(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】サルコペニア評価方法、サルコペニア評価装置及びサルコペニア評価プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240416BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61B10/00 H
(21)【出願番号】P 2020023431
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-11-22
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】樋山 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佳州
(72)【発明者】
【氏名】相原 貴拓
(72)【発明者】
【氏名】和田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】濱塚 太一
(72)【発明者】
【氏名】松村 吉浩
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-029543(JP,A)
【文献】特開2013-138783(JP,A)
【文献】特開2007-125368(JP,A)
【文献】特開2013-255786(JP,A)
【文献】特開2019-084130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0243354(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 10/00
G16H 50/20-50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価装置におけるサルコペニア評価方法であって、
前記サルコペニア評価装置が、
前記被験者の歩行に関する歩行データを取得し、
前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度
、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記
一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出し、
前記立脚期における前記膝関節の前記角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定し、
前記判定において、前記立脚期における前記膝関節の角度が閾値より大きい場合
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記立脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、又は前記遊脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、前記被験者が前記サルコペニアであると判定する、
サルコペニア評価方法。
【請求項2】
被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価装置におけるサルコペニア評価方法であって、
前記サルコペニア評価装置が、
前記被験者の歩行に関する歩行データを取得し、
前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度
、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記
一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出し、
前記立脚期における前記膝関節の前記角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定し、
前記判定において、前記立脚期における前記膝関節の角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力値とし、前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、検出された前記立脚期における前記膝関節の角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力することで前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
サルコペニア評価方法。
【請求項3】
前記検出において、前記立脚期の所定期間における前記膝関節の角度の時系列データを検出し、
前記判定において、前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値を用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項4】
前記被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、前記1歩行周期が1%~100%で表されるとき、
前記所定期間は、前記1歩行周期の50%~60%の期間である、
請求項
3記載のサルコペニア評価方法。
【請求項5】
前記検出において、前記立脚期の所定期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データを検出し、
前記判定において、前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値を用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項6】
前記被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、前記1歩行周期が1%~100%で表されるとき、
前記所定期間は、前記1歩行周期の1%~60%の期間である、
請求項
5記載のサルコペニア評価方法。
【請求項7】
前記検出において、前記遊脚期の所定期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データを検出し、
前記判定において、前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値を用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項8】
前記被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、前記1歩行周期が1%~100%で表されるとき、
前記所定期間は、前記1歩行周期の65%~70%の期間である、
請求項
7記載のサルコペニア評価方法。
【請求項9】
前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記足首関節の第1角度の時系列データと、前記遊脚期の第2期間における前記足首関節の第2角度の時系列データとを検出し、
前記判定において、前記足首関節の前記第1角度の前記時系列データの平均値と、前記足首関節の前記第2角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項10】
前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第2期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第3期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第4期間における前記膝関節の前記角度の時系列データとを検出し、
前記判定において、前記第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値と、前記第2期間、前記第3期間及び前記第4期間における前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項11】
前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第2期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期の第3期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第4期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第5期間における前記足首関節の前記角度の時系列データとを検出し、
前記判定において、前記第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値と、前記第2期間、前記第3期間、前記第4期間及び前記第5期間における前記足首関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項12】
前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第2期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第3期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期の第4期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第5期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第6期間における前記足首関節の前記角度の時系列データとを検出し、
前記判定において、前記第1期間、前記第2期間及び前記第3期間における前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値と、前記第4期間、前記第5期間及び前記第6期間における前記足首関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項13】
前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第2期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記遊脚期の第3期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第4期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期及び前記遊脚期の第5期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期の第6期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期及び前記遊脚期の第7期間における前記足首関節の前記角度の時系列データとを検出し、
前記判定において、前記第1期間、前記第2期間及び前記第3期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値と、前記第4期間及び前記第5期間における前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値と、前記第6期間及び前記第7期間における前記足首関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
請求項1又は2記載のサルコペニア評価方法。
【請求項14】
さらに、前記立脚期における前記膝関節の角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを用いて前記被験者が将来的に前記サルコペニアになる可能性があるサルコペニア予備群であるか否かを判定する、
請求項1~
13のいずれか1項に記載のサルコペニア評価方法。
【請求項15】
被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価装置であって、
前記被験者の歩行に関する歩行データを取得する取得部と、
前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度
、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記
一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出する検出部と、
前記立脚期における前記膝関節の前記角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記立脚期における前記膝関節の角度が閾値より大きい場合
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記立脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、又は前記遊脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、前記被験者が前記サルコペニアであると判定する、
サルコペニア評価装置。
【請求項16】
被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価プログラムであって、
前記被験者の歩行に関する歩行データを取得し、
前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度
、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記
一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出し、
前記立脚期における前記膝関節の前記角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定するようにコンピュータを機能させ、
前記判定において、前記立脚期における前記膝関節の角度が閾値より大きい場合
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記立脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、又は前記遊脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、前記被験者が前記サルコペニアであると判定する、
サルコペニア評価プログラム。
【請求項17】
被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価装置であって、
前記被験者の歩行に関する歩行データを取得する取得部と、
前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度
、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記
一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出する検出部と、
前記立脚期における前記膝関節の前記角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記立脚期における前記膝関節の角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力値とし、前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、検出された前記立脚期における前記膝関節の角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力することで前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
サルコペニア評価装置。
【請求項18】
被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価プログラムであって、
前記被験者の歩行に関する歩行データを取得し、
前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度
、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記
一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出し、
前記立脚期における前記膝関節の前記角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定するようにコンピュータを機能させ、
前記判定において、前記立脚期における前記膝関節の角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力値とし、前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、検出された前記立脚期における前記膝関節の角度
、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力することで前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定する、
サルコペニア評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の健康状態を把握するために、簡易に身体機能を推定するための技術の開発が行われている。特に、高齢者は、加齢に伴って筋肉量が減少し、脂肪量が増加する。一般的に、加齢による骨格筋量の低下を示す状態はサルコペニアと呼ばれている。サルコペニアは、転倒、骨折、寝たきり及び虚弱と密接な関係があると言われている。そのため、サルコペニアである高齢者を早めに見つけ出し、対策を講じる必要がある。
【0003】
従来、日常的に行われる歩行から計測されるパラメータに基づいて、認知機能又は運動機能を評価する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、歩行行為で計測した歩行パラメータに基づいて老年障害の起こりやすさ(老年障害リスク)を評価する方法が開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2では、被験者の腰部に装着された加速度センサにより、被験者の移動中における前後加速度、左右加速度及び上下加速度が測定され、前後加速度、左右加速度及び上下加速度の時間的変化に基づいて、移動能力が評価される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-255786号公報
【文献】特開2018-114319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、簡単且つ高い精度でサルコペニアを評価することが困難であり、更なる改善が必要とされていた。
【0008】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、簡単且つ高い精度でサルコペニアを評価することができる技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るサルコペニア評価方法は、被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価装置におけるサルコペニア評価方法であって、前記被験者の歩行に関する歩行データを取得し、前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度、前記一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記膝関節の角度、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出し、前記立脚期における前記膝関節の前記角度、前記遊脚期における前記膝関節の前記角度、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、簡単且つ高い精度でサルコペニアを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態におけるサルコペニア評価システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施の形態において、2次元画像データから骨格データを抽出する処理について説明するための図である。
【
図3】本実施の形態における歩行周期について説明するための図である。
【
図4】本実施の形態において、被験者の歩行動作を利用したサルコペニア評価処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図4のステップS4におけるサルコペニア判定処理について説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図4のステップS4におけるサルコペニア判定処理の他の例について説明するためのフローチャートである。
【
図7】本実施の形態において、1歩行周期における一方の足の膝関節の角度の変化を示す図である。
【
図8】本実施の形態における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図9】本実施の形態における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図10】本実施の形態の第1の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図11】本実施の形態の第1の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図12】本実施の形態の第2の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図13】本実施の形態の第2の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図14】本実施の形態の第2の変形例において、サルコペニアである被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均とを示す図である。
【
図15】本実施の形態の第3の変形例において、1歩行周期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を示す図である。
【
図16】本実施の形態の第3の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図17】本実施の形態の第3の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図18】本実施の形態の第4の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図19】本実施の形態の第4の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図20】本実施の形態の第5の変形例において、1歩行周期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を示す図である。
【
図21】本実施の形態の第5の変形例における予測モデルを用いてサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図22】本実施の形態の第5の変形例において、サルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均とを示す図である。
【
図23】本実施の形態の第6の変形例において、1歩行周期における一方の足の足首関節の角度の変化を示す図である。
【
図24】本実施の形態の第6の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図25】本実施の形態の第6の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図26】本実施の形態の第7の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図27】本実施の形態の第7の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図28】本実施の形態の第8の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図29】本実施の形態の第9の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図30】本実施の形態の第9の変形例において、サルコペニアである被験者らの一方の足のストライド距離の平均と、健常者である被験者らの一方の足のストライド距離の平均とを示す図である。
【
図31】本実施の形態の第10の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図32】本実施の形態の第11の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図33】本実施の形態の第12の変形例において、1歩行周期における一方の足の膝関節の角度の変化を示す図である。
【
図34】本実施の形態の第12の変形例における予測モデルを用いてサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図35】本実施の形態の第13の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図36】本実施の形態の第14の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図37】本実施の形態の第15の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図38】本実施の形態の第16の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図39】本実施の形態の第17の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図40】本実施の形態の第18の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【
図41】本実施の形態において表示される評価結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1における歩行パラメータの計測には、シート式圧力センサ又は3次元動作解析システムが利用される。シート式圧力センサは、歩行時の圧力分布を計測し、圧力分布から歩行パラメータを計測する。3次元動作解析システムは、足に装着されたマーカを撮影した画像情報を複数のビデオカメラから取得し、画像情報から動作を分析することにより歩行パラメータを計測する。このようなシート式圧力センサ又は3次元動作解析システムの設置には、大きな手間がかかる。そのため、特許文献1は、簡単に老年障害リスクを評価することが困難である。
【0013】
また、特許文献1における歩行パラメータとしては、ケーデンス、ストライド、歩行比、歩幅、歩隔、歩行角度、つま先角度、ストライド左右差、歩隔左右差、歩行角度左右差及び両脚支持期左右差から選ばれる2以上が使用される。歩行角度は、左右一方の踵から他方の踵を結んだ直線が進行方向となす角度である。つま先角度は、踵とつま先とを結ぶ直線が、進行方向となす角度である。また、特許文献1では、少なくとも、膝痛、腰痛、尿失禁、認知症及びサルコペニアから選ばれる老年障害の老年障害リスクが評価される。しかしながら、特許文献1では、上記以外の歩行パラメータを用いて老年障害リスクを評価することについては開示されておらず、他の歩行パラメータを用いることで、さらに老年障害リスクの評価精度が向上する可能性がある。
【0014】
特許文献2における移動能力評価装置は、被験者の移動中における前後加速度、左右加速度及び上下加速度から、被験者の移動時における前後バランス、体重移動及び左右バランスの少なくとも1つを評価している。しかしながら、特許文献2では、上記以外のパラメータを用いてサルコペニアを評価することについては開示されておらず、他の歩行パラメータを用いることで、さらにサルコペニアの評価精度が向上する可能性がある。
【0015】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係るサルコペニア評価方法は、被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価装置におけるサルコペニア評価方法であって、前記被験者の歩行に関する歩行データを取得し、前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度、前記一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記膝関節の角度、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出し、前記立脚期における前記膝関節の前記角度、前記遊脚期における前記膝関節の前記角度、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0016】
この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つは、被験者のサルコペニアに相関があるパラメータとして用いられている。サルコペニアである被験者の歩行動作は、サルコペニアではない被験者の歩行動作とは異なる傾向がある。このように、歩行中の被験者のサルコペニアに相関があるパラメータを用いて被験者がサルコペニアであるか否かが判定されるので、高い精度で被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0017】
また、歩行している被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つは、例えば、歩行している被験者を撮像することで得られる画像データから簡単に検出することが可能であるので、大がかりな装置も不要である。そのため、本構成では、簡単に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0018】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記遊脚期の所定期間における前記膝関節の角度の時系列データを検出し、前記判定において、前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値を用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0019】
歩行している被験者の一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度は、サルコペニアである被験者と、サルコペニアではない被験者とで顕著な差異がある。そのため、この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0020】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、前記1歩行周期が1%~100%で表されるとき、前記所定期間は、前記1歩行周期の61%~100%の期間であってもよい。
【0021】
この構成によれば、被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、1歩行周期が1%~100%で表される。このとき、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0022】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記立脚期の所定期間における前記膝関節の角度の時系列データを検出し、前記判定において、前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値を用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0023】
歩行している被験者の一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度は、サルコペニアである被験者と、サルコペニアではない被験者とで顕著な差異がある。そのため、この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0024】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、前記1歩行周期が1%~100%で表されるとき、前記所定期間は、前記1歩行周期の50%~60%の期間であってもよい。
【0025】
この構成によれば、被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、1歩行周期が1%~100%で表される。このとき、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0026】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記立脚期の所定期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データを検出し、前記判定において、前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値を用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0027】
歩行している被験者の一方の足の立脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位は、サルコペニアである被験者と、サルコペニアではない被験者とで顕著な差異がある。そのため、この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の立脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0028】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、前記1歩行周期が1%~100%で表されるとき、前記所定期間は、前記1歩行周期の1%~60%の期間であってもよい。
【0029】
この構成によれば、被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、1歩行周期が1%~100%で表される。このとき、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0030】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記遊脚期の所定期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データを検出し、前記判定において、前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値を用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0031】
歩行している被験者の一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位は、サルコペニアである被験者と、サルコペニアではない被験者とで顕著な差異がある。そのため、この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0032】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、前記1歩行周期が1%~100%で表されるとき、前記所定期間は、前記1歩行周期の65%~70%の期間であってもよい。
【0033】
この構成によれば、被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表され、1歩行周期が1%~100%で表される。このとき、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いることによって、確実に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0034】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記足首関節の第1角度の時系列データと、前記遊脚期の第2期間における前記足首関節の第2角度の時系列データとを検出し、前記判定において、前記足首関節の前記第1角度の前記時系列データの平均値と、前記足首関節の前記第2角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0035】
この構成によれば、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足の足首関節の第1角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第2期間における一方の足の足首関節の第2角度の時系列データの平均値とを組み合わせて用いることによって、それぞれを単独で用いるよりも高い精度でサルコペニアを評価することができる。
【0036】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第2期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第3期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第4期間における前記膝関節の前記角度の時系列データとを検出し、前記判定において、前記第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値と、前記第2期間、前記第3期間及び前記第4期間における前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0037】
この構成によれば、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを組み合わせて用いることによって、それぞれを単独で用いるよりも高い精度でサルコペニアを評価することができる。
【0038】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第2期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期の第3期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第4期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第5期間における前記足首関節の前記角度の時系列データとを検出し、前記判定において、前記第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値と、前記第2期間、前記第3期間、前記第4期間及び前記第5期間における前記足首関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0039】
この構成によれば、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを組み合わせて用いることによって、それぞれを単独で用いるよりも高い精度でサルコペニアを評価することができる。
【0040】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第2期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第3期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期の第4期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第5期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記遊脚期の第6期間における前記足首関節の前記角度の時系列データとを検出し、前記判定において、前記第1期間、前記第2期間及び前記第3期間における前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値と、前記第4期間、前記第5期間及び前記第6期間における前記足首関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0041】
この構成によれば、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを組み合わせて用いることによって、それぞれを単独で用いるよりも高い精度でサルコペニアを評価することができる。
【0042】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記検出において、前記立脚期の第1期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第2期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記遊脚期の第3期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の時系列データと、前記立脚期の第4期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期及び前記遊脚期の第5期間における前記膝関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期の第6期間における前記足首関節の前記角度の時系列データと、前記立脚期及び前記遊脚期の第7期間における前記足首関節の前記角度の時系列データとを検出し、前記判定において、前記第1期間、前記第2期間及び前記第3期間における前記つま先の鉛直方向の前記変位の前記時系列データの平均値と、前記第4期間及び前記第5期間における前記膝関節の前記角度の前記時系列データの平均値と、前記第6期間及び前記第7期間における前記足首関節の前記角度の前記時系列データの平均値とを用いて前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0043】
この構成によれば、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期及び遊脚期の第5期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを組み合わせて用いることによって、それぞれを単独で用いるよりも高い精度でサルコペニアを評価することができる。
【0044】
また、上記のサルコペニア評価方法において、さらに、前記立脚期における前記膝関節の角度、前記遊脚期における前記膝関節の角度、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを用いて前記被験者が将来的に前記サルコペニアになる可能性があるサルコペニア予備群であるか否かを判定してもよい。
【0045】
この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つは、被験者のサルコペニアに相関があるパラメータとして用いられている。将来的にサルコペニアになる可能性があるサルコペニア予備群である被験者の歩行動作は、サルコペニア予備群ではない被験者の歩行動作とは異なる傾向がある。このように、歩行中の被験者のサルコペニアに相関があるパラメータを用いて被験者がサルコペニア予備群であるか否かが判定されるので、高い精度で被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0046】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記判定において、前記立脚期における前記膝関節の角度が閾値より大きい場合、前記遊脚期における前記膝関節の角度が閾値より大きい場合、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位が閾値より大きい場合、前記立脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、又は前記遊脚期における前記足首関節の角度が閾値より大きい場合、前記被験者が前記サルコペニアであると判定してもよい。
【0047】
この構成によれば、一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度が閾値より大きい場合、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度が閾値より大きい場合、一方の足の立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が閾値より大きい場合、一方の足の遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が閾値より大きい場合、一方の足の立脚期における一方の足の足首関節の角度が閾値より大きい場合、又は一方の足の遊脚期における一方の足の足首関節の角度が閾値より大きい場合、被験者がサルコペニアであると判定される。
【0048】
したがって、一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、一方の足の遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、一方の足の立脚期における一方の足の足首関節の角度、又は一方の足の遊脚期における一方の足の足首関節の角度が閾値と比較されることによって、簡単に被験者がサルコペニアであるか否かを判定することができる。
【0049】
また、上記のサルコペニア評価方法において、前記判定において、前記立脚期における前記膝関節の角度、前記遊脚期における前記膝関節の角度、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力値とし、前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、検出された前記立脚期における前記膝関節の角度、前記遊脚期における前記膝関節の角度、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の前記変位、前記立脚期における前記足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の角度の少なくとも1つを入力することで前記被験者が前記サルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0050】
この構成によれば、予測モデルは、一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、一方の足の遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、一方の足の立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び一方の足の遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成される。そして、予測モデルに、検出された一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、一方の足の遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、一方の足の立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び一方の足の遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つが入力されることで、被験者がサルコペニアであるか否かが判定される。したがって、予め予測モデルが記憶されていることによって、簡単に被験者がサルコペニアであるか否かを判定することができる。
【0051】
本開示の他の態様に係るサルコペニア評価装置は、被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価装置であって、前記被験者の歩行に関する歩行データを取得する取得部と、前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度、前記一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記膝関節の角度、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出する検出部と、前記立脚期における前記膝関節の前記角度、前記遊脚期における前記膝関節の前記角度、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定する判定部と、を備える。
【0052】
この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つは、被験者のサルコペニアに相関があるパラメータとして用いられている。サルコペニアである被験者の歩行動作は、サルコペニアではない被験者の歩行動作とは異なる傾向がある。このように、歩行中の被験者のサルコペニアに相関があるパラメータを用いて被験者がサルコペニアであるか否かが判定されるので、高い精度で被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0053】
また、歩行している被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つは、例えば、歩行している被験者を撮像することで得られる画像データから簡単に検出することが可能であるので、大がかりな装置も不要である。そのため、本構成では、簡単に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0054】
本開示の他の態様に係るサルコペニア評価プログラムは、被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価するサルコペニア評価プログラムであって、前記被験者の歩行に関する歩行データを取得し、前記歩行データから、前記被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度、前記一方の足の遊脚期における前記一方の足の前記膝関節の角度、前記立脚期における前記一方の足のつま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記一方の足の前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記一方の足の足首関節の角度、及び前記遊脚期における前記一方の足の前記足首関節の角度の少なくとも1つを検出し、前記立脚期における前記膝関節の前記角度、前記遊脚期における前記膝関節の前記角度、前記立脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記遊脚期における前記つま先の鉛直方向の変位、前記立脚期における前記足首関節の前記角度、及び前記遊脚期における前記足首関節の前記角度の少なくとも1つを用いて前記被験者がサルコペニアであるか否かを判定するようにコンピュータを機能させる。
【0055】
この構成によれば、歩行している被験者の一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つは、被験者のサルコペニアに相関があるパラメータとして用いられている。サルコペニアである被験者の歩行動作は、サルコペニアではない被験者の歩行動作とは異なる傾向がある。このように、歩行中の被験者のサルコペニアに相関があるパラメータを用いて被験者がサルコペニアであるか否かが判定されるので、高い精度で被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0056】
また、歩行している被験者の一方の足の立脚期における前記一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つは、例えば、歩行している被験者を撮像することで得られる画像データから簡単に検出することが可能であるので、大がかりな装置も不要である。そのため、本構成では、簡単に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0057】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0058】
(実施の形態)
以下、
図1に基づいて本実施の形態に係るサルコペニア評価システムを説明する。
【0059】
図1は、本開示の実施の形態におけるサルコペニア評価システムの構成を示すブロック図である。
【0060】
図1に示すサルコペニア評価システムは、サルコペニア評価装置1、カメラ2及び表示部3を備える。
【0061】
カメラ2は、歩行する被験者を撮像する。カメラ2は、歩行する被験者を示す動画像データをサルコペニア評価装置1へ出力する。カメラ2は、有線又は無線によりサルコペニア評価装置1と接続されている。
【0062】
サルコペニア評価装置1は、プロセッサ11及びメモリ12を備える。
【0063】
プロセッサ11は、例えば、CPU(中央演算処理装置)であり、データ取得部111、歩行パラメータ検出部112、サルコペニア判定部113及び評価結果提示部114を備える。
【0064】
メモリ12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。
【0065】
データ取得部111は、被験者の歩行に関する歩行データを取得する。歩行データは、例えば、歩行している被験者を撮像することにより得られた動画像データである。データ取得部111は、カメラ2によって出力された動画像データを取得する。
【0066】
歩行パラメータ検出部112は、データ取得部111によって取得された動画像データから被験者の骨格を示す骨格データを抽出する。骨格データは、被験者の関節等を示す複数の特徴点の座標と、各特徴点を繋ぐ直線とで表される。歩行パラメータ検出部112は、2次元画像データから人の特徴点の座標を検出するソフトウエア(例えば、OpenPose又は3D-pose-baseline)を利用してもよい。
【0067】
ここで、2次元画像データから骨格データを抽出する処理について説明する。
【0068】
図2は、本実施の形態において、2次元画像データから骨格データを抽出する処理について説明するための図である。
【0069】
歩行パラメータ検出部112は、歩いている被験者200の画像を含む2次元画像データ20から骨格データ21を抽出する。骨格データ21は、頭を示す特徴点201、両肩の中央を示す特徴点202、右肩を示す特徴点203、右肘を示す特徴点204、右手を示す特徴点205、左肩を示す特徴点206、左肘を示す特徴点207、左手を示す特徴点208、腰を示す特徴点209、右股関節を示す特徴点210、右膝関節を示す特徴点211、右足首関節を示す特徴点212、右つま先を示す特徴点213、左股関節を示す特徴点214、左膝関節を示す特徴点215、左足首関節を示す特徴点216、及び左つま先を示す特徴点217を含む。
【0070】
動画像データは、複数の2次元画像データで構成される。歩行パラメータ検出部112は、動画像データを構成する複数の2次元画像データのそれぞれから時系列の骨格データを抽出する。なお、歩行パラメータ検出部112は、全フレームの2次元画像データから骨格データを抽出してもよいし、所定フレーム毎の2次元画像データから骨格データを抽出してもよい。また、本実施の形態では、歩行中の被験者の主に下肢の動きに基づいてサルコペニアが評価される。そのため、歩行パラメータ検出部112は、被験者の下肢の骨格データのみを抽出してもよい。
【0071】
また、歩行パラメータ検出部112は、動画像データから抽出した時系列の骨格データから被験者の1歩行周期に対応する骨格データを切り出す。人の歩行動作は、周期的な動作である。
【0072】
ここで、被験者の歩行周期について説明する。
【0073】
図3は、本実施の形態における歩行周期について説明するための図である。
【0074】
図3に示すように、被験者の一方の足が地面に着いてから再度一方の足が地面に着くまでの期間が1歩行周期として表される。
図3に示す1歩行周期は、被験者の右足が地面に着いてから再度右足が地面に着くまでの期間である。また、1歩行周期は1%~100%に正規化される。1歩行周期の1%~60%の期間は、一方の足(例えば右足)が地面に着いている立脚期と呼ばれ、1歩行周期の61%~100%の期間は、一方の足(例えば右足)が地面から離れている遊脚期と呼ばれる。1歩行周期は、立脚期と遊脚期とを含む。なお、1歩行周期は、被験者の左足が地面に着いてから再度左足が地面に着くまでの期間であってもよい。
【0075】
歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、一方の足の遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを検出する。
【0076】
本実施の形態において、歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足の遊脚期における膝関節の角度を検出する。歩行パラメータ検出部112は、切り出した1歩行周期に対応する時系列の骨格データから、被験者の一方の足の遊脚期における膝関節の角度を検出する。
図2に示すように、膝関節の角度γは、矢状面において、右膝関節を示す特徴点211と右股関節を示す特徴点210とを結ぶ直線と、右膝関節を示す特徴点211と右足首関節を示す特徴点212とを結ぶ直線とがなす角度である。
【0077】
特に、歩行パラメータ検出部112は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を歩行パラメータとして算出する。
【0078】
なお、被験者の一方の足の立脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の検出については、本実施の形態の変形例において説明する。
【0079】
サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0080】
本実施の形態において、サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0081】
また、サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、検出された立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0082】
本実施の形態において、サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の膝関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された遊脚期における一方の足の膝関節の角度を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0083】
なお、立脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度を用いた被験者のサルコペニアの判定については、本実施の形態の変形例において説明する。
【0084】
また、本実施の形態では、サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニアであるか否かを判定するだけではない。サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを用いて被験者が将来的にサルコペニアになる可能性があるサルコペニア予備群であるか否かを判定する。すなわち、サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0085】
サルコペニアは、被験者の筋肉量が低下し、かつ筋力又は身体能力が低下している状態を表す。また、サルコペニア予備群は、筋力及び身体能力が低下しておらず、被験者の筋肉量のみが低下している状態を表す。筋肉量は、例えば、被験者の四肢骨格筋量を測定することにより得られる。四肢骨格筋量が閾値より低い場合、筋肉量が低下していると判断することが可能である。また、筋力は、例えば、被験者の握力を測定することにより得られる。握力が閾値より低い場合、筋力が低下していると判断することが可能である。また、身体能力は、例えば、被験者の歩行速度を測定することにより得られる。歩行速度が閾値より低い場合、身体能力が低下していると判断することが可能である。
【0086】
メモリ12は、遊脚期における一方の足の膝関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の遊脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。予測モデルは、被験者がサルコペニアであることを示す値(例えば、2)と、被験者がサルコペニア予備群であることを示す値(例えば、1)と、被験者がサルコペニア及びサルコペニア予備群ではない、すなわち健常者であることを示す値(例えば、0)とのいずれかを出力する。
【0087】
特に、サルコペニア判定部113は、一方の足の遊脚期における膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0088】
なお、予測モデルは、機械学習により生成されてもよい。機械学習としては、例えば、入力情報に対してラベル(出力情報)が付与された教師データを用いて入力と出力との関係を学習する教師あり学習、ラベルのない入力のみからデータの構造を構築する教師なし学習、ラベルありとラベルなしとのどちらも扱う半教師あり学習、報酬を最大化する行動を試行錯誤により学習する強化学習などが挙げられる。また、機械学習の具体的な手法としては、ニューラルネットワーク(多層のニューラルネットワークを用いた深層学習を含む)、遺伝的プログラミング、決定木、ベイジアン・ネットワーク、又はサポート・ベクター・マシン(SVM)などが存在する。本開示の機械学習においては、以上で挙げた具体例のいずれかを用いればよい。
【0089】
また、予測モデルは、被験者がサルコペニアである可能性を示す値を出力してもよい。被験者がサルコペニアである可能性を示す値は、例えば、0.0~2.0で表される。その場合は、例えば、サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニアである可能性を示す値が0.5以下である場合は被験者が健常者であると判定し、被験者がサルコペニアである可能性を示す値が0.5より大きく、1.5以下である場合は被験者がサルコペニア予備群であると判定し、被験者がサルコペニアである可能性を示す値が1.5より大きい場合は被験者がサルコペニアであると判定してもよい。
【0090】
また、メモリ12は、被験者がサルコペニアであるか否かを判定するための第1予測モデルと、被験者がサルコペニア予備群であるか否かを判定するための第2予測モデルとを記憶してもよい。この場合、サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを第1予測モデルに入力し、被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニアではないと判定した場合、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度の少なくとも1つを第2予測モデルに入力し、被験者がサルコペニア予備群であるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニア予備群ではないと判定した場合、被験者が健常者であると判定する。
【0091】
評価結果提示部114は、サルコペニア判定部113によって判定されたサルコペニアの評価結果を提示する。評価結果提示部114は、サルコペニア判定部113によって判定された評価結果を表示部3へ出力する。評価結果は、サルコペニア判定部113によって判定された被験者がサルコペニアであるか否かを示す情報及び評価メッセージの少なくとも1つである。なお、評価結果提示部114は、サルコペニア判定部113によって判定された被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す評価結果を提示してもよい。
【0092】
表示部3は、評価結果提示部114から出力された評価結果を表示する。表示部3は、例えば、液晶表示パネル又は発光素子である。
【0093】
なお、表示部3は、今回判定された被験者がサルコペニアである可能性を示す値と過去の被験者がサルコペニアである可能性を示す値とを比較するために、被験者がサルコペニアである可能性を示す値の推移をグラフで表示してもよい。なお、過去の被験者がサルコペニアである可能性を示す値は、メモリ12に記憶されており、メモリ12から読み出される。
【0094】
なお、サルコペニア評価装置1は、カメラ2及び表示部3を備えてもよい。また、サルコペニア評価装置1は、表示部3を備えてもよい。サルコペニア評価装置1は、パーソナルコンピュータ又はサーバであってもよい。
【0095】
次に、
図4を用いて、本実施の形態におけるサルコペニア評価処理を説明する。
【0096】
図4は、本実施の形態において、被験者の歩行動作を利用したサルコペニア評価処理を説明するためのフローチャートである。
図4に示すフローチャートは、サルコペニア評価装置1を用いた、サルコペニアの評価の手順を示している。
【0097】
被験者は、カメラ2の前を歩行する。カメラ2は、歩行している被験者を撮像する。カメラ2は、被験者が歩行している動画像データをサルコペニア評価装置1へ送信する。
【0098】
まず、ステップS1において、データ取得部111は、カメラ2によって送信された動画像データを取得する。
【0099】
次に、ステップS2において、歩行パラメータ検出部112は、動画像データから時系列の骨格データを抽出する。
【0100】
次に、ステップS3において、歩行パラメータ検出部112は、時系列の骨格データから、サルコペニアを判定するための歩行パラメータを検出する。ここで、本実施の形態における歩行パラメータは、1歩行周期の一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値である。所定期間は、例えば、1歩行周期の61%~100%の期間である。なお、歩行パラメータの決定方法については後述する。
【0101】
次に、ステップS4において、サルコペニア判定部113は、歩行パラメータを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定するサルコペニア判定処理を実行する。なお、サルコペニア判定処理については後述する。
【0102】
次に、ステップS5において、評価結果提示部114は、サルコペニア判定部113によって判定されたサルコペニアの評価結果を表示部3に出力する。サルコペニアの評価結果は、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す。なお、評価結果提示部114は、サルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれかだけでなく、サルコペニア、サルコペニア予備群又は健常者に対応付けられた評価メッセージを表示部3に出力してもよい。表示部3は、評価結果提示部114から出力されたサルコペニアの評価結果を表示する。
【0103】
ここで、
図4のステップS4におけるサルコペニア判定処理について説明する。
【0104】
図5は、
図4のステップS4におけるサルコペニア判定処理について説明するためのフローチャートである。
【0105】
まず、ステップS11において、サルコペニア判定部113は、メモリ12から予測モデルを読み出す。
【0106】
次に、ステップS12において、サルコペニア判定部113は、歩行パラメータ検出部112によって検出された歩行パラメータを予測モデルに入力する。本実施の形態における歩行パラメータは、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値である。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力する。
【0107】
次に、ステップS13において、サルコペニア判定部113は、サルコペニアの判定結果を予測モデルから取得する。サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定結果として予測モデルから取得する。
【0108】
なお、本実施の形態のサルコペニア判定処理では、予め生成された予測モデルに歩行パラメータを入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定しているが、本開示は特にこれに限定されない。本実施の形態のサルコペニア判定処理の他の例では、予め記憶されている閾値と歩行パラメータとを比較することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定してもよい。
【0109】
この場合、メモリ12は、被験者がサルコペニアであるか否かを判定するための第1閾値と、被験者がサルコペニア予備群であるか否かを判定するための第2閾値とを予め記憶する。第2閾値は、第1閾値より小さい。
【0110】
また、サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の膝関節の角度が第1閾値より大きい場合、遊脚期における一方の足の膝関節の角度が第1閾値より大きい場合、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第1閾値より大きい場合、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第1閾値より大きい場合、立脚期における一方の足の足首関節の角度が第1閾値より大きい場合、又は遊脚期における一方の足の足首関節の角度が第1閾値より大きい場合、被験者がサルコペニアであると判定してもよい。
【0111】
本実施の形態では、サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の膝関節の角度が第1閾値より大きい場合、被験者がサルコペニアであると判定してもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値が第1閾値より大きいか否かを判断する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値が第1閾値より大きい場合、被験者がサルコペニアであると判定する。
【0112】
一方、サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の膝関節の角度が第1閾値以下である場合、立脚期における一方の足の膝関節の角度が第2閾値より大きいか否かを判断してもよい。また、サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の膝関節の角度が第1閾値以下である場合、遊脚期における一方の足の膝関節の角度が第2閾値より大きいか否かを判断してもよい。また、サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第1閾値以下である場合、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第2閾値より大きいか否かを判断してもよい。また、サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第1閾値以下である場合、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第2閾値より大きいか否かを判断してもよい。また、サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の足首関節の角度が第1閾値以下である場合、立脚期における一方の足の足首関節の角度が第2閾値より大きいか否かを判断してもよい。また、サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の足首関節の角度が第1閾値以下である場合、遊脚期における一方の足の足首関節の角度が第2閾値より大きいか否かを判断してもよい。
【0113】
サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の膝関節の角度が第2閾値より大きい場合、遊脚期における一方の足の膝関節の角度が第2閾値より大きい場合、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第2閾値より大きい場合、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位が第2閾値より大きい場合、立脚期における一方の足の足首関節の角度が第2閾値より大きい場合、又は遊脚期における一方の足の足首関節の角度が第2閾値より大きい場合、被験者がサルコペニア予備群であると判定してもよい。
【0114】
本実施の形態では、サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の膝関節の角度が第2閾値より大きい場合、被験者がサルコペニア予備群であると判定してもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値が第2閾値より大きいか否かを判断する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値が第2閾値より大きい場合、被験者がサルコペニア予備群であると判定する。一方、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値が第2閾値以下である場合、被験者がサルコペニア予備群ではない、すなわち被験者が健常者であると判定する。
【0115】
図6は、
図4のステップS4におけるサルコペニア判定処理の他の例について説明するためのフローチャートである。
【0116】
まず、ステップS21において、サルコペニア判定部113は、メモリ12から第1閾値及び第2閾値を読み出す。
【0117】
次に、ステップS22において、サルコペニア判定部113は、歩行パラメータ検出部112によって検出された歩行パラメータが第1閾値より大きいか否かを判断する。本実施の形態における歩行パラメータは、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値である。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値が第1閾値より大きいか否かを判断する。
【0118】
ここで、歩行パラメータが第1閾値より大きいと判断された場合(ステップS22でYES)、ステップS23において、サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニアであると判定する。
【0119】
一方、歩行パラメータが第1閾値以下であると判断された場合(ステップS22でNO)、ステップS24において、サルコペニア判定部113は、歩行パラメータ検出部112によって検出された歩行パラメータが第2閾値より大きいか否かを判断する。本実施の形態における歩行パラメータは、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値である。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値が第2閾値より大きいか否かを判断する。
【0120】
ここで、歩行パラメータが第2閾値より大きいと判断された場合(ステップS24でYES)、ステップS25において、サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニア予備群であると判定する。
【0121】
一方、歩行パラメータが第2閾値以下であると判断された場合(ステップS24でNO)、ステップS26において、サルコペニア判定部113は、被験者がサルコペニア予備群ではない、すなわち被験者が健常者であると判定する。
【0122】
このように、本実施の形態では、歩行している被験者の遊脚期における一方の足の膝関節の角度は、被験者のサルコペニアに相関があるパラメータである。サルコペニアである被験者の歩行動作は、サルコペニアではない被験者の歩行動作とは異なる傾向がある。そのため、歩行中の被験者のサルコペニアに相関があるパラメータを用いて被験者のサルコペニアが判定されるので、高い精度で被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0123】
また、歩行している被験者の遊脚期における一方の足の膝関節の角度は、例えば、歩行している被験者を撮像することで得られる画像データから簡単に検出することが可能であるので、大がかりな装置も不要である。そのため、本構成では、簡単に被験者のサルコペニアを評価することができる。
【0124】
本実施の形態における歩行パラメータ及び予測モデルは、実験により決定される。以下、本実施の形態における歩行パラメータ及び予測モデルの決定方法について説明する。
【0125】
実験に参加した被験者の総数は65人であった。全ての被験者は、女性であった。従来、種々のサルコペニアの判定基準が存在する。今回採用したサルコペニアの判定基準は、四肢骨格筋量が5.8(kg/m2)より低く且つ握力が19.3(kg)より低いこと、又は四肢骨格筋量が5.8(kg/m2)より低く且つ歩行速度が1.19(m/s)以下であることとした。四肢骨格筋量は、両腕及び両足の合計筋肉量を身長の2乗で割った値である。四肢骨格筋量が5.8(kg/m2)より低く且つ握力が19.3(kg)より低い場合、又は四肢骨格筋量が5.8(kg/m2)より低く且つ歩行速度が1.19(m/s)以下である場合、被験者がサルコペニアであると判定した。なお、上記の判定に用いた基準値は女性を対象にしたものであり、被験者が男性であった場合、四肢骨格筋量が7.0(kg/m2)より低く且つ握力が30.3(kg)より低い場合、又は四肢骨格筋量が7.0(kg/m2)より低く且つ歩行速度が1.27(m/s)以下である場合、被験者がサルコペニアであると判定する。
【0126】
また、四肢骨格筋量のみが基準値より低い場合、被験者がサルコペニア予備群であると判定した。すなわち、四肢骨格筋量のみが5.8(kg/m2)より低い場合、被験者がサルコペニア予備群であると判定した。
【0127】
なお、上記のサルコペニアの判定基準は一例であり、上記に限定されない。
【0128】
判定の結果、被験者のうち、サルコペニアである被験者は9人であり、サルコペニア予備群である被験者は30人であり、健常者である被験者は26人であった。実験では、被験者らは、カメラの前で歩行を行った。歩行する被験者らがカメラで撮像され、動画像データから各被験者の骨格データが抽出された。そして、抽出された骨格データから各被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データが検出された。
【0129】
図7は、本実施の形態において、1歩行周期における一方の足の膝関節の角度の変化を示す図である。
図7において、縦軸は膝関節の角度を示し、横軸は正規化した1歩行周期を示す。また、
図7において、破線は、健常者であった被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形を示し、一点鎖線は、サルコペニア予備群であった被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形を示し、実線は、サルコペニアであった被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形を示す。
【0130】
実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足の膝関節の角度の平均値を被験者毎に算出した。そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数とする予測モデルを作成した。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC(Receiver Operating Characteristic)曲線と、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線とが算出された。さらに、予測モデルの2つのROC曲線のAUC(Area Under Curve)値がそれぞれ算出された。
【0131】
図8は、本実施の形態における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0132】
本実施の形態における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された。
図8において、縦軸は真陽性率(True Positive Rate)を示し、横軸は偽陽性率(False Positive Rate)を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0133】
図8に示すROC曲線は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図8に示すROC曲線のAUC値は、0.699であった。AUC値は、ROC曲線の下部分の面積である。AUC値が大きいほど(1に近づくほど)、性能が高い予測モデルであると言える。
【0134】
図9は、本実施の形態における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
図9において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0135】
図9に示すROC曲線は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図9に示すROC曲線のAUC値は、0.604であった。
【0136】
本実施の形態では、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0137】
メモリ12は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データを検出する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0138】
また、
図7に示す1歩行周期の61%~100%の期間において、サルコペニアである被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形は、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形よりも大きくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニアである被験者らの1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、サルコペニア予備群である被験者らの1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均との間の値が、第1閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、予め記憶されている第1閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0139】
また、
図7に示す1歩行周期の61%~100%の期間において、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形は、健常者である被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形よりも大きくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニア予備群である被験者らの1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均との間の値が、第2閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、予め記憶されている第2閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニア予備群であるか否かを判定してもよい。
【0140】
なお、本実施の形態では、歩行パラメータは、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値であるが、本開示は特にこれに限定されない。以下、本実施の形態の歩行パラメータの種々の例について説明する。
【0141】
まず、本実施の形態の第1の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0142】
本実施の形態の第1の変形例における歩行パラメータは、被験者の一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値であってもよい。
【0143】
本実施の形態の第1の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の膝関節の角度の時系列データを検出した。また、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の所定期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値を説明変数とする予測モデルが作成された。所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0144】
図10は、本実施の形態の第1の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0145】
本実施の形態の第1の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された。
図10において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0146】
図10に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図10に示すROC曲線のAUC値は、0.586であった。
【0147】
図11は、本実施の形態の第1の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0148】
図11において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0149】
図11に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図11に示すROC曲線のAUC値は、0.537であった。
【0150】
本実施の形態の第1の変形例では、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0151】
歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度を検出する。歩行パラメータ検出部112は、切り出した1歩行周期に対応する時系列の骨格データから、立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度を検出する。特に、歩行パラメータ検出部112は、一方の足の立脚期の所定期間における膝関節の角度の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を算出する。
【0152】
メモリ12は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。特に、メモリ12は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0153】
サルコペニア判定部113は、立脚期の所定期間の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。サルコペニア判定部113は、立脚期の所定期間の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された立脚期の所定期間の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0154】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の立脚期の所定期間における膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0155】
続いて、本実施の形態の第2の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0156】
本実施の形態の第2の変形例における歩行パラメータは、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値であってもよい。
【0157】
本実施の形態の第2の変形例では、上記の実験と同様に、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データを検出した。また、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数とする予測モデルが作成された。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0158】
図12は、本実施の形態の第2の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0159】
本実施の形態の第2の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された。
図12において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0160】
図12に示すROC曲線は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図12に示すROC曲線のAUC値は、0.6786であった。
【0161】
図13は、本実施の形態の第2の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0162】
図13において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0163】
図13に示すROC曲線は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図13に示すROC曲線のAUC値は、0.6135であった。
【0164】
本実施の形態の第2の変形例では、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0165】
歩行パラメータ検出部112は、一方の足の立脚期の所定期間における膝関節の角度の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の50%~60%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を算出する。
【0166】
メモリ12は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。特に、メモリ12は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0167】
サルコペニア判定部113は、立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の50%~60%の期間である。サルコペニア判定部113は、立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された立脚期の所定期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0168】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の立脚期の所定期間における膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。所定期間は、1歩行周期の50%~60%の期間である。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0169】
図14は、本実施の形態の第2の変形例において、サルコペニアである被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均とを示す図である。
【0170】
図14に示すように、1歩行周期の50%~60%の期間におけるサルコペニアである被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均は、15.3度であり、1歩行周期の50%~60%の期間におけるサルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均は、12.4度であり、1歩行周期の50%~60%の期間における健常者である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均は、9.3度であった。
【0171】
このように、1歩行周期の50%~60%の期間において、サルコペニアである被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均は、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均よりも大きくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニアである被験者らの1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、サルコペニア予備群である被験者らの1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均との間の値が、第1閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の50%~60%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、予め記憶されている第1閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0172】
また、1歩行周期の50%~60%の期間において、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均は、健常者である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均よりも大きくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニア予備群である被験者らの1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの1歩行周期の50%~60%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均との間の値が、第2閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の50%~60%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、予め記憶されている第2閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニア予備群であるか否かを判定してもよい。
【0173】
続いて、本実施の形態の第3の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0174】
本実施の形態の第3の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値であってもよい。
【0175】
図15は、本実施の形態の第3の変形例において、1歩行周期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を示す図である。
図15において、縦軸はつま先の鉛直方向の変位を示し、横軸は正規化した1歩行周期を示す。また、
図15において、破線は、健常者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均波形を示し、一点鎖線は、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均波形を示し、実線は、サルコペニアである被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均波形を示す。
【0176】
本実施の形態の第3の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出した。
図2に示すように、つま先の鉛直方向の変位βは、つま先を示す特徴点213の鉛直方向の変位である。
【0177】
実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を被験者毎に算出した。そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数とする予測モデルを作成した。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線と、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線とが算出された。さらに、予測モデルの2つのROC曲線のAUC値がそれぞれ算出された。
【0178】
図16は、本実施の形態の第3の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0179】
本実施の形態の第3の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された。
図16において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0180】
図16に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図16に示すROC曲線のAUC値は、0.636であった。
【0181】
図17は、本実施の形態の第3の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0182】
図17において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0183】
図17に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図17に示すROC曲線のAUC値は、0.560であった。
【0184】
本実施の形態の第3の変形例では、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0185】
歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足のつま先の鉛直方向の変位を検出する。歩行パラメータ検出部112は、切り出した1歩行周期に対応する時系列の骨格データから、被験者の一方の足のつま先の鉛直方向の変位を検出する。特に、歩行パラメータ検出部112は、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を算出する。
【0186】
なお、本実施の形態の第3の変形例では、1歩行周期は、被験者の右足が地面に着いてから再度右足が地面に着くまでの期間であるので、歩行パラメータ検出部112は、右足が立脚期である際の右足のつま先の鉛直方向の変位βを検出している。1歩行周期が、被験者の左足が地面に着いてから再度左足が地面に着くまでの期間である場合、歩行パラメータ検出部112は、左足が立脚期である際の左足のつま先の鉛直方向の変位βを検出してもよい。
【0187】
メモリ12は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。特に、メモリ12は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0188】
サルコペニア判定部113は、一方の足のつま先の鉛直方向の変位を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、一方の足のつま先の鉛直方向の変位を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された一方の足のつま先の鉛直方向の変位を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0189】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0190】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0191】
続いて、本実施の形態の第4の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0192】
本実施の形態の第4の変形例における歩行パラメータは、被験者の一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値であってもよい。
【0193】
本実施の形態の第4の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出した。また、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、遊脚期の所定期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値を説明変数とする予測モデルが作成された。所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0194】
図18は、本実施の形態の第4の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0195】
本実施の形態の第
4の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された。
図18において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0196】
図18に示すROC曲線は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図18に示すROC曲線のAUC値は、0.514であった。
【0197】
図19は、本実施の形態の第4の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0198】
図19において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0199】
図19に示すROC曲線は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図19に示すROC曲線のAUC値は、0.626であった。
【0200】
本実施の形態の第4の変形例では、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0201】
歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を検出する。歩行パラメータ検出部112は、切り出した1歩行周期に対応する時系列の骨格データから、遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を検出する。特に、歩行パラメータ検出部112は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を算出する。
【0202】
メモリ12は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。特に、メモリ12は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0203】
サルコペニア判定部113は、遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。サルコペニア判定部113は、遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0204】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0205】
続いて、本実施の形態の第5の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0206】
本実施の形態の第5の変形例における歩行パラメータは、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値であってもよい。
【0207】
図20は、本実施の形態の第5の変形例において、1歩行周期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を示す図である。
図20において、縦軸はつま先の鉛直方向の変位を示し、横軸は正規化した1歩行周期を示す。また、
図20において、破線は、健常者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均波形を示し、実線は、サルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均波形を示す。
【0208】
なお、本実施の形態の第4の変形例では、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかが判定されるが、本実施の形態の第5の変形例では、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かが判定される。なお、サルコペニア又はサルコペニア予備群ではない被験者は健常者であると判定される。
【0209】
本実施の形態の第5の変形例では、上記の実験と同様に、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出した。また、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを目的変数とし、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数とする予測モデルが作成された。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、サルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0210】
図21は、本実施の形態の第5の変形例における予測モデルを用いてサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0211】
本実施の形態の第5の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを目的変数とし、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された。
図21において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア又はサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア又はサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0212】
図21に示すROC曲線は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図21に示すROC曲線のAUC値は、0.6525であった。
【0213】
本実施の形態の第5の変形例では、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0214】
歩行パラメータ検出部112は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の65%~70%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を算出する。
【0215】
メモリ12は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を入力値とし、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを目的変数とし、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。特に、メモリ12は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0216】
サルコペニア判定部113は、遊脚期の所定期間の一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の65%~70%の期間である。サルコペニア判定部113は、遊脚期の所定期間の一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された遊脚期の所定期間の一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0217】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の65%~70%の期間である。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0218】
図22は、本実施の形態の第5の変形例において、サルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均とを示す図である。
【0219】
図22に示すように、1歩行周期の65%~70%の期間におけるサルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均は、37mmであり、1歩行周期の65%~70%の期間における健常者である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均は、31mmであった。
【0220】
このように、1歩行周期の65%~70%の期間において、サルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均は、健常者である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均よりも大きくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値の平均との間の値が、閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の65%~70%の期間における被験者の一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、予め記憶されている閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定してもよい。
【0221】
続いて、本実施の形態の第6の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0222】
本実施の形態の第6の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値であってもよい。
【0223】
図23は、本実施の形態の第6の変形例において、1歩行周期における一方の足の足首関節の角度の変化を示す図である。
図23において、縦軸は足首関節の角度を示し、横軸は正規化した1歩行周期を示す。また、
図23において、破線は、健常者らの一方の足首関節の角度の平均波形を示し、一点鎖線は、サルコペニア予備群である被験者らの一方の足首関節の角度の平均波形を示し、実線は、サルコペニアである被験者らの一方の足首関節の角度の平均波形を示す。
【0224】
本実施の形態の第6の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足首関節の角度の時系列データを検出した。
図2に示すように、足首関節の角度θは、矢状面において、右足首関節を示す特徴点212と右膝関節を示す特徴点211とを結ぶ直線と、右足首関節を示す特徴点212と右つま先を示す特徴点213とを結ぶ直線とがなす角度である。
【0225】
実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足首関節の角度の平均値を被験者毎に算出した。そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数とする予測モデルを作成した。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線と、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線とが算出された。さらに、予測モデルの2つのROC曲線のAUC値がそれぞれ算出された。
【0226】
図24は、本実施の形態の第6の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0227】
本実施の形態の第6の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された。
図24において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0228】
図24に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図24に示すROC曲線のAUC値は、0.498であった。
【0229】
図25は、本実施の形態の第6の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0230】
図25において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0231】
図25に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図25に示すROC曲線のAUC値は、0.610であった。
【0232】
本実施の形態の第6の変形例では、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0233】
歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足の立脚期における一方の足の足首関節の角度を検出する。歩行パラメータ検出部112は、切り出した1歩行周期に対応する時系列の骨格データから、被験者の立脚期における一方の足の足首関節の角度を検出する。特に、歩行パラメータ検出部112は、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を算出する。
【0234】
なお、本実施の形態の第6の変形例では、1歩行周期は、被験者の右足が地面に着いてから再度右足が地面に着くまでの期間であるので、歩行パラメータ検出部112は、右足の足首関節の角度θを検出している。1歩行周期が、被験者の左足が地面に着いてから再度左足が地面に着くまでの期間である場合、歩行パラメータ検出部112は、左足の足首関節の角度θを検出してもよい。
【0235】
メモリ12は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。特に、メモリ12は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0236】
サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の足首関節の角度を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、立脚期における一方の足の足首関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された立脚期における一方の足の足首関節の角度を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0237】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0238】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の立脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。所定期間は、1歩行周期の1%~60%の期間である。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0239】
また、
図23に示す1歩行周期の1%~60%の期間において、サルコペニアである被験者らの足首関節の角度の平均波形は、サルコペニア予備群である被験者らの足首関節の角度の平均波形よりも大きくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニアである被験者らの1歩行周期の1%~60%の期間における足首関節の角度の時系列データの平均値の平均と、サルコペニア予備群である被験者らの1歩行周期の1%~60%の期間における足首関節の角度の時系列データの平均値の平均との間の値が、第1閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における被験者の足首関節の角度の時系列データの平均値と、予め記憶されている第1閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを判定してもよい。
【0240】
また、
図23に示す1歩行周期の1%~60%の期間において、サルコペニア予備群である被験者らの足首関節の角度の平均波形は、健常者である被験者らの足首関節の角度の平均波形よりも大きくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニア予備群である被験者らの1歩行周期の1%~60%の期間における足首関節の角度の時系列データの平均値の平均と、健常者である被験者らの1歩行周期の1%~60%の期間における足首関節の角度の時系列データの平均値の平均との間の値が、第2閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~60%の期間における被験者の足首関節の角度の時系列データの平均値と、予め記憶されている第2閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニア予備群であるか否かを判定してもよい。
【0241】
続いて、本実施の形態の第7の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0242】
本実施の形態の第7の変形例における歩行パラメータは、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値であってもよい。
【0243】
本実施の形態の第7の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足首関節の角度の時系列データを検出した。
【0244】
実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足首関節の角度の平均値を被験者毎に算出した。そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数とする予測モデルを作成した。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線と、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線とが算出された。さらに、予測モデルの2つのROC曲線のAUC値がそれぞれ算出された。
【0245】
図26は、本実施の形態の第7の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0246】
本実施の形態の第7の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された。
図26において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0247】
図26に示すROC曲線は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図26に示すROC曲線のAUC値は、0.389であった。
【0248】
図27は、本実施の形態の第7の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0249】
図27において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0250】
図27に示すROC曲線は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図27に示すROC曲線のAUC値は、0.622であった。
【0251】
本実施の形態の第7の変形例では、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0252】
歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足の遊脚期における一方の足の足首関節の角度を検出する。歩行パラメータ検出部112は、切り出した1歩行周期に対応する時系列の骨格データから、被験者の遊脚期における一方の足の足首関節の角度を検出する。特に、歩行パラメータ検出部112は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データを検出する。より具体的には、所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を算出する。
【0253】
メモリ12は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データを説明変数とする回帰モデルである。特に、メモリ12は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0254】
サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の足首関節の角度を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、遊脚期における一方の足の足首関節の角度を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された遊脚期における一方の足の足首関節の角度を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0255】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0256】
また、サルコペニア判定部113は、一方の足の遊脚期の所定期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。所定期間は、1歩行周期の61%~100%の期間である。より具体的には、サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0257】
続いて、本実施の形態の第8の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0258】
本実施の形態の第8の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における足首関節の第1角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第2期間における足首関節の第2角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0259】
本実施の形態の第8の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足首関節の角度の時系列データを検出した。また、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数とする予測モデルが作成された。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0260】
図28は、本実施の形態の第8の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0261】
本実施の形態の第8の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図28において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0262】
図28に示すROC曲線は、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図28に示すROC曲線のAUC値は、0.608であった。
【0263】
本実施の形態の第8の変形例では、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0264】
歩行パラメータ検出部112は、一方の足の立脚期の第1期間における足首関節の第1角度の時系列データと、一方の足の遊脚期の第2期間における足首関節の第2角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の11%~40%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の71%~80%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データとを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0265】
サルコペニア判定部113は、足首関節の第1角度の時系列データの平均値と、足首関節の第2角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0266】
メモリ12は、一方の足の立脚期の第1期間における足首関節の第1角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第2期間における足首関節の第2角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。メモリ12は、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0267】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の11%~40%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0268】
このように、立脚期における足首関節の角度の平均値を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.498であり、遊脚期における足首関節の角度の平均値を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.389であった。一方、2つの期間における足首関節の角度の平均値を用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.608であった。したがって、1つの期間における足首関節の角度の平均値を単独で用いて作成した予測モデルよりも、2つの期間における足首関節の角度の平均値を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニアを判定することができる。
【0269】
続いて、本実施の形態の第9の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0270】
本実施の形態の第9の変形例における歩行パラメータは、一方の足のストライド距離であってもよい。
【0271】
本実施の形態の第9の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のストライド距離を検出した。ストライド距離は、一方の足の踵が接地した地点から、再度一方の足の踵が接地した地点までの距離である。1歩行周期が、被験者の右足が地面に着いてから再度右足が地面に着くまでの期間である場合、ストライド距離は、右足の踵が接地した地点から、再度右足の踵が接地した地点までの距離である。
【0272】
実験では、一方の足のストライド距離を被験者毎に算出した。そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期における一方の足のストライド距離を説明変数とする予測モデルを作成した。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0273】
図29は、本実施の形態の第9の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0274】
本実施の形態の第9の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期における一方の足のストライド距離を説明変数として作成された。
図29において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0275】
図29に示すROC曲線は、1歩行周期における一方の足のストライド距離を説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図29に示すROC曲線のAUC値は、0.6677であった。
【0276】
本実施の形態の第9の変形例では、1歩行周期における一方の足のストライド距離が、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期における一方の足のストライド距離を説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0277】
歩行パラメータ検出部112は、歩行データから、被験者の一方の足のストライド距離を検出する。歩行パラメータ検出部112は、切り出した1歩行周期に対応する時系列の骨格データから、被験者の一方の足のストライド距離を検出する。
【0278】
なお、本実施の形態の第9の変形例では、1歩行周期は、被験者の右足が地面に着いてから再度右足が地面に着くまでの期間であるので、歩行パラメータ検出部112は、右足の踵が接地した地点から、再度右足の踵が接地した地点までのストライド距離を検出している。1歩行周期が、被験者の左足が地面に着いてから再度左足が地面に着くまでの期間である場合、歩行パラメータ検出部112は、左足の踵が接地した地点から、再度左足の踵が接地した地点までのストライド距離を検出してもよい。また、歩行パラメータ検出部112は、複数の歩行周期における複数のストライド距離を検出し、検出した複数のストライド距離の平均値を算出してもよい。
【0279】
メモリ12は、1歩行周期における一方の足のストライド距離を入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期における一方の足のストライド距離を説明変数とする回帰モデルである。
【0280】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期における一方の足のストライド距離を用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期における一方の足のストライド距離を入力値とし、被験者がサルコペニアであるか否かを出力値として生成された予測モデルに、歩行パラメータ検出部112によって検出された1歩行周期における一方の足のストライド距離を入力することで被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。また、サルコペニア判定部113は、1歩行周期における一方の足のストライド距離を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0281】
また、サルコペニア判定部113は、1歩行周期における一方の足のストライド距離を用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期における一方の足のストライド距離を予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0282】
図30は、本実施の形態の第9の変形例において、サルコペニアである被験者らの一方の足のストライド距離の平均と、健常者である被験者らの一方の足のストライド距離の平均とを示す図である。
【0283】
図30に示すように、1歩行周期におけるサルコペニアである被験者らの一方の足のストライド距離の平均は、1.28mであり、1歩行周期における健常者である被験者らの一方の足のストライド距離の平均は、1.39mであった。
【0284】
このように、1歩行周期において、サルコペニアである被験者らの一方の足のストライド距離の平均は、健常者である被験者らの一方の足のストライド距離の平均よりも小さくなっている。そのため、実験により得られた、サルコペニアである被験者らの1歩行周期における一方の足のストライド距離の平均と、健常者である被験者らの1歩行周期における一方の足のストライド距離の平均との間の値が、閾値としてメモリ12に記憶されてもよい。サルコペニア判定部113は、1歩行周期における被験者の一方の足のストライド距離と、予め記憶されている閾値とを比較することにより、被験者がサルコペニアであるか否かを判定してもよい。サルコペニア判定部113は、一方の足のストライド距離が閾値より小さい場合、被験者がサルコペニアであると判定してもよい。
【0285】
続いて、本実施の形態の第10の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0286】
本実施の形態の第10の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0287】
本実施の形態の第10の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と一方の足の膝関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0288】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の1%~30%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の61%~70%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の81%~100%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0289】
図31は、本実施の形態の第10の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0290】
本実施の形態の第10の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~50%、61%~70%及び81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図31において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0291】
図31に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図31に示すROC曲線のAUC値は、0.790であった。
【0292】
本実施の形態の第10の変形例では、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0293】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の1%~30%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の61%~70%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の81%~100%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データとを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0294】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。メモリ12は、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0295】
サルコペニア判定部113は、第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、第2期間、第3期間及び第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0296】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0297】
このように、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.636であり、立脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.586であり、遊脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.699であった。これに対し、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度、及び遊脚期における一方の足の膝関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.790であった。
【0298】
したがって、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度及び遊脚期における一方の足の膝関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度及び遊脚期における一方の足の膝関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニアを判定することができる。
【0299】
続いて、本実施の形態の第11の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0300】
本実施の形態の第11の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0301】
本実施の形態の第11の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と一方の足の膝関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0302】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の31%~40%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の41%~50%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の71%~100%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0303】
図32は、本実施の形態の第11の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0304】
本実施の形態の第11の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%、41%~50%及び71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図32において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0305】
図32に示すROC曲線は、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図32に示すROC曲線のAUC値は、0.772であった。
【0306】
本実施の形態の第11の変形例では、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0307】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の31%~40%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の41%~50%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の71%~100%の期間である。
【0308】
歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データとを検出する。
【0309】
また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0310】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0311】
メモリ12は、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0312】
サルコペニア判定部113は、第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、第2期間、第3期間及び第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0313】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0314】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の31%~40%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0315】
このように、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.560であり、立脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.537であり、遊脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.604であった。これに対し、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度、及び遊脚期における一方の足の膝関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.772であった。
【0316】
したがって、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度及び遊脚期における一方の足の膝関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度及び遊脚期における一方の足の膝関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニア予備群を判定することができる。
【0317】
続いて、本実施の形態の第12の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0318】
本実施の形態の第12の変形例における歩行パラメータは、一方の足の遊脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0319】
図33は、本実施の形態の第12の変形例において、1歩行周期における一方の足の膝関節の角度の変化を示す図である。
図33において、縦軸は膝関節の角度を示し、横軸は正規化した1歩行周期を示す。また、
図33において、破線は、健常者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形を示し、実線は、サルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの一方の足の膝関節の角度の平均波形を示す。
【0320】
なお、本実施の形態の第12の変形例では、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かが判定される。なお、サルコペニア又はサルコペニア予備群ではない被験者は健常者であると判定される。
【0321】
また、健常者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均波形と、サルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者らの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均波形とは、
図20に示される。
【0322】
本実施の形態の第12の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データとを検出した。また、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを目的変数とし、遊脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の65%~70%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の45%~50%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、サルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0323】
図34は、本実施の形態の第12の変形例における予測モデルを用いてサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0324】
本実施の形態の第12の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを目的変数とし、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図34において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア又はサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア又はサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア又はサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0325】
図34に示すROC曲線は、1歩行周期の
65%~
70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の
45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値
とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。図
34に示すROC曲線のAUC値は、
0.6680であった。
【0326】
本実施の形態の第12の変形例では、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0327】
歩行パラメータ検出部112は、遊脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の65%~70%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の45%~50%の期間である。歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データとを検出する。また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0328】
メモリ12は、遊脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。メモリ12は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0329】
サルコペニア判定部113は、第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0330】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを判定する。サルコペニア判定部113は、1歩行周期の65%~70%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の45%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア又はサルコペニア予備群であるか否かを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0331】
続いて、本実施の形態の第13の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0332】
本実施の形態の第13の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0333】
本実施の形態の第13の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と一方の足の足首関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0334】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の21%~60%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の71%~80%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の91%~100%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0335】
図35は、本実施の形態の第13の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0336】
本実施の形態の第13の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%、21%~60%、71%~80%及び91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図35において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0337】
図35に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図35に示すROC曲線のAUC値は、0.787であった。
【0338】
本実施の形態の第13の変形例では、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0339】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第2期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の21%~60%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の71%~80%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の91%~100%の期間である。
【0340】
歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データとを検出する。
【0341】
また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0342】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0343】
メモリ12は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0344】
サルコペニア判定部113は、第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、第2期間、第3期間、第4期間及び第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0345】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0346】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~60%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0347】
このように、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.636であり、立脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.498であり、遊脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.389であった。これに対し、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.787であった。
【0348】
したがって、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニアを判定することができる。
【0349】
続いて、本実施の形態の第14の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0350】
本実施の形態の第14の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0351】
本実施の形態の第14の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と一方の足の足首関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0352】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、遊脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の71%~100%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の51%~70%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の81%~100%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0353】
図36は、本実施の形態の第14の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0354】
本実施の形態の第14の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~50%及び71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%、51%~70%及び81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図36において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0355】
図36に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図36に示すROC曲線のAUC値は、0.764であった。
【0356】
本実施の形態の第14の変形例では、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0357】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、遊脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の71%~100%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の51%~70%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の81%~100%の期間である。
【0358】
歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データとを検出する。
【0359】
また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0360】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、遊脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0361】
メモリ12は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0362】
サルコペニア判定部113は、第1期間及び第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、第3期間、第4期間及び第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0363】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0364】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の71%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0365】
このように、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.560であり、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.626であり、立脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.610であり、遊脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.622であった。これに対し、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.764であった。
【0366】
したがって、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニア予備群を判定することができる。
【0367】
続いて、本実施の形態の第15の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0368】
本実施の形態の第15の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0369】
本実施の形態の第15の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足の膝関節の角度の平均値と一方の足の足首関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0370】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の1%~40%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の61%~70%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の81%~100%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の61%~70%の期間であり、第6期間は、1歩行周期の91%~100%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0371】
図37は、本実施の形態の第15の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0372】
本実施の形態の第15の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~40%、61%~70%及び81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~50%、61%~70%及び91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図37において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0373】
図37に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図37に示すROC曲線のAUC値は、0.865であった。
【0374】
本実施の形態の第15の変形例では、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0375】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、立脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の1%~40%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の61%~70%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の81%~100%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の1%~50%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の61%~70%の期間であり、第6期間は、1歩行周期の91%~100%の期間である。
【0376】
歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データとを検出する。
【0377】
また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0378】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0379】
メモリ12は、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0380】
サルコペニア判定部113は、第1期間、第2期間及び第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、第4期間、第5期間及び第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0381】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0382】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~40%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~50%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0383】
このように、立脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.586であり、遊脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.699であり、立脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.498であり、遊脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.389であった。これに対し、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.865であった。
【0384】
したがって、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニアを判定することができる。
【0385】
続いて、本実施の形態の第16の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0386】
本実施の形態の第16の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0387】
本実施の形態の第16の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足の膝関節の角度の平均値と一方の足の足首関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0388】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の81%~100%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の21%~70%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0389】
図38は、本実施の形態の第16の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0390】
本実施の形態の第16の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の1%~10%及び81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~10%及び21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図38において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0391】
図38に示すROC曲線は、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図38に示すROC曲線のAUC値は、0.743であった。
【0392】
本実施の形態の第16の変形例では、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。また、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値ととを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0393】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の81%~100%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の1%~10%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の21%~70%の期間である。
【0394】
歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データとを検出する。
【0395】
また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0396】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0397】
メモリ12は、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0398】
サルコペニア判定部113は、第1期間及び第2期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、第3期間及び第4期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0399】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0400】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~10%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の21%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0401】
このように、立脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.537であり、遊脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.604であり、立脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.610であり、遊脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.622であった。これに対し、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.743であった。
【0402】
したがって、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における足首関節の角度及び遊脚期における足首関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニア予備群を判定することができる。
【0403】
続いて、本実施の形態の第17の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0404】
本実施の形態の第17の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期及び遊脚期の第5期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0405】
本実施の形態の第17の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と一方の足の膝関節の角度の平均値と一方の足の足首関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0406】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、遊脚期の第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第5期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の21%~30%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の51%~60%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の81%~100%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の11%~20%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の41%~80%の期間であり、第6期間は、1歩行周期の1%~20%の期間であり、第7期間は、1歩行周期の51%~80%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニアを判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0407】
図39は、本実施の形態の第17の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニアを判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0408】
本実施の形態の第17の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の21%~30%、51%~60%及び81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の11%~20%及び41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~20%及び51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図39において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニアである被験者をサルコペニアであると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニアであると誤って判定した割合を示す。
【0409】
図39に示すROC曲線は、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図39に示すROC曲線のAUC値は、0.881であった。
【0410】
本実施の形態の第17の変形例では、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。
【0411】
また、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0412】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、遊脚期の第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、立脚期及び遊脚期の第5期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、立脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、立脚期及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の21%~30%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の51%~60%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の81%~100%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の11%~20%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の41%~80%の期間であり、第6期間は、1歩行周期の1%~20%の期間であり、第7期間は、1歩行周期の51%~80%の期間である。
【0413】
歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データとを検出する。
【0414】
また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0415】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、遊脚期の第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第5期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0416】
メモリ12は、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0417】
サルコペニア判定部113は、第1期間、第2期間及び第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、第4期間及び第5期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、第6期間及び第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0418】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0419】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の21%~30%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の81%~100%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~80%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の1%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の51%~80%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0420】
このように、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.636であり、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.514であり、立脚期における膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.586であり、遊脚期における膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.699であり、立脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.498であり、遊脚期における足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.389であった。
【0421】
これに対し、立脚期の第1期間及び第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期の第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度、立脚期及び遊脚期の第5期間における一方の足の膝関節の角度、立脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度、及び立脚期及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニアを判定した結果得られたAUC値は、0.881であった。
【0422】
したがって、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期の第1期間及び第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期の第3期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度、立脚期及び遊脚期の第5期間における一方の足の膝関節の角度、立脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度、及び立脚期及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニアを判定することができる。
【0423】
続いて、本実施の形態の第18の変形例における歩行パラメータについて説明する。
【0424】
本実施の形態の第18の変形例における歩行パラメータは、一方の足の立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の立脚期及び遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、一方の足の遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とであってもよい。
【0425】
本実施の形態の第18の変形例では、上記の実験と同様に、サルコペニアである被験者、サルコペニア予備群である被験者及び健常者である被験者を含む複数の被験者の骨格データから、複数の被験者それぞれの一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の膝関節の角度の時系列データと、複数の被験者それぞれの一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出した。また、実験では、正規化した1歩行周期を10区間に分割し、1区間又は2以上の連続する区間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と一方の足の膝関節の角度の平均値と一方の足の足首関節の角度の平均値とを被験者毎に算出した。
【0426】
そして、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを説明変数とする予測モデルを作成した。第1期間は、1歩行周期の11%~20%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の41%~60%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の41%~50%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の61%~100%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の11%~20%の期間であり、第6期間は、1歩行周期の31%~70%の期間であり、第7期間は、1歩行周期の91%~100%の期間である。予測モデルは、交差検証により評価された。交差検証としては、leave-one-out交差検証が採用された。そして、健常者及びサルコペニア予備群を判定した予測モデルのROC曲線が算出された。さらに、予測モデルのROC曲線のAUC値が算出された。
【0427】
図40は、本実施の形態の第18の変形例における予測モデルを用いて健常者及びサルコペニア予備群を判定した結果得られたROC曲線を示す図である。
【0428】
本実施の形態の第18の変形例における予測モデルは、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを目的変数とし、1歩行周期の11%~20%及び41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の41%~50%及び61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の11%~20%、31%~70%及び91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された。
図40において、縦軸は真陽性率を示し、横軸は偽陽性率を示す。真陽性率は、予測モデルがサルコペニア予備群である被験者をサルコペニア予備群であると正しく判定した割合を示し、偽陽性率は、予測モデルが健常者である被験者をサルコペニア予備群であると誤って判定した割合を示す。
【0429】
図40に示すROC曲線は、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルの真陽性率と偽陽性率とをプロットしたものである。
図40に示すROC曲線のAUC値は、0.861であった。
【0430】
本実施の形態の第18の変形例では、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とが、歩行パラメータとして決定される。
【0431】
また、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の平均値とを説明変数として作成された予測モデルが、サルコペニア判定部113が用いる予測モデルとして決定される。
【0432】
歩行パラメータ検出部112は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データと、立脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、立脚期及び遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データと、遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データとを検出する。第1期間は、1歩行周期の11%~20%の期間であり、第2期間は、1歩行周期の41%~60%の期間であり、第3期間は、1歩行周期の41%~50%の期間であり、第4期間は、1歩行周期の61%~100%の期間であり、第5期間は、1歩行周期の11%~20%の期間であり、第6期間は、1歩行周期の31%~70%の期間であり、第7期間は、1歩行周期の91%~100%の期間である。
【0433】
歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データと、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データと、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データと、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データとを検出する。
【0434】
また、歩行パラメータ検出部112は、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを算出する。
【0435】
メモリ12は、立脚期の第1期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、立脚期及び遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値と、遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0436】
メモリ12は、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを入力値とし、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを出力値として生成された予測モデルを予め記憶する。
【0437】
サルコペニア判定部113は、第1期間及び第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、第3期間及び第4期間における一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値と、第5期間、第6期間及び第7期間における一方の足の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニアであるか否かを判定する。
【0438】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを用いて被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを判定する。
【0439】
サルコペニア判定部113は、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~60%の期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位の時系列データの平均値と、1歩行周期の41%~50%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の61%~100%の期間における一方の膝関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の11%~20%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の31%~70%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値と、1歩行周期の91%~100%の期間における一方の足首関節の角度の時系列データの平均値とを予測モデルに入力することにより、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを示す判定結果を予測モデルから取得する。
【0440】
このように、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.560であり、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.626であり、立脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.537であり、遊脚期における一方の足の膝関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.604であり、立脚期における一方の足の足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.610であり、遊脚期における一方の足の足首関節の角度を単独で用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.622であった。
【0441】
これに対し、立脚期の第1期間及び第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度、立脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度、立脚期及び遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルによりサルコペニア予備群を判定した結果得られたAUC値は、0.861であった。
【0442】
したがって、立脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、遊脚期における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期における一方の足の膝関節の角度、遊脚期における一方の足の膝関節の角度、立脚期における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期における一方の足の足首関節の角度をそれぞれ単独で用いて作成した予測モデルよりも、立脚期の第1期間及び第2期間における一方の足のつま先の鉛直方向の変位、立脚期の第3期間における一方の足の膝関節の角度、遊脚期の第4期間における一方の足の膝関節の角度、立脚期の第5期間における一方の足の足首関節の角度、立脚期及び遊脚期の第6期間における一方の足の足首関節の角度、及び遊脚期の第7期間における一方の足の足首関節の角度を用いて作成した予測モデルの方が精度よくサルコペニア予備群を判定することができる。
【0443】
図41は、本実施の形態において表示される評価結果画面の一例を示す図である。
【0444】
表示部3は、
図41に示す評価結果画面を表示する。評価結果画面は、過去のサルコペニアの評価値と、今回のサルコペニアの評価値とを示すサルコペニア評価提示領域31と、評価メッセージ32とを含む。
図41のサルコペニア評価提示領域31では、サルコペニアの評価が1か月に1回行われ、過去6か月間のサルコペニアの評価値と、今月のサルコペニアの評価値とが表示されている。
【0445】
サルコペニアの評価値は、予測モデルによって算出される被験者がサルコペニアである可能性を示す値である。被験者がサルコペニアである可能性を示す値は、例えば、0.0~2.0で表される。評価結果提示部114は、被験者がサルコペニアである可能性を示す値を百分率に換算してサルコペニアの評価値として提示する。
【0446】
また、本実施の形態の第2の変形例において、1歩行周期の50%~60%の期間におけるサルコペニアである被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均は、15.3度であり、1歩行周期の50%~60%の期間における健常者である被験者らの一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値の平均は、9.3度であった。そこで、評価結果提示部114は、9.3度が最小値0となり、15.3度が最大値1となるように正規化し、歩行パラメータ検出部112によって算出された1歩行周期の50%~60%の期間における被験者の一方の足の膝関節の角度の時系列データの平均値を0~1の間の値に変換してもよい。そして、評価結果提示部114は、変換した値を百分率に換算してサルコペニアの評価値として提示してもよい。
【0447】
なお、今回のサルコペニアの評価値とともに、過去のサルコペニアの評価値が表示される場合、サルコペニア判定部113は、サルコペニアの評価値をメモリ12に記憶する。
【0448】
また、サルコペニア評価提示領域31は、被験者がサルコペニアであるか否かを評価結果として表示してもよい。また、サルコペニア評価提示領域31は、被験者がサルコペニア、サルコペニア予備群及び健常者のいずれであるかを評価結果として表示してもよい。
【0449】
また、「サルコペニアの危険性が先月よりも低下しており、良好な状態が保てています。この調子で生活してください。」という評価メッセージ32が表示されている。評価結果提示部114は、今月のサルコペニアの評価値が先月のサルコペニアの評価値よりも低く、かつ今月のサルコペニアの評価値が0.5より低い場合に、
図41に示す評価メッセージ32をメモリ12から読み出し、表示部3へ出力する。
【0450】
なお、本実施の形態では、今回のサルコペニアの評価値とともに、過去のサルコペニアの評価値が表示されるが、本開示は特にこれに限定されず、今回のサルコペニアの評価値のみが表示されてもよい。この場合、サルコペニア判定部113は、サルコペニアの評価値をメモリ12に記憶しなくてもよい。
【0451】
また、本実施の形態におけるカメラ2は、玄関前に設けられたセキュリティカメラ、ドアホンのカメラ子機、又は室内に設けられた監視カメラであってもよい。また、表示部3は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、又は、ドアホンのモニタであってもよい。
【0452】
なお、本実施の形態では、歩行パラメータ検出部112は、カメラ2から取得された動画像データに基づいて骨格データを抽出しているが、本開示は特にこれに限定されず、モーションキャプチャシステムを用いて骨格データを抽出してもよい。モーションキャプチャシステムは、光学式、磁気式、機械式及び慣性センサ式のいずれであってもよい。例えば、光学式モーションキャプチャシステムは、関節部分にマーカを貼り付けた被験者をカメラで撮影し、撮影した画像からマーカの位置を検出する。歩行パラメータ検出部112は、モーションキャプチャシステムによって検出された位置データから、被験者の骨格データを取得する。光学式モーションキャプチャシステムとしては、例えば、インターリハ株式会社製の3次元動作分析装置が利用可能である。
【0453】
また、モーションキャプチャシステムは、深度センサ及びカラーカメラを備えてもよく、映像から被験者の関節点の位置情報を自動的に抽出し、被験者の姿勢を検出してもよい。この場合、被験者は、マーカを貼り付ける必要はない。なお、このようなモーションキャプチャシステムとしては、例えば、マイクロソフト社製のKinectが利用可能である。
【0454】
モーションキャプチャシステムを用いた歩行動作の計測では、位置座標から歩行動作における足首関節の角度、膝関節の角度又はつま先の鉛直方向の変位が抽出され、抽出された角度又は変位から歩行動作の特徴量が検出されることが好ましい。
【0455】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0456】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0457】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0458】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0459】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0460】
本開示に係る技術は、簡単且つ高い精度でサルコペニアを評価することができるので、被験者の歩行動作に基づいてサルコペニアを評価する技術に有用である。
【符号の説明】
【0461】
1 サルコペニア評価装置
2 カメラ
3 表示部
11 プロセッサ
12 メモリ
111 データ取得部
112 歩行パラメータ検出部
113 サルコペニア判定部
114 評価結果提示部