造の背後の空間に設置されたコミュニケーション通路を通じて、この部分的に圧縮された液体が燃焼室に噴射口によりさらに圧縮される(例、完全な圧縮)。別の手法(直接噴射)では、特別な通路が点火プラグとともに燃焼室まで伸ばすことができる。排気口216は様々な位置や構成が考えられる。「予混合」液体の定義は、ポートインジェクションの液体か、非直接的に噴射される液体を指し、「予混合室」とはポートチャンバーをさすことに留意をいただきたい。
【0128】
言い換えると、膨張行程中にターボチャージャーや過給機を使用して、ポートインジェクションチャンバー201(
図3)内の内部構造の背後にある空間に、新鮮な空気や液体を送ることにより、内部構造に駆動力を与えるとともに、圧縮行程の過程として1つ以上の構成要素内の空気を部分的に圧縮する。圧縮行程が始まり、ピストンが後退し始めると、この部分的に圧縮された空気は燃焼室に送られ、吸気バルブ位置203を通じてさらに圧縮され、排気される液体を2つのピストンの間にある排気バルブに向けて押し出し、ピストンが噛み合い始めると、燃焼室は排気により綺麗な状態となり、燃料の液体が完全、もしくは部分的にポートインジェクションチャンバーの一つに送られて、新鮮な空気と混ざり合い、ピストンが完全に後退すると、間接噴射方式で混合気が燃焼室に送られる。別の手法では、特別な経路もしくは燃料経路を介した直接噴射が点火プラグとともに燃焼室まで直接届き、内部構造空間内の中央、もしくは端、もしくはその空間の近くにおいて、ポートインジェクションチャンバでなく、燃料が燃焼室に噴射される。排気口216は別の場所でも良いが、圧縮行程中に噛み合い始める2つのピストンの間に設置しても良い。点火プラグは直接噴射でも間接噴射でも、非ディーゼル燃料に使用する。
【0129】
【0130】
図 2-18ではシリンダー内部構造に含まれる可能性のある様々な例や、構成要素や、機能について示している。例えば、シリンダー104に、内部空間208、内部構造202、クランクシャフトピストン204を使用できる。またシリンダー104の内部空間208は、内部構造202によって変化できるものであり、これにより膨張行程の初期段階でクランクシャフトピストンに加えられる燃焼圧力がクランクシャフトピストン204の表面の小さな領域に加えられるようにするとともに、膨張行程の後段階でクランクシャフトピストン204に加えられる燃焼圧力がクランクシャフトピストン表面の大きな領域に加えられるようにするものである。
【0131】
例えば、
図8の左側で示したように、膨張行程の初期段階で、小さな表面積802が燃焼キャビティ804の燃焼にさらされる。右側は膨張行程の後段階を示しており、ここでは大きな表面積802が燃焼キャビティ804の燃焼にさらされる。この概念は、図に示されているすべての例に適用されるものである。クランクシャフトピストンの形状を部分的に円錐形にすることにより、直角の形状に比べて、より大きな表面を燃焼圧の波にさらすことができる。しかしながら、
図4、5、6、10で示すような直角のクランクシャフトピストンの形状であっても、膨張行程中の初期および後期に、燃焼にさらされるクランクシャフトピストンの表面を変えることにより、恩恵を受けることが可能である。
【0132】
例えば、クランクシャフトピストンには、より薄い面808からより厚い面810に変わる端部を使用することができ、これにより、
図8に示すように、より薄い面の部分が最初に燃焼圧力にさらされ、より厚い面が後に燃焼圧力にさらされるようにすることができる。より薄い部分は燃焼時に燃焼室に挿入されるか、燃焼室のすぐ隣に配置しても良い。内部構造の形状はクランクシャフトピストンと正確に一致するか、ほぼ一致させることになる。より薄い部分はより厚い部分に対して(
図8の左に向かって)、端に設置できる。
【0133】
本システムは、内部構造202のキャビティ804内で燃焼を発生させることにより、内部構造202とクランクシャフトピストン204の両方に燃焼の圧力を加えることができるように構成することができる。
【0134】
内部構造202はシリンダー104に対して動くことが可能である。この内部構造202の動作を、力を加えるメカニズム702で力を加えることにより制御することができる。内部構造202は膨張行程中に向きを変えることができる。
【0135】
力を加えるメカニズム702は、スロットル位置(例、車両)に反応するものであり、スロットルの位置センサーによるスロットルの位置により内部構造202に力を加える。力を加えるメカニズム702は、膨張行程中に力を加えて内部構造202を後退させるように構成することができる。また、力を加えるメカニズム702は、膨張行程中に力を加えて内部構造202を前進させるように構成することもできる。
【0136】
力を加えるメカニズム702には、電磁アクチュエーター、油圧システム、その他過給機システムを使用することができる。過給機の例としては、ターボチャージャー、油圧式チャージャー、スーパーチャージャーが挙げられる。内部構造は電磁アクチュエーターに機械的に結合される。
【0137】
図18は第一の電磁石1802を示したものであり、この電磁石はクランクシャフトピストンの拡大時に反発する力(前進する力)を加えることができる。第二の電磁石1804はクランクシャフトピストンの後退時に引きつける力(後退する力)を加えることが可能である。
【0138】
膨張行程中に吸気側で液体を圧縮することによって、圧縮行程を部分的に実行するようにシステムを構成することが可能である。これは、力を加えるメカニズム702を通じて内部構造202に力を加えることが可能であることを意味する。そのため、1度の燃焼で吸気、圧縮、膨張、排気の行程を、2ストロークで実行するように構成することが可能である。
【0139】
シリンダーの圧力を増大してエンジンの加速度を上昇させるため、内部構造202の吸気側704に液体を送るようにシステムを構成することができる。また内部構造202に後退する力を加えてエンジンを減速するようにシステムを構成することもできる。また内部構造202に前進する力を加えてエンジンを加速するようにシステムを構成することもできる。
図7に示す通り、流路706を使って液体を吸気側704から燃焼室804へ送ることができる。
【0140】
流路706は、バルブ制御により液体管理のステージ1とステージ2のタイミングを分けることができ、連絡経路としても利用できる。ステージ1は、内部構造(挿入本体)の空間背後に液体貯留を含み、ターボチャージャーや過給機を使用して、膨張行程中に新鮮な空気を部分的に圧縮することにより、ピストンに第二の駆動力を与え、もしくはピストンに駆動力を与える一方で液体の予混合を行う。ステージ2では、部分的に圧縮した空気もしくは予混合の液体を、内部構造の空間にある燃焼室に複数のバルブや経路を持つ連絡経路を通じて送る。連絡経路、もしくは経路は、新鮮な空気の吸気の経路と、排気の経路がある。内部構造の空間を使用することにより、排気経路は連絡経路としても適合する。この連絡経路は複数の経路を持ち、新鮮な空気の吸気、もしくは予混合した液体の吸気だけでなく、排気の経路とも接続される。
【0141】
連絡経路は一方向弁を持つことが可能であり、そのバルブを開くことで部分的に圧縮された液体を燃焼室に送ることができ、また膨張行程中にはそのバルブを閉じることができる。ポートインジェクションコンパートメントは膨張行程中にサイズを拡大することも可能である。
【0142】
燃焼の圧力をクランクシャフトピストン204と内部構造202に加えることにより、内部構造202をクランクシャフトピストン204から反対の方向に加速させることで、クランクシャフトピストン204に加えられるはずだった燃焼力の一部を吸収するようにシステムを構成することも可能である。また本システムは、1度の燃焼で吸気、圧縮、膨張、排気の行程を、2ストロークで実行するように構成することが可能である。
【0143】
図19で示す通り、1902では内部構造のシリンダーとピストンを取り囲む可変の部分で燃焼を発生させ、1904では膨張行程中に内部構造のシリンダー方向を変えて完全に停止するまでその両方を加速させてシリンダーの内部空間へ送り、1906では電磁アクチュエーターや、油圧システムや、ターボチャージャーなどの二次的な装置で力を加えることで、内部構造のシリンダを前進または後退させ、1908では、圧縮行程中に内部構造を完全に交代させることで予燃焼液体を圧縮して移動させる。
【0144】
図20-32のグラフは、本開示のシリンダーシステムの様々な有益な特徴を示したものである。仮に
図20-32ではここで説明した点が明確ではない場合、本開示に関する一切の情報はそのグラフや、題名や、テキストから得られることにご留意をいただきたい。D1-D3は本開示のシリンダーシステムの設計1-テスト3について述べたものであり、異なる実施形態となっていることにご留意をいただきたい。たとえば、T1-T3は「デザイン3」-「テスト10」を指す。
【0145】
図20は、本開示のピストンシステムの測定方法との比較例として、従来のピストンの測定基準を示したものである。
図25と比較して参照いただきたい。
【0146】
図21は圧力対距離のグラフを示したものである。テストは負荷なしで行った。本開示のシステムは、従来のシリンダーシステム Dl-Tlに比べて、D2-T1の曲線下の面積がはるかに大きい。膨張行程中、シリンダーが300%-400%の高い内圧を継続して維持している場合、高い熱効率を反映しており、理想的なNO
2/NOxの比率である50%と、炭化水素粒子のより完全な分解を反映するものである(シリンダー内部構造設計によりHCの質量分率が半分に減少する)。クランクシャフトピストンに負荷を加えた状態で繰り返してテストを行い、グラフD2-T1の下の領域(D2-T3と呼ぶ)は従来のシリンダーと比較してはるかに大きなシリンダーの内圧を示した。
【0147】
図22は、曲線D2-T1の圧力の利点を示したものであり、ここでD2-T1は本開示のシステムの第二の実施形態の最初のテストを意味する。さらに、
図22は、圧力対時間のグラフを示したものである。テストは負荷なしで行った。本開示のシステムは、従来のシリンダーシステム Dl-Tlに比べて、D2-T1曲線の下の領域がはるかに大きかった(約5倍の大きさ)。同様に、この図からは排気がよりクリーンである可能性を示唆するものでもある。
図22では示していないが、予混合液体を使用することにより、圧力は1500psiまで上昇し、わずか0.007秒でゼロまで落とすことができる。しかしながら、ピストンの速度はD1-T3よりもかなり早くなる結果、液体の凍結や汚染を引き起こすことになる。
【0148】
従って、ここで開示する本発明は、最初の力をより小さい表面積に加えることにより、ピストンの速度を下げ、その一方で内部の燃焼圧力を高めることにより、液体の凍結と汚染を減らすになる。予混合液体を部分的使用し、間接的ポートインジェクション手法を採用することにより液体の凍結と汚染を減らすことができる。従って、燃焼室での燃料の直接噴射はその一部を、燃料と新鮮な空気の予混合手法に肩代わりすることができ、これにより、より高い内圧を実現する一方で、ピストンの速度を下げることでよりクリーンな燃料の燃焼を維持することが可能になる。開示する内部構造の空間を使用し、膨張行程の初期段階で燃焼の力を、カムシャフトピストンのより小さい面積、もしくは一部に与えることにより、動作を緩やかにする一方で、仕事エネルギーをより少ないロスで獲得することができる。従って、本開示のシステムおよび手法は、間接噴射を部分的に可能にして、より遅いピストン運動で大きなインプットの力を得られるという利点を持つ一方で、燃焼もクリーンであるという利点も有するものである。
【0149】
図23は圧力対時間のグラフを示したものである。テストは負荷なしで行った。設計D3-T1では、燃焼室は表面802(
図8)のみに面しており、要素808を取り囲むものではない(
図8)。設計D2-T1では、燃焼室は最初から要素808を取り囲んでいる。設計D3-T1では、内部シリンダーの圧力が従来のシリンダーに比べて2倍高い一方で、D2-T1に比べて2分の1であることをグラフが示している。内圧が下がる一方で、設計D3-T1はD2-T1よりも仕事エネルギーをよりよく提供できる。このグラフから、ある設計が他よりも良いかどうかは、エネルギーのリターンとクリーンな燃焼という仕様に大きく依拠していることがわかる。
【0150】
図24は力対距離のグラフを示したものである。このグラフは、D3-T1が、燃焼室が当初は要素808を取り囲んでいないが(
図8)、膨張行程においてD2-T1よりも大きな力を生成するものの、通常のピストンを上回るものではないことを示している。このグラフで新しいデザインと従来のデザインの間のエネルギーの評価について混乱すべきではない。仕事エネルギーのパフォーマンスは(力*距離/秒)に基づいて評価するべきであり、仕事対時間として表す(仕事/秒)を使用すべきだからである。
【0151】
図25は直接噴射を使用した仕事エネルギーの評価グラフであり、新しい設計D3が仕事対時間のグラフの下の領域が従来のシリンダーの設計に比べてより大きいことを示したものである。面積の差異から、これは仕事エネルギーの効率性が200%向上していることを意味している。設計D3-T1は、膨張行程の初期において燃焼にさらされる領域が D3-T2 よりも大きい(802
図8)が、これはエンゲージメントヘッドの直径が大きいためである(要素808
図8)。そのため、 膨張行程の初期段階においてD3-T1がより大きい仕事エネルギーを生成するが、後になって低下するのがわかる。D1-T3に間接噴射を使用すると(図には示していない)、利用できるエネルギーが向上し、間接の予混合噴射と比較すると、直接噴射方式では2倍になる。こうした理由から、直接噴射を使用することにより、より高いエネルギーリターンと排気コンプライアンスを獲得できるようになり、さらに本開示の手法を使用することにより、さらに高いエネルギーリターンとよりクリーンな排気液を実現することが可能である。
【0152】
図26は、ANSYS分析を使用した排気質量分率の表であり、COが2.5倍減少し、CO2が1.4倍増大し、NOが1.08増大し、NO2が3.2倍増大し、 C12H23が5.45倍減少していることがわかる。下記は
図26の表に関連した情報の一覧である。
【0153】
ANSYS分析を使用して設計D1-T3と D3-T10の燃料噴射 (C12H23) の同様の初期パラメーターを使用
【0154】
マスフロー噴射 = 0.05 kg/秒;
【0155】
噴射時間 = 0.001秒;
【0156】
噴射の圧力 = 17405 PSI;
【0157】
燃料の温度 = 300 K;
【0158】
噴射燃料の質量 = 50 mg;
【0159】
ノズル径 = 1 mm;
【0160】
おおよそのエンジンの回転数 = 4000 RPM.
【0161】
圧縮空気の初期パラメーター:
【0162】
初期ボリューム = 4.81インチA3 ;
【0163】
空気圧= 500 PSI;
【0164】
空気の温度 = 830 K;
【0165】
N2の質量濃度 = 0.7675
【0166】
O2の質量濃度 = 0.2325
【0167】
耐圧力 = 20 PSI (クランクシャフトピストンに1074 Nの抵抗)
【0168】
結果:排気中の炭化水素排出量(HC)が5.45倍減少した。燃料消費量を50%削減すると、HCは1100%削減される。COは2.5倍減少した。NOは同レベルに留まったものの、燃料消費量を削減する潜在的な可能性を持っていると言える。CO2は30%減少し、特にこれがHCとCOの減少の結果であり理想的な結果と言える。もっとも、燃料を削減することによりさらに減少できる潜在的な可能性があると言える。理想を言えば、管理しやすい排気フィルタが簡単にN2に転換できるように、NO2は3.2倍に増加させることが望ましい(より高価なフィルタはNOをNO2に転換可能である)。管理可能なNO2とCO2は、管理できないCO、NO、炭化水素を犠牲にできるのであれば、増加しても構わない。
【0169】
図27は、D3-T2の場合の、仕事対時間のグラフであり、エンゲージメントヘッド808の長さを2.5インチにしたものである。このグラフは、従来のピストンや新しい設計でヘッドが短いものに比べて、仕事エネルギーが膨張行程の終わりに高くなることを示している。
【0170】
図28は、D4-T1の場合の、エンゲージメントの長さをゼロにした場合の従来のピストンとの比較である。このテストでの要素808(
図8)の長さはゼロであり、クランクシャフトピストンと内部構造の間のエンゲージメントは深さ0.5インチの円錐形である。ここでは内部構造は前進せず固定の内部構造として働くものであり、これにより、より高度なエンジンを使用することにより生じる問題を避けることができる。グラフはエネルギーリターンがより良好であることを示している。
【0171】
図29は新しい設計における D2-T3の場合に、作動中のカムシャフトピストンのより小さい表面に圧力を加えた時に、最初の10%のパワーストローク中にグラフ下部のエネルギー領域が無駄になっていないことを示している。新しい設計においてストローク時に、よりバランスのとれた力の分布を実現することにより、様々な負荷に要する燃料の量を変更することができるほか、ディーゼルやガソリンを節約できることにもつながる。また、表面802(
図8)のサイズを変更することにより、力の分布の要件を制御することができ、さらに膨張行程中に初期の力が小さいほど、その力を後で利用することができるほか、エンジンの振動も小さくなる。
【0172】
図30は、 D3-Test 9の場合に、1100Nの抵抗負荷を生成し、8000Nを膨張行程の0.005秒で拝借して、第二の駆動力として内部構造(第二のピストン)に加えた。これにより、潜在的に80%のエネルギー回収可能性を保持しつつ、駆動力のスパイクを実現し、またクランクシャフトピストンに速度を与えることになる。これは、クランクシャフトピストンの力を1000Nから8000Nに増加させた力対速度のグラフに現れている通りである。
【0173】
引き続き
図30を参照していく。D3-T10の場合に1100Nの抵抗負荷を生成し、2222Nを膨張行程の0.005秒で拝借して、第二の駆動力として内部構造(第二のピストン)に加えた。これにより、潜在的に70%のエネルギー回収可能性を保持しつつ、クランクシャフトピストン継続的に強化することになった。このテストでは、膨張行程中、内部構造とピストンは互いに外れることはなく、ピストンはストロークの終わりになる程より高い圧力と駆動力を有した。二次駆動力である2222 Nは、回収した排気エネルギーから拝借することもできたかもしれないし、内部構造を前進させるための補助に使用した場合、2222Nの大部分はクランクシャフトピストンの駆動力の約1500Nに転換されうる。
【0174】
このグラフはまた、排気回収ターボチャージャーの力や磁力を補助することにより、ユニークなメリットが得られることを示している。それは、必要な時にだけエネルギーを使うことができ、シリンダー数を増やすことなくより高い容量のエンジンを実現できるというものである。
【0175】
図31は、D3-T10の場合に、クランクシャフトピストンの駆動力が継続的にポジティブなものになることにより、エンジンの振動の低減とクランクシャフトの動作を均一に保つことに役立つことを示している。膨張行程の最終段階でも、十分な力を有しており、層流の非インパルスメカニズム運動で第二のピストンの圧縮行程に力を加えることができる。
【0176】
図32はピストンの速度を示したものであり、従来のシリンダーでのクランクシャフトピストンの速度は平均およそ30-40メートル/秒である一方、内部構造を使用したクランクシャフトピストンの速度は、第二の力の補助を使用しない状態で、平均およそ16メートル/秒であることを示している。燃焼制御の研究から、ピストンの拡大が速ければ速いほど、シリンダーの混合燃料の冷却が速くなり、その結果、排気は平衡状態とは程遠い状態で、化学反応(凍結状態と言われる)が大きく減少することがわかっている。ピストンの速度のみを変えて、所定のシリンダー設計で比較した場合、凍結する化学物質の例としては高いレベルのNOxが挙げられる。ピストンの速度を均一に上昇させることにより、燃焼が不完全になるほか、汚染の結果も悪くなることがわかった。従って、膨張行程の後半に大きな力を加える本開示のモデルは、ピストンの速度を大きく上昇させる可能性があるが、ピストンの速度上昇を、ピストンの速度を遅い速度に保って十分な燃焼時間をとった後に実現させることができれば、こうしたピストンの速度上昇は汚染を減少させるという目標に悪影響を与えることはなくなる。
【0177】
さらなるテスト結果により、クランクシャフトピストンのヘッドの直径(例、
図8の802)を小さくすることで減速させることができ、所望の速度でピストンのパフォーマンスを実現できるほか、エンゲージメントヘッドの直径が0.9インチ以下の時、16メートル/秒よりもゆっくりとピストンを動かすことが出来る。
【0178】
公害や規制に鑑みて炭化水素(HC)は大きな汚染の問題であり、本開示の内部構造を使用したシリンダーを使用することにより最大550%の排出を削減することができる。公害に関する規制において最も重要なものはNOx (N2, NO2, NO)である。ほとんどの車両の排気ガス中のNO2 /総窒素酸化物NOxの比率は通常約5-10%であり、最適値は50%以上である。排気のモデムフィルターはNOをNO2に転換し、最終的にNO2をN2に転換させるものである。NO2/NOx比をの所望の比率まで増加させ、全体のNOxの質量を減らす目的で実装できる設計を豊富に用意している。本開示の内部構造を使用したシリンダーの設計では、汚染に対する主な利点として、燃料全体の使用量の削減と同時に、燃費を改善することにより、熱が排出汚染の主な原因であるところの熱出力を減少させることができる。
【0179】
本開示の手法では、シリンダーの内圧を増加させ、ピストンを減速させることにより、炭化水素の質量分率が550%削減されている。NO2は理想的な高い比率であり、この方法ではNOよりもCOを犠牲にしてNO2を増加させている。内部構造のシリンダーのNOの出力は、 6000 rpm未満の速度の従来のシリンダーのNOのレベルと同じ程度であるが、間接噴射を部分的に使用すると減少し、N2が倍になるという理想的な結果になるほか、より多くの有害な酸化型から窒素を取り除き、本開示のシステムで予想した均衡のとれた化学反応とプロセスを実現した。
【0180】
2つの類似のエネルギーが、2つの類似の質量の物質を、AとBの2点の間の同様の距離を、同様のエネルギー条件で移動させる場合、エネルギーは時間に依存せず、時間に関係なく同じエネルギーが消費されることになる。もっとも、仮に経路が変更されてAとBの間で2倍のエネルギーが消費される場合、より多くの仕事が必要になり、仮にその他の変数が同じままであったとしても、同様の条件で2倍(時間も2倍)の場合、同様の仕事を行うためには2倍のエネルギーが消費されることがわかっている。
【0181】
シリンダーの例では、クランクシャフトピストンの動作の物理的距離A-Bを同様に使用するが、内部構造を使用すると、同様の力と異なる相対距離に調整もしくは修正できるというパスカルの原理に従って圧力と表面を変化させることが出来る。そうした相対距離は A'-B'と呼ばれ、相対的な運動において、同様の物理的な距離を別々に計算できると主張するD'Limbertによれば、AとBの間のそれぞれの相対的な運動は、 A'-B'の相対運動に基づき、エネルギー消費量が異なる原因になる。これは座標距離が同じではないため、時間に依存するエネルギーとなる。
【0182】
内部構造の空間を持つピストンでは、相対運動を持ち、クランクシャフトピストンの物理的な距離が調整される。これは運動の距離が変化するからではなく、運動の開始と終了の間の経路が表面と圧力の値で変更するからである。
【0183】
ピストンの出力エネルギーを高める方法の一つは、本明細書のシリンダーと相対運動をする内部構造を第二のピストンを使用することである。シュミレーションチャートは、従来のシリンダーで実行していた一定の仕事を少ない燃料でも実行できるか、または同様の燃料の量で従来のシリンダーを上回るというエネルギーの効率性の強化を示している
【0184】
同様の燃料の量と、同様の重量のクランクシャフトピストンを使用して、同様の直系のシリンダーで、同様の負荷を駆動すると、内部構造を備えたシリンダーではクランクシャフトピストンの速度がおよそ半分になることがわかっている。仮に、従来のシリンダーと内部構造を備えたもののクランクシャフトの運動エネルギーを、同様の燃料、同様の抵抗負荷、同様のシリンダーの直径で比較し、運動を行うピストン本体の運動エネルギーの方程式 ( E=0.5 *m* v2) を使用して同様のクロックタイムと同様の距離で比較すると、ピストンの運動速度(v)は常に(m)よりも低く、燃料またはピストンの質量と同様であることから、内部構造を備えたシリンダーのクランクシャフトピストンの運動は、運動エネルギーが低くなる。しかし、論理的には、燃焼力はシリンダー内部の小さな体積で発生し、ピストンと負荷を物理的に長い距離で駆動することで補償されるはずである。テストの結果は、( [力* 距離] /時間)で表される 仕事エネルギーのグラフの下の領域がより大きいことを示している。
【0185】
この不一致の結果は、運動エネルギーよりも仕事エネルギーを計算するために役立つように、運動エネルギーの公式を変更すべきことを示唆している。そこでは速度は加速度と時間に置き換えらえれ、調整時間と呼ぶ仕事時間(単位時間ではなく)を含むことになる。
【0186】
エネルギー= 0.5 *質量*(加速度*時間)2 /時間= 0.5 *質量*加速度2 *時間。 この方程式のエネルギーの測定単位は、Kg * m2 / s3または(Kg * m2 / s2)/ sとなる。これは、1秒あたりに費やされるエネルギーであり、1秒あたりに実行される仕事であり、仕事の力そのものである。
【0187】
同様の負荷を物理的に同距離移動させるための仕事エネルギーは時間に依存しないことがわかっているが、物理的な距離が変化したり、相対運動が変化すると、仕事エネルギーが時間に依存し、2倍の距離を移動するためには2倍の時間とエネルギー消費が必要だというのは明らかである。内部構造では、パスカルに従って仕事エネルギーを計算するために同様の物理距離を使い、運動の座標を決めるために距離に応じて圧力と表面を調整することが出来る。力と加速度を同様に調整すると最後に残る変数は距離だけとなり、この変数はエネルギー消費がクランクシャフトの運動と仕事時間の相対座標の距離に依存するようになる。
【0188】
シリンダーの内部容積を変更していることから、燃料masの用語を時間に依存しない仕事としてKg* m/sで測定されるピストンの質量力(mf)に置き換える。
【0189】
別の調整として、比較可能な運動座標とその座標の変数を時間(t)まで最小化するために、両方のシリンダーの一般的な加速度を検討する必要がある。どの加速度でも一般的な基準とすることができるが、馴染み深い基準としては重力加速度(g)であろう。エネルギー保存を念頭に置いて加速度を調整するためには、ピストン1では、A1
* T1 = g * t1、ピストン2では、A2
* T2 = g * t2を使用する。 2つのシリンダーの相対運動の仕事エネルギーを比較できる式は、次のようになる。 エネルギー1 = 0.5* mf1
* g2 *t1 およびエネルギー2=0.5 * mf2
*g2
*t2。また、この方程式を仕事エネルギー座標の測定に使用することもできる。(mf = z、Kg * m / sで測定される仕事エネルギーの時間に依存しない次元)、(g = y、m / s2で測定される普遍的な加速度)、(t = x 、s測定される作業エネルギーの時間に依存する次元)。
【0190】
図33はmf=z (g)上の質量力が一般的な加速度の基準y であり、x上の一般的な時間座標(t)であるところの公式E= 1/2
* mf
* g
2*tの座標を示すものである。エネルギー保存の法則を破ることなく、相対運動からエネルギーを獲得するという概念を明確にするために、E=を燃焼用の燃料の熱エネルギーと呼ぶことが出来る異なる2つのピストンに同様の燃料を使用する場合、E
1はピストン1に対応し、E
2はピストン2に対応することになる。そのため、El = E2であり、0.5 mf
1
* g
2 *t
1 = 0.5
* mf
2
* g
2
*t
2となる。
【0191】
mf1
*t1 = mf2
*t2(時間に依存しないピストンの仕事エネルギー1*仕事時間1=時間に依存しないピストンの仕事エネルギー2*仕事時間2)
【0192】
従来のシリンダーtl=4秒(ピストンの平均速度=39.2 m/秒 )、改善したシリンダーt2=2秒(ピストンの平均速度=19.6 m/秒)で、時間2がより小さい場合は、関連する仕事エネルギーmf>がより大きくなり、そうした仕事エネルギーは時間に依存せずに利用できる。
【0193】
質量が質量力に置き換えられると、1kgの質量力はおよそ1kg-メートル/秒であり、この力は時間に依存しない値として1秒あたりの仕事エネルギーと呼ばれる。従来のピストンで利用可能な仕事エネルギー(1秒あたり、1メートルあたりの膨張行程中のピストンで生じる質量力)は、この変更を加えたシリンダーのピストンで動作する仕事エネルギーのおよそ半分の値である。ここで主張する通り、変更を加えたシリンダーのピストンの平均速度は従来のシリンダーのピストンの平均速度よりも遅いことに留意をいただきたい。
【0194】
さらに、
図33は、従来のシリンダーxyzと、内部構造x'y'z'を持つシリンダーの相対運動の比較であり、よりよくシステム設計管理のための相対運動を分析する目的で、相対性理論の理解をベースにして最初の方法で相対運動の座標の使用を試みた。ここでは、座標の各シリンダー(tおよびt')に独立した時間の基準を用いて、「C=光速」という命題を使い、また有名な公式( E=m*C
2)の結果、および第二の手法で tとt'をローレンツ公式に従って時間を可変的なものにするとともに、両方の座標に標準時間を割り当てる、ガリレオ変換を使用する。X'Y'Z'が内部構造の動作を表し、加速度が異なるピストンは光速(c)の代わりに(g)で調整を行う。t
1およびt
2は、普遍的な加速度(g)に対して比較可能なクランクシャフトピストンの平均速度の調整時間を表す。これはどう言うことかと言うと、ピストンの平均速度が19.6 m/sの場合、t = 2秒のようになる。これは、自由落下する物体が19.6 m/sに到達するのに必要な時間である。XYZ と X'Y'Z'は、2つの動作の仕事エネルギーをを比較するための相対エネルギーの公式(E= 0.5 mf
*g
2*t) の各面表すものである。ここで、(t)はxの加速度の調整時間、(g)はyの普遍的な加速度(特殊相対論ではこれはC)、mfはzの力(圧力
*表面
*物理的距離/秒)を表す。運動の同様の経過時間を使用することにより、内部構造を使用することで、従来のシリンダーの1秒あたりの同様の仕事量を、より少ない座標時間(t)で済むことを発見した。
【0195】
第二の座標 x'y'z'で、本開示のピストンの内部構造を使用して、エネルギーをどれだけ節約できるのかをローレンツ変換と特殊相対性理論を使用して計算すると、ピストンの速度と光の速度が非常に大きく異なることから、相対的な時間の調整(f から t )は限りなく小さくなる。
【0196】
ニュートンの相対性原理とガリレオ変換により第一と第二のシリンダーのピストンの速度を、関係する重力(g)とともに参照しつつ時間を調整(t1とt2からt)すると、 t1/t2が説明する所の、作業エネルギーのグラフの下の領域の差異を説明するテストの結果と相関することになる。(Kg*m2 /s3)で測定する作業エネルギーの公式 1/2 *mf* g2
*tは、一定のパフォーマンスを実現するのに必要な、表面のサイズと内部構造を設計及び制御するのに必要なツールとなる。
【0197】
ニュートンーガリレイの相対性を使用したt1/t2の割合は、コンピューターシュミレーションで測定される作業エネルギーの曲線下の領域の割合に比例したエネルギーを節約できるというテスト結果を得られた一方で、特殊相対性を使うと設計に関係なくエネルギーの違いを反映せず、時間内に凍結した結果が得られた。
【0198】
内部構造に設置されたシリンダーのグラフの下の作業エネルギーが大きいと、従来のシリンダーの同レベルのエネルギーを実現するためにxで必要な加速時間、はより短いもので済むことになる。つまり、相対運動においてはニュートンの相対性と、時間がエネルギーの真の形であることによれば、エネルギーの節約は時間との交換になることになる。
【0199】
ここで開示する手法やシステムでは、エンジンのシリンダーレベルで、シリンダー内の内部構造の空間を使用して構造と圧力に手を加えることにより、排気液中の炭化水素とCOを減少させることができる。さらに、シリンダーに応じて動く本体内に燃焼室を持つことにより、一定の機械的な作業量を実現させるための燃料の必要量も削減することができる。本システムと手法はエネルギーを節約するために相対運動を使用する。こうしたエネルギーの節約は、ニュートンの相対性とガリレオ変換に従って時間と交換されることになる。
【0200】
本開示の手法は以下を含みうる。
1)シリンダーレベルで2つの動力源を使用するハイブリッドエンジン手法
2)内部の相対的な圧力を高めて、クランクシャフトピストンの速度を落とすことにより、COや遊離炭化水素のラジカルの大部分を管理可能なCO2、N2、NO2に返還させることができる、シリンダーレベルの排出液フィルタ手法
【0201】
3)衝撃吸収材として内部構造を利用することにより振動を抑える手法。
4)ニュートンーガリレイの相対性原理の2番目のフレームとして内部構造を利用することにより、エネルギーを節約する手法。
5)時間に依拠したエネルギー交換と節約手法。
【0202】
本発明の好ましい実施方法として説明したものには、その細部について様々な変形やバリエーションを製作することが可能であり、上記の説明や、示した図は、例示として列挙したものであり、限定する意図は全くない。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲および法的にそれと同等と考えられるものにも及ぶべきである。
【符号の説明】
【0203】
102:エンジン
104:シリンダー
106:入力
108:出力
110:コントローラー
110:制御装置
1802:第一の電磁石
1804:第二の電磁石
1902:内部構造のシリンダーとピストンを取り囲む可変の部分で燃焼を発生させる
1904:膨張行程中に内部構造のシリンダー方向を変えて完全に停止するまでその両方を加速させてシリンダーの内部空間へ送る。
1906:電磁アクチュエーターや、油圧システムや、ターボチャージャーなどの二次的な装置で力を加えることで、内部構造のシリンダを前進または後退させる。
1908:圧縮行程中に内部構造を完全に交代させることで予燃焼液体を圧縮して移動させる。
201:ポートインジェクションチャンバー
202:シリンダーの内部構造
202:挿入棒
203:吸気バルブ位置
204:クランクシャフト
204:クランクシャフトピストン
208:内部空間
208:燃焼室
210:吸気バルブ
216:排気バルブ
216:排気口
224:コイル
226:電気システム
227:磁石
407:磁石
702:力を加えるメカニズム
704:吸気側
706:流路
802:小さな表面積
802:表面
804:燃焼キャビティ
804:燃焼室
808:エンゲージメントヘッド
808:より薄い面
808:要素
810:より厚い面