(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】シーリングデバイスを含む液体製品用ポンプ、及び係るポンプを含む噴霧設備
(51)【国際特許分類】
F04B 53/14 20060101AFI20240416BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20240416BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20240416BHJP
B05B 9/01 20060101ALI20240416BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20240416BHJP
F16J 15/3292 20160101ALI20240416BHJP
F16J 15/48 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F04B53/14 A
F04B53/00 F
F04B53/16 B
B05B9/01
F16J15/16 A
F16J15/3292
F16J15/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020008279
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-12-22
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ プランタール
(72)【発明者】
【氏名】ブーシフ カルディ
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-500162(JP,A)
【文献】特開平08-074745(JP,A)
【文献】実開昭52-121803(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/00-23/14、
53/00-53/22
B05B 1/00- 3/18、
7/00- 9/08
F16J 15/16
F16J 15/48
F16J 15/3292
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ピストン(16)が摺動可能に取り付けられた圧縮チャンバ(14)を内部に画定する本体(15)、
-ポンプ本体(15)に対して軸方向に把持されたシールのスタック(34)を含むシーリングデバイス(30)を備えた通路開口部(24)を通してポンプ本体(15)に固定された壁(26)を通過するピストンロッド(18)によって、動作のためのピストン(16)に連結された外部モーター(17)
を含む液体製品用ポンプ(4)であって、
シーリングデバイス(30)が、シーリングデバイス(30)に含まれるクラウン(39)とポンプ本体(15)に固定された壁(26)との間に挿入された軸方向圧縮部材(38)を含
み、
クラウン(39)が、壁(26)を通過し、ポンプ(4)の外側から見える、シールのスタック(34)のシールの摩耗インジケータ(50)を含むことを特徴とする、液体製品用ポンプ(4)。
【請求項2】
クラウン(39)が、軸方向圧縮部材(38)を収容するように構成された収容ハウジング(42)を部分的に画定することを特徴とする、請求項1に記載のポンプ(4)。
【請求項3】
クラウン(39)が、収容ハウジング(42)が最小容積を有する第1の位置と、収容ハウジング(42)が最小容積より厳密に大きい容積を有する第2の位置との間で壁(26)に対して移動可能であることを特徴とする、請求項2に記載のポンプ(4)。
【請求項4】
収容ハウジング(42)の最小容積が、壁(26)に配置されたボア(41)、及びクラウン(39)に配置されたボア(43)によって画定され、それぞれのボア(41、43)が互いに向かい合っていることを特徴とする、請求項2又は3に記載のポンプ(4)。
【請求項5】
シーリングデバイス(30)が、ピストン(16)の移動軸(X)と同軸で、ピストンロッド(18)の周りに配置されており、かつ、シールのスタック(34)を収容するように構成された内部容積を画定するカートリッジ(32)と、リング(36)とを含み、
シールのスタック(34)及びリング(36)が、ピストンロッド(18)周りの移動軸(X)と同軸で配置されており、
リング(36)が、軸方向圧縮部材(38)の反対側のシールのスタック(34)の端部に位置したシール(34A)と一致する形状により協働するように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポンプ(4)。
【請求項6】
ピストン(16)及び圧縮チャンバ(14)が、液体製品を収容し、加圧するように構成されたピストンロッド(18)の動きに応じて可変容積(V)を形成し、
可変容積(V)内の液体製品の圧力は、リング(36)に圧縮チャンバ(14)中のピストン(16)の移動軸(X)と平行な力を加え、
リング(36)が、第1の方向(F1)において液体製品により加えられる力の影響下でシールのスタック(34)を圧縮し、軸方向圧縮部材(38)が、第1の方向(F1)とは反対の第2の方向(F2)においてピストン(16)の移動軸(X)と平行な圧縮力を加えることにより、シールのスタック(34)の圧縮に関与することを特徴とする、請求項5に記載のポンプ(4)。
【請求項7】
キャビティー(29)が、圧縮チャンバ(14)の内側に向いた壁(26)の表面に配置されていることと、カートリッジ(32)の1つの端部が、キャビティー(29)の底に載っていることと、カートリッジ(32)の該端部が、ツールの係合のための少なくとも1つのレリーフ(27)を含むこととを特徴とする、請求項
5に記載のポンプ(4)。
【請求項8】
軸方向圧縮部材(38)が平坦圧縮ばねであることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載のポンプ(4)。
【請求項9】
ピストン(16)及びピストンロッド(18)が、ピストン(16)の移動軸(X)に沿った交互運動において動く装置(E1)に属することと、この装置が、ともに可逆的に組み立てられた3つの部品、すなわち、ピストン(16)、ピストンロッド(18)及び外部モーター(17)の延長ロッド(172)を備えた固定エンドピース(19)を含むこととを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載のポンプ(4)。
【請求項10】
ピストンロッド(18)をポンプ(4)において頭尾の2つの位置で取り付けることができるように、ピストンロッド(18)が、その中心(C18)を通過し、ピストン(16)の移動軸(X)に垂直である面(P18)に対して対称的であることを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載のポンプ(4)。
【請求項11】
ピストンロッド(18)が、内部又は周りに、一方ではピストン(16)が、他方では固定エンドピース(19)がねじ留めされる2つのタップ付き又はねじ付き端部部分(182、184)を含むことを特徴とする、請求項
9に記載のポンプ(4)。
【請求項12】
請求項1~
3のいずれか一項に記載のポンプ(4)と、噴霧器(6)と、ポンプ(4)から噴霧器(6)に液体製品を移動させるために噴霧器(6)にポンプ(4)を流体結合するパイプ(8)とを含むことを特徴とする、液体製品の噴霧のための設備(2)、特にエアレス噴霧設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンが摺動可能に取り付けられた圧縮チャンバを内部に画定する本体と、ポンプ本体に対して軸方向に把持されたシールのスタックを含むシーリングデバイスを備えた通路開口部を通してポンプ本体に固定された壁を通過するピストンロッドによって、動作のためのピストンに連結された外部モーターとを含む、液体製品用ポンプに関する。
【0002】
液体製品用ポンプの分野、及びより詳しくはピストンポンプの分野において、モーターは、チャンバの内部の交互運動においてピストンを滑らせるように、ポンプのチャンバ内でピストンロッドを平行移動させる。チャンバ及びピストンは、したがって、チャンバ内のピストンの前後の動きに合わせて、最小容積及び最高容積の間で周期的に展開する可変容積を画定する。チャンバの容積の変化により、可変容積チャンバに取り込まれ、出口開口部を通してポンプの外部に放出される液体製品を吸引し、次いで放出することが可能となる。ピストンポンプは、液体製品の吸引フェーズ及び液体製品の放出フェーズを一般に含むサイクルを周期的に操作する。吸引及び放出フェーズは、チャンバ内のピストンの交互並進運動と関連する。
【0003】
ピストンポンプは、最大500barの高圧に特に適している。
【0004】
係るポンプは、例えば、特に「エアレス」噴霧に関する塗料の投射又は噴霧の分野において用いられる。エアレス噴霧は、対象面に適用するために、空気の添加なしで高圧にて製品を噴霧する噴霧方法である。
【0005】
エンジンはポンプの本体の外部に位置し、ポンプ本体を通過するピストンロッドは、ポンプ本体内に位置するピストンに外部モーターを連結する。
【0006】
Vシールのスタックによって形成されたデバイスを用いて、ピストンロッドと、ポンプ本体又はこの本体に固定された部分との間のシーリングを保証する。Vシールのスタックは、ピストンポンプの場合のように、交互運動で動作するポンプ内のシーリングを保証するように構成された、各々山形又はVの形態で数レベルのシールを含む。Vシールのスタックは、その交互の並進運動中に、ピストンが通過する通路開口部に位置する。
【0007】
グランドパッキンはポンプの使用の間に磨耗を受けるシールのスタックを周期的に手動で締めるのに必要である。使用されたVシールはもはや十分に圧縮されないため、そのシーリングガスケット機能を果たさず、したがって漏れが発生する可能性がある。次いで、シールのスタックがシーリングデバイスとしてその機能を果たすことを可能にするために、圧縮によってシールを締めなければならない。
【0008】
係るシーリングデバイスは、Vシールを締めることからなる定期的な保守を要求する。この操作は時間を消費し、グランドパッキン及びポンプの分野に精通した適格者の介在と、監視の強化を要求する。加えて、Vシールを強く締めると、ポンプの起動時に圧縮空気の必要性が高まり、通常は0.3~0.4barであるのに対して1~1.5barの空気である。反対に、過度に弱い締め付けは、起動時の製品の漏れを生み出す。
【0009】
これは、特に、保守及び監視工程を削減する、液体製品用の新しいポンプを提案することにより、本発明が対処することを目指す問題である。
【0010】
そのために、本発明は、シーリングデバイスが、シーリングデバイスに含まれるクラウンとポンプ本体に固定された壁との間に挿入された軸方向圧縮部材を含む上述の種類のポンプに関する。
【0011】
したがって、定期保守工程の実施なしで液体製品の漏れを防止するように、軸方向圧縮部材がシールの一定の圧縮に関与する。シーリングデバイスはしたがって「自己締付け」と考えることができる。
【0012】
本発明の有利であるが任意選択の側面によれば、係るポンプは、任意の技術的に許容の組み合わせにおいて考慮される以下の特徴の1つ以上を組み込む:
-クラウンは、軸方向圧縮部材を収容するように構成された収容ハウジングを部分的に画定する。
-クラウンは、収容ハウジングが最小容積を有する第1の位置と、収容ハウジングが最小容積より厳密に大きい容積を有する第2の位置との間で壁に対して移動可能である。
-収容ハウジングの最小容積は、壁に配置されたボア、及びクラウンに配置されたボアによって画定され、それぞれのボアは互いに向かい合っている。
-シーリングデバイスは、ピストンの移動軸と同軸で、ピストンロッドの周りに配置されており、かつ、シールのスタックを収容するように構成された内部容積を画定するカートリッジと、リングとを含み、シールのスタック及びリングは、ピストンロッド周りの移動軸と同軸で配置されており、リングは、軸方向圧縮部材の反対側のシールのスタックの端部に位置したシールと一致する形状により協働するように構成される。
-ピストン及びチャンバは、液体製品を収容し、加圧するように構成されたピストンロッドの動きに応じて可変容積を形成し、可変容積内の液体製品の圧力は、リングにチャンバ中のピストンの移動軸と平行な力を加え、リングは、第1の方向において液体製品により加えられる力の影響下でシールのスタックを圧縮し、軸方向圧縮部材は、第1の方向とは反対の第2の方向においてピストンの移動軸と平行な圧縮力を加えることにより、シールのスタックの圧縮に関与する。
-キャビティーは、チャンバの内側に向いた壁の表面に配置されており、カートリッジの1つの端部は、キャビティーの底に載っており、カートリッジの該端部は、ツールの係合のための少なくとも1つのレリーフを含む。
-軸方向圧縮部材は平坦圧縮ばねである。
-クラウンは、壁を通過し、ポンプの外側から見える、シールのスタックのシールの摩耗インジケータを含む。
【0013】
上述のもの、特に、シーリングデバイスの構造とは独立した本発明の1つの側面によれば、ピストン及びピストンロッドは、ピストンの移動軸に沿った交互運動において動く装置に属し、一方でこの装置はともに可逆的に組み立てられた3つの部品、すなわち、ピストン、ピストンロッド及び外部モーターの延長ロッドを備えた固定エンドピースを含む。この場合、ピストンロッドが、その中心を通過し、ピストンの移動軸に垂直である面に対して対称的であることを与えることが可能であり、その結果、ポンプにおいて頭尾の2つの位置でそれを取り付けることができる。さらに、ピストンロッドは、有利には、内部又は周りに、一方ではピストンが、他方ではエンドピースがねじ留めされる2つのタップ付き又はねじ付き端部部分を含む。
【0014】
別の側面によれば、本発明は、液体製品の噴霧のための設備、特に、エアレス噴霧設備に関し、それは、上述のようなポンプと、噴霧器と、ポンプから噴霧器に液体製品を移動させるために噴霧器にポンプを流体連結するパイプとを含む。
【0015】
例としてのみ与えられ、添付の図面を参照して行われる、原理よる本発明の1つの実施態様の以下の記載に照らして、本発明はよりよく理解され、その他の利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明によるポンプ、噴霧器及び噴霧器にポンプを連結するパイプを含む設備の概略図である;
【
図3】
図3は、ポンプの第1の構成における、
図2中の詳細IIIの拡大図である。
【
図4】
図4は、
図2及び3のポンプの自己締め付けシーリングデバイス、並びにその環境の分解図である。
【
図5】
図5は、ポンプの第2の構成における、
図2中の円で囲まれた詳細IIIの拡大図である。
【
図6】
図6は、
図1~5のポンプに属する装置の移動ピースの分解断面積である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示される設備2は、液体製品のためのポンプ4と、噴霧器6と、ポンプ4から噴霧器6に液体製品を移動させるために噴霧器6にポンプ4を流体連結するパイプ8とを含む。
【0018】
図示されないターゲット表面に液体製品を噴霧するのに適切な噴霧器6は、例えば
図1のような手動ガン又はそれ自体で知られている自動噴霧器である。噴霧器は、エアレス型(すなわちスプレー空気を加えずに、液体製品を噴霧することができる)である。この意味において、設備2はエアレス型の設備である。そのために、ポンプ4によって噴霧器6に供給された液体製品の圧力は、高くなければならない(例えば30bar超)。
【0019】
ポンプ4は、吸引開口部が形成された本体15、又は液体製品を吸引するための開口部12、及びパイプ8を通って噴霧器6に対して液体製品を注入するための放出開口部、又は出口10を含む。入口開口部12は、例えば
図2において見ることができるゲート20を備える。入口開口部12は、パイプ9を介して液体製品タンク7に流対連結される。
【0020】
本体15は、特に
図2において見ることができる円筒状の圧縮チャンバ14を内部に画定し、そこではピストン16は軸Xに沿って摺動可能に取り付けられている。ポンプ4は、ポンプ本体15の外側の、ポンプ本体15に固定された壁26を通過するピストンロッド18によってピストン16に連結された作動モーター17を含む。ポンプ4の取り付けられた構成において、軸Xはピストンロッド18の長軸L18と結合する。
【0021】
実際には、ピストンロッド18にねじ留めされたカプラー19は、それ自体で知られている、フランジ付きアセンブリ23を用いて、モーター17の延長ロッド172に連結される。ロッド172及び18は、軸Xと平行な並進運動において固定される。
【0022】
モーターは例えば電気か、空気か、内燃機関モーターである。
【0023】
ポンプ4は周期的に動作する。サイクルは、放出フェーズに関連した吸引フェーズで構成される。2つのフェーズ間の交替は、チャンバ14内のピストンロッド18及びピストン16の並進運動によって決定される。モーター17の作用の下では、ピストンロッド18及びピストン16は、静止している壁26に対して、軸Xに沿った交互並進運動において動く。したがって、ロッド18は、矢印F1によって
図2で具体化された第1の方向、及び矢印F2によって
図2で具体化された反対方向に移動可能である。チャンバ14及びピストン16は、ポンプ4の内部で、ロッド18の動きに応じて可変容積Vを画定し、そこでは液体製品は、入口開口部12を通って吸引フェーズ中に吸引され、液体製品は、次に放出フェーズ中にパイプ6に向かって出口開口部10を通って放出される。
【0024】
図3において示されるように、壁26は、ロッド18の通路のための通路開口部24を含む。壁26は、外側、すなわち圧縮チャンバ14の反対側に、ロッド18の周りに軸Xと同軸で配置された軸方向ボア28を有する。ボア28は、環状カバー25Aによって閉じられ、また、潤滑剤のための環状カップ25の形態で保持スペースを形成するために、ロッド18の周りに配置される。カップ25及び壁26は、スクリュー26Aによって本体15上で保持される。潤滑剤を、カバー25Aによって保護しつつ、カップ25によって形成された保持容積において配置することができ、これにより、ロッド18の外側のラジアル面を連続的に「濡らす」ことが可能となる。
【0025】
通路開口部24は、本体15の凹部に収容され、本体15及び壁26の間で軸方向に保持されたシーリングデバイス30を備える。
【0026】
シーリングデバイス30は、ロッド18の周りに軸Xと同軸で配置された回転カートリッジ32を含む。カートリッジは、軸Xに中心におく円筒状部を有する環状スリーブの形態の剛性ピースである。
【0027】
軸Xと同軸の環状キャビティー29は、壁26の内表面26B、すなわち圧縮チャンバに向いている壁26の表面上に配置される。カートリッジ32の1つの端部は、このキャビティー29の底に載っている。
【0028】
キャビティー29に係合したカートリッジ32の第1の端部は、ツールの係合のための少なくとも1つのレリーフ27を含み、カートリッジ32及びシーリングデバイス30アセンブリの解体を促進する。図において示されるように、レリーフ27は好ましくは環状溝である。変形例において、レリーフ27は、環状溝とは異なる幾何構造、例えばカートリッジ32に配置され、軸Xの周りで均等に分布した幾つかの個別のノッチを有することができる。
【0029】
第1の端部の反対側のその第2の端部において、カートリッジ32は、本体15の肩部15Aに載っている。
【0030】
したがって、カートリッジ32は、本体15及び壁26の間で軸Xに沿って軸方向に停止される。
【0031】
カートリッジ32は、シールのスタック34を収容する容積を内部に画定する。スタック34は、軸Xと同軸であり、ロッド18の周りに配置される。それは山形又はVの形態で少なくとも2つのシールを、好ましくは
図4に示されるように、軸Xに沿って重ねられた6~10個のシールを含む。
【0032】
カートリッジ32はリング36及びクラウン39を囲んでおり、リング36及びクラウン39は、両方とも軸Xと同軸であり、かつ、ロッド18の周りに配置される。したがって、リング及びクラウン39は、カートリッジ32の内部容積に配置される。リング36は、ピストン16の側面上のVシールのスタック34の端部に位置する第1のシール34Aと一致する形状によって協働する。リング36は、ロッド18に向かって半径方向に、そこからある距離で広がるカートリッジ32の内部ラジアルカラー35によって形成されたカートリッジ32の内側肩部33に載っている。カラー35及びロッド18は、それらの間で、軸Xに関して半径方向に、リング36と、チャンバ14の内部に存在する液体製品との間の環状の接触ゾーン37を画定する。
【0033】
ロッド18の外径D18、及びカートリッジ32のフランジ35の内径d35の間の比は、1.05~1.5、好ましくは1.2~1.4、より好ましくは約1.3である。さらに、直径d35及びD18の間の差は、0.05~10mmである。
【0034】
シーリングデバイス30は、ロッド18の周りで軸Xと同軸で配置され、シールのスタック34の反対側に位置したクラウン39の1つの端部と、壁26との間に置かれた軸方向圧縮部材38をさらに含む。
【0035】
ここで、軸方向圧縮部材は平坦圧縮ばねによって形成される。
【0036】
スタック34の反対側で、クラウン39は、圧縮部材38の一部を収容するボア43を画定し、一方でこの部材の別の部分は、圧縮チャンバ14に向いた壁26の内表面26Bにおいて配置されたボア41に収容される。ボア41及び43は互いに向かい合っており、軸Xと平行であり、部材38を収容するように構成された収容ハウジング42をともに構成する。
【0037】
さらにクラウン39は、ボア43の反対側、すなわちスタック34に向かって面している側に、リング36の反対側のVシールのスタック34の端部に位置したシール34Bと一致する形状によって協働するように構成された溝45を含む。
【0038】
クラウン39は、ボア41の半径方向の外側で、壁26とともに、ばね38の作用の下でクラウン39の移動距離を画定する外側フランジ40を含む。クラウン39は、軸Xに沿って、壁26に対して、
図3において見ることができる第1の位置と、
図5において見ることができる第2の位置との間で移動可能に取り付けられ、逆もまた同様である。
【0039】
図3において見ることができる構成において、軸Xに垂直なカラー40の平面40Bは、壁26の内表面26Bに対して押しつけられている。次いで、ハウジング42は、ロッド18の周りに位置したボア41及び43の部分の容積の合計と等しい最小容積を有する。
【0040】
図5において見ることができる構成において、平面40Bは、表面の26Bからのゼロではない軸方向距離dで広がり、ハウジング42は、最小容積より厳密に大きい増加した容積を有し、この増加した容積は、ロッド18の周りに位置したボア41及び43の部分の容積の合計だけでなく、等しい半径方向幅及び高さdの環状の容積も含む。
【0041】
図3及び5において示されるように、クラウン39のフランジ40は、スタック34のVシールの摩耗インジケータ50を備える。摩耗インジケータ50は、好ましくは壁26を通り、オリフィス51及びカバー25Aを通り、オリフィス53を通る、目盛り付きピンである。インジケータ50は、ポンプ4の外部から見えるようにカバー25Aから突き出ている。
【0042】
ポンプ4は、ポンプ本体15によって形成されたシートに載っているボールで構成された、少なくとも2つの逆流防止ゲート20及び22を備える。ポンプ4の運転サイクル中の逆流防止ゲート20及び22の開閉は、入口開口部12から出口開口部10に向かう液体製品の循環方向を調節する。ピストン16及びロッド18が方向F1において動く場合、逆流防止ゲート20が開きつつ、逆流防止ゲート22が閉じ、液体製品は、逆流防止ゲート20によって遮られない入口開口部12を通してチャンバ14において吸引される。次いで、液体製品は、逆流防止ゲート20及び22の間に含まれた可変容積Vに位置する。ピストン16及びロッド18が方向F2において動く場合、逆流防止ゲート20は閉じられ、これにより、あらかじめ吸引された液体製品が入口開口部12を通って流れることを防止し、一方で逆流防止ゲート22が開き、したがって液体製品が、方向F1におけるピストンの移動中に逆流防止ゲート22によって閉じられていた循環開口部21を通過することを可能にする。方向F1におけるピストン16の次の動作中に、チャンバ14内の液体製品の圧力は増加する;次いで、液体製品は出口開口部10を通って、パイプ6に向かって放出される。
【0043】
液体製品がポンプ4の内部にある限り、ピストン16及びロッド18が方向F1において移動するか、方向F2において移動するかによらず、この製品は、逆流防止ゲート20及び22が方向F2、すなわち、方向F1の反対方向における液体製品の流れを遮断するため、方向F1に沿ってのみ移動することを強いられる。
【0044】
ポンプ4の運転サイクル中に、リング36は、圧縮チャンバ14において存在する液体により接触ゾーン37に加えられた力を受け、この力は、軸Xに沿って、方向F1に沿って配向して加えられた。接触ゾーン37に加えられたこの力により、リング36が方向F1において軸Xに沿って平行移動する傾向となり、最大の移動は数mm程度、実際には5mm未満である。
【0045】
Vシールのスタック34は、したがって加圧された液体製品によって接触ゾーン37に加えられた力の影響の下でリング36によって圧縮される。ロッド18の外径D18及びフランジ35の内径d35の間の比は、接触ゾーン37の面積が相対的に大きいことを保証し、したがってリング36に対する圧力のよりよい分配を可能にする。
【0046】
図5の構成において、方向F2において、圧縮部材38は、この同じ方向においてVシールのスタック34を圧縮する目的で、移動可能なクラウン39を軸Xに沿って移動させるように働く。
【0047】
したがって、0~2barのチャンバ14内の圧力に関し、クラウン39によって、圧縮部材38によりシール34Bに加えられる戻り力が、方向F2、すなわち、圧縮部材によって加えられたものに対して無視できる、圧縮チャンバ14中に存在する液体製品によって加えられる圧力による力とは反対方向においてVシールのスタック34を圧縮する。次いで、圧縮部材38は、事実上単独でVシールのスタック34の圧縮、したがってポンプ4のシーリングを保証する。次いで、1つは
図5の構成にある。
【0048】
チャンバ内の製品の圧力が2barを超える場合に、逆方向での2つの別個の力、すなわち圧縮部材38によって加えられる戻り力、及び互いに関してVシールを圧縮する圧力による力が、スタック34の各側に加えられ、したがってシーリングデバイス30、具体的にはシールのスタック34が、それら自身を締めることが可能となり、したがってシールの完全な磨耗までポンプ4をシーリングすることが可能となる。2barより大きい圧力に関し、方向F2において部材38によって加えられる戻り力、及び方向F1においてリング36に液体製品によって加えられる力は、各側でスタック34を圧縮するように結合される。1つは、次いで
図3及び5のものの間の中途の構成にある。
【0049】
チャンバ14内の製品の圧力が2barの閾値を越える場合、部材38によってVシールのスタック34に加えられる戻り力は低すぎるため、製品の圧力から来る力に逆らうことができない。この場合、クラウン39は壁26に対して接するまで、方向F1において軸Xに沿って平行移動する。この構成は、
図3に示されるものに対応する。
【0050】
圧縮部材38が軸Xと平行に測定される高さH42で収容されるハウジング42の最小容積は、圧縮部材38が耐えることができる最大圧縮高さより大きい。この最小容積は、したがって部材38が、結合されたターンで構成において見いだされることを防止する。この構成は、圧縮部材38にとって好ましくなく、それを破壊させる可能性がある。チャンバ14内の液体製品の圧力が与えられた閾値を越える場合において、フランジ40及びボア41は、したがって破砕から部材38を保護する。
【0051】
加圧流体によって加えられる力の強度が2bar未満に減少した場合、圧縮部材は、再びVシールのスタック34を圧縮し始める。
【0052】
上述の2barの閾値は例であり;それは相対圧力であり、それは、ばね38の特性に依存する。実際には、それは1~20barである。
【0053】
磨耗により、スタック34のVシールは崩壊する傾向があり;次いで、スタック34は高さを失う。インジケータ50がスタック34に配置されたクラウン39に固定されたフランジ40へ統合され、フランジ40がクラウン39を有するモノブロックであるため、インジケータは、カバー25Aのオリフィス53を介してカップ25に食い込む傾向があり、したがってポンプを取り外す必要なく、スタック34のVシールの磨耗についてユーザーへ知らせる。したがって、定期点検を実行するためにポンプを取り外す必要なしに、シールが過度に摩耗し、変更されなければならない場合に、ユーザーに警告することが可能である。
【0054】
代わりに、圧縮部材38は、円形断面を有するヘリカルスプリング、ワッシャー、特にベルヴィルワッシャーのスタック、又は上記の機能を果たすことができる任意の他の圧縮部材である。
【0055】
本発明は、エアレス型の設備の噴霧に特によく適するが、他の型の設備、特に、噴霧が空気の流れによって支援される空気式噴霧器を有する噴霧設備において実施されることができる。
【0056】
変形例において、収容ハウジング42の最小容積はすべてクラウン39内に形成することができる。言いかえれば、圧縮部材38は、表面の26B上の簡易なベアリングを用い、ボア41は省かれる。
【0057】
シーリングデバイス30の構造から独立した、1つの有利な側面によれば、ピストン16及びエンドピース19は、ロッド18の2つの対向する下端部182及び上端部184にねじ留めされ、それとともに、軸Xに沿って動く装置E1のピースを構成する。装置のこのピースは、
図6の中の分解軸方向断面図において、単独で示される。
【0058】
そのために、端部182はタッピング186を備え、そこではピストン16のねじ切リ部分162がねじ留めされ、上端部184はタッピング188を備え、そこではエンドピース19のねじ切リ部分192がねじ留めされる。
【0059】
したがって、装置E1のピースは、ロッド18への部分16及び19の可逆的な組み立てによって形成され、これにより、それらのうちの1つ、特に、シールのスタック34における摩擦によるロッド18が保守運転中に変更される場合、これらの部分を分離することが可能となる。したがって、装置E1の全体のピースを系統的に変更することは必要ではない。
【0060】
3つの個別のサブアセンブリ、すなわちピストン16、ロッド18及びエンドピース19における装置E1のピースの製造は、モノブロック製造より経済的である。さらに、ロッド18は、装置E1のモノブロックピースより機械加工するのがより簡単であり、供給者候補のパネルを広げる。
【0061】
装置E1のピースの複数部分構造に照らして、部分16、18及び19の製造に用いられる材料は、互いに異なることができ、これらのサブアセンブリの各々の機能に適合することができる。例えば、部分16及び19を六価クロムから製造せずに、ロッド18をこの材料から製造することができ、このことは、ヨーロッパにおけるこの金属に関する調達規則へのコンプライアンスの観点から有利である。
【0062】
参照P18は、ロッド18の中心C18を通り、かつ、軸Xに垂直である面を示す。ロッド18は、面P18に対して対称的であり、これにより、それを2つの頭尾位置、すなわち、図に示された位置、及び端部182が頂部に位置し、端部184が底部に位置し、次いでピストン16が端部184にねじ留めされ、エンドピース19が次いで端部182にねじ留めされる反転位置においてポンプ4に取り付けることが可能となる。
【0063】
図示されない本発明の変形例によれば、ロッド18の端部182及び184はねじ切リされることができ、一方でピストン16及びエンドピース19は対応するようにタップされる。この場合、これは、図において示される実施態様に対する構造反転を含む。
【0064】
本発明は製品噴霧の被覆に制限されない。ポンプ4を実行して、水、油、インク又は1成分若しくは2成分液体接着剤等の他の液体を移動させることができる。
【0065】
上に言及された実施態様及び代替物を互いに組み合わせて、新しい実施態様を作り出すことができる。
本開示は以下も包含する。
<態様1>
-ピストン(16)が摺動可能に取り付けられた圧縮チャンバ(14)を内部に画定する本体(15)、
-ポンプ本体(15)に対して軸方向に把持されたシールのスタック(34)を含むシーリングデバイス(30)を備えた通路開口部(24)を通してポンプ本体(15)に固定された壁(26)を通過するピストンロッド(18)によって、動作のためのピストン(16)に連結された外部モーター(17)を含む液体製品用ポンプ(4)であって、
シーリングデバイス(30)が、シーリングデバイス(30)に含まれるクラウン(39)とポンプ本体(15)に固定された壁(26)との間に挿入された軸方向圧縮部材(38)を含むことを特徴とする、液体製品用ポンプ(4)。
<態様2>
クラウン(39)が、軸方向圧縮部材(38)を収容するように構成された収容ハウジング(42)を部分的に画定することを特徴とする、上記態様1に記載のポンプ(4)。
<態様3>
クラウン(39)が、収容ハウジング(42)が最小容積を有する第1の位置と、収容ハウジング(42)が最小容積より厳密に大きい容積を有する第2の位置との間で壁(26)に対して移動可能であることを特徴とする、上記態様2に記載のポンプ(4)。
<態様4>
収容ハウジング(42)の最小容積が、壁(26)に配置されたボア(41)、及びクラウン(39)に配置されたボア(43)によって画定され、それぞれのボア(41、43)が互いに向かい合っていることを特徴とする、上記態様2又は3に記載のポンプ(4)。
<態様5>
シーリングデバイス(30)が、ピストン(16)の移動軸(X)と同軸で、ピストンロッド(18)の周りに配置されており、かつ、シールのスタック(34)を収容するように構成された内部容積を画定するカートリッジ(32)と、リング(36)とを含み、
シールのスタック(34)及びリング(36)が、ピストンロッド(18)周りの移動軸(X)と同軸で配置されており、
リング(36)が、軸方向圧縮部材(38)の反対側のシールのスタック(34)の端部に位置したシール(34A)と一致する形状により協働するように構成されていることを特徴とする、上記態様1~4のいずれかに記載のポンプ(4)。
<態様6>
ピストン(16)及び圧縮チャンバ(14)が、液体製品を収容し、加圧するように構成されたピストンロッド(18)の動きに応じて可変容積(V)を形成し、
可変容積(V)内の液体製品の圧力は、リング(36)に圧縮チャンバ(14)中のピストン(16)の移動軸(X)と平行な力を加え、
リング(36)が、第1の方向(F1)において液体製品により加えられる力の影響下でシールのスタック(34)を圧縮し、軸方向圧縮部材(38)が、第1の方向(F1)とは反対の第2の方向(F2)においてピストン(16)の移動軸(X)と平行な圧縮力を加えることにより、シールのスタック(34)の圧縮に関与することを特徴とする、上記態様5に記載のポンプ(4)。
<態様7>
キャビティー(29)が、圧縮チャンバ(14)の内側に向いた壁(26)の表面に配置されていることと、カートリッジ(32)の1つの端部が、キャビティー(29)の底に載っていることと、カートリッジ(32)の該端部が、ツールの係合のための少なくとも1つのレリーフ(27)を含むこととを特徴とする、上記態様5又は6に記載のポンプ(4)。
<態様8>
軸方向圧縮部材(38)が平坦圧縮ばねであることを特徴とする、上記態様1~7のいずれかに記載のポンプ(4)。
<態様9>
クラウン(39)が、壁(26)を通過し、ポンプ(4)の外側から見える、シールのスタック(34)のシールの摩耗インジケータ(50)を含むことを特徴とする、上記態様1~8のいずれかに記載のポンプ(4)。
<態様10>
ピストン(16)及びピストンロッド(18)が、ピストン(16)の移動軸(X)に沿った交互運動において動く装置(E1)に属することと、この装置が、ともに可逆的に組み立てられた3つの部品、すなわち、ピストン(16)、ピストンロッド(18)及び外部モーター(17)の延長ロッド(172)を備えた固定エンドピース(19)を含むこととを特徴とする、上記態様1~9のいずれかに記載のポンプ(4)。
<態様11>
ピストンロッド(18)をポンプ(4)において頭尾の2つの位置で取り付けることができるように、ピストンロッド(18)が、その中心(C18)を通過し、ピストン(16)の移動軸(X)に垂直である面(P18)に対して対称的であることを特徴とする、上記態様9に記載のポンプ(4)。
<態様12>
ピストンロッド(18)が、内部又は周りに、一方ではピストン(16)が、他方では固定エンドピース(19)がねじ留めされる2つのタップ付き又はねじ付き端部部分(182、184)を含むことを特徴とする、上記態様10に記載のポンプ(4)。
<態様13>
上記態様1~12のいずれかに記載のポンプ(4)と、噴霧器(6)と、ポンプ(4)から噴霧器(6)に液体製品を移動させるために噴霧器(6)にポンプ(4)を流体結合するパイプ(8)とを含むことを特徴とする、液体製品の噴霧のための設備(2)、特にエアレス噴霧設備。